説明

ポリマー被覆された金属ホイルの製造方法及びその使用方法

本発明は、ポリマー被覆金属ホイルを製造する方法であって、以下の工程、
(a)無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子をマトリックス材料中に含む分散物(5)を使用して、基礎層(7)を支持ホイル(3)に施す工程、
(b)マトリック材料を、少なくとも部分的に乾燥及び/又は少なくとも部分的に硬化させる工程、
(c)無電解的又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層(7)を、無電解的及び/又は電解的に被覆することにより、基礎層(7)の上に金属層(19)を形成する工程、
(d)ポリマー(23)を金属層(19)に施す工程、
を含むことを特徴とする方法に関する。
更に、本発明は、プリント基板を製造するために、ポリマー被覆金属ホイルを使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー被覆された金属ホイルを製造する方法に関する。更に、本発明は、このようなホイルを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー被覆されたホイルは、例えば、電気的プリント基板に使用されている。この目的のために、ポリマー被覆された金属ホイルがプリント基板支持体に積層される。そして、金属ホイルの金属層から、導電体−路構造が製造される。この目的のために、導電体−路構造にとって不必要な部分が除去される。ポリマー被覆(該ポリマー被覆により、金属ホイルがプリント基板(プリント回路基板)に積層される)は、絶縁体として作用する。これにより、電流が支持体(ないしポリマー被覆)を流れることが防止される。
【0003】
現在、金属ホイル(通常、銅ホイルで、これは、プリント基板のために使用される)の製造では、支持体上に銅を電気的に堆積(沈澱:deposit)させる。ここで、銅層の厚さは、通常、3〜5μmの範囲である。支持体は、通常、18〜72μmの銅層で、この上に分離層(該分離層は、例えばクロムからなる)が施される。分離層によって、支持体を、電気的に堆積された薄い銅層から除去することができる。プリント基板(導体板)の製造で、厚さが3〜5μmの薄く堆積した銅層が、半仕上げの製品に移される。そして、クロム被覆がされた銅から構成される支持体が、除去される。支持体は、通常、処理(処分)され、そして再使用はされない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法の不利な点は、銅の消費量が多く、コストが高くなることである。更に、大量の銅−及びクロム−含有廃棄物が発生する。
【0005】
従来技術の銅ホイルの更なる不利な点は、支持層を除去する間に、薄い銅層に寸法の変化又は裂け目が発生することである。分離が悪い(弱い)と、特に裂け目が発生する。例えば、厚さ5μm未満の銅層の部分が、他の材料によって、引っ張られるという可能性がある。これにより、最終製品に穴(割れ目)が発生する。他方では、支持体の一部が最終製品に残るという他の可能性がある。このことは、同様に望ましくない。
【0006】
本発明の目的は、プリント基盤(プリント回路基板)の製造のためのポリマー被覆金属ホイルを製造することができる方法であって、その製造において、ホイルに、僅かにしか、ないし全く悪化が発生することがなく、そしてホイルを、容易にプリント基板支持体に移すことができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、ポリマー被覆金属ホイルを製造する方法であって、以下の工程、
(a)無電解的又は電解的に被覆可能な粒子をマトリックス材料中に含む分散物(5)を使用して、基礎層(7)を支持ホイル(3)に施す工程、
(b)マトリックス材料を、少なくとも部分的に乾燥及び/又は少なくとも部分的に硬化させる工程、
(c)無電解的又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層(7)を、無電解的又は電解的に被覆することにより、基礎層(7)の上に金属層(19)を形成する工程、
(d)ポリマー(23)を金属層(19)に施す工程、
を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】分散物を施す構成と、次の金属化工程を示した図である。
【図2】ポリマーを金属層に施す構成を示した図である。
【図3】ポリマー被覆された金属ホイルを、プリント基板支持体に積層することによって施す構成を示した図である。
【図4】積層工程の後、積層体の金属化を行う構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
分散物(該分散物は、マトリックス材料中に、無電解的又は電解的に被覆可能な粒子を含む)を施すことにより、支持体(該支持体は、金属で、無電解的又は電解的に被覆可能である)を設ける必要がない。例えば、クロムメッキした銅よりも有利な材料で構成された支持ホイルを使用することができる。例えば、ポリマー材料でできた支持体材料を使用することも可能である。支持ホイルは、連続ホイルが可能であり、又は他に単一シートが可能である。支持ホイルの厚さは、通常、約10〜500μmである。
【0010】
支持ホイルを後に(金属層を損傷することなく)除去可能とするために、支持ホイルが、基礎層に弱く付着する材料からなる表面(表面部分)を有することが好ましい。ある可能性として、支持ホイルを離型剤(release agent)で被覆することが考えられ、そして、他の可能性として、基礎層に弱く付着する材料で、ホイル全体を作ることが考えられる。「弱い付着(weak adhesion)」は、金属層が設けられた基礎層の、支持ホイルへの付着力が、工程(d)で施されたポリマーを有する金属層の支持体(該支持体に、このポリマー被覆側が施される)への付着力よりも弱いことを意味する。
【0011】
本発明の方法の更なる有利な点は、分散物(該分散物は、マトリックス材料中に、無電解的又は電解的に被覆可能な粒子を含む)は、無電解的又は電解的に被覆可能な粒子の平均径の関数として、如何なる所望の層厚さでも、支持ホイルに施すことができることである。分散物に金属層を薄く形成し、これにより、後の金属層について、合計厚さを20μm未満、好ましくは10μm未満、及び特に好ましくは5μm未満にすることも可能である。高性能エレクトロニクスでの電子部品の製造において、このことが特に望ましい。
【0012】
支持体材料のために適切な材料は、(基礎層の構成に従い)通常の市販されているポリマー材料、例えばフルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルフルオリド(PVF)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFE)又はシリコンポリマー、例えば、オリジメチルシロキサンポリマー、及び変性(修飾)されたセルローストリアセテート(CTA)、ポリプリピレン、ポリ−4−メチルペンテン−1(TDX)、変性ポリエステル(例えば、Pacothane technologiesによるPacothaneTM)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド又はポリイミド(但し、各基礎層の支持ホイルに対する付着力が弱いことが条件)が例示される。支持ホイルのための特に好ましい材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルフルオリド(PVF)、エチレンテトラフルオロエチレン(EFE)、変性されたセルローストリアセテート(CTA)、ポリ−4−メチルペンテン−1(TDX)、変性ポリエステル(例えば、Pacothane technologiesによるPacothaneTM)、ポリエステル及びポリイミドである。
【0013】
支持ホイルが適切な離型剤で被覆された場合、支持ホイルのための適切な材料は、ホイルを製造するために使用され得る如何なる材料であっても良い。これらの例は、ポリマー又は金属である。支持ホイルのための適切な材料の例は、ポリオレフィン、例えば、PE、PP、PET、ポリアミド及びポリイミドであり、また、薄いファイバー補強エポキシ又はフェノール性樹脂ホイルでもある。特に適切な材料は、ポリエステル、ポリイミド、セルローストリアセテート、及びファイバー補強エポキシ及びフェノール性樹脂ホイルである。特に、プリント基板(プリント回路基板)の製造における適用のために、材料を、約200℃以下で加熱し、そして材料が、加工を許容するのに十分な最終引っ張り強度を有することが好ましい。
【0014】
支持ホイルが基礎層への付着力が貧弱な材料から作られない場合には、支持ホイルは、次に離型剤で被覆される。離型剤で被覆された支持ホイルの表面との結合力が高く、及びその上に施された分散物との結合力が弱い全ての材料が、支持ホイルを被覆するための離型剤として適切である。この技術分野の当業者は、分散物の組成に依存して、適切な離型剤を選択する。離型剤は、適切なポリマー、例えば、ビニルアルコール、シリコーンポリマー又はフルオロポリマー又は低分子量脂肪、ワックス又はオイルであって良い。空気に対して30mNm未満の、表面張力が低い離型剤を使用することが好ましい。これらは、例えば、フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルフルオリド(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレン(EFE)、又はシリコーンポリマー、例えばポリジメチルシロキサンポリマー及び変性(修飾)セルローストリアセテート(CTA)である。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルフルオリド(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレン(EFE)及び変性セルローストリアセテート(CTA)が、離型剤として特に好ましい。
【0015】
温度(該温度で、例えば、プリント基板支持体が次に金属ホイルに積層される)に依存して、天然ワックス、合成又は半合成のワックスも可能であり、ワックスは、例えばポリオレフィンワックス又はポリアミドワックスである。異なる離型剤の組み合わせも可能である。
【0016】
離型剤は、この技術分野の当業者にとって公知の、如何なる供給方法によって施されても良い。例えば、ドクターブレード、ローラー被覆、吹き付け、ペインティング、ブラッシング、又はこれらに類似するものによって被覆し、これにより離型剤を施しても良い。しかしながら、例えばPTFE被覆技術から公知のプラズマ法によって、離型剤被覆を支持ホイル上に施すことが好ましい。
【0017】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な材料、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な、異なる材料の混合物、及び無電解的及び/又は電解的に被覆可能及び被覆不可能な材料の混合物で作成された、如何なる幾何学的を有する如何なる粒子であっても良い。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な適切な材料は、例えば、カーボン、例えば、カーボンブラック、グラファイト、グラフェン(graphene)又はカーボンナノチューブ、導電性金属錯体、導電性有機化合物又は導電性ポリマー又は金属、好ましくは、亜鉛、ニッケル、銅、スズ、コバルト、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、クロム、ビスマス、銀、金、アルミニウム、チタニウム、パラジウム、白金、タンタル、及びこれらの合金、又はこれら金属の少なくとも1種を含む金属混合物である。適切な合金は、例えば、CuZn、CuSn、CuNi、CuAg、SnPb、SnBi、SnCo、NiPb、ZnFe、ZnNi、ZnCo及びZnMnである。アルミニウム、鉄、銅、銀、金、ニッケル、亜鉛、スズ、カーボン及びこれらの混合物が特に好ましい。
【0018】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、平均粒子径が、好ましくは0.001〜100μm、好ましくは0、002〜50μm、及び特に好ましくは0.005〜10μmである。平均粒子径は、例えばMicrotrac X100装置を使用して、レーザー回折測定で測定して良い。粒子径の分布は、その製造方法に依存する。代表例では、粒子径分布は、最大点を一つだけ有するが、複数の最大点を有しても良い。従って、例えば、平均粒子径が100nm未満の粒子と、平均粒子径が1μmを超える粒子を混合し、より密集した粒子充填を得ても良い。
【0019】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、少なくとも部分的に被覆されても良い。適切な被覆物は、無機物(例えば、SiO2、ホスフェート)又は天然の有機物であって良い。当然、導電性粒子は、金属又は酸化金属で被覆されても良い。金属は、部分的に酸化された状態で存在しても良い。
【0020】
2種以上の異なる金属が、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を形成することが意図されている場合、これは、これらの金属の混合物を使用することによって行なっても良い。特に、金属が、アルミニウム、鉄、銅、銀、ニッケル、亜鉛及びスズから選ばれることが好ましい。
【0021】
また、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、第1の金属と第2の金属を含んでも良く、そして、第2の金属は、合金(第1の金属との合金又は1種以上の他の金属との合金)の状態で存在しても良く、又、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、異なる2種の合金を含んでも良い。
【0022】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の選択に加え、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の形状も、被覆後の分散物(dispersion)の特性に影響を及ぼす。形状に関して、この技術分野の当業者にとって公知の、種々の変形が可能である。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の形状は、例えば、針形状、シリンダー状、ペレット状、又は球状であって良い。これらの粒子形状は、理想化した形状であり、実際の形状は、(例えば、製造によって)この理想化した形状から多少なりとも異なっている。例えば、本発明では、涙形粒子は、理想化した球形状の(実際上の)誤差範囲にある。
【0023】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な(種々の形状を有する)粒子は、市販されている。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を使用した場合、個々の混合パートナーは、個々の粒子形状及び/又は粒子径を有していても良い。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の混合物について、種類が1種類だけであり、粒子径(粒子サイズ)及び/又は粒子形状が異なる粒子の混合物を使用することも可能である。粒子の形状及び/又は粒子径が異なるものの場合、金属、アルミニウム、鉄、銅、銀、ニッケル、亜鉛及びスズ及びカーボンが好ましい。
【0024】
上述したように、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、分散物(dispersion)に粉の状体で加えても良い。このような粉、例えば金属粉は、市販されており、そして公知の方法で容易に製造することができる。該公知の方法は、例えば、金属塩の溶液からの電解析出又は化学的還元、又は酸化物粉の還元(例えば、水素による)、特に、冷却剤(例えばガス又は水)中への溶融金属の噴霧(spraying)、又はアトマイズ化(噴霧化)である。ガス及び水を使用したアトマイズ化、及び酸化金属の還元が好ましい。好ましい粒子径を有する金属粉を、通常の粗い金属粉を粉砕することによって製造しても良い。例えば、ボールミルが、これに適切である。ガス及び水を使用したアトマイズ化の他に、鉄の場合には、カルボニル−鉄粉(carbonyl-iron powder)を製造するために、カルボニル−鉄粉法が好ましい。この方法は、鉄ペンタカルボニルを熱分解することによって行なわれる。これは、例えば、Ullman’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A14,p.599に記載されている。ペンタカルボニルの分解は、例えば、加熱分解器内で温度を上げ、そして圧力を上げて行なって良い。加熱器は、例えば、耐火材料のチューブ、例えば石英ガラス又はV2Aスチールを、好ましくは垂直位置に有し、上記チューブが、加熱器、例えば、加熱バス、加熱ワイヤー、又は内部を加熱媒体が通る加熱ジャケットによって囲まれたものである。カルボニル−ニッケル粉は、同様の方法で製造可能である。
【0025】
プレートレット形状の無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、製造工程の条件を最適化することによって制御することができ、又は機械的処理(例えば、アジテーターボールミル内での処理)によって、後に得ることができる。
【0026】
乾燥した被覆物の合計質量で表して、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の割合は、20〜98質量%の範囲内に位置する。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の好ましい割合は、乾燥した被覆物の合計質量で表して、30〜95質量%の範囲である。マトリックス材料として適切なものは、例えば、ピグメントアファインアンカー基を有するバインダー、天然及び合成ポリマー、及びこれらの誘導体、天然樹脂及び合成樹脂、及びこれらの誘導体、天然ゴム、合成ゴム、プロテイン、セルロース誘導体、乾燥及び非乾燥オイル及びこれらに類似するものである。これらは、化学的又は物理的に硬化されて良く、例えば、空気−硬化、放射−硬化、又は温度−硬化されて良いが、しかし必要なわけではない。
【0027】
マトリックス材料は、ポリマー又はポリマーブレンドが好ましい。
【0028】
マトリックス材料として好ましいポリマーは、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン);ASA(アクリロニトリル−スチレンアクリレート);アクリルアクリレート、アルキド樹脂;アルキルビニルアセテートコポリマー;特にメチレンビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ブチレンビニルアセテート;アルキレンビニルクロリドコポリマー;アミノ樹脂;アルデヒド及びケトン樹脂;セルロース及びセルロース誘導体、特にヘキサオキシアルキルセルロース、セルロースエステル、例えばアセテート、プロピオン酸塩、ブチレート、カルボキシアルキルセルロース、セルロースニトレート;エポキシアクリレート;エポキシレジン;変性エポキシ樹脂、例えば、二官能性又は多官能性ビスフェノールA(Bisphenol A)又はビスフェノールF(Bisphenol F)樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル、エチレン−アクリル酸コポリマー;炭化水素樹脂;MABS(アクリレート単位をも含む透明ABS);メラミン樹脂、無水マレイン酸コポリマー;メタクリレート;天然ゴム;合成ゴム;塩素ゴム;天然樹脂;コロフォニー樹脂;セラック;フェノール樹脂;フェノキシ樹脂;ポリエステル;ポリエステル樹脂、例えばフェニルエステル樹脂;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアニリン;ポリピロール;ポリブチレンテレフタレート(PBT);ポリカーボネート(例えば、Bayer AGからのMakrolon(登録商標));ポリエステルアクリレート;ポリエーテルアクリレート;ポリエチレン;ポリエチレンチオフェン;ポリエチレンナフタレート;ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG);ポリプロピレン;ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリフェニレンオキシド(PPO);ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリテトラヒドロフラン;ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、ポリビニル化合物、特にポリビニルクロリド(PVC)、PVCコポリマー、PVdC、ポリビニルアセテート及びそのコポリマー、任意に部分的に加水分解したポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニル−アクリレート及び−メタクリレート(溶液中、又は分散物として、及びそのコポリマーとして)、ポリアクリレート及びポリスチレンコポリマー、例えばポリスチレン無水マレイン酸コポリマー;ポリスチレン(耐振性に変性されたもの、又は変性されていないもの);ポリウレタン、イソシアネートで架橋されたもの、架橋されていないもの;ポリウレタンアクリレート;スチレンアクリルコポリマー;スチレン−ブタジエンブロックキポリマー(例えば、BASF AGからのStyroflex(登録商標)又はStyrolux(登録商標)、CPCからのK−ResinTM);プロテイン、例えば、カゼイン;スチレン−イソプレンブロックコポリマー;トリアジン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂(BT)、シアネートエステル樹脂(CE)、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)が例示される。2種以上のポリマーの混合物がマトリックス材料を形成しても良い。
【0029】
マトリックス材料として特に好ましいポリマーは、アクリレート、アクリレート樹脂、セルロース誘導体、メタクリレート、メタクリレート樹脂、メラミン及びアミノ樹脂、ポリアルキレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性Bisphenol A、又はBisphenol F樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル及びフェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリスチレンアクリレート、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、トリアジン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂(BT)、アルキレンビニルアセテート及びビニルクロリドコポリマー、ポリアミド及びこれらのコポリマーである。これらのポリマーの2種以上の混合物もマトリックス材料を形成して良い。
【0030】
ポリマー被覆された金属ホイルがプリント基板の製造に使用された場合、分散物のためのマトリックス材料として、熱又は照射−硬化性ポリマー、例えば、変性エポキシ樹脂、例えば、二官能性又は多官能性Bisphenol A、又はBisphenol F樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、シアネートエステル、ビニルエーテル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)、トリアジン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂(BT)、ポリイミド、メラミ樹脂及びアミノ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル及びセルロース誘導体を使用することが好ましい。更に、これらのポリマーの2種以上の混合物もマトリックス材料を形成することができる。
【0031】
マトリックス材料は、例えば、この技術分野の当業者にとって公知の架橋剤及び触媒、例えば、光開始剤、3級アミン、イミダゾール、脂肪族及び芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、無水物、BF3−MEA、フェノール樹脂、スチレン−無水マレイン酸ポリマー、ヒドロキシアクリレート、ジシアンジアミン、又はポリイソシアネートを含んでも良い。
【0032】
乾燥被覆物の合計質量で表して、有機バインダー成分の割合は、0.01〜60質量%である。この割合は、0.1〜45質量%が好ましく、0.5〜35質量%がより好ましい。
【0033】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子とマトリックス材料を含む分散物を支持ホイルに施すことができるようにするために、分散物に、溶媒又は溶媒混合物を更に加えても良い。これは、分散物を施す方法に対応する、該分散物の粘性(粘度)を適切に調整するためである。適切な溶媒は、例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素(例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アミルアルコール)、多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、アルキルエステル(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、イソプロピルアセテート、3−メチルブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、メトキシブタノール、エトキシプロパノール)、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン)、ブチルグリコール、ジブチルグリコール、アルキルグリコールアセテート(例えば、ブチルグリコールアセテート、ジブチルグリコールアセテート)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアセトンアルコール、ジグリコールジアルキルエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジオキサン、ジプロピレングリコール及びエーテル、ジエチレングリコール及びエーテル、DBE(二塩基エステル)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、エチレンクロリド、エチレングリコール、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジメチルエステル、クレゾール、ラクトン(例えば、ブチロラクトン)、ケトン(例えば、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK))、ジメチルグリコール、メチレンクロリド、メチレングリコール、メチレングリコールアセテート、メチルフェノール(オルト−、メタ−、パラ−クレゾール)、ピロリドン(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、カーボンテトラクロリド、トルエン、トリメチロールプロパン(TMP)、芳香族炭化水素及び混合物、脂肪族炭化水素及び混合物、アルコールモノテルペン(例えばテルピネオール)、水及びこれら溶媒の2種以上の混合物である。
【0034】
好ましい溶媒は、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール)、アルコキシアルコール(例えば、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、ブチルグリコール、ジブチルグリコール)、ブチロラクトン、ジグリコールエーテル、ジグリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ブチルグリコールアセテート、ジブチルグリコールアセテート、ジグリコールアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、DBE)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)、多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン)、炭化水素(例えば、シクロヘキサン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン)、DMF,N−メチル−2−ピロリドン、水、及びこれらの混合物である。
【0035】
液体マトリックス材料(例えば、液体エポキシ樹脂、アクリル酸エステル)の場合、それぞれの粘性(粘度)は、(この替わりに、)施している間に温度によって、又は溶媒と温度の組み合わせによって調節しても良い。
【0036】
分散物は、更に分散剤成分を含んでも良い。これは、1種以上の分散剤からなる。
【0037】
原則として、分散物の技術分野の当業者にとって公知であり、及び従来技術文献に記載されている全ての分散剤が適切である。好ましい分散剤は、界面活性剤、又は界面活性剤の混合物、例えば、アニオン性、カチオン性又は非イオン性界面活性剤である。
【0038】
カチオン性及びアニオン性界面活性剤は、例えば、“Encyclopedia of Polymer Science and Technology”,J.Wiley&Sons(1966),Vol.5,pp.816−818,及び“Emulsion Polymerisation and Emulsion Polymers”,P.Lovell and M.El−Asser,Wiley&Sons(1997),pp.224−226に記載されている。
【0039】
この技術分野の当業者にとって公知の(ピギメント−アフィン基を有する)ポリマーを分散剤として使用することも可能である。
【0040】
分散剤は、分散物の合計質量で表して、0.01〜50質量%の範囲で使用して良い。この割合は、0.1〜25質量%が好ましく、0.2〜10質量%が特に好ましい。
【0041】
本発明に従う分散物は、更に、充填剤成分を含んでも良い。例えば、金属化可能質量体の充填剤成分は、ファイバー、層又は粒子状の充填剤又はこれらの混合物を含んでも良い。これらは、市販されている製品、例えば無機充填剤が好ましい。
【0042】
更に、充填剤又は補強剤、例えば、ガラス粉、無機ファイバー、ウィスカー、水酸化アルミニウム、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウム、又は酸化鉄、マイカ、石英粉、炭酸カルシウム、マグネシウムシリケート(タルク)、バリウムサルフェート、二酸化チタン、又は珪石灰を使用することが可能である。
【0043】
他の添加剤を使用することも可能であり、例えば、チキソトロープ剤、例えば、シリカ、シリケート、例えば、アエロシル又はベントナイト、又は有機チキソトロープ剤及び増粘剤、例えば、ポリアクリル酸、ポリウレタン、水和キャスターオイル、染料、脂肪酸、脂肪酸アミド、可塑剤、ネットワーク剤、消泡剤、潤滑剤、乾燥剤、架橋剤、光開始剤、金属イオン封鎖剤、ワックス、顔料、導電性ポリマー粒子を使用しても良い。
【0044】
充填剤成分の割合は、乾燥した被覆物の合計質量で表して、0.01〜50質量%の範囲が好ましい。0.1〜30質量%が更に好ましく、そして0.3〜20質量%が特に好ましい。
【0045】
更に、加工助剤及び安定剤が、本発明に従う分散物の中に存在しても良く、例えば、UV安定剤、潤滑剤、防蝕剤及び火炎抑制剤(難燃剤)が存在しても良い。これらの割合は、分散物の合計質量で表して、通常、0.01〜5質量%である。
【0046】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子をマトリックス材料中に含む分散物を使用して、基礎層を支持ホイルに施した後、マトリックス材料を、少なくとも部分的に硬化及び/又は少なくとも部分的に乾燥させる。乾燥及び/又は硬化は、通常の方法によって行なわれる。例えば、マトリックス材料は、化学的に硬化されて良く、例えば、UV照射、電子照射、電波(electrowave)照射、IR照射又は温度を使用して、例えばマトリックス材料の重合、重付加、又は重縮合によって硬化されて良く、又は溶媒を蒸発させることによって純粋に化学的に硬化させることができる。物理的及び化学的手段による乾燥の組み合わせも可能である。
【0047】
平均直径が100nm未満の粒子を使用する際、層を施して乾燥させた後、追加的な温度処理を行ない、粒子を焼結(焼成)させることが好ましい。この温度処理は、通常、80〜300℃の範囲、好ましくは100〜250℃の範囲、及び特に120〜200℃の範囲で、1〜60分、好ましくは2〜30分、及び特に4〜15分行なわれる。
【0048】
一実施の形態では、少なくとも部分的な乾燥又は硬化の後、分散物中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が露出され、これにより、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な核形成部位が得られ、この上に(次の無電解的及び/又は電解的な被覆の間、)金属イオンを堆積させて金属層を形成することができる。粒子が、すでに酸化されている材料からなる場合、事前に酸化層を少なくとも部分的に除去することが必要になる場合もある。本工程が行なわれる方法に依存して、例えば、酸性電解質溶液を使用する場合、酸化層の除去が、(追加的な工程を必要とすることなく)金属化と同時に行なわれても良い。
【0049】
無電解的及び/又は電解的な被覆の前に、粒子を露出させることにより、以下の有利性が得られる。すなわち、連続的な導電性表面を得る際、粒子を露出させることによって、被覆物が含む必要のある(無電解的及び/又は電解的に被覆可能な)粒子の割合は、粒子が露出されない場合と比較して約5〜15質量%低いということである。更に、製造される被覆物の均一性と連続性に有利性(優れた特性)が存在し、及び工程の高い信頼性に有利性が存在する。
【0050】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の露出は、機械的に、例えばクラッシング、グリンディング、ミリング、サンドブラスティング、又は臨界超過状態の二酸化炭素でのスプレイングを使用して、物理的に、例えば加熱、レーザー、UV光、コロナ又はプラズマ放電を使用して、又は化学的に行って良い。化学的に露出させる場合、マトリックス材料(母材:matrix material)と調和可能な化学剤又は化学剤の混合物を使用することが好ましい。化学的に露出させる場合、マトリックス材料は、表面上で少なくとも部分的に溶解して良く、そして例えば表面上の溶媒で洗浄して良い。また、適切な試薬を使用して、マトリックス材料の化学的構造を、少なくとも部分的に崩壊させて良く、これにより無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が露出される。
【0051】
マトリックス材料を膨らませる試薬も、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させるのに適切である。膨れは、空洞を形成し、該空洞に堆積される金属イオンが電解溶液から入り込み、これにより多くの数の無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を金属化することができる。露出した無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の数が多ので、金属化の処理速度も速くなり、コスト面でも有利である。
【0052】
マトリックス材料が、例えば、エポキシ樹脂、エポキシノボラック、ポリアクリレート、ABS、スチレン−ブタジエンコポリマー又はポリエーテルの場合、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、酸化剤を使用して露出させることが好ましい。酸化剤は、マトリックス材料の結合を破壊し、これによりバインダーが溶解可能となり、そして粒子を露出させることができる。適切な酸化剤は、例えば、マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウム、マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、マンガン酸ナトリウム、過酸化水素、酸素、触媒存在下の酸素(触媒は、例えば、マンガン塩、モリブデン塩、ビスマス塩、タングステン塩、及びコバルト塩)、オゾン、五酸化バナジウム、二酸化セレニウム、多硫化物アンモニウム溶液、アンモニア又はアミン存在下の硫黄、二酸化マンガン、鉄酸カリウム、重クロム酸塩/硫黄酸、硫酸又は酢酸又は無水酢酸中のクロム酸、硝酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、ピリジニウムジクロメート、クロム酸−ピリジン錯体、無水クロム酸、酸化クロム(VI)、過ヨウ素酸、鉛テトラアセテート、キノン、メチルキノン、アントラキノン、臭素、塩素、フッ素、鉄(III)塩溶液、二硫酸塩溶液、過炭酸ナトリウム、オキソハリック酸の塩、例えば、塩素酸塩、ブロメート、又はヨウソ酸塩、ペルハリック酸の塩、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、又は過塩素酸ナトリム、過ホウ酸ナトリウム、ジクロメート、例えば、ナトリウムジクロメート、ペルオキソ硫酸、例えば、カリウムペルオキソ二硫酸、カリウムペルオキソ一硫酸、ピリジニウムクロロクロメート、ヒポハリック酸の塩、例えば、ナトリウムヒポクロリド、ジメチルスルホキシド、(親電子試薬の存在下)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、3−クロロペルベンゾエート、2,2−ジメチルプロパノール、Des−Martinペルアイオジナン、オキサリルクロリド、ウレア過酸化水素アダクト、ウレア過酸化水素、2−ヨードキシ安息香酸、カリウムペルオキソモノサルフェート、m−クロロペル過安息香酸、N−メチルモルホリン−N−オキシド、2−メチルプロプ−2−イルヒドロペルオキシド、過酢酸、ピバルデヒド、オスミウムテトラオキシド、オキソン、ルテニウム(III)及び(IV)塩、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシド存在下の酸素、トリアセトキシペルイオジネート、トリフルオロペル酢酸、トリメチルアセトアルデヒド、アンモニウムニトレートである。
【0053】
好ましくは、マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウム、マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム;マンガン酸ナトリウム、過酸化水素、N−メチルモルホリン−N−オキシド、過炭酸塩、例えば、ナトリウム又はカリウム過炭酸塩、過ホウ酸塩、例えばナトリウム又はカリウム過ホウ酸塩;過硫酸塩、例えばナトリム又はカリウム過硫酸塩;ナトリウム、カリウム及びアンモニウムペルオキソジ−及びモノサルフェート、ナトリウムヒドロクロリド、ウレア過酸化水素アダクト、オキソハリック酸の塩、例えば、塩素酸塩、ブロメート、又はヨウソ酸塩、ペルハリック酸の塩、例えば、過ヨウ素酸ナトリウム、又は過塩素酸ナトリム、テトラブチルアンンモニウムペルオキシジサルフェート、キノン、鉄(III)塩溶液、五酸化バナジウム、ピリジニウムジクロメート、塩酸、臭素、塩素、重クロム酸塩である。
【0054】
特に好ましいものは、過マンガン酸カリウム、マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、マンガン酸ナトリウム、過酸化水素、及びそのアダクト(付加化合物)、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過酸化二硫酸塩、ナトリウムピポクロリド、又は過塩素酸塩である。
【0055】
マトリックス材料(該マトリックス材料は、例えばエステル構造、例えばポリエステル樹脂、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルウレタンを含む)中の無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させるために、例えば、酸性又はアルカリ性化学物質及び/又は化学物質混合物を使用することが好ましい。好ましい酸性化学物質及び/又は化学物質混合物は、例えば、濃縮又は希釈した酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸及び/又は硝酸である。マトリックス材料に依存して、有機酸、例えばギ酸又は酢酸も適切であって良い。適切なアルカリ性化学物質及び/又は化学物質混合物は、例えば、塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、又は炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、又は炭酸カリウムである。
【0056】
露出工程を改良するために、任意に処理(工程)中の温度を上昇させても良い。
【0057】
マトリックス材料中の無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させるために、溶媒を使用しても良い。
【0058】
マトリックス材料を溶媒中で溶解させるか、又は溶媒によって膨らませる必要があるので、溶媒をマトリックス材料に施す必要がある。マトリックス材料が溶解する溶媒を使用する場合、基礎層と溶媒が接触する時間は短く、該接触によりマトリックス材料の上部層が溶媒和し、そしてこれにより溶解する。好ましい溶媒は、キシレン、トルエン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルである。溶解特性を改良するために、任意に溶解工程の間の温度を上昇させても良い。
【0059】
更に、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を、機械的な手段を使用して露出させても良い。適切な機械的手段は、例えば、クラッシング、グリンディング、研磨剤での研磨又はウォータージェットでの圧力スプレイング、サンドブラスティング、又は臨界超過状態の二酸化炭素でのスプレイングである。硬化した基礎層の頂部層は、それぞれこのような機械的手段によって除去される。マトリックス材料中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、これにより露出される。
【0060】
この技術分野で公知の全ての研磨剤を研磨用の研磨剤として使用して良い。適切な研磨剤は、例えば、軽石粉である。硬化した分散物を、圧力ブラスティングで除去するために、ウォータージェットは、小さな固体粒子、例えば、平均粒子径の分布が、40〜120μm、好ましくは60〜80μm軽石粉(Al23)及び粒径が>3μmの石英粉(SiO2)を含むことが好ましい。
【0061】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が、容易に酸化する材料を含む場合、好ましい変形例では、構造化された、又は平面状の基礎層上に金属層が形成される前に、酸化物層が少なくとも部分的に除去される。この場合、酸化物層は、例えば化学的及び/又は機械的に除去されて良い。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子から酸化物層を除去するために、基礎層を処理できる適切な物質は、例えば、酸、例えば濃縮又は希釈された硫酸、又は濃縮又は希釈された塩酸、クエン酸、リン酸、アミド硫酸、酢酸である。
【0062】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子から酸化物層を除去するための適切な機械的方法は、通常、粒子を露出させるための機械的方法と同一である。
【0063】
分散物を、通常の、そして広く知られた方法で、基礎層に施すことが好ましい。このような被覆方法は、例えば、キャスティング、ペインティング、ドクターブレード、スプレイング、浸漬、ローラー被覆、パウダリング及びこれらに類似するものである。この代わりに、印刷法を使用して、支持ホイル上に基礎層を印刷することも可能である。基礎層を印刷する印刷法は、例えば、ロール又はシート印刷法、例えば、スクリーン印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、活版印刷、パッド印刷、インクジェット印刷、例えばDE−A10051850に記載されているLasersonic(登録商標)法、オフセット印刷、又はマグネットグラフ印刷法である。しかしながら、この技術分野の当業者にとって公知の他の如何なる印刷法も使用して良い。被覆法又は印刷によって製造された基礎層の層厚は、好ましくは、0.01〜50μmの範囲で変化し、より好ましくは0.05〜25μmの範囲、及び特に好ましくは0.1〜15μmの範囲で変化する。層は、平面状又は構造状に施して良い。複数の層を連続的(相次いで)施しても良い。
【0064】
印刷法に依存して、異なる微細構造を直接的に印刷することができる。
【0065】
分散物は、支持ホイルに施す前に、貯蔵容器内で攪拌又はポンプ循環させることが好ましい。攪拌及び/又はポンプ流動(pumping)は、分散物中に存在する粒子の発生し得る沈殿を防止する。更に、分散物を、貯蔵容器内で温度管理することが同様に有利である。これにより、支持ホイル上への基礎層の印刷の効果が改良される。この理由は、温度管理により、所定の粘度に調節できるからである。
【0066】
例えば、分散物が、(攪拌及び/又はポンプ流動の場合には)攪拌又はポンプのエネルギー投入により加熱され、及び従ってその粘度が変化する場合、温度管理が必要である。分散物を構造的に施す場合、及びレイアウトを頻繁に変える場合には、柔軟性を増すために、及びコスト的な理由で、デジタル印刷法、例えばインクジェット印刷、又はレーザー法、例えばLaserSonic(登録商標)が特に適切である。これらの方法は、通常、構造的な塗布(施すこと)を形成するための費用、及びレイアウト(例えば、印刷ローラー、又はスクリーン)を頻繁に変える場合、及び複数の異なる構造を相次いで印刷する必要のある場合の費用を取り除く。デジタル印刷法では、再装備時間を必要とすることなく及び停止させることなく、新しいデザインに即座に切り替えることができる。構造的な印刷が同じレイアウトで連続的に行われる場合、通常の印刷方法、例えば、インタリオ、フレキソグラフ、スクリーン印刷、又はマグネットグラフィック印刷法が好ましい。
【0067】
インクジェット法で分散物を施す場合、インクジェットノズルの閉塞を防止するために、最大径が10μm、特に好ましくは<5μmの無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を使用することが好ましい。インクジェットヘッド内での沈殿を避けるために、ポンプ循環回路を使用して、分散物をポンプで循環させ、粒子の沈殿を防止することができる。印刷の目的で、分散物の粘度を調節するために、システムを加熱することがより有利である。
【0068】
施された、及び任意に、少なくとも部分的に乾燥した及び/又は少なくとも部分的に硬化した分散物が、更なる工程で、無電解的及び/又は電解的に被覆される。
【0069】
この場合、無電解的及び/又は電解的な被覆は、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる方法を使用して行っても良い。更に、如何なる通常の金属被覆物も施されて良い。この場合、被覆に使用される電解質溶液の組成は、基礎層に施される金属に依存する。無電解的及び/又は電解的な被覆によって、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な表面に堆積される、通常の金属は、例えば、金、ニッケル、パラジウム、白金、銀、スズ、銅、又はクロムである。1層以上の沈殿層の厚さは、この技術分野の当業者にとって公知の範囲である。無電解的な被覆の場合、分散物の、程度が最も低い貴金属よりも貴な全ての金属を使用して良い。
【0070】
導電性構造物を被覆するために使用される、適切な電解質溶液は、この技術分野の当業者にとって公知のもの、例えば、Werner Jilek, Gustl keller,Handbuch der Leiterplattentechnik [Handbook of printed circuit technology],Eugen G.Leuze Verlag,2003,volume 4,pages 332−352から公知のものである。
【0071】
例えば、電解的な被覆の場合、金属層を製造するために、通常、第1に、分散物で被覆された支持ホイルが、電解質溶液に送られる。次に支持ホイルは、バーを通って送られ、前に施された基礎層中に含まれる無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が少なくとも1個のカソードと接触する。ここで、この技術分野の当業者にとって公知の、適切な如何なるカソードも使用して良い。カソードが基礎層と接触する間、金属イオンが電解質溶液から沈殿(堆積)し、基礎層上に金属層を形成する。
【0072】
金属層が施された基礎層をプリント基盤支持体に施せるようにするために、例えば、ポリマーが最終的に金属層に施される。ポリマーは、この技術分野の当業者にとって公知の(施すための)如何なる方法によってでも施される。施しを行う適切な方法は、例えば、塗装、スプレイング、ドクターブレード、キャスティング、ローラーアプリケーション、浸漬、押し出し又は印刷である。
【0073】
ポリマーは、金属ホイルをプリント基盤支持体に確実に粘着結合(adhesive bonding)させる役割を有する。
【0074】
ポリマーを金属層に施した後、ポリマーを少なくとも部分的に乾燥及び/又は硬化させることができる。ここで、乾燥及び/又は硬化は、マトリックス材料について上述した方法と同じ方法で行われる。
【0075】
支持ホイルを、金属層及びこの表面に施されるポリマーで積層するために、ポリマーを硬化させる場合には、ポリマーが(残留する)流動性を保持していることが好ましい。この理由のために、部分的な硬化が、ポリマーの重合が完了しないように行われる。
【0076】
金属層に施される好ましいポリマーは、アクリレート、アクリレート樹脂、セルロース誘導体、メタクリレート、メタクリレート樹脂、メラミン及びアミノ樹脂、ポリアルキレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性Bisphenol A又はBisphenol F樹脂、エポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、ビニルエーテル、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアセテート、及び対応するコポリマー、ポリスチレン、ポリスチレンコポリマー、ポリスチレンアクリレート、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、アルキレンビニルアセテート及びビニルクロリドコポリマー、ポリアミド及びそのコポリマー、フェノキシ樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT)、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)及びフルオロ樹脂である。これらポリマーの2種以上の混合物を使用することも可能である。
【0077】
ポリマー被覆した金属ホイルが、プリント基盤の製造に使用された場合、使用されるポリマーは、熱硬化又は照射硬化性のポリマーが好ましく、例えば、変性エポキシ樹脂、例えば二官能性又は多官能性Bisphenol A樹脂、又は官能性又は多官能性BisphenolF樹脂、又はエポキシ−ノボラック樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、シアネートエステル、ビニルエーテル、フェノール樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、及びアミノ樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、及びセルロース誘導体が好ましい。これらポリマーの2種以上の混合物を使用することも可能である。更にポリマーは、マトリックス材料について上述した追加物を含むことも可能であり、例えば、溶媒、添加剤、例えば、粘着促進剤、架橋剤及び触媒、例えば、光開始剤、第3級アミン、イミダゾール、脂肪族及び芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、無水物、BF3−MEA、フェノール樹脂、スチレン−メレイン無水ポリマー、ヒロドキシアクリレート、ジシアノジアミン、又はポリイソシアネート、及び難燃剤及び充填剤、例えば、無機タイプの充填剤、例えば、フィロシリケート、アルミニウムオキシド、マグネシウムシリケート(タルク)又はガラスを適量に含むこともできる。
【0078】
金属層に施されたポリマー層の付着(粘着)を改良するために、必要な場合には、ポリマーを施す前に、金属層に追加的な付着層(粘着層)を施すことができる。この追加的な層は、この技術分野の当業者にとって公知の方法で施すことができる。使用する付着促進剤は、例えば、NaClO2/NaOHに基くブラックオキシド又はブラウンオキシドとして公知のものが可であり、又、市販されている付着促進剤、例えば、H2SO4/H22に基くものが可能であり、又はシランが可能であり、又は他に、ポリエチレンイミン溶液、例えばBASF AGからのLupasol gradesが可能である。
【0079】
金属層に施されるポリマーは、このように製造された金属ホイルの、例えば支持体への積層(ラミネーション)を容易にする。これは、片側又は両側に行うことができる。
【0080】
本発明に従えば、ホイルは、例えば、プリント基板の製造に使用される。この目的のために、金属層及びこれに施されたポリマーを有する支持ホイルが、支持体に積層される。この目的のために、ポリマーが被覆された金属ホイルのポリマー側が、例えば、導体路(コンダクタートラック)が設けられた、構造化された内側層(inner ply)に施される。又は、上記ポリマー側が、例えば、交互に重ねあわされて配置された状態の、導体路が設けられた内側層とプリプレグから構成される積層体(スタック)(サブコンポジット)に施される。このように複数に重なったプリント基板は、この技術分野の当業者にとって公知の方法で製造することができる。必要な場合、これらのポリマー被覆された金属ホイルを、複数、相次いで施すことも可能であり、そして、被覆された金属ホイルを施した後、この技術分野では公知の方法で、金属層が導体道で構造化され、そして、次のポリマー被覆された金属ホイルが施される前に、更に加工(処理)されることができる。導体路構造体のベースとして薄い銅層を使用する場合、通常の導体路の構造化法と比較して、以下の有利性が得られる。すなわち、使用する特定層(user-specific layer)への無電解的及び/又は電解的に(フォトレジスト銅化法を使用して、)被覆(通常、12〜35μm)した後、バックエッチされる薄い層のみが残るという有利性を有している。事前に形成された導体路構造物は、バックエッチ工程に付随してバックエッチ(back-etch)されるので、銅の薄い基礎層は、(非常に微細な導体技術において)構造の分解能とって、非常に有利である。更に、廃棄物中の銅の量は少なくなる。この理由は、バックエッチされる銅層が、相対的に薄いからである。
【0081】
支持体は、通常、非導電性材料である。しかしながら、1層以上の構造化された金属層を、事前に、非導電性材料に施すことも可能である。個々の金属層(metallic layer)は、例えば、導体路として作用する。金属層の間に、それぞれ、ポリマー層が存在する。個々の金属層は、例えば、ポリマー被覆された金属ホイルを施すことによって製造することができる。
【0082】
支持体の非導電性基礎材料は、大半は、事前に完全に硬化された材料である。金属層に施され、及びまだ硬化されていないポリマーに起因して、金属層の、支持体の(たいていは)完全に硬化されたプラスチック材料への結合を良好にすることができる。
【0083】
ポリマー被覆された金属ホイルを、支持体の一方側へ施すことの他に、ポリマー被覆された金属ホイルを、支持体の両側に施すことも可能である。この場合、本発明に従い製造された、ポリマー被覆された金属ホイルが、支持体の上側と下側の両側に積層(ラミネート)される。
【0084】
ポリマー被覆された金属ホイルを支持体に施した後、この「サブコンポジット」は、通常、温度を上げた状態でプレスされる。この温度は、120〜250℃の範囲であることが好ましい。
【0085】
サブコンポジットを加圧する圧力は、0.1〜100バールの範囲が好ましく、5〜40バールの範囲が特に好ましい。1面以上に金属被覆で積層体を形成するための硬化の継続時間は、通常、1〜360分の範囲であり、15〜220分の範囲が好ましく、そして30〜90分の範囲が特に好ましい。
【0086】
支持体のための適切な基礎材料は、例えば、補強された、又は補強されていないポリマー、例えば、プリント基板のために通常使用されるポリマーであって良い。適切なポリマーは、例えば、二官能性、又は多官能性のBisphenol A又はBisphenol Bに基くエポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、エポキシ−ノボラック、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド、フェノール樹脂、シアネートエステル、メラミン樹脂、又はアミノ樹脂、フェノキシ樹脂、アリル化ポリフェニレンエーテル(APPE)、ポリスルホン、ポリアミド、シリコーン及びフッ素樹脂及びこれらの組み合わせである。支持体のための材料は、例えば、更に、この技術分野の当業者にとって公知の添加剤、例えば、架橋剤及び触媒、例えば、第3級アミン、イミダゾール、脂肪族及び芳香族ポリアミン、ポリアミドアミン、無水物、BF3−MEA、フェノール樹脂又はジシアンジアミド、及び難燃剤及び充填剤、たとえば、天然の無機充填剤、例えばフィロシリケート、酸化アルミニウム、又はガラスを含んでも良い。
【0087】
更に、プリント基板工業では通常のものであるポリマーも適切である。ここで、支持体は、硬質又は柔軟性であって良い。
【0088】
電気的なプリント基板のために、補強した支持体を使用することが好ましい。補強のために適切な充填剤は、例えば、紙、ガラス、ファイバー、ガラス不織布、ガラスファブリック、アラミドファイバー、アラミド不織布、アラミドファブリック、PTFEファブリック、PTFEホイルシートである。支持体のための基礎材料は、ガラスファイバー補強材料が好ましい。
【0089】
製造する金属被覆積層体の厚さに依存して、これは、硬質又は柔軟性であって良い。
【0090】
複数の金属被覆積層体を同時に製造可能とするために、好ましい実施の形態では、支持ホイル(該支持ホイルには、金属層が施されている)及びポリマー及び支持体から構成される複数の層(プライ)が交互に重ねられる。ここで、両面に金属層が設けられた積層体が製造される場合、常に注意が必要である。この理由は、それぞれ、ポリマーが施され、及び金属層が設けられた支持ホイルが、ポリマーを使用して、支持体の上側と下側に設けられるからである。例えば、分離シートを2枚の支持ホイルの間に挿入することも可能である。例えば、支持体に施された金属層を構成する場合、このことが好ましい。
【0091】
分離シートは、鋼(スチール)から作成することが好ましい。
【0092】
両面が被覆された積層体の他に、金属層が片側にだけ設けられた積層体を製造することも可能である。金属層が片側にだけ設けられた積層体を複数製造する場合、通常では、基礎層を有する支持ホイル及び金属層及びその上に設けられるポリマー及び支持体が交互に積層される。ここで、支持ホイル上のポリマーは、常に同一の方向(すなわち次の支持体の方向)に向いている。この場合でも、支持体と(次の支持体に積層される)支持ホイルの間に、分離シートを挿入することが好ましい。片面金属被覆積層体の場合、金属層を構造化することも可能である。
【0093】
金属被覆された積層体を製造するために、支持ホイルと支持体から構成される積層体(スタック)がプレスされる。この目的のために、例えば、スタックが、水力プレス機の開口部(加熱板と加圧板の間)に挿入され、そして積層体の通常の製造についての技術分野における当業者にとって公知のプレスシーケンスに従って、更に加工(処理)される。
【0094】
プレスは、圧力が0.1〜100バールの範囲、好ましくは5〜40バールの範囲で、通常の方法で行われる。温度を上げて硬化される支持体のための基礎材料を使用する場合、加圧は昇温させて行うことが好ましい。選択される温度は、使用する材料に依存する。この温度は、100〜300℃の範囲が好ましく、120〜300℃の範囲が特に好ましい。例えば、スタンダードFR4エポキシ樹脂系は、175〜180℃の範囲で加圧される。より高度に架橋された系(system)は、225℃以下の温度が必要になる。このような支持体用の基礎材料のために加圧力は、15〜30バールの範囲から選択されることが好ましい。
【0095】
プレスの間、支持体用の成形可能な基礎材料を、少なくとも部分的に硬化させることが好ましい。このように、更なる処理が可能な金属被覆積層体が、プレスの後に形成される。
【0096】
支持体の厚さは、支持体用の基礎材料の量、そのポリマー含有量、及びプレス圧力によって設定される。このように製造される金属被覆した積層体の表面品質は、通常、支持ホイルとプリント基板支持体との間に配置された分離シートの表面状態に対応する。
【0097】
基礎層を有する支持ホイル、金属層及びポリマー層を支持体上に積層した後、支持ホイルが基礎層から除去される。金属層が基礎層に施され、しかしながら、任意に、分散物は完全に変ってはいないので、支持ホイルが除去された後、積層体の上側は、基礎層(該基礎層は、少なくとも部分的に、マトリックス材料に無電解的及び/又は電解的に被覆粒子を含んでも良い)を有することが可能である。ポリマー被覆された金属ホイルのポリマー被覆側は、支持体に面する。一実施の形態では、支持体上に、連続的な導電性層を形成するために、支持ホイルを除去した後、更なる工程で、支持ホイルによって被覆された基礎層の側に、更なる金属層を、無電解的及び/又は電解的に設けることが好ましい。これは、この技術分野の当業者にとって公知の方法で行われる。金属の、無電解的及び/又は電解的な堆積の前に、基礎層中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、支持ホイルを除去した後、所望により、少なくとも部分的に露出される。この場合、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、(支持ホイル上に施される分散物の、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の露出について上述したように)露出される。
【0098】
事前に支持ホイルで被覆されている基礎層の側へ、金属を、無電解的及び/又は電解的に堆積させることによって、連続的な導電性金属層が製造される。ここで、金属は、支持体の方向に向いている金属層の金属と同一であることが好ましい。
【0099】
他の実施の形態では、基礎層の、場合により残っている部分が除去される。この目的のために、基礎層に、(無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させることについて)上述したものに相当する処理が行われる。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の露出と同様に、基礎層の除去は、化学的又は機械的に行っても良い。処理は、基礎層が完全に除去されるまで行うことができる。このようにして、層中に含まれている、なお残留している無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子も除去される。無電解的及び/又は電解的に施された金属で形成された、純粋な金属層が残る。
【0100】
成形可能な、非導電性材料のプレスと硬化の後、及びポリマーが被覆された金属ホイルの積層の後、このような(金属被覆された)積層体が、好ましくは、更に処理される。例えば、金属被覆した積層体を所定のサイズにカットすることが可能である。この目的のために、個々の層を、予め設定されたサイズに切断しても良い。
【0101】
導電性構造体は、施された金属層から製造することが好ましい。通常、導電性構造体は、この技術分野の当業者にとって公知の方法で製造される。適切な方法は、例えば、プラズマエッチング、フォトレジスト法、又はレーザー融除法である。更に、この構造化の後に、例えば、(レーザーボーリングを使用して、)ブラインドホール、ミクロビアス等を設けることも可能である。
【0102】
柔軟性支持体を使用する場合、本発明の方法を連続的に行うことも可能である。これは、例えば、roll−to−roll法で行われる。roll−to−roll法では、例えば、支持体が、フィードロールから巻き解かれ、少なくとも1つの加工工程を通り、そして次に別のロールに巻き取られる。
【0103】
以下に、図面を使用して、実施の形態によって、本発明を詳細に説明する。
図1は、分散物を施す構成と、次の金属化工程を示した図である。
図2は、ポリマーを金属層に施す構成を示した図である。
図3は、ポリマー被覆された金属ホイルを、プリント基板支持体に積層することによって施す構成を示した図である。
図4は、積層工程の後、積層体の金属化を行う構成を示した図である。
【0104】
図1は、支持ホイルに基礎層を施す構成と、次の基礎層の金属化を行う構成を示している。
【0105】
「連続」ホイルを製造するために、支持ホイル3がフィード1から巻き解かれる。支持ホイル3は、例えば、ポリマーホイル又は金属ホイルである。
【0106】
分散物5が、支持ホイル3に施される。分散物5は、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子をマトリックス材料中に含んでいる。分散物5を支持ホイル3に施すことにより、基礎層7が形成される。基礎層7から、後に支持ホイル3を容易に除去できるように、支持ホイル3が有する上側面9は、基礎層7に付着(粘着)しない。これは、上側面9を離型剤で被覆することによってなされる。この代わりに、支持ホイル3を、基礎層7に僅かにしか付着しないか、又は全く付着しない材料で製造することもできる。
【0107】
この技術分野の当業者にとっては通常の被覆法が、分散物5を構造的又は平面状(full-surface)に施して、基礎層7を形成するために使用される。例えば、この技術分野の当業者にとって公知の被覆法又は印刷法が、この目的のために適切である。分散物5は、例えば、キャスティング、印刷、ドクターブレード、スプレイング、浸漬、ローラー被覆、又はこれらに類似するものによって施すことができる。この代わりに、所望の何れかの印刷法を使用した印刷によって、基礎層7を支持体に施すことも可能である。
【0108】
分散物5を施して基礎層7を支持ホイル3上に形成した後、分散物5中に存在するマトリックス材料が、少なくとも部分的に硬化される。これは、例えば、IR源を使用して照射することによって行われる。この代わりに、分散物5のマトリックス材料を、電子照射、エレクトロウェーブ照射、UV照射によって、又は温度を上げて、少なくとも部分的に硬化させることができる。更に、溶媒を蒸発させることによって、分散物5の純粋な物理的乾燥を行なうことも可能である。物理的乾燥と化学的乾燥を組み合わせることも可能である。
【0109】
基礎層7を、少なくとも部分的に乾燥、及び/又は少なくとも部分的に硬化させた後、基礎層7中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を、少なくとも部分的に露出させることができる。このことは、例えば、過マンガン酸カリウムで洗浄することにより行われる。この代わりに、上述した他の酸化剤又は溶媒を、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させるために使用することも、当然可能である。露出は、例えば、基礎層7を、酸化剤、例えば過マンガン酸カリウムでスプレー(吹きつけ)することによって行われる。無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子の露出は、活性化領域13(概略的にのみ示す)で行われる。露出の次に、洗浄工程が行われる。これは、例えば、残留する酸化剤又は溶媒を、基礎層7で被覆された支持ホイル3から除去するために行われる。これは洗浄領域15(同様に、概略的にのみ示す)で行われる。洗浄領域15で使用される洗浄剤は、例えば、酸性の過酸化水素水溶液又は酸性のヒドロキシルアミンニトレート溶液であって良い。
【0110】
洗浄領域15で洗浄した後、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が露出した基礎層7が、無電解的及び/又は電解的に、金属層19で被覆される。これは、被覆領域17で行われる。この場合、無電解的及び/又は電解的な被覆は、この技術分野の当業者にとって公知の何れかの方法によって行って良い。通常、被覆領域17の次に第2の洗浄領域21が設けられる。第2の洗浄領域21では、金属層19から、電解質の残留物が洗浄除去される。
【0111】
図1に示すように、無電解的及び/又は電解的被覆のための電解質溶液は、通常では、スプレーされることはなく、むしろ基礎層7で被覆された支持ホイル3は、電解質溶液に浸漬される。しかしながら、基礎層7を無電解的及び/又は電解的に被覆する、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる他の方法も適切である。基礎層7中の無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、酸化剤又は溶液中に浸漬させることによって露出させて良い。支持ホイル3にスプレーするだけでなく、洗浄溶液に浸漬させることによっても洗浄を行うことができる。この技術分野の当業者にとって公知の如何なる他の方法も、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を基礎層7から露出させるために、及び基礎層7で被覆された支持ホイル3を洗浄するために使用して良い。
【0112】
金属層19を基礎層7に施した後、例えば、基礎層7と金属層19を有する支持ホイル3をロールに巻き取ることができる。しかしながら、基礎層7と金属層19を有する支持ホイル3を直接的に更なる処理工程に導入することも可能である。
【0113】
図2は、ポリマーを、基礎層7と金属層19が設けられた支持ホイル3に施している状態を示している。
【0114】
ポリマー23が、金属層19に施される。ポリマー23は、例えば、分散物5を施すためのものとして、この技術分野の当業者にとって公知の、所望の如何なる被覆手段又は印刷手段によってでも施される。適切な被覆手段の例は、キャスティング、印刷、ドクターブレード、スプレイング、浸漬、ローラー被覆及びこれらに類似するものである。
【0115】
ポリマー23は、必要な場合には、溶媒、充填剤、及び添加剤、例えば、硬化剤又は触媒である、上述した材料を含み、そして金属層19に、ポリマー層25の状態で施される。ポリマー層25を施した後、例えば、これを少なくとも部分的に硬化させることができる。これは例えば、IR源を使用した照射によって行われる。この代わりに、ポリマー23は、電子照射、UV照射によって、又は昇温によって少なくとも部分的に硬化させることもできる。更に、溶媒を蒸発させることによって、ポリマー23を純粋に物理的に乾燥させることも可能である。
【0116】
図3は、ポリマー層25、金属層19及び基礎層7で被覆された支持ホイル3を、積層(ラミネーション)によって支持体29に施す状態を示している。支持体29は、例えば、複数重なったプリント基板用の内側層(inner ply)であり、そして、ここで示す実施の形態では、基礎支持体28、例えば、(例えば、FR−4材料からなる)ガラスファイバー補強エポキシ樹脂支持体を含んでおり、これに導電路構造30が施されている。
【0117】
その下側と上側に金属層を有する支持体29を設けるために、ポリマー層25、金属層19及び基礎層7で被覆された支持ホイル3が配置され、支持体29の上側と下側は、ポリマー層25が支持体29に向いている(面している)。得られたスタックは、プレスの上側ラム31と下側ラム33の間でプレスされる。適切なプレスの例は、水力プレスである。矢印35は、圧力を表している。基礎支持体28は、成形可能な非導電性材料が可能である。支持体28の材料が成形可能(moldable)な場合、これは、完全には硬化していない状態のプラスチックシートで構成されることが好ましい。これらは、例えば、プレス工程の間、温度を上げて硬化される。この目的のために、例えば、プレスの上側ラム31又は下側ラム33、又は2つのラム31と33が加熱可能である。
【0118】
その上側と下側が被覆され、図3に示した金属被覆積層体を得るプリント基板支持体29を一つだけ製造する他に、複数の支持体29(各支持体29は、その上側と下側に、ポリマー層25、金属層19及び基礎層7が施されている)を積み重ねることもできる。分離シートは、個々の印刷基板支持体29(これに基礎層7、金属層19及びポリマー層25を有する支持ホイル3が施されている)の間に挿入することができる。分離シートは、例えば、プリント基板支持体へのプレス処理による積層化によって施された金属層19を構造化するために、意図的な表面構造を有することができる。
【0119】
図3に例示した工程は、連続roll−to−roll法で行うこともできる。この目的のために、ポリマー層25、金属層19及び基礎層7が設けられた1層以上の支持ホイル3が、支持体29(ここでは、支持体29は、例えば、同様に連続ホイルから製造される)と一緒に、加熱された2個のロールの間に通される。プレス工程用の圧力は、同様に、ロールによって与えられる。少なくとも部分的な硬化は、例えば、下流側硬化領域で行うこともできる。製造された中間生成物は、更に、連続的にも、非連続的(バッチ式)にも処理することができる。
【0120】
金属被覆された積層体を製造するために、支持ホイル3は第1に基礎層7から除去され、この工程の後、積層工程が続く。この状態を図4に示す。
【0121】
支持ホイル3を除去した後、プリント基板支持体29の表面には、(無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子がその中に存在するマトリックス材料からなる)基礎層7の残留部分が存在する場合がある。導電性の金属被覆を連続的に製造するために、支持ホイル3を除した後、基礎層7に金属層37を設ける必要がある。金属層37は、無電解的及び/又は電解的な被覆によって形成することが好ましい。無電解的及び/又は電解的な被覆を行うことによって、基礎層7からの無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子は、被覆材料に変わる。連続的な金属層37がポリマー層25の上に形成される。
【0122】
基礎層7の残留部分を被覆可能とするために、基礎層7中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子が、第1に、露出される。これは、通常、第2の活性化領域39で行われる。上述のように、この場合の露出は、例えば酸化剤又は溶媒で処理することによって行われる。適切な溶媒及び酸化剤については、同様に上述した。この代わりに、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を物理的に、又は機械的に露出させることも可能である。露出を化学的に行う場合、活性化剤、例えば、酸化剤又は溶媒を、スプレイング(吹きつけ)によって、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層7と接触させることができる。この代わりに、積層されたポリマー層25、金属層19及び基礎層7を有するプリント基板支持体29を、活性化剤に浸漬させることも可能である。
【0123】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を露出させた後、溶媒又は酸化剤の残留物を、基礎層7から洗浄除去することが好ましい。このことは、例えば、第3の洗浄領域41で行われ、洗浄領域41は、洗浄領域15と同じ洗浄剤を含むことが好ましい。洗浄のために、ポリマー層25、金属層19及び基礎層7を有する支持体29は、例えば洗浄剤、例えば水でスプレーしても良い。この代わりに、例えば、層25、19及び7が施された支持体29を浸漬させることも可能である。
【0124】
第3の洗浄領域41の次に、第2の被覆領域43が続き、被覆領域43では、無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層7が、金属層37で、無電解的及び/又は電解的に被覆される。この場合、無電解的及び/又は電解的な被覆は、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる方法によってでも行って良い。通常、無電解的及び/又は電解的な被覆は、上述のように行われる。
【0125】
無電解的及び/又は電解的な被覆の後、金属層37及びポリマー層25で被覆された支持体29から、電解質溶液の残留物を除去するために、無電解的及び/又は電解的な被覆の後、層25、37を有する支持体29を、第4の洗浄領域45で洗浄することが好ましい。通常、洗浄は、水で行われる。
【0126】
無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層7が十分に薄い場合、基礎層7中に存在する無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子を、無電解的及び/又は電解的な被覆により、電解質溶液から金属イオンで埋め合わせる(置換する)ことができる。この場合、連続的な金属層37が、プリント基板支持体29に結合したポリマー層25上に施される。
【0127】
本発明に従う方法によって製造された金属層37は、通常、厚さが20μm未満、好ましくは10μm未満、及び特に好ましくは5μm未満である。
【0128】
金属層が施された後、このように製造された(ポリマー層25及び金属層37を有する支持体29を含む)金属被覆積層体を、更に加工(処理)しても良い。このことは、例えば、プリント基板用の通常の処理方法、例えばこの技術分野の当業者にとって公知の方法で、上述のように行われる。
【0129】
本発明に従うポリマー被覆された金属ホイルを、例えばプリント基板を製造するために使用して良い。このようなプリント基板は、例えば、複数層−内側層−及び外側層を有する、マイクロビアス(micro-vias)、チップオンボード、柔軟性及び硬質プリント基板で、例えば、コンピューター、電話、テレビ、及び自動車、キーボード、ラジオ、ビデオ、CD、CD−ROM及びDVDプレーヤー、ゲームコンソル、測定及び規制装置、センサー、電気キッチン装置、電気玩具の電気部品等に導入されるものである。
【0130】
本発明に従うポリマー被覆された金属ホイルは、更に、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ、又は他のアンテナ構造物、ICカードモジュール、フラットケーブル、シートヒーター、ホイルコンダクター、太陽電池又はLDC/プラズマスクリーンの導電路、キャパシター、ホイルキャパシター、レジスター、コンバーター、電気のヒューズを製造するのに使用され、又は所定の形態、例えば一方側又は両側が規定された層厚さで覆われたポリマー支持体、3Dモールドされた相互接続装置における、電解的に被覆された製品を製造するのに使用され、又は例えば、電磁放射を遮断するため、熱伝導のため、又は包装として製品に装飾表面又は機能表面を製造するのに使用されて良い。更に、燃料電池に適用するために、バイポーラー板の流れの場(flow field)関係に使用することも可能である。更に、支持体、例えば、自動車分野、衛生分野、玩具分野、ハウスホールド分野、及び事務分野の装飾部分及び包装及びホイルの後の装飾的な金属化のための、平面状(surface-wide)又は構造化導電層を製造するために使用することも可能である。更に、薄い金属ホイル又は片側又は両側が覆われたポリマー支持体を製造することも可能である。ポリマー被覆された金属ホイルは、熱伝導性が良好であることが有利な分野、例えば、ホイル又はシートヒーター、フロアヒーター、及び絶縁材料に使用しても良い。
【0131】
本発明に従うポリマー被覆された金属ホイルは、プリント基板、RFIDアンテナ、トランスポンダーアンテナ、シートヒーター、フラットケーブル、無接触ICカード、薄い金属ホイル、又は片側又は両側が被覆されたポリマー支持体、ホイル導電体、太陽電池又はLCD/プラズマスクリーンに使用される導電路を製造するのに、又は装飾品、例えば、包装材料を製造するのに使用することが特に好ましい。
【符号の説明】
【0132】
1 保管
3 支持ホイル
5 分散物
7 基礎層
9 頂部
11 IR源
13 活性化領域
15 洗浄領域
17 被覆領域
19 金属層
21 第2の洗浄領域
23 ポリマー
25 ポリマー層
27 IR源
28 基礎支持体
29 支持体
30 導電路構造物
31 上側ダイ
33 下側ダイ
37 金属層
39 第2の活性化領域
41 第3の洗浄領域
43 第2の被覆領域
45 第4の洗浄領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー被覆金属ホイルを製造する方法であって、以下の工程、
(a)無電解的及び/又は電解的に被覆可能な粒子をマトリックス材料中に含む分散物(5)を使用して、基礎層(7)を支持ホイル(3)に施す工程、
(b)マトリック材料を、少なくとも部分的に乾燥及び/又は少なくとも部分的に硬化させる工程、
(c)無電解的又は電解的に被覆可能な粒子を含む基礎層(7)を、無電解的及び/又は電解的に被覆することにより、基礎層(7)の上に金属層(19)を形成する工程、
(d)ポリマー(23)を金属層(19)に施す工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
支持ホイル(3)が、表面(9)を有し、表面(9)は、基礎層(7)に弱く付着する物質からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
支持ホイル(3)が、離型剤で被覆されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
支持ホイル(3)が、基礎層(7)に弱く付着する材料から作成されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
金属層(19)が施された支持ホイル(3)が、支持体(29)に積層されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
積層工程の後の更なる工程で、支持ホイル(3)が金属層(19)から除去され、金属層(19)は、任意に基礎層(7)の残留物を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
支持ホイル(3)を除去した後、予め支持ホイル(3)によって被覆された、基礎層(7)の残留部分の側に、金属層(37)が、無電解的又は電解的に施されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
支持ホイル(3)を除去した後、基礎層(7)の残留部分が、化学的又は機械的に除去されることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
基礎層(7)中に存在する無電解的又は電解的に被覆可能な粒子が、少なくとも部分的に露出され、該露出は、工程(c)で金属層(19)が形成される前、及び/又は金属層(37)が事前に支持ホイル(3)によって被覆された基礎層(7)の側に形成される前に行なわれることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
無電解的又は電解的に被覆可能な粒子の露出が、化学的、物理的又は機械的に行なわれることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
無電解的又は電解的に被覆可能な粒子の露出が、酸化剤を使用して行なわれることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化剤が、過マンガン酸カリウム、マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、マンガン酸ナトリウム、過酸化水素、又はその付加化合物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過酸化二硫酸塩、ナトリウムヒポクロリド、又は過塩素酸塩であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
無電解的又は電解的に被覆可能な粒子の露出が、マトリックス材料を溶解、エッチング、及び/又は膨らませることができる物質の作用により行なわれることを特徴とする請求項9又は10の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記マトリックス材料を溶解、エッチング、及び/又は膨らませることができる物質が、酸性又はアルカリ性の化学物質又は化学物質混合物又は溶媒であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
存在する何れかの酸化物層が、無電解的又は電解的に被覆可能な粒子から除去され、該除去が、工程(c)で無電解的又は電解的に被覆する前、及び/又は支持ホイル(3)によって予め被覆された基礎層(7)の側に金属層(19、37)が形成される前に行なわれることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
金属層(19、37)の金属が、銅、ニッケル、銀、金又はクロムであることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
プリント基板及びRFIDアンテナを製造するために、請求項1〜16の何れか1項に記載のポリマー被覆金属ホイルを使用する方法。
【請求項18】
ポリマー被覆金属ホイルが支持体(29)に積層されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
支持体(29)の上に積層する間、ポリマーが少なくとも部分的に硬化されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
支持体(29)に積層する前、又は後に、支持ホイル(3)が除去されるとを特徴とする請求項17〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
支持ホイル(3)を除去した後、金属層(37)が、支持ホイル(3)によって予め被覆された基礎層(7)の側に、無電解的又は電解的に施されることを特徴とする請求項20に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−528181(P2010−528181A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508822(P2010−508822)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056160
【国際公開番号】WO2008/142070
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】