説明

ポンプ装置及びその制御方法

【課題】外気温度に依存せずに吐出流量を安定させることができるポンプ装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】上記ポンプ装置の制御方法は、ポンプ本体の吐出口から基準流量のガスが吐出する回転速度でモータを駆動するための駆動信号を出力し、前記ポンプ本体に取り付けられた温度センサによって、前記吐出口から吐出されるガスの温度又は前記ポンプ本体の温度を測定し、前記温度センサの出力に含まれる前記ガスの温度に関連する温度信号に基づいて前記吐出口から吐出される前記ガスの実流量を演算し、前記実流量が前記基準流量と一致するように前記駆動信号を補正し、補正された駆動信号を前記モータへ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば昇圧ブロワあるいは昇圧ポンプとして用いられるポンプ装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスや酸素等の気体を所望の圧力に上昇させる機器として、昇圧ブロワあるいは昇圧ポンプと称されるポンプ装置が広く知られている。この種のポンプ装置には、ルーツポンプやダイアフラムポンプ等が用いられており、例えば下記特許文献1には、燃料電池システムにおける燃料ガスの昇圧ブロワとして用いられるダイアフラムポンプが記載されている。
【0003】
上記ポンプ装置を燃料電池システムに使用する際、流量を安定させるためにポンプ吐出側に流量検出器を設け、この流量検出器の検出信号を利用してポンプのモータを制御する方法が一般的である。しかし、流量検出器はコストがかかるとともに、低流量運転時に脈動の影響により正しい流量が検出できず、ポンプの運転を安定に制御できない。
【0004】
そこで特許文献2には、外気温度を検出し、検出された温度に基づきポンプの回転速度を補正する燃料電池システムが記載されている。これにより流量検出器を使用せずに、ブロワの運転を制御可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−47084号公報
【特許文献2】特開2007−234443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外気温度に基づいたポンプの吐出流量制御においては、モータ回転速度を一定として外気温度を変化させたとき、温度の変化量(時間変化率)によって吐出流量に大きなバラツキが生じてしまうことが、本発明者らの実験によって明らかとなった。すなわち外気温度に基づくポンプの運転制御では、高い再現性をもって吐出流量を安定させることが困難であるという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、外気温度に依存せずに吐出流量を安定させることができるポンプ装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るポンプ装置は、ポンプ本体と、温度センサと、コントローラとを具備する。
上記ポンプ本体は、吸入口と、吐出口と、ポンプ室と、可動部材と、駆動部とを有する。上記ポンプ室は、上記吸入口と上記吐出口と各々連通可能である。上記可動部材は、上記ポンプ室へのガスの吸入と上記ポンプ室からのガスの排出とを交互に行う。上記駆動部は、上記可動部材を駆動し、回転速度に応じて上記吐出口から吐出されるガスの流量を変化させることが可能なモータを含む。
上記温度センサは、上記ポンプ本体に取り付けられ、上記吐出口から吐出されるガスの温度又は上記ポンプ本体の温度を測定し、上記ガスの温度に関連する情報を含む温度信号を出力する。
上記コントローラは、入力部と、演算部と、出力部とを有する。上記入力部は、上記吐出口から吐出される上記ガスの基準流量を指定する外部信号が入力される。上記演算部は、上記温度信号に基づいて上記吐出口から吐出される上記ガスの実流量を演算する。上記出力部は、上記実流量が上記基準流量と一致するように上記モータの回転速度を補正する補正信号を出力する。
【0009】
また本発明の一形態に係るポンプ装置の制御方法は、ポンプ本体の吐出口から基準流量のガスが吐出する回転速度でモータを駆動するための駆動信号を出力することを含む。
上記ポンプ本体に取り付けられた温度センサによって、上記吐出口から吐出されるガスの温度又は上記ポンプ本体の温度が測定される。
上記温度センサの出力に含まれる上記ガスの温度に関連する温度信号に基づいて上記吐出口から吐出される前記ガスの実流量が演算される。
上記実流量が上記基準流量と一致するように上記基準回転速度が補正され、補正された回転速度信号が上記モータへ出力される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置が適用されるポンプシステムの概略図である。
【図2】上記ポンプ装置の構成を示す断面図である。
【図3】雰囲気温度に基づいた回転速度制御によってポンプを運転したときの流量変化の様子を示す一実験結果である。
【図4】モータ表面温度に基づいた回転速度制御によってポンプを運転したときの流量変化の様子を示す一実験結果である。
【図5】上記ポンプ装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図6】上記ポンプ装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図7】上記ポンプ装置の制御方法を説明する要部のフローチャートである。
【図8】上記ポンプ装置の作用を説明する一実験結果である。
【図9】上記ポンプ装置の作用を説明する一実験結果である。
【図10】補正係数の導出方法を説明するための、モータ回転速度変化の評価結果を示す図である。
【図11】補正係数の導出方法を説明するための、モータ回転速度変化の評価結果を示す図である。
【図12】補正係数として用いられる近似関数を示す図である。
【図13】上記ポンプ装置の作用を説明する一実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るポンプ装置は、ポンプ本体と、温度センサと、コントローラとを具備する。
上記ポンプ本体は、吸入口と、吐出口と、ポンプ室と、可動部材と、駆動部とを有する。上記ポンプ室は、上記吸入口と上記吐出口と各々連通可能である。上記可動部材は、上記ポンプ室へのガスの吸入と上記ポンプ室からのガスの排出とを交互に行う。上記駆動部は、上記可動部材を駆動し、回転速度に応じて上記吐出口から吐出されるガスの流量を変化させることが可能なモータを含む。
上記温度センサは、上記ポンプ本体に取り付けられ、上記吐出口から吐出されるガスの温度又は上記ポンプ本体の温度を測定し、上記ガスの温度に関連する情報を含む温度信号を出力する。
上記コントローラは、入力部と、演算部と、出力部とを有する。上記入力部は、上記吐出口から吐出される上記ガスの基準流量を指定する外部信号が入力される。上記演算部は、上記温度信号に基づいて上記吐出口から吐出される上記ガスの実流量を演算する。上記出力部は、上記実流量が上記基準流量と一致するように上記モータの回転速度を補正する補正信号を出力する。
【0012】
上記ポンプ装置において、可動部材は、ポンプ室の容積を周期的に変化させることで、ポンプ室へのガスの吸入とポンプ室からのガスの排出とを交互に行う。ガスの種類は特に限定されず、酸素や炭化水素系ガスなど、用途に応じた種々の気体が適用可能である。吸入口からポンプ室へ導入されたガスは、ポンプ室において可動部材により昇圧されて吐出口から吐出される。可動部材はモータにより駆動され、吐出されるガスの流量は、モータの回転速度あるいは回転数によって制御される。以上の動作が繰り返されることで、吐出口から所定圧力のガスが所定流量で吐出される。
【0013】
コントローラは、吐出口から基準流量のガスが吐出する回転速度でモータを駆動する。吐出口から吐出されるガスの流量は温度依存性を有し、例えば温度が高くなるほど密度が低下するため、流量は減少する。そこで上記コントローラは、ポンプ本体に取り付けられた温度センサによって吐出口から吐出されるガスの温度を測定し、その測定値に基づいて実際の流量を演算する。そして、演算された実流量が基準流量と一致するようにモータの回転速度を補正し、その補正された回転速度でモータを駆動する。
【0014】
上記ポンプ装置においては、吐出ガスの温度に基づいてモータの駆動回転速度を補正するようにしているため、雰囲気温度あるいは外気温度に基づいてモータの駆動回転速度を補正する場合と比較して、外気温度の変化量に依存せずに、ガスの吐出流量を安定かつ高精度に制御することができる。
【0015】
温度センサは、吐出ガスの温度に関連する温度信号を出力する。温度センサは、吐出口から吐出されるガスの温度を直接測定する場合に限られず、ポンプ本体の特定部位の温度を測定しその測定値をガスの温度とみなしてもよい。すなわちポンプ本体から吐出されるガスの温度は、外気温度よりもポンプ本体の温度に強い相関を有することが確認されており、ポンプ本体の温度をガス温度(擬似温度)として取り扱った場合でも吐出ガスの流量制御を高い再現性をもって実現することできる。これにより温度センサの取付け位置の自由度が高まり、ガスの流れを阻害することなくガス温度を把握することができる。
【0016】
一実施形態として、温度センサはモータに取り付けられる。ポンプ本体の温度はモータの発熱温度で決まる場合が多いため、例えばモータの表面あるいはその近傍の温度を測定することでガスの擬似温度を取得することができる。あるいは、温度センサはポンプ室に設置されてもよい。この構成によりポンプ室内のガスの温度を取得できるため、精度の高い流量制御が可能となる。
【0017】
上記コントローラは、記憶部をさらに有してもよい。上記記憶部は、予め取得された上記ポンプ本体の温度特性を含む補正係数を記憶する。この場合、上記演算部は、上記温度信号に基づいて算出されるガス流量に上記補正係数を乗じることで上記ガスの実流量を演算する。
ポンプ本体の温度特性を考慮した補正を加えることで、ポンプ本体から吐出されるガスの流量を更に高精度に制御することができる。
【0018】
ポンプ本体の温度特性としては、例えばポンプ本体あるいはその構成部品の熱変化による吐出流量の変化が含まれる。また、補正係数には、さらにポンプ本体あるいはその構成部品の経時変化や、ポンプ本体の有する個体差バラツキ等が含まれてもよい。
【0019】
上記補正係数は、第1の温度から上記第1の温度よりも高い第2の温度までにおける上記温度特性の近似関数であってもよい。この場合、上記近似関数は、上記第1の温度と、上記第1の温度よりも高く上記第2の温度よりも低い第3の温度との間において上記モータの回転速度を上昇させる補正信号を生成する。
これにより、第1の温度と第3の温度との間におけるガスの流量特性を、第3の温度と第2の温度との間におけるガスの流量特性と対応させることができ、第1の温度から第2の温度にわたって流量と回転速度との間に線形的な相関をもたせることができる。
【0020】
本発明の一実施形態に係るポンプ装置の制御方法は、ポンプ本体の吐出口から基準流量のガスが吐出する回転速度でモータを駆動するための駆動信号を出力することを含む。
上記ポンプ本体に取り付けられた温度センサによって、上記吐出口から吐出されるガスの温度又は上記ポンプ本体の温度が測定される。
上記温度センサの出力に含まれる上記ガスの温度に関連する温度信号に基づいて上記吐出口から吐出される前記ガスの実流量が演算される。
上記実流量が上記基準流量と一致するように上記基準回転速度が補正され、補正された回転速度信号が上記モータへ出力される。
【0021】
上記ポンプ装置の制御方法においては、吐出ガスの温度に基づいてモータの駆動回転速度を補正するようにしているため、雰囲気温度あるいは外気温度に基づいてモータの駆動回転速度を補正する場合と比較して、外気温度の変化量に依存せずに、ガスの吐出流量を安定かつ高精度に制御することができる。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るポンプシステムを示す図である。本実施形態のポンプシステム1は、圧力源2と、ポンプ装置3と、処理部4、制御部5とを有する。
【0024】
圧力源2はポンプ装置3の吸入側(一次側)に接続され、処理部4はポンプ装置3の吐出側(二次側)に接続される。圧力源2は、所定圧の流体を収容するタンク、ボンベ等の容器でもよいし、コンプレッサ等の圧力発生源であってもよい。ポンプ装置3は、圧力源2から導入される圧力P1の流体を所定の圧力P2に高め、所定の流量で処理部4へ供給する昇圧ブロワあるいは昇圧ポンプとして機能する。処理部4は、ポンプ装置3から供給された流体を処理し、エネルギーや動力等を生成する。制御部5は、ポンプ装置3及び処理部4を含むシステム全体を制御する。
【0025】
ポンプシステム1は、例えば燃料電池システムに適用される。この場合、圧力源2は、燃料タンクに相当し、ポンプ装置3は燃料ガス(例えば都市ガス(メタン)、LPG(液化プロパンガス))を昇圧して処理部4へ供給する。処理部4には、燃料ガスを水素に転換する改質器、水素を蓄える燃料電池、水素と酸素を反応させる発電部等が含まれる。
【0026】
[ポンプ装置]
次に、図2を参照してポンプ装置3の詳細を説明する。図2は、ポンプ装置3の構造を示す断面図である。本実施形態においてポンプ装置3は、ダイアフラムポンプで構成される。
【0027】
(ポンプ本体)
ポンプ装置3は、金属製のケーシング10と、駆動部20と、可動部材30と、コントローラ50とを有する。ケーシング10、駆動部20及び可動部材30は、ポンプ装置3のポンプ本体を構成する。本実施形態においてコントローラ50は上記ポンプ本体に取り付けられるが、これに限られず、上記ポンプ本体の外部に備えられていてもよい。
【0028】
ケーシング10は、ポンプ本体11と、ポンプヘッド12と、ポンプヘッドカバー13とを有する。駆動部20は、モータ21と、モータケース22とを有する。
【0029】
ポンプ本体11は、ケーシング10の内部に、可動部材30を収容する動作空間105を形成する。可動部材30は、ダイアフラム31と、ダイアフラム31に固定された固定具32と、固定具32をモータ21に連結するコネクティングロッド33とを有する。
【0030】
ダイアフラム31は、円盤形状のゴム材料で形成されており、その周縁部がポンプ本体11とポンプヘッド12との間に挟持されている。固定具32は、ダイアフラム31の中央部に固定されており、ダイアフラム31を上下から挟むように組み付けられた複数の部品で構成されている。コネクティングロッド33は、ダイアフラム31の中心部を貫通するように固定具32と一体化される。コネクティングロッド33は、軸受34を介して、モータ21の回転軸210に取り付けられた偏心カム35の周面に連結される。
【0031】
ポンプヘッド12は、吸入口101と、吐出口102とを有し、環状の台座110の上面に配置されている。台座110は、ポンプ本体11の上部の開口端部に取り付けられ、ポンプヘッド12と共にダイアフラム31の周縁部を挟持する。ポンプヘッド12は、ダイアフラム31との間にポンプ室100を形成する。
【0032】
ポンプヘッド12は、吸入口101とポンプ室100との間を連絡する吸入通路T1と、ポンプ室100と吐出口102との間を連絡する吐出通路T2とをそれぞれ有する。ポンプ室100は、吸入通路T1及び吐出通路T2を介して、吸入口101及び吐出口102にそれぞれ連通可能である。吸入通路T1及び吐出通路T2には、吸入弁41(第1の弁)及び吐出弁42(第2の弁)がそれぞれ取り付けられている。
【0033】
吸入弁41は、吸入通路T1を形成する吸入孔h1を閉塞するようにポンプヘッド12に取り付けられる。吸入弁41は、ポンプ室100に臨む吸入孔h1の端部に取り付けられたリード弁で構成され、吸入口101からポンプ室100へ向かう流体の流れを許容する。吸入弁41の開弁圧(吸入弁41の開放に必要な最低圧力)は特に限定されず、ポンプ装置の動作時にポンプ室100へ所定流量のガスが導入される程度の開弁圧を有していればよい。
【0034】
一方、吐出弁42は、吐出通路T2を形成する吐出孔h2を閉塞するようにポンプヘッド12に取り付けられる。吐出弁42は、ポンプ室100とは反対側の吐出孔h2の端部に取り付けられたリード弁で構成され、ポンプ室100から吐出口102へ向かう流体の流れを許容する。吐出弁42の開弁圧(吐出弁42の開放に必要な最低圧力)は特に限定されず、目的とする吐出圧力が得られる圧力に設定され、本実施形態では吸入弁41の開弁圧よりも大きな圧力(第1の圧力)に設定される。
【0035】
ポンプヘッドカバー13は、ポンプヘッド12の上部に取り付けられる。吸入通路T1及び吐出通路T2は、ポンプヘッド12とポンプヘッドカバー13とが組み合わされることでそれぞれ形成される。ポンプ本体11、ポンプヘッド12及びポンプヘッドカバー13は、複数本のネジ部材Bを用いて一体的に固定される。
【0036】
モータ21は、回転速度制御が可能な直流ブラシレスモータで構成され、円筒状のモータケース22の内部に収容される。モータ21は、回転軸210と、ステータ211と、ロータ212とを有する。ステータ211はモータケース22の内面に固定され、ロータ212は回転軸210の周囲に固定されている。回転軸210は、軸受23,24を介してモータケース22に支持されており、その先端部には偏心カム35の回転中心に取り付けられている。
【0037】
偏心カム35は、その回転中心が軸受34のインナレースに対して偏心するように形成されている。従ってモータ21の駆動により回転軸210がその軸回りに回転すると、偏心カム35が回転軸210と共に回転することで、可動部材30が動作空間105の内部において上下方向に往復移動する。これにより、ポンプ室100の容積が周期的に変化し、所定のポンプ機能が得られることになる。可動部材30の往復移動量(ストローク量)は、偏心カム35の偏心量によって決定される。
【0038】
(コントローラ)
コントローラ50は、駆動部20のモータケース22の内部に配置される。コントローラ50は、ICチップ等の各種電子部品を有し、制御部5及びモータ21と電気的に接続された配線基板で構成される。コントローラ50は、制御部5から入力される制御信号(Vsp)を受けて、モータ21を駆動する。
【0039】
一般にダイアフラムポンプのガスの吐出流量(NL/min)は、モータの回転速度の変化に対して直線的に変化する。このためガスの温度が一定の場合においては、モータの回転速度を制御することで安定した流量を得ることができる。上記制御信号(Vsp)は、基準温度(20℃)におけるガス密度に基づいて算出された流量(以下、基準流量という。)を得るためのモータ回転速度(以下、基準回転速度という。)を指定する。基準回転速度は、制御信号(Vsp)の電圧値で調整される。
【0040】
一方、雰囲気の温度変化があると、制御信号(Vsp)が同一でも流量が変化するという問題がある。例えば温度が高くなると、ボイル・シャルルの法則に従い、気体密度は小さくなる。ダイアフラムポンプは、一定の容積のガスを吸入し圧縮する構造であることから、吸入するガスの密度が小さくなれば、吐出流量は低下する。従って、目的の流量を得るためには、モータの回転速度(回転数)を高めなければならないことになる。
【0041】
このような現象の解決策として、雰囲気温度を検出し、この温度に応じて制御信号(Vsp)のオフセット値を変更する方法が知られている。しかしながらこの方法では、雰囲気の温度変化の速度によっては、ガス温度が雰囲気温度に追従せずに、安定した流量制御が困難であるということが、実験によって確認されている(図3)。
【0042】
そこで本実施形態のポンプ装置3は、駆動部20の温度を測定する温度センサ61を有する。温度センサ61は、コントローラ50の上に搭載されているが、これに限られず、モータケース22等に直接取り付けられてもよい。温度センサ61は、駆動部20の温度を測定し、その測定結果をコントローラ50へ出力する。温度センサ61には、サーミスタや熱電対等の測温素子が用いられる。
【0043】
温度センサ61の測定対象は、モータケース22の内部温度すなわちモータ21の温度である。ポンプ装置3のケーシング10は金属製であり、ケーシング10の温度はモータ21の温度の影響を受ける。一方、吸入口101から吸入され吐出口102から吐出されるガスは、ケーシング10からの熱を受ける。このため、吐出口102から吐出されるガスの温度は、ケーシング10の温度とみなすことができる。このように本実施形態の温度センサ61は、駆動部20の温度を測定することで、吐出ガスの温度に関連する温度信号を出力する。
【0044】
図3は、雰囲気温度を異なる速度で変化させたときの、雰囲気温度とガスの吐出流量との関係を示す。実験では、モータの回転速度を一定にし、雰囲気温度を−15℃から75℃までゆっくり(7.5h)上昇及び下降させたときと、早く(3h)上昇及び下降させたときの流量変化を示している。流量は、以下の密度変化式((1)式)を用いて算出した。
T=QT0(273+T0)/(273+T) …(1)
ここで、QTは温度Tでの流量[NL/min]、QT0は基準温度T0での流量[NL/min]、Tは雰囲気温度[℃]、T0は基準温度(20℃)である。
【0045】
図3に示すように、雰囲気温度に基づいて吐出流量を算出する方法では、雰囲気温度の変化の速度によって流量に大きなバラツキが発生している。これでは、温度変化に応じた流量を再現性高く取得することができず、安定した流量制御は不可能である。
【0046】
一方、図4は、雰囲気温度を異なる速度で変化させたときの、モータの表面温度とガスの吐出流量との関係を示す。モータ回転速度及び雰囲気温度の変化速度は、図3に示した実験と同一とした。流量は、以下の密度変化式((2)式)を用いて算出した。
Qt=QT0(273+T0)/(273+t) …(2)
ここで、Qtは温度tでの流量[NL/min]、QT0は基準温度T0での流量[NL/min]、tはモータ表面温度[℃]、T0は基準温度(20℃)である。
【0047】
図4に示すように、モータの表面温度に基づいて吐出流量を算出する方法によれば、雰囲気温度の変化の速度に依存せず、高い再現性でガス流量を取得することができる。この結果は、雰囲気温度変化に対する流量変化よりもモータ表面温度に対する流量変化の方が高い相関を示すことを示唆している。したがってモータ表面温度に基づいてモータの駆動を制御することで、目的とする吐出流量でポンプを安定に運転することが可能となる。
【0048】
図5は、コントローラ50の構成を示すブロック図である。
【0049】
コントローラ50は、第1の入力端子51と、第2の入力端子52と、第3の入力端子53と、出力部54とを有する。第1の入力端子51は、外部(制御部5)から制御信号(Vsp)が入力される。第2の入力端子52は、温度センサ61からの出力信号が入力される。第3の入力端子53は、回転センサ62からの出力信号が入力される。出力部54は、モータ21へ駆動信号を出力する。
【0050】
コントローラ50は、制御信号(Vsp)を受けてモータ21を駆動し、制御信号(Vsp)に対応する基準流量のガスを吐出口102から吐出させる。コントローラ50は、回転センサ62の出力に基づいてモータ21の回転速度をモニタする。回転センサ62は、モータケース22の内部に取り付けられ、モータ21の回転軸210の回転速度を測定する。回転センサ62には、例えばロータリエンコーダ等が用いられる。
【0051】
コントローラ50はさらに、温度センサ61の出力に基づいて、上記(2)式によりガスの吐出流量を算出するCPU55(演算部)と、適宜の補正係数を記憶するメモリ56(記憶部)とを有する。CPU55は、温度センサ61の出力に基づいて吐出口102から吐出されるガスの実流量を演算する。そして、演算された実流量が上記基準流量と一致するようにモータ21の回転速度を補正する補正信号を生成し、その補正信号を駆動信号(Vsp’)として出力する。
【0052】
CPU55は、1チップで構成されてもよいし、複数チップで構成されてもよい。コントローラ50は例えば、制御用のマイクロプロセッサと、モータ21を駆動するドライバICとで構成することができる。
【0053】
[ポンプ装置の動作]
次に、以上のように構成されるポンプ装置3の典型的な動作例を説明する。図6は、ポンプ装置3の制御フローである。
【0054】
ポンプ装置3は、制御部5から制御信号(Vsp)が入力されることでモータ21を基準回転速度で起動する(ステップ1,2)。制御部5は、ポンプ装置3から処理部4へ供給される燃料ガスの吐出流量を上記基準回転速度に対応する基準流量に維持することで、ポンプシステム1を正常に稼動させる。
【0055】
モータ21は、回転軸210を介して偏心カム35を回転させ、可動部材30を動作空間105において所定ストロークで往復移動させる。これにより、ポンプ室100を区画するダイアフラム31が上下移動し、ポンプ室100の容積が周期的に変化する。
【0056】
可動部材30は、ポンプ室100の容積を周期的に変化させ、ポンプ室100へのガスの吸入とポンプ室100からのガスの排出を交互に行う。すなわち、吸入口101に接続された圧力源2から吸入弁41を介して、圧力P1(例えば2kPa(ゲージ圧))の燃料ガスがポンプ室100へ導入される。ポンプ室100へ導入された燃料ガスは、ポンプ室100において可動部材により圧縮されることで昇圧され、吐出弁42を開放させる。以上の動作が繰り返されることで、吐出口102から処理部4へ圧力P2(例えば15kPa(ゲージ圧))の燃料ガスが吐出される。
【0057】
ポンプ装置3の起動時、コントローラ50は、制御信号(Vsp)を駆動信号としてモータ21へ出力する。制御信号(Vsp)は、基準温度(20℃)下でのガス密度で算出された流量を基準とする回転速度指定信号であり、吐出口102から吐出されるガスの温度が基準温度である場合は、制御信号(Vsp)で指定される回転速度(基準回転速度)に対応する吐出流量(基準流量)で、ガスが吐出されることになる。
【0058】
一方、ガス温度が基準温度と異なると、これらの温度差に応じて吐出流量が図4に示したように変化する。そこでコントローラ50は、実際の吐出流量を演算するために温度センサ61からモータ21の表面温度を取得する(ステップ3)。上述のように、モータ21の表面温度はガスの流量変化に強い相関を有するため、本実施形態ではモータ表面温度をガス温度とみなして実際に吐出されているガスの流量(実流量)を演算により求める。実流量の算出には、上記(2)式が用いられる。そしてコントローラ50は、演算された実流量が基準流量と一致するようにモータ21の回転速度を補正した補正信号(Vsp’)を生成し、その補正された回転速度でモータを駆動する(ステップ4,5)。
【0059】
コントローラ50は、ステップ3〜ステップ5を繰り返すことで、ポンプ装置3の吐出流量を基準流量に維持する。なお制御信号(Vsp)が変化した場合は、上述と同様な処理でステップ1〜5が実行される。
【0060】
図7は、補正信号(Vsp’)の生成の詳細を示す工程フローである。
【0061】
補正信号(Vsp’)の生成に際して、コントローラ50のCPU55は、温度センサ61の出力に基づいて検出されたモータ表面温度(t)に基づいて、上記(2)式により密度変化量D(t)を算出する(ステップ401)。次に、CPU55は、メモリ56から上記温度tに対応する補正係数C(t)を取得する(ステップ402)。続いてCPU55は、基準流量(QT0)に密度変化量D(t)及び補正係数C(t)をそれぞれ乗じることで、温度補正された基準流量(実流量)Qtを算出する(ステップ403)。そしてCPU55は、回転センサ62よりモータ21の回転速度と、実流量Qtに対応する回転速度とを相互に比較し、実流量Qtを基準流量QT0と一致させるための補正信号(Vsp’)を生成する(ステップ404)。
【0062】
補正係数C(t)は、ポンプ本体の温度特性に起因する吐出流量の変化を補正するためのものである。上記温度特性には、ケーシング10の熱変形、ダイアフラム31の経時劣化、モータ21の熱特性等が含まれる。実流量Qtの算出に際して補正係数C(t)の乗算は必ずしも必須ではないが、補正係数C(t)を乗じることで、低温領域から高温領域にわたり安定した流量でポンプを運転することができる。
【0063】
ここで、補正係数C(t)を用いずに、Qt=QT0×D(t)に基づいて生成された補正信号によりポンプ装置を運転したときの吐出流量及びモータ回転速度の雰囲気温度依存性を図8及び図9にそれぞれ示す。
【0064】
図8はモータ回転速度を一定にして雰囲気温度を−15℃から75℃まで変化させたときの流量変化を示している。グラフの横軸は、モータ表面温度である。縦軸の流量は、ポンプの吐出側に設置した流量計の測定値(任意単位)である。比較のため、密度変化式((2)式)で算出した理論上の流量を破線で示す。一方、図9は、吐出流量を一定にして雰囲気温度を−15℃から75℃まで変化させたときのモータ回転速度変化を示している。流量計の値を入力して流量が一定となるようにモータの回転速度を制御した。図中破線は、密度変化式((2)式)で算出される流量を得るための理論上の回転速度である。
【0065】
図8及び図9に示すように、15℃以上60℃以下の温度領域(領域A)では、ポンプの吐出流量及びモータ回転速度は理論値とほぼ一致し、補正係数C(t)を用いずとも再現性の高い流量制御が実現可能であることがわかる。これに対して−10℃以上15℃以下の温度領域(領域B)では吐出流量及びモータ回転速度が理論値よりも外れ、低温になるほど理論値から遠ざかる傾向にある。
【0066】
密度変化量D(t)に基づく流量の温度補正が領域Bにおいて理論値から外れる理由は、ポンプ本体(ケーシング10、駆動部20、可動部材30)のもつ温度特性が強く関連しているものと考えられる。上記温度特性には、例えば吸入弁41、吐出弁42、ダイアフラム31等のゴム製部品の温度による弾性変化やモータ21自体の有する温度特性、さらには温度センサ61やコントローラ50を構成する半導体部品のもつ温度特性等が含まれる。
【0067】
本実施形態では、これらポンプ本体の温度特性を予め取得しておき、温度の関数として補正係数C(t)を求める。そして以下の(3)式に示すように、これを密度変化量D(t)と共に基準流量(QT0)に乗じることで、実流量(Qt)を算出する。
Qt=QT0×C(t)×D(t) …(3)
これにより、高温側の領域Aだけでなく低温側の領域Bに対しても理論値に対応したモータの回転制御を実行することが可能となる。
【0068】
補正係数C(t)は、例えば、モータ表面温度が−10℃(第1の温度)から60℃(第2の温度)までにおける上記温度特性の近似関数である。補正係数C(t)の導出方法を説明すると、まず図9の回転速度特性を、図10に示すようにモータ表面温度が20℃のときの回転速度を基準として規格化する。次に、図11に示すようにその規格化した回転速度特性を密度変化量D(t)で除算することで、回転速度の温度関数C(t)’を求める。そして図12に示すように、関数C(t)’の近似式を算出し、それを補正係数C(t)とする。ここでは、5次の近似式で補正係数C(t)を求めたが、近似の次数はこれに限られない。
【0069】
以上のようにして導出される補正係数C(t)を用いて実流量Qtを演算することで、例えば−10℃以上15℃(第3の温度)以下の領域Bにおいてモータ21の回転速度を理論値に向かって上昇させる補正信号(Vsp’)を生成することができる。これにより、−10℃〜15℃の間におけるガスの流量特性を、15℃〜60℃の間におけるガスの流量特性と対応させることができ、−10℃から60℃の温度範囲にわたって流量と回転速度との間に線形的な相関が得られ、安定した流量制御を実現することができる。
【0070】
例えば図13は、本実施形態のポンプ装置3の運転試験を行ったときの実験結果である。実験では、設定流量(3.4NL/min及び0.6NL/min)のガスを吐出させながら雰囲気温度をゆっくり降下させたときの流量を流量計にて測定した。図示するように、雰囲気温度に依存せず各設定流量でポンプを安定に運転することができる。なお設定流量3.4NL/minでの流量誤差は±2%(0.07NL/min)であり、設定流量0.6NL/minでの流量誤差は±5%(0.03NL/min)であった。
【0071】
補正係数C(t)は、ポンプ装置3の温度特性としてメモリ56に格納される。補正係数C(t)は、個々のポンプ装置について個々に設定されてもよいし、複数のポンプ装置に対して共通に設定されてもよい。
【0072】
補正係数C(t)の温度範囲は、上述の例に限られず、ポンプ装置の使用条件に応じた適宜の温度範囲に設定可能である。
【0073】
補正係数C(t)は、上述したポンプ本体の温度特性だけでなく、他のパラメータが含まれてもよい。例えばポンプ本体の個体差を補正するパラメータが、補正係数C(t)に含まれてもよい。ポンプ本体のバラツキは、ポンプを構成する各部品の寸法、組立精度のバラツキにより同じ回転速度での吐出流量のバラツキが例えば±5%の範囲で発生する場合がある。このことから、ポンプ本体の個体差は1回転当たりの吐出流量に違いを生じさせる。そこで基準となるポンプ(基準ポンプ)を決め、基準ポンプとの流量比をポンプ毎に計算し、その値を補正係数C(t)に加える。これにより個体差のバラツキによる流量の変化を抑制することができる。
【0074】
また、ポンプの経時変化を補正するパラメータが補正係数C(t)に含まれてもよい。例えば、長期運転でダイアフラム、バルブ(吸入弁、吐出弁)等の硬度が変化することによって流量が変化することがある。そこで長期評価の結果から、時間で変化する流量の比を求め、その値を補正係数C(t)に加える。これにより、ポンプ装置の長期運転での流量変化を抑制し、所定の設定流量を安定して供給することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0076】
例えば以上の実施形態では、ポンプ装置として、燃料ガスを一定流量で吐出する昇圧ブロワに適用した例を説明したが、これに代えて又はこれに加えて、同じ燃料電池システムにおいて酸化剤ガス(大気あるいは酸素)を一定流量で吐出するブロワに、本発明を適用することも可能である。この例においても、雰囲気温度によって酸素の密度が変化するため、上述した温度補正式((3)式)を用いることによって、設定流量で安定に酸素を供給することができる。
【0077】
上記の例において、補正係数C(t)には、大気圧変化による流量誤差を補正するパラメータが加えられてもよい。すなわち、ポンプが使用される場所や天気によっては大気圧の変化により空気密度が変わり、ポンプの回転速度が同じでも吐出流量に変化を生じさせる。そこで、大気圧の差による気体密度変化式により例えば1気圧(1.01325×105Pa)を基準とする流量比を予め求め、これを補正係数C(t)に加える。これにより大気圧変化に関係なく一定の流量を安定して供給することが可能となる。
【0078】
また以上の実施形態では、駆動部20の温度(モータ表面温度)をガスの温度とみなしてガスの密度変化を算出するようにしたが、ポンプ本体の測温部位は駆動部20に限られず、例えばケーシング10の表面あるいは内部温度であってもよい。また、ポンプヘッド12に温度センサを取り付けて、ガスに近い部位で測定した温度をコントローラ50へ出力してもよい。さらには吐出ガスの温度を直接測定してもよく、この場合、例えば吐出口102に温度センサが設置されてもよい。
【0079】
またコントローラ50は、ポンプ本体に取り付けられる例に限られず、ポンプ本体の外部に配置されてもよい。例えば、コントローラ50は、ポンプシステムの制御基板上に搭載されてもよく、この場合、有線又は無線により、モータ21、温度センサ61及び回転センサ62等と電気的に接続される。上記制御基板は、制御部5の構成基板であってもよいし、制御部5とは別の基板であってもよい。
【0080】
さらに以上の実施形態では、ポンプ装置はダイアフラムポンプで構成されたが、これに限られず、ルーツポンプ等の他のポンプ装置にも本発明は適用可能である。ルーツポンプの場合、ポンプ室の容積を変化させる可動部材としては、相互に対向して配置されるロータに対応する。
【符号の説明】
【0081】
3…ポンプ装置
10…ケーシング
20…駆動部
30…可動部材
31…ダイアフラム
41…吸入弁
42…吐出弁
50…コントローラ
61…温度センサ
100…ポンプ室
101…吸入口
102…吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口と、吐出口と、前記吸入口及び前記吐出口と各々連通可能なポンプ室と、前記ポンプ室へのガスの吸入と前記ポンプ室からのガスの排出とを交互に行う可動部材と、前記可動部材を駆動し、回転速度に応じて前記吐出口から吐出されるガスの流量を変化させることが可能なモータを含む駆動部とを有するポンプ本体と、
前記ポンプ本体に取り付けられ、前記吐出口から吐出されるガスの温度又は前記ポンプ本体の温度を測定することで、前記ガスの温度に関連する温度信号を出力する温度センサと、
前記吐出口から吐出される前記ガスの基準流量を指定する外部信号が入力される入力部と、前記温度信号に基づいて前記吐出口から吐出される前記ガスの実流量を演算する演算部と、前記実流量が前記基準流量と一致するように前記モータの回転速度を補正する補正信号を出力する出力部とを有するコントローラと
を具備するポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置であって、
前記コントローラは、予め取得された前記ポンプ本体の温度特性を含む補正係数を記憶する記憶部をさらに有し、
前記演算部は、前記温度信号に基づいて算出されるガス流量に前記補正係数を乗じることで前記ガスの実流量を演算する
ポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポンプ装置であって、
前記補正係数は、第1の温度から前記第1の温度よりも高い第2の温度までにおける前記温度特性の近似関数であり、
前記近似関数は、前記第1の温度と、前記第1の温度よりも高く前記第2の温度よりも低い第3の温度との間において前記モータの回転速度を上昇させる補正信号を生成する
ポンプ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のポンプ装置であって、
前記温度センサは、前記駆動部に取り付けられる
ポンプ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のポンプ装置であって、
前記温度センサは、前記ポンプ室に取り付けられる
ポンプ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のポンプ装置であって、
前記ポンプ本体は、ダイアフラムポンプである
ポンプ装置。
【請求項7】
ポンプ本体の吐出口から基準流量のガスが吐出する回転速度でモータを駆動するための駆動信号を出力し、
前記ポンプ本体に取り付けられた温度センサによって、前記吐出口から吐出されるガスの温度又は前記ポンプ本体の温度を測定し、
前記温度センサの出力に含まれる前記ガスの温度に関連する温度信号に基づいて前記吐出口から吐出される前記ガスの実流量を演算し、
前記実流量が前記基準流量と一致するように前記駆動信号を補正し、補正された駆動信号を前記モータへ出力する
ポンプ装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のポンプ装置の制御方法であって、
前記ガスの実流量の演算は、
前記温度信号に基づいて算出されるガス流量に、予め取得された前記ポンプ本体の温度特性を含む補正係数を乗じることで、前記ガスの実流量を演算する
ポンプ装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載のポンプ装置の制御方法であって、
前記補正係数は、第1の温度から前記第1の温度よりも高い第2の温度までにおける前記温度特性の近似関数であり、
前記近似関数は、前記第1の温度と、前記第1の温度よりも高く前記第2の温度よりも低い第3の温度との間において前記モータの回転速度を上昇させる補正信号を生成する
ポンプ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−117435(P2012−117435A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267263(P2010−267263)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(591268623)アルバック機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】