説明

ポンプ装置

【課題】
放熱を確実に行いながら、可変速運転制御をポンプ装置単体で行うことができる省スペースポンプ装置を提供する。
【解決手段】
ポンプケーシング内に設けられ羽根車を有するポンプ部と、前記羽根車を回転駆動する回転電機とが一体になったポンプ装置において、回転電機は、その外周に複数の冷却フィンを有するハウジングと、ハウジングに取り付けられる固定子と、回転電機の回転軸に固定され、複数の永久磁石を円筒状に配置して構成された回転子と、回転軸を支持する軸受と、軸受が取り付けられるエンドブラケットと、ポンプ部が取付けられる側とは反対側のエンドブラケットの端に取り付けられたファンと、ハウジングを覆うカバーと、ハウジングの一部に取り付けられた電力変換装置と、ハウジングの他の部分に取付けられた制御基板と、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場の送水ラインや製品の一部として組み込まれるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からポンプ装置は、住宅給水や工場内送水、顧客組立製品への組込みと、様々な用途で使用されている。
【0003】
中でも、工場送水や顧客組立製品に組み込む際には配管の途中に組み込むため、ポンプ装置交換の際には、既設ポンプ装置と同等の取付寸法、あるいは同等の外形寸法であることが求められる。さらに、工場送水に用いられるポンプ装置の大部分は、商用電源で最大回転速度の固定速で運転されている。需要水量に応じてポンプを可変速運転する可変速ポンプ装置にすれば、省エネルギを達成できるが、可変速ポンプ装置にするためにはインバータを含む制御盤の設置工事が必要であった。
【0004】
例えば、以下の特許文献1によれば、設備配管を変えることなく取り付けることが可能で、圧力一定制御などの可変速運転制御なポンプ装置が知られている。引用文献1の図1においては、ポンプケーシング内に設けられ羽根車を有するポンプ部と、羽根車11を回転駆動するモータ部とが一体になったポンプ装置において、圧力センサの信号を受けてポンプ部を可変速運転する制御部をモータ部の外側に配置している。
【0005】
また、電動機としては、特許文献2によれば、中容量以上の出力機種における制御装置一体型構造をもつ電動機が知られている。引用文献2の図1には、コントローラ部の制御装置ケースを複数のユニットケースに分割し、ユニットケースは、積み重ねて反負荷側エンドブラケットまたはハウジングに固定される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−41500号公報
【特許文献2】特開平11−27903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、配管取付寸法には互換性があるが、制御部をモータ部の外側に取り付けている分だけ寸法が大きくなり、制御盤を別に設置していた既設ポンプ装置に対し、外形寸法に互換性がない。また、設置スペースが狭い、製品内部に組み込む、など据付条件が厳しい環境においては既設ポンプ装置との交換は不可能である。
【0008】
特許文献2に記載の電動機では、回転電機本体と共に搭載される各種の部品のうち、特に、電力変換装置では、インバータを構成するパワースイッチング素子(例えば、IGBTなど)、その発熱が大きい。そのため、上記特許文献2に開示されたように、回転電機の一方の端部に、その回転軸上に積み重ねて配置された円筒状のケースの内部に搭載した場合、当該インバータ(即ち、そのパワースイッチング素子)の発熱を確実に外部に放熱することは難しかった。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、放熱を確実に行いながら、設備配管や製品構造を変えることなく取り付けることが可能で、圧力一定制御などの可変速運転制御などをポンプ装置単体で行うことができる省スペースの駆動部制御装置一体型ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ポンプケーシング内に設けられ羽根車を有するポンプ部と、前記羽根車を回転駆動する回転電機と、が一体になったポンプ装置において、前記回転電機は、その外周に複数の冷却フィンを有するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられる固定子と、前記回転電機の回転軸に固定され、複数の永久磁石を円筒状に配置して構成された回転子と、回転軸を支持する軸受と、軸受が取り付けられるエンドブラケットと、前記ポンプ部が取付けられる側とは反対側のエンドブラケットの端に取り付けられたファンと、前記ハウジングを覆うカバーと、前記ハウジングの一部に取り付けられた当該回転電機の電機子に駆動電流を供給する電力変換装置と、前記ハウジングの他の部分に取付けられ、外部との入出力を行うと共に前記電力変換装置を介して前記回転電機の動作を制御する制御基板と、を備える構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱に優れ、既設品交換に適した省スペースの駆動部制御装置一体型ポンプ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例であるポンプ装置の全体構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示したポンプ装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施例であるポンプ装置の駆動用の回転電機組立体の全体構成の一実施例を示す外観斜視図である。
【図4】上記ポンプ装置の駆動用の回転電機組立体のカバー内に内蔵される回転電機部分の全体構造を示す展開斜視図である。
【図5】図4に示した回転電機をカバー内に収納する際の各部を示す展開斜視図である。
【図6】上記回転電機組立体において、ハウジングに取り付ける電力変換装置とステータ(電機子)との位置関係の他の例を説明する一部切断斜視図である。
【図7】上記回転電機組立体において、ステータ(電機子)を構成するコアの他の例を示す斜視図である。
【図8】本発明のポンプを複数台使用するときの制御方法のフローチャートである。
【図9】本発明のポンプ装置とポンプ監視場または同種のポンプ装置のマスター機等との通信の説明図である。
【図10】複数台のポンプ装置の接続関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態の詳細について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
まず、図1には、本発明の一実施例である、例えば屋外設置ポンプ装置の全体構成が示されている。この図において、符号1はポンプケーシングを示し、符号10は、回転電機組立体の外周を覆うカバーを示している。符号20は冷却カバーを示す。符号40は、ノイズフィルタ内蔵端子箱を示し、これらポンプケーシング、カバー、ノイズフィルタ内蔵端子箱、および電力変換装置を収納したケースの外形寸法が、既設ポンプ装置である誘導電動機搭載のポンプ装置の外形寸法と同等以下となるように制限し、構成されている。後に説明するように本発明の電動機は、その冷却構造構成及び制御部分の部品の配置構造に特徴を有しており、放熱効果が高く、また、既設ポンプ装置を制御盤を別途有する誘導電動機搭載のポンプ装置とした場合、このポンプ部分の外形寸法と同等以下にすることが可能となる。送水管や製品に影響を与えることなく、駆動部制御装置一体型ポンプ装置に置き換えることができる。
【0015】
図2では、ポンプ装置の断面図を示している。後述する、遠心ファンが回転することにより外部から取り込まれ、カバーを通り、ハウジングの外周表面に多数形成された冷却フィンの間を流れて、空気の流れを考慮したエンドブラケットと一体としたケーシングカバー、またはエンドブラケットを設けている。また、カバー10の内部には回転電機本体が収納されており、回転電機の回転軸(シャフト)56は、ポンプケーシング内に配置された羽根車を回転させるように接続されている。ポンプ部における羽根車の回転軸と、前記回転電機部の回転軸は一致している。
【0016】
図3には、上記図1、図2にて使用される回転電機組立体の全体構成が示されている。即ち、この図において、符号10は、回転電機本体の外周を覆うカバーを示しており、略円筒形状の外形を備えている。このカバー10は、板状の共振抑制材料を、例えば、押圧加工等を行って、所定の形状に形成されている。より具体的には、カバーの内側に吸音材、防音材、制振材、防振材等を取り付けることによって、騒音や振動の抑制が可能になる。
【0017】
上記円筒形カバー10の軸方向における一方の端部(図の奥側)には、後にも説明する遠心ファン21を内蔵する冷却カバー20が取り付けられ、また、他方の端部(図の手前側)には、以下に述べる回転電機のエンドブラケット11が取り付けられている。更に、上記円筒形カバー10の外周面には、後にも説明する電力変換装置を収納したケース(電力変換装置用ケース)30や、その内部にノイズフィルタを内蔵した端子箱(ノイズフィルタ内蔵端子箱)40が、それぞれ、取り付けられている。
【0018】
続いて、図4には、上記カバー10内に内蔵される回転電機部分50の全体構造が、展開図として示されている。この図において、符号51は、所謂、略円筒状のハウジング(又は、「フレーム」とも言う)を示しており、このハウジング51は、例えば、伝熱性(熱伝導性)に優れたアルミニウム等の材料を押し出すことにより形成されている。また、このハウジング51は、図にも示すように、その外周表面の全体には、円筒形の回転軸に沿って並列に延びた多数の冷却フィン52L、52Sを形成している。また、このハウジング51の外周表面の一部(図では、上部)には、上述した電力変換装置(即ち、電力変換装置用ケース)30を取り付けるための比較的大きな面積の平面53を形成しており、その周囲には、水平方向に、比較的大きい(長く延びた)冷却フィン52Lを形成している。
【0019】
なお、この円筒状のハウジング51の内部には、上記永久磁石式回転電機の固定子(ステータ)54を構成する電機子が挿入して固定されると共に、当該電機子54の円筒状の内部空間内には、複数の永久磁石を円筒状に配置して構成された回転子(ロータ)55が挿入され、所定の隙間を介して、回転自在に取り付けられている。また、図における符号56は、上記回転子(ロータ)55と一体に形成されて回転軸(シャフト)であり、回転電機の回転駆動力を、当該軸を介して、例えば、ポンプ等の被駆動機器に伝達する。また、図中の符号57は、上述したエンドブラケット11とは反対側において、ハウジング51の端部に取り付けられたエンドブラケットであり、更に、図中の符号58は、当該エンドブラケット57の外側で上記回転軸(シャフト)56に取り付けられる遠心ファンを示している。
【0020】
更に、図5には、上述した回転電機50を上記図3に示したカバー10の内部に収納する際の各部が、展開図として示されている。即ち、回転電機50は、そのハウジング51の外周表面の一部、例えば、図の例では、下部周辺の比較的短い冷却フィン52が形成されている部分には、その外形断面が略円弧状に形成された制御&I/F基板用ケース60や平滑コンデンサ用ケース70が取り付けられ(又は、固定され)、その後、上記カバー10の内部に挿入される(図の矢印を参照)。また、ハウジング51の平面53には、カバー10の一部に設けられた開口部511を介して、インバータを構成する発熱素子であるパワースイッチング素子(例えば、IGBTなど)を一部に備えた電力変換装置31が、回転電機50のハウジング51の一部に形成された平面53に取り付けられ、その後、その保護のためのカバー(電力変換装置用カバー)30が外側から取り付けられる(図の矢印を参照)。更に、ハウジング51の外周表面の一部には、上述した端子箱(ノイズフィルタ内蔵端子箱)40が取り付けられる(図の矢印を参照)。そして、ハウジング51の他の端部(図の左端)には、上述した冷却カバー20が取り付けられる。また、図中の符号21は、当該冷却カバー20の壁面の略中央部に、多数、メッシュ状に形成した、外部の空気を取り入れるために小孔を示している。
【0021】
即ち、上述した回転電機本体やその周辺装置をも含めた回転電機組立体によれば、回転電機の運転も伴って回転する回転軸(シャフト)56により、その先端に取り付けられた遠心ファン58が回転し、外部からの空気がカバー10の内部に導かれ、ハウジング51の外周表面に多数形成された冷却フィン52の間を流れて熱交換を行ない(上記図4の白抜きの矢印を参照)、その後、他端のエンドブラケット11との間の隙間を通って外部に流出する。即ち、遠心ファン58の回転により生じる空気流により、その外周表面に冷却フィン52が多数形成されたハウジング51が冷却される。
【0022】
なお、電力変換装置31は、上述したように、インバータを構成するため、その内部に発熱素子であるパワースイッチング素子を備えていることから、その発熱量が大きい。しかしながら、本発明によれば、上述したように、電力変換装置31は、回転電機の発熱を外部に排出するために固定子(ステータ)54の外周に一体に設けたハウジング51の一部、即ち、その取り付け用の平面部53に直接的に取り付けられる。このことによれば、電力変換装置31における発熱は、回転電機の発熱(特に、その電機子における発熱)と共に、当該ハウジング51に伝達し、その外周表面の全体において、伝熱性に優れた材料により多数が並列に並ぶように形成された冷却フィン52により、外気に効率的に伝達されることとなる。即ち、回転電機の発熱と共に、電力変換装置31の発熱を、効率良く外部へ排出することが可能となり、もって、電力変換装置の良好な冷却効果が達成されることとなる。
【0023】
特に、上述の実施例では、電力変換装置31が配置される円筒状ハウジング51の上部に形成した取り付け用の平面53の周辺には、水平方向に、比較的大きい(長く延びた)冷却フィン52が形成されていることから、回転電機の発熱と共に電力変換装置31の発熱をも、効率的に、冷却することが可能となる。
【0024】
また、上述したように、本発明によれば、制御&I/F基板用ケース60やコンデンサ用ケース70についても、ハウジング51の外周表面の一部に取り付けられて(固定されて)いることから、これらケースの内部における発熱も、上記と同様に、ハウジング51の外周に形成した冷却フィン52を介して、効率的に外部へ排出することが可能となる。
【0025】
なお、この制御&I/F基板用ケース60とは、その内部に、制御用のコントローラ(例えば、制御用マイコン)と共に、通信用のI/F基板を内蔵し、その内部に樹脂材等を注入したものであり、耐環境性や耐衝撃性にも優れたものである。そして、この制御&I/F基板用ケース60を回転電機の一部に取り付けることによれば、屋外設置ポンプの駆動制御と共に、無線/有線による外部との通信機能をも可能となる。また、これによれば、例えば、制御&I/F基板に、圧力センサ、流量センサ等を搭載することによれば、これらの量をフィードバック信号として自働制御を可能とし、更には、サポートセンサに伝達(通信)することにより、集中管理や統合省エネモニタシステム等も実現可能となる。即ち、これにより、屋外設置ポンプの運転管理や省エネ運転等が可能となると共に、後述のように、遠隔監視制御や集中管理、更には、複数のポンプによるシステム化をも実現することが可能となる。
【0026】
また、コンデンサ用ケース70とは、その内部に、上記電力変換装置31のインバータ回路の一部(部品)を構成する平滑コンデンサを収容したものであり、上記と同様に、その内部に樹脂材等を注入することにより、耐環境性や耐衝撃性を図っている。また、インバータの一部を構成するDCリアクトルは、本例では、上記電力変換装置31の一部に組み込まれているものとして説明したが、このDCリアクトルについても、同様に、専用ケース内に内蔵してハウジング51の外周表面の一部に取り付けてもよい。
【0027】
加えて、本発明では、上記の実施例に代えて、例えば、図6にも示すように、電力変換装置31における発熱部(図のメッシュ部)Hが、上記円筒形状のハウジング51の平面部53上で、その回転中心軸上において、回転電機側の発熱部であるステータ(電機子)54の中心部(図に破線Bで示す)の位置から外れて、例えば、上記冷却カバー20に内蔵された遠心ファン21側に近く位置するように配置する。このことによれば、発熱部が集中することなく分散されることにより、効率的な冷却が可能となる。
【0028】
更には、ステータ(電機子)54として、図7にも示すように、その外周の一部、特に、上述した電力変換装置30が取り付けられるハウジング51の平面部に近接する部分を切り欠いた(カット部541)、所謂、カットコアを採用することもできる。これによれば、発熱部である電力変換装置30とステータ(電機子)54とをカット部分で熱的に分離することにより、ハウジング51による熱の吸収をそれぞれに分離して効率的に冷却することが可能となる。
【0029】
以上のように本発明のポンプ装置によれば、上述した説明からも明らかなように、外周に冷却用のフィンを形成したハウジングをインバータ等の発熱部品の冷却部として直接的に利用し、もって、インバータを含む電力変換装置、そして各種の回路基板、更には、ノイズフィルタやコンデンサをも含めて一体に構成する。即ち、本発明では、永久磁石式モータを採用することにより、モータの寸法としては、誘導電動機の寸法よりも小さくすることが可能となる。そして、電力変換措置及び制御基板等の部品を上述のようにハウジングの周囲に配置することで、その外形寸法を同等の出力性能を持つ、制御盤を別途有する誘導電動機を搭載したポンプ装置の外形寸法と同等以下とするポンプ装置を提供することが可能となる。つまり、既設の誘導電動機を搭載したポンプ装置と置き換えが可能な上、制御盤が不要となり大幅な省スペース化が実現できる。
【0030】
また、外形寸法のみならず、従来の課題であった放熱についても上述のような放熱構造を採用することで高い放熱効果を得ることができ、実用的にも駆動可能なポンプ装置を提供することができる。
【0031】
本発明においては、上述のような特徴を有する駆動部制御装置一体型ポンプ装置であることから、制御盤を別途設置する必要がなく、複数台のポンプ装置に対し、携帯端末やポンプ監視場または同種のポンプ装置のマスター機等から簡単に制御を行うことができる。
【0032】
上記の特長を生かした駆動部制御装置一体型ポンプ装置の制御について図8〜図10を用いて説明する。
【0033】
図8は同種のポンプを複数台使用するときの制御方法のフローチャートである。ポンプ停止中(101)においては、水量が所定の基準よりも増えるか又は圧力が所定の基準よりも下がる場合(102)にポンプの起動が必要であると判断されポンプが1台を起動することとなる(103)。一方、水量が減るような場合(104)は、ポンプの起動の必要はないため、ポンプ停止の状態が継続される(101)。
【0034】
ポンプ1台が運転中の場合(201)においても、水量が所定の基準よりも増えるか又は圧力が所定の基準よりも下がる場合(202)にさらなるポンプの起動が必要であると判断され、さらにポンプを1台を起動することとなる(203)。一方、水量が減るような場合(204)は、ポンプの起動の必要はないため、ポンプ1台停止を停止させる(205)。
【0035】
さらにポンプ2台が運転中の場合(301)においても、水量が所定の基準よりも増えるか又は圧力が所定の基準よりも下がる場合(302)にさらなるポンプの起動が必要であると判断されさらにポンプを1台を起動することとなる(303)。一方、水量が減るような場合(304)は、ポンプ1台停止を停止させる(305)。3台以上についても上記と同様のフローにより制御が行われる。
【0036】
上記のようなポンプの制御は、図9に示すように複数の駆動部制御装置一体型ポンプ装置に対し、ポンプ監視場または同種のポンプ装置のマスター機等から行われる。
【0037】
各ポンプ装置に対し、ポンプ監視場または同種のポンプ装置のマスター機等から、現在の状態の確認、運転開始の指示、運転停止の指示などが送られる。このような指示は、ポンプ装置の制御&I/F基板用に内蔵された無線LANやBluetooth等の無線通信又は制御信号線(有線)により行われる。
【0038】
通信においては、各ポンプ装置に識別番号が割り当てられる。ポンプ装置の制御基板は記憶部を備えており、ポンプ装置固有の識別番号を記憶する領域を持つ。ある決まった数字(例えば0000〜0099)以外のランダムに作成した数字を識別番号とし事前に決められた通信フォーマットに従いデータを送信する。ポンプ監視場または同種のポンプ装置のマスター機等からポンプ装置にデータを送信したものの、返信がない場合には、ランダムに定める時間後に、通信を再送する。返信がある場合には、返信データで指定された識別番号(例えば0000〜0099)をそのポンプ装置の識別番号として使用する。通信がぶつからないようにするためには0000〜0099が割り当てられているポンプ装置は、それぞれが通信を行なった後0000〜0099以外の通信が行うことができるよう一定時間通信を控えるようにする。
【0039】
ポンプ装置故障時には、ポンプ装置側から故障の旨を通信で伝える。ポンプ監視場や,運転台数を管理しているポンプ装置マスター機は故障したポンプ装置があれば、そのポンプ装置は停止させ、代わりのポンプ装置を起動する。
【0040】
また、ポンプ装置を監視する監視装置やポンプ装置が、他のポンプの運転状況(故障中であれば故障の内容)や故障来歴、また、併設されている同種のポンプ装置の台数、同種のポンプ装置の並列可能台数、現在運転しているポンプ装置の台数、及び故障しているポンプ装置の台数を記憶する領域を持つ。携帯端末にこれらの情報を出力することで、1つの監視装置あるいはポンプ装置と通信することで全てのポンプ装置の状況(全体の状況)を把握する事ができる。
【0041】
また、さらに、ポンプ装置の制御基板は、位置情報検出装置(例えば、GPS装置)を持つ場合には、ポンプ装置の設置位置を把握することができ、ポンプ装置の位置毎に複数台のポンプ装置をグループ化して制御することができる。
【0042】
図10は、複数台のポンプ装置の接続関係を示すブロック図である。図10において、1−1、1−4、2−1、2−4、3−1、3−4は、仕切り弁、1−2は、1号機ポンプ部、2−2は、2号機ポンプ装置部、3−2は3号機ポンプ装置部、1−3、2−3、3−3は、逆止弁、1−5は、1号機モータ部、2−5は2号機モータ部、3−5は3号機モータ部、1−6は、1号機電力変換装置、2−6は、2号機電力変換装置、3−6は、3号機電力変換装置、1−7は、1号機制御基板、2−7は2号機制御基板、3−7は3号機制御基板、1−8は1号機無線インターフェース、2−8は2号機無線インターフェース、3−8は3号機無線インターフェースを示す。
【0043】
例えば、携帯端末(図示せず)から、設定したいデータ(データ項目とデータ内容)を送信すると、ポンプ装置の無線インターフェース(1−8,2−8,3−8)を通じて、ポンプ制御データを記憶する記憶部の中に、データが書き込まれる。この場合、データを送信する対象を明確にするために、ポンプの識別番号を、データと共に送る。無線インターフェースや記憶部は、ポンプ装置の制御&I/F基板(1−8,2−8,3−8)の中に組み込まれる。
【0044】
上記の携帯端末は表示装置を備えているのが望ましく、携帯端末での表示は、データ内容そのものではなく、それを変換したもの(例えば0→ポンプ停止、1→ポンプ運転、など)を表示する。携帯端末においては、運転状況や故障来歴を取得した時にも例えば故障内容を表すエラーコードであれば、そのエラーコードが指し示す内容を表示(例えばエラーコード「E1」が「過電流」であれば、表示は「過電流」)のように表示を行う。
【0045】
次に、携帯端末から、運転状況取得の指令を与えると、ポンプ装置の無線インターフェース(1−8,2−8,3−8)を通じて、ポンプ運転データを記憶する記憶部の中から、運転状況データが読み出され、読み出されたデータが、無線インターフェースを通じて携帯端末に送られることとなる。
【0046】
また、携帯端末からポンプを運転する場合、データの設定を行なうのと同じように、運転/停止の指令を与えたり、運転する周波数(モータ回転数)を設定することができる。「運転/停止の『指令』」ではなく、ポンプ装置の運転状態に関するデータ項目を指定し、運転させたい場合は、データに「運転」を設定し、停止させたい場合は、データに「停止」を設定することも可能である。
【0047】
図10に示すようにポンプ装置が3台以上ある場合に、予めポンプ装置に優先順位をつけ、優先順位がもっとも高いポンプ装置をマスタポンプ装置とすることができる。あるいは、ポンプ装置が稼動状態になってから(通電してから)優先順位を、そのポンプ装置の中で決めて優先順位がもっとも高いポンプ装置をマスタポンプ装置とすることができる。
【0048】
以上説明したように、外部との通信が可能なインターフェースを有することにより、制御盤を設けることなく、複数台の駆動部制御装置一体型ポンプを容易に制御することができる。
【符号の説明】
【0049】
1…ポンプケーシング、2…ケーシングカバー、3…ベッド(ポンプベース)、10…カバー、20…冷却カバー、21…遠心ファン、30…電力変換装置用ケース、31…電力変換装置、40…ノイズフィルタ内蔵端子箱、50…回転電機(部分)、51…ハウジング、52L、52S…冷却フィン、54…固定子(ステータ、電機子)、55…回転子(ロータ)、56…回転軸(シャフト)、60…制御&I/F基板用ケース、70…平滑コンデンサ用ケース、541…(コアの)カット部、H…発熱部、B…電機子の中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプケーシング内に設けられ羽根車を有するポンプ部と、
前記羽根車を回転駆動する回転電機と、が一体になったポンプ装置において、
前記回転電機は、
その外周に複数の冷却フィンを有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられる固定子と、
前記回転電機の回転軸に固定され、複数の永久磁石を円筒状に配置して構成された回転子と、
回転軸を支持する軸受と、
前記軸受が取り付けられるエンドブラケットと、
前記ポンプ部が取付けられる側とは反対側のエンドブラケットの端に取り付けられたファンと、
前記ハウジングを覆うカバーと、
前記ハウジングの一部に取り付けられた当該回転電機の電機子に駆動電流を供給する電力変換装置と、
前記ハウジングの他の部分に取付けられ、外部との入出力を行うと共に前記電力変換装置を介して前記回転電機の動作を制御する制御基板と、
を備えることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、前記ハウジング上において、前記電力変換装置は、ハウジングに形成された平面部に取付けられ、前記ハウジングの外周に形成される冷却フィンは、前記平面部における大きさが、その他の部分に形成される冷却フィンよりも大きいことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
前記ファンからの空気は、前記カバーの内側にある前記ハウジングの冷却フィンを通過し、前記ポンプ部と前記回転電機との接続部から外部へ排出されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプ装置において、前記カバーは、外形略円筒状に形成されており、かつ、前記冷却フィンは、当該円筒の回転軸に沿って延長して形成されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のポンプ装置において、ノイズフィルタを内蔵した端子箱を、前記カバーの一部に取り付けたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のポンプ装置において、前記電力変換装置は、前記ハウジングの回転軸方向において、その中心位置を、前記回転電機の電機子の中心位置から外れるように、前記平面部に取り付けられていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のポンプ装置において、前記回転電機の電機子を構成するコアは、前記電力変換装置が取り付けられる前記ハウジングの平面部の近傍にカット部を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項8】
前記制御基板は記憶部を備え、該記憶部は、ポンプ装置固有の識別番号を記憶する領域を持つことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記制御基板は外部と入出力を行う、有線又は無線インターフェイスを備え、
前記有線又は無線インターフェイスを介してポンプ監視場あるいは併設されている同種のポンプ装置との情報の送受信を行い前記ポンプ装置の識別番号を決定することを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項10】
前記記憶部は、少なくとも併設されている同種のポンプ装置の台数、同種のポンプ装置の並列可能台数、現在運転しているポンプ装置の台数、及び故障しているポンプ装置の台数のいずれかを記憶する領域を持つことを特徴とする請求項8に記載のポンプ装置。
【請求項11】
前記制御基板は外部と入出力を行う、有線又は無線インターフェイスを備え、
前記有線又は無線インターフェイスにより、前記記憶部に記載された情報を端末機器に出力できることを特徴とする請求項10に記載のポンプ装置。
【請求項12】
前記制御基板は、位置情報検出装置を持ち、ポンプ装置の設置位置毎に複数台のポンプ装置がグループ化して制御されることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−27184(P2013−27184A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160444(P2011−160444)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】