説明

ポンプ駆動装置

【課題】土壌消毒機に設けた往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結し、該偏心カムを回転駆動させることによって前記往復移動体を介して往復駆動型ポンプを駆動する、従来のポンプ駆動装置においては、揺動クランクの途中部に設けたポンプ吐出量調節用の揺動支点は、螺子杆の回転によって移動するため、吐出量の設定に時間がかかり、作業者の負荷も大きい、という問題があった。
【解決手段】揺動支点41に調節レバー44を連結し、該調節レバー44を揺動クランク40の長手方向にスライド操作させることによって、前記揺動支点41の位置を迅速に移動可能な構成とし、往復移動体37の往復動を制御することで往復駆動型ポンプ29の吐出量を調節する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復駆動型ポンプの吐出量を無段階に制御可能なポンプ駆動装置に関し、特に、土壌消毒機に使用されるダイヤフラム式薬液送出ポンプ等を駆動するためのポンプ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トラクタや管理機に装着される土壌消毒装置にダイヤフラム式薬液送出ポンプ等の往復駆動型ポンプを取り付けた構造が知られており、該往復駆動型ポンプの駆動は、ダイヤフラムに設けた連結ロッド等の往復移動体をカム機構で押し上げ、ばねの弾性力で元の位置まで引き下げ、これを繰り返すことによって行うものであった。そのため、押し上げ時には、ダイヤフラム等だけでなく前記ばねの弾性力にも抗して押し上げねばならず、過大な押し上げ力が必要となり、限られたトルクしかない電気モーター等の原動機においては回転ムラが生じ、更に、引き下げ時には、前記ばねの弾性力だけでは引き下げ力として不十分であり、ポンプ構造によっては最後まで引き下げることができず、あるいは、ばねの応答性が遅く、カム機構が高速駆動すると引き下げ動作が追従できず、その結果、吐出量が一定せず不安定となり精度良い吐出が行えずにポンプ性能が低下する、という問題があった。
そこで、往復駆動型ポンプを駆動する前記往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向に長孔を設け、該長孔内に揺動支点を挿入し、該揺動支点に連結した螺子杆を回動することによって、揺動支点を移動させて往復移動体の上下往復幅を変更し吐出量を無段階に制御する技術(例えば特許文献1)が公知となっている。これにより、往復移動体を戻すためのばねを不要として構造を簡素化すると共に、押し上げ、引き下げを確実に行って回転ムラをなくし、更に、駆動源からの駆動力を確実に往復動に利用することができ、ポンプ性能が向上する。
【特許文献1】特開2002−317768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように揺動クランクの揺動支点を移動させて吐出量を制御する、従来の技術においては、前記揺動支点に螺子杆を螺挿した上で該螺子杆を円周方向に回動させることによって揺動支点を移動させるが、該揺動支点の移動速度は極めて小さい。例えば通常の一条螺子の場合、螺子杆を1回転させても揺動支点は螺子山の1ピッチの分しか進まず、作業前の試運転で正常動作の確認や薬液ホース内等のエアー抜きを行うために往復駆動型ポンプを最大吐出量に設定するのに、螺子杆を何回も回転させねばならず、吐出量の設定に長時間かかり、作業者の負荷も大きい、という問題があった。また、作業中、吐出量を急に変更したい場合や、特定の往復駆動型ポンプのみの吐出を中止したい場合等に、吐出量の変更に時間がかかり過ぎると、その間に土壌へ注入する薬液の不足や過多が発生し、作物の収穫量の減少や品質の低下を招く、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設けたポンプ駆動装置において、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作させることによって、前記揺動支点の位置を迅速に移動可能な構成とし、前記往復移動体の往復動を制御することで往復駆動型ポンプの吐出量を調節するものである。
請求項2においては、前記調節レバーはガイド部材に挿通すると共に、該ガイド部材には固定具を設け、該固定具によって前記調節レバーを所定位置に係止するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1においては、往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設けたポンプ駆動装置において、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作させることによって、前記揺動支点の位置を迅速に移動可能な構成とし、前記往復移動体の往復動を制御することで往復駆動型ポンプの吐出量を調節するので、作業前の試運転で正常動作の確認や薬液ホース内等のエアー抜きを行うために往復駆動型ポンプを最大吐出量に迅速に設定することができ、螺子杆を何回も回転する必要がなくなり、吐出量の設定を短時間で行うことができ、作業者の負荷も軽減することができる。また、作業中、吐出量を急に変更したい場合や、特定の往復駆動型ポンプのみの吐出を中止したい場合等でも、吐出量の変更が迅速に行え、土壌への薬液の供給を過不足なく行うことができ、作物の収穫量の増加や品質の向上を図ることができる。
請求項2においては、前記調節レバーはガイド部材に挿通すると共に、該ガイド部材には固定具を設け、該固定具によって前記調節レバーを所定位置に係止するので、前記揺動支点の移動構造を簡単な構成で形成することができ、ポンプ駆動装置の部品コストを低減すると共にメンテナンス性を向上させることができる。更に、固定具によって調節レバーを所定位置に確実に固定し、走行機体の振動等で調節レバーの固定位置が作業中にずれたりすることがなく、吐出量を所定値に確実に保持することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に関わる土壌消毒機を装着したトラクタの全体構成を示す全体平面図、図2は土壌消毒機の薬液注入部の斜視図、図3は土壌消毒機の薬液供給部の斜視図、図4はダイヤフラム式薬液送出ポンプの側面一部断面図、図5はダイヤフラム式薬液送出ポンプのポンプ駆動装置構成を示す側面一部断面図、図6は同じく底面一部断面図、図7は同じく背面図である。
【0007】
まず、土壌消毒機1を装着する車輌をトラクタ2とし、該トラクタ2の概略構成について、図1、図2により説明する。
図1に示すように、該トラクタ2は走行車輌2aと、該走行車輌2aの後部に連結した装着部2bとから構成され、該走行車輌2aの前部及び後部には、それぞれ前輪3・3及び後輪4・4が懸架されている。そして、該走行車輌2a前部のボンネット5内には、エンジン、バッテリ6等が搭載されると共に、該ボンネット5後方には操向ハンドル7が配置され、該操向ハンドル7の更に後方には作業者が着座する運転席8が配設されている。該運転席8の両側方のサイドコラム9L・9Rには、主変速レバー、PTO変速レバー等の各種操作器具が配設され、該運転席8前方の足元には、フットアクセルペダル、左右ブレーキペダル、主クラッチペダル等が配設されている。
【0008】
図1、図2に示すように、前記装着部2bは、トップリンク10、ロアリンク11・11等より構成され、該トップリンク10、ロアリンク11・11に各種作業機を連結して牽引できるように構成されている。尚、前記土壌消毒機1の車輌には耕耘機等を使用してもよく、トラクタ2に限定されるものではない。
【0009】
次に、このようなトラクタ2に装着した土壌消毒機1の全体構成について、図1乃至図3により説明する。
図1、図2に示すように、土壌消毒機1は薬液を供給する薬液供給部1aと、薬液を土壌内に注入する薬液注入部1bとから構成される。このうちの薬液注入部1bにおいては、前端にトップリンクマスト12・12が設けられ、該トップリンクマスト12・12の上端は、前記トラクタ2の装着部2bのトップリンク10の後部に連結される一方、トップリンクマスト12・12の下端には支持杆13・13の前端が連結固定され、該支持杆13・13の前端から外方に突設した左右のピン14・14に、前記ロアリンク11・11の後端が枢結されている。このようなトップリンク10、ロアリンク11・11、トップリンクマスト12・12を介して、土壌消毒機1の薬液注入部1bをトラクタ2の装着部2bに確実に連結支持して牽引できるようにしている。
【0010】
前記支持杆13・13の後面には、後方に開いた平面視コ字状の取付フレーム15が固設され、該取付フレーム15の左右のアーム部15a・15aの後部間には、鎮圧ローラ16が回転自在に軸支され、薬液注入後の土壌を押圧するように構成している。そして、前記アーム部15a・15aの前端間に連架された連架部15bには、一定間隔をおいて複数の薬液注入爪17・17・・・が配設され、該薬液注入爪17・17・・・の背面には、薬液注入ノズル18・18・・・が所定深さに設定可能に配設されている。
【0011】
図1、図3に示すように、前記薬液供給部1aにおいては、後方に開いた平面視コ字状の支持フレーム19の後端が前記走行車輌2aの前部に固設されると共に、該支持フレーム19の前部上面には、薬液タンク載置台20・20が固設されており、該薬液タンク載置台20・20には薬液タンク21・21が載置されている。
【0012】
前記支持フレーム19を構成する左右のアーム部19aの長手方向中間位置には、支持板22が横架され、該支持板22上に、前記薬液注入ノズル18・18・・・と同数の薬液送出ポンプ23・23・・・が固設されている。該薬液送出ポンプ23・23・・・は前記薬液タンク21・21の直後方に並設されると共に、各薬液送出ポンプ23・23・・・は、往復駆動型ポンプとしてのダイヤフラムポンプと、該ダイヤフラムポンプを駆動するポンプ駆動装置とを有し、該ポンプ駆動装置の駆動源であるモータ24・24・・・は、前記運転席8右側方のサイドコラム9Rに配設したモータスイッチ盤25の各スイッチ25aを操作することによって、駆動の入切ができるようにしている。
【0013】
そして、これらの薬液送出ポンプ23・23・・・と薬液タンク21・21とは吸入ホース26・26・・・を介して連通されると共に、薬液送出ポンプ23・23・・・と前記薬液注入ノズル18・18・・・とは吐出ホース27・27・・・を介して連結されている。
【0014】
次に、本発明に係わるポンプ駆動装置の構成について、図3乃至図7より説明する。
該ポンプ駆動装置28は、前記薬液送出ポンプ23のポンプ駆動ケース30内に設けられ、該ポンプ駆動ケース30の一側の上部に設けられた往復駆動型ポンプのダイヤフラムポンプ29と連結連動されている。なお、ポンプとしては、ダイヤフラム式ではなくプランジャ式でもよく、往復駆動型であれば特には限定されることはない。
【0015】
図4、図7に示すように、前記ダイヤフラムポンプ29においては、ダイヤフラム35が弁取付部材33とダイヤフラム取付部材34とによって上下から挟持して固定され、このうちの弁取付部材33からは、ダイヤフラム35に連通する吸入ポート31と吐出ポート32とが上方に突設され、該吸入ポート31と吐出ポート32とは、それぞれ前記吸入ホース26と吐出ホース27とに接続されている。一方、前記ダイヤフラム35の中央下部からは連結ピン36が垂下され、該連結ピン36には往復移動体である連結ロッド37が連結され、該連結ロッド37の下部が前記ポンプ駆動ケース30内に挿入されている。
【0016】
図3乃至図7に示すように、ポンプ駆動装置28においては、このようなダイヤフラムポンプ29の連結ロッド37の下端が、揺動クランク40の一端上部に枢支軸39を介して枢支され、留め具38によって抜け止めがなされている。この揺動クランク40には、ダイヤフラムポンプ29側に長孔40aが開口され、モータ24側には楕円状孔40bが開口されており、このうちの前記長孔40a内には揺動支点である支点カム41が挿入され、前記楕円状孔40bには偏心カム42が挿入されている。
【0017】
前記支点カム41は、円盤状に形成されると共に、中央に連結軸43を貫通し、該連結軸43に回転自在に枢支されている。そして、該連結軸43の他端側には、取付部43aが一体的に形成され、該取付部43aには、調節レバー44の先部がボルト45によって締結固定されている。更に、該取付部43aの外端は細くなってガイド部43bを形成し、該ガイド部43bは、前記ポンプ駆動ケース30に長穴状に穿設されたガイド孔30aに挿入されている。
【0018】
このポンプ駆動ケース30にはガイド孔30bも穿設され、該ガイド孔30bには、前記連結軸43側が挿入されて外方に延出されている。この連結軸43の延出端には指針48が装着されると共に、該指針48の位置を読み取るための目盛盤47がガイド孔30bに沿って配設されている。そして、これらガイド孔30a・30bは対向して配置されると共に、前記調節レバー44と平行に配設されている。
【0019】
前記調節レバー44は、前記揺動クランク40と平行に配設される一方、前記連結軸43に対しては直角方向に配置されており、その基部はポンプ駆動ケース30に付設したレバーガイド46に枢支されている。該レバーガイド46より外方に突出した調節レバー44は下方に屈曲されてレバー操作部44aを形成している。更に、調節レバー44には、平坦な当接部44bがガイド孔30a側の外周側面に形成されると共に、前記レバーガイド46には、L字状の固定ボルト49の螺挿部49bが前記調節レバー44に対して垂直となるように螺挿されており、該固定ボルト49の把持部49aを回転することにより、螺挿部49bの先端が前記当接部44b側に向かって進退し、調節レバー44を、レバーガイド46の内壁46aとの間に挟持して特定位置に固定したり、逆に内壁46aから離間させて揺動クランク40の長手方向に自由にスライドできるようにしている。なお、前記螺挿部49bの先部も平坦に形成され、前記当接部44bとは面接触可能な構成となっているので、固定ボルト49で調節レバー44を押圧することにより、該調節レバー44を特定位置に安定した状態で固定することができる。
【0020】
また、前記偏心カム42の軸心部には駆動軸50が挿入され、該駆動軸50はキー51によって相対回転不能に連結されている。更に、偏心カム42には、カラー52が外嵌され、該カラー52を介して、前記揺動クランク40の楕円状孔40b内に摺動自在に支持されると共に、カラー52の両側面にはドーナツ状の固定部材53・53が嵌合されており、前記偏心カム42とカラー52とが、揺動クランク40から抜け出ないように固定されている。
【0021】
偏心カム42を貫通した駆動軸50の両側端は、ポンプ駆動ケース30より両外側方に突出されると共に、ポンプ駆動ケース30にベアリング54等によって回転自在に支持されている。そして、該駆動軸50の一端は、ポンプ駆動ケース30の外側面に固設された前記モータ24の出力軸24aに、ボス55を介して連結される一方、駆動軸50の他端には、モータを備えていないポンプ駆動装置を装着する場合に、該ポンプ駆動装置へ動力を伝達可能な連結構造が形成されている。
【0022】
このような構成において、前記固定ボルト49の把持部49aを持って螺挿部49bを回転操作し、該螺挿部49bの先端を前記調節レバー44側面の当接部44bから僅かに離間させた上で、レバー操作部44aを持って調節レバー44を揺動クランク40の長手方向に押し引きしてスライド操作すると、該調節レバー44の先部に固定された取付部43aが、前記ガイド孔30a・30bにガイドされながら揺動クランク40の長手方向に素早く摺動し、同時に、連結軸43に支持された前記支点カム41も短時間で移動される。なお、前記支点カム41の位置は、連結軸43の延出端に装着された指針48の示す位置を目盛盤47で読み取ることで、容易に確認することができる。そして、該目盛盤47等を使って支点カム41を所定位置に移動させた後は、固定ボルト49の把持部49aを持って螺挿部49bを逆方向に回転操作し、該螺挿部49bの先端を前記調節レバー44側面の当接部44bに当てて押圧することによって、調節レバー44を簡単に固定することができる。
【0023】
このように支点カム41を所定位置に固定した後、前記スイッチ25a・25a・・・を入切操作して各モータ24を駆動させると、出力軸24aを介して駆動軸50が回転駆動されて偏心カム42が回転する。すると、該偏心カム42の外周に摺接された揺動クランク40の一端が上下に往復動し、揺動クランク40の他端も前記支点カム41を支点として上下に往復動し、これに伴って、揺動クランク40の他端に連結ロッド37を介して連結されたダイヤフラム35も上下に往復動する。これにより、吸入ポート31と吐出ポート32内に設けた弁が開閉され、薬液の吸入動作と吐出動作が繰り返されるのである。
【0024】
次に、吐出量の調節について説明する。
前記の如く、支点カム41は、調節レバー44を押し引きしてスライド操作することにより長孔40a内を摺動し、揺動クランク40の揺動支点の位置が変更される一方、偏心カム42は、移動できないため、偏心カム42側の上下往復幅は一定となっている。従って、揺動支点となる支点カム41を偏心カム42側に向かって移動させると、揺動クランク40の反対側、すなわち枢支軸39側の上下往復幅が長くなり、ダイヤフラム35内に吸入される薬液の量が増加し、吐出量も増加させることができる。逆に、揺動支点となる支点カム41を偏心カム42から離間させると、枢支軸39側の上下往復幅が短くなり、ダイヤフラム35内に吸入される薬液の量が減少し、吐出量も減少させることができるのである。
【0025】
すなわち、以上のように、往復駆動型ポンプであるダイヤフラムポンプ29を駆動する往復移動体である連結ロッド37に揺動クランク40の一端を連結し、該揺動クランク40の他端に偏心カム42を連結して、該偏心カム42を回転駆動させることによって前記揺動クランク40にクランク運動をさせると共に、前記揺動クランク40の長手方向途中部に揺動支点である支点カム41を設けたポンプ駆動装置28において、該支点カム41に調節レバー44を連結し、該調節レバー44を揺動クランク40の長手方向にスライド操作させることによって、前記支点カム41の位置を迅速に移動可能な構成とし、前記連結ロッド37の往復動を制御することでダイヤフラムポンプ29の吐出量を調節するので、作業前の試運転で正常動作の確認や薬液ホースである吸入ホース26・吐出ホース27内等のエアー抜きを行うためにダイヤフラムポンプ29を最大吐出量に迅速に設定することができ、螺子杆を何回も回転する必要がなくなり、吐出量の設定を短時間で行うことができ、作業者の負荷も軽減することができる。また、作業中、吐出量を急に変更したい場合や、特定のダイヤフラムポンプ29のみの吐出を中止したい場合等でも、吐出量の変更が迅速に行え、土壌への薬液の供給を過不足なく行うことができ、作物の収穫量の増加や品質の向上を図ることができる。
【0026】
更に、前記調節レバー44はガイド部材であるレバーガイド46に挿通すると共に、該レバーガイド46には固定具である固定ボルト49を設け、該固定ボルト49によって前記調節レバー44を所定位置に係止するので、前記揺動支点である支点カム41の移動構造を簡単な構成で形成することができ、ポンプ駆動装置28の部品コストを低減すると共にメンテナンス性を向上させることができる。更に、固定ボルト49によって調節レバー44を所定位置に確実に固定し、走行機体である走行車輌2bの振動等で調節レバー44の固定位置が作業中にずれたりすることがなく、吐出量を所定値に確実に保持することができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明のポンプ駆動装置は、図示したような土壌消毒機の他、化学プラント等の生産設備において、腐食性の高い様々な液体を正確な吐出量で移送するダイヤフラム式やプランジャ式の往復駆動型ポンプの駆動にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に関わる土壌消毒機を装着したトラクタの全体構成を示す全体平面図である。
【図2】土壌消毒機の薬液注入部の斜視図である。
【図3】土壌消毒機の薬液供給部の斜視図である。
【図4】ダイヤフラム式薬液送出ポンプの側面一部断面図である。
【図5】ダイヤフラム式薬液送出ポンプのポンプ駆動装置構成を示す側面一部断面図である。
【図6】同じく底面一部断面図である。
【図7】同じく背面図である。
【符号の説明】
【0029】
28 ポンプ駆動装置
29 往復駆動型ポンプ
37 往復移動体
40 揺動クランク
41 揺動支点
42 偏心カム
44 調節レバー
46 ガイド部材
49 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復駆動型ポンプを駆動する往復移動体に揺動クランクの一端を連結し、該揺動クランクの他端に偏心カムを連結して、該偏心カムを回転駆動させることによって前記揺動クランクにクランク運動をさせると共に、前記揺動クランクの長手方向途中部に揺動支点を設けたポンプ駆動装置において、該揺動支点に調節レバーを連結し、該調節レバーを揺動クランクの長手方向にスライド操作させることによって、前記揺動支点の位置を迅速に移動可能な構成とし、前記往復移動体の往復動を制御することで往復駆動型ポンプの吐出量を調節することを特徴とするポンプ駆動装置。
【請求項2】
前記調節レバーはガイド部材に挿通すると共に、該ガイド部材には固定具を設け、該固定具によって前記調節レバーを所定位置に係止することを特徴とする請求項1記載のポンプ駆動装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−303279(P2007−303279A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129140(P2006−129140)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(597041747)アグリテクノ矢崎株式会社 (56)
【Fターム(参考)】