説明

ポンプ

本発明は、圧送媒体により制御される少なくとも1つのシールド弁を備えたポンプであって、シールド弁が、フレキシブルな材料から成る弁板(4)を有しており、該弁板(4)が中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能であり、該閉鎖位置で前記弁板が(4)少なくとも1つの弁開口(9)を閉鎖している形式のものに関する。本発明によるポンプの特徴は、弁板(4)に、かつ/または該弁板(4)の、弁開口(9)とは反対の側に配置された弁当接面(10)に、該弁当接面(10)に対する弁板(4)の衝撃的な面状の当接を回避しかつ/または弁開放運動を制限するための一体成形部(11)が突設されていることにある。本発明によるポンプは、特にノイズの少ない運転の点ですぐれている(図6参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送媒体により制御される少なくとも1つのシールド弁(Schirmventil)を備えたポンプであって、シールド弁が、フレキシブルな材料から成る弁板を有しており、該弁板が中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能であり、該閉鎖位置で前記弁板が少なくとも1つの弁開口を閉鎖している形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4200838号明細書に基づき既に公知のダイヤフラムポンプでは、流入弁および流出弁が、それぞれ圧送媒体により制御されるシールド弁として形成されている。これらのシールド弁はそれぞれフレキシブルな材料から成る弁板を有しており、この弁板は中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能である。弁板は閉鎖位置では少なくとも1つの弁開口を閉鎖しており、開放位置では少なくとも所定の範囲にわたって、弁開口とは反対の側に配置された弁当接面に当接する。
【0003】
ポンプ運転中での弁板の開閉運動に基づき、この弁板は弁当接面に面状に当接し、そして弁板と弁当接面との間に存在する空気を衝撃的に押しのけるので、耳障りなノイズが発生する恐れがある。
【0004】
したがって特に、冒頭で述べた形式の、少なくとも1つのシールド弁を備えたポンプを改良して、比較的少ないノイズ発生によりすぐれているポンプを提供するという課題が生じる。
【0005】
この課題を解決するための本発明の構成では、冒頭で述べた形式のポンプにおいて、弁板に、かつ/または該弁板の、弁開口とは反対の側に配置された弁当接面に、該弁当接面に対する弁板の衝撃的な面状の当接を回避しかつ/または弁開放運動を制限するための複数の一体成形部が突設されているようにした。
【0006】
本発明によるポンプは少なくとも1つのシールド弁を有しており、このシールド弁では弁板および/または弁当接面に一体成形部が突設されている。これらの一体成形部は、弁板の、弁開口とは反対の側に配置された弁当接面に弁板が面全体で衝撃的に当接されることを回避するために働く。弁板および/または弁当接面に一体成形部が設けられているので、弁当接面に対する弁板の衝撃的な面状の当接が回避され、弁板と弁当接面との間に存在する空気は逃出することができるので、このシールド弁の範囲における耳障りな叩き音ノイズを甘受しなくて済むようになる。
【0007】
本発明の有利な構成では、弁板に設けられた一体成形部が、弁板の板周縁部にウェブ状に突設されていて、シールド弁の、弁当接面を取り囲む範囲を負荷するようになっている。弁板の板周面に突設されたウェブ状の一体成形部により、弁板は場合によっては波形運動の形で弁当接面に当接するので、弁当接面における弁板の衝撃的な跳ね上がりが回避され、ひいては耳障りなノイズ発生も回避される。
【0008】
板全周にわたって弁板のやかましい衝接もしくは跳ね上がりを回避するためには、弁板が、板周縁部にわたってほぼ均一に突設された複数の一体成形部を有していると有利である。
【0009】
弁当接面が弁板を、この弁板の開放位置に対応する板形状で受け止めることができるようにするためには、弁当接面がほぼ円錐状に形成されていると有利である。
【0010】
本発明のさらに別の有利な構成では、弁板の中央範囲がピンによってセンタリングされており、該ピンが、弁板に設けられた中心の孔を貫通している。
【0011】
本発明の特に重要となる有利な改良形では、弁板が、ウェブ状の複数の一体成形部のうちの少なくとも1つの一体成形部を介して、弁板を取り囲むシールリングに結合されており、該シールリングが2つのハウジング部分の間に密に締付け固定されている。本発明のこのような改良形には次のような利点がある。すなわち、開閉運動中に弁板が不本意に回転してしまうことが回避され、そして弁板における相応する摩耗が阻止される。さらに、従来汎用の構成では弁開口を中間カバーとポンプヘッドカバーとの間でシールしていた別個のシールリングを不要にすることができる。さらに、シールリングと弁板とを互いに結合する一体成形部により、このウェブ状の一体成形部にはある程度のプリロードもしくは予荷重が加えられる。このようなプリロードもしくは予荷重は弁板の開放を減速させ、開放距離を減少させ、弁板と弁当接面との間に存在する空気の衝撃的な逃出を回避し、そして耳障りなノイズ発生を付加的に阻止する。
【0012】
この場合、本発明のさらに別の有利な構成では、弁板の開放運動を過剰に妨害しないようにするために、弁板とシールリングとを互いに結合する前記少なくとも1つの一体成形部が、少なくとも所定の区分にわたって板半径に対して直交する横方向にかつ特に渦巻き状もしくはスパイラル状に延びている。
【0013】
シールリングと弁板との間に、通過開口として働く少なくとも1つのギャップが設けられていると特に有利である。
【0014】
本発明のさらに別の特徴は以下に説明する本発明の実施例ならびに特許請求の範囲および図面から明らかになる。
【0015】
図1は、シールド弁として形成された流入弁と流出弁とを有するダイヤフラムポンプの縦断面図であり、
図2は、図1に示したダイヤフラムポンプの流入弁を閉鎖位置で示す断面図であり、
図3は、図2に示したダイヤフラムポンプの流入弁を開放位置で示す断面図であり、
図4は、図2および図3に示したシールド弁の弁板を示す平面図であり、
図5は、図2および図3に対して変えられた形を有する弁板を備えたシールド弁を閉鎖位置で示す断面図であり、
図6は、図5に示したシールド弁をその開放位置で、弁板が弁当接面に少なくとも接近させられた状態で示す断面図であり、
図7は、図5および図6に示したシールド弁の弁板を示す平面図である。
【0016】
図1には、ダイヤフラムポンプ1が図示されている。このダイヤフラムポンプ1の流入弁2および流出弁3はそれぞれシールド弁として形成されている。図1に示したダイヤフラムポンプ1のシールド弁2,3は、圧送媒体により制御される弁板4を有している。この弁板4は中央範囲でポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に締付け固定されていて、ピン7によってセンタリングされている。このピン7は弁板4に設けられた中心の孔8を貫通している。
【0017】
シールド弁2,3の弁板4は閉鎖位置と開放位置との間で運動可能である。弁板4は閉鎖位置では少なくとも1つの弁開口9を閉鎖しており、開放運動時では弁当接面10に向かって運動する。
【0018】
図1〜図4に示したシールド弁の弁板4の弁開放運動を制限し、かつ弁当接面10における弁板4の衝撃的な面状の当接を阻止し、ひいてはこのような当接により生ぜしめられる耳障りなノイズ発生をも阻止するためには、図1〜図4ならびに図5〜図7に図示したシールド弁の弁板4に複数の一体成形部11が設けられている。これらの一体成形部11は弁板4の板周縁部にウェブ状に突設されている。
【0019】
図5および図6から判るように、このシールド弁の弁板4に設けられた一体成形部11はシールド弁の、弁当接面10の輪郭に沿って弁当接面10を取り囲む範囲12を負荷し、この場合、シールド弁の開放運動時における一体成形部11と弁当接面10との間のファーストコンタクトは、まだ弁板4が弁当接面10に当接しないうちに行われるようになる。したがって、弁板4と弁当接面10との間に存在する空気は逃出することができる。これにより弁板4は波形の開放運動を実施することになるので、弁当接面10に対する弁板4の叩打状の当接、ひいてはこれにより生ぜしめられる耳障りなノイズが回避される。
【0020】
図5および図6から判るように、弁当接面10は円錐状に形成されており、したがってこの弁当接面10は開放位置における弁板4の形状にほぼ適合されている。
【0021】
図1〜図4から判るように、図示されたシールド弁の弁板4はウェブ状の一体成形部11を有している。これらの一体成形部11は弁板4と、この弁板4の輪郭に沿って弁板4を取り囲むシールリング13とを互いに結合している。このシールリング13はポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に締付け固定されていて、ポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に位置する分離平面においてシールド弁をシールしている。
【0022】
図4に示した平面図から明らかであるように、弁板4とシールリング13とを互いに結合する一体成形部11は少なくとも所定の区分において、板半径に対して直交する横方向に、かつ特にスパイラル状もしくは渦巻き状に形成されている。これらの一体成形部11はピン7を中心とした弁板4の回転運動を阻止し、ひいては相応する摩耗を阻止し、さらに図3からよく判るように弁開放運動を制限し、この場合、弁当接面10に対する弁板4の、ノイズの多い衝撃的な当接が確実に回避されるようになる。
【0023】
図4から判るように、シールリング13と弁板4との間には、通過開口として働く少なくとも1つのギャップ14が設けられている。
【0024】
図1〜図7に示したシールド弁を備えたポンプは、特にノイズの少ない運転によりすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】シールド弁として形成された流入弁と流出弁とを有するダイヤフラムポンプの縦断面図である。
【0026】
【図2】図1に示したダイヤフラムポンプの流入弁を閉鎖位置で示す断面図である。
【0027】
【図3】図2に示したダイヤフラムポンプの流入弁を開放位置で示す断面図である。
【0028】
【図4】図2および図3に示したシールド弁の弁板を示す平面図である。
【0029】
【図5】図2および図3に対して変えられた形を有する弁板を備えたシールド弁を閉鎖位置で示す断面図である。
【0030】
【図6】図5に示したシールド弁をその開放位置で、弁板が弁当接面に少なくとも接近させられた状態で示す断面図である。
【0031】
【図7】図5および図6に示したシールド弁の弁板を示す平面図である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧送媒体により制御される少なくとも1つのシールド弁(Schirmventil)を備えたポンプであって、シールド弁が、フレキシブルな材料から成る弁板を有しており、該弁板が中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能であり、該閉鎖位置で前記弁板が少なくとも1つの弁開口を閉鎖している形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4200838号明細書に基づき既に公知のダイヤフラムポンプでは、流入弁および流出弁が、それぞれ圧送媒体により制御されるシールド弁として形成されている。これらのシールド弁はそれぞれフレキシブルな材料から成る弁板を有しており、この弁板は中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能である。弁板は閉鎖位置では少なくとも1つの弁開口を閉鎖しており、開放位置では少なくとも所定の範囲にわたって、弁開口とは反対の側に配置された弁当接面に当接する。
【0003】
ポンプ運転中での弁板の開閉運動に基づき、この弁板は弁当接面に面状に当接し、そして弁板と弁当接面との間に存在する空気を衝撃的に押しのけるので、耳障りなノイズが発生する恐れがある。
【0004】
同一出願人による欧州特許出願公開第1126173号明細書に基づき、ポンプヘッドに設けられた少なくとも1つの流入弁と少なくとも1つの流出弁とを備えたポンプが既に公知である。この流入弁と流出弁のうち少なくとも一方の弁は、圧送媒体により制御される弁板を有している。この弁板は弁の閉鎖位置では、ポンプヘッドに設けられた、少なくとも1つの弁開口を取り囲む弁シール面に密に接触する。圧送媒体により制御される弁板を備えた少なくとも1つの弁を有するこのようなポンプでは、既にたとえば1滴または2滴の小さな液体量により、弁板が弁座に「固着」してしまう恐れがあり、また低い絶対圧において圧力差が相応して小さくなると、このように小さな圧力差は弁板を運動させるためには不十分になってしまう恐れがある。このような「固着効果」を阻止するために、欧州特許出願公開第1126173号明細書に記載の構成では、弁板のシール側と、ポンプヘッドの、弁開口を取り囲む弁シール面との間の密な接触個所が、横断面円錐形の環状突出部によってほぼ線状の接触個所として形成されている。それに比べて、望ましくないノイズ形成は欧州特許出願公開第1126173号明細書に記載のポンプに設けられた前記環状突出部を用いても阻止され得ない。
【0005】
国際公開第99/06699号パンフレットに基づき、サクションポンプを用いて湿ったガスを排気するための装置が既に公知である。このサクションポンプのポンプヘッドは排気中に、圧送媒体が常に液状の凝集状態にあるか、または液状の凝集状態へ変えられるように冷却される。この場合、ポンプヘッドに存在する凝縮物または凝縮物フィルムの再蒸発が回避されることが望ましい。なぜならば、再蒸発の場合にはサクションポンプが著しく大きな容量を、相応して一層高い時間手間をかけて搬出しなければならなくなるからである。既に僅かな液体量により、弁板が弁座に「固着」する恐れがあり、しかも低い絶対圧において差圧が相応して小さくなると、このように小さな差圧は弁板を運動させるためには不十分となるので、国際公開第99/06699号パンフレットに記載の構成では、弁板のシール側が、少なくとも1つの弁開口を取り囲む少なくとも1つの環状突出部を有しており、この環状突出部は接触個所に向かって円錐状に先細りになった横断面を有している。しかし、弁板のシール側に設けられたこの環状突出部は、弁板の、弁開口とは反対の側が、ポンプヘッドに設けられた隣接した弁当接面に衝撃的に面状に当接することを阻止することができない。
【0006】
特開昭59−037284号公報に基づき公知の逆止弁は、ポンプにおける流入弁または流出弁としての使用のためには設計されていないし、このような使用のために適してもいない。また、特開昭59−037284号公報に基づき公知の逆止弁も、弁板のシール側に、少なくとも1つの弁開口を取り囲む環状突出部を有しており、この環状突出部は接触個所に向かって円錐状に先細りになった横断面を有している。弁板の、弁開口とは反対の側には、弁当接面が必要されていないので、このような弁当接面は設けられていない。
【0007】
米国特許第3058487号明細書に基づき、中央で保持された弁板を備えた弁が公知である。閉鎖位置では弁板の外側の板周面が、環状開口として形成された弁開口を閉鎖する。弁板はフレキシブルな材料から製造されているので、弁板の、弁開口を閉鎖する板周面は補剛部を有している。この補剛部により、フレキシブルな弁板が弁開口にめり込むことを阻止しようとしている。フレキシブルな弁板の開放運動は、ほぼ円錐状に外方へ拡張した弁板ストッパにより制限される。この弁板ストッパには、弾性的な弁板がやはり衝撃的に面状に当接して、相応するノイズ発生を招く恐れがある。弁板がフレキシブルな材料から製造されていて、環状開口を仕切る壁に面状に当接するので、弁板表側または裏側に別の一体成形部が設けられていることなしに、弁板はこの壁の形状を模造する。
【0008】
したがって、冒頭で述べた形式の、少なくとも1つのシールド弁を備えたポンプを改良して、比較的少ないノイズ発生によりすぐれているポンプを提供するという課題が生じる。
【0009】
この課題は本発明によれば、冒頭で述べた形式のポンプにおいて、請求項1の特徴部に記載の特徴により解決される。
【0010】
本発明によるポンプは少なくとも1つのシールド弁を有しており、このシールド弁では弁板の板周縁部に複数の一体成形部がウェブ状に突設されている。この場合、弁板はウェブ状のこれらの一体成形部のうちの少なくとも1つの一体成形部を介して、弁板を取り囲むシールリングに結合されており、該シールリングが2つのハウジング部分の間に締付け固定されている。弁板とシールリングとを互いに結合するウェブ状の一体成形部により、弁当接面に対する弁板の衝撃的な面状の当接が阻止され、かつ/または弁開放運動が制限される。これにより、弁板と弁当接面との間に存在する空気は逃出することができるので、このシールド弁の範囲における耳障りな叩き音ノイズを甘受しなくて済むようになる。弁板の板周面に突設されたウェブ状の一体成形部により、弁板は場合によっては波形運動の形で弁当接面に当接するので、弁当接面における弁板の衝撃的な跳ね上がりが回避され、ひいては耳障りなノイズ発生も回避される。弁板が、ウェブ状の複数の一体成形部のうちの少なくとも1つの一体成形部を介して、2つのハウジング部分の間に締付け固定されたシールリングに結合されているので、開閉運動中に弁板が不本意に回転してしまうことが回避され、そして弁板における相応する摩耗が阻止される。さらに、従来汎用の構成では弁開口を中間カバーとポンプヘッドカバーとの間でシールしていた別個のシールリングを不要にすることができる。さらに、シールリングと弁板とを互いに結合する一体成形部により、このウェブ状の一体成形部にはある程度のプリロードもしくは予荷重が加えられる。このようなプリロードもしくは予荷重は弁板の開放を減速させ、開放距離を減少させ、弁板と弁当接面との間に存在する空気の衝撃的な逃出を回避し、そして耳障りなノイズ発生を付加的に阻止する。
【0011】
板全周にわたって弁板のやかましい衝接もしくは跳ね上がりを回避するためには、弁板が、板周縁部にわたってほぼ均一に突設された複数の一体成形部を有していると有利である。
【0012】
弁当接面が弁板を、この弁板の開放位置に対応する板形状で受け止めることができるようにするためには、弁当接面がほぼ円錐状に形成されていると有利である。
【0013】
本発明のさらに別の有利な構成では、弁板の中央範囲がピンによってセンタリングされており、該ピンが、弁板に設けられた中心の孔を貫通している。
【0014】
この場合、本発明のさらに別の有利な構成では、弁板の開放運動を過剰に妨害しないようにするために、弁板とシールリングとを互いに結合する前記少なくとも1つの一体成形部が、少なくとも所定の区分にわたって板半径に対して直交する横方向にかつ特に渦巻き状もしくはスパイラル状に延びている。
【0015】
シールリングと弁板との間に、通過開口として働く少なくとも1つのギャップが設けられていると特に有利である。
【0016】
本発明のさらに別の特徴は以下に説明する本発明の実施例ならびに特許請求の範囲および図面から明らかになる。
【0017】
図1は、シールド弁として形成された流入弁と流出弁とを有するダイヤフラムポンプの縦断面図であり、
図2は、図1に示したダイヤフラムポンプの流入弁を閉鎖位置で示す断面図であり、
図3は、図2に示したダイヤフラムポンプの流入弁を開放位置で示す断面図であり、
図4は、図2および図3に示したシールド弁の弁板を示す平面図である。
【0018】
図1には、ダイヤフラムポンプ1が図示されている。このダイヤフラムポンプ1の流入弁2および流出弁3はそれぞれシールド弁として形成されている。図1に示したダイヤフラムポンプ1のシールド弁2,3は、圧送媒体により制御される弁板4を有している。この弁板4は中央範囲でポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に締付け固定されていて、ピン7によってセンタリングされている。このピン7は弁板4に設けられた中心の孔8を貫通している。
【0019】
シールド弁2,3の弁板4は閉鎖位置と開放位置との間で運動可能である。弁板4は閉鎖位置では少なくとも1つの弁開口9を閉鎖しており、開放運動時では弁当接面10に向かって運動する。
【0020】
図1〜図4に示したシールド弁の弁板4の弁開放運動を制限し、かつ弁当接面10における弁板4の衝撃的な面状の当接を阻止し、ひいてはこのような当接により生ぜしめられる耳障りなノイズ発生をも阻止するためには、図1〜図4ならびに図5〜図7に図示したシールド弁の弁板4に複数の一体成形部11が設けられている。これらの一体成形部11は弁板4の板周縁部にウェブ状に突設されている。
【0021】
図1〜図4から判るように、図示されたシールド弁の弁板4はウェブ状の一体成形部11を有している。これらの一体成形部11は弁板4と、この弁板4の輪郭に沿って弁板4を取り囲むシールリング13とを互いに結合している。このシールリング13はポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に締付け固定されていて、ポンプヘッドカバー5と中間カバー6との間に位置する分離平面においてシールド弁をシールしている。
【0022】
図4に示した平面図から明らかであるように、弁板4とシールリング13とを互いに結合する一体成形部11は少なくとも所定の区分において、板半径に対して直交する横方向に、かつ特にスパイラル状もしくは渦巻き状に形成されている。これらの一体成形部11はピン7を中心とした弁板4の回転運動を阻止し、ひいては相応する摩耗を阻止し、さらに図3からよく判るように弁開放運動を制限し、この場合、弁当接面10に対する弁板4の、ノイズの多い衝撃的な当接が確実に回避されるようになる。
【0023】
図4から判るように、シールリング13と弁板4との間には、通過開口として働く少なくとも1つのギャップ14が設けられている。
【0024】
図1〜図7に示したシールド弁を備えたポンプは、特にノイズの少ない運転によりすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】シールド弁として形成された流入弁と流出弁とを有するダイヤフラムポンプの縦断面図である。
【0026】
【図2】図1に示したダイヤフラムポンプの流入弁を閉鎖位置で示す断面図である。
【0027】
【図3】図2に示したダイヤフラムポンプの流入弁を開放位置で示す断面図である。
【0028】
【図4】図2および図3に示したシールド弁の弁板を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧送媒体により制御される少なくとも1つのシールド弁を備えたポンプ(1)であって、シールド弁が、フレキシブルな材料から成る弁板(4)を有しており、該弁板(4)が中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能であり、該閉鎖位置で前記弁板が(4)少なくとも1つの弁開口(9)を閉鎖している形式のものにおいて、弁板(4)に、かつ/または該弁板(4)の、弁開口(9)とは反対の側に配置された弁当接面(10)に、該弁当接面(10)に対する弁板(4)の衝撃的な面状の当接を回避しかつ/または弁開放運動を制限するための一体成形部(11)が突設されていることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
弁板(4)に設けられた一体成形部(11)が、弁板(4)の板周縁部にウェブ状に突設されていて、シールド弁の、弁当接面(10)を取り囲む範囲を負荷するようになっている、請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
弁板(4)が、板周縁部にわたってほぼ均一に突設された複数の一体成形部(11)を有している、請求項1または2記載のポンプ。
【請求項4】
弁当接面(10)がほぼ円錐状に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項5】
弁板(4)の中央範囲がピン(7)によってセンタリングされており、該ピン(7)が、弁板(4)に設けられた中心の孔(8)を貫通している、請求項1から4までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項6】
弁板(4)が、ウェブ状の複数の一体成形部(11)のうちの少なくとも1つの一体成形部(11)を介して、弁板(4)を取り囲むシールリング(13)に結合されており、該シールリング(13)が2つのハウジング部分(5,6)の間に締付け固定されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項7】
弁板(4)とシールリング(13)とを互いに結合する前記少なくとも1つの一体成形部(11)が、少なくとも所定の区分にわたって板半径に対して直交する横方向にかつ特に渦巻き状に延びている、請求項1から6までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項8】
シールリング(13)と弁板(4)との間に、通過開口として働く少なくとも1つのギャップ(14)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のポンプ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧送媒体により制御される少なくとも1つのシールド弁を備えたポンプ(1)であって、シールド弁が、フレキシブルな材料から成る弁板(4)を有しており、該弁板(4)が中央範囲で締付け固定されていて、開放位置と閉鎖位置との間で運動可能であり、該閉鎖位置で前記弁板が(4)少なくとも1つの弁開口(9)を閉鎖している形式のものにおいて、弁板(4)の板周縁部に、弁当接面に対する弁板(4)の衝撃的な面状の当接を回避しかつ/または弁開放運動を制限するための複数の一体成形部(11)がウェブ状に突設されており、弁板(4)が、ウェブ状の複数の一体成形部(11)のうちの少なくとも1つの一体成形部(11)を介して、弁板(4)を取り囲むシールリング(13)に結合されており、該シールリング(13)が2つのハウジング部分(5,6)の間に締付け固定されていることを特徴とするポンプ。
【請求項2】
弁板(4)が、板周縁部にわたってほぼ均一に突設された複数の一体成形部(11)を有している、請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
弁当接面(10)がほぼ円錐状に形成されている、請求項1または2記載のポンプ。
【請求項4】
弁板(4)の中央範囲がピン(7)によってセンタリングされており、該ピン(7)が、弁板(4)に設けられた中心の孔(8)を貫通している、請求項1から3までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項5】
弁板(4)とシールリング(13)とを互いに結合する前記少なくとも1つの一体成形部(11)が、少なくとも所定の区分にわたって板半径に対して直交する横方向にかつ特に渦巻き状に延びている、請求項1から4までのいずれか1項記載のポンプ。
【請求項6】
シールリング(13)と弁板(4)との間に、通過開口として働く少なくとも1つのギャップ(14)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−504020(P2006−504020A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−522160(P2004−522160)
【出願日】平成15年5月14日(2003.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/005044
【国際公開番号】WO2004/010000
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(591049066)カー エヌ エフ ノイベルガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】