説明

マイクロコンピュータおよびマイクロコンピュータの最適化方法

【課題】より短い時間で、動作の最適化を完了するマイクロコンピュータを提供する。
【解決手段】マイクロコンピュータの動作の最適化に用いられる最適化データを格納する不揮発性メモリと、第1クロックに同期して前記不揮発性メモリから、前記不揮発性メモリの動作の最適化に用いられる最適化データであるメモリ最適化データを読み出し、前記メモリ最適化データに基づいて前記不揮発性メモリの動作の最適化を実行する最適化回路とを具備するマイクロコンピュータを構成する。前記最適化回路は、第2クロックに同期して、前記不揮発性メモリから他の最適化データを読み出す。さらに、その場合において、前記最適化回路は、前記第1クロックと前記第2クロックとを選択的に出力するクロック切替え回路を有する構成であることが好ましい。前記クロック切替え回路は、前記不揮発性メモリの最適化の完了に応答して前記第2クロックを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンピュータおよびマイクロコンピュータの最適化方法に関し、特に、不揮発性メモリを内部に搭載するマイクロコンピュータおよびマイクロコンピュータの最適化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の進歩に伴って、単一のチップ内部に複数の回路機能ブロック、特に、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)とメモリ(RAMまたはROM)とを有するマイクロコンピュータが普及している。近年の半導体技術の進歩により、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリなど)を搭載したマイクロコンピュータも供給されてきている。
【0003】
マイクロコンピュータ内部に搭載される不揮発性メモリは、チャージポンプなどのアナログ回路を備えている。アナログ回路は、製造ばらつきにより、その特性もばらついてしまう。したがって、マイクロコンピュータの性能や品質を一定にするのは、内部のCPUが動作する前に不揮発性メモリのデータの読出し/書き込み動作の最適化を行う必要がある。この不揮発性メモリの最適化を行う技術として、特許文献1(特開2003−178589号公報)に記載されている技術が知られている。
【0004】
その特許文献1に記載の不揮発性メモリは、通常のメモリセルアレイに初期設定データ領域に書き込むための初期設定データ領域を設けるとともに、この初期設定データを、電源投入後自動的に、通常のデータ読み出しと同じデコード回路とセンスアンプ回路により読み出して初期設定データラッチ回路に取り込むように構成されている。このような不揮発性メモリでは、初期設定データの量が多い場合や検証動作を行う場合には、電源投入後この初期設定データの読み込みが終了するまでの間の待ち時間が長くなる。
【0005】
この待ち時間を短縮するため、従来の半導体メモリは、メモリ動作条件を規定する初期設定データを記憶するメモリセルアレイと、そのメモリセルアレイのデータの読出し/書き込み及び消去の動作を制御する制御回路と、アドレス信号によりそのメモリセルアレイのメモリセル選択を行うデコード回路と、そのメモリセルアレイのデータを検知増幅するセンスアンプ回路と、そのメモリセルアレイの初期設定データが読み出されて転送保持される初期設定データラッチ回路と、その制御回路の動作タイミングを規定するクロックを発生するクロック発生回路とを備えて構成されている。そして、制御回路は、電源投入後に初期設定データ中に含まれるクロック周期調整データを読み出してクロック発生回路から発生するクロックの周期を調整している。そして制御回路は、その調整されたクロックに基づいて残余の初期設定データを読み出している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−178589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術における初期設定データの読み出し動作は、不揮発性メモリの最適な読出しタイミングが設定される前に実行される。読出しタイミングの最適化(調整)が行われていない不揮発性メモリからデータを読み出すには、リードクロックに周波数の低いクロックを用いる必要がある。
【0008】
ここで、特許文献1に記載の技術をマイクロコンピュータに適用しようとする場合、初期設定データの設定は、電源投入後(または、リセット解除後)からCPUの動作開始までの時間において実行される。マイクロコンピュータは、この時間においては、上述のリードクロック(周波数の低いクロック)に同期して動作している。そのため、マイクロコンピュータの電源投入後(または、リセット解除後)からCPUの動作開始までに長い時間が費やされてしまうことがある。
【0009】
本発明の課題は、より短い時間で、動作の最適化を完了することが可能なマイクロコンピュータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
上記課題を解決するために、マイクロコンピュータ(1)の動作の最適化に用いられる最適化データ(14)を格納する不揮発性メモリ(3)と、第1クロックに同期して前記不揮発性メモリ(3)から、前記不揮発性メモリの動作の最適化に用いられる最適化データであるメモリ最適化データ(図3の(i))を読み出し、前記メモリ最適化データ(図3(i))に基づいて前記不揮発性メモリ(3)の動作の最適化を実行する最適化回路(6)とを具備するマイクロコンピュータ(1)を構成する。そして、前記最適化回路(6)は、第2クロックに同期して、前記不揮発性メモリ(3)から他の最適化データ(不揮発性メモリ以外の装置の最適化データ。例えば、図3の(j))を読み出す。さらに、その場合において、前記最適化回路(6)は、前記第1クロックと前記第2クロックとを選択的に出力するクロック切替え回路(13)を有する構成であることが好ましい。そして、前記クロック切替え回路(13)は、前記不揮発性メモリの最適化の完了に応答して前記第2クロックを出力する。
【0012】
ここで、第1クロックを、最適化が行われる前の不揮発性メモリ(3)からのデータの読出しが確実に実行できるクロックとし、第2クロックを、最適化が完了した不揮発性メモリ(3)からデータの読出しを高速に行えるクロックとする。これによって、マイクロコンピュータの起動時間を短縮させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、より短い時間で動作の最適化を完了することが可能なマイクロコンピュータを構成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態の構成]
以下の、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明を行う。図1は、本発明のマイクロコンピュータの構成を例示する回路図である。以下の実施の形態において、マイクロコンピュータ1は単一のチップで構成されているものとして説明を行う。なお、これは、本発明が適用される半導体装置が、単一のチップに制限されることを意味するものではない。
【0015】
図1を参照すると、本実施の形態におけるマイクロコンピュータ1は、CPU2と、フラッシュマクロ3と、制御ブロック4とを含んで構成されている。また、図1に示されているように、マイクロコンピュータ1は、周辺装置15とテスター16とに接続可能に構成されている。マイクロコンピュータ1は、外部との接続に用いられるシリアルインターフェース11を備え、そのシリアルインターフェース11を介して周辺装置15に接続される。また、マイクロコンピュータ1は、テスト時に使用されるポート10を備えている。ポート10はテスター16に接続可能に構成されている。さらに、マイクロコンピュータ1は、タイマ12を含んで構成されていることが好ましい。
【0016】
周辺装置15は、マイクロコンピュータ1へのコマンドの出力や、マイクロコンピュータ1からのデータの受信を行う回路ブロックである。図1には、一の周辺装置15が示されているが、これは、周辺装置15の数を限定するものではない。テスター16は、マイクロコンピュータ1のテストを実行する外部装置である。
【0017】
図1を参照すると、制御ブロック4は、さらに、フラッシュコントロールブロック5と、CPUインターフェースブロック6と、第1バス7と、第2バス8と、メモリテスタインターフェース9とを含んで構成されている。そのCPUインターフェースブロック6は、クロック切替え回路13を含んで構成されている。また、フラッシュマクロ3は、最適化用データ14を有している。
【0018】
CPU2は、マイクロコンピュータ1の内部(または、外部)の装置の制御を行う演算処理装置である。また、CPU2は、シリアルインターフェース11を介して受信するデータの処理を実行している。
【0019】
フラッシュマクロ3は、書き込み可能な読出し専用メモリである。以下の説明において、フラッシュマクロ3がフラッシュメモリ(一括消去型電気的消去及び書き込み可能な読出し専用メモリ)である場合を例示して説明を行う。なおこの例示は、本発明におけるフラッシュマクロ3が、フラッシュメモリに限定されることを意味するものではない。
【0020】
図1に示されているように、フラッシュマクロ3は、最適化用データ14を備えて構成されている。その最適化用データ14は、マイクロコンピュータ1の動作の最適化を実行するために用いられるデータである。図1を参照すると、最適化用データ14は、フラッシュマクロ3の所定の記憶領域に格納されている。本実施の形態における最適化用データ14は、例えば、フラッシュマクロ3の昇圧回路の設定を行う為に用いられるデータである。
【0021】
制御ブロック4は、CPU2とフラッシュマクロ3との間に設けられた制御ブロックである。図1に示されているように、制御ブロック4は、フラッシュマクロ3に格納されるデータの書き込みおよび消去を行う制御回路であるフラッシュコントロールブロック5と、CPUインターフェースブロック6とを含んで構成されている。また、制御ブロック4は、第1バス7と、第2バス8と、メモリテスタインターフェース9とを含んで構成されている。
【0022】
CPUインターフェースブロック6は、CPU2とフラッシュマクロ3とのインターフェースを行う制御回路である。CPUインターフェースブロック6は、フラッシュマクロ3の読出し制御やCPU2の動作開始前に行われる最適化を実行している。ここで、CPUインターフェースブロック6は、事前に設定すべきレジスタやフラグを含んで構成されている。このレジスタやフラグは、CPU2から直接アクセスされないように構成されていることが好ましい。CPUインターフェースブロック6のクロック切替え回路13は、CPUインターフェースブロック6のクロック生成を行う回路である。ここで、クロック切替え回路13の詳細な構成に関しては後述する。
【0023】
第1バス7は、CPUインターフェースブロック6と所定のレジスタとの間に設けられているバスである。第2バス8は、フラッシュコントロールブロック5とCPU2との間に設けられているバスである。メモリテスタインターフェース9は、テスト時に使用されるインターフェースである。ポート10は、テスター16との接続に使用される接続端子である。
【0024】
図1を参照すると、CPU2は、制御ブロック4に接続され、制御ブロック4はフラッシュマクロ3に接続されている。CPU2は、制御ブロック4を介してフラッシュマクロ3のデータの読出し/書き込み、消去を実行している。さらに詳細には、CPU2は、第2バス8を介してフラッシュコントロールブロック5に接続されている。また、CPU2はCPUインターフェースブロック6に接続されている。さらに、そのフラッシュコントロールブロック5とCPUインターフェースブロック6とは互いに接続されている。CPUインターフェースブロック6は、第1バス7を介して所定のレジスタ(図示されず)に接続されている。
【0025】
マイクロコンピュータ1のポート10は、テスト時にテスター16に接続され、テスター16から供給される信号を受信する。図1に示されているように、ポート10は、メモリテスタインターフェース9に接続されている。ポート10は、テスト時にテスター16から出力される信号をメモリテスタインターフェース9を介してフラッシュコントロールブロック5に供給している。また、タイマ12はCPU2に接続されている。さらにCPU2はシリアルインターフェース11を介して周辺装置15に接続されている。
【0026】
CPUインターフェースブロック6はCPU動作開始前に、フラッシュマクロ3にアクセスして、最適化用データを読出し、フラッシュマクロ3の最適化を実行する。ここで実行されるフラッシュマクロ3の最適化とは、例えば、フラッシュマクロ3が有しているチャージポンプ回路の出力電圧の微調整である。また、フラッシュマクロ3が、そのチャージポンプ回路のスイッチング用クロックを供給する内蔵発振器を備えている場合、その周波数の微調整が実行される。さらに、フラッシュマクロ3からの読み出し用リファレンス電流の調整や、フラッシュマクロ3への書き込み基準電流の調整が行われる。この電流値の調整に対応して、読出し時間、書き込み時間の調整が行われることとなる。CPUインターフェースブロック6は、フラッシュマクロ3の最適化を行った後に、他の回路ブロックの最適化を実行する。フラッシュマクロ3の最適化が完了した後に他の回路ブロックの最適化を実行するため、フラッシュマクロ3からのデータの読出しを高速に行うことができる。そのため、電源投入時(または、リセット解除時)からCPU2の動作開始時までの時間を短縮させることが可能である。
【0027】
図2は、前述したクロック切替え回路13の詳細な構成を例示する回路図である。図2を参照すると、クロック切替え回路13は、第1カウンタ20と、第2カウンタ21と、第1セレクタ22と、3ビットシフトレジスタ23と、第2セレクタ24とを含んで構成されている。図2に示されている第1基準クロック26は、図示されていない発振器(例えば、リングオシレータ)から供給されるクロックである。第1基準クロック26を供給する発振器(以下、第1発振器と呼ぶ)は、短時間で発振を安定させる発振器であることが好ましい。また、第2基準クロック29は、上述の発振器とは異なる図示されていない他の発振器(例えば、他のリングオシレータや水晶発振器)から供給されるクロックである。第2基準クロック29は、第1基準クロック26と比較して精度の良いクロックであることが好ましい。また、第2基準クロック29を供給する発振器(以下、第2発振器と呼ぶ)は、第1発振器に比較して、発振安定までに時間を要する発振器であってもよい。ここで、第1発振器及び第2発振器を備える位置に制限は無い。例えば、それぞれの発振器がマイクロコンピュータ1の内部の所定の場所に備えられ、第1基準クロック26および第2基準クロック29のみクロック切替え回路13に供給される構成であってもよい。また、第1発振器及び第2発振器がマイクロコンピュータ1の外部に備えられていてもよい。
【0028】
以下、図2に示されている各機能ブロックについて説明をする。第1カウンタ20は、入力される第1基準クロック26を2分周して第1分周クロックを生成する分周器である。第2カウンタ21は、入力されるクロックを8分周して第2分周クロックを生成する分周期である。第1セレクタ22は、入力される二つの信号の一方を選択して動作クロック27として出力する選択回路である。第1セレクタ22は、選択信号28に基づいて入力される二つの信号を切り替えている。3ビットシフトレジスタ23は、第1セレクタ22の出力に基づいて選択信号28を生成するシフトレジスタである。図2に示されている3ビットシフトレジスタ23は、第1セレクタ22から出力されるクロックパルスを3ビットカウントしたときに、選択信号28を生成する。3ビットシフトレジスタ23は、その選択信号28を第1セレクタ22に供給する。第1セレクタ22は、その選択信号28に応答して出力するクロックを切り替えている。第2セレクタ24は、第1セレクタ22と同様に、入力される二つの信号を選択的に出力する選択回路である。
【0029】
図2を参照すると、第1カウンタ20は、第1発振器(図示されず)に接続されている。第1カウンタ20の出力端は第2カウンタ21に接続され、第1カウンタ20の出力(第1分周クロック)は第2カウンタ21に供給されている。また、第1カウンタ20の出力端は第1セレクタ22に接続され、第1カウンタ20の出力(第1分周クロック)は第1セレクタ22の第1入力端に供給されている。第2カウンタ21の出力端は、第1セレクタ22に接続され、第1セレクタ22の出力(第2分周クロック)は第1セレクタ22の第2入力端に供給されている。第1セレクタ22の出力端は、第2セレクタ24の第1入力端と3ビットシフトレジスタ23の入力端CLKとに接続されている。また、3ビットシフトレジスタ23の入力端Dは電源線VDDに接続されている。3ビットシフトレジスタ23の出力端は、第1セレクタ22に接続されている。前述したように3ビットシフトレジスタ23は、第1セレクタ22から出力されるクロックパルスを3ビットカウントしたときに、選択信号28を生成して第1セレクタ22に供給している。ここで、本実施の形態の第1セレクタ22は、3ビットシフトレジスタ23から供給される選択信号28が、Higiレベルの場合、動作クロック27として第1分周クロックを出力し、選択信号28がLowレベルの場合、動作クロック27として第2分周クロックを出力するものとする。
【0030】
第2セレクタ24は、第2発振器(図示されず)に接続され、第2基準クロック29が供給されている。第2セレクタ24は、最適化用データ14に基づく最適化が完了したときに、出力信号を動作クロック27から第2基準クロック29に切り替えている。また、第1カウンタ20と、第2カウンタ21と、3ビットシフトレジスタ23は、それぞれリセット信号入力端子を備えている。そのリセット信号入力端子にはリセット信号25が供給されている。
【0031】
図2に示されているように、第1分周クロックは、第1基準クロック26を2分周したクロックであり、第2分周クロックは、その第1分周クロックを8分周したクロック、つまり、第1基準クロック26を16分周したクロックである。リセット信号25は、第1カウンタ20、第2カウンタ21および3ビットシフトレジスタ23はリセット状態を維持するためにLowレベルを供給する。つまり、リセット信号25がHighレベルになると、リセット状態が解除され、第1カウンタ20、第2カウンタ21および3ビットシフトレジスタ23はその動作を開始する。
【0032】
リセット解除に応答して、第2分周クロックが動作クロック27として出力される。リセット解除直後は、この第2分周クロックが動作クロックとなる。動作クロック27のクロックパルスが3つ3ビットシフトレジスタ23に入力されると、選択信号28がHigiレベルになる。第1セレクタ22は、そのHighレベルの選択信号28に応答して、第1分周クロックを選択して動作クロック27として出力する。この後は、CPU動作開始まで第1分周クロックが動作クロックとして供給される。
【0033】
[実施の形態の動作]
図3は、リセット解除後からCPUが動作を開始するまでのクロック切替え回路13の動作を例示するタイミングチャートである。図3の(a)は、リセット信号25の時間変化を示す波形図である。図3の(b)は、マイクロコンピュータ1に備えられる周辺装置のリセットを行う周辺リセット信号の時間変化を示す波形図である。図3の(c)は、動作クロック27の時間変化を示す波形図である。図3の(d)は、選択信号28の時間変化を示す波形図である。図3の(e)は、フラッシュマクロ3のアドレスを示す波形図である。図3の(f)は、フラッシュマクロ3の最適化用データ(フラッシュマクロ3の初期設定用データ)が格納されている領域を指定する制御信号EXの時間変化を示す波形図である。図3の(g)は、フラッシュマクロ3の読み出しクロックRDCKの時間変化を示す波形図である。図3の(h)は、フラッシュマクロ3のデータを示す波形図である。図3の(i)は、フラッシュマクロ3の最適化を行うための最適化用データを示す波形図である。図3の(j)は、フラッシュマクロ3以外の最適化を行うための最適化用データを示す波形図である。図3の(k)は、ユーザが個々に設定するオプションデータを示す波形図である。
【0034】
時刻t01において、リセット信号25がLowレベルからHighレベルになると、リセットが解除される。このとき、3ビットシフトレジスタ23の出力(選択信号28:図3の(d))はLowレベルである。従って、第2分周クロックが動作クロック27として出力される。CPUインターフェースブロック6は、このクロックに同期してフラッシュマクロ3のアドレスおよび制御信号EXを生成する(図3の(e)、(f))。CPUインターフェースブロック6が最初に読み出すアドレスは、フラッシュマクロ3の性能を最適に設定する最適化用データ14が格納されているアドレスである。このアドレスのデータが、読み出しクロックRDCKの立ち下がり(時刻t06)で読み出され、その次の動作クロック27の立ち下がり(時刻t07)で所定のレジスタにセットされる(図3の(g)、(c)、(i))。
【0035】
また、このとき3ビットシフトレジスタ23は第2分周クロックをクロックとしてHighレベルを取りこんでいく。3ビットシフトレジスタ23は、時刻t07におけるクロックの立ち下がりで、Highレベルの選択信号28を生成して第1セレクタ22に供給する。第1セレクタ22は、このHighレベルの選択信号28に応答して第1分周クロックを動作クロックとして出力する。このときには、フラッシュマクロ3の最適化が完了しているので、時刻t08以降、第1分周クロック(第1基準クロック26を2分周したクロック)を読出しクロックとしてフラッシュマクロ3からのデータの読出しが可能になる。
【0036】
以降、フラッシュマクロ3以外の装置の最適化データが読み出され、設定される(図3の(j)、(k))。各装置の最適化が完了すると、周辺リセットが解除され(時刻t17)、CPUやその他の周辺装置が、最適化された値に基づいて動作を開始する。このとき、第2セレクタ24は周辺リセット信号に応答して第2基準クロック29を出力する。
【0037】
このように、本実施の形態のCPUインターフェースブロック6は、電源投入時(または、リセット解除時)において、まず最初にフラッシュマクロ3からのデータの読出しが確実に実行できるクロックに同期して、フラッシュマクロ3の最適化を実行する。そしてCPUインターフェースブロック6は、フラッシュマクロ3の最適化完了に応答して、読出しクロックを周波数の高いクロックに切り替えて、フラッシュマクロ3以外の装置の最適化を実行する。マイクロコンピュータ1は、最適化の完了に応答してCPU2の動作を開始する。これにより、電源投入時(または、リセット解除時)からCPUの動作開始までの時間を短縮させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明のマイクロコンピュータの構成を例示する回路図である。
【図2】図2は、クロック切替え回路13の詳細な構成を例示する回路図である。
【図3】図3は、本実施の形態のマイクロコンピュータ1の動作を例示するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1…マイクロコンピュータ
2…CPU
3…フラッシュマクロ(フラッシュメモリ)
4…制御ブロック
5…フラッシュコントロールブロック
6…CPUインターフェースブロック
7…第1バス
8…第2バス
9…メモリインターフェース
10…ポート
11…シリアルインターフェース
12…タイマ
13…クロック切替え回路
14…最適化用データ
15…周辺装置
16…テスター
20…第1カウンタ
21…第2カウンタ
22…第1セレクタ
23…3ビットシフトレジスタ
24…第2カウンタ
25…リセット信号
26…第1基準クロック
27…動作クロック
28…選択信号
29…第2基準クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータの動作の最適化に用いられる最適化データを格納する不揮発性メモリと、
第1クロックに同期して前記不揮発性メモリから、前記不揮発性メモリの動作の最適化に用いられる最適化データであるメモリ最適化データを読み出し、前記メモリ最適化データに基づいて前記不揮発性メモリの動作の最適化を実行する最適化回路と
を具備し、
前記最適化回路は、第2クロックに同期して、前記不揮発性メモリから他の最適化データを読み出す
マイクロコンピュータ。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロコンピュータにおいて、
前記最適化回路は、前記第1クロックと前記第2クロックとを選択的に出力するクロック切替え回路を有し、
前記クロック切替え回路は、前記不揮発性メモリの最適化の完了に応答して前記第2クロックを出力する
マイクロコンピュータ。
【請求項3】
請求項2に記載のマイクロコンピュータにおいて、
前記クロック切替え回路は、
基準クロックを分周して前記第2クロックを生成する第1カウンタと、
前記第2クロックをさらに分周して前記第1クロックを生成する第2カウンタと、
前記第1クロックと前記第2クロックとを選択的に出力するセレクタと、
前記不揮発性メモリの最適化の完了に応答して選択信号を生成するシフトレジスタと
を含み、
前記セレクタは、前記選択信号に応答して前記第1クロックを前記第2クロックに切り替えて出力する
マイクロコンピュータ。
【請求項4】
請求項3に記載のマクロコンピュータにおいて、さらに、
前記基準クロックを生成する第1発振器と、
前記クロック切替え回路に、前記基準クロックより精度の高い他の基準クロックを供給する第2発振器と、
CPUと
を備え、
前記クロック切替え回路は、
前記他の最適化データに基づいて実行される最適化が完了することに応答して、前記第2クロックの出力を停止して前記他の基準クロックを出力し、
前記CPUは、前記クロック切替え回路から出力される前記第2基準クロックに同期して動作する
マイクロコンピュータ。
【請求項5】
請求項6記載のマクロコンピュータにおいて、
前記第1発振器は、電源投入時から第1発振安定時間で前記基準クロックを安定させ、
前記第2発振器は、電源投入時から第2発振安定時間で前記他の基準クロックを安定させ、
前記第1発振安定時間は、前記第2発振安定時間より短い時間である
マイクロコンピュータ。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロコンピュータにおいて、
前記シフトレジスタは、前記セレクタから出力されるパルスが所定の数に達したときに前記選択信号を出力し、
前記セレクタは、前記選択信号に応答して、出力クロックを前記第1クロックから前記第2クロックに切り替える
マイクロコンピュータ。
【請求項7】
第1のクロックに応答してメモリから前記メモリの最適化データを読み出して設定し、前記メモリの最適化データの設定が終了した後、前記第1のクロックよりも高速な第2のクロックで前記メモリ以外の回路ブロックに対する最適化データを、前記メモリから読み出して設定する制御回路を備えることを特徴とするマイクロコンピュータ。
【請求項8】
前記制御回路は、前記回路ブロックに対する最適化データを前記メモリから読み出して設定した後に、前記第2のクロックよりも高速な第3のクロックをCPUに供給し、
前記CPUは、前記第3のクロックに同期して動作を開始することを特徴とする請求項7に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項9】
前記第1のクロック及び前記第2のクロックは、前記第3のクロックよりも電源投入時から安定化までの時間が短い発振器によって生成されていることを特徴とする請求項8または10に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項10】
前記メモリは、不揮発性メモリによって構成されていることを特徴とする請求項7乃至9に記載のマイクロコンピュータ。
【請求項11】
基準クロックを分周して第1クロックを生成するステップと、
前記第1クロックをさらに分周して第2分周クロックを生成するステップと、
前記第1クロックに同期して不揮発性メモリから、前記不揮発性メモリの動作の最適化に用いられる最適化データであるメモリ最適化データを読み出すステップと、
前記メモリ最適化データに基づいて前記不揮発性メモリの動作の最適化を実行するステップと、
前記不揮発性メモリの動作の最適化の完了に応答して、前記第2クロックに同期して、前記不揮発性メモリから前記不揮発性メモリ以外の装置の最適化データを読み出すステップ
を具備するマイクロコンピュータの最適化方法。
【請求項12】
請求項11に記載のマクロコンピュータの最適化方法において、さらに、
基準クロックを生成するステップと、
前記基準クロックより精度の高い他の基準クロックを生成するステップと、
前記前記不揮発性メモリ以外の装置の最適化が完了することに応答して、前記第2クロックの出力を停止して前記他の基準クロックを出力するステップと、
前記第2基準クロックに同期してCPUを動作するステップ
を具備するマイクロコンピュータの最適化方法であって、
前記基準クロックは、電源投入時から第1発振安定時間で発振が安定するクロックであり、
前記他の基準クロックは、電源投入時から第2発振安定時間で発振が安定するクロックであり、
前記第1発振安定時間は、前記第2発振安定時間より短い時間である
マイクロコンピュータの最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−209451(P2006−209451A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20447(P2005−20447)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000232036)NECマイクロシステム株式会社 (72)
【Fターム(参考)】