マイクロフォン装置
本発明はデスクトップ通信システム用の新マイクロフォン組立体を開示する。該システムは、該マイクロフォンを好ましくない機械的又は音響的影響に曝すことなく、デスクトップ会議システムに於ける方向性マイクロフォンの利点を利用する。これは該マイクロフォン組立体を機械的に制御された堅牢な方法でシステムの前部の基部内に作ることにより達成される。本発明の該マイクロフォン組立体は、拡声器の方向のマイクロフォン感度を同時に最小化しながら近域端ユーザーの方向のマイクロフォン感度を最大化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は拡声器利用会議の端末用マイクロフォン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビデオ会議の端末はシャシー又はラック内に集積化されたコーデック、カメラ、ビデオディスプレー、拡声器及びマイクロフォンを有する。会議及び重役会議室で使用する大型端末では、オーディオ機器が別々に設置される。マイクロフォンは、オーディオレコーダーを音源近くに持って来るために会議テーブル上に置かれる場合が多い。
【0003】
しかしながら、デスクトップターミナルとも呼ばれる、個人用ビデオ会議の端末は、大型端末又は従来の電話システムの代わり又は補足として今やオフィスで益々一般的に成りつつある。個人用機器はより携帯し易く、テーブル上でユーザー近くに置かれそうである。かくして、マイクロフォンを含む1端末に属する全機器は1装置内に集積化される。
【0004】
通信システム内のマイクロフォンは最高品質と適切な感度でユーザー{近域端ユーザーと呼ばれる}から音声を採取すべきである。しかしながら、デスクトップシステムは比較的小さく、全部品(マイクロフォン及びスピーカーを含む)が1装置内に集積される事実のために、マイクロフォンは拡声器の比較的近くに位置付けられねばならない。これは下記で論ずる幾つかのオーディオ問題を示唆する。
【0005】
フリーハンド操作(拡声器モード)用の、集積化された拡声器(複数を含む)及びマイクロフォン(複数を含む)を有するデスクトップ遠隔通信ターミナル(ビデオ会議システム、アイピー電話、又は何等かの拡声器利用集積化通信システム)、はフィードバックと呼ばれる効果を経験する。フィードバックは拡声器からの音がマイクロフォンにより採取される結果である。フィードバックは数多くの理由で通信システムでは非常に嫌われている。
【0006】
何よりも、フィードバックは通信にエコー(音声のループ戻り)を引き起こし、その場合、ユーザーは彼/彼女自身の音声の遅延版を聞くことになる。通信システム内のエコーは非常に混乱を引き起こし、特に大きな遅延が伴う時然りである。エコーにより引き起こされる通信品質の主観的劣化は、エコーのレベル及び遅延を含む幾つかの要因に左右される。図1は基本的エコー問題を図解する。
【0007】
第2に、フィードバックは拡声器に最大許容出力レベルについての制限を課し、該制限は近域端ユーザーにとって遠隔端ユーザーが聞こえ難い結果をもたらす。既述の様に、デスクトップシステムは寸法がコンパクトであることが多く、それは拡声器がマイクロフォンの近くに、大抵多くは近域端ユーザーとマイクロフォンの間の距離よりもマイクロフォンに近く、置かれねばならぬことを意味する。従って、該拡声器からの音レベルは該近域端ユーザーからの音レベル(スピーチ)より強力なことが多い。もし該拡声器からの音レベルが余りに高いなら、該レベルはマイクロフォンを過負荷状態(音響的過負荷)にするか、或いは回路を過負荷状態(電気的過負荷)にして、該過負荷はマイクロフォン信号の歪みをもたらす。従って、マイクロフォンにより採取された拡声器からの音レベルは、オーディオ回路の設計、オーディオ信号処理、及び拡声器からの許容最大レベルを制限する。
【0008】
拡声器信号は遠隔端の言葉、及び近域端システムにより発生される音、例えばキー音、電話呼び出し音等、から成る。拡声器信号はマイクロフォンにより採取され、該遠隔端へ
送り返される。一般に、該拡声器信号は遠隔端へ送られるマイクロフォン信号内では望ましくない。該取り込まれる拡声器信号(エコーと呼ばれる)は、該エコーのレベル及び/又は遅延が通信内に重要な混乱を引き起こす程充分大きいなら、該マイクロフォン信号から除去、又は抑制されねばならない。これは良く開発された技術であり、音響エコー打ち消し及び/エコー抑制アルゴリズムは、大抵のデジタルアイピーベース通信システムに組み入れられている。
【0009】
従って、拡声器利用ハンドフリーモード付き集積化通信システムのマイクロフォン及び拡声器設計の目標は、拡声器(複数を含む)からマイクロフォン(複数を含む)への音響的フィードバックレベルを同時に最小にしながら、可能な最良の近域端音採取(近域端ユーザーからの音、例えばスピーチ)を用意することである。これは該遠隔端へ送られる信号の可能な最良の品質を用意し、そして近域端ユーザーの利益のために、近域端拡声器のレベルも最高にされ得る。又エコー打ち消し及び抑制アルゴリズムも拡声器からマイクロフォンへの音響フィードバックが最小になることから有利で、マイクロフォン及びオーディオ回路を過負荷にする危険は減じられる。マイクロフォンとオーディオ回路が過負荷とならないことを保証するためデジタル信号処理が使われることが多い。最大拡声器信号はダイナミック処理の分野の公知の技術で制限される。
【0010】
音響的フィードバックは拡声器からマイクロフォンまでの距離を増加することにより減じられる。しかしながら、集積化システムの物理的寸法は最大距離を指示する。加えて、他の配慮は、可能な最大距離より拡声器に接近してマイクロフォンを置くことを要求するかも知れない。1例は、スピーチのテーブル反射により引き起こされる、くし形フィルター効果が避けられるならば、マイクロフォンはテーブル面に非常に近く置かれる必要があることである。これは集積化デスクトップシステムの音響フィードバックに関しては最適配置ではない。
【0011】
1つ以上の方向でのマイクロフォン感度を最高にして、拡声器の方への感度を最小化又は減少させるために、方向性マイクロフォンが使用されることも可能であり、電話通信及び会議機器で普通に使われている。例えば、ポリコムサウンドステーションテーエム(Polycom Soundstation TM)シリーズはこの様なマイクロフォンを使っている。しかしながら、方向性マイクロフォン要素の物理的特性は、音波がマイクロフォンの前部及び後部の両者に到達出来ねばならないことを要する。従って、該要素は製品の開いた音響空間内に、典型的にはマイクロフォンを過ぎる空気の自由流れを可能にする、その機構のパーフォレートされた範囲の下に、設置される。これはスペースを要する、壊れやすい設置となり、マイクロフォンの方向性の動作の調整又は最適化に関し非常に柔軟性があるとは言えない。
【0012】
更に、方向性マイクロフォンは、音が該マイクロフォンの真後ろから入る時にのみ効果的に音を抑制する。これはデスクトップシステムでは得難いことである。
【0013】
音響品質の要求は、通信システムがより高いバンド幅のオーディオを使うにつれて、高まっている。又音響的エコー及びフィードバック制御はデスクトップシステム用では重要な課題である。従って、マイクロフォンの設計、配置及び組立は音響品質の最適化のための重要要因である。
【0014】
本発明は、集積化拡声器の方向の感度を同時に最低にして、かくしてフィードバックを最低にしながら、近域端のユーザーの方向のマイクロフォン感度を最高にする方法で、通信システム内に方向性マイクロフォン要素を組み入れる新しい方法を提案する。又方向性マイクロフォンの利用は周囲ノイズと残響採取とを減じる。
【特許文献1】米国特許出願公開第11/239,042号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は上述の欠点を最小化する配備と、この様な配備の使用法を提供することである。一緒に綴じられた独立請求項で規定された特徴は本システムと該システムの使用法を特徴付ける。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明をより容易に理解可能にするために、下記論議は付随する図面を参照する。
【図1】基本的エコー問題を図解する。
【図2】典型的単方向性心臓形マイクロフォン要素のポーラー応答である。
【図3】単方向性マイクロフォンの自由場応答のプロットである。
【図4】デスクトップ通信ターミナルの本発明のマイクロフォン組立体の略図である。
【図5A−5B】拡声器及び近域端ユーザーからの音の入射角と図解する。
【図6A−6B】本発明の1実施例のマイクロフォンハウジングの略図である。
【図7A−7B】本発明の1実施例のマイクロフォンハウジングの平面図である。
【図8】本発明の1実施例のマイクロフォン組立体を有する典型的ユーザー位置からの(多方向性及び単方向性)マイクロフォン応答である。
【図9】内部拡声器から、本発明の1実施例によるマイクロフォン組立体を有する校正済み単方向性及び多方向性マイクロフォンからのフィードバック応答を示す。
【実施例1】
【0017】
下記では、本発明は、好ましい実施例を説明し、付随図面を参照することにより論じられる。当業者が他の応用と変型を実現するであろうが、それらは本書内の独立請求項に規定された本発明の範囲内に入ることになる。
【0018】
本発明はデスクトップ遠隔通信ターミナル用の新発明のマイクロフォン組立体を開示する。それは心臓形指向性パターンを有する従来の在庫型方向性エレクトレットコンデンサーマイクロフォン要素を利用する。この種のマイクロフォンは該要素の前部及び後部の両者に音響入力ポートを有し、該要素はその内部設計と一緒になって該マイクロフォンに方向性動作を与える。該マイクロフォンの方向性動作は、近域端ユーザーの方向の感度を最大化し、製品の集積化拡声器の方向の感度を最小にする制御された方法で、該マイクロフォンの前部及び後部へ音を導くことにより変型される。これは、同調型音響導波管を使って、機械的に制御される、強固な方法で、該ポートを該システムの前部の基部内に作ることにより達成される。この仕方で、方向性マイクロフォンの前部及び後部で受けた音の間の時間遅延は音質を最適化するよう制御されてもよい。
【0019】
図2は典型的心臓形マイクロフォン201の方向性パターン202を示す。心臓形マイクロフォン201は方向性マイクロフォンであり、前進方向(0°)で最大感度、背後方向(180°)で最小感度、そして90°で該最大感度の約半分を有する。これは形状、内部設計、及び心臓形マイクロフォン要素201の動作原理から生じる。方向性マイクロフォンは前部及び後部の両者に音響入力ポートを有する。該音響入力ポートは有効距離“
d”だけ分離されており、該有効距離は音波が1つの音響入力ポートからもう1つまで行く際に該方向性マイクロフォンの周りを通らねばならない距離を表す。該マイクロフォン内のダイアフラムの動きは該マイクロフォンの出力部で電圧に変換される。該方向性マイクロフォンの電圧出力の大きさは、ダイアフラムの相対する側での音圧の瞬時差の関数である。距離“d”が小さくなる程、該方向性マイクロフォンからの出力電圧も小さくなる。室温の空気中の音速は毎秒約343.8m(1128フィート)なので、f=2250Hzの可聴信号は約15cmの波長を有する。かくして、例え小さな分離距離でも音響入力ポート間で充分な位相差を提供するので、該方向性マイクロフォンは図2に示す様なポーラー応答パターンを有する。従って、マイクロフォン201の感度は音波の入射角度により変わる。前方音入射(0°で該マイクロフォンの前に配置された音源203からの音)は、前部音入力ポートに達する音に対する、該マイクロフォンの後部音響入力ポートに達する音の遅延へ導く。対応して、マイクロフォン要素の後ろ側からの入射は、該マイクロフォン201の後部入力ポートに達する音に対する、前部入力ポートへの音の遅延へ導く。
【0020】
図3は前部(0°)301及び後部(180°)302音入射の心臓型マイクロフォンの典型的自由場周波数応答を示す。該図から見られる様に、0°で入射する音信号の周波数応答は180°で入射する音信号より15dB強い。
【0021】
本発明の1実施例に依れば、自由場に対し、1つ以上の点源からマイクロフォンの後部音響入力ポートへ進む音波の音響距離を変え、それによりマイクロフォンの指向性パターンを変型させるマイクロフォン組立体が開示される。該マイクロフォン組立体は、例えこれらの方向が180度隔てられてなくても、該マイクロフォン応答を、1方向の最大感度用に最適化し、同時にもう1つの方向の感度を最小化する。(変型されない心臓型マイクロフォン自由場応答の場合、最大及び最小感度の方向は180度だけ隔てられる。)
背景技術の節で述べた様に、拡声器とマイクロフォンの間の距離を最大化するのが望ましい。本発明の1実施例に依れば、図4に示す様に、マイクロフォンはデスクトップ遠隔通信ターミナル401の下部コーナー内に設置される。該マイクロフォン201は、くし形フィルター効果を最小化するよう機械的に制御された方法で該ターミナルの前部のデスクトップ面又はテーブル頂部に非常に近く置かれる。これは特許文献1で論じられる。拡声器204は該ターミナルの反対側に設置される。更に、該拡声器204は、該近域端ユーザーと拡声器204の間の距離が該近域端ユーザーと該マイクロフォン201の間の距離より長くなる仕方で、該マイクロフォン201の後に配置された面上に設置されるのが好ましい。図で見られる様に、この様なターミナル401内のマイクロフォン201と拡声器204の間の最大距離は図解された対角線の隔たりである。
【0022】
図5Aは平面斜視図での図4のデスクトップ通信ターミナル401と近域端ユーザー203の略図である。もし該マイクロフォン201がデスクトップ401上の中心(そして非常に低く)のこの位置(自由場)に妨げられずに設置されるなら、近域端ユーザー203からの音の入射角502は心臓形マイクロフォン201の減じられた感度を有する範囲であろう。更に、該拡声器204からの音の入射角501は方向性マイクロフォン201の著しく減じられた感度を有する範囲にあり、これも又フィードバックを減じる。しかしながら、図で見られる様に、拡声器音方向501とユーザー音方向502の間の分離は約90度に過ぎず、それは理想的180度分離から遠い。
【0023】
図6及び7は本発明の1実施例に依る単方向性マイクロフォン要素201用ハウジング601の略図である。該マイクロフォン201は、上記で論じた様に、テーブル上でデスクトップシステムを支持するデスクトップ基部内に閉じ込められる。該マイクロフォンハウジング601は該デスクトップ基部内に集積化されるべき別部品であってもよく、或いはデスクトップ基部自身が該マイクロフォンハウジング601として役立ってもよい。音
響導波管602は該ハウジングの第1面から該ハウジング内の空洞603内へ延びている。
【0024】
図6A、6B、7A及び7Bで示す様に、該空洞603は該ハウジングの前面605から延びるので、従って方向性マイクロフォン201を受けるために該ハウジング内に開口部を創る。該開口部及び空洞603の寸法及び形状は該マイクロフォン要素の寸法及び形状と対応すべきである。代わりの場合、該開口部及び空洞603の寸法はマイクロフォン要素より僅かに小さいので、該マイクロフォン201が空洞603内に押し込まれると、ハウジング材料の弾性的特性が該マイクロフォン要素を正しい位置に確実に保持し、該マイクロフォンの側の周りにシールを形成し、1つの音響入力ポートの音圧がもう1つの音響入力ポートへ漏れるのを防止する。該音響導波管は1つ以上の点源からの音波が該方向性マイクロフォンの後部音響的入力ポートに達するのを可能にする。
【0025】
該音響的導波管602は該ハウジング601の頂面606から該空洞の背面703へ延びる。本発明の1実施例に依れば、該チャンネルは該空洞の中心軸線に対し方位角及び迎角の両者で斜めになっている(前記軸線は該背面の法線ベクトルと平行である)。該音響導波管は該ターミナルのもう1つの側上のマイクロフォンの背後に位置する拡声器の方へ角度付けられている。該音響導波管602の長さと方向は、該マイクロフォンに対する拡声器の位置、及び該マイクロフォン201に対する典型的近域端ユーザー203の位置に左右され、1つ以上の音源から該マイクロフォン201の後部音響入力ポートまでの音用の音響ガイドとして役立つ。これは後でもっと詳細に論じる。
【0026】
図7Bに示す様に、マイクロフォン201を衝撃から、そしてハウジング601からの落下から守るために保護カバー701が少なくとも該マイクロフォンハウジング601の前に置かれる。音波を該マイクロフォン201の前部音響入力ポートへ受け入れるために1つ以上開口部702が該保護カバー701内に提供される。
【0027】
マイクロフォン201を有するハウジング601がデスクトップ401に設置されると、該マイクロフォン201の前部音響入力ポートは該システムから離れる方へ面する。本発明の1つの例示用実施例に依れば、前部音響入力ポートは該近域端ユーザーの一般的方向で、前方へ面する。しかしながら、該マイクロフォンはデスクトップ(又はテーブル面)の方へ僅かにチルトされてもよい。音を後部音響入力ポートへ導く該音響導波管602は該内部拡声器の方向のマイクロフォン感度を最小化し、ユーザー方向のマイクロフォン感度を同時に最大化するよう設計される。これは該音響導波管602を極めて長くして、該拡声器204の方向へ僅かながら角度付けすることで達成される。該導波管が該拡声器の方へ角度付けされるので、該拡声器と該後部音響入力ポートの間の音響距離は自由場音響距離に近く保たれる。この方法で、該拡声器204からの音は、該マイクロフォンの前部入力ポートに到着する前に該マイクロフォンの後部入力ポートに到着し、かくして低い感度を与える。更に、該スピーカーからの音が該マイクロフォンハウジング及び該保護カバーのコーナーを横断するために辿る必要のある追加距離は、該方向性マイクロフォンの後部及び前部音響入力ポートに達する音の間の相対遅延を増やし、従って該拡声器から発する音についての該マイクロフォンの感度を更に減じる。
【0028】
典型的ユーザー位置からは、相対していることは事実である。該音響導波管602は該拡声器の方向に角度付けされ、同時に該近域端ユーザーから離れるよう角度付けされる。該音響導波管の長さ及び方向は、自由場音響距離に比較して、近域端ユーザーと後部音響入力ポートの間の音響距離を、増加させる。ユーザーからの音は遅延無しで該マイクロフォンの前部入力ポートに到着する一方、該マイクロフォンの後部入力ポートに到着する音は、該音響導波管の形状のために、遅延を経験する。音響導波管602の長さと方向は、単方向性マイクロフォンの後部及び前部に到着する音の間の相対遅延を増し、従ってユー
ザーから来る音(スピーチ)について該マイクロフォンの感度を増加させる。換言すれば、該マイクロフォンにより経験される遅延増加が図5Bの矢印503により図解される様に、音の方向を0°に近い方へ“動かす”。これがユーザーからの音についての高感度へ導く。
【0029】
図8は本発明の1実施例に依るマイクロフォン組立体を用いた典型的ユーザー位置からの達成マイクロフォン応答の例を示す。図は上述のハウジングに設置された校正済み単方向性マイクロフォンの応答802を示す。同じ位置の校正済み多方向性基準マイクロフォンの応答801を参考に示す。ユーザー位置からの良好な感度及び周波数応答が達成されることを示す。
【0030】
図9は、内部拡声器から校正済み単方向性マイクロフォンへのフィードバック応答902を、同じ位置の校正済み多方向性マイクロフォンへのフィードバック応答901と一緒に、示す。図から分かる様に、音声周波数バンドでの大抵に周波数について16dBまでのフィードバックの減少が本発明により達成された。
【0031】
後方へ音を導くチャンネルの長さのために、周波数応答と方向特性は自由場の場合と幾分異なる。長いチャンネルは方向性動作の狭い周波数範囲を引き起こす。図8及び9は本発明を用いて良好な方向性動作が2kHzまで達成されることを示す。電話通信では、使用可能音声周波数バンド803は約300Hzから3400Hzまでに及ぶ。300と3000Hzの間の周波数バンドが“音声周波数”とも呼ばれるのはこの理由に依る。従って、例え本発明の1実施例に依り開示される音響導波管が方向性動作の周波数範囲を減じても、該方向性動作は該“音声周波数”バンドでなお強力である。
【0032】
更に、マイクロフォン要素の機械的保護は該ハウジングを比較的堅いゴム材料で頑丈でたくましくすることにより確保される。
【0033】
該マイクロフォン要素を収容する空洞603は該マイクロフォン要素を閉じ込めるべきである。マイクロフォンの後端と該空洞603の背面703の間のギャップは、音響導波管と一緒に、共振システムを創り、該システムは共振周波数で周波数応答の共振ピークを与える。空洞の共振を制御するために、該マイクロフォンと該背面の間の距離は、該共振周波数を出来るだけ高い所に置くため最小化されるべきである。音響ガイドの直径は比較的低い共振ピークを与えるのに充分な程大きくすべきである。これは周波数応答と方向性動作が良好であることを保証する。
【0034】
マイクロフォン201がテーブル頂部の近くに置かれる時、もっと主要な問題は、テーブル材料内で生ずる雑音性の構造体保持騒音及び振動であり、テーブル内の打撃やぶつかりで発生する。該ターミナル組立体又はテーブル面からの音及び振動の採取を最小化するために、該マイクロフォンハウジング601は振動抑制材料製であるのが好ましい。ハウジング601の材料は、剛性及び防護用に極めて硬く、その上のターミナル401からの種々の応力に耐えるよう幾分弾性があり、そして該マイクロフォン201を固定位置に保持すべきである。該ハウジング601は、音響導波管602が恒久的に変型又は閉鎖すること無く、全ターミナル401の重量を一時的に担うよう取り組めるべきである。該材料は音を吸収し最小化するよう無孔性とすべきである。経験に依れば、少なくともショア35の硬度を有する弾性体鋳造品は作動する妥協品と言える。
【0035】
マイクロフォンハウジング601は、デスクトップシステムが上に留まる基部として使われるよう設計されてもよい。これは集積度をかなり減じ、それにより新システムで容易に再利用され得る独立マイクロフォンモジュールを作る。
【0036】
上記側面を考慮すると、本発明の1つの例示用実施例に依り下記実用的寸法:典型的単方向性エレクトレットマイクロフォン要素の音入り口孔とマッチする1−4mmの範囲の音響導波管幅と、10−20mmの範囲の導波管長さと、そして0.5−5mmの範囲の保護カバー厚さ、が使われてもよい。
【0037】
更に、システム用の基部として使われる時、該システム内の電子機器への信号ケーブルの何等かの適当な位置付け及び通し手段が工夫されねばならない。
【0038】
アナログ又はデジタルのイコライザーフイルターが、高周波ピークに反作用し、全応答を適用品の設計目標に合わせてもよい。
【0039】
2方向からの音波入り口を要するどんなマイクロフォン要素が使われてもよい。典型的選択は単方向性心臓形エレクトレットコンデンサーマイクロフォンである。該要素の寸法は原則的に重要でない。
【0040】
本発明の主な利点は、マイクロフォンを保護されるよう保ちつつ、在庫品単方向性マイクロフォン要素についてユーザーの方へのマイクロフォン感度を同時に最大にしながら、該ハウジングが拡声器からマイクロフォンへのフィードバックを最小にすることである。これは全オーディオバンドの音採取用にも音品質を高める。
【0041】
更に、音進入用の唯1つの音響導波管が同調させられ、該マイクロフォン要素の方向性パターンを最適化し、同時にフィードバックを最小にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は拡声器利用会議の端末用マイクロフォン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビデオ会議の端末はシャシー又はラック内に集積化されたコーデック、カメラ、ビデオディスプレー、拡声器及びマイクロフォンを有する。会議及び重役会議室で使用する大型端末では、オーディオ機器が別々に設置される。マイクロフォンは、オーディオレコーダーを音源近くに持って来るために会議テーブル上に置かれる場合が多い。
【0003】
しかしながら、デスクトップターミナルとも呼ばれる、個人用ビデオ会議の端末は、大型端末又は従来の電話システムの代わり又は補足として今やオフィスで益々一般的に成りつつある。個人用機器はより携帯し易く、テーブル上でユーザー近くに置かれそうである。かくして、マイクロフォンを含む1端末に属する全機器は1装置内に集積化される。
【0004】
通信システム内のマイクロフォンは最高品質と適切な感度でユーザー{近域端ユーザーと呼ばれる}から音声を採取すべきである。しかしながら、デスクトップシステムは比較的小さく、全部品(マイクロフォン及びスピーカーを含む)が1装置内に集積される事実のために、マイクロフォンは拡声器の比較的近くに位置付けられねばならない。これは下記で論ずる幾つかのオーディオ問題を示唆する。
【0005】
フリーハンド操作(拡声器モード)用の、集積化された拡声器(複数を含む)及びマイクロフォン(複数を含む)を有するデスクトップ遠隔通信ターミナル(ビデオ会議システム、アイピー電話、又は何等かの拡声器利用集積化通信システム)、はフィードバックと呼ばれる効果を経験する。フィードバックは拡声器からの音がマイクロフォンにより採取される結果である。フィードバックは数多くの理由で通信システムでは非常に嫌われている。
【0006】
何よりも、フィードバックは通信にエコー(音声のループ戻り)を引き起こし、その場合、ユーザーは彼/彼女自身の音声の遅延版を聞くことになる。通信システム内のエコーは非常に混乱を引き起こし、特に大きな遅延が伴う時然りである。エコーにより引き起こされる通信品質の主観的劣化は、エコーのレベル及び遅延を含む幾つかの要因に左右される。図1は基本的エコー問題を図解する。
【0007】
第2に、フィードバックは拡声器に最大許容出力レベルについての制限を課し、該制限は近域端ユーザーにとって遠隔端ユーザーが聞こえ難い結果をもたらす。既述の様に、デスクトップシステムは寸法がコンパクトであることが多く、それは拡声器がマイクロフォンの近くに、大抵多くは近域端ユーザーとマイクロフォンの間の距離よりもマイクロフォンに近く、置かれねばならぬことを意味する。従って、該拡声器からの音レベルは該近域端ユーザーからの音レベル(スピーチ)より強力なことが多い。もし該拡声器からの音レベルが余りに高いなら、該レベルはマイクロフォンを過負荷状態(音響的過負荷)にするか、或いは回路を過負荷状態(電気的過負荷)にして、該過負荷はマイクロフォン信号の歪みをもたらす。従って、マイクロフォンにより採取された拡声器からの音レベルは、オーディオ回路の設計、オーディオ信号処理、及び拡声器からの許容最大レベルを制限する。
【0008】
拡声器信号は遠隔端の言葉、及び近域端システムにより発生される音、例えばキー音、電話呼び出し音等、から成る。拡声器信号はマイクロフォンにより採取され、該遠隔端へ
送り返される。一般に、該拡声器信号は遠隔端へ送られるマイクロフォン信号内では望ましくない。該取り込まれる拡声器信号(エコーと呼ばれる)は、該エコーのレベル及び/又は遅延が通信内に重要な混乱を引き起こす程充分大きいなら、該マイクロフォン信号から除去、又は抑制されねばならない。これは良く開発された技術であり、音響エコー打ち消し及び/エコー抑制アルゴリズムは、大抵のデジタルアイピーベース通信システムに組み入れられている。
【0009】
従って、拡声器利用ハンドフリーモード付き集積化通信システムのマイクロフォン及び拡声器設計の目標は、拡声器(複数を含む)からマイクロフォン(複数を含む)への音響的フィードバックレベルを同時に最小にしながら、可能な最良の近域端音採取(近域端ユーザーからの音、例えばスピーチ)を用意することである。これは該遠隔端へ送られる信号の可能な最良の品質を用意し、そして近域端ユーザーの利益のために、近域端拡声器のレベルも最高にされ得る。又エコー打ち消し及び抑制アルゴリズムも拡声器からマイクロフォンへの音響フィードバックが最小になることから有利で、マイクロフォン及びオーディオ回路を過負荷にする危険は減じられる。マイクロフォンとオーディオ回路が過負荷とならないことを保証するためデジタル信号処理が使われることが多い。最大拡声器信号はダイナミック処理の分野の公知の技術で制限される。
【0010】
音響的フィードバックは拡声器からマイクロフォンまでの距離を増加することにより減じられる。しかしながら、集積化システムの物理的寸法は最大距離を指示する。加えて、他の配慮は、可能な最大距離より拡声器に接近してマイクロフォンを置くことを要求するかも知れない。1例は、スピーチのテーブル反射により引き起こされる、くし形フィルター効果が避けられるならば、マイクロフォンはテーブル面に非常に近く置かれる必要があることである。これは集積化デスクトップシステムの音響フィードバックに関しては最適配置ではない。
【0011】
1つ以上の方向でのマイクロフォン感度を最高にして、拡声器の方への感度を最小化又は減少させるために、方向性マイクロフォンが使用されることも可能であり、電話通信及び会議機器で普通に使われている。例えば、ポリコムサウンドステーションテーエム(Polycom Soundstation TM)シリーズはこの様なマイクロフォンを使っている。しかしながら、方向性マイクロフォン要素の物理的特性は、音波がマイクロフォンの前部及び後部の両者に到達出来ねばならないことを要する。従って、該要素は製品の開いた音響空間内に、典型的にはマイクロフォンを過ぎる空気の自由流れを可能にする、その機構のパーフォレートされた範囲の下に、設置される。これはスペースを要する、壊れやすい設置となり、マイクロフォンの方向性の動作の調整又は最適化に関し非常に柔軟性があるとは言えない。
【0012】
更に、方向性マイクロフォンは、音が該マイクロフォンの真後ろから入る時にのみ効果的に音を抑制する。これはデスクトップシステムでは得難いことである。
【0013】
音響品質の要求は、通信システムがより高いバンド幅のオーディオを使うにつれて、高まっている。又音響的エコー及びフィードバック制御はデスクトップシステム用では重要な課題である。従って、マイクロフォンの設計、配置及び組立は音響品質の最適化のための重要要因である。
【0014】
本発明は、集積化拡声器の方向の感度を同時に最低にして、かくしてフィードバックを最低にしながら、近域端のユーザーの方向のマイクロフォン感度を最高にする方法で、通信システム内に方向性マイクロフォン要素を組み入れる新しい方法を提案する。又方向性マイクロフォンの利用は周囲ノイズと残響採取とを減じる。
【特許文献1】米国特許出願公開第11/239,042号明細書
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は上述の欠点を最小化する配備と、この様な配備の使用法を提供することである。一緒に綴じられた独立請求項で規定された特徴は本システムと該システムの使用法を特徴付ける。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明をより容易に理解可能にするために、下記論議は付随する図面を参照する。
【図1】基本的エコー問題を図解する。
【図2】典型的単方向性心臓形マイクロフォン要素のポーラー応答である。
【図3】単方向性マイクロフォンの自由場応答のプロットである。
【図4】デスクトップ通信ターミナルの本発明のマイクロフォン組立体の略図である。
【図5A−5B】拡声器及び近域端ユーザーからの音の入射角と図解する。
【図6A−6B】本発明の1実施例のマイクロフォンハウジングの略図である。
【図7A−7B】本発明の1実施例のマイクロフォンハウジングの平面図である。
【図8】本発明の1実施例のマイクロフォン組立体を有する典型的ユーザー位置からの(多方向性及び単方向性)マイクロフォン応答である。
【図9】内部拡声器から、本発明の1実施例によるマイクロフォン組立体を有する校正済み単方向性及び多方向性マイクロフォンからのフィードバック応答を示す。
【実施例1】
【0017】
下記では、本発明は、好ましい実施例を説明し、付随図面を参照することにより論じられる。当業者が他の応用と変型を実現するであろうが、それらは本書内の独立請求項に規定された本発明の範囲内に入ることになる。
【0018】
本発明はデスクトップ遠隔通信ターミナル用の新発明のマイクロフォン組立体を開示する。それは心臓形指向性パターンを有する従来の在庫型方向性エレクトレットコンデンサーマイクロフォン要素を利用する。この種のマイクロフォンは該要素の前部及び後部の両者に音響入力ポートを有し、該要素はその内部設計と一緒になって該マイクロフォンに方向性動作を与える。該マイクロフォンの方向性動作は、近域端ユーザーの方向の感度を最大化し、製品の集積化拡声器の方向の感度を最小にする制御された方法で、該マイクロフォンの前部及び後部へ音を導くことにより変型される。これは、同調型音響導波管を使って、機械的に制御される、強固な方法で、該ポートを該システムの前部の基部内に作ることにより達成される。この仕方で、方向性マイクロフォンの前部及び後部で受けた音の間の時間遅延は音質を最適化するよう制御されてもよい。
【0019】
図2は典型的心臓形マイクロフォン201の方向性パターン202を示す。心臓形マイクロフォン201は方向性マイクロフォンであり、前進方向(0°)で最大感度、背後方向(180°)で最小感度、そして90°で該最大感度の約半分を有する。これは形状、内部設計、及び心臓形マイクロフォン要素201の動作原理から生じる。方向性マイクロフォンは前部及び後部の両者に音響入力ポートを有する。該音響入力ポートは有効距離“
d”だけ分離されており、該有効距離は音波が1つの音響入力ポートからもう1つまで行く際に該方向性マイクロフォンの周りを通らねばならない距離を表す。該マイクロフォン内のダイアフラムの動きは該マイクロフォンの出力部で電圧に変換される。該方向性マイクロフォンの電圧出力の大きさは、ダイアフラムの相対する側での音圧の瞬時差の関数である。距離“d”が小さくなる程、該方向性マイクロフォンからの出力電圧も小さくなる。室温の空気中の音速は毎秒約343.8m(1128フィート)なので、f=2250Hzの可聴信号は約15cmの波長を有する。かくして、例え小さな分離距離でも音響入力ポート間で充分な位相差を提供するので、該方向性マイクロフォンは図2に示す様なポーラー応答パターンを有する。従って、マイクロフォン201の感度は音波の入射角度により変わる。前方音入射(0°で該マイクロフォンの前に配置された音源203からの音)は、前部音入力ポートに達する音に対する、該マイクロフォンの後部音響入力ポートに達する音の遅延へ導く。対応して、マイクロフォン要素の後ろ側からの入射は、該マイクロフォン201の後部入力ポートに達する音に対する、前部入力ポートへの音の遅延へ導く。
【0020】
図3は前部(0°)301及び後部(180°)302音入射の心臓型マイクロフォンの典型的自由場周波数応答を示す。該図から見られる様に、0°で入射する音信号の周波数応答は180°で入射する音信号より15dB強い。
【0021】
本発明の1実施例に依れば、自由場に対し、1つ以上の点源からマイクロフォンの後部音響入力ポートへ進む音波の音響距離を変え、それによりマイクロフォンの指向性パターンを変型させるマイクロフォン組立体が開示される。該マイクロフォン組立体は、例えこれらの方向が180度隔てられてなくても、該マイクロフォン応答を、1方向の最大感度用に最適化し、同時にもう1つの方向の感度を最小化する。(変型されない心臓型マイクロフォン自由場応答の場合、最大及び最小感度の方向は180度だけ隔てられる。)
背景技術の節で述べた様に、拡声器とマイクロフォンの間の距離を最大化するのが望ましい。本発明の1実施例に依れば、図4に示す様に、マイクロフォンはデスクトップ遠隔通信ターミナル401の下部コーナー内に設置される。該マイクロフォン201は、くし形フィルター効果を最小化するよう機械的に制御された方法で該ターミナルの前部のデスクトップ面又はテーブル頂部に非常に近く置かれる。これは特許文献1で論じられる。拡声器204は該ターミナルの反対側に設置される。更に、該拡声器204は、該近域端ユーザーと拡声器204の間の距離が該近域端ユーザーと該マイクロフォン201の間の距離より長くなる仕方で、該マイクロフォン201の後に配置された面上に設置されるのが好ましい。図で見られる様に、この様なターミナル401内のマイクロフォン201と拡声器204の間の最大距離は図解された対角線の隔たりである。
【0022】
図5Aは平面斜視図での図4のデスクトップ通信ターミナル401と近域端ユーザー203の略図である。もし該マイクロフォン201がデスクトップ401上の中心(そして非常に低く)のこの位置(自由場)に妨げられずに設置されるなら、近域端ユーザー203からの音の入射角502は心臓形マイクロフォン201の減じられた感度を有する範囲であろう。更に、該拡声器204からの音の入射角501は方向性マイクロフォン201の著しく減じられた感度を有する範囲にあり、これも又フィードバックを減じる。しかしながら、図で見られる様に、拡声器音方向501とユーザー音方向502の間の分離は約90度に過ぎず、それは理想的180度分離から遠い。
【0023】
図6及び7は本発明の1実施例に依る単方向性マイクロフォン要素201用ハウジング601の略図である。該マイクロフォン201は、上記で論じた様に、テーブル上でデスクトップシステムを支持するデスクトップ基部内に閉じ込められる。該マイクロフォンハウジング601は該デスクトップ基部内に集積化されるべき別部品であってもよく、或いはデスクトップ基部自身が該マイクロフォンハウジング601として役立ってもよい。音
響導波管602は該ハウジングの第1面から該ハウジング内の空洞603内へ延びている。
【0024】
図6A、6B、7A及び7Bで示す様に、該空洞603は該ハウジングの前面605から延びるので、従って方向性マイクロフォン201を受けるために該ハウジング内に開口部を創る。該開口部及び空洞603の寸法及び形状は該マイクロフォン要素の寸法及び形状と対応すべきである。代わりの場合、該開口部及び空洞603の寸法はマイクロフォン要素より僅かに小さいので、該マイクロフォン201が空洞603内に押し込まれると、ハウジング材料の弾性的特性が該マイクロフォン要素を正しい位置に確実に保持し、該マイクロフォンの側の周りにシールを形成し、1つの音響入力ポートの音圧がもう1つの音響入力ポートへ漏れるのを防止する。該音響導波管は1つ以上の点源からの音波が該方向性マイクロフォンの後部音響的入力ポートに達するのを可能にする。
【0025】
該音響的導波管602は該ハウジング601の頂面606から該空洞の背面703へ延びる。本発明の1実施例に依れば、該チャンネルは該空洞の中心軸線に対し方位角及び迎角の両者で斜めになっている(前記軸線は該背面の法線ベクトルと平行である)。該音響導波管は該ターミナルのもう1つの側上のマイクロフォンの背後に位置する拡声器の方へ角度付けられている。該音響導波管602の長さと方向は、該マイクロフォンに対する拡声器の位置、及び該マイクロフォン201に対する典型的近域端ユーザー203の位置に左右され、1つ以上の音源から該マイクロフォン201の後部音響入力ポートまでの音用の音響ガイドとして役立つ。これは後でもっと詳細に論じる。
【0026】
図7Bに示す様に、マイクロフォン201を衝撃から、そしてハウジング601からの落下から守るために保護カバー701が少なくとも該マイクロフォンハウジング601の前に置かれる。音波を該マイクロフォン201の前部音響入力ポートへ受け入れるために1つ以上開口部702が該保護カバー701内に提供される。
【0027】
マイクロフォン201を有するハウジング601がデスクトップ401に設置されると、該マイクロフォン201の前部音響入力ポートは該システムから離れる方へ面する。本発明の1つの例示用実施例に依れば、前部音響入力ポートは該近域端ユーザーの一般的方向で、前方へ面する。しかしながら、該マイクロフォンはデスクトップ(又はテーブル面)の方へ僅かにチルトされてもよい。音を後部音響入力ポートへ導く該音響導波管602は該内部拡声器の方向のマイクロフォン感度を最小化し、ユーザー方向のマイクロフォン感度を同時に最大化するよう設計される。これは該音響導波管602を極めて長くして、該拡声器204の方向へ僅かながら角度付けすることで達成される。該導波管が該拡声器の方へ角度付けされるので、該拡声器と該後部音響入力ポートの間の音響距離は自由場音響距離に近く保たれる。この方法で、該拡声器204からの音は、該マイクロフォンの前部入力ポートに到着する前に該マイクロフォンの後部入力ポートに到着し、かくして低い感度を与える。更に、該スピーカーからの音が該マイクロフォンハウジング及び該保護カバーのコーナーを横断するために辿る必要のある追加距離は、該方向性マイクロフォンの後部及び前部音響入力ポートに達する音の間の相対遅延を増やし、従って該拡声器から発する音についての該マイクロフォンの感度を更に減じる。
【0028】
典型的ユーザー位置からは、相対していることは事実である。該音響導波管602は該拡声器の方向に角度付けされ、同時に該近域端ユーザーから離れるよう角度付けされる。該音響導波管の長さ及び方向は、自由場音響距離に比較して、近域端ユーザーと後部音響入力ポートの間の音響距離を、増加させる。ユーザーからの音は遅延無しで該マイクロフォンの前部入力ポートに到着する一方、該マイクロフォンの後部入力ポートに到着する音は、該音響導波管の形状のために、遅延を経験する。音響導波管602の長さと方向は、単方向性マイクロフォンの後部及び前部に到着する音の間の相対遅延を増し、従ってユー
ザーから来る音(スピーチ)について該マイクロフォンの感度を増加させる。換言すれば、該マイクロフォンにより経験される遅延増加が図5Bの矢印503により図解される様に、音の方向を0°に近い方へ“動かす”。これがユーザーからの音についての高感度へ導く。
【0029】
図8は本発明の1実施例に依るマイクロフォン組立体を用いた典型的ユーザー位置からの達成マイクロフォン応答の例を示す。図は上述のハウジングに設置された校正済み単方向性マイクロフォンの応答802を示す。同じ位置の校正済み多方向性基準マイクロフォンの応答801を参考に示す。ユーザー位置からの良好な感度及び周波数応答が達成されることを示す。
【0030】
図9は、内部拡声器から校正済み単方向性マイクロフォンへのフィードバック応答902を、同じ位置の校正済み多方向性マイクロフォンへのフィードバック応答901と一緒に、示す。図から分かる様に、音声周波数バンドでの大抵に周波数について16dBまでのフィードバックの減少が本発明により達成された。
【0031】
後方へ音を導くチャンネルの長さのために、周波数応答と方向特性は自由場の場合と幾分異なる。長いチャンネルは方向性動作の狭い周波数範囲を引き起こす。図8及び9は本発明を用いて良好な方向性動作が2kHzまで達成されることを示す。電話通信では、使用可能音声周波数バンド803は約300Hzから3400Hzまでに及ぶ。300と3000Hzの間の周波数バンドが“音声周波数”とも呼ばれるのはこの理由に依る。従って、例え本発明の1実施例に依り開示される音響導波管が方向性動作の周波数範囲を減じても、該方向性動作は該“音声周波数”バンドでなお強力である。
【0032】
更に、マイクロフォン要素の機械的保護は該ハウジングを比較的堅いゴム材料で頑丈でたくましくすることにより確保される。
【0033】
該マイクロフォン要素を収容する空洞603は該マイクロフォン要素を閉じ込めるべきである。マイクロフォンの後端と該空洞603の背面703の間のギャップは、音響導波管と一緒に、共振システムを創り、該システムは共振周波数で周波数応答の共振ピークを与える。空洞の共振を制御するために、該マイクロフォンと該背面の間の距離は、該共振周波数を出来るだけ高い所に置くため最小化されるべきである。音響ガイドの直径は比較的低い共振ピークを与えるのに充分な程大きくすべきである。これは周波数応答と方向性動作が良好であることを保証する。
【0034】
マイクロフォン201がテーブル頂部の近くに置かれる時、もっと主要な問題は、テーブル材料内で生ずる雑音性の構造体保持騒音及び振動であり、テーブル内の打撃やぶつかりで発生する。該ターミナル組立体又はテーブル面からの音及び振動の採取を最小化するために、該マイクロフォンハウジング601は振動抑制材料製であるのが好ましい。ハウジング601の材料は、剛性及び防護用に極めて硬く、その上のターミナル401からの種々の応力に耐えるよう幾分弾性があり、そして該マイクロフォン201を固定位置に保持すべきである。該ハウジング601は、音響導波管602が恒久的に変型又は閉鎖すること無く、全ターミナル401の重量を一時的に担うよう取り組めるべきである。該材料は音を吸収し最小化するよう無孔性とすべきである。経験に依れば、少なくともショア35の硬度を有する弾性体鋳造品は作動する妥協品と言える。
【0035】
マイクロフォンハウジング601は、デスクトップシステムが上に留まる基部として使われるよう設計されてもよい。これは集積度をかなり減じ、それにより新システムで容易に再利用され得る独立マイクロフォンモジュールを作る。
【0036】
上記側面を考慮すると、本発明の1つの例示用実施例に依り下記実用的寸法:典型的単方向性エレクトレットマイクロフォン要素の音入り口孔とマッチする1−4mmの範囲の音響導波管幅と、10−20mmの範囲の導波管長さと、そして0.5−5mmの範囲の保護カバー厚さ、が使われてもよい。
【0037】
更に、システム用の基部として使われる時、該システム内の電子機器への信号ケーブルの何等かの適当な位置付け及び通し手段が工夫されねばならない。
【0038】
アナログ又はデジタルのイコライザーフイルターが、高周波ピークに反作用し、全応答を適用品の設計目標に合わせてもよい。
【0039】
2方向からの音波入り口を要するどんなマイクロフォン要素が使われてもよい。典型的選択は単方向性心臓形エレクトレットコンデンサーマイクロフォンである。該要素の寸法は原則的に重要でない。
【0040】
本発明の主な利点は、マイクロフォンを保護されるよう保ちつつ、在庫品単方向性マイクロフォン要素についてユーザーの方へのマイクロフォン感度を同時に最大にしながら、該ハウジングが拡声器からマイクロフォンへのフィードバックを最小にすることである。これは全オーディオバンドの音採取用にも音品質を高める。
【0041】
更に、音進入用の唯1つの音響導波管が同調させられ、該マイクロフォン要素の方向性パターンを最適化し、同時にフィードバックを最小にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡声器(204)と、ハンドフリー操作を可能にするためにデスクトップ遠隔通信ターミナル内に設置されたマイクロフォン(201)を具備し、該マイクロフォン(201)が前部及び後部音響入力ポートを有する方向性マイクロフォン要素であるデスクトップ遠隔通信ターミナル(401)において、
前記方向性マイクロフォン要素は強固なハウジング(601)内に収納されており、前記ハウジングは、該後部音響入力ポートから該デスクトップ遠隔通信ターミナル(401)の第1面内の導波管入り口まで延び、且つ該前部音響入力ポートへ音を受け入れる該デスクトップ遠隔通信ターミナルの第2面内の1つ以上の開口部を有する、音響導波管(602)を備えており、
前記音響導波管(602)の方向と長さは、該拡声器(204)の方向のマイクロフォン感度を同時に最小化しながら近域端ユーザーの方向のマイクロフォン感度を最大化するために、自由場音響距離に比して、該近域端ユーザーから該後部音響入力部までの音響距離を同時に増加させつつ、該拡声器(204)から該後部音響入力ポートまでの音響距離を最小化するように同調させられているデスクトップ遠隔通信ターミナル。
【請求項2】
前記導波管(602)が該拡声器(204)の方へ、そして同時に該近域端ユーザーから離れるように角度付けられることを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項3】
近域端ユーザーと前記マイクロフォン(201)の間の距離が、該近域端ユーザーと前記拡声器(204)の間の距離より短いことを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項4】
前記マイクロフォン(201)が前記ターミナルの下部コーナー内に設置され、前記マイクロフォン(201)と前記拡声器(204)がターミナル前部の相対する垂直の半分上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項5】
前記マイクロフォンハウジング(601)がデスクトップターミナル基部であることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載のデスクトップターミナル。
【請求項1】
拡声器(204)と、ハンドフリー操作を可能にするためにデスクトップ遠隔通信ターミナル内に設置されたマイクロフォン(201)を具備し、該マイクロフォン(201)が前部及び後部音響入力ポートを有する方向性マイクロフォン要素であるデスクトップ遠隔通信ターミナル(401)において、
前記方向性マイクロフォン要素は強固なハウジング(601)内に収納されており、前記ハウジングは、該後部音響入力ポートから該デスクトップ遠隔通信ターミナル(401)の第1面内の導波管入り口まで延び、且つ該前部音響入力ポートへ音を受け入れる該デスクトップ遠隔通信ターミナルの第2面内の1つ以上の開口部を有する、音響導波管(602)を備えており、
前記音響導波管(602)の方向と長さは、該拡声器(204)の方向のマイクロフォン感度を同時に最小化しながら近域端ユーザーの方向のマイクロフォン感度を最大化するために、自由場音響距離に比して、該近域端ユーザーから該後部音響入力部までの音響距離を同時に増加させつつ、該拡声器(204)から該後部音響入力ポートまでの音響距離を最小化するように同調させられているデスクトップ遠隔通信ターミナル。
【請求項2】
前記導波管(602)が該拡声器(204)の方へ、そして同時に該近域端ユーザーから離れるように角度付けられることを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項3】
近域端ユーザーと前記マイクロフォン(201)の間の距離が、該近域端ユーザーと前記拡声器(204)の間の距離より短いことを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項4】
前記マイクロフォン(201)が前記ターミナルの下部コーナー内に設置され、前記マイクロフォン(201)と前記拡声器(204)がターミナル前部の相対する垂直の半分上に配置されることを特徴とする請求項1に記載のデスクトップターミナル。
【請求項5】
前記マイクロフォンハウジング(601)がデスクトップターミナル基部であることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載のデスクトップターミナル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2011−507386(P2011−507386A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537883(P2010−537883)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/NO2008/000341
【国際公開番号】WO2009/082233
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505199337)タンドベルク・テレコム・エイ・エス (33)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【国際出願番号】PCT/NO2008/000341
【国際公開番号】WO2009/082233
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(505199337)タンドベルク・テレコム・エイ・エス (33)
【Fターム(参考)】
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