マイクロポンプおよびマイクロポンプシステム
【課題】 本発明は、従来のものに比べ構造が簡単化され、小型化されたマイクロポンプ及びマイクロポンプシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明のマイクロポンプ1は、流路基板2に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室3が設けられ、前記圧力室3の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、前記圧力室3内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータ6が設けられている。
【解決手段】 本発明のマイクロポンプ1は、流路基板2に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室3が設けられ、前記圧力室3の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、前記圧力室3内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータ6が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微少量の流体を高精度に搬送するためのマイクロポンプおよびマイクロポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微少量の液体を搬送するためのマイクロポンプには、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルを用いたバルブレスポンプがある。
【0003】
このバルブレスポンプの構造や原理については、非特許文献1(Micro ElectroMechanical Systems(1996)378頁〜383頁)、および非特許文献2(Micro ElectroMechanical Systems(1996)479頁〜484頁)に記載されている。
【0004】
前記両非特許文献とも、シリコン基板の一平面上に圧力室と、それを挟むように圧力室の両端それぞれに接続された、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルが形成され、それに対向してガラス基板が貼り合わされており、さらに、圧力室が位置するシリコン基板上、またはガラス基板上の反対の面に圧電素子が配されている。
【0005】
ここで、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルは、液体が圧力室に流入する側のノズルは圧力室の向きに開口面積が順次拡大し、液体が流出する側のノズルは圧力室の向きに開口面積が順次縮小しており、開口面積が順次拡大する向きが順次縮小する向きの方が流路抵抗は小さくなる。そして、圧電素子を駆動することで、シリコン基板、またはガラス基板を変形させ、圧力室の容積を拡張・収縮させることによって、流体の流れがノズルの流路抵抗が小さい向きに方向付けられる。
【0006】
さらに、この原理を応用した例として、特許文献1(特開平10−110681号公報)や特許文献2(特開2001−322099号公報)に記載されたものが公知である。
【0007】
前記特許文献1に記載の技術では、流路の加工精度に影響されず、流路抵抗差を大きく維持できる流路形状を特徴としている。これにより、量産性に優れたマイクロポンプを提供できるとしている。
【0008】
また、前記特許文献2に記載の技術では、流路抵抗が差圧に応じて変化の大きい第1の流路と、流路抵抗が第1の流路に比べて差圧に影響されにくい第2の流路を圧力室の両端に有し、圧力室の拡張・収縮によって生じる第1の流路と第2の流路の流路抵抗の比を異ならせることを特徴としている。これによって、正逆両方向の液体搬送が可能なマイクロポンプを提供できるとしている。
【特許文献1】特開平10−110681公報
【特許文献2】特開2001−322099公報
【非特許文献1】Micro ElectroMechanical Systems(1996)378頁〜383頁
【非特許文献2】Micro ElectroMechanical Systems(1996)479頁〜484頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記従来の技術では、ある程度大きな流量や流体圧力を得るには圧力室の容積変化量をある程度大きくする必要があり、そのために、圧力室そのものを大きくする必要があった。また、原理的に圧力室の両端にノズルを設ける必要性があった。
【0010】
そのため、研削などの機械的な加工では限界があり、フォトリソ工程やエッチング工程によりシリコン基板に圧力室や液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズル、振動板を加工・形成していた。このため、露光装置やドライエッチング装置などの高価な製造装置が必要であった。
【0011】
また、アクチュエータと振動板の貼り合せなど、製造工程が複雑であった。さらに、流量や圧力を大きくするためには、圧力室の容積変化量をある程度大きくする必要があり、小型化や高集積化が困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、従来のものに比べ構造が簡単化され、小型化されたマイクロポンプおよびマイクロポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明のマイクロポンプの特徴とするところは、流路基板に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室が設けられ、前記圧力室の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータが設けられている点にある。
【0014】
前記本発明の構成によれば、圧力波の振動(一端部と他端部間の往復運動)によって液体が搬送される。したがって、従来の圧力室の容積変化によって液体を搬送する場合に比べて、マイクロポンプの構造を簡素化できる。
【0015】
具体的には、所定の(ある程度大きな)流量や流体圧力を得るには大きな圧力波を発生させる必要があるが、このためには、圧力室の変位の高速性が重要な要素となる。換言すれば、圧力室の変位量が要求されないので、大きな圧力室を必要としない。
【0016】
また、原理的に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路は、圧力室の一端のみであり、他端は開放された形状でよいので、加工方法の制約が軽減され、研削などの機械的加工も適用できる。
【0017】
本発明においては、前記流路基板は圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータを構成しているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ダイシングブレードを用いた研削加工によって比較的容易かつ安価に圧力室を形成することができ、また、振動板が不要となり、マイクロポンプの構造を簡素化できる。さらに、振動板の抵抗力が生じない分、圧電素子(圧力室の一部)の変位の高速性や電気機械変換効率がよくなり、高速・高効率動作が可能である。
【0019】
本発明においては、前記流路は前記流路基板に形成されているのが好ましい。
この構成によれば、圧力室の形成と同様に流路を研削加工によって形成できる。また、別部材を用いないため、製造コストを削減することができる。
【0020】
本発明においては、前記圧力室は複数配置された構成とするのが好ましい。
この構成によれば、単一の圧力室(単一チャンネル)では得られる流量や流体圧力に限界があるが、圧力室を複数設ける(マルチチャンネル化する)ことによって、所望の流量や流体圧力を得ることができる。
【0021】
本発明において、前記複数の圧力室に対し前記アクチュエータを選択的に駆動する駆動装置が設けられるのが好ましい。
【0022】
この構成によれば、得られる流量や流体圧力の調整を広範囲にすることができる。
本発明では、前記流路の向きが、前記複数の圧力室において異なっている構成とすることができる。
【0023】
この構成によれば、駆動するチャンネルによって、液体を正逆両方向に搬送することができる。
【0024】
本発明においては、前記流路の向きが異なる圧力室の間に、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を一端部に設けた圧力室が配置された構成とすることができる。
【0025】
この構成によれば、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を配置したチャンネルは液体の搬送(吸入や排出)には寄与しないが、その両側に位置する吸入用のチャンネルと排出用のチャンネルの相互干渉を防ぐことができ、安定した動作が得られる。
【0026】
本発明のマイクロポンプシステムの特徴とするところは、それぞれ異なる液体を蓄える複数の容器と、該複数の容器それぞれに接続された複数の前記マイクロポンプと、該複数のマイクロポンプを介して搬送された液体を混合するための容器を含んでなる点にある。
【発明の効果】
【0027】
本発明のマイクロポンプによれば、従来のマイクロポンプに比較して構造が簡素であり、フォトリソ装置やドライエッチング装置等の高価な装置を用いることなく、ダイシングブレードによる機械的切削加工によって製造することができる。このため、低コストのマイクロポンプを供給することができる。また、搬送液体の流量や圧力を広範囲に、かつ、高精度に調整できる高性能なマイクロポンプを提供できる。さらには、液体の搬送を双方向にすることが容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図3において、本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ1は、流路基板2に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室3が設けられている。この圧力室3の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が接続されている。前記圧力室3の他端部は開放部5とされている。前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータ6が設けられている。
【0029】
前記開放部5の流路抵抗は、前記流路4よりも小さいものとされ、好ましくは、前記圧力室の断面相当に開口されているのが好ましい。
【0030】
前記流路基板2は、圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータ6を構成している。また、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4も、前記流路基板2に形成されている。さらに、前記圧力室3は複数配置されている。すなわち、圧力室3は、同一の流路基板2に互いに平行に複数設けられている。同様に、前記流路4や開放部5もそれぞれの圧力室3に設けられている。前記複数の圧力室3に対し前記アクチュエータ6を選択的に駆動する駆動装置7が設けられている。
【0031】
前記流路基板2に、カバープレート8が貼り合わされている。流路基板2には、FPC(フレキシブル基板)9が電気的に接続されている。このFPC9に前記駆動装置7が設けられている。この駆動装置7は、ドライバICにより構成されている。
【0032】
この実施の形態では、前記流路基板2(以下、圧電体基板ということもある)は、厚み方向に分極された剪断モードの第1の圧電体基板10と第2の圧電体基板11を分極方向(図中の矢印)が対向するように貼り合わされたものである。
【0033】
その流路基板2に、第1の圧電体基板10の側から第2の圧電体基板11に至る一定深さの溝が設けられ、前記圧力室3が形成される。
【0034】
前記圧力室3は、従来のマイクロポンプがシリコン基板をフォトリソ工程とエッチング工程によって形成されていたのに対して、ダイシングブレードによる研削のみで、比較的容易かつ安価に形成することができる。
【0035】
つぎに、ダイシングブレードによる複数本の溝加工によってできた複数の圧力室3の間の圧電体からなる隔壁12の少なくとも両側面に駆動電極13、および、流路基板2の上面に外部接続電極14を形成する。
【0036】
前記駆動電極13と外部電極14の形成方法としては、つぎに記述する通りである。
前工程である前記ダイシングブレードによる溝の加工と同時に、外部接続電極14に相当する箇所に数μm程度の浅溝(凹部)を形成しておき、流路基板2の斜め上方より流路基板2の上面および隔壁12の側壁にスパッタにより金属膜を成膜する。そして、流路基板2の上面を全面研削することで余分な箇所の金属膜だけが除去され、凹部の金属膜だけが必然的に残されることから、マスク材等を用いることなく、安価にパターンニングできる。
【0037】
この状態では、駆動電極13が圧力室3内に露出しているため、必要に応じて絶縁膜形成等の絶縁処理を施す。絶縁膜としては、パリレン樹脂(日本パリレン社)が機械的強度や耐薬品性に優れている。
【0038】
つぎに、「液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4」(以下、「ノズル4」という場合がある)を形成する。このノズル4の形成は、前記圧力室3の一端に連通し、圧力室3より断面積が小さく、かつ、断面積が順次変化する第2の溝を研削加工することによって行なわれる。
【0039】
ここでは、圧力室3の溝加工時よりも切削幅の狭いダイシングブレードを用いて、圧力室3の側から研削深さを順次浅くして加工している。このため、ノズル4の流路抵抗はマイクロポンプ1の外部から圧力室3へ流入する向きの方が小さくなる。
【0040】
そして、流路基板2の上面に、前記カバープレート8が貼り合わせられ、流路基板2に形成されている圧力室3、および、流路4の上面が閉塞される。
【0041】
前記カバープレート8には開口部15が形成されている。この開口部15は、カバープレートの厚み方向に貫通している。該開口部15が圧力室3の他端部に位置している。この開口部15に位置する圧力室3の他端部が、前記開放部5を構成する。
【0042】
カバープレート8の前記開口部15は、複数の圧力室3の開放部5にわたって、連続して形成されている。したがって、この開口部15が、各圧力室3共通の液室102bとなる。
【0043】
さらに、露出している外部接続電極14に駆動装置7を接続する。(図1ではFPC9とドライバICを駆動装置7(駆動回路)の一部として図示している。図2、3では駆動回路に相当するものは、図示していない。)
図4は、マイクロポンプ1の駆動装置7のドライバICの接続状態を模式的に示したものである。
【0044】
駆動装置7は、各圧力室3毎(チャンネル毎)の駆動電極13に異なる電圧波形が供給できる構成になっている。なお、図中の矢印は、圧電体基板10,11の分極方向を表している。
【0045】
図5を用いて、マイクロポンプ1の駆動方法について説明する。
説明を簡素化するために、Ch1〜5の5チャンネルに駆動電圧を付加した場合のCh2〜4の3チャンネル分の動作について述べる。
【0046】
このタイプのマイクロポンプにおいては、各チャンネルの駆動電極13に駆動電圧を与え、チャンネル間の隔壁12に電界を生じさせることで、隔壁12が剪断変形させられる。その結果、圧力室3が拡張、または、収縮し、内部の液体に対して圧力を付与することができる。
【0047】
具体的には、図5(b)の状態1に示すような各チャンネル間に電位差がない場合(状態1ではすべてLowレベル)は、図5(c)の状態1に示すように隔壁12の変形は生じない。
【0048】
つぎに、図5(b)の状態2のようにCh1,Ch3,Ch5のみをHighレベルにすることで、隣接するCh2,Ch4との間に電位差が生じ、Ch1,Ch3,Ch5の圧力室3が拡張する方向に隔壁12が変形する。
【0049】
逆に、図5(b)の状態3のように、Ch1,Ch3,Ch5がCh2,Ch4に相対して負の電位となるよう駆動電圧を付与した場合は、図5(c)の状態3のように、Ch1,Ch3,Ch5の圧力室3が収縮する方向に隔壁12が変形する。
【0050】
また、状態4で示すように、Ch2,Ch3,Ch4を同電位(この場合はHighレベル)とすることで、状態1と同様にCh3の圧力室3を非動作状態にすることができる。
【0051】
上記したように、各チャンネルに付与する駆動波形を調整することによって、選択的にチャンネルを駆動することができる。つまり、複数あるチャンネルの内、駆動するチャンネル数を調整することで、それに比例して搬送する液体の流量や流体圧力を広範囲に設定することができる構成になっている。
【0052】
また、隔壁12を隣接するチャンネルと共有するため、隣接するチャンネル同士は拡張・収縮の動きが逆相になる。このことは、液体搬送の際に生じる脈動を低減する効果を奏する。
【0053】
つぎに、従来技術のマイクロポンプとは異なる点について述べる。従来技術のマイクロポンプでは、圧力室の上流と下流の双方にノズルを有する構造であった。また、圧力室の容積変化が直接的に作用し、圧力室の拡張や収縮に追従して、液体を吸入したり、排出したりする方式であった。
【0054】
本発明のマイクロポンプ1においては、圧力室3の一方にのみノズル4を有し、他方は圧力室3の断面積相当に開口されている。また、圧力室3の容積変化と液体の流れの関係の間に圧力室3内の液体中を伝播する圧力波が介在する点が従来技術と異なる。
【0055】
図6を用いて、圧力室3内を伝播する圧力波の様子について説明する。図6は、圧力室3内の圧力波の振動周期を説明するための図である。なお、圧力室3の一端部にはノズル4による開口部があるが、その面積は圧力室3の断面積と比較して充分小さく、圧力波伝播の大勢に影響しないことから、閉塞された状態とみなすことができるので、図6においては閉塞状態で図示している。
【0056】
まず、図6(a)で示すように、圧力室3が急速に拡張すると、圧力室3内全体に負圧が発生する(図中では、負圧の状態を“−”の丸印で表現している)。なお、負圧発生時を基準として経過した時間を、時間tとする。
【0057】
この負圧の発生によって、図6(b)で示すように、共通の液室である開口部15内にある液体が、矢印で示すように圧力室3内に流入する。この液体の流れあるところと、流れのないところとの界面が圧力波であり、圧力室3内をノズル4方向に伝播する。
【0058】
図6(c)は、圧力波が最初にノズル4側の壁面に到達した状態を示す。圧力室3の長さをL、液体中の圧力波の音速をaとすると、この状態になるまでには、時間t=L/aを要する。
【0059】
その後も、液体の流入が持続し、圧力波は、ノズル4側の壁面に反射されて、開放部5側へ向きを代えて伝播する。これによって、図6(d)で示すように、圧力室3内は、ノズル4側より次第に正圧になっていく(図中では、正圧の状態を“+”の丸印で表現している)。
【0060】
図6(e)で示すように、時間t=2L/aが経過したときに、液体の流れが止まり、圧力室3内全体が正圧となる。この正圧によって、図6(f)で示すように、液体が、圧力室3から開放部5側へ流出し始めるとともに、圧力波が再びノズル4側に向かって伝播する。そして、図6(g)で示すように、時間t=3L/aが経過したときに、圧力波はノズル4側の壁面に到達する。
【0061】
さらに、液体の流出が持続するため、圧力波は、ノズル4側の壁面に反射されて、開放部5の方向に向かって伝播し、図6(h)に示すように、圧力室3内のノズル4側より次第に負圧になる。
【0062】
そして、図6(i)で示すように、時間t=4L/aが経過したときに、圧力波が開放部5側に到達して、圧力室3内全体は、負圧となり、図6(a)で示す、時間t=0における状態と同じ状態となる。
【0063】
このように、多少の減衰はあるものの、圧力波は振動周期T0=4L/aで振動を繰り返す。
【0064】
圧力波伝播の大勢を考える上では、ノズル4による開口を無視したが、圧力波の伝播に伴う液体の流れを考える上では、ノズル4による開口は重要である。ノズル4の流路抵抗に方向性がない場合は、圧力波の1振動周期内では開放部5側の開口、および、ノズル4の開口を介しての液体の出入りは各々相殺される。しかし、ノズル4が液体の流れる方向に異なる流路抵抗を有する場合、当然流路抵抗が小さい向きにより多くの液体が流れる。一方、開放部5側の開口部の流路抵抗は本来ノズル4の流路抵抗に比べて充分に小さいことから、ノズル4で生じた流量の差分を吸収して液体の流れる向きに殆ど影響を与えない。
【0065】
この様子を、図7を用いて説明する。
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれが図6(b)、(d)、(f)、(h)の状態に対応する。つまり、ノズル4を通じての液体の流入・流出は圧力室3内のノズル4近傍の圧力状態によって決まり、正圧の場合は流出、負圧の場合は流入となる。
【0066】
ノズル4の流路抵抗差のため、流入の際には流量が多くなり、流出の際は比較的少なくなることから生じる流量差は、共通の液室である開口部15への流量差となる。その結果、液体の全体的な流れは、ノズル4の流路抵抗が小さい向きに方向付けられる。
【0067】
すなわち、図3に示すノズル4の向き(配置)では、ノズル4側が流入部となり、開放部5側が流出部となる。
【0068】
上述したように、本発明のマイクロポンプ1は圧力室3の単に1回の拡張動作だけであっても、圧力室3内を往復運動(振動)する圧力波とそれに伴う液体の流れが生じ、液体流れる方向によって異なる流路抵抗を有するノズル4によって、液体を所定方向に繰返し搬送することが可能である。
【0069】
本実施の形態では、このような圧力波の振動が圧力室3内にある状態で、再び圧力室3を収縮させる構成であり、この収縮は既存の圧力波の振動と同調させるタイミングで行なう。つまり、圧力室3の収縮によって生じる新たな圧力波と、既存の圧力波とを共振させ、より大きい圧力を発生させることができる。すなわち、駆動波形のパルス幅が、液体が流入された圧力室3における圧力波の振動周期:T0の1/2と略等しい、駆動波形を用いることで、新たな圧力波と既存の圧力波とを共振させる。これによって、圧力室3内への液体の流入量を多くすることができるため、液体の搬送効率を高めることができる。パルス幅が振動周期:T0の1/2と略等しい駆動波形を用いることで、このような効果を奏することは、図8で示す実験結果においても立証されている。
【0070】
図8は、実験結果を示すグラフである。本実験では、駆動周波数を一定(37kHz)にした状態で、圧力室3の拡張および縮小の保持時間(駆動信号のパルス幅)を変化させ、排出された液体の量を計量した。本実験で用いた圧力室3の長さ寸法L=1.15mmであり、圧力波の液体中の音速a≒1000m/secである。
【0071】
実験結果では、圧力室3の拡張および収縮の保持時間が2.25μsecの場合に、排出された液体の量が最大となることを示す。本実験では、既存の圧力波の振動周期T0は、4L/a=4×1.15(mm)/1000(m)=4.6μsecであるため、振動周期:T0の1/2は、2.3μsecである。ゆえに、本実験において、排出された液体の量が最大となるパルス波形のパルス幅(2.25μsec)は、振動周期:T0の1/2(2.3μsec)と略等しいため、かかるパルス幅の駆動波形を用いることが好ましいことが立証されている。
【0072】
図9に示すものは、本発明のマイクロポンプ1を複数用いて、異なる液体を微少量かつ高精度に混合するためのマイクロポンプシステムである。つまり、複数のマイクロポンプ1の吸入側をそれぞれ異なる液体が蓄えられた容器16に接続するとともに、排出側を混合液が蓄えられる同一の容器17に接続し、それぞれのマイクロポンプ1の駆動を制御することによって、高精度に微少量の液体を混合する。これにより、化学分析装置等で用いられているマイクロポンプを小型化することができる。
【0073】
図10に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、前記図3や図7に示す実施の形態と異なる点は、ノズル4の向き(配置)が反対になっていることである。
【0074】
この実施の形態では、ノズル4は液体を圧力室3からマイクロポンプ1外部に流出させる向きに流路抵抗が小さくなる構成とした。この場合、図中の矢印のごとく、開放部5側から圧力室3、ノズル4を経てマイクロポンプ1の外部へと液体が搬送される。動作原理については、前記図3や図7に示す実施の形態と同じである。
【0075】
図11に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、前記流路(ノズル)4の向きが、前記複数の圧力室3において異なっているものである。
【0076】
この実施の形態では、図7に示すノズル4の配置と、図10に示すノズル4の配置を、同一の流路基板2上に形成した構成である。これにより、チャンネル(圧力室3)を選択して駆動することで、双方向に液体を搬送することができる。なお、図中の矢印は、液体の搬送される向きを表している。
【0077】
この場合、吸入用チャンネルと排出用チャンネルの間に液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18を配置した圧力室3(ダミーのチャンネル)を設けることで、吸入用チャンネルと排出用チャンネルの相互干渉を防ぎ、安定した動作を得ることができる。
【0078】
ここで、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18とは、断面積が一様なノズルである。この液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18を配したダミーのチャンネルは、圧力室3を駆動した場合、ノズル18を介しての液体の入出量が相殺されるため液体の搬送には寄与しないが、ダミーのチャンネルを吸入用チャンネルと排出用チャンネルの間に設けることで、相互干渉(クロストーク)を防ぐことができる。
【0079】
なお、本発明の各実施の形態では、アクチュエータ6として圧電体を用い、その圧電体として剪断モードのものを用いたが、これに限定されず、たとえば、撓みモード型,縦モード型等の他の圧電体や、静電アクチュエータ等のように、圧力室内に圧力を発生させることができる構成であればよい。
【0080】
また、本実施の形態では、圧力室3が圧電体基板2内に形成され、圧電体からなる隔壁12の変形によって直接的に液体に圧力を付与する構成になっているが、これに限定されず、アクチュエータ6は、従来技術のように振動板を有し、アクチュエータの変形を振動板に伝え、振動板を介して液体に圧力を付与する構成であってもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が圧電体基板2に形成されている構成としたが、本発明はこれに限定されず、別の部材に形成されたものを接合させた構成であってもよい。たとえば、ポリイミドのシートにエキシマレーザーによって穴加工することによって、テーパー状の断面形状となることから、本発明のマイクロポンプに適用可能である。この場合の利点は、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路を形成する上で、切削による機械加工と比べて、比較的加工精度がよいことである。
【0082】
また、本実施の形態では、圧力室3が拡張および縮小する構成であるが、拡張および縮小の双方が必須ではなく、拡張と中立(拡張前の状態)、或いは、縮小と中立(縮小前の状態)のみであっても、本発明を実現することができる。もっとも、圧力室3内における圧力変動が大きい程、洗浄液の流入量を多くすることができるため、本実施の形態のように、圧力室3が、拡張および収縮を繰り返す構成とすることがより好ましい。
【0083】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、たとえば、医療、化学分析などに用いる微量流体供給装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプを概略的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に係るマイクロポンプの平面図である。
【図3】図2のA―A’線断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプの電気的接続を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプの動作状態を示す概略図である。
【図6】圧力室内を伝播する圧力波を説明する図である。
【図7】圧力室を介しての液体の流れを説明する図である。
【図8】駆動パルス幅と送液量の関係を示すグラフである。
【図9】本発明のマイクロポンプシステムの構成図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかるマイクロポンプの平面概略図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかるマイクロポンプの平面概略図である。
【符号の説明】
【0086】
1 マイクロポンプ、2 流路基板(圧電体基板)、3 圧力室、4 液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路(ノズル)、5 開放部、6 アクチュエータ、7 駆動装置、16 異なる液体を蓄える複数の容器、17 液体を混合するための容器、18 液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路。
【技術分野】
【0001】
本発明は微少量の流体を高精度に搬送するためのマイクロポンプおよびマイクロポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微少量の液体を搬送するためのマイクロポンプには、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルを用いたバルブレスポンプがある。
【0003】
このバルブレスポンプの構造や原理については、非特許文献1(Micro ElectroMechanical Systems(1996)378頁〜383頁)、および非特許文献2(Micro ElectroMechanical Systems(1996)479頁〜484頁)に記載されている。
【0004】
前記両非特許文献とも、シリコン基板の一平面上に圧力室と、それを挟むように圧力室の両端それぞれに接続された、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルが形成され、それに対向してガラス基板が貼り合わされており、さらに、圧力室が位置するシリコン基板上、またはガラス基板上の反対の面に圧電素子が配されている。
【0005】
ここで、液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズルは、液体が圧力室に流入する側のノズルは圧力室の向きに開口面積が順次拡大し、液体が流出する側のノズルは圧力室の向きに開口面積が順次縮小しており、開口面積が順次拡大する向きが順次縮小する向きの方が流路抵抗は小さくなる。そして、圧電素子を駆動することで、シリコン基板、またはガラス基板を変形させ、圧力室の容積を拡張・収縮させることによって、流体の流れがノズルの流路抵抗が小さい向きに方向付けられる。
【0006】
さらに、この原理を応用した例として、特許文献1(特開平10−110681号公報)や特許文献2(特開2001−322099号公報)に記載されたものが公知である。
【0007】
前記特許文献1に記載の技術では、流路の加工精度に影響されず、流路抵抗差を大きく維持できる流路形状を特徴としている。これにより、量産性に優れたマイクロポンプを提供できるとしている。
【0008】
また、前記特許文献2に記載の技術では、流路抵抗が差圧に応じて変化の大きい第1の流路と、流路抵抗が第1の流路に比べて差圧に影響されにくい第2の流路を圧力室の両端に有し、圧力室の拡張・収縮によって生じる第1の流路と第2の流路の流路抵抗の比を異ならせることを特徴としている。これによって、正逆両方向の液体搬送が可能なマイクロポンプを提供できるとしている。
【特許文献1】特開平10−110681公報
【特許文献2】特開2001−322099公報
【非特許文献1】Micro ElectroMechanical Systems(1996)378頁〜383頁
【非特許文献2】Micro ElectroMechanical Systems(1996)479頁〜484頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記従来の技術では、ある程度大きな流量や流体圧力を得るには圧力室の容積変化量をある程度大きくする必要があり、そのために、圧力室そのものを大きくする必要があった。また、原理的に圧力室の両端にノズルを設ける必要性があった。
【0010】
そのため、研削などの機械的な加工では限界があり、フォトリソ工程やエッチング工程によりシリコン基板に圧力室や液体の流れる方向により流路抵抗が異なるノズル、振動板を加工・形成していた。このため、露光装置やドライエッチング装置などの高価な製造装置が必要であった。
【0011】
また、アクチュエータと振動板の貼り合せなど、製造工程が複雑であった。さらに、流量や圧力を大きくするためには、圧力室の容積変化量をある程度大きくする必要があり、小型化や高集積化が困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、従来のものに比べ構造が簡単化され、小型化されたマイクロポンプおよびマイクロポンプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。即ち、本発明のマイクロポンプの特徴とするところは、流路基板に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室が設けられ、前記圧力室の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータが設けられている点にある。
【0014】
前記本発明の構成によれば、圧力波の振動(一端部と他端部間の往復運動)によって液体が搬送される。したがって、従来の圧力室の容積変化によって液体を搬送する場合に比べて、マイクロポンプの構造を簡素化できる。
【0015】
具体的には、所定の(ある程度大きな)流量や流体圧力を得るには大きな圧力波を発生させる必要があるが、このためには、圧力室の変位の高速性が重要な要素となる。換言すれば、圧力室の変位量が要求されないので、大きな圧力室を必要としない。
【0016】
また、原理的に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路は、圧力室の一端のみであり、他端は開放された形状でよいので、加工方法の制約が軽減され、研削などの機械的加工も適用できる。
【0017】
本発明においては、前記流路基板は圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータを構成しているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ダイシングブレードを用いた研削加工によって比較的容易かつ安価に圧力室を形成することができ、また、振動板が不要となり、マイクロポンプの構造を簡素化できる。さらに、振動板の抵抗力が生じない分、圧電素子(圧力室の一部)の変位の高速性や電気機械変換効率がよくなり、高速・高効率動作が可能である。
【0019】
本発明においては、前記流路は前記流路基板に形成されているのが好ましい。
この構成によれば、圧力室の形成と同様に流路を研削加工によって形成できる。また、別部材を用いないため、製造コストを削減することができる。
【0020】
本発明においては、前記圧力室は複数配置された構成とするのが好ましい。
この構成によれば、単一の圧力室(単一チャンネル)では得られる流量や流体圧力に限界があるが、圧力室を複数設ける(マルチチャンネル化する)ことによって、所望の流量や流体圧力を得ることができる。
【0021】
本発明において、前記複数の圧力室に対し前記アクチュエータを選択的に駆動する駆動装置が設けられるのが好ましい。
【0022】
この構成によれば、得られる流量や流体圧力の調整を広範囲にすることができる。
本発明では、前記流路の向きが、前記複数の圧力室において異なっている構成とすることができる。
【0023】
この構成によれば、駆動するチャンネルによって、液体を正逆両方向に搬送することができる。
【0024】
本発明においては、前記流路の向きが異なる圧力室の間に、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を一端部に設けた圧力室が配置された構成とすることができる。
【0025】
この構成によれば、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を配置したチャンネルは液体の搬送(吸入や排出)には寄与しないが、その両側に位置する吸入用のチャンネルと排出用のチャンネルの相互干渉を防ぐことができ、安定した動作が得られる。
【0026】
本発明のマイクロポンプシステムの特徴とするところは、それぞれ異なる液体を蓄える複数の容器と、該複数の容器それぞれに接続された複数の前記マイクロポンプと、該複数のマイクロポンプを介して搬送された液体を混合するための容器を含んでなる点にある。
【発明の効果】
【0027】
本発明のマイクロポンプによれば、従来のマイクロポンプに比較して構造が簡素であり、フォトリソ装置やドライエッチング装置等の高価な装置を用いることなく、ダイシングブレードによる機械的切削加工によって製造することができる。このため、低コストのマイクロポンプを供給することができる。また、搬送液体の流量や圧力を広範囲に、かつ、高精度に調整できる高性能なマイクロポンプを提供できる。さらには、液体の搬送を双方向にすることが容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1〜図3において、本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ1は、流路基板2に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室3が設けられている。この圧力室3の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が接続されている。前記圧力室3の他端部は開放部5とされている。前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータ6が設けられている。
【0029】
前記開放部5の流路抵抗は、前記流路4よりも小さいものとされ、好ましくは、前記圧力室の断面相当に開口されているのが好ましい。
【0030】
前記流路基板2は、圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータ6を構成している。また、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4も、前記流路基板2に形成されている。さらに、前記圧力室3は複数配置されている。すなわち、圧力室3は、同一の流路基板2に互いに平行に複数設けられている。同様に、前記流路4や開放部5もそれぞれの圧力室3に設けられている。前記複数の圧力室3に対し前記アクチュエータ6を選択的に駆動する駆動装置7が設けられている。
【0031】
前記流路基板2に、カバープレート8が貼り合わされている。流路基板2には、FPC(フレキシブル基板)9が電気的に接続されている。このFPC9に前記駆動装置7が設けられている。この駆動装置7は、ドライバICにより構成されている。
【0032】
この実施の形態では、前記流路基板2(以下、圧電体基板ということもある)は、厚み方向に分極された剪断モードの第1の圧電体基板10と第2の圧電体基板11を分極方向(図中の矢印)が対向するように貼り合わされたものである。
【0033】
その流路基板2に、第1の圧電体基板10の側から第2の圧電体基板11に至る一定深さの溝が設けられ、前記圧力室3が形成される。
【0034】
前記圧力室3は、従来のマイクロポンプがシリコン基板をフォトリソ工程とエッチング工程によって形成されていたのに対して、ダイシングブレードによる研削のみで、比較的容易かつ安価に形成することができる。
【0035】
つぎに、ダイシングブレードによる複数本の溝加工によってできた複数の圧力室3の間の圧電体からなる隔壁12の少なくとも両側面に駆動電極13、および、流路基板2の上面に外部接続電極14を形成する。
【0036】
前記駆動電極13と外部電極14の形成方法としては、つぎに記述する通りである。
前工程である前記ダイシングブレードによる溝の加工と同時に、外部接続電極14に相当する箇所に数μm程度の浅溝(凹部)を形成しておき、流路基板2の斜め上方より流路基板2の上面および隔壁12の側壁にスパッタにより金属膜を成膜する。そして、流路基板2の上面を全面研削することで余分な箇所の金属膜だけが除去され、凹部の金属膜だけが必然的に残されることから、マスク材等を用いることなく、安価にパターンニングできる。
【0037】
この状態では、駆動電極13が圧力室3内に露出しているため、必要に応じて絶縁膜形成等の絶縁処理を施す。絶縁膜としては、パリレン樹脂(日本パリレン社)が機械的強度や耐薬品性に優れている。
【0038】
つぎに、「液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4」(以下、「ノズル4」という場合がある)を形成する。このノズル4の形成は、前記圧力室3の一端に連通し、圧力室3より断面積が小さく、かつ、断面積が順次変化する第2の溝を研削加工することによって行なわれる。
【0039】
ここでは、圧力室3の溝加工時よりも切削幅の狭いダイシングブレードを用いて、圧力室3の側から研削深さを順次浅くして加工している。このため、ノズル4の流路抵抗はマイクロポンプ1の外部から圧力室3へ流入する向きの方が小さくなる。
【0040】
そして、流路基板2の上面に、前記カバープレート8が貼り合わせられ、流路基板2に形成されている圧力室3、および、流路4の上面が閉塞される。
【0041】
前記カバープレート8には開口部15が形成されている。この開口部15は、カバープレートの厚み方向に貫通している。該開口部15が圧力室3の他端部に位置している。この開口部15に位置する圧力室3の他端部が、前記開放部5を構成する。
【0042】
カバープレート8の前記開口部15は、複数の圧力室3の開放部5にわたって、連続して形成されている。したがって、この開口部15が、各圧力室3共通の液室102bとなる。
【0043】
さらに、露出している外部接続電極14に駆動装置7を接続する。(図1ではFPC9とドライバICを駆動装置7(駆動回路)の一部として図示している。図2、3では駆動回路に相当するものは、図示していない。)
図4は、マイクロポンプ1の駆動装置7のドライバICの接続状態を模式的に示したものである。
【0044】
駆動装置7は、各圧力室3毎(チャンネル毎)の駆動電極13に異なる電圧波形が供給できる構成になっている。なお、図中の矢印は、圧電体基板10,11の分極方向を表している。
【0045】
図5を用いて、マイクロポンプ1の駆動方法について説明する。
説明を簡素化するために、Ch1〜5の5チャンネルに駆動電圧を付加した場合のCh2〜4の3チャンネル分の動作について述べる。
【0046】
このタイプのマイクロポンプにおいては、各チャンネルの駆動電極13に駆動電圧を与え、チャンネル間の隔壁12に電界を生じさせることで、隔壁12が剪断変形させられる。その結果、圧力室3が拡張、または、収縮し、内部の液体に対して圧力を付与することができる。
【0047】
具体的には、図5(b)の状態1に示すような各チャンネル間に電位差がない場合(状態1ではすべてLowレベル)は、図5(c)の状態1に示すように隔壁12の変形は生じない。
【0048】
つぎに、図5(b)の状態2のようにCh1,Ch3,Ch5のみをHighレベルにすることで、隣接するCh2,Ch4との間に電位差が生じ、Ch1,Ch3,Ch5の圧力室3が拡張する方向に隔壁12が変形する。
【0049】
逆に、図5(b)の状態3のように、Ch1,Ch3,Ch5がCh2,Ch4に相対して負の電位となるよう駆動電圧を付与した場合は、図5(c)の状態3のように、Ch1,Ch3,Ch5の圧力室3が収縮する方向に隔壁12が変形する。
【0050】
また、状態4で示すように、Ch2,Ch3,Ch4を同電位(この場合はHighレベル)とすることで、状態1と同様にCh3の圧力室3を非動作状態にすることができる。
【0051】
上記したように、各チャンネルに付与する駆動波形を調整することによって、選択的にチャンネルを駆動することができる。つまり、複数あるチャンネルの内、駆動するチャンネル数を調整することで、それに比例して搬送する液体の流量や流体圧力を広範囲に設定することができる構成になっている。
【0052】
また、隔壁12を隣接するチャンネルと共有するため、隣接するチャンネル同士は拡張・収縮の動きが逆相になる。このことは、液体搬送の際に生じる脈動を低減する効果を奏する。
【0053】
つぎに、従来技術のマイクロポンプとは異なる点について述べる。従来技術のマイクロポンプでは、圧力室の上流と下流の双方にノズルを有する構造であった。また、圧力室の容積変化が直接的に作用し、圧力室の拡張や収縮に追従して、液体を吸入したり、排出したりする方式であった。
【0054】
本発明のマイクロポンプ1においては、圧力室3の一方にのみノズル4を有し、他方は圧力室3の断面積相当に開口されている。また、圧力室3の容積変化と液体の流れの関係の間に圧力室3内の液体中を伝播する圧力波が介在する点が従来技術と異なる。
【0055】
図6を用いて、圧力室3内を伝播する圧力波の様子について説明する。図6は、圧力室3内の圧力波の振動周期を説明するための図である。なお、圧力室3の一端部にはノズル4による開口部があるが、その面積は圧力室3の断面積と比較して充分小さく、圧力波伝播の大勢に影響しないことから、閉塞された状態とみなすことができるので、図6においては閉塞状態で図示している。
【0056】
まず、図6(a)で示すように、圧力室3が急速に拡張すると、圧力室3内全体に負圧が発生する(図中では、負圧の状態を“−”の丸印で表現している)。なお、負圧発生時を基準として経過した時間を、時間tとする。
【0057】
この負圧の発生によって、図6(b)で示すように、共通の液室である開口部15内にある液体が、矢印で示すように圧力室3内に流入する。この液体の流れあるところと、流れのないところとの界面が圧力波であり、圧力室3内をノズル4方向に伝播する。
【0058】
図6(c)は、圧力波が最初にノズル4側の壁面に到達した状態を示す。圧力室3の長さをL、液体中の圧力波の音速をaとすると、この状態になるまでには、時間t=L/aを要する。
【0059】
その後も、液体の流入が持続し、圧力波は、ノズル4側の壁面に反射されて、開放部5側へ向きを代えて伝播する。これによって、図6(d)で示すように、圧力室3内は、ノズル4側より次第に正圧になっていく(図中では、正圧の状態を“+”の丸印で表現している)。
【0060】
図6(e)で示すように、時間t=2L/aが経過したときに、液体の流れが止まり、圧力室3内全体が正圧となる。この正圧によって、図6(f)で示すように、液体が、圧力室3から開放部5側へ流出し始めるとともに、圧力波が再びノズル4側に向かって伝播する。そして、図6(g)で示すように、時間t=3L/aが経過したときに、圧力波はノズル4側の壁面に到達する。
【0061】
さらに、液体の流出が持続するため、圧力波は、ノズル4側の壁面に反射されて、開放部5の方向に向かって伝播し、図6(h)に示すように、圧力室3内のノズル4側より次第に負圧になる。
【0062】
そして、図6(i)で示すように、時間t=4L/aが経過したときに、圧力波が開放部5側に到達して、圧力室3内全体は、負圧となり、図6(a)で示す、時間t=0における状態と同じ状態となる。
【0063】
このように、多少の減衰はあるものの、圧力波は振動周期T0=4L/aで振動を繰り返す。
【0064】
圧力波伝播の大勢を考える上では、ノズル4による開口を無視したが、圧力波の伝播に伴う液体の流れを考える上では、ノズル4による開口は重要である。ノズル4の流路抵抗に方向性がない場合は、圧力波の1振動周期内では開放部5側の開口、および、ノズル4の開口を介しての液体の出入りは各々相殺される。しかし、ノズル4が液体の流れる方向に異なる流路抵抗を有する場合、当然流路抵抗が小さい向きにより多くの液体が流れる。一方、開放部5側の開口部の流路抵抗は本来ノズル4の流路抵抗に比べて充分に小さいことから、ノズル4で生じた流量の差分を吸収して液体の流れる向きに殆ど影響を与えない。
【0065】
この様子を、図7を用いて説明する。
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれが図6(b)、(d)、(f)、(h)の状態に対応する。つまり、ノズル4を通じての液体の流入・流出は圧力室3内のノズル4近傍の圧力状態によって決まり、正圧の場合は流出、負圧の場合は流入となる。
【0066】
ノズル4の流路抵抗差のため、流入の際には流量が多くなり、流出の際は比較的少なくなることから生じる流量差は、共通の液室である開口部15への流量差となる。その結果、液体の全体的な流れは、ノズル4の流路抵抗が小さい向きに方向付けられる。
【0067】
すなわち、図3に示すノズル4の向き(配置)では、ノズル4側が流入部となり、開放部5側が流出部となる。
【0068】
上述したように、本発明のマイクロポンプ1は圧力室3の単に1回の拡張動作だけであっても、圧力室3内を往復運動(振動)する圧力波とそれに伴う液体の流れが生じ、液体流れる方向によって異なる流路抵抗を有するノズル4によって、液体を所定方向に繰返し搬送することが可能である。
【0069】
本実施の形態では、このような圧力波の振動が圧力室3内にある状態で、再び圧力室3を収縮させる構成であり、この収縮は既存の圧力波の振動と同調させるタイミングで行なう。つまり、圧力室3の収縮によって生じる新たな圧力波と、既存の圧力波とを共振させ、より大きい圧力を発生させることができる。すなわち、駆動波形のパルス幅が、液体が流入された圧力室3における圧力波の振動周期:T0の1/2と略等しい、駆動波形を用いることで、新たな圧力波と既存の圧力波とを共振させる。これによって、圧力室3内への液体の流入量を多くすることができるため、液体の搬送効率を高めることができる。パルス幅が振動周期:T0の1/2と略等しい駆動波形を用いることで、このような効果を奏することは、図8で示す実験結果においても立証されている。
【0070】
図8は、実験結果を示すグラフである。本実験では、駆動周波数を一定(37kHz)にした状態で、圧力室3の拡張および縮小の保持時間(駆動信号のパルス幅)を変化させ、排出された液体の量を計量した。本実験で用いた圧力室3の長さ寸法L=1.15mmであり、圧力波の液体中の音速a≒1000m/secである。
【0071】
実験結果では、圧力室3の拡張および収縮の保持時間が2.25μsecの場合に、排出された液体の量が最大となることを示す。本実験では、既存の圧力波の振動周期T0は、4L/a=4×1.15(mm)/1000(m)=4.6μsecであるため、振動周期:T0の1/2は、2.3μsecである。ゆえに、本実験において、排出された液体の量が最大となるパルス波形のパルス幅(2.25μsec)は、振動周期:T0の1/2(2.3μsec)と略等しいため、かかるパルス幅の駆動波形を用いることが好ましいことが立証されている。
【0072】
図9に示すものは、本発明のマイクロポンプ1を複数用いて、異なる液体を微少量かつ高精度に混合するためのマイクロポンプシステムである。つまり、複数のマイクロポンプ1の吸入側をそれぞれ異なる液体が蓄えられた容器16に接続するとともに、排出側を混合液が蓄えられる同一の容器17に接続し、それぞれのマイクロポンプ1の駆動を制御することによって、高精度に微少量の液体を混合する。これにより、化学分析装置等で用いられているマイクロポンプを小型化することができる。
【0073】
図10に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、前記図3や図7に示す実施の形態と異なる点は、ノズル4の向き(配置)が反対になっていることである。
【0074】
この実施の形態では、ノズル4は液体を圧力室3からマイクロポンプ1外部に流出させる向きに流路抵抗が小さくなる構成とした。この場合、図中の矢印のごとく、開放部5側から圧力室3、ノズル4を経てマイクロポンプ1の外部へと液体が搬送される。動作原理については、前記図3や図7に示す実施の形態と同じである。
【0075】
図11に示すものは、本発明の他の実施の形態であり、前記流路(ノズル)4の向きが、前記複数の圧力室3において異なっているものである。
【0076】
この実施の形態では、図7に示すノズル4の配置と、図10に示すノズル4の配置を、同一の流路基板2上に形成した構成である。これにより、チャンネル(圧力室3)を選択して駆動することで、双方向に液体を搬送することができる。なお、図中の矢印は、液体の搬送される向きを表している。
【0077】
この場合、吸入用チャンネルと排出用チャンネルの間に液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18を配置した圧力室3(ダミーのチャンネル)を設けることで、吸入用チャンネルと排出用チャンネルの相互干渉を防ぎ、安定した動作を得ることができる。
【0078】
ここで、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18とは、断面積が一様なノズルである。この液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有するノズル18を配したダミーのチャンネルは、圧力室3を駆動した場合、ノズル18を介しての液体の入出量が相殺されるため液体の搬送には寄与しないが、ダミーのチャンネルを吸入用チャンネルと排出用チャンネルの間に設けることで、相互干渉(クロストーク)を防ぐことができる。
【0079】
なお、本発明の各実施の形態では、アクチュエータ6として圧電体を用い、その圧電体として剪断モードのものを用いたが、これに限定されず、たとえば、撓みモード型,縦モード型等の他の圧電体や、静電アクチュエータ等のように、圧力室内に圧力を発生させることができる構成であればよい。
【0080】
また、本実施の形態では、圧力室3が圧電体基板2内に形成され、圧電体からなる隔壁12の変形によって直接的に液体に圧力を付与する構成になっているが、これに限定されず、アクチュエータ6は、従来技術のように振動板を有し、アクチュエータの変形を振動板に伝え、振動板を介して液体に圧力を付与する構成であってもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路4が圧電体基板2に形成されている構成としたが、本発明はこれに限定されず、別の部材に形成されたものを接合させた構成であってもよい。たとえば、ポリイミドのシートにエキシマレーザーによって穴加工することによって、テーパー状の断面形状となることから、本発明のマイクロポンプに適用可能である。この場合の利点は、液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路を形成する上で、切削による機械加工と比べて、比較的加工精度がよいことである。
【0082】
また、本実施の形態では、圧力室3が拡張および縮小する構成であるが、拡張および縮小の双方が必須ではなく、拡張と中立(拡張前の状態)、或いは、縮小と中立(縮小前の状態)のみであっても、本発明を実現することができる。もっとも、圧力室3内における圧力変動が大きい程、洗浄液の流入量を多くすることができるため、本実施の形態のように、圧力室3が、拡張および収縮を繰り返す構成とすることがより好ましい。
【0083】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、たとえば、医療、化学分析などに用いる微量流体供給装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプを概略的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に係るマイクロポンプの平面図である。
【図3】図2のA―A’線断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプの電気的接続を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかるマイクロポンプの動作状態を示す概略図である。
【図6】圧力室内を伝播する圧力波を説明する図である。
【図7】圧力室を介しての液体の流れを説明する図である。
【図8】駆動パルス幅と送液量の関係を示すグラフである。
【図9】本発明のマイクロポンプシステムの構成図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかるマイクロポンプの平面概略図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかるマイクロポンプの平面概略図である。
【符号の説明】
【0086】
1 マイクロポンプ、2 流路基板(圧電体基板)、3 圧力室、4 液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路(ノズル)、5 開放部、6 アクチュエータ、7 駆動装置、16 異なる液体を蓄える複数の容器、17 液体を混合するための容器、18 液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路基板に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室が設けられ、
前記圧力室の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、
前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータが設けられたことを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項2】
前記流路基板は圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータを構成していることを特徴とする請求項1記載のマイクロポンプ。
【請求項3】
前記流路は前記流路基板に形成されていることを特徴とする請求項2記載のマイクロポンプ。
【請求項4】
前記圧力室は複数配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマイクロポンプ。
【請求項5】
前記複数の圧力室に対し前記アクチュエータを選択的に駆動する駆動装置が設けられたことを特徴とする請求項4記載のマイクロポンプ。
【請求項6】
前記流路の向きが、前記複数の圧力室において異なっていることを特徴とする請求項5記載のマイクロポンプ。
【請求項7】
前記流路の向きが異なる圧力室の間に、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を一端部に設けた圧力室が配置されたことを特徴とする請求項6記載のマイクロポンプ。
【請求項8】
それぞれ異なる液体を蓄える複数の容器と、該複数の容器それぞれに接続された複数のマイクロポンプと、該複数のマイクロポンプを介して搬送された液体を混合するための容器を含んでなるマイクロポンプシステムにおいて、
前記マイクロポンプが請求項1〜7のいずれか一つに記載のマイクロポンプであることを特徴とするマイクロポンプシステム。
【請求項1】
流路基板に、一端部と他端部とを有し内部に液体を貯留する圧力室が設けられ、
前記圧力室の一端部に液体の流れる向きによって異なる流路抵抗を有する流路が接続され、前記圧力室の他端部は開放部とされており、
前記圧力室内の液体に対して、前記一端部と他端部間にわたって伝播する圧力波を発生させるアクチュエータが設けられたことを特徴とするマイクロポンプ。
【請求項2】
前記流路基板は圧電体からなり、該圧電体が前記アクチュエータを構成していることを特徴とする請求項1記載のマイクロポンプ。
【請求項3】
前記流路は前記流路基板に形成されていることを特徴とする請求項2記載のマイクロポンプ。
【請求項4】
前記圧力室は複数配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のマイクロポンプ。
【請求項5】
前記複数の圧力室に対し前記アクチュエータを選択的に駆動する駆動装置が設けられたことを特徴とする請求項4記載のマイクロポンプ。
【請求項6】
前記流路の向きが、前記複数の圧力室において異なっていることを特徴とする請求項5記載のマイクロポンプ。
【請求項7】
前記流路の向きが異なる圧力室の間に、液体の流れる向きによらず同一の流路抵抗を有する流路を一端部に設けた圧力室が配置されたことを特徴とする請求項6記載のマイクロポンプ。
【請求項8】
それぞれ異なる液体を蓄える複数の容器と、該複数の容器それぞれに接続された複数のマイクロポンプと、該複数のマイクロポンプを介して搬送された液体を混合するための容器を含んでなるマイクロポンプシステムにおいて、
前記マイクロポンプが請求項1〜7のいずれか一つに記載のマイクロポンプであることを特徴とするマイクロポンプシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−9726(P2007−9726A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188373(P2005−188373)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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