説明

マクロカプセル化分泌腺細胞

【課題】長期的に免疫抑制剤を使用することなく、分泌腺細胞移植、特に、脾臓島同種および異種移植片の生存の達成。
【解決手段】本発明は、親水性ゲル剤中における分泌腺細胞のマクロカプセル化、マクロカプセル化された分泌腺細胞を使用する治療法、およびマクロカプセル化による分泌腺細胞の保存に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、親水性ゲル材中における分泌腺細胞のマクロカプセル化、マクロカプセル化された分泌腺細胞を使用する治療法、及びマクロカプセル化による分泌腺細胞の保存に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
分泌腺細胞は、ホルモン(例えば、インスリン)、成長因子、サイトカイン等の生物学的生成物を分泌することによって特徴づけられる細胞である。その生物学的プロセスにおける役割は周知であるので、ここで記載する必要はない。多数の病気および病理的状態が、共に甲状腺ホルモンの不足を原因とする、甲状腺低下症およびクレチン小人症や、下垂体成長ホルモン不足による下垂体小人症、ヒポキサンチン ホスホリボシルトランスフェラーズ不足によるレッシュ−ハイハン(Lesch−Hyhan)症候群、肝栄養(hepatotrophic)因子不足による激症肝(fulminant hepatic)機能不全、軟骨細胞(chondrocyte)不足による細胞外マトリックス病、インスリン不足によるインスリン依存糖尿病などの分泌腺細胞の機能不全に関連している。
【0003】
このような状態を治療する1つの方法は、分泌腺細胞の患者への移植である。この移植された物質が、臨床的に安全で有効なものであるためには、(1)非免疫原性、非トロンボゲン性、生物学的安定性、そして宿主細胞と組織に対する完全な無毒性であること、(2)長時間にわたって細胞の生存力が維持されること、(3)栄養素、分泌促進物質(分泌を刺激する物質)及び細胞生成物質の自由な通過が許容されること、(4)外科移植および細胞の再接種が容易であること、そして(5)位置固定が容易で、かつ、除去が容易であること、が要求される。
【0004】
ランゲルハンス島分離技術の進歩によって、インスリン依存の糖尿病患者を治療する膵島移植が新たに注目されている。その背景について言及すると、ヒトの膵臓は、外分泌腺膵臓において、膵臓管近傍の幾分集中した状態で分布するランゲルハンス島(以下、「膵島」という)を有している。これらの膵島は、集合的に、膵臓の体積の約1%を占める単一の外分泌器官であると考えることができる。膵臓内において、小さな(直径160μm以下)島が、前記外分泌組織を通じて分布している傾向がある。これらの小さな島は、数においては島全体の75%を占めるが、体積においては約15%を占めるに過ぎない。直径が250μm以上の島は、島の全体の数の15%を占めるに過ぎないが、体積においては60%を占める。これらの島は、比較的大きな管と血管の近傍に集中しており、腺房組織によって包囲されていない。ヒトの膵臓は、百万個以上の島を有し、各島は、通常、数千の細胞から構成されている。各島は、インスリン生成ベータ細胞(B細胞)からなる中心コアと、その周囲の、グルカゴン含有アルファ細胞(A細胞)と、ソマトスタチン分泌デルタ細胞(D細胞)と、膵臓ポリペプチド含有細胞(PP細胞)とからなる皮膜(mantle)とを有している。インスリン生成B細胞が、前記細胞の大部分を構成し、ヒトの島の約80%を構成している。
【0005】
これまで、膵島移植の臨床的適用は、島の同種移植片−異種移植片拒絶反応、即ち、移植された膵島が、これらの移植膵島を攻撃する宿主の免疫システムによって拒絶されること、を防ぐことができないことによって限定されてきた。この拒絶反応に対応するために、これまで膵島の移植を、免疫抑制剤の投与とともに行っていた。
【0006】
しかし、免疫抑制療法は、両刃の剣であることが判った。というのは、これは拒絶反応のリスクを低下させるものの、体全体の免疫防御を損なうからである。これまで、多くの研究者によって、移植された組織を宿主の免疫反応から守る様々な方法が開発されてきた。しかし、以下に説明するように、一時的な成功は報告されてはいるが(レーシ、Diabetes Reviews 1(1);76(1993)参照、有効な長期的方法はまだ達成されていない。
【0007】
移植組織を宿主の免疫反応から防御する5種類の主要な方法は、すべて、移植組織を宿主の免疫システムから分離することを試みるものである。今日使用されている免疫分離技術は、管外拡散チャンバ、管内拡散チャンバ、管内限外濾過チャンバ、マイクロカプセル化、及びマクロカプセル化である。しかしこれらの方法は、すべて、移植物質に対する宿主の組織反応、移植物質の不安定性、半透過性膜を介した栄養素の拡散が限られていること、分泌促進物質と生成物との透過性、及び、半透過性膜バリアを介する分散の遅延のいずれか1つ又は複数の理由によって失敗に終わっている。
【0008】
例えば、生存細胞、組織、その他の不安定な生物膜を、半透過膜内に閉じ込めるマイクロカプセル化方法が、1978年Limによって開発された(Lim,ダモン社に対する研究報告(1978))。リムは、ランゲルハンス島をカプセル化するために、アルギン酸塩とポリL−リジンを使用した。1980年、糖尿病研究におけるこの新しい技術の生体内適用の最初の成功が報告された(リム等、Science 210:908(1980))。これらのマイクロカプセル化されたランゲルハンス島を移植することによって、糖尿病の動物において正常血糖(euglycemic)状態が維持された。しかし、この実験を反復実施した他の研究者は、アルギン酸塩が組織反応を引き起こし、リム等の結果を再現することができないと報告している(ランベルティ等、Applied Biochemistry and Biotechnology 10:101(1984);デュピイ等、Jour. Biomed. Material and Res.22:1061(1988);ウェーバー等、Transplantation 49:396(1990);及びスーン−シォング等、Transplantation Proceedings 22:754(1990))。現在、これらのマイクロカプセルの生体内における安定性と生物学的適合性が限られているのは、これらのポリマの水溶性に原因があると考えられている(デュピィ等、前掲、ウェーバー等、前掲、スーン−シォング等、前掲、及びスミズロッド,Faraday Discussion of Chemical Society 57:263(1974))。
【0009】
最近、イワタ等(イワタ等、Jour.Biomedical Material and Res.26:967(1992))は、同種膵島のマイクロカプセル化にアガロースを使用し、これが、マイクロビードの調製用の媒体として使用可能であることを発見した。彼らの研究において、1500−2000の島を、夫々、5%のアガロース中にてマイクロカプセル化し、これらをストレプトゾトシン誘発糖尿病のマウスに移植した。移植片は長期間生存し、その受容体は、正常血糖状態をずっと維持した。
【0010】
しかし、彼らの方法には多数の欠点がある。この方法は煩わしく不正確である。例えば、多数のビートが部分的にコーティングされたまま残り、空のアガロースの数百ものビードが形成される。更に、移植されたマイクロビードが、骨盤のくぼみに集まり、完全にコーティングされた個々のビードにおいて正常なグルコース状態を達成するためには多数の島が必要である。又、移植されたビードは、取り出すことが困難で、しかも壊れ易く、僅かな障害を受けても容易に島を放出してしまう。
【0011】
マクロカプセル化方法についても、これまで実験されている。ポリ−2−ヒドロキシエチル−メタクリレートや、ポリ塩化ビニール−コ−アクリル酸、セルロースアセテート等の種々の物質からなるマクロカプセルが、ランゲルハンス島の免疫分離用に作られた(アルトマン等、Diabetes 35:625(1986);アルトマン等、Transplantation American Society of Artificial Internal Organs 30:382(1984);ロネル等、Jour.Biomedical Material Research 17:855(1983);クロンプ等、Jour.Biomedical Material Research 17:865−871(1983))。これらのすべての研究において、血糖(glycemia)状態の一時的な正常化しか達成されなかった。
【0012】
アーチャー等、Journal of Surgical Research 28:77(1980)は、異種移植片の拒絶反応を一時的に防止するためにアクリル共重合体中空ファイバを使用した。彼らは、糖尿病のハムスタに移植された中空ファイバ中に分散した新生児ネズミの膵臓移植片が長期間生存したことを報告した。最近、レーシ等、Science 254:1782−1784(1991)は、彼らの結果を確認したが、その正常血糖(euglycemic)状態は一時的な相であることを見つけた。彼らは、島がそのファイバに注入された時、これらの島が中空ファイバ内で凝集し、その結果、島塊の中央部分に壊死が発生することを見いだした。そして、この中央の壊死によって移植片は長期生存することができなかった。この問題を解決するために、彼らは、ファイバ中において島を拡散させるためにアルギン酸塩を使用した。この方法を使用することによって、彼らは移植片の長期生存を達成することができた。しかし、この実験はまだ広範囲に繰り返されていない。従って、その膜のヒトの島移植媒体としての機能には疑問がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、長期的に免疫抑制剤を使用することなく、分泌腺細胞移植、特に、膵島同種および異種移植片の生存を達成することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、分泌腺細胞を親水性のゲル材中においてマクロカプセル化することによって、動物に移植可能で、かつ、長時間保存することが可能な機能、非免疫原性のマクロビードを得ることができるという驚くべき発見をした。本発明の分泌腺細胞のマクロカプセル化は、分泌腺細胞のマクロカプセル化の有効で実施可能な技術を提供するものである。このマクロカプセル化技術は、更に、酵素、微生物、組換え製造された栄養剤、細胞毒剤、及び化学療法剤を含む栄養剤などのその他の生物学的薬剤を、マクロカプセル化するのにも使用可能である。これらのマクロカプセル化された薬剤は、生物学的薬剤に反応することが知られている状態を治療するために投与することができる。
【0015】
発明の要旨
従って、本発明の課題は、宿主の分泌腺細胞の機能劣化によって発生した状態を治療するため、動物に移植可能な分泌腺細胞マクロビードを提供することにある。
【0016】
本発明の別の課題は、長時間にわたって保存が可能な分泌腺細胞マクロビードを提供することにある。
【0017】
これらの課題およびその他の課題を達成するため、本発明の一態様によれば、アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成される固体のマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆アガロース−コラーゲン分泌線細胞マクロビード」と称する)と、アガロースで被覆した、ゼラチン・スポンジとアガロースから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード」と称する)と、アガロース被覆アガロース分泌腺細胞マクロビードとを製造する方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様において、分泌腺細胞生成物質の不足によって特徴づけられる状態を有する患者を治療するための方法であって、前記患者に、アガロース被覆アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆ゲルフォーム分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆アガロース分泌腺細胞マクロビードとからなるグループから選択される治療的有効量の分泌腺細胞マクロビードを移植する工程を有する方法が提供される。
【0019】
本発明の更に別の態様において、分泌腺細胞を保存する方法であって、アガロース被覆アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆ゲルフォーム分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆アガロース分泌腺細胞マクロビードとからなるグループから選択されるマクロビードを形成する工程を有する方法が提供される。
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。但し、この詳細な説明から当業者にとって本発明の精神と範囲内における様々な改変および変更が明らかになるであろうから、これらの詳細な説明と具体例とは、本発明の好適実施形態を示すものであって、例示のためにのみ提供されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面の簡単な説明
図1及び図2は、アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードを示す。
図3は、アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す。
図4は、アガロース被覆ゲルフォーム膵島マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す。
図5は、アガロース被覆アガロース・マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す。
図6は、フリーな膵島を移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す。
図7は、アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードとフリーな膵島とを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す。
図8は、正常マウスと、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスと、腎臓カプセルにおいて他家移植を受けたストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス”(KCTマウス)”と、アガロース被覆アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆ゲルフォーム分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆アガロース分泌腺細胞マクロビードとを受けたストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス(これらを”ビード・マウス”と総称する)とのグルコース耐性を示す。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明は、生物学的剤、及び、好ましくは、親水性ゲル状材中における分泌腺細胞のマクロカプセル化、前記マクロカプセル化された、好ましくは分泌腺細胞である生物学的剤を使用する治療方法、そして、マクロカプセル化による分泌腺細胞の保存とに関する。前記親水性ゲル材は、アガロース、コラーゲン−アガロースの組合せ、及びゼラチン・スポンジアガロースを含む。以下、ゼラチン・スポンジをゲルフォームという。
【0022】
前記生物学的剤という用語は、例えば、タンパク質、酵素、ホルモン、ポリペプチド、血清、抗体、抗生物質、更に、遺伝子工学的に生成された細胞などの生物組織およびその生成物質を示す。生物学的剤としては、例えば、グルコース・オキシダーゼ、ラクターゼ複合体、例えば、アンモニアと尿素の除去に使用されるクレブシェラ・エーロゲネス(Klebsiella aerogenes)等の微生物組織、例えば、組換え生成された成長ホルモン等の組換え生成栄養剤を含む栄養剤、細胞毒剤などが含まれる。
【0023】
前記分泌腺細胞という用語は、膵臓の島を表す。但し、技術的には、島はひとつの分泌腺細胞ではなく、膵臓を通じて分散された複数の分泌腺細胞の集まりであり、その内分泌腺部を構成している。ヒトにおいては、これらは、高血糖因子、グルカゴンを分泌するアルファ細胞と、最も数が多く(70%−80%)、インスリンを分泌するベータ細胞と、ソマトスタチンを分泌するデルタ細胞と、ポリペプチド・ホルモンを分泌するポリペプチド細胞との、少なくとも4種類の分泌腺細胞から構成される。
【0024】
前述したように、移植された物質は、宿主に免疫適合しなければならない。アガロースは、生物学研究において長い使用の歴史を有しており、その品質はよく制御されている。コラーゲンは、ほ乳類において最も豊富に存在するタンパク質であって、これは確かなメカニカル・サポートを提供するとともに、細胞の複製、分化、器官形成、個々の成長および傷の修復(wound repair)のための生物学的空間として機能する。又、コラーゲンは、免疫適合性が良好である。ゲルフォームは非免疫原性であり、外科手術において広範囲に利用されている。これは、又、分泌腺細胞による許容度が高い。
【0025】
前記生物学的剤、好ましくは、分泌腺細胞は、まず、周知の技術を利用して分離される。一好適実施例において、膵島を、マクロカプセル化する前に、4℃、24℃又は37℃で培養する。この方法によって、分離損傷後において生存している島のみを選択することが可能になる。又、島の免疫原性が減少し、その結果、マクロビードを繊維症から保護することができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、好ましくは膵島であり、更に好ましくは約50,000〜700,000の膵島からなる生物学的剤は、好ましくは約0.5%〜2%のコラーゲンの水溶液中に懸濁される。コラーゲンの分子間架橋形成の原因となる抗原性テロペプチドを除去するペプシンによってコラーゲン処理することにより、(atellocollagen)が得られる。次に、約0.5%〜5%、好ましくは約1%のアガロースを、前記膵島に添加して、コラーゲンとアガロースとの混合物中に懸濁した膵島が形成される。この膵島含有混合物を、つぎに、周知技術、好ましくは、混合物をミネラル・オイル又はテフロン(登録商標)シートに滴下することによって、半固形ビードにする。つぎに、この半固形ビードを、抗生物質培地に移し、洗浄し、その後、標準条件下で培養し、好ましくは37℃の加湿5%二酸化炭素雰囲気中にて前記コラーゲンを重合させ、これによって、固体コラーゲン−アガロース・マクロビードが形成される。
【0027】
本発明の別実施形態において、好ましくは膵島であり、更に好ましくは約50,000〜700,000の膵島からなる生物学的剤は、ゼラチン・スポンジの表面(3−5cm)上に広げられる。次に、このゼラチン・スポンジを球形状に巻く。そして、この球に3%−5%のアガロースを注いでビードを形成する。
【0028】
本発明の更に別の実施形態において、好ましくは膵島であり、更に好ましくは約50,000〜700,000の膵島からなる生物学的剤は、約0.5%〜2%、好ましくは約1%のアガロースの溶液に入れられる。つぎに、この混合物を、ミネラル・オイル又はテフロン(登録商標)に接触させることによって、マクロビードにする。次に、このビードを、抗生物質培地に移し、洗浄し、その後、一晩、好ましくは37℃の加湿5%二酸化炭素雰囲気中にて培養する。
【0029】
上記のすべての実施形態において、マクロビードは、好ましくは、約500〜2,000ulの5%−10%のアガロースを有するテフロン(登録商標)製スプーン中でこのビードを3−4回ローリングすることによって、均一に被覆される。同様に、ここでいう生物学的剤マクロビードとは、ビード状のマクロカプセル化生物学的剤をいう。
【0030】
前記マクロビードは、その薬剤が公知の作用を行う体(body)に対してこの生物学的剤を投与する媒体としても使用可能である。1つのビード中に、1種類以上の生物学的剤をカプセル化することも可能である。例えば、1つのマクロビードに、ヘモグロビンやグルコース・オキシダーゼ等の複数の酵素を含ませることができる。このようなビードはビリルビンを除去するために投与できる。これらのビードは、消化酵素(ラクターゼ複合体)の経口投与、あるいは、体内からの望ましくないアミノ酸の選択的除去に使用可能である。酵素のカプセル化によって、更に、管腔中において酵素が劣化するのを防止することができる。更に、媒体としてカプセル化を使用して、組換え遺伝子生成物を安全に投与することも可能である。例えば、K.aerogenes遺伝子を、尿素とアンモニアの除去のためにマクロビードにマクロカプセル化することができる。前記生物学的剤が宿主に対して免疫原性である場合には、マクロビードによって、免疫反応抑制剤を使用することなく、あるいはより少量の免疫反応抑制剤を使用して、生物学的剤を投与することが可能となる。
【0031】
前記分泌腺マクロビードは、例えば、インスリン依存糖尿病、成長因子欠乏障害、ホルモン障害などの対象体の分泌腺細胞の機能劣化によって引き起こされる症状を、この分泌腺細胞マクロビードをその対象体に対して移植することによって、治療するのに使用することができる。これらのマクロビードは、その特定の治療のための適当な位置に注入することができる。例えば、肝臓の機能不全に関連する病気を治療するために、肝細胞を有するマクロビードを腹部腔に移植することができる。好適な適用例は、インスリン依存糖尿病を治療するために、それぞれが50,000〜700,000の膵島を有する5−10の膵島マクロビードを患者に移植するものである。前記マクロビードは、腹膜腔に挿入できる。
【0032】
前記分泌腺細胞マクロビードは、その症状を治療するのに十分な量が患者に移植される。これを達成するために適当な量を、”治療的有効量”又は”効能量”と定義する。この使用に対して有効な量は、その病状の重大性、患者の全体的状態、投与ルート、マクロビードのプレースメント、そして、その分泌腺細胞マクロビードが他の薬剤と併用して投与されているか否か、によって異なる。
【0033】
前記分泌腺マクロビードは、免疫反応抑制剤と併用して、あるいは、好ましくは、免疫反応抑制剤なしで、同種および異種移植のための使用できる。一好適実施形態において、慢性または急性インスリン依存糖尿病の患者は、免疫反応抑制剤を使用することなく、例えば、ブタ、ウシ、マウス、ラット、ピシン(picin)、その他適当な種類の動物の膵島を、その患者に異種移植することによって治療される。前記分泌腺細胞マクロビードは、例えば、その病状を治療するために、一般に使用されているトリプル・ドラッグ療法(シクロスポリン、アザチオプリン、及びヒドロコルチゾン)、ラパマイシン、デオキシスペルグアリン、又は抗体との併用で、投与することができる。
【0034】
前記マクロビードは、更に、生物学的剤、好ましくは、分泌腺細胞を長時間保存するための手段として使用可能である。これら生物学的剤、好ましくは、分泌腺細胞、の有効性を維持するために、これら生物学的剤および、好ましくは分泌腺細胞マクロビードは、動物中において移植されるまで培養される。
分泌腺細胞が膵島である場合、この膵島マクロビードは、24℃又は37℃の温度で培養される。
【実施例】
【0035】
実施例I
膵島の分離
ゴトウ等、Transplantation 40:437(1985)に記載されている方法を改変した方法により、ラットから膵島を分離した。
コラーゲナーゼ溶液(コラーゲナーゼ Type XI,Sigma Chemical,セントルイス、MO;2mg/mlのシグマを含有する1mg/ml、Type V、ウシ血清アルブミンと1mg/mlのCaCl)を総胆管を介して膵臓に注入した(ゴトウ等、Transplantation 40:437(1985)前出)。膵臓を取り出し、氷上に保持したフラスコ中で収集した。4匹のラットからの膵臓が収集されたところで、このフラスコを、38℃の水浴中に30分間載置した。その結果得られた消化組織を、低温(8℃)のHBSS(ハンクスの平衡塩類溶液)中で4回洗浄した。
【0036】
未消化組織、大きなリンパ節、その他の外来物質を、前記組織を反復流動化することによって除去し、その後、その上清を除去した。純化した島を、ユーロ−コリンス(Euro−Collins)溶液(Frescenius AG,Gluchen Steinweg,Homburg V.D.H.)中に調製した25%,23%,21%,及び11%のフィコール(Ficoll)層の不連続フィコール勾配上で分離し、2000rpmで16分間遠心分離にかけた。これらの島を、フィコール層の11%と21%との間のインターフェースと、21%と23%の間のインターフェースとから収集した。各フラクションからの島を、プールし、10%の胎児ウシ血清を含有するHBSS溶液中にて4回洗浄した。
【0037】
前記プールした島細胞を、次に、RPMI完全培地(complete medium)、即ち、25mMのHEPESと、熱不活性化胎児ウシ血清(10%)と、100ug/mlのペニシリンと、100ug/mlのストレプトマイシン硫酸塩と、25ug/mlのアンホテリシンBとを含有する抗原−抗菌性溶液(1ml/100ml)低温RPMI 1640培地(GIBCO、Grand Island,NY)を含有するペトリ皿に移した。残りの、非−島腺房、維管束、小導管、又はリンパ節組織を、解剖用顕微鏡を使用して同定し、先細の消毒ピペットによって注意深く取り出した。前記島プレパラートをジフェニルチオカルバゾンによって染色することによって最終的な純度を評価した。
【0038】
分離後、前記島を、37℃の5%の二酸化炭素含有雰囲気中で4日間、RPMI培地を含む加湿細菌学用プラスチック皿(100mm)内で培養した。培地を毎日取り替え、その後、島を直接に移植するか、もしくは、マクロカプセル化した。
【0039】
実施例II
A.アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成される固体のマクロビードであって、前記ビード中に膵島を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビード」と称する)アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードの製造
実施例Iの方法によって得た1000の膵島を、胎児ウシ血清を除いて実施例Iに記載したものと同じRPMI完全培地中で4回洗浄した。これらの膵島を、つぎに、50μlの燐酸緩衝塩類中の1%のアテロコラーゲン溶液を有するチューブに添加して膵島を懸濁した。RPMI又はMEM(最少必須培地)のいずれかにおいて調合され60℃に維持された100μlの1%低粘度アガロース(Sigma Type XII)溶液を、前記コラーゲン−膵島懸濁液に添加した。前記チューブの内容物を、つぎに、直ちに、1つの大きなドロップとして、室温に維持された殺菌ミネラル・オイル又はテフロン(登録商標)上に移した。1分間後、前記ドロップは、半固形のマクロビードになり、これを次に、37℃でRPMI抗生物質培地に移した。これらのマクロビードを同じ培地で3回洗浄し、すべてのオイルを除去した。最後に、これらを完全培地(37℃)で2回すすぎ、5%の二酸化炭素を含有する加湿雰囲気中にて37℃で一晩培養した。この時間の間、前記コラーゲンが重合化し、膵島がコラーゲンファィバ上に残った。
【0040】
次の日、前記固体マクロビードを、約1mlのRPMI又はMEM培地中の5%のアガロースを含むテフロン(登録商標)製スプーンに移した。次に、固体マクロビードをこの溶液中にて2−3回ローリングして、これらを均一に被覆した。アガロースが固体化する前に、マクロビードをテフロン(登録商標)皿内のミネラル・オイルに移し、表面の滑らかなマクロビードを得た。60秒後、マクロビードをミネラル・オイルから取り出し、RPMI抗生物質培地で3回洗浄し、その後、5%の二酸化炭素含有加湿雰囲気中にて37℃で一晩培養した。アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードは図1及び2に示されている。
【0041】
B.アガロースで被覆した、ゼラチン・スポンジとアガロースから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に膵島を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆ゼラチン・スポンジ膵島マクロビード」と称する)の製造
まず、ゼラチン・スポンジ(ゲルフォーム)の3mmの小片を、RPMI完全培地中に浸漬した。培地を絞り出し、ゲルフォームを1分間放置した。実施例Iによって製造された1,000の膵島を、RPMI抗生物質培地によって4回洗浄した。次に、これらを、10μlのRPMI抗生物質培地中で懸濁した。これらを細先のプラスチック製ピペットで、前記ゲルフォームの表面上に移して、ここで広げた。20秒後、前記ゲルフォームをローリングして球状にした。50μlの5%アガロースを、前記球の表面に注ぎ、膵島マクロビードを作った。
【0042】
このマクロビードを5%のアガロースによって均一に被覆するために、500μlの5%アガロースを、テフロン(登録商標)製スプーン中で前記マクロビードに添加し、3−4回ローリングした。アガロースが固体化する前に、マクロビードをミネラル・オイルに移し、その皿を回転させて、マクロビード上において平滑な面を得た。このマクロビードをRPMI抗生物質培地中にて3−4回洗浄し、その後、RPMI完全培地によって2回すすいだ。これを移植に使用する前に、一晩培養した。
【0043】
C.アガロース被覆アガロース膵島マクロビードの製造
実施例Iの方法によって得た1000の膵島を、まず、RPMI抗生物質培地中で4回洗浄した。これらの膵島を、つぎに、50μlのRPMI抗生物質培地を含むチューブに添加して膵島を懸濁した。100μlの1%のアガロース溶液を前記チューブに添加した。このチューブの全内容物を、つぎに、直ちに、1つの大きなドロップとして、殺菌ミネラル・オイル又はテフロン(登録商標)上に移した。1分間後、前記ドロップは、マクロビードに固形化した。このマクロビードを、37℃に維持されたRPMI抗生物質培地に移した。次に、マクロビードを同じ培地で3回洗浄することによってオイルを除去し、更に、RPMI完全培地によって2回すすいだ。これらのビードを、5%の二酸化炭素を含有する加湿雰囲気中にて37℃で一晩培養した。
【0044】
次の日、前記マクロビードを、約1mlのRPMI又はMEM培地中の5%のアガロースを含むテフロン(登録商標)製スプーンに移してマクロビードをアガロースで均一に被覆し、次に、マクロビードをアガロースにて2−3回ローリングした。60秒後、ビードをミネラル・オイルから取り出し、RPMI抗生物質培地で3回、更にRPMI完全培地で2回洗浄した。つぎに、これらのビードを一晩培養した。
【0045】
実施例III−膵島マクロビードのマウスへの移植
A.レシピエント・マウス及びドナー・マウス
使用したマウスは、C57BL/6及びBALB/c種であった。レシピエント・マウスを、一回のストレプトゾトシンの注射(170−200mg/kg)によって糖尿病化した。
【0046】
非絶食血漿・グルコース・レベルを、糖尿病の誘発の前に測定した。レシピエント・マウスのすべての血糖レベルを、尾の静脈血サンプルを介して、ExacTechPen Sensorによってモニタした。移植の日において血清グルコースレベルが>400mg/dlのマウスのみを使用した。
【0047】
Wistar Furthラットを異種移植のドナーとして使用した。
【0048】
B.膵島マクロビードの腹膜腔への異種移植
異種移植時に、実施例II(A),II(B),及びII(C)の膵島マクロビードを、夫々、RPMI抗生物質培地を有する別々のプレートにそっと移した。すべての血清タンパク質を除去するため、前記培地を3回取り替えた。糖尿病レシピエント・マウスを、アベルチンによって麻酔した。中線切開によって、1つの膵島マクロビードをフリーな腹膜腔に導入した。コントロール・マウスは、フリー・ドナー・膵島とともに、空のマクロビードi.p.(経腹膜)、フリーな膵島i.p.又は空のマクロビートを受け取った。
【0049】
移植後、各レシピエントの血中グルコースを、正常範囲に達するまで、毎日、又は1日置き毎にチェックした。その後、血中グルコースを、各週2−3回だけチェックした。血清グルコースが<200mg/dlで連続採血においてこのレベルに維持された場合、移植が成功であると考えた。血清グルコース濃度が一時的な正常血糖(normoglycemia)期間後において、200mg/dl以上に上昇した場合、移植は拒絶されたものであると見なした。血中グルコースが全く正常にならなかった場合(即ち、常時>200mg/dl)、移植は失敗した、もしくは、「基本的に非機能状態(primary non−functional)」になったものと見なした。
【0050】
C.経腹膜グルコース耐性テスト
移植の約70−84日後、グルコース耐性テストを行った。グルコース溶液(体重1kg当り1.0g)を、6時間絶食させた(午前9時から午後3時)マウスに経腹膜注入した。注入の前と後との両方において(0,30,60及び120分間)、血液サンプルを採取して、ExacTech Pen Sensorを使用して血漿グルコースレベルを測定した。
【0051】
比較のために、正常C57BL/6及びBALB/cマウスと、膵島の移植を行わなかったストレプトゾトシン誘発C57BL/6及びBALB/cマウスと、更に、フリーな膵島を腎臓capsuleに移植したストレプトゾトシン誘発糖尿病BALB/cマウス(”KCT”マウス)に対してグルコース耐性テストを行った。
【0052】
コントロール実験により、糖尿病のマウスにおける正常血糖(euglycemic)状態が、マクロビード自身によってではなく、マクロカプセル化された膵島によって達成されていることを確認した。従って、空のアガロース被覆、アガロース−コラーゲン・マクロビード及びアガロース被覆、ゲルフォームマクロビードを、実施例II(A)と(B)のビードと同様に作った。
【0053】
D.経腹膜異種移植とグルコース耐性テストの結果
膵島マクロビードの移植直後において、STZ糖尿病ストレプトゾトシン誘発C57B/6マウスの非絶食血漿グルコースレベルを、図3及び4に示す。アガロース被覆、アガロース−コラーゲン膵島マクロビード及びアガロース被覆、ゲルフォーム膵島マクロビードのレシピエント・マウスは、60日間以上、正常血糖(normoglycemic)状態を維持し、この期間中、これらのマウスの体重は、平均で3グラム増加した。アガロース被覆、アガロース膵島マクロビードを移植した場合、6匹中2匹の動物は、移植後21−33日で正常血糖状態(normoglycemic)になり(図5)、その後、正常血糖(euglycemic)状態を維持した。その他のすべての移植動物は、正常血糖(euglycemic)状態を達成することができなかった。空のマクロビード(n=6)は、血中グルコースに影響を与えなかった。
【0054】
フリーな膵島を経腹膜移植した場合、7匹中6匹の動物は、移植後1日で正常血糖(normoglycemic)状態になったが、これらの動物はこの状態を3−10日間しか維持できなかった(図6)。フリーな膵島を、アガロース被覆、アガロース−コラーゲンマクロビード及びアガロース被覆、ゲルフォームマクロビードからなる空のビードで移植した場合、これらの動物はすべて2時間以内で正常血糖(normoglycemic)状態となり、12日間以上この状態を維持した(図7)。その後、すべての動物は高血糖状態になった。空のマクロビードを有する動物は、その後90日間、なんら組織反応を起こさなかった。
【0055】
上記グルコース耐性テストを行った後に得られた結果を、図8に示す。正常BALB/c及びC57BL/6マウス及び”KCT”マウスにおいて、血漿・グルコースは30分間でピークに達し、120分間で元のラインに戻った。
【0056】
腎臓capsuleに、マクロカプセル化された膵島および非カプセル化膵島を移植したテストを行った時も、類似の結果が得られた。
【0057】
これらの実験結果は、アガロース被覆、アガロース−コラーゲン島マクロビード及びアガロース被覆、アガロースゲルフォーム膵島マクロビード及び、アガロース被覆、アガロース島マクロビードが、ハイブリッド人造器官に必要な特性を示すことを例証している。これらの3つのタイプの全部が有効にインスリンを分泌するものではあるが、最小数の移植動物において得られる結果の均一性から、アガロース被覆、アガロース−コラーゲン及びアガロース被覆、アガロースゲルフォームマクロビードが、ハイブリッド人造器官としてより適している。更に、これらの3つの種類のビードのいずれも、有害な影響を示さなかった。これらのマクロビードは、腹膜中においてフリーな状態に維持され、組織反応やどの器官に対する粘着も示さなかった。従って、これらのバイオハイブリッド膵島は、その天然の環境、膵臓においてと同様に、マクロカプセル化ビード中においても効果的にその機能を果たすものである。
【0058】
前述したすべてのマウスにおいて、血漿・グルコースレベルは30分間でピークに達し、120分間で元のラインに戻った。
【0059】
実施例IV
膵島の貯蔵期間の延長
完全RPMI培地中で、37℃で4週間培養した実施例I(A),(B)及び(C)によって作ったマクロカプセル化ビードの、生体内および生体外の長期保存性をテストした。その結果、4週間培養されたマクロカプセル化膵島は、1日間培養したものと機能的に類似していることが判った。
【0060】
この実施例は、本発明によるマクロカプセル化の方法が、分泌腺細胞の保存、好ましくは、膵島の保存に利用可能であることを例証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードを示す図。
【図2】アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードを示す図。
【図3】アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す図。
【図4】アガロース被覆ゲルフォーム膵島マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す図。
【図5】アガロース被覆アガロース・マクロビードを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す図。
【図6】フリーな膵島を移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す図。
【図7】アガロース被覆アガロース−コラーゲン膵島マクロビードとフリーな膵島とを移植された糖尿病のマウスのグルコースレベルを示す図。
【図8】正常マウスと、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスと、腎臓カプセルにおいて他家移植を受けたストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス”(KCTマウス)”と、アガロース被覆アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆ゲルフォーム分泌腺細胞マクロビードと、アガロース被覆アガロース分泌腺細胞マクロビードとを受けたストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス(これらを”ビード・マウス”と総称する)とのグルコース耐性を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下「アガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード」と称する)。
【請求項2】
前記分泌腺細胞は、膵島である請求項1に記載のアガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード。
【請求項3】
前記膵島は、ヒト膵島である請求項2に記載のアガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード。
【請求項4】
前記膵島は、ウシ膵島である請求項2に記載のアガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード。
【請求項5】
前記膵島は、ブタ膵島である請求項2に記載のアガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード。
【請求項6】
アガロースで被覆した、ゼラチン・スポンジとアガロースから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード」と称する)。
【請求項7】
前記分泌腺細胞は、膵島である請求項6に記載のアガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード。
【請求項8】
前記膵島は、ヒト膵島である請求項7に記載のアガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード。
【請求項9】
前記膵島は、ウシ膵島である請求項7に記載のアガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード。
【請求項10】
前記膵島は、ブタ膵島である請求項7に記載のアガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード。
【請求項11】
分泌腺細胞の機能劣化によって引き起こされた症状を有する患者を治療するための、アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード」と称する)、アガロースで被覆した、ゼラチン・スポンジとアガロースから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード」と称する)から選択される分泌腺細胞マクロビードであって、治療有効量が前記患者に移植される、分泌腺細胞マクロビード。
【請求項12】
前記症状は、インスリン依存糖尿病である請求項11に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項13】
前記分泌腺細胞は、膵島である請求項12に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項14】
前記膵島は、ヒト膵島である請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項15】
前記膵島は、ブタ膵島である請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項16】
前記膵島は、ウシ膵島である請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項17】
前記分泌腺細胞は、腹膜腔に載置される請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項18】
それぞれが50,000〜700,000の膵島を有する5〜10が挿入される請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項19】
アガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビードである請求項13に記載の前記分泌腺細胞マクロビード。
【請求項20】
アガロース被覆、ゼラチン・スポンジ細胞マクロビードである請求項13に記載の分泌腺細胞マクロビード。
【請求項21】
以下の工程を有する、分泌腺細胞を保存する方法。
(a)アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆、アガロース−コラーゲン分泌腺細胞マクロビード」と称する);若しくは、アガロースで被覆した、ゼラチン・スポンジとアガロースから構成されるマクロビードであって、前記ビード中に分泌腺細胞を含むマクロビード(以下、「アガロース被覆、ゼラチン・スポンジ分泌腺細胞マクロビード」と称する)を形成する工程、
(b)前記分泌腺細胞マクロビードを培養する工程。
【請求項22】
前記分泌腺細胞は、膵島である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記膵島は、24℃又は37℃で培養される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
アガロースで被覆した、アガロースとコラーゲンから構成される固体のマクロビードであって、前記ビーズが分泌腺細胞を含む(以下、「アガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード」と称する)であって、
以下の工程、
(a)分泌腺細胞を、コラーゲンを含む溶液中に懸濁させる工程、
(b)前記溶液にアガロースを添加する工程、
(c)前記コラーゲン、アガロース及び分泌腺細胞の半固形ビードを形成する工程、
(d)前記半固形ビードをインキュベーションして、前記半固形ビード中のコラーゲンを重合化して、分泌腺細胞を含む、アガロースとコラーゲンから構成される固体のマクロビード(以下、「固体アガロース−コラーゲンビード」と称する)を形成する工程、そして
(e)前記分泌腺細胞を含む、固体アガロース−コラーゲンビードをアガロースで被覆する工程、を有する、アガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビードの製造方法によって製造された、アガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項25】
前記分泌腺細胞は、膵島に含まれている請求項24に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項26】
前記膵島は、ヒト膵島、ウシ膵島、ラット膵島又はブタ膵島である請求項24に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項27】
前記膵島は、ヒト膵島である請求項26に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項28】
50,000〜700,000の膵島を含む、請求項25に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項29】
分泌腺細胞の機能劣化によって引き起こされた症状を有する哺乳動物を治療するための請求項24に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビードであって、治療有効量が前記哺乳動物に移植されるアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項30】
前記症状は、インスリン依存糖尿病である請求項29に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項31】
膵島由来の細胞を含む請求項30に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項32】
前記膵島は、ヒト膵島である請求項31に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項33】
前記膵島は、ウシ膵島である請求項31に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項34】
前記膵島は、ブタ膵島である請求項31に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。
【請求項35】
前記哺乳動物の腹膜腔に載置される請求項29に記載のアガロース被覆、固体アガロース−コラーゲンビード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−20585(P2007−20585A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282280(P2006−282280)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【分割の表示】特願平7−519101の分割
【原出願日】平成7年1月12日(1995.1.12)
【出願人】(505003551)ザ・ロゴシン・インスティテュート (4)
【氏名又は名称原語表記】THE ROGOSIN INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】505 EAST 70TH STREET, NEW YORK, NEW YORK 10021, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】