マッサージ機
【課題】従来よりも短い時間で効果的なマッサージを施すことが出来るマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明に係るマッサージ機は、被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部2と、該生体情報取得部2によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路3とを具え、生体情報取得部2は、被施療者のEDAを検知するEDAセンサー22を具え、制御回路3は、EDAセンサー22センサーによって検知されたEDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、EDAに含まれるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とに基づき、リラックス、ニュートラル、ポイントのコリ感、エリアのコリ感、及び痛いを含む複数の心理状態を推定し、その結果に応じてマッサージ動作を調整する。
【解決手段】本発明に係るマッサージ機は、被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部2と、該生体情報取得部2によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路3とを具え、生体情報取得部2は、被施療者のEDAを検知するEDAセンサー22を具え、制御回路3は、EDAセンサー22センサーによって検知されたEDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、EDAに含まれるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とに基づき、リラックス、ニュートラル、ポイントのコリ感、エリアのコリ感、及び痛いを含む複数の心理状態を推定し、その結果に応じてマッサージ動作を調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の心理状態に応じてマッサージ動作を調整することが可能なマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマッサージ機において、被施療者の心拍数、呼吸数、皮膚温などの生体情報に基づいてマッサージ動作を制御するマッサージ機が知られている(特許文献1参照)。
又、生体情報としては、皮膚電気活動センサーによって検知される皮膚電気活動を採用することが考えられる。
【0003】
図15は、生体情報センサーによって検知される生体情報に基づいてマッサージ動作を制御するマッサージ機の動作を表わしている。
先ずステップS31では、コリ改善モード、リフレッシュモード、リラックスモード等の複数の動作モードの中から、ユーザが所望の動作モードを選択すると、その動作モードを実行するための初期化が行なわれる。
【0004】
次にステップS32では、もみ玉を上下に移動させることによって被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
尚、予備マッサージでは、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体に対してもみ動作によるマッサージ刺激を与える。
これに対し、本マッサージでは、予備マッサージにおける身体部位毎の心理状態の推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を実施する。
【0005】
図15のステップS33にて1つの身体部位に対する第1回目の予備マッサージを開始した後、ステップS34では生体情報センサーから生体情報(皮膚温、皮膚電気活動及び脈拍)を取得する。ここで、皮膚電気活動(electrodermal activity:EDA)については、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を得る。
【0006】
ステップS35では、取得された生体情報に基づいて、1つの身体部位に対して、リラックス、ニュートラル、リフレッシュ、痛いの4つの心理状態を推定する。ここで、リラックスとは、自律神経系の活性度が低下(鎮静)する方向に向かう状態を指し、リフレッシュとは、自律神経系の活性度が上昇(覚醒)する方向に向かう状態を指し、ニュートラルとは、自律神経系の活性度が上昇方向にも低下方向にも向かわない状態を指す。そして、マッサージ刺激によるリフレッシュ反応をコリ感と呼ぶ。痛いとは、極度に強いリフレッシュ反応を指し、リフレッシュとは区別して検出する。
【0007】
例えば図17に示す如く、EDAの変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をコリ感(リフレッシュ)と推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。
【0008】
図15のステップS36にて1つの部位に対する予備マッサージが終了すると、残りの部位に対して同様の予備マッサージ(ステップS33〜S36)を繰り返し、その後、第1回目の本マッサージに移行する。
【0009】
本マッサージにおいては、先ずステップS37にて、身体部位毎に推定された心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。
そして、ステップS38にて本マッサージを開始する。コリ改善モードやリフレッシュモードでは、コリ感(リフレッシュ)と推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。リラックスモードでは、リラックスと推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。マッサージ動作は、もみ、たたき、たたきもみの組合せで行ない、マッサージ動作の調整は、速さ、時間、回数、強さなどの調整の組合せで行なう。
【0010】
ステップS39にて第1回目の本マッサージを終了すると、図16に示す第2回目の予備マッサージに移行し、その後、ツボ位置毎に、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
【0011】
ステップS40にて第2回目の予備マッサージを開始する。尚、予備マッサージでは、身体形状測定で検出したツボ位置に対する局所的なもみ動作を実施し、ツボ位置にマッサージ刺激を与える。ステップS41ではEDAを取得し、最小2乗法を用いて推定期間内のEDAの変化量を得る。
ステップS42では、予備マッサージの対象となった1つのツボ位置について、リラックス、ニュートラル、リフレッシュ、痛いの4つの心理状態を推定した後、ステップS43にて第2回目の予備マッサージを終了する。
【0012】
その後、第2回目の本マッサージにおいては、先ずステップS44にて、第2回目の予備マッサージによって推定されたツボ位置についての心理状態の推定結果を取得し、ステップS45では、その推定結果に応じて、そのツボ位置に対して指圧動作によるマッサージ動作を開始する。
ステップS46にて第2回目の本マッサージを終了すると、その後は、その他のツボ位置に対して順次、上述の第2回目の予備マッサージ及び本マッサージと同様の予備マッサージ及び本マッサージを繰り返し、最終的に全てのツボ位置に対する予備マッサージ及び本マッサージを実施する。この結果、例えばツボ位置が15箇所の場合、ステップS40〜S46の予備マッサージ及び本マッサージが15回繰り返されることになる。
そして、最後にステップS47にて、全身に対して仕上げのマッサージを行なって、全てのマッサージ動作を終了する。
【0013】
上述のマッサージによれば、被施療者の生体情報に基づいてマッサージ動作が調整されるので、被施療者の心理状態に応じた効果的なマッサージが実現されることになる。
【特許文献1】特開2004−173873
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述のマッサージ機においては、図15に示す第1目の予備マッサージによって、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体にマッサージ刺激を与えることにより、各身体部位の心理状態を推定した後、更に、図16に示す第2回の予備マッサージを全てのツボ位置について繰り返すことによって、各ツボ位置についての心理状態を推定しているため、全てのツボ位置についての心理状態を推定するために予備マッサージの回数が多くなり、本マッサージを含む全てのマッサージを実施するための時間が長くなる問題があった。
【0015】
本発明の目的は、従来よりも短い時間で効果的なマッサージを施すことが出来るマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで本発明においては、マッサージ刺激によって生じる皮膚電気活動EDAには、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動と、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応である皮膚電気反応(electrodermal response:EDR)とが含まれていることに着目し、皮膚電気活動センサーによって検知されたEDAの交流成分としてEDRを検知することとした。
【0017】
又、従来の「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める身体部位にマッサージ刺激を与えることによって得られるEDAの変化には、EDRの成分が含まれているため、皮膚電気活動センサーによって検知されたEDAは、緩やかなレベル変動と交流成分とが混在したものとなり、この様なEDAから推定した心理状態は、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応(以下、エリアのコリ感という)であるのか、ツボ位置を含む局所的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応(以下、ポイントのコリ感という)であるのかを、判然と区別することが出来なかったため、本発明においては、EDAとEDRの両方を用いて、エリアのコリ感とポイントのコリ感を区別して推定することとした。
【0018】
本発明に係るマッサージ機は、被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部と、該生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路とを具えている。
前記生体情報取得部は、被施療者のEDAを検知するEDAセンサーを具えている。
前記制御回路は、前記EDAセンサーによって検知されたEDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、該EDAの交流成分であるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とに基づき、マッサージ刺激に応じた被施療者の心理状態として、リラックスと、ニュートラルと、ツボ位置を含む局所的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすポイントのコリ感と、前記局所的な身体部位よりも広い広域的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすエリアのコリ感と、痛いとを含む複数の心理状態を推定し、その推定結果に応じてマッサージ動作を調整するものである。
【0019】
上記本発明のマッサージ機において、前記制御回路は、予備マッサージの実行によって心理状態の推定を行ない、心理状態の推定結果に基づいてその後の本マッサージを実行する。
【0020】
具体的構成において、前記制御回路には、前記EDA判定値とEDR判定値を2つの変数として、これら2つの変数の値と前記複数の心理状態との関係が規定されており、前記制御回路は、該関係を用いて、前記EDA判定値とEDR判定値から被施療者の心理状態を判別する。
【0021】
更に具体的には、前記制御回路に規定された関係において、EDA判定値に対する心理状態の関係は、EDAが0よりも小さな第1閾値I未満のときに心理状態がリラックス、EDA判定値が第1閾値I以上、正の第2閾値F未満のときに心理状態がニュートラル、EDA判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満のときに心理状態がエリアのコリ感、EDA判定値が第3閾値G以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている。
【0022】
又、前記制御回路に規定された関係において、EDR判定値に対する心理状態の関係は、EDR判定値が正の第1閾値B未満のときに心理状態がニュートラル、EDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに心理状態がポイントのコリ感、EDR判定値が第2閾値C以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている。
【0023】
更に具体的には、前記制御回路に規定された関係において、EDA判定値とEDR判定値に対する心理状態の関係は、EDA判定値が第1閾値I未満であって、且つEDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がポイントのコリ感とリラックスの両方となり、EDA判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満であって、且つEDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がエリアのコリ感とポイントのコリ感の両方となるように規定されている。
【0024】
この場合、本マッサージでは、リラックスと推定された部位に重点的にマッサージを施すリラックスモードと、エリアのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すリフレッシュモードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すコリ改善モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリフレッシュと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リフレッシュ)モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリラックスと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リラックス)モードとが、選択的に設定される。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るマッサージ機によれば、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えてEDAを検出すると共に、該EDAの交流成分であるEDRを検出することによって、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に且つ判別して推定することが出来るので、従来よりも短い時間で効果的なマッサージを施すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るマッサージ機は、図1に示す如く、マッサージユニット(1)と生体情報取得部(2)から構成され、マッサージユニット(1)にはリモートコントロール(リモコン)のためのリモコン装置(9)が接続されている。
【0027】
マッサージユニット(1)は、もみ玉によるもみ動作を行なうためのもみモータ(4)と、もみ玉によるたたき動作と指圧動作を行なうためのたたきモータ(5)と、もみ玉を昇降させるための昇降モータ(6)と、これらのモータ(4)(5)(6)の動作を制御する制御回路(3)とを具えている。
【0028】
生体情報取得部(2)は、生体情報センサー(8)と情報処理回路(7)とを具え、生体情報センサー(8)によって検出された生体情報が情報処理回路(7)へ供給されて、被施療者の心理状態を判定するための判定値が生成され、該判定値がマッサージユニット(1)の制御回路(3)へ供給されて、被施療者の心理状態が推定され、その結果に基づいてマッサージ動作が調整される。
【0029】
図2に示す如く、生体情報センサー(8)は、EDAセンサー(22)と、該EDAセンサー(22)の出力信号の交流成分を抽出するハイパスフィルター(23)とを具え、EDAセンサー(22)の出力信号は情報処理回路(7)の変化量算出部(24)へ供給されて、EDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、該EDAの交流成分であるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とが算出され、EDA判定値とEDR判定値とが制御回路(3)の心理状態推定部(31)へ供給されて、被施療者の各身体部位についての心理状態が推定される。
【0030】
図3は、EDAセンサー(22)の出力信号を表わしており、該出力信号には、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動と、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応であるEDRとが含まれている。従って、推定期間(予備マッサージの実施期間(例えば15秒間))におけるEDAセンサー(22)の出力信号の時間的な変化量(ΔV/s)を最小2乗法等で算出することにより、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動に対応したEDA判定値が得られる。
【0031】
図4は、EDAセンサー(22)の出力信号がハイパスフィルター(23)を通過することによって得られる交流信号、即ちEDR測定値を表わしている。従って、推定期間(予備マッサージの実施期間(例えば15秒間))におけるEDR測定値の最大の振幅値(mV)を算出することによって、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応の大きさに対応したEDR判定値が得られる。
【0032】
図5(a)は、EDA変化量の変化に応じた心理状態の変化を表わしている。EDA変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDA変化量が変化しないときは心理状態をニュートラルと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をリフレッシュと推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。
【0033】
これに対し、エリアのコリ感の推定においては、上記心理状態の推定の内、リフレッシュ(マッサージ刺激に対応した緊張反応)を特にエリアのコリ感として検出する。即ち、EDA変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をエリアのコリ感と推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。尚、EDAの変化量のみではニュートラルの推定は行なわない。
【0034】
一方、図5(b)は、EDR振幅値の変化に応じた心理状態の変化を表わしている。EDR振幅値は、ツボ位置を含む局所的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応の度合い(緊張反応の強さ)を反映しているので、EDR振幅値が小さいときは心理状態をリラックス又はニュートラルと推定することが出来、EDR振幅値が大きいときは心理状態をポイントのコリ感と推定することが出来、EDR振幅値が極めて大きいときは心理状態を痛いと推定することが出来る。尚、EDR振幅値のみではリラックスやリフレッシュなどの心理状態の推定は行なわない。
【0035】
図6は、図5(a)に示すEDA変化量を縦軸に、図5(b)に示すEDR振幅値を横軸にとり、図5(a)に示す心理状態の変化と図5(b)に示す心理状態の変化を合成することによって、EDA変化量とEDR振幅値を2つの変数とする心理状態の関係を表わしたものである。
この関係によれば、エリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感を区別して推定することが出来る。エリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感が重複している領域では、2つの心理状態が併存していると判定する。また、リラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)、ポイントのコリ感、痛いの4つの領域以外は、ニュートラルと推定する。
【0036】
図7は、図6におけるエリアのコリ感とポイントのコリ感の領域を、総合的なコリ感として推定する例を表わしている。これによって、「総合的にはコリ感有り(リラックス)と判定する」など、従来では判別出来なかった領域も判定が可能になる。
【0037】
図8は、上記マッサージ機の動作を表わしている。先ずステップS1では、コリ改善モード、リフレッシュモード、リラックスモード等の複数の動作モードの中から、ユーザが所望の動作モードを選択すると、その動作モードを実行するための初期化が行なわれる。
【0038】
次にステップS2では、もみ玉を上下に移動させることによって被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
尚、予備マッサージでは、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体に対してもみ動作によるマッサージ刺激を与える。
これに対し、本マッサージでは、予備マッサージにおける身体部位毎の心理状態の推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を実施する。
【0039】
図8のステップS3にて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の中の1つの身体部位に対する予備マッサージを開始した後、ステップS4では、生体情報としてEDAセンサーからEDAの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を算出する。
又、EDAセンサー(22)からハイパスフィルター(23)を経て得られるEDRの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDRの振幅値(mV)を算出する。
そして、ステップS5では、算出されたEDAの変化量(ΔV/s)とEDRの振幅値(mV)に基づいて、当該身体部位についての心理状態を推定し、ステップS6にて当該部位に対する予備マッサージを終了する。
【0040】
EDAの変化量とEDRの振幅値に基づく心理状態の推定においては、図6に示す如く、EDAの変化量とEDRの振幅値を2つの変数として複数の心理状態を表わす関係を用いる。具体的には、図11及び図12に示す様に、EDA変化量(ΔV/s)については、5つの閾値(−J、−I、+F、+G、及び+H)を規定すると共に、EDR振幅値(V)については、5つの閾値(−E、+A、+B、+C、及び+D)を規定して、算出されたEDA変化量(ΔV/s)とEDR振幅値(V)を各閾値と比較して、何れの心理状態に該当するかを判別する。
【0041】
ここで、EDA変化量が閾値−J以上、閾値−I未満であって、且つEDR振幅値が閾値+B以上、閾値C未満のときには、心理状態をポイントのコリ感とリラックスの両方と判別する。
又、EDA変化量が閾値+F以上、閾値G未満であって、且つEDR振幅値が量が閾値+B以上、閾値C未満のときには、心理状態をエリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感の両方と判別する。
更に、図12に示すリラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)、ポイントのコリ感、ポイントのコリ感+リラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)+ポイントのコリ感、痛いの6つの心理状態に該当しない場合は、ニュートラルと判別する。
例えば、+D以上、−E以下、+H以上、−J以下は無効として、心理状態をニュートラルと判断する。
【0042】
図8に示す予備マッサージ(ステップS3〜S6)を「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の4つの身体部位に対して順次実施した後、図8に示す本マッサージに移行する。
【0043】
先ずステップS7では、各身体部位についての心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。そして、ステップS8にて本マッサージを開始する。
本マッサージにおけるマッサージ動作は、もみ、たたき、たたきもみ、指圧の組合せで行ない、マッサージ動作の調整は、速さ、時間、回数、強さなどの調整の組合せで行なう。
【0044】
例えば、コリ改善モードでは、図10(a)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が維持され、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が維持され、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。コリ改善(リフレッシュ)モードでは、図10(b)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が増加し、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が減少し、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。又、コリ改善(リラックス)モードでは、図10(c)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が減少し、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が増加し、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。
【0045】
図13は、EDA変化量とEDR振幅値を2つの変数とする心理状態の関係において、7つの心理状態(痛い、エリアのコリ感+ポイントのコリ感、エリアのコリ感、ポイントのコリ感、ポイントのコリ感+リラックス、リラックス、ニュートラル)に該当する代表的な7点(P1〜P7)をプロットしたものである。
図14は、これら7点で代表される7つの心理状態について、各動作モード(リラックスモード、リフレッシュモード、コリ改善モード、コリ改善(リフレッシュ)モード、コリ改善(リラックス)モード)におけるマッサージ動作の調整方法を表わしている。
【0046】
各部位に対するマッサージとしては、リラックスモードでは、リラックスと推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。リフレッシュモードでは、エリアのコリ感と推定した部位に重点的にマッサージを施す。コリ改善モードでは、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施す。コリ改善(リフレッシュ)モードでは、エリアのコリ感と推定した部位に対して重点的にマッサージを施すと共に、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施す。更に、コリ改善(リラックス)モードでは、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施すと共に、リラックスと判定した部位に対して重点的にマッサージを施す。
【0047】
図8のステップS9にて全ての部位に対する本マッサージを終了すると、同様の予備マッサージ(ステップS3〜S6)と本マッサージ(ステップS7〜S9)を複数回(例えば3回)繰り返し実施した後、一連のマッサージ動作を終了する。
尚、予備マッサージと本マッサージの繰り返しにおいては、全ての本マッサージで同じ調整を行なってもよいし、本マッサージ毎に調整を変更してもよい。
【0048】
図9は、動作モードの選択を自動的に行なうマッサージ機の動作を表わしている。先ずステップS11で必要な初期化を行なった後、ステップS12では、被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
【0049】
予備マッサージでは、ステップS13にて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の各身体部位に対する予備マッサージを開始した後、ステップS14では、生体情報としてEDAセンサーからEDAの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を算出する。
又、EDAセンサー(22)からハイパスフィルター(23)を経て得られるEDRの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDRの振幅値(mV)を算出する。
そして、ステップS15では、算出されたEDAの変化量(ΔV/s)とEDRの振幅値(mV)に基づいて、各身体部位についての心理状態を推定する。
【0050】
次にステップS16では、各身体部位についての心理状態の推定結果に基づいて、本マッサージの動作モードを決定した後、ステップS17にて予備マッサージを終了する。
動作モードの決定においては、例えば、コリ感が多く検知された場合はコリ改善モードを設定する。コリ感とリフレッシュが多く検知された場合はリフレッシュ(コリ改善)モードを設定する。コリ感とリラックスが多く検知された場合はリラックス(コリ改善)モードを設定する。コリ感は殆ど検知されず、リフレッシュが多く検知された場合はリフレッシュモードを設定する。又、コリ感は殆ど検知されず、リラックスが多く検知された場合はリラックスモードを設定する。
【0051】
本マッサージにおいては、ステップS18にて、各身体部位についての心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、決定した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。そして、ステップS19にて本マッサージを開始する。
【0052】
ステップS20にて、全ての部位に対する本マッサージを終了すると、同様の予備マッサージ(ステップS13〜S17)と本マッサージ(ステップS18〜S20)を複数回(例えば3回)繰り返し実施した後、一連のマッサージ動作を終了する。
尚、予備マッサージと本マッサージの繰り返しにおいては、全ての本マッサージで同じ調整を行なってもよいし、本マッサージ毎に調整を変更してもよい。
【0053】
上記本発明のマッサージ機によれば、予備マッサージにおいて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えてEDAを検出すると共に、該EDAに含まれるEDRを検出することによって、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に且つ判別して推定することが出来るので、従来の如く「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」に対する第1回目の予備マッサージの終了後に更にツボ位置に対する第2回目の予備マッサージを行なう必要がなく、従来よりも短い時間で予備マッサージを終了して、迅速に本マッサージに移行することが出来る。
【0054】
又、上記本発明のマッサージ機によれば、EDA変化量によって、比較的大きな領域の身体部位での筋肉の疲労や張り等に対するマッサージ刺激に起因するエリアのコリ感を推定すると共に、EDR振幅値によって、ツボなどの局所的な身体部位に対するマッサージ刺激に起因するポイントのコリ感を推定しているので、エリアのコリ感とポイントのコリ感を区別することが可能であり、より精度の高い心理状態の推定結果を得ることが出来る。その結果、マッサージ動作の調整をきめ細かく行なうことが可能となり、これによって従来よりも高いマッサージ効果を得ることが出来る。
【0055】
例えば図18(a)(b)に示す様に、EDAとEDRが共に一定の場合において、図18(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が略一定とすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(ニュートラル)と判定していたが、この場合、リラックスとポイントのコリ感が相殺されていた可能があった。
これに対し、本発明においては、図18(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図18(a)に示す様に、EDAからも、エリアのコリ感無し(ニュートラル)と判定する。そして、総合的にもコリ感無し(ニュートラル)と判定する。
【0056】
又、図19(a)(b)に示す様に、EDAが徐々に増加し、EDRに反応がある場合において、図19(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が略一定とすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図19(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図19(a)に示す様に、EDAからは、EDAの反応があるにも拘わらず変化量の増加が小さいことからエリアのコリ感無し(ニュートラル)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(ニュートラル)と判定する。
【0057】
又、図20(a)(b)に示す様に、EDAが徐々に増加し、EDRに反応がない場合において、図20(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が増加しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図20(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図20(a)に示す様に、EDAからはエリアのコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。
【0058】
又、図21(a)(b)に示す様に、EDAが著しく増加し、EDRにも反応がある場合において、図21(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が増加しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図21(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図21(a)に示す様に、EDAからは、変化量が特に大きいのでエリアのコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。
【0059】
又、図22(a)(b)に示す様に、EDAが減少し、EDRに反応がない場合において、図22(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が減少しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(リラックス)と判定していたが、ポイントのコリ感が打ち消されている可能性もあった。
これに対し、本発明においては、図22(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図22(a)に示す様に、EDAからは、エリアのコリ感無し(リラックス)と判定する。そして、総合的にはコリ感無し(リラックス)と判定する。
【0060】
更に、図23(a)(b)に示す様に、EDAは交流成分を含んでいるが略一定であって、EDRに反応がある場合において、図23(c)の如くEDAに含まれるゆるやかなレベル変動が減少しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(リラックス)と判定していたが、ポイントのコリ感が打ち消されている可能性もあった。
これに対し、本発明においては、図23(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図23(a)に示す様に、EDAからは、エリアのコリ感無し(リラックス)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リラックス)と判定する。
【0061】
以上の様に、本発明に係るマッサージ機によれば、ポイントのコリ感とエリアのコリ感を区別して判定することが出来、然も図23の場合の様に従来よりも精度の高い判定結果が得られるので、その判定結果に基づいてマッサージ動作を調整することにより、高いマッサージ効果を得ることが出来る。
【0062】
又、コリ感のある部位に対して重点的にマッサージを施しながら、且つ、リラックス若しくはリフレッシュの部位に対するマッサージ動作を調整することにより、リフレッシュ(コリ改善)モードやリラックス(コリ改善)モード等を実現することが出来るので、マッサージ機本来の目的であるコリ改善を果たしながら、リフレッシュ効果やリラックス効果を得ることが出来る。
【0063】
更に、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に推定することが出来るので、例えばエリアではリラックスと判定すると共に、指圧ポイントではコリ感有りと判定することが可能であり、然も、2つのコリ感の推定に時間差がある場合に生じる生体反応の変化を伴うことがないため、効果的なマッサージ施療が実現される。
【0064】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図8に示すマッサージ機の動作において、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位に対する予備マッサージでは、全ての部位に予備マッサージを施した後に全ての身体部位の心理状態を推定する方法の他、1つの身体部位に予備マッサージを施した後にその身体部位の心理状態を推定する動作を身体部位毎に繰り返す方法を採用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るマッサージ機の構成を示すブロック図である。
【図2】生体情報取得部及び制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】EDAの変化を示すグラフである。
【図4】EDRの変化を示すグラフである。
【図5】EDA変化量とEDR振幅値に対応する心理状態の変化を説明する図である。
【図6】EDA変化量とEDR振幅値を2軸とする直交座標系において複数の心理状態の領域を表わす図である。
【図7】図6においてコリ感の領域を1つにまとめた図である。
【図8】本発明に係るマッサージ機の動作例を表わすフローチャートである。
【図9】本発明に係るマッサージ機の他の動作例を表わすフローチャートである。
【図10】複数の動作モードにおける心理状態に対するマッサージ動作を説明する図である。
【図11】EDA変化量とEDR振幅値から心理状態を判別する際の閾値を説明する図表である。
【図12】EDA変化量とEDR振幅値を2軸とする直交座標系において閾値によって区切られた複数の領域と心理状態の関係を表わす図である
【図13】同上の直交座標系において各領域の代表点を示す図である。
【図14】複数の動作モードにおけるマッサージ動作の調整方法を表わす図表である。
【図15】従来のマッサージ機における動作の前半を示すフローチャートである。
【図16】従来のマッサージ機における動作の後半を示すフローチャートである。
【図17】従来のマッサージ機においてEDA変化量に対応する心理状態の変化を説明する図である。
【図18】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した一例を表わす図である。
【図19】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図20】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図21】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図22】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図23】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した更に他の例を表わす図である。
【符号の説明】
【0066】
(1) マッサージユニット
(2) 生体情報取得部
(3) 制御回路
(7) 情報処理回路
(22) EDAセンサー
(23) ハイパスフィルター
(31) 心理状態推定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の心理状態に応じてマッサージ動作を調整することが可能なマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のマッサージ機において、被施療者の心拍数、呼吸数、皮膚温などの生体情報に基づいてマッサージ動作を制御するマッサージ機が知られている(特許文献1参照)。
又、生体情報としては、皮膚電気活動センサーによって検知される皮膚電気活動を採用することが考えられる。
【0003】
図15は、生体情報センサーによって検知される生体情報に基づいてマッサージ動作を制御するマッサージ機の動作を表わしている。
先ずステップS31では、コリ改善モード、リフレッシュモード、リラックスモード等の複数の動作モードの中から、ユーザが所望の動作モードを選択すると、その動作モードを実行するための初期化が行なわれる。
【0004】
次にステップS32では、もみ玉を上下に移動させることによって被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
尚、予備マッサージでは、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体に対してもみ動作によるマッサージ刺激を与える。
これに対し、本マッサージでは、予備マッサージにおける身体部位毎の心理状態の推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を実施する。
【0005】
図15のステップS33にて1つの身体部位に対する第1回目の予備マッサージを開始した後、ステップS34では生体情報センサーから生体情報(皮膚温、皮膚電気活動及び脈拍)を取得する。ここで、皮膚電気活動(electrodermal activity:EDA)については、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を得る。
【0006】
ステップS35では、取得された生体情報に基づいて、1つの身体部位に対して、リラックス、ニュートラル、リフレッシュ、痛いの4つの心理状態を推定する。ここで、リラックスとは、自律神経系の活性度が低下(鎮静)する方向に向かう状態を指し、リフレッシュとは、自律神経系の活性度が上昇(覚醒)する方向に向かう状態を指し、ニュートラルとは、自律神経系の活性度が上昇方向にも低下方向にも向かわない状態を指す。そして、マッサージ刺激によるリフレッシュ反応をコリ感と呼ぶ。痛いとは、極度に強いリフレッシュ反応を指し、リフレッシュとは区別して検出する。
【0007】
例えば図17に示す如く、EDAの変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をコリ感(リフレッシュ)と推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。
【0008】
図15のステップS36にて1つの部位に対する予備マッサージが終了すると、残りの部位に対して同様の予備マッサージ(ステップS33〜S36)を繰り返し、その後、第1回目の本マッサージに移行する。
【0009】
本マッサージにおいては、先ずステップS37にて、身体部位毎に推定された心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。
そして、ステップS38にて本マッサージを開始する。コリ改善モードやリフレッシュモードでは、コリ感(リフレッシュ)と推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。リラックスモードでは、リラックスと推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。マッサージ動作は、もみ、たたき、たたきもみの組合せで行ない、マッサージ動作の調整は、速さ、時間、回数、強さなどの調整の組合せで行なう。
【0010】
ステップS39にて第1回目の本マッサージを終了すると、図16に示す第2回目の予備マッサージに移行し、その後、ツボ位置毎に、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
【0011】
ステップS40にて第2回目の予備マッサージを開始する。尚、予備マッサージでは、身体形状測定で検出したツボ位置に対する局所的なもみ動作を実施し、ツボ位置にマッサージ刺激を与える。ステップS41ではEDAを取得し、最小2乗法を用いて推定期間内のEDAの変化量を得る。
ステップS42では、予備マッサージの対象となった1つのツボ位置について、リラックス、ニュートラル、リフレッシュ、痛いの4つの心理状態を推定した後、ステップS43にて第2回目の予備マッサージを終了する。
【0012】
その後、第2回目の本マッサージにおいては、先ずステップS44にて、第2回目の予備マッサージによって推定されたツボ位置についての心理状態の推定結果を取得し、ステップS45では、その推定結果に応じて、そのツボ位置に対して指圧動作によるマッサージ動作を開始する。
ステップS46にて第2回目の本マッサージを終了すると、その後は、その他のツボ位置に対して順次、上述の第2回目の予備マッサージ及び本マッサージと同様の予備マッサージ及び本マッサージを繰り返し、最終的に全てのツボ位置に対する予備マッサージ及び本マッサージを実施する。この結果、例えばツボ位置が15箇所の場合、ステップS40〜S46の予備マッサージ及び本マッサージが15回繰り返されることになる。
そして、最後にステップS47にて、全身に対して仕上げのマッサージを行なって、全てのマッサージ動作を終了する。
【0013】
上述のマッサージによれば、被施療者の生体情報に基づいてマッサージ動作が調整されるので、被施療者の心理状態に応じた効果的なマッサージが実現されることになる。
【特許文献1】特開2004−173873
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述のマッサージ機においては、図15に示す第1目の予備マッサージによって、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体にマッサージ刺激を与えることにより、各身体部位の心理状態を推定した後、更に、図16に示す第2回の予備マッサージを全てのツボ位置について繰り返すことによって、各ツボ位置についての心理状態を推定しているため、全てのツボ位置についての心理状態を推定するために予備マッサージの回数が多くなり、本マッサージを含む全てのマッサージを実施するための時間が長くなる問題があった。
【0015】
本発明の目的は、従来よりも短い時間で効果的なマッサージを施すことが出来るマッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで本発明においては、マッサージ刺激によって生じる皮膚電気活動EDAには、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動と、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応である皮膚電気反応(electrodermal response:EDR)とが含まれていることに着目し、皮膚電気活動センサーによって検知されたEDAの交流成分としてEDRを検知することとした。
【0017】
又、従来の「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める身体部位にマッサージ刺激を与えることによって得られるEDAの変化には、EDRの成分が含まれているため、皮膚電気活動センサーによって検知されたEDAは、緩やかなレベル変動と交流成分とが混在したものとなり、この様なEDAから推定した心理状態は、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応(以下、エリアのコリ感という)であるのか、ツボ位置を含む局所的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応(以下、ポイントのコリ感という)であるのかを、判然と区別することが出来なかったため、本発明においては、EDAとEDRの両方を用いて、エリアのコリ感とポイントのコリ感を区別して推定することとした。
【0018】
本発明に係るマッサージ機は、被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部と、該生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路とを具えている。
前記生体情報取得部は、被施療者のEDAを検知するEDAセンサーを具えている。
前記制御回路は、前記EDAセンサーによって検知されたEDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、該EDAの交流成分であるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とに基づき、マッサージ刺激に応じた被施療者の心理状態として、リラックスと、ニュートラルと、ツボ位置を含む局所的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすポイントのコリ感と、前記局所的な身体部位よりも広い広域的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすエリアのコリ感と、痛いとを含む複数の心理状態を推定し、その推定結果に応じてマッサージ動作を調整するものである。
【0019】
上記本発明のマッサージ機において、前記制御回路は、予備マッサージの実行によって心理状態の推定を行ない、心理状態の推定結果に基づいてその後の本マッサージを実行する。
【0020】
具体的構成において、前記制御回路には、前記EDA判定値とEDR判定値を2つの変数として、これら2つの変数の値と前記複数の心理状態との関係が規定されており、前記制御回路は、該関係を用いて、前記EDA判定値とEDR判定値から被施療者の心理状態を判別する。
【0021】
更に具体的には、前記制御回路に規定された関係において、EDA判定値に対する心理状態の関係は、EDAが0よりも小さな第1閾値I未満のときに心理状態がリラックス、EDA判定値が第1閾値I以上、正の第2閾値F未満のときに心理状態がニュートラル、EDA判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満のときに心理状態がエリアのコリ感、EDA判定値が第3閾値G以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている。
【0022】
又、前記制御回路に規定された関係において、EDR判定値に対する心理状態の関係は、EDR判定値が正の第1閾値B未満のときに心理状態がニュートラル、EDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに心理状態がポイントのコリ感、EDR判定値が第2閾値C以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている。
【0023】
更に具体的には、前記制御回路に規定された関係において、EDA判定値とEDR判定値に対する心理状態の関係は、EDA判定値が第1閾値I未満であって、且つEDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がポイントのコリ感とリラックスの両方となり、EDA判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満であって、且つEDR判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がエリアのコリ感とポイントのコリ感の両方となるように規定されている。
【0024】
この場合、本マッサージでは、リラックスと推定された部位に重点的にマッサージを施すリラックスモードと、エリアのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すリフレッシュモードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すコリ改善モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリフレッシュと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リフレッシュ)モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリラックスと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リラックス)モードとが、選択的に設定される。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るマッサージ機によれば、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えてEDAを検出すると共に、該EDAの交流成分であるEDRを検出することによって、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に且つ判別して推定することが出来るので、従来よりも短い時間で効果的なマッサージを施すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係るマッサージ機は、図1に示す如く、マッサージユニット(1)と生体情報取得部(2)から構成され、マッサージユニット(1)にはリモートコントロール(リモコン)のためのリモコン装置(9)が接続されている。
【0027】
マッサージユニット(1)は、もみ玉によるもみ動作を行なうためのもみモータ(4)と、もみ玉によるたたき動作と指圧動作を行なうためのたたきモータ(5)と、もみ玉を昇降させるための昇降モータ(6)と、これらのモータ(4)(5)(6)の動作を制御する制御回路(3)とを具えている。
【0028】
生体情報取得部(2)は、生体情報センサー(8)と情報処理回路(7)とを具え、生体情報センサー(8)によって検出された生体情報が情報処理回路(7)へ供給されて、被施療者の心理状態を判定するための判定値が生成され、該判定値がマッサージユニット(1)の制御回路(3)へ供給されて、被施療者の心理状態が推定され、その結果に基づいてマッサージ動作が調整される。
【0029】
図2に示す如く、生体情報センサー(8)は、EDAセンサー(22)と、該EDAセンサー(22)の出力信号の交流成分を抽出するハイパスフィルター(23)とを具え、EDAセンサー(22)の出力信号は情報処理回路(7)の変化量算出部(24)へ供給されて、EDAの時間変化量を表わすEDA判定値と、該EDAの交流成分であるEDRの振幅値を表わすEDR判定値とが算出され、EDA判定値とEDR判定値とが制御回路(3)の心理状態推定部(31)へ供給されて、被施療者の各身体部位についての心理状態が推定される。
【0030】
図3は、EDAセンサー(22)の出力信号を表わしており、該出力信号には、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動と、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応であるEDRとが含まれている。従って、推定期間(予備マッサージの実施期間(例えば15秒間))におけるEDAセンサー(22)の出力信号の時間的な変化量(ΔV/s)を最小2乗法等で算出することにより、リフレッシュやリラックスの度合いを反映した緩やかなレベル変動に対応したEDA判定値が得られる。
【0031】
図4は、EDAセンサー(22)の出力信号がハイパスフィルター(23)を通過することによって得られる交流信号、即ちEDR測定値を表わしている。従って、推定期間(予備マッサージの実施期間(例えば15秒間))におけるEDR測定値の最大の振幅値(mV)を算出することによって、指圧等の比較的強いマッサージ刺激に応じて生じる一過性の反応の大きさに対応したEDR判定値が得られる。
【0032】
図5(a)は、EDA変化量の変化に応じた心理状態の変化を表わしている。EDA変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDA変化量が変化しないときは心理状態をニュートラルと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をリフレッシュと推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。
【0033】
これに対し、エリアのコリ感の推定においては、上記心理状態の推定の内、リフレッシュ(マッサージ刺激に対応した緊張反応)を特にエリアのコリ感として検出する。即ち、EDA変化量が減少するときは心理状態をリラックスと推定することが出来、EDAの変化量が増加するときは心理状態をエリアのコリ感と推定することが出来、EDAの変化量が著しく増加するときは心理状態を痛いと推定することが出来る。尚、EDAの変化量のみではニュートラルの推定は行なわない。
【0034】
一方、図5(b)は、EDR振幅値の変化に応じた心理状態の変化を表わしている。EDR振幅値は、ツボ位置を含む局所的な身体部位にマッサージ刺激を与えたことに起因するリフレッシュ反応の度合い(緊張反応の強さ)を反映しているので、EDR振幅値が小さいときは心理状態をリラックス又はニュートラルと推定することが出来、EDR振幅値が大きいときは心理状態をポイントのコリ感と推定することが出来、EDR振幅値が極めて大きいときは心理状態を痛いと推定することが出来る。尚、EDR振幅値のみではリラックスやリフレッシュなどの心理状態の推定は行なわない。
【0035】
図6は、図5(a)に示すEDA変化量を縦軸に、図5(b)に示すEDR振幅値を横軸にとり、図5(a)に示す心理状態の変化と図5(b)に示す心理状態の変化を合成することによって、EDA変化量とEDR振幅値を2つの変数とする心理状態の関係を表わしたものである。
この関係によれば、エリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感を区別して推定することが出来る。エリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感が重複している領域では、2つの心理状態が併存していると判定する。また、リラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)、ポイントのコリ感、痛いの4つの領域以外は、ニュートラルと推定する。
【0036】
図7は、図6におけるエリアのコリ感とポイントのコリ感の領域を、総合的なコリ感として推定する例を表わしている。これによって、「総合的にはコリ感有り(リラックス)と判定する」など、従来では判別出来なかった領域も判定が可能になる。
【0037】
図8は、上記マッサージ機の動作を表わしている。先ずステップS1では、コリ改善モード、リフレッシュモード、リラックスモード等の複数の動作モードの中から、ユーザが所望の動作モードを選択すると、その動作モードを実行するための初期化が行なわれる。
【0038】
次にステップS2では、もみ玉を上下に移動させることによって被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
尚、予備マッサージでは、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の比較的に広い領域を占める複数の身体部位を対象として、各身体部位の全体に対してもみ動作によるマッサージ刺激を与える。
これに対し、本マッサージでは、予備マッサージにおける身体部位毎の心理状態の推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を実施する。
【0039】
図8のステップS3にて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の中の1つの身体部位に対する予備マッサージを開始した後、ステップS4では、生体情報としてEDAセンサーからEDAの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を算出する。
又、EDAセンサー(22)からハイパスフィルター(23)を経て得られるEDRの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDRの振幅値(mV)を算出する。
そして、ステップS5では、算出されたEDAの変化量(ΔV/s)とEDRの振幅値(mV)に基づいて、当該身体部位についての心理状態を推定し、ステップS6にて当該部位に対する予備マッサージを終了する。
【0040】
EDAの変化量とEDRの振幅値に基づく心理状態の推定においては、図6に示す如く、EDAの変化量とEDRの振幅値を2つの変数として複数の心理状態を表わす関係を用いる。具体的には、図11及び図12に示す様に、EDA変化量(ΔV/s)については、5つの閾値(−J、−I、+F、+G、及び+H)を規定すると共に、EDR振幅値(V)については、5つの閾値(−E、+A、+B、+C、及び+D)を規定して、算出されたEDA変化量(ΔV/s)とEDR振幅値(V)を各閾値と比較して、何れの心理状態に該当するかを判別する。
【0041】
ここで、EDA変化量が閾値−J以上、閾値−I未満であって、且つEDR振幅値が閾値+B以上、閾値C未満のときには、心理状態をポイントのコリ感とリラックスの両方と判別する。
又、EDA変化量が閾値+F以上、閾値G未満であって、且つEDR振幅値が量が閾値+B以上、閾値C未満のときには、心理状態をエリアのコリ感(リフレッシュ)とポイントのコリ感の両方と判別する。
更に、図12に示すリラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)、ポイントのコリ感、ポイントのコリ感+リラックス、エリアのコリ感(リフレッシュ)+ポイントのコリ感、痛いの6つの心理状態に該当しない場合は、ニュートラルと判別する。
例えば、+D以上、−E以下、+H以上、−J以下は無効として、心理状態をニュートラルと判断する。
【0042】
図8に示す予備マッサージ(ステップS3〜S6)を「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の4つの身体部位に対して順次実施した後、図8に示す本マッサージに移行する。
【0043】
先ずステップS7では、各身体部位についての心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、最初に選択した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。そして、ステップS8にて本マッサージを開始する。
本マッサージにおけるマッサージ動作は、もみ、たたき、たたきもみ、指圧の組合せで行ない、マッサージ動作の調整は、速さ、時間、回数、強さなどの調整の組合せで行なう。
【0044】
例えば、コリ改善モードでは、図10(a)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が維持され、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が維持され、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。コリ改善(リフレッシュ)モードでは、図10(b)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が増加し、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が減少し、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。又、コリ改善(リラックス)モードでは、図10(c)の如くコリ感と判定された部位のマッサージ動作が増加し、リフレッシュと判定された部位のマッサージ動作が減少し、リラックスと判定された部位のマッサージ動作が増加し、痛いと判定された部位のマッサージ動作が減少するようなマッサージを施す。
【0045】
図13は、EDA変化量とEDR振幅値を2つの変数とする心理状態の関係において、7つの心理状態(痛い、エリアのコリ感+ポイントのコリ感、エリアのコリ感、ポイントのコリ感、ポイントのコリ感+リラックス、リラックス、ニュートラル)に該当する代表的な7点(P1〜P7)をプロットしたものである。
図14は、これら7点で代表される7つの心理状態について、各動作モード(リラックスモード、リフレッシュモード、コリ改善モード、コリ改善(リフレッシュ)モード、コリ改善(リラックス)モード)におけるマッサージ動作の調整方法を表わしている。
【0046】
各部位に対するマッサージとしては、リラックスモードでは、リラックスと推定した部位に対して重点的にマッサージを施す。リフレッシュモードでは、エリアのコリ感と推定した部位に重点的にマッサージを施す。コリ改善モードでは、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施す。コリ改善(リフレッシュ)モードでは、エリアのコリ感と推定した部位に対して重点的にマッサージを施すと共に、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施す。更に、コリ改善(リラックス)モードでは、ポイントのコリ感と推定した部位に対して指圧を中心としたマッサージを施すと共に、リラックスと判定した部位に対して重点的にマッサージを施す。
【0047】
図8のステップS9にて全ての部位に対する本マッサージを終了すると、同様の予備マッサージ(ステップS3〜S6)と本マッサージ(ステップS7〜S9)を複数回(例えば3回)繰り返し実施した後、一連のマッサージ動作を終了する。
尚、予備マッサージと本マッサージの繰り返しにおいては、全ての本マッサージで同じ調整を行なってもよいし、本マッサージ毎に調整を変更してもよい。
【0048】
図9は、動作モードの選択を自動的に行なうマッサージ機の動作を表わしている。先ずステップS11で必要な初期化を行なった後、ステップS12では、被施療者の身体形状を計測して肩位置やツボ(径穴)位置を検出し、その後、予備マッサージと本マッサージを繰り返し実施する。
【0049】
予備マッサージでは、ステップS13にて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」の各身体部位に対する予備マッサージを開始した後、ステップS14では、生体情報としてEDAセンサーからEDAの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDAの計測値に最小2乗法を適用して、推定期間内のEDAの変化量(ΔV/s)を算出する。
又、EDAセンサー(22)からハイパスフィルター(23)を経て得られるEDRの計測値を取得し、推定期間内に得られるEDRの振幅値(mV)を算出する。
そして、ステップS15では、算出されたEDAの変化量(ΔV/s)とEDRの振幅値(mV)に基づいて、各身体部位についての心理状態を推定する。
【0050】
次にステップS16では、各身体部位についての心理状態の推定結果に基づいて、本マッサージの動作モードを決定した後、ステップS17にて予備マッサージを終了する。
動作モードの決定においては、例えば、コリ感が多く検知された場合はコリ改善モードを設定する。コリ感とリフレッシュが多く検知された場合はリフレッシュ(コリ改善)モードを設定する。コリ感とリラックスが多く検知された場合はリラックス(コリ改善)モードを設定する。コリ感は殆ど検知されず、リフレッシュが多く検知された場合はリフレッシュモードを設定する。又、コリ感は殆ど検知されず、リラックスが多く検知された場合はリラックスモードを設定する。
【0051】
本マッサージにおいては、ステップS18にて、各身体部位についての心理状態の推定結果を取得し、その推定結果に応じて、身体部位毎に、決定した動作モードに対応したマッサージ動作を決定する。そして、ステップS19にて本マッサージを開始する。
【0052】
ステップS20にて、全ての部位に対する本マッサージを終了すると、同様の予備マッサージ(ステップS13〜S17)と本マッサージ(ステップS18〜S20)を複数回(例えば3回)繰り返し実施した後、一連のマッサージ動作を終了する。
尚、予備マッサージと本マッサージの繰り返しにおいては、全ての本マッサージで同じ調整を行なってもよいし、本マッサージ毎に調整を変更してもよい。
【0053】
上記本発明のマッサージ機によれば、予備マッサージにおいて「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位にマッサージ刺激を与えてEDAを検出すると共に、該EDAに含まれるEDRを検出することによって、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に且つ判別して推定することが出来るので、従来の如く「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」に対する第1回目の予備マッサージの終了後に更にツボ位置に対する第2回目の予備マッサージを行なう必要がなく、従来よりも短い時間で予備マッサージを終了して、迅速に本マッサージに移行することが出来る。
【0054】
又、上記本発明のマッサージ機によれば、EDA変化量によって、比較的大きな領域の身体部位での筋肉の疲労や張り等に対するマッサージ刺激に起因するエリアのコリ感を推定すると共に、EDR振幅値によって、ツボなどの局所的な身体部位に対するマッサージ刺激に起因するポイントのコリ感を推定しているので、エリアのコリ感とポイントのコリ感を区別することが可能であり、より精度の高い心理状態の推定結果を得ることが出来る。その結果、マッサージ動作の調整をきめ細かく行なうことが可能となり、これによって従来よりも高いマッサージ効果を得ることが出来る。
【0055】
例えば図18(a)(b)に示す様に、EDAとEDRが共に一定の場合において、図18(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が略一定とすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(ニュートラル)と判定していたが、この場合、リラックスとポイントのコリ感が相殺されていた可能があった。
これに対し、本発明においては、図18(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図18(a)に示す様に、EDAからも、エリアのコリ感無し(ニュートラル)と判定する。そして、総合的にもコリ感無し(ニュートラル)と判定する。
【0056】
又、図19(a)(b)に示す様に、EDAが徐々に増加し、EDRに反応がある場合において、図19(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が略一定とすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図19(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図19(a)に示す様に、EDAからは、EDAの反応があるにも拘わらず変化量の増加が小さいことからエリアのコリ感無し(ニュートラル)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(ニュートラル)と判定する。
【0057】
又、図20(a)(b)に示す様に、EDAが徐々に増加し、EDRに反応がない場合において、図20(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が増加しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図20(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図20(a)に示す様に、EDAからはエリアのコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。
【0058】
又、図21(a)(b)に示す様に、EDAが著しく増加し、EDRにも反応がある場合において、図21(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が増加しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感有り(リフレッシュ)と判定していたが、それがポイントのコリ感であるのか、エリアのコリ感であるのかの区別は行なっていなかった。
これに対し、本発明においては、図21(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図21(a)に示す様に、EDAからは、変化量が特に大きいのでエリアのコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リフレッシュ)と判定する。
【0059】
又、図22(a)(b)に示す様に、EDAが減少し、EDRに反応がない場合において、図22(c)の如くEDAのゆるやかなレベル変動が減少しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(リラックス)と判定していたが、ポイントのコリ感が打ち消されている可能性もあった。
これに対し、本発明においては、図22(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感無しと判定し、且つ、図22(a)に示す様に、EDAからは、エリアのコリ感無し(リラックス)と判定する。そして、総合的にはコリ感無し(リラックス)と判定する。
【0060】
更に、図23(a)(b)に示す様に、EDAは交流成分を含んでいるが略一定であって、EDRに反応がある場合において、図23(c)の如くEDAに含まれるゆるやかなレベル変動が減少しているとすると、従来のEDAのみによる判定では、コリ感無し(リラックス)と判定していたが、ポイントのコリ感が打ち消されている可能性もあった。
これに対し、本発明においては、図23(b)に示す様に、EDRからポイントのコリ感有りと判定し、且つ、図23(a)に示す様に、EDAからは、エリアのコリ感無し(リラックス)と判定する。そして、総合的にはコリ感有り(リラックス)と判定する。
【0061】
以上の様に、本発明に係るマッサージ機によれば、ポイントのコリ感とエリアのコリ感を区別して判定することが出来、然も図23の場合の様に従来よりも精度の高い判定結果が得られるので、その判定結果に基づいてマッサージ動作を調整することにより、高いマッサージ効果を得ることが出来る。
【0062】
又、コリ感のある部位に対して重点的にマッサージを施しながら、且つ、リラックス若しくはリフレッシュの部位に対するマッサージ動作を調整することにより、リフレッシュ(コリ改善)モードやリラックス(コリ改善)モード等を実現することが出来るので、マッサージ機本来の目的であるコリ改善を果たしながら、リフレッシュ効果やリラックス効果を得ることが出来る。
【0063】
更に、エリアのコリ感とポイントのコリ感を同時に推定することが出来るので、例えばエリアではリラックスと判定すると共に、指圧ポイントではコリ感有りと判定することが可能であり、然も、2つのコリ感の推定に時間差がある場合に生じる生体反応の変化を伴うことがないため、効果的なマッサージ施療が実現される。
【0064】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、図8に示すマッサージ機の動作において、「首/肩」、「背中」、「腰」及び「脚/足」等の広域的な身体部位に対する予備マッサージでは、全ての部位に予備マッサージを施した後に全ての身体部位の心理状態を推定する方法の他、1つの身体部位に予備マッサージを施した後にその身体部位の心理状態を推定する動作を身体部位毎に繰り返す方法を採用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係るマッサージ機の構成を示すブロック図である。
【図2】生体情報取得部及び制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】EDAの変化を示すグラフである。
【図4】EDRの変化を示すグラフである。
【図5】EDA変化量とEDR振幅値に対応する心理状態の変化を説明する図である。
【図6】EDA変化量とEDR振幅値を2軸とする直交座標系において複数の心理状態の領域を表わす図である。
【図7】図6においてコリ感の領域を1つにまとめた図である。
【図8】本発明に係るマッサージ機の動作例を表わすフローチャートである。
【図9】本発明に係るマッサージ機の他の動作例を表わすフローチャートである。
【図10】複数の動作モードにおける心理状態に対するマッサージ動作を説明する図である。
【図11】EDA変化量とEDR振幅値から心理状態を判別する際の閾値を説明する図表である。
【図12】EDA変化量とEDR振幅値を2軸とする直交座標系において閾値によって区切られた複数の領域と心理状態の関係を表わす図である
【図13】同上の直交座標系において各領域の代表点を示す図である。
【図14】複数の動作モードにおけるマッサージ動作の調整方法を表わす図表である。
【図15】従来のマッサージ機における動作の前半を示すフローチャートである。
【図16】従来のマッサージ機における動作の後半を示すフローチャートである。
【図17】従来のマッサージ機においてEDA変化量に対応する心理状態の変化を説明する図である。
【図18】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した一例を表わす図である。
【図19】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図20】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図21】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図22】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した他の例を表わす図である。
【図23】本発明に係るマッサージ機と従来のマッサージ機の心理状態の判定結果を比較した更に他の例を表わす図である。
【符号の説明】
【0066】
(1) マッサージユニット
(2) 生体情報取得部
(3) 制御回路
(7) 情報処理回路
(22) EDAセンサー
(23) ハイパスフィルター
(31) 心理状態推定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部と、該生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路とを具えたマッサージ機において、前記生体情報取得部は、被施療者の皮膚電気活動を検知する皮膚電気活動センサーを具え、前記制御回路は、前記皮膚電気活動センサーによって検知された皮膚電気活動の時間変化量を表わす皮膚電気活動判定値と、該皮膚電気活動に含まれる皮膚電気反応の振幅値を表わす皮膚電気反応判定値とに基づき、マッサージ刺激に応じた被施療者の心理状態として、リラックスと、リラックスとリフレッシュの中間状態を表わすニュートラルと、ツボ位置を含む局所的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすポイントのコリ感と、前記局所的な身体部位よりも広い広域的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすエリアのコリ感と、痛いとを含む複数の心理状態を推定し、その推定結果に応じてマッサージ動作を調整することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御回路には、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値を2つの変数として、これら2つの変数の値と前記複数の心理状態との関係が規定されており、前記制御回路は、該関係を用いて、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値から被施療者の心理状態を判別する請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気活動判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気活動判定値が0よりも小さな第1閾値I未満のときに心理状態がリラックス、前記皮膚電気活動判定値が第1閾値I以上、正の第2閾値F未満のときに心理状態がニュートラル、前記皮膚電気活動判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満のときに心理状態がエリアのコリ感、前記皮膚電気活動判定値が第3閾値G以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気反応判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気反応判定値が正の第1閾値B未満のときに心理状態がニュートラル、前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに心理状態がポイントのコリ感、前記皮膚電気反応判定値が第2閾値C以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている請求項2又は請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気活動判定値が第1閾値I未満であって、且つ前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がポイントのコリ感とリラックスの両方となり、前記皮膚電気活動判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満であって、且つ前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がエリアのコリ感とポイントのコリ感の両方となるように規定されている請求項2乃至請求項4の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記制御回路は、予備マッサージの実行によって心理状態の推定を行ない、心理状態の推定結果に基づいてその後の本マッサージを実行するものであって、本マッサージでは、リラックスと推定された部位に重点的にマッサージを施すリラックスモードと、エリアのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すリフレッシュモードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すコリ改善モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリフレッシュと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リフレッシュ)モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリラックスと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リラックス)モードとが、選択的に設定される請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項1】
被施療者の生体情報を取得する生体情報取得部と、該生体情報取得部によって取得された生体情報に基づいてマッサージ動作を制御する制御回路とを具えたマッサージ機において、前記生体情報取得部は、被施療者の皮膚電気活動を検知する皮膚電気活動センサーを具え、前記制御回路は、前記皮膚電気活動センサーによって検知された皮膚電気活動の時間変化量を表わす皮膚電気活動判定値と、該皮膚電気活動に含まれる皮膚電気反応の振幅値を表わす皮膚電気反応判定値とに基づき、マッサージ刺激に応じた被施療者の心理状態として、リラックスと、リラックスとリフレッシュの中間状態を表わすニュートラルと、ツボ位置を含む局所的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすポイントのコリ感と、前記局所的な身体部位よりも広い広域的な身体部位のリフレッシュ反応を表わすエリアのコリ感と、痛いとを含む複数の心理状態を推定し、その推定結果に応じてマッサージ動作を調整することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記制御回路には、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値を2つの変数として、これら2つの変数の値と前記複数の心理状態との関係が規定されており、前記制御回路は、該関係を用いて、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値から被施療者の心理状態を判別する請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気活動判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気活動判定値が0よりも小さな第1閾値I未満のときに心理状態がリラックス、前記皮膚電気活動判定値が第1閾値I以上、正の第2閾値F未満のときに心理状態がニュートラル、前記皮膚電気活動判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満のときに心理状態がエリアのコリ感、前記皮膚電気活動判定値が第3閾値G以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気反応判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気反応判定値が正の第1閾値B未満のときに心理状態がニュートラル、前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに心理状態がポイントのコリ感、前記皮膚電気反応判定値が第2閾値C以上のときに心理状態が痛いとなるように規定されている請求項2又は請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御回路に規定された関係において、前記皮膚電気活動判定値と皮膚電気反応判定値に対する心理状態の関係は、前記皮膚電気活動判定値が第1閾値I未満であって、且つ前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がポイントのコリ感とリラックスの両方となり、前記皮膚電気活動判定値が第2閾値F以上、第3閾値G未満であって、且つ前記皮膚電気反応判定値が第1閾値B以上、第2閾値C未満のときに、心理状態がエリアのコリ感とポイントのコリ感の両方となるように規定されている請求項2乃至請求項4の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記制御回路は、予備マッサージの実行によって心理状態の推定を行ない、心理状態の推定結果に基づいてその後の本マッサージを実行するものであって、本マッサージでは、リラックスと推定された部位に重点的にマッサージを施すリラックスモードと、エリアのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すリフレッシュモードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すコリ改善モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリフレッシュと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リフレッシュ)モードと、ポイントのコリ感と推定された部位に重点的にマッサージを施すと共にリラックスと推定された部位のマッサージ動作を調整するコリ改善(リラックス)モードとが、選択的に設定される請求項5に記載のマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−29506(P2010−29506A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195975(P2008−195975)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]