説明

マトリックス変換器

本発明は、2ステージ電力変換デバイスの一部として使用することができるマトリックス変換器(4)を提供する。マトリックス変換器(4)は、3つの交流電圧ラインAC1,AC2およびAC3ならびに2つの直流電圧ラインDC1およびDC2を有する。6つの半導体スイッチ10a〜10fのアレイは、関連するスイッチが閉まる場合に、3つの交流電圧ラインAC1,AC2およびAC3の各々が2つの直流電圧ラインDC1およびDC2のうちの1つに接続することができるように配置される。本発明は、2つの直流電圧ラインDC1およびDC2の間にフリーホイールパス(フリーホイールダイオード24)を追加し、これがすべてのスイッチ10a〜10fが開いている場合に、動作の第五状態を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス変換器に関し、特に、2ステージ電力変換デバイスの第一ステージを形成するために使用することができ、あるいは単一または多重ステージ電源として使用することができるマトリックス変換器に関するものである。2ステージ電力変換デバイスは、例えば、可変速度ドライブを電源ネットワークに接続するために使用することができる。マトリックス変換器は、直流負荷を供給するために、あるいは交流送電網または電源ネットワークにフィードバックされる電力を調節するためにも使用することができる。
【背景技術】
【0002】
マトリックス変換器は、可変速度ドライブおよび電源のために直接電力変換を提供するますますポピュラーな方法になっている。その最も基礎的な形式において、マトリックス変換器は、既定の構成における複数の入力ラインのいずれかを、複数の出力ラインのいずれかに接続することができるように配置される多くのスイッチから成る。従来の単一ステージのマトリックス変換器は、図1に示される。マトリックス変換器は、負荷に三相交流出力電圧を供給するために、三相交流電圧電源ネットワークのI1、I2およびI3とラベルの付いた3入力ライン、ならびにO1、O2およびO3とラベルの付いた3出力ラインを有している。9つの双方向スイッチSl〜S9は、入力ラインI1、I2およびI3のいずれかを出力ラインO1、O2およびO3のいずれかに接続することを可能にする。
【0003】
スイッチは、半導体デバイスを使用して実装され、単一ステージのマトリックス変換器がモーターアプリケーションおよび発生アプリケーションの両方に使用することができるように、双方向になり得る。通常の双方向スイッチ実装は、逆向きに直列接続されたペアの高速回復ダイオード(FRD)およびそのダイオードに逆並列に接続されたペアの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を使用する。IGBTは、共通コレクタ(図2a)あるいは共通エミッタ(図2b)配置でともに接続することができる。金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)、集積ゲート整流サイリスター(IGCT)、MOS制御サイリスター(MCT)およびゲートターンオフサイリスター(GTO)のような他のソリッドステートデバイスは、IGBTの代わりに使用することができる。また、しばしば、逆ブロッキング絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RB−IGBT)のような逆ブロッキング能力を有する半導体デバイスを使用することが便利である。
【0004】
三相交流出力電圧の波形は、パルス幅変調を使用して通常作成される。パルス幅変調は、本発明のマトリックス変換器に関連して以下に詳細に記述されるが、図1に関連して、本質的に、特定のシーケンスおよびあらかじめ選択された期間において、出力ラインO1−O3の各々を入力ラインI1−I3の各々へ接続することが含まれている。したがって、三相交流出力電圧は三相入力電圧の部分から構成される。スイッチS1−S9は、通常特定の変調方法に従って開閉するように制御される。
【0005】
従来のマトリックス変換器における大きな問題の1つは、自然フリーホイールパスが不足していることである。したがって、スイッチの動作は注意深く制御されなければならない。出力ラインが入力ラインの2つ以上に同時に接続される場合、これは短絡を引き起こし、結果として生じる大きな電流が、マトリックス変換器に大きな破損を引き起こし、あるいはそれを破壊することさえある。他方、出力ラインが入力ラインのどれにも接続されない場合、誘導電流負荷のためのパスは存在しないので、これは大きな過剰電圧を引き起こす。現在利用可能な半導体スイッチは、必要な精度でオンオフを切り替えることができないので、マトリックス変換器の出力ライン上で、所定の順序形式の電流整流を使用することなく短絡および開放回路を防ぐことは不可能であることが認識されるだろう。可能な4ステップ整流方法の1つは、ウィラー博士(Dr Wheeler, P.);クレア博士(Dr Clare, J.);エプリーマン博士(Dr Empringham, L.)による「マトリックス変換器のための双方向スイッチ整流」("Bidirectional Switch Communication for Matrix Converters")(EPE‘99−ローザンヌ(Lausanne))に記述される。この問題は、この発明に従うマトリックス変換器において扱われる。
【0006】
また、マトリックス変換器を負荷に直流出力電圧を提供する整流器として使用することも可能である。オーチスエレベータ会社(Otis Elevator Company)に対する米国特許第6,166,930号は、直流エレベータモーターに三相交流入力電圧を直接接続するために使用されるマトリックス変換器について記述している。マトリックス変換器は、3相交流入力電圧を受け取るための3つの入力ライン、およびエレベータモーターの直流界磁巻線に直流出力電圧を供給するための2つの出力ラインを有する。IGBTを使用して実装された6個の双方向スイッチは、3つの入力ラインのいずれかが出力ラインのどちらかに接続され、エレベータモーターの入力端子に必要な直流電圧波形を提供するために、パルス幅変調を使用して順に制御することを可能にする。エレベータモーターは、エレベータ車両および釣り合いおもりがロープで結ばれる綱車を駆動するために使用される。エレベータモーターは、例えば、エレベータ車両が減速する場合、エレベータ車両が定格負荷未満の負荷で上へ移動している場合、およびエレベータ車両が定格負荷より大きい負荷で下へ移動している場合、再生モードで作動することができる。双方向スイッチは、エレベータモーターが通常動作(モーターモード)である場合に交流から直流へ、あるいは再生モードにおいて直流から交流へのどちらかの方向で、電流が流れることを可能にする。また、双方向スイッチは、正または負の直流電圧極性で電流が流れることを可能にする。
【特許文献1】米国特許第6,166,930号
【非特許文献1】ウィラー博士(Dr Wheeler, P.);クレア博士(Dr Clare, J.);エプリーマン博士(Dr Empringham, L.)による「マトリックス変換器のための双方向スイッチ整流」("Bidirectional Switch Communication for Matrix Converters")(EPE‘99−ローザンヌ(Lausanne))
【非特許文献2】クランパー(Klumpner, C.);ブラジャー(Blaabjerb, F.)による「2ステージ直接電力変換デバイス:マトリックス変換器の代替」(IEEセミナー、マトリックス変換器、2003年4月1日、オースチンコート(Austin Court))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のマトリックス変換器は、単一ステージ電力変換デバイスとして通常使用されるが、それらを2ステージ電力変換デバイスの一部として使用することもできる。クランパー(Klumpner, C.);ブラジャー(Blaabjerb, F.)による「2ステージ直接電力変換デバイス:マトリックス変換器の代替」(IEEセミナー、マトリックス変換器、2003年4月1日、オースチンコート(Austin Court))は、図3(b)に関連して、整流ステージとして使用されるマトリックス変換器、およびIGBTおよびFRDの配置が電圧源インバーター(VSI)を形成するためにともに接続される転換ステージから成る2ステージ直接電力変換デバイスについて記述する。直列のダイオードおよびキャパシターから成るサージアレスターは、2ステージ変換器の直流リンクを横切って伸びる。これはフリーホイールパスではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次のものを含むマトリックス変換器を提供する:
3つの交流電圧ライン;
2つの直流電圧ライン;
関連するスイッチが閉まる時に、3つの交流電圧ラインの各々が2つの直流電圧ラインの1つに接続することができるように、3つの交流電圧ラインの第一ラインと2つの直流電圧ラインの第一ラインとの間に接続された第一スイッチ、3つの交流電圧ラインの第二ラインと2つの直流電圧ラインの第一ラインとの間に接続された第二スイッチ、3つの交流電圧ラインの第三ラインと2つの直流電圧ラインの第一ラインとの間に接続された第三スイッチ、3つの交流電圧ラインの第一ラインと2つの直流電圧ラインの第二ラインとの間に接続された第四スイッチ、3つの交流電圧ラインの第二ラインと2つの直流電圧ラインの第二ラインとの間に接続された第五スイッチ、および3つの交流電圧ラインの第三ラインと2つの直流電圧ラインの第二ラインとの間に接続された第六スイッチ;ならびに
2つの直流電圧ライン間のフリーホイールパス。
【0009】
マトリックス変換器は、インバーターステージを含む2ステージ電力変換デバイスにおいて第一ステージとして使用することができる。また、マトリックス変換器は、直流負荷を供給し、あるいは送電網または電源ネットワークに供給される電力を調節するためにも使用することができる。
【0010】
2ステージ電力変換デバイスのインバーターステージは、電圧源インバーター(VSI)または電流源インバーターであることが好ましい。しかしながら、任意の他の適切なインバーターも特定用途に依存して使用され得ることは容易に認識されるだろう。そのようなインバーターも再生目的の整流器として操作されるかもしれない。また、電力変換デバイスは、マトリックス変換器の直流電圧ラインを横切って接続された直流リンクフィルター、および交流ラインフィルターを含むことが好ましい。
【0011】
2ステージ電力変換デバイスは、電源ネットワークに可変速度ドライブを接続するために使用することができる。例えば、固定周波数の三相交流入力電圧は、送電網または電源ネットワークからマトリックス変換器に供給することができる。マトリックス変換器は、三相交流入力電圧を整流し、その結果の直流出力電圧は、直流リンクフィルターによってフィルターされ、インバーターステージへ供給される。その後、インバーターステージは、可変速度ドライブに可変周波数の交流出力電圧を提供するために制御することができる。
【0012】
別のアプリケーションにおいて、マトリックス変換器は、送電網または電源ネットワークに可変速度発生器を接続するために使用することができる。発生器は、原動機またはタービンによって駆動される。送電網または電源ネットワークの電圧および周波数が、正確な範囲内で維持されるように規制されなければならないことが容易に認識されるだろう。したがって、マトリックス変換器は、これらの正確な限度に従って、発生器調整に責任を負うインバーターの可変直流出力電圧を変換するために使用することができる。この方法において、マトリックス変換器は、大きな送電網または電源ネットワークに電力を分配する目的で、(他の電力発生システムによってエネルギーを与えられた)既存のエネルギー化電源ネットワークへ低ひずみ交流電流を供給するために使用することができる。あるいは、マトリックス変換器は、発生器からの直流リンク電力をこれらの正確な制限に従う低ひずみ電圧および電流電源に変換することによって、送電網または電源ネットワークに対して電源の単独ソースとして使用することができる。そのような多くのマトリックス変換器および発生器は、高品質電源を提供するために協同して操作してもよい。
【0013】
発生器から送電網または電源ネットワークへ直流リンク電力を供給するために、発電モードのみで作動するために構成されるマトリックス変換器が、電流源インバーターと同一であると考えることができることは容易に認識されるだろう。この発明の重要性は、マトリックス変換器が、一方向直流リンク電圧を保持しながら双方向電力潮流を調整することができる、つまりその直流電流の流れが双方向であることである。従来の電流源インバーターは、その直流ターミナル電圧を逆にすることによって双方向電力潮流を調整することができる、つまりその直流電流の流れが一方向である。この発明によるマトリックス変換器における一方向の直流電圧は、利益を提供するフリーホイールパスを可能にするために特に使用される。
【0014】
さらに別のアプリケーションにおいて、マトリックス変換器は、上述と同じ方法であるがモーターモードで作動することができるという別の利点を備えて使用することができる。言いかえれば、発生器は、送電網または電源ネットワークによって電力が供給されるモーターとして動作させることができる。マトリックス変換器のモータリング性能は、原動機またはタービンによって電力を供給することなく発電機を回転させなければならないコミッショニング目的(作動目的)および試験目的において有用であり得る。モーターモードは、作動目的および試験目的で原動機をスタートし、あるいは原動機を回転させ、発生器がモーターとして使用されることを可能にするために使用することができる。
【0015】
この発明によるマトリックス変換器は、2つの直流電圧ライン間にフリーホイールパスを含んでいるが、3つの交流電圧ラインの各々が2つの直流電圧ラインに接続し、およびそれから分離することができるように、スイッチがパルス幅変調を使用して順に開きおよび閉じるように制御される点において、従来のマトリックス変換器と同様に作動する。
【0016】
フリーホイールパスは、ダイオードを含むことが好ましい。しかしながら、ダイオードの代わりに、フリーホイールパスが、電力変換デバイスの動作中にある期間だけスイッチオン(すなわち使用可能)され、ほかの期間にスイッチオフ(すなわち使用不可)されるように、フリーホイールパスは、サイリスター、あるいは逆ブロッキング絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(RB−IGBT)、あるいは逆ブロッキングゲートターンオフサイリスター(RB−GTO)のような任意の他の適切な逆ブロッキングデバイスを含んでもよい。
【0017】
フリーホイールパスの追加は、従来のマトリックス変換器からの著しい進歩を意味しており、交流電圧ラインの各々をいずれかの極性において直流電圧ラインの両方へ接続することによって提供される3つの状態、および直流電圧ラインの両方を同じ交流電圧ラインへに接続することによって提供される第四の状態に加えて、「第五の状態」を提供する。「第五状態」において、直流電圧ラインが交流電圧ラインのどれにも接続されないように、マトリックススイッチのすべては開放状態に操作される。大きな過剰電圧を引き起こす代わりに、誘導電流負荷はフリーホイールパスを介して流れることが可能になる。マトリックス変換器が、モーターアプリケーションに使用される場合、直流出力電圧は、低レベルに変調されたパルス幅であり、「第五状態」は、その時間の大きな割合で使用され、フリーホイールパスが低電導損失を有するので、従来のマトリックス変換器と比較した場合に、これは消費を著しく削減し、効率を増加させることに帰着する。「第五状態」の別の利点は、パルス幅変調コモンモード電圧が減少することである。
【0018】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチは、一方向性であり得る。これはマトリックス変換器がモーターアプリケーション(つまり三相入力交流電圧が交流電圧ラインに供給される場合)のため、あるいは生成アプリケーション(つまり直流入力電流が直流電圧ラインに供給される場合)のためのどちらかに使用されることを可能にするが、同時に両方のために使用することはできない。モーターアプリケーションにおいては、マトリックス変換器は、三相交流入力電圧を整流し、電力変換デバイスのインバーターステージに直流出力電圧を供給する。電源アプリケーションにおいては、マトリックス変換器は、三相交流入力電圧を整流し、要求される場合にフィルターおよび他の電力電子ステージを介して負荷に直流出力電圧を供給する。発生アプリケーションにおいては、マトリックス変換器は、入力直流電流を逆にし、三相交流出力電圧を供給する。マトリックス変換器は、発生アプリケーションのためにも使用することができるが、本発明の主な利点は、マトリックス変換器が、モーターおよび電源アプリケーションにおいて使用される場合にこそ実現される。
【0019】
第一、第二、第三、第四、第五および第六の一方向性スイッチは、半導体デバイスを含むことが好ましい。半導体デバイスは、RB−IGBTまたはRB−GTOのような逆ブロッキング性能を有していてもよい。あるいは、第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチは、直列に半導体スイッチおよびダイオードを含むことができる。半導体スイッチは、IGBTであることが好ましいが、半導体スイッチは、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)、集積化ゲート整流サイリスター(IGCT)、MOS制御サイリスター(MCT)およびゲートターンオフサイリスター(GTO)のような任意の他の適切なソリッドステートデバイスであり得ることが容易に認識されるだろう。ペアの半導体スイッチが閉まっている場合、電流は、半導体スイッチおよびダイオードの極性によって、第一半導体スイッチに関係した交流電圧ラインから直流正電圧ラインへ、および直流負電圧ラインから第二半導体スイッチに関係した交流電圧ラインへ流れることができ(モーターアプリケーション)、あるいは直流正電圧ラインから第一半導体スイッチに関係した交流電圧ラインへ、および第二半導体スイッチに関係した交流電圧ラインから直流負電圧ラインへ流れることができる(発生アプリケーション)。
【0020】
また、第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチは、双方向性であり得る。これはマトリックス変換器が、状況によってモーターおよび発生アプリケーションの両方のために使用されることを可能にする。また、第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチを双方向性にすることは、直流出力電圧がどちらの極性でもあり得ることを可能にする。
【0021】
第一、第二、第三、第四、第五および第六の双方向スイッチは、ペアの半導体デバイスを含むことが好ましい。スイッチの各々は、逆向きに直列接続されたペアのダイオード、およびダイオードと逆並列にともに接続されたペアの半導体スイッチを含むことが好ましい。半導体スイッチは、IGBTであることが好ましいが、半導体スイッチが、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)、集積化ゲート整流サイリスター(IGCT)、MOS制御サイリスター(MCT)、およびゲートターンオフサイリスター(GTO)のような任意の他の適切なソリッドステートデバイスでよいことは容易に認識されるだろう。IGBTは、いわゆる共通エミッタあるいは共通コレクタ配置で接続することができる。ペアの半導体スイッチの第一スイッチが閉まっている場合、電流は、別の半導体スイッチと逆並列に接続される第一半導体スイッチおよびダイオードを介して、関連する交流電圧ラインから関連する直流電圧ラインへ流れることができる。同様に、別の半導体スイッチが閉まっている場合、電流は、第一半導体スイッチと逆並列に接続される別の半導体スイッチおよびダイオードを介して、関連する直流電圧ラインから流れることができる。
【0022】
双方向スイッチが、一方向性スイッチの2倍の半導体デバイスを要求することは明白である。しかしながら、双方向スイッチを有するマトリックス変換器が提示することができる多様性が増加するという利点は、通常この欠点より重要である。モーターまたは発生アプリケーションのいずれかのために、マトリックス変換器が主に(しかし排他的でなく)使用されることになっている場合、ペアの半導体スイッチおよび/またはペアのダイオードの電流定格は、非対称になり得る。
【0023】
電力変換デバイスは、さらに直流電圧ライン間に接続したスイッチング援助ネットワーク(スナバー)を含んでいてもよい。スナバーは、特定のアプリケーションによって任意の適切なタイプでよい。例えば、スナバーは、キャパシター抵抗器タイプでもよい。フリーホイールパスのターミナルを横切って発生する任意のスイッチング電圧過渡現象は、第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチの一部を形成する任意の半導体デバイスによっても発生する。 したがって、単一スナバーだけが必要である。これは、電力変換デバイスの設計を単純化し、その効率を改善する。
【0024】
本発明は、また、上に記述されたマトリックス変換器を使用する電力変換の方法を提供し、その方法は、次のステップを含む:
直流電圧ラインへ交流電圧の瞬間サンプルを供給し、それによって直流電流を確立し;および
フリーホイールパスを介して直流電流が流れるように、マトリックス変換器の第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチを開く。
【0025】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチを開くことは、マトリックス変換器を上に言及された「第五状態」に置く。このステップは、出力ラインが入力ラインのどれにも接続されない場合に、誘導電流負荷のための自然フリーホイールパスが存在しないため、従来のマトリックス変換器では簡単に実行することができず、これは大きな過剰電圧を引き起こす可能性がある。従来のマトリックス変換器において、単一パルス抑制イベントと関連したサージエネルギーを吸収するために、大規模で複雑な直流サージサプレッサー回路を使用することは、通常の行為である。反復的なパルス抑制イベントからサージ保護することは実際的ではない。したがって、直流電圧ライン間へのフリーホイールパスの追加は、この問題の解決法を提供し、マトリックス変換器が電流整流の複雑な形式に頼る必要がないことを意味する。
【0026】
また、本発明は、次のものを含む電力変換デバイスを提供する:
上に記述されたような第一マトリックス変換器;および
上に記述されたような第二マトリックス変換器;
ここで、第一および第二マトリックス変換器が並列に配置されるように、第一マトリックス変換器の3つの交流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の3つの交流電圧ラインがともに接続され、ならびに第一マトリックス変換器の2つの直流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の2つの直流電圧ラインがともに接続される。
【0027】
また、電力変換デバイスは、第一マトリックス変換器の交流電圧ラインに接続された交流ラインフィルター、および第二マトリックス変換器の交流電圧ラインに接続された交流ラインフィルターを含むことが好ましい。
【0028】
第一スイッチング援助ネットワーク(スナバー)は、第一マトリックス変換器の直流電圧ライン間に位置することができ、第二スイッチング援助ネットワーク(スナバー)は、第二マトリックス変換器の直流電圧ライン間に位置することができる。スナバーは、特別の状況によって任意の適切なタイプであり得る。例えば、スナバーは、キャパシター抵抗器タイプであり得る。
【0029】
第一マトリックス変換器の直流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の直流電圧ラインは、2つの共通直流電圧ラインに接続されことが好ましく、電力変換デバイスは、共通直流電圧ライン間に接続された直流リンクフィルターを含むことが好ましい。
【0030】
第一および第二マトリックス変換器の一つが破損されるか正常に機能しない場合に、適切な停止を可能にできるように第一および第二マトリックス変換器を互いから選択的に隔離するために、スイッチギヤーまたはヒューズのような手段が提供されることが好ましい。
【0031】
電力変換デバイスが、並列に配置された第一マトリックス変換器および第二マトリックス変換器に制限されないことは容易に認識されるだろう。実際、3台以上のマトリックス変換器を並列に配置することができる。更に、電力変換デバイスは、例えば電流源インバーターあるいは電圧源インバーターであるインバーターを含むことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明によるマトリックス変換器のトポロジーおよび動作を、図3〜6を参照して説明する。図3は、交流ラインフィルター2、マトリックス変換器4、直流リンクフィルター6および電圧源インバーター8を含む基本的な2ステージ電力変換デバイスを示す。任意の他の適切なタイプのインバーター(例えば、電流源インバーターのような)は、特定アプリケーションによって電圧源インバーター8の代わりに使用することができる。電力変換デバイスの電圧源インバーター8は、ALSTOMパワー変換株式会社、船舶および海外部門、ボートン通り、ラグビー、CV21 IBU、英国(ALSTOM Power Conversion Limited, Marine and Offshore Division, Boughton Road, Rugby, CV21 1BU, United Kingdom)から入手可能なALSTOM VDM25000製品を使用して実装してもよい。
【0033】
マトリックス変換器4は、AC1、AC2およびAC3とラベルの付いた3つの交流電圧ライン、およびDC1およびDC2とラベルの付いた2つの直流電圧ラインを含む。6個のスイッチアセンブリー10a〜10fは、交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3のいずれかが、直流電圧ラインDC1およびDC2のいずれかに接続されることを可能にする。例えば、スイッチアセンブリー10aは、第一交流電圧ラインAC1を第一直流電圧ラインDC1に接続することができ、スイッチアセンブリー10bは、第一交流電圧ラインAC2を第二直流電圧ラインDC2に接続すること等ができる。スイッチアセンブリー10a〜10fは、マトリックス変換器がモーターまたは発生アプリケーションのどちらに使用されるかによって一方向性または双方向性になり得る。
【0034】
モーターアプリケーションにおいて、三相交流入力電圧は、電源ネットワークから交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3に供給され、マトリックス変換器4によって整流され、直流電圧ラインDC1およびDC2上に直流出力電圧を提供する。逆の場合に、直流出力電圧は電圧源インバーター8に供給される。2ステージ電力変換デバイスから生じる交流出力電圧は、例えば速度制御のためにモーター(図示しない)に供給することができる。
【0035】
発生アプリケーションにおいて、直流入力電流は、直流電圧ラインDC1およびDC2に供給され、マトリックス変換器4によって逆変換され、交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3上に交流出力電圧を提供する。マトリックス変換器4は、発生アプリケーションのためにも使用することができるが、本発明の主要な利点は、モーターアプリケーションにおいて実現されることに留意することは重要である。
【0036】
図4を参照して、マトリックス変換器4が、モーターおよび発生アプリケーションのために使用される場合、電流は、各スイッチアセンブリー10a〜10fを両方向に通過することができる。したがって、各スイッチアセンブリー10a〜10fは、直並列配置のIGBTデバイス12およびダイオード14の逆向きペアを含んでいる。
【0037】
スイッチアセンブリー10cおよび10bの2つが分離していると考えると、モーターアプリケーションにおいては、特にこれらのスイッチが閉まっている場合で、かつ第二直流電圧ラインDC2の電圧が第一直流電圧ラインDC1の電圧に対して正の場合、電流は、ACラインフィルターコンデンサ16aを介してIGBTデバイス12bの1つおよびダイオード14aの1つを通過し、およびIGBTデバイス12cの1つおよびダイオード14dの1つを通過し、第一および第二交流電圧ラインAC1およびAC2と直流電圧ラインDC1およびDC2との間で循環することができる。モーターアプリケーションにおいて循環電流のパスは、自由形の矢印によって表示される。発生アプリケーションにおいて、電流は、ACラインフィルターコンデンサ16aを介してIGBTデバイス12aの他方およびダイオード14bの他方を通過し、およびIGBTデバイス12dの他方およびダイオード14cの他方を通過し、第一および第二交流電圧ラインAC1およびAC2と、直流電圧ラインDC1およびDC2との間で循環することができる。
【0038】
スイッチアセンブリー10a〜10fを双方向にすれば、直流電圧ラインDC1およびDC2における正または負の直流電圧極性のいずれかによって、両方向に電流を流すことが可能である。
【0039】
マトリックス変換器4が、モーターアプリケーションのためにのみ使用される場合、スイッチアセンブリー10a〜10fは、図5に示されるように単純化することができる。この場合、各スイッチアセンブリーは、IGBTデバイス12およびダイオード14だけを含んでいる。IGBTデバイス12およびダイオード14の極性は、逆(すなわち生成)方向へ流れる電流をブロックするために選ばれる。図5に示されるように、第二直流電圧ラインDC2の電圧は、第一直流電圧ラインDC1の電圧に対して常に正になる。交流ラインフィルター2は、3つの交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3の各々の間に配置された3つのデルタ接続キャパシター16a、16bおよび16cを含んでいる。キャパシターがスター構成でともに接続されてもよいことは容易に認識されるだろう。直流リンクフィルター6は、2つの直流電圧ラインDC1およびDC2と、シリーズインダクター20との間に配置されるキャパシター18を含んでいる。
【0040】
本発明によるマトリックス変換器4の原理的特徴は、直流電圧ラインDC1およびDC2間へのフリーホイールパス22の追加である。これは、スイッチ化フリーホイールパス(例えばサイリスターを含む)、あるいは図示したように単純なフリーホイールダイオード24であり得る。フリーホイールパス22の目的は、スイッチアセンブリー10a〜10fを使用して交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3の各々を直流電圧ラインDC1およびDC2の両方に接続することによって提供される3つの状態、および直流電圧ラインDC1およびDC2の両方を同じ交流電圧ラインに接続することによって提供される第四状態に加えて、「第五状態」を提供することである。これは、下に示される表1を参照して詳細に説明される。マトリックス変換器4が、モーターアプリケーションに対して使用される場合、2つの直流電圧ラインDC1およびDC2(出力ライン)は、次の組み合わせのいずれにおいても3つの交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3(入力ライン)に接続することができることが認識されるだろう。
【0041】
【表1】

【0042】
「第一状態」において、直流電圧ラインDC1およびDC2の一方は、第一交流電圧ラインAC1に接続され、直流電圧ラインDC1およびDC2の他方は、第二交流電圧ラインAC2に接続される。したがって、直流電圧ラインDC1およびDC2を横切った直流出力電圧は、その特別の状態において、第一および第二交流電圧ラインAC1およびAC2に供給された交流入力電圧から導出される。
【0043】
「第二状態」において、直流電圧ラインDC1およびDC2の一方は、第一交流電圧ラインAC1に接続され、直流電圧ラインDC1およびDC2の他方は、第三交流電圧ラインAC3に接続される。したがって、直流電圧ラインDC1およびDC2を横切った直流出力電圧は、その特別の状態において、第一および第三交流電圧ラインAC1およびAC3に供給された交流入力電圧から導出される。
【0044】
「第三状態」において、直流電圧ラインDC1およびDC2の一方は、第二交流電圧ラインAC2に接続され、直流電圧ラインDC1およびDC2の他方は、第三交流電圧ラインAC3に接続される。したがって、直流電圧ラインDC1およびDC2を横切った直流出力電圧は、特別の状態において、第二および第三交流電圧ラインAC2およびAC3に供給された交流入力電圧から導出される。
【0045】
「第四状態」において、2つの直流電圧ラインDC1およびDC2は、同じ交流電圧ラインに接続され、直流電圧ラインがともに短絡されるので電圧出力はない。
【0046】
マトリックス変換器4は、さらに、直流電圧ラインDC1およびDC2が、交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3のいずれにも接続されない「第五状態」を備える。この状況において、直流リンクフィルター6に流れる電流は、フリーホイールダイオード24を通る自然パスを備え、過剰電圧を引き起こす危険はない。図6における矢印は、マトリックス変換器が「第五状態」である場合の電流の流れを表わす。直流リンクフィルター6に流れる電流は、負荷に適用される他の状態の結果として負荷において以前に確立された電流である。
【0047】
次に、出力直流電圧の波形がパルス幅変調技術を使用して生成される方法を、図7〜9を参照して説明する。図7は、所定の期間に交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3に供給され、ゼロ電圧Vに関して対称的に配置されたシヌソイド三相入力交流電圧VAC1、VAC2およびVAC3を示す。左側のぬりつぶされた領域は、フリーホイールパスなしで従来のマトリックス変換器において使用されるパルス幅変調技術を表わす。右側のぬりつぶされた領域は、フリーホイールパスを備えたマトリックス変換器4において使用されるパルス幅変調技術を表わす。これらの異なるパルス幅変調技術は、それぞれ図8および9においてより詳細に示される。各ケースにおいて、マトリックス変換器4は、直流電圧ラインDC1およびDC2間で直流ターゲット電圧Vを生成するために使用される。パルス幅変調は、三相交流入力電圧の周波数より相当に大きいレートで実行される。50Hzで作動する三相交流入力電圧の場合、約2kHzのパルス幅変調ためのサンプリングレートが通常である。
【0048】
図7におけるVAC1およびVAC2間のぬりつぶされた領域を参照して、電圧状態Vは、その期間の特別の状態における、第一交流電圧ラインAC1に供給された交流入力電圧VAC1と、第三交流電圧ラインAC3に供給された交流入力電圧VAC3との間の差を表わす。同様に、電圧状態Vは、その期間の特別の状態における第一交流電圧ラインAC1に供給された交流入力電圧VAC1と、第二交流電圧ラインAC2に供給された交流入力電圧VAC2との間の差を表わす。ターゲット電圧Vは、電圧状態Vよりわずかに小さく、それは電圧状態Vと電圧状態Vとの間のパルス幅変調に必要である。したがって、スイッチアセンブリーは、直流電圧ラインDC1およびDC2を適切な交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3に接続するために制御され、マトリックス変換器の直流出力電圧(つまり、直流電圧ラインDC1およびDC2によって供給された直流出力電圧VDC1およびVDC2)が、電圧状態VおよびV間でパルス幅変調され、時間平均がターゲット電圧Vと等しくなる。
【0049】
特に、図8は、第一直流電圧ラインDC1(ここで、VDC1は灰色のラインによって表わされる)が、第一期間に第一交流電圧ラインAC1に接続され、その後、第二期間に第三交流電圧ラインAC3に接続され、その後、第三期間に第一交流電圧ラインAC1に接続されること等を示す。第二直流電圧ラインDC2(ここでVDC2は黒いラインによって表わされる)は、第一期間に第二交流電圧ラインAC2に接続され、その後、第二期間に第一交流電圧ラインAC1に接続され、その後、第三期間に第二交流電圧ラインAC2に接続される等である。パルス幅変調のための時間系列は、下に示す表2によって表わすことができる。
【0050】
【表2】

【0051】
図7におけるVAC3とVとの間のぬりつぶされた領域を参照して、本発明のマトリックス変換器4は、フリーホイールダイオード24によって提供される追加の電圧状態Vから利益を得る。この場合、電圧状態V’は、その期間の特別の状態における第三交流電圧ラインAC3に供給される交流入力電圧VAC3と、第二交流電圧ラインAC2に供給される交流入力電圧VAC2との間の差を表わす。ターゲット電圧Vは、電圧状態V’よりわずかに小さく、それは電圧状態V’と別の電圧状態との間のパルス幅変調に必要である。しかしながら、この場合に、ゼロ電圧状態Vは、スイッチアセンブリー10a〜10fのすべてを開き、マトリックス変換器4を「第五状態」に置くことによって使用される。したがって、スイッチアセンブリーは、直流出力ラインDC1およびDC2を適切な交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3に接続し、交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3のいずれにも接続しないように制御され、マトリックス変換器4の直流出力電圧(つまり直流電圧ラインDC1およびDC2によって供給された直流出力電圧VDC1およびVDC2)が、電圧状態V’とVとの間でパルス幅変調され、時間平均がターゲット電圧Vと等しくなる。
【0052】
特に、図9を参照して、「第五状態」を使用するパルス幅変調のための時間系列を、下に示される表3によって説明する。
【0053】
【表3】

【0054】
フライホイールダイオード24は、スイッチアセンブリー10a〜10fより電導損失が少ない。したがって、追加の電圧状態としてゼロ電圧Vの使用は、スイッチングデバイス損失を減少し、マトリックス変換器4の効率を改善する効果を有する。
【0055】
また、ゼロ電圧Vの使用は、マトリックス変換器4のコモンモード電圧の削減を提供する。VDC1が、第一直流電圧ラインDC1によって供給される直流出力電圧であり、VDC2が、第二直流電圧ラインDC2によって供給される直流出力電圧である場合に、コモンモード電圧は、中立電圧Vに関して、(VDC1+VDC2)/2として最も適切に表現される。直流電圧ラインDC1およびDC2が交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3のどれにも接続されず、電流がフリーホイールダイオード24に流れるような「第五状態」で、マトリックス変換器4が操作される場合、ゼロ電圧Vと直流電圧ラインDC1およびDC2との間にコモンモード電圧がまったく存在しないことは容易に認識されるだろう。マトリックス変換器4が、低い直流出力電圧を与えるためにパルス幅変調される場合、フライホイールダイオード24は大部分の期間導通し、パルス幅変調方法は、直流電圧ラインDC1およびDC2でコモンモード電圧を最小化するスイッチング状態を利用するために最大可能な自由度が与えられる。これは負荷システムおよび電力変換デバイスの絶縁上のストレスを減少する。また、それは電磁気互換性(EMC)に役立つ。
【0056】
マトリックス変換器4は、スイッチング損失、構成要素の定格およびEMCを最適化するためにスナバーを含むことができる。使用することができる最も単純なタイプのスナバーは、図10に示されるような直列キャパシター抵抗器タイプ30である。しかしながら、任意の適切なタイプのスナバーがマトリックス変換器4と共に使用することができることは容易に認識されるだろう。スナバーの動作の基本原理は、以下のとおりである。半導体デバイスが整流する場合、浮遊インダクタンスにおいてエネルギーがトラップされ、このインダクタンスは、電流の任意の変化に対抗する瞬間的電圧を誘導することによって、半導体デバイスにおける整流の動作に対抗する。対応する瞬間的電圧は、半導体デバイスによって消費される。この瞬間的電圧は、半導体ピーク電圧およびスイッチング損失定格に強い影響を及ぼす。スナバーは、半導体デバイスに並列に(つまり電流が半導体デバイスによって中断される任意の浮遊インダクタンスに直列に)接続される。半導体デバイスが整流する場合、瞬間的電圧は電流をスナバーに流す。スナバーの主に容量性の特性は、半導体デバイス定格およびEMCに利益を与えるようなやり方でシステムの過渡的挙動を減速させるように働くが、同時にスナバーにおける望まれない消散をこうむらせる。
【0057】
図10に示すように、単一のキャパシター抵抗器タイプスナバー30は、フライホイールダイオード24と並列に接続されている。スナバーは、スイッチアセンブリー10a〜10fのいずれにも適用されない。これは、どんなスイッチ状態が、マトリックス変換器4に適用される場合でも、スナバー30が浮遊インダクタンスと常に直列になるためである。したがって、マトリックス変換器4において、フライホイールダイオード24、単一のスイッチアセンブリー、あるいは二つのスイッチアセンブリーの同時動作によって整流が始められる場合に、スナバー30は制動(damping)を提供する。言いかえれば、スナバー30の利益は、フライホイールダイオード24に加えてスイッチアセンブリー10a〜10fのすべてによって経験される。これはマトリックス変換器4の効率を改善し、回路設計を非常に単純化する。
【0058】
スイッチアセンブリー10a〜10f、およびフライホイールダイオード24が、直列接続された二つ以上の半導体デバイスから成るようなもっと高度な場合に、専用スナバーは、しばしば直列電圧共有のために慣例通りに使用される。フリーホイールダイオード24と並列に接続されたスナバー30の追加は、専用スナバーの定格および複雑さを減少することができることを意味する。したがって、従来のN+1直列冗長方法は、マトリックス変換器4の全体的効率を落とすことなく使用することができる。
【0059】
図11および12は、マトリックス変換器4の交流電圧ラインAC1、AC2およびAC3に供給された三相交流電源電圧の典型的な電流および電圧波形を示す。図13は、マトリックス変換器4によって作られるフィルターされていない直流出力電圧波形を示す。最後に、図14は、直流リンクフィルター6によってフィルターされた後のマトリックス変換器4の整流された直流出力電圧波形を示す。波形は、マトリックス変換器4が、従来のマトリックス変換器の高い供給力率および低い供給ひずみを保持することを実証する。図11および12において、電流および電圧は位相で示される。これは、いくつかのアプリケーションにおいて望ましい。本発明によるマトリックス変換器は、従来のマトリックス変換器のように供給力率を制御するための同様の能力を共有する。
【0060】
図15に示すように代替の電力変換デバイスには、インバーターはない。電力変換デバイスは、第一交流ラインフィルター102a、第一マトリックス変換器104aおよび第一直流リンクチョーク(あるいはインダクター)106aを含む第一並列パス、ならびに第二交流ラインフィルター102b、第二マトリックス変換器104bおよび第二直流リンクチョーク(あるいはインダクター)106bを含む第二並列パスから成る。図15の電力変換デバイスは、第一並列パスおよび第二並列パスを含んでいるが、代替の電力変換デバイスが、任意の数の並列パスを含んでいてもよいことは容易に認識されるだろう。
【0061】
第一マトリックス変換器104aは、3つの交流電圧ラインAC1a、AC2aおよびAC3a、ならびに2つの直流電圧ラインDC1aおよびDC2aを含む。6つのスイッチアセンブリー108a〜108fは、交流電圧ラインAC1a、AC2aおよびAC3aのいずれかが、直流電圧ラインDC1aおよびDC2aのいずれかに接続されることを可能にする。例えば、スイッチアセンブリー108aは、第一交流電圧ラインAC1aを第一直流電圧ラインDC1aに接続することができ、スイッチアセンブリー108bは、第一交流電圧ラインAC1aを第二直流電圧ラインDC2aに接続することができる等である。スイッチアセンブリー108a〜108fは、第一マトリックス変換器104aがモーターまたは発生アプリケーションのために使用されるかどうかによって一方向または双方向になり得る。フリーホイールダイオード124aは、直流電圧ラインDC1aとDC2aとの間に提供される。フリーホイールダイオード124aの目的は、上に記述したように第一マトリックス変換器104aに「第五状態」を提供することである。
【0062】
第一交流ラインフィルター102aは、3つの交流電圧ラインAC1a、AC2aおよびAC3aの各々の間に配置された3つのキャパシター112a、112bおよび112cを含んでいる。
【0063】
第二マトリックス変換器104bは、AC1b、AC2bおよびAC3bとラベルの付いた3つの交流電圧ライン、ならびにDC1bおよびDC2bとラベルの付いた2つの直流電圧ラインを含んでいる。6つのスイッチアセンブリー110a〜110fは、交流電圧ラインAC1b、AC2bおよびAC3bのいずれかが、直流電圧ラインDC1bおよびDC2bのいずれかに接続されることを可能にする。例えば、スイッチアセンブリー110aは、第一交流電圧ラインAC1bを第一直流電圧ラインDC1bに接続することができ、スイッチアセンブリー110bは、第一交流電圧ラインAC1bを第二直流電圧ラインDC2bに接続すること等ができる。スイッチアセンブリー110a〜110fは、第二マトリックス変換器104bがモーターまたは発生アプリケーションのために使用されるかどうかによって、一方向または双方向になり得る。フリーホイールダイオード124bは、直流電圧ラインDC1bとDC2bとの間に提供される。フリーホイールダイオード124bの目的は、上に記述したように第二マトリックス変換器104bに「第五状態」を提供することである。
【0064】
第二交流ラインフィルター102bは、3つの交流電圧ラインAC1b、AC2bおよびAC3bの各々の間に配置される3つのキャパシター114a、114bおよび114cを含んでいる。
【0065】
第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bは、上に記述したマトリックス変換器と同じ方法で作動する。
【0066】
第一マトリックス変換器104aの交流電圧ラインAC1a、AC2aおよびAC3a、ならびに第二マトリックス変換器104bの交流電圧ラインAC1b、AC2bおよびAC3bは、3つの共通交流電圧ラインAC1c、AC2cおよびAC3cに接続される。同様に、第一マトリックス変換器104aの直流電圧ラインDC1aおよびDC2a、ならびに第二マトリックス変換器104bの直流電圧ラインDC1bおよびDC2bは、2つの共通直流電圧ラインDC1cおよびDC2cに接続される。直流リンクフィルター116は、2つの共通直流電圧ラインDC1cとDC2cとの間に配置されたキャパシター118を含んでいる。
【0067】
モーターアプリケーションにおいて、三相交流入力電圧は、電源ネットワークから共通交流電圧ラインAC1c、AC2cおよびAC3cに供給され、第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bによって整流され、共通直流電圧ラインDC1cおよびDC2c上に直流出力電圧を提供する。直流出力電圧は、インバーター(図示しないが、例えば電圧源インバーター)に供給され、インバートされる。インバーターから生じる交流出力電圧は、例えば可変速度ドライブ(図示しない)を駆動するために使用することができる。
【0068】
発生アプリケーションにおいて、直流入力電圧は、共通直流電圧ラインDC1cおよびDC2cに供給され、マトリックス変換器104aおよび104bによってインバートされ、共通交流電圧ラインAC1c、AC2cおよびAC3c上に交流出力電圧を提供する。第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bは、発生アプリケーションのためにも使用することができるが、本発明の主な利点は、モーターアプリケーションにおいて実現されることに留意することは重要である。
【0069】
第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bが、共通交流電圧ラインAC1c、AC2cおよびAC3c、ならびに共通直流電圧ラインDC1cおよびDC2cに接続され、これらが、交流ラインフィルター102a、102bおよびキャパシター118によってフィルターされるので、各マトリックス変換器のパルス幅変調スイッチング損失は、別のマトリックス変換器のそれからデカップルされる。これは、電力変換デバイスが動作中の任意の時に、第一および第二マトリックス変換器の一方がパルス抑圧され得、別のマトリックス変換器がパルス幅変調方法に従って制御されることを意味する。複数の並列パスが提供され、より多くのマトリックス変換器がパルス抑圧されるような一般的な場合に、パルス幅変調スイッチング損失によって引き起こされた損失が減少し、半導体デバイスの電導損失によって引き起こされる損失が増加する。パルス抑圧されるマトリックス変換器の数、および従来のパルス幅変調方法に従って制御されるマトリックス変換器の数は、全消費損失を最適化するために設定され、それにより電力変換デバイスの効率を最大限にすることができる。複数の並列接続マトリックス変換器が同時に操作される場合に、それらは、電流の共有を提供する位相および方法における基本電圧でパルス幅変調される。パルス幅変調キャリアーは、電源電圧ひずみを最小限にするために優先的に位相シフトされる。パルスが抑圧される場合、すべてのスイッチデバイスは連続的にターンオフし、パルス抑圧マトリックス変換器は、交流ライン電流を流さない。パルス抑圧マトリックス変換器のフリーホイールダイオードは、ある状況、例えば共通直流電圧ラインDC1cおよびDC2cに低い直流電圧がある場合に、電流のパルスを流す。
【0070】
図示しないが、スイッチングまたは他の適切な手段が、第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bの各々を互いから分離するために提供されることは容易に認識されるだろう。第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bの一つが突発故障を被った場合、それは安全に分離され、従来のN+1並列冗長が提供される。一般的に、スイッチギヤーまたはヒューズは、一つ以上のマトリックス変換器の交流および/または直流ターミナルをマトリックス変換器の大きなグループから分離するために提供される。したがって、損傷した、または正常に機能しないマトリックス変換器は、正常に機能するマトリックス変換器がサービス提供不可能になることを防ぎ、それによりシステムの性能低下を減少させることができる。
【0071】
第一および第二マトリックス変換器104aおよび104bのパルス幅変調キャリアーは、交流ラインフィルター102aおよび102bに流れるリプル電流の位相キャンセルを最適化するように位相シフトされる。したがって、交流ラインフィルター102aおよび102bの設計を単純化することができ、EMIを最小限にすることができる。より詳細には、マトリックス変換器104aおよび104bは、パルス幅変調サンプリング周波数におけるインダクター106aおよび106bの電流によって決定された大きさの電流のパルスを、交流ラインフィルター102aおよび102bへ注入する。結果として、交流ラインフィルター102aおよび102bは、パルス幅変調サンプリング周波数の電圧リプルを経験する。したがって、脈流が位相シフトされて、高調波キャンセルを容易にし、電圧ひずみを減少する。
【0072】
単一のスナバー(図示しないが、例えばキャパシター抵抗器タイプ)は、フライホイールダイオード124aおよび124bの各々と並列に接続することができる。したがって、個々の並列パスは、単一のスナバーを含んでいる。この方法で、個々の並列パスにおけるスナバーの過渡応答は、他の並列パスにおけるスナバーからの衝撃を緩和することができる。この結果、並列パスのいずれかのマトリックス変換器は、他の並列パスにおけるマトリックス変換器のパルス幅変調動作に関係するスイッチング損失を招くことなくパルス抑圧される。上に言及したように、パルス抑圧されたマトリックス変換器の数、およびパルス幅変調方法に従って制御されるマトリックス変換器の数は、電力変換デバイスの効率を最適化するために必要とされる場合に設定することができる(これは半導体電導損失と全スイッチング損失との間のトレードオフになる)。したがって、従来のN+1並列冗長方法は、電力変換デバイスの全体的効率を危険にさらすことなしに使用できる。
【0073】
本発明は、純粋に例示のために記述され、請求される発明の範囲内で変更することが可能である。また、本発明は、任意の個別の特徴、ここに記述されまたは前提とされ、あるいは図面において示されまたは前提とされ、あるいはそのような特徴の任意の組み合わせ、あるいはそのような特徴の任意の一般化あるいはその等価物まで及ぶ組み合わせを有する。したがって、本発明の幅および範囲は、上に記述された例示的な実施例のいずれによっても制限されるべきではない。請求項と図面を含む明細書において開示された各特徴は、他の方法で明らかに述べられない限り、同じもの、等価物または同様の目的に役立つ代替の特徴によって置き換えてもよい。
【0074】
明細書の全体にわたる先行技術のいずれの議論も、そのような先行技術が広く知られており、あるいはその領域において共通の一般知識の部分を形成することを承認するものではない。
【0075】
文脈上明確に要求されていない限り、明細書の記載及び請求項の全体に亘り、用語「含む」、「含んでいる」および同種のものは、排他的ではなく包括的に、あるいは完全な意味;すなわち「含むが、制限されない」という意味に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
本発明の例示的な実施態様は、添付する図面を参照して説明される:
【図1】従来の三相から三相のマトリックス変換器を示す回路図;
【図2】図2aは、逆並列および共通コレクタ配置でともに接続されたペアの高速回復ダイオード(FRD)およびペアの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を使用する双方向スイッチ実装を示す回路図であり、図2bは、直並列および共通エミッタ配置でともに接続されたペアの高速回復ダイオード(FRD)およびペアの絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を使用する双方向スイッチ実装を示す回路図;
【図3】本発明によるマトリックス変換器を組込む2ステージ電力変換デバイスの回路図;
【図4】モーターおよび発生アプリケーションに適した本発明によるマトリックス変換器の回路図;
【図5】モーターアプリケーションにのみ適した本発明によるマトリックス変換器の回路図;
【図6】直流出力ラインが直流入力ラインのどれにも接続されない場合にマトリックス変換器を介する電流の流れを示す回路図である(つまり、マトリックス変換器は「第五状態」);
【図7】マトリックス変換器のターゲット電圧がパルス幅変調技術を使用してどのように得られるかを示す概要図;
【図8】パルス幅変調技術が従来のマトリックス変換器にどのように適用されるかを示す概要図;
【図9】本発明によるパルス幅変調技術がマトリックス変換器にどのように適用されるかを示す概要図;
【図10】スイッチング援助ネットワーク(スナバー)がマトリックス変換器の直流電圧ラインを横切ってどのように接続することができるかを示す回路図;
【図11】マトリックス変換器に供給された交流入力電圧の電流波形を示す図;
【図12】マトリックス変換器に供給された交流入力電圧の電圧波形を示す図;
【図13】マトリックス変換器によって提供されたフィルターされない直流出力電圧の電圧波形を示す図;
【図14】マトリックス変換器によって提供されたフィルターされた直流出力電圧の電圧波形を示す図;ならびに
【図15】本発明による2つのマトリックス変換器がどのように並列に接続することができるかを示す回路図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のものを含む、マトリックス変換器:
3つの交流電圧ライン;
2つの直流電圧ライン;
関連するスイッチが閉まるときに、3つの交流電圧ラインの各々が2つの直流電圧ラインのうちの1つに接続することができるように、3つの交流電圧ラインのうちの第一ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第一ラインとの間に接続された第一スイッチ、3つの交流電圧ラインのうちの第二ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第一ラインとの間に接続された第二スイッチ、3つの交流電圧ラインのうちの第三ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第一ラインとの間に接続された第三スイッチ、3つの交流電圧ラインのうちの第一ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第二ラインとの間に接続された第四スイッチ、3つの交流電圧ラインのうちの第二ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第二ラインとの間に接続された第五スイッチ、および3つの交流電圧ラインのうちの第三ラインと2つの直流電圧ラインのうちの第二ラインとの間に接続された第六スイッチ;ならびに
2つの直流電圧ライン間のフリーホイールパス。
【請求項2】
フリーホイールパスがダイオードを含む、請求項1記載のマトリックス変換器。
【請求項3】
フリーホイールパスが切り替えられるフリーホイールパスである、請求項1記載のマトリックス変換器。
【請求項4】
切り替えられるフリーホイールパスがサイリスターを含む、請求項3記載のマトリックス変換器。
【請求項5】
切り替えられるフリーホイールパスが、逆ブロッキング性能を有する半導体デバイスを含む、請求項3記載のマトリックス変換器。
【請求項6】
半導体デバイスがRB−IGBTである、請求項5記載のマトリックス変換器。
【請求項7】
半導体デバイスがRB−GTOである、請求項5記載のマトリックス変換器。
【請求項8】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが一方向性である、請求項1〜7のいずれかに記載のマトリックス変換器。
【請求項9】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが半導体スイッチを含む、請求項8記載のマトリックス変換器。
【請求項10】
半導体スイッチが逆ブロッキング性能を有する、請求項9記載のマトリックス変換器。
【請求項11】
半導体スイッチがRB−IGBTである、請求項9または請求項10記載のマトリックス変換器。
【請求項12】
半導体スイッチがRB−GTOである、請求項9または請求項10記載のマトリックス変換器。
【請求項13】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが、直列配置でともに接続された半導体スイッチおよびダイオードを含む、請求項8記載のマトリックス変換器。
【請求項14】
半導体スイッチがIGBTである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項15】
半導体スイッチがMOSFETである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項16】
半導体スイッチがIGCTである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項17】
半導体スイッチがMCTである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項18】
半導体スイッチがGTOである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項19】
ダイオードがFRDである、請求項13記載のマトリックス変換器。
【請求項20】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが双方向性である、請求項1〜7のいずれかに記載のマトリックス変換器。
【請求項21】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが半導体スイッチを含む、請求項20記載のマトリックス変換器。
【請求項22】
半導体スイッチが逆ブロッキング性能を有する、請求項21記載のマトリックス変換器。
【請求項23】
半導体スイッチがRB−IGBTである、請求項22記載のマトリックス変換器。
【請求項24】
半導体スイッチがRB−GTOである、請求項22記載のマトリックス変換器。
【請求項25】
第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチが、直並列配置でともに接続された逆向きペアの半導体スイッチおよびペアのダイオードを含む、請求項21記載のマトリックス変換器。
【請求項26】
ペアの半導体スイッチがIGBTである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項27】
ペアのIGBTのエミッタがともに接続される、請求項26記載のマトリックス変換器。
【請求項28】
ペアのIGBTのコレクタがともに接続される、請求項26記載のマトリックス変換器。
【請求項29】
ペアの半導体スイッチがMOSFETである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項30】
ペアの半導体スイッチがIGCTである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項31】
ペアの半導体スイッチがMCTである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項32】
ペアの半導体スイッチがGTOである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項33】
ペアのダイオードがFRDである、請求項25記載のマトリックス変換器。
【請求項34】
ペアの半導体スイッチの電流定格および/またはペアのダイオードの電流定格が非対称である、請求項25〜33のいずれかに記載のマトリックス変換器。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれかに記載のマトリックス変換器を使用する電力変換方法であって、次のステップを含む方法:
直流電圧ラインに交流電圧の瞬間サンプルを供給するステップ;ならびに
直流電流がフリーホイールパスを介して流れるように、マトリックス変換器の第一、第二、第三、第四、第五および第六スイッチを開くステップ。
【請求項36】
次のものを含む、電力変換デバイス:
請求項1〜34のいずれかに記載のマトリックス変換器;および
インバーター。
【請求項37】
インバーターが、電流源インバーターであり、インバーターまたは整流器として作動する、請求項36記載の電力変換デバイス。
【請求項38】
インバーターが、電圧源インバーターであり、インバーターまたは整流器として作動する、請求項37記載の電力変換デバイス。
【請求項39】
さらに、マトリックス変換器の直流電圧ライン間に接続された直流リンクフィルターを含む、請求項36〜38のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項40】
さらに、マトリックス変換器の交流電圧ラインに接続された交流ラインフィルターを含む、請求項36〜39のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項41】
さらに、マトリックス変換器の直流電圧ライン間に接続されたスイッチング援助ネットワーク(スナバー)を含む、請求項36〜40のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項42】
スイッチング援助ネットワーク(スナバー)が、キャパシター抵抗器タイプである、請求項41記載の電力変換デバイス。
【請求項43】
次のものを含む、電力変換デバイス:
請求項1〜34のいずれかに記載の第一のマトリックス変換器;ならびに
請求項1〜34のいずれかに記載の第二のマトリックス変換器;
ここで、第一および第二マトリックス変換器が並列に配置されるように、第一マトリックス変換器の3つの交流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の3つの交流電圧ラインがともに接続され、ならびに第一マトリックス変換器の2つの直流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の2つの直流電圧ラインがともに接続される、電力変換デバイス。
【請求項44】
さらに、第一マトリックス変換器の交流電圧ラインに接続された交流ラインフィルターおよび第二マトリックス変換器の交流電圧ラインに接続された交流ラインフィルターを含む、請求項43記載の電力変換デバイス。
【請求項45】
さらに、第一マトリックス変換器の直流電圧ライン間の第一スイッチング援助ネットワーク(スナバー)および第二マトリックス変換器の直流電圧ライン間の第二スイッチング援助ネットワーク(スナバー)を含む、請求項43または請求項44記載の電力変換デバイス。
【請求項46】
第一および第二スイッチング援助ネットワーク(スナバー)がキャパシター抵抗器タイプである、請求項45記載の電力変換デバイス。
【請求項47】
第一マトリックス変換器の直流電圧ラインおよび第二マトリックス変換器の直流電圧ラインが、2つの共通の直流電圧ラインに接続され、さらに、共通の直流電圧ライン間に接続された直流リンクフィルターを含む、請求項43〜46のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項48】
さらに、第一および第二マトリックス変換器を互いから選択的に隔離するための手段を含む、請求項43〜47のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項49】
さらに、インバーターを含む、請求項43〜48のいずれかに記載の電力変換デバイス。
【請求項50】
インバーターが電流源インバーターである、請求項49記載の電力変換デバイス。
【請求項51】
インバーターが電圧源インバーターである、請求項49記載の電力変換デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2008−524978(P2008−524978A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546195(P2007−546195)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004907
【国際公開番号】WO2006/064279
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(506417706)コンバーチーム リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Converteam Ltd
【住所又は居所原語表記】Boughton Road,Rugby,Warwickshire,CV21 1BU,United Kingdom
【Fターム(参考)】