マルチキャリア信号からのデータ抽出方法及び装置、その方法の使用方法、その方法を用いるグローバルナビゲーション衛星システム受信器、及び機械可読記憶装置
【課題】本発明は、相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも3個のデータ信号が受信され、各々キャリア周波数を有する搬送波を含み、データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1周波数LO1を有する第1局部信号が生成される。データを搬送する第1混合信号を生成する。第1混合信号は、第1集合のデータを搬送する第1の信号を生成するために、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第2周波数LO2を有する第2局部信号が生成される。LO2はLO1と異なる。データを搬送する第2混合信号を生成するために第2局部信号と混合される。2個の混合信号は、第2集合のデータを搬送する第2の信号を生成するためにフィルタリングされる。
【解決手段】少なくとも3個のデータ信号が受信され、各々キャリア周波数を有する搬送波を含み、データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1周波数LO1を有する第1局部信号が生成される。データを搬送する第1混合信号を生成する。第1混合信号は、第1集合のデータを搬送する第1の信号を生成するために、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第2周波数LO2を有する第2局部信号が生成される。LO2はLO1と異なる。データを搬送する第2混合信号を生成するために第2局部信号と混合される。2個の混合信号は、第2集合のデータを搬送する第2の信号を生成するためにフィルタリングされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からのデータ抽出に関するもので、特に各衛星から伝送されるグローバルナビゲーション衛星システム(GLObal Navigation Satellite System:以下、“GLONASS”と称する)ナビゲーション信号からデータを抽出することに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の相互に異なるキャリア周波数を有する信号からデータを抽出することが要求される複数のアプリケーションが存在する。このようなアプリケーションの一つに、各々衛星又は宇宙船(Space Vehicle:SV)から伝送される複数のナビゲーション信号からデータを抽出するGLONASS受信器がある。各ナビゲーション信号は、各データを搬送し、固有の該当キャリア周波数を有する。
【0003】
データの抽出前に、受信信号帯域を占める受信データ信号は、所定の周波数での(又は所定の周波数を中心とする狭い周波数帯域を占める)局部発振(Local Oscillator:LO)信号と混合(mixing)される。この混合により、異なる周波数帯域、すなわち中間周波数(Intermediate Frequency:IF)帯域で複数の受信信号から元のデータすべてを搬送するIF信号が生成される。このIF帯域は、受信信号帯域と同一の帯域幅を有するが、初期無線周波数(Radio Frequency:RF)帯域に比べて、より低い周波数に位置するように設定することができる。周波数混合は、入力無線周波数及び局部発振周波数に関連した複数の周波数成分を生成する。一般に、データ抽出に使用されるIF帯域は、“異なる”周波数に対応するミキサ出力の帯域である。特に、受信データ帯域の特定RF成分RF1は、IF帯域の該当IF成分IF1を有する。ここで、IF1=RF1-LO1であり、LO1は局部発振信号の周波数である。
【0004】
このミキサ出力でIF帯域を占めるIF信号からデータを抽出するために、多様な技術が採択されることができる。
【0005】
その技術の一つは、フィルタリングされた信号が元の受信RF信号に含まれたすべてのデータを搬送するように、十分に広い通過帯域を有する広帯域フィルタを通じてミキサ出力を通過させるものである。この広帯域フィルタリングされた信号は、この信号に含まれたすべてのデータを抽出するために、十分に高速でサンプリングされることができる。この技術の長所は、一つの局部発振周波数のみが生成される必要があるということである。しかしながら、この技術は、高いサンプリングレート(sampling rate)が必要であるという短所がある。一般に、広帯域フィルタリングされた信号からすべてのデータを抽出するためには、サンプリングは、広帯域フィルタリングされた信号の帯域幅の少なくとも2倍の速度で行われる必要がある。これは、所定のアプリケーションにおいては、実現しにくく、あるいは実現が不可能であり得る。例えば、この技術をGLONASSナビゲーション信号からデータを抽出するために使用する場合には、13MHzのサンプリングレートが要求される。
【0006】
データ抽出のための他の技術は、局部発振周波数を受信データ信号の各キャリア周波数のうち一つのための複数の値の間でスイッチングするものである。相対的に狭帯域のフィルタは、任意の時点でフィルタリングされた信号が受信信号のうちいずれか一つのデータのみを伝送するように、ミキサ出力のフィルタリングに使用される。特に、局部発振出力周波数は第1の値に設定され、それによって、狭帯域フィルタ出力は、第1のキャリア周波数で受信信号のデータのみを伝送する。この局部発振信号は、狭帯域フィルタ出力が第2のキャリア周波数を有する受信信号のデータのみを伝送するように、第2の周波数にスイッチングされる。各々の狭帯域フィルタリング信号に対して、以後の各データは、相対的に低速のサンプリングによって抽出されることができる。このような低速は、以前に説明された技術で広帯域フィルタの帯域幅の2倍でなく、狭帯域フィルタの帯域幅の2倍となり得る。この技術は、減少したサンプリングレートが使用できるという長所を有する。しかしながら、この技術の短所は、局部発振出力周波数が複数の異なる値を通じてスイッチングされなければならないということである。スイッチングされる度に、出力周波数が安定化するのに時間がかかるので、データ抽出プロセス全体を遅延させる。そのため、GLONASS受信器のアプリケーションにおいては、位置決定により長い時間を必要とする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−525892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するための、異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法が提供される。上記方法は、少なくとも3個のデータ信号が受信され、各データ信号は、各々のキャリア周波数を有する搬送波を含み、該当データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1の周波数LO1を有する第1の局部信号が生成される。少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成する。第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされる信号を生成するために、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第1のフィルタリングされた信号は、第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。第2の周波数LO2を有する第2の局部信号が生成される。LO2はLO1と異なる。少なくとも3個のデータ信号は、それぞれのデータを搬送する第2の混合信号を生成するために、第2の局部信号と混合される。2個の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、フィルタリング手段でフィルタリングされる。第2の集合は、第1の集合と異なる。第2のフィルタリングされた信号は、第2の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0010】
すなわち、本発明を実現する方法において、フィルタリング手段の帯域幅は、全体受信信号の帯域幅より狭く設定されるが(データ抽出処理を容易にするために、例えば従来技術に比べてより低いサンプリング速度が使用されることができる)、少なくとも2個のデータを搬送することによって、すべての受信データ信号からデータを抽出するために局部信号周波数がスイッチングされるのに、必要な時間を短縮させる。
【0011】
本発明の第1の側面による方法が、第1及び第2の局部信号を生成することを述べているが、これは特定実施形態で相互に異なる周波数の追加局部信号が生成できることを排除しないことがわかることである。例えば、特定の実施形態で、3個の相互に異なる局部信号の周波数が全体受信信号帯域幅をカバーするために使用されることができ、各局部信号周波数の使用は受信データ信号の該当集合からのデータ抽出を引き起こす。但し、これは、例に過ぎず、他の実施形態がより多い数の相互に異なる発振信号周波数を使用することがわかる。しかしながら、特定の実施形態で2個の局部信号周波数が採択され、フィルタリング手段が受信信号帯域幅の少なくとも半分を含むように十分に大きくして実質的に2ステップのデータ抽出ですべての受信信号からのデータが獲得されることがわかる。
【0012】
特定の実施形態で、第1及び第2のフィルタリングされた信号の処理は、第1及び第2のフィルタリングされた信号を各々サンプリングレートR(≧2BWF)でサンプリングすることを含む。
【0013】
これは、実質的に、第1及び第2のフィルタリングされた信号で搬送されるすべてのデータが抽出されることを保証する。明白に、不必要に高い速度でサンプリングしない理由があり、特定の実施形態でサンプリングレートRはR=2BWFの関係、もしくは2BWF〜3BWF又は2BWF〜2.5BWFの範囲を満たすように選択されることができる。
【0014】
特定の実施形態において、BWFは、受信データ信号の帯域幅の半分と同一に設定される(すなわち、受信信号のすべてのデータが搬送される周波数帯域幅の半分)。特定の実施形態で、このような受信信号帯域幅は、実質的にfH-fL、すなわち最高及び最低キャリア周波数の差と同一に取られることができる。
【0015】
特定の実施形態において、BWF≧(fH-fL)/2の関係が成立する。フィルタ帯域幅を公称受信信号帯域幅の半分より多少大きくする利点は、第1及び第2のフィルタリングされた信号に含まれたデータの間にある程度のオーバーラップがあり、フィルタリング手段の通過帯域エッジ(edge)に近く位置した信号からより容易にデータを抽出可能にする。
【0016】
特定の実施形態において、少なくとも3個のデータ信号は、n個の該当キャリア周波数f1〜fnを有するn個のデータ信号を含み、ここでn≧3、fL=f1、fH=fnの関係が成立し、n個のキャリア周波数は同一に離隔されており、隣接したキャリア周波数間の周波数差が定数Dであり、fn=f1+(n-1)Dの関係が成立する。
【0017】
これは、一般的にGLONASS状況に該当することがわかり、ここで、GLONASS受信器は周波数スペクトルで同一に離隔されているそれぞれのキャリア周波数を有する相互に異なる衛星信号からデータを受信及び抽出することが要求される。
【0018】
本発明の第2の側面によれば、相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法が提供される。上記方法は、少なくとも3個のデータ信号が受信され、各データ信号は、各々のキャリア周波数を有する搬送波を含み、該当データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1の周波数LO1を有する第1の局部信号が生成される。少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成する。第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされた信号を生成するために、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(但し、BWF1<(fH-fL))の第1の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第1のフィルタリングされた信号は、第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0019】
第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、第2の中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(但し、BWF2<(fH-fL))の第2の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第2のフィルタリングされた信号は、第2の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0020】
すなわち、中間周波数帯域の相互に異なる部分を共通フィルタリング手段の通過帯域内に位置させるために相互に異なる局部信号周波数が使用される第1の側面と対照的に、本発明の第2の側面では、信号データを搬送する中間周波数帯域の相互に異なる部分を選択的に通過させるために単一局部信号周波数が使用されて相互に異なるフィルタリングが採択される。
【0021】
特定の実施形態において、第1及び第2のフィルタリングされた信号の処理は、第1及び第2のフィルタリングされた信号を増幅し、この増幅された第1及び第2のフィルタリングされた信号をサンプリングすることを含む。すなわち、本発明の請求範囲でフィルタリングされた信号をサンプリングすることを言及するが、これは、サンプリングがフィルタリングされた信号に直接遂行されること、すなわち信号がフィルタリング手段から出力された直後に遂行されることを必ず必要とすると解析されないことがわかる。その代り、上記のような表現は、フィルタリングされた信号がサンプリングの遂行以前に一つ以上の追加処理ステップを経るか否かに関係なく、フィルタリングされた信号に含まれたデータを抽出するために一定の方式でフィルタリングされた信号に直接的又は間接的にサンプリングが遂行されることを意味すると解析されるべきである。
【0022】
本発明の他の側面は、各々該当宇宙船から伝送される複数のグローバルナビゲーション衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)データ信号からデータを抽出するために、本発明の第1又は第2の側面による方法を提供する。
【0023】
また、本発明の他の側面によれば、場所又は位置を決定する方法が提供される。上記方法は、各々該当宇宙船から伝送される複数のGNSSデータ信号からデータを受信及び抽出するために本発明の第1又は第2の側面による方法を使用するステップと、場所又は位置(例えば、信号が受信されるハンドセットのような装置の場所又は位置)を決定するために第1及び第2の集合のデータ信号から抽出されるデータを処理するステップとを具備する。
【0024】
本発明のもう一つの側面によれば、本発明の任意の側面による方法を実現するように構成されるGNSS受信器(例えば、GLONASS受信器)が提供される。
【0025】
さらに、本発明の他の側面によれば、本発明の任意の側面による方法を実現するように構成される指示(すなわち、命令)を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0026】
なお、本発明の他の側面によれば、定義されたコンピュータプログラムを格納するための機械(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な記憶装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、IF出力のサンプリングに要求されるサンプリングレートを低下させる、すなわちベースバンドからの低いサンプリングレートを必要とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】GLONASSシステムにおける信号の周波数スペクトルを概略的に示す図である。
【図2】GLONASS受信器を概略的に示す図である。
【図3】データを抽出するための装置を示す図である。
【図4】データを抽出するための装置を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による、データを抽出するための装置を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態によるデータ抽出技術における受信信号帯域幅と中間周波数帯域幅を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態によるデータ抽出技術における受信信号帯域幅と中間周波数帯域幅を示す図である。
【図7A】本発明の実施形態による、フィルタ通過帯域に関連した受信データ及び中間周波数帯域を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態による、フィルタ通過帯域に関連した受信データ及び中間周波数帯域を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図8B】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図8C】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図9】本発明の実施形態による、フィルタリング手段の通過帯域及び中間周波数帯域の相対的位置を示す図である。
【図10A】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図10B】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図10C】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図11】本発明の実施形態による装置を示す図である。
【図12】本発明の実施形態による他の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
添付した図において、同一の構成要素又は機能的に類似した構成要素に対しては同一の参照符号及び参照番号を付ける。下記の説明において、本発明に関連した公知の機能又は構成に関する具体的な説明をすることにより本発明の要旨が不明確になると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の特定実施形態は、処理される(例えば、単一処理ステップで)IF帯域幅を減少させ、IFデータサンプリングレートを低下させることを目標とする。
【0032】
本発明の実施形態は一般に広帯域受信器に適用され、本発明の特定実施形態はGLONASS受信器に適用される。
【0033】
現在のGLONASS受信器において、約8MHzのIF帯域幅は、受信された衛星信号のすべてのデータを搬送する。これらデータすべてを抽出するための帯域幅のサンプリングには、ナイキスト(Nyquist)のサンプリング定理によって16MHzより大きいサンプリングレートを要求する。このような高いサンプリングレートは、特にモバイルアプリケーション(例えば、モバイルフォン、携帯電話、及び個人用携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)のような携帯通信装置及び携帯GNSS受信器/ハンドセット)のための一部商業的に利用可能なベースバンド(すなわち、ベースバンドプロセッサ)の能力を超えることがあるという問題がある。
【0034】
本発明の実施形態を詳細に説明する以前に、GLONASSスペクトル及びGLONASS受信器に関連した背景をもう少し開示する。しかしながら、GLONASSシステムは、本発明の実施形態が適用される一つのアプリケーションのみを示す。また、本発明の実施形態は、非常に多様なマルチキャリアシステムからのデータ抽出に適用されることができる。
【0035】
GLONASSシステムを参照すると、2MHzの帯域幅を有する単一スプレッドキャリアからなるGPSスペクトルとは異なり、GLONASSスペクトルは多重キャリアで構成され、各衛星には識別のための該当キャリアが割り当てられる。このスペクトルは、図1に示すように設定される。
【0036】
したがって、各衛星又はSVから伝送されるナビゲーション信号は、該当キャリア周波数を有する各搬送波を含み、各データを搬送するために変調されるデータ信号である。図1を参照すると、第1のチャンネルはキャリア周波数fc1を使用し、第2のチャンネルはキャリア周波数fc2を使用する。各チャンネルのキャリア周波数fcnは下記のように与えられる。
【0037】
fcn=1602+n・(0.5625)MHz
(ここで、整数nは商業的利用のために−7〜+6の範囲内にある。)
【0038】
また、このキャリア周波数fcnは下記のようにも得られ、整数nは1〜14の範囲内にある。
【0039】
fcn=1597.5000+n・(0.5625)MHz
【0040】
上記の式において、第1のキャリア周波数は1598.0625MHzであり、最後のキャリア周波数は1605.375MHzとなる。正反対側構成(antipodal configuration)(直径方向の反対側に位置する衛星は同一の周波数チャンネルを共有できる)において、周波数チャンネルに24個の衛星が割り当てられる。すなわち、7.3125MHzのスペクトルは、24個の衛星のコンステレーションをカバーする。受信器が上記コンステレーションの任意の衛星からデータを確認するためには、受信器前端(front end)は、上記の数式によって識別される衛星キャリアに同調(tunning)されなければならない。
【0041】
このようなタイプの信号スペクトルにおいて、受信器のデザインは複雑になる可能性がある。要求される処理能力によっては、ベースバンドのすべてのチャンネル(すなわち、すべての衛星)を同時に監視することが非常に難しい。しかし、これらチャンネルが所定の順序で監視される場合にはより容易になる。
【0042】
典型的なGLONASS受信器は、図2を参照して説明される。
【0043】
典型的なRF受信器前端は、アンテナ、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)、フィルタ、ミキサ(mixer)、及びIFステージを有する。コスト的な理由で、要求されるIFフィルタの数を減少させるために、ただ一つの混合ステージを必要とする直接変換(ゼロIF)タイプの受信器又は低いIF受信器を使用することが最善である。図2は、典型的なGLONASS受信器1000を示す。
【0044】
点線部分100内の受信器1000は、通常単一集積装置として利用可能であるので、外部アンテナ、LNA、RF弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)及び温度補償型水晶発振器(Temperature-Compensated Crystal Oscillator:TCXO)が受信器全体の前端に追加される。
【0045】
典型的なGLONASS受信器1000(又は、典型的な受信器構成として言及される)は、宇宙船(SV)から複数のデータ信号を受信するためのアンテナ1を含む。外部LNA2は、受信信号を増幅するように構成され、前端又は外部フィルタ3(RF SAWフィルタなど)は増幅された受信信号のフィルタリングに使用される。フィルタリング及び増幅された信号は、以後、受信信号をさらに増幅してミキサ6(又は周波数ミキサ)に提供する内部LNA4に搬送される。周波数合成器5は、局部発振信号LO56を生成し、この信号を追加入力としてミキサ6に提供するように構成される。局部発振信号LO56は、単一周波数のみを含み、あるいは特定の局部発振周波数を中心とする非常に狭い帯域幅を有することができる。すなわち、ミキサ6は、局部発振信号LO56を、受信された(増幅及びフィルタリングされた)データ信号46と混合してミキサ出力信号67(又は中間周波数信号)を生成する。この信号は、元の受信データ信号からのすべてのデータを搬送するが、この受信信号帯域よりは中間周波数帯域に属する。実際に、ミキサ6は、受信データを搬送する周波数帯域をシフトさせる。ミキサ出力信号67は、フィルタ7(又はIFフィルタとして説明される)を通過する。このフィルタ7は、受信データを搬送しない周波数をフィルタリングして除去するように設定された通過帯域を有する。その後、フィルタリングされた信号78は、IF増幅器8によって増幅され、増幅された信号89はA/D変換器(Analogue-to-Digital convertor)形態のサンプリング手段9に提供される。このA/D変換器9は、周波数合成器5から基準クロック信号59を受信する。A/D変換器9は、適切な速度で増幅された信号89をサンプリングしてデータを抽出して、制御手段又は制御部として言及されるベースバンドプロセッサ10に提供する。また、A/D変換器9は、クロック信号及び同期信号をプロセッサ10に提供する。このプロセッサ10は、3ワイヤバス105によって制御信号を周波数合成器5に提供する。水晶発振器51は、安定した基準周波数を周波数合成器5に提供し、周波数合成器は、接続105を通じてプロセッサ10からの制御信号によって決定される周波数で、局部発振信号56を生成できる。
【0046】
図2は典型的なGLONASS受信器構造を示しているが、この装置は、例えばプロセッサ10に適したプログラミングによって、本発明を実現するように、そして本発明を実現するデータ抽出方法を実施するように構成されている。
【0047】
GLONASSシステムは、FDMA(Frequency Division Multiple Access)装置であり、各衛星には識別のための周波数チャンネルが割り当てられる。これに対して、GPSシステムは、CDMA(Code Division Multiple Access)システムであり、すべての衛星は同一の周波数(L1,1575.42MHz)で伝送し、各衛星には識別のためのコードが割り当てられる。GPSのために、局部発振器は、固定された周波数を有し、局部発振周波数は要求される中間周波数(すなわち、固定されたLO及び固定されたIF)に依存する。
【0048】
GLONASSにおいて、衛星からデータを受信するために、受信器は、衛星に同調しなければならない。各衛星が固有の割り当てられた周波数を有するため、受信器は、広範囲のキャリア周波数を有する信号からデータを抽出する必要がある。衛星との同調は、下記の2つの方法で行うことができる。
【0049】
a)広帯域IF周波数を必要とする固定されたLO周波数
b)狭帯域IFを必要とする可変LO周波数(1チャンネルずつサンプリング)
【0050】
図3は、固定されたLO/広帯域IFの概念を示す。
【0051】
図3のミキサ6に提供される複数のデータ信号46は、RF帯域RF1のデータd1を搬送する第1のデータ信号、RF帯域RF2のデータd2を搬送する第2のデータ信号などを含む。フィルタ7は、入力RF信号RF1、RF2に対応する中間周波数信号すべてを通過させる程度の十分に大きな帯域幅を有するように設定される。例えば、中間周波数信号IF1は、受信信号RF1などに対応する。すなわち、フィルタ7からの出力(フィルタリングされた信号)78は、受信信号のすべてのデータ(すなわち、d1,d2,…,dm)を搬送し、フィルタリングされた信号78のこのようなデータは受信信号の全体帯域幅と実質的に同一の幅を有するIF帯域に搬送される。フィルタリングされた信号78からデータd1,d2などを抽出するために必要なA/D変換器9は、IF帯域幅の少なくとも2倍速度でサンプリングすることが必要である。
【0052】
この第1の“広帯域”接近法は、局部発振器が周波数ホップをする必要がないという利点を有する。そのため、局部発振器/PLL(Phase Locked Loop)のセッティング時間での遅延がない。この接近法は、すべての認識可能な衛星からの信号を同時に使用可能であるという長所もある。しかしながら、この接近法は、すべての認識可能な衛星をカバーするために高いサンプリングレートを必要とするという短所がある。
【0053】
この第1の接近法を図るためには、IFフィルタ帯域幅(BW)は、6.1875MHzより大きくなければならない。ナイキストによるベースバンドから要求されるサンプリングレートは、IF帯域幅(通常、13MHz)の少なくとも2倍である。これは、一部のベースバンドに対する制限となり得る。
【0054】
図4は、データを抽出するための他の接近法を示す。局部発振器は、特定時間で処理される衛星周波数チャンネルにマッチングするために周波数ホッピングをする。このような方法で、1.1MHzの固定された狭帯域IFが使用され、2.2MHz(通常、2.5MHz)より大きいサンプリングレートが要求される。
【0055】
帯域RF1を占める第1のデータ信号からデータd1を抽出するために、周波数合成器又は局部発振器は、第1の局部発振信号LO1を生成するように設定される。LO1は、データ信号と混合され、狭帯域フィルタ7は、データd1を含む中間周波数スペクトルの該当部分だけを通過させる。データd2を抽出するために、局部発振器出力は、信号LO2を提供するようにスイッチングされる。一般に、任意の時点で狭帯域フィルタ7によって通過される中間周波数スペクトルの一部は、周波数LOnの局部発振信号を生成することによって決定される入力信号のうち、n番目の信号に対応するデータdnを含む。
【0056】
この方法は、監視される衛星の周波数とのマッチングのために局部発振器が連続的に周波数を変更することを必要とする短所を有する。これは、LO周波数が変更される度に遅延を発生させる。また、LO周波数が非常に正確でない間は、PLLロック(lock)時間及びセッティング時間でも遅延が生じ得る。期待されるLO周波数の範囲は、6.1875MHzである。
【0057】
この方法は、IF周波数が狭くてより低いサンプリングレート(通常、2.5MHz)が要求されるので、ベースバンドプロセッサでより少ない負荷となる。この技術を使用することで、一度に一つの衛星チャンネルのみがサンプリングされる。
【0058】
本発明の実施形態において、サンプリングレートはIF帯域幅の2倍より大きくなければならないので、サンプリングレートを減少させるために必要なIF帯域幅を減少させることが有用である。IF帯域幅の条件は、本発明の特定実施形態で減少されることができる。したがって、この減少は、IFフィルタ帯域幅BWFを減少させ(言わば、半分に)、以後LO周波数を変更することによって2回のキャリアスキャンを遂行することによってなされる。
【0059】
図5は、本発明の実施形態により、データ抽出方法を遂行するように適用される受信装置を示す。この構成において、周波数合成器又は局部発振器は、2個の値、LO1とLO2との間で局部発振信号周波数をスイッチング(又は選択)するように設定される。ミキサ6は、それぞれのRF帯域RF1,RF2などを有する複数のデータ信号を受信し、これら各々は該当量のデータd1,d2などを伝送する。第1の局部発振周波数LO1は、データd1及びd2を搬送する信号67で中間周波数帯域の部分がIFフィルタ7の通過帯域を通過するように設定される。しかしながら、このフィルタ7の通過帯域は、受信信号の残りの部分を搬送するIF成分が通過しないように十分に狭い。すなわち、局部発振周波数がLO1である場合に、フィルタ7からのフィルタリングされた信号78は、データd1及びd2のみを含む。フィルタリングされた信号78は、適したサンプリング手段(例えば、A/D変換器)に搬送される前に増幅器8によって増幅される。以後、適切なサンプリングレートが、データd1及びd2を抽出するために選択されることができる。局部発振周波数は、LO2にスイッチングされ、データdm及びd(m-1)を搬送する中間周波数成分がフィルタ7の通過帯域を通るように構成される。その後、フィルタ出力78は、相互に異なる複数の受信信号からこのようなデータを抽出するためにサンプリングされる。本発明の実施形態において、2個の局部発振周波数間のスイッチング(すなわち、これらのうちの一つを選択)によって受信された信号のデータすべてが抽出できるように、mは4となり得る。本発明の他の実施形態において、mが4より大きい場合、例えば、一度に2個の受信信号のデータのみをサンプリングすることによってデータすべてを抽出するためには、より多い数の局部発振周波数が使用されうる。代わりに、あるいは追加的に、出力78が一度に2より多い受信信号又はチャンネルを伝送するために、より広い通過帯域のフィルタ7が使用されうる。
【0060】
図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、及び図9は、受信無線周波数帯域、中間周波数帯域、及び中間周波数フィルタ帯域間の関係をより詳細に示す。
【0061】
図6Aは受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示し、図6Bは中間周波数信号の周波数スペクトルを示す。
【0062】
図6Aは、本発明の特定実施形態の受信信号帯域を示す。信号帯域は、中心キャリア周波数fCを中心とし、BWCと同一のキャリア又は受信信号帯域を有する。一般に、受信信号帯域の下端は、データ信号によって使用される最低キャリア周波数である周波数fLに対応し、帯域の上端は、一般に受信されたデータ信号によって使用される最高キャリア周波数である周波数fHに対応する。図6Bを参照すると、局部発振信号又は周波数LOが生成され、中間周波数IF(ここで、IF=fC-LO)を中心として帯域幅BW1(BWCと同一)を有する、受信データ信号すべてを搬送する中間周波数帯域が生成される。
【0063】
したがって、図6A及び図6Bは、普通の広帯域IFのケースを示す。図7A及び図7Bは、減少したIFケース(半分のIF帯域幅)を示す。減少したIFにおいて、IF帯域幅は3.09375MHzであり、対応するサンプリングは6.1875MHzより高い(通常、7MHz)。IFサンプリングスキャンは、2つの方法で遂行される。GLONASSスペクトルの所望する部分がIFフィルタ応答の中心に位置するように局部発振器の周波数を変更したり、その中心が所望のGLONASS信号スペクトルの中心に位置するようにIFフィルタの中心周波数を変更したりする。この場合の信号スペクトルはIFドメイン内にある。
【0064】
図7Aは、受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示す。図7Bは、中間周波数信号の周波数スペクトルを示す。
【0065】
図7A及び図7Bから、IF信号の帯域幅の半分と同一の帯域幅BWFのIFフィルタに対して、IF信号スペクトルの中心がIFフィルタの中心周波数CF1に位置するようにLOを選択することによって、IF信号スペクトルの一部が損失されることがわかる。このような場合に、IF信号スペクトルの1/4がフィルタ応答特性(又はスペクトル)の両側で各々損失される。図7Bを参照すると、全体IF信号スペクトルの1/4に該当する各部分は、IFフィルタ応答の外側に配置され、斜線(hatched)領域で表示されている。これは、第1のスキャンでIF信号スペクトルの下側半分がIFフィルタ応答の内側に位置するようにLO周波数を変更し、その後にIFスペクトルの上側半分がIFフィルタ応答の内側に位置するようにLOを変更することによって解決できる。
【0066】
図8A乃至図8Cは、本発明の実施形態により、上記のような調整がどのように遂行されるかを示す。PBは、周波数CF1を中心とするフィルタ7の通過帯域(又は応答特性)を示す。図8Aは、受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示す。図8B及び図8Cは、中間周波数信号及びフィルタ応答の周波数スペクトルを示す。
【0067】
図8Bに示すように、この調整は、ダウン変換される場合に、信号スペクトルの下側半分の中心周波数SF1がIFフィルタの中心周波数CF1に現れるようにLO周波数が計算される条件のみで保証可能である。図8Bを参照すれば、信号スペクトルの下側半分はIFフィルタの応答と重なり(superpose)、信号スペクトルの上側半分は点線で表示されている。また、図8Cに示すように、スペクトルの上側半分の中心周波数SF2がIFフィルタの中心周波数CF1に現れるようにLOが計算される。図8Bにおいて、信号スペクトルの上側半分はIFフィルタの応答と重なり(superpose)、信号スペクトルの下側半分は点線で表示される。図8A乃至図8Cに示すように、2個の中心周波数はSF1及びSF2で表記される。
【0068】
下方のLO注入ミキサに対して、IFは下記に示すように計算できる。
【0069】
CF1=IF=RF-LO
CF1=IF=SF1-LO1
CF1=IF=SF2-LO2
SF1=fC-1/4 sig BW (下側半分)
SF2=fC+1/4 sig BW (上側半分)
CF1=IF=(fC-1/4 sig BW)-LO1 (スペクトルの下側半分)
CF1=IF=(fC+1/4 sig BW)-LO2 (スペクトルの上側半分)
【0070】
該当LO周波数は、下記のように得られる。
【0071】
LO1=(fC-1/4 sig BW)-IF
LO2=(fC+1/4 sig BW)-IF
【0072】
LOの細かい位置決定によって、信号スペクトルの全体が、LOをLO1とLO2との間で交替することによってカバーできる。GLONASSスペクトルの中心に位置したチャンネルは、IFフィルタのエッジ効果(edge effect)によって破損される危険がある。これは、フィルタ応答が、第1チャンネルから最後のチャンネルの範囲を超えるように、IFフィルタを1チャンネルだけ延長させることによって解決しうる。これは、図9に示すように、中間チャンネルが両側スキャンによってスキャンされる結果であり、ここでDは、隣接したチャンネル間、すなわち受信データ信号の隣接したキャリア周波数間の周波数差を表す。図9は、本発明の実施形態における、中間周波数信号及びフィルタ応答の周波数スペクトルを示す。図9では、信号スペクトルの下側半分及び一つの追加チャンネルに該当する部分がIFフィルタ応答特性と重なり、信号スペクトルの上側半分と一つの追加チャンネルが点線で表示されている。
【0073】
固定されたIFフィルタ構成と局部発振周波数スイッチングの使用代案として、本発明の特定実施形態では、IF周波数帯域の相互に異なる部分からデータを選択的に処理及び抽出するために、局部発振周波数を一定に(すなわち、定数に)維持し、ミキサ出力のフィルタリングを変更するという技術を採択する。各部分は、少なくとも2個の受信データ信号のデータを含む。このような本発明の一実施形態において、半分のIF帯域幅フィルタが使用され、LO周波数は固定され、IFフィルタの中心周波数はGLONASS IFスペクトルをカバーするようにスイッチングされる。図10Aは受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを、図10Bは中間周波数信号の周波数スペクトルを、図10Cは上記フィルタ応答及び中間周波数信号の周波数スペクトルを、それぞれ示す。図10A乃至図10Cからわかるように、信号帯域幅の全体をカバーするために、第1のスキャンでは、SF1がIFフィルタの第1の中心周波数CF1に位置し、第2のスキャンでは、SF2がIFフィルタの第2の中心周波数CF2に位置するように、IFスペクトルは、位置されなければならない。このような場合に、IF周波数スペクトルを移動させる代わりに、IFフィルタリング手段の中心周波数が、全体GLONASSスペクトルに対する基準を満足させるようにスイッチングされる。図10A乃至図10Cにおいて、PB1は周波数CF1を中心とするフィルタの通過帯域(又は第1のフィルタ応答)を表し、PB2は周波数CF2を中心とするフィルタの通過帯域(又は第2のフィルタ応答)を表す。また、PB1は実線で、PB2は点線で、各々表示され、中間周波数信号の周波数スペクトルは、第1及び第2のフィルタ応答の組み合わせと重なっている。
【0074】
このIFフィルタリング手段に対して要求される2つのIF中心周波数は、下記の式から得られる。
【0075】
CF1=IF1=IFc-1/4 sig BW(IFスペクトルの下側半分)
CF2=IF2=IFc+1/4 sig BW(IFスペクトルの上側半分)
IFC=fC-LO
CF1=IF1=(fC-LO)-1/4 sig BW
CF2=IF2=(fC-LO)+1/4 sig BW
【0076】
スイッチングされるLOを用いる本発明の実施形態において、IFフィルタのエッジ効果を避けるために、IF帯域幅BWFを1チャンネルだけ延長させてもよく、これは中間チャンネルが2回スキャンされる結果をもたらす。n回に分割されるIF信号に対して、IFスペクトルのn回のスキャンがこのIFスペクトルをカバーするために必要である。一般のIFフィルタ帯域幅は、1,2,3,又は4MHzである。
【0077】
図11を参照すると、本発明の他の実施形態による装置を示す。ミキサ6は、複数の受信データ信号を含む信号46を受信するように構成される。これら各々は、該当キャリア周波数f1〜f4に中心をおいたそれぞれのRF帯域幅の該当量のデータd1,d2,d3,d4を伝送する。局部発振器5は、周波数LO1を中心とする狭い周波数帯域を有する局部発振信号56を生成するように構成される。ミキサ6は、受信データ信号46と局部発振信号56を混合して、該当量のデータを搬送し、かつ各々該当中間周波数IFa,IFbなどを中心とする中間周波数信号を含む出力信号67を生成する。中間周波数範囲のすべてのデータを搬送するミキサ出力信号67は、制御可能なスイッチ(又はルーティングスイッチ)73に供給される。このスイッチ73は、中間周波数信号を第1のフィルタ71又は第2のフィルタ72に誘導(又はスイッチング)されるように制御手段74からの信号によって制御される。本発明の実施形態において、このようなフィルタは、同一の帯域幅を有するが、これらの通過帯域は、周波数スペクトルの異なる部分に位置している。すなわち、スイッチ73が中間周波数信号731をフィルタ71に誘導する場合に、フィルタ71は、最初の2個の受信データ信号からのデータd1,d2を搬送する中間周波数信号のみを通過させる(すなわち、他の2個の中間周波数信号を遮断する)。その後、フィルタ信号718は、増幅器8によって増幅され、データd1,d2を抽出するためにA/D変換器9によってサンプリングされる。本発明の特定実施形態において、このデータは、抽出されたデータから受信装置の場所又は位置を計算するように構成されたプロセッサに提供される。第2のモードで、制御部74は、スイッチ73が中間周波数信号732を第2のフィルタ72に誘導するように制御し、第2のフィルタ72は、データd3、d4を搬送する中間周波数成分のみを通過させるように設定された通過帯域を有する。また、ミキサ出力がフィルタ72を通じてルーティングされる場合に、第2のフィルタ72からの出力728は増幅されてデータd3,d4を抽出するA/D変換器に提供される。
【0078】
図12を参照すると、図11と類似した装置を示しているが、2個の分離されたフィルタ71,72及びルーティングスイッチ73の代わりに、制御手段74によって制御される制御可能なフィルタ70を採択した装置を示す。制御可能なフィルタ70は、そのフィルタリング特性を制御手段74によって変更するように制御可能である。このような本発明の実施形態において、この調整は、周波数空間で通過帯域の位置を移動させることが可能な形態を取る。本発明の他の実施形態では、通過帯域の幅は上記と同様に制御され得る。ミキサ6には、更に複数の受信信号を含む入力信号46が提供される。各々の信号は、該当データd1,d2,d3を伝送し、該当キャリア周波数f1,f2,f3を中心とする。周波数合成器5は、単一局部発振周波数LO1を生成してミキサ6に提供するように設定される。ミキサ出力67は、中間周波数帯域のデータd1,d2,d3すべてを搬送する中間周波数信号である。制御手段74は、フィルタ70が、第1のモード又は実質的にデータd1、d2を伝送する中間周波数帯域の部分のみを通過させる状態となるように適合されている。その後、データd1,d2は、増幅器8及びサンプラー9によって抽出される。制御部74は、制御可能なフィルタ70が第2のモード又はデータd2,d3を搬送する中間周波数成分のみを通過させる状態で作動するようにスイッチングされる。以後、このデータは、適合した処理手段(すなわち、増幅器8及びサンプラー9)によって抽出される。
【0079】
図11に示した本発明の実施形態においては、すべての受信データは、フィルタリング特性の単一スイッチングに関連した技術によって抽出される。各フィルタは、受信データの半分を通過させることができ、ただ一つの局部発振周波数だけが生成される必要があった。同様に、図12では、すべてのデータは、制御可能なフィルタ特性の一回の変更によって抽出される。第1及び第2のモードでの特性は、その通過帯域が重なり、データd2が2つのモードで各々抽出可能なように構成される。
【0080】
したがって、本発明を実施する方法においては、前述した例は多少単純化されており、特に使用されたキャリア周波数の数において単純化されている。実際には、キャリア周波数の数はさらに多く、フィルタの帯域幅もより大きい可能性がある。
【0081】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせの形態で実現されることができる。このような任意のソフトウェアは、例えば、削除又は再起録が可能であるか否かに関係なく、ROMなどの記憶装置のような揮発性又は非揮発性記憶装置、又は例えば、RAM、メモリチップ、装置又は集積回路のようなメモリ、又は例えばCD、DVD、磁気ディスク又は磁気テープなどの光学的又は磁気的に読み取り可能な媒体に格納されることができる。記憶装置及び記憶媒体は、本発明の実施形態を実現する指示を含むプログラム又はプログラムを格納するのに適合した機械可読の記憶装置の実施形態である。したがって、本発明の実施形態は、本願に説明したようなシステム又は方法を実現するためのコードを含むプログラム及びこのようなプログラムを格納する機械可読記憶装置を提供する。また、このようなプログラムは、有線又は無線接続を通じて搬送される通信信号のような任意の媒体を通じて電子的に移送され、実施形態はこれと均等なことを適切に含む。
【0082】
本願の説明及び請求項において、“含む”、“具備する”、“有する”などの単語とこれら単語の変形は“含まれるが、これに限定されない”との意味を有し、他の部分、追加、成分、併合又はステップを排除しない。
【0083】
本願において、単数は文脈上これと異なることを要求しない限り、複数を含むことである。特に、定められない対象が使用される場合に、文脈上異なることを必要としない限り、単数と同様に複数も考慮することと理解されなければならない。
【0084】
本発明の特定側面、実施形態、又は例と共に説明される特徴、併合、特性、複合又はグループは、それに不適合しない限り、ここに説明された他の側面、実施形態又は例に適用できることがわかる。
【0085】
本願の説明及び請求項において、一般的に“Yのための(に対する)X”(Yは任意のアクション、動作又はステップであり、Xはこのアクション、動作又はステップを遂行するための任意の手段)の表現は、これに限定されず、Yを遂行するように設定又は適用される手段Xを含む。
【0086】
以上、本発明を具体的な実施形態に関して図示及び説明したが、添付した特許請求の範囲により規定されるような本発明の精神及び範囲を外れることなく、形式や細部の様々な変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかである。
【符号の説明】
【0087】
fL 最低キャリア周波数
fH 最高キャリア周波数
fcn キャリア周波数
幅BWF 帯域
LO 局部発振信号
IF帯域 中間周波数帯域
RF帯域 無線周波数帯域
【技術分野】
【0001】
本発明は相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からのデータ抽出に関するもので、特に各衛星から伝送されるグローバルナビゲーション衛星システム(GLObal Navigation Satellite System:以下、“GLONASS”と称する)ナビゲーション信号からデータを抽出することに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の相互に異なるキャリア周波数を有する信号からデータを抽出することが要求される複数のアプリケーションが存在する。このようなアプリケーションの一つに、各々衛星又は宇宙船(Space Vehicle:SV)から伝送される複数のナビゲーション信号からデータを抽出するGLONASS受信器がある。各ナビゲーション信号は、各データを搬送し、固有の該当キャリア周波数を有する。
【0003】
データの抽出前に、受信信号帯域を占める受信データ信号は、所定の周波数での(又は所定の周波数を中心とする狭い周波数帯域を占める)局部発振(Local Oscillator:LO)信号と混合(mixing)される。この混合により、異なる周波数帯域、すなわち中間周波数(Intermediate Frequency:IF)帯域で複数の受信信号から元のデータすべてを搬送するIF信号が生成される。このIF帯域は、受信信号帯域と同一の帯域幅を有するが、初期無線周波数(Radio Frequency:RF)帯域に比べて、より低い周波数に位置するように設定することができる。周波数混合は、入力無線周波数及び局部発振周波数に関連した複数の周波数成分を生成する。一般に、データ抽出に使用されるIF帯域は、“異なる”周波数に対応するミキサ出力の帯域である。特に、受信データ帯域の特定RF成分RF1は、IF帯域の該当IF成分IF1を有する。ここで、IF1=RF1-LO1であり、LO1は局部発振信号の周波数である。
【0004】
このミキサ出力でIF帯域を占めるIF信号からデータを抽出するために、多様な技術が採択されることができる。
【0005】
その技術の一つは、フィルタリングされた信号が元の受信RF信号に含まれたすべてのデータを搬送するように、十分に広い通過帯域を有する広帯域フィルタを通じてミキサ出力を通過させるものである。この広帯域フィルタリングされた信号は、この信号に含まれたすべてのデータを抽出するために、十分に高速でサンプリングされることができる。この技術の長所は、一つの局部発振周波数のみが生成される必要があるということである。しかしながら、この技術は、高いサンプリングレート(sampling rate)が必要であるという短所がある。一般に、広帯域フィルタリングされた信号からすべてのデータを抽出するためには、サンプリングは、広帯域フィルタリングされた信号の帯域幅の少なくとも2倍の速度で行われる必要がある。これは、所定のアプリケーションにおいては、実現しにくく、あるいは実現が不可能であり得る。例えば、この技術をGLONASSナビゲーション信号からデータを抽出するために使用する場合には、13MHzのサンプリングレートが要求される。
【0006】
データ抽出のための他の技術は、局部発振周波数を受信データ信号の各キャリア周波数のうち一つのための複数の値の間でスイッチングするものである。相対的に狭帯域のフィルタは、任意の時点でフィルタリングされた信号が受信信号のうちいずれか一つのデータのみを伝送するように、ミキサ出力のフィルタリングに使用される。特に、局部発振出力周波数は第1の値に設定され、それによって、狭帯域フィルタ出力は、第1のキャリア周波数で受信信号のデータのみを伝送する。この局部発振信号は、狭帯域フィルタ出力が第2のキャリア周波数を有する受信信号のデータのみを伝送するように、第2の周波数にスイッチングされる。各々の狭帯域フィルタリング信号に対して、以後の各データは、相対的に低速のサンプリングによって抽出されることができる。このような低速は、以前に説明された技術で広帯域フィルタの帯域幅の2倍でなく、狭帯域フィルタの帯域幅の2倍となり得る。この技術は、減少したサンプリングレートが使用できるという長所を有する。しかしながら、この技術の短所は、局部発振出力周波数が複数の異なる値を通じてスイッチングされなければならないということである。スイッチングされる度に、出力周波数が安定化するのに時間がかかるので、データ抽出プロセス全体を遅延させる。そのため、GLONASS受信器のアプリケーションにおいては、位置決定により長い時間を必要とする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−525892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決するための、異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法が提供される。上記方法は、少なくとも3個のデータ信号が受信され、各データ信号は、各々のキャリア周波数を有する搬送波を含み、該当データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1の周波数LO1を有する第1の局部信号が生成される。少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成する。第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされる信号を生成するために、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第1のフィルタリングされた信号は、第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。第2の周波数LO2を有する第2の局部信号が生成される。LO2はLO1と異なる。少なくとも3個のデータ信号は、それぞれのデータを搬送する第2の混合信号を生成するために、第2の局部信号と混合される。2個の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、フィルタリング手段でフィルタリングされる。第2の集合は、第1の集合と異なる。第2のフィルタリングされた信号は、第2の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0010】
すなわち、本発明を実現する方法において、フィルタリング手段の帯域幅は、全体受信信号の帯域幅より狭く設定されるが(データ抽出処理を容易にするために、例えば従来技術に比べてより低いサンプリング速度が使用されることができる)、少なくとも2個のデータを搬送することによって、すべての受信データ信号からデータを抽出するために局部信号周波数がスイッチングされるのに、必要な時間を短縮させる。
【0011】
本発明の第1の側面による方法が、第1及び第2の局部信号を生成することを述べているが、これは特定実施形態で相互に異なる周波数の追加局部信号が生成できることを排除しないことがわかることである。例えば、特定の実施形態で、3個の相互に異なる局部信号の周波数が全体受信信号帯域幅をカバーするために使用されることができ、各局部信号周波数の使用は受信データ信号の該当集合からのデータ抽出を引き起こす。但し、これは、例に過ぎず、他の実施形態がより多い数の相互に異なる発振信号周波数を使用することがわかる。しかしながら、特定の実施形態で2個の局部信号周波数が採択され、フィルタリング手段が受信信号帯域幅の少なくとも半分を含むように十分に大きくして実質的に2ステップのデータ抽出ですべての受信信号からのデータが獲得されることがわかる。
【0012】
特定の実施形態で、第1及び第2のフィルタリングされた信号の処理は、第1及び第2のフィルタリングされた信号を各々サンプリングレートR(≧2BWF)でサンプリングすることを含む。
【0013】
これは、実質的に、第1及び第2のフィルタリングされた信号で搬送されるすべてのデータが抽出されることを保証する。明白に、不必要に高い速度でサンプリングしない理由があり、特定の実施形態でサンプリングレートRはR=2BWFの関係、もしくは2BWF〜3BWF又は2BWF〜2.5BWFの範囲を満たすように選択されることができる。
【0014】
特定の実施形態において、BWFは、受信データ信号の帯域幅の半分と同一に設定される(すなわち、受信信号のすべてのデータが搬送される周波数帯域幅の半分)。特定の実施形態で、このような受信信号帯域幅は、実質的にfH-fL、すなわち最高及び最低キャリア周波数の差と同一に取られることができる。
【0015】
特定の実施形態において、BWF≧(fH-fL)/2の関係が成立する。フィルタ帯域幅を公称受信信号帯域幅の半分より多少大きくする利点は、第1及び第2のフィルタリングされた信号に含まれたデータの間にある程度のオーバーラップがあり、フィルタリング手段の通過帯域エッジ(edge)に近く位置した信号からより容易にデータを抽出可能にする。
【0016】
特定の実施形態において、少なくとも3個のデータ信号は、n個の該当キャリア周波数f1〜fnを有するn個のデータ信号を含み、ここでn≧3、fL=f1、fH=fnの関係が成立し、n個のキャリア周波数は同一に離隔されており、隣接したキャリア周波数間の周波数差が定数Dであり、fn=f1+(n-1)Dの関係が成立する。
【0017】
これは、一般的にGLONASS状況に該当することがわかり、ここで、GLONASS受信器は周波数スペクトルで同一に離隔されているそれぞれのキャリア周波数を有する相互に異なる衛星信号からデータを受信及び抽出することが要求される。
【0018】
本発明の第2の側面によれば、相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法が提供される。上記方法は、少なくとも3個のデータ信号が受信され、各データ信号は、各々のキャリア周波数を有する搬送波を含み、該当データを搬送するように変調される。最低キャリア周波数はfLであり、最高キャリア周波数はfHである。第1の周波数LO1を有する第1の局部信号が生成される。少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成する。第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされた信号を生成するために、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(但し、BWF1<(fH-fL))の第1の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第1のフィルタリングされた信号は、第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0019】
第1の混合信号は、少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、第2の中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(但し、BWF2<(fH-fL))の第2の通過帯域を有するフィルタリング手段でフィルタリングされる。第2のフィルタリングされた信号は、第2の集合のデータ信号のデータを抽出するために処理される。
【0020】
すなわち、中間周波数帯域の相互に異なる部分を共通フィルタリング手段の通過帯域内に位置させるために相互に異なる局部信号周波数が使用される第1の側面と対照的に、本発明の第2の側面では、信号データを搬送する中間周波数帯域の相互に異なる部分を選択的に通過させるために単一局部信号周波数が使用されて相互に異なるフィルタリングが採択される。
【0021】
特定の実施形態において、第1及び第2のフィルタリングされた信号の処理は、第1及び第2のフィルタリングされた信号を増幅し、この増幅された第1及び第2のフィルタリングされた信号をサンプリングすることを含む。すなわち、本発明の請求範囲でフィルタリングされた信号をサンプリングすることを言及するが、これは、サンプリングがフィルタリングされた信号に直接遂行されること、すなわち信号がフィルタリング手段から出力された直後に遂行されることを必ず必要とすると解析されないことがわかる。その代り、上記のような表現は、フィルタリングされた信号がサンプリングの遂行以前に一つ以上の追加処理ステップを経るか否かに関係なく、フィルタリングされた信号に含まれたデータを抽出するために一定の方式でフィルタリングされた信号に直接的又は間接的にサンプリングが遂行されることを意味すると解析されるべきである。
【0022】
本発明の他の側面は、各々該当宇宙船から伝送される複数のグローバルナビゲーション衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)データ信号からデータを抽出するために、本発明の第1又は第2の側面による方法を提供する。
【0023】
また、本発明の他の側面によれば、場所又は位置を決定する方法が提供される。上記方法は、各々該当宇宙船から伝送される複数のGNSSデータ信号からデータを受信及び抽出するために本発明の第1又は第2の側面による方法を使用するステップと、場所又は位置(例えば、信号が受信されるハンドセットのような装置の場所又は位置)を決定するために第1及び第2の集合のデータ信号から抽出されるデータを処理するステップとを具備する。
【0024】
本発明のもう一つの側面によれば、本発明の任意の側面による方法を実現するように構成されるGNSS受信器(例えば、GLONASS受信器)が提供される。
【0025】
さらに、本発明の他の側面によれば、本発明の任意の側面による方法を実現するように構成される指示(すなわち、命令)を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0026】
なお、本発明の他の側面によれば、定義されたコンピュータプログラムを格納するための機械(例えば、コンピュータ)で読み取り可能な記憶装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、IF出力のサンプリングに要求されるサンプリングレートを低下させる、すなわちベースバンドからの低いサンプリングレートを必要とする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】GLONASSシステムにおける信号の周波数スペクトルを概略的に示す図である。
【図2】GLONASS受信器を概略的に示す図である。
【図3】データを抽出するための装置を示す図である。
【図4】データを抽出するための装置を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による、データを抽出するための装置を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態によるデータ抽出技術における受信信号帯域幅と中間周波数帯域幅を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態によるデータ抽出技術における受信信号帯域幅と中間周波数帯域幅を示す図である。
【図7A】本発明の実施形態による、フィルタ通過帯域に関連した受信データ及び中間周波数帯域を示す図である。
【図7B】本発明の実施形態による、フィルタ通過帯域に関連した受信データ及び中間周波数帯域を示す図である。
【図8A】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図8B】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図8C】本発明の実施形態による、受信信号帯域、フィルタ通過帯域、及び中間周波数帯域の位置を示す図である。
【図9】本発明の実施形態による、フィルタリング手段の通過帯域及び中間周波数帯域の相対的位置を示す図である。
【図10A】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図10B】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図10C】本発明の実施形態による、受信信号帯域、該当中間周波数帯域、及び2個の異なる通過帯域を示す図である。
【図11】本発明の実施形態による装置を示す図である。
【図12】本発明の実施形態による他の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
添付した図において、同一の構成要素又は機能的に類似した構成要素に対しては同一の参照符号及び参照番号を付ける。下記の説明において、本発明に関連した公知の機能又は構成に関する具体的な説明をすることにより本発明の要旨が不明確になると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0031】
本発明の特定実施形態は、処理される(例えば、単一処理ステップで)IF帯域幅を減少させ、IFデータサンプリングレートを低下させることを目標とする。
【0032】
本発明の実施形態は一般に広帯域受信器に適用され、本発明の特定実施形態はGLONASS受信器に適用される。
【0033】
現在のGLONASS受信器において、約8MHzのIF帯域幅は、受信された衛星信号のすべてのデータを搬送する。これらデータすべてを抽出するための帯域幅のサンプリングには、ナイキスト(Nyquist)のサンプリング定理によって16MHzより大きいサンプリングレートを要求する。このような高いサンプリングレートは、特にモバイルアプリケーション(例えば、モバイルフォン、携帯電話、及び個人用携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)のような携帯通信装置及び携帯GNSS受信器/ハンドセット)のための一部商業的に利用可能なベースバンド(すなわち、ベースバンドプロセッサ)の能力を超えることがあるという問題がある。
【0034】
本発明の実施形態を詳細に説明する以前に、GLONASSスペクトル及びGLONASS受信器に関連した背景をもう少し開示する。しかしながら、GLONASSシステムは、本発明の実施形態が適用される一つのアプリケーションのみを示す。また、本発明の実施形態は、非常に多様なマルチキャリアシステムからのデータ抽出に適用されることができる。
【0035】
GLONASSシステムを参照すると、2MHzの帯域幅を有する単一スプレッドキャリアからなるGPSスペクトルとは異なり、GLONASSスペクトルは多重キャリアで構成され、各衛星には識別のための該当キャリアが割り当てられる。このスペクトルは、図1に示すように設定される。
【0036】
したがって、各衛星又はSVから伝送されるナビゲーション信号は、該当キャリア周波数を有する各搬送波を含み、各データを搬送するために変調されるデータ信号である。図1を参照すると、第1のチャンネルはキャリア周波数fc1を使用し、第2のチャンネルはキャリア周波数fc2を使用する。各チャンネルのキャリア周波数fcnは下記のように与えられる。
【0037】
fcn=1602+n・(0.5625)MHz
(ここで、整数nは商業的利用のために−7〜+6の範囲内にある。)
【0038】
また、このキャリア周波数fcnは下記のようにも得られ、整数nは1〜14の範囲内にある。
【0039】
fcn=1597.5000+n・(0.5625)MHz
【0040】
上記の式において、第1のキャリア周波数は1598.0625MHzであり、最後のキャリア周波数は1605.375MHzとなる。正反対側構成(antipodal configuration)(直径方向の反対側に位置する衛星は同一の周波数チャンネルを共有できる)において、周波数チャンネルに24個の衛星が割り当てられる。すなわち、7.3125MHzのスペクトルは、24個の衛星のコンステレーションをカバーする。受信器が上記コンステレーションの任意の衛星からデータを確認するためには、受信器前端(front end)は、上記の数式によって識別される衛星キャリアに同調(tunning)されなければならない。
【0041】
このようなタイプの信号スペクトルにおいて、受信器のデザインは複雑になる可能性がある。要求される処理能力によっては、ベースバンドのすべてのチャンネル(すなわち、すべての衛星)を同時に監視することが非常に難しい。しかし、これらチャンネルが所定の順序で監視される場合にはより容易になる。
【0042】
典型的なGLONASS受信器は、図2を参照して説明される。
【0043】
典型的なRF受信器前端は、アンテナ、低雑音増幅器(Low Noise Amplifier:LNA)、フィルタ、ミキサ(mixer)、及びIFステージを有する。コスト的な理由で、要求されるIFフィルタの数を減少させるために、ただ一つの混合ステージを必要とする直接変換(ゼロIF)タイプの受信器又は低いIF受信器を使用することが最善である。図2は、典型的なGLONASS受信器1000を示す。
【0044】
点線部分100内の受信器1000は、通常単一集積装置として利用可能であるので、外部アンテナ、LNA、RF弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)及び温度補償型水晶発振器(Temperature-Compensated Crystal Oscillator:TCXO)が受信器全体の前端に追加される。
【0045】
典型的なGLONASS受信器1000(又は、典型的な受信器構成として言及される)は、宇宙船(SV)から複数のデータ信号を受信するためのアンテナ1を含む。外部LNA2は、受信信号を増幅するように構成され、前端又は外部フィルタ3(RF SAWフィルタなど)は増幅された受信信号のフィルタリングに使用される。フィルタリング及び増幅された信号は、以後、受信信号をさらに増幅してミキサ6(又は周波数ミキサ)に提供する内部LNA4に搬送される。周波数合成器5は、局部発振信号LO56を生成し、この信号を追加入力としてミキサ6に提供するように構成される。局部発振信号LO56は、単一周波数のみを含み、あるいは特定の局部発振周波数を中心とする非常に狭い帯域幅を有することができる。すなわち、ミキサ6は、局部発振信号LO56を、受信された(増幅及びフィルタリングされた)データ信号46と混合してミキサ出力信号67(又は中間周波数信号)を生成する。この信号は、元の受信データ信号からのすべてのデータを搬送するが、この受信信号帯域よりは中間周波数帯域に属する。実際に、ミキサ6は、受信データを搬送する周波数帯域をシフトさせる。ミキサ出力信号67は、フィルタ7(又はIFフィルタとして説明される)を通過する。このフィルタ7は、受信データを搬送しない周波数をフィルタリングして除去するように設定された通過帯域を有する。その後、フィルタリングされた信号78は、IF増幅器8によって増幅され、増幅された信号89はA/D変換器(Analogue-to-Digital convertor)形態のサンプリング手段9に提供される。このA/D変換器9は、周波数合成器5から基準クロック信号59を受信する。A/D変換器9は、適切な速度で増幅された信号89をサンプリングしてデータを抽出して、制御手段又は制御部として言及されるベースバンドプロセッサ10に提供する。また、A/D変換器9は、クロック信号及び同期信号をプロセッサ10に提供する。このプロセッサ10は、3ワイヤバス105によって制御信号を周波数合成器5に提供する。水晶発振器51は、安定した基準周波数を周波数合成器5に提供し、周波数合成器は、接続105を通じてプロセッサ10からの制御信号によって決定される周波数で、局部発振信号56を生成できる。
【0046】
図2は典型的なGLONASS受信器構造を示しているが、この装置は、例えばプロセッサ10に適したプログラミングによって、本発明を実現するように、そして本発明を実現するデータ抽出方法を実施するように構成されている。
【0047】
GLONASSシステムは、FDMA(Frequency Division Multiple Access)装置であり、各衛星には識別のための周波数チャンネルが割り当てられる。これに対して、GPSシステムは、CDMA(Code Division Multiple Access)システムであり、すべての衛星は同一の周波数(L1,1575.42MHz)で伝送し、各衛星には識別のためのコードが割り当てられる。GPSのために、局部発振器は、固定された周波数を有し、局部発振周波数は要求される中間周波数(すなわち、固定されたLO及び固定されたIF)に依存する。
【0048】
GLONASSにおいて、衛星からデータを受信するために、受信器は、衛星に同調しなければならない。各衛星が固有の割り当てられた周波数を有するため、受信器は、広範囲のキャリア周波数を有する信号からデータを抽出する必要がある。衛星との同調は、下記の2つの方法で行うことができる。
【0049】
a)広帯域IF周波数を必要とする固定されたLO周波数
b)狭帯域IFを必要とする可変LO周波数(1チャンネルずつサンプリング)
【0050】
図3は、固定されたLO/広帯域IFの概念を示す。
【0051】
図3のミキサ6に提供される複数のデータ信号46は、RF帯域RF1のデータd1を搬送する第1のデータ信号、RF帯域RF2のデータd2を搬送する第2のデータ信号などを含む。フィルタ7は、入力RF信号RF1、RF2に対応する中間周波数信号すべてを通過させる程度の十分に大きな帯域幅を有するように設定される。例えば、中間周波数信号IF1は、受信信号RF1などに対応する。すなわち、フィルタ7からの出力(フィルタリングされた信号)78は、受信信号のすべてのデータ(すなわち、d1,d2,…,dm)を搬送し、フィルタリングされた信号78のこのようなデータは受信信号の全体帯域幅と実質的に同一の幅を有するIF帯域に搬送される。フィルタリングされた信号78からデータd1,d2などを抽出するために必要なA/D変換器9は、IF帯域幅の少なくとも2倍速度でサンプリングすることが必要である。
【0052】
この第1の“広帯域”接近法は、局部発振器が周波数ホップをする必要がないという利点を有する。そのため、局部発振器/PLL(Phase Locked Loop)のセッティング時間での遅延がない。この接近法は、すべての認識可能な衛星からの信号を同時に使用可能であるという長所もある。しかしながら、この接近法は、すべての認識可能な衛星をカバーするために高いサンプリングレートを必要とするという短所がある。
【0053】
この第1の接近法を図るためには、IFフィルタ帯域幅(BW)は、6.1875MHzより大きくなければならない。ナイキストによるベースバンドから要求されるサンプリングレートは、IF帯域幅(通常、13MHz)の少なくとも2倍である。これは、一部のベースバンドに対する制限となり得る。
【0054】
図4は、データを抽出するための他の接近法を示す。局部発振器は、特定時間で処理される衛星周波数チャンネルにマッチングするために周波数ホッピングをする。このような方法で、1.1MHzの固定された狭帯域IFが使用され、2.2MHz(通常、2.5MHz)より大きいサンプリングレートが要求される。
【0055】
帯域RF1を占める第1のデータ信号からデータd1を抽出するために、周波数合成器又は局部発振器は、第1の局部発振信号LO1を生成するように設定される。LO1は、データ信号と混合され、狭帯域フィルタ7は、データd1を含む中間周波数スペクトルの該当部分だけを通過させる。データd2を抽出するために、局部発振器出力は、信号LO2を提供するようにスイッチングされる。一般に、任意の時点で狭帯域フィルタ7によって通過される中間周波数スペクトルの一部は、周波数LOnの局部発振信号を生成することによって決定される入力信号のうち、n番目の信号に対応するデータdnを含む。
【0056】
この方法は、監視される衛星の周波数とのマッチングのために局部発振器が連続的に周波数を変更することを必要とする短所を有する。これは、LO周波数が変更される度に遅延を発生させる。また、LO周波数が非常に正確でない間は、PLLロック(lock)時間及びセッティング時間でも遅延が生じ得る。期待されるLO周波数の範囲は、6.1875MHzである。
【0057】
この方法は、IF周波数が狭くてより低いサンプリングレート(通常、2.5MHz)が要求されるので、ベースバンドプロセッサでより少ない負荷となる。この技術を使用することで、一度に一つの衛星チャンネルのみがサンプリングされる。
【0058】
本発明の実施形態において、サンプリングレートはIF帯域幅の2倍より大きくなければならないので、サンプリングレートを減少させるために必要なIF帯域幅を減少させることが有用である。IF帯域幅の条件は、本発明の特定実施形態で減少されることができる。したがって、この減少は、IFフィルタ帯域幅BWFを減少させ(言わば、半分に)、以後LO周波数を変更することによって2回のキャリアスキャンを遂行することによってなされる。
【0059】
図5は、本発明の実施形態により、データ抽出方法を遂行するように適用される受信装置を示す。この構成において、周波数合成器又は局部発振器は、2個の値、LO1とLO2との間で局部発振信号周波数をスイッチング(又は選択)するように設定される。ミキサ6は、それぞれのRF帯域RF1,RF2などを有する複数のデータ信号を受信し、これら各々は該当量のデータd1,d2などを伝送する。第1の局部発振周波数LO1は、データd1及びd2を搬送する信号67で中間周波数帯域の部分がIFフィルタ7の通過帯域を通過するように設定される。しかしながら、このフィルタ7の通過帯域は、受信信号の残りの部分を搬送するIF成分が通過しないように十分に狭い。すなわち、局部発振周波数がLO1である場合に、フィルタ7からのフィルタリングされた信号78は、データd1及びd2のみを含む。フィルタリングされた信号78は、適したサンプリング手段(例えば、A/D変換器)に搬送される前に増幅器8によって増幅される。以後、適切なサンプリングレートが、データd1及びd2を抽出するために選択されることができる。局部発振周波数は、LO2にスイッチングされ、データdm及びd(m-1)を搬送する中間周波数成分がフィルタ7の通過帯域を通るように構成される。その後、フィルタ出力78は、相互に異なる複数の受信信号からこのようなデータを抽出するためにサンプリングされる。本発明の実施形態において、2個の局部発振周波数間のスイッチング(すなわち、これらのうちの一つを選択)によって受信された信号のデータすべてが抽出できるように、mは4となり得る。本発明の他の実施形態において、mが4より大きい場合、例えば、一度に2個の受信信号のデータのみをサンプリングすることによってデータすべてを抽出するためには、より多い数の局部発振周波数が使用されうる。代わりに、あるいは追加的に、出力78が一度に2より多い受信信号又はチャンネルを伝送するために、より広い通過帯域のフィルタ7が使用されうる。
【0060】
図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、及び図9は、受信無線周波数帯域、中間周波数帯域、及び中間周波数フィルタ帯域間の関係をより詳細に示す。
【0061】
図6Aは受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示し、図6Bは中間周波数信号の周波数スペクトルを示す。
【0062】
図6Aは、本発明の特定実施形態の受信信号帯域を示す。信号帯域は、中心キャリア周波数fCを中心とし、BWCと同一のキャリア又は受信信号帯域を有する。一般に、受信信号帯域の下端は、データ信号によって使用される最低キャリア周波数である周波数fLに対応し、帯域の上端は、一般に受信されたデータ信号によって使用される最高キャリア周波数である周波数fHに対応する。図6Bを参照すると、局部発振信号又は周波数LOが生成され、中間周波数IF(ここで、IF=fC-LO)を中心として帯域幅BW1(BWCと同一)を有する、受信データ信号すべてを搬送する中間周波数帯域が生成される。
【0063】
したがって、図6A及び図6Bは、普通の広帯域IFのケースを示す。図7A及び図7Bは、減少したIFケース(半分のIF帯域幅)を示す。減少したIFにおいて、IF帯域幅は3.09375MHzであり、対応するサンプリングは6.1875MHzより高い(通常、7MHz)。IFサンプリングスキャンは、2つの方法で遂行される。GLONASSスペクトルの所望する部分がIFフィルタ応答の中心に位置するように局部発振器の周波数を変更したり、その中心が所望のGLONASS信号スペクトルの中心に位置するようにIFフィルタの中心周波数を変更したりする。この場合の信号スペクトルはIFドメイン内にある。
【0064】
図7Aは、受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示す。図7Bは、中間周波数信号の周波数スペクトルを示す。
【0065】
図7A及び図7Bから、IF信号の帯域幅の半分と同一の帯域幅BWFのIFフィルタに対して、IF信号スペクトルの中心がIFフィルタの中心周波数CF1に位置するようにLOを選択することによって、IF信号スペクトルの一部が損失されることがわかる。このような場合に、IF信号スペクトルの1/4がフィルタ応答特性(又はスペクトル)の両側で各々損失される。図7Bを参照すると、全体IF信号スペクトルの1/4に該当する各部分は、IFフィルタ応答の外側に配置され、斜線(hatched)領域で表示されている。これは、第1のスキャンでIF信号スペクトルの下側半分がIFフィルタ応答の内側に位置するようにLO周波数を変更し、その後にIFスペクトルの上側半分がIFフィルタ応答の内側に位置するようにLOを変更することによって解決できる。
【0066】
図8A乃至図8Cは、本発明の実施形態により、上記のような調整がどのように遂行されるかを示す。PBは、周波数CF1を中心とするフィルタ7の通過帯域(又は応答特性)を示す。図8Aは、受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを示す。図8B及び図8Cは、中間周波数信号及びフィルタ応答の周波数スペクトルを示す。
【0067】
図8Bに示すように、この調整は、ダウン変換される場合に、信号スペクトルの下側半分の中心周波数SF1がIFフィルタの中心周波数CF1に現れるようにLO周波数が計算される条件のみで保証可能である。図8Bを参照すれば、信号スペクトルの下側半分はIFフィルタの応答と重なり(superpose)、信号スペクトルの上側半分は点線で表示されている。また、図8Cに示すように、スペクトルの上側半分の中心周波数SF2がIFフィルタの中心周波数CF1に現れるようにLOが計算される。図8Bにおいて、信号スペクトルの上側半分はIFフィルタの応答と重なり(superpose)、信号スペクトルの下側半分は点線で表示される。図8A乃至図8Cに示すように、2個の中心周波数はSF1及びSF2で表記される。
【0068】
下方のLO注入ミキサに対して、IFは下記に示すように計算できる。
【0069】
CF1=IF=RF-LO
CF1=IF=SF1-LO1
CF1=IF=SF2-LO2
SF1=fC-1/4 sig BW (下側半分)
SF2=fC+1/4 sig BW (上側半分)
CF1=IF=(fC-1/4 sig BW)-LO1 (スペクトルの下側半分)
CF1=IF=(fC+1/4 sig BW)-LO2 (スペクトルの上側半分)
【0070】
該当LO周波数は、下記のように得られる。
【0071】
LO1=(fC-1/4 sig BW)-IF
LO2=(fC+1/4 sig BW)-IF
【0072】
LOの細かい位置決定によって、信号スペクトルの全体が、LOをLO1とLO2との間で交替することによってカバーできる。GLONASSスペクトルの中心に位置したチャンネルは、IFフィルタのエッジ効果(edge effect)によって破損される危険がある。これは、フィルタ応答が、第1チャンネルから最後のチャンネルの範囲を超えるように、IFフィルタを1チャンネルだけ延長させることによって解決しうる。これは、図9に示すように、中間チャンネルが両側スキャンによってスキャンされる結果であり、ここでDは、隣接したチャンネル間、すなわち受信データ信号の隣接したキャリア周波数間の周波数差を表す。図9は、本発明の実施形態における、中間周波数信号及びフィルタ応答の周波数スペクトルを示す。図9では、信号スペクトルの下側半分及び一つの追加チャンネルに該当する部分がIFフィルタ応答特性と重なり、信号スペクトルの上側半分と一つの追加チャンネルが点線で表示されている。
【0073】
固定されたIFフィルタ構成と局部発振周波数スイッチングの使用代案として、本発明の特定実施形態では、IF周波数帯域の相互に異なる部分からデータを選択的に処理及び抽出するために、局部発振周波数を一定に(すなわち、定数に)維持し、ミキサ出力のフィルタリングを変更するという技術を採択する。各部分は、少なくとも2個の受信データ信号のデータを含む。このような本発明の一実施形態において、半分のIF帯域幅フィルタが使用され、LO周波数は固定され、IFフィルタの中心周波数はGLONASS IFスペクトルをカバーするようにスイッチングされる。図10Aは受信信号及び局部発振信号の周波数スペクトルを、図10Bは中間周波数信号の周波数スペクトルを、図10Cは上記フィルタ応答及び中間周波数信号の周波数スペクトルを、それぞれ示す。図10A乃至図10Cからわかるように、信号帯域幅の全体をカバーするために、第1のスキャンでは、SF1がIFフィルタの第1の中心周波数CF1に位置し、第2のスキャンでは、SF2がIFフィルタの第2の中心周波数CF2に位置するように、IFスペクトルは、位置されなければならない。このような場合に、IF周波数スペクトルを移動させる代わりに、IFフィルタリング手段の中心周波数が、全体GLONASSスペクトルに対する基準を満足させるようにスイッチングされる。図10A乃至図10Cにおいて、PB1は周波数CF1を中心とするフィルタの通過帯域(又は第1のフィルタ応答)を表し、PB2は周波数CF2を中心とするフィルタの通過帯域(又は第2のフィルタ応答)を表す。また、PB1は実線で、PB2は点線で、各々表示され、中間周波数信号の周波数スペクトルは、第1及び第2のフィルタ応答の組み合わせと重なっている。
【0074】
このIFフィルタリング手段に対して要求される2つのIF中心周波数は、下記の式から得られる。
【0075】
CF1=IF1=IFc-1/4 sig BW(IFスペクトルの下側半分)
CF2=IF2=IFc+1/4 sig BW(IFスペクトルの上側半分)
IFC=fC-LO
CF1=IF1=(fC-LO)-1/4 sig BW
CF2=IF2=(fC-LO)+1/4 sig BW
【0076】
スイッチングされるLOを用いる本発明の実施形態において、IFフィルタのエッジ効果を避けるために、IF帯域幅BWFを1チャンネルだけ延長させてもよく、これは中間チャンネルが2回スキャンされる結果をもたらす。n回に分割されるIF信号に対して、IFスペクトルのn回のスキャンがこのIFスペクトルをカバーするために必要である。一般のIFフィルタ帯域幅は、1,2,3,又は4MHzである。
【0077】
図11を参照すると、本発明の他の実施形態による装置を示す。ミキサ6は、複数の受信データ信号を含む信号46を受信するように構成される。これら各々は、該当キャリア周波数f1〜f4に中心をおいたそれぞれのRF帯域幅の該当量のデータd1,d2,d3,d4を伝送する。局部発振器5は、周波数LO1を中心とする狭い周波数帯域を有する局部発振信号56を生成するように構成される。ミキサ6は、受信データ信号46と局部発振信号56を混合して、該当量のデータを搬送し、かつ各々該当中間周波数IFa,IFbなどを中心とする中間周波数信号を含む出力信号67を生成する。中間周波数範囲のすべてのデータを搬送するミキサ出力信号67は、制御可能なスイッチ(又はルーティングスイッチ)73に供給される。このスイッチ73は、中間周波数信号を第1のフィルタ71又は第2のフィルタ72に誘導(又はスイッチング)されるように制御手段74からの信号によって制御される。本発明の実施形態において、このようなフィルタは、同一の帯域幅を有するが、これらの通過帯域は、周波数スペクトルの異なる部分に位置している。すなわち、スイッチ73が中間周波数信号731をフィルタ71に誘導する場合に、フィルタ71は、最初の2個の受信データ信号からのデータd1,d2を搬送する中間周波数信号のみを通過させる(すなわち、他の2個の中間周波数信号を遮断する)。その後、フィルタ信号718は、増幅器8によって増幅され、データd1,d2を抽出するためにA/D変換器9によってサンプリングされる。本発明の特定実施形態において、このデータは、抽出されたデータから受信装置の場所又は位置を計算するように構成されたプロセッサに提供される。第2のモードで、制御部74は、スイッチ73が中間周波数信号732を第2のフィルタ72に誘導するように制御し、第2のフィルタ72は、データd3、d4を搬送する中間周波数成分のみを通過させるように設定された通過帯域を有する。また、ミキサ出力がフィルタ72を通じてルーティングされる場合に、第2のフィルタ72からの出力728は増幅されてデータd3,d4を抽出するA/D変換器に提供される。
【0078】
図12を参照すると、図11と類似した装置を示しているが、2個の分離されたフィルタ71,72及びルーティングスイッチ73の代わりに、制御手段74によって制御される制御可能なフィルタ70を採択した装置を示す。制御可能なフィルタ70は、そのフィルタリング特性を制御手段74によって変更するように制御可能である。このような本発明の実施形態において、この調整は、周波数空間で通過帯域の位置を移動させることが可能な形態を取る。本発明の他の実施形態では、通過帯域の幅は上記と同様に制御され得る。ミキサ6には、更に複数の受信信号を含む入力信号46が提供される。各々の信号は、該当データd1,d2,d3を伝送し、該当キャリア周波数f1,f2,f3を中心とする。周波数合成器5は、単一局部発振周波数LO1を生成してミキサ6に提供するように設定される。ミキサ出力67は、中間周波数帯域のデータd1,d2,d3すべてを搬送する中間周波数信号である。制御手段74は、フィルタ70が、第1のモード又は実質的にデータd1、d2を伝送する中間周波数帯域の部分のみを通過させる状態となるように適合されている。その後、データd1,d2は、増幅器8及びサンプラー9によって抽出される。制御部74は、制御可能なフィルタ70が第2のモード又はデータd2,d3を搬送する中間周波数成分のみを通過させる状態で作動するようにスイッチングされる。以後、このデータは、適合した処理手段(すなわち、増幅器8及びサンプラー9)によって抽出される。
【0079】
図11に示した本発明の実施形態においては、すべての受信データは、フィルタリング特性の単一スイッチングに関連した技術によって抽出される。各フィルタは、受信データの半分を通過させることができ、ただ一つの局部発振周波数だけが生成される必要があった。同様に、図12では、すべてのデータは、制御可能なフィルタ特性の一回の変更によって抽出される。第1及び第2のモードでの特性は、その通過帯域が重なり、データd2が2つのモードで各々抽出可能なように構成される。
【0080】
したがって、本発明を実施する方法においては、前述した例は多少単純化されており、特に使用されたキャリア周波数の数において単純化されている。実際には、キャリア周波数の数はさらに多く、フィルタの帯域幅もより大きい可能性がある。
【0081】
本発明の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせの形態で実現されることができる。このような任意のソフトウェアは、例えば、削除又は再起録が可能であるか否かに関係なく、ROMなどの記憶装置のような揮発性又は非揮発性記憶装置、又は例えば、RAM、メモリチップ、装置又は集積回路のようなメモリ、又は例えばCD、DVD、磁気ディスク又は磁気テープなどの光学的又は磁気的に読み取り可能な媒体に格納されることができる。記憶装置及び記憶媒体は、本発明の実施形態を実現する指示を含むプログラム又はプログラムを格納するのに適合した機械可読の記憶装置の実施形態である。したがって、本発明の実施形態は、本願に説明したようなシステム又は方法を実現するためのコードを含むプログラム及びこのようなプログラムを格納する機械可読記憶装置を提供する。また、このようなプログラムは、有線又は無線接続を通じて搬送される通信信号のような任意の媒体を通じて電子的に移送され、実施形態はこれと均等なことを適切に含む。
【0082】
本願の説明及び請求項において、“含む”、“具備する”、“有する”などの単語とこれら単語の変形は“含まれるが、これに限定されない”との意味を有し、他の部分、追加、成分、併合又はステップを排除しない。
【0083】
本願において、単数は文脈上これと異なることを要求しない限り、複数を含むことである。特に、定められない対象が使用される場合に、文脈上異なることを必要としない限り、単数と同様に複数も考慮することと理解されなければならない。
【0084】
本発明の特定側面、実施形態、又は例と共に説明される特徴、併合、特性、複合又はグループは、それに不適合しない限り、ここに説明された他の側面、実施形態又は例に適用できることがわかる。
【0085】
本願の説明及び請求項において、一般的に“Yのための(に対する)X”(Yは任意のアクション、動作又はステップであり、Xはこのアクション、動作又はステップを遂行するための任意の手段)の表現は、これに限定されず、Yを遂行するように設定又は適用される手段Xを含む。
【0086】
以上、本発明を具体的な実施形態に関して図示及び説明したが、添付した特許請求の範囲により規定されるような本発明の精神及び範囲を外れることなく、形式や細部の様々な変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかである。
【符号の説明】
【0087】
fL 最低キャリア周波数
fH 最高キャリア周波数
fcn キャリア周波数
幅BWF 帯域
LO 局部発振信号
IF帯域 中間周波数帯域
RF帯域 無線周波数帯域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法であって、
少なくとも3個のデータ信号を受信するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成するために、前記少なくとも3個のデータ信号を第1の局部信号と混合するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされた信号を生成するために、前記第1の混合信号をフィルタリングするステップと、
前記第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために前記第1のフィルタリングされた信号を処理するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第2の混合信号を生成するために、前記少なくとも3個のデータ信号を第2の局部信号と混合するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、前記第2の混合信号をフィルタリングするステップと、
前記第2の集合のデータ信号のデータを抽出する前記第2のフィルタリングされた信号を処理するステップと、
を具備し、
前記少なくとも3個のデータ信号は、各々のキャリア周波数を有する各搬送波を含むとともに、各々のデータを搬送するために変調されており、
前記各々のキャリア周波数は、最低キャリア周波数がfLで、最高キャリア周波数がfHであり、
前記第2の集合は前記第1の集合と異なることを特徴とする相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法。
【請求項2】
前記第1の局部信号は、第1の周波数LO1を有し、
前記第2の局部信号は、第2の周波数LO2を有し、
それぞれの前記第1及び第2の混合信号は、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段によってフィルタリングされ、
LO2はLO1と異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の周波数LO1は、前記第1の混合信号が前記通過帯域に対応する周波数範囲の前記第1の集合のデータ信号のデータを搬送するように設定され、
前記第2の周波数LO2は、前記第2の混合信号が前記周波数範囲の前記第2の集合のデータ信号のデータを搬送するように設定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のフィルタリングされた信号を処理するステップは、前記第1及び第2のフィルタリングされた信号を各々サンプリングレートR(ここで、R≧2BWF)でサンプリングするステップをさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の局部信号の生成と第2の局部信号の生成をスイッチングするように周波数合成器又は局部発振器のうちいずれか一つを制御するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の局部信号は、同一の周波数を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の混合信号は、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(ここで、BWF1<(fH-fL))を有する第1の帯域通過フィルタによってフィルタリングされ、
前記第2の混合信号は、第2の異なる中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(ここで、BWF2<(fH-fL))を有する第2の帯域通過フィルタによってフィルタリングされ、
前記第2の帯域通過フィルタは、前記第1の帯域通過フィルタと異なることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の混合信号を前記第1の帯域通過フィルタと前記第2の帯域通過フィルタとの間でスイッチングしてルーティングするために、スイッチ手段を制御するステップをさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の混合信号は、各々共通の制御可能フィルタを用いてフィルタリングされ、
前記制御可能フィルタは、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(ここで、BWF1<(fH-fL))を提供する第1のモードと、第2の中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(ここで、BWF2<(fH-fL))を提供する第2のモードと、の間でスイッチングするように制御され、
前記方法は、前記第1のモードと第2のモードをスイッチングするように前記制御可能フィルタを制御するステップをさらに具備し、
CF2は、CF1と異なることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の帯域幅は、前記第2の帯域幅と同一であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記各データ信号は、グローバルナビゲーション衛星システムの該当宇宙船からのナビゲーション信号であり、
前記方法は、場所又は位置を決定するために前記第1及び第2の集合のデータ信号から抽出されるデータを処理するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項による方法を実現するように構成される手段を含むことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項13】
前記データ信号を受信する受信アンテナと、
前記局部信号を生成するための周波数合成器と、
前記受信されたデータ信号及び前記局部信号を混合してミキサ出力信号を生成するように設定されるミキサと、
前記ミキサ出力信号をフィルタリングするように設定されるフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段からのフィルタリングされた信号をサンプリングするように設定されるアナログ/デジタル変換器と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載のデータ抽出装置。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項による方法を、実行時に実現するように構成された命令を含むコンピュータプログラムを格納することを特徴とする機械可読記憶装置。
【請求項1】
相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法であって、
少なくとも3個のデータ信号を受信するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第1の混合信号を生成するために、前記少なくとも3個のデータ信号を第1の局部信号と混合するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号の第1の集合のデータを搬送する第1のフィルタリングされた信号を生成するために、前記第1の混合信号をフィルタリングするステップと、
前記第1の集合のデータ信号のデータを抽出するために前記第1のフィルタリングされた信号を処理するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号それぞれのデータを搬送する第2の混合信号を生成するために、前記少なくとも3個のデータ信号を第2の局部信号と混合するステップと、
前記少なくとも3個のデータ信号の第2の集合のデータを搬送する第2のフィルタリングされた信号を生成するために、前記第2の混合信号をフィルタリングするステップと、
前記第2の集合のデータ信号のデータを抽出する前記第2のフィルタリングされた信号を処理するステップと、
を具備し、
前記少なくとも3個のデータ信号は、各々のキャリア周波数を有する各搬送波を含むとともに、各々のデータを搬送するために変調されており、
前記各々のキャリア周波数は、最低キャリア周波数がfLで、最高キャリア周波数がfHであり、
前記第2の集合は前記第1の集合と異なることを特徴とする相互に異なるキャリア周波数を有する複数のデータ信号からデータを抽出する方法。
【請求項2】
前記第1の局部信号は、第1の周波数LO1を有し、
前記第2の局部信号は、第2の周波数LO2を有し、
それぞれの前記第1及び第2の混合信号は、帯域幅BWF(ここで、BWF<(fH-fL))の通過帯域を有するフィルタリング手段によってフィルタリングされ、
LO2はLO1と異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の周波数LO1は、前記第1の混合信号が前記通過帯域に対応する周波数範囲の前記第1の集合のデータ信号のデータを搬送するように設定され、
前記第2の周波数LO2は、前記第2の混合信号が前記周波数範囲の前記第2の集合のデータ信号のデータを搬送するように設定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のフィルタリングされた信号を処理するステップは、前記第1及び第2のフィルタリングされた信号を各々サンプリングレートR(ここで、R≧2BWF)でサンプリングするステップをさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の局部信号の生成と第2の局部信号の生成をスイッチングするように周波数合成器又は局部発振器のうちいずれか一つを制御するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の局部信号は、同一の周波数を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の混合信号は、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(ここで、BWF1<(fH-fL))を有する第1の帯域通過フィルタによってフィルタリングされ、
前記第2の混合信号は、第2の異なる中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(ここで、BWF2<(fH-fL))を有する第2の帯域通過フィルタによってフィルタリングされ、
前記第2の帯域通過フィルタは、前記第1の帯域通過フィルタと異なることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の混合信号を前記第1の帯域通過フィルタと前記第2の帯域通過フィルタとの間でスイッチングしてルーティングするために、スイッチ手段を制御するステップをさらに具備することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の混合信号は、各々共通の制御可能フィルタを用いてフィルタリングされ、
前記制御可能フィルタは、第1の中心周波数CF1を中心とする第1の帯域幅BWF1(ここで、BWF1<(fH-fL))を提供する第1のモードと、第2の中心周波数CF2を中心とする第2の帯域幅BWF2(ここで、BWF2<(fH-fL))を提供する第2のモードと、の間でスイッチングするように制御され、
前記方法は、前記第1のモードと第2のモードをスイッチングするように前記制御可能フィルタを制御するステップをさらに具備し、
CF2は、CF1と異なることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の帯域幅は、前記第2の帯域幅と同一であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記各データ信号は、グローバルナビゲーション衛星システムの該当宇宙船からのナビゲーション信号であり、
前記方法は、場所又は位置を決定するために前記第1及び第2の集合のデータ信号から抽出されるデータを処理するステップをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項による方法を実現するように構成される手段を含むことを特徴とするデータ抽出装置。
【請求項13】
前記データ信号を受信する受信アンテナと、
前記局部信号を生成するための周波数合成器と、
前記受信されたデータ信号及び前記局部信号を混合してミキサ出力信号を生成するように設定されるミキサと、
前記ミキサ出力信号をフィルタリングするように設定されるフィルタリング手段と、
前記フィルタリング手段からのフィルタリングされた信号をサンプリングするように設定されるアナログ/デジタル変換器と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載のデータ抽出装置。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか1項による方法を、実行時に実現するように構成された命令を含むコンピュータプログラムを格納することを特徴とする機械可読記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−178338(P2010−178338A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15451(P2010−15451)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
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