説明

マルチユニットプロセスの空間的同期化のための基準マーキング

複数のプロセスからのデータを空間的に同期化させるために、基準マークをウェブに適用する装置が記載される。本装置は、材料のウェブ上の少なくとも2つのフォーマットの基準マークを読み取るための基準マークリーダーと、ウェブ上に少なくとも2つのフォーマットの基準マークを書き込むための基準マークライターと、ウェブに沿って距離を測定するためのエンコーダと、を含む。本装置はいくつかの利点を提供することができる。例えば、本装置は、基準マークをウェブに適用したプロセスライン又は基準マークが適用された日付を示す基準マークをウェブに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムの自動検査に関し、より詳細には連続的に移動するウェブの検査に関する。
【背景技術】
【0002】
移動ウェブ材料の分析に関する検査システムは、近代の製造作業に重大であることが判明している。金属製造、紙、不織布、及びフィルムなど多様な産業は、製造検定及びオンラインのプロセス監視の両方に関して、これらの検査システムに依存している。業界における1つの主要な困難は、現在の製造プロセスに対応するために必要とされる非常に速いデータ処理速度に関係している。市販可能な幅のウェブ及び、一般的に使用されるウェブ速度並びに典型的に必要とされるピクセル解像度と共に、1秒当たり何十又は更には何百メガバイトのデータ取得速度が検査システムに要求される。これらのデータ速度で画像を処理し、正確な欠陥検出を実施することは継続する課題である。
【0003】
更に、ウェブプロセス製造作業は、その製造中に、単一の材料ロール上に実施される複数のユニット作業と共に更に複雑化してきている。例えば、フレキシブル回路などの特定の複雑なウェブベースの製品は、何日間又は何週間の過程にわたって、物理的に異なる場所にて複数の生産ラインをしばしば使用しながら、15もの個別の製造作業を必要とする場合がある。これらの状況において、各プロセスの後にウェブを1つのロールに収集し、このロールを、それが次いで展開され、処理され、再びロールに収集される異なる場所に移送することは一般的である。各プロセスは、ウェブを欠陥とし得る又は欠陥とし得ない、新しい異常をウェブの中に取り込んでよい。更に、後のプロセスは、不可能でないにしても、初期の異常の検出を難しくする場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、移動ウェブの自動検査のための技術が記載される。更に具体的に、本明細書に記載される技術は、空間的位置合わせ及びウェブの製造にわたって収集された異常データの組み合わせを実施することを目的とする。即ち、この技術は、空間的位置合わせ及び、その製造中(製造が物理的に異なる場所で長期間にわたって複数の製造ラインの使用を必要とする場合だとしても)材料のロール上に実施される、複数のユニット作業にわたって収集された異常データの組み合わせを提供する。
【0005】
例えば、ウェブの各製造プロセス中に、1つ以上の検査システムは、ウェブの異常情報を取得する。検査システムは、このいわゆる「ローカルな」異常情報を分析し、予備検査を実施することができる。異常を含むウェブの任意の領域についての画像情報は、後に続く処理のために格納される。同様の技術は、ウェブのマルチプロセス(multi-process)内の各プロセスで適用され、これによって製造プロセスのそれぞれ、即ち、段階に関するローカルな異常情報を生成する。
【0006】
移動ウェブの様々な生産プロセス中に生成された異常情報は、システムに通信されてもよく、ここでは、ウェブの異なるプロセスからの異常情報は、空間的に位置合わせすることができる。即ち、異なるプロセスからのそれぞれの異常情報は、異なる製造プロセスからの異常が、互いに空間的関連性を有するように調整され、ウェブの「集約」異常情報を作ることができる。
【0007】
ウェブの各製造プロセスによって作られたローカルな異常データは、ウェブ処理の全ての段階で検出された全ての異常の位置が後で分析できるように、格納し、新しく取得された異常データと整合することができる。いったん集約されると、より洗練されたアルゴリズムを集約異常情報に適用して、様々な要因に基づいていずかの実際の欠陥を決定することができる。例えば、変換制御システムは、1つ以上の欠陥検出アルゴリズムを後で集約異常データに適用して、ウェブロールに関する変換計画を最終的に生成することができる。即ち、変換制御システムは、ウェブロールの処理に関して定義された指示を有する変換計画を選択することができる。変換制御システムによって適用された欠陥検出アルゴリズムは、集約異常データに基づいて、ウェブロールの増強された又は最適な使用をもたらすために、アプリケーション固有の、即ち様々な可能性のある製品固有であってもよい。変換制御システムは、この集約異常情報及び変換計画を、ウェブから製品を製造するために、1つ以上の変換サイトに通信してもよい。
【0008】
単一のウェブに関する複数の製造プロセスにわたる、空間的に位置合わせされた異常情報の使用は、著しく強化されたプロセス品質の分析及び制御、欠陥的製品の封じ込め、コストの削減、収益若しくは利益の増加、並びに様々なその他の可能性のある利点など、多くの利点をもたらすことができる。
【0009】
例えば、全体の製造プロセスにわたって、0〜2mm内の欠陥位置の位置合わせを維持することは可能な場合がある。別の例として、各サブプロセスに関して、原因による廃棄を識別することは可能な場合がある。更に、収集されたデータは、異なる作業から組み合わされた部分を最適化するのに有用であると立証することができる。欠陥が最終製品内で検出不可能であったとしても、欠陥的部分を自動的に排斥することも可能である。
【0010】
一実施形態において、本発明は、ウェブの位置情報を識別するための複数の基準マークを含む材料のウェブを目的とする。複数の基準マークの少なくとも1つは、製造データを表すための第1マーク及び基準マークを独自に識別するための第2マークを有する合成基準マークである。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、第1製造プロセス中に基準マークのセットをウェブに適用する工程と、このウェブに適用されたとき、基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、第2製造プロセス中に基準マークを検出する工程と、第2製造プロセス中に基準マークを再適用して、現在の、及びこれに続く製造プロセスに関する空間的位置合わせを可能にする工程と、を含む、方法を目的とする。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、材料のウェブ上で少なくとも2つのフォーマットの基準マークを読み取るための基準マークリーダーと、ウェブ上で少なくとも2つのフォーマットの基準マークを書き込むための基準マークライターと、ウェブに沿って距離を測定するためのエンコーダと、を含む、装置を目的とする。
【0013】
更に別の実施形態において、システムは、材料のウェブ上で少なくとも2つの異なるフォーマットの基準マークを読み取り、ウェブ上で基準マークを書き込み、ウェブ上の基準マークに対応するウェブ上の位置を検出するための基準マーク装置を含む。本システムは、異常に関してウェブを検査するための検査装置も含む。
【0014】
更なる実施形態において、本発明は、指示を含むコンピュータで読み取り可能な媒体を目的とする。このコンピュータで読み取り可能な媒体は、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であってもよい。指示は、プログラム可能なプロセッサに、材料のウェブ上で基準マークが存在するかどうかを決定させ、ウェブ上で基準マークが存在するとき基準マークを読み取らせ、コンピュータで読み取り可能な媒体に基準マークの位置を記録させ、ウェブ上で基準マークが存在しないときウェブ上で新しい基準マークを書き込ませ、コンピュータで読み取り可能な媒体に新しい基準マークの位置を記録させ、ウェブ上で組み合わされた基準マークを2つの既存の基準マーク間に書き込ませ、コンピュータで読み取り可能な媒体に組み合わされた基準マークの位置を記録させ、検査装置から位置情報に関するリクエストを受信させ、リクエストに応えてウェブについての位置情報を検査装置に送信させ、基準マークの少なくとも2つの異なるフォーマットを区別させ(case)、基準マークのフォーマットの少なくとも1つは、製造データを示すための第1整数と、前記基準マークを独自に識別するための第2整数と、を含む合成基準マークであって、前記製造データは合成基準マークを適用した製造プロセスラインを示すシステム識別子(ID)と、合成基準マークが適用されたときを示す年及び通日と、のうちの少なくとも1つを含む、合成基準マークである。
【0015】
更に別の実施形態において、本方法は、第1製造プロセス中に、第1セットの基準マークを材料のウェブに適用する工程と、この第1製造プロセス中に、第1セットの基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、第2製造プロセス中に、第1セットの基準マークの少なくとも2つの基準マークを検出する工程と、第2製造プロセス中に、第1セットの基準マークの各基準マークに関する位置を記録する工程と、第1セットの基準マークの各基準マークに関する予定された位置を決定する工程と、第2セットの基準マークを適用する工程であって、この第2セットの各基準マークは、第1セットの基準マークの予定された位置の2つの間に適用される、工程と、第2セットの基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、を含む。
【0016】
本発明による1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【0017】
定義
本発明の目的のために、この出願で使用される以下の用語は、次のように定義される:
「ウェブ」は、1方向内の固定された寸法及び、直交する方向内に所定若しくは中間の長さを有する材料のシートを指し、
「連続的な」は、画像が、単一の線の連続によって又はセンサ要素(ピクセル)の単一列に光学的に描くウェブの領域によって形成されることを指し、
「ピクセル」は、1つ以上のデジタル値によって表わされる画像(picture)要素を指し、
「欠陥」は、製品内の望ましくない発生を指し、
「異常(単数)」又は「異常(複数)」は、その特性及び重度によって、欠陥であり得る又は欠陥であり得ない、標準製品からの逸脱を指す。
【0018】
「フィルタ」は、入力画像の、所望の出力画像への数学的変換であり、フィルタは典型的に画像内の所望の特性を強化するために使用され、
「アプリケーション固有」は、必要条件、例えばウェブの意図された使用に基づく、等級レベルを定義することを指し、
「歩留り」は、材料のパーセント、製品の単位数又はいくつかの他の方法で表示されたウェブの利用を示し、
「製品」は、例えば携帯電話ディスプレイ又はテレビスクリーンのためのフィルムの矩形シートなど、ウェブから製造された個々のシート(構成要素とも呼ばれる)であり、
「変換」は、ウェブを製品に物理的に切断するプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】その中で、変換制御システムがウェブ材料の変換を制御する、グローバルネットワーク環境を示すブロック図。
【図2】ウェブ製造工場の代表的な実施形態を示すブロック図。
【図3】ウェブに関する手順及び検査の代表的なシーケンスを示すブロック図。
【図4】ウェブ製造データ収集及び分析システムの図。
【図5A】代表的な基準マークを示す図。
【図5B】代表的な基準マークを示す図。
【図6】代表的な基準マーク読み取り器の絵。
【図7】ウェブ及びウェブが受ける場合がある変更(新しい異常の、後での取り込み及び先の異常のマスキングを含む)を示す図。
【図8A】本明細書に記載の技術の2つの代表的な実施形態に従うデータの集約を示すブロック図。
【図8B】本明細書に記載の技術の2つの代表的な実施形態に従うデータの集約を示すブロック図。
【図9】ウェブの製造を示すフローチャート。
【図10】プロセスラインの検査工程を示すフローチャート。
【図11】1つの代表的な実施形態における複数のプロセスから収集されたデータの中央整合を示すフローチャート。
【図12】代表的な実施形態における複数のプロセスから収集されたデータを整合するための工程を示すフローチャート。
【図13】基準マークライターの代表的な実施形態を示す、ブロック図。
【図14A】既存の、挿入された基準マークの位置を示すブロック図。
【図14B】既存の、挿入された基準マークの位置を示すブロック図。
【図14C】既存の、挿入された基準マークの位置を示すブロック図。
【図14D】既存の、挿入された基準マークの位置を示すブロック図。
【図15】基準マークのウェブへの適用に関する代表的な作業を示すフローチャート。
【図16】複数の製造作業にわたってウェブ材料の空間的に同期化されている領域の識別に含まれる代表的な作業を示すフローチャート。
【図17】特定のウェブロールに関連するデータの検索空間を削減する工程に含まれる代表的な操作を示すフローチャート。
【図18A】重複する基準マークを有する例示のウェブ区分を示すブロック図。
【図18B】重複する基準マークを有する例示のウェブ区分を示すブロック図。
【図19】2つのプロセスラインから収集されたデータの比較を示すスクリーンショット。
【図20】データ(属性又は異常データなど)を空間的に同期させるために適用する技術に関する代表的な実施形態の例。
【図21】ウェブからの測定データの収集のためのシステムに適用されたときの、本明細書に記載の技術の代替の実施形態を示すブロック図。
【図22】様々な処理及び/又は測定作業から収集された測定データのグラフィック表示。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、その中で変換制御システム4がウェブ材料の変換を制御する、グローバルネットワーク環境2を示すブロック図である。より具体的には、ウェブ製造工場6A〜6N(「ウェブ製造工場6」)は、ウェブを製造し、互いの間でウェブロール7の形態でウェブ材料を移送し、並びに完成したウェブロール10を変換サイト8A〜8Nに移送する、製造サイトを示す。ウェブ製造工場6は、地理的に分散されてもよく、ウェブ製造工場のそれぞれは、1つ以上の製造プロセスライン(図3)を含んでもよい。
【0021】
概して、ウェブロール7は、一方向内に固定された寸法及び直行する方向内に所定の若しくは中間の長さのいずれかを有する任意のシート様の材料であってもよい、製造されたウェブ材料を含む。ウェブ材料の例には、金属、紙、織布、不織布、ガラス、ポリマーフィルム、フレキシブル回路又はこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限られない。金属には、鋼鉄又はアルミニウムなどの材料を挙げることができる。織布には一般的に様々な織物が挙げられる。不織布には、紙、濾材又は絶縁材料などが挙げられる。フィルムには、例えば積層体及びコーティングされたフィルムを含む無色(clear)かつ不透明なポリマーフィルムが挙げられる。
【0022】
製品12への変換に準備が整っている完成したウェブロール10を製造するために、未仕上げのウェブロール7は、1つのウェブ製造工場内、例えばウェブ製造工場6A内で、又は複数の製造工場内で複数のプロセスラインからの処理を必要とする場合がある。各プロセスに関して、ウェブロールは典型的に、ウェブがそこから製造プロセスの中へ送られるソースロールとして使用される。各プロセスの後、ウェブは典型的に、ウェブロール7へと再び回収され、異なる製造ラインへ移動されるか又は異なる製造工場に移送され、そこでウェブは次いで展開され、処理され、再びロールへと回収される。このプロセスは、完成したウェブロール10が最終的に製造されるまで繰り返される。
【0023】
多くの用途に関して、ウェブロール7のそれぞれのためのウェブ材料は、1つ以上のウェブ製造工場6の1つ以上の生産ラインで塗布される様々なコーティングを有する場合がある。コーティングは一般的に、第1製造プロセスの場合はベースウェブ材料の露出された表面、又は後に続く製造プロセスの場合は既に塗布されたコーティングの露出された表面のいずれかに塗布される。コーティングの例には、接着剤、ハードコート、低接着性裏面コーティング、金属化コーティング、中性密度コーティング、電気的に導電性若しくは非導電性コーティング、又はこれらの組み合わせが挙げられる。所定のコーティングは、ウェブ材料の一部分のみに塗布されてもよく、又はウェブ材料の露出された表面を完全に被覆してもよい。更に、ウェブ材料はパターン形成されていてもよく、パターン形成されていなくてもよい。
【0024】
ウェブロール7の所定の1つに関する各製造プロセス中に、1つ以上の検査システムは、ウェブの異常情報を取得する。例えば、図2に示されているように、生産ラインのための検査システムは、ウェブが処理されるとき、例えば、1つ以上のコーティングがウェブに塗布されるとき、連続して移動するウェブに近接して配置される1つ以上の画像取得装置を含んでもよい。画像取得装置は、連続して移動するウェブの連続した部分をスキャンしてデジタル画像データを取得する。検査システムは、いわゆる「ローカルな」異常情報を作るために、1つ以上のアルゴリズムと共に画像データを分析することができる。異常情報は本明細書において、異常情報が、現在使用されている生産ラインにローカルな座標系に固有である位置情報、又は現在使用されている製造ラインによって一般的に使用される位置情報を一般的に含む、ローカルな異常情報として呼ばれる場合がある。以下に記載のように、このローカルな位置情報は、他の製造工場にとって又は同じ製造工場内の他の生産ラインにとってさえも意味をなさない場合がある。これらの理由のため、ウェブロール7のそれぞれに関して製造中に得られたローカルな異常情報は、同じウェブロールに関する他のローカルな異常情報と共に空間的に位置合わせされている。即ち、ローカルな異常に関する位置情報は、共通の座標系に変換され、同じウェブロール7又はウェブロール7の区分に適用された異なる製造プロセスからの位置情報を調整する。異常情報は本明細書において、いったん収集され、同じウェブロール7に関する製造プロセスの少なくとも1つ若しくは場合によっては全てに関する異常情報と共に調整される集約異常情報と呼ばれる。
【0025】
より具体的に、各製造プロセス中に、異常を含むウェブの任意の領域に関する画像情報(即ち、未加工のピクセル情報)は、後に続く処理のために格納される。即ち、識別された異常を包囲する未加工の画像データは、画像取得装置から得られるピクセル情報のストリームから抽出され、ウェブを横断する寸法及びウェブの長さを走る寸法の両方に関連して、ウェブ内の異常の具体的な位置を示す位置情報と共に格納される。異常に関連しない画像データは廃棄される。同様の技術が、所定のウェブロール7のマルチプロセス製造内の各プロセスで適用され、これによって製造プロセスのそれぞれ、即ち段階に関するローカルな異常情報を生成する。
【0026】
移動ウェブに関する様々な生産プロセス中に生成されたローカルな異常情報は、次いで、変換制御システム4と通信され、そこではウェブのための異なるプロセスからのローカルな異常情報は、空間的に位置合わせすることができる。即ち、異なるプロセスからの対応する異常情報は、異なる製造プロセスからの異常が、互いに空間的関連性を有して、所定のウェブロール7に関する集約異常情報を作るように、調節することができる。空間的位置合わせは、例えばウェブロールの関するマルチプロセス製造の各段階の間又はプロセス全ての完了後など、全体の製造プロセスの任意のときに生じてもよい。更に、空間的位置合わせは、所定のウェブロール7に関して事前に使用された生産ラインから得られたローカルな異常情報を用いて、変換制御システム4内など集中的に又は所定のウェブ製造工場6でローカルに実施されてもよい。
【0027】
概して、変換制御システム4は、各ウェブロール10に関する変換計画を選択し、生成するために、アプリケーション固有の、即ち製品12に固有であってもよい1つ以上の欠陥検出アルゴリズムを適用する。ある異常は、1つの製品内、例えば製品12A内で欠陥となる場合がある一方で、この異常は異なる製品内、例えば製品12Bでは欠陥ではない。各変換計画は、対応する完成したウェブロール10の処理に関して定義された指示を示す。変換制御システム4は、ウェブロールを製品12に変換するときに使用するウェブロール10に関する変換計画を、ネットワーク9を介して適切な変換サイト8に通信する。
【0028】
複数の製造プロセスを経た、完成したウェブロール10の変換に関する変換計画を正しく作成するために、ウェブ製造工場6によって収集されたデータは、合成欠陥マップを形成するために、空間的に整合され、分析される。上記のとおり、収集された異常データは一般的にウェブロール上の異常の位置を表す位置情報と共に、原画像の小さな領域を含む。異常データの空間的整合は、いったん全てのプロセスが終了すると変換制御システム4などの中央位置で、又は様々な中間プロセス位置でのいずれかで行われる。更に、所定の空間的座標系は、データの位置合わせに使用されてもよい。この場合、ローカルな異常情報に関する位置データの全ては、この所定の座標系に変換される。代替として、所定のウェブロール7に適用された第1プロセス(又は任意の他のプロセス)内で使用される座標系は、そこに全てのローカルな異常データが、同じウェブロールに適用された、後に続くプロセスのために位置合わせされている基準座標系として機能することができる。
【0029】
例えば、所定のウェブロール7に適用された第1製造プロセスの検査システムは、いったん第1プロセスが終了すると、そのローカルな異常情報を変換制御システム4に送信することができる。これは、初期のローカルな異常情報を収集する一方で、検査システムによって利用された座標系を記述する座標系参照データを含んでもよい。次いで、同じウェブロール7に適用されたそれぞれ後に続く製造プロセスに関する検査システム又は他の計算装置は、変換制御システム4からの第1プロセスによって使用された座標系基準データを検索し、第1製造プロセス中に使用された座標系に従って、任意の新しく収集されたローカルな異常情報に関する位置データを調節してもよい。上述したように、あるいは、変換制御システム4は製造プロセスのそれぞれからのローカルな異常情報を処理してもよい。この方法において、同じウェブロール7に関して全ての製造プロセスから収集されたローカルな異常情報の全ての位置データは、いつ、即ちどのプロセスから各異常が取り込まれたかに関わらず、ウェブロール10内の全ての異常領域が分かるように、整合することができる。
【0030】
変換制御システム4は、1つ以上の欠陥検出アルゴリズムを集約異常情報に適用して、各ウェブロール10に関する変換計画を最終的に選択し、生成する。変換制御システム4は、1つ以上のパラメータに基づいて、変換サイト8を選択してもよく、並びに最終的にウェブロール10の製品12への変換を指示してもよい。即ち、変換制御システム4は、自動又は半自動の方法で、様々な変換サイトでの現在の製品在庫レベルなど、1つ以上のサイト選択パラメータに基づいてウェブロール10を変換するための変換サイト8を選択する。変換制御システム4は様々な変換サイト8での製品12のそれぞれに関する注文情報、変換サイトによってサービスが提供されている地理的領域内で経験されている現在の製品需要及び変換サイトのそれぞれに関連する移送コスト及び輸送オプション、並びに変換サイトで保留中のいずれか納期が近い(time-critical)の注文など、他のサイト選択パラメータを利用してもよい。
【0031】
変換制御システム4によってなされた選択に基づいて、ウェブロール10は変換サイト8A〜8N(「変換サイト8」)に移送され、このサイトは様々な国の中に地理的に分散されてもよい。変換サイト8はウェブロール10を1つ以上の製品に変換する。特に、変換サイト8のそれぞれは、所定のウェブロール10のためのウェブを、製品12A〜12Nとして参照される(「製品12」)多数の個々のシートに、個々の部分に又は多数のウェブロールに物理的に切断する1つ以上のプロセスラインを含む。1つの例として、変換サイト8Aは、フィルムのウェブロール10を車両の照明システムにおいて使用される個々のシートに変換してもよい。同様に、ウェブ材料の他の形態は、顧客14A〜14N(「顧客14」)によって意図されたアプリケーションに基づいて、異なる形状及び寸法の製品12に変換されてもよい。変換サイト8のそれぞれは、異なるタイプのウェブロール10を受け取ることができ、並びにそれぞれの変換サイトは、変換サイトの場所及び顧客14の特有の需要によって、異なる製品12を製造することができる。
【0032】
単一のウェブに関する複数の製造プロセスにわたる空間的に位置合わせされた異常情報の使用は、大きく強化されたプロセス品質分析及び制御、欠陥的製品の封じ込め、ウェブ利用の増加、削減されたコスト、収益若しくは利益の増加並びに様々な他の可能性のある利点など、多くの利点をもたらすことができる。例えば、全体の製造プロセスにわたって、欠陥位置の位置合わせを0〜5mm内、又は好ましくは0〜2mm内に維持することは可能な場合がある。別の例として、各サブプロセスに関して、原因による廃棄を識別することは可能な場合がある。更に、収集されたデータは、異なる作業から組み合わされた部分を最適化するのに有用であると立証することができる。欠陥が最終製品内で検出不可能であったとしても、欠陥的部分を自動的に排斥することも可能である。
【0033】
図2は、図1のウェブ製造工場6Aの代表的な実施形態における1つのプロセスラインの代表的な実施形態を示すブロック図である。代表的な実施形態において、ウェブ20の区分は、2つの支持ロール22、24の間に配置されている。画像取得装置26A〜26N(「画像取得装置26」)は、連続して移動するウェブ20に近接して配置されている。画像取得装置26は、連続して移動するウェブ20の連続的な位置をスキャンして、画像データを所得する。取得コンピュータ27は、画像取得装置26から画像データを収集し、この画像データを予備分析のための分析コンピュータ28に送信する。
【0034】
画像取得装置26は、移動ウェブ20の連続的な部分を読み取ることができ、並びにデジタルデータストリームの形態で出力を提供することができる従来の画像デバイスであってもよい。図2に示されているように、撮像装置26は、デジタルデータストリームを直接提供するカメラ又は追加のアナログ−デジタルコンバータを有するアナログカメラであってもよい。他のセンサ類、例えば、レーザースキャナなどが撮像取得デバイスとして利用されてもよい。ウェブの連続的な部分は、データが単一のラインの連続によって得られているということを示す。単一のラインは、センサ要素又はピクセルの一列に位置する、連続して移動するウェブの領域を含む。画像の取得に好適なデバイスの例には、パーキンエルマー(Perkin Elmer)(カリフォル二ア州サニーベール(Sunnyvale))からのモデル#LD21などのラインスキャンカメラ、ダルサ(Dalsa)(カナダ、オンタリオ州ウォータールー(Waterloo))からのピラニア(Piranha)モデル又はアトメル(Atmel)(カリフォルニア州サンノゼ(San Jose))からのモデルAviiva SC2 CLが挙げられる。更なる例には、サーフェイス・インスペクション・システムズ社(Surface Inspection Systems GmbH)(ドイツ、ミュンヘン(Munich))からの、アナログ−デジタルコンバータと連結したレーザースキャナが挙げられる。
【0035】
画像は所望により、画像の入手を支援する光学的組立体の利用を介して取得されてもよい。この組立体はカメラの一部であってもよく、又はカメラから分離されているいずれか一方でもよい。光学的組立体は、撮像プロセス中に反射光、透過光又は反射透過光(transflected light)を利用する。反射光は、例えば、表面のスクラッチなどウェブ表面の変形によって生じた欠陥の検出に、しばしば好適である。
【0036】
基準マークコントローラ30は、ウェブ20からロール及び位置情報を収集するための基準マーク読み取り器29を制御する。例えば、基準マークコントローラは、ウェブ20からバーコード又はその他の表示を読み取るための1つ以上の光学(photo-optic)センサを含んでもよい。更に、基準マークコントローラ30は、ウェブ20及び/又はローラー22、24に係合された1つ以上の高精度なエンコーダからの位置信号を受信してもよい。位置信号に基づいて、基準マークコントローラ30は、それぞれ検出された基準マークに関する位置情報を決定する。例えば、基準マークコントローラ30は、プロセスラインに適用された座標軸内でそれぞれ検出された基準マークの位置を特定する位置情報を作成してもよい。あるいは、分析コンピュータ28は、基準マークコントローラ30から受信された位置データに基づいて、座標系内で検出された基準マークのそれぞれを配置してもよい。この場合、基準マークコントローラ30によって供給された位置データは、ウェブ20の長さに沿った寸法内の各基準マーク間の距離を示すことができる。いずれの場合においても、基準マークコントローラ30は、ロール及び位置情報を分析コンピュータ28に通信する。
【0037】
分析コンピュータ28は、取得コンピュータ27からの画像ストリームを処理する。分析コンピュータ28は、1つ以上の最初のアルゴリズムを用いて、デジタル情報を処理し、最終的に欠陥として見なす恐れがある異常を含むウェブ20のいずれかの領域を識別するローカルな異常情報を生成する。それぞれ識別された異常に関して、分析コンピュータ28は、画像データから、異常及び、場合によってはウェブ20の包囲する部分を包含するピクセルデータを含む異常画像を抽出する。分析コンピュータ28は、必要な場合、異常を種々の欠陥クラスに分類してもよい。例えば、スポットと、スクラッチと、オイルドリップとを区別するための固有の欠陥クラスがあってもよい。他のクラスは、欠陥の更なるタイプを区別してもよい。
【0038】
基準マークコントローラ30によって作られた位置データに基づき、分析コンピュータ28は、プロセスラインの座標系内の各異常の空間的位置を決定する。即ち、基準マークコントローラ30からの位置データに基づき、分析コンピュータ28は、現在のプロセスラインによって使用されている座標系内の各異常に関するx−y及び、場合によってはz位置を決定する。例えば、座標系は、x次元が、ウェブ20を横断する距離を表し、y次元がウェブの長さに沿った距離を示し、z次元がウェブの高さを表すように定義されてもよく、これはコーティング、材料又はウェブに既に適用された他の層の数に基づいてもよい。更に、x、y、z座標系に関する原点は、プロセスライン内の物理的位置で画定されてもよく、一般的に、ウェブ20の最初の送り配置に関連している。現在のプロセスラインに関して定義された座標系は、ウェブ20に適用された、任意の先の若しくは後に続くプロセスのための同じ座標系ではなくてもよい(そして、典型的には同じではない)。
【0039】
いずれの場合においても、分析コンピュータ28は、プロセスラインの座標系に関連してそれぞれの異常の空間的位置をデータベース32に記録し、この情報は、本明細書において、ローカルな異常情報と呼ばれる。即ち、分析コンピュータ28は、ウェブ20に関するロール情報及び各異常の位置情報を含む、ウェブ20に関するローカルな異常情報をデータベース32内に格納する。以下に記載のように、現在のプロセスラインに関して生成されたローカルな異常情報は、同じウェブに関して他のプロセスラインによって生成されたローカルな異常情報と共に後で空間的に位置合わせされる。データベース32は、1つ以上のデータベースサーバーを実行するデータストレージファイル又は1つ以上のデータベース管理システム(DBMS)を含む、様々な形態の任意の数で実行されてもよい。データベース管理システムは、例えば、リレーショナル(RDBMS)、階層的(HDBMS)、多次元(MDBMS)、オブジェクト指向(ODBMS若しくはOODBMS)又はオブジェクトリレーショナル(ORDBMS)データベース管理システムであってもよい。一例として、データベース32は、SQLサーバー(SQL Server)(商標)によってマイクロソフト社(Microsoft Corporation)から提供されているリレーショナルデータベースとして実行される。
【0040】
いったんプロセスが終了すると、分析コンピュータ28は、データベース32内に収集されたデータを変換制御システム4にネットワーク9を介して送信する。具体的には、分析コンピュータ28は、その後のオフラインの詳細分析のために、ロール情報、並びにローカルな異常情報及び対応するサブイメージを変換制御システム4に通信する。例えば、この情報は、データベース32と変換制御システム4との間のデータベース同期を経由して通信されてもよい。
【0041】
異常データの空間的位置合わせは、1つ以上のプロセスの後、又はいったん全てのプロセスが完了した後のいずれかで、変換制御システム4でその後に実施することができる。あるいは、分析コンピュータ28は、空間的位置合わせを実施してもよい。例えば、かかる実施形態において、変換制御システム4は、整合された異常データに使用されるべき座標系の分析をコンピュータ28に伝えるために、分析コンピュータ28を有するネットワーク9を介して通信してもよい。この場合、分析コンピュータ28は、ウェブ20に関するローカルな異常データの位置を空間的に位置合わせしてもよく、これは典型的に、変換制御システムによって特定された代表的な座標系と共に、現在のプロセスラインの座標系に基づいている。変換制御システム4は、ウェブ20に適用された第1製造プロセスラインに関連する座標系に基づいた空間的位置合わせに使用される代表的な座標系を選択してもよい。あるいは、ウェブ20に使用された又は使用されるよう計画された、任意の他のプロセスラインの座標系が選択されてもよい。更に、変換制御システム4は、製品ラインに関連する座標系のいずれかと異なる座標系を定義してもよい。
【0042】
例として、第1製造プロセスは、ウェブ20の長さに沿って76.027メートル(m)の位置で、基準マーク「38」を記録してもよい。現在のプロセスは、しかしながら、0.011mのオフセットにて76.038mで基準マーク「38」を記録する場合がある。分析コンピュータ28(又は所望により変換制御システム4若しくはある他の中央化された演算装置)は、現在のプロセスに関する位置データの測定を調節して、その位置データを第1プロセスからの位置データと調整することができる。即ち、上記の例から、分析コンピュータ28は、検出された基準マーク「38」に関する位置データを変換して、第1プロセス内の位置76.027mに一致させることができる。同様に、分析コンピュータ28が、位置76.592mで異常を検出した場合、分析コンピュータ28は、同程度の変換を適用し、この異常が位置76.581mで存在しているように記録する。この変換は、例えば、基準マーク「38」の現在位置及び同じ基準マークの事前に記録された位置に基づいて決定されたオフセット又は他の変換関数に従って、現在のプロセスによって測定されたとき、異常の位置を調整することによって実施されてもよい。分析コンピュータ28は、各基準マークに関して同じオフセット若しくは他の変換関数を使用してもよく、又は分析コンピュータ28は、2つの連続した基準マーク間に発生するウェブの各区分に関して固有のオフセット又は他の変換関数を決定してもよい。即ち、分析コンピュータ28は、基準マーク「38」と「39」との間の異常に適用されるオフセットは0.011mであり、その一方で、基準マーク「76」と「77」との間の異常に適用されるオフセットは、0.008mであると決定することができる。
【0043】
別の実施形態において、各プロセスラインは、全ての他のプロセスとは無関係に、ローカルな異常データを収集してもよい。即ち、各製造工場又は製品ラインの分析コンピュータ28は、現在のプロセスの座標系に関連して計測したときの基準マーク及び異常を、いずれか他のプロセスによって基準マークに関して記録された位置データを考慮することなく、データベース32に記録する。分析コンピュータ28は、このデータを変換制御システム4にネットワーク9を介して送信する。いったんプロセスの全てが完了すると、変換制御システム4は収集されたデータの全てを整合することができる。
【0044】
例として、第1プロセスは、ウェブの長さに沿って76.027mの位置で基準マーク「38」を記録したかもしれず、その一方で、ウェブに適用された、後に続く製造プロセスは、76.038mで基準マーク「38」を記録したかもしれない。同様に、その後のプロセスは、位置76.592mで異常を記録したかもしれない。変換制御システム4は、この位置データを送信することによって、後に続くプロセスによって測定された基準マーク「38」を空間的に位置合わせして、第1製造プロセス中に測定された76.027mに一致させることができる。変換制御システム4は、次いで、後に続くプロセス中に検出された異常に関する位置データ上に同様の変換を実施し、この異常を計算されたオフセット0.011mmに従って、位置76.581mで存在するように記録することができる。上記のように、変換制御システム4は、各プロセスからの各基準マーク及び異常に同じオフセットを使用してもよく、あるいは変換制御システム4は、各プロセスからのウェブの、2つの連続する基準マークの間に発生する各区分に関する固有のオフセットを決定してもよい。例えば、変換制御システム4は、基準マーク「38」とプロセス5からの基準マーク「39」との間のオフセットが、0.011mであると決定してもよく、一方で、基準マーク「76」とプロセス5からの基準マーク「77」との間のオフセットは0.008mであると決定してもよい。他の機能が使用されて空間的にデータを位置合わせしてもよい。例えば、変換制御システム4は、ローカルの異常データを空間的に位置合わせする際に使用する座標系を定義し、変換制御システム4は、1つ以上のマッピング関数を適用して、位置データを座標系の中に描いてもよい。
【0045】
図3は、1つのウェブに適用された製造プロセス50の代表的なシーケンスを示すブロック図である。代表的な実施形態において、製造プロセス50のシーケンスは、ウェブロール7に個々のプロセスライン74A〜74Q(「プロセスライン74」)を通過させることによって、ウェブロール7の上に多くの個々の製造プロセスを実施することができる。プロセスライン74は、1つの製造工場6によって提供されてもよく、又は別の製造工場内に配置されてもよい。
【0046】
一般に、プロセスライン74のそれぞれは、多くの工程52を実施するための機器及び多くの検査工程54を実施するための1つ以上の検査システムを含む。プロセスライン74のそれぞれに関して1つ以上の検査システムがあってもよい。あるいは、検査システムを有さないプロセスライン74の一定のサブセットがあり、その一方で、残りのプロセスライン74は、1つ以上の製品検査を有してもよい。
【0047】
図3に記されているようなものなど、プロセス及び検査の代表的なシーケンスにおいて、ウェブロール7は、プラスチックフィルムであってもよく、これはベースフィルムが工程52Aに従って第1に形成される、プロセスライン74A上で開始してもよい。このプロセスライン上に、ウェブロール7は巻き出され、最初の検査54Aが実施されてもよい。工程52Aは、例えばウェブロール7を洗浄してもよく、工程52Bは、ウェブロール7を下塗りしてもよく、工程52Cは、ウェブロール7を硬化してもよい。ウェブロール7は次いで、検査54Bによって2回検査され、次いでロールに巻かれてもよい。
【0048】
ウェブロール7は、その後に移動されるか、プロセスライン74Bに移送されてもよく、そこではウェブロール7は次いで、プロセスライン74Bの中に送るために巻き出される。この例において、工程52Dは、エンボス加工されたパターンをウェブロール7に付与し、次いで(7)、検査工程54Cは、ロールに回収される前に実施される。
【0049】
更なる製造プロセスは、ウェブロール7が最終のプロセスライン74Qに移送されるまで、後に続くプロセスラインによって実施されてもよく、そこではウェブロール7は再び、巻き出される。例として、工程52Nはウェブロール7を不透明な接着剤でコーティングしてもよく、作業52Pはウェブロール7を紫外線硬化し、及びウェブロール7をライナーフィルムに積層してもよく、そこでは、ウェブロール7がウェブロール10として最終的な形態に再び巻かれる前に、1つ以上の検査54Mがある。ウェブロール10は、次いで、製品12に変換される準備ができる。
【0050】
工程52のいずれか1つは、後で欠陥として識別される異常をウェブロール7に付与する場合がある。よって、1つ以上の種々の製造プロセスライン74内で欠陥を検出することが望ましい。例えば、図3に示されているとおり、プロセスライン74のそれぞれに関する1つ以上の検査54があってもよい。頻繁にウェブを検査することによって、プロセスラインのそれぞれでの検査から捉えられたローカルな異常データは調査されて、工程52のそれぞれを個々に最適化することができる。これは迅速な是正のために、欠陥の原因を識別させることができる。
【0051】
更に、プロセスラインのそれぞれでの検査から捉えられたローカルな異常データは、後で空間的に位置合わせされ、様々な目的に使用することができる集約異常情報を形成することができる。例えば、この集約異常情報は調査され、最終製品における全体の欠陥へのそれらの寄与に基づいて、工程52のそれぞれを更に最適化することができる。即ち、ウェブに関して最終的に選択された製品のアプリケーションによって、工程52によって実施された作業のいくつかは、先のプロセスの1つによって取り込まれた異常の影響を排除する、被覆する、ないしは別の方法で効果的に取り除く若しくは縮小させるために作用する場合がある。ウェブのベース材料に取り込まれた異常は、例えば、ウェブに適用されたコーティングによって後で被覆される場合がある。更に、いくつかの、いわゆる隠された異常は、最終製品の最終性能にわずかに影響を与えるか、又は全く影響を与えないことがある。空間的に位置合わせされた集約異常情報の使用は、変換制御システム4に、選択されたアプリケーションを含む様々な要因に基づいて、ウェブのマルチプロセス生産から関連のある異常のみを識別させることができる。
【0052】
図4は、図1に示された分散されたウェブ製造システム2の例示的な実施形態の図である。具体的には、図4は、図1の例示システムの特定の構成要素を詳細に示す。ウェブ製造工場6のそれぞれは、図2及び3に示されるような検査システム及び分析コンピュータを有する、1つ以上のプロセスライン74を含んでもよい。更に、各ウェブ製造工場、例えばウェブ製造工場6Aは、統合サーバー、例えば統合サーバー76Aを含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、単一のプロセスライン(processing line)74は、ウェブ上に複数の作業を数回で実施してもよい。例えば、プロセスライン74Aは、ウェブロール7上に第1作業又は作業のセットを、1つ以上の座標系及び/又は基準マーキングの第1セットを使用して実施するよう構成されてもよい。いったんプロセスライン74Aが第1作業を終了すると、プロセスライン74Aは、潜在的に1つ以上の座標系及び/又は基準マーキングの第2のセットを使用して、第2作業又は作業のセットを実施するよう再構成されてもよい。ウェブロール7は、次いで、「再度ローディング」され、即ち、プロセスライン74Aのスタートに再び配置されてもよく、次いでプロセスライン74Aは、第2の作業又は作業のセットをウェブロール7上に実施してもよい。この方法で、単一のプロセスライン、例えばプロセスライン74Aは、ウェブロール7の変換プロセスにおいて全ての必要な作業を潜在的に実施することができ、第1セットの作業及び第2セットの作業に関する位置データは、本明細書に記載の技術に従って空間的に位置合わせすることができる。
【0054】
各ウェブ製造工場、例えばウェブ製造工場6Aは、1つ以上の統合サーバー、例えばデータの収集及び通信のための統合サーバー76Aを含んでもよい。統合サーバー76Aは、プロセス74A〜74Bのそれぞれの対応する分析コンピュータ28からデータを回収して、変換制御システム4に送信してもよい。変換制御システム4は、ウェブロール10に対応するグローバルデータを回収し、格納してもよく、並びにローカルな異常情報及びロールのそれぞれに関する集約異常情報をコピーしてもよい。一実施形態において、統合サーバー76は、ウェブロール7のそれぞれに特定の「ロール名」を割り当てる。別の実施形態において、統合サーバー76は、ウェブロール7、10の区分に、ロール名を割り当ててもよい。一実施形態において、統合サーバー76は、ロール名を特定のウェブロール若しくはウェブロールの区分及び特定のプロセスライン74に関連付けてもよく、即ち、任意の1つのウェブロール7は、複数の様々なロール名を含んでもよく、各ロール名は、異なるプロセスライン74に対応する。更に他の実施形態では、統合サーバー76は、ウェブロール7に任意のロール名を割り当てないが、基準マーク、例えば図5に示された基準マークの1つとして、一連の基準マークに従ってのみウェブロール7を識別する。
【0055】
いくつかの実施形態において、統合サーバー、例えば統合サーバー76Aは、変換制御システム4に通信する前に、プロセスライン74Bで作られた異常データを、第1プロセスライン、例えばプロセスライン74Aから収集されたデータと整合する。別の実施形態において、統合サーバー76A〜76Nのそれぞれは、プロセスライン74のそれぞれから受け取ったローカルな異常情報を、位置合わせなしで格納してもよく、変換制御システム4は、その後にローカルな異常情報を統合サーバー76A〜76Nのそれぞれから回収し、後でデータの全てを変換制御システム4内に内部で整合し合成マップを形成してもよい。更に別の実施形態において、統合サーバー76Aは、ウェブ関する生成された異常情報をオンサイトで整合するために、例えば変換制御システム4からの指示を受け取ってもよい。
【0056】
1つの例において、変換制御システム4は、統合サーバー76からの各ウェブロール10に対応する全てのデータを収集し、統合してもよい。別の例において、変換制御システム4は、各ウェブロール10に関するデータの外部の場所を記載するメタデータを作成してもよく(例えば、統合サーバー76のそれぞれに関するネットワークアドレスを特定することによって)、変換制御システム4は、このメタデータを後で使用して、特定のウェブロール10に関連して、統合サーバー76のそれぞれからのデータの統合を制御してもよい。
【0057】
1つの例において、データは、特定の場所、例えば工場6Aの、例えばプロセスライン74Aから始まってもよい。各ウェブロール10には、特定のウェブロール10が意図されている製品(単数)又は製品(複数)を記述してもよい識別子が割り当てられてもよい。識別子はまた、特定のウェブロール10を独自に識別してもよい。
【0058】
1つの例において、ウェブロール10のそれぞれは、特定の「レシピ」を経てもよい。レシピは一般的に、特定のウェブロール10を操作するために作業するプロセスラインの組み合わせ又は定義されたシーケンスである。例えば、1つのレシピは、工場6Aのプロセスライン74A、工場6Cのプロセスライン74E及び工場6Nのプロセスライン74Qであってもよい。
【0059】
ウェブロール10は、プロセスライン74で巻き出され、また巻き戻されるため、変換制御システム4は、データの統合を容易にするために、ロールがプロセスライン上で移動している方向を識別することができる。ウェブロールの方向は、基準マークの分析に基づいて決定されてもよい。一実施形態において、例えば基準マークは、それぞれ連続的な基準マークのための1つによってインクリメントする整数のシーケンスであってもよく、したがって、基準マークが上昇しているか、又は下降しているかを分析することによって、ウェブロールの方向(即ち、ロールのどちらの端が、製造プロセスに最初に送られたか)を決定することができる。
【0060】
いったんデータの全てが整合されると、変換制御システム4は、合成マップ及び変換計画を、ファイル・トランスファー・プロトコル(FTP)又は任意の他のデータ通信プロトコルを使用することなどによって、変換システム78のサーバー75に転送することができる。ウェブロール10は、変換サイト8A〜8N(「変換サイト8」)の1つに移送されてもよい。変換サイト8は、ウェブロール10を製品12に変換するときに、変換制御システム4からの合成マップ及び変換計画を利用することができる。
【0061】
図5Aは、個々のウェブ上に印刷されるか、ないしは別の方法で形成されてもよい、例示の基準マークの一実施形態を示す図である。より具体的に、基準マークは、ウェブ上での物理的位置の正確な配置と独自の識別のために、ウェブ(図7)の長さ、好ましくはウェブの売却される領域の外部にわたって規則的な間隔で配置される。本明細書に記載のように、本技術は基準マークを利用して、電気的な位置データが、様々なエラー源、生産ライン及び製造工場さえも含みながら、複数のユニット作業に関して正確に空間的に位置合わせされ、組み合わされることを可能にする。換言すれば、基準マークは、読み取り器が後で基準マーク(単数又は複数)の位置に関するエラーを検出し、記録できるようにする。バーコード及び他の形状を含むように示されているが、しるしの他の形態が、かかる目的を果たしてもよい。
【0062】
図5に記載のような基準マークの一実施形態において、基準マークは、1つ以上の位置特定マーク82、84及びバーコード80を有する。位置特定マーク82、84は、基準マーク読み取り器にバーコード80の位置を正確に見つけさせることができる。バーコード80は、機械読み取り可能フォーマットで提供された情報を示す。バーコード80は、例えば各基準マークに関する独自の識別子をエンコードしてもよい。バーコード80は、他の情報、例えばマークを適用するときに使用された座標系に基づいた位置情報、マークがそこに適用されるウェブに関する識別子、ウェブの製造に使用された若しくは計画された生産ラインの指定、製造プロセスライン及び/又は製造工場にわたるウェブに関する経路を規定する経路情報、適用された材料を識別し、並びにウェブの順番及び領域を識別する情報、プロセス中に測定された環境条件、ウェブのダウンストリームの処理に関する指示及び他の情報のホストなどをエンコードすることができる。
【0063】
一実施形態において、バーコード80は、インターリーブド「2オブ5」(interleaved “2 of 5”)コードに従ってもよい。一実施形態において、バーコード80は、0〜999,999の範囲内の簡単な整数を示してもよい。一実施形態において、ウェブ上に配置された各基準マークは、先の基準マークよりも大きい。一実施形態において、基準マークは、インクジェットプリンタを用いてウェブに適用されてもよい。ウェブ上に基準マークを配置するプロセスは、フローダー(Floader)らの同時係属出願である米国特許出願第2005/0232475号「材料のウェブ上の欠陥の自動マーキング用装置及び方法(Apparatus and Method for the Automated Marking of Defects on Webs of Material)(2005年公開)に更に詳細に記載され、これは本明細書において、その全体が参照により組み込まれる。
【0064】
他の実施形態は、様々な他の方法における基準マークを表してもよい。例えば、データは、1Dバーコード、2Dバーコード、光学式文字読み取り装置(OCR)又は磁気的なエンコードによって示されてもよい。更に、他の実施形態は、インクジェット印刷、レーザー印刷を使用して、又は機械的なラベルをウェブに固定することによって、基準マークをウェブに適用してもよい。基準マークを示す他の手段、並びに他の適用方法も使用されてもよい。更に、基準マークは、繰り返し適用される必要も規則的に離間される必要もなく、基準マークとして、単に、異常に関する参照点として機能し、繰り返し適用する基準マークは単に、基準マークを作る便利な方法である。
【0065】
概して、基準マークは、様々な検査から記録された異常の電子データを組み合わせるために使用される。第1製造プロセス中に、基準マークはウェブ上に、好ましくは販売可能な製品の外側のウェブの縁部近くに既に存在していてもよい。基準マークが存在しない場合、ウェブに適用された第1製造プロセスは、基準マークを、例えばウェブの縁部に沿って規則的な間隔で適用すべきである。一実施形態において、各基準マークは、先の基準マークよりも1単位大きい整数を表す。一実施形態において、基準マークは、ウェブ上に約2m離れて記録される。正確な距離は、基準マークが位置の相対的な指標として役割を果たすときは、必要とされない場合がある。
【0066】
図5Bは、基準マークの別の例示的な実施形態を示す。この実施形態において、基準マークは、図5Aにおいて示されたものと目的及び機能が実質的に同様である、2つの位置特定マーク82、84を含む。しかしながら、図5Bのバーコード81は、図5Aのバーコード80と実質的に異なり、製造データを表す第1マーク及び基準マークを独自に識別するための第2マークを有するバーコード81を含む合成基準マークとして表される。特に、この実施例において、バーコード81は、インターリーブド2オブ5フォーマットにおいて12桁情報(上層及び下層のそれぞれにおいて6桁)の情報を含む。インターリーブド2オブ5フォーマットに関連して記載したが、他のバーコードフォーマットも、同様に使用されてもよい。この実施例において、下層の桁は0〜999,999の範囲の簡単な整数を形成する。上層は、3片の情報(基準マークを適用した製造プロセスラインを示すシステム識別子(ID)と、基準マークがいつ適用されたかを示す日、及び年として表される日付)を含む。上層の桁は、SSYDDDのように配置されてもよく、下層の桁は6桁の整数######のように配置されてもよい。代表的なバーコード81の内容は、以下の表1に要約されている。
【0067】
【表1】

【0068】
システムIDは、製造工場6の中で分割されてもよい。例えば、システムIDは、以下の表2に示されるように分散することができる。
【0069】
【表2】

【0070】
多層(multi-tiered)バーコードの使用は、いくつかの利点をもたらすことができる。例えば、多層バーコードは、複数の読み取り器を単に利用することによって、単層バーコードのみを読み取るよう設計された読み取り器(例えば、図6)との、互換性を有する。同様に、この多層バーコードは、作業の全製造チェーンにわたる全てのプロセス及び特定のシステムを独自に識別するために必要とされる全ての情報を包含する。異なるプロセスからの基準マークは、いかなる情報の損失又は不明瞭さを作り出すことなく、同じウェブに適用されてもよい。移動ウェブ上(one a moving web)に基準マークを挿入するための1つの代表的な方法は、図15に関連して以下に記載されている。
【0071】
図6は、代表的な基準マーク読み取り器29(図2)の図である。例示された実施例において、基準マークリーダー29は、バーコードリーダー85、2つの基準センサ86A、86B及びその上に搭載された光源88を有するフレーム含む。更に、マイクロコントローラ若しくは一般的なプロセッサであってもよい基準マークコントローラ30は、基準マーク読み取り器29内に組み込まれるか、又は好適な電子データパスによって読み取り器29に連結されてもよい。
【0072】
基準マークコントローラ30は、基準センサ86A及び86Bから信号を受信し、基準マークの位置特定マーク82、84の両方を検出すると、同時に又は所定の時間周期内のいずれかで、例えば0〜10ミリ秒内で、バーコードスキャンを起動する。この方法で、基準センサ86A及び86Bは、バーコード読み取り器85に関連する読み取領域内に、いつバーコードがあるのかを決定するために使用される。基準センサ86A及び86Bは、焦点調整光学を伴う光学センサであってもよい。一実施形態において、基準位置特定装置82、84は、印刷される、ないしは別の方法でウェブ上に所定の幅Wを離して配置され、基準センサ86A及び86Bは、実質的に同時に両方の位置特定マーク82、84を検出するために、このW離れた幅で基準マーク読み取り器のフレーム上に搭載される。1つの実施例において、幅Wは、100mmであるよう選択される。
【0073】
両方のセンサ86A及び86Bが、対応する位置特定マークを検出したとき、基準マークコントローラ30は、基準マークのバーコード80を読み取るために光源88を起動する。いくつかの実施形態において、光源88は、常に点灯したままであってもよい。他の実施形態において、光源88は、両方の基準センサ86A、86Bが位置特定マークを実質的に同時に検出したときのみ照明されてもよい。一実施形態において、両方の基準センサ86A及び86Bは、位置特定マーク82、84を検出し、バーコード読み取り器85は、バーコードをリアルタイムで読み取るために画像データを処理するよりはむしろ、バーコード80の画像を捕捉する。基準マークコントローラ30は、データベース32にその画像を格納してもよく、捕捉されたバーコード80の画像データの代表は、しばらく後で読み取られ、解釈されることができる。別の実施形態において、基準マークコントローラ30は、バーコード読み取り器85に、リアルタイムでの処理のためのバーコード80の画像を捕捉し、バーコードを読み取るよう指示する。即ち、バーコード読み取り器85は、バーコード80の画像からデータを抽出し、その画像データを分析してその中に含まれた機械で読み取り可能な情報を決定することができる。
【0074】
いったんバーコード読み取り器85がバーコード80を読み取ると、基準マーク読み取り器29は、バーコード80から読み取られた情報を整数の形でデジタルデータへ変換してよい。基準マーク読み取り器29は、このデータを基準マークコントローラ30に送信することができる。このとき、基準マークコントローラ30は、ウェブと係合されたエンコーダ内蔵型ホイールから受信された、エンコードされた基準信号に基づいて、移動ウェブの位置を決定することができる。基準マークコントローラ30は次いで、位置情報、並びにバーコードデータを分析コンピュータ28に送信することができる。分析コンピュータ28は、バーコード80から読み取られた識別子を、基準マークの物理的位置を示すデータと組み合わせて、またこの情報をデータベース32に格納してもよい。一実施形態において、基準マークコントローラ30は、ネットワークソケット(networked socked)若しくは他のネットワーク通信プロトコルを使用するコンピュータネットワークを介して、データを分析コンピュータ28に通信する。データを通信するための他の好適な方法も使用することができる。
【0075】
図7は、例示のウェブ92及び、異常の最初の取り込み、後に続く新しい異常の取り込み及び先の異常のいくつかのマスキングを含む、ウェブが経験する場合がある例示の変更を示す図である。この実施例において、ウェブは、3つの異なる生産ラインに対応する可能性のある、3つの連続する製造プロセス90A、90B及び90Cを使用して製造される。ウェブを正しく製造するために、ウェブは複数のプロセスライン74間に移され、正しいプロセス90A〜90Cに正しい順序で到達する必要がある場合がある。この移動は、ウェブをロールに巻き付け、それを同じ製造工場内の異なるプロセスラインに、又は図1、3に関連して示されるように、ウェブを異なる工場に移送することさえも含んでもよい。
【0076】
図7に示されているように、製造プロセス90A〜90Cのそれぞれは、それ自体の異常をウェブ92の中に取り込まれる場合がある。更に、各製造プロセス90A〜90Cは、初期の異常が、不可能でないにしても検出するのが難しいようなやり方でウェブ92を変更する場合がある。特定のプロセス90A〜90Cがウェブ上で行うとき、作業(例えば洗浄、コーティング等)は、最終のウェブ内で、初期のプロセスによって取り込まれた異常を発見することを難しくさせる、又は不可能にさせるようなやり方でウェブ92を変更する場合がある。記載のように、製造プロセス90A〜90Cのそれぞれは、ウェブを少なくとも1回検査し、それによって製造プロセスのそれぞれの間で検出可能な異常に関してデータを収集してもよい。
【0077】
特に、図7の例示において、第1ロール(ロール#1520098)は、そのプロセスのときに基準マーク93のセットがウェブ92に決められる製造プロセス90A内で最初に処理される。示されているように、基準マークは、693〜14597の割り当てられた識別子であり、様々なエラー源を含む複数のユニット作業内で電子データが正確に組み合わされるようにする物理的な「位置合わせマーカー」である。第1製造プロセス90A中に、異常95Aの第1セットは、ウェブ92内に作成され、1つ以上の検査システムによって検出される。
【0078】
次に、第2製造プロセス90Bによって処理されるために、ウェブ92は、切断され、2つのロール(MR20050及びMR20051)に巻かれる。このプロセスにおいて、ウェブ92は、ロールから巻き出され、製造プロセス90Bを通じて反対の方向に送られる。示されているように、製造プロセス90Bは、異常95Bの第2セットを取り込む。初期の異常95Aのサブセットは未だ検出可能であり、残りの部分は製造プロセス90Bの検査システムから隠れた状態である。
【0079】
次に、第3の製造プロセス90Cによる処理のために、ウェブ92は、2つのロール(A69844及びA69843)に巻かれる。このプロセスにおいて、ウェブ92はロールから巻き出され、第1製造プロセス90A中に使用される最初の方向内に製造プロセス90Bを通して送られる。示されているように、製造プロセス90Cは、異常95Cの第3セットを取り込んだ。異常95A、95Cのサブセットは検出可能であり、他の異常は製造プロセス90Cの検査システムから隠れた状態である。
【0080】
合成マップ94は、いったん空間的に位置合わせされ、集約異常データを形成するために統合されたプロセス90A〜90Cのそれぞれからローカルな異常データを示す。合成マップ94は、位置合わせされたデータを含んでもよい。位置合わせされたデータは、複数のプロセス74からのウェブロール7の共通区分に対応する統合されたデータであると考えられてもよく、そこではデータは許容誤差内で配列されている。即ち、異なるプロセス74によって生成されたデータは、許容誤差範囲でウェブ上に実質的に同様な物理的位置に正しく関連している。合成マップ94を作成するために、変換制御システム4は、検出された異常に関する位置データを含む、各プロセス90A〜90Cからのローカルな異常データ、並びにそれぞれのプロセス中に読み取られた基準マーク93に関する位置データを、指定された許容誤差、即ち精度の程度まで空間的に同期させることができる。高精度は、例えば約0〜2mmであってもよい。標準の精度は、例えば5mm内であってもよい。150mm又は約6インチよりも外にある位置合わせはエラーの程度が大きいため、「非位置合わせ」と見なすことができる。図7において示されているように、代表的な合成マップ94は、全てのプロセス90A〜90Cの検査システムによって検出された異常95の全てを含む。
【0081】
組み合わされた異常を記載する合成マップ94は、ウェブを完成した製品に変換するときに、ウェブ92の個々の部分を承認する又は排斥するために使用されてもよい。合成マップ94はまた、製造プロセス90A〜90Cのそれぞれ個別を選択的に最適化するために使用されてもよい。
【0082】
例として、ウェブがプリント回路パターンからなる場合、欠陥を引き起す異常は、ショートを引き起す導電性材料の不具合片(erroneous piece)である場合がある。後のプロセスにおいて、基板は、短絡を検出不可能にする不透明な絶縁体でコーティングされる場合がある。このウェブを、導電性材料の印刷プロセス後であるが、絶縁体でウェブをコーティングする前にいったん検査することによって、その不透明な絶縁コーティングのために、ウェブの最終形態において異常を検出することは不可能であるが、後で、ウェブのこのショートした領域が不具合があるということを決定することは可能である。別の同様な実施例は、ショートというよりはむしろ、導電性材料印刷機が、印刷に失敗し、回路を断線させたままにする場合がある。再び、不透明な絶縁体の後での塗布は、「断線した」回路を検出不可能にするであろう。絶縁体の塗布前の検査のために、この欠陥は発見でき、顧客に納品される前に、納品される予定の製品のプールから欠陥製品が取り除かれる。
【0083】
図8A及び8Bは、複数の様々な製造プロセスから異常データを統合し、空間的に位置合わせするときに、機能的な工程及びネットワーク環境2(図1)内で実施されるデータ通信の代表的な実施形態を示す。図8A及び8Bにおいて、第1製造プロセス(ユニットプロセス#1)は、それ自体のローカルな座標系に関するデータを記録する。即ち、第1プロセスが、基準マーク「7684」が11,367.885mにあると決定した場合、第1プロセスは、基準マーク「7684」を11,367.885mで記録する。同様に、第1プロセスが、異常がマーク「7684」後に位置11,368.265mであると決定した場合、第1プロセスは、異常を位置11,368.265mで記録する。あるいは、第1製造プロセスは、変換制御システム4によって定義された座標系にデータを変換することができる。いずれの場合においても、各ローカルな製造プロセスは、全てのプロセスが自動的に空間的に同期化されるように、所定の座標系を基準とする。
【0084】
図8Aの実施例において、それぞれ後に続く製造プロセスNは、基準マーク及び基準マークに関連する位置並びに異常を初期のプロセスと同様な状態で読み取るとき、それ自体の座標系(座標系#N)を適用する。しかしながら、これらの後に続く製造プロセスの記録内で、この情報が記録される方法は、初期のプロセスとは異なる。これらの後に続くプロセスは、変換関数を適用することによって、基準マーク及び異常の距離を記録し、初期のプロセスから得られたデータに基づいて計測された距離を調節する。即ち、これらの後に続く製造プロセスは、現在のプロセスNの座標系から初期のプロセスの座標系に位置データを変換することによって、位置データを位置合わせする。入力として、後に続く製造プロセスNの分析コンピュータ28は、現在の製造プロセスN中に読み取った位置データ、並びに対象の座標系(例えば、本実施例において製造プロセス#1に関する座標系#1)に関連する同じ基準マークに関する初期の位置データを使用する。
【0085】
様々な変換関数が使用されてもよい。例えば、現在の製造プロセスNのための位置データは、グローバルオフセット、即ち、全体のウェブに共通のオフセット又は2つの基準マーク間のウェブの各区分に関して計算されたオフセットのいずれかに関連して、変換されてもよい。例えば、対応する分析コンピュータは、関連のある基準マークに関する位置データを処理し、0.004mのオフセットが、基準マーク「13」と「14」との間に検出された異常に関する位置データに適用されるべきであるが、0.007mのオフセットは、基準マーク「20」と「21」との間に検出された異常に関する位置データに適用されるべきであると決定することができる。直線補間(linear interpolation)又は線形倍率(linear scale factor)など他の技術が適用されてもよい。
【0086】
別の例として、第1製造プロセスは、位置112.343mで、基準マーク「61」を記録してもよい。後に続く製造プロセスNは、しかしながら、基準マーク「61」の位置を0.13mのオフセットにて112.356mで記録してもよい。後に続く製造プロセスNは、図8Aに示されるような実施形態に従って、そのデータを、112.343mの位置で存在するように基準マーク「61」の記録に従って調節してもよく、後に続くユニット作業の分析コンピュータ28もまた、この基準マークの後に検出された異常についてのデータを調節して、このオフセットを反映することができる。例えば、後に続くユニット作業は、112.487mでの異常を検出し、分析コンピュータ28は、位置112.474mで異常を記録しながら、0.013mのオフセットを使用して異常の位置を調節してもよい。
【0087】
この方法において、各製造プロセスは、共通の座標システムに基づいている、空間的に位置合わせされたローカルな異常データを作り出したであろう。あるいは、図8の実施例に示されているように、変換制御システム4は、同様な技術を適用して、異常データを空間的に位置合わせしてもよい。いずれかの場合において、変換制御システム4は、ローカルな異常データを回収し、そのデータをウェブに関する集約異常データとして格納してもよい。変換制御システム4は、次いで、各製造プロセス、例えば「OR(又は)」関数を利用することによって収集されたデータからの集約異常を示す合成マップを形成する。即ち、変換制御システム4は、プロセスのいずれか1つが、以下に更なる詳細が記載されるように、許容可能な程度の精度内で、異常がその場所に存在すると記録した場合、合成マップ上の特定の位置で異常を記録することができる。変換制御システム4はまた、クラスによって異常を分類してもよい。合成マップは、特定の位置内の特定の異常が、特定の製品内で欠陥を引き起すかどうかを後で決定するために使用することができる。
【0088】
図8Bは、空間的位置合わせが集中的に、例えば変換制御システム4内で実施される別の実施形態を示す。この実施形態において、それぞれ個別の製造プロセスは、それ自体の座標系を定義し、参照する。即ち、基準マーク及び異常の物理的位置など、それぞれ個別の製造プロセス中に収集された位置データは、この個別の座標系に関連して記録される。製造プロセスの全てが終了した後、又は所望により製造プロセスから位置データが受信されたとき、変換制御システム4は、共通の座標系に従って作業の全ての位置データを調節及び使用して合成マップ生成した。合成マップは、1つの座標系内に、全ての事前に記録されたデータを含んでもよい。
【0089】
実施例として、第1製造プロセスの分析コンピュータ28は、基準マーク「61」を位置112.343mでデータベース32に記録してもよい。後に続く製造プロセスに関連する分析コンピュータ28は、しかしながら、基準マーク「61」の位置を0.013mのオフセットにて112.356mで記録してもよい。後に続く製造プロセスは、図8Bに示された実施形態に従って、基準マーク「61」を112.356mで存在するとして記録することができる。変換制御システム4は、0.013mのオフセットを考慮しながら、並びに、したがって欠陥及び基準マーク61周辺の異常に関する全ての位置データを調節しながら、基準マーク「61」が112.343mで記録される合成マップを、しばらくして生成することができる。例えば、後に続くプロセスが112.487mで異常を記録した場合、変換制御システム4は、0.013mでのオフセットに従って、異常の位置を112.474mで記録するであろう。あるいは、以下に詳細が記載されているように、倍率が使用されてもよい。いずれの場合においても、変換制御システム4は、合成マップを生成するときに、単一の座標系を利用して、基準マーク及び異常に関する位置データを単一の座標系に変換する。変換制御システム4は、「OR」関数を使用することによって、各プロセスから収集されたデータから合成マップを更に生成してもよい。即ち、変換制御システム4は、製造プロセスのいずれか1つが、異常がその場所に存在すると記録した場合、合成マップ上で異常を特定の位置で記録する。
【0090】
本明細書で記載される技術を適用して、複数の製造プロセスからの異常情報が使用されるのを阻害する様々な要因を克服できる。例えば、外部デバイス(移動ウェブに係合されている回転エンコーダなど)によって生成されたローカルなプロセス座標系に関する位置データは、互いに異なっていてもよい。しかしながら、異なる製造プロセスからの位置データにおける差は、測定システムにおける差という結果だけでなく、製品それ自体における空間的変化という結果にもなる。例えば、ウェブの処理、巻き取り、輸送、巻き出し及び再加工は、複数の製造プロセス中にウェブを伸長させる場合がある。
【0091】
製造プロセス間の位置の差は、1つの座標系で測定された異常及び欠陥などのウェブ事象(events)に、ウェブが横断しているとき、即ち製造プロセスを通じて送られるとき、別の座標系に対して効果的に「ドリフト」させられることがある。いくつかの場合において、0.75%を超える位置の差が確認されている。基準マークが2メートル離れて配置されているシステムにおいて、このような差は、後に続く基準マークによる再位置合わせの前に14mmの不一致となるであろう。即ち、ユニット作業にわたるシステムの違いによって引き起された「ドリフト」は、一番近いバーコードからの距離によって、0〜14mmまでの様々な範囲を伴う、14mmまでの基点位置のエラーとなる場合がある。
【0092】
本明細書に記載の技術が適用されて、製造プロセスのそれぞれでウェブ検査システムによって作られる異常情報を空間的に位置合わせすることができる。例えば、この不確実性及び誤差を是正するための1つの技術は、線形変換を使用する、位置の是正方法である。一実施形態において、図8Aに関連して記載したように、初期の製造プロセスの後、それぞれの後に続く製造プロセスは、線形変換を実施して、検出された異常に関する位置データを位置合わせすることができる。別の実施形態において、変換制御システム4などの集中型システムは、全てのデータに関して線形変換を実施する。
【0093】
いずれの場合においても、線形変換の1つの実施例は以下のとおりである:第1ユニットプロセスに関しては、EPが、基準マークnの測定された位置とし、D=EP−EPn−1とする。調節されるプロセスに関して、Pは、基準マークnの測定された位置とし、M=P−Pn−1とする。倍率(SF)を:SF=1及び全てのn>1に関してSF=M/Dとする。位置IPにおいて初期に基準マークkとk+1の間で測定された異常jに関して、調節された位置APは、[(IP−EPSFk+1]+Pとする。換言すれば、最初に測定されたときの基準マークkと後に続くプロセスにおいて測定されたk+1との間の距離が使用されて、これらの2つの基準マークK及びK+1に特有である倍率SFを形成する。いずれかの異常とその異常が起きた後の基準マークとの間の距離は、上記のように倍率に従って対象の座標系に当てはまるように拡大される。
【0094】
表3は、基準マークの各組に関する計算された簡易なオフセットの使用と、上記のように倍率を適用する線形変換との間の違いを比較する。表3において、「マークからの距離」測定は、マーク位置と事象位置との間の差である。簡易なオフセットエラーは、2つのプロセスの「マークからの距離」測定間の差である。表3に示されるように、再位置合わせ及び簡易なオフセットを使用するときのみ、位置の精度は13mmの最大相違と共に著しく変化する可能性がある。しかしながら、線形変換及び倍率の適用は、さもなければ簡単なオフセットの適用に起因するあらゆる残差エラーを実質的に除去する。
【0095】
【表3】

【0096】
図9は、ウェブの生産の高レベルな概略を提供するフローチャートである。最初に、顧客又は同様なニーズを有する1セットの顧客が識別されるか、あるいは特定の仕様に準拠する製品を要求する。例えば、1つのグループの顧客は、ガラス保護用のフィルムを要求してもよく、顧客Aは車両に合うようにフィルムを切断することを要求してもよく、顧客Bは、同様なフィルムであるが、家庭の窓に合うように切断するよう要求してもよく、顧客Cは、商業用建築物の窓に合うようフィルムを切断するよう要求してもよい。
【0097】
最初のウェブ(例えば、製品(100)のためのベースとして機能するためのウェブ)は、ウェブ製造工場6Aで製造される。基準マークは、このとき販売可能な製品領域(102)のウェブの外側の縁部に適用することができる。基準マークをウェブに適用するプロセスは、本明細書において、図15に関連してなど、更に詳細に記載される。
【0098】
ウェブは次いで、ウェブロール7に回収され、プロセスライン74の1つ、例えばウェブ製造工場6(104)の1つでプロセスライン74Aに移送される。プロセスライン74Aは、次いで、プロセス中にウェブロール7を処理し、プロセスラインはウェブ(106)から検査データも収集する。プロセスラインは、プロセス中に検査データを1回以上収集してもよい。データ収集及び空間的位置合わせを含む、プロセスライン74Aの例示的作業は、図10に関連して更に詳細に記載されている。
【0099】
いったんプロセスライン74Aが終了すると、ウェブは、更なるプロセス(108)のために、プロセスライン74の他に送られてもよい。即ち、完了したプロセスラインが、ウェブに関する最後のプロセスラインでなかった場合は(180の「いいえ」枝)、ウェブロール7は別のプロセスライン、例えばプロセスライン74(110)の別の1つに移送されてもよい。
【0100】
しかしながら、完了したプロセスラインが最後のプロセスラインである場合(108の「はい」枝)、ウェブは完成したウェブロール10を表し、変換サイト8(112)の1つに移送される。変換制御システム4は、ウェブロール10と共に、ウェブロール10に関する異常情報の合成マップを表すデータを変換サイトに電気的に通信する。一実施形態において、変換制御システム4は、ウェブロール10の製造に関与したプロセスライン74のそれぞれから収集された異常情報から合成マップを作成する。合成マップの形成において、変換制御システム4は、例えば線形変換関数を使用して、異常情報を空間的に位置合わせすることができ、本明細書において、図13、14に関連して詳細に記載されている。
【0101】
図10は、製造プロセスライン、例えばプロセスライン74Aによって実行される例示の作業を示すフローチャートである。最初に、プロセスライン74Aはウェブロール7(120)を受け取る。一実施形態において、プロセスライン74Aはまた、前のプロセスライン、例えばプロセスライン74Bからの変換制御システム4からもデータを受信することもできる。例えば、変換制御システム4は、空間的位置合わせがローカルで実施されるべきかどうか(即ち、現在のプロセスライン74Aによって)又は変換制御システムが、実質的に位置合わせを実施するかどうかについての指示を提供することができる。別の例として、変換制御システム4は、位置データを、所定の座標系(ウェブに適用された第1プロセスによって使用された座標系など)に空間的に位置合わせするために、現在のプロセスラインに必要なデータを、提供してもよい。
【0102】
次いで、ウェブロールは、ロードされ、プロセスライン74Aが開始する中に送られる。基準マークが、ウェブ(122)上にまだ存在しない場合、プロセスライン74Aは、早期の段階で基準マークを適用するよう構成される。典型的に、基準マークは、ウェブロール7が第1プロセスラインに適用される前に配置されるべきであるが、基準マークが破損され取り替える必要がある場合もあり得る。更に、追加の情報が提供される必要がある場合は、プロセスラインは、既に基準マークを有するウェブに追加の基準マークを適用するよう構成されてもよい。基準マークの適用は図13、14に関連してより詳細に記載される。
【0103】
ウェブがプロセスラインを通って移動するとき、プロセスライン74Aの検査システムは、基準マーク読み取り器29及び画像取得装置26A〜26N(「画像取得装置26」)を用いて、基準マーク及び異常に関する情報を取得する。即ち、検査システムは、異常に関してウェブの検査を開始するであろう。データ収集のプロセスは連続的であるが(即ち、ウェブは絶えず移動していてもよい)、データ回収プロセスは、明瞭性のために、基準マーク間のウェブの別個の区分に関連して記載されている。
【0104】
分析コンピュータ28は、最も近接している基準マークに関連して異常を検出し記録する。特に、分析コンピュータ28は、基準マーク読み取り器29(126)を用いて、基準マークを特定する。即ち、基準マークコントローラ30は、基準マークについての識別情報を基準マーク読み取り器29から取得し、この情報を分析コンピュータ28に送信する。分析コンピュータ28は、今度はこの識別情報を、ウェブ上の基準マークの位置に沿って、データベース32(127)に記録する。
【0105】
このプロセス中に、画像取得装置26は、ウェブをスキャンし、異常(128)を検出するのに有用な画像データを作成する。画像取得装置26の1つ、例えば画像取得装置26Aが異常を発見したとき、対応する取得コンピュータ、例えば取得コンピュータ27Aは、分析コンピュータ28に異常の存在及び位置を伝える。分析コンピュータ28は、一番最近の基準マーク、異常の位置及び基準マークから異常までの距離をデータベース32(130)に記録する。一実施形態において、分析コンピュータ28は、合成マップを作成するための単一の座標系を維持するために、変換制御システム4から受信された位置データに関連して、位置データを調節する。別の実施形態において、分析コンピュータ28は、プロセス74Aにローカルな座標系を使用し、変換制御システム4は、異常情報を空間的に位置合わせし、図11に関連して記載されるように、全てのプロセスライン74が終了した後、合成マップを形成する。
【0106】
ウェブの末端部が到達していない場合(134の「いいえ」枝)、ウェブロール7の分析は、この基準マーク及びこの基準マークの後に発生する異常に関連して上記のように続くだろう。しかしながら、ウェブの末端部が到達した場合(134の「はい」枝」)、分析コンピュータ28は、データベース32から、この検査中に収集されたウェブロール7内の異常についてのデータを抽出し、このデータを変換制御システム4に送信する(136)。
【0107】
図11は、1つの代表的な実施形態における複数のプロセスから収集されたデータの中央整合を示すフローチャートである。この実施例において、プロセスライン74の全ては、ローカルな座標系を利用して、位置合わせせずにデータを収集すると想定される。結果として、変換制御システム4は、1つの座標系に適合するために、ローカルな異常情報を空間的に位置合わせする。この実施形態は、プロセスライン74のそれぞれの間接費を削減することができ、その一方で、ウェブロール7の検査からの情報を収集する。
【0108】
完成したウェブロール10を製造するためのマルチプロセスライン製造中又は全てのプロセスライン74がウェブロール7の処理して、完成ウェブロール10の製造を終了した後のいずれかにおいて、変換制御システム4は、プロセスライン74(140)のそれぞれによって作られたローカルな異常情報を受信する。以下に記載のように、変換制御システム4は、プロセスライン74のそれぞれからのローカルな異常情報を1つ1つ分析し及び変換して位置データを共通の座標系に位置合わせする。変換制御システム4がデータの全てを検索した後、変換制御システム4は、それ自体の座標系を有するウェブの合成マップにこのデータを調整し、これはプロセスライン74の1つ以上の座標系に一致させることができる。
【0109】
変換制御システム4は、第1プロセスライン、例えば、プロセスライン74Aによって生成されるローカルな異常情報を検索することによって開始する(142)。この第1プロセスラインは、ウェブロール7のプロセスを実施した第1プロセスラインであってもよく、又はそうでなくてもよい。変換制御システム4は次いで、プロセスライン74Aからのローカルな異常情報を対象の座標系に空間的に位置合わせし、対象の座標系は変換制御システム4によって定義された座標系であってもよく、又は他の製造プロセスの1つによって使用される座標系であってもよい(144)。即ち、変換制御システム4は、各異常データ入力を処理し、プロセスラインそれぞれの内の基準マークの使用に基づいて決定された変換関数を用いて、位置データを調節する。一実施形態において、検索されたデータは、表3に記されたものと同じように見えてもよい。
【0110】
次に、変換制御システム4は、ウェブによって使用されたプロセスラインの他の1つ、例えばプロセスライン74Bに関して、異常情報を検索する(146)。プロセスライン74Bは、プロセスライン74Aのすぐ後に続くプロセスラインであってもよく、又はそうでなくてもよく、プロセスライン74Bは、ウェブロール7をプロセスライン74Aの前、プロセスライン74Aのすぐ後、又はもう1つのプロセスライン74の後に処理してもよい。プロセスライン74Bからの異常情報を検索した後で、変換制御システム4は同様な方法で異常情報を空間的に位置合わせする(148)。空間的位置合わせは、ウェブが切り取られるか、又はもう1つのウェブと組み合わされるか、あるいは、プロセス中に伸長されるかなど、様々な要因を補うように異常情報の位置を調節し、これは基準マークの位置及び同様に異常の位置を他のプロセスによって記録された位置から変化させる。
【0111】
いったんプロセスライン74Bからのデータの全てを終了すると、変換制御システム4は、ウェブに関するいずれかのローカルな異常情報が位置合わせされずに残っているかどうかを決定する(150)。更なる異常情報が位置合わせされる場合(150の「はい」枝)には、次いで、変換制御システム4はプロセス(146)に関するローカルな異常情報を検索し、このデータを上記のとおり空間的に位置合わせする(148)。位置合わせされていない異常情報がこれ以上残っていない場合、(150の「いいえ」枝)、変換制御システム4は、空間的に位置合わせされた異常情報に基づいて合成マップを生成し、ウェブロールに関する変換プランを決定し、合成マップを変換サイト、例えば変換サイト8Aに完成したウェブロール10と共に送る。したがって、変換サイト8Aは、完成したウェブロール10を、複合体欠陥マップ及び変換計画内のデータに従って製品12Aに変換してもよい。
【0112】
図12は、2つの異なるプロセスライン、例えば、プロセスライン74A及び74Bから収集された位置データ上の線形変換を実施するための工程を示しているフローチャートである。変換制御システム4に関連して記載されているが、分析コンピュータ28は、現在のプロセスラインによって収集されたデータの線形変換も実施してよい。変換制御システム4は、ウェブが処理中に伸長されたかもしれない、又はその他の理由を含む、多くの理由のために複数のプロセスラインから収集されたデータ上で線形変換を実施する必要がある場合がある。
【0113】
一般的に、線形変換は、異なる座標系の上で1つの座標系からのデータを描くために使用される。この実施例において、異常位置は、プロセスライン74Bの座標系から線形変換されて、プロセスライン74Aの座標系に当てはまる。別個の線形変換が、2つの基準マーク間のウェブの各位置に関して実施されてもよい。
【0114】
第1に、変換制御システム4は、プロセスライン74A及び74Bの両方から関係のあるデータを検索する(160)。変換制御システム4は、プロセスライン74A及び74Bの両方からのデータが、同じ方向内のウェブに沿って配向されていると見なされることを確実にする。これは、ウェブロールが巻かれ、かつ巻き出される性質のために、即ち、所定のプロセスは、プロセスがレシピ内のどこに含まれるかに基づいて、ウェブのどちらの端部からでも開始できるということが、必要であり得る。変換制御システム4は、基準マークデータに従ってデータの方向を決定することができる。データの方向が一致しない場合、変換制御システム4は、データ方向が一致するように、2つのプロセスラインの1つの方向を論理的に反転してもよい。一実施例において、変換制御システム4は、前方の場合で起こり得るように開始するよりもむしろ、ウェブロールの端部からのデータをオフセットすることによって方向を反転させる。
【0115】
各プロセスに関して同じ方向内でデータが流れていることを確実にした後、変換制御システム4はデータを処理し、プロセスライン74Aと74Bとの間で共通な第1基準マークを特定する(162)。変換制御システム4は、プロセスライン74Aによって記録されたようにこのマークの位置を記録する(164)。変換制御システム4は次いで、プロセスライン74Aによって記録された次の基準マークの位置を特定する(166)。変換制御システム4は、2つの基準マーク間の差をDのように記録する(168)。次いで、変換制御システム4は、プロセスライン74Bによって記録されたデータ内に次の基準マークの位置を見出し(170)、このマークとプロセスライン74Bのデータ内の先のマークとの間の差を、差異Mとして記録する(172)。
【0116】
変換制御システム4は、差異D及びMを使用して、2つの基準マークの間の各データ位置に関してSF=M/Dとなるよう倍率SFを作成する(174)。変換制御システム4は次いで、プロセス74Bに関してローカルな異常情報を処理し、拡大する必要があるいずれかの異常を見つける(determine locate)。プロセスライン74Bによって記録されたそれぞれの異常データ点に関して、変換制御システム4は、倍率SFを使用して、各データ点を座標系又はプロセスライン74Aに変換する。そうするために、基準マークから異常までの距離はIPとして記録される。この距離は、SD=IPSFを決定することによって「拡大」される。次いで、共通の座標系上で、新しい調節された位置APを特定するために、変換制御システム4は、拡大された距離SDを、プロセスライン74Bによって記録されたように基準マークの位置に付加する(176)。変換制御システム4は、これらの2つの基準マークの間の各異常の位置をこの方法で調節する(178)。変換制御システム4は次いで、共通である次の基準マークを見つけ、共通の基準マークがこれ以上なくなるまでプロセスを繰り返す(179)。
【0117】
いったんこれら2つの基準マーク間の全ての異常が調節されると、変換制御システム4は、それがプロセスライン74A及び74Bのいずれかに関して収集されたデータの終わりに到達したかどうかを決定する(180)。両方が、分析するための更なるデータを有する場合(180の「いいえ」枝)、変換制御システム4は、プロセスライン74A及び74Bのそれぞれによって記録されるように次の基準マークの位置を見つけ、上記の方法に従って異常データを変換する。しかしながら、いずれかのプロセスラインに関してデータの終わりに到達した場合(これは、ウェブが分割されるか、別のウェブと組み合わされるか又は他の理由により可能である場合がある)(180の「はい」枝)、変換制御システム4は、このデータのセットの線形変換を終了し、よって、変換制御システム4は、他のプロセスと共に、新しい1組のプロセスライン74を線形に変換すること、プロセスライン74からデータを組み合わせること又はデータを変換サイト8の1つに送信することのいずれかを続ける。
【0118】
いくつかの実施形態において、モデリングエンジン二アは、複数の製造プロセスラインを通じてウェブ上に実施される製造作業のために、1つ以上の数学的モデルを生成することができる。作業の間、数学的モデルからのデータは使用されて、異なる製造プロセスラインに関して位置データを空間的に位置合わせすることができる。例えば、線形又は非線形変換が適用されて、異常のそれぞれに関する位置データを空間的に位置合わせされてもよく、変換は、関心領域に関するウェブプロセスの、事前に生成された数学的モデルを使用して計算される。
【0119】
図13は、基準マークライター181の代表的な実施形態を示すブロック図である。いくつかの実施形態において、プロセスライン74Aは、オリジナル又は捕捉の基準マークの適用のための基準マークライター181を含んでもよい。基準マークライター181の代表的な実施形態において、基準マークライター181は、エンコーダ186、読み取り器188、ライター190及びトリガーモジュール192を含む。基準マークライター181は一般的に、基準マークがウェブ20の販売可能な領域の外側に描かれるように、ライター190がウェブ20の縁部近くであるように配置される。基準マークライター181は、基準マークを有さないウェブに基準マークの最初のセットを描くことができる。基準マークライター181は、1つ以上の破損した基準マークを有するウェブに、基準マークを描くこともできる。基準マークライター181は、基準マークの既存のセットの間で基準マークの新しいセットを組み合わせることもできる。即ち、基準マークライター181は、新しいセットが既存のセットを破損しないように、基準マークの新しいセットをウェブ20に適用することができる。基準マークライター181は、図5A〜5Bに示されている代表的な基準マークの実施形態のいずれかを使用してもよく、あるいは基準マークライター181は修正されて、基準マークの異なる実施形態を描くことができる。
【0120】
図13は、既存の基準マーク182A〜182N(「既存の基準マーク182」)のセットを有するウェブ20を示す。即ち、既存の基準マーク182は、ウェブ20の開発のある初期段階でウェブ20に適用された。図13は、既存の基準マーク182間で新しい基準マーク184A〜184B(「新しい基準マーク184」)のセットを組み合わせている基準マークライター181を示す。しかしながら、基準マークライター181は、既存の基準マーク182のセットなしで、新しい基準マーク184のセットをウェブ20に適用することができる。新しい基準マークをどこに描くべきかという決定は、図15に関連して詳細に記載されている。
【0121】
代表的な実施形態において、エンコーダ186は、ウェブ20の表面に対して硬く押圧されるホイールを含む。エンコーダ186は、ホイールの各部分的な回転に関するエンコーダパルスをトリガーモジュール192に送信することができる。トリガーモジュール192は、エンコーダパルスの数及びエンコーダ186のホイールの外周に従って、ウェブ20に沿って距離を測定することができる。例えば、ホイールが外周で10センチメートルであり、エンコーダ186が100回の回転ごとにエンコーダパルスを与えると、50エンコーダパルスの後、トリガーモジュール192は、ウェブが5cm移動したと決定することができる。この方法で、トリガーモジュール192は、ウェブ20が移動した距離を非常に精度良く測定することができる。
【0122】
読み取り器188は、図6に記されているように基準マーク読み取り器に非常に類似していてもよい。基準マークライター181の代表的な実施形態において、読み取り器188は既存の基準マーク182を読み取り、既存の基準マーク182から読み取られた情報をトリガーモジュール192に通信する。トリガーモジュール192は、エンコーダ186から得られた距離情報を利用して、既存の基準マーク182の位置を、エンコーダ186と読み取り器188との間の距離を用いて設定されることによる高い精度まで決定することができる。
【0123】
トリガーモジュール192は、プリンタ190に新しい基準マーク、例えば新しい基準マーク184Aをウェブ20の表面の上に、描くように指示してもよい。いったん新しい基準マーク184Aが読み取り器188の下を通過すると、読み取り器188は、新しく適用された基準マーク、例えば新しい基準マーク184Aを読み取ることができる。トリガーモジュール192は、新しく描かれた基準マーク184についての位置情報も同様に記録することができる。一実施形態において、プリンタ190はインクジェットプリンタを含む。プリンタ190は、基準マークをウェブ20に適用することができる任意の装置を含んでもよい。例えば、プリンタ190は、機械的又は磁気ラベルをウェブ20に固定するためのレーザープリンタ又は装置を含んでもよい。
【0124】
図14A〜14Dは、既存の、かつ挿入された基準マークの位置を示すブロック図である。図14Aは、新しい基準マーク184が既存の基準マーク182のフルセットの間に組み合わされる実施例を示す。この実施例において、ウェブ20は既存の基準マーク182のセットを有する。図14Aに示されているように、基準マークは、販売可能な領域199の外側のウェブの縁部の近くであってもよい(ウェブ及び図14における基準マークに平行して走っている縦の破線によって分けられる)。既存のマーク182のそれぞれ、例えば既存のマーク182A及び既存のマーク182Bは、およそ同じ距離で間隔が空けられてもよい。一実施形態において、この距離は約2メートルであってもよい。新しい基準マークは、例えば図15に関連して記載された方法に従って挿入することができる。新しい基準マーク184及び既存の基準マーク182のいずれか又は両方に好適な基準マークが図5に記されている。
【0125】
図14Bは、ウェブ20が既存の基準マーク182のセットを有するが、既存のセットは後で始まる実施例を示す。即ち、ウェブの開始からダウンウェブ20のある点194までのウェブ20上で、既存の基準マークを有さない空間があり、しかし点194からは、ウェブ20は既存の基準マーク182を有する。図14Bは、空隙185としてこれらの空隙を示す。一実施形態において、例えば図15に関連して記載されるように、基準マークライター181は、新しい基準マーク184を既存の基準マーク182間の空間に適用してもよい。別の実施形態において、基準マークライター181は、新しい基準マークを基準マークが存在すべき場所であった空隙185に追加で適用してもよい。空隙185をマークで新しい基準マーク184と異なるフォーマットで充填するよう、基準マークライター181を操作してもよい。即ち、基準マークライター181は、新しい基準マーク184を追加するために使用されたフォーマットとは異なる、空隙185を充填するための基準マークのフォーマットを使用することができる。空隙185を充填するための基準マークのフォーマットは、既存の基準マーク182のフォーマットに一致させるように、調整されてもよい。別の実施形態において、空隙185を充填するための基準マークのフォーマットは、新しい基準マーク182のフォーマットと同様であってもよい。更に他の実施形態において、基準マークライター181は、空隙185内にいずれの基準マークも描かないが、新しい基準マーク184を適用するのみである。
【0126】
図14Cは、ウェブ20が既存の基準マーク182のセットを有するが、既存のセットが先に終了する実施例を示す。即ち、ウェブの始まりからウェブ20の下のある点196までのウェブ20上に空間があり、ここでこの空間は既存の基準マーク182を有するが、地点196からは、既存の基準マークがない。図14Cは、空隙185としてこれらの空隙を示す。一実施形態において、例えば図15に関連して記載のように、基準マークライター181は、新しい基準マーク184を既存の基準マーク182間の空間に適用してもよく、更に、基準マークライター181はまた、基準マークが存在すべきであった空隙185に新しい基準マークを適用してもよい。再び、空隙185を充填するための基準マークのフォーマットは、既存のマーク182のフォーマットに一致してもよく、又は空隙185を充填するための基準マークは、新しい基準マーク184に一致してもよい。
【0127】
図14Dは、ウェブ20が1セットの既存の基準マーク182を有するが、セット内には間隙がある、実施例を示す。即ち、2つの点197、198間のウェブ20上に空間があり、ウェブ20は、ウェブの始まりから点197まで及び位置198からウェブの末端部まで既存の基準マーク182を有し、ウェブ20は既存の基準マーク182を有するが、しかし点197〜198の間でウェブ20は既存の基準マークよりはむしろ空隙を有する。図14Dは、空隙185としてこれらの空隙を示す。一実施形態において、例えば図15に関連して記載のように、基準マークライター181は、新しい基準マーク184を既存の基準マーク182間の空間に適用してもよく、更に、基準マークライター181はまた、基準マークが存在すべきであった空隙185に新しい基準マークを適用してもよい。再び、空隙185を充填するための基準マークのフォーマットは、既存のマーク182のフォーマットに一致してもよく、又は空隙185を充填するための基準マークは、新しい基準マーク184に一致してもよい。
【0128】
図15は、基準マークのウェブへの適用に関する代表的な作業を示すフローチャートである。図15は、これによって基準マークライター181が、新しい、組み合わされた基準マークをウェブに適用する例示の方法を、これによりマークライター181が基準マークを空隙に、即ち、基準マークが存在すべきであるのに存在しない空間に適用する例示の方法として示す。図15は、これによって基準マークライター181が1セットの基準マークを、既存の基準マークを有さないウェブに適用することができる例示の方法も示す。
【0129】
第1に、ウェブ20が配置されマーキングのために準備されていなければならない(図2)。このとき、基準マークライター181が起動される(200)。同時に、ウェブ20は、支持ロールから巻き出され(wound off)、支持ロール上に回収され、ウェブ20に基準マークライター181を通過して移動させる。ウェブの最初の縁部の検出に応えて、トリガーモジュール192は距離カウンタDを0に初期化する(202)。更に、トリガーモジュール192は、グローバル変数FDを初期化して、基準マーク間の固定された距離を表す。一実施形態において、トリガーモジュール192は、それがオペレーターから反対の指示を受けない限り、FDが2メートルであると仮定する。トリガーモジュール192は、読み取り器188〜プリンタ190の間の距離を表す位置オフセット変数POも維持する。
【0130】
ウェブ20は既存の基準マーク182を有するとき、読み取り器188が基準マークを検出すると、読み取り器188は基準パルスをトリガーモジュール192に送信する。基準パルスが生じない限り(204の「いいえ」枝)、基準ライターは基準パルスを待ち続ける。いったん基準パルスが生じると(204の「はい」枝)、トリガーモジュール192は、新しいカウンタNをゼロに、距離Dをゼロに初期化する(206)。トリガーモジュール192は次いで、新しいカウンタN(208)を有効にし、エンコーダ186からのエンコーダパルスを待ち(210)、エンコーダパルスがまだ生じない限り待ち続ける(210の「いいえ」枝)。
【0131】
しかしながら、いったんエンコーダパルスが生じると(210の「はい」枝)、基準ライターはNを1ずつインクリメントする(即ち、N=N+1)(212)。トリガーモジュール192は、次いでNがFD/2に等しいか決定する(214)。等しくない場合(214の「いいえ」枝)、トリガーモジュール192は、新しいエンコーダパルスを待つ。しかしながら、NがFD/2に等しい場合(214の「はい」枝)、トリガー192は、「新しい」カウンタを無効にし(216)、プリンタ188に新しい基準マーク、例えば新しい基準マーク184Bを印刷するように指示する(218)。換言すれば、トリガーモジュール192は、プリンタ188に新しい基準マークを既存の基準マーク間の中間で印刷するよう指示する。トリガーモジュール192は次いで、(3PO)/2の距離に関する基準表示センサ入力ゲートを無効にすることによって、次の基準マークを印刷するために準備する(228)。当業者は、上記の指示を修正して新しい基準マーク184を他の間隔及び位置で印刷することができ、例えば上記の指示を修正して新しい基準マーク184を既存の基準マーク182間の四分の一の距離で印刷することができる。
【0132】
ウェブ20が既存の基準マーク182を有するが、特定のマークを失っているとき、例えば既存の基準マーク182Cが破損している場合、基準マークライター181は基準マーク182Cを交換することができる。トリガーモジュール192は、基準パルスを待っているが、基準マーク182Cが破損していると、パルスを受信しない。したがって、トリガーモジュール192は、距離カウンタDを使用して、既存の基準パルスから既存の基準マーク182Cが配置されるべき場所までの距離FDを測定する(220、222、224)。この時点で、トリガーモジュール192は、ライター190に基準マークを正しい位置で描くように指示する(226)。トリガーモジュール192は再び、(3PO)/2の距離に関する基準表示センサ入力ゲートを無効にすることによって、次の基準マークを印刷するために準備する(228)。
【0133】
ウェブ20が既存の基準マーク182を有しないとき、又はウェブ20が1セットの既存の基準マーク182、並びに図14に示されているような空隙185を有するとき、基準マークライター181は、いつ新しい基準マークを印刷すべきかを若干異なる方法で決定することができる。最初に、トリガーモジュール192は、距離カウンタDをゼロに初期化する(202)。既存の基準マーク182が存在しないとき、トリガーモジュール192は、基準パルスを決して受信せず(204の「いいえ」枝)、よってトリガーモジュール192はエンコーダ186からのエンコーダパルスを待つ(220)。いったんエンコーダパルスが生じると(220の「はい」枝)、トリガーモジュール192はDをインクリメントする(即ち、D=D+1)(222)。トリガーモジュール192は、次いでDがFDに等しいかどうかを決定する(224)。そうでない場合、(224の「いいえ」枝)、トリガーモジュール192は、新しいエンコーダパルスを待ち、Dをインクリメントし続ける。DがFDに等しい場合(224の「はい」枝)、しかしながら、トリガーモジュール192はプリンタ188に、新しい基準マーク、例えば新しい基準マーク184Bを印刷するよう指示する(226)。トリガーモジュール192は、次いでDを0に再度初期化し(202)、再び最初からやり直す。換言すれば、基準マークが存在しないとき、プリンタ188は、FDの距離で離れて、新しい基準マーク184を印刷する。一実施形態において、基準マークライター181は、新しい基準マーク184を2m離れた距離で印刷する。
【0134】
この代表的な方法を使用して、基準マークライター181は、いずれの既存の基準マーク182をも必要とせずに新しい基準マーク184をウェブに描くことができるか、既存の基準マーク182間の新しい基準マーク184を組み合わせるか、又は更に失われている基準マークを交換するかのいずれかができる。
【0135】
図16は、複数の製造作業を通じて既に処理されている所定のウェブロール区分に関してウェブ材料の領域の識別に含まれる代表的な作業を示すフローチャートであり、したがって空間的な同期化の候補である。一実施形態において、変換制御システム4は基準マークを使用して様々なウェブロール7、10を識別する。即ち、変換制御システム4は、共通の製造プロセス74を通ってきた特定のウェブロール7、10の区分を、ウェブロール上に存在するプロセスそれぞれからの重複する基準マークを識別することによって、識別することができる。変換制御システム4の一実施形態において、図16に記された実施例の方法を使用して、特定のウェブロール区分に関する様々なプロセス74のシーケンスから収集されたデータ間の対応関係を作成する。
【0136】
第1に、対象とする特定のウェブロール10が選択される(350)。典型的に、ユーザーは、変換制御システム4によって表示されるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(「GUI」)を通じてウェブロール10又はその一部を選択することができる。しかしながら、他の実施形態において、他の装置が変換制御システム4とインターフェース接続され、自動的に又は半自動的にウェブロールを選択し、変換制御システム4からデータを検索してもよい。変換制御システム4は、完成したウェブロール10に加えて、未完成のウェブロール7及び処理中のウェブロールに関して収集されたデータにアクセスすることも許可してもよい。
【0137】
いったん変換制御システム4が、それに関してデータを収集する特定のウェブロールを有すると、変換制御システム4は、様々なプロセス74によって収集され、統合サーバー76によって回収されたデータを検索し始める。変換制御システム4は、次いでウェブロールに関連することもあり得る、可能性のある先行するプロセス74を識別する(352)。例えば、変換制御システム4は、特定のウェブロールに関して一番最近のプロセス74を識別し、次いで、可能性のある先行するプロセス74を再帰的に識別し、ウェブロールの可能性のあるプロセス履歴を表示するツリー状の論理的構造体を作成することができる。一実施形態において、変換制御システム4は、ウェブロールに対応するデータを徹底的に検索してもよい。別の実施形態において、変換制御システム4は、図17に関連して以下に記載される方法を使用して、変換制御システム4が選択されたウェブロールに対応するデータに関してクエリーを行う検索スペースを縮小してもよい。
【0138】
変換制御システム4がウェブロールに関するデータのための検索スペースを集めた後、変換制御システム4は、ウェブロールに関連するデータを検索することができる(354)。特に、変換制御システム4は、対象のウェブロールの基準マークに一致する基準マークを、検索スペース内のプロセスそれぞれからのデータ内で検索してもよい。変換制御システム4は、特定の範囲の基準マーク(例えば区分376A、376B、図18B)によって画定されたロールの特定の区分のための全体のロールを検索してもよい。変換制御システム4は、ウェブロールの区分を形成するプロセス間の重複する基準マークを検索してもよい(356)。一実施形態において、変換制御システム4が、例えばウェブロールデータのデータ内の間隙がトリガーされているため(以下の表5を参照)重複が存在するかどうかを決定することができない場合(356の「?」枝)、次いで変換制御システム4は、図17に関連して記載された方法など、最適化された方法を使用するよりはむしろ、データの全て(360)を徹底的に検索して重複を探す(362)。特定の区分に関する重複が存在しない場合(356の「いいえ」枝又は362の「いいえ」枝)、変換制御システム4は次のウェブロール区分を検索する。重複が存在する場合(362の「はい」枝又は356の「はい」枝)、変換制御システム4は、ロールに関連するデータを記録し、工程350で選択された対象のウェブロールに関して、先行するロールからの重複する基準マークデータと共に記録する。
【0139】
変換制御システム4は、更なるロール区分が対象のウェブ上に存在するかどうかを検索し続ける(364)。いったん変換制御システム4が特定のプロセスに関するロール区分の全てを検索し終えると、変換制御システム4は、工程354で生成されたプロセスリストに基づいて次のプロセスを選択する(366)。
【0140】
変換制御システム4がデータを収集した後、変換制御システム4はそのデータを解析してもよい(368)。変換制御システム4は、ウェブの全ての区分を検索し、各プロセスに関する重複する基準マークと共に識別することができる。簡単に図18Aの実施例を参照すると、変換制御システム4は、ロール区分376A及び376Bを識別してもよく、これらのそれぞれは、これらのプロセス(プロセスA、プロセスB及びプロセスC)に共通なウェブロール区分を含む。変換制御システム4は、次いでデータを区分に従って調節し、データが例えば、ウェブの表面上の異常及び/若しくは欠陥をマークするための分析に、又はプロセスが調節若しくは是正することができるように、どこで異常若しくは欠陥が取り込まれたかを決定するためにプロセスを分析するのに有用であるようにデータを調節することができる。
【0141】
図17は、特定のウェブロール7、10に関連するデータの検索スペースの決定に関連する代表的な作業を示すフローチャートである。一実施形態において、変換制御システム4は、図17に示されている例示の方法を使用して、特定のウェブロール10に関連するデータを収集した可能性のあるプロセス74を見つける性能を改善する。変換制御システム4は、例えば、特定のウェブロール10に関連するデータを検索するとき、検索スペースを縮小するための制約の性質に起因して発生する製品及びプロセス制約を使用してもよい。
【0142】
例として、フィルムのマスキング作業は、先行するロール作業を有することはできない。これらのプロセス制約を利用するために、様々な製造プロセス74間の可能性のある相互作用を記載する「プロセス関連マップ」を組み立てることができる。プロセス関連マップは、プロセス74それぞれのための可能性のある先行するプロセスを記載してもよい。表4は、例示のプロセス関連マップを示す。
【0143】
【表4】

【0144】
変換制御システム4は、第1に、対象とする特定のウェブロール(即ち、変換制御システム4がデータを要求する)を選択することができる(300)。変換制御システム4は、次いでウェブロール上に作業を実施したプロセス74の最後の1つを決定する(302)。次に、変換制御システム4は、ツリー構造を形成することができる階層的に配置されたノードのセットにプロセスを付加し、そこでは最後のプロセスが、ツリーの根(root)を占めてもよい(304)。変換制御システム4は次いで、最後のプロセスがいずれかの先行するプロセスを有するかどうかを決定することができる(306)。有さない場合(306の「いいえ」枝)は、ウェブロールに関するデータがもはや存在せず、最も最近分析されたプロセスは先行し得ないので、続ける理由はない。
【0145】
先行するプロセスがあり可能性がある場合(306の「はい」枝)は、しかしながら変換制御システム4は先行するプロセスの1つを選択する(308)。変換制御システム4は次いで、再帰的なインスタンスにおいて対象とするウェブロールが既に選択されていることを除き、図17に説明されている方法の再帰的なインスタンスを本質的に実施する。即ち、変換制御システム4は、この先行するプロセス自体がいずれかの先行するプロセス(predessor)を有するかどうかを決定し、それらをツリーに根からの1つの枝として追加することができる(310)。
【0146】
次に、変換制御システム4は、いずれかの更なる先行するプロセスが現在選択されているプロセスに関して存在するかどうかを決定する(312)。そうでない場合(312の「いいえ」枝)は、次いで、本方法は終了することができる。しかしながら、更なる可能性のある先行するプロセスがある場合(312の「はい」枝)は、変換制御システム4は、現在のプロセスに関する先行するプロセスのそれぞれに関して再帰を実施し、プロセスのそれぞれをツリーのルートに対応する枝として追加する。
【0147】
以下の表5は、変換制御システム4が分析し、所望によりユーザーに示す複数のプロセスに関して設定された例示のデータを表す。表5は、ロール名、第1、最後、最小、最大、予定の#、実際の#及びコメントのフィールドを含む。ロール名は、特定のプロセスに関するロール区分の名前である。第1は、プロセスのローカルな座標系における最小の関連した距離を有する基準マークである。最後は、プロセスのローカルな座標系における最大の関連した距離を有する基準マークである。最小は、最小値を有する基準マークである。最大は、最大値を有する基準マークである。予定の#は、ロールの基準マークの予定番号であり(最大−最初+1)に等しい。実際の#は、プロセス又はプロセス検査システムによって決定されたロール上の基準マークの実際の番号である。コメントフィールドは、ロールの面(aspect)情報又は、データギャップなどの可能性のある欠陥などのステータス情報を記載する。
【0148】
【表5】

【0149】
選択されたプロセスに関するデータが、特定のウェブロールに関連しているかどうかを決定するために、変換制御システム4はウェブロールの基準マークを使用する。後続のプロセスが、2つのロールを結合しない又は結合できない場合、変換制御システム4は、2つのプロセス間の基準マーク内の重複を探すことができる。後続のプロセスが2つのロールを接合した場合、変換制御システム4は、予定の基準マークと実際の基準マークを比較する。予定の基準マーク数と実際の基準マーク数が、一定の割合で異なる場合、変換制御システム4は、データ内にギャップが存在するかを決定することができ、並びにデータを徹底的に検索する。一実施形態において、一定の割合は、予定の基準マーク数(「予定の#」)と実際の基準マーク数(「実際の#」)内において、5%の差である。変換制御システム4が、第1は最小若しくは最大のいずれとも等しくない、又は最後は最小若しくは最大のいずれとも等しくないと決定した場合、変換制御システム4は、データギャップが存在すると決定することもでき、データを徹底的に検索する。あるいは、変換制御システム4は、本明細書に記載の最適化された検索方法で進めることができる。
【0150】
本方法の1つの例示の作業として、プロセスは上記の表4に描かれている階層に適合してもよい。特定のウェブロールの最後のプロセスは、工場DのプロセスD1であってもよい。この場合、変換制御システム4は、プロセスD1に関する、可能性のある先行プロセスがないように、プロセスD1及び終点から全てのデータを収集する。
【0151】
方法の別の例示の作業として、プロセスは再び上記の表4に描かれている階層に適合してもよい。特定のウェブロールの最後のプロセスは、工場DのプロセスD2であってもよい。この場合、変換制御システム4は、プロセスD2から全てのデータを収集する。変換制御システム4は、次いで、工場AのプロセスA2及びA3のそれぞれからウェブロールに関するデータを収集する。変換制御システム4は、次いで工場BのプロセスB3からデータを収集する。プロセスB3それ自体は、可能性のある先行プロセスA5及びC1を有し、よって変換制御システム4は、プロセスA5及びC1からデータを収集する。プロセスC1は、先行するプロセスA2、A5及びD1を有する。このように、変換制御システム4はウェブロールに関するデータをA2、A5及びD1のそれぞれから収集し、それらのいずれも先行するプロセスを有さない。次に、変換制御システム4は、プロセスC1がD2に(同様に、プロセス3に)先行するプロセスであるとき、プロセスC1からデータを再び収集する。したがって、変換制御システム4はプロセスA2、A5及びD1からデータを収集する。
【0152】
本方法はいくつかの利点を提供することができる。例えば、本方法は、特定のウェブロール又はウェブロール区分に関するデータの検索に必要な時間を削減することができる。図17に関連して記載される、改善された方法の例示的な実施形態に従って、ウェブロールに関するデータを検索する作業時間は、システム内に存在するプロセス74の数に直接関しているのとは対照的に、システム内に存在するプロセス74の数の対数関数であってもよい。即ち、変換制御システム4は、データを徹底的に検索することに対して、深さ第1の検索ツリーを、有意な数の枝が検索を実施するのに刈り取られてもよいプロセスから作成してもよい。タイミング機能であるbigΘ記法(Big-Theta)(Θ)(上界及び下界を示す)、bigO記法(Big-Oh)(上界を示す)及びbigΩ記法(Big-Omega)(Ω)(下界を示す)に関して、この方法は、実行時間(run time)をΘ(nm)(式中「n」はプロセスの数であり、「m」はいずれか1つのプロセスに関して格納されたデータの最大量)からO(nm)及びΩ(mlog(n))に変更することができることを当業者は理解するであろう。
【0153】
図18Aは、製造の様々な段階における例示的なウェブロールを示すブロック図であり、ここでウェブロールは後に続くプロセスで分割され、接合されている。最初に、製造プロセス、即ちプロセスAはウェブロール370を処理した。後に続くプロセスにおいて、ウェブロール370は、2つのウェブロール区分372A、372Bに分割され、これらのぞれぞれは異なるプロセス、即ちプロセスBによって処理された。後でウェブロール区分372A、372Bは、別のウェブロール区分と接合され、第3プロセス(即ち、プロセスC)が製造したウェブロール区分374を形成する。ウェブロールの旋回において各プロセス中に、特定の基準マーク376A、376Bは、同じ製造のシーケンスを経たウェブロールの区分を識別する。この実施例において、製造の同じシーケンスを経たウェブの2つの区分:基準マーク4878〜4885を含む区分376A及び基準マーク4889〜4897を含む区分376Bがある。
【0154】
図18Bは、図18Aの代表的な区分376A、376Bを示すブロック図である。図18Bは、どのように変換制御システム4が、この区分を再調整し、各区分からのデータを分析するのかを示す。区分376A、376Bのそれぞれは、同じ一連の製造プロセス、即ちプロセスA、プロセスB及びプロセスCを通過した。変換制御システム4は、図16〜17に関連して記載された方法を使用して、区分376A、376Bを決定し、変換制御システム4が、これらの区分に関するデータを、区分376A及び376B上で作業された場合があるプロセスからのデータのプールから抽出するように、この区分を調整することができる。変換制御システム4は、次いでその全体が参照により組み込まれる、フローダー(Floeder)らの同時係属の米国特許出願第2005/0232475号の「材料のウェブ上の欠陥の自動マーキング用装置及び方法(Apparatus and Method for the Automated Marking of Defects on Webs of Material)」(2004年4月19日出願、2005年公開)に詳細に記載のように、区分376A、376Bに共通なデータを抽出して、ウェブの表面上の異常又は欠陥の位置をマークしてもよい。変換制御システム4は、他の方法でデータを同様に使用して、例えばプロセスを最適化するために、又はプロセスの結果としてウェブ内に発生する異常及び/又は欠陥の数を削減するために、メンテナンスを修理しても又は実施してもよい。
【0155】
図19は、2つのプロセスライン、例えば、プロセスライン74A及び74Bから収集されたデータの比較を示すスクリーンショットである。一実施形態において、変換制御システム4は、ユーザーに変換制御システム4と相互作用させるグラフィカル・ユーザー・インターフェースを含む。例として、グラフィカル・ユーザー・インターフェースは、ユーザーに複数のプロセスからのロールから収集されたデータを観察させ比較させることができる。図19は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(「GUI))250を示す。GUI250は、ウェブIDテキストボックス252、プロセスAテキストボックス254、プロセスBテキストボックス256、送信ボタン258及び結果ウィンドウ枠260を含む。
【0156】
変換制御システム4は、ユーザーのリクエストによりGUI 250をユーザーに示して、プロセスライン74からのデータを比較してもよい。ユーザーは、特定のプロセスライン、例えば、プロセスライン74Aを最適化するためにこのデータを見たい場合がある。いったん変換制御システム4が、比較データを示すリクエストを受信すると、変換制御システム4は、ユーザーにGUI 250と共に示すであろう。ユーザーは、次いでウェブIDテキストボックス252内の特定のウェブロール10の数値的同定(「ID」)を入力することができる。一実施形態において、ウェブロールは基準マークによって識別されるのみであってもよく、その場合、ウェブIDテキストボックス252は、当業者によって修正され、特定の基準マーク又は基準マークの範囲に関するデータを検索してもよい。ウェブ又はプロセスに関するIDは、数値、アルファベット又はアルファベットと数値(alphanumerical)であってもよい。いくつかの実施形態において、ウェブIDテキストボックス252は、ドロップダウンテキストボックスを含んでもよく、又は検索機能を提供してもよく、例えばユーザーは、どこでウェブが製造されたか、どのプロセスラインをウェブが経たか、どのタイプの製品12にウェブが最終的に変換されか、変換サイト8のどれにウェブが搬送されたか、に基づいて、又はウェブの他の特性に基づいて、検索することができる。
【0157】
ユーザーは、テキストボックス254、256内で比較される所望のプロセスライン74のIDを入力することができる。同様に、他の実施形態において、テキストボックス254、256は、製造工場6のどこにプロセスラインが配置されているか、プロセスラインが基準マークライター181を含むかどうか、どのタイプのウェブ(例えば、紙、織布、金属、フィルム等)上にプロセスラインが作業されているか、に基づいて、又はプロセスラインの他の特徴に基づいて、特定のプロセスラインのIDを検索するためのドロップダウンボックスを含んでも、あるいは検索機能性を提供してもよい。
【0158】
いったんユーザーがテキストボックス252、254、256に情報を入力すると、ユーザーは次いで送信ボタン258を選択することができる。送信ボタン258は、テキストボックス252、254、256内のデータを検索するために変換制御システム4を始動させる。変換制御システム4は次いで、テキストボックス252、254、256に入力した情報に従ってウェブIDに関連する所望のプロセスに関するデータを検索する。変換制御システム4は、次いでリクエストされて検索された情報を結果ウィンドウ枠260に表示する。検索中にエラーが発生した場合、例えば変換制御システム4が、リクエストされたウェブIDに一致するIDを有するいずれかのウェブに関する情報を有していない場合、変換制御システム4は代わりに、エラーメッセージを結果ウィンドウ枠260に表示し、ユーザーにエラーの性質、例えば、「エラー:ウェブID見つからず」を伝えることができる。他の実施形態において、エラーメッセージは、他の形態、例えば新しいウィンドウ又はテキストボックスで現れてもよい。
【0159】
図19の実施例において、代表的なGUI 250は、これによってユーザーがID「96800」を有するウェブに関してデータをリクエストする入力に応えて示される。更に、ユーザーはまた、プロセスライン「1」及び「4」から収集されたデータを比較するようリクエストしている。送信ボタン260を押すと、変換制御システム4は、結果ウィンドウ枠260にプロセスライン「1」及び「4」からのウェブ「96800」についてデータを検索し、表示した。このように、ユーザーはこれらのプロセスラインから収集されたデータを見て比較し、ウェブについての決定を行い、可能であれば、製品の歩留りを改善し、欠陥を減少させるためにどのようにプロセスラインが修正し得るかについて決定することができる。
【0160】
図20は、単一のプロセスライン内の複数の異なる段階に関して、属性又は異常に関する位置データなどの位置データを空間的に同期化するための技術を適用する、別の実施形態の例を示す。図20は、単一のプロセスライン402及び分析コンピュータ408を含むシステム400を示す。プロセスライン402は、複数の個別の段階405A〜405N内で実施される複数の作業404A〜404N(「作業404」)を含む。以下に記載のように、様々な作業404は異なる段階405それぞれの内に適用されてもよく、それぞれの段階は、位置データを取得するために異なる座標系及び/又は基準マークを使用してもよい。結果として、システム400は、本明細書に記載される技術に従って、位置データが空間的に整列することができる複数の異なるプロセスラインと同様であると、論理的に見られることができる。作業404のいくつか又は全ては、ウェブ406についてのデジタル情報を収集してもよく、これはウェブロール7に対応してもよい。作業404の1つ、例えば作業404Aは、第1座標系に従ってデジタル情報を生成してもよく、その一方で、作業404の別の1つ、例えば作業404Bは第2座標系に従ってデジタル情報を生成してもよい。いくつかの実施形態において、特定の作業404はウェブ406を変更することなく、デジタル情報を収集するのみであってもよい。分析コンピュータ408は、作業404から収集されたデータを検索し、格納することができる。作業404の1つ以上は、分析コンピュータ408が、検索されたデータを空間的に同期させなければならないというような方法で、ウェブ406を変更してもよい。
【0161】
例として、ウェブ406は作業404Aで開始してもよい。作業404Aは最初に基準マーク410A〜410M(「基準マーク410」)をウェブ406に2メートルの間隔で適用してもよい。例えば、基準マーク410A及び410Bは約2メートル離れて間隔を空けてもよい。いったん作業404Aが基準マーク410をウェブ406に適用すると、作業404Aは、各基準マーク410を読み取り、基準マーク410のそれぞれに対応する位置を決定することができる。作業404Aは、第1座標系に従ってウェブ406に関するデータを記録することができる。作業404Aは、例えば、第1座標系に従って収集されたデータを格納し、分析コンピュータ408とインターフェース接続するためのコンピュータを含むことができる。別の実施形態において、基準マーク410は、第1工程の前、例えば作業404Aでウェブ406上に既に存在してもよい。
【0162】
作業404Bは、ウェブ406、例えば伸長するウェブ406のサイズ、形状、又は寸法において変化をもたらすウェブ406の処理を実施してもよい。この伸長の結果、基準マーク、例えば基準マーク410D及び410Eは、約6メートル間隔を開けることができる。換言すれば、作業404Aは、ウェブ406を、例えばウェブ406の最初の長さの3倍に伸長することができる。作業404Bは、各基準マーク410を読み取り、基準マーク410のそれぞれに関するに対応する位置を再び決定してもよい。作業404Bは、データ、例えば位置データ、異常データ、欠陥データ及び/又は属性データを個別の座標系に従って記録することができる。作業404Bは同様に、個別の座標系に及び分析コンピュータ408を有するインターフェースに従って、収集されたデータを格納するためのコンピュータを含んでもよい。作業404Bはまた、例えば図15に関連して記載された方法に従って、作業404Aによって適用された基準マーク間に新しい基準マーク(図示せず)を挿入してもよい。後に続くプロセス404は、ウェブ406を同様に処理してもよく、これはウェブ406のサイズ、形状、又は他の寸法を操作することを含んでもよい。同様に、作業404は、基準マーク410を読み取り、基準マーク410に対応する位置、並びに、作業中に収集されたデータを、もしあるとすれば、記録してもよい。
【0163】
いったんウェブ406が終了すると、即ち、作業404がウェブ406の処理を終えると、分析コンピュータ408は、作業404からのデータを空間的に同期させることができる。例えば、分析コンピュータ408は、例えば図8Aに関連して記載された方法に類似した方法に従って、作業404から収集されたデータを縮小拡大してもよい。別の実施形態において、作業404Aの後に続く作業404のそれぞれは、作業404Aの座標系を受け取り、座標系404Aに従って(例えば図8Aに関連して記載された方法に類似した方法に従って)データを記録することができる。
【0164】
分析コンピュータ408は例えば、空間的に同期されたデータに従って、変換制御計画を作成することができる。分析コンピュータ408は、様々な製品に変換するためのウェブ406の位置を決定するために、例えばウェブ406の異常、欠陥、又は属性を検出するために、空間的に同期されたデータを分析することができる。例えば、特定の顧客は、特定の製品に関する1つ以上の特定の属性に対して、バリエーションの非常に狭い範囲を要求する場合があり、その一方で、別の顧客は、属性において、より広い範囲のバリエーションを認める場合がある。分析コンピュータ408は、ウェブ406のどの部分が、厳しく制御された範囲のバリエーションに当てはまるかを決定し、並びにこれらのウェブ406の部分を第一の顧客に発送することができる一方、より広い範囲のバリエーションのウェブ406の部分を第2顧客に発送することができるということを決定することができる。
【0165】
分析コンピュータ408は、ウェブ406の特定の部分に異常が存在するかどうかを決定することができる。作業404のいずれかは、異常を取り込む恐れがあり、これはウェブ406の中に欠陥を引き起す場合も、又は引き起さない場合もある。分析コンピュータ408は、異常を検索し、検出された異常が特定の製品内に欠陥を引き起すかどうかを決定しようと試みることができる。ある異常は、異なる製品内では必ずしも欠陥を引き起さない一方で、1つの製品内では欠陥を引き起す場合がある。分析コンピュータ408は、この情報を使用して、ウェブ406のどの部分がどの製品を作製するのに使用されるべきか決定することができる。
【0166】
異常情報の生成及び空間的位置合わせに関連して主に記載したが(即ち、欠陥であり得る又はあり得ない正常品からの逸脱は、その特性及び重大性に依存する)、本技術は欠陥情報に適用されてもよい。即ち、システムは、可能性のある欠陥についての異常情報の収集及び実際の欠陥を識別するためのアルゴリズムの適用の仲介機能を実施する必要はない。代わりに、本システムは、欠陥データを生成し、直接空間的に位置合わせすることができる。
【0167】
更に、異常/欠陥検出システムに関する撮像に関連して記載したが、任意のデータ収集手段が本明細書に記載の技術と共に使用することができる。例えば、データはX線、β線厚さ計、物理的接触式センサ、スペクトル計器(spectral gauge)、静電容量測定器、干渉計センサ、ヘイズ測定、三次元(3D)表面測定装置、超音波又はデジタル撮像を使用して収集されてもよい。収集されたデータは、例えばウェブの画像、ウェブの厚さ、ウェブの重量、ウェブの張力、ウェブの不透明度、ウェブの表面粗さ、ウェブの伝導度、又はウェブの圧力であってもよい。
【0168】
図21は、ウェブからの測定データの収集のためのシステムに適用されたときの、本明細書に記載の技術の代替の実施形態を示すブロック図である。異常情報の空間的位置合わせに関連して主に記載したが、本明細書に記載の技術は、異常情報の収集のみに制限されない。例えば、本明細書に記載の技術は、ウェブの製造に関して、プロセス測定データなどのデータの収集の任意の形態に、すぐに適用されることができる。測定システムは、欠陥又は異常が一般的に、生成されたデジタルデータストリームから分離されるのではなく、むしろ定量的な属性情報がアナログデータストリーム又はデジタルデータストリームのいずれかを通じて得られるということで、先に記載された検査システムとは異なる。測定システムは、捕捉速度又は空間的解像度の制限により、低いデータ収集速度でデータを収集する又はウェブの空間的位置合わせを低下させる傾向がある。しかしながら、一般的なメカニズムは、検査システムデータと共に使用したものと類似している。
【0169】
測定システムと共に、既に記載されている方法を使用して、製品属性データが取得され、物理的ウェブに空間的に同期される。データを空間的に同期させるための技術は、任意のタイプのデータ取得手段を使用しながら収集された、ウェブに関して測定された又は決定された属性の任意のタイプに適用することができる。測定システムに関して、ウェブから一般に得られる属性データの例には、製品の厚さ、表面粗さ、温度、圧力、反射率、透過率、透過反射(transflection)、三次元の高さ、詳細な表面構造測定、分光透過率若しくは反射率、X線画像又は読み取り値、紫外線(UV)画像若しくは読み取り値、赤外線(IR)画像若しくは読み取り値、光学的若しくは構造的均一性、圧力降下などの圧力変化、静電容量、ヘイズ、平坦性、伝導性、色、複屈折性及び偏光が挙げられる。ウェブのかかる属性を測定するための測定装置の例には、輻射ゲージ、光学ゲージ、β線厚さ計、X線装置、UV又はIRカメラ若しくはセンサ、静電容量測定器、物理センサ、マシンビジョンシステム、温度センサ、圧力センサ並びにスペクトルカメラ及びセンサが挙げられる。当業者は、本明細書に記載された技術が、他の測定値又は測定装置にすぐに適用できることは理解するだろう。
【0170】
測定システムは、ウェブ、ウェブ区分、ウェブベースの製品又は周辺の環境から直接情報を取得してもよい。いずれの場合においても、測定システムは、測定データを高度な空間的精度まで、ウェブ上の物理的位置と関連付けることができる。例えば、β線厚さ計は、複数のプロセスにわたる分析に関して空間的に同期されている製品自体に関する厚さのデータを規則的な間隔で提供することができる。異常データの使用とは対照的に、属性データ、例えば厚さデータは、ウェブの欠陥的若しくは潜在的に欠陥的な領域を識別するよりはむしろ、属性、即ちウェブの特徴又は形状を記載することができる。
【0171】
測定システムはまた、別の例として、ウェブに関するデータを間接的に取得してもよい。例えば、測定システムは、ウェブ自体の温度を直接測定する必要なく、ウェブ近くのオーブンから温度データを取得してもよい。しかしながら、測定システムは、このウェブから製品が製造されるとき、この温度センサからのデータをウェブ材料の物理的位置と関連付けてもよい。即ち、ウェブ材料と、高度な空間的精度にまでプロセス間で関連付けることができる物理的測定データとの間の空間的同期があってもよい。温度データは例えば、アニーリングなどのプロセスにおいて特に有用であることができる。
【0172】
測定データは、一般的に3つの代表的な方法の1つで、ウェブプロセスに関して取得される。測定システムの1つのタイプには、クロスウェブ又は横のウェブ方向における据付位置でデータを取得する単一点センサが挙げられる。図21は、かかる測定システム450Aの実施例を示す。システム450Aは、ウェブ452A及び、据付センサ456を含む作業454Aを含む。ウェブ452Aは基準マーク470Aを含む。作業454Aは、ウェブ452A上に処理を実施してもよく、測定データなどのデータをウェブ452Aから収集し、データの各ユニットに関する位置を記録してもよい。作業454Aは、基準マーク470Aも読み取り、基準マーク470Aそれぞれの関連する位置を記録してもよい。作業454Aのセンサ456は、複数のダウンウェブ、即ち、縦方向、位置に関する測定データを取得するが、クロスウェブ方向においては解像度は限られている。図21の実施例に示されるように、センサ456は、ウェブ452Aの領域458に関するデータを取得することができる。作業454Aは、ローカルな属性情報を格納するための並びに変換コンピュータ480にインターフェース接続するためのコンピュータ及び/又はデータベースも含んでもよい。
【0173】
測定データを取得する第2の方法は、複数の位置のクロスウェブで配置されたセンサ又は測定装置のアレイの使用を含む。図21の測定システム450Bは、ウェブ452B及び作業454Bを含み、これは2つの据付測定装置460A〜460B(「測定装置460」)を含む。他の実施形態は、任意の数の測定装置を使用してもよい。ウェブ452Bは、基準マーク470Bを含む。作業454Bは、ウェブ452B上に処理を実施してもよく、並びに測定データなどのデータをウェブ452Bより収集してもよい。測定装置460は、ウェブ452Bの対応する領域462A〜462B(「領域462」)に関するデータを取得してもよい。更に、作業454Bは、基準マーク470Bのそれぞれに関する位置情報を読み取り、記録することができる。本方法は、複数のセンサのおかげで、測定データの適宜に高い、クロスウェブ及びダウンウェブの空間的解像度を提供することができる。作業454Bは、ローカルな属性情報を格納するための並びに変換コンピュータ480にインターフェース接続するためのコンピュータ及び/又はデータベースも含んでもよい。
【0174】
測定データを取得する第3の方法は、クロスウェブ方向内に移動できる単一センサの使用を含む。図21の測定システム450Cは、ウェブ452C及び作業454Cを含み、これはセンサ464を含む。ウェブ452Cは基準マーク470Cを含む。作業454Cは、ウェブ452C上で処理を実施してもよく、並びにウェブ452Cから測定データ(data measurement data)を収集することができる。作業454Cのセンサ464は、旋回機構、例えば、作業454Cをクロスウェブ方向内で旋回させることができる、アクチュエータ465を含むことができる。アクチュエータ465は、作業454Cのトラック上のモーター、スライド式組立体(sliding assembly)、移動ケーブルに固定された取り付け具、又はセンサ464をクロスウェブ方向内にウェブを旋回させることができる任意の他の手段であってもよい。センサ464は、クロスウェブ方向内で測定データを取得でき、その一方で、ウェブ452Cはデータ取得のジグザグパターン、即ちウェブ452Cの領域466となるダウンウェブ方向内で移動する。同様に、作業454Cは、基準マーク470Cのそれぞれに関する位置情報を読み取り、記録することができる。作業454Bは、ローカルな属性情報を格納するための並びに変換コンピュータ480にインターフェース接続するためのコンピュータ及び/又はデータベースも含んでもよい。
【0175】
作業454のそれぞれは、図21に示されるように変換コンピュータ480など、遠隔データ格納設備と連結されてよい。変換コンピュータ480は、作業454のそれぞれからデータを検索し、このデータを合成マップを作るために空間的に同期させてもよい。合成マップは、ウェブから様々な顧客のために製品を作製するための変換制御計画を作成するために使用されてもよい。例えば、第1顧客は、非常に厳しい品質管理を要求する場合があり、その一方で、第2顧客はそれほど厳しい規格に準拠する製品を必要としない場合がある。変換コンピュータ480は、作業454からのデータを分析し、最終的なウェブのどの部分が厳しい規格に適合するかを決定し、第1顧客のためにこれらの部分から製品を指定してもよく、その一方で、ウェブの他の部分からの製品は、第2顧客のために指定されてもよい。
【0176】
図22は、図21の作業454からのデータの図式表示である。図21に描かれているものなど、大抵のデータ取得方法、又は他のデータ取得方法に関して、各データ点は物理的X若しくはクロスウェブ位置、Y若しくはダウンウェブ位置及び測定データ値を概念的に含む。図22は、基準マークの使用を通じてウェブ製品に空間的に同期されている測定値のそれぞれの例を示す。即ち、図21の変換コンピュータ480は、プロセス454からの測定値を空間的に同期させる。変換コンピュータ480は、例えば図12に関連して記載された方法に従って、データを空間的に同期させてもよい。
【0177】
変換コンピュータ480は、プロセス454からの測定若しくは検査データの組み合わせとして、合成された属性マップ482も生成してもよい。例えば、プロセス454のそれぞれは、プロセスを実施し、測定データを取得し及び/又は共通のウェブ区分、例えば基準マーク「698」によって、図22に示されている「14596」に画定されたウェブ区分からの検査データを取得してもよい。このウェブ区分は、第1に作業454Cでプロセスが実施され、次いで作業454B、次いで作業454Aに進められてもよい。作業454Cは、領域466に対応するデータ474を、センサ464を使用して生成してもよい。作業454Bは、領域462に対応するデータ476を、センサ460を使用して生成してもよい。作業454Aは、領域458に対応するデータ478を、センサ456を使用して生成してもよい。
【0178】
変換コンピュータ480は、作業454のそれぞれからデータ(例えば、データ474、476、478)を取得し、基準マーク470Dを使用して空間的に同期させてもよい。基準マーク470Dは、図8Bに関連して記載されたように、全体的に固有の位置情報に従って位置合わせされることができるか、又は図8Aに関連して記載されたように、作業454の1つの座標系に位置調整するいずれか一方ができる。分析コンピュータはまた、ウェブの方向に基づいて収集されたデータに関連する位置情報を調節して合成された属性マップ482を生成してもよい。変換コンピュータ480は、図22に示されているように、プロセス454からデータ474、476及び478のそれぞれを含むように、合成マップ482を生成してもよい。変換コンピュータ480は、合成された属性マップ482を使用して、ウェブの任意の物理的位置でウェブ材料品質を評価する又は選別してもよい。合成された属性マップ482は、特定の顧客によって最も所望されている、特に所望されている属性と共に材料を選択的に選別するために使用することもできる。
【0179】
本発明の様々な実施形態を説明した。上記及び他の実施形態は、特許請求の範囲の開示内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のウェブであって、
前記ウェブの位置情報を識別するための複数の基準マークを含み、
前記複数の基準マークの少なくとも1つは、製造データを表すための第1マーク及び前記基準マークを独自に識別するための第2マークを有する合成基準マークである、材料のウェブ。
【請求項2】
前記製造データが、前記合成基準マークを適用した製造プロセスラインを示すシステム識別子(ID)と、前記合成基準マークが適用されたときを示す年及び通日とのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の材料のウェブ。
【請求項3】
前記第1マークが、6桁の整数を含み、2桁は前記システムIDに対応し、1桁は前記年に対応し、3桁は前記通日に対応する、請求項2に記載の材料のウェブ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基準マークが、基準マークリーダーが前記基準マークの位置を特定することを補助するための位置特定マークを更に含む、請求項1に記載の材料のウェブ。
【請求項5】
前記第2マークが、整数を含む、請求項1に記載の材料のウェブ。
【請求項6】
前記整数が、ゼロ(000000)〜999999までの包括的な範囲にある6桁の整数を表すためのインターリーブド2オブ5コードのバーコードである、請求項5に記載の材料のウェブ。
【請求項7】
第1製造プロセス中に基準マークのセットをウェブに適用する工程と、
前記ウェブに適用されたとき、前記基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、
第2製造プロセス中に前記基準マークを検出する工程と、
前記第2製造プロセス中に基準マークを再適用して、現在の及びこれに続く製造プロセスに関する空間的位置合わせを可能にする工程と、を含む、方法。
【請求項8】
基準マークのセットを優先的に再適用する工程が、前記第1製造プロセス中に適用された前記基準マークが失われているとき、前記第1製造プロセス中に適用された前記基準マークが存在すべき位置で基準コードを適用することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
基準マークのセットを再適用する工程が、
前記位置間の一定距離の関数として、前記セットの基準マークに関する位置を決定することと、
前記決定された位置に従って前記基準マークを適用することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記基準マークを再適用する工程が、
前記第2製造プロセスと共に基準マークの予定された位置を、前記予定された位置間の一定距離の関数として決定することと、
前記予定された位置のそれぞれに関して、基準マークが前記予定された位置で存在するかどうかを検出することと、
既存の基準マークを有さない前記予定された位置のそれぞれに、基準マークを適用することと、を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1製造プロセス中に適用された前記基準マークが、第1セットの基準マークを含み、第2セットの基準マークを前記ウェブに適用する工程を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第2セットを適用する工程が、
前記第2製造プロセスと共に前記第1セットの基準マークの予定された位置を、前記予定された位置間の一定の距離の関数として決定することと、
前記第2セットの基準マークを前記予定された位置間に適用することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記予定された位置のそれぞれに関して、前記第1セットの基準マークが前記予定された位置で存在するかどうかを検出する工程と、
既存の基準マークを有さない前記予定された位置のそれぞれに、前記第1セットの基準マークを適用する工程と、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記予定された位置間が、前記予定された位置間の前記距離の半分を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第2セットの基準マークが、前記第1製造プロセス中に適用された前記第1セットの基準マークのフォーマットと異なるフォーマットに適合する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
第2セットの基準マークを適用する工程が、
前記第2セットの各基準マークに関して、前記第2セットの基準マークを適用した前記製造プロセスラインを示すシステム識別子(ID)、年及び通日のうちの少なくとも1つを含む製造データを示す第1マークをウェブに適用することと、
前記第2セットの各基準マークに関して、ゼロ(000000)〜999999の範囲にある整数を示す第2マークを前記ウェブに適用することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第2マークを適用する工程が、現在の基準マークの前に適用された前記ウェブ上の前記第2セットの前記基準マークのそれぞれよりも、少なくとも1単位大きい整数を示す第2マークを適用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
第2セットの基準マークを適用する工程が、前記第1製造プロセス中に前記第1セットの基準マークが適用された前記ウェブの縁部に、前記第2セットの基準マークを適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
材料のウェブ上で少なくとも2つのフォーマットの基準マークを読み取るための基準マークリーダーと、
前記ウェブ上で少なくとも2つのフォーマットの基準マークを書き込むための基準マークライターと、
前記ウェブに沿って距離を測定するためのエンコーダと、を含む、装置。
【請求項20】
前記エンコーダから信号を受信し、前記基準マークライターに信号を送信して前記少なくとも2つのフォーマットの1つの基準マークを前記ウェブに適用するためのトリガーモジュールを更に含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記基準マークライターが、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、機械的なラベルを固定するための装置、及び磁気ラベルを固定するための装置の少なくとも1つを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
基準マークの前記少なくとも2つのフォーマットの1つが、インターリーブド2オブ5コードに適合する6桁のバーコードを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
基準マークの前記少なくとも2つのフォーマットの1つが、2つの6桁のバーコードを含み、前記6桁のバーコードのそれぞれは、インターリーブド2オブ5コードに適合する、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
基準マークの前記少なくとも2つのフォーマットの1つが、基準マークが読み取られる位置にあることを前記基準マークリーダーに示すための位置特定マークを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項25】
材料のウェブ上で少なくとも2つの異なるフォーマットの基準マークを読み取り、前記ウェブ上で基準マークを書き込み、前記ウェブ上の基準マークに対応する前記ウェブ上の位置を検出するための基準マーク装置と、
異常に関して前記ウェブを検査するための検査装置と、を含む、システム。
【請求項26】
前記基準マーク装置が、前記ウェブ上で少なくとも2つのフォーマットの基準マークを書き込むよう構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記検査装置が、
前記ウェブ上で異常を検出するための異常検出器と、
前記ウェブ上で前記検出された異常の位置をマークするための異常マーカーと、を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記基準マーク装置が、前記ウェブの位置を前記検査装置に通信するためのインターフェースを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記ウェブに製造プロセスを適用するための、1つ以上の製造工場における複数の製造ラインを更に含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項30】
プログラム可能なプロセッサに、以下の指示:
材料のウェブ上に基準マークが存在するかどうかを決定させること、
前記ウェブ上に前記基準マークが存在するとき、前記基準マークを読み取らせ、コンピュータで読み取り可能な媒体に前記基準マークの位置を記録させること、
前記ウェブ上に前記基準マークが存在しないとき、前記ウェブ上に新しい基準マークを書き込ませ、コンピュータで読み取り可能な媒体に前記新しい基準マークの位置を記録させること、
前記ウェブ上で組み合わされた基準マークを2つの既存の基準マーク間に書き込ませ、コンピュータで読み取り可能な媒体に前記組み合わされた基準マークの位置を記録させること、
検査装置から位置情報に関するリクエストを受信させること、
前記リクエストに応えて、前記ウェブについての位置情報を前記検査装置に送信させること、及び
基準マークの少なくとも2つの異なるフォーマットを区別させること、を含み、基準マークの前記フォーマットの少なくとも1つは、製造データを示すための第1整数と、前記基準マークを独自に識別するための第2整数と、を含む合成基準マークであって、前記製造データは前記合成基準マークを適用した製造プロセスラインを示すシステム識別子(ID)と、前記合成基準マークが適用されたときを示す年及び通日と、のうちの少なくとも1つを含む、合成基準マークである、コンピュータで読み取り可能な媒体。
【請求項31】
第1製造プロセス中に、第1セットの基準マークを材料のウェブに適用する工程と、
前記第1製造プロセス中に、前記第1セットの基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、
第2製造プロセス中に、前記第1セットの基準マークの少なくとも2つの基準マークを検出する工程と、
前記第2製造プロセス中に、前記第1セットの基準マークの各基準マークに関する位置を記録する工程と、
前記第1セットの基準マークの各基準マークに関する予定された位置を決定する工程と、
第2セットの基準マークを適用する工程であって、前記第2セットの各基準マークは、前記第1セットの前記基準マークの前記予定された位置の2つの間に適用される、工程と、
前記第2セットの前記基準マークのそれぞれに関する位置を記録する工程と、を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−534834(P2010−534834A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518288(P2010−518288)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/070066
【国際公開番号】WO2009/014939
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】