説明

マルチRFIDアンテナによって検出される物品の位置の割り当ておよび推定方法

本発明の好ましい諸実施形態によれば、モニタリングされる一つまたは複数の品物またはオブジェクトの位置を推定するための方法(および対応する装置)が提供される。例示的な実施形態では、該方法(および対応する装置)はRFID(電波方式認識)用途(たとえば、RFIDタグを13.56MHzおよび約900MHzにおいて読み取る)において実装される。それは、複数のRFID読み取り器アンテナによってカバーされる一つまたは複数の検出領域において一意的なRFIDタグに関連付けられた品物の位置を推定することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年5月7日に出願された米国仮特許出願第60/568,847号('847出願)の恩恵を主張するものであり、2003年1月9日に出願された米国特許出願第10/338,892号('892出願)および2003年1月23日に出願された米国特許出願第10/348,941号('941出願)の部分継続出願である。ここで、'892出願は2002年1月9日に出願された米国仮出願第60/346,388号('388出願)および2002年1月23日に出願された米国仮出願第60/350,023号('023出願)の恩恵を主張するものである。ここで、'941出願は'892出願の部分継続出願であり、'023出願の恩恵を主張している。本願に関係する出願として、2003年5月9日に出願された米国仮出願第60/469,024号('024出願)、2003年6月18日に出願された米国仮出願第60/479,158号('158出願)、2003年6月20日に出願された米国仮出願第60/679,846号('846出願)、2003年7月25日に出願された米国仮出願第60/489,934号('934出願)がある。'847,'892,'941,'388,'023,'721,'024,'158,'846,'934出願のそれぞれの開示はそれぞれの全体において参照によってここに明示的に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電波方式認識(RFID: radio frequency identification)システムは典型的には、RFIDタグで標識付けされた品物に電波(RF: radio frequency)信号を送るために一つまたは複数のRFID読み取り器アンテナを使う。品物または人物を認識するためのそのようなRFIDタグの使用は当技術分野においてよく知られている。RFID読み取り器アンテナからのRF信号に応えて、RFIDタグは励振されると磁場(または電場)の擾乱を生じ、これがRFID読み取り器アンテナによって検出される。典型的には、そのようなタグは、タグがRFID読み取り器アンテナの検出範囲内にあるときにRFID読み取り器アンテナからのRF信号に応えて励振される、あるいは共鳴する受動タグである。
【0003】
RFIDシステムの検出範囲は典型的には信号強度によって短い距離(すなわち検出域)に制限される。たとえば、13.56MHzのシステムの場合、しばしば1フィート未満である。したがって、タグ付けされた品物すべてを検出するためには、特にタグ付けされた品物が静止すなわち固定した単一のRFID読み取り器アンテナの検出範囲より著しく大きな空間内に蓄えられている場合、可搬読み取り器ユニットを一群のタグ付けされた品物を横切るように動かすことがある。あるいはまた、より多くのタグ付けされた品物を検出するための十分な出力と到達範囲をもった大きなRFID読み取り器アンテナを使うこともある。しかし、そのようなアンテナは扱いにくく、放射電力の到達範囲を許容限度以上に増加させるかもしれない。さらに、これらのRFID読み取り器アンテナはしばしば、店舗など、スペースが貴重で、そのような大きなRFID読み取り器アンテナを使うことが高価で不便であるような場所に置かれる。もう一つの可能な解決策は、複数の小さなアンテナを使うようなことであるが、そのような構成を築くことは、スペースが貴重なとき、および配線を見えないようにしたいときには不格好となりうる。
【0004】
現行のRFID読み取り器アンテナは、放射される放出に対するFCCの制限に触れることなく、アンテナと関連するタグとの間で十分な読み取り範囲が維持されうるよう設計されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
共鳴ループRFID読み取り器アンテナシステムは現在さまざまなRFID用途で使われている。ここでは多数のRFID読み取り器アンテナが単一の読み取り器に接続される。各RFID読み取り器アンテナはシステムの特性インピーダンスに合わせるために使用される独自の同調回路を有しうる。ほどほどの大きさのいくつかのアンテナを使うことができ、ある所与のアンテナのカバー範囲はそのアンテナの領域を若干越えて広がってもよく、一つまたは複数の隣接アンテナのカバー範囲と重なってもよい。これはアンテナの縁に近い、あるいは二つのアンテナの間の境界沿いのタグを見逃さないためである。二つ以上のアンテナが所与のRFIDタグを読める場合には、そのタグについては重複読み取りが生じうる。これはタグ付けされた品物の位置に関する不確定性につながりうる。これはまた、そのタグについてのデータの重複した、すなわち繰り返される送信のため、データトラフィックを増すこともありうる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、モニタリングされるべき一つまたは複数の品物またはオブジェクトの位置を推定するための方法(および対応する装置)が提供される。例示的な実施形態では、当該方法(および対応する装置)はRFID(電波方式認識)用途(たとえば、13.56MHzおよび約900MHzでRFIDタグを読む)において、マルチRFID読み取り器アンテナなどの形の検出器によってカバーされる一つまたは複数の検出領域内で一意的なRFIDタグに関連付けられた品物の位置を推定することによって実装される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態および応用についてこれから述べる。本発明の精神や範囲から外れることなく、その他の実施形態が実現されることもでき、開示される実施形態に変更が加えられることもできる。ここに開示される好ましい実施形態は、RFIDシステムの分野に応用されるものとして具体的に述べられるが、本発明が、同じまたは同様の問題を抱えるいかなる技術において具現されてもよいことは容易に明らかであるはずである。さらに、ここでの例は、たとえば小売店のような施設における棚システムとの関係で具体的に述べられるが、本発明が他の形状要素で、および他の施設で具現されてもよいことは容易に明らかであるはずである。
【0008】
複数のRFID読み取り器アンテナの形の検出器システムが在庫を追跡管理するのに使われる。そのようなシステムは先に参照した特許出願に記載されており、それらはみなその全体において参照によってここに組み込まれる。ある好ましい実施形態によれば、二つ以上のRFID読み取り器アンテナによって検出されたときにタグ付けされた品物の物理的な位置を割り当てる方法が提供される。ここでの記述は静止した品物にも非静止の品物にも適用できる。好ましいシステムは品物を支持または保存するための棚システムに関連するが、品物を支持または保存する他の構造も使われうることは理解しておくべきである。
【0009】
一般に、RFID読み取り器アンテナへのRF(電波)強度を上げれば、アンテナのレンジが大きくなる。アンテナのレンジを大きくすることは、たとえば棚の高いところや一つ上の棚に載っている品物の読み取りを保証するために望まれうる。RFID読み取り器アンテナごとのRF強度を上げることで、同じ距離にわたる品物を読み取るために必要なアンテナの数が少なくなりうる。しかし、RF強度が上がるにつれ、RFカバー範囲がアンテナ間で重なることがあり、一部のRFIDタグが二つ以上のアンテナによって読まれることがありうる。
【0010】
本稿での用法では、「実際の読み取り域」とは、ある特定のアンテナに関連付けられる品物のための意図される読み取り範囲または見かけの物理的貯蔵領域を含む体積または三次元空間を指す。たとえば、N個のRFIDアンテナがあるとすると、N個の実際の読み取り域があることになる。ある好ましい実施形態では、二つ以上のRFID読み取り器アンテナの実際の読み取り域が重なり合う場合、重なり合う各領域または体積は、「仮想読み取り域」または「仮想域」と称される別個の検出域として指定または割り当てされることができる。たとえば単数または複数の棚に端から端まで置かれたN個のRFIDアンテナについては、アンテナ対の間のアンテナの重なり合いによって生成された約N−1個の仮想読み取り域がありうる。
【0011】
表1Aは、二次元配列(アンテナを4つずつもつ5つの行)に配置された複数のアンテナを示しており、これはたとえば棚システムに付随するアンテナでありうる。この実施形態では、20の読み取り域(たとえばa、b、c、dなど)がある。「仮想域」は二つ以上のアンテナの読み取り域に重なる体積または面積によって定義されうる。たとえば、水平仮想読み取り域は、表1で「ab」「bc」「cd」などとして指定されている既存の重なり領域に割り当てられうる。ここで、RFID読み取り器アンテナカバー範囲の水平的な重なりは、同じ行の隣接するアンテナどうしの間で生じる。表1で「ei」「im」「mq」などとして指定されている垂直の仮想読み取り域が存在しうる。ここで、RFID読み取り器アンテナカバー範囲の垂直的な重なりは、同じ列の隣接するアンテナどうしの間で生じる。表1でたとえば「kp」として表記された斜めの仮想読み取り域も定義されうる。この場合、斜め隣のアンテナどうしの間でRFID読み取り器アンテナのカバー範囲の斜めの重なりが生じる。図1Bに示されるように、5行4列をもつアンテナ配列は20個の実際の読み取り域をもつことができる一方、該アンテナ配列はさらにたとえば55個の仮想読み取り域を有しうる。5行20列をもつアンテナ配列は、100の実際の読み取り域をもつ一方、たとえば302の仮想読み取り域を有しうる。
【0012】
【表1A】

【0013】
【表1B】


仮想読み取り域が三次元で生じうることは理解しておくべきである。それはたとえば、第三の方向(たとえばz軸)に重なりが生じる場合、RFID読み取り器アンテナが棚システムにあってアンテナ読み取りカバー範囲が向こう隣の通路(つまり、所与の棚設備の「裏」側)に重なる場合、あるいはアンテナカバー範囲が通路を隔てた棚に付随するアンテナと重なる場合である。三次元の重なりは、たとえばRFID読み取り器アンテナが倉庫など通路が狭い施設で使われる場合にも生じうる。たとえば、自動化された図書館は、ローラーで左右に動かせる書架に付随したRFID読み取り器アンテナを用いることがある。この例では、限られた空間をより効率的に使うために通路は随意に開いたり閉じたりできる。
【0014】
図1のAは、本発明のある好ましい実施形態に基づく棚配置で使われるRFIDアンテナシステムの例示的な正面図を示している。図1のBは例示的な上面図を示している。ある好ましい実施形態では、棚100はRFID読み取り器アンテナ110を支持する。RFID読み取り器アンテナ110は、たとえば周112または体積114によって定義されるRF場を生成できる。RF場がいかなる好適な目安(たとえば周、面積および体積)によって定義されてもよいことは理解されるであろう。RF場は、タグ付けされた品物116のRFIDタグ118から情報を検出し、読み取りうる。周122または体積124で定義されるRF場を生成する追加的なRFID読み取り器アンテナ120が存在することがある。3つ以上のRFID読み取り器アンテナが存在していてもよい。図1のAではタグ付けされた品物116上にRFIDタグ118が示されている。簡単のため、以下の例示的な図面では、RFIDタグは通例示されないが、記載される個々のタグ付けされた品物はそれぞれ、該個々のタグ付けされた品物に関連付けられうる一意的な識別情報(たとえば、シリアル番号、文字列記述子またはその他の一意的なID)をもつ付随するRFIDタグを有していることは理解されるであろう。
【0015】
RFID読み取り器アンテナ110からの、たとえば周112または体積114によって定義されるRF場は単向性として示されていることを注意しておく。具体的には、この場合、上向きであるが、これは薄い金属シートのようなRF遮蔽材105を棚の下側表面上に置くことによって達成できる。このRF遮蔽材は代替的に棚の内部にあってもよい。RFID読み取り器アンテナも棚内部にあってもよい。あるいはまた、RFIDアンテナからのRF場は、所望の用途および検出領域に応じて両方向性または全方向性であってもよい。
【0016】
図2では、同じ棚配置が、追加的なタグ付けされた品物を加えて、例示的な正面図において示されている。具体的には、RFID読み取り器アンテナ110のレンジ外、すなわちRFID読み取り器アンテナ110の場を定義する例示的な周112または体積114の外側にあるタグ付けされた品物216が示されている。したがって、この例では、タグ付けされた品物216はRFID読み取り器アンテナ110によっては検出され得ない。
【0017】
この状況に対処するため、図3のAおよびBに示されるように、RFID読み取り器アンテナ110への電力を増やすなどしてRF場の強度を上げることができる。この結果として、タグ付けされた品物216を検出できるより強いRF場(たとえば周312または体積314によって示されている)が得られる。
【0018】
RFID読み取り器アンテナ110についてのより強いRF場を使うことの例示的な結果は、たとえば周312または体積314によって定義されるそのカバー範囲が今や隣接するRFID読み取り器アンテナ120(そのRF場のカバー範囲は周322または体積324によって示される)のカバー範囲に重なりうるということである。そしてRFID読み取り器アンテナ120の近くに位置するタグ付けされた品物326を検出することさえありうる。品物326は今やRFID読み取り器アンテナ110および120の両方で検出されうる。重なり合うRFカバー範囲の領域が両アンテナ間に存在することがあり、これが周342または体積344によって示されている。
【0019】
タグ付けされた品物326は二つのRFID読み取り器アンテナによって読み取られるものの、在庫管理システムによって二度数えられる必要はない。タグ付けされた品物326に付随するRFIDタグは一意的な識別番号をもつはずだから、同じID番号を二度見た在庫管理システムは、本発明のある好ましい実施形態によれば、タグ付けされた品物326を一度しか数えないよう運用されうる。
【0020】
品物に関しての「位置」という用語はいくつかの意味を有しうる。ある実施形態では、「ストック・プラン」の用語は意図された、好ましい、あるいはあらかじめ割り当てられた位置を指す。たとえば、ある品物はプラノグラムのような秩序だったレイアウトで位置されることができる。「ストック・プラン」はまた、ある種の条件(たとえば、複数の品物が第二のアンテナ検出域に比して第一のアンテナ検出域に関連付けられるなど)が満たされた場合にある品物がある位置に割り当てられることを許容する一組の規則のことを指すこともある。「実際の」位置とは品物が物理的に位置している場所を指しうる。「検出された」位置とはタグ付けされた品物が一つまたは複数のRFID読み取り器アンテナによって検出される位置を指しうる。別の実施形態では、「推定」された(あるいは計算されたまたは蓋然的な)位置は本稿で述べる所定の基準に基づいて位置を割り当てる一組または複数組の規則に基づく。
【0021】
ある実施形態では、位置は単数または複数のRFID読み取り器アンテナに関係しうる。別の実施形態は、位置をRFID読み取り器アンテナに関連付けられた構造に、たとえばRFID読み取り器アンテナに関連付けられた棚その他の構造に関係させることを提供する。こうして、タグ付けされた品物があるRFID読み取り器アンテナに関係する推定位置を割り当てられたとき、該推定位置はタグ付けされた品物を保持する棚その他の支持構造といった構造に容易に関係づけることもできる。たとえば、ユーザーは、一般的な指定(たとえば「アンテナ43のところに位置する品物」)ではなく、具体的な指定(たとえば「10番の棚の3段目」)または同様の方式に基づいて位置に言及してもよい。
【0022】
図3のAおよびBは、二つ以上のアンテナによって検出されたタグ付けされた品物326について、例示的な推定位置の決定を図解している。推定位置は、アンテナ110および120の両方によって検出された任意のタグ付けされた品物326を含む仮想読み取り域または重なり域(たとえば周342または体積344によって示される)として定義されうる。そのような仮想読み取り域は、あらゆる二つ以上のアンテナの組み合わせについて存在しうる。
【0023】
ある好ましい実施形態は、タグ付けされた品物326と同様の品物すべて、たとえば同じSKU(stock keeping unit[在庫管理単位])またはUPC(universal product code[統一商品コード])をもつ品物すべての検出された位置を解析し、一組の規則に従って該タグ付けされた品物に割り当てる推定された(蓋然的または論理的な)位置を決定することを含む。たとえば表2に示すような具合である。たとえば、二つのアンテナによって読み取られた品物326と同様のタグ付けされた品物は、表2の例に示されるように、アンテナ110および120に位置付けられる、あるいは割り振られると推定されることができる。
【0024】
【表2】


表2の例によれば、RFIDタグをもつ品物が複数アンテナによって検出されており、ある特定のSKU番号をもつ一つまたは複数のタグ付けされた品物からなるグループが二つ以上のアンテナによって検出されている。たとえば、アンテナ110によって6つの品物が検出され、アンテナ120によって18の品物が検出され、両アンテナ110および120によって7つの品物が検出されている。これらの検出された位置に基づいて、適切な推定または計算された位置が以下の段落で述べるようにして決定されうる。この例はアンテナ110および120の二つだけのアンテナと一つの対応する仮想読み取り域342について与えられているが、本発明は任意の数のアンテナおよび任意の数の仮想域に関わる状況に拡張されうることは理解しておくべきである。
【0025】
ある好ましい実施形態では、「仮想域」の位置を割り当ることができる。たとえば、単一のアンテナ(たとえば110または120)によってのみ検出された品物はそのアンテナのところに位置すると推定できる。両方のアンテナ110および120によって検出された品物は、「仮想読み取り域」342内に位置していると推定できる。仮想読み取り域342はこの場合、両アンテナの間の、あるいは両アンテナの間の境界に近い体積もしくは三次元空間によって表現されうる。
【0026】
もう一つの好ましい実施形態では、域または検出領域は、所定の基準の組に従って割り当てられ、あるいは位置づけされることができる。たとえば、「アンテナ・勝者全取り」という基準の組を適用して一つの品物または一連の品物を、最大数の品物を検出したアンテナに割り当てられた域内の近似的な位置に割り当てることができる。表2「勝者アンテナの全取り」を参照すると、品物は、最大数の品物を検出したアンテナ120のところに位置していると推定される。両方のアンテナが同数の品物を検出していた場合には、品物位置はアンテナ110と120の間で均等に分割されると推定されうる。あるいは別の割り当て規則を呼び出してもよい。
【0027】
もう一つの好ましい実施形態では、「アンテナ・比例配分」という基準を適用して、少なくともある第二のアンテナと比較してのある第一のアンテナによって検出された品物の割合に従って一つの品物または一群の品物に位置を割り当てることができる。この例では、仮想読み取り域を使うことなく比較的正確な位置割り当てを提供できる。第一のアンテナおよび少なくとも第二のアンテナによって検出された品物の相対的な割合は、アンテナからのRFIDデータに基づくことができる。たとえば、アンテナ110および120のそれぞれは、そのアンテナによってのみ検出された品物を保持していると推定される。両方のアンテナによって検出された品物は、各アンテナによってのみ検出された品物の割合に従って割り振られる。たとえば、アンテナ110は6単位を検出し、アンテナ120は18単位を検出している(それぞれ全24の品物の25%および75%)ので、両方のアンテナによって検出された追加的な7つの品物は25%(7×1/4すなわち1.75個の品物)はアンテナ110のところに、75%(7×3/4すなわち5.25個の品物)はアンテナ120のところに位置していると推定される。単位の端数を使うことが望ましくない場合には、割り振りはそれぞれ2つの品物、5つの品物に丸めてもよい。
【0028】
もう一つの好ましい実施形態では、「アンテナ・過半数(50%の多数)」という域または位置割り当て規則を適用して、二つ以上のアンテナによって検出された品物の位置を決定することができる。この原則が使われうるのは、たとえば、二つ以上のアンテナによって読み取られた品物はみな単一のアンテナに割り当て、一つのアンテナのみによって読み取られた品物はその特定のアンテナに割り当てることが望まれるときである。上記の例を使えば、アンテナ110とアンテナ120の両方によって検出された追加的な7つの品物は、アンテナ120に割り当てられた域または位置に位置していると推定される。過半数の品物(18個)がアンテナ120によってのみ検出されていたからである。
【0029】
好ましい諸実施形態は、「3分の2の多数アンテナ」および「80%の多数アンテナ」という位置割り当て基準を提供する。これらの実施形態では、たとえばアンテナ110とアンテナ120の両方によって検出された品物は、割り当てられた位置内にのみある品物のそれぞれ少なくとも3分の2または80%を検出しているアンテナに割り当てられる。たとえば、アンテナ120がその割り当てられた域または位置内の品物の80%を検出したとすると、アンテナ110とアンテナ120の両方によって検出された品物はすべてアンテナ120に関連付けられた域または位置に割り当てられることになる。これらの基準は「50%の多数アンテナ」の変形であるが、複数アンテナによって検出された品物が単一のアンテナに割り振られない上限値がより高くなっている。
【0030】
このように、これらの基準はより一般的な「x%の多数アンテナ」の例示的な部分集合を表している。ここで、x%は典型的には50%から100%までの間の値である。単数または複数の所与の品物を検出する複数アンテナの数によってはデータ多数のために必要なx%が達成されないこともあり、その場合、割り振りはアンテナ・比例配分または仮想読み取り域といった別の基準の組に頼りうる。表2の具体例では、アンテナ120は単独検出された品物の75%(24個中18)を検出しており、よって3分の2の多数の基準を満たし、よってアンテナ120によってのみ検出された18の品物に加えて両アンテナによって検出された7つの品物すべてを保持すると推定されることになる。しかし、75%では80%の多数基準のもとでは不十分であり、したがって80%の多数基準はあてはまらない。代替的に、アンテナ・比例配分の基準が適用されうる。「アンテナ・過半数」および「アンテナ・比例配分」の基準は「勝者全取り」原理ではないので、アンテナ110は該アンテナ110によってのみ検出された6つの品物は保持すると推定される。
【0031】
もう一つの実施形態では、「ストックプラン」基準と称される基準の組を使って一つの品物または一群の品物に位置または域を割り当てることができる。表2の例を参照すると、この特定のSKUについてのストックプラン(時に「プラノグラム(planogram)」と呼ばれる)は、20の品物をアンテナ110に関連付けられているものとして、30の品物をアンテナ120に関連付けられているものとして割り当てまたは位置づけする。よって、域または位置内の品物の位置付けは、必ずしもある特定の位置にその品物を実際に検出することに基づくのではなく、むしろ単数または複数の所与の位置に品物をストックする所定のプランに基づく。
【0032】
ある実施形態では、「ストックプラン・勝者全取り」という位置割当基準が使われる。この例示的な基準の組は、単に品物を数えて近似的な位置を割り当てることが所望されるときに使われることができる。すべての品物は、ストックプランによれば最大数の品物を有しているはずのアンテナ120のところに位置していると推定される。
【0033】
ある実施形態では、「ストックプラン・分割」という位置割当基準が使われうる。このストックプランによれば両方のアンテナが同数の項目を有するような場合、品物位置はアンテナ110および120の間で均等に分割されていると推定されうる。あるいは別の割り当て規則を呼び出してもよい。
【0034】
「ストックプラン・比例配分」という位置割り当て基準の実施形態は、二つ以上のアンテナの間で品物の位置を割り振るために使われることができる。たとえば、アンテナ110および120のそれぞれがそのアンテナによってのみ検出された品物を保持していると推定され、それに加えて両方のアンテナによって検出された品物はストックプランにおける割り当てられた品物数に比例して両アンテナの間で割り振られる。この例では、ストックプランはアンテナ110が20の品物を、アンテナ120が30の品物をもつよう割り当てている(それぞれ全50個の品物のうちの40%および60%)ので、両アンテナによって検出された追加的な7つの品物は、アンテナ110のところに40%が(0.4×7すなわち2.8個の品物)、アンテナ120のところに60%(0.6×7すなわち4.2個の品物)が位置していると推定される。品物の端数を使うことが望ましくない場合には、割り振りはそれぞれ3つの品物、4つの品物に丸めてもよい。
【0035】
「ストックプラン・過半数(50%の多数)」という位置割り当て基準の実施形態は、一つまたは複数の品物の位置または域の割り当てを割り振る。割り振りの決定は、ストックプランによって割り当てられている数に基づく。よって、たとえばアンテナ110はそのアンテナによってのみ検出された6つの品物を保持し、アンテナ120はそのアンテナのみによって検出された18の品物に加えて両方のアンテナによって検出された品物はすべてを保持していると推定される。アンテナ120はストックプランのもとで各アンテナに割り当てられた全品物の50%超を割り当てられていたからである。
【0036】
「ストックプラン・3分の2の多数」および「ストックプラン・80%の多数」という位置割当基準は、一つの品物または一連の品物の位置の割り当てを、複数アンテナによって検出された品物が単一のアンテナに割り振られない上限値により高い値を使って行う。これらの基準はより一般的な「ストックプラン・x%の多数」の部分集合を表している。ここで、x%は典型的には50%から100%までの間の値である。ストックプランによって単数または複数の所与の品物を保持していると割り当てられる複数アンテナの数に依存して、ストックプラン多数のために必要なx%が達成されないこともあり、その場合、割り振りは別の基準(たとえばストックプラン・比例配分または仮想読み取り域)に従って決定される。表2の具体例では、ストックプランは品物の60%がRFID読み取り器アンテナ120とともに置かれるものとしており、この60%という値は50%の多数という基準は満たすが、3分の2または80%の多数は満たさない。
【0037】
理解しておくべきだが、ユーザーは表2に描かれた例示的基準の組の一つ、あるいはそれらの原理に基づくある変形を実装するよう選ぶことができるが、ユーザーはさらに表2の原理のうちのいくつかを実装するよう選んでもよい。その際、ある基準の組が品物位置を解決しない場合には追加的な基準が適用されて一つの品物または一群の品物の適切な位置を決定しうるよう階層的な序列または系列とすることが好ましい。
【0038】
たとえば、複数の因子または基準が見かけの位置を割り当てる論理的方法に組み込まれうる。ある実施例では、店のストッキングプランはある種の(または同様な)製品のすべてをRFID読み取り器アンテナ110に割り当ていることがありうる。RFIDデータが検出された製品位置がほとんどRFID読み取り器アンテナ120のところにあり、わずかな単位がRFID読み取り器アンテナ110のところにあることを示している場合、システムは、アンテナ110の域内にはわずかな単位しか検出されなかったという事実にもかかわらず、論理的な計算によって、割り当てられたストッキングプランに従ってすべての単位をアンテナ110に割り当てることができる。そのようなストッキングプランはしばしばプラノグラムと呼ばれる図的な呈示を組み込んでいる。システムは、代替的に、単位のほとんどがRFID読み取り器アンテナ120のところにあることを示す前記RFIDデータに従って、単位のすべてをRFID読み取り器アンテナ120に割り当てることもできる。
【0039】
別の実施形態では、品物の端数またはある割合が、一つまたは複数の位置(たとえばRFIDアンテナの検出域)に割り当てられることができる。たとえば、二つのアンテナによって検出された品物(たとえば「共通品物[joint item]」)の50%が第一の検出域に割り当てられることができる。別の実施形態では、共通品物の33%が第一の検出域、第二の検出域および第三の検出域に割り当てられる。さらに別の実施形態では、共通品物の50%が第一の検出域に割り当てられ、共通品物の25%が第二の検出域に割り当てられ、共通品物の25%が第三の検出域に割り当てられる。三つの検出域は、第一の検出域が一方の側で第二の検出域に隣接し、他方の側で第三の検出域に隣接する場合に配置されることができる。本発明のもう一つの実施例によれば、共通品物の100%が第一の検出域に割り当てられることができ、共通品物の0%が該第一の検出域に隣接する第二および第三の検出域に割り当てられることができる。
【0040】
一つまたは複数の品物の位置を推定するためには、いくらでも異なる基準を考案できる。ある好ましい実施形態では、たとえば、品物の位置は、ある特定の検出域内のRFIDアンテナからのその品物の距離を判別することによって推定できる。たとえば距離がある所定の距離未満であれば、その品物はそのRFIDアンテナの検出域内に位置していると推定される。品物とRFIDアンテナとの間の距離の決定は、当技術分野において知られているいかなる手段(たとえば赤外線センサー、GPSなど)を使って行うこともできる。
【0041】
別の実施形態では、システムはデータを表示するいくつかのモードをもつことができる。単純化された表示は商品の近似的な位置を位置特定するために使われ得、従業員になじみがありうる。この表示では、データは意図されているストッキングプランに従って単純化される。もう一つの事例はメンテナンス表示で、データは厳密に検出されたとおりに示される。仮想読み取り域さえ示されており、小売業者が棚の補充または刷新が必要だったかどうかを計画するのを助ける。RFIDシステムからのデータはプラノグラムに組み込まれてもよい。
【0042】
図4には、上下に並んで位置する二つの棚400および450を含むもう一つのアンテナ配置が正面図で示されている。この事例では、RFID読み取り器場を制限するためにRF遮蔽材を使うことはしていない。したがって、アンテナ410は上方(周412および体積414によって示される)および下方(周412′および体積414′によって示される)の両方にRF場を投射できる。RFID読み取り器アンテナは、116および216といったアンテナ410に隣接するタグ付けされた品物を検出しうるが、隣接するアンテナ420によってカバーされる域内のタグ付けされた品物326をも検出しうる。棚450に付随するRFID読み取り器アンテナ410の下には、もう一つのRFID読み取り器アンテナ460があり、これは上方(周462および体積464によって示される)および下方(周462′および体積464′によって示される)の両方に投射されるRF場をもつ。RFID読み取り器アンテナ460上に静止しているタグ付けされた品物416はアンテナ460からのRF場462によって検出されるが、アンテナ410からのRF場412′によっても検出される。
【0043】
この例では、仮想読み取り域(周442および体積444によって示される)が図のようにRFIDアンテナ410および460の間に定義されうる。二つ以上のアンテナからのRF場によってカバーされるその他の空間的体積について追加的な仮想読み取り域が定義されることもある。さらに、タグ付けされた品物417のような一部のタグ付けされた品物が、三つ以上のアンテナからのRF場によって検出されるような位置にあることがある(追加的なRF場は図示していない)。
【0044】
もう一つの実施形態では、図5のAは、複数のRFID読み取り器アンテナが垂直方向の位置にある配置の側面図を(そして図5のBが上面図を)呈示している。たとえば、垂直支持部材500にRFIDアンテナ510が設けられる。(RFID読み取り器アンテナを垂直支持部材500内に隠すことも可能である。)RFID読み取り器アンテナ510は、棚520および該棚520上のタグ付けされた品物526をカバーするRF場(周512および体積514によって示される)を生成する。該RF場512はさらに別の棚530および該棚上のタグ付けされた品物536をカバーする。アンテナ510は、たとえば支持部材500内のRF遮蔽層505のため、単方向性の読み取りカバー範囲を有している。RFID読み取り器アンテナ510からのRF場512は、棚520および530の両方の上のタグ付けされた品物を検出するのに十分な強さである。これらの棚の上のタグ付けされた品物526および536は、同じSKUをもつなど同様なものであってもよく(かなりの部分だけでもよい)、その場合、品物の位置は一つまたは複数の他の位置割り当て方法に基づいて割り当てられうる。たとえば、位置割り当ては、ストッキングプランによって、あるいは棚の相対的なサイズによって定義される比率に基づいてでもよい。たとえば、棚530が520より大きい場合、より多くの割合の品物が棚530に割り当てられうる。
【0045】
別の実施例では、タグ付けされた品物526および536は異なるSKUをもつなど異質であってもよい。そのような場合、システムはストッキングプランから、棚520と530のどちらが検出されたタグ付けされた品物526または536を最も含んでいそうかを推定しうる。
【0046】
さらにもう一つの実施形態では、RFID読み取り器アンテナ510は、第二のRFID読み取り器アンテナ541に対して背中合わせの配向に配置されてもよい。この第二のRFID読み取り器アンテナは、棚540とともに該棚の上の品物546をカバーする独自の単方向性RF場(周542および体積544によって示される)をもつ。RFID読み取り器アンテナ541からのRF場542は、品物556を保持するフック550および品物566を保持するフック560をもつペグボード陳列棚をもカバーする。
【0047】
この実施形態では、RFID読み取り器アンテナ530からのRF場542は、棚540とペグボードのフック556および560との両方についているタグ付けされた品物を検出するのに十分な強さである。さらに、棚540上のタグ付けされた品物546はペグボードのフック550および560についているタグ付けされた品物556および566とは異質であることが考えられる。したがって、システムは、検出されたタグ付けされた品物が棚540に関連付けられるべきか、ペグボードのフック550または560に関連付けられるべきかの確からしさをストッキングプランから推定しうる。たとえば、ストッキングプランがタグ付けされた品物556および566が棚540またはペグボードのフック550または560についているタグ付けされた品物と同様である確率を含んでいてもよい。
【0048】
ある好ましい実施形態では、図6は、両方向的に読み取りを行うRF場をもつRFID読み取り器アンテナ610の側面図を示している。このRFID読み取り器アンテナ610はたとえば、左のほう(周612および体積614によって示される)および右のほう(周612′および体積614′によって示される)の両方向に読み取りを行い、それにより陳列構造の垂直支持部材600の両側のタグ付けされた品物を読み取りうる。たとえば、垂直支持部材600の両側は、店舗または倉庫における二つの別個の通路でありうる。そのような配置は、たとえば、システムのコストを下げるために望ましくありうる。単一のRFID読み取り器アンテナ610が多くの異なる型のタグ付けされた品物を検出することがあるが、タグ付けされた品物が異なっており(たとえば異なるSKU番号をもつなど)この情報が該タグ付けされた品物についてRFIDタグから得られうる場合には、どの支持部材(棚620、630、640またはペグボードのフック650、660)が品物626、636、646、656および666と関連付けられるべきかの判定は、先に説明した諸方法を使って推定されうる。たとえば、タグ付けされた品物626、636および646はみな、そのSKUから、ある特定の棚の上に典型的に置かれるものとして知られうる。ストッキングプランは、ある特定の品物についてどれ(たとえば棚620、630または640)が好ましい位置であるかを判定できる。SKUは、タグ付けされた品物656および666が典型的にフックにかけられるものとして知られうるかどうかを示しうる。好ましい特定のフック650または660はストッキングプランから知られうる。
【0049】
もう一つの実施形態において、図7は店の陳列設備のような支持設備700に支持されているさまざまな種類のタグ付けされた品物を示している。タグ付けされた品物はさまざまな支持手段に配置されるのに好適となる諸特徴を有している。たとえば、タグ付けされた品物716はフック718に合うスロット717を有している。品物726はクリップ728がつかむことのできるタブ727を有している。品物736はフックやクリップによって支持されるようには適応されていないが、その代わり棚738上に支持されている。
【0050】
ある例では、品物716、726および736を検出できる検出域をもつ一つのRFID読み取り器アンテナ750が設けられうる。一つのアンテナを使うことは経済的でありうる。しかし、RFID読み取り器アンテナ750によって検出される品物の位置をより精密に知ることが有益であろう。あるいはまた、いくつかのRFID読み取り器アンテナ710、720および730を使うこともできる。たとえばそれぞれが特定の種類のタグ付けされた品物を含むことが期待される領域についての読み取りカバー範囲を提供するのである。複数のRFID読み取り器アンテナ710、720および730が使われる場合、該RFID読み取り器アンテナのうち二つ以上がある特定の品物を検出することがありうる。いくつかのRFID読み取り器アンテナのうちのどれが実際に検出されたタグ付けされた品物に関連付けられているのかを知ることが有益であろう。
【0051】
タグ付けされた品物716はフック718での支持に適応されていることができるので、システムは検出された品物716はどれもフック718に、あるいはフック718に(あるいは複数アンテナを使う場合はRFID読み取り器アンテナ710に)付随する領域内に位置していると割り当てることが好ましくありうる。同様に、タグ付けされた品物726はクリップ728での支持に適応されているので、システムは検出されたタグ付けされた品物726はどれもクリップ728に、あるいはクリップに(あるいは複数アンテナを使う場合はRFID読み取り器アンテナ720に)付随する領域内に位置していると割り当てることが好ましくありうる。さらに、タグ付けされた品物736は棚738での支持に適応されており、フック718やクリップ728での支持には適応されていないので、システムは検出されたタグ付けされた品物736はどれも棚738に、あるいは棚に(あるいは複数アンテナを使う場合はRFID読み取り器アンテナ730に)付随する領域内に位置していると割り当てることが好ましくありうる。
【0052】
ある好ましい実施形態では、二つ以上のアンテナによって検出された品物の位置は、二つのアンテナの間の重なりを減らすよう各アンテナの出力を下げることによって決定されうる。たとえば、図3を参照すると、諸アンテナが、最大レンジを表す、タグ付けされた品物216を検出する出力レベルで動作させられるとき、品物326は結果として両方のアンテナ110および120によって検出される。システムは、二つ以上のアンテナによって検出されたタグ付けされた品物がある閾値数(たとえばある特定の数または割合)より多いかどうかを判別しうる。結果として、システムは各アンテナの出力を少なくとも一つのより低いレベルに下げ、結果として得られる情報を、問題のタグ付けされた品物(タグ付けされた品物326のような)の一部または全部について該品物の位置(たとえば、アンテナ120のような単一のRFID読み取り器アンテナの検出場の中)を決定するために使用しうる。システムはその後、すべてのタグ付けされた品物(より遠い読み取りレンジにあるタグ付けされた品物216など)が検出されたことを確実にするよう通常のアンテナ出力に戻ることができる。
【0053】
図9は、本発明に基づいて、品物の位置に関する情報を取得およびフィルタ処理するシステムおよび方法の好ましい実施形態を示している。ステップ900では、読み取りサイクルが開始される。ステップ910では、次のアンテナが、そのアンテナの読み取りレンジ内のタグを検出するために読まれる。ステップ920では、検出されたタグがホストコンピュータに報告される。ステップ930では、システムが読むべきさらなるアンテナがあるかどうかを判定する。もしあれば、プロセスは次のアンテナについて繰り返される。すべてのアンテナが読み終わっていれば、プロセスはステップ940に進んで、二回以上読まれたタグについての調整をする。これはたとえば、ホストコンピュータが読み取られたタグからのデータをソートしてどのタグについても一度しか数えないことによってなされうる。ステップ950では、データは、モニタまたは印刷出力上で表示されうる。この意味では、「表示」は、たとえば構内ネットワークまたはインターネットを通じて他の位置またはコンピュータに配布することをも意味するものと解釈されうる。ステップ960では、データはたとえばデータベースに保存されうる。次いでプロセスはステップ900から繰り返される。
【0054】
図9に記載されたプロセスは場合によっては非効率的でありうる。たとえば、ステップ920において検出されたタグをホストコンピュータに報告する際、二つ以上のアンテナによって読み取られたタグは二回以上報告されることになる。これは何であれ使用されている通信リンク上でのトラフィックを増加させうる。たとえば、そのような通信リンクはRS-232リンク、RS-485リンク、インターネットもしくはLAN接続またはデータ通信において典型的に使われるその他のリンクでありうる。たとえ二つ以上のアンテナによって読み取られたとしてもタグを一度しか報告しないことが好ましくありうる。さらに、タグが以前に存在していた場合には、各読み取りサイクルで繰り返して報告はしないことが好ましくありうる。たとえばある実装では、ある品物が第一の読み取りサイクルの間に検出され、ある所定の時間長さより短いある期間の間のその後の読み取りサイクルの間に再び検出された場合には、該その後のサイクルの間のその品物の検出は抑制される(すなわちホストコンピュータに送られない)ことができる。別の具現では、ある品物が第一の読み取りサイクルの間に検出され、ある所定の読み取りサイクル数以内の期間の間に再び検出された場合には、その後のサイクルの間のその品物の検出は抑制される(すなわちホストコンピュータに送られない)ことができる。別の実装では、ある品物が第一のアンテナによって検出され、その後少なくともある第二の関係したアンテナによって検出された場合、前記少なくとも第二の関係したアンテナによるその品物の検出は抑制されることができる。
【0055】
図10は、二回以上数えられたタグに関する情報を、関係する域または検出領域を同定することによってフィルタ処理するシステムおよび方法を図解している。ある好ましい実施形態によれば、「関係する域」または検出領域は同定され、たとえば表に保存されることができる。「関係する域」の用語は、二つ以上のアンテナの間の、重なり合う読み取りカバー範囲を共有するであろう可能性を示す関係のことをいう。
【0056】
図10に示されるように、ステップ910で所与のRFID読み取り器アンテナに対応するタグを読み取ったのち、システムはそのアンテナが関係する域を有するかどうかを判別する(ステップ911)。もしあれば、システムは現在のアンテナについてのタグデータを、メモリまたはバッファ中で関係する域のグループについての記憶領域に入れる。関係するアンテナすべてまたは全部のアンテナが読み取られた後に処理する(ステップ912)ためである。ステップ910で読み取られたばかりのアンテナが関係する域をもたなければ、タグデータはホストに報告されうる(ステップ921)。代替的に、関係する域のないアンテナでも自分自身が「一つだけのグループ」として定義され、そのタグデータがのちに、たとえば全部のアンテナが読み取られた後に処理されるよう記憶領域に保存されてもよい。
【0057】
ステップ930では、読み取るべき追加的なRFID読み取り器アンテナがあるかどうかが判定される。もしあれば、次のアンテナがステップ910で読み取られる。すべてのアンテナが読み終わっていれば、ステップ931において、「関係する域」の処理が生起したかどうかが判定される。「関係する域」が定義されている場合、システムは関係する域それぞれにおいて検出された重複するタグを「解決」しうる(ステップ932)。「解決」の用語は、重複したタグ読み取りデータの除去および読み取られたタグのそのグループ内での関係する域の一つまたは複数への割り当てのことをいう。品物の特定の関係する域への割り当てを決定するためにはさまざまな規則が使われうる。
【0058】
たとえば、関係するアンテナグループが二つの隣接するアンテナAおよびBからなり、重複した読み取りを除去したのちにシステムがアンテナAはある特定のタイトルのDVD5点を有し、アンテナBは同じタイトルのDVDを2点読み取っていると判定した場合、システムはすべてのDVDを、本稿において述べた「勝者全取り」原則に従ってアンテナAに割り当てうる。重複して読み取られたDVDはどれもそれぞれを最初に読み取ったアンテナに割り当てるなど、他の割り当て方法を使ってもよい。
【0059】
関係する域が同定されていない場合、データはステップ950で先に述べたように表示されうる(重複するデータがもしあれば除去する介在ステップ940も使用してもいいが、ここでは図示していない)。
【0060】
別の好ましい実施形態では、システムはタグが取り付けられている製品についての情報を、関係するアンテナによって検出された品物の位置を割り当てるために利用しうる。システムは、アンテナに対応する在庫容量に関係したデータおよび在庫目録中の各SKUの物理的大きさについてのデータを組み込んでいることができる。たとえば、アンテナAに対応する陳列スペースはsaferデバイス内の標準的なDVDを最大で6点保持すると知られているなどである。さらに、システムはたとえばDVD製品の物理的な大きさを含むデータを組み込んでいることができる。たとえば標準サイズ、2倍厚(ボックスセットのような)または1.5倍厚などである。こうして、ある実施例では、システムはステップ932において、「多数決投票」法を通じて、所与の標準サイズのDVD製品タイトルについて、域Aには7点のDVDがあり、関係する域Bには2点のDVDがあるが、さらに域Aは標準サイズDVD6点分の最大容量を有していると解決する。システムは割り当てられた量を訂正して、DVDのうち6点を域Aに、DVDのうち3点を域Bに割り当てることができる。
【0061】
関係する域における二つ以上のアンテナによって検出される品物の「解決」は、関係する域内で異なるアンテナによって間欠的に検出されるタグの問題を回避する。タグが別のアンテナに移るように見えるたびにホストに報告するのではなく、ステップ932はシステムに「ノイズのある」データをフィルタ処理して、それによりホストへの通信リンク上のトラフィックを減らすとともに、ステップ960で保存されうるデータの量を減らすことを許容する。
【0062】
ステップ933では、システムはホストコンピュータにタグデータを報告しうる。ある実施形態では、タグの検出がホストコンピュータまたはコントローラに報告されるのは、ステップ933に示されるように、新たに検出されたタグがみつかったときのみである。この実施形態では、通信リンク上のデータトラフィックを減らすことができる。あるタグを、あるアンテナのレンジ内に存在するとして報告するために、システムはそのタグが一度検出されることを要求してもよいし、あるいはそのタグが短い時間内に何度か、または連続して何度か検出されることを要求してもよい。
【0063】
別の実施形態では、ステップ934が「消失確認」機能を提供する。これは以前存在しているとして読み取られたが、今は存在しているとして読み取られないタグを報告するためである。たとえば、消失確認された品物は、ある読み取りサイクル数の間、あるいはある時間長さの間、見あたらなくなっていて初めて消失として「確認」され、そのように報告されることができる。消失確認ステップ934は次のようなできごとの一つまたは複数について補償しうる:タグがアンテナの検出限界またはその近くにあるため毎サイクル検出されないことがある;そのタグのDVDを顧客が取り上げて扱っており、よって一サイクルまたはそれ以上にわたって検出されない;あるいはタグがタグ検出を散発的にするようなパッケージ(金属または金属箔を含むDVDパッケージ)内にあるDVDに取り付けられている。この最後の場合、システムは、一つまたは複数のSKUに関連付けられた情報を通じて、取り付けられたタグがそれほど容易に検出され得ないSKUについて知らされてもよい。システムはそのようなSKUに対応する品物については、その品物が見あたらないと確認するまでにより多くの読み取りサイクル数を使ってもよい。
【0064】
図10のステップ932〜934は、全体としての読み取りサイクル(たとえばステップ900を繰り返す間の時間)の間、たとえば該サイクルの始め、終わり、あるいは何らかの中間点において一つのグループとして操作されうる。代替的に、これらのステップは、該サイクルの間、時折実行されてもよい。たとえば、ステップ911で、現在のサイクルの間、あるグループ内のすべての関係する域が処理され終わっていると判定された場合にはそのあとにである。ステップ934に続いて、処理は先述したようなステップ950のデータの表示に、そしてステップ960のデータの保存に進みうる。次いで全体としてのサイクルはステップ900で連続的に、定期的に、あるいはイベントもしくは要求に際して繰り返されうる。
【0065】
ある好ましい実施形態では、本稿で記載される方法、動作またはその他の機能性の任意のものまたは全部は、図11に示す位置割り当てシステム1100の動作の結果として実装されうる。例示的な位置割り当てシステム1100は好ましくはコントローラ1110を含み、該コントローラはローカルデータベース1115、読み取り器140およびユーザーインターフェース装置130に結合されている。この実施形態では、コントローラ1110は一つまたは複数の中央処理装置(CPU)またはその他の計算もしくは処理装置を含みうる。位置割り当てシステム1100、ネットワーク160、ローカルデータベース1115、読み取り器140およびユーザーインターフェース装置130の間の入出力データの処理を提供するためである。
【0066】
好ましくは、コントローラ1110は、メモリ(たとえばローカルデータベース1115)に保存された一つまたは複数のコンピュータ実行可能プログラムを実行する。ローカルデータベース1115は、情報を保存するための任意の記録可能または書き換え可能媒体(たとえばハードドライブ、フラッシュRAM、光ディスク、コンパクトディスク、DVD)を有する一つまたは複数の記憶装置を含むことができる。ユーザーインターフェース装置130は、コントローラ1110に情報(たとえばコマンド、データ)を入力するために使うことのできる任意の装置(たとえばキーボード、無線装置、PDA、赤外線装置、無線周波デバイス)を含む。
【0067】
本発明のある好ましい実施形態では、位置割り当てシステム1100はさらに読み取り器140を含みうる。読み取り器140は、該読み取り器140に結合された複数の読み取り器アンテナ(たとえば読み取り器アンテナ151〜153)のうちの一つまたは複数に問い合わせをするために使うことができる。この例示的な実装では、読み取り器アンテナ151〜153は棚1105に組み込まれており、米国特許出願第10/338,892号に記載されているようなスイッチングおよびチューニング回路を含みうる。該文献は参照によりその全体においてここに組み込まれる。読み取り器140は読み取り器アンテナ151〜153から得られた情報をコントローラ1110に、当技術分野においてよく知られた仕方で送信する。
【0068】
ある好ましい実施形態では、読み取り器アンテナ151〜153は好ましくは、無線周波電波50を生成することのできるRFID読み取り器アンテナである。無線周波電波はオブジェクト(たとえば製品、従業員、顧客)に添付されることのできるRFIDタグ60と相互作用する。RFIDタグ60は、無線周波電波50によって励振されると、磁場(または電場)に擾乱を生じ、これがRFID読み取り器アンテナによって検出される。好ましくは、読み取り器140はコントローラ1110によって、一つまたは複数の読み取り器アンテナ(たとえば読み取り器アンテナ151〜153)にたとえば問い合わせをするか、読み取るか、あるいはその他の仕方で作動させるかするよう指示されうる。たとえば、コントローラ1110は読み取り器140に、まず読み取り器アンテナ153、次いで読み取り器アンテナ152、次いで読み取り器アンテナ151を読み取ることによって読み取り器アンテナ151〜153に問い合わせをするよう指示しうる。
【0069】
本発明のある好ましい実施形態によれば、読み取り器アンテナは可動または静止したオブジェクトに添付されうる。図11の例示的な実装に描かれているように、読み取り器アンテナ151〜153は、棚1105のような製品支持構造に添付されている。読み取り器アンテナ151〜153は、たとえば無線周波電波50によって、品物70に取り付けられて示されているRFID60のようなRFIDタグと通信するために使うことができる。
【0070】
位置割り当てシステム1100は、直接または間接に(たとえば図11に示したようなネットワーク160を通じて)、メインデータベース180に結合された一つまたは複数のリモートアプリケーション170に接続されうる。ネットワーク160は、位置割り当てシステム1100およびリモートアプリケーション170が情報を交換することを許容するいかなる種類の通信形態を表していてもよい。たとえば、ネットワーク160は構内ネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、ブルートゥース(商標)および/またはインターネットのようなネットワークの組み合わせでありうる。ネットワーク160は、位置割り当てシステム1100およびリモートアプリケーション170が無線ベースの通信を使って情報を交換することを許容するインフラストラクチャーをも含みうる。
【0071】
好ましくは、ローカルデータベース1115およびメインデータベース180は、それぞれの事例において、位置割り当てシステム1100および/またはリモートアプリケーション170によって使用される情報(たとえばコンピュータ実行可能プログラム、製品および/または施設に関するデータ)を保存する一つまたは複数の記憶装置システムを含みうる。「データベース」の用語は、二つ以上のデータファイル、コンピュータ実行可能プログラムまたは表の保存のための手段のことを指すことができる。ある好ましい実施形態では、ローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180は、ローカルにあるいはリモート位置に収容された、二つ以上のデータベースあるいは一連のデータベースを有していてもよい。そのようなデータベースはたとえば、SQLデータベースサーバーのようなデータベースサーバー(図示せず)によって制御されうる。SQLサーバーのためのジャバ・データベース接続性(JDBC: Java(登録商標) Data Base Connectivity)ドライバを使ってSQLサーバーデータベースにアクセスしてもよい。ローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180は、位置割り当てシステム1100内に具現されてもよいし、あるいは位置割り当てシステム1100の外部でたとえばサーバー(図示せず)上に具現されてもよい。さらに、ローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180は、二つ以上の位置割り当てシステム1100で共有されてもよい。
【0072】
ある好ましい実施形態によれば、ローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180は品物またはオブジェクト情報(たとえば、品物に関する在庫管理単位(SKU)データのような識別情報)を保存するために使用されうる。SKU情報は品物の種別、メーカーおよび産地、サイズ、色、スタイルならびに当業者によって理解されるその他の多様な種類の情報を含みうる。そのような品物情報は、たとえばローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180上で維持されている表に、あるいはリモートもしくはローカルのデータベースもしくはシステムに保存されうる。
【0073】
当業者は、品物情報の上記の例が限定的であることを意図したものでないことを理解するであろう。ローカルデータベース1115および/またはメインデータベース180が含んでいるリモートアプリケーション170および/または位置割り当てシステム1100によって使用される品物情報の表またはその他の構成はより多くてもより少なくてもよい。メインデータベース180内の情報の一部または全部がローカルデータベース1115内にも保存されていてもよい。
【0074】
以上の記述は、二つ以上のRFID読み取り器アンテナによって検出されたタグ付けされた品物に位置を論理的に割り当てるために使われうるいくつかの方法を明らかにした。該諸方法は互いに組み合わせて使用されてもよく、その場合、それらは好ましくは優先順位を付けられた系列において利用されうる。
【実施例】
【0075】
以下は本発明の好ましい実施形態の具体的な実装例である。当業者には理解されうるように、本発明の実施形態のその他の実装は、本発明の実施形態を実践に帰着させる際にいくらでも実現されうる。
【0076】
図8は、DVDケースのようなタグ付けされた品物816、826および846を示している。それぞれは818、828および848のようなRFIDタグを有している。RFIDタグは、先行する同時係属中の諸出願において開示されているような一つまたは複数のRFID読み取り器アンテナ810、820、830、840によって検出される。図8では、アンテナは概して長方形の形を有し、それぞれフィード点835(アンテナ830についてのみ示している)を有している。フィード点835はチューニング要素、スイッチング要素およびRFID読み取り器(ここでは示していないが、先に言及した諸出願において記載されている)といった回路に接続されていることができる。810のようなRFID読み取り器アンテナについてのレンジ(たとえば、818のようなRFIDタグを読み取れる距離)は、加えられたRFエネルギーおよびアンテナの大きさを含む諸因子によって決定できる。レンジは、アンテナから離れた距離で検出できるRFエネルギーを制限する規制によって制限されていることがある。たとえばアンテナ810および820のようにアンテナが隣り合っているところでは、レンジは、アンテナとアンテナの「間」に位置するRFIDタグ(たとえば、アンテナ間の境界に近いタグ)でも読み取られるよう設計によって調整されうる。これは、読み取りから漏れるタグがないよう保証する努力の結果として、アンテナ間の重なりがありえ、所与のRFIDタグが二つ以上のアンテナによって読み取られることがあるということを意味している。
【0077】
図8に示された例は可能な「重なり」状況を描いている。DVD816はRFID読み取り器アンテナ810の中央にあり、よってRFIDタグ818はアンテナ810によって読み取られうるが、好ましくはアンテナ820によっては読み取られない。DVD826はRFID読み取り器アンテナ820の端のほうに位置しており、よってそのRFIDタグ828は好ましくはアンテナ820によって読み取られうる。理想的には他のいかなるアンテナもタグ828を読まないが、タグ828はRFID読み取り器アンテナ830にも近く、アンテナ830によっても読み取られうる。しかし、そのようなアンテナ830による検出は散発的でありうる。第三の事例では、RFIDタグ838をもつDVD836はRFID読み取り器アンテナ830と840との間に位置している。RFIDタグ838を検出するため、RFID読み取り器アンテナ830および840のうち少なくとも一つは好ましくはタグ838を検出するのに十分な大きさの読み取りレンジを有しうる。アンテナ830および840は両方ともタグ838を読み取りうるが、一方のアンテナがそのタグを毎回は読み取れないこともありうる。
【0078】
一つまたは複数のアンテナの検出限界にあるDVD856に取り付けられたタグ858のようなその他のタグも間欠的に読み取られることがある。したがって、タグ858は時折、たとえば20%ないし80%の時に読み取られうる。どのアンテナの読み取りレンジよりも遠くに位置しているDVD866に取り付けられたタグ868のようないくつかのタグは、全く読み取られないこともありうる。
【0079】
商品の構造が読み取りレンジに影響することがありうる。たとえば、箔または金属グラフィック(たとえば、カバー、インサート、説明書)を組み込んでいるDVDボックスは他のDVDボックスよりもRF場に干渉することがありうる。したがって、「干渉性」パッケージを組み込んでいる品物に付随するタグは他のタグよりも読み取られる頻度が低いことがありうる(たとえば85%の時でなく30%の時)。他の場合には、陳列モジュール上に陳列されているパッケージは外箱のみで、中に実際のDVDがはいっていないこともありうる(たとえば、大きすぎて「safers」(開封防止のためにDVDを取り巻く硬質プラスチックケース)のようなセキュリティデバイス内に収まらない「ボックスセット」)。ボックスそのものはタグを取り付けて棚に置かれていても、DVDメディアは別の場所に保管されていて、購入時にのみ顧客に与えられることもある。箱はDVDメディアは含んでいないので、典型的なDVDパッケージよりはRF場に干渉することが少ないことがありうる。したがって、それは通例よりも大きな距離で読み取られうる。あるいはそれに対応するRFID読み取り器アンテナがより大きな読み取り距離をもって通例よりも遠く離れた(たとえば隣の棚にある)タグを読み取りうるようにしうる。
【0080】
別の実施形態では、タグから情報を集めるコンピュータまたはコントローラシステムが、重なり合う検出領域に起因するタグの「ダブルカウント」を軽減または解消しうる。コンピュータまたはコントローラシステムは、一意的なシリアル番号を識別してダブルカウントを回避するために、いかなる好適なアルゴリズムまたは命令コードを使用することもできる。
【0081】
別の実施形態では、システムはより効率的なデータ報告、データ伝送およびデータ記録を提供するためにタグデータをフィルタ処理することができる。この例では、コンピュータまたはコントローラシステム(たとえば図11に示すような)は、RFIDアンテナに結合されたRFID読み取り器をポーリングすることによって、特定の時刻における特定の品物の位置に関するデータを提供できる。図8に描かれるようなRFID読み取り器アンテナを含むRFIDシステムは、以前の諸応用において述べたようなコントローラおよびコンピュータを含むシステムによって動作させられうる。複数アンテナによるタグの検出は例示的な検出システムに誤差を導入しうる。フィルタ処理システムを使えば誤差を低減させ、より効率的なデータ転送および解析を提供できる。

本発明の好ましい実施形態について記載し、図解してきたが、本発明の実施形態および実装例には、本発明の精神および範囲から外れることなく数多くの修正がなし得ることは明らかなはずである。実施形態はDVD陳列構造の使用との関連で述べてきたが、品物または製品を販売、マーケティング、プロモーション、陳列、呈示、提供、保持、固定、保存またはその他の仕方での支持をすることにおいて使用されうるいかなる構造でも本発明の実施形態を実装する際に使用されうることは容易に明らかであるはずである。本発明の実施形態および実装例は、RFID読み取り器アンテナの形の検出器によって品物につけられたRFIDタグを読み取りまたは検出するものとしてここでは具体的に解説されてきたが、本発明は、知られているいかなる形の検出器(RFベースでも非RFベースでも)を使ってのいかなるタグの形(RFベースでも非RFベースでも)において展開または具現されることも簡単にできる。さらに、ここでさまざまな実施形態、実装および例において解説された具体的な構成要素は、知られているいかなる形を取ってもよい。たとえば図8のループアンテナは典型的には高周波域(たとえば13.56MHz)で使用されるが、同じ技法がUHFシステムまたはアンテナとともに(たとえばスロットアンテナ、パッチアンテナなどを使って)、あるいはここでの教示と整合する他のいかなる既知のシステムもしくはアンテナとともに使用されてもよい。
【0082】
実施形態は棚構造の使用との関連で述べてきたが、品物または製品を販売、マーケティング、プロモーション、陳列、呈示、提供、保持、固定、保存またはその他の仕方での支持をすることにおいて使用されうるいかなる構造でも本発明の実施形態を実装する際に使用されうることは容易に明らかであるはずである。
【0083】
本稿では本発明の例示的な実施形態との関連で具体的な回路、構成要素またはモジュールが開示されていることもありうるが、本発明のさまざまな実施形態を実装する際には、構造的または機能的に等価な他のいかなる回路、構成要素またはモジュールをも利用しうることは容易に明らかであるはずである。
【0084】
ここに記載されたモジュール、具体的には今回の開示に解説されている、今回の開示に内在している、あるいは今回の開示から明らかなモジュールで物理的に別個の構成要素となっているものは、省略されてもよいし、組み合わされてもよいし、あるいは多様な異なる構成要素にさらに分離されて、開示された(あるいは本稿の教示から明らかな)実施形態の個別的な実装について必要とされる種々のリソースを共有してもよい。ここに記載されるモジュールは、適切な場合には(たとえば読み取り器140、コントローラ1110、ローカルデータベース1115など)、一つまたは複数のハードウェア、ソフトウェアまたは一つもしくは複数のローカルおよび/またはリモートのコンピュータもしくはその他の処理システムに存在する(あるいはそれらの間に分散されている)ハイブリッド構成要素でありうる。そのようなモジュールはここでは物理的に別個の構成要素として示したり述べたりしていることがあるが、該モジュールが省略されてもよいし、組み合わされてもよいし、あるいは多様な異なる構成要素にさらに分離されて、開示された(あるいは本稿の教示から明らかな)実施形態の個別的な実装について必要とされる種々のリソース(処理装置、メモリ、クロック装置、ソフトウェアルーチンなど)を共有してもよいことは容易に明らかであるはずである。実際、製造物(たとえばCD-ROM、DVD-ROM、メモリカートリッジなど)に保存されているプログラムを実行してここで言及されている機能性を生み出す単独の汎用コンピュータ(あるいはプロセッサに制御されるデバイス)を、解説した諸実施形態を実装するために利用することもできる。
【0085】
当業者は、位置割り当てシステム1100は、コンピュータネットワークのような電子ネットワーク160に接続された汎用コンピュータシステム上で実装されうることを認識するであろう。コンピュータネットワークは、インターネットまたは都市圏ネットワーク(MAN)のような公衆ネットワークであってもよいし、あるいは企業の構内ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)のような他の私的ネットワークであってもよいし、ブルートゥースでも、あるいは仮想閉域網であってさえよい。コンピュータシステムはシステムメモリに接続された中央処理装置(CPU)を含む。システムメモリは典型的にはオペレーティングシステム、BIOSドライバおよびアプリケーションプログラムを含んでいる。さらに、コンピュータシステムは、マウスおよびキーボードのような入力装置ならびにプリンタおよび表示モニタのような出力装置を含んでいる。ここに記載された処理装置は情報を処理するために使われるいかなる装置であってもよい(たとえば、マイクロプロセッサ、離散論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能論理回路、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロチップ・テクノロジー社のPICmicro(登録商標)マイクロコントローラー、インテルのマイクロプロセッサなど)。
【0086】
コンピュータシステムは一般に、電子ネットワーク160と通信するためのイーサネット(登録商標)カードのような通信インターフェースを含む。電子ネットワーク160には他のコンピュータシステムが接続されていることもある。当業者は、上記のシステムは、電子ネットワークに接続されたコンピュータシステムの典型的な構成要素を記述していることを認識するであろう。他の多くの同様の構成も当業者の能力の範囲内であり、それらの構成のすべては本発明の方法およびシステムとともに使用できることは理解されるはずである。さらに、ここに開示されたコンピュータおよびネットワークシステム(ならびにそれらの構成要素)は、当業者によく知られている在庫管理関係の機能を実行するために在庫管理処理ユニットとしてプログラムおよび構成設定されることができることは認識されるはずである。
【0087】
さらに、当業者は、ここに記載された「コンピュータ」実装される発明は、コンピュータそのものではないが、ここで論じた機能性の一つまたは複数を提供するために使用されうるインターネット機器およびプログラム可能論理制御装置(PLC)といったデバイスをも含む構成要素を含みうることを認識するであろう。さらに、本発明の複数の処理サイトをつなぐ通信ネットワークのことをいうのに「電子」ネットワークを一般に用いているが、当業者は、そのようなネットワークが光学式またはその他の等価な技術を使って実装されることもできることを認識するであろう。
【0088】
したがって、本発明はここに開示された(あるいは開示から明らかな)特定の実施形態に限定されるものではなく、付属の請求項によってのみ限定されることは理解しておくものとする。

【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】Aは、本発明のある好ましい実施例に基づく、RFID読み取り器アンテナおよびRFIDタグでタグ付けされた品物の正面図である。Bは、本発明のある好ましい実施例に基づく、RFID読み取り器アンテナおよびRFIDタグでタグ付けされた品物の上面図である。
【図2】本発明のある好ましい実施例に基づく、いくつかのタグ付けされた品物がRFID読み取り器アンテナのレンジ外にある場合の正面図である。
【図3】Aは、本発明のある好ましい実施例に基づく、何もしなければRFID読み取り器アンテナのレンジ外にあるタグ付けされた品物を検出するために読み取り範囲を大きくしたRFID読み取り器アンテナの正面図である。Bは、本発明のある好ましい実施例に基づく、何もしなければRFID読み取り器アンテナのレンジ外にあるタグ付けされた品物を検出するために読み取り範囲を大きくしたRFID読み取り器アンテナの上面図である。
【図4】本発明のある好ましい実施例に基づく、複数の上下レベルにあるRFID読み取り器アンテナを示す正面図である。
【図5】Aは、本発明のある好ましい実施例に基づく、「背中合わせ」配向に置かれたRFID読み取り器アンテナの側面図である。Bは、本発明のある好ましい実施例に基づく、「背中合わせ」配向に置かれたRFID読み取り器アンテナの上面図である。
【図6】本発明のある好ましい実施例に基づく、「背中合わせ」配向に置かれたRFID読み取り器アンテナの側面図である。
【図7】本発明のある好ましい実施例に基づく、RFID読み取り器アンテナ場の中にある、いくつかの支持構造上に支持されたタグ付けされた品物を示す図である。
【図8】本発明のある好ましい実施例に基づく、RFIDタグを読み取るために配向されたバックプレーン式RFID読み取り器アンテナの斜視図である。
【図9】本発明のある好ましい実施例に基づく、いくつかのRFID読み取り器アンテナを使ってRFIDタグを読み取る例示的な方法の流れ図である。
【図10】本発明のある好ましい実施例に基づく、いくつかのRFID読み取り器アンテナを使ってRFIDタグを読み取るもう一つの方法の流れ図である。
【図11】本発明のある好ましい実施例に基づく、位置割り当てシステムを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
品物の位置を判定する方法であって:
それぞれ第一および第二の検出器に関連付けられた第一および第二の検出域を、第一の検出域が第二の検出域の少なくともある領域に重なるように指定し、
重なり領域を仮想検出域として指定し、
品物が第一および第二の検出器の両方によって検出されたときにはその品物の前記仮想検出域における存在を検出する、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記検出ステップが品物の仮想検出域における存在を検出するのを、第一の検出器が第一の時刻に前記品物の存在を検出し、第二の検出器が第二の時刻に前記品物の存在を検出したのちに行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記検出ステップが品物の仮想検出域における存在を検出するのを、前記第一および第二の検出器によって同時に行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第一および第二の検出器のうち少なくとも一つに供給される電力を変えることによって仮想検出域の大きさを調整することをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第一および第二の検出器がRFID読み取り器アンテナであり、前記調整ステップが、第一のRFIDアンテナおよび第二のRFIDアンテナのうち少なくとも一つの電力を増すことによって仮想検出域の大きさを増すことを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記調整ステップが、第一のRFIDアンテナおよび第二のRFIDアンテナのうち少なくとも一つの電力を減らすことによって仮想検出域の大きさを減少させるステップを含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記調整ステップが、第一の検出器の電力を当該品物が仮想域において検出されなくなるまで下げ、当該品物がそれが検出される検出域に割り当てられるよう当該品物の位置を解決することをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
当該品物を第一および第二の検出器によって検出可能なRFIDタグと関連付けることをさらに含むことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項9】
メーカー番号、在庫管理単位番号およびシリアル番号からなる群から選択される一意的な識別番号をRFIDタグに割り当てることをさらに含むことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
複数の品物の位置を推定する方法であって:
それぞれ第一および第二の検出器に関連付けられた第一および第二の検出域を指定し、
前記複数の品物を第一の検出域および第二の検出域に割り当て、
第一の検出域および第二の検出域を関係する域として指定し、
検出された品物を第一の検出域または第二の検出域に割り当てることによって、第一の検出域および第二の検出域の両方において検出された品物の位置を解決する、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記解決ステップの実行に先立って複数の品物を第一または第二の検出域にあらかじめ割り当てておくことをさらに含むことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の50%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の66%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項14】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の80%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項15】
それぞれ一意的な識別番号を有するRFIDタグをもつ複数の品物を提供するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記複数の品物を提供するステップが、メーカー番号、在庫管理単位番号およびシリアル番号からなる群からの一意的な識別番号を各RFIDタグについて選択することを含むことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項17】
複数の品物の位置を割り当てる方法であって:
それぞれ第一および第二の検出器に関連付けられた第一および第二の検出域を指定し、
第一の検出域および第二の検出域において検出された品物の数を比較し、
第一の検出域および第二の検出域の両方において検出された品物の数を決定し、
第一の検出域および第二の検出域の両方において検出された品物の位置を、該品物の第一および第二の検出域の一方への割り当てに基づいて推定する、
ステップを有しており、前記推定ステップは、前記品物を第一および第二の検出域の一方に割り当てることを、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和に対する第一の検出域における品物の割合に従って行うことを特徴とする方法。
【請求項18】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の50%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物の位置が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の66%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物の位置が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項20】
第一の検出域のみによって検出された品物の数が、第一の検出域のみによって検出された品物の数と第二の検出域のみによって検出された品物の数との和の80%以上である場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物の位置が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項21】
第一の検出域においてのみ検出された品物の数が、第一および第二の検出域の両方において検出された品物の数に等しい場合に、第一の検出域および第二の検出器の両方において検出された品物の50%の位置が第一の検出域に割り当てられることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項22】
ある検出域に割り当てられる品物の総数がその検出域についての所定の容量を超えないことを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記検出域の所定の容量が、その検出域の面積によって決定されることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記検出域の所定の容量が、その検出域の体積によって決定されることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項25】
複数の品物の位置を割り当てる方法であって:
第一および少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナにそれぞれ関連付けられた第一および少なくともある第二の検出域を指定し、
前記品物をRFID読み取り器アンテナで検出し、
前記第一の検出域および前記少なくともある第二の検出域において検出された品物の数を比較し、
前記第一の検出域および前記少なくともある第二の検出域の両方において検出された共通品物を同定し、
前記共通品物のある第一の割合を第一の検出域に、前記共通品物のある第二の割合を前記少なくとも一つのある第二の検出域に割り当てる、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項26】
前記共通品物をある第三の検出域において検出することをさらに含むことを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
検出域の数が2であれば前記共通品物の前記第一の割合が50%であることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項28】
検出域の数が3であれば前記共通品物の前記第一の割合が33%であることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記共通品物の前記第一の割合が第一の検出域については50%であり、前記共通品物の前記第二の割合が一つの第二の検出域について25%であることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項30】
第一の検出域が第二の検出域および第三の検出域に隣接していることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項31】
位置の割合が第一の検出域について100%で、第二の検出域について0%で、第三の検出域について0%であることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項32】
第一の検出域が第二の検出域および第三の検出域に隣接していることを特徴とする、請求項31記載の方法。
【請求項33】
品物がなくなっていることを確認する方法であって:
それぞれRFIDタグが付随する複数の品物を提供し、
RFID読み取り器アンテナに関連付けられる検出域を指定し、
前記RFID読み取り器アンテナをポーリングすることによって前記検出域にある品物の存在をある第一の時間において検出し、
その品物が少なくともある第二の時間の間存在しているかどうかを判別し、その品物が該少なくとも第二の時間の間存在しているのでなければ、前記RFID読み取り器アンテナが所定回数ポーリングされ、
前記RFID読み取り器アンテナが前記所定回数ポーリングされたのちに前記品物が検出されない場合にはその品物がなくなっていることを確認する、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記品物のパッケージがRFIDアンテナのポーリングに干渉する場合には前記所定回数が増やされることを特徴とする、請求項33記載の方法。
【請求項35】
RFIDタグが付随する少なくとも一つの品物の検出に関する情報を報告する方法であって:
第一の読み取りサイクルの間に品物を検出し、
前記第一の読み取りサイクルの間の品物の検出に関する情報を報告し、
その後の読み取りサイクルの間にその品物を検出し、
所定数のその後の読み取りサイクルの間はその品物の検出に関する情報を抑制する、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項36】
その後の読み取りサイクルの間にその品物を検出する前記ステップが、第一の読み取りサイクルのあと所定の時間長さよりも短い期間の間にその品物を検出するステップであり、情報を抑制する前記ステップが該所定の時間長さにわたって前記その後の読み取りサイクルの間のその項目の検出に関する情報を抑制するステップであることを特徴とする、請求項35記載の方法。
【請求項37】
第一の読み取りサイクルの間に品物を検出する前記ステップおよびその後の読み取りサイクルの間にその品物を検出する前記ステップがいずれもある第一の読み取り器アンテナを使って実行されることを特徴とする、請求項35記載の方法。
【請求項38】
第一の読み取りサイクルの間に品物を検出する前記ステップおよびその後の読み取りサイクルの間にその品物を検出する前記ステップが、それぞれ第一の読み取り器アンテナおよび第二の読み取り器アンテナを使って実行されることを特徴とする、請求項35記載の方法。
【請求項39】
複数の品物の位置を推定する方法であって:
それぞれRFIDタグが付随する複数の品物を提供し、
第一および第二のRFID読み取り器アンテナにそれぞれ関連付けられる第一および第二の検出域を指定し、
前記第一および第二のRFID読み取り器アンテナを用いて第一の検出域および第二の検出域において品物を同定し、
RFIDタグ内の情報を読み取り、
前記RFIDタグ内の情報に基づいて、第一の検出域および第二の検出域において検出された品物の類似性を判別し、
第一の検出域および第二の検出域において検出された品物の類似性に基づいて前記複数の品物の位置を割り当てる、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項40】
前記RFIDタグ内の情報が、SKU番号およびUPCコードからなる群から選択されることを特徴とする、請求項39記載の方法。
【請求項41】
複数の品物の位置を推定する方法であって:
それぞれRFIDタグが付随する複数の品物を提供し、
RFID読み取り器アンテナに関連付けられる検出域を指定し、
前記RFID読み取り器アンテナを用いて前記検出域において品物を検出し、
前記検出域における前記品物の前記RFIDアンテナからの距離を決定し、
前記品物の前記RFIDアンテナからの距離が所定の距離より短ければ前記品物の位置を前記検出域に割り当てる、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項42】
複数の品物の位置を推定する方法であって:
それぞれRFIDタグが付随する複数の品物を提供し、
RFID読み取り器アンテナに関連付けられる検出域を指定し、
前記RFID読み取り器アンテナを用いて前記検出域において品物を検出し、
前記検出域における前記品物によって占有されている面積を決定し、
前記品物によって占有されている面積が所定の面積よりも小さければ前記品物の位置を前記検出域に割り当てる、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項43】
複数の品物の位置を推定する方法であって:
それぞれRFIDタグが付随する複数の品物を提供し、
RFID読み取り器アンテナに関連付けられる検出域を指定し、
前記検出域において前記品物を検出し、
前記第一の検出域における前記品物によって占有されている体積を決定し、
前記品物によって占有されている体積が所定の体積よりも小さければ前記複数の品物の位置を前記検出域に割り当てる、
ステップを有することを特徴とする方法。
【請求項44】
RFIDタグを有する複数の品物を読み取るシステムであって:
RFIDタグを検出できる複数のRFID読み取り器アンテナと、
第一のRFID読み取り器アンテナおよび少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナを用いて品物を検出するための、前記複数のRFID読み取り器アンテナに結合された複数のRFID読み取り器と、
前記第一のRFID読み取り器アンテナおよび少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナによって検出された品物を同定し、該品物の位置を判定するためのコントローラ、
とを有することを特徴とするシステム。
【請求項45】
前記第一のRFID読み取り器アンテナおよび前記少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナの両方によって検出された品物の位置が、前記第一のRFID読み取り器アンテナおよび前記少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナの近傍にあると判定されることを特徴とする、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
前記第一のRFID読み取り器アンテナおよび前記少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナの両方によって検出された品物の位置が、前記第一のRFID読み取り器アンテナおよび前記少なくともある第二のRFID読み取り器アンテナの間にあると判定されることを特徴とする、請求項45記載のシステム。
【請求項47】
品物の位置が、第二のRFID読み取り器アンテナによって検出されたRFIDタグの割合に比較しての第一のRFID読み取り器アンテナによって検出されたRFIDタグの割合に従って割り当てられることを特徴とする、請求項44記載の方法。
【請求項48】
RFIDタグを有する複数の品物の位置を判定するシステムであって:
第一のRFIDアンテナの検出域が第二のRFIDアンテナの検出域に重なって仮想検出域を形成するよう、それぞれ検出域をもつ複数のRFID読み取り器アンテナと、
品物の存在が第一および第二のRFIDアンテナの両方によって検出されたときにはその品物を前記仮想検出域において検出する、前記複数のRFID読み取り器アンテナに結合された少なくとも一つのRFID読み取り器、
とを有することを特徴とするシステム。
【請求項49】
RFIDタグを有する複数の品物の位置を推定するシステムであって:
第一の検出域および少なくともある第二の検出域の両方においてある品物が検出されるならば該第一の検出域および該少なくともある第二の検出域が関係する域であるよう、それぞれ検出域をもつ複数のRFID読み取り器アンテナと、
品物を検出するための前記複数のRFID読み取り器アンテナに結合された少なくとも一つのRFID読み取り器であって、前記関係する域において検出された品物の位置が前記第一の検出域または前記少なくともある第二の検出域に割り当てられるRFID読み取り器、
とを有することを特徴とするシステム。
【請求項50】
RFIDタグを有する複数の品物の位置を割り当てるシステムであって:
それぞれが第一の検出域および少なくともある第二の検出器を有する複数のRFID読み取り器アンテナと、
前記第一の検出域および前記少なくとも一つのある第二の検出域内の品物の数を判定するための、前記RFID読み取り器アンテナに結合された少なくとも一つのRFID読み取り器とを有しており、前記第一の検出域内の品物の数が前記第二の検出域内の品物の数と比較され、品物の推定位置が前記少なくともある第二の検出域における品物の数に比べての前記第一の検出域における品物の数の割合に従って割り当てられることを特徴とするシステム。
【請求項51】
RFIDタグを有する品物を読み取るシステムであって:
一意的な識別番号をそれぞれ有するRFIDタグをそれぞれ有する複数の品物と、
第一の検出域および少なくともある第二の検出域をもつ、RFIDタグを読み取るための複数のRFID読み取り器アンテナと、
前記第一の検出域および前記少なくともある第二の検出域内のRFIDタグからデータを読み取るための少なくとも一つのRFID読み取り器と、
前記複数のRFID読み取り器アンテナを作動させてRFIDタグを読み取り、品物の位置を判定し、そのデータをローカルデータベースに保存するためのコントローラ、
とを有することを特徴とするシステム。
【請求項52】
品物の位置が前記第一の検出域または前記少なくともある第二の検出域にあることを特徴とする、請求項51記載のシステム。
【請求項53】
前記少なくとも一つのRFID読み取り器が、読み取り試行の総数のうちある第一の所定数の読み取り試行において品物を検出するときに、品物の位置が前記第一の検出域にあることを特徴とする、請求項51記載のシステム。
【請求項54】
前記少なくとも一つのRFID読み取り器が当該品物が第一の検出域にあると判定する前記第一の所定数の読み取り試行が、前記少なくとも一つのRFID読み取り器によってなされる読み取り試行の総数の80%であることを特徴とする、請求項53記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−536642(P2007−536642A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511595(P2007−511595)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015670
【国際公開番号】WO2005/111959
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506371132)ヴュー テクノロジー,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】