説明

ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療用の組み合わせ

【課題】ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療のための医薬組み合わせを提供すること。
【解決手段】下記の2種の成分を含む医薬組み合わせ。
(i) VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療方法に関するものであり、その方法は有効量の
(i) 選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は
(iii) 放射線療法又は放射免疫療法
によるこのような治療を要する人への共投与及び/又はこのような治療を要する人の補助治療を含む。
また、本発明はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療における同時、別々又は逐次の使用のため、特に腫瘍の増殖、生存及び転移を抑制するための組み合わされた製剤としての、有効量の
(i) 選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
を含む好適な医薬組成物(また必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい)に関する。
また、本発明は、必要により放射線療法又は放射免疫療法による補助治療と組み合わせてもよい、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療における同時、別々又は逐次の使用のため、特に腫瘍の増殖、生存及び転移を抑制するための医薬の組み合わされた製剤の製造のための、有効量の
(i) 選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
の組み合わされた使用に関する。
また、本発明はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の放射線療法又は放射免疫療法との同時、別々又は逐次の補助治療、特に腫瘍の増殖、生存及び転移の抑制に適した医薬組成物の製造のための、有効量の選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
過去十年に、タンパク質チロシンキナーゼ受容体ファミリーの幾つかの型及びサブタイプ、例えば、表皮成長因子受容体EGFR及びそのサブタイプErbB-2及びErbB-4(Brignolaら, Journal of Biological Chemistry, 277巻, 2号, 1576-1585頁, 2002)又は血管内皮成長因子受容体VEGFR 1-3と一緒に現在まで知られているそのリガンドVEGF及びその4種のサブタイプ(Jungら, European Journal of Cancer, 38巻, 1133-1140頁, 2002)の生物学的活性が特性決定されていた。先の論文に報告された同様の研究はこれらの受容体の幾つかの過剰発現が癌の多くの形態に関係していることを示す。例えば、研究は表皮成長因子EGFが腫瘍中の成長因子として作用すること、及び血管内皮成長因子VEGFが腫瘍血管形成の最も普通の媒介物質の一つであり、これが充実性腫瘍の成長及び転移に必須であることの証拠を与えていた。受容体のインヒビターがこうして癌治療について依然として評価されている(例えば、Cerringtonら, In Advances in Cancer Research, Academic Press 2000, 1-38頁を参照のこと)。
また、最近の研究は幾つかの受容体アンタゴニストを一緒に、又は化学療法薬もしくは放射線との更なる組み合わせで組み合わせることを示唆していた。例えば、WO 02/070008は、腫瘍成長の抑制のための、必要により放射線又は化学療法薬と一緒に、EGFに対して特異的に誘導されるアンタゴニストとのVEGF受容体に対して特異的に誘導されるアンタゴニストの組み合わせを示唆している。好適な特異性アンタゴニストの例として、WO 02/070008はVEGF受容体に対して誘導されるモノクローナル抗体及びEGF受容体に対して誘導されるモノクローナル抗体を開示している。
【0003】
こうして、多数のタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストが現在癌の治療について臨床開発中である(例えば、Expert Opin. Invest. Drugs, 12巻, 1号, 51-64頁, 2003中のLaid及びCherringtonの専門家の見解総説を参照のこと)。しかしながら、腫瘍疾患の治療に、単独で、又はその他の癌治療薬とともに使用される、これらの物質についての効力の保証が、通常の治療に追加の利益の欠如のため、又は許容し得ない副作用の発見のために、今まで得られていなかった。
例えば、また化学療法と連係して、既に臨床試験された血管形成インヒビター、即ち、癌の治療のためにPharmaciaにより開発された、コード名SU5416を有するインヒビターが、障害のある副作用、即ち、血栓塞栓イベントと関連していたことが最近公表されていた(Ken Garber及びAnn Arbor, Nature Biotechnology, 20巻, 1067-1068, 2002年11月)。
腫瘍の性質の疾患の治療について、多数の化学療法薬が既に示唆されており、これらは単一療法(一種の薬剤による治療)又は組み合わせ療法(一種より多い薬剤による同時、別々又は逐次の治療)として使用でき、かつ/又はこれらは放射線療法又は放射免疫療法と組み合わされてもよい。これに関して、化学療法薬は、単独で、又は、例えば、放射免疫療法の場合には放射線による、更なる活性化により、成長している細胞を抑制又は死滅し、また腫瘍の性質の疾患(これらはまた癌と普通称される)の治療における使用について使用でき、又は認可されている天然産、半合成又は合成の化学化合物を意味する。文献では、これらの薬剤はそれらの作用のメカニズムに従って一般に分類される。これに関して、例えば、“癌の化学療法薬”, American Chemical Society, 1995, W.O. Foye編集でなされた分類が参考にし得る。
【0004】
こうして、本発明の意味内で、化学療法薬の下記のクラスが特に重要であるが、限定に相当しない。
・合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト
・小分子成長因子(GF)受容体アンタゴニスト
・EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されない)
・EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に対して誘導されるインヒビター(これらは融合タンパク質である)
・核酸と相互作用し、かつアルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物
・核酸と相互作用し、かつアントラサイクリン、DNAインターカレーター又はDNA架橋剤として分類される化合物
・坑代謝産物
・天然産、半合成又は合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループ抗生物質)
・DNA転写酵素のインヒビター、特にトポイソメラーゼIインヒビター又はトポイソメラーゼIIインヒビター
・クロマチン修飾剤
・有糸分裂インヒビター、坑有糸分裂薬、又は細胞サイクルインヒビター
・プロテアソームインヒビター
・酵素
・ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモンインヒビター、又はステロイド生合成のインヒビター
・ステロイド
・サイトカイン、低酸素選択的サイトトキシン、サイトカインのインヒビター、リンホカイン、サイトカインに対して誘導される抗体又は経口及び非経口のトレランス誘発戦略
・支持薬剤
・化学的放射線感作剤及び保護剤
・光化学的に活性化された薬物
・合成ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド
・その他の化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、例えば、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、メタロプロテイナーゼのインヒビター、オンコジーンのインヒビター、遺伝子転写もしくはRNA翻訳又はタンパク質発現のインヒビター、或いは希土類元素の錯体
【0005】
今まで化学療法薬として分類されなかった、化合物の更なるクラス(これらは天然産、半合成又は合成の治療薬である)、例えば、非ステロイド抗炎症薬、特にシクロオキシゲナーゼ(COX)インヒビター、更に特別にはCOX-2インヒビターが、また組み合わせ治療薬に重要である。
たとえ、幾つかの治療薬又は療法を組み合わせるという概念が既に示唆されていたとしても、また種々の組み合わせ治療薬が研究下にあり、臨床試験中にあるが、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療について新規かつ有効な治療薬についての要望が依然としてあり、また増大された効力及び低減された副作用を示し得る更なる組み合わせを開発するようにとの要望が依然としてある。
これらの疾患は腫瘍の性質のもの(全ての型の悪性腫瘍又は癌を含む)であってもよいだけでなく、又は非腫瘍の性質のもの、例えば、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチもしくは乾癬であってもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
有効量の
(i) 選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は
(iii) 放射線療法又は放射免疫療法
によるこのような治療を要する人への共投与及び/又はこのような治療を要する人の補助治療が、これらの物質のいずれか単独の投与及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法による治療と較べて、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療における予期しない利点を、高い効力でこのような治療を要する人に与えることが今見出された。
更に、この共投与又は補助治療は選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストがVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニストである場合に特に有効であることがわかった。
更に、この共投与又は補助治療は選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストがVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト、更にsrcチロシンキナーゼファミリー員、特にsrc、lck、lyn及びfynのアンタゴニスト、及び/又は更にサイクリン依存性キナーゼとその特異性サイクリンもしくはウイルスサイクリン、例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8及びCDK9とそれらの特異性サイクリンA、B1、B2、C、D1、D2、D3、E、F、G1、G2、H、I及びKとの少なくとも一種の複合体のアンタゴニスト、及び/又は更にパラクリンIL-6分泌のインヒビターである場合に特に有効であることがわかった。
更に、本発明の組み合わせにより治療し得る疾患はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係するあらゆる種類の疾患であることがわかり、これらは腫瘍の性質のもの、例えば、あらゆる型の悪性腫瘍もしくは癌、又は非腫瘍の性質のもの、例えば、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、もしくは乾癬であってもよい。
【0007】
更に、本発明の組み合わせ治療は腫瘍成長、生存及び転移を抑制するのに特に有効であることがわかった。
更に、本発明の組み合わせ治療は選ばれた活性物質、選ばれた用量及び選ばれた投薬形態で特に有効であるとわかった。
こうして、本発明はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療方法であって、その方法がこのような治療を要する人への、必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい、組み合わされた製剤の形態の、有効量の
(i) VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
の同時、別々又は逐次の共投与を含むことを特徴とする治療方法を提供する。
また、本発明はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療方法であって、その方法が有効量のVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩と、化学療法又は放射免疫療法との同時、別々又は逐次の補助治療を含むことを特徴とする治療方法を提供する。
【0008】
本発明の方法に使用されるタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストはVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR、c-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト、そして更にsrcチロシンキナーゼファミリー員、特にsrc、lck、lyn又はfynのアンタゴニストであることが好ましい。
更に好ましい実施態様において、タンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストは更にサイクリン依存性キナーゼとその特異性サイクリンもしくはウイルスサイクリン、例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8及びCDK9とそれらの特異性サイクリンA、B1、B2、C、D1、D2、D3、E、F、G1、G2、H、I及びKとの少なくとも一種の複合体のアンタゴニスト、及び/又は更にパラクリンIL-6分泌のインヒビターであってもよい。
一つの好ましい実施態様において、タンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストは特定の化合物から選ばれる。
本発明の方法に使用される更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬はあらゆる入手し得る化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、更に特別には癌の治療に普通に使用される化学療法薬であってもよい。好ましい化学療法薬は下記の群から選ばれる:合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト、小分子成長因子(GF)受容体アンタゴニスト、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されない)、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に対し誘導されるインヒビター(これらは融合タンパク質である)、核酸と相互作用し、かつアルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物、核酸と相互作用し、かつアントラサイクリン、DNAインターカレーター(DNA小溝結合化合物を含む)又はDNA架橋剤として分類される化合物、坑代謝産物、天然産、半合成又は合成のブレオマイシン型抗生物質(BLMグループ抗生物質)、DNA転写酵素のインヒビター、そして特にトポイソメラーゼIインヒビター又はトポイソメラーゼIIインヒビター、クロマチン修飾剤、有糸分裂インヒビター、坑有糸分裂剤、細胞サイクルインヒビター、プロテアソームインヒビター、酵素、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト又はホルモンインヒビター、又はステロイド生合成のインヒビター、ステロイド、サイトカイン、低酸素選択的サイトトキシン、サイトカインのインヒビター、リンホカイン、サイトカインに対して誘導される抗体又は経口及び非経口のトレランス誘発剤、支持薬剤、化学的放射線感作剤及び保護剤、光化学的活性化薬、合成ポリヌクレオチド又は合成オリゴヌクレオチド(必要により修飾又はコンジュゲートされていてもよい)、非ステロイド抗炎症薬、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、メタロプロテイナーゼのインヒビター、金属、オンコジーンのインヒビター、遺伝子転写もしくはRNA翻訳又はタンパク質発現のインヒビター、希土類元素の錯体、又は光化学療法薬。
【0009】
一つの好ましい実施態様において、化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬の中で、特定の化合物が好ましい。
一実施態様において、本発明の方法で治療される疾患は腫瘍疾患であることが好ましい。好ましい実施態様において、疾患は充実性腫瘍、例えば、尿生殖器の癌(例えば、前立腺癌、腎臓細胞癌、膀胱癌)、婦人科の癌(例えば、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌)、肺癌、胃腸の癌(例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞癌、胆管細胞癌)、頭部及び首部の癌、悪性中皮腫、乳癌、悪性メラノーマ又は骨及び軟組織の肉腫、並びに血液の腫瘍、例えば、多発性ミエローマ、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群及び急性リンパ芽球性白血病から選ばれる。好ましい実施態様において、疾患はホルモン感受性又はホルモン難治性の前立腺癌、卵巣癌腫、又は小細胞肺癌である。
別の実施態様において、本発明の方法で治療される疾患は糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ又は乾癬から選ばれた非腫瘍疾患であることが好ましい。
こうして、本発明の方法の有益な効力は主として組み合わされた治療の累積的効果及び相乗効果、又は、例えば、関係する治療薬の一層低い用量のために患者による治療の改善された寛容性に基づく。
上記の予期しない利点はまた、腫瘍により媒介される、タンパク質チロシンキナーゼ受容体の構成的に活性な生存シグナルが選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストにより一旦抑制される時の、化学療法薬による一層有効なアポトーシス誘導のためであるかもしれない。
タンパク質チロシンキナーゼ受容体のアンタゴニスト又は血管形成に関係するその他の媒介物質、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、血管透過性因子、塩基性繊維芽成長因子(bFGF)、インターロイキン-6(IL-6)もしくはインターロイキン-8(IL-8)、表皮成長因子(EGF)又は血小板由来成長因子(PDGF)のインヒビターの使用の場合、本発明の方法及び組成物の利点の一つは癌細胞のエネルギー供給をカットするための、腫瘍それ自体ではなく、又は腫瘍それ自体と一緒の、腫瘍関連血管系への治療のターゲッティングにある。
【0010】
更なる利点は化学療法薬に対する感受性の誘導又は再授与(reinstatement)が感受性が治療の過程で失われるようになる化学療法薬とVEGFRアンタゴニストの組み合わせで治療された患者で期待されることである。これは特に難治性の多発性ミエローマを患っており、化学療法薬としてのステロイドで治療されている患者の場合である。ステロイドとVEGFRアンタゴニストによる組み合わせ治療は難治性の多発性ミエローマを患っている患者のステロイド感受性を回復すると予想される。
本発明によれば、相乗的に組み合わされた製剤は或る量の選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、又はこの活性化合物の多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩と、或る量の更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法を含むと意味され、個々の治療薬単独の量は前記治療薬の組み合わせの投与により得られる治療効果を得るのに不十分であり、かつ治療薬の量の組み合わされた効果は個々の治療薬の量で得られる治療効果の合計よりも大きい。
異なる局面から見て、本発明はまたミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療のための医薬組み合わせであって、必要により一種以上の医薬上許される希釈剤及び/又は担体と一緒に、前記疾患の治療における同時、別々又は逐次の使用のための組み合わされた製剤として、選ばれた特定のタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト及び更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法を含むことを特徴とする医薬組み合わせに関する。
異なる局面から見て、本発明はまた治療有効量の選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩、及び治療有効量の更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬を含む、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療のための医薬組み合わせ製剤キットであって、そのタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストが第一区画内に含まれ、かつ更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が第二区画内に含まれ、その結果、それを要する患者への投与が同時、別々又は逐次であってもよいことを特徴とする医薬組み合わせ製剤キットに関するものであり、前記組み合わせ製剤キットは必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に更に適していてもよい。
本発明の一実施態様において、医薬組み合わせ製剤キットの夫々の区画中で、夫々の活性物質が経口投与のために製剤化される。
更なる局面から見て、こうして本発明はまた前記疾患又は指示の治療のための医薬組み合わせ製剤の製造のための、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬と組み合わせての、かつ/又は放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適した、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストの使用を提供する。
本発明の意味内で、治療薬及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法による治療の有効量は組み合わせて使用された場合に治療効果を得るのに有効である薬剤及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法による治療の量を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】NIH3T3 KDR細胞に対する化合物MES(T)の暴露を変えた後のVEGFR-2リン酸化の抑制。上のパネルはリン酸化チロシン残基に特異性の抗体(α-PY)で探査されたウェスタンブロットを示す。下のパネルはVFGFR-2に特異性の抗体(α-KDR)を使用するウェスタンブロットを示す。
【図2】皮下のFaDu腫瘍を有するヌードマウス、未治療のもの(点線)、50mg/kgの用量の化合物MES(T)で週2回経口治療されたもの(黒い線)、又は100mg/kgの用量の化合物MES(T)で週2回経口治療されたもの(灰色の線)における腫瘍体積の展開。
【図3】皮下の卵巣癌SKOV-3腫瘍を有するヌードマウス、未治療のもの(破線)、15mg/kgのEGFR/HER2 inh.で毎日経口治療されたもの(三角形)、50mg/kgのC12(T)で毎日治療されたもの(正方形)、又は15mg/kgのEGFR/HER2 inh.と50mg/kgのC12(T)の組み合わせで治療されたもの(ひし形)における腫瘍体積の展開。
【発明を実施するための形態】
【0012】
・疾患
既に前記されたように、本発明の組み合わせにより治療し得る疾患はミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係するあらゆる種類の疾患であり、これらは腫瘍の性質のもの、例えば、あらゆる型の悪性腫瘍もしくは癌、又は非腫瘍の性質のもの、例えば、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、もしくは乾癬であってもよい。癌の中で、選ばれた特定の標的指示は充実性腫瘍、例えば、尿生殖器の癌(例えば、前立腺癌、腎臓細胞癌、膀胱癌)、婦人科の癌(例えば、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌)、肺癌、胃腸の癌(例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞癌、胆管細胞癌)、頭部及び首部の癌、悪性中皮腫、乳癌、悪性メラノーマ又は骨及び軟組織の肉腫、並びに血液の腫瘍、例えば、多発性ミエローマ、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群及び急性リンパ芽球性白血病である。
本発明の組み合わせ治療は腫瘍成長、生存及び転移を抑制するのに特に有効である。
ホルモン感受性又はホルモン難治性の前立腺癌、卵巣癌腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、又は多発性ミエローマの治療が組み合わせ治療に特に重要である。
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト
既に前記されたように、本発明の状況で使用し得る選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストはタンパク質チロシンキナーゼ受容体リガンドによるタンパク質チロシンキナーゼ受容体の刺激又は活性化を抑制する全ての物質を含む。成長因子受容体のファミリーに属するタンパク質チロシンキナーゼ受容体の場合、刺激又は活性化のこのような抑制は受容体を発現する細胞の成長を抑制する。
腫瘍形成に関係する成長因子受容体の幾つかの例は表皮成長因子(EGFR)、血管内皮成長因子(VEGFR)、血小板由来成長因子(PDGFR)、インスリン様成長因子(IGFR)、神経成長因子(NGFR)、及び繊維芽細胞成長因子(FGFR)の受容体である。
【0013】
タンパク質チロシンキナーゼ受容体の刺激又は活性化の抑制は受容体の活性化のあらゆる減少を意味し、これは受容体の活性化を完全に防止又は停止することを必要としない。
更に、本発明により定義される、受容体刺激又は活性化は、アンタゴニストと受容体又はそのリガンドとの相互作用から生じる抑制を意味する。相互作用はアンタゴニストと受容体の間の充分な物理的又は化学的相互作用を意味し、その結果、タンパク質チロシンキナーゼ活性が抑制される。当業者はこのような化学的相互作用(これらは会合又は結合を含む)の例が当業界で知られており、アンタゴニストと受容体又はそのリガンドの間の共有結合、イオン結合、水素結合等を含むことを認めるであろう。
増大されたタンパク質チロシンキナーゼ受容体刺激又は活性化は高レベルのリガンド、受容体遺伝子増幅、受容体の増大された転写又は調節されない受容体シグナリングを生じる突然変異から生じ得る。受容体をコードする遺伝子の増幅は受容体に結合するリガンドの増大された数をもたらし、これが細胞増殖を更に刺激し得る。タンパク質チロシンキナーゼ受容体はまた、おそらくその転写、mRNA翻訳、又はタンパク質の安定性を増大する突然変異により、遺伝子増幅の不在下で過剰発現されるかもしれない。EGFR型のタンパク質チロシンキナーゼ受容体突然変異体が構成的に活性なチロシンキナーゼを有する、グリオーマ、非小細胞肺癌腫、卵巣癌腫及び前立腺癌腫で既に同定されており、これらの癌におけるEGFR過剰発現ではなく、高レベルEGFR活性の役割を示唆していた(例えば、Pedersenら, Ann. Oncol., 12(6)巻, 745-60頁, 2001を参照のこと)。
【0014】
本発明の一実施態様において、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストはそのリガンドへのタンパク質チロシンキナーゼ受容体の結合を抑制する。
受容体の外部の、細胞外のドメインへのリガンドの結合は受容体二量体化、受容体の自己リン酸化、受容体の内部の、細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインの活性化、及びDNA合成、細胞分裂、脈管形成又は血管形成の調節に関係する多重シグナル伝達経路の開始を刺激する。アンタゴニストの存在により生じられる抑制は従ってこの刺激を低減するであろう。
本発明の別の実施態様において、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストは受容体に直接結合する。アンタゴニストは受容体の細胞外の部分に外部に結合でき(これはリガンドの結合を抑制してもよく、又は抑制しなくてもよい)、又はタンパク質チロシンキナーゼドメインに内部に結合し得る。このようなアンタゴニストの例として、生物学的分子、例えば、受容体に特異性の抗体(及びその機能性均等物)、及び受容体の細胞質ドメインに直接作用する合成キナーゼインヒビター、例えば、所謂“小分子チロシンキナーゼインヒビター”が挙げられるが、これらに限定されない。小分子チロシンキナーゼインヒビターの非排他的リストがLaid&Cherrington, Expert Opinion Invest. Drugs, 12巻, 1号, 2003(その内容が参考として本明細書に含まれる)の総説文献に見られる。
付加的なタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストは公知の方法を使用して容易に決められる。本発明に使用される選ばれた受容体アンタゴニストは受容体のタンパク質チロシンキナーゼ活性を抑制し、これは一般にリン酸化イベントを伴う。それ故、リン酸化アッセイが、例えば、本発明の状況に有益なアンタゴニストを決めるのに有益であるかもしれない。加えて、受容体発現の検出に特別な方法が利用し得る。これらとして、タンパク質発現の検出のための免疫組織化学、遺伝子増幅の検出のための蛍光in situハイブリダイゼーション、競合放射性リガンド結合アッセイ、固体マトリックスブロッティング技術、例えば、ノーザンブロット及びサザンブロット、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応及びELISAが挙げられる。
【0015】
本発明によれば、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストはVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR、c-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト、そして更にsrcチロシンキナーゼファミリー員、特にsrc、lck、lynもしくはfynのアンタゴニスト、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩であることが好ましい。選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストは更にサイクリン依存性キナーゼとその特異性サイクリン又はウイルスサイクリン、例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8及びCDK9とそれらの特異性サイクリンA、B1、B2、C、D1、D2、D3、E、F、G1、G2、H、I及びKの少なくとも一種の複合体のアンタゴニスト、及び/又は更にパラクリンIL-6分泌のインヒビターであってもよい。
【0016】
本発明の更なる実施態様において、活性物質の組み合わせは血管形成に関係する腫瘍疾患の治療を目的とする。
腫瘍血管形成はヒト悪性の進行に重要な役割を果たす。このプロセスの抑制は癌の治療における治療介入の優れた点であると考えられる。血管内皮成長因子受容体2(VEGFR-2)によるシグナル伝達は腫瘍血管形成における内皮細胞の増殖、生存及び移動に極めて重要な役割を果たすと示されていた。
これに関して、VEGFR-2の強力かつ経口利用できる低分子量アンタゴニストがミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療に有益である新規化合物として、特に新規癌治療薬として開発されていた。こうして、これらのアンタゴニストは受容体の活性のインヒビターである。これらのアンタゴニストの幾つかがまた更なる成長因子受容体、例えば、VEGFR-3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR、c-Kitのアンタゴニストであり、また幾つかがsrcチロシンキナーゼファミリー員src、lck、lyn及びfynのアンタゴニストである。
これらの化合物がWO 02/36564、WO 99/52869、WO 00/18734、WO 00/73297、WO 01/27080、WO 01/27081及びWO 01/32651に開示されている。これらの引用書類がこれらの特定の化合物に関して開示されたあらゆる局面に関して参考として本明細書に含まれる。
【0017】
下記の化合物が特に代表的であり、全てが本発明の意味内の選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストとして使用し得るVEGFR-2及びlckの組み合わされたインヒビターである。
(A) (Z)-3-(1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-2-インドリノン、
(B) (Z)-3-(1-(4-(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-プロピオニル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-2-インドリノン、
(C) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(ブチルカルバモイル)-2-インドリノン、
(D) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(E) (Z)-3-(1-(4-(N-メチルスルホニル-N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(F) (Z)-3-(1-(4-(ブチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(G) (Z)-3-(1-(4-(ピロリジン-1-イル-メチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(H) (Z)-3-(1-(4-(ジエチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(I) (Z)-3-(1-(4-(ジエチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(J) (Z)-3-(1-(4-(ジエタノールアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(ブチルカルバモイル)-2-インドリノン、
(K) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(L) (Z)-3-(1-(4-(N-アセチル-N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(M) (Z)-3-(1-(4-(ブチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
【0018】
(N) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(O) (Z)-3-(1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-アセチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(P) (Z)-3-(1-(4-(エチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(Q) (Z)-3-(1-(4-(1-メチル-イミダゾール-2-イル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(R) (Z)-3-(1-(4-(N-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(S) (Z)-3-(1-(4-(メチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(T) (Z)-3-(1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、及び
(U) 4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)-キナゾリン、
並びにそれらの多形、代謝産物又は医薬上許される塩。
【0019】
化合物(A)〜(B)はWO 00/18734に記載されており、化合物(C)〜(M)はWO 00/73297に記載されており、化合物(N)〜(T)はWO 01/27081に記載されており、化合物(U)はWO 01/32651に記載されている。
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR及びc-Kitの強力かつ経口利用できる低分子量アンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員、特にsrc、lck、lyn及びfynのアンタゴニストである)、更にサイクリン依存性キナーゼとそれらの特異性サイクリン又はウイルスサイクリンの複合体のアンタゴニスト、そして更に、例えば、WO 01/27081に例示化合物番号473として開示された、パラクリンIL-6分泌のインヒビターだけでなく、その多形、代謝産物又は医薬上許される塩が特に代表的である。上記リストに(T)と称される、この化合物は3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンである。
その他の先に例示された化合物と較べた場合、この化合物はインヒビターとしてのその高い効力及びその一層良好な毒物学的プロフィールのために更に特別に好ましい。
この化合物のモノエタンスルホン酸塩、即ち、例えば、未公開ドイツ特許出願DE 102 33 500.1、未公開PCT/03/07822及び未公開米国特許出願10/623,971に開示された、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩が特に好ましい。
DE 102 33 500.1、未公開PCT/03/07822及び未公開米国特許出願10/623,971に開示されているものによれば、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩は下記の化学構造を有する。
【0020】
【化1】

化合物MES(T)
(化合物(T)のモノエタンスルホン酸塩)
【0021】
この化合物は製造条件の好適な選択により、好ましくはその結晶性半水和物形態で選択的に得られてもよい。
この化合物はT=305±5℃の融点(メトラー−テレドDSC82装置を使用して、DSC=示差走査熱量計により測定される;加熱速度:10K/分)を特徴とする。
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)
-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩の製造について、下記の操作が使用されてもよい。
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩を調製するのに使用される出発物質は遊離塩基3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンであってもよく、これは従来技術により知られており、例えば、WO 01/27081に記載されている方法に従って得られてもよい。
こうして、WO 01/27081に記載されているものによれば、第一工程で、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンが以下のように調製される。
【0022】
1-アセチル-3-(1-エトキシ-1-フェニルメチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン(WO 01/27081に記載されたように調製した)10.5g(30.0ミリモル)及びN-〔(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル〕-N-メチル-p-フェニレンジアミン(WO 01/27081に記載されたように調製した)8.60g(33.0ミリモル)をジメチルホルムアミド80mlに溶解し、80℃で1時間混合する。冷却後、ピペリジン6.50mlを添加し、全体を室温で更に2時間混合する。水を添加し、得られる沈殿の上の液体を吸引し、沈殿を少量の水で再度洗浄する。残渣をメタノール200ml中で懸濁させ、液体を吸引し、残っている残渣を冷水及びジエチルエーテルで洗浄する。得られる生成物を110℃で真空乾燥させる。
回収した生成物:12.4 g (理論値の77% )
IR-分光分析: 1610, 1655, 1711 cm-1
TSmp. = 253℃
分子式: C31H33N5O4
電子噴霧-質量分析法: m/z = 540 [M+H]+
元素分析:
計算値 C 68.99 H 6.16 N 12.98
実測値 C 68.32 H 6.29 N 12.85
DE 102 33 500.1に開示されているものに従って、第二工程で、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩が以下のように得られるであろう。
【0023】
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン605g(1.12モル)をメタノール9リットル中で懸濁させ、50℃に加熱する。エタンスルホネートの70%の水溶液183.7g(1.121モル)を添加する。得られる溶液を40℃に冷却し、ter-ブチルメチルエーテル4.5リットルと混合する。結晶化が数分後に生じる。完全な沈殿を得るために、全体を室温で16時間混合する。10℃の温度に冷却した後、液体を吸引し、沈殿をter-ブチルメチルエーテル2リットルで洗浄し、40℃で真空乾燥させる。
回収した生成物: 638 g (理論値の87.6% )
TSmp. = 305 ± 5℃(DSC 10K/分)
純度 (HPLCにより測定): 99.4%
含水量: 1.0 〜2.0% (KF)
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩は生理学上許される可溶化剤に非常に容易に溶解し得る。
更に、化合物MES(T)はマウスで経口で生物学的に利用し得る。
3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩は21nMのIC50でヒトVEGFR-2キナーゼ(huVEGFR-2)を抑制し、13nMのIC50でマウスVEGFR-2キナーゼ(muVEGFR-2)を抑制し、またVEGF刺激内皮細胞の増殖を抑制する(HUVEC:IC50=9nM、HSMEC:IC50=12nM)。
更に、血管形成シグナリングに重要な受容体のスプリットキナーゼドメインファミリーの二つの員である、FGFR-1及びPDGFRαが、夫々69nM及び59nMのIC50でこの化合物により更に抑制される。
こうして、化合物MES(T)は、下記の表1に示されるように、多くの異なるキナーゼのパネルに対して試験された場合に高度に選択的である。
【0024】
【表1】

【0025】
また、この特異性アンタゴニストが受容体VEGFR-2の長く持続する抑制を示すことは注目に値する。分子レベル及び細胞レベルでは、細胞(例えば、内皮細胞)への化合物MEST)の短い暴露が少なくとも32時間にわたって受容体キナーゼそれ自体及び下流のシグナリング分子(例えば、MAPキナーゼ、MAPK)の活性化だけでなく、細胞増殖を抑制するのに充分である。
下記の実験の結果がこの長く持続する抑制効果を証明する。受容体についてMES(T)により誘導される抑制の期間を測定するために、ウォッシュアウト実験を行なった。HUVEC細胞及びNIH 3T3 KDR細胞を時間の制限された期間にわたってMES(T)に暴露した。MES(T)を洗い去り、細胞増殖(HUVEC)又はVEGFR-2活性化/リン酸化を時間の種々の期間後に分析した。図1に示されるように、VEGFR-2の自己リン酸化が50nM MES(T)による1時間の暴露後に少なくとも32時間にわたってブロックされる。MES(T)なしに8時間、24時間、そして32時間後に、細胞をVEGFで再度刺激し、受容体活性化を分析した。32時間後でさえも、受容体活性化が観察し得なかった。これはMES(T)血漿濃度が非常に低い場合でさえもMES(T)が受容体キナーゼに持続した効果を示すことを強く示唆する。
下記のin vivo異種移植実験の結果が化合物MES(T)の腫瘍細胞に対する効果を証明する。この効果を測定するために、皮下のFaDu腫瘍(FaDu腫瘍はヒト扁平上皮癌細胞から構成される)を有するヌードマウスを化合物MES(T)で経口治療した。図2に示されるように、マウスを100mg/kgの用量で週2回治療した場合、31%のT/C(腫瘍/対照)値で腫瘍成長の低下が見られる。用量を週2回経口で200mg/kgに増大することにより、一層良好な坑腫瘍効果が予想される。
【0026】
これはこのアンタゴニストが別の化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は放射線療法もしくは放射免疫療法との逐次の共投与及び/又は補助治療に特に適していることを示す。このアンタゴニストによる計画された治療養生法は、例えば、交互の治療1日オン/1日オフ、1日オン/2日オフ、1週オン/1週オフ、又は更には2週オン/2週オフであってもよい。
こうして、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩は明らかに強力かつ経口利用できるVEGFR-2キナーゼインヒビター及び坑腫瘍薬である。
本発明の全ての局面に関して、好適な選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストはまた選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストの活性なin vivo代謝産物である。例えば、タンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの活性なin vivo代謝産物は未エステル化化合物3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-カルボニル-2-インドリノンであってもよい。
【0027】
本発明の意味内で、先に例示された全ての化合物、特に化合物(T)及びそのモノエタンスルホン酸塩MES(T)は、また上記疾患、即ち、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係するあらゆる種類の疾患(これらは腫瘍の性質のもの、例えば、全ての型の悪性腫瘍又は癌、或いは非腫瘍の性質のもの、例えば、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、又は乾癬であってもよい)の治療のための単一療法として使用されてもよい。癌の中で、単一療法の治療に選ばれた特別な標的指示は充実性腫瘍、例えば、尿生殖器の癌(例えば、前立腺癌、腎臓細胞癌、膀胱癌)、婦人科の癌(例えば、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌)、肺癌、胃腸の癌(例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞癌、胆管細胞癌)、頭部及び首部の癌、悪性中皮腫、乳癌、悪性メラノーマ又は骨及び軟組織の肉腫、並びに血液の腫瘍、例えば、多発性ミエローマ、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群及び急性リンパ芽球性白血病である。ホルモン感受性又はホルモン難治性の前立腺癌、卵巣癌腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、又は多発性ミエローマの治療が特に重要である。先に例示された化合物は腫瘍成長、生存及び転移を抑制するのに特に有効である。
・更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
この化合物は化合物の下記のクラス及び例から選ばれることが好ましいかもしれないが、このリストは限定と考えられるべきではない。
*合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト
特に重要な合成小分子VEGF受容体アンタゴニストは型2のVEGF受容体のアンタゴニストであり、これらは塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)受容体だけでなく、血小板由来成長因子(PDGF)受容体のアンタゴニストである。代表的な化合物は、例えば、インドリノン誘導体、例えば、WO 02/36564、WO 99/52869、WO 00/18734、WO 00/73297、WO 01/27080、WO 01/27081及びWO 01/32651に記載されたものである。更なる代表的な小分子VEGF受容体アンタゴニストはWO 01/60814、WO 99/48868、WO 98/35958に記載された化合物、特に化合物バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842(L-グルタミル及びL-トリプトファンのジペプチド)又はGW-786034である。
【0028】
*小分子成長因子(GF)受容体アンタゴニスト
特に重要な小分子成長因子(GF)受容体アンタゴニストはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)受容体のアンタゴニスト、特に表皮成長因子(EGF)受容体のアンタゴニスト、表皮成長因子(EGF)受容体と型2(HE型2)のヒト表皮成長因子受容体の二重アンタゴニスト又はマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のアンタゴニストである。二重のEGFR及びHER-2アンタゴニストである代表的な化合物は、例えば、WO 00/78735及びWO 02/50043に開示されたキナゾリン誘導体、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033及びGW-2016である。EGFRのみのアンタゴニストである代表的な化合物は、例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272及びヘルセプチンである。マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のアンタゴニストである代表的な化合物はBAY-43-9006(Rafタンパク質キナーゼファミリーインヒビター)及びBAY-57-9006(Kdrチロシンキナーゼインヒビター)である。
このクラスの好ましい化合物はWO 02/50043に実施例1(10)の例示化合物として開示されたキナゾリン誘導体、即ち、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、又はその互変異性体、立体異性体及び無機もしくは有機の酸もしくは塩基との塩、特にその生理学上許される塩である。この化合物の二マレイン酸塩が最も好ましく、これは下記の操作に従って容易に得られる。4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン6.0kg(12.35モル)をエタノール84リットル中で70℃まで加熱する。エタノール36リットル中のマレイン酸2.94kg(25.31モル)の溶液を添加する。結晶化の開始時に、その反応混合物を20℃に冷却し、2時間撹拌する。その反応混合物を0℃に冷却し、3時間撹拌する。沈殿を吸引濾過する。フィルターケーキをエタノール19リットルで洗浄し、40℃で真空乾燥させる。
このクラスの更に好ましい化合物は4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はその塩である。この化合物の化学構造式は以下のとおりである。
【0029】
【化2】

【0030】
この化合物は下記の製造条件を使用して3工程で得られてもよい。
・出発化合物I:4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6〔(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ〕-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリンの調製
ジエトキシホスホリル酢酸60.07gをN,N-ジメチルホルムアミド750mlに入れ、周囲温度でN,N'-カルボニルジイミダゾール48.67gと合わせる。ガスの発生が停止した後、4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン90.00gを添加し、その反応混合物を反応が完結するまで周囲温度で約4-5時間撹拌する。次いでその反応混合物を水浴中で穏やかに加熱し、水750mlを2回添加する。その濃厚な懸濁液を一夜撹拌し、翌朝、水更に350mlを添加する。その懸濁液を氷浴中で冷却し、1時間撹拌し、吸引濾過する。フィルターケーキをN,N-ジメチルホルムアミド/水(1:2)240ml及びジイソプロピルエーテル240mlで再度洗浄し、循環空気乾燥機中で40℃で乾燥させる。
収量: 117.30 g (理論値の88 % )
Rf 値: 0.37 (シリカゲル, 塩化メチレン/メタノール = 9:1)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 553, 555 [M+H]+
・出発化合物II:ホモモルホリン-4-イル-アセトアルデヒド塩酸塩の調製
4-(2,2-ジメトキシ-エチル)-ホモモルホリンを80℃で半濃塩酸とともに撹拌する(2.5時間)ことにより調製する。得られた溶液を下記のように更に直接反応させる。
【0031】
・最終化合物:4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリンの調製
テトラヒドロフラン20ml中の4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-〔2-(ジエトキシ-ホスホリル)-アセチルアミノ〕-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン(出発化合物I)3.9gの溶液を周囲温度の水20ml中の塩化リチウム300mgの溶液に添加する。次いで水酸化カリウムフレーク2.35gを添加し、その反応混合物を氷/アセトン冷却浴中で-3℃に冷却する。次いで先に得られたホモモルホリン-4-イル-アセトアルデヒド塩酸塩(出発化合物II)の溶液を0℃の温度で5分以内に滴下して添加する。添加が終了した後、その反応混合物を0℃で更に10分間、そして周囲温度で更に1時間撹拌する。処理のために、酢酸エチル100mlを添加し、水相を分離する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させる。酢酸エチル/メタノール/濃メタノール性アンモニアを溶離剤として使用して、粗生成物をシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーにより精製する。得られた生成物を少量のジ-イソプロピルエーテルとともに撹拌し、吸引濾過し、乾燥させる。
収量: 2.40 g (理論値の63 % )
Rf 値: 0.09 (シリカゲル, 酢酸エチル/メタノール/濃アンモニア水= 90:10:1)
質量スペクトル(ESI+): m/z = 542, 544 [M+H]+
【0032】
*EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されない)
EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されず、これらは特に重要である)は、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に対し誘導されるモノクローナル抗体である。代表的な化合物は、例えば、アトラセンタン(インテグリンアンタゴニスト)、リツキシマブ、セツキシマブ、アバスチンTM(ベバシズマブ)、IMC-1C11、エルビツクス(C-225)、DC-101、EMD-72000(ヒト化EGF受容体特異性モノクローナル抗体)、ビタキシン(α,β3インテグリンに対し誘導される抗体)、及びイマチニブ(c-Kitインヒビター)である。妥当な受容体のそれらの抗原エピトープを特異的に認識し得るモノクローナル抗体が、これに関して更に特別に重要である。in vitroモデル及び動物モデルで成功した、このような抗体の使用は、単一薬物療法で患者で満足な効力を示していなかった。抗体ではなく、その他の坑血管形成アンタゴニスト又はEGF受容体アンタゴニストが臨床試験に使用された場合、同様の結果が得られた。腫瘍は、幾つかの特定の部位がブロックされる場合に、前記の初期のブロッキングを相殺するためにその他の細胞表面分子を使用し得ると考えられる。こうして、腫瘍は種々の坑血管形成療法又は坑増殖療法中に実際に縮小しない。これらの理由のために、組み合わせ療法がこの場合にこの問題を、例えば、特定の細胞傷害性薬剤もしくは化学療法薬と一緒に、又は放射線療法もしくは放射免疫療法と組み合わせてモノクローナル抗体を使用して回避することが既に提案された。実際に、臨床試験はこれらの組み合わせ療法が相当する単一投与よりも有効であることを示していた。
*EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に対し誘導されるインヒビター(これらは融合タンパク質である)
このクラスの代表的な化合物は、例えば、製薬会社レゲネロン及びアベンチスにより開発された、名称VEGFtrapを有する化合物である。
*核酸と相互作用し、アルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物
核酸と相互作用し、アルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物は、腫瘍の性質の疾患の治療のためのそれらの使用について既に記載されていた。化合物の代表的なクラス及び例はメルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスフォリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、ミトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン)、エチレンイミン化合物及びアルキルスルホネートである。
【0033】
*核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNAインターカレーター又はDNA架橋剤として分類される化合物
核酸と相互作用し、アントラサイクリン、DNAインターカレーター(DNA小溝結合化合物を含む)又はDNA架橋剤として分類される化合物がまた腫瘍の性質の疾患の治療に重要である。化合物の代表的なクラス及び例はダウノルビシン、ドクソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドクソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシン及び誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、ミトマイシン、CC-1065(ストレプトミセス・ゼレンシス発酵産物)、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、フタラニリド(プロパミジン、スチルバミジン)、アントラマイシン、アジリジン又はニトロソ尿素及びそれらの誘導体である。
*坑代謝産物
重要な坑代謝産物の代表的なクラスはピリミジンもしくはプリン類似体もしくはアンタゴニスト、例えば、フルオロピリミジン及びチオプリン、又はヌクレオシドジホスフェート還元酵素のインヒビターである。代表的な化合物は、例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、又は葉酸である。
*天然産、半合成又は合成のブレオマイシン型抗生物質(BLM-グループ抗生物質)
重要な代表的なクラス及び化合物はフレオマイシン、ブレオマイシン、ブレオマイシン誘導体及び塩、CHPP、BZPP、MTPP、BAPP、リブロマイシンである。これらの薬剤は染色体DNAの分解又はRNA分解(特に選択的tRNAストランド分離)によりそれらの治療効果を媒介すると考えられる。
【0034】
*DNA転写酵素のインヒビター、特にトポイソメラーゼIインヒビター又はトポイソメラーゼIIインヒビター
重要な化合物の代表的なクラス及び例はアクリジン及びアクリジン誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン(イリノテカン又はカンプトサール、トポテカン)、アムサクリン及び類似体、並びに三環式カルボキサミドである。
*クロマチン修飾剤
重要な化合物の代表的なクラスはヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えば、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、MD-275、トリコスタチンA、CBHA(M-カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド)、LAQ824、又はバルプロ酸である。
*有糸分裂インヒビター、坑有糸分裂薬、又は細胞サイクルインヒビター
重要な化合物の代表的なクラス及び例は植物からの抗癌薬、例えば、タキサン(パクリタキセルもしくはタキソール、ドセタキセル又はタキソティア)、ビンカアルカロイド(ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン又はビノレルビン)、トロポロンアルカロイド(コルチシン及び誘導体)、マクロライド(マイタンシン、アンサミトシン、リゾキシン)、坑有糸分裂ペプチド(フォモプシン、ドラスタチン)、エピポドフィロトキシン又はポドフィロトキシンの誘導体(エトポシド、テニポシド)、ステガナシン及び坑有糸分裂カルバメート誘導体(コムブレタスタチン、アンフェチニル)、又はプロカルバジンである。これらの化合物はcdkインヒビター、ツブリンバインダー又はpolo様キナーゼのインヒビターである。
*プロテアソームインヒビター
このクラスに属する重要な代表的な化合物は、例えば、ベルカドTM(ボルテゾミブ又はPS-341)である。
【0035】
*酵素
重要な代表的な化合物及びクラスは、例えば、アスパラギナーゼインヒビター、ペギル化アスパラギナーゼ(ペガスパルガーゼ)インヒビター、及びチミジン-ホスホリラーゼインヒビターである。
*ホルモン、ホルモンアンタゴニストもしくはホルモンインヒビター、又はステロイド生合成のインヒビター
重要なホルモンの代表的なクラス及び例は、ゲスタゲン及びエストロゲン、例えば、エストラムスチンもしくはT-66、又はメゲストロールである。重要なホルモンアンタゴニスト又はインヒビターの代表的なクラス及び例は、例えば、坑アンドロゲン、例えば、フルタミド、カソデクス、アナンドロン及びシプロテロンアセテート、アロマターゼインヒビター、例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ホルメスタン及びレトロゾール、GNrH類似体、例えば、ロイプロレリン、ブセレリン、ゴセレリン及びトリプトレリン、坑エストロゲン、例えば、タモキシフェンそして特にそのクエン酸塩、ドロロキシフェン、トリオキシフェン、ラロキシフェン、ジンドキシフェン、17β-エストラジールの誘導体(ICI 164,384及びICI 182,780)、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、もしくはケトコナゾール、又はLH-RHアンタゴニストロイプロリドである。ステロイドホルモンインヒビターが乳癌及び前立腺癌の治療に特に適している。
【0036】
*ステロイド
重要な代表的な化合物は、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルコルトロン及びトリアムシノロンである。ステロイドが或る種の癌の治療に使用し得る理由及び癌の治療でステロイドで得られる効果は治療すべき癌の型に依存する。充実性腫瘍の治療では、ステロイドが症候をコントロールするのに使用される最初の系列にある。脳転移の場合、それらは浮腫を減少するための通常の療法に属する。それらはまた腫瘍病変を囲む炎症をコントールするのに使用される。リンパ細胞系の血液の悪性腫瘍(ALL、非ホジキンリンパ腫、ミエローマ)の治療では、それらの細胞分解効果のために、ステロイドが単独で、又は古典的化学療法薬と組み合わせて、実際の坑腫瘍療法として使用される。天然産ステロイドテトラヒドロコルチゾール、合成シクロデキストリン誘導体β-シクロデキストリンテトラデカスルフェート及びテトラサイクリン誘導体ミノサイクリンは、それらの坑血管形成活性のために、細胞傷害性の通常の坑癌療法、例えば、白金、メルファラン、シクロホスファミド、アドリアマイシン、ブレオマイシン又は放射線に基づく療法との組み合わせ治療に示唆されていた(Teicherら, Cancer research, 52巻, 6702-6704頁, 1992)。ステロイドデキサメタゾンはまた多発性ミエローマの一次治療として試験されていた(Dimopoulosら, Blood, 80(4)巻, 887-890頁, 1992)。更に、デキサメタゾン及びサリドマイド(TNF-α合成インヒビター及びサイトカインアンタゴニストとしてのその活性について知られている物質)を使用する組み合わせ療法の評価研究が、最近開示されていた。これらの研究は従来治療されていなかった多発性ミエローマ(Weberら, Journal of Clinical Oncology, 21巻, 1号, 16-19頁, 2003)、新たに診断されたミエローマ(Rajkumarら, Journal of Clinical Oncology, 20巻, 21号, 4319-4323頁, 2002)及び強力な化学療法後の多発性ミエローマ(Ann. Oncol., 13巻, 7号, 1116-1119頁, 2002)に集中した。
本発明の全ての局面に関して、組み合わせ治療に適したステロイドは非限定様式でプレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルオコルトロン及びトリアムシノロンを含むと意味される。好ましいステロイドはデキサメタゾンである。
【0037】
*サイトカイン、低酸素選択的サイトトキシン、サイトカインのインヒビター、リンホカイン、サイトカインに対し誘導される抗体又は経口及び非経口のトレランス誘導薬
重要な化合物の代表的なクラス及び例はインターフェロン(特にインターフェロンβ)、インターロイキン(特にIL-10及びIL-12)、坑TNFα抗体(エタネルセプト)、免疫調節薬(即ち、IMiD、特にTNF-α生成のインヒビター、例えば、サリドマイド、そのR-鏡像体及びS-鏡像体並びにその誘導体、又はレビミド(CC-5013))、ロイコトリエンアンタゴニスト、マイトマイシンC、アジリドキノン(BMY-42355、AZQ、EO-9)、2-ニトロイミダゾール(ミソニダゾール、NLP-1、NLA-1)、ニトロアクリジン、ニトロキノリン、ニトロピラゾロアクリジン、“二重機能”ニトロ芳香族化合物(RSU-1069、RB-6145)、ニトロ芳香族失活マスタード(CB-1954)、ナイトロジェンマスタードのN-オキサイド(ニトロミン)、ナイトロジェンマスタードの金属錯体、坑CD3抗体又は坑CD25抗体、トレランスを得るための遺伝子修飾された腸細菌である。
*支持薬剤
重要な化合物の代表的なクラスは、例えば、ビホスホネート及びそれらの誘導体、例えば、ミノドロン酸(YM-529、Ono-5920、YH-529)、ゾレドロン酸一水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物、クロドロン酸二ナトリウムである。これらの化合物は臨床開発中であり、又は乳癌/肺癌からの骨転移の治療及び多発性ミエローマの治療について最近認可されていた(Drugs of the Future 2002, 27(10), 935-941頁)。
*化学的放射線感作剤及び保護剤
代表的なクラス及び重要な化合物は、例えば、ニトロイミダゾール(メトロニダゾール、ミソニダゾール、ベンズニダゾール、ニモラゾール)そして更にニトロアリール化合物、例えば、RSU-1069、ニトロキシル及びN-オキサイド、例えば、SR-4233、ハロゲン化ピリミジン類似体(ブロモデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン)、又は放射線保護剤としてのチオホスフェート(例えば、WR-2721)である。
【0038】
*光化学活性化薬
代表的なクラス及び重要な化合物は、例えば、ポルフィマー、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、フェオフォルビド誘導体、メロシアニン540(MC-540)、及びスズエチオポルプリンである。
*合成ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド
合成ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド(これらは必要により修飾又はコンジュゲートされていてもよい)がまた重要である。ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの代表的なクラスは、例えば、坑鋳型RNA及びDNA(それら自体不活性であるが、酵素のそれらの特定の結合部位について機能性鋳型プライマーと競合することができ、それによりそれらの機能をブロックすることができる合成又は化学修飾オリゴヌクレオチド)、オンコジーン、成長因子遺伝子又は腫瘍サプレッサー遺伝子に対し特別に誘導される、アンチセンスRNA及びDNA(所定のmRNAの相補塩基配列とハイブリダイズするタンパク質合成の配列特異性インヒビター、例えば、オブリメルセン)、アンチジーンポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド(標的遺伝子の転写を選択的に抑制するトリプレックスDNA構造を形成することができるオリゴヌクレオチド)、及びリボザイムである。
*非ステロイド抗炎症薬
非ステロイド炎症薬(NSAID)はまた本発明の意味内の組み合わせ療法に使用し得る化合物の重要なクラスに相当する。シクロオキシゲナーゼ(COX)インヒビター、例えば、非選択的COXインヒビター、アセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、ナブメトン、ジクロフェナック、フェンクロフェナック、アルクロフェナック、ブロムフェナック、イブフェナック、アセクロフェナック、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナック、エトドラック、オキシピナック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニザール、フルフェニザール、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム及びニメスリドもしくはこれらの医薬上許される塩、又は選択的COXインヒビターメロキシカム、セレコキシブもしくはロフェコキシブが特に重要である。選択的COX-2インヒビターメロキシカムが特に好ましい。
【0039】
その他の化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
化合物の更なるクラス及び例、例えば、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体(特にHLA-DR抗体、例えば、アポリズマブ及び1D09C3)、メタロプロテイナーゼのインヒビター(TIMP-1、TIMP-2)、亜鉛、オンコジーンのインヒビター(特にc-myc、Ras、v-raf又はc-srcインヒビター、例えば、P53及びRb)、遺伝子転写のインヒビター(特にHer-2の発現を調節する転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2のインヒビター、例えば、WO 03/097855に記載されたもの)又はRNA翻訳もしくはタンパク質発現のインヒビター(特にHER-2発現のインヒビター、例えば、熱ショックタンパク質HSP90モジュレーターゲルダナマイシン及びその誘導体17-アリルアミノゲルダナマイシン又は17-AAG)、希土類元素の錯体、例えば、ドイツ特許第101 38 538号に記載されたランタニドの複素環錯体、光化学療法薬(プソラレン(P)と長波紫外線(UVA)の組み合わせであるPUVA)、IM-842、テトラチオモリブデート、スクアラミン、コンブレスタチンA4、TNP-470、マリマスタット、ネオバスタット、ビカルタミド、アバレリクス、オレゴボマブ、ミツモマブ、TLK-286、アレムツズマブ、イブリツモマブ、テモゾロミド、デニロイキンジフチトクス、アルデスロイキン、デカルバジン、フロクスウリジン、プリカマイシン、ミトタン、ピポブロマン、プリカマイシン、タムロキシフェン、テストラクトンが本発明の意味内の組み合わせ療法に重要である。
【0040】
本発明の好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト、小分子成長因子受容体アンタゴニスト、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されない)、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビターに対し誘導されるインヒビター(これらは融合タンパク質である)、核酸と相互作用し、かつアルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物、核酸と相互作用し、かつアントラサイクリン、DNAインターカレーター又はDNA架橋剤として分類される化合物(DNA小溝結合化合物を含む)、坑代謝産物、天然産、半合成又は合成のブレオマイシン型抗生物質、DNA転写酵素のインヒビター、そして特にトポイソメラーゼIインヒビター又はトポイソメラーゼIIインヒビター、クロマチン修飾剤、有糸分裂インヒビター、坑有糸分裂剤、細胞サイクルインヒビター、プロテアソームインヒビター、酵素、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ホルモンインヒビター、ステロイド生合成のインヒビター、ステロイド、サイトカイン、低酸素選択的サイトトキシン、サイトカインのインヒビター、リンホカイン、サイトカインに対して誘導される抗体、経口及び非経口のトレランス誘発剤、支持薬剤、化学的放射線感作剤及び保護剤、光化学的活性化薬、合成ポリヌクレオチド又は合成オリゴヌクレオチド(必要により修飾又はコンジュゲートされていてもよい)、非ステロイド抗炎症薬、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、そして特にHLA-DR抗体、例えば、メタロプロテイナーゼのインヒビター、金属、オンコジーンのインヒビター、遺伝子転写もしくはRNA翻訳又はタンパク質発現のインヒビター、希土類元素の錯体、又は光化学療法薬から選ばれる。
【0041】
本発明の更に好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が小分子VEGF受容体アンタゴニスト、例えば、バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842又はGW-786034、二重EGFR/HER2アンタゴニスト、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033又はGW-2016、EGFRアンタゴニスト、例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272又はヘルセプチン、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、例えば、BAY-43-9006又はBAY-57-9006、キナゾリン誘導体、例えば、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン又は4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はこれらの医薬上許される塩、合成小分子に分類されないタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト、例えば、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、アバスチンTM(ベバシズマブ)、IMC-1C11、エルビツクス(C-225)、DC-101、EMD-72000、ビタキシン、イマチニブ、タンパク質チロシンキナーゼインヒビター(これは融合タンパク質である)、例えば、VEGFトラップ、
【0042】
アルキル化剤又は白金化合物、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスフォリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、ミトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドクソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドクソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシン又はこれらの誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、ミトマイシン、CC-1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、フタラニリド、例えば、プロパミジン又はスチルバミジン、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソ尿素又はその誘導体、ピリミジンもしくはプリン類似体もしくはアンタゴニスト又はヌクレオシドジホスフェート還元酵素のインヒビター、例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、又は葉酸、フレオマイシン、ブレオマイシン又はこれらの誘導体もしくは塩、CHPP、BZPP、MTPP、BAPP、リブロマイシン、アクリジン又はその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン、例えば、イリノテカン(カンプトサール)又はトポテカン、アムサクリン又はその類似体、三環式カルボキサミド、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えば、SAHA、MD-275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、又はバルプロ酸、植物からの抗癌薬、例えば、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル又はタキソティア、ビンカアルカロイド、例えば、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン又はビノレルビン、トロポロンアルカロイド、例えば、コルチシン又はその誘導体、マクロライド、例えば、マイタンシン、アンサミトシン又はリゾキシン、
【0043】
坑有糸分裂ペプチド、例えば、フォモプシン又はドラスタチン、エピポドフィロトキシン又はポドフィロトキシンの誘導体、例えば、エトポシド又はテニポシド、ステガナシン、坑有糸分裂カルバメート誘導体、例えば、コムブレタスタチン又はアンフェチニル、プロカルバジン、プロテアソームインヒビター、例えば、ベルカドTM(ボルテゾミブ又はPS-341)、酵素、例えば、アスパラギナーゼ、ペギル化アスパラギナーゼ(ペガスパルガーゼ)又はチミジンホスホリラーゼインヒビター、ゲスタゲン又はエストロゲン、例えば、エストラムスチン(T-66)又はメゲストロール、坑アンドロゲン、例えば、フルタミド、カソデクス、アナンドロン又はシプロテロンアセテート、アロマターゼインヒビター、例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ホルメスタン又はレトロゾール、GNrH類似体、例えば、ロイプロレリン、ブセレリン、ゴセレリン又はトリプトレリン、坑エストロゲン、例えば、タモキシフェン又はそのクエン酸塩、ドロロキシフェン、トリオキシフェン、ラロキシフェン又はジンドキシフェン、17β-エストラジールの誘導体、例えば、ICI 164,384又はICI 182,780、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、LH-RHアンタゴニスト、例えば、ロイプロリド、ステロイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルオコルトロン又はトリアムシノロン、インターフェロン、例えば、インターフェロンβ、インターロイキン、例えば、IL-10又はIL-12、坑TNFα抗体、例えば、エタネルセプト、免疫調節薬、例えば、サリドマイド、そのR-鏡像体及びS-鏡像体並びにその誘導体、又はレビミド(CC-5013)、ロイコトリエンアンタゴニスト、マイトマイシンC、アジリドキノン、例えば、BMY-42355、AZQ又はEO-9、2-ニトロイミダゾール、例えば、ミソニダゾール、NLP-1又はNLA-1、ニトロアクリジン、ニトロキノリン、ニトロピラゾロアクリジン、“二重機能”ニトロ芳香族化合物、例えば、RSU-1069又はRB-6145、CB-1954、ナイトロジェンマスタードのN-オキサイド、例えば、ニトロミン、ナイトロジェンマスタードの金属錯体、坑CD3又は坑CD25抗体、トレランス誘発剤、ビホスホネート又はその誘導体、例えば、ミノドロン酸又はその誘導体(YM-529、Ono-5920、YH-529)、
【0044】
ゾレドロン酸一水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物又はクロドロン酸二ナトリウム、ニトロイミダゾール、例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ベンズニダゾール又はニモラゾール、ニトロアリール化合物、例えば、RSU-1069、ニトロキシル又はN-オキサイド、例えば、SR-4233、ハロゲン化ピリミジン類似体、例えば、ブロモデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、チオホスフェート、例えば、WR-2721、光化学活性化薬物、例えば、ポルフィマー、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、フェオフォルビド誘導体、メロシアニン540(MC-540)又はスズエチオポルプリン、坑鋳型又はアンチセンスRNA又はDNA、例えば、オブリメルセン、非ステロイド炎症薬、例えば、アセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、ナブメトン、ジクロフェナック、フェンクロフェナック、アルクロフェナック、ブロムフェナック、イブフェナック、アセクロフェナック、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナック、エトドラック、オキシピナック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニザール、フルフェニザール、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ニメスリド、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、又は非ステロイド炎症薬の医薬上許される塩、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、例えば、アポリズマブ又は1D09C3、メタロプロテイナーゼのインヒビター、例えば、TIMP-1又はTIMP-2、亜鉛、オンコジーンのインヒビター、例えば、P53及びRb、希土類元素の錯体、例えば、ランタニドの複素環錯体、光化学療法薬、例えば、PUVA、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2のインヒビター、HER-2発現のインヒビター、例えば、熱ショックタンパク質HSP90モジュレーターゲルダナマイシン及びその誘導体17-アリルアミノゲルダナマイシン又は17-AAG、或いはIM-842、テトラチオモリブデート、スクアラミン、コンブレスタチンA4、TNP-470、マリマスタット、ネオバスタット、ビカルタミド、アバレリクス、オレゴボマブ、ミツモマブ、TLK-286、アレムツズマブ、イブリツモマブ、テモゾロミド、デニロイキンジフチトクス、アルデスロイキン、デカルバジン、フロクスウリジン、プリカマイシン、ミトタン、ピポブロマン、プリカマイシン、タムロキシフェン又はテストラクトンから選ばれた治療薬から選ばれる。
【0045】
本発明の更に好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が植物からの坑癌薬、例えば、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル又はタキソティア、ビンカアルカロイド、例えば、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン又はビノレルビン、アルキル化剤又は白金化合物、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスフォリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、マイトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテーパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、免疫調節薬、例えば、サリドマイド、そのR-鏡像体及びS-鏡像体並びにその誘導体、又はレビミド(CC-5013)、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシン又はその誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、マイトマイシン、CC-1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、フタラニリド、例えば、プロパミジン又はスチルバミジン、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソ尿素又はその誘導体、ピリミジンもしくはプリン類似体もしくはアンタゴニスト又はヌクレオシドジホスフェート還元酵素のインヒビター、例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、又は葉酸、アクリジン又はその誘導体、
【0046】
リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン、例えば、イリノテカン(カンプトサール)又はトポテカン、アムサクリン又はその類似体、三環式カルボキサミド、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えば、SAHA、MD-275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、又はバルプロ酸、プロテアソームインヒビター、例えば、ベルカドTM(ボルテゾミブ又はPS-341)、小分子VEGF受容体アンタゴニスト、例えば、バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842又はGW-786034、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、例えば、BAY-43-9006又はBAY-57-9006、二重EGFR/HER2アンタゴニスト、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033又はGW-2016、EGFRアンタゴニスト、例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272又はヘルセプチン、キナゾリン誘導体、例えば、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン又は4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はこれらの医薬上許される塩、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2のインヒビター、HER-2発現のインヒビター、例えば、熱ショックタンパク質HSP90モジュレーターゲルダナマイシンン及びその誘導体17-アリルアミノゲルダマイシン又は17-AAG、タンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト(これは合成小分子に分類されない)、例えば、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、アバスチンTM(ベバシズマブ)、IMC-1C11、エルビツクス(C-225)、DC-101、EMD-72000、ビタキシン、イマチニブ、又は癌細胞の表面分子を標的とする抗体、例えば、アポリズマブ又は1D09C3から選ばれる。
【0047】
本発明の更に好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬がWO 02/50043に実施例1(10)の例示化合物として開示された上記キナゾリン誘導体、即ち、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、又はその互変異性体、立体異性体及び無機もしくは有機の酸もしくは塩基との塩、特にその生理学上かつ医薬上許される塩から選ばれる。
本発明の更に好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が化合物4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの二マレイン酸塩、又はその互変異性体もしくは立体異性体から選ばれる。
本発明の更に好ましい実施態様において、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又は無機もしくは有機の酸もしくは塩基とのその生理学上かつ医薬上許される塩から選ばれる。
【0048】
・放射線療法、放射免疫療法又はプレ-ターゲッティングされる放射免疫療法
放射線療法、放射免疫療法又はプレ-ターゲッティングされる放射免疫療法は腫瘍の性質の疾患の治療に使用される。“放射線治療”、又は放射線療法は、電離放射線による癌及びその他の疾患の治療を意味する。電離放射線はそれらの遺伝子物質を損傷して、これらの細胞が成長し続けることを不可能にすることにより治療される領域(標的組織)中の細胞を損傷又は破壊するエネルギーを入れる。放射線治療は局在化した充実性腫瘍、例えば、皮膚、舌、咽頭、脳、胸部、肺又は子宮頸部の癌を治療するのに使用し得る。また、それは白血病及びリンパ腫、即ち、夫々、造血細胞及びリンパ系の癌を治療するのに使用し得る。普通に使用される放射線療法の一つの型は光子、例えば、X線を伴う。それらが有するエネルギーの量に応じて、光線が生体の表面又は深部の癌細胞を破壊するのに使用し得る。X線のエネルギーが高い程、X線が標的組織に一層深部に入ることができる。リニアーアクセレーター及びベータトロンは次第に大きいエネルギーのX線を生じる機械である。放射線(例えば、X線)を癌部位に集中するための機械の使用が外部ビーム放射線治療と称される。ガンマ線は放射線治療に使用される光子の別の形態である。ガンマ線はそれらが分解、又は崩壊する際に或る元素(例えば、ラジウム、ウラニウム、及びコバルト60)放出放射線として瞬時に生じられる。放射線を癌細胞に送出するための別の技術は放射能インプラントを腫瘍又は体腔に直接入れることである。これは内部放射線治療と称される。短距離療法、間隙照射、及び腔内照射が内部放射線治療の型である。この治療では、放射線線量が小さい領域で濃縮され、患者が病院に数日滞在する。内部放射線治療は舌、子宮、及び頸部の癌に頻繁に使用される。
【0049】
更なる技術は手術間照射であり、この場合、大きい線量の外部放射線が手術中に腫瘍及び周囲の組織に誘導される。別のアプローチは粒子ビーム放射線療法である。この型の療法はそれが局在化した癌を治療するための速く移動する次原子の使用を伴う点で光子放射線治療とは異なる。或る種の粒子(ニュートロン、パイオン、及び重イオン)はそれらが組織中を通る通路に沿ってX線又はガンマ線よりも多いエネルギーを入れ、こうしてそれらが当る細胞に一層大きい損傷を生じる。この型の放射線が高線エネルギー付与(高LET)放射線としばしば称される。放射線感作剤は腫瘍細胞がおそらく一層損傷されるようにし、また放射線保護剤は正常組織を放射線の作用から保護する。熱の使用である温熱療法がまた組織を放射線に感作するのに使用されてもよい。別の選択肢は或る線量の放射線を癌部位に直接送出するための放射能標識抗体の使用を伴う(放射免疫療法)。放射性同位元素を抗体に結合するのに多くの方法が当業界で利用できる。例えば、抗体の放射能ヨウ素化について、WO 93/05804に開示された方法が使用し得る。別の選択肢は抗体と放射性同位元素の間にリンカー分子、例えば、MAG-3(米国特許第5,082,930号、EP 0 247 866)、MAG-2 GABA(米国特許第5,681,927号、EP 0 284 071)、及びN2S2(フェンチオエート、米国特許第4,897,255号、同第5,242,679号、EP 0 188 256)を使用することである。更なる選択肢はプレ-ターゲッティングされる放射免疫療法であり、これは長く循環する抗体と迅速に除かれる放射性核種を分離することにより放射線毒性を最小にするのに使用し得る(Drugs of the future 2003, 28(2), 167-173頁)。放射線治療に関する詳細なプロトコルが専門家に容易に入手し得る(癌放射線治療:方法及びプロトコル(分子薬物における方法), Huddart RA編集, Human Press 2002)。専門家は疾患の性質及び患者の体質に応じて、適当な線量及び適用スケジュールを決める方法を知っている。特に、専門家は線量制限毒性(DLT)を評価する方法及びそれに従って最大寛容線量(MTD)を決定する方法を知っている。
【0050】
・共投与及び/又は補助治療療法
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト及び更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬、及び/又は放射線治療もしくは放射免疫療法との補助治療は、時間で逐次の投与及び/又は治療又は同時の投与及び/又は治療を含むと意味される。逐次の投与及び/又は治療について、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストが更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬の投与の前又は後、かつ/又は放射線治療もしくは放射免疫療法の前もしくは後に投与し得る。 活性化合物は経口、舌下、非経口、吸入スプレー、直腸又は局所に投与でき、経口投与が好ましい。非経口投与として、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射及び胸骨内注射並びに注入技術が挙げられる。
活性化合物は多種の異なる投薬形態で経口投与でき、即ち、それらは錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、硬質キャンデー、粉末、スプレー、水性懸濁液、エリキシル剤、シロップ等の形態で種々の医薬上許される不活性担体で製剤化し得る。このような担体として、固体希釈剤又は充填剤、無菌水性媒体及び種々の無毒性有機溶媒が挙げられる。更に、このような経口医薬製剤はこのような目的に普通使用される型の種々の薬剤により適当に甘味及び/又は風味をつけられてもよい。一般に、本発明の化合物は全組成物の約0.5重量%から約90重量%までの範囲の濃度レベルでこのような経口投薬形態で存在し、その量で所望の単位用量を与えるのに充分である。本発明の化合物に適したその他の投薬形態として、当業者に公知の除放製剤及び装置が挙げられる。
【0051】
経口投与の目的のために、種々の賦形剤、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムを含む錠剤が種々の崩壊剤、例えば、澱粉、好ましくは、ジャガイモ澱粉又はタピオカ澱粉、アルギン酸及び或る種の複雑なシリケートとともに、結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン及びアカシアと一緒に使用されてもよい。更に、滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク又は同様の型の組成物がまた軟質及び硬質の充填剤入りのゼラチンカプセル中で充填剤として使用されてもよい(ラクトース又は乳糖だけでなく、高分子量ポリエチレングリコールが含まれる)。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が経口投与に所望される場合、その中の必須の活性成分は種々の甘味料又は風味料、着色剤又は染料そして所望により、乳化剤及び/又は水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの種々の組み合わせと合わされてもよい。
経口投与の目的のために、本発明の選ばれたタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニストに特に適した医薬製剤は軟質ゼラチンカプセルである。医薬化合物のカプセル化に適した軟質ゼラチンカプセル及びそれらの調製方法が、例えば、英国特許第395546号、米国特許第2,720,463号、同第2,870,062号、同第4,829,057号、及び下記の刊行物:ANON (Verpack-Rundsch., 21巻, 1号, 1970年1月, 136-138頁)、Lachmanら(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 13章、Lea&Febigerにより1970年に発行)、Ebert(軟質ゼラチンカプセル:特異な投薬形態、Pharmaceutical Technologyから1977年10月に再印刷)及びR. F. Jimerson(最新の軟質ゼラチンカプセル、Drug Development and Industrial Pharmacy, 12 (8&9)巻, 1133-1144頁, 1986)に記載されている。
非経口投与の目的のために、ゴマ油もしくは落花生油又は水性プロピレングリコール中の化合物の溶液だけでなく、相当する医薬上許される塩の無菌水溶液が使用し得る。このような水溶液は必要により適当に緩衝され、液体希釈剤が充分な食塩水又はグルコースで等張にされる。これらの特別な水溶液は静脈内、筋肉内及び皮下の注射目的に特に適している。これに関して、使用される無菌水性媒体が当業者に公知の通常の技術により容易に得られる。例えば、蒸留水が液体希釈剤として通常使用され、最終製剤が好適な細菌フィルター、例えば、焼結ガラスフィルター又はケイソウ土もしくは未艶付き磁器フィルターに通される。この型の好ましいフィルターとして、バークフェルドフィルター、チャンバーランドフィルター及びアスベストディスク-金属ザイツフィルターが挙げられ、液体が吸引ポンプの助けにより無菌容器に吸引される。必要な工程がこれらの注射液の調製中に採用されて最終製品が無菌状態で得られることを確実にすべきである。
【0052】
経皮投与の目的のために、特別な一種以上の化合物の投薬形態として、例えば、溶液、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、座薬、速度制限除放性製剤及びそのための装置が挙げられる。このような投薬形態は特別な一種以上の化合物を含み、またエタノール、水、浸透増進剤及び不活性担体、例えば、ゲル生成物質、鉱油、乳化剤、ベンジルアルコール等を含んでもよい。
一実施態様によれば、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、又はその多形もしくは医薬上許される塩は、活性物質の血漿レベルが24時間の投薬間隔の少なくとも12時間にわたって10〜500ng/mlにあるような毎日の用量で投与し得る。
更なる実施態様において、選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニスト、又はその多形もしくは医薬上許される塩は、体重1kg当り2mg〜20mgの毎日の用量で投与し得る。
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬は当業者に公知の好適な投薬形態、用量レベル及び装置を使用して投与し得る。一実施態様によれば、更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬がステロイドである場合、ステロイドは5〜500mgの毎日の用量で投与し得る。
既に前記したように、放射線治療に関する詳細なプロトコルが専門家に容易に入手し得る。専門家は疾患の性質及び患者の体質に応じて、適切な用量及び適用スケジュールを決める方法を知っている。特に、専門家は用量制限毒性(DLT)を評価する方法及びそれに従って最大寛容用量(MTD)を決める方法を知っている。
【0053】
増殖を抑制し、かつ/又は腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する効力を示すin vitro及びin vivo組み合わせ研究
組み合わせの以下の例において、代表的な細胞系によるin vitro実験又は特定の腫瘍を有するヌードマウスによるin vivo実験は、内皮細胞又は腫瘍細胞の増殖を抑制し、かつ/又は腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する選ばれたタンパク質チロシンキナーゼアンタゴニストと更なる化学療法薬及び/又は放射線治療の組み合わせの効力を示す。こうして、これらの例は本発明の例示である。
組み合わせの例
1.難治性又は再発多発性ミエローマの治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩と、ステロイドの組み合わせ 3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩(化合物MES(T))で行なわれたin vitro研究は、特にステロイド、更に特別にはデキサメタゾンと組み合わされた場合に、この特定の化合物がそれを本発明の疾患の治療に特に適するようにする予期しない性質を有することを示した。
これらの予期しない性質の中で、下記のものが標的指示に特に妥当である:VEGFR1〜3、FGFR1及び3、PDGFRαのチロシンキナーゼ抑制;src-チロシンキナーゼファミリー員の抑制及びミエローマ細胞の増殖の潜在的抑制;VEGF及びbFGFにより誘導される新血管形成の抑制;パラクリンIL-6分泌の抑制;細胞接触媒介IL-6分泌の抑制;オートクリンVEGF及びbFGF作用の抑制;t(4;14)による細胞系のアポトーシスの直接誘導。
【0054】
この特定化合物は多発性ミエローマの治療に更に特別に適していることが明らかである。下記の最近の知見がこの指示についてのこの特定化合物の選択の一連の証拠を構成する:新血管形成がマウス多発性ミエローマモデルで骨髄の浸潤に対応し(Yaccobyら, Blood 1998, 92(8)巻, 2908-2913頁)、多発性ミエローマでは、患者が進行を受ける(Vaccaら, Blood 1999, 93(9)巻, 3064-3073頁;Kumarら, Blood 2002, Blood First Edition Paper, Pre-published Online 2002年10月17日, DOI 10.1182/blood-2002-08-2441);VEGFが血管形成の強力な刺激であることが示されていた(Toiら, Lancet Oncol. 2001, 2巻, 667-673頁);VEGFが多発性ミエローマ細胞中で発現され、分泌される(Dankbarら, Blood 2000, 95(8)巻, 2630-2636; Bellamyら, Cancer Res. 1999, 59(3)巻, 728-33頁);VEGFが骨髄ストロマ細胞からのIL-6分泌を誘導し、これが順にクローナルプラズマ細胞からのVEGF発現を増強する(Dankbarら, Blood 2000, 95(8)巻, 2630-2636頁);IL-6はin vivoの多発性ミエローマ細胞の主要成長因子と考えられる(Kleinら, Blood 1995, 85(4)巻, 863-872頁);IL-6がデキサメタゾン誘導ミエローマ細胞死滅を抑制する(Hardinら, Blood 1994, 84(9)巻, 3063-3070頁);VEGFが増殖を誘導し、多発性ミエローマ細胞の移動を誘発する(Podarら, Blood 2001, 98(2)巻, 428-435頁);VEGFが破骨細胞の骨吸収を増進し、これが多発性ミエローマの特徴である(Nakagawaら, FEBS Lett. 2000, 473(2)巻, 161-164頁;Niidaら, J. Exp. Med. 1999, 190(2)巻, 293-298頁);FGFR3が増殖を誘導し、アポトーシスを抑制し、ミエローマ細胞の進行に関係する(Chesiら, Blood 2001, 97(3)巻, 729-736頁;Plowrightら, Blood 2000, 95(3)巻, 992-998頁);FGFR3が調節不全にされ、ミエローマ患者のサブセット中で構成的に活性化される(Chesiら, Blood 2001, 97(3)巻, 729-736頁;Chesiら, Nat. Genet. 1997, 16(3)巻, 260-264頁);Srcファミリーキナーゼがミエローマで誘導される増殖応答に関係する(Ishikawaら, Blood 2002, 99(6)巻, 2172-2178頁)。
下記のin vitro実験の結果は化合物MES(T)の性質がそれを多発性ミエローマの治療に特に適するようにすることを証明する。
最初の実験では、骨髄ストロマ細胞によるIL-6の分泌に対する化合物MES(T)の抑制効果を天然条件(天然)及びbFGF(+bFGF)成長因子又はVEGF(+VEGF)成長因子による細胞の刺激の条件で異なる濃度(0、10、50、125、250及び500nM)で調べた。比較のために、坑bFGF(+坑bFGF)、坑VEGF(+坑VEGF)及び坑bFGFと坑VEGFの組み合わせ(+坑VEGF+坑bFGF)の抑制による抑制効果をまた調べた。実験の結果を下記の表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
この実験の結果は>250nMの濃度の化合物MES(T)が基準(天然)だけでなく、骨髄ストロマ細胞(BMSC細胞)のbFGF/VEGF刺激IL-6分泌を抑制すること、及びその抑制が抗体で得られる抑制よりも強力であることを示す。bFGF成長因子及びVEGF成長因子(ミエローマ細胞により放出される)はBMSC細胞及び微小血管内皮を刺激してIL-6を生成し、分泌し、IL-6それ自体がミエローマ細胞を刺激してbFGF成長因子及びVEGF成長因子の両方を生成することが既に示されていたので、本発明の化合物によるIL-6分泌の抑制は多発性ミエローマの治療についてのその効力を示す。
更なる実験では、ミエローマ細胞(U-266ミエローマ細胞系)及び骨髄ストロマ細胞(BMSC細胞)のトランスウェル共培養物及び接触共培養物中のIL-6分泌に対する化合物MES(T)の抑制効果をMES(T)の異なる濃度(0、50、125、250及び500nM)で調べた。比較のために、BMSCの単一培養物(天然)に対する抑制効果及び、対照としての、U266単一培養物の分泌のレベルをまた調べた。実験の結果を下記の表3に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
この実験の結果は化合物MES(T)がトランスウェル共培養物及び接触共培養物中のミエローマ細胞により刺激されたBMSC培養物のIL-6分泌のレベルをその基準(天然)値に減少することができることを示す。こうして、化合物MES(T)がNFκB依存性IL-6生成を有意に減少することにより骨髄微小環境を標的とするミエローマ-ストロマ相互作用に干渉すると結論し得る。更に、これは多発性ミエローマの治療についての本発明の化合物の効力を示す。
更なる実験では、化合物MES(T)がt(14;16) MM1.sミエローマ細胞(トランスロケーションt(14;16)を有するMM1.sミエローマ細胞)中のプロアポトーシス効果を与えること、及び化合物MES(T)がデキサメタゾンにより誘導されるアポトーシスを増進することが示し得る。
これらの性質のために、化合物MES(T)がステロイド、特にデキサメタゾンとの難治性又は再発多発性ミエローマの組み合わせ治療に特に適していることが結論し得る。
2.前立腺癌、非小細胞肺癌又は結腸直腸癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩と、表皮成長因子(EGF)受容体及び型2のヒト表皮成長因子(HE型2)受容体の二重アンタゴニストの組み合わせ
同じ用量における単一治療薬と較べて、腫瘍成長の低下に関する、最適以下の用量のVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、即ち、(Z)-3-(1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのジ-クロリド塩(C12(T)と称される化合物)(これは上記例示化合物(T)のジ-クロリド塩である)と、表皮成長因子(EGF)受容体及び型2のヒト表皮成長因子(HE型2)受容体の二重アンタゴニスト、即ち、化合物4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(EGFR/HER2 inh.と称され、WO 02/50043に実施例1(10)の例示化合物として記載されている化合物)による組み合わせ療法の効果を調べるために下記の実験を行なった。
【0059】
この目的のために、ヌードマウス(NMRI nu/nu)にSKOV-3細胞(ヒト卵巣癌腫)を皮下注射した。樹立腫瘍を有するマウスを対照グループ及び治療グループ(N=10)にランダム化した。対照グループのマウスが担体溶液(0.5%のナトロゾール)のみを受け、第二グループを毎日15mg/kgのEGFR/HER2 inh.で経口治療し、第三グループが毎日1回50mg/kgのC12(T)を受け、またマウスの第四グループを15mg/kgのEGFR/HER2 inh.と50mg/kgのC12(T)の組み合わせで治療した。図3は実験の結果を示す。
毎日の経口治療を初期に31日にわたって行なった。この時点で、対照グループからのマウスの幾つかが2000mm3より大きい腫瘍を有し、それ故、犠牲にされるべきであった。この時点における計算された治療された腫瘍対対照腫瘍(T/C)比は15mg/kgのEGFR/HER2 inh.で治療されたグループについて35%であり、50mg/kgのC12(T)で治療されたグループについて32%であり、またその組み合わせで治療されたグループについて13%であった。この結果はin vivoのVEGFR-2とEGFR/HER-2インヒビターの組み合わせの坑腫瘍効果を明らかに実証する。更に、その治療を64日目まで続けると、単一治療グループ(この場合、腫瘍が最終的に対照治療腫瘍と匹敵するサイズに成長している)と較べて組み合わせグループで極めて遅い腫瘍成長を示す。
この実験の結果から、腫瘍成長に関係し、重要な異なるメカニズムを標的とする化合物の組み合わせ、例えば、腫瘍血管形成を抑制する、VEGFR-2インヒビターC12(T)と、クラスI受容体チロシンキナーゼによる増殖シグナリングを抑制する、組み合わされたEGFR/HER2インヒビターEGFR/HER2 inh.は、相乗的坑腫瘍効力を有することがこうして結論し得る。こうして、腫瘍血管形成のインヒビター(例えば、WO 02/36564、WO 99/52869、WO 00/18734、WO 00/73297、WO 01/27080、WO 01/27081又はWO 01/32651に記載されたインドリノン誘導体、WO 01/60814、WO 99/48868、WO 98/35958に記載された小分子VEGF受容体アンタゴニスト、特に化合物バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842又はGW-786034、VEGF受容体に誘導されるモノクローナル抗体、特にアバスチンTM(ベバシズマブ)又はIMC-1C11)とEGFRインヒビター(例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272又はヘルセプチン)の全ての組み合わせ又は組み合わされたEGFR/HER-2インヒビター(例えば、WO 00/78735及びWO 02/50043に開示されたキナゾリン誘導体、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033又はGW-2016)が予期せずに坑腫瘍治療について同じ又は同様の効果を有するであろう。
【0060】
3.乳癌又は卵巣癌の治療のためのVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、放射線治療の組み合わせ治療
4.結腸直腸癌、充実性腫瘍、乳癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌又は多発性ミエローマの治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、VEGFR2、PDGFRもしくはbFGFRの更なるアンタゴニスト(例えば、バタラニブ(PTK-787、ZD-6474)、又はモノクローナル抗体アバスチンTM)又はEGFRのアンタゴニスト(例えば、タルセバ(OSI-774))の組み合わせ
5.非小細胞肺癌又は卵巣癌腫の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、坑代謝産物(例えば、ゲムシタラビン)及び白金化合物(例えば、シスプラチン)、又は植物からの坑癌薬(例えば、パクリタキセル)及び白金化合物(例えば、カルボプラチン)の組み合わせ
【0061】
6.転移性ホルモン感受性前立腺癌の連続かつ/又は間欠治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、ホルモンアンタゴニスト(例えば、ロイプロレリン及びフルタミド)の組み合わせ
7.小細胞肺癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、ポドフィロトキシンの誘導体(例えば、エトポシド)及び白金化合物(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)の組み合わせ
8.卵巣癌腫、小細胞肺癌又は前立腺癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、植物からの坑癌薬(例えば、パクリタキセル又はタキソール)の組み合わせ
9.前立腺癌の治療のためのVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、植物からの坑癌薬(例えば、タキソティア)の組み合わせ
【0062】
10.特にデバルキング(debulking)手術後の、卵巣癌腫の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、白金化合物(例えば、カルボプラチン)及び植物からの坑癌薬(例えば、パクリタキセル)の組み合わせ
11.卵巣癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、トポテカン)及びアントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)の組み合わせ
12.小細胞肺癌又は卵巣癌腫の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、トポテカン)の組み合わせ
13.ホルモン難治性前立腺癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、植物からの坑癌薬(例えば、ドセタキセル)及びステロイドホルモン(例えば、エストラムスチン)の組み合わせ
【0063】
14.肺癌の治療のためのVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、ビンカアルカロイド(例えば、ナベルビン)の組み合わせ
15.卵巣癌腫又は非小細胞肺癌の治療のためのVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、白金化合物(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン、好ましくはカルボプラチン)の組み合わせ
16.結腸又は直腸癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、COX-2インヒビター(例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ又はメロキシカム)の組み合わせ
17.前立腺癌の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、5-アルファレダクターゼインヒビター(例えば、フィナステリド)の組み合わせ
18.乾癬の治療のための、VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩(例えば、化合物MES(T))と、光化学療法薬(プソラレン(P)と長波紫外線(UVA)の組み合わせである、PUVA)の組み合わせ
【0064】
本質的には、腫瘍の疾患の治療について、本発明の組み合わせ治療の合理性は特定かつメカニズム的に作用する分子を下記の方法で一層広く作用する治療概念と組み合わせることに癌患者にとって治療上の利点があることである。
・その組み合わせにより、標的細胞が可能な回避メカニズムにより生存する機会が少ないであろう;
・単一療法に使用される用量と較べた場合、その組み合わせの累積的又は相乗的効果のために、薬物の必要とされる夫々の用量が減少し得る;
・組み合わせ中の夫々の薬物のスケジュールが薬物に対する耐性を発生する腫瘍細胞の可能性を低下し、腫瘍への或る種の薬物の一層良好な送出をもたらし(腫瘍内の圧力の低下)、腫瘍細胞中の更なる死滅経路を活性化し得る。
こうして、異なる細胞構造及び区画を標的とすることにより、本発明の組み合わせ治療薬は相当する単一治療薬としてよりも一層大きい患者集団について腫瘍進行に対し生存又は時間における臨床上妥当な利点を与えると予想される。例えば、化合物MES(T)との特定の坑血管形成療法の結果として、腫瘍が通常の化学療法により生じた損傷から回復することができ難いと考えられる。また、血管透過性に関するVEGFの作用をブロックすることにより、腫瘍中の介在圧力の減少が起こって、細胞傷害性薬物の一層大きい浸透を可能にすると考えられる。通常の細胞減少後の、特定の坑血管形成薬、例えば、化合物MES(T)による管理療法がまた細胞傷害性治療薬で得られた応答の強化をもたらすと考えられる。このアプローチは坑血管形成化合物と細胞障害性治療薬との組み合わせが相乗的坑腫瘍活性をもたらすという予備臨床の証拠により立証される。
非腫瘍疾患の治療について、本発明の組み合わせ治療の合理性はまた特定かつメカニズム的に作用する分子を一層広く作用する治療概念と組み合わせることに癌患者にとって治療上の利点があることである。この組み合わせの予想される効果は標的細胞について可能な回避メカニズムを避け、単一療法で使用される用量と較べて薬物の必要とされる夫々の用量を減少し(組み合わせの累積的又は相乗的効果のために)、かつ薬物に対する耐性を発生する標的細胞の可能性を低下することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療における同時、別々又は逐次の使用のための組み合わされた製剤の形態の、有効量の
(i) VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩、及び
(ii) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬
を含み、また必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよいことを特徴とする医薬組み合わせ。
【請求項2】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これはまたsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、src、lck、lyn又はfynのアンタゴニストである、請求項1記載の医薬組み合わせ。
【請求項3】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これはまたsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、更にサイクリン依存性キナーゼとその特異性サイクリン又はウイルスサイクリン、例えば、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8及びCDK9とそれらの特異性サイクリンA、B1、B2、C、D1、D2、D3、E、F、G1、G2、H、I及びKの少なくとも一種の複合体のアンタゴニスト、又はパラクリンIL-6分泌のインヒビターである、請求項1又は2記載の医薬組み合わせ。
【請求項4】
組み合わされた製剤が腫瘍疾患、例えば、悪性ヒト腫瘍の治療における使用のためである、請求項1から3のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項5】
組み合わされた製剤が充実性腫瘍の治療における使用のためである、請求項4記載の医薬組み合わせ。
【請求項6】
組み合わされた製剤が尿生殖器癌、肺癌、胃腸の癌、頭部及び首部の癌、悪性中皮腫、乳癌、悪性メラノーマ、又は骨及び軟組織の肉腫の治療における使用のためである、請求項5記載の医薬組み合わせ。
【請求項7】
組み合わされた製剤が血液の腫瘍の治療における使用のためである、請求項4記載の医薬組み合わせ。
【請求項8】
組み合わされた製剤が難治性又は再発多発性ミエローマ、急性又は慢性骨髄性白血病、骨髄形成異常症候群、又は急性リンパ芽球性白血病の治療における使用のためである、請求項7記載の医薬組み合わせ。
【請求項9】
組み合わされた製剤が非腫瘍疾患、例えば、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、又は乾癬の治療における使用のためである、請求項1から3のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項10】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、
(A) (Z)-3-(1-(4-(N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-N-メチルスルホニルアミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-2-インドリノン、
(B) (Z)-3-(1-(4-(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-プロピオニル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-2-インドリノン、
(C) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(ブチルカルバモイル)-2-インドリノン、
(D) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(E) (Z)-3-(1-(4-(N-メチルスルホニル-N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(F) (Z)-3-(1-(4-(ブチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(G) (Z)-3-(1-(4-(ピロリジン-1-イル-メチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(H) (Z)-3-(1-(4-(ジエチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(シクロヘキシルメチル-カルバモイル)-2-インドリノン、
(I) (Z)-3-(1-(4-(ジエチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(J) (Z)-3-(1-(4-(ジエタノールアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(ブチルカルバモイル)-2-インドリノン、
(K) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(L) (Z)-3-(1-(4-(N-アセチル-N-(2-ジメチルアミノ-エチル)-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(M) (Z)-3-(1-(4-(ブチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-5-(N-(3-クロロベンジル)-カルバモイル)-2-インドリノン、
(N) (Z)-3-(1-(4-(ジメチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(O) (Z)-3-(1-(4-(N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-アセチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(P) (Z)-3-(1-(4-(エチルアミノメチル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(Q) (Z)-3-(1-(4-(1-メチル-イミダゾール-2-イル)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(R) (Z)-3-(1-(4-(N-(ジメチルアミノメチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(S) (Z)-3-(1-(4-(メチルアミノメチル)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、
(T) (Z)-3-(1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-フェニルアミノ)-1-フェニル-メチレン)-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、及び
(U) 4-(4-ブロモ-2-フルオロアニリノ)-6-メトキシ-7-(1-メチルピペリジン-4-イルメトキシ)-キナゾリン
から選ばれた化合物又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩である、請求項1から9のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項11】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩である、請求項10記載の医薬組み合わせ。
【請求項12】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩である、請求項11記載の医薬組み合わせ。
【請求項13】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が合成小分子VEGF受容体アンタゴニスト、小分子成長因子受容体アンタゴニスト、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体のインヒビター(これらは合成小分子に分類されない)、EGF受容体及び/又はVEGF受容体及び/又はインテグリン受容体又はあらゆるその他のタンパク質チロシンキナーゼ受容体に対し誘導されるインヒビター(これらは融合タンパク質である)、核酸と相互作用し、かつアルキル化剤又は白金化合物として分類される化合物、核酸と相互作用し、かつアントラサイクリン、DNAインターカレーター又はDNA架橋剤として分類される化合物(DNA小溝結合化合物を含む)、坑代謝産物、天然産、半合成又は合成のブレオマイシン型抗生物質、DNA転写酵素のインヒビター、そして特にトポイソメラーゼIインヒビター又はトポイソメラーゼIIインヒビター、クロマチン修飾剤、有糸分裂インヒビター、坑有糸分裂剤、細胞サイクルインヒビター、プロテアソームインヒビター、酵素、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、ホルモンインヒビター、ステロイド生合成のインヒビター、ステロイド、サイトカイン、低酸素選択的サイトトキシン、サイトカインのインヒビター、リンホカイン、サイトカインに対して誘導される抗体、経口及び非経口のトレランス誘発剤、支持薬剤、化学的放射線感作剤及び保護剤、光化学的活性化薬、合成ポリヌクレオチド又は合成オリゴヌクレオチド(必要により修飾又はコンジュゲートされていてもよい)、非ステロイド抗炎症薬、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、メタロプロテイナーゼのインヒビター、金属、オンコジーンのインヒビター、遺伝子転写もしくはRNA翻訳又はタンパク質発現のインヒビター、希土類元素の錯体、又は光化学療法薬から選ばれる、請求項1から12のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項14】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が小分子VEGF受容体アンタゴニスト、例えば、バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842又はGW-786034、二重EGFR/HER2アンタゴニスト、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033又はGW-2016、EGFRアンタゴニスト、例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272又はヘルセプチン、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、例えば、BAY-43-9006又はBAY-57-9006、キナゾリン誘導体、例えば、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン又は4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はこれらの医薬上許される塩、合成小分子に分類されないタンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト、例えば、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、アバスチンTM(ベバシズマブ)、IMC-1C11、エルビツクス(C-225)、DC-101、EMD-72000、ビタキシン、イマチニブ、タンパク質チロシンキナーゼインヒビター(これは融合タンパク質である)、例えば、VEGFトラップ、アルキル化剤又は白金化合物、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスフォリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、ミトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドクソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドクソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシン又はこれらの誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、ミトマイシン、CC-1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、フタラニリド、例えば、プロパミジン又はスチルバミジン、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソ尿素又はその誘導体、ピリミジンもしくはプリン類似体もしくはアンタゴニスト又はヌクレオシドジホスフェート還元酵素のインヒビター、例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、又は葉酸、フレオマイシン、ブレオマイシン又はこれらの誘導体もしくは塩、CHPP、BZPP、MTPP、BAPP、リブロマイシン、アクリジン又はその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン、例えば、イリノテカン(カンプトサール)又はトポテカン、アムサクリン又はその類似体、三環式カルボキサミド、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えば、SAHA、MD-275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、又はバルプロ酸、植物からの抗癌薬、例えば、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル又はタキソティア、ビンカアルカロイド、例えば、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン又はビノレルビン、トロポロンアルカロイド、例えば、コルチシン又はその誘導体、マクロライド、例えば、マイタンシン、アンサミトシン又はリゾキシン、坑有糸分裂ペプチド、例えば、フォモプシン又はドラスタチン、エピポドフィロトキシン又はポドフィロトキシンの誘導体、例えば、エトポシド又はテニポシド、ステガナシン、坑有糸分裂カルバメート誘導体、例えば、コムブレタスタチン又はアンフェチニル、プロカルバジン、プロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ、酵素、例えば、アスパラギナーゼ、ペギル化アスパラギナーゼ(ペガスパルガーゼ)又はチミジンホスホリラーゼインヒビター、ゲスタゲン又はエストロゲン、例えば、エストラムスチン(T-66)又はメゲストロール、坑アンドロゲン、例えば、フルタミド、カソデクス、アナンドロン又はシプロテロンアセテート、アロマターゼインヒビター、例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾール、ホルメスタン又はレトロゾール、GNrH類似体、例えば、ロイプロレリン、ブセレリン、ゴセレリン又はトリプトレリン、坑エストロゲン、例えば、タモキシフェン又はそのクエン酸塩、ドロロキシフェン、トリオキシフェン、ラロキシフェン又はジンドキシフェン、17β-エストラジールの誘導体、例えば、ICI 164,384又はICI 182,780、アミノグルテチミド、ホルメスタン、ファドロゾール、フィナステリド、ケトコナゾール、LH-RHアンタゴニスト、例えば、ロイプロリド、ステロイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ブデノシド、フルオコルトロン又はトリアムシノロン、インターフェロン、例えば、インターフェロンβ、インターロイキン、例えば、IL-10又はIL-12、坑TNFα抗体、例えば、エタネルセプト、免疫調節薬、例えば、サリドマイド、そのR-鏡像体及びS-鏡像体並びにその誘導体、又はレビミド(CC-5013)、ロイコトリエンアンタゴニスト、マイトマイシンC、アジリドキノン、例えば、BMY-42355、AZQ又はEO-9、2-ニトロイミダゾール、例えば、ミソニダゾール、NLP-1又はNLA-1、ニトロアクリジン、ニトロキノリン、ニトロピラゾロアクリジン、“二重機能”ニトロ芳香族化合物、例えば、RSU-1069又はRB-6145、CB-1954、ナイトロジェンマスタードのN-オキサイド、例えば、ニトロミン、ナイトロジェンマスタードの金属錯体、坑CD3抗体又は坑CD25抗体、トレランス誘発剤、ビホスホネート又はその誘導体、例えば、ミノドロン酸又はその誘導体(YM-529、Ono-5920、YH-529)、ゾレドロン酸一水和物、イバンドロン酸ナトリウム水和物又はクロドロン酸二ナトリウム、ニトロイミダゾール、例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ベンズニダゾール又はニモラゾール、ニトロアリール化合物、例えば、RSU-1069、ニトロキシル又はN-オキサイド、例えば、SR-4233、ハロゲン化ピリミジン類似体、例えば、ブロモデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、チオホスフェート、例えば、WR-2721、光化学活性化薬物、例えば、ポルフィマー、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、フェオフォルビド誘導体、メロシアニン540(MC-540)又はスズエチオポルプリン、坑鋳型又はアンチセンスRNA又はDNA、例えば、オブリメルセン、非ステロイド炎症薬、例えば、アセチルサリチル酸、メサラジン、イブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、ナブメトン、ジクロフェナック、フェンクロフェナック、アルクロフェナック、ブロムフェナック、イブフェナック、アセクロフェナック、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナック、エトドラック、オキシピナック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸、トルフェナム酸、ジフルニザール、フルフェニザール、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ニメスリド、メロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、又は非ステロイド炎症薬の医薬上許される塩、細胞傷害性抗生物質、癌細胞の表面分子を標的とする抗体、例えば、アポリズマブ又は1D09C3、メタロプロテイナーゼのインヒビター、例えば、TIMP-1又はTIMP-2、亜鉛、オンコジーンのインヒビター、例えば、P53及びRb、希土類元素の錯体、例えば、ランタニドの複素環錯体、光化学療法薬、例えば、PUVA、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2のインヒビター、HER-2発現のインヒビター、例えば、熱ショックタンパク質HSP90モジュレーターゲルダナマイシン及びその誘導体17-アリルアミノゲルダナマイシン又は17-AAG、或いはIM-842、テトラチオモリブデート、スクアラミン、コンブレスタチンA4、TNP-470、マリマスタット、ネオバスタット、ビカルタミド、アバレリクス、オレゴボマブ、ミツモマブ、TLK-286、アレムツズマブ、イブリツモマブ、テモゾロミド、デニロイキンジフチトクス、アルデスロイキン、デカルバジン、フロクスウリジン、プリカマイシン、ミトタン、ピポブロマン、プリカマイシン、タムロキシフェン又はテストラクトンから選ばれた治療薬から選ばれる、請求項1から13のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項15】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が植物からの坑癌薬、例えば、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル又はタキソティア、ビンカアルカロイド、例えば、ナベルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン又はビノレルビン、アルキル化剤又は白金化合物、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、オキサザホスフォリン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、テトラプラチン、イプロプラチン、マイトマイシン、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、イフォスファミド、ストレプトゾシン、チオテーパ、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、例えば、メクロレタミン、免疫調節薬、例えば、サリドマイド、そのR-鏡像体及びS-鏡像体並びにその誘導体、又はレビミド(CC-5013)、エチレンイミン化合物、アルキルスルホネート、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポソームドキソルビシン(ドキシル)、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ダクチノマイシン、ジスタマイシン又はその誘導体、ネトロプシン、ピベンジモール、マイトマイシン、CC-1065、デュオカルマイシン、ミトラマイシン、クロモマイシン、オリボマイシン、フタラニリド、例えば、プロパミジン又はスチルバミジン、アントラマイシン、アジリジン、ニトロソ尿素又はその誘導体、ピリミジンもしくはプリン類似体もしくはアンタゴニスト又はヌクレオシドジホスフェート還元酵素のインヒビター、例えば、シタラビン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ウラシルマスタード、フルダラビン、ゲムシタビン、カペシタビン、メルカプトプリン、クラドリビン、チオグアニン、メトトレキセート、ペントスタチン、ヒドロキシ尿素、又は葉酸、アクリジン又はその誘導体、リファマイシン、アクチノマイシン、アドラマイシン、カンプトテシン、例えば、イリノテカン(カンプトサール)又はトポテカン、アムサクリン又はその類似体、三環式カルボキサミド、ヒストンデアセチラーゼインヒビター、例えば、SAHA、MD-275、トリコスタチンA、CBHA、LAQ824、又はバルプロ酸、プロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ、小分子VEGF受容体アンタゴニスト、例えば、バタラニブ(PTK-787/ZK222584)、SU-5416、SU-6668、SU-11248、SU-14813、AZD-6474、AZD-2171、CP-547632、CEP-7055、AG-013736、IM-842又はGW-786034、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼのアンタゴニスト、例えば、BAY-43-9006又はBAY-57-9006、二重EGFR/HER2アンタゴニスト、例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ、CI-1033又はGW-2016、EGFRアンタゴニスト、例えば、イレッサ(ZD-1839)、タルセバ(OSI-774)、PKI-166、EKB-569、HKI-272又はヘルセプチン、キナゾリン誘導体、例えば、4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン又は4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はこれらの医薬上許される塩、転写因子複合体ESX/DRIP130/Sur-2のインヒビター、HER-2発現のインヒビター、例えば、熱ショックタンパク質HSP90モジュレーターゲルダナマイシンン及びその誘導体17-アリルアミノゲルダマイシン又は17-AAG、タンパク質キナーゼ受容体アンタゴニスト(これは合成小分子に分類されない)、例えば、アトラセンタン、リツキシマブ、セツキシマブ、アバスチンTM(ベバシズマブ)、IMC-1C11、エルビツクス(C-225)、DC-101、EMD-72000、ビタキシン、イマチニブ、又は癌細胞の表面分子を標的とする抗体、例えば、アポリズマブ又は1D09C3から選ばれる、請求項1から14のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項16】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬がキナゾリン誘導体4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン又はその医薬上許される塩から選ばれる、請求項1から15のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項17】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が化合物4-〔(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ〕-6-{〔4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンの二マレイン酸塩、又はその互変異性体もしくは立体異性体から選ばれる、請求項1から16のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項18】
更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が4-〔(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ〕-6-{〔4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル〕アミノ}-7-〔(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ〕-キナゾリン、又はその医薬上許される塩から選ばれる、請求項1から15のいずれか1項記載の医薬組み合わせ。
【請求項19】
治療有効量のVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩、及び少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬を含み、また必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成と関係する疾患の治療のための医薬組み合わせ製剤キットであって、そのアンタゴニストが第一区画内に含まれ、かつ更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬が第二区画内に含まれ、その結果、それを必要とする患者への投与が同時、別々又は逐次であり得ることを特徴とする医薬組み合わせ製剤キット。
【請求項20】
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストが3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩である、請求項19記載の医薬組み合わせ製剤キット。
【請求項21】
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼ受容体アンタゴニストの製剤が経口投与のためである、請求項19又は20記載の医薬組み合わせ製剤キット。
【請求項22】
ヒト又は非ヒト哺乳類生体における、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患を治療するための、必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい、薬物の製造のための、請求項1から21のいずれか1項記載の医薬組み合わせ又は医薬組み合わせ製剤キットの使用。
【請求項23】
ヒト又は非ヒト哺乳類生体における、ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療における同時、別々又は逐次の使用のための、必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい、医薬組み合わせ製剤の製造のための、少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬と組み合わせての、有効量のVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩の使用。
【請求項24】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩である、請求項23記載の使用。
【請求項25】
VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)が、3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩である、請求項23又は24記載の使用。
【請求項26】
ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療方法であって、その方法がこのような治療を要する患者への、必要により放射線療法又は放射免疫療法との補助治療に適していてもよい組み合わされた製剤の形態の、有効量の (iii) VEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩、及び
(iv) 少なくとも更なる化学療法薬又は天然産、半合成もしくは合成の治療薬の同時、別々又は逐次の共投与を含むことを特徴とする治療方法。
【請求項27】
ミエローマ細胞の細胞増殖、移動もしくはアポトーシス、又は血管形成に関係する疾患の治療方法であって、その方法が有効量のVEGFR1〜3、PDGFRα及びβ、FGFR1、2及び3、EGFR、HER2、IGF1R、HGFR又はc-Kitから選ばれた少なくとも一種の受容体のアンタゴニスト(これは更にsrcチロシンキナーゼファミリー員のアンタゴニストである)、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩と、放射線療法又は放射免疫療法との同時、別々又は逐次の補助治療を含むことを特徴とする治療方法。
【請求項28】
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼアンタゴニストが3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩であることを特徴とする、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼアンタゴニストが3-Z-〔1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン〕-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンのモノエタンスルホン酸塩であることを特徴とする、請求項26から28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
選ばれたタンパク質チロシンキナーゼアンタゴニスト、又はその多形、代謝産物もしくは医薬上許される塩を、活性物質の血漿レベルが24時間の投薬間隔の少なくとも12時間にわたって10〜500ng/mlにあるような毎日の用量で投与することを特徴とする、請求項26から29のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−202658(P2010−202658A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114114(P2010−114114)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【分割の表示】特願2006−500099(P2006−500099)の分割
【原出願日】平成16年4月24日(2004.4.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】