説明

ミシン

【課題】操作パネルに表示される操作設定の有効と無効の切り替えの手間を軽減する。
【解決手段】表示部52に表示される画面毎に、入力部51による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を記憶する入力部群記憶手段62と、表示部に表示される互いの画面間で入力部による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を有する画面群を記憶する画面群記憶手段62と、を備え、制御手段6は、操作条件が第1の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、第2の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、第3の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーに報知する情報を表示するとともにユーザーからの指示入力がなされる操作パネルを備えるミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの操作パネルは、タッチパネル式のものが主流であり、操作パネルの表示画面に表示される各ボタン(アイコン)の操作設定を有効とするか無効とするかを設定することができる(例えば、特許文献1参照。)。この設定が存在する理由は、特定のボタンの操作設定を無効とすることによって、変更する意思のないミシンの制御情報がオペレータの誤操作や誤接触によって変更されてしまうのを防ぐことにある。
例えば、図10に示すように、現在選択中の縫製パターンが他のダイレクトパターンP01(デフォルトの縫製パターンの仕様を変更したもの)等に変更されたくない場合、P01のボタンB1の操作設定を無効とすることにより、現在選択中の縫製パターンがダイレクトパターンP01に変更されることを防げる。
操作パネルは、通常操作モードの画面と操作設定の有効無効の切り替えを行う操作設定モードの画面とに切り替え可能である。操作設定モードにおいて操作設定を行う際には、ボタンを長押し(例えば、300msec以上)することにより設定する。操作設定モードで長押しされたボタンの操作設定は、有効から無効へと切り替わる。もちろん、無効となっていれば有効に切り替えることができる。
図11に示すように、操作設定モードの画面においては、操作設定が無効となっているボタンB1上には操作設定無効を示すマークMが表示される。一方、図10に示すように、通常操作モードの画面においては、操作設定が無効となっているボタンB1(ダイレクトパターンP01)の枠は消え、そのボタンB1の操作は無効となる。
【特許文献1】特開2003−199985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在選択中の縫製パターンが複数表示されるどのダイレクトパターンにも変更されたくないといった場合、図11の場合においては、P01〜P10の10個のダイレクトパターン選択ボタンB1〜B10の操作設定を一つずつ無効にしなければならず手間がかかる。また、現在選択中の縫製パターンがユーザーパターン(内部に予め記憶された縫製パターン)であるかメディアパターン(外部接続により読み込まれる縫製パターン)であるかにかかわらず、現在選択中の縫製パターンがどのダイレクトパターンにも変更されたくないといった場合であれば、ユーザーパターンで10個、メディアパターンで10個の計20個のダイレクトパターン選択ボタンの操作設定を一つずつ無効にしなければならず、さらに手間がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、操作パネルに表示される操作設定の有効と無効の切り替えの手間を軽減することができるミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、
縫製に際してユーザーからの指示入力がなされる複数の入力部と、前記複数の入力部の表示と共にユーザーに報知する複数の画面情報を表示する表示部と、を備える操作パネルと、ユーザーに押下された前記入力部の操作条件を検出して、予め記憶した設定条件を満たすか否かを判別して前記入力部による入力を有効又は無効に切り替える制御手段と、を備えるミシンにおいて、前記表示部に表示される画面毎に、前記入力部による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を記憶する入力部群記憶手段と、前記表示部に表示される互いの画面間で前記入力部による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を有する画面群を記憶する画面群記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記設定条件が少なくとも第1の条件、第2の条件、第3の条件であって、前記入力部の操作条件が第1の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、前記操作条件が前記第2の条件を満たす場合に、前記入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、前記操作条件が前記第3の条件を満たす場合に、前記画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、前記設定条件は、前記入力部の連続押下時間であり、前記第1〜第3の条件の順により長い押下時間が設定され、前記制御手段は、前記入力部の連続押下時間が第1の連続押下時間以上で第2の連続押下時間未満である場合に、第1の条件を満たすとして、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、前記入力部の連続押下時間が第2の連続押下時間以上で第3の連続押下時間未満である場合に、第2の条件を満たすとして、前記入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、前記入力部の連続押下時間が第3の連続押下時間以上である場合に、第3の条件を満たすとして、前記画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンにおいて、
ユーザーに押下された入力部毎、前記入力部群記憶手段に記憶された入力部群毎、前記画面群記憶手段に記憶された画面群毎のいずれの範囲で入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させるかを設定する範囲設定手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のミシンにおいて、
前記制御手段は、入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる入力部の表示を同一色で表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、入力部の操作条件が第1の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、操作条件が第2の条件を満たす場合に、入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、操作条件が第3の条件を満たす場合に、画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる。
これにより、同じ画面において表示されている複数の入力部のうち、入力部群記憶手段に記憶されている入力部群毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
また、異なる画面にわたって表示される複数の入力部群のうち、画面群記憶手段に記憶されている画面群の入力部群毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
よって、入力部毎に有効又は無効の切り替え操作をする必要がなくなり、操作パネルに表示される入力部の操作設定の有効と無効の切り替えの手間を軽減することができる。
また、画面毎に入力部の全データを検索する必要がなく、画面単位で把握できるので、制御手段の処理速度を速めることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、入力設定条件は、入力部の連続押下時間であり、第1〜第3の条件の順により長い押下時間が設定され、制御手段は、入力部の連続押下時間が第1の連続押下時間以上で第2の連続押下時間未満である場合に、第1の条件を満たすとして、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、入力部の連続押下時間が第2の連続押下時間以上で第3の連続押下時間未満である場合に、第2の条件を満たすとして、入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、入力部の連続押下時間が第3の連続押下時間以上である場合に、第3の条件を満たすとして、画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる。
これにより、同じ画面において表示されている複数の入力部のうち、入力部群記憶手段に記憶されている入力部群毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
また、異なる画面にわたって表示される複数の入力部群のうち、画面群記憶手段に記憶されている画面群の入力部群毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
よって、入力部毎に有効又は無効の切り替え操作をする必要がなくなり、操作パネルに表示される入力部の操作設定の有効と無効の切り替えの手間を軽減することができる。
また、画面毎に入力部の全データを検索する必要がなく、画面単位で把握できるので、制御手段の処理速度を速めることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、範囲設定手段を備えることにより、ユーザーは、どの範囲で入力部の有効又は無効の連動を行わせるかを決めることができるようになる。
よって、操作パネルの仕様やユーザーの熟練度等によって使い分けることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、視覚を通じて入力部群をユーザーに認識させることにより、ユーザーは何ら操作することなく、操作パネルを一見するだけで入力部群を認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの実施形態について説明する。
<ミシンの構成>
図1に示すように、ミシン1は、ミシン本体2と、ミシン本体2の下方に設けられたミシンモータ3と、踏み込み操作によりミシン1を駆動させるペダル4と、ユーザーが指示を入力するとともに縫製に関する情報が表示される操作パネル5と、ミシン1の各部を制御する制御手段としての制御装置6と、を備えている。
ミシン本体2は、主軸21に針棒22が連結されており、主軸21の回転により針棒22が上下動して縫い針23を上下動させ、縫製を行う。
ミシンモータ3は、主軸21を回転させる駆動源であり、その駆動はベルト31を介して主軸21に伝達される。
ペダル4は、制御装置6に接続されており、ペダル4の踏み込み信号が制御装置6に伝達される。そして、制御装置6は、その信号に応じた速度でミシンモータ3を駆動させる。
【0014】
(操作パネル)
操作パネル5は、例えば、図2に示すように、縫製に際してユーザーからの指示入力がなされる複数の入力部51と、複数の入力部51の表示と共にユーザーに報知する複数の画面情報を表示する表示部52と、を備えている。
操作パネル5は、いわゆるタッチパネル式のものであり、表示部52により液晶表示がなされ、この表示部52に透明のタッチセンサが重ね合わせられている。操作パネル5は、例えば、各種操作ボタンが操作されたことに基づく各種操作信号を制御装置6に送信する。制御装置6は、その受信信号に応じて、様々な演算や制御処理を実行する。そして、操作パネル5から入力された各種縫製条件であって縫製処理に関するデータが所定の回線を介して制御装置6に送信され、制御装置6はミシン1の縫製制御を行う。
【0015】
操作パネル5の画面である表示部52には、様々な操作ボタンやスイッチ、各種設定値や各種縫製データ等を表示可能になっている。表示部52には、各ボタンの有効又は無効の操作設定を行うための操作設定モードと縫製条件等の入力を行う通常操作モードとを切り替えて表示できる。
具体的には、入力部51は、図3,4に示すように、10種類のカスタムデータに変更するダイレクトパターン選択ボタン70〜79,80〜89、X方向の拡大率変更ボタン91、Y方向の拡大率変更ボタン92、ミシンモータ3の回転速度変更ボタン93、糸に付与する張力を変更する糸張力変更ボタン94等であり、これらが表示部52に表示されている。これらは、それぞれボタンに触れることにより条件の変更を行うことができ、連続して押下し続けることで操作設定の有効と無効の切替を個別に行うことができる。
【0016】
ここで、図3は、制御装置6に予め記憶されているデフォルトの縫製パターン(以下、ユーザーパターンという)を表示するものであり、図4は、制御装置6への外部記憶媒体に記憶された縫製パターン(以下、メディアパターンという)を表示するものである。外部記憶媒体に記憶された縫製パターンを表示するためには、外部記憶媒体を制御装置6に接続し、制御装置6によって読み込む。いずれも縫製パターンを決定づける必要なデータが共通しており、詳細な条件の変更方法は同じである。
【0017】
本実施形態は、表示部52に表示されているダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89のうち、何れかのボタンが連続して押下された場合に、その押下時間に応じて、(1)押下されたボタンの有効又は無効の操作の設定のみを行う、(2)押下されたボタンがある画面における10個のダイレクトパターン選択ボタン70〜79の有効又は無効の操作の設定を行う、(3)全画面における20個のダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89の有効又は無効の操作の設定を行う、場合のそれぞれについて詳細に後述する。なお、ダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89はあくまでも一例であり、他のボタンの操作設定にも適用できることは勿論である。
【0018】
(制御装置)
制御装置6は、図2に示すように、ミシンの動作を制御するCPU61と、各種機能や動作の実現に係る各種プログラムや制御データ等を記憶するROM62と、ROM62から読み出されたプログラムやデータ等の格納領域や作業領域等を構成するRAM63とを備え、ミシンモータ3、ペダル4、他のアクチュエータ等が電気的に接続されている。制御装置6は、インターフェース(I/F)を介して操作パネル5と接続されており、その操作パネル5と各種情報を送受信可能に構成されている。
【0019】
ROM62には、図5に示すように、表示部52に表示される画面毎に、表示されるボタン個々について、ボタン番号と、ボタングループ番号と、表示されるイメージ(アイコンの図柄)が設定されたボタングループ番号テーブルがデータとして記憶されている。
ボタングループ番号テーブルは、ボタン番号とボタングループ番号を項目に持つデータテーブルである。ボタングループ番号テーブルは操作設定モードの画面数分用意されている。
【0020】
ボタン番号は、画面内に表示される各ボタンを識別するために割り振られる、ボタンと一対一で対応する番号である。
ボタングループ番号は、有効又は無効の操作設定を一括して設定したいボタンのグループ(入力部群。以下、ボタングループとする)に割り振る番号である。ボタングループに割り振る番号は0以外でグループ毎に番号を割り振る。操作設定が一括して設定されないボタン、つまりどのボタングループにも属さないボタンには0を設定する。従って、ROM62は、入力部群記憶手段として機能する。
図5に示すボタングループ番号テーブルにおいては、ユーザーパターン標準画面とメディアパターン標準画面に存在する、20個のダイレクトパターン選択ボタン70〜79,80〜89をボタングループとした際の、ユーザーパターン標準画面とメディアパターン標準画面それぞれのボタングループ番号テーブルである。ボタングループ番号テーブルで定めたボタングループを示すために、同じボタングループ同士のボタン70〜79,80〜89は、ボタン枠を同じ色で表示するようにする。図5においては、同じボタングループとなっているダイレクトパターン選択ボタンのボタン枠は赤で表示している。
【0021】
ROM62には、図6に示すように、操作設定の際に関連させる画面について設定された関連画面番号テーブルがデータとして記憶されている。
関連画面番号テーブルとは、設定画面番号と関連画面番号を項目に持つデータテーブルである。
設定画面番号は画面を識別するために割り振られる、画面と一対一で対応する番号である。
関連画面番号は、有効又は無効の操作設定を一括して設定したい画面のグループ(画面群。以下、画面グループとする)に割り振る番号である。
画面に存在するいずれかのボタンが、画面間に及ぶボタングループに属している場合、そのボタングループが存在する全ての画面の関連画面番号には、0以外の同じ番号を割り振る。画面間に及ぶボタングループに属するボタンが存在しない画面の関連画面番号には0を設定する。従って、ROM62は、画面群記憶手段として機能する。ここで、関連画面番号は、ボタングループ番号と同じ番号が付されている。これは、ボタングループの数が増えた場合にデータの整理が好都合である。
図6に示す関連画面番号テーブルにおいては、ユーザーパターン標準画面とメディアパターン標準画面のボタングループ番号テーブルが、図5であった際の関連画面番号テーブルである。
【0022】
ROM62には、入力部51の設定条件が記憶されている。設定条件は、第1の条件から第3の条件まで設定されている。
具体的には、設定条件は入力部51の連続押下時間である。
第1の条件は、連続押下時間が300msec(第1の連続押下時間)以上で600msec(第2の連続押下時間)未満である。
第2の条件は、連続押下時間が600msec(第2の連続押下時間)以上で900msec(第3の連続押下時間)未満である。
第3の条件は、連続押下時間が900msec(第3の連続押下時間)以上である。
【0023】
<操作の設定の処理>
ここで、一例としてダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89の操作の有効又は無効の設定の処理について説明する。なお、操作設定の対象となるのは、ダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89だけでなく、表示部52に表示される全てのボタンが対象となる。
図7に示すように、表示部52に表示されたダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89のうち、ボタン70が押下されると、CPU61は、入力部の操作条件として押下されている時間を計測して検出し、予め記憶した設定条件として、連続押下時間が300msec以上であるか否かを判断する(ステップS1)。
ステップS1において、CPU61は、連続押下時間が300msecを経過したした時点で操作設定モードであると判別する。さらに、CPU61は、連続押下時間が300msec以上であると判断した場合(ステップS1:YES)、CPU61は、押下されたボタン70のみの操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替える(ステップS2)。一方、CPU61が、連続押下時間が300msec未満であると判断した場合(ステップS1:NO)、CPU61は、本処理を終了させ、続いて通常モードとして、ボタン70が操作されたものと判別して、CPUはボタン70の本来機能を実現するために対応するプログラム等の処理を実行する(詳細は省略)。
【0024】
次いで、CPU61は、予め記憶した設定条件として、連続押下時間が600msec以上であるか否かを判断する(ステップS3)。
ステップS3において、CPU61は、連続押下時間が600msec以上であると判断した場合(ステップS3:YES)、CPU61は、押下されているボタン70のボタングループ番号をROM62に記憶されたボタングループ番号テーブルから読み出す(ステップS4)。この例では、図5に示すように、ボタングループ番号は「1」である。
【0025】
次いで、CPU61は、ステップS4で読み出したボタングループ番号「1」が0以外であるか否かを判断する(ステップS5)。
ステップS5において、CPU61は、ボタングループ番号が0以外であると判断した場合(ステップS5:YES)、CPU61は、押下されたボタン70が属する画面(ユーザーパターン画面)において、当該ボタン70と同じボタングループ番号「1」を有する全てのボタン番号「70〜79」を検索し(ステップS6)、CPU61は、同じボタングループ番号「1」を有するボタン番号があるか否かを判断する(ステップS7)。一方、CPU61が、ボタングループ番号が0であると判断した場合(ステップS5:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
ステップS7において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS7:YES)、CPU61は、検索により発見したボタン「71〜79」の操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替える(ステップS8)。一方、ステップS7において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもないと判断した場合(ステップS7:NO)、CPU61は、以下のステップS9の処理を行う。
【0026】
次いで、CPU61は、予め記憶した設定条件として、連続押下時間が900msec以上であるか否かを判断する(ステップS9)。
ステップS9において、CPU61は、連続押下時間が900msec以上であると判断した場合(ステップS9:YES)、CPU61は、押下されているボタン70の画面番号「G1」に対応する関連画面番号「1」をROM62に記憶された関連画面番号テーブルから読み出す(ステップS10)。
【0027】
次いで、CPU61は、ステップS10で読み出した関連画面番号「1」が0以外であるか否かを判断する(ステップS11)。
ステップS11において、CPU61は、関連画面番号「1」が0以外であると判断した場合(ステップS11:YES)、CPU61は、押下されたボタン70が属する画面と同じ関連画面番号「1」を有する全ての画面を検索し(ステップS12)、CPU61は、同じ関連画面番号「1」を有する画面があるか否かを判断する(ステップS13)。この例では、図6に示すように、メディアパターンの画面「G2」の関連画面番号「1」が同じ番号である。一方、CPU61が、関連画面番号が0であると判断した場合(ステップS11:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0028】
ステップS13において、CPU61は、押下されたボタンが属する画面と同じ関連画面番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS13:YES)、CPU61は、検索により発見した画面のボタングループ番号「1」を検索し(ステップS14)、CPU61は、同じボタングループ番号を有するボタン番号があるか否かを判断する(ステップS15)。一方、CPU61が、関連画面番号が0であると判断した場合(ステップS13:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0029】
ステップS15において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS15:YES)、CPU61は、検索により発見したボタン71〜79、80〜89の操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替え(ステップS16)、本処理を終了させる。一方、ステップS15において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもないと判断した場合(ステップS15:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0030】
<作用効果>
上記構成を有するミシン1によれば、制御装置6は、ボタン51の連続押下時間が第1の連続押下時間(300msec)以上で第2の連続押下時間(600msec)未満である第1の条件を満たした場合に、ユーザーにより押下されたボタン51による入力を有効又は無効に切り替え、連続押下時間が第2の連続押下時間(600msec)以上で第3の連続押下時間(900msec)未満である第2の条件を満たした場合に、ROM62に記憶されているユーザーにより押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタン71〜79の操作設定を有効又は無効に切り替えるように連動させる。
これにより、同じ画面において表示されている複数のボタン70〜79のうち、ROM62に記憶されているボタングループ番号「1」毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
【0031】
また、制御装置6は、ボタン51の連続押下時間が第3の連続押下時間(900msec)以上である第3の条件を満たした場合に、ROM62に記憶されているユーザーにより押下されたボタン70が属する画面「G1」と同じ関連画面番号「1」を有する各画面におけるボタン51と同じボタングループ番号「1」のボタン51による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる。
これにより、異なる画面にわたって表示される複数のボタン70〜79,80〜89のうち、ROM62に記憶されている関連画面のボタングループ毎に一括して入力の有効又は無効を切り替えることができるようになる。
よって、ボタン70〜79,80〜89毎に有効又は無効の切り替え操作をする必要がなくなり、操作パネル5に表示されるボタン70〜79,80〜89の操作設定の有効と無効の切り替えの手間を軽減することができる。
【0032】
また、同じグループ番号のボタンを同じ色で縁取りすることで、視覚を通じてボタン70〜79,80〜89をユーザーに認識させることにより、ユーザーは何ら操作することなく、操作パネル5を一見するだけで同じボタングループのボタン70〜79,80〜89を認識することができる。
【0033】
<その他>
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態においては、押下時間に応じて、(1)押下されたボタンの有効又は無効の操作の設定のみを行う、(2)押下されたボタンがある画面における10個のダイレクトパターン選択ボタン70〜79の有効又は無効の操作の設定を行う、(3)全画面における20個のダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89の有効又は無効の操作の設定を行うようにしたが、押下時間に代えて、第2の実施例として、同一のボタンを所定時間内での連続押下する回数により第1〜3の条件を選択しても良い。
例えば、同一ボタンを500ms以内に連続2回押下する操作条件があった場合に操作設定モードとして、第1の条件を満たすと判別し、同一ボタンを500ms以内に連続3回押下する操作条件があった場合に第2の条件を満たすと判別し、同一ボタンを500ms以内に連続4回押下する操作条件があった場合に第3の条件を満たすと判別して、各々の条件に対応した1又は複数範囲のボタンについて有効又は無効を切替えてもよい。
さらに第3の実施例として、操作パネル5から一括して操作設定する範囲を設定することも可能である。
具体的には、図8に示すように、操作パネル5の表示部52には、画面切替ボタン100が常時表示されている。この画面切替ボタン100を押下すると、CPU61は一括して操作設定を行う範囲の選択画面を表示させる。かかる選択画面には、(1)押下されたボタンの有効又は無効の操作の設定のみを行うための個別設定ボタン101、(2)押下されたボタンがある画面内での同じボタングループ番号の有効又は無効の操作の設定を行うための画面内設定ボタン102、(3)全画面での同じボタングループ番号の有効又は無効の操作の設定を行うための有効又は無効の操作の設定を行う全画面設定ボタン103が表示される。従って、個別設定ボタン101、画面内設定ボタン102、全画面設定ボタン103により、範囲設定手段が構成される。
また、画面切替ボタン100を押下すると、CPU61は、通常操作モードの画面と操作設定モードの画面とに切り替えるモード切替ボタン104,105を表示させる。
【0034】
ここで、個別設定ボタン101、画面内設定ボタン102、全画面設定ボタン103のいずれかにより操作設定を行ったときのダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89の操作の有効又は無効の設定の処理について説明する。なお、用いる各テーブルは上記実施形態と同じものである。
図9に示すように、表示部52に表示されたダイレクトパターン選択ボタン70〜79、80〜89のうち、ボタン70が押下されると、CPU61は、押下されている時間を計測し、連続押下時間が300msec以上であるか否かを判断する(ステップS21)。
ステップS21において、CPU61は、連続押下時間が300msec以上であると判断した場合(ステップS21:YES)、CPU61は、押下されたボタン70のみの操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替える(ステップS22)。一方、CPU61が、連続押下時間が300msec未満であると判断した場合(ステップS21:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0035】
次いで、CPU61は、操作設定が画面内設定ボタン102又は全画面設定ボタン103であるか否かを判断する(ステップS23)。
ステップS23において、CPU61は、操作設定が画面内設定ボタン102又は全画面設定ボタン103であると判断した場合(ステップS23:YES)、CPU61は、押下されているボタン70のボタングループ番号をROM62に記憶されたボタングループ番号テーブルから読み出す(ステップS24)。この例では、図5に示すように、ボタングループ番号は「1」である。
【0036】
次いで、CPU61は、ステップS24で読み出したボタングループ番号「1」が0以外であるか否かを判断する(ステップS25)。
ステップS25において、CPU61は、ボタングループ番号が0以外であると判断した場合(ステップS25:YES)、CPU61は、押下されたボタン70が属する画面(ユーザーパターン画面)において、当該ボタン70と同じボタングループ番号「1」を有する全てのボタン番号「70〜79」を検索し(ステップS26)、CPU61は、同じボタングループ番号「1」を有するボタン番号があるか否かを判断する(ステップS27)。一方、CPU61が、ボタングループ番号が0であると判断した場合(ステップS25:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
ステップS27において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS27:YES)、CPU61は、検索により発見したボタン「71〜79」の操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替える(ステップS28)。一方、ステップS27において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもないと判断した場合(ステップS27:NO)、CPU61は、以下のステップS29の処理を行う。
【0037】
次いで、CPU61は、操作設定が全画面設定ボタン103であるか否かを判断する(ステップS29)。
ステップS29において、CPU61は、操作設定が全画面設定ボタン103であると判断した場合(ステップS29:YES)、CPU61は、押下されているボタン70の画面番号「G1」に対応する関連画面番号「1」をROM62に記憶された関連画面番号テーブルから読み出す(ステップS30)。
【0038】
次いで、CPU61は、ステップS30で読み出した関連画面番号「1」が0以外であるか否かを判断する(ステップS31)。
ステップS31において、CPU61は、関連画面番号「1」が0以外であると判断した場合(ステップS31:YES)、CPU61は、押下されたボタン70が属する画面と同じ関連画面番号「1」を有する全ての画面を検索し(ステップS32)、CPU61は、同じ関連画面番号「1」を有する画面があるか否かを判断する(ステップS33)。この例では、図6に示すように、メディアパターンの画面「G2」の関連画面番号「1」が同じ番号である。一方、CPU61が、関連画面番号が0であると判断した場合(ステップS31:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0039】
ステップS33において、CPU61は、押下されたボタンが属する画面と同じ関連画面番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS33:YES)、CPU61は、検索により発見した画面のボタングループ番号「1」を検索し(ステップS34)、CPU61は、同じボタングループ番号を有するボタン番号があるか否かを判断する(ステップS35)。一方、CPU61が、関連画面番号が0であると判断した場合(ステップS33:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0040】
ステップS35において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもあったと判断した場合(ステップS35:YES)、CPU61は、検索により発見したボタン71〜79、80〜89の操作設定を有効から無効、又は無効から有効に切り替え(ステップS36)、本処理を終了させる。一方、ステップS35において、CPU61は、押下されたボタン70と同じボタングループ番号「1」のボタンが一つでもないと判断した場合(ステップS35:NO)、CPU61は、本処理を終了させる。
【0041】
以上のように、操作パネル5に範囲設定画面を表示し、この画面から連動させて一括設定する操作設定の範囲を決定することにより、ユーザーは、どの範囲でボタン51の有効又は無効の連動を行わせるかを決めることができるようになる。
よって、操作パネル5の仕様やユーザーの熟練度等によって使い分けることができる。
【0042】
また、ボタン51の有効又は無効の連動を行わせる範囲は、ボタン51の連続押下時間で決定してもよいし、範囲設定画面でその範囲を設定してもよい。もちろん双方を採用しても片方だけ採用してもよい。
また、第1〜3の条件にさらに第4の条件を加え、第1〜第n条件としてもよく、少なくも第1〜3の条件を備えればよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ミシンの概略を示す図。
【図2】制御装置まわりの構成を示すブロック図。
【図3】表示部に表示される操作設定モードのユーザーパターン画面の一例を示す図。
【図4】表示部に表示される操作設定モードのメディアパターン画面の一例を示す図。
【図5】ボタングループ番号テーブルの一例を示す図。
【図6】関連画面番号テーブルの一例を示す図。
【図7】操作設定の処理を示すフローチャート。
【図8】操作設定の範囲を設定する画面の一例を示す図。
【図9】他の例の操作設定の処理を示すフローチャート。
【図10】従来技術における表示部に表示される通常操作モードの画面の一例を示す図。
【図11】従来技術における表示部に表示される操作設定モードの画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0044】
1 ミシン
5 操作パネル
6 制御装置(制御手段)
51 ボタン(入力部)
52 表示部
62 ROM(入力部群記憶手段、画面群記憶手段)
70〜79 ダイレクトパターン選択ボタン(入力部)
80〜89 ダイレクトパターン選択ボタン(入力部)
101 個別設定ボタン(範囲設定手段)
102 画面内設定ボタン(範囲設定手段)
103 全画面設定ボタン(範囲設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製に際してユーザーからの指示入力がなされる複数の入力部と、前記複数の入力部の表示と共にユーザーに報知する複数の画面情報を表示する表示部と、を備える操作パネルと、
ユーザーに押下された前記入力部の操作条件を検出して、予め記憶した設定条件を満たすか否かを判別して前記入力部による入力を有効又は無効に切り替える制御手段と、を備えるミシンにおいて、
前記表示部に表示される画面毎に、前記入力部による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を記憶する入力部群記憶手段と、
前記表示部に表示される互いの画面間で前記入力部による入力の有効又は無効に連動させる入力部群を有する画面群を記憶する画面群記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記設定条件が少なくとも第1の条件、第2の条件、第3の条件であって、
前記入力部の操作条件が第1の条件を満たす場合に、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、
前記操作条件が前記第2の条件を満たす場合に、前記入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、
前記操作条件が前記第3の条件を満たす場合に、前記画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記設定条件は、前記入力部の連続押下時間であり、前記第1〜第3の条件の順により長い押下時間が設定され、
前記制御手段は、
前記入力部の連続押下時間が第1の連続押下時間以上で第2の連続押下時間未満である場合に、第1の条件を満たすとして、ユーザーにより押下された入力部による入力を有効又は無効に切り替え、
前記入力部の連続押下時間が第2の連続押下時間以上で第3の連続押下時間未満である場合に、第2の条件を満たすとして、前記入力部群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替え、
前記入力部の連続押下時間が第3の連続押下時間以上である場合に、第3の条件を満たすとして、前記画面群記憶手段に記憶されているユーザーにより押下された入力部を含む入力部群を有する各画面の入力部と同じ群の入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
ユーザーに押下された入力部毎、前記入力部群記憶手段に記憶された入力部群毎、前記画面群記憶手段に記憶された画面群毎のいずれの範囲で入力部による入力を有効又は無効に切り替えるように連動させるかを設定する範囲設定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
【請求項4】
前記制御手段は、入力を有効又は無効に切り替えるように連動させる入力部の表示を同一色で表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−88495(P2010−88495A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258552(P2008−258552)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】