説明

メカノルミネッセント材料を含有する化粧品組成物

【課題】 従来の蛍光物質では得られなかった独創的かつ明るい色彩効果を発揮する化粧品組成物を提供する。
【解決手段】 化粧品に許容されうる媒体中に、メカノルミネッセント材料と付着性ポリマーとを含有することを特徴とする化粧品組成物。メカノルミネッセント材料は、ランタニドの錯体及びキレート化物;希土類イオンをドープしたアルミン酸塩、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩;及び遷移金属又は希土類イオンをドープした硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸カドミウム、酸化亜鉛から選択されるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メカノルミネッセント材料及び付着性ポリマーを含有する、皮膚及び毛髪等のケラチン物質のための化粧品組成物に関する。この化粧品組成物は、皮膚、毛髪、まつげ、爪、又は唇に対して独創的な光学的効果を付与することができる。
【背景技術】
【0002】
蛍光物質は化粧品組成物において極めて興味深く、皮膚の自然な輝きを増し、色に更なる修飾を付加し、輝きを強くし、人工彩色又は着色された毛髪や暗い皮膚を明るくし、あるいは、例えばブラックライトの下で面白い色彩効果をもたらす。
しかしながら、現在化粧品材料として使用されている蛍光物質の発光強度は極めて弱く、特に可視光下では、皮膚又は毛髪への適用後に裸眼で認識することが困難であった。
【0003】
近年、圧縮、剪断、摩擦などといった機械的応力を受けることにより発光するメカノルミネッセント材料あるいはトリボルミネッセント材料とも呼ばれる物質が知られるようになった(特許文献1及び2)。この材料は、発光(燐光又は蛍光)が印加される応力に依存しており、印加開始時には弱い発光特性であるものが、大きな機械的応力下では非常に強い発光を示す。これらの材料は、従来は、構造材料の屈曲、衝撃、及び機械的応力のモニタリング、検出及び可視化という用途に使用されていた。しかし、化粧品用途に使用された例はない。
【特許文献1】特許第3511083号公報(US6,280,655)
【特許文献2】特許第3265356号公報(US6,117,574)
【発明の開示】
【0004】
本発明者等は、極めて弱い機械的応力下で強く発光するメカノルミネッセント材料が開発されたことに鑑み、化粧品用途への応用の検討を行ってきた。その結果、メカノルミネッセント材料及び付着性ポリマーを含有する化粧品組成物が、毛髪、皮膚、爪、まつげ、又は唇に適用した後に、優れた光学的特性を付与できることを見出した。
【0005】
よって、本発明は、メカノルミネッセント材料と付着性ポリマーとを含有する化粧品組成物を提供する。
【0006】
本発明の化粧品組成物において、メカノルミネッセント材料は、皮膚又は毛髪等のケラチン物質に対する親和性又は付着性を有するポリマーとともに化粧品媒体中に配合される。この付着性ポリマーは、メカノルミネッセント材料の皮膚、毛髪、爪又はまつげへの固定を助け、最終的には皮膜を形成することができる。そして、以下のような幾つかのメカニズムにより発光を得ることができる。
【0007】
(1)本発明の組成物の摩擦による発光。これは、例えば、メカノルミネッセント材料及び被膜形成性の付着性ポリマーを含有するネイルラッカーを手で擦ったり、組成物で被覆した毛髪をブラシで擦ったり、あるいは組成物で被覆した上唇と下唇とを互いに擦り合わせることにより得られる。
(2)本発明の組成物を塗った皮膚を押したり引っ張ったりすることによる発光。これは、本発明のスキンケア組成物を塗った皮膚を持ち上げたり、単なる日常の様々な顔の動きによっても得られる。
(3)本発明の組成物で被覆された又は該組成物が付着したケラチン物質を伸長することによる発光。これは、例えば、乾燥時にカールするマスカラ組成物の場合、あるいは、ヒトの毛髪に適用されたカール保持効果を持つポリマーを含有するヘアスタイリング組成物などで得られる。
【0008】
本発明の組成物で得られる強い発光は、意図する化粧効果により、明るくする効果を与えるか、皮膚の自然な輝きを増すか、あるいは組成物の色に付加的な修飾を付与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(A)メカノルミネッセント材料:
自然界には多くのメカノルミネッセント材料が存在している。本発明において好ましいメカノルミネッセント材料は、小さな応力下で可視光を強く発光するものであり、以下のものを含む。
(A1)米国特許第6,071,632号公報、米国特許出願公開2002/0015965号公報、及びWO03/016429号パンフレットに記載されているようなランタニドの錯体及びキレート化物。希土類は、好ましくはユーロピウム、テルビウム、サマリウム、ジスプロシウムから選択される。これらの材料の中で、ジケトン類は3価ランタニド金属塩のリガンドとして使用されている。
(A2)米国特許第6,280,655号公報、欧州特許第1,318,184号明細書、特開2002-194349号公報、特開2004-59746号公報に記載されているような希土類イオンをドープしたアルミン酸塩、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩。これらの無機粉末は、非化学量論的組成を持つ格子欠陥を制御することにより高いメカノルミネッセント特性を有する。例として、(Sr,Mg,Ba,Zn,Ca)Al2O4、(SrLa,SrY)Al3O7 、(Sr2,SrMg,SrCa,SrBa)Al6O11、 Sr2(Mg,Al)(Al,Si)SiO7、Sr(Zn,Mn,Fe,Mg)Si2O6 型の組成を挙げることができる。括弧内の元素は、一部又は全部が互いに置換されてもよい。即ち、いずれかの元素又は2つ以上の元素を任意の比率で使用できる。セリウム、ユーロピウム、サマリウム、ネオジム、ガドリニウム、ジスプロシウム、テルビウム等の希土類イオン又は希土類イオンの混合物を使用できる。中でもユーロピウム及びジスプロシウムが好ましい。
(A3)米国特許第6,117,574号公報及び特開2004-43656号公報に記載されているような、遷移金属又は希土類イオンをドープした硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸カドミウム、酸化亜鉛。遷移金属イオンは、好ましくは銅又はマンガンである。希土類イオンは、好ましくはユーロピウム又はセリウムである。この型の材料の中で、ZnS:Mnが好ましい。
【0010】
(A1)型の材料は有機溶媒中の反応によって合成できる。
(A2)型及び(A3)型の材料は、乾式混合を含む固相反応プロセスに続く高温での焼成及び焼結により、あるいは、ゾル−ゲル法に続く乾燥、焼成及び焼結によって合成される。焼結温度は、典型的には1000℃以上である。
本発明においては、(A2)型の材料が好ましい。この型の材料の中でも、発光中心として希土類金属をドープしたSrAl2O4 及び SrMgAl10O17 が特に好ましい。
【0011】
メカノルミネッセント材料である希土類イオンをドープしたSrAl2O4 は、大光炉材株式会社からTAIKO-ML-1という名称で市販されている。この粉末は、5〜10ミクロンの直径を有し、小さな機械的応力下で緑色光を発光する。
メカノルミネッセント材料は、好ましくは、化粧品担体に不溶な粒子状で使用する。平均粒径は、0.01〜50μm、好ましくは0.1〜10μmである。
【0012】
本発明のメカノルミネッセント材料は、更に表面処理されていてもよい。表面処理は、周知の方法に従ってなされる疎水性表面処理を含む。疎水性表面処理剤の例は、シリコーンポリマー、脂肪酸金属塩、アミノ酸誘導体、又はフッ素化合物を含む。
【0013】
メカノルミネッセント材料は、可視光領域、即ち、青、緑、黄、橙、又は赤色領域の可視光で強い発光を有するものが好ましい。異なる発光色を持つ2種以上のメカノルミネッセント材料を組み合わせて使用することもできる。
メカノルミネッセント材料は、組成物中に、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%で含まれる。
【0014】
(B)付着性ポリマー
本発明で使用される付着性ポリマーとは、まつげ、皮膚又は毛髪などのケラチン物質に付着し固定できるポリマーを意味する。しかも、外部から印加された応力をメカノルミネッセント材料に良好に伝達し、その発光を生じさせるものである。
【0015】
本発明における付着性ポリマーは、例えば、40℃以下の温度で皮膜を形成するポリマーであってもよい。本発明において、「皮膜形成ポリマー」とは、それ単独で又は皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に接着する連続した沈着、特に皮膜を形成することができるポリマーを意味する。
【0016】
付着性ポリマーは、組成物の全重量に対して0.1から50重量%、好ましくは0.5から40重量%、より好ましくは1から30重量%の範囲の乾燥物質含量で、本発明に係る組成物中に存在する。
【0017】
本発明の組成物で使用できる付着性ポリマーの中では、フリーラジカルタイプまたは重縮合物タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
フリーラジカルタイプのポリマーは、(重縮合とは対照的に)各モノマーが単独重合可能であり、エチレン性不飽和を有するモノマーの重合によって得られるポリマーを意味すると解される。フリーラジカルタイプのポリマーは、特にビニルポリマー又はコポリマー、中でもアクリルポリマー又はコポリマーとすることができる。
【0019】
ビニルポリマーは、少なくとも一つの酸性基を有するエチレン性不飽和のモノマー(酸性モノマー)、及び/またはこれらの酸性モノマーのエステル、及び/またはこれらの酸性モノマーのアミドの重合から生じるものを含む。
【0020】
酸性モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、またはイタコン酸のようなα,β-エチレン性不飽和及びカルボキシル基を有するモノマーを挙げることができる。(メタ)アクリル酸及びクロトン酸が好ましくは使用される。
【0021】
酸性モノマーのエステルは、アクリル酸及びメタクリル酸のエステル(アクリラート及びメタクリラート、即ち(メタ)アクリラートとも呼ばれる)から選択することができる。酸性モノマーのエステルは、特に、アルキル(メタ)アクリラート、例えばC−C30、好ましくはC−C20のアルキル(メタ)アクリラートから有利に選択される。一方、アリール(メタ)アクリラート、例えばC−C10アリール(メタ)アクリラート、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えばC−Cヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートから選択することも有利である。
【0022】
アルキル(メタ)アクリラートの中で、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート、ラウリルメタクリラート、及びシクロヘキシルメタクリラートを挙げることができる。
【0023】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートの中で、ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、及び2−ヒドロキシプロピルメタクリラートを挙げることができる。
【0024】
アリール(メタ)アクリラートの中で、ベンジルアクリラート及びフェニルアクリラートを挙げることができる。
特に好ましい(メタ)アクリル酸のエステルは、アルキル(メタ)アクリラートである。
【0025】
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フルオロアルキル又はペルフルオロアルキルのいずれかでもよく、すなわち、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されているものでもよい。
【0026】
酸性モノマーのアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド及びN−アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC−C12アルキルの(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。N−アルキル(メタ)アクリルアミドの中では、N−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、及びN−ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
【0027】
ビニルポリマーは、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選ばれるモノマーの単独重合又は共重合から生成する皮膜形成ポリマーでもよい。これらのモノマーは、上述したような酸性モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミドとも共重合することができる。
【0028】
ビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、及びt−ブチル安息香酸ビニルを挙げることができる。
スチレンモノマーとしては、スチレン及びα-メチルスチレンを挙げることができる。
その他、アクリル酸及びビニルモノマーのカテゴリー(シリコーン鎖変性モノマーを含む)に属する、当業者に周知のいずれのモノマーも使用することが可能である。
【0029】
重縮合タイプのポリマーの中で、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、及びエポキシエステル樹脂及びポリウレアを挙げることができる。
【0030】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、または両性ポリウレタン、ポリウレタンアクリル酸、ポリウレタン−ポリビニル−ピロリドン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア−ポリウレタン及びそれらの混合物から選択することができる。
【0031】
ポリエステルは、周知の方法で、ジカルボン酸とポリオール、特にジオールとの重縮合により得ることができる。
【0032】
ジカルボン酸は、脂肪酸、脂環式、又は芳香族でもよい。そのような酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5−ノルボランジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸性モノマーは、単独でも、少なくとも2以上のジカルボン酸性モノマーの組み合わせでも用いることができる。これらのモノマーの中で、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が好ましく選択される。
【0033】
ジオールは、脂肪族、脂環式、又は芳香族ジオールから選択することができる。好ましく用いられるジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール及び4−ブタンジオールから選ばれることができる。他のポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンを用いることができる。
【0034】
ポリエステルアミドは、ポリエステルと同様の方法で、二酸とジアミン又はアミノアルコールとの重縮合により得ることができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタ−、又はパラ−フェニレンジアミンを用いることができる。アミノアルコールとしては、モノエタノールアミンを用いることができる。
【0035】
ポリエステルは、さらに、少なくとも一の−SOM基(Mは水素原子、アンモニウムイオンNH、又はアルカリイオン、アルカリ土類イオン又は金属イオンを表し、例えばNa、Li、K、Mg2+、Ca2+、Cu2+、Fe2+、又はFe3+イオンを表す。)を有する少なくとも一のモノマーを含むことができる。特に、そのような−SOM基を含む二官能性芳香族モノマーも用いることができる。
【0036】
上述の、さらに−SOM基を有する二官能性芳香族モノマーの芳香環は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニル及びメチレンジフェニル環から選ばれることができる。さらに−SOM基を保有する二官能性芳香族モノマーの例としては、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸を挙げることができる。
【0037】
イソフタレート/スルホイソフタレートベースのコポリマー、特に、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸及びスルホイソフタル酸の縮合により得られたコポリマーは、好ましく使用される。そのようなポリマーは、例えば、商品名Eastman AQ(登録商標)で、Eastman Chemical Products社より市販されている。
【0038】
天然由来のポリマーを任意に変性したポリマーは、セラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマル、エレミス、コパール、セルロース系ポリマー及びそれらの混合物から選択することができる。
【0039】
本発明の付着性ポリマーは、水性媒体中に、水性分散液中の固体粒子の形状で存在することができ、ラテックス又はシュードラテックスとして知られているものである。これらの分散液を調製する技術は、当業者には周知のものである。
【0040】
付着性ポリマーの水性分散液としては、AVECIA-NEORESINS 社より商品名NEOCRYL XK-90(登録商標)、NEOCRYL A-1070(登録商標)、NEOCRYL A-1090(登録商標)、NEOCRYL BT-62(登録商標)、NEOCRYL A-1079(登録商標)、NEOCRYL A-523(登録商標)で市販されているアクリル酸分散液、DOW CHEMICAL社より商品名DOW LATEX 432(登録商標)で市販されているアクリル酸分散液、DAITO KASEY KOGYO社によりDAITOSOL 5000AD(登録商標)で市販されているアクリル酸分散液、又は、AVECIA-NEORESINS社によりNEOREZ R-981(登録商標)、NEOREZ R-974(登録商標)の名で市販されているポリウレタンの水性分散液、GOODRICH社によりAVALURE UR-405(登録商標)、AVALURE UR-410(登録商標)、AVALURE UR-425(登録商標)、AVALURE UR-450(登録商標)、SANCURE 875(登録商標)、SANCURE 861(登録商標)、SANCURE 878(登録商標)、SANCURE 2060(登録商標)の名で市販されているポリウレタンの水性分散液、BAYER社によりIMPRANIL 85(登録商標)の名で市販されているポリウレタンの水性分散液、HYDROMER社よりAQUAMERE H-1511(登録商標)の名で市販されているポリウレタンの水性分散液を用いることができる。
【0041】
他の付着性ポリマーの水性分散液としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエステルアミド及び/又はアルキッドからなる群より選ばれる、少なくとも一のポリマーの予め存在する粒子の内部及び/又は表面の一部における一以上のフリーラジカルモノマーのフリーラジカル重合によって得られるポリマーの分散液も用いることができる。これらのポリマーは一般的にハイブリッドポリマーと称される。
【0042】
付着性ポリマーは水溶性ポリマーでもよく、したがって、溶解した形態で水性媒体(水性相)中に存在することもできる。水溶性、特に皮膜形成付着性ポリマーの例としては、以下のものを挙げることができる。
タンパク質、例えば、植物由来のタンパク質、例えば小麦又は大豆タンパク質;動物由来のタンパク質、例えばケラチン、例えばケラチン加水分解物及びスルホン酸ケラチン;
キチン又はキトサンのアニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性ポリマー;
セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びセルロースの4級化誘導体;
アクリルポリマー又はコポリマー、例えばポリアクリラート又はポリメタクリラート;
ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、ビニリアセタートとクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンとビニルアセタートのコポリマー;ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマー;ポリビニルアルコール;
天然由来の任意に変性されたポリマー、例えば、アラビアゴム、グアーゴム、キサンタン誘導体、カラヤゴム;アルギナート及びカラギーナン;グリコアミノグリカン、ヒアルロン酸及びその誘導体;セラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマル、エレミス、コパール;デオキシリボ核酸;ムコ多糖、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びそれらの混合物。
【0043】
本発明の付着性ポリマーは、液状脂肪相に分散又は溶解した状態で存在してもよい。「液体脂肪相」なる表現は、室温(25℃)かつ大気圧(760mmHg、すなわち10Pa)において液体である脂肪相であって、一般的に互いに混和性の、室温で液体である一以上の脂肪物質(油)からなる脂肪相を意味する。好ましくは、液体脂肪相は、揮発性油を、任意に、非揮発性油との混合物の形態で含む。
【0044】
本発明の付着性ポリマーは、液体脂肪相中に分散した表面安定化粒子の形態で、存在することもできる。表面安定化ポリマー粒子の分散液は、文献EP−A−749747に記載されたようにして製造することができる。ポリマー粒子は、安定化剤を用いて表面安定化され、安定化剤は、ブロックポリマー、グラフトポリマー及び/又はランダムポリマーの単独又はそれらの組み合わせでもよい。安定化剤の存在下での、液体脂肪相中の付着性ポリマーの分散は、特に文献EP−A−749746、EP−A−923928、EP−A−930060に記載されており、これらの内容は、本願明細書に参照として取りこまれる。
【0045】
水性相又は液体脂肪相中の分散液中のポリマー粒子のサイズは、当該分野で知られた方法に従って測定して、5nm乃至600nmの範囲、好ましくは、20nm乃至300nmの範囲とすることができる。
【0046】
本発明の付着性ポリマーは、液体脂肪相中に溶解化することができる。このような付着性ポリマーは脂肪溶解性ポリマーと称される。
脂肪溶解性ポリマーの例としては、ビニルエステル(ビニル基が、エステル基の酸素原子に直接結合しており、ビニルエステルは1乃至19の炭素原子の直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素基を有する)と、ビニルエステル(すでに存在するビニルエステルとは異なるもの)、α−オレフィン(8乃至29炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(ここでアルキル基は2乃至18炭素原子を含む)、又はアリル又はメタリルエステル(1乃至19炭素原子の直鎖又は分枝状飽和炭化水素基を有し、エステル基のカルボニルに結合している)でも良い少なくとも一の他のモノマーとのコポリマーを挙げることができる。
【0047】
これらのコポリマーは、架橋剤を用いて、架橋していても良く、その標的はビニルタイプまたはアリル又はメタリルタイプのいずれもよく、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオアート、ジビニルドデカンジオアート、及びジビニルオクタデカンジオアートでもよい。
【0048】
これらのコポリマーの例としては、以下のコポリマーを挙げることができる。ビニルアセタート/アリルステアラート、ビニルアセタート/ビニルラウラート、ビニルアセタート/ビニルステアラート、ビニルアセタート/オクタデセン、ビニルアセタート/オクタデシルビニルエーテル、ビニルプロピオナート/アリルラウラート、ビニルプロピオナート/ビニルラウラート、ビニルステアラート/1−オクタデセン、ビニルアセタート/1−ドデセン、ビニルステアラート/エチルビニルエーテル、ビニルプロピオナート/セチルビニルエーテル、ビニルステアラート/アリルアセタート、ビニル2,2−ジメチルオクタノアート/ビニルラウラート、アリル2,2−ジメチルペンタノアート/ビニルラウラート、ビニルジメチルプロピオナート/ビニルステアラート、アリルジメチルプロピオナート/ビニルステアラート、ビニルプロピオナート/ビニルステアラート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されているもの、ビニルジメチルプロピオナート/ビニルラウラート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されているもの、ビニルアセタート/オクタデシルビニルエーテル、0.2%テトラアリルオキシエタンで架橋されているもの、ビニルアセタート/アリルステアラート、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されているもの、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されているビニルアセタート/1−オクタデセン、0.2%ジビニルベンゼンで架橋されているアリルプロピオナート/アリルステアラート。
【0049】
脂肪溶解性ポリマーとしては、脂肪溶解性ホモポリマー、特に9乃至22の炭素原子を有するビニルエステル、又はアルキル(アルキル基は10乃至20炭素原子を有する)アルキラート又はメタクリラーのホモ重合から得られるものが挙げられる。
【0050】
そのような脂肪溶解性ホモポリマーとしては、ポリビニルステアラート、ジビニルベンゼンを用いて架橋されたポリビニルステアラート、ジアリルエーテル又はジアリルフタラート、ポリステアリル(メタ)アクリラート、ポリビニルラウラート、ポリラウリル(メタ)アクリラートから選ばれることができ、これらのポリ(メタ)アクリラートは、エチレングリコール又はテトラエチレングリコールジメタクリラートを用いて架橋されていても良い。
【0051】
上述の脂肪溶解性コポリマーとホモポリマーは知られており、特に、特許出願FR−A−2232303に記載されている。それらは、2000乃至500,000の範囲、好ましくは4000乃至200,000の範囲の重量平均分子量を有していても良い。
【0052】
本発明に用いられる脂肪溶解性ポリマーとしては、ポリアルキレン、特にC−C20アルケン、例えばポリブテン、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C−Cアルキル基を有するアルキルセルロース、例えばエチルセルロース、プロピルセルロース、のコポリマー、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特にビニルピロリドンとC−C40の、より好ましくは、C−C20のアルケンのコポリマーを挙げることができる。本発明に用いられるVPコポリマーの例としては、VP/ビニルアセタート、VP/エチルメタクリラート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/エチルメタクリラート/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン(triacontene)、VP/スチレン及びVP/アクリル酸/ラウリルメタクリラートコポリマーを挙げることができる。
【0053】
本発明の付着性ポリマーは、シリコーンポリマーでもよく、以下のようなものを挙げることができる。
(1)アクリルシリコーン:
付着性ポリマーとして使用しうるアクリルシリコーンの非限定的な例は、シリコーン/(メタ)アクリレートのコポリマーを含み、例えば、米国特許第5,061,481号、第5,219,560号、及び第5,262,087号に記載されたものが挙げられる。さらなる非限定的な例は、少なくとも1つの極性(メタ)アクリレート単位を含む非極性シリコーンコポリマー、及び少なくとも1つの非極性シリコーン鎖をグラフトさせたビニルポリマーである。そのようなポリマーの例は、信越シリコーンからKP-561という商品名で市販されているアクリレート/ステアリルアクリレート/ジメチコーンアクリレートコポリマー、KP-562という商品名で市販されているアクリレート/ベヘニルアクリレート/ジメチコーンアクリレートコポリマーを含む。
【0054】
また、本発明の付着性ポリマーは、ビニル−シリコーングラフトポリマー及び下記式(I)で表されるビニル−シリコーンブロックコポリマーから選択することもできる。
【化1】

上記式(I)において、
5は、各々が同一でも異なっていてもよく、 アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素原子、及び−ZSA基から選択され、ここで、
Aは、フリーラジカル重合可能なモノマーの重合体を少なくとも1つ含むビニルポリマー断片であり、
Zは、2価のC1-10 アルキレン基、2価のアラルキレン基、2価のアリーレン基、及び2価のアルコキシルアルキレン基から選択される。好ましくは、Zはメチレン基及びプロピレン基から選択される。
6は 、各々が同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素原子、及び−ZSA基から選択され、A及びZは上記の通りである。
2はAを含み、
4はAを含み、
1は、同一でも異なっていてもよく、 アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素原子、及びヒドロキシル基から選択される。好ましくは、R1 はC1-C4 アルキル基、例えばメチル基、及びヒドロキシル基から選択される。
2は、各々が同一でも異なっていてもよく、2価のC1-10 アルキレン基、2価のアラルキレン基、2価のアリーレン基、及び2価のアルコキシルアルキレン基から選択される。好ましくは、R2は、2価のC1-C3 アルキレン基及び2価のC7-C10 アラルキレン基から選択される。さらに好ましくは、R2は、-CH2-基及び2価の1,3-プロピレン基から選択される。
3は、同一でも異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、フルオロアルキル基、水素原子、及びヒドロキシル基から選択される。好ましくは、RはC1-C4 アルキル基及びヒドロキシル基から選択される。さらに好ましくは、R3はメチル基である。
4は、各々が同一でも異なっていてもよく、2価のC1-10 アルキレン基、2価のアラルキレン基、2価のアリーレン基、及び2価のアルコキシルアルキレン基から選択される。好ましくは、Rは、2価のC1-C3 アルキレン基及び2価のC7-C10 アラルキレン基から選択される。さらに好ましくは、Rは、-CH2- 基及び2価の1,3-プロピレン基から選択される。
x は、0から3の数である。
y は、5以上の数である。好ましくは、yは10〜270の範囲であり、さらに好ましくは、yは40〜270の範囲である。
q は、0から3の数である。
これらのポリマーの非限定的な例は、米国特許第5,468,477号に記載されている。それらのポリマーの非限定的な例は、3M社からVS 70 IBMの商品名で市販されている、ポリ(ジメチルシロキサン)を主鎖としポリ(イソブチルメタクリレート)を側鎖とするポリマーである。
【0055】
(2)シリコーン樹脂
本発明における付着性ポリマーは、一官能性、即ちR3SiOl/2(M単位)及び四官能性、即ちSiO2(Q単位)を含むシリコーン樹脂であってもよく、これらは、「MQレジン」としても知られるものであり、米国特許第5,330,747号に記載されている。特に好ましいシリコーン樹脂の例は、「M」及び「Q」単位の比率が約0.5であり、nの値が1.5のものであり、その非限定的な例は、Wacker Silicones 社から市販の、Wacker 803 及び 804、及び、General Electric 社から市販のG.E.1170-002を含む。他の好ましいオルガノシロキサン樹脂は、下記一般式(II)で表される部分を有するシリコーンエステルワックス等の機能化シリコーン樹脂を含む。
【化2】

ここで、Rは有機基であり、R'はカルボン酸エステルであり、 a 及びb は、各々独立に1又は2の整数であって、a+b は2 又は3である。
【0056】
付着性ポリマーとして有用な他の好ましい樹脂は、シリコーン樹脂上にセクションを持つ米国特許出願公開第2002/0114773号、米国特許第5,676,938号、第5,589,165号、 第6,589,517号、及び第5,015,469号に記載のものを含む。
処理の結果、樹脂構造に、5%までの少量のシラノール又はアルコキシ官能基が存在していてもよい。シリコーン樹脂は、好ましくは約25℃で固体であり、約1,000 〜約10,000 グラム/モルの分子量を持つ。 樹脂は、有機溶媒、例えばトルエン、キシレン、イソパラフィン、及びシクロヘキサン、又は揮発性媒体に可溶であり、樹脂が揮発性媒体に不溶となるほど架橋していないことを示している。
【0057】
メカノルミネッセント(ML)材料及びポリマーを含有する化粧品組成物に使用される媒体は、水性媒体でも油性媒体でもよく、水、アルコール、有機溶媒、化粧油等が挙げられる。好ましくは、化粧品媒体は、一部又は全部が揮発性である。
【0058】
本発明で用いられる水性媒体は、水でもよく、あるいは、水と水に相溶性の溶媒との混合物でもよい。水に相溶性の溶媒は、25℃において水とともに目視で透明な均一混合物を形成する溶媒である。水に相溶性の溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール等の1〜5の炭素原子を有する低級モノアルコール;プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2〜8の炭素原子を有するグリコール;C−C ケトン;及びC−Cアルデヒドを含む。
水性媒体は、組成物全重量に対して10〜95重量%の量で存在してよく、例えば、20〜70重量%、さらには30〜80%重量%の範囲などであってよい。
【0059】
本発明で用いられる油性媒体として、揮発性有機溶媒又は油を挙げることができる。揮発性有機溶媒又は油は、水相中に分散された脂肪相を形成していてもよい。
「揮発性有機溶媒又は油」という表現は、本発明においては、揮発性の化粧油及び有機溶媒であって、室温で液体であり、室温及び大気圧中でゼロではない蒸気圧、例えば、10−2 〜 300mmHg (1.33〜40000Pa)の範囲、好ましくは 0.3mmHg(40Pa)の蒸気圧を有するものを意味すると解される。本発明における「不揮発性油」という表現は、室温及び大気圧中で10−2 mmHg(1.33Pa)未満の蒸気圧を持つオイルを意味すると解される。
【0060】
これらの油は、炭化水素油、シリコーン油、フッ素化油、又はそれらの混合物でありうる。
「炭化水素油」という表現は、主に炭素及び水素からなり、任意に酸素、窒素、硫黄及びリン原子を含む油を意味すると解される。揮発性炭化水素油は、8〜16の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、分岐鎖C−C16アルカン、具体的には、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンともいう)、イソデカン、イソヘキサデカン等の石油由来のC−C16イソアルカン(イソパラフィンともいう)、例えば、”Isopars” or “Permetyls”という商品名で市販されている油、分岐鎖C−C16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物から選択することができる。他の揮発性炭化水素油、例えば、Shell社から”Shell Solt”の名称で市販されている油などの石油蒸留物を使用してもよい。揮発性溶媒は、8〜16の炭素原子を有する揮発性炭化水素油及びそれらの混合物から選択できる。
【0061】
代表的な揮発性油は、揮発性シリコーン、例えば、揮発性の直鎖状又は環状シリコーン油を含み、例えば、8センチストークス(8×10cm/s)以下の粘度を持ち、例えば、2〜7のSi原子を持つものを含み、これらのシリコーンは、任意に、1〜10の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシ基を含んでいてもよい。本発明で使用できる揮発性シリコーンとして、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
揮発性油又は揮発性溶媒は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.1〜30重量%、例えば0.1〜15重量%の量で存在させることができる。
【0062】
本発明で用いられる油性媒体は、不揮発性の炭化水素油及び/又はシリコーン及び/又はフッ素化油から選択される少なくとも1つの不揮発性油を含んでもよい。
不揮発性の炭化水素油は以下のものを含む:
(1)トリグリセリド等の植物由来の炭化水素油、例えば、CからC24で変化しうる鎖長を持ち、それが直鎖状又は分岐鎖状、飽和又は不飽和であり得る脂肪酸とグリセリンとのエステル;炭化水素油の例としては、小麦胚芽油、サンフラワー油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、カリテ油、アボカド油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、レープシード油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、ルーサン(lucerne)油、ポピーシード油、パンプキンシード油、グールド油、ブラックカラント油、オオマツヨイグサ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、パッションフラワー油、ローズ−マスカット油、あるいは、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois 社から市販のもの、又はDynamit Nobel社から”Miglyol” 810, 812 及び818 の名称で市販されているものが挙げられる。
【0063】
(2)10〜40の炭素原子を有する合成エーテル。
(3)鉱物又は合成由来の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素、例えば、石油ジェリー、ポリデセン、水素添加ポリイソブテン、例えば、パーリーム、スクアラン、及びそれらの混合物。
(4)一般式:RCOORで表される合成エステル(式中、Rは、1〜40の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状の脂肪酸残基であり、Rは、1〜40の炭素原子を有する炭化水素鎖、例えば分岐鎖状の炭化水素鎖であり、RとRの炭素数の合計は10以下である);例えば、パーセリン油、(ケトステアリルオクタノエート)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、C12−C15アルコールの安息香酸エステル、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、アルコール又はポリアルコールのオクタノエート、デカノエート及びリシノレート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、ジイソステアリルマレート;及びペンタエリスリトールのエステル。
【0064】
(5)12〜26の炭素原子を有する分岐状及び/又は不飽和の炭素鎖を持つ、室温で液体の脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール。
(6)オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸。
(7)上記の混合物。
【0065】
本発明の組成物で使用できる不揮発性シリコーン油は、不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)、2〜24の炭素原子を持つアルキル又はアルコキシ基がペンダント結合及び/又はシリコーン鎖に直接結合したポリジメチルシロキサン、フェニル化シリコーン、例えば、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、及び(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートを含む。
本発明で使用しうるフッ素化油は、フルオロシリコーン油、例えば、欧州特許出願公開第847752号公報に記載されたものを含む。
【0066】
不揮発性油は、本発明の組成物中に、組成物全重量の0.1〜30重量%、例えば0.1〜15重量%の量で存在しうる。
組成物が揮発性油と不揮発性油とを含有する場合、揮発性油と不揮発性油の量は、組成物全重量の49重量%以下、例えば、25重量%未満、さらには15重量%未満とすることができる。
【0067】
また、本発明の化粧品組成物は、他の蛍光材料を含有してもよい。好ましくは、蛍光材料は、メカノルミネッセント材料の発光帯に相当する励起帯を有する。この場合、メカノルミネッセント材料は、蛍光材料から二次的な発光を励起する。組成物をケラチン物質に適用し、機械的応力を印加すると、付加的な色及び優れた蛍光を得ることができる。
【0068】
他の蛍光材料の例は、文献「Luminescent Materials, Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer”, vol. 14, p.546-569, 3rd edition, 1981, Wiley」に見出すことができる。好ましい材料は、化粧品媒体に不溶な蛍光材料である。
それは、アクリル又はメタクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、メラニン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のポリマー樹脂中に分散した蛍光染料を含む。ポリエステル及びエポキシ樹脂が好ましい。市販されている蛍光材料は、Dayglo社からDermaglo蛍光色素として入手可能である。
【0069】
また、希土類又は遷移金属をドープした蛍光無機粉末も含まれる。市販されている材料は、Nemoto社からLuminova(登録商標) G-300 シリーズ (SrAl2O4:Eu,Dy)、 BG-300 シリーズ (Sr4Al14O25:Eu,Dy)、V-300 シリーズ (CaAl2O4:Eu,Dy)として入手可能である。
化粧品組成物中の他の蛍光材料は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%で存在する。
【0070】
本発明の化粧品組成物には、メカノルミネッセント材料、ポリマー及び他の蛍光材料以外に、他の成分、例えばワックス、界面活性剤、可塑剤、防腐剤、顔料、染料、ゲル化剤、真珠光沢剤、フィラー、UV吸収剤、保湿剤、キレート剤、香料、ビタミン及び活性成分を配合してもよい。
【0071】
本発明の製品は、化粧品に典型的な形態、例えば、溶液、エマルジョン、ゲル、スティック、プレストパウダー又はルースパウダーの形態であってよい。
以下に非限定的な実施例を、発明を例証するために記載する。実施例中の全ての組成は重量%で表される。
【0072】
(実施例1)
ネイルラッカー:
ニトロセルロース 20g
N-エチルスルホンアミド o,p トルエン 6g
トリブチルアセチルシトレート 6g
ヘクトライト 1g
TAIKO ML-1 10g
エポキシ/赤色22顔料 (Dermaglo DGS-21 from Dayglo) 10g
イソプロパノール 8g
酢酸エチル/酢酸ブチル 全体を100gとする量
上記の組成のネイルラッカーを爪に塗布して乾燥させた後、指で擦ると、全体的に赤色の爪に緑色が混じって見えた。
【0073】
(実施例2)
マスカラ:
カルナウバワックス 20g
ステアリン酸 6g
トリエタノールアミン 2.5g
ヒドロキシエチルセルロース 3g
ウルトラマリンブルー 1g
ブルー1 Al レーキ 0.5
プロピレングリコール 2g
TAIKO ML-1 5g
水 全体を100gとする量
上記の組成のマスカラをまつげに塗布して乾燥させると、まつげがカールすることによって表面の皮膜に含まれるメカノルミネッセント材料に応力が印加され、発光が見られた。
【0074】
(実施例3)
スキンケア漿液:
Avalure UR-405 (Noveon) 20g
キサンタンガム 0.3g
Sepigel 305 (SEPPIC) 1.2g
TAIKO ML-1 5g
水 全体を100gとする量
【0075】
(実施例4)
W/Oリキッドファンデーション:
Abil EM 97 (Goldschmidt) 3g
シクロメチコーン 27g
Polysilicone-7 (3M社SA-70) 8g
酸化チタン 6g
酸化鉄 2g
TAIKO ML-1 8g
水 45g
硫酸マグネシウム 1g
上記の組成のファンデーションを顔に塗布したところ、日常生活における顔の表情の変化に応じて皮膚に応力がかかり、表情の変化による色の変化が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品に許容されうる媒体中に、メカノルミネッセント材料と付着性ポリマーとを含有することを特徴とする化粧品組成物。
【請求項2】
メカノルミネッセント材料が、
(A1)ランタニドの錯体及びキレート化物;
(A2)希土類イオンをドープしたアルミン酸塩、ケイ酸塩及びアルミノケイ酸塩;及び
(A3)遷移金属又は希土類イオンをドープした硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、硫酸カドミウム、酸化亜鉛
から選択される1種又はそれ以上であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
メカノルミネッセント材料が、希土類金属をドープしたSrAl2O4 又は SrMgAl10O17であることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
メカノルミネッセント材料が、0.01〜50μmの平均粒径を持つ不溶性粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
メカノルミネッセント材料が、組成物中に、0.1〜50重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
付着性ポリマーが、フリーラジカルタイプの合成ポリマー、重縮合タイプの合成ポリマー及び天然由来のポリマーから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
付着性ポリマーが、セルロースポリマー、アクリルポリマー又はポリウレタンの水性分散物、アクリルシリコーンポリマー及びアクリル樹脂ポリマーから選択されることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
付着性ポリマーが、組成物中に、0.1〜50重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
他の蛍光材料をさらに含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
他の蛍光材料が、前記メカノルミネッセント材料の発光帯に相当する励起帯を有する材料であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
他の蛍光材料が、アクリル又はメタクリル樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド、メラニン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂から選択されるポリマー樹脂中に分散した蛍光染料であることを特徴とする請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
他の蛍光材料が、組成物中に、0.1〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2006−248993(P2006−248993A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67974(P2005−67974)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】