説明

メサ型のATカット水晶振動片及び水晶デバイス

【課題】振動部の厚さ及び振動外周部の厚さを適切な値にすることで不要振動の発生が抑えられ、特性の劣化が防がれ、不良品発生率が低減されたメサ型のATカット水晶振動片を提供する。
【解決手段】 メサ型のATカット水晶振動片(30)は、矩形の励振部(31)と、励振部の外周に形成され励振部よりも厚さが薄い励振外周部(32)とを有し、38.4MHzで振動するメサ型のATカット水晶振動片において、振動部の厚さをTm、励振外周部の厚さをTsとするとき、式(Tm−Ts)/Tm が0.048以上であり0.2より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メサ型のATカット水晶振動片及びこのメサ型のATカット水晶振動片を備える水晶デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
厚み滑り振動片の代表的なものの一つとしてATカット水晶振動片が知られている。このATカット水晶振動片をパッケージ内に収納した水晶デバイスは、各種の電子機器に周波数の基準源として広く採用されている。これらの水晶デバイスは小型化が進んでおり、より効率的に振動エネルギーの閉じ込め効果を得るためにATカット水晶振動片の主面の外周に傾斜領域を設けるベベル加工やコンベックス加工等の曲面加工が施されている。
【0003】
ベベル加工やコンベックス加工等の曲面加工は、特許文献1に開示されるように、一般にバレル研磨法と呼ばれる方法で水晶振動片の外周に傾斜領域を形成している。しかし、最近はウエハ工法によるATカット水晶振動片の作製が進み、曲率加工を行うことが困難になった。そのため、メサ形状(段差形状)加工をATカット水晶振動片に施し、曲率加工の代用としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−18698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしメサ形状のATカット水晶振動片は、振動部で発生する主振動の振動エネルギーと、振動部周囲に形成される振動外周部で発生する不要振動の振動エネルギー等とが混在した状態となり、ATカット水晶振動片の特性を劣化させるという問題があった。
【0006】
本発明は、振動部の厚さ及び振動外周部の厚さを適切な値にすることで不要振動の発生が抑えられ、特性の劣化が防がれ、不良品発生率が低減されたメサ型のATカット水晶振動片を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点のメサ型のATカット水晶振動片は、矩形の励振部と、励振部の外周に形成され励振部よりも厚さが薄い励振外周部とを有し、38.4MHzで振動するメサ型のATカット水晶振動片において、振動部の厚さをTm(μm)、励振外周部の厚さをTs(μm)とするとき、式(Tm−Ts)/Tmが0.048以上であり0.2より小さい。
【0008】
第2観点のメサ型のATカット水晶振動片は、第1観点において、励振外周部の周囲を囲み且つ励振外周部を支持する外枠を有する。
【0009】
第3観点の水晶デバイスは、第1観点に記載のメサ型のATカット水晶振動片と、凹部が形成され凹部にメサ型のATカット水晶振動片を収容するベースと、凹部を密閉するリッドと、を備える。
【0010】
第4観点の水晶デバイスは、一主面と他主面とを有する第2観点に記載のメサ型のATカット水晶振動片と、外枠の一主面に接合される第1面を有するリッドと、外枠の他主面に接合される第2面を有するベースと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、振動部の大きさを適切な値にすることで不要振動の発生を抑え、不良品発生率が低減されたメサ型のATカット水晶振動片を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、水晶デバイス100の斜視図である。 (b)は、水晶デバイス100の断面図である。 (c)は、図1(b)のB−B断面図である。
【図2】(a)は、ATカット水晶振動片30の平面図である。 (b)は、図2(a)のD−D断面図である。
【図3A】(a)は、(Tm−Ts)が2μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。 (b)は、(Tm−Ts)が4μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。
【図3B】(c)は、(Tm−Ts)が6μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。 (d)は、(Tm−Ts)が8μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。 (e)は、(Tm−Ts)が10μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。
【図4】(a)は、水晶デバイス200の斜視図である。 (b)は、図4(a)のE−E断面図である。
【図5】(a)は、リッド210の平面図である。 (b)は、ATカット水晶振動片230の平面図である。 (c)は、ベース220の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
<水晶デバイス100の構成>
図1(a)は、水晶デバイス100の斜視図である。水晶デバイス100は、リッド10、ベース20、及びベース20内に載置されているATカット水晶振動片30(図1(b)参照)により構成されている。ATカットの水晶振動片は、主面が人工水晶の結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜している。このため、水晶デバイス100の長辺方向をx軸方向、水晶デバイス100の短辺方向をz’軸方向、水晶デバイス100の上下方向をy’軸方向として説明する。また本明細書の説明としてy’軸方向の高低を、+方向を高く−方向を低いと表現する。
【0015】
ベース20は、内側にキャビティ24(図1(b)参照)が形成されており、キャビティ24にはATカット水晶振動片30が載置されている。また、ベース20の底面には外部電極21が形成されている。リッド10は、キャビティ24を密封するようにベース20の+y’軸側に配置されている。リッド10は、セラミックス、ガラス、水晶又は金属等の材料により形成される。また、ベース20は、セラミックス、ガラス又は水晶等により形成される。
【0016】
図1(b)は、水晶デバイス100の断面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A又は後述する図1(c)のC−Cの断面図になっている。ベース20には凹部が形成されることによりキャビティ24が形成される。キャビティ24の下部には接続電極22が形成されており、接続電極22は、導通部(不図示)を通じて外部電極21と電気的に接続されている。ATカット水晶振動片30には、励振部31と励振部31の外周に形成されている励振外周部32とが形成されている。励振外周部32は励振部31よりも厚さが薄く形成されている。励振部31の上下の主面には励振電極33が形成されている。また励振外周部32には引出電極34が形成されており、この引出電極34は励振電極33と電気的に接続される。励振電極33及び引出電極34は、水晶の表面にクロム(Cr)層が形成され、クロム層の表面に金(Au)層を形成することにより作られている。また、引出電極34は導電性接着剤41を通して接続電極22と電気的に接続される。そのため、励振電極33は外部電極21と電気的に接続されることになる。
【0017】
図1(c)は、図1(b)のB−B断面図である。ベース20にはキャビティ24に2つの接続電極22が形成されている。一方の接続電極22はATカット水晶振動片30の励振部31の上面に形成されている励振電極33と電気的に接続されており、他方の接続電極22は励振部31の下面に形成されている励振電極33と電気的に接続されている。
【0018】
図2(a)はATカット水晶振動片30の平面図である。ATカット水晶振動片30のx軸方向は、水晶の結晶軸のX軸方向に一致している。また、ATカット水晶振動片30のz’軸方向は、水晶の結晶軸のX軸方向を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜した方向と一致している。ATカット水晶振動片30の外形のx軸方向の長さGxは例えば990μmであり、ATカット水晶振動片30の外形のz’軸方向の長さGzは例えば668μmである。また、励振部31のx軸方向の長さをMx、z’軸方向の長さをMzとする。
【0019】
図2(b)は、図2(a)のD−D断面図である。ATカット水晶振動片30の励振外周部32の厚さをTs、励振部31の厚さをTm、励振部31と励振外周部32との段差の高さをhとする。励振部31と励振外周部32との段差はATカット水晶振動片30の+y’軸側の面と−y’軸側の面とに形成されており、どちらの段差の高さも同じ高さに形成されている。また、段差の高さhは正であり、励振部31の厚さTmは励振外周部32の厚さTsよりも大きい。励振部31の厚さTmは、例えば41.8μmである。
【0020】
<励振部31の厚さTm及び励振外周部32の厚さTsに関して>
ATカット水晶振動片30の実際の製造工程では、励振部31の長さMxを精度よく形成することは難しく、励振部31の長さMxの製造誤差許容範囲が狭い場合には製品の不良率が上がる。そのため、励振部31の長さMxは製造誤差許容範囲を広く取ることができる設計とされることが望ましい。この製造許容範囲は、CI(クリスタルインピーダンス)値が低くなる範囲が選択されることによりATカット水晶振動片30に発生する不要振動が抑えられるように決められる。以下、図3A(a)から図3B(e)を参照して励振部31の長さMxの製造誤差許容範囲を広く取ることができる励振外周部32の厚さTs及び励振部31の厚さTmの関係について説明する。
【0021】
図3A(a)は、(Tm−Ts)が2μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。(Tm−Ts)が2μmである場合は段差の高さhが1μmである場合に相当する。また、励振部31の厚さTmが41.8μmである時に、励振外周部32の厚さTsは39.8μmとなる。図3A(a)の横軸は励振部31のx軸方向の長さMx(μm)を示し、縦軸はCI値を示している。
【0022】
図3A(a)中の黒い菱形は、振動周波数が38.4MHz、(Tm−Ts)が2μmの条件における実験値を示している。実験は1つの長さMxの値に対して複数のATカット水晶振動片30が作製され、それぞれのATカット水晶振動片30に対してCI値が求められている。図中の一点鎖線は、各長さMxの値におけるCI値の最高値と最低値との中間値を線分で結んでいる。以下、長さMxの製造誤差許容範囲を考慮するための目安として、CI値の最高値と最低値との中間値が80Ω以下となる長さMxの範囲をグラフより推測する。図3A(a)では、長さMxが約723μmより小さい時に中間値が80Ωより低くなっている。グラフからはCI値の中間値が80Ω以下になる長さMxの幅A1を求めることはできない。また、この時の(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは0.048となる。
【0023】
図3A(b)は、(Tm−Ts)が4μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。図3A(b)中の黒い菱形は、振動周波数が38.4MHz、(Tm−Ts)が4μmの条件における実験値を示している。(Tm−Ts)が4μmである場合は段差の高さhが2μmである場合に相当する。また、励振外周部32の厚さTsは37.8μmとなる。段差の高さh以外は図3A(a)と同様であるのでその説明を省略する。図3A(b)では、長さMxが約714μmから約731μmの間でATカット水晶振動片30のCI値の最高値と最低値との中間値が80Ω以下になると思われる。そのため、このCI値の中間値が80Ω以下になる長さMxの幅A2は約17μmと推測される。また、この時の(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは0.096となる。
【0024】
図3B(c)は、(Tm−Ts)が6μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。図3B(c)中の黒い菱形は、振動周波数が38.4MHz、(Tm−Ts)が6μmの条件における実験値を示している。(Tm−Ts)が6μmである場合は段差の高さhが3μmである場合に相当する。また、励振外周部32の厚さTsは35.8μmとなる。段差の高さh以外は図3A(a)と同様であるのでその説明を省略する。図3B(c)では、長さMxが約723μmから約736μmの間でATカット水晶振動片30のCI値の最高値と最低値との中間値が80Ω以下になると思われる。そのため、このCI値の中間値が80Ω以下になるMxの幅A3は約13μmと推測される。また、この時の(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは0.14となる。
【0025】
図3B(d)は、(Tm−Ts)が8μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。図3B(d)中の黒い菱形は、振動周波数が38.4MHz、(Tm−Ts)が8μmの条件における実験値を示している。(Tm−Ts)が8μmである場合は段差の高さhが4μmである場合に相当する。また、励振外周部32の厚さTsは33.8μmとなる。段差の高さh以外は図3A(a)と同様であるのでその説明を省略する。図3B(d)では、長さMxが約724μmから約735μmの間でATカット水晶振動片30のCI値の最高値と最低値との中間値が80Ω以下になると思われる。そのため、このCI値の中間値が723Ω以下になるMxの幅A4は約11μmと推測される。また、この時の(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは0.19となる。
【0026】
図3B(e)は、(Tm−Ts)が10μmである場合のCI値と励振部31のx軸方向の長さMxとの相関を示したグラフである。図3B(e)中の黒い菱形は、振動周波数が38.4MHz、(Tm−Ts)が10μmの条件における実験値を示している。(Tm−Ts)が10μmである場合は段差の高さhが5μmである場合に相当する。また、励振外周部32の厚さTsは31.8μmとなる。段差の高さh以外は図3A(a)と同様であるのでその説明を省略する。図3B(e)では、長さMxが約729μmから約735μmの間でATカット水晶振動片30のCI値の最高値と最低値との中間値が80Ω以下になると思われる。そのため、このCI値の中間値が80Ω以下になる長さMxの幅A5は約6μmと推測される。また、この時の(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは0.24となる。
【0027】
製品の不良発生率を下げるためには長さMxの製造許容範囲は10μm以上であることが好ましく、ATカット水晶振動片30が搭載された水晶発振器の諸特性に影響を及ぼさない状態にするには、CI値を80Ω以下とすることが好ましい。図3A(a)から図3B(e)における幅A1から幅A5の中で10μm以上となるのは(Tm−Ts)が4μmから8μmの場合である。この時、(Tm−Ts)とTmとの比(Tm−Ts)/Tmは、0.096から0.19である。また、図3A(a)は、幅A1は不明であるものの、幅A2から幅A5では(Tm−Ts)が小さくなるに従ってその値は大きくなっており、幅A1も10μm以上であると推測される。従って、(Tm−Ts)/Tmは、0.048以上であれば良いと考えられる。
【0028】
また、(Tm−Ts)/Tmの最大値は誤差を考えると概ね0.2よりも小さい値であれば良いと考えられる。すなわち、(Tm−Ts)/Tmは、0.048以上であり0.2より小さい値であることが望ましい。つまり、振動周波数が38.4MHzのATカット水晶振動片30においては、(Tm−Ts)/Tmは、0.048以上であり0.2より小さい値である時に、長さMxの製造誤差許容範囲を広く取ることができ、製品の不良率を下げることができると考えられる。またこの時にATカット水晶振動片30のCI値が下がり、振動部の不要振動の発生が抑えられ、特性の劣化が防止することができる。
【0029】
(第2実施形態)
ATカット水晶振動片30には外枠が形成されていても良い。以下に、外枠が形成されているATカット水晶振動片を備える水晶デバイス200について説明する。
【0030】
<水晶デバイス200の構成>
図4(a)は、水晶デバイス200の斜視図である。水晶デバイス200は、リッド210と、ATカット水晶振動片230と、ベース220とにより構成されている。水晶デバイス200は、上部にリッド210が配置され、下部にベース220が配置され、ATカット水晶振動片230はリッド210とベース220とに挟まれた位置に配置されている。また、ベース220の下面には外部電極221が形成されている。リッド210及びベース220は、ガラス又は水晶等の材料で形成されている。
【0031】
図4(b)は、図4(a)のE−E断面図である。ATカット水晶振動片230は、励振部231と励振部231の外周に形成されている励振外周部232とが形成されており、また励振外周部232の周囲を囲むように外枠235が形成されている。励振部231の一主面と他主面とにはそれぞれ励振電極233が形成され、引出電極234は励振電極233から励振外周部232を通り外枠235に形成されている。ATカット振動片230は、一対の励振電極233により電圧が印加されることにより所定の振動数で振動する。リッド210は外枠235の一主面とリッド210の−y’軸側の面に形成されている第1面211において接合され、ベース220は外枠235の他主面とベース220の+y’軸側の面に形成されている第2面223において接合される。また、ベース220の+y’軸側の面には接続電極222が形成されており、接続電極222はATカット水晶振動片230と接合される時に引出電極234と接続される。また、接続電極222は導通部(不図示)を通して外部電極221と電気的に接続されている。
【0032】
ATカット水晶振動片230は、励振部231の厚さがt、励振外周部232の厚さがGyになるように形成されている。励振部231と励振外周部232との段差は+y’軸側の面と−y’軸側の面とに形成されており、その高さはhである。また、ATカット水晶振動片30と同じくATカット水晶振動片230は人工水晶で形成されており、ATカット水晶振動片230の軸方向は、ATカット水晶振動片30の軸方向と同じである。
【0033】
図5(a)は、リッド210の平面図である。リッド210は、x軸方向に長軸、z’軸方向に短軸がある長方形の主面を有している。また、−y’軸側の面の外周部にはATカット水晶振動片230の外枠235に接続されている第1面211が形成されており、中央部には第1面211に囲まれるように凹部212が形成されている。
【0034】
図5(b)は、ATカット水晶振動片230の平面図である。ATカット振動片230と外枠235とは接続腕236により接続されている。外枠235は励振外周部232を接続腕236で支持している。励振部231に形成されている励振電極233から引き出されている引出電極234は、励振外周部232及び接続腕236を通り、外枠235の角まで形成されている。引出電極234は、外枠235の角の接続点237においてベース220に形成されている接続電極222と接続される。接続点237は、図5(b)で点線の楕円で示している外枠235の角の−y’軸側の面に形成されている。ATカット水晶振動片230の励振外周部234のx軸方向の長さGxは例えば990μmであり、ATカット水晶振動片230の励振外周部234のz’軸方向の長さGzは例えば700μmである。また、励振部231のx軸方向の長さをMx、z’軸方向の長さをMzとする。
【0035】
図5(c)はベース220の平面図である。ベース220の+y’軸側の面の外周部には、ATカット水晶振動片230の外枠235と接合する面である第2面223が形成されており、第2面223の内側には凹部225が形成されている。ベース220の+y’軸側の面の第2面223の一部にはATカット水晶振動片230の引出電極234の接続点237に電気的に接続する接続電極222が形成されている。
【0036】
ATカット水晶振動片に外枠が形成されていても、励振外周部と外枠とは接続腕で接続されているのみであり、励振外周部で発生する不要振動の振動エネルギーを大きく変化させない。そのため、(Tm−Ts)/Tmは、0.048以上であり0.2より小さい値であることはATカット水晶振動片230にも適用することができる。
【0037】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
10、210 … リッド
20、220 … ベース
21、221 … 外部電極
22、222 … 接続電極
24、224 … キャビティ
30、230 … ATカット水晶振動片
31、231 … 励振部
32、232 … 励振外周部
33、233 … 励振電極
34、234 … 引出電極
40 … 封止材
41 … 導電性接着剤
100、200 … 水晶デバイス
211 … 第1面
212、225 … 凹部
223 … 第2面
235 … 外枠
236 … 接続腕
237 … 接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の励振部と、前記励振部の外周に形成され前記励振部よりも厚さが薄い励振外周部とを有し、38.4MHzで振動するメサ型のATカット水晶振動片において、
前記振動部の厚さをTm(μm)、前記励振外周部の厚さをTs(μm)とするとき、式
(Tm−Ts)/Tm が0.048以上であり0.2より小さいメサ型のATカット水晶振動片。
【請求項2】
前記励振外周部の周囲を囲み且つ前記励振外周部を支持する外枠を有する請求項1に記載のメサ型のATカット水晶振動片。
【請求項3】
請求項1に記載のメサ型のATカット水晶振動片と、
凹部が形成され前記凹部に前記メサ型のATカット水晶振動片を収容するベースと、
前記凹部を密閉するリッドと、
を備える水晶デバイス。
【請求項4】
一主面と他主面とを有する請求項2に記載のメサ型のATカット水晶振動片と、
前記外枠の一主面に接合される第1面を有するリッドと、
前記外枠の他主面に接合される第2面を有するベースと、
を備える水晶デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54796(P2012−54796A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196303(P2010−196303)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】