説明

メシル酸フェノルドパムの調製方法

メシル酸フェノルドパム及びその中間体の調製のための方法及び中間体を供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、引例として本明細書に組み入れられる、2005年1月24日に出願された米国仮出願第60/646,942号、2005年2月3日に出願された第60/649,801号、及び2005年4月11日に出願された第60/670,419号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、メシル酸フェノルドパム及びその中間体の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
メシル酸フェノルドパムは、化学名6−クロロ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−(p−ヒドロキシフェニル)−1H−3−ベンズアゼピン−7,8−ジオール−メタンスルホン酸、及び以下の構造
【化1】

を有し、ドーパミンD1様受容体においてアゴニスト作用を有し、そしてα2−アドレナリン作用性受容体に適度な親和性を有する即効型血管拡張剤である。これは、D1様受容体に対してS異性体よりも約250倍高い親和性を有するR異性体を伴うラセミ混合物である。フェノルドパムは、シナプス前D2様ドーパミン受容体において、又はα−若しくはβ−アドレナリン作用性受容体においてアゴニスト作用を有さず、そしてアンジオテンシン変換酵素活性に影響するようには見えない。動物において、フェノルドパムは、冠血管、腎臓血管、腸間膜血管、及び末梢血管を拡張するが、血管拡張は全ての血管床において同じではない。正常な及び高血圧患者において、フェノルドパムは腎臓輸出及び輸入細動脈を拡張するようであり、これにより腎臓血流を増大させる。しかしながら心不全又は肝臓若しくは重篤な腎臓疾患を伴う患者における腎機能の有効な臨床効果は未だ示されていない。
【0004】
メシル酸フェノルドパム(以下FMとする)の調製のための合成は、第一級アミンのアルキル化の重要な工程を含む。米国特許第4,197,297号及び米国特許第4,171,359号において開示される合成は、重要な中間体である中間体III を得るために、等モル量のスチレンオキシドと3,4−ジアルコキシ−2−ハロフェネチルアミンを加熱することにより行われる。
【化2】

【0005】
これらの特許は、3,4−ジメトキシフェネチルアミン、即ち2−クロロホモベラトリルアミンを、p−メトキシスチレンオキシドでの縮合により中間体III に直接変換することを開示する。しかしながら中間体III は、わずか19%の収率でしか得られない。
【0006】
EP 0125053に開示される合成は、所望の中間体III を得るために、p−メトキシ−フェニルグリオキサルメチルヘミメルカプタルと2−クロロホモベラトリルアミンの縮合、続いて生じる化合物のカルボニル官能基及びチオエーテルの還元を含んで成る。しかしながらp−メトキシ−フェニルグリオキサルメチルヘミメルカプタルで開始する調製は複雑で時間を消費する。
【0007】
米国特許第5,292,521号は、2−クロロホモベラトリルアミンとの縮合にマンデル酸メチルの使用を含んで成る合成方法を開示する。しかしながら、当該方法の中間体であるマンデル酸メチルの調製は、非選択性であるジボラン還元工程を必要とし、即ち、縮合後に少なくとも1つの副生成物を導く。2−クロロホモベラトリルアミンでの縮合後、中間体III を得るために更なる還元工程が必要であり、40%の収率において得られる。
【0008】
Weinstock et al., J. MED. CHEM., 1986, 29, 2315は、p−メトキシスチレンオキシドの代わりに2−tert−ブトキシ−1−ブロモ−p−メトキシスチレンの使用を含んで成る合成方法を開示する。しかしながら、2−tert−ブトキシ−1−ブロモ−p−メトキシスチレンの調製は、商業的に入手可能な出発物質から4つの工程を必要とする。2−クロロホモベラトリルアミンとの縮合後、中間体III を得るために更なる還元工程が必要である。
【0009】
従って、既知の方法の制限を克服する、容易に入手可能な出発物質からの他の合成が必要とされる。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
ある観点において、本発明は、式:
【化3】

のフェノルドパムの中間体IIの調製方法であって、
式I
【化4】

の2−クロロホモベラトリルアミンの、式Iの遊離塩基である式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3モル当量以下の式II
【化5】

2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでのアルキル化反応による方法を供する。
【0011】
他の観点において、本発明は、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体IIを調製することによる、そして更にこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。
【0012】
更に他の観点において、本発明は、式II−sの構造
【化6】

の中間体IIの塩の調製方法であって、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解されたフェノルドパムの中間体IIを強酸と混ぜ合わせることを含んで成り、式中Xが強酸、好ましくはHBrである、方法を供する。
【0013】
ある観点において、本発明は、塩の沈殿を得るために、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解されたフェノルドパムの中間体IIを強酸と混ぜ合わせること、及び式IIの中間体を得るために塩基を添加することによる、フェノルドパムの中間体IIの精製方法を供する。
【0014】
他の観点において、本発明は新規な中間体II及びその塩を供する。
【0015】
更に他の観点において、本発明は中間体IIの結晶塩を供する。
【0016】
XがHBrである場合、式II−sの上記化合物は、以下の構造の中間体IIの臭化水素酸塩に対応する。
【化7】

【0017】
ある観点において、本発明は、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体IIの塩を調製すること、及び更にこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。
【0018】
他の観点において、本発明は、式II−sの中間体IIの塩を調製するための方法であって、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加することを含んで成る方法を供する。
【0019】
更に他の観点において、本発明は、上記構造のフェノルドパムの中間体III の調製方法を供する。更に他の観点において、本発明は、フェノルドパムの中間体II又はその塩を還元剤で還元することによる、構造
【化8】

のフェノルドパムの中間体III の調製方法を供する。
【0020】
ある観点において、本発明は、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体III を調製すること、及び更にこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。
【0021】
他の観点において、本発明は、フェノルドパムの式III の中間体の調製方法であって、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3モル当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加すること;還元剤で還元すること、及びフェノルドパムの式III の中間体を回収することを含んで成る方法を供する。
【0022】
発明の詳細な説明
第一級アミンのアルキル化反応は、通常大規模なジアルキル化及びトリアルキル化副産物を伴う。しかしながら本発明の方法は、フェノルドパムの中間体IIを産出する。
【0023】
第一級アミンのアルキル化反応は、通常大規模なジアルキル化及びトリアルキル化副産物を伴う。しかしながら本発明の方法は、ハロゲン化アルキルのモル当量あたり3モル当量の式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを使用すること、好ましくは約9:1の割合においてモノアルキル化生成物に誘導することにより、成功的なモノアルキル化反応を介してフェノルドパムの中間体II
【化9】

を産出する。当該反応の終了後、当該生成物は、過剰量の出発アミンから簡単な分離によりモノアルキル化生成物の塩として純粋状態において回収され、一方で高価な式Iの出発アミンは再利用される。
【0024】
本発明は、式I
【化10】

の2−クロロホモベラトリルアミンを、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3モル当量以下の式II
【化11】

の2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化することによる、フェノルドパムの中間体IIの調製方法を供する。
【0025】
上記アルキル化反応は、例えば、J. Med.Chem. 1986, 29, 1586に開示される方法に従い、塩として入手可能な、遊離塩基、式Iの2−クロロホモベラトリルアミン、において行われる。当該アルキル化反応を行う前に、当該塩基を、例えば、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンの塩、好ましくは塩化臭素酸塩をC1-2ハロゲン化炭化水素と水の混合物、及び塩基、好ましくは水酸化ナトリウムと混ぜ合わせることにより、あるいは当業界に既知ないずれかの方法により遊離させる。
【0026】
上記遊離塩基は、更に精製することなく、アルキル化工程において使用することができる。
【0027】
好ましくは、上記アルキル化は、混合物を得るために、約10℃〜約0℃の室温において、式Iの遊離塩基を水非混和性有機溶媒及び式Iの遊離塩基のモル当量あたり1/3モル当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンと混ぜ合わせることにより行われる。当該混合物は、沈殿を得るために、約5〜200分間維持される。
【0028】
好ましくは、式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンは、2−クロロ−4’−メトキシアセトフェノン、2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノン、及び2−ヨード−4’−メトキシアセトフェノンから選択される。より好ましくは、式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンは、2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノンである。
【0029】
好ましくは、式Iの遊離塩基は、1モル当量の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンあたり約3〜約5モル当量において、より好ましくは約3〜約3.3モル当量、そしてより更に好ましくは約3モル当量において使用される。
【0030】
好ましくは、水非混和性有機溶媒は、C1-2ハロゲン化炭化水素、C1-12脂肪族炭化水素、エーテル、及びC6-8芳香族炭化水素から成る群から選択される。好ましいC1-2ハロゲン化炭化水素は、C1-2塩素化炭化水素であり、より好ましくはジクロロメタン(以下DCMとする)、ジクロロエタン、又はクロロホルムである。好ましくはC1-12脂肪族炭化水素は、ヘキサン又はヘプタンのいずれかである。好ましいエーテルはジエチルエーテルである。好ましくは、C6-8芳香族炭化水素はトルエンである。もっとも好ましくは、水非混和性有機溶媒はDCMである。
【0031】
好ましくは、式Iの遊離塩基は、先ず、上記溶媒と組み合わされ、それから式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンが添加され、このように混合物中で過剰量の式Iの遊離塩基が維持される。
【0032】
好ましくは、上記反応物質は約5℃〜約0℃の温度、より好ましくは約2℃〜約0℃の温度において組み合わされる。
【0033】
好ましくは、上記混合物は、反応中撹拌される。
【0034】
好ましくは、上記混合物は、約10〜約100分間、より好ましくは約15分間維持される。
【0035】
本発明は、更に、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体IIを調製すること、及び更にこれをフェノルドパムに変換することよる、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。
【0036】
本発明はまた、構造
【化12】

の式II−sの中間体IIの塩の調製方法であって、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解したフェノルドパムの中間体IIを強酸と混ぜ合わせることを含んで成り、式中Xが強酸であり、好ましくはXがHBrである、方法を供する。
【0037】
好ましくは、上記水非混和性有機溶媒は、アルキル化反応において使用されるものと同じである。
【0038】
好ましくは、上記強酸は、メタンスルホン酸、塩酸、過塩素酸、硫酸、臭化水素酸、及びリン酸から成る群から選択される。最も好ましくは、上記強酸はHBrである。
【0039】
好ましくは、HBrの濃度は、約48%以下、より好ましくは約3.65%〜約48%であり、水の添加により希釈を得ることができる。
【0040】
上記塩は、好ましくは、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解したフェノルドパムの中間体IIを強酸と混ぜ合わせることにより得られた混合物を、約20℃〜約0℃、より好ましくは約10℃〜約0℃、そしてより更に好ましくは約4℃〜約2℃の温度冷却し、沈殿を形成することにより得ることができる。
【0041】
上記塩は、沈殿を回収することにより、好ましくは、フィルター及び真空ポンプを使用すること、続いて沈殿を水及び水非混和性有機溶媒で洗浄すること、そして真空オーブンで乾燥させることにより回収することができる。好ましくは当該塩は、約92%〜約100%の純度、より好ましくは約95%〜約100%の純度、より更に好ましくは約96%の純度において回収される。
【0042】
高価な未反応の式Iの2−クロロホモベラトリルアミンは、塩の沈殿を濾過することにより得られた濾液から再利用することができる。従って、濾液を含んで成る2つの相は分離され、そして当該水相を新たな非水非混和性有機溶媒、及び塩基、好ましくは水酸化ナトリウムと組み合わされる。pHを約10〜約11、好ましくは約10〜約10.5に調整した後、当該相を再度分離し、そして当該有機相を濃縮し、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを供する。
【0043】
本発明は、更に、塩の沈殿を得るために、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解したフェノルドパムの中間体IIを強酸と混ぜ合わせることにより得られた混合物を混ぜ合わせること、及び式IIの中間体を得るために塩基を添加することによる、フェノルドパムの中間体IIを精製する方法を供する。
【0044】
好ましくは、上記塩の沈殿は回収され、その後塩基と反応させる。
【0045】
本発明はまた、新規な中間体II及びその塩を供する。
【0046】
本発明は、式II−sの中間体IIの結晶塩を供する。
【0047】
XがBrである場合、式II−sの上記化合物は、以下の構造の中間体IIの臭化水素酸塩に対応する。
【化13】

フェノルドパムの中間体IIの臭化水素酸塩は、以下から選択されるデータにより特徴付けられる;約205℃の融解温度、約3.15,3.75,3.83,3.89,4.82,7.06,7.13,7.14,8.00及び9.11ppmにおけるピークを有する1H−NMR(DMSOd,75MHz)スペクトル、約29,46.3,51.9,55.7,57,60.0,111.6,114.3,125.4,126.4,127.2,127.3,130.6,144.9,154.2,164.2及び190.5ppmにおけるピークを有する13C−NMR(DMSOd,300MHz)スペクトル、並びに約(ESI+)MH+364のピークを有するマス・スペクトル。
【0048】
本発明は更に、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体IIの塩を調製すること、及び更にこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。
【0049】
本発明はまた、式II−sの中間体IIの塩の調製方法であって、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加することを含んで成る方法を供する。
【0050】
フェノルドパムの中間体IIの塩を得るための方法は、段階的に又は同時に、即ち塩の調製の前にフェノルドパムの中間体IIを単離することなく行うことができる。好ましくは当該方法は同時に行われる。
【0051】
フェノルドパムの中間体IIの塩は、更に精製することなく、還元工程において使用することができる。
【0052】
本発明は、フェノルドパムの中間体II又はその塩を還元剤で還元することによる、構造
【化14】

のフェノルドパムの中間体III の調製方法を供する。
【0053】
任意的に、フェノルドパムの中間体IIの塩は、還元工程を行う前に、遊離塩基、フェノルドパムの中間体II、に変換することができる。当該変換は、塩の完全な溶解を得るために、水非混和性有機溶媒と水の混合物中のフェノルドパムの中間体IIの塩の混合物と、塩基を反応させることにより行うことができる。完全に溶解した後、2つの相が得られ、そして分離する。
【0054】
好ましくは、上記変換は撹拌下において行われる。
【0055】
好ましくは、上記塩基は、有機又は無機のいずれかであってよい。好ましい無機塩基は、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化アンモニウムを含む。好ましい有機塩基は、トリエチルアミン、又はトリブチルアミンのいずれかである。より好ましい塩基は水酸化アンモニウムである。
【0056】
遊離塩基、フェノルドパムの中間体IIは、単離することなく還元工程に使用することができる。即ち有機相中に溶解され、相の分離後に得られる。
【0057】
上記還元は、混合物を得るために、好ましくはフェノルドパムの中間体II又はその塩を、水非混和性有機溶媒とC1-4アルコールの混合物、及び還元剤と混ぜ合わせることにより行うことができる。それから当該混合物は約90〜約120分間維持され、続いてフェノルドパムの中間体III が回収される。
【0058】
好ましくは、上記水非混和性有機溶媒は、上記アルキル化反応において使用されるものと同じである。好ましくは、上記C1-4アルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、又はイソプロパノール、より好ましくはメタノールである。
【0059】
好ましくは、上記混合物は撹拌下において維持される。
【0060】
好ましくは、上記還元剤は、水素化金属、より好ましくはLiAlH4、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、又はNaBH4から成る群から選択され、更により好ましくはNaBH4である。
【0061】
上記反応の進行は、HPLCによりモニターすることができる。
【0062】
フェノルドパムの中間体III は、残渣を得るために、上記混合物を水と混ぜ合わせること、続いて約5〜約20分間、好ましくは約15分間撹拌すること、及び濃縮された有機相を分離することにより回収することができる。それから当該残渣を、C1-6エステル、C1-6ケトン、及びC1-6ケトンとC1-6脂肪族炭化水素の混合物と混合し、続いて当該溶媒を蒸発させ、そして懸濁液を形成する2番目のC1-6エステルを添加する。当該懸濁液を好ましくは大気圧かつ加熱下において、約20分間〜約1時間撹拌し、それから約0℃〜約20℃の温度に約20分〜約1時間冷却し、フェノルドパムの中間体III を沈殿させる。それから当該沈殿を濾過により回収し、そしてC1-6エステルで洗浄し、好ましくは約0℃〜約5℃の温度に維持し、続いて真空オーブン中で乾燥させる。
【0063】
好ましくは、上記C1-6エステルは、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、又はプロピオン酸エチルである。好ましいC1-6ケトンは、アセトン又はメチルエチルケトンのいずれかである。好ましくは、C1-6脂肪族炭化水素はヘキサンである。より好ましくは、上記溶媒はC1-6エステルであり、最も好ましくは酢酸エチルである。
【0064】
上記懸濁液は、好ましくは約30分間撹拌される。
【0065】
好ましくは、上記冷却は30分間にわたり行われる。
【0066】
フェノルドパムの中間体III の調製のための本発明の方法は、製造目的に適当でなく、そして本発明の方法として有効でなく、且つコスト効率の悪い先行技術の方法と比較して、有効且つコストを効率的にし、そして工業規模に適用することも可能とする。
【0067】
本発明は更に、フェノルドパムの式III の中間体の調製方法であって、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加すること;還元剤で還元すること、及びフェノルドパムの式III の中間体を回収することを含んで成る方法を供する。
【0068】
本発明はまた、本発明の方法により記載されるとおり、フェノルドパムの中間体III を調製すること、及び更にこれをメシル酸フェノルドパムに変換すること、例えば、米国特許第4,171,359号に開示される方法による、メシル酸フェノルドパムの調製方法を供する。このように、フェノルドパムの中間体III は、フェノルドパムトリメチルエーテルを得るために、トリフルオロ酢酸、濃硫酸、及び水の混合物の存在下において環化させ、これをその後フェノールの存在下における臭素水素酸と反応させ、フェノルドパムの臭素水素酸塩を形成し、そして遊離塩基を遊離し、続いてメタンスルホン酸との塩形成によりフェノルドパム臭素水素酸塩をメシル酸フェノルドパムに変換することにより、メシル酸フェノルドパムに変換することできる。
【実施例】
【0069】
本発明において使用される2−クロロイソバニリンの製造方法は、その教示が本明細書中のその全体において組み入れられている、Faulkner and Woodcock, JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY, 1962, 4737における開示に基づく。しかしながら、クロロホルムよりも、塩素化はジオキサン溶媒において行われる。更に、本発明において、2−クロロ−3,4−ジメトキシベンズアルデヒドの製造方法は、その教示が本明細書中のその全体において組み入れられている、米国特許第4,160,765号における開示に基づく。
【0070】
2−クロロ−3,4−ジメトキシ−β−ニトロスチレンの製造のための本発明の方法は、米国特許第4,160,765号における開示に基づく。
【0071】
水素化リチウムアルミニウムを使用する2−クロロ−3,4−ジメトキシ−β−ニトロスチレンの還元は、米国特許第4,108,989号に記載され、その教示は本明細書中のその全体において組み入れられている。J. MED. CHEM., 1986, Vol 29, 1586に開示される改良された手順において、その教示は本明細書中のその全体において組み入れられており、当該水素化物還元は、無水塩化アルミニウムの存在下において行われる。改変された手順は、より高い収率において、より純粋な生成物に導き、そして本発明の方法のための基礎を形成する。
【0072】
HPLC
分析は、標準RP−18 250* 4.6mmカラムを使用し、25%0.013%H3PO4水溶液と75%アセトニトリルの混合物の2ml/mの抽出流、225nmリベレーターを使用し、生成物は、中間体III の10%以下の保持時間を伴い約10分で抽出される。
【0073】
実施例1: 2−クロロホモベラトリルアミン遊離塩基の調製
ガラス反応器に500グラムの2−クロロホモベラトリルアミン・ヒドロブロミド、1820グラムの非発熱性蒸留水(distilled apyrogenic water)、及び1820グラムのジクロロメタンを入れ、そして撹拌した。当該水相のpHを、221グラムの32重量パーセントの水酸化ナトリウム溶液で約10以下に調整した。二相に分離させ、そして当該有機相を、風袋を計測したBuchiフラスコに入れた。約60℃の浴温を使用して、大気圧において溶媒を蒸発させ、油状の残渣を得た(100%の収率)。2−クロロホモベラトリルアミン遊離塩基を3160グラムのジクロロメタン中に溶解させた。
【0074】
実施例2: 縮合によるフェノルドパム中間体IIの調製
ガラス容器に実施例1で得られた2−クロロホモベラトリルアミン遊離塩基を入れた。当該遊離塩基を撹拌し、そして約0℃〜約2℃に冷却した。それからガラス反応器に、更に129グラムの2−ブロモ−4’メトキシアセトフェノンを入れた。約15分後、沈殿が形成し、そして反応器の中身を約0℃〜約5℃において更に40〜50分間撹拌した。
【0075】
実施例3: フェノルドパム中間体IIヒドロブロミドの単離
実施例2のガラス反応器に、更に3000グラムの非発熱性蒸留水中の237グラムの48パーセント臭化水素酸の希釈溶液を入れた。生じた混合物を撹拌し、そして約2℃〜約4℃に冷却した。生じた沈殿を、ブフナーフィルター及び酸蒸気に適合する真空ポンプを使用して回収し、そして最初に1290グラムの非発熱性蒸留水で、次に322グラムのジクロロメタンでリンスした。真空は、母液が除去されなくなるまで適用した。少量の試料を減圧下において約60℃で乾燥し、そして205.2℃の融点が測定された。HPLCにより測定された純度は96%であった。全生成物を乾燥させると、約182グラムの中間体IIが得られた(73%の収率)。
【0076】
実施例4: 2−クロロホモベラトリルアミンの回収
実施例3において産生した中間体IIの沈殿を乾燥することなく使用した。実施例3由来の濾液をガラス反応器に入れ、そして二相に分離させた。下位の有機相を流し、廃棄した。それから反応器に1390グラムのジクロロメタンを入れ、撹拌し、そして199グラムの32パーセント水酸化ナトリウム溶液でpHを少なくとも10に調整した。二相に分離させ、そして下位の有機相を、風袋を計測したBuchiフラスコに入れた。約60℃の浴温で大気圧において、ほとんどの溶媒を蒸発させ、そしてそれから減圧を約50mbar以下の圧力に30分間適用させ、油状の残渣として236グラムの過剰量の2−クロロホモベラトリルアミンを得た。
【0077】
実施例5: 中間体IIの還元
ガラス反応器に、実施例3において単離したフェノルドパム中間体IIヒドロブロミド、2728グラムのジクロロメタン、及び1820グラムの非発熱性蒸留水を入れ、そして撹拌した。それから当該反応器に72.7グラムの25%水酸化アンモニウム溶液を入れ、そして当該ヒドロブロミドの溶解が完了するまで撹拌を続けた。二相に分離させた。下位の有機相をフラスコに引き抜き、そして上位の水相を廃棄した。
【0078】
当該有機相を反応器に戻し、そして15.2グラムの水素化ホウ素ナトリウム、及び910グラムのメタノールを添加した。当該混合物を、還元が完了(HPLCコントロール、方法9062M.M、限界0.5%の残留中間体II)するまで、約90〜約120分間撹拌した。
【0079】
フェノルドパム中間体III の単離
実施例5由来のガラス反応器に2270グラムの非発熱性蒸留水を入れ、そして内容物を約15分間撹拌した。相を分離させ、そして下位の有機相を抜いた。ローターにおけるBuchiフラスコ中で溶液を蒸発させ(大気圧/浴温60℃)、半結晶の残渣とした。
【0080】
それからBuchiフラスコに545グラムの酢酸エチルを入れ、そして約50mbar以下の圧力においてローターで当該溶液を再度蒸発させ、半結晶残渣を得た。それから当該Buchiフラスコに364グラムの酢酸エチルを入れ、そして生じた懸濁液を濾過性懸濁液が得られるまでローターで約30分間撹拌した(大気圧/浴温60℃)。
【0081】
Buchiフラスコの内容物を氷浴中で約0℃に約30分間冷却し、そして中間体III の沈殿をブフナーフィルターで回収し、氷浴中で約0℃に前もって冷却した127グラムの酢酸エチルでリンスした。回収した中間体III の結晶を真空オーブンにおいて約55℃〜約60℃で約12〜約16時間乾燥させ、99.5%のHPLC純度(89%の収率の還元)を伴う133グラムが得られた(2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノルドパムノンから全収率65%)。
【0082】
中間体II及びIII の生成物は、1H−NMR及び13C−NMR、並びにマス・スペクトルを使用して特長付けた。結果は図3〜11に供する。
【0083】
実施例6: フェノルドパム・ヒドロブロミドの調製
3リットルのガラス反応器に、実施例6において単離した106グラムのフェノルドパム中間体III 、及び530グラムのジクロロメタンを入れ、そして約0℃で撹拌した。撹拌した混合物に、265グラムのトリフルオロ酢酸、続いて42グラムの濃硫酸を添加した。2時間後、反応が完了したら、1500グラムの非発熱性蒸留水、及び500グラムのジクロロメタン、続いて285グラムの25重量パーセントの水酸化アンモニウム溶液を添加し、その間混合物を冷却しながら室温に維持した。
【0084】
抽出が完了後、分離した有機相を2リットルのフラスコで蒸発させ、油状の残渣を得た。それから106グラムのフェノールを添加し、そして微量のジクロロメタンを除去するために溶媒を再度蒸発させた。蒸発後、1166グラムの48パーセント臭化水素酸を添加した。それから当該混合物を低い窒素噴霧とともに約107℃に加熱し、そして当該温度において16時間継続的に撹拌した。
【0085】
それから当該混合物を冷却し、そして477グラムのテトラヒドロフランを添加した。室温において30分後、当該混合物をブフナー漏斗で濾過し、沈殿を477グラムの酢酸エチルでリンスし、そして減圧下60℃で3時間乾燥させ、82.4グラムの生成物を得た(73.5%の収率)。
【0086】
実施例7: メシル酸フェノルドパムの調製
2リットルのガラス反応器に79グラムのフェノルドパム・ヒドロブロミド、790グラムのメタノールを入れ、そして窒素下で30分間撹拌した。345グラムの非発熱性蒸留水中の18グラムの炭酸水素ナトリウム溶液を添加した。当該混合物を室温で15分間撹拌し、5℃に冷却し、そしてブフナー漏斗で濾過した。沈殿を400グラムの非発熱性蒸留水でリンスし、そして790グラムのメタノールと一緒に他のフラスコに移した。生じた混合物を19グラムのメタンスルホン酸で2.5のpHに酸性化した。清澄後、減圧下において溶液を400グラムに蒸発させ、400グラムの水を添加し、そして混合物を再度333グラムに蒸発させた。
【0087】
室温において16時間の撹拌後、沈殿をブフナー漏斗で濾過し、そして先ず40グラムの非発熱性蒸留水で、次に160グラムのイソプロパノールで洗浄した。減圧下において60℃で16時間の乾燥後、99.4パーセントのHPLC純度を有する、70.3グラムのメシル酸フェノルドパム(85.9%の収率)が得られた。
【0088】
実施例8: メシル酸フェノルドパムの精製
実施例8において調製されたタイプの100グラムのメシル酸フェノルドパムの溶液を、6300グラムの非発熱性蒸留水、700グラムのメタノール、及びpHを2.2にするために十分な量のメタンスルホン酸の混合物中に溶解させ、40×300mm C−18 CARTRIGEに入れ、そして約7リットルの12重量パーセントのメタノール酸溶液で抽出した。
【0089】
99パーセント以上の純度を有する画分を貯蔵し、濃縮し、そして実施例8に記載するとおり結晶化させた。生成物を1600グラムの熱イソプロパノールで粉末化し、冷却し、再度濾過し、そして最後に減圧下において80℃で16時間乾燥させた。結果として、87グラムの非吸湿性結晶である、100パーセントのHPLC純度を有する最初の生成物が得られた。
【0090】
本明細書中に開示される発明は、上述の対象を満足するために良く計算されていることは明らかであるが、多様な改変及び態様は、当業者により工夫されることができる。このように、付随の特許請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲中に含まれるように、これらの全ての改変及び態様を網羅することは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】フェノルドパム中間体IIのHBr塩の2次元1H−NMRロングレンジC−Hカップリングスペクトルを示す。
【図2】フェノルドパム中間体IIHBrの詳細な2次元1H−NMR C−Hカップリングスペクトルを示す。
【図3】フェノルドパム中間体IIHBrの詳細な2次元1H−NMR C−Hカップリングスペクトルを示す。
【図4】フェノルドパム中間体IIHBrのマス・スペクトルを示す。
【図5】フェノルドパム中間体III HBrの1H−NMRスペクトルを示す。
【図6】フェノルドパム中間体III HBrの13C−NMRスペクトルを示す。
【図7】フェノルドパム中間体III HBrのマス・スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造
【化1】

のフェノルドパムの中間体II、及び
以下の構造
【化2】

のその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の構造
【化3】

のフェノルドパムの中間体II。
【請求項3】
請求項1に記載の構造
【化4】

のフェノルドパムの中間体IIの塩。
【請求項4】
前記式中、XがHBrである、請求項4に記載の中間体IIの塩。
【請求項5】
約205.2℃の融解温度、約3.15,3.75,3.83,3.89,4.82,7.06,7.13,7.14,8.00及び9.11ppmにおいてピークを有する1H−NMR(DMSOd6,75MHz)スペクトル、約29,46.3,51.9,55.7,57,60.0,111.6,114.3,125.4,126.4,127.2,127.3,130.6,144.9,154.2,164.2及び190.5ppmにおいてピークを有する13C−NMR(DMSOd6,300MHz)スペクトル、及び約(ESI+)MH+364においてピークを有するマス・スペクトルから成る群から選択されるデータにより特徴付けられる、請求項1に記載の中間体IIの塩。
【請求項6】
約205.2℃の融解温度により特徴付けられる、請求項5に記載の中間体IIの塩。
【請求項7】
約3.15,3.75,3.83,3.89,4.82,7.06,7.13,7.14,8.00及び9.11ppmにおいてピークを有する1H−NMR(DMSOd6,75MHz)スペクトルにより特徴付けられる、請求項5に記載の中間体IIの塩。
【請求項8】
図1に示される1H−NMRスペクトルを実質的に有する、請求項7に記載の中間体IIの塩。
【請求項9】
約29,46.3,51.9,55.7,57,60.0,111.6,114.3,125.4,126.4,127.2,127.3,130.6,144.9,154.2,164.2及び190.5ppmにおいてピークを有する13C−NMR(DMSOd6,300MHz)スペクトルにより特徴付けられる、請求項5に記載の中間体IIの塩。
【請求項10】
図2に示される13C−NMRスペクトルスペクトルを実質的に有する、請求項1に記載の中間体IIの塩。
【請求項11】
約(ESI+)MH+364においてピークを有するマス・スペクトルにより特徴付けられる、請求項5に記載の中間体IIの塩。
【請求項12】
図4に示されるMSスペクトルを実質的に有する、請求項11に記載の中間体IIの塩。
【請求項13】
請求項4に記載の中間体IIの結晶塩。
【請求項14】
式I
【化5】

の2−クロロホモベラトリルアミンと式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3モル当量以下の式II
【化6】

の2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンとのアルキル化反応を含んで成る、請求項1に記載の中間体IIの調製方法。
【請求項15】
前記アルキル化が、混合物を得るために、約10℃〜約0℃の温度において、式Iの遊離塩基、及び水非混和性有機溶媒、及び式Iの遊離塩基のモル当量あたり1/3モル当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンを混ぜ合わせること、及び当該混合物を約5〜約200分間維持することにより行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式Iの遊離塩基が、1モル当量の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンあたり約3〜約5モル当量において使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式Iの遊離塩基が、1モル当量の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンあたり約3〜約3.3モル当量において使用される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式Iの遊離塩基が、1モル当量の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンあたり約3モル当量において使用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
水非混和性有機溶媒が、C1-2ハロゲン化炭化水素、C1-12脂肪族炭化水素、エーテル及びC6-8芳香族炭化水素から成る群から選択される、請求項15、33、43、46、50、60及び68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
1-12脂肪族炭化水素が、ヘキサン又はヘプタンのいずれかである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1-2ハロゲン化炭化水素が、C1-2塩素化炭化水素である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
1-2塩素化炭化水素が、ジクロロメタン、ジクロロエタン、又はクロロホルムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1-2塩素化炭化水素が、ジクロロメタンである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
水非混和性有機溶媒が、ジクロロメタンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンが、2−クロロ−4’−メトキシアセトフェノン、2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノン、及び2−ヨード−4’−メトキシアセトフェノンから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンが、2−ブロモ−4’−メトキシアセトフェノンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
最初に、式Iの遊離塩基と溶媒が混合され、その後に式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンが添加される、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記混合物が約5℃〜約0℃の温度に冷却される、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記混合物が約2℃〜約0℃の温度に冷却される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記混合物が反応中に撹拌される、請求項15に記載の方法。
【請求項31】
前記混合物が約10〜約100分間維持される、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
請求項2に記載の混合物を調製すること、及びこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法。
【請求項33】
中間体IIの塩の調製方法であって、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解された請求項2に記載の化合物と、酸を混ぜ合わせることを含んで成り、前記式中Xが強酸である方法。
【請求項34】
強酸が、塩酸、過塩素酸、硫酸、臭化水素酸、及びリン酸から成る群から選択される、請求項33、43、46、及び68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
強酸がHBrである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
HBrの濃度が約48%以下である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
HBrの濃度が約3.65%〜約48%である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
希釈が水の添加により得られる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記混合物が、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解された中間体IIと酸を混ぜ合わせることにより得られる、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記混合物が約20℃〜約0℃の温度に冷却される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記混合物が約10℃〜約0℃の温度に冷却される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記混合物が約4℃〜約2℃の温度に冷却される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
中間体IIの精製方法であって、塩の沈殿を得るために、水の存在下において、水非混和性有機溶媒中に溶解された請求項2に記載の化合物と、強酸を混ぜ合わせること、及び式IIの中間体を得るために塩基を添加することを含んで成る、方法。
【請求項44】
前記塩が回収され、その後塩基と反応させる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
請求項1に記載の化合物を調製すること、及びこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法。
【請求項46】
式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの遊離塩基のモル当量あたり1/3当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加することを含んで成る、請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項47】
前記方法が同時に又は段階的に行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記方法が同時に行われる、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
中間体IIが、更に精製することなく還元工程において使用される、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
請求項1に記載のフェノルドパムの中間体II又はその塩を還元剤で還元することによる、構造
【化7】

のフェノルドパムの中間体III の調製方法。
【請求項51】
還元工程が行われる前に、中間体IIが中間体IIの塩に変換される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記変換が、塩の完全な溶解を得るために、水非混和性有機溶媒と水の混合物中において、中間体IIの混合物を塩基と反応させること、及び得られた層を分離することにより行われる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記変換が撹拌下において行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記塩基が有機又は無機のいずれかである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記無機塩基が水酸化カリウムである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記無機塩基が水酸化カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化アンモニウムである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記有機塩基がトリエチルアミン又はトリブチルアミンのいずれかである、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記塩基が水酸化アンモニウムである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記中間体IIが、単離することなく還元工程に使用される、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
前記還元工程が、混合物を得るために、中間体IIを、水非混和性有機溶媒とC1-4アルコールの混合物、及び還元剤と混ぜ合わせること、当該混合物を約90〜約120分間維持すること、及びフェノルドパムの中間体III を回収することにより行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記混合物が撹拌条件下において維持される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記還元剤が、水素化金属錯体から成る群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記還元剤が水素化金属である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記水素化金属が、LiAlH4、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、又はNaBH4である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記還元剤がNaBH4である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
1-4アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、又はイソプロパノールである、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
1-4アルコールがメタノールである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
フェノルドパムの式III の中間体の調製方法であって、式Iの2−クロロホモベラトリルアミンを式Iの2−クロロホモベラトリルアミンのモル当量あたり1/3モル当量以下の式IIの2−ハロ−4’−メトキシアセトフェノンでアルキル化すること、及び水と水非混和性有機溶媒の存在下において強酸を添加すること、還元剤で還元すること、及びフェノルドパムの式III の中間体を回収することを含んで成る方法。
【請求項69】
フェノルドパムの中間体III を調製すること、及びこれをメシル酸フェノルドパムに変換することによる、メシル酸フェノルドパムの調製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2007−529569(P2007−529569A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505290(P2007−505290)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/002571
【国際公開番号】WO2006/079090
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(505216117)シコール インコーポレイティド (35)
【Fターム(参考)】