メタノールを製造するための方法及び反応器
平衡状態でのメタノールの製造のための触媒方法及び反応器の改善された設計であって、ここで、メタノールは、それが生成した時に、メタノール触媒の触媒活性を低下させることなく、反応器内で気相から液相へと分離される。これは、触媒粒子と間接的に接触している液状冷却剤の沸点または温度を調節することによって及び冷却表面積に対する触媒床体積の特定の比率を供することよって達成される。それによって、メタノールは、それが気相で生成した時に、その殆どが反応域内に均一に分布して配置された冷却表面の所で、及び仮にあったとしても触媒床の非常に限られた領域内で凝縮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスをメタノール合成触媒の存在下に転化することによるメタノールの工業的な製造法に関する。詳しくは、本発明は、平衡限界に関してメタノール製造法を向上して、それによってメタノールを、それが合成ガスから製造された際にその場で(in situ)分離することにより合成ガスの循環を減らすかまたは無くす、方法及び反応器である。
【背景技術】
【0002】
メタノールの製造は、以下の三つの平衡反応に基づく。
(1) CO + 2H2 <=> CH3OH
(2) CO2 + 3H2 <=> CH3OH + H2O
(3) CO + H2O <=> CO2 + H2
【0003】
平衡のために、合成ガスの一部しかメタノールに転化されず、合成ガスの残部はリサイクルする必要がある。合成ガスからメタノールをその場で分離することは米国特許第4,731,387号明細書(特許文献1)に開示されている。気体−固体滴下フロー型反応器(gas solid trickle flow reactor)において、メタノールを吸収材料によって除去し、そうして平衡状態が改善する。反応器を出た後、メタノールを吸収材料から脱着し、そして吸収材料は、反応器の入口にリサイクルされる。このようなシステムの欠点は、このシステムの複雑さにあり、作業上の困難さと比較的高い投資コストを招く。
【0004】
平衡限界を克服するための他の方法は、米国特許第5,262,443号明細書(特許文献2)に開示されている。そこでは触媒反応器は、製造されたメタノールの一部が触媒床中で凝縮する温度及び圧力で操業される。この発明を使用することによって、コストの掛かる合成ガスのリサイクルを減少するかまたは無くすことができる。しかし、このような操業には二つの欠点がある。
【0005】
ガス露点未満で操業するために、触媒温度を、触媒反応のための最適温度レベル未満まで下げなければならない。このようなより低い温度は、より低い活性の結果となり、これは必要な触媒量及び反応器コストを高める。
【0006】
第二の問題には、多孔性触媒中にメタノールが縮合することが関連する。触媒反応を開始するためには、合成ガスは、孔系を通して触媒内部に拡散しなければならない。孔がメタノールで埋められていると、拡散速度及び触媒活性がひどく低下してしまう。
【0007】
これらの二つの問題は、慣用のメタノール合成プロセスで得られる活性と比較して触媒活性を数倍低めてしまう。低められた活性の結果、凝縮反応器の規模を大きくしなければならず、これは、合成ガスのリサイクルを含む慣用の反応器と比べて、反応器をより高額なものとしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,731,387号明細書
【特許文献2】米国特許第5,262,443号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般的に、平衡状態でのメタノールの製造のための触媒方法及び反応器の向上された設計を供するものであり、ここで、メタノールは、メタノール触媒の触媒活性を低下させることなく、生成した時に、反応器内において気相から液相へと分離される。これは、触媒粒子と間接的に接触する液状冷却剤の温度を調節することによって及び触媒床の体積と冷却表面積との特定の比率を供することによって達成される。その場合、気相中に生成した時のメタノールの縮合は、その殆どが反応器内に均一に分布して配置された冷却表面のところで、及びたとえあったとしても触媒床の非常に限られた領域内で、起こる。
【0010】
より具体的には、本発明は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤により間接的に冷却されるメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を得ることによって、メタノールをそれが生成した時に冷却表面で凝縮するステップ、及び
冷却表面積(ACOOL)に対する沈定(settled)触媒床体積(VCAT)の比率が0.0125mと0.125mの間となるように冷却剤の沸点において冷却表面の面積(ACOOL)を調節することによって、メタノールの露点を超える温度に触媒温度を維持するステップ、
を含む、メタノールの製造のための方法を提供する。
【0011】
メタノールを製造するための本発明の更に別の方法は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却表面の面積(ACCOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように、冷却表面の面積(ACOOL)を調節することによってメタノールの露点より高い温度に触媒温度を維持するステップを含み、ここで触媒の相当径は、以下の等式によって計算される:
同じ大きさの触媒粒子の場合は、DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である。
【0012】
本発明の好ましい態様の一つでは、メタノール触媒粒子の温度は、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物を包含する加熱剤によってメタノールの露点より高い温度に維持される。この際、加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段中に通される。
【0013】
本発明方法の更なる態様は請求項12〜16に記載されている。
【0014】
加えて、本発明は、本発明の方法に有用なメタノール反応器も提供する。
【0015】
本発明の一つの面では、メタノール反応器は、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床、及びメタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段を含み、この際、冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VACAT/ACOOL)が60℃〜170℃の冷却剤の沸点において0.0125m〜0.125mである。
【0016】
本発明の更に別の面では、メタノール反応器は、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、ここで、冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(Z)が、60℃〜170℃の冷却剤の沸点において2.0〜30であり、この際、触媒の相当径は、以下の等式によって計算される:
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
更に、上記の本発明の反応器の好ましい態様は、共通のシェル内に、メタノール触媒の温度を、加熱剤によりメタノールの露点よりも高い温度に間接的に維持するように適応した加熱手段を含み、ここで冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比は0.3〜3.0である。
【0017】
本発明の更に別の対象は請求項17〜22に従う。
[発明の詳細な説明]
一般的に、本発明に使用される反応器のタイプはさほど重要ではない。液状冷却剤の必要な沸点または温度は、いずれの反応器タイプにおいても同じであり、そして冷却表面積に対する触媒の体積も同一となる。最も有用なメタノール反応器は、蒸気を上昇させるかまたは加圧された液状冷却剤を加熱するかのいずれかによって冷却された反応器である。
【0018】
液状冷却剤の“温度”は、伝達された熱の全部のうちの半分を受け取った後の冷却剤の温度と定義される平均温度である。
【0019】
三種の主要なメタノール反応器のタイプは次のものである:
反応器タイプ1: このタイプでは、合成ガスは触媒床の頂部から入り、触媒床は液状冷却剤によって間接的に囲まれており、そして合成ガス及び凝縮した液状メタノールは並流状態で下方に移動する。このような反応器の一例を図8の図面に示す。
反応器タイプ2: このタイプでは、合成ガスは触媒床の頂部から入り、液状冷却剤は触媒床によって間接的に囲まれ、そして合成ガス及び凝縮液は並流状態で下方に移動する。このような反応器の一例を図9に示す。
反応器タイプ3: このタイプでは、合成ガスは円筒状反応器軸に対して垂直に入り、液状冷却剤は触媒床によって間接的に囲まれ、そして合成ガス及び凝縮液メタノールは反応器中を半径方向に通される。このような反応器の一例を図11に示す。
【0020】
上記及び以下の記載における“間接的に囲まれ”という表現は、間接的な熱交換の一般的に知られている原理であり、ここで冷却もしくは加熱剤は、伝熱表面、例えば管の壁の形または熱交換器のプレートの形の伝熱表面によって冷却/加熱剤から分離されている他の液体と間接的に熱接触している。
【0021】
本発明に従い、メタノールが触媒床中で生成した時にそれを実質的に冷却表面で凝縮するためには、二つの相反する基準を満足しなければならない:
1. 触媒床中で十分に高い温度を得るために、熱流束は小さくなければならない。これは冷却領域を小さくするかまたは冷却剤の温度を上げることによって達成することができる。
2. 十分に高い温度は、高い熱の生産または高速の反応速度を必要とする。メタノール合成ガスがメタノールと熱力学的に平衡の場合には、触媒反応は停止し、それ故熱の生産は無くなる。それ故、製造されたメタノールが、高速で冷却表面に搬送されることを保証する必要がある。これは、冷却領域を大きくするか、または液状冷却剤の温度を低下させることによって達成できる。
【0022】
本発明によって、以下に詳しく記載するように液状冷却剤の特定の温度と共に、触媒体積と冷却表面積との間の比率の調整を介して凝縮を避けることによって触媒活性が高く維持される。
【0023】
触媒床中で製造されたメタノールの搬送路の長さは、触媒床中のメタノール濃度が、反応熱がそれが同搬送長によって除去された熱量を埋め合わせるような温度に高まるのに適当に低くなる長さに調節される。これと同時に、冷却表面の温度が縮合が起きるように十分に低く、かつ触媒床温度が、触媒上での凝縮が避けられそして高い反応速度が維持されるように高いことが保証される。
【0024】
この効果は、冷却表面の特定の温度において達成可能である。反応器から除去する必要のある熱は、実際上の理由から、蒸発熱によってまたは液状冷却剤の加熱によってのみ除去できる程度の量である。冷却領域の表面温度は、液状冷却剤の温度のそれと近い。
【0025】
触媒床中でのメタノールの凝縮を避けるために、製造熱は、冷却表面積に対する触媒体積の比率を高めることによって、冷却領域上で除去される熱を補うのに十分に高くなければならず、そして冷却表面積に対する触媒体積の比率は、製造されたメタノール蒸気を冷却表面に搬送するのに十分なものでなければならない。
【0026】
液状メタノールの再混入(re−entrainment)は実質的に低減するかまたは避けることが好ましい。液体の再混入は、冷却表面上で下方に流れる粗製メタノールの流動抵抗を低減することによって避けることができる。これは、0.002mを超える相当径を有する触媒粒子を使用することによって実現される。液体の再混入は、更に、図1〜7に示すような液体フィルム安定手段の使用によって減らすことができる。
【0027】
触媒床中への液状メタノールの再混入は、メタノールの露点を超える温度に触媒床の温度を維持する加熱領域を反応器に導入することによって避けることもできる。この加熱領域は、熱の生産が高モジュールガスの場合と同様に低い場合に、かつ触媒床の出口付近において、露点を超える温度に触媒温度を維持しもする。加熱領域は、冷却領域と同じく、触媒床内に強制温度勾配を得るために触媒床内に均一に分配される。熱の生産は、反応器の出口と比べて反応器の合成ガス入口の所での方が高いので、加熱領域は、反応器の入口領域付近で冷えるかもしれず、そして反応器の出口領域付近だけで触媒床を加熱する。冷却剤を、合成ガスと並流方向で導入することが好ましい。それによって、反応器の出口領域を、反応器の入口領域からの過剰の熱によって再加熱することができる。加熱領域に使用される加熱剤は、好ましくは、ボイラー供給水、蒸気またはこれらの混合物である。加熱剤の圧力は好ましくは約1.2MPa〜約6.4MPaである。
【0028】
本発明の方法及び反応器の主たる利点は、生成したメタノールを、凝縮を介して冷却表面上で気相から液相へと連続的に除去することによって得られる、反応器内でのメタノール合成ガスの高い転化率である。その結果、該メタノールプロセスは、未転化の合成ガスを再循環することなく、ワンススルー(once through)モードで行うことができる。
【0029】
慣用の沸騰水メタノール反応器と比較して、本発明の利点は増加した蒸気の製造である。というのも、縮合熱が、蒸気製造のために反応器中で利用され、他方、凝縮熱は典型的には次の冷却水凝縮器中で除去されるからである。
【0030】
ボイラー供給水を加熱することによって反応熱が除去される場合には、ボイラー供給水を、次いで、生成した蒸気を外部のフラッシュドラム中に流すことによって冷却することができる。
【0031】
慣用のメタノールプロセスの場合と同様に、幾つかの副生成物が生成し、これらは中でもアセトン及びメチルエチルケトンであり、これらは蒸留によって除去することが困難である。水素化反応は非常に高速であるので、これらのケトン類は、反応器中の所与の温度において熱力学的に平衡となる。上記ケトン類は、主に、冷却表面の所で凝縮した粗製メタノール中に溶解し、ここで、熱力学的平衡は、ケトン類からの対応するアルコールへの転化の方により有利となる。その結果、従来通りに操業されたメタノール反応器と比べて、製造されたメタノール中のケトン含有率が低くなる。
【0032】
上記のプロセスパラメータ並びに反応器設計及び寸法は、以下の手順によって調整することができる。
【0033】
生成したメタノールを冷却表面上で凝縮させるためには、冷却剤の温度は、メタノールの露点よりも低くなければならない。反応熱が、液状冷却剤の蒸発によって除去される場合には、液状冷却剤の圧力は、60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供するように調節しなければならない。反応熱が、液状冷却剤を加熱することによって除去される場合は、液状冷却剤の平均温度(TBW)は20℃〜170℃でなければならない。TBWは平均冷却剤温度である。平均温度とは、伝達された全ての熱のうちの半分を受け入れた後の冷却剤温度と定義される。蒸気上昇反応器(vapour rising reactors)では、平均温度は、液状冷却剤の沸点と近くなる。反応器入口での合成ガスの絶対圧は8.5MPaを超えなければならない。
【0034】
液状冷却剤の平均温度が決定したら、冷却表面積に対する触媒体積の比率を調節しなければならない。触媒床中のメタノールの凝縮を避けるためには、製造熱は、冷却表面積に対する触媒体積の比率を高めることによって、冷却領域上で除去された熱を埋め合わせるために十分に大きいものでなければならず、そして冷却表面積に対する触媒体積の比率は、製造されたメタノール蒸気を冷却表面に搬送するのに十分なものでなければならない。これらの両条件は、冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって達成できる。本発明の更に別の態様では、冷却表面の面積(ACOOL)は、冷却表面の面積(ACOOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率が2.0〜30となるように調節され、
ここで、DEQ[m]は、触媒粒子と同じ体積を有する球体の直径として計算された触媒ペレットの相当径であり、DEQ=(6*(粒子の体積[m3])/3.14)0.33)である。二つ以上のペレットサイズが使用される場合は、重量平均相当径は、DEQ=(Σw(i)*DEQ(i))3)0.33によって計算され、ここでw(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する粒子の重量割合であり;
VCAT[m3]は、反応器中での触媒の沈定嵩体積であり; そして
ACOOL[m2]は、メタノールの凝縮が起こる所である冷却表面の伝熱面積である。
【0035】
反応器タイプ1の場合には、ACOOLは、触媒管の全内側面積である。触媒管が縦型内部フィンを有する場合には、ACOOLは、フィンを付けた管によって取り囲まれた最大の円筒の外側面積である。反応器タイプ2及び3では、ACOOLは、TBWの温度を有する液状冷却剤を含む冷却管の全外側面積である。触媒管が縦型フィンを有する場合には、ACOOLは、フィンを付けた管を取り囲む最小の円筒の外側面積である。
【0036】
プレート型熱交換器が使用される場合には、ACOOLは、熱交換プレートを取り囲む最小の矩形の全外側面積である。
【0037】
触媒床中への液体の再混入が起こる場合または合成ガスの入口モジュールMが3を超える場合[ここで、M=(Y(H2)−Y(CO2))/(Y(CO)+Y(CO2))(Mは入口ガスモジュールであり、Yはモル分率である)]、上記に定義した反応器タイプ2及び3に第二の加熱領域AREHEAT[m2]を導入することが好ましい。この第二の加熱領域は、触媒温度がメタノールの露点より高い温度に維持されることを保証する。この加熱領域に使用される加熱剤は、液状媒体、蒸気またはこれらの混合物であることができ、ここで液状媒体の沸点は220℃〜280℃であり、蒸気の露点は220℃〜280℃である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1a】図1aは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。
【図1b】図1bは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。
【図2】図2は、本発明に使用するためのスチール製スパイラル型内部装備である。
【図3】図3は、本発明で使用するためのスチール製へリックス型内部装備を示す。
【図4】図4A及び4Bは、本発明に使用するための多孔性繊維内部装備を示す。
【図5】図5は、本発明に使用するための内部にフィンが付けられた触媒管2の横断面図である。
【図6】図6は、本発明で使用するために外側にフィンを装備した冷却管の横断面図である。
【図7】図7は、本発明に従い冷却領域として使用するための波形プレート型熱交換器である。
【図8】図8は、本発明の一つの具体的な態様による多管式(multi−tubular)メタノール反応器の縦断図を示す。
【図9】図9は、本発明の一つの特定の態様に従う、触媒床8と、触媒床内に配置された管状熱交換器11とを有するメタノール反応器の縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の一つの特定の態様による、メタノール触媒8の固定床を備えたメタノール反応器の縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の一つの特定の態様による、半径流型メタノール反応器の断面図である。
【図12】図12は、本発明に従うメタノールの製造のためのプロセスフロー図を示す。
【0039】
[図面の詳細な説明]
図1A及び1Bは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。液状冷却媒体1は、スチール製管2の外側にある。冷却管は、それの内壁に、壁とは間隔を空けて配置された円筒状のワイヤメッシュ3(詳細A)が備えられている。管2は固定触媒床4を収容している。床4内で気相で製造されたメタノールの凝縮液フィルム5は、管の内壁上にフィルムとして凝縮し、そして内壁とワイヤーゲージとの間を下方向に流れる。この配置は、冷却剤を管の内側に置き、ワイヤーゲージ円筒を管の外側に置き、そして触媒床をワイヤーゲージ円筒の外側に置くことによって、逆にすることができる。
【0040】
図2は、本発明に使用するためのスチール製スパイラル型内部装備である。液状冷却剤1は、スチール製管2の外側にある。スチール製スパイラル3は、固定触媒床4を収容した管2内に配置される。メタノール凝縮液フィルム5は、スパイラルの下側を伝って下方に流れる。
【0041】
図3は、本発明で使用するためのスチール製へリックス型内部装備を示す。液状冷却剤1はスチール製管2の外側1にある。スチール製へリックス3は固定触媒床4の内部に配置される。メタノール縮合液フィルム5は内壁管2上を下方に流れ、そして管2中を軸方向に通る合成ガスの強制回転によって生じる遠心力によって壁2に押し付けられる。管2は、互いに螺旋を180℃ずらして二つのへリックス3を装備することができる。
【0042】
図4A及び4Bは、本発明に使用するための多孔性繊維内部装備を示す。液状冷却剤は、織成繊維円筒3またはセラミックで結合した繊維マット円筒が管2の内壁上に装備された冷却管2の周りを囲んでいる。固定触媒床4は管2内に配置されている。メタノール凝縮液フィルム5は、多孔性繊維内部装置の内部を下方に流れる。この配置は、冷却剤を管2の内側に置き、装備3を管の外側に置き、そして触媒床4を装備3の外側に置くことによって、逆にすることができる。
【0043】
図5は、本発明に使用するための内部にフィンが付けられた触媒管2の横断面図である。液状冷却剤1は、縦型フィンが付けられたスチール製管2の外側にあり、ここで内部フィンの数は、管の称呼(nominal)内径に3.14を掛けて、これを触媒ペレットの相当径で割った値よりも多いのが好ましい。内部フィンは、スチール壁と触媒床との間に空隙を生み、メタノール凝縮液がより抵抗少なく流下することを可能にする。固定触媒床3は管の内部に配置されて、そしてメタノール凝縮液フィルム4は、管の内壁と触媒床4との間を下方に流れる。
【0044】
図6は、本発明で使用するために外側にフィンを装備した冷却管の横断面図である。液状冷却剤1は、縦型フィンが付けられたスチール製管2の外側にあり、ここで、外側フィンの数は、好ましくは、管の称呼(nominal)外径に3.14を掛けて、これを触媒ペレットの相当径で割った値よりも多いのが好ましい。この外側フィンは、スチール壁と触媒床との間に空隙を生み、メタノール凝縮液フィルム4が、より抵抗少なく管の内壁上を流れることを可能にする。
【0045】
図7は、本発明に従い冷却領域として使用するための波形プレート型熱交換器である。液状冷却剤1は、入口1aから導入され、そして出口2aからガス形態2で熱交換器を出る。固定触媒床3は該プレート型熱交換器を取り囲む。熱交換器には、正弦波形(sinoidal corrugated)表面4が供されており、これは、触媒粒子と熱交換器表面との間に空隙を供して、凝縮したメタノール5が、より抵抗少なく表面上を流れることを可能にする。正弦波形の波長は、触媒の相当径よりも短い。
【0046】
図8は、本発明の一つの具体的な態様による多管式(multi−tubular)メタノール反応器の縦断図を示す。この反応器は、それの圧力シェル14内に、合成ガス入口1、マンホール2、液状冷却剤のための入口4、冷却媒体の液体−蒸気混合物のための出口5、未転化の合成ガス及び液状粗製メタノールのための出口9、及び液体トレイン12を備える。反応器の頂部3には、上部管シート6があり、頂部3には、場合により、触媒を部分的に充填してもよい。反応器の底部領域には、下部管シート7、不活性球体8の支持床、及び不活性床を支える有孔格子11がある。複数の管13はメタノール触媒で充填され、これらの管はそれぞれ上述のような液体安定化装備を有してもよい。これらの管は三角位置で配置される。管の内部で生成されるメタノールは、冷却剤で冷却される管の内壁上で凝縮し、そして流下して出口9に至る。
【0047】
図9は、本発明の一つの特定の態様に従う、触媒床8と、触媒床内に配置された管状熱交換器11とを有するメタノール反応器の縦断面図である。メタノール合成ガスは入口1から導入され、そして触媒床8内に通される。液状冷却剤は、入口マニホルド4を介して管状熱交換器11中に導入され、そして出口マニホルド5を通して蒸気−液体混合物の形で抜かれる。反応器の底部において、有孔支持格子6は不活性球体の支持床9を支える。触媒の主要部は、複数の管、外側表面に液体フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなる熱交換器11の間に配置される。メタノールは、触媒床内で生成すると、熱交換器11の表面上で凝縮し、そして出口10を通して液相中に回収される。
【0048】
図10は、本発明の一つの特定の態様による、メタノール触媒8の固定床を備えたメタノール反応器の縦断面図である。床8内には、管状熱交換器11の形の冷却表面と、管状熱交換器15の形の加熱表面とが装備されている。反応器の底部では、有孔支持格子6が不活性球体の支持床9を支えている。メタノール合成ガスは、入口1を介して床8内に導入される。加熱剤は、入口マニホルド13を介して熱交換器15に導入され、そして出口マニホルド14を通して抜かれる。液状冷却剤は入口マニホルド4を介して熱交換器11に導入され、そして出口マニホルド5を通して抜かれる。床8内で生成されるメタノールは熱交換器11の冷却表面上で凝縮し、そして反応器から出口10を通して液相中に回収される。熱交換器11の冷却表面は、複数の管、外側表面に液状フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなり、そこで粗製メタノールが凝縮する。熱交換器15は、触媒床の温度を、生成したメタノールの露点よりも高い温度に維持し、そして複数の管かまたは熱交換プレートのいずれかからなる。
【0049】
図11は、本発明の一つの特定の態様による、半径流型メタノール反応器の断面図である。メタノール合成ガスは入口1を介して反応器中に導入される。合成ガスは、円筒状有孔円筒7を通して反応器の周辺から半径方向で触媒床14内に導通される。前記円筒状有孔円筒7は触媒床を収容し、そして入口合成ガスを有孔の中央管6に渡し、そこで、触媒と接触して、残留合成ガス及び生成した液状粗製メタノールが出口13を通して抜き出される。複数の管、外側表面上に液体フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなる熱交換器9の形の冷却表面は、触媒床14内に配置されている。液状冷却剤は入口4を通して熱交換器に導入され、そして出口5を通して抜かれる。冷却剤は、円形マニホルドによって熱交換器に分配され、そして出口マニホルド11によって熱交換器から出口の所で集められる。
【0050】
図12は、本発明に従うメタノールの製造のためのプロセスフロー図を示す。メタノール合成ガス1は合成ガス圧縮器で圧縮され、そして現在産業的に典型的に使用される慣用の多管式沸騰水反応器(multi−tubular boiling water reactor)5に渡される。メタノール及び未転化の合成ガスを含む反応器5からの流出流は分離器9に渡されそして合成ガス富化流10と、メタノール富化流17とに分離される。流れ10は、本発明に従い設計されているメタノール反応器11に導入される。60〜170℃の沸点を有する冷却剤が入口13を介して反応器11に導入され、そして出口12から抜かれる。加熱剤は入口18を通して導入されそして出口19を通して抜かれる。液状メタノール及び未転化の合成ガスを含む反応器11からの流出流は分離器15に渡されそして合成ガス流16と液状メタノール流20に分離され、後者は、ライン17において反応器9からのメタノール流と一緒にされる。
【実施例】
【0051】
例1
上記のタイプ1の方法及び反応器のための反応器設計及びプロセス条件を、次の予め決められた値に基づいて以下の等式を用いて決定する。
P=合成ガス入口での12.55MPa反応器圧力;
反応器入口での合成ガス組成:
Y(CH3OH)=0.255;Y(H2)=0.438;Y(CO)=0.148;Y(CO2)=0.075;Y(H2O)=0.006
触媒粒子の相当径:
DEQ=0.006m
TBW=130℃、z=5の所定の設計値をもって、反応器内部の冷却表面上でのメタノールの最適な凝縮を有する以下の反応器設計を次のように決定することができる:
Z=VCAT/(ACOOL*DEQ)及びZ及びDEQが既知であるので、VCAT/ACOOLは、VCAT/ACOOL=5*0.006m=0.03mと計算することができる。
【0052】
タイプ1の多管式反応器では、VCAT/ACOOLの比率は、管の内径の1/4に等しく、管の内径は0.12mとなる。
【0053】
平均液状冷却剤温度TBWを130℃に維持するために、5.0MPa及び110℃の加圧されたボイラー供給水を反応器の冷却のために使用し、冷却剤の流れを、150℃の冷却剤出口温度を得るために調節して、130℃の平均冷却剤温度を得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスをメタノール合成触媒の存在下に転化することによるメタノールの工業的な製造法に関する。詳しくは、本発明は、平衡限界に関してメタノール製造法を向上して、それによってメタノールを、それが合成ガスから製造された際にその場で(in situ)分離することにより合成ガスの循環を減らすかまたは無くす、方法及び反応器である。
【背景技術】
【0002】
メタノールの製造は、以下の三つの平衡反応に基づく。
(1) CO + 2H2 <=> CH3OH
(2) CO2 + 3H2 <=> CH3OH + H2O
(3) CO + H2O <=> CO2 + H2
【0003】
平衡のために、合成ガスの一部しかメタノールに転化されず、合成ガスの残部はリサイクルする必要がある。合成ガスからメタノールをその場で分離することは米国特許第4,731,387号明細書(特許文献1)に開示されている。気体−固体滴下フロー型反応器(gas solid trickle flow reactor)において、メタノールを吸収材料によって除去し、そうして平衡状態が改善する。反応器を出た後、メタノールを吸収材料から脱着し、そして吸収材料は、反応器の入口にリサイクルされる。このようなシステムの欠点は、このシステムの複雑さにあり、作業上の困難さと比較的高い投資コストを招く。
【0004】
平衡限界を克服するための他の方法は、米国特許第5,262,443号明細書(特許文献2)に開示されている。そこでは触媒反応器は、製造されたメタノールの一部が触媒床中で凝縮する温度及び圧力で操業される。この発明を使用することによって、コストの掛かる合成ガスのリサイクルを減少するかまたは無くすことができる。しかし、このような操業には二つの欠点がある。
【0005】
ガス露点未満で操業するために、触媒温度を、触媒反応のための最適温度レベル未満まで下げなければならない。このようなより低い温度は、より低い活性の結果となり、これは必要な触媒量及び反応器コストを高める。
【0006】
第二の問題には、多孔性触媒中にメタノールが縮合することが関連する。触媒反応を開始するためには、合成ガスは、孔系を通して触媒内部に拡散しなければならない。孔がメタノールで埋められていると、拡散速度及び触媒活性がひどく低下してしまう。
【0007】
これらの二つの問題は、慣用のメタノール合成プロセスで得られる活性と比較して触媒活性を数倍低めてしまう。低められた活性の結果、凝縮反応器の規模を大きくしなければならず、これは、合成ガスのリサイクルを含む慣用の反応器と比べて、反応器をより高額なものとしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,731,387号明細書
【特許文献2】米国特許第5,262,443号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、一般的に、平衡状態でのメタノールの製造のための触媒方法及び反応器の向上された設計を供するものであり、ここで、メタノールは、メタノール触媒の触媒活性を低下させることなく、生成した時に、反応器内において気相から液相へと分離される。これは、触媒粒子と間接的に接触する液状冷却剤の温度を調節することによって及び触媒床の体積と冷却表面積との特定の比率を供することによって達成される。その場合、気相中に生成した時のメタノールの縮合は、その殆どが反応器内に均一に分布して配置された冷却表面のところで、及びたとえあったとしても触媒床の非常に限られた領域内で、起こる。
【0010】
より具体的には、本発明は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤により間接的に冷却されるメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を得ることによって、メタノールをそれが生成した時に冷却表面で凝縮するステップ、及び
冷却表面積(ACOOL)に対する沈定(settled)触媒床体積(VCAT)の比率が0.0125mと0.125mの間となるように冷却剤の沸点において冷却表面の面積(ACOOL)を調節することによって、メタノールの露点を超える温度に触媒温度を維持するステップ、
を含む、メタノールの製造のための方法を提供する。
【0011】
メタノールを製造するための本発明の更に別の方法は、水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却表面の面積(ACCOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように、冷却表面の面積(ACOOL)を調節することによってメタノールの露点より高い温度に触媒温度を維持するステップを含み、ここで触媒の相当径は、以下の等式によって計算される:
同じ大きさの触媒粒子の場合は、DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である。
【0012】
本発明の好ましい態様の一つでは、メタノール触媒粒子の温度は、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物を包含する加熱剤によってメタノールの露点より高い温度に維持される。この際、加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段中に通される。
【0013】
本発明方法の更なる態様は請求項12〜16に記載されている。
【0014】
加えて、本発明は、本発明の方法に有用なメタノール反応器も提供する。
【0015】
本発明の一つの面では、メタノール反応器は、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床、及びメタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段を含み、この際、冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VACAT/ACOOL)が60℃〜170℃の冷却剤の沸点において0.0125m〜0.125mである。
【0016】
本発明の更に別の面では、メタノール反応器は、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、ここで、冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(Z)が、60℃〜170℃の冷却剤の沸点において2.0〜30であり、この際、触媒の相当径は、以下の等式によって計算される:
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
更に、上記の本発明の反応器の好ましい態様は、共通のシェル内に、メタノール触媒の温度を、加熱剤によりメタノールの露点よりも高い温度に間接的に維持するように適応した加熱手段を含み、ここで冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比は0.3〜3.0である。
【0017】
本発明の更に別の対象は請求項17〜22に従う。
[発明の詳細な説明]
一般的に、本発明に使用される反応器のタイプはさほど重要ではない。液状冷却剤の必要な沸点または温度は、いずれの反応器タイプにおいても同じであり、そして冷却表面積に対する触媒の体積も同一となる。最も有用なメタノール反応器は、蒸気を上昇させるかまたは加圧された液状冷却剤を加熱するかのいずれかによって冷却された反応器である。
【0018】
液状冷却剤の“温度”は、伝達された熱の全部のうちの半分を受け取った後の冷却剤の温度と定義される平均温度である。
【0019】
三種の主要なメタノール反応器のタイプは次のものである:
反応器タイプ1: このタイプでは、合成ガスは触媒床の頂部から入り、触媒床は液状冷却剤によって間接的に囲まれており、そして合成ガス及び凝縮した液状メタノールは並流状態で下方に移動する。このような反応器の一例を図8の図面に示す。
反応器タイプ2: このタイプでは、合成ガスは触媒床の頂部から入り、液状冷却剤は触媒床によって間接的に囲まれ、そして合成ガス及び凝縮液は並流状態で下方に移動する。このような反応器の一例を図9に示す。
反応器タイプ3: このタイプでは、合成ガスは円筒状反応器軸に対して垂直に入り、液状冷却剤は触媒床によって間接的に囲まれ、そして合成ガス及び凝縮液メタノールは反応器中を半径方向に通される。このような反応器の一例を図11に示す。
【0020】
上記及び以下の記載における“間接的に囲まれ”という表現は、間接的な熱交換の一般的に知られている原理であり、ここで冷却もしくは加熱剤は、伝熱表面、例えば管の壁の形または熱交換器のプレートの形の伝熱表面によって冷却/加熱剤から分離されている他の液体と間接的に熱接触している。
【0021】
本発明に従い、メタノールが触媒床中で生成した時にそれを実質的に冷却表面で凝縮するためには、二つの相反する基準を満足しなければならない:
1. 触媒床中で十分に高い温度を得るために、熱流束は小さくなければならない。これは冷却領域を小さくするかまたは冷却剤の温度を上げることによって達成することができる。
2. 十分に高い温度は、高い熱の生産または高速の反応速度を必要とする。メタノール合成ガスがメタノールと熱力学的に平衡の場合には、触媒反応は停止し、それ故熱の生産は無くなる。それ故、製造されたメタノールが、高速で冷却表面に搬送されることを保証する必要がある。これは、冷却領域を大きくするか、または液状冷却剤の温度を低下させることによって達成できる。
【0022】
本発明によって、以下に詳しく記載するように液状冷却剤の特定の温度と共に、触媒体積と冷却表面積との間の比率の調整を介して凝縮を避けることによって触媒活性が高く維持される。
【0023】
触媒床中で製造されたメタノールの搬送路の長さは、触媒床中のメタノール濃度が、反応熱がそれが同搬送長によって除去された熱量を埋め合わせるような温度に高まるのに適当に低くなる長さに調節される。これと同時に、冷却表面の温度が縮合が起きるように十分に低く、かつ触媒床温度が、触媒上での凝縮が避けられそして高い反応速度が維持されるように高いことが保証される。
【0024】
この効果は、冷却表面の特定の温度において達成可能である。反応器から除去する必要のある熱は、実際上の理由から、蒸発熱によってまたは液状冷却剤の加熱によってのみ除去できる程度の量である。冷却領域の表面温度は、液状冷却剤の温度のそれと近い。
【0025】
触媒床中でのメタノールの凝縮を避けるために、製造熱は、冷却表面積に対する触媒体積の比率を高めることによって、冷却領域上で除去される熱を補うのに十分に高くなければならず、そして冷却表面積に対する触媒体積の比率は、製造されたメタノール蒸気を冷却表面に搬送するのに十分なものでなければならない。
【0026】
液状メタノールの再混入(re−entrainment)は実質的に低減するかまたは避けることが好ましい。液体の再混入は、冷却表面上で下方に流れる粗製メタノールの流動抵抗を低減することによって避けることができる。これは、0.002mを超える相当径を有する触媒粒子を使用することによって実現される。液体の再混入は、更に、図1〜7に示すような液体フィルム安定手段の使用によって減らすことができる。
【0027】
触媒床中への液状メタノールの再混入は、メタノールの露点を超える温度に触媒床の温度を維持する加熱領域を反応器に導入することによって避けることもできる。この加熱領域は、熱の生産が高モジュールガスの場合と同様に低い場合に、かつ触媒床の出口付近において、露点を超える温度に触媒温度を維持しもする。加熱領域は、冷却領域と同じく、触媒床内に強制温度勾配を得るために触媒床内に均一に分配される。熱の生産は、反応器の出口と比べて反応器の合成ガス入口の所での方が高いので、加熱領域は、反応器の入口領域付近で冷えるかもしれず、そして反応器の出口領域付近だけで触媒床を加熱する。冷却剤を、合成ガスと並流方向で導入することが好ましい。それによって、反応器の出口領域を、反応器の入口領域からの過剰の熱によって再加熱することができる。加熱領域に使用される加熱剤は、好ましくは、ボイラー供給水、蒸気またはこれらの混合物である。加熱剤の圧力は好ましくは約1.2MPa〜約6.4MPaである。
【0028】
本発明の方法及び反応器の主たる利点は、生成したメタノールを、凝縮を介して冷却表面上で気相から液相へと連続的に除去することによって得られる、反応器内でのメタノール合成ガスの高い転化率である。その結果、該メタノールプロセスは、未転化の合成ガスを再循環することなく、ワンススルー(once through)モードで行うことができる。
【0029】
慣用の沸騰水メタノール反応器と比較して、本発明の利点は増加した蒸気の製造である。というのも、縮合熱が、蒸気製造のために反応器中で利用され、他方、凝縮熱は典型的には次の冷却水凝縮器中で除去されるからである。
【0030】
ボイラー供給水を加熱することによって反応熱が除去される場合には、ボイラー供給水を、次いで、生成した蒸気を外部のフラッシュドラム中に流すことによって冷却することができる。
【0031】
慣用のメタノールプロセスの場合と同様に、幾つかの副生成物が生成し、これらは中でもアセトン及びメチルエチルケトンであり、これらは蒸留によって除去することが困難である。水素化反応は非常に高速であるので、これらのケトン類は、反応器中の所与の温度において熱力学的に平衡となる。上記ケトン類は、主に、冷却表面の所で凝縮した粗製メタノール中に溶解し、ここで、熱力学的平衡は、ケトン類からの対応するアルコールへの転化の方により有利となる。その結果、従来通りに操業されたメタノール反応器と比べて、製造されたメタノール中のケトン含有率が低くなる。
【0032】
上記のプロセスパラメータ並びに反応器設計及び寸法は、以下の手順によって調整することができる。
【0033】
生成したメタノールを冷却表面上で凝縮させるためには、冷却剤の温度は、メタノールの露点よりも低くなければならない。反応熱が、液状冷却剤の蒸発によって除去される場合には、液状冷却剤の圧力は、60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供するように調節しなければならない。反応熱が、液状冷却剤を加熱することによって除去される場合は、液状冷却剤の平均温度(TBW)は20℃〜170℃でなければならない。TBWは平均冷却剤温度である。平均温度とは、伝達された全ての熱のうちの半分を受け入れた後の冷却剤温度と定義される。蒸気上昇反応器(vapour rising reactors)では、平均温度は、液状冷却剤の沸点と近くなる。反応器入口での合成ガスの絶対圧は8.5MPaを超えなければならない。
【0034】
液状冷却剤の平均温度が決定したら、冷却表面積に対する触媒体積の比率を調節しなければならない。触媒床中のメタノールの凝縮を避けるためには、製造熱は、冷却表面積に対する触媒体積の比率を高めることによって、冷却領域上で除去された熱を埋め合わせるために十分に大きいものでなければならず、そして冷却表面積に対する触媒体積の比率は、製造されたメタノール蒸気を冷却表面に搬送するのに十分なものでなければならない。これらの両条件は、冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって達成できる。本発明の更に別の態様では、冷却表面の面積(ACOOL)は、冷却表面の面積(ACOOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率が2.0〜30となるように調節され、
ここで、DEQ[m]は、触媒粒子と同じ体積を有する球体の直径として計算された触媒ペレットの相当径であり、DEQ=(6*(粒子の体積[m3])/3.14)0.33)である。二つ以上のペレットサイズが使用される場合は、重量平均相当径は、DEQ=(Σw(i)*DEQ(i))3)0.33によって計算され、ここでw(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する粒子の重量割合であり;
VCAT[m3]は、反応器中での触媒の沈定嵩体積であり; そして
ACOOL[m2]は、メタノールの凝縮が起こる所である冷却表面の伝熱面積である。
【0035】
反応器タイプ1の場合には、ACOOLは、触媒管の全内側面積である。触媒管が縦型内部フィンを有する場合には、ACOOLは、フィンを付けた管によって取り囲まれた最大の円筒の外側面積である。反応器タイプ2及び3では、ACOOLは、TBWの温度を有する液状冷却剤を含む冷却管の全外側面積である。触媒管が縦型フィンを有する場合には、ACOOLは、フィンを付けた管を取り囲む最小の円筒の外側面積である。
【0036】
プレート型熱交換器が使用される場合には、ACOOLは、熱交換プレートを取り囲む最小の矩形の全外側面積である。
【0037】
触媒床中への液体の再混入が起こる場合または合成ガスの入口モジュールMが3を超える場合[ここで、M=(Y(H2)−Y(CO2))/(Y(CO)+Y(CO2))(Mは入口ガスモジュールであり、Yはモル分率である)]、上記に定義した反応器タイプ2及び3に第二の加熱領域AREHEAT[m2]を導入することが好ましい。この第二の加熱領域は、触媒温度がメタノールの露点より高い温度に維持されることを保証する。この加熱領域に使用される加熱剤は、液状媒体、蒸気またはこれらの混合物であることができ、ここで液状媒体の沸点は220℃〜280℃であり、蒸気の露点は220℃〜280℃である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1a】図1aは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。
【図1b】図1bは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。
【図2】図2は、本発明に使用するためのスチール製スパイラル型内部装備である。
【図3】図3は、本発明で使用するためのスチール製へリックス型内部装備を示す。
【図4】図4A及び4Bは、本発明に使用するための多孔性繊維内部装備を示す。
【図5】図5は、本発明に使用するための内部にフィンが付けられた触媒管2の横断面図である。
【図6】図6は、本発明で使用するために外側にフィンを装備した冷却管の横断面図である。
【図7】図7は、本発明に従い冷却領域として使用するための波形プレート型熱交換器である。
【図8】図8は、本発明の一つの具体的な態様による多管式(multi−tubular)メタノール反応器の縦断図を示す。
【図9】図9は、本発明の一つの特定の態様に従う、触媒床8と、触媒床内に配置された管状熱交換器11とを有するメタノール反応器の縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の一つの特定の態様による、メタノール触媒8の固定床を備えたメタノール反応器の縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の一つの特定の態様による、半径流型メタノール反応器の断面図である。
【図12】図12は、本発明に従うメタノールの製造のためのプロセスフロー図を示す。
【0039】
[図面の詳細な説明]
図1A及び1Bは、本発明に使用するためのワイヤメッシュ内部装備を示す。液状冷却媒体1は、スチール製管2の外側にある。冷却管は、それの内壁に、壁とは間隔を空けて配置された円筒状のワイヤメッシュ3(詳細A)が備えられている。管2は固定触媒床4を収容している。床4内で気相で製造されたメタノールの凝縮液フィルム5は、管の内壁上にフィルムとして凝縮し、そして内壁とワイヤーゲージとの間を下方向に流れる。この配置は、冷却剤を管の内側に置き、ワイヤーゲージ円筒を管の外側に置き、そして触媒床をワイヤーゲージ円筒の外側に置くことによって、逆にすることができる。
【0040】
図2は、本発明に使用するためのスチール製スパイラル型内部装備である。液状冷却剤1は、スチール製管2の外側にある。スチール製スパイラル3は、固定触媒床4を収容した管2内に配置される。メタノール凝縮液フィルム5は、スパイラルの下側を伝って下方に流れる。
【0041】
図3は、本発明で使用するためのスチール製へリックス型内部装備を示す。液状冷却剤1はスチール製管2の外側1にある。スチール製へリックス3は固定触媒床4の内部に配置される。メタノール縮合液フィルム5は内壁管2上を下方に流れ、そして管2中を軸方向に通る合成ガスの強制回転によって生じる遠心力によって壁2に押し付けられる。管2は、互いに螺旋を180℃ずらして二つのへリックス3を装備することができる。
【0042】
図4A及び4Bは、本発明に使用するための多孔性繊維内部装備を示す。液状冷却剤は、織成繊維円筒3またはセラミックで結合した繊維マット円筒が管2の内壁上に装備された冷却管2の周りを囲んでいる。固定触媒床4は管2内に配置されている。メタノール凝縮液フィルム5は、多孔性繊維内部装置の内部を下方に流れる。この配置は、冷却剤を管2の内側に置き、装備3を管の外側に置き、そして触媒床4を装備3の外側に置くことによって、逆にすることができる。
【0043】
図5は、本発明に使用するための内部にフィンが付けられた触媒管2の横断面図である。液状冷却剤1は、縦型フィンが付けられたスチール製管2の外側にあり、ここで内部フィンの数は、管の称呼(nominal)内径に3.14を掛けて、これを触媒ペレットの相当径で割った値よりも多いのが好ましい。内部フィンは、スチール壁と触媒床との間に空隙を生み、メタノール凝縮液がより抵抗少なく流下することを可能にする。固定触媒床3は管の内部に配置されて、そしてメタノール凝縮液フィルム4は、管の内壁と触媒床4との間を下方に流れる。
【0044】
図6は、本発明で使用するために外側にフィンを装備した冷却管の横断面図である。液状冷却剤1は、縦型フィンが付けられたスチール製管2の外側にあり、ここで、外側フィンの数は、好ましくは、管の称呼(nominal)外径に3.14を掛けて、これを触媒ペレットの相当径で割った値よりも多いのが好ましい。この外側フィンは、スチール壁と触媒床との間に空隙を生み、メタノール凝縮液フィルム4が、より抵抗少なく管の内壁上を流れることを可能にする。
【0045】
図7は、本発明に従い冷却領域として使用するための波形プレート型熱交換器である。液状冷却剤1は、入口1aから導入され、そして出口2aからガス形態2で熱交換器を出る。固定触媒床3は該プレート型熱交換器を取り囲む。熱交換器には、正弦波形(sinoidal corrugated)表面4が供されており、これは、触媒粒子と熱交換器表面との間に空隙を供して、凝縮したメタノール5が、より抵抗少なく表面上を流れることを可能にする。正弦波形の波長は、触媒の相当径よりも短い。
【0046】
図8は、本発明の一つの具体的な態様による多管式(multi−tubular)メタノール反応器の縦断図を示す。この反応器は、それの圧力シェル14内に、合成ガス入口1、マンホール2、液状冷却剤のための入口4、冷却媒体の液体−蒸気混合物のための出口5、未転化の合成ガス及び液状粗製メタノールのための出口9、及び液体トレイン12を備える。反応器の頂部3には、上部管シート6があり、頂部3には、場合により、触媒を部分的に充填してもよい。反応器の底部領域には、下部管シート7、不活性球体8の支持床、及び不活性床を支える有孔格子11がある。複数の管13はメタノール触媒で充填され、これらの管はそれぞれ上述のような液体安定化装備を有してもよい。これらの管は三角位置で配置される。管の内部で生成されるメタノールは、冷却剤で冷却される管の内壁上で凝縮し、そして流下して出口9に至る。
【0047】
図9は、本発明の一つの特定の態様に従う、触媒床8と、触媒床内に配置された管状熱交換器11とを有するメタノール反応器の縦断面図である。メタノール合成ガスは入口1から導入され、そして触媒床8内に通される。液状冷却剤は、入口マニホルド4を介して管状熱交換器11中に導入され、そして出口マニホルド5を通して蒸気−液体混合物の形で抜かれる。反応器の底部において、有孔支持格子6は不活性球体の支持床9を支える。触媒の主要部は、複数の管、外側表面に液体フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなる熱交換器11の間に配置される。メタノールは、触媒床内で生成すると、熱交換器11の表面上で凝縮し、そして出口10を通して液相中に回収される。
【0048】
図10は、本発明の一つの特定の態様による、メタノール触媒8の固定床を備えたメタノール反応器の縦断面図である。床8内には、管状熱交換器11の形の冷却表面と、管状熱交換器15の形の加熱表面とが装備されている。反応器の底部では、有孔支持格子6が不活性球体の支持床9を支えている。メタノール合成ガスは、入口1を介して床8内に導入される。加熱剤は、入口マニホルド13を介して熱交換器15に導入され、そして出口マニホルド14を通して抜かれる。液状冷却剤は入口マニホルド4を介して熱交換器11に導入され、そして出口マニホルド5を通して抜かれる。床8内で生成されるメタノールは熱交換器11の冷却表面上で凝縮し、そして反応器から出口10を通して液相中に回収される。熱交換器11の冷却表面は、複数の管、外側表面に液状フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなり、そこで粗製メタノールが凝縮する。熱交換器15は、触媒床の温度を、生成したメタノールの露点よりも高い温度に維持し、そして複数の管かまたは熱交換プレートのいずれかからなる。
【0049】
図11は、本発明の一つの特定の態様による、半径流型メタノール反応器の断面図である。メタノール合成ガスは入口1を介して反応器中に導入される。合成ガスは、円筒状有孔円筒7を通して反応器の周辺から半径方向で触媒床14内に導通される。前記円筒状有孔円筒7は触媒床を収容し、そして入口合成ガスを有孔の中央管6に渡し、そこで、触媒と接触して、残留合成ガス及び生成した液状粗製メタノールが出口13を通して抜き出される。複数の管、外側表面上に液体フィルム安定手段を備えた管、縦型フィンを備えた管または波形熱交換プレートのいずれかからなる熱交換器9の形の冷却表面は、触媒床14内に配置されている。液状冷却剤は入口4を通して熱交換器に導入され、そして出口5を通して抜かれる。冷却剤は、円形マニホルドによって熱交換器に分配され、そして出口マニホルド11によって熱交換器から出口の所で集められる。
【0050】
図12は、本発明に従うメタノールの製造のためのプロセスフロー図を示す。メタノール合成ガス1は合成ガス圧縮器で圧縮され、そして現在産業的に典型的に使用される慣用の多管式沸騰水反応器(multi−tubular boiling water reactor)5に渡される。メタノール及び未転化の合成ガスを含む反応器5からの流出流は分離器9に渡されそして合成ガス富化流10と、メタノール富化流17とに分離される。流れ10は、本発明に従い設計されているメタノール反応器11に導入される。60〜170℃の沸点を有する冷却剤が入口13を介して反応器11に導入され、そして出口12から抜かれる。加熱剤は入口18を通して導入されそして出口19を通して抜かれる。液状メタノール及び未転化の合成ガスを含む反応器11からの流出流は分離器15に渡されそして合成ガス流16と液状メタノール流20に分離され、後者は、ライン17において反応器9からのメタノール流と一緒にされる。
【実施例】
【0051】
例1
上記のタイプ1の方法及び反応器のための反応器設計及びプロセス条件を、次の予め決められた値に基づいて以下の等式を用いて決定する。
P=合成ガス入口での12.55MPa反応器圧力;
反応器入口での合成ガス組成:
Y(CH3OH)=0.255;Y(H2)=0.438;Y(CO)=0.148;Y(CO2)=0.075;Y(H2O)=0.006
触媒粒子の相当径:
DEQ=0.006m
TBW=130℃、z=5の所定の設計値をもって、反応器内部の冷却表面上でのメタノールの最適な凝縮を有する以下の反応器設計を次のように決定することができる:
Z=VCAT/(ACOOL*DEQ)及びZ及びDEQが既知であるので、VCAT/ACOOLは、VCAT/ACOOL=5*0.006m=0.03mと計算することができる。
【0052】
タイプ1の多管式反応器では、VCAT/ACOOLの比率は、管の内径の1/4に等しく、管の内径は0.12mとなる。
【0053】
平均液状冷却剤温度TBWを130℃に維持するために、5.0MPa及び110℃の加圧されたボイラー供給水を反応器の冷却のために使用し、冷却剤の流れを、150℃の冷却剤出口温度を得るために調節して、130℃の平均冷却剤温度を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮させるステップ、及び
冷却剤の上記の供された沸点において冷却表面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点より高い温度に維持するステップ、
を含む上記方法。
【請求項2】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却表面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含み、ここで触媒の相当径は、以下の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、上記方法。
【請求項3】
メタノール触媒粒子の温度が、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物などの加熱剤によってメタノールの露点より高い温度に維持され、この際、加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段に通される、請求項1または2の方法。
【請求項4】
冷却剤の沸点が100℃〜160℃であり、かつ冷却表面積(ACOOL)に対する触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.02m〜0.09mである、請求項1の方法。
【請求項5】
冷却剤の沸点が100℃〜160℃であり、かつ比率Zが2.0〜15である、請求項2の方法。
【請求項6】
請求項1の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するのに適応した冷却手段とを含み、ここで冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.0125m〜0.125mである、前記反応器。
【請求項7】
請求項2の方法で使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、ここで冷却手段の冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30であり、この際、触媒の相当径は、以下の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、及び
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、前記反応器。
【請求項8】
請求項3の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するのに適応した冷却手段と、メタノール触媒の温度を加熱剤で間接的に維持するのに適応した加熱手段とを含み、ここで冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比率が0.3〜3.0である、前記反応器。
【請求項9】
冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.02m〜0.09mである、請求項6のメタノール反応器。
【請求項10】
比率Zが2〜15である、請求項7のメタノール反応器。
【請求項11】
冷却手段の表面に隣接して内部フィルム安定化装備を更に含む、請求項6〜10のいずれか一つのメタノール反応器。
【請求項12】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して20℃〜170℃の液状冷却剤の平均温度(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却剤の上記の供された温度において冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含む上記方法。
【請求項13】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して20℃〜170℃の冷却剤の平均温度(TBW)を供することによってメタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面の面積(ACCOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含み、ここで触媒の相当径は、次の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、
前記方法。
【請求項14】
メタノール触媒粒子の温度を、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物などの加熱剤によってメタノールの露点よりも高い温度に維持し、この際、前記加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段に通される、請求項12または13の方法。
【請求項15】
液状冷却剤の平均温度が90℃〜160℃であり、かつ冷却表面積(ACOOL)に対する触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.02m〜0.09mである、請求項12の方法。
【請求項16】
液状冷却剤の平均温度が90℃〜160℃であり、かつ比率Zが2.0〜15である、請求項13の方法。
【請求項17】
請求項12の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、この際、冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.0125m〜0.125mである、上記反応器。
【請求項18】
請求項13の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、この際、冷却手段の冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(z)が2.0〜30であり、ここで触媒の相当径は、次の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、及び
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
(式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である)
によって計算される、上記反応器。
【請求項19】
請求項14の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段と、メタノール触媒の温度を加熱剤で間接的に維持するように適応した加熱手段とを含み、この際、冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比率が0.3〜3.0である、前記反応器。
【請求項20】
冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.02m〜0.09mである、請求項17のメタノール反応器。
【請求項21】
比率Zが2〜15である、請求項18のメタノール反応器。
【請求項22】
冷却手段の表面に隣接した内部フィルム安定化装備を更に含む、請求項17〜21のいずれか一つのメタノール反応器。
【請求項1】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮させるステップ、及び
冷却剤の上記の供された沸点において冷却表面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点より高い温度に維持するステップ、
を含む上記方法。
【請求項2】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して60℃〜170℃の冷却剤の沸点(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却表面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含み、ここで触媒の相当径は、以下の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、上記方法。
【請求項3】
メタノール触媒粒子の温度が、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物などの加熱剤によってメタノールの露点より高い温度に維持され、この際、加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段に通される、請求項1または2の方法。
【請求項4】
冷却剤の沸点が100℃〜160℃であり、かつ冷却表面積(ACOOL)に対する触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.02m〜0.09mである、請求項1の方法。
【請求項5】
冷却剤の沸点が100℃〜160℃であり、かつ比率Zが2.0〜15である、請求項2の方法。
【請求項6】
請求項1の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するのに適応した冷却手段とを含み、ここで冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.0125m〜0.125mである、前記反応器。
【請求項7】
請求項2の方法で使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、ここで冷却手段の冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30であり、この際、触媒の相当径は、以下の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、及び
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、前記反応器。
【請求項8】
請求項3の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するのに適応した冷却手段と、メタノール触媒の温度を加熱剤で間接的に維持するのに適応した加熱手段とを含み、ここで冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比率が0.3〜3.0である、前記反応器。
【請求項9】
冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.02m〜0.09mである、請求項6のメタノール反応器。
【請求項10】
比率Zが2〜15である、請求項7のメタノール反応器。
【請求項11】
冷却手段の表面に隣接して内部フィルム安定化装備を更に含む、請求項6〜10のいずれか一つのメタノール反応器。
【請求項12】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して20℃〜170℃の液状冷却剤の平均温度(TBW)を供することによって、メタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び
冷却剤の上記の供された温度において冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面積(ACOOL)に対する沈定触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.0125m〜0.125mとなるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含む上記方法。
【請求項13】
メタノールの製造方法であって、
水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含む合成ガスを、冷却剤で間接的に冷却されたメタノール合成触媒粒子の固定床反応器中で反応させるステップ、及び
冷却剤の圧力を調節して20℃〜170℃の冷却剤の平均温度(TBW)を供することによってメタノールをそれが製造された時に冷却表面上で凝縮するステップ、及び冷却表面の面積(ACOOL)を、冷却表面の面積(ACCOL)と触媒の相当径(DEQ)との積に対する沈定触媒嵩体積の比率(Z)が2.0〜30となるように調節することによって、触媒温度をメタノールの露点よりも高い温度に維持するステップ、
を含み、ここで触媒の相当径は、次の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、または
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
[式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である]
によって計算される、
前記方法。
【請求項14】
メタノール触媒粒子の温度を、220℃〜280℃の沸点を有する加圧水、220℃〜280℃の露点を有する蒸気またはこれらの混合物などの加熱剤によってメタノールの露点よりも高い温度に維持し、この際、前記加熱剤は、冷却領域の表面(ACOOL)に対する加熱手段の表面の比率が0.3〜3.0となるような表面積を有する内部加熱手段に通される、請求項12または13の方法。
【請求項15】
液状冷却剤の平均温度が90℃〜160℃であり、かつ冷却表面積(ACOOL)に対する触媒嵩体積(VCAT)の比率が0.02m〜0.09mである、請求項12の方法。
【請求項16】
液状冷却剤の平均温度が90℃〜160℃であり、かつ比率Zが2.0〜15である、請求項13の方法。
【請求項17】
請求項12の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、この際、冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.0125m〜0.125mである、上記反応器。
【請求項18】
請求項13の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段とを含み、この際、冷却手段の冷却表面の面積と触媒の相当径(DEQ)との積に対する触媒嵩体積の比率(z)が2.0〜30であり、ここで触媒の相当径は、次の等式、すなわち
DEQ1=(6*(メタノール合成触媒の一つの粒子の体積[m3]/3.14)0.33
(これは触媒粒子が同じ大きさの場合)、及び
DEQ2=(Σw(i)*(DEQ(i)3))0.33
(これは触媒粒子が異なる大きさの場合)
(式中、w(i)は、DEQ(i)の相当径[m]を有する触媒粒子の重量割合である)
によって計算される、上記反応器。
【請求項19】
請求項14の方法に使用するためのメタノール反応器であって、共通のシェル内に、メタノール触媒粒子の固定床と、メタノール合成ガスを冷却剤で間接的に冷却するように適応した冷却手段と、メタノール触媒の温度を加熱剤で間接的に維持するように適応した加熱手段とを含み、この際、冷却手段に対する加熱手段の表面の表面比率が0.3〜3.0である、前記反応器。
【請求項20】
冷却手段の冷却表面積に対する沈定触媒嵩体積の比率(VCAT/ACOOL)が0.02m〜0.09mである、請求項17のメタノール反応器。
【請求項21】
比率Zが2〜15である、請求項18のメタノール反応器。
【請求項22】
冷却手段の表面に隣接した内部フィルム安定化装備を更に含む、請求項17〜21のいずれか一つのメタノール反応器。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−515334(P2011−515334A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547086(P2010−547086)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000974
【国際公開番号】WO2009/106232
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(590000282)ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット (50)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000974
【国際公開番号】WO2009/106232
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(590000282)ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット (50)
【Fターム(参考)】
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