説明

メタロセン担持触媒組成物及びこれを利用したポリオレフィンの製造方法

本発明は、メタロセン担持触媒組成物及びこれを利用したポリオレフィンの製造方法に関する。本発明によるメタロセン担持触媒組成物は、4族遷移金属化合物を、イオン性化合物で処理した無機または有機多孔性担体に担持させて製造される。本発明によるメタロセン担持触媒は、担体内でメタロセン金属成分含量が少なくてもスラリー及び気相オレフィン化合物の重合反応時、触媒活性が増加して、付着、シーティング、管詰まり(plugging)現象などの工程上の問題点を改善できるという利益がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロセン担持触媒組成物、これを利用したオレフィン重合体の製造方法及び製造されたオレフィン重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合触媒は、チーグラー・ナッタの不均一系触媒と単一活性点のメタロセン触媒に区分することができ、本発明で扱うメタロセン触媒は、1980年カミンスキーにより発表されて、現在まで多様なポリオレフィン製品を生産するために開発されてきた。メタロセン触媒は、遷移金属化合物が主成分である主触媒とアルミニウムまたはボロンが主成分である有機金属化合物助触媒の組み合わせからなる。メタロセン触媒は、均一系単一活性点触媒であって、生成されるポリオレフィンの分子量分布度と化学組成分布(Chemical compositional distribution)が非常に狭くて均一であり、メタロセン触媒のリガンド構造によって立体規則性、共単量体(comonomer)応答性、水素応答性を自由に調節でき、これに係るポリオレフィンの物性を、チーグラー・ナッタ触媒と比較し、大幅に向上させることができる。
【0003】
このようなメタロセン触媒をスラリーまたは気相オレフィン重合工程に使用するためには、担持化(immobilization)が必ず必要である。これは、均一系メタロセン触媒をスラリー、気相重合工程に投入する場合、生成高分子のかたまり現象(agglomerate)、付着(fouling)、シーティング(sheeting)、管詰まり(plugging)現象などの工程上致命的な問題が発生し、生成されるポリオレフィン高分子粒子の形状が非常に不規則であり、見かけ密度が低くて、製品生産が不可能であるからである。
【0004】
このような様々な問題点を解決するために、担持に関する研究が進行されて、シリカ、アルミナ、マグネシウムジクロライドなどの様々な多孔性無機物または有機物にメタロセン単独またはメタロセンと助触媒を担持してメタロセン担持触媒を製造して、これを利用してスラリーまたは気相重合工程に適用、ポリオレフィンを重合する方法が開発された。
【0005】
従来のメタロセン触媒担持方法として、第一、焼成しなかったシリカにアルミニウム化合物、即ち、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどを添加して処理した後、メタロセンを担持する方法(米国特許第4937217号、第4912075号、第4935397号)、焼成されたシリカにメチルアルミノキサンで表面処理するか、水が含まれたシリカをアルキルアルミニウムで表面処理した後、メタロセンを投入してメタロセン担持触媒を製造する方法(米国特許第4808561号、第4912075号、第4904631号)などが公知である。また、アルミニウム有機金属化合物の代わりに、ホウ素系列の有機金属物質を利用してシリカを表面処理して、メタロセンを投入してメタロセン担持触媒を合成する方法(米国特許6087293号)、アルミニウムやホウ素系有機金属化合物の代わりに有機化合物を利用してシリカの表面を処理し、メタロセンを接触させてメタロセン担持触媒を製造する方法(米国特許第5643847号、第5972823号)が公知されており、その他、メタロセン触媒をシリカ表面に、化学反応を通じて共有結合を形成させて付着させる方法(大韓民国特許出願1999−0023575号、大韓民国特許第536181号)が公知である。
【0006】
しかしながら、上記の方法によりメタロセン担持触媒を製造する場合、触媒成分が気孔内に均一に担持されず、触媒製造時間がかかり、触媒の活性が低い短所がある。また、アルミノキサンが気孔内に均一に存在しないため、活性低下と反応基内熱点(Hot spot)などの問題を引き起こすおそれがある。スラリー重合工程では、メタロセン担持触媒内触媒成分が溶出して、重合された高分子粒子が 付着や管詰まり(plugging)現象を引き起こす恐れがある。このような触媒溶出問題を解決するために、既に開発された化合結合によるメタロセン担持触媒の製造は、多い段階を経る製造方法により触媒製造費用が高くて、製造された触媒の活性が低いという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、無機、有機物の担体表面をイオン性化合物を利用して表面処理し、メタロセン化合物と必要な助触媒などをイオン性化合物表面上に担持させて、オレフィン重合に必要なメタロセン担持触媒を提供することにあり、また、単一反応基または多重反応基を有するスラリーまたは気相オレフィン重合工程に高活性と工程運転安定性を示して、多様なポリオレフィン製品を生産できる方法を提供することと、担体内でメタロセン金属成分含量が少なくてもスラリー及び気相オレフィン化合物の重合反応時、触媒活性が増加して、付着、シーティング、管詰まり(plugging)現象などの工程上の問題点を改善できるメタロセン担持触媒を提供することを発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、陽イオンと陰イオンとが対をなすイオン性化合物で無機または有機多孔性担体の表面及び気孔内表面を処理して、これに脂肪族炭化水素中でメタロセン触媒とアルキルアルミノキサンまたはホウ素化合物系助触媒を接触させることにより、メタロセン担持触媒組成物を提供することを特徴とし、また、上記のメタロセン担持触媒組成物を利用して、オレフィン単量体またはオレフィン系及びこれのオレフィン共単量体を重合することにより、オレフィン重合体を製造する方法を提供することを特徴とする。
【0009】
以下、本発明の特徴を詳細に説明する。
【0010】
本発明によるオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物は、下記化学式1で表される4族遷移金属化合物を、イオン性化合物で処理した無機または有機多孔性担体に担持させて製造されたことを特徴とする。
[化学式1]
Cp’LML
式中、Mは、周期表上の4族遷移金属であり、Cp’は、中心金属とη−結合できるシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエニル環を含む融合環であって、Lは、シクロペンタジエン、シクロペンタジエニル環を含む融合環または(C1〜C20)炭化水素置換基とO、NまたはP原子を含んだ陰イオン性リガンドであり、Lは、ハロゲン原子、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C6〜C30)アリールオキシ基、(C6〜C30)アリール基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C20)アリール置換シロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基であり、nは、1または2の整数であって、前記Cp’及びLは、互いに連結されていないか、または珪素または(C1〜C4)アルケニレン結合で連結可能であり、前記Cp’及びLのシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル融合環は、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C2〜C20)アルケニル基または(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基でさらに置換可能である。
【0011】
即ち、本発明によるメタロセン担体触媒組成物において、前記化学式1で表されるメタロセン触媒が担持される担体は、担体気孔表面にヒドロキシ基を有する多孔性無機または有機物質担体を採用したもので、前記担体気孔表面にヒドロキシ基を有する担体は、イオン性化合物を無機または有機多孔性担体に常温で液体または固体相を有して、陽イオンと陰イオンとが対をなすイオン性化合物で充分浸されるように処理して、前記担体気孔内外表面を物理化学的に表面処理することにより得られる。
【0012】
本発明で使用できるイオン性化合物は、現在商業化されているあらゆるイオン性化合物が可能であり、また、メタロセン触媒、助触媒の構造と担体種類によって、合成を通じて新しいイオン性化合物を利用することもできる。商業化されているか、合成可能なイオン性化合物の特徴は、前記イオン性化合物は、−100〜300℃の温度範囲でも蒸気圧が0に近く、液体または固体相で極性であることを特徴とし、極性は、陰イオン物質の種類によって変わることができ、非常に弱い極性から非常に強い極性に至るまで、多様な種類のイオン性物質が採用可能であって、また、不純物が存在しないイオン性化合物であって、メタロセン触媒の分子構造を非活性に変えるものでなければ、本発明で使用可能である。本発明によるメタロセン担持触媒組成物は、具体的には、下記化学式2で表される化合物のように陽イオン(X)と陰イオン(Y)が対をなしてイオン性化合物を形成したものが例示できるが、このようなイオン性化合物は、これに限定されるものではない。
【0013】
[化学式2]

式中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルファニウムイオン、ピラゾリウムイオンまたはピロリジウムイオンであり、Yは、BF、PF、AlCl、ハロゲン、CHCO、CFCO、CHSO、CFSO、(CFSO)N、NO、SbH、SbF11、MePhSO、(CFSO、(CFSOまたは(OR)POである。
【0014】
上記化学式2において、陽イオン(X)は、下記表1で例示される。
【0015】
【表1】

【0016】
上記表1において、R、R乃至Rは、アルキル基または−OH、−SOH、−COOH、アミン、シラン、アルコキシなど、官能基が付着されているアルキルから選択される。
【0017】
上記化学式において、陰イオン(Y)種類は、下記表2で例示される。
【0018】
【表2】

【0019】
また、本発明で使用できるイオン性化合物の例としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロゲンカーボネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロゲンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、テトラヘプチルアンモニウムクロライド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロマイド、トリブチルメチルアンモニウムクロライド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジウムブロマイド、1−ブチル−1−メチルピロリジウムテトラフルオロボレート、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−(3−シアノプロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスフェート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェートなどがあり、好ましくは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアルミニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルテトラデシルアルミニウムクロライド、トリブチルメチルアルミニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレートなどが含まれる。
【0020】
上記イオン性化合物で処理した無機または有機多孔性担持体は、表面残存−OH基が、処理前の担体1g当たり0.001〜100mmolの範囲で存在する。
【0021】
上記のイオン性化合物で処理される担体としては、気孔を有している無機物や有機物が可能であり、これらは、イオン性化合物、メタロセン、助触媒を担持できる気孔と表面積を有していなければならない。これらの担体の表面は、疎水性を有する官能基を有しているか、これらを様々なシラン系化合物、アルミニウム系化合物、ハロゲン系化合物で表面処理して使用することもできる。一般に使用できる無機物担体は、シリカ、アルミナ、マグネシウムクロライド、酸化マグネシウムなど、既存にメタロセン触媒を担持するために使用された担体が含まれて、この他にも、メソポーラス物質、MCM−41、MCM−48、SBA−15などの物質が可能であって、これらは、表面積が100m/g以上であり、気孔体積は、0.1cc/g以上である。ミネラルクレイ、カオリン、滑石、雲母、モンモリロナイトなどのクレイ化合物なども担体として使用できる。有機物担体としては、ポリシロキサン系列の高分子化合物、ポリスチレンゲルまたはビーズなどの物質が採用可能である。このような担体化合物は、そのまま使用することも、100〜1000℃内の温度で熱処理し、担体気孔表面内に疎水性官能基などの量を調節して使用することもできる。
【0022】
上記の担体表面に担持されるイオン性化合物の組成は、担体の気孔表面積及び担体表面のヒドロキシ基(OH基)の量など、担体表面の物理、化学的性質に係わるが、混合、接触される前記イオン性化合物は、処理された担持体を基準に、0.001〜50重量%が好ましく、特に、0.1〜40重量%が好ましい。また、担体の表面に残存するヒドロキシ基の量が多いほど、イオン性化合物の量を増加させる必要がある。前記イオン性化合物が0.001重量%未満の場合、処理効果が微弱であり、50重量%を超過すると、超過した量だけの上昇効果がなく、イオン性化合物の浪費を招来する。
【0023】
また、本発明で使用できるメタロセンまたは非メタロセン触媒の例は、下記のようであるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
上記のイオン性化合物で処理した無機または有機多孔性担体に担持される前記化学式1で表される遷移金属の中、Cp’は、 中心金属とη−結合できるシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエニル環を含む融合環であって、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ブチルシクロペンタジエニル、sec−ブチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、メチルインデニル、エチルインデニル、イソプロピルインデニル、フルオレニル、メチルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、及びエチルフルオレニル、イソプロピルフルオレニルからなる群から選択されて、具体的な化学式1の化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ノマルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレン−[ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)]ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリル−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−メチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−エチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−ブチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロペンチルシクロペンタジエニル)(シクロメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−メチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−エチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−ブチル−3−シクロペンチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロヘキシルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−メチル−3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−エチル−3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−ブチル−3−シクロヘキシルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロヘキシルメチレニルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロヘプチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−メチル−3−シクロヘプチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−エチル−3−シクロヘプチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(1−ブチル−3−シクロヘプチルシクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(シクロヘキシルエチレニルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドなどが例示されて、また、中心金属がチタニウムとハフニウム遷移金属を含むメタロセン化合物及び非メタロセン化合物も使用が可能である。
【0025】
本発明によるメタロセン担持触媒組成物の場合、担持されるメタロセンまたは非メタロセン有機金属触媒(化学式1の遷移金属化合物)は、イオン性化合物で表面処理された担体内に担持されたメタロセン担持触媒基準(担体、イオン性液体、有機金属触媒、助触媒などを全て含んだ最終担持触媒を基準)にメタロセンまたは非メタロセン有機金属触媒の場合、0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましい。
【0026】
本発明によるメタロセン担持触媒組成物は、アルキルアルミノキサン助触媒、有機アルミニウム助触媒またはホウ素化合物助触媒、またはこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0027】
本発明で使用されるアルミノキサン化合物としては、一般によく知られているように、下記化学式3で表されるアルミノキサンが主に使用される。
【0028】
[化学式3]
(−Al(R)−O−)
式中、Rは、(C1〜C20)アルキル基であって、好ましくは、メチル基またはイソブチル基であり、mは、5以上の整数である。
【0029】
前記アルミノキサン化合物として使用できる具体的な例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンなどがある。
【0030】
また、本発明で使用されるまた他のアルキル化合物助触媒としては、化学式4で表される有機アルキル化合物が含まれる。
【0031】
[化学式4]
(RAl(E)3−r
式中、Rは、(C1〜C8)アルキル基であり、Eは、水素原子またはハロゲン原子であって、rは、1〜3の整数である。
【0032】
前記アルキルアルミニウム化合物として使用できる例は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリイソレニルアルミニウムなどを含むトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライドを含むジアルキルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムクロライド、イソブチルアルミニウムクロライドなどを含むアルキルアルミニウムジクロライドなどが挙げられて、好ましくは、トリアルキルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウムクロライドである。
【0033】
また、本発明で助触媒として使用できるホウ素化合物は、下記化学式5〜化学式7で表される化合物から選択される。
【0034】
[化学式5]
B(R
[化学式6]
[R]+[B(R
[化学式7]
[(RZH][B(R
【0035】
前記化学式5〜化学式7において、Bは、ホウ素原子であり、Rは、フェニル基またはフッ素原子またはフッ素原子により置換あるいは非置換の(C1〜C4)アルキル基または(C1〜C4)アルコキシ基から選択された3〜5置換基を有したフェニル基であり、Rは、環状(C5〜C7)芳香族陽イオンまたはアルキル置換陽イオン、例えば、トリフェニルメチル陽イオン、Zは、窒素またはリン原子であり、Rは、(C1〜C4)アルキルラジカルまたは窒素原子と共に二つの(C1〜C4)アルキル基で置換されたアニリニウムラジカルであって、qは、2または3の整数である。
【0036】
前記ホウ素化合物助触媒の好ましい例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,2,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートである。
【0037】
また、加えられるメチルアルミノキサンまたはアルキルアルミニウム化合物のようなアルミニウム系助触媒とボロン系列の助触媒の場合、イオン性化合物で表面処理された担体内に担持されたメタロセン担持触媒(最終担持触媒)を基準に0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜30重量%がより好ましい。
【0038】
化学式1の遷移金属化合物をメチルアルミノキサンのように有機溶媒に溶解してイオン性化合物で表面処理された担体に担持する場合、最終担持触媒内にメタロセン、助触媒の二つの成分のモル比は、遷移金属:アルミニウムのモル比基準に1:0.01〜1:1000が好ましく、特に1:1〜1:500が好ましい。
【0039】
ホウ素化合物を助触媒として使用する場合、化学式1の遷移金属化合物:ホウ素化合物助触媒のモル比は、遷移金属:アルミニウムのモル比基準に1:0.01〜1:100が好ましく、特に1:0.1〜1:20が好ましい。また、ホウ素化合物助触媒とアルミニウム化合物のモル比は、ホウ素:アルミニウム基準に1:0.1〜1:100が好ましく、1:1〜1:20がより好ましい。
【0040】
本発明は、上記のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物を利用したオレフィン重合体の製造方法を特徴とし、上記のオレフィン重合体は、アルファオレフィンの単独重合体または共重合体を含む。
【0041】
本発明による製造方法で採用可能なオレフィン系単量体の例としては、エチレン、アルファオレフィン、シクロオレフィンなどがあり、ジエン系単量体、トリエン系、スチレン系及び環状オレフィンも可能である。
【0042】
前記単量体の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン及び3−メチル−1−ブテン、スチレン、アルファメチルスチレン、アリルベンゼン、ジビニールベンゼン、ビニールシクロヘキサン、ビニールシクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、イソプレン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロペンタジエンが挙げられて、これらの単量体を単独または2種以上混合して重合できる。
【0043】
以下、本発明によるメタロセン担持触媒組成物の製造方法を説明する。
【0044】
本発明で遷移金属化合物が担持されるイオン性化合物で処理された無機または有機多孔性担持体は、下記の方法から製造できる。
【0045】
a)前記担持体にイオン性化合物を溶媒無しに単独混合、接触させるか、
b)脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中で前記担持体と前記イオン性化合物を混合してスラリーを得て、前記スラリーを分離、乾燥して処理担持に使用されるシリカなどのような無機物担体を、担持目的と符合する表面のヒドロキシ量を調節するために100〜900℃で窒素、アルゴンのような不活性ガスを流すか真空を通じて処理する。この際、残存する表面のヒドロキシ量は、0.001〜100mmol−OH/g−シリカ(silica)がよく、0.1〜5mmol−OH/g−シリカが好ましい。前記条件は、イオン性化合物処理前の担持体条件であって、前記担持体に準備されたシリカが入っているフラスコにイオン性化合物を必要量投入して、投入時、有機溶媒と共に投入してもよい。投入するイオン性化合物の量は、シリカ表面上のOH基量と等しいか、それ以上であることが好ましい。
【0046】
シリカ、イオン性化合物をイオン性化合物の融点以上の温度で窒素雰囲気で1時間以上充分混合し、イオン性化合物がシリカ表面及び表面のヒドロキシ基と充分接触するようにする。有機溶媒を使用した場合、表面処理後、有機溶媒を除去して、次の段階に進行する。また他のフラスコにメタロセン化合物と助触媒メチルアルミノキサン(MAO)をトルエンのような有機溶媒に溶かして、この際、メタロセンと助触媒のアルミニウムのモル比は、遷移金属:アルミニウム基準に1:0.1〜1:3000がよく、1:1〜1:500が好ましい。メタロセン溶液をイオン性化合物で表面処理されたシリカに投入して、窒素雰囲気下で適切な温度で適切時間攪拌し、メタロセンと助触媒を担持させる。この後、担持されなかったメタロセンと助触媒の除去のために、トルエンなどの有機溶媒を利用して3回以上洗浄し、真空または窒素ガスなどで乾燥過程を経た後、最終的にイオン性化合物で表面処理された担体に担持されたメタロセン触媒を得る。
【0047】
本発明のメタロセン担持触媒のまた他の製造方法を説明すると、以下のようである。熱処理されたシリカをイオン性化合物を利用して、上記のように表面処理した後、メタロセン化合物をトルエンのような有機溶媒に単独溶解して、表面処理されたシリカに投入し、窒素雰囲気下で適切な温度と時間攪拌して、メタロセン化合物を担持させる。その後、担持されなかったメタロセンを除去するために、トルエンなどの有機溶媒を利用して3回以上洗浄し、真空または窒素ガスなどで乾燥過程を経た後、最終的にイオン性化合物で表面処理された担体に担持されたメタロセン触媒を得る。このように得られた担持されたイオン性化合物で表面処理された担体内にメタロセン単独で担持された触媒は、ポリオレフィンなどの高分子を重合する時、必要な助触媒を重合溶媒などに投入して使用できる。
【0048】
本発明のメタロセン担持触媒のまた他の製造方法を説明すると以下のようである。
【0049】
熱処理されたシリカをイオン性化合物を利用して上記のように表面処理した後、MAOまたはボレート系列の助触媒をトルエンのような有機溶媒に溶かして、これをイオン性化合物で表面処理されたシリカに投入し、窒素雰囲気下で適切な温度と適切な時間混合して担持させる。担持されなかったMAO除去のために、トルエンなどの有機溶媒を利用、3回以上洗浄して真空または窒素ガスなどで乾燥過程を経た後、最終的にイオン性化合物、助触媒で表面処理された担体を得る。このようにイオン性化合物上に助触媒を担持させたシリカに、メタロセン化合物をトルエンのような有機溶媒に溶かして、これを表面処理されたシリカに投入し、窒素雰囲気下で適切な温度と適切な時間攪拌して、メタロセンを担持させる。その後、担持されなかったメタロセン化合物を除去するために、トルエンなどの有機溶媒を利用、3回以上洗浄して真空または窒素ガスなどで乾燥過程を経た後、最終的にイオン性化合物で表面処理された担体に担持されたメタロセン触媒を得る。
【0050】
本発明のメタロセン担持触媒のまた他の製造方法を説明すると、以下のようである。
【0051】
熱処理されたシリカをイオン性化合物を利用して、上記のように表面処理した後、別のフラスコにメタロセン化合物と助触媒ホウ素化合物の助触媒、アルミニウムアルキル系の助触媒をトルエンのような有機溶媒に溶かして、この際、メタロセンと助触媒のボロンのモル比は、1:0.1〜1:100がよく、1:0.5〜1:30が好ましい。また、メタロセンとアルミニウムアルキル化合物のモル比は、1:0.1〜1:100が好ましい。
【0052】
メタロセン化合物、ボレート系助触媒溶液をイオン性化合物で表面処理されたシリカに投入し、窒素雰囲気下で適切な温度で適切な時間攪拌して混合し、メタロセン化合物と助触媒を担持させる。その後、担持されなかったメタロセン化合物と助触媒の除去のためにトルエンなどの有機溶媒を利用、3回以上洗浄して真空または窒素ガスなどで乾燥過程を経た後、最終的にイオン性化合物で表面処理された担体に担持されたメタロセン触媒を得る。
【0053】
上記の方法により製造された担持触媒内遷移金属含量は、0.05〜1.5重量%と分析された。
【0054】
このように得られたイオン性化合物に担持されたメタロセン担持触媒は、オレフィン単量体1種またはこれらの単量体を2種以上利用して多重重合も可能であり、オレフィン単量体をヘキサンなどの有機溶媒のスラリー相または気相で重合反応を行う。本発明による触媒は、水分のない条件で反応溶媒に分散させて使用して、重合反応溶媒としては、一般に脂肪族炭化水素またはその混合物が使用されて、その例としては、プロパン、イソブタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどである。
【0055】
本発明のメタロセン担持触媒は、気相、スラリー、液相重合工程だけではなく、回分式、連続式重合工程にも適用可能であるが、スラリー、気相反応に最も適している。
【0056】
本発明による担持触媒を利用したポリオレフィン重合方法の一例として、回分式スラリー重合工程を説明すると以下のようである。
【0057】
まず、高温で高圧反応器を真空で水分及び空気を除去した後、溶媒を反応器に投入して、重合温度まで温度を上げた後、スカベンジャー(scavenger)としてアルキルアルミニウムやMAOを投入し、本発明によるメタロセン担持触媒を投入する。その後、エチレンなどのオレフィンを投入して、必要時、水素をオレフィン投入と共に注入する。必要な重合時間に到達すると、オレフィン投入を中断して、未反応オレフィンと溶媒を除去し、反応器を開けて固体状態の高分子を得る。
【0058】
使用された重合溶媒は、分子体5Aと活性アルミナが充填された管を通過させて、高純度の窒素でバブリングさせて、水分、酸素及びその他の触媒毒物質を充分除去してから使用して、重合温度は、−50〜200℃の範囲で可能であって、50〜100℃が好ましい。重合圧力は、1〜50気圧が可能であって、5〜30気圧が好ましい。
【発明の効果】
【0059】
本発明によるイオン性化合物で表面処理された担体に担持されたメタロセン担持触媒は、オレフィン重合反応において、既存の一般的な担持方法に比べて触媒活性に非常に優れており、製造された重合体のバルク密度も良好な結果が得られた。したがって、商業のスラリーや気相工程でメタロセンポリオレフィンを生産する時、非常に経済的且つ有用な長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明を比較例と実施例を通じて説明するが、下記の実施例により本発明が限定されるものではない。
【0061】
本発明によるメタロセン担持触媒及び高分子重合体分析は、下記のような方法で行った。
【0062】
1)担持触媒中の金属含量
ICP(Inductively Coupled Plasma Spectroscopy)分析法により金属含量を測定して、IPC分析機器(Perkin Elmer, Optima 200DV)を使用して、下記のような分析法で測定した。
【0063】
−分析法
グラブボックスの中で、担持触媒60mgをマグネチックバーが入っているバイアルに入れて出す。
担持触媒が入っているバイアルに硝酸12mlを入れて、1時間充分攪拌させる。
1時間後、硝酸混合溶液をろ過紙でろ過し、1mlを新しいバイアルに入れる。
新しいバイアルに蒸留水を9ml入れて、10倍希釈された溶液を製造した後、希釈された溶液でICPを分析する。
【0064】
2)溶融指数
ASTM D 2839により測定した。
【0065】
3)溶融点分析
Dupont DSC2910を利用して、窒素雰囲気下で20℃/minの速度で2nd加熱条件で測定した。
【0066】
4)分子量及び分子量分布
TOHO社Column TSK Guard Column HHR(S)+TSK−Gel GMHHR H(S)が装着されたPL GPC210(Polymer Laboratories社製品)を利用して、160℃で1ml/minの速度で測定した。溶媒は、1,2,3−トリクロロベンゼンを使用して、分子量は、標準試料PS1_A,B(Mw=580〜7,500,000)で補正した。
【0067】
(実施例1)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
シリカXPO−2412(米国、グレース社、表面積460m/g、平均気孔直径12.8nm)1gをストップコック付丸底フラスコに投入して、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート308mg(1.0mmol)投入して、70℃で3時間マグネチックバーを利用して充分攪拌し、シリカ表面をイオン性化合物で表面処理して、トルエン30mlを投入した。別のストップコック付丸底フラスコに(n−BuCp)ZrCl 0.35mmolとトルエンに希釈されたMAO(アルミニウム含量4.6重量%、Albermale社)溶液8mmol−Alを投入して、常温で30分間攪拌した。メタロセン、助触媒溶液を、上記のイオン性溶液で表面処理されたシリカに移して、70℃で3時間攪拌し、メタロセンとMAOを担持した。攪拌を中止して、シリカを沈めた後、上層溶液を除去してトルエン50mlを投入、10分間攪拌した。同一な過程を3回繰り返して、洗浄した。その後、真空で1時間フラスコ内に残存するトルエンを除去して、最終メタロセンが担持された触媒1.58gを得た。
【0068】
2.エチレンスラリー重合
高温真空で洗浄した2L高圧反応器にヘキサン1.5Lを投入した後、温度を70℃に上昇させた後、スカベンジャー及び助触媒役割のためにMAOを2mmol−Al投入して、上記段階で製造されたメタロセン担持触媒8mgをヘキサンスラリーで反応器に投入した。反応器内総圧力が7気圧になるようにエチレン圧力を調節して、エチレンガスを投入して飽和させた後、攪拌機を回転させてエチレン重合反応を始めた。総重合反応時間は、60分間であり、温度は、約70℃を維持した。反応終了後、製造された高分子をエタノールで洗浄して真空で乾燥し、約25gの高分子重合体を得た。
【0069】
(実施例2)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
実施例1−1のメタロセン担持触媒の製造過程と比較し、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネートを150mg使用してシリカ表面を処理し、メタロセン化合物[(n−BuCp)ZrCl]を担持したことを除いては、同様に製造して、得られた担持触媒は、1.42gであった。
【0070】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約43gの高分子重合体を得た。
【0071】
(実施例3)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
実施例1−1のメタロセン担持触媒の製造過程と比較し、イオン性化合物、1−ブチル−3−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェートを150mg使用してシリカ表面を処理し、メタロセン化合物[(n−BuCp)ZrCl]を担持したことを除いては、同様に進行して、得られた担持触媒は、1.44gであった。
【0072】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法によって重合反応を行って、約42gの高分子重合体を得た。
【0073】
(実施例4)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
実施例1−1のメタロセン担持触媒の製造過程と比較し、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレートを240mg使用してシリカ表面を処理し、メタロセン化合物[(n−BuCp)ZrCl]を担持したことを除いては、同様に進行して、得られた担持触媒は、1.50gであった。
【0074】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法によって重合反応を行って、約40gの高分子重合体を得た。
【0075】
(実施例5)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
シリカXPO−2412(米国、グレース社)1gをストップコック付丸底フラスコに投入して、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロライドを95mg投入して、170℃で3時間マグネチックバーを利用して充分攪拌し、シリカ表面をイオン性化合物で表面処理して、温度を70℃に下げてトルエン30mlを投入した。別のストップコック付丸底フラスコに(n−BuCp)ZrCl 0.35mmolとトルエンに希釈されたMAO(アルミニウム含量4.6重量%、Albermale社)溶液8mmol−Alを投入して、常温で30分間攪拌した。用意されたメタロセン、助触媒溶液を、イオン性溶液で表面処理されたシリカに移して、70℃で3時間攪拌し、メタロセンとMAOを担持した。攪拌を中止して、シリカを沈めた後、上層溶液を除去してトルエン50mlを投入、10分間攪拌した。同一な過程を3回繰り返して、洗浄した。その後、真空で1時間フラスコ内に残存するトルエンを除去して、最終メタロセンが担持された触媒1.28gを得た。
【0076】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約106gの高分子重合体を得た。
【0077】
(実施例6)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
実施例5−1のメタロセン担持触媒の製造過程と比較し、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロライドを290mg利用したことを除いては、同様に進行して、得られた担持触媒は、1.25gであった。
【0078】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約75gの高分子重合体を得た。
【0079】
(実施例7)
1.イオン性化合物で表面処理されたシリカにメタロセンを担持した触媒の製造
シリカXPO−2412(米国、グレース社)1gをストップコック付丸底フラスコに投入して、イオン性化合物として1−ブチル−3−メチルピリジニウムクロライドを290mg投入して、170℃で3時間マグネチックバーを利用して充分攪拌し、シリカ表面をイオン性化合物で表面処理して、温度を70℃に下げてトルエン15mlを混合した。別のストップコック付丸底フラスコに(n−BuCp)ZrCl 0.35mmol、トリフェニルカルボニウムペンタフルオロフェニルボレート0.42mmol、トリエチルアルミニウム0.7mmol、トルエン20mlを投入し、常温で30分間攪拌した。このように用意されたメタロセン化合物、助触媒溶液を、上記のイオン性溶液で表面処理されたシリカに移して、70℃で2時間攪拌し、メタロセン化合物とボレート化合物を担持した。攪拌を中止して、シリカを沈めた後、上層溶液を除去してトルエン50mlを投入、10分間攪拌した。同一な過程を3回繰り返して、洗浄した。その後、真空で1時間フラスコ内に残存するトルエンを除去して、最終メタロセンが担持された触媒1.54gを得た。
【0080】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約30gの高分子重合体を得た。
【0081】
(比較例1)
1.メタロセンが担持された触媒の製造
シリカXPO−2412 1gをストップコック付丸底フラスコに投入して、トルエン30mlを混合した。別のストップコック付丸底フラスコにトルエン溶液内MAO 8mmol−Alと(n−BuCp)ZrCl 0.35mmolを投入して、再び30分間攪拌した。上記のように混合された溶液を、用意されたシリカが入っているフラスコに移して、50℃で1時間攪拌した。攪拌を中止して、シリカを沈めた後、上層溶液を除去してトルエン50mlを投入、10分間攪拌した。同一な過程を3回繰り返した。その後、真空で1時間フラスコ内に残存するトルエンを除去して、最終メタロセン化合物が担持された触媒1.10gを得た。
【0082】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約41gの高分子重合体を得た。
【0083】
(比較例2)
1.メタロセンが担持された触媒の製造
シリカXPO−2412 1gをストップコック付丸底フラスコに投入した。別のストップコック付丸底フラスコにトルエン溶液内MAO 3mmol−Alと(n−BuCp)ZrCl 0.35mmolを投入して、再び30分間攪拌した。上記のように混合された溶液を、用意されたシリカが入っているフラスコに移して、50℃で1時間攪拌した。攪拌を中止して、真空で1時間フラスコ内に残存するトルエンを除去して、最終メタロセン化合物が担持された触媒0.98gを得た。
【0084】
2.エチレンスラリー重合
上記段階で製造された担持触媒を利用して、(実施例1)の2におけるエチレンスラリー重合方法と同様に重合反応を行って、約11gの高分子を得た。
【0085】
【表3】

【0086】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される4族遷移金属化合物を、イオン性化合物で処理した無機または有機多孔性担体に担持させて製造されたオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
[化学式1]
Cp’LML
式中、Mは、周期表上の4族遷移金属であり、
Cp’は、中心金属とη−結合できるシクロペンタジエンまたはシクロペンタジエニル環を含む融合環であって、
は、シクロペンタジエン、シクロペンタジエニル環を含む融合環または(C1〜C20)炭化水素置換基とO、NまたはP原子を含んだ陰イオン性リガンドであり、
は、ハロゲン原子、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基、(C3〜C20)シクロアルキル基、(C1〜C20)アルコキシ基、(C6〜C30)アリールオキシ基、(C6〜C30)アリール基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換シリル基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換アミノ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C20)アリール置換シロキシ基、(C1〜C20)アルキル置換または(C6〜C30)アリール置換ホスフィン基であり、
nは、1または2の整数であって、
前記Cp’及びLは、互いに連結されていないか、または珪素または(C1〜C4)アルケニレン結合で連結可能であり、前記Cp’及びLのシクロペンタジエニル環またはシクロペンタジエニル融合環は、(C1〜C20)アルキル基、(C6〜C30)アリール基、(C2〜C20)アルケニル基または(C6〜C30)アリール(C1〜C20)アルキル基でさらに置換可能である。
【請求項2】
前記イオン性化合物は、−100〜300℃の温度範囲で液体または固体相で極性であることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項3】
前記イオン性化合物は、下記化学式2の化合物及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
[化学式2]

式中、Xは、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルファニウムイオン、ピラゾリウムイオンまたはピロリジウムイオンであり、
は、BF、PF、AlCl、ハロゲン、CHCO、CFCO、CHSO、CFSO、(CFSO)N、NO、SbH、SbF11、MePhSO、(CFSO、(CFSOまたは(OR)POである。
【請求項4】
前記化学式2のイオン性化合物は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロゲンカーボネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムハイドロゲンサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラクロロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムクロライド、1−ブチル−4−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、テトラヘプチルアンモニウムクロライド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロマイド、トリブチルメチルアンモニウムクロライド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリイソブチルメチルホスホニウムトシレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジウムブロマイド、1−ブチル−1−メチルピロリジウムテトラフルオロボレート、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−アリール−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−(3−シアノプロピル)−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、1,3−ジメチルイミダゾリウムジメチルホスフェート及び1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムエチルサルフェート、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項5】
前記担持触媒組成物は、アルキルアルミノキサン助触媒、有機アルミニウム助触媒またはホウ素化合物助触媒、またはこれらの混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項6】
前記アルキルアルミノキサン助触媒は、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン及びイソブチルアルミノキサン化合物から選択されて、
前記有機アルキルアルミニウム助触媒は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、及びジイソブチルアルミニウムクロライド化合物から選択されて、
前記ホウ素化合物助触媒は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、N,N−ジメチルアニリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、及びトリフェニルメチリニウムテトラペンタキスフルオロボレート群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項7】
前記Cp’は、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、ブチルシクロペンタジエニル、sec−ブチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、メチルインデニル、エチルインデニル、イソプロピルインデニル、フルオレニル、メチルフルオレニル、ジメチルフルオレニル、及びエチルフルオレニル、イソプロピルフルオレニルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項8】
前記イオン性化合物で処理された無機または有機多孔性担持体は、
a)前記担持体にイオン性化合物を溶媒無しに単独接触させるか、
b)脂肪族または芳香族炭化水素溶媒中で前記担持体と前記イオン性化合物を混合してスラリーを得て、前記スラリーを分離、乾燥して処理されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項9】
前記イオン性化合物は、処理された担持体を基準に0.001〜50重量%であることを特徴とする、請求項1、2及び4のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項10】
前記担持される化学式1の遷移金属化合物:アルミノキサン助触媒の比率が、遷移金属:アルミニウムのモル比基準に1:0.01〜1:1000であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項11】
前記担持される化学式1の遷移金属化合物:ホウ素化合物助触媒の比率が、遷移金属:ホウ素のモル比基準に1:0.01〜1:100であることを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項12】
前記担持体は、シリカ、アルミナ、マグネシウムクロライド、酸化マグネシウム、ミネラルクレイ、カオリン、滑石、雲母、モンモリロナイト、ポリシロキサン系高分子化合物及びポリスチレン、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物。
【請求項13】
請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物を利用したオレフィン重合体の製造方法。
【請求項14】
前記オレフィン重合体は、アルファオレフィンの単独重合体または共重合体であることを特徴とする、請求項13に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項15】
前記アルファオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン及び3−メチル−1−ブテン、またはこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用メタロセン担持触媒組成物を利用して製造されたオレフィン重合体。

【公表番号】特表2011−515555(P2011−515555A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501719(P2011−501719)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001546
【国際公開番号】WO2009/120026
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】