説明

メッキ標準物質、これを用いた分析方法、及び分析装置

【課題】メッキ中の鉛含有量を容易に検出することができる分析技術を提供する。
【解決手段】金属基材、該金属基材上にメッキされた第1の金属成分と5重量%以下の鉛を含有するメッキ層と有するメッキ標準物質を用いて蛍光X線分析を行い、検量線を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッキ中の鉛の量を蛍光X線分析により検出するためのメッキ標準物質、このメッキ標準物質を用いた分析方法、及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、欧米では、環境汚染問題の観点から、車及び電気製品のリサイクル法など種々の分野において、有害物質の使用規制を盛り込んだ法案があげられてきた。
【0003】
欧州連合(EU)では、廃電気・電子機器指令(WEEE指令)および特定物質の使用制限指令(RoHS指令)を発信し、有害物質の危険性をいち早く法制化するという手段で警鐘を鳴らしている。このRoHS指令に基づき、電気電子部品中に特定有害物質すなわち鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・ポリ臭素化ビフェニル(PBB)・ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質については、2006年7月1日より使用禁止になることが決定している。
【0004】
これを契機に、日本国内でも、電気電子機器メーカー等から新しい資材調達基準が公表され、業界全体のグリーン調達にいっそうの拍車がかかっている。
【0005】
電子部品等に使用されるメッキ材料についても、特にその鉛フリー化が重要な課題であり、このRoHS指令における鉛成分の閾値は、1000ppm(0.1重量%)となっている。
【0006】
このような鉛成分は、原料に混入、あるいはメッキ時に混入する場合などがある。
【0007】
例えば電子部品の端子には、はんだぬれ性を確保するために、錫メッキあるいは金−パラジウムメッキ等が施されている。錫メッキは安価であるけれども、応力によってウイスカが発生しやすいため、鉛を混入した錫−鉛合金メッキが汎用されてきた。
【0008】
その他、溶融亜鉛メッキでは、亜鉛中に鉱石由来の不純物として、亜鉛やカドミウムが混入していた。
【0009】
また、無電解ニッケルメッキは、主成分として、例えば塩化ニッケル及び硫酸ニッケル等の金属塩、例えば次亜リン酸ナトリウム及び水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を含む無電解ニッケルメッキ液を調製し、化学反応を制御してメッキが行われる。この反応を制御する安定剤として、従来、メッキ液中に鉛系塩化物、及び鉛系硫化物等が使用されている。
【0010】
このようなことから、メッキ製品のメッキ層における鉛含有量を検出する必要があった。金属中の金属元素及び微量成分を検出する方法としては、例えば蛍光X線分析法があげられる(例えば、下記特許文献1参照)。しかしながら、メッキ処理により得られたメッキ層から微量成分を分析するのは容易ではなく、この微量成分を簡便に分析する方法が求められていた。
【特許文献1】特開平5−281165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、メッキ中の鉛含有量を容易に分析し得る分析技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメッキ標準物質は、蛍光X線分析に適用されるメッキ標準物質であって、金属基材、該金属基材上にメッキされた第1の金属成分と5重量%以下の鉛を含有する第1のメッキ層とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のメッキ分析装置は、X線照射源、及び該X線照射源からのX線照射を受ける位置に設けられた試料載置部、X線が照射された試料から発生する蛍光X線を検出する検出器を有する蛍光X線分析装置と、
金属基材、及び金属基材上にメッキされた第1の金属成分と5重量%以下の鉛を含有する第1のメッキ層を有するメッキ標準物質を蛍光X線分析装置に供して得られた分析結果に基づいて作成された、鉛濃度と、試料中の主成分に対する鉛の強度比との関係を表す検量線データを予め作成し、蛍光X線分析装置における試料の分析結果を受けて、試料中の主成分に対する鉛の強度比を求め、検量線データに基づいて試料中の鉛濃度を算出するデータ処理部と、
データ処理部及び蛍光X線分析装置を制御する主制御部とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明のメッキ分析方法は、金属基材、及び金属基材上にメッキされた第1の金属成分と5重量%以下の鉛を含有する第1のメッキ層を有するメッキ標準物質を蛍光X線分析装置に供し、メッキ標準物質表面のメッキ層の分析結果に基づいて、分析対象となるPbを含むメッキ層を構成する主成分に対する鉛の蛍光X線強度比を求め、鉛含有量と、鉛/主金属成分強度比との関係を表す検量線データを予め作成する工程、未知試料を蛍光X線分析装置に供し、鉛と該主成分の蛍光X線強度を測定する工程、得られた測定結果と前記検量線データに基づいて、未知試料の鉛濃度を算出する工程を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明を用いると、メッキ中の鉛含有量を容易に分析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明の第1の観点に係るメッキ標準物質の一例の構成を表す断面図を示す。
【0018】
本発明の第1の観点に係るメッキ標準物質10は、蛍光X線分析に適用されるメッキ標準物質であって、金属基材1上に、第1のメッキ層2がメッキされた構成を有する。ここで、第1のメッキ層2は、主成分として第1の金属成分を含み、鉛を含有しないか、あるいは0より多く5重量%以下の鉛を含有する。
【0019】
また、図2に、本発明の第2の観点に係るメッキ標準物質の一例の構成を表す断面図を示す。
【0020】
また、本発明の第2の観点に係るメッキ標準物質20は、蛍光X線分析に適用されるメッキ標準物質であって、金属基材3上に、第1のメッキ層4及び第2のメッキ層5が順に積層された構成を有する。ここで、第1のメッキ層4は、主成分として第1の金属成分を含み、第2のメッキ層5は、主成分として、第1の金属成分と異なる第2の金属成分を含み、鉛を含有しないか、あるいは0より多く5重量%以下の鉛を含有する。
【0021】
ここで、本発明で使用される主成分とは、分析対象となる鉛を含むメッキ層の材料に含まれる成分のうち、最も含有量の多い成分、またはその含有量が上位を占める成分群をいうものとする。
【0022】
図3に、本発明の第3の観点に係るメッキ分析装置の一例の構成を表すブロック図を示す。
【0023】
また、図4に蛍光X線分析装置の一例の構成を説明するための概略図を示す。
【0024】
図示するように、このメッキ分析装置40は、データ記憶部16と、データ処理部17と、主制御部18と、蛍光X線分析装置30とを主たる構成要素とする。また、主制御部18は、必要に応じて、例えば液晶ディスプレイ等の表示部21,プリンタ22、及びキーボード等の操作部19を備えている。
【0025】
データ記憶部16は、本発明に係るメッキ標準物質を蛍光X線分析装置30に供して得られた分析結果に基づいて作成された、鉛濃度と、試料中の主成分に対する鉛の強度比との関係を表す検量線データを収容する。
【0026】
データ処理部17は、蛍光X線分析装置30における試料の分析結果を受けて、試料中で鉛を含むメッキ層の主成分に対する鉛の強度比を求め、データ記憶部16から取り出された検量線データに基づいて試料中の鉛濃度を算出する。
【0027】
主制御部18は、データ処理部17及び蛍光X線分析装置30を制御する。
【0028】
蛍光X線分析装置30は試料を分析する。即ち、蛍光X線分析は、物質を構成する原子に、X線を照射した時に、発生するX線を分光し、得られた原子固有のX線の波長又はエネルギーとその強度から、原子の存在情報を得る。蛍光X線分析装置30の一例として、例えばエネルギー分散方式があげられる。図4に示すように、蛍光X線分析30は、X線発生器11、及びX線発生器11からのX線照射を受ける位置に設けられた試料載置部12、試料載置部12上に置かれた試料13にX線が照射されて発生する蛍光X線を検出する検出器14、検出器14を冷却するための液体窒素が収容された液体窒素容器15を備えている。但し、蛍光X線分析30の種類によっては、検出器14を冷却しない方式も考えられ、その場合は、液体窒素容器15は必須ではない。
【0029】
図5に、本発明の第4の観点に係るメッキ分析方法の一例を説明するためのフロー図を示す。
【0030】
まず、メッキ標準物質10,20を蛍光X線分析30装置に供し(ST1)、メッキ標準物質表面10,20のメッキ層の分析結果に基づいて、主成分の蛍光X線強度に対する鉛の蛍光X線強度との比を求める(ST2)。そして例えば横軸に鉛含有量、縦軸に主成分の蛍光X線強度に対する鉛の蛍光X線強度との比(鉛/主金分強度比)との関係を表す検量線データ(図8参照)を予め作成する(ST3)。なお、作成した検量線データは、データ記憶部16に記憶させておき、必要に応じて取り出して使用することができる。
【0031】
次に、未知試料を蛍光X線分析装置30に供し(ST4)、主成分の蛍光X線強度に対する鉛の蛍光X線強度との比(鉛/主成分強度比)を求める(ST5)。そしてST3で作成した検量線データ(図8参照)を利用して、ST5で求めた鉛/主成分強度比から未知試料の鉛濃度を算出する(ST6)。
【0032】
分析対象であるメッキ層の各成分の蛍光X線強度は、メッキ層の厚さが増加すると蛍光X線強度も増加する。このため、本発明では、主成分の蛍光X線強度により鉛の蛍光X線強度を除算し、鉛/主成分の強度比を求めることにより、メッキ層の厚さによる影響を補正する。
【0033】
図6及び図7に、メッキ層の厚さによる影響を補正する様子を表すグラフ図を示す。
【0034】
図6において、グラフ101の縦軸は左側の軸(Pb強度)であり、グラフ102は右側の軸(Pb/Ni強度比)である。同様に、図7において、グラフ103の縦軸は左側の軸(Pb強度)であり、グラフ104は右側の軸(Pb/Sn強度比)である。
【0035】
図6中、グラフ101は5mmの厚さを有するアルミニウム基材上に、鉛を0.1重量%含むニッケルメッキ液を用いてニッケルメッキ層を形成し、メッキ層の厚さを変化させた場合の鉛成分の蛍光X線強度変化を表す。グラフ101から明らかなように、鉛濃度が一定であってもメッキ層の厚さを大きくするほど、鉛の強度も増加する。一方、グラフ102に示すように、鉛成分の蛍光X線強度をニッケル成分の蛍光X線強度で割った値をプロットすると、グラフの傾斜が顕著に減少し、一定の値に近くなる。このようにして、メッキ層の厚さによる影響を補正することができる。
【0036】
また、図7中、グラフ103は、1mmの厚さを有する銅基材上に、鉛を含有しない1μmの厚さのニッケルメッキ層を形成した後、鉛を0.1重量%含む3Ag0.5CuSnメッキ液を用いて鉛フリーはんだメッキ層を形成し、メッキ層の厚さを変更した場合の鉛成分の蛍光X線強度変化を表す。グラフ103から、明らかなように、メッキ層の厚さを大きくするほど、鉛の強度も増加する。一方、グラフ104に示すように、鉛成分の蛍光X線強度を鉛フリーはんだ成分の蛍光X線強度で割った値をプロットすると、グラフの傾斜が顕著に減少し、一定の値に近くなる。このようにして、メッキ層の蛍光X線強度のうち、メッキ層の厚さによる影響を補正することができる。
【0037】
図9に、Sn強度とメッキ厚との関係を示す。
【0038】
図9に示す通り、はんだメッキ中の成分であるSnの強度は、メッキ厚が30μm以下の比較的薄い場合、ほぼ正比例の関係にある。したがって、Snの強度によりメッキ厚に関する補正が可能である。図7において主成分元素の強度を補正に選ぶ理由は、実際の部品では多少組成の変動があるものの、主成分の場合、組成変動による強度変化よりメッキの厚みの変化による強度の変化の方が非常に大きく、組成変動による影響が小さいという利点があるためである。尚、Ni強度とメッキ厚の関係も図9と同様な傾向が見られ、図6において主成分元素を補正に選ぶ理由も上記と同様であるため、その説明は省略する。
【0039】
ところで、図6及び図7に示すにように、メッキ層の厚さによる影響は、メッキ層が余り厚すぎると誤差が大きくなる。このため、分析に供するメッキ層の厚さは、30μm以下にすることができる。即ち、鉛強度はメッキ厚が薄い場合はメッキ厚に比例して増加するが、厚みが厚くなるに従って、鉛強度はメッキ厚に比例しなくなる。本分析法が適用可能であるメッキ厚の範囲は、メッキの素材によっても異なるが30μm程度までである。尚、実際分析対象とする電子部品のメッキの厚みは通常20μm以下であることを考慮すれば、電子部品を対象とする限りにおいては本手法が有効であることが分かる。
【0040】
このように、本発明によれば、予めメッキ層の鉛濃度がわかっているメッキ標準物質から、主成分の蛍光X線強度に対する鉛の蛍光X線強度比と、鉛濃度との関係を表す検量線データを求めておく。次に未知試料について主成分の蛍光X線強度に対する鉛の蛍光X線強度比を求める。これにより検量線に基づくことで鉛濃度を容易に算出できる。
【0041】
本発明の第1の態様において、金属基材1として例えばアルミニウムを用いることができる。また、第1の態様において、第1のメッキ層2として例えば無電解ニッケルメッキ層を使用することができる。また、金属基材1は、アルミニウムの他に、例えば銅、鉄、及び亜鉛等から選択することができる。
【0042】
本発明の第1の態様において、金属基材1は、例えば1ないし10mmの厚さを有し、第1のメッキ層2は、1ないし30μmの厚さを有する。但し金属基材1の厚さが1mm未満及び10mm以上であっても第1のメッキ中鉛濃度の算出は可能である。また、図6に示すように第1のメッキ層2の厚さが標準物質と未知試料との間で大きく異なる場合は、鉛濃度の算出で誤差が大きくなる。そのため標準物質と未知試料とのメッキ厚の差は5μm程度以内にするのが良い。
【0043】
本発明の第2の態様において、金属基材3として例えば銅、鉄、及び亜鉛等を用いることができる。また、第2の態様において、第1のメッキ層4として例えばニッケルメッキ層、第2のメッキ層5として、例えば鉛フリーはんだ層を使用することができる。鉛フリーはんだとしては、例えば錫−銀系はんだ、錫−銀−銅系はんだ、錫−銅系はんだ、錫−銀−ビスマス系はんだ、錫−亜鉛−ビスマス系はんだ、錫−ビスマス系はんだ等があげられる。各はんだの代表的な組成例として、例えばSn−3.5原子%Ag、Sn−(2ないし4)Ag−(0.5ないし1)Cu等があげられる。Sn−(2ないし4)Ag−(1ないし6)Bi、Sn−(8ないし9)Zn−(0ないし3)Bi、及びSn−(57ないし58)Bi等があげられる。
【0044】
本発明の第2の態様において、金属基材3は、例えば100ないし1000μmの厚さを有し得、第1のメッキ層4は、0.5ないし10μmの厚さを有する。第2のメッキ層5は、1ないし30μmの厚さを有する。但し、金属基材3の厚さが100μm未満及び1000μm以上であっても第2のメッキ層5中、鉛濃度の算出は可能である。
【0045】
また、第2のメッキ層5の厚さが1μm未満であると、鉛濃度が約0.1重量%以下の微量の場合、装置精度により鉛を検出できなく可能性もある。30μmを超えると、上述のように、メッキ層の厚さによる影響が大きくなる傾向があり、定量値の誤差が大きくなる可能性がある。
【0046】
(実施例)
メッキ標準物質として、500μmの厚さを有する銅基材上に、鉛を含有しない1μmの厚さのニッケルメッキ層を形成した後、鉛を0.5重量%含む3Ag0.5CuSnメッキ液を用いて鉛フリーはんだメッキ層を3μmの厚さに形成した。メッキ標準物質を蛍光X線分析装置に供し、メッキ標準物質表面のメッキ層の分析結果に基づいて、Sn成分に対する鉛の蛍光X線強度比を求め、図8に示すように、鉛含有量と、鉛/Sn成分強度比との関係を表す検量線データを作成した。
【0047】
別途、未知試料として、100μmの厚さを有する銅基材上に、鉛を含有しない1μmの厚さの無電解ニッケルメッキ層を形成した後、鉛含有量がわからない3Ag0.5CuSnメッキ液を用いて鉛フリーはんだメッキ層を2μmの厚さに形成した。得られた未知試料を蛍光X線分析装置に供し、メッキ標準物質表面のメッキ層の分析結果に基づいて、Sn成分に対する鉛の蛍光X線強度比をを図8に示す検量線データを用いて求めたところ、鉛含有量が0.74重量%であることを算出した。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の観点に係るメッキ標準物質の一例の構成を表す断面図
【図2】本発明の第2の観点に係るメッキ標準物質の一例の構成を表す断面図
【図3】本発明の第3の観点に係るメッキ分析装置の一例の構成を表すブロック図
【図4】蛍光X線分析装置の一例の構成を説明するための概略図
【図5】本発明の第4の観点に係るメッキ分析方法の一例を説明するためのフロー図
【図6】メッキ層の厚さによる影響を補正する様子を表すグラフ図
【図7】メッキ層の厚さによる影響を補正する様子を表すグラフ図
【図8】鉛含有量と、鉛/Sn成分強度比との関係を表す検量線データ
【図9】Sn強度とメッキ厚との関係を表すグラフ図
【符号の説明】
【0049】
1,3…金属基材、2,4…第1のメッキ層、5…第2のメッキ層、10,20…メッキ標準物質、11…X線発生源、12…試料載置部、13…試料、14…検出器、15…液体窒素収容器、16…データ記憶部、17…データ処理部、18…主制御部、19…操作部、21…表示部、22…プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光X線分析に適用されるメッキ標準物質であって、金属基材、及び該金属基材上にメッキされた第1の金属成分と5重量%以下の鉛を含有する第1のメッキ層を具備することを特徴とするメッキ標準物質。
【請求項2】
前記第1のメッキ層は、ニッケルメッキ層である請求項1に記載のメッキ標準物質。
【請求項3】
前記第1のメッキ層は、0.1ないし30μmの厚さを有する請求項1または2のいずれか1項に記載のメッキ標準物質。
【請求項4】
前記第1のメッキ層上に、前記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分と5重量%以下の鉛を含有する第2のメッキ層をさらに具備することを特徴とする請求項1または2に記載のメッキ標準物質。
【請求項5】
前記第2のメッキ層は、鉛フリーはんだメッキ層である請求項4に記載のメッキ標準物質。
【請求項6】
前記第1のメッキ層は、0.1ないし10μmの厚さを有し、前記第2のメッキ層は0.1ないし30μmの厚さを有する請求項4または5に記載のメッキ標準物質。
【請求項7】
前記金属基材は、銅、鉄、亜鉛、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のメッキ標準物質。
【請求項8】
X線照射源、及び該X線照射源からのX線照射を受ける位置に設けられた試料載置部、X線が照射された試料から発生する蛍光X線を検出する検出器を有する蛍光X線分析装置と、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のメッキ標準物質を該蛍光X線分析装置に供して得られた分析結果に基づいて作成された、鉛濃度と、試料中の主成分に対する鉛の強度比との関係を表す検量線データを予め作成し、該蛍光X線分析装置における試料の分析結果を受けて、試料中の主成分に対する鉛の強度比を求め、該検量線データに基づいて試料中の鉛濃度を算出するデータ処理部と、
前記データ処理部及び前記蛍光X線分析装置を制御する主制御部とを具備することを特徴とするメッキ分析装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のメッキ標準物質を蛍光X線分析装置に供し、メッキ標準物質表面のメッキ層の分析結果に基づいて、主成分に対する鉛の蛍光X線強度比を求め、鉛含有量と、鉛/主金属成分強度比との関係を表す検量線データを予め作成する工程、未知試料を蛍光X線分析装置に供し、鉛と該主成分の蛍光X線強度を測定する工程、得られた測定結果と前記検量線データに基づいて、未知試料の鉛濃度を算出する工程を具備することを特徴とするメッキ分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−8856(P2008−8856A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182050(P2006−182050)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】