メッシュフェンス
【課題】 縦線材と横線材の交点部での自由な回動を得て、傾斜面に沿って隙間なく設置することのできるメッシュフェンスを提供する。
【解決手段】 複数の縦線材12と横線材13とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンス11であって、前記縦線材と横線材の交点部にピン孔15,16を連続して貫通形成すると共に、該各ピン孔にリベット17の軸部17bを挿通すると共に、先端部17cをかしめることによって、前記縦線材と横線材とを低摩擦材であるワッシャ18を介して互いに回動自在に連結した。これによって、各縦線材と横線材を自由に回動させて菱形状に変形させることによって、傾斜面に沿って簡単かつ隙間なく設置することが可能になる。
【解決手段】 複数の縦線材12と横線材13とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンス11であって、前記縦線材と横線材の交点部にピン孔15,16を連続して貫通形成すると共に、該各ピン孔にリベット17の軸部17bを挿通すると共に、先端部17cをかしめることによって、前記縦線材と横線材とを低摩擦材であるワッシャ18を介して互いに回動自在に連結した。これによって、各縦線材と横線材を自由に回動させて菱形状に変形させることによって、傾斜面に沿って簡単かつ隙間なく設置することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速道路などの自動車専用道路内や空港敷地内への小動物などの侵入を防止するために周囲に設置されるメッシュフェンスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、高速道路などの自動車専用道路には、狐やうさぎなどの小動物や人間などが敷地内へ侵入するのを防止するために、複数のメッシュフェンスが道路などに沿って設置されており、この従来のメッシュフェンスとしては、図11に記載されたものが一般に知られている。
【0003】
図11に基づいて概略を説明すれば、このメッシュフェンス1は、いわゆる固定式であって、所定の隔成面積を有する左右の支柱4、4の間に、複数の縦線材2と該縦線材2にほぼ直交状に配設された複数の横線材3とによって格子状に形成されている。また、前記各縦線材2と横線材3との各交点部(接点部)5は、溶接によって互いに固着されて、全体が固定的に形成されている。
【0004】
そして、各メッシュフェンス1は、前記支柱4、4の下端部を地面に埋設して設置固定されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−186405号公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のメッシュフェンス1にあっては、各縦線材2と横線材2の交点部5が溶接によって固定されて、全体が矩形状の固定的な形状になっている。
【0006】
このため、かかる複数のメッシュフェンス1を連続的に並べて設置するに当たり、設置個所が平坦(水平)である場合は、一つずつそのまま垂直状に設置して、そのまま順次並設することが可能であるが、設置個所の地面が傾斜面6になっている場合には、図11に示すように、各メッシュフェンス1を前記傾斜面6の勾配角度に拘わらず水平面に対して垂直状に設置して階段状にするか、あるいは、各メッシュフェンス1を前記傾斜面6の勾配角度に対して垂直に設置しなければならない。
【0007】
この結果、前者の設置方法では、図11に示すように、各メッシュフェンス1の下端縁と傾斜面6との間に隙間Cがそれぞれ形成されてしまい、これでは、小動物などの侵入を防止することができず、侵入防止機能の低下が余儀なくされてしまう。
【0008】
一方、後者の設置方法では、傾斜状に設置されたメッシュフェンスとこれと隣接する水平状に設置されたメッシュフェンスとの間に、逆三角形状の隙間が形成されてしまう。このため、前者の従来技術と同じく侵入防止効果が薄れてしまう。
【0009】
そこで、前記傾斜面6に設置されるメッシュフェンス1を予めに傾斜状に形成して、水平なメッシュフェンス1との間に前記隙間Cが形成されないようにすることも考えられている。
【0010】
しかし、この場合は、傾斜面6の長さを実測して、これに合わせて傾斜用のメッシュフェンス1を予め工場で製造し、この傾斜状に製造された固定的なメッシュフェンス1を現場に搬送して設置しなければならない。このため、製造作業が煩雑になり、製造作業能率の低下を招くと共に、コストの高騰が余儀なくされる。
【0011】
本発明は、前記従来のメッシュフェンスの技術的課題に鑑みて案出されたもので、製造が容易でかつ傾斜面に合わせて簡単に設置することのできるメッシュフェンスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、複数の縦線材と横線材とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンスにおいて、前記縦線材と横線材の交点部に貫通孔を連続して形成すると共に、該貫通孔に連結ピンを挿通し、該連結ピンを枢支点として前記縦線材と横線材とを互いに回動自在に連結したことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、平坦な地面に対しては、複数の縦線材と横線材を回動変形させることなく全体を例えば長方形状に維持したまま地面に設置することができることは勿論のこと、傾斜状の地面に対しては、現場において傾斜面の勾配角度に応じて各縦線材と横線材を連結ピンを介してほぼ菱形状に自由に回動変形させて設置することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記連結ピンをリベットによって形成したことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、連結ピンをリベットによって形成することによって、該リベットをかしめることによって各縦線材と横線材とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記連結ピンを、先端にナットが螺着されたボルトによって形成したことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記連結ピンが挿通された縦線材と横線材との間に、低摩擦材を介装したことを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記低摩擦材をワッシャによって構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、平坦な地面に対しては、複数の縦線材と横線材を回動変形させることなく、例えば全体を長方形状に維持したまま地面に設置することができることは勿論のこと、傾斜面に対しては、この勾配角度に応じて各縦線材と横線材を連結ピンを介してほぼ菱形状に自由に回動変形させて設置することができる。
【0020】
この結果、平坦な地面に設置されたメッシュフェンスと傾斜面に設置されたメッシュフェンスとの間の隙間の発生を確実に防止することができると共に、特に、現場においてメッシュフェンスの支柱スパンの長さを調整するだけで設置することができるので、その設置作業がきわめて容易になる。
【0021】
しかも、各縦線材と横線材は、その交点部がそれぞれ連結ピンによって連結されていることから、自由な回動変形を確保しつつメッシュフェンス全体の剛性を十分に高めることが可能になる。
【0022】
また、各交点部に連結ピンが設けられていることから、例えば侵入者は侵入口周りの各連結ピンをそれぞれ切断しなければならず、その切断時間に多くの時間を要することから容易に侵入することができず、防犯効果が向上する。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、各リベットをかしめることによって各縦線材と横線材とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、連結ピンをボルトによって形成することにより、ナットとの螺着によって縦線材と横線材とを連結するため、その連結作業が容易であり、例えば、現場で組み付けをすることも可能になる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、縦線材と横線材との交点部に低摩擦材を介装することによって、縦線材と横線材の回動の摩擦抵抗が低減されて該回動変形作業が容易になる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、低摩擦材をワッシャによって形成したことにより、前記両者を連結ピンによって連結する際に、該連結ピンにワッシャを装着するだけでよいため、その取付作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るメッシュフェンスの実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0028】
すなわち、このメッシュフェンス11は、図2、図3及び図5に示すように、複数の縦線材12と、該各縦線材12に交差状に配置された複数の横線材13と、両側に固定された左右の支柱14,14とから構成されて、前記各縦線材12と各横線材13とによって格子状に形成されている。
【0029】
また、この実施形態では、各支柱14,14間の幅Wが約2000mmに設定されていると共に、縦線材12の上下長さHが約800〜1000mmに設定されて、全体がほぼ長方形状に形成されている。また、前記各横線材12間の長さhが、約125mmに設定され、各縦線材13間の長さwが約40mmに設定されている。
【0030】
前記縦線材12と横線材13とは、図1にも示すように、横断面ほぼ円形状に形成され、それぞれの外径が例えば約4.5mmに設定されて、比較的高い剛性になっていると共に、各交点部に貫通孔であるピン孔15、16が連続して貫通形成されていると共に、該ピン孔16,17に連結ピンである各リベット17が挿通されて、該各リベット17によって各縦線材12と各横線材13の全体が図4に示すように、回動自在に連結されている。
【0031】
すなわち、前記縦線材12のピン孔15と横線材13のピン孔16は、それぞれの内径が同じ約2.3mmに設定されている。一方、前記各リベット17は、頭部17aの下面に一体に有する軸部17bが、前記各ピン孔15,16を挿通配置されていると共に、その外径が前記各ピン孔15,16の内径よりも僅かに小さく設定されて、ほぼ遊嵌状態になっている。また、軸部17bは、先端部17cがかしめによって潰されることによって、縦線材12と横線材13とを互いに回動自在に連結されている。また、各横線材13の両端部は、前記両支柱14,14に対して例えばボルトなどの所定連結手段によって各支柱14,14に対して回動自在に連結されている。
【0032】
また、前記縦線材12と横線材13の間の軸部17bには、ワッシャ18がそれぞれ介装されている。このワッシャ18は、金属材を円環状に形成されて表面に例えばテフロン(登録商標)などの低摩擦材が形成されている。
【0033】
したがって、この実施形態によれば、メッシュフェンス11を、平坦な地面に設置する際には、図2の実線で示すように、各支柱14,14を互いに同一高さに設定した状態で地面に設置すれば、各縦線材12と各横線材13が回動変形することなくメッシュフェンス11全体を正方形状に維持したまま地面に設置することができる。
【0034】
また、図5に示すような傾斜状の地面Eに対しては、現場において各支柱14,14を図2の一点鎖線で示すように、傾斜面Eの勾配角度θに応じてその高さを変えると、図5に示すように、各縦線材12と横線材13が各リベット17を介してほぼ菱形状に自由に回動変形して任意の傾斜形状に形成することができ、これらを連続的に設置することができる。
【0035】
この結果、平坦な地面に設置されたメッシュフェンス11と傾斜面に設置されたメッシュフェンス11との間の隙間の発生を確実に防止することができると共に、特に、現場においてメッシュフェンス11の長さを調整するだけで設置することができるので、その設置作業がきわめて容易になる。
【0036】
しかも、各縦線材12と横線材13は、その交点部がそれぞれリベット17によって連結されていることから、大きくかつ自由な回動変形を確保しつつメッシュフェンス11全体の剛性を十分に高めることが可能になる。
【0037】
また、各交点部にリベット17が設けられていることから、例えば侵入者は侵入口周りの各リベット17をそれぞれ切断しなければならず、その切断時間に多くの時間を要することから容易に侵入することができず、防犯効果が向上する。つまり、例えば1つや2つの少数のリベット17を切断しただけでは、縦線材12と横線材13の交点部での連結が解除されずに、十分な結合剛性が確保されていることから、防犯効果が大きい。
【0038】
さらに、連結ピンをリベット17によって形成したことによって、該リベット17をかしめることによって各縦線材12と横線材13とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0039】
また、この実施形態では、各メッシュフェンス11を搬送する場合や倉庫などに収納する場合には、図6に示すように、各縦線材12と横線材13とを、各リベット17を介して大きく回動させて、つまりメッシュフェンス11全体を菱形に潰した形にコンパクトに折り畳むことが可能になる。このため、各メッシュフェンス11の嵩張りがなくなって、該各メッシュフェンス11を積み重ねて搬送したり倉庫などに収納することが可能になる。
【0040】
この結果、一度に多くのメッシュフェンス11を搬送することが可能になると共に、倉庫などへの収納スペースが小さくなり、単位面積当たりの収納量を多くすることが可能になる。
【0041】
なお、前記コンパクトに折り畳まれた各メッシュフェンス11を現場で展開する作業も簡単であるから、設置作業効率の大幅な向上が図れる。
【0042】
さらに、前記各縦線材12と横線材13との交点部にワッシャ18を介装したため、縦線材12と横線材13の回動時の摩擦抵抗が低減されて該回動変形作業が容易になる。また、ワッシャ18によって縦線材12と横線材13との間を密着状態に連結できるため、風切り音の発生も防止できる。
【0043】
前記縦線材12と横線材13をリベット17によって連結する際に、該リベット17にワッシャ18を装着するだけでよいため、その取付作業が容易である。
【0044】
図7は本発明の第2の実施形態を示し、連結ピンとして平頭部のリベット17を用いたものである。すなわち、前記各ピン孔15,16の外端側を横断面ほぼ三角形状の凹溝15a、16aに形成し、リベット17の頭部17aを一方の凹溝16aの形状に合った横断面ほぼ三角形状の平頭部17aに形成し、軸部17bの先端部17cを他方の凹溝15aの形状に合うように横断面ほぼ三角形状にかしめたものである。
【0045】
したがって、この実施形態によれば、各リベット17を各ピン孔15,16に挿通した後に、先端部17cをかしめると、平頭部17aと先端部17cが各凹溝15a、16a内に埋め込まれた状態に保持される。このため、各縦線材12や横線材13の外面から突出することがないことから、外観品質の向上が図れると共に、各メッシュフェンス11の設置作業中の手作業がやりやすくなる。
【0046】
図8は第3の実施形態を示し、連結ピンをボルト19とナット20によって構成したものである。すなわち、各縦線材12と横線材13の各ピン孔15,16に、ボルト19の軸部19aを挿通して、該軸部19aの先端部19bに形成された雄ねじにナット20を螺着して、前記縦線材12と横線材13との各交点部を回動自在に連結したものである。なお、前記各交点部には、ワッシャ18が設けられていることは、前記各実施形態と同様である。
【0047】
このように、連結ピンをボルト19とナット20によって構成したことから、連結作業を現場でも比較的容易に行うことができる。また、ボルト19の先端部19bに割ピンを軸直角方向から挿通して先端を折り曲げることによって、ナット20の抜け出しを防止することが可能になる。
【0048】
図9は第4の実施形態を示し、縦線材12と横線材13とを横断面円形状ではなく正方形状に形成してそれぞれ角線状に形成したものである。また、連結ピンとしては、前記第1実施形態と同様のリベット17によって構成した。
【0049】
この実施形態によれば、各縦線材12と横線材13との交点部でのワッシャ18を介しての接触面積が円形状のものよりも大きくなるので、各交点部での結合剛性が高くなり、耐久性の向上が図れると共に、防犯効果が高くなる。
【0050】
図10は第5の実施形態を示し、縦線材12と横線材13の横断面形状を6角面状に形成したものである。また、連結ピンとしてリベット17を用いている。
【0051】
したがって、この実施形態も第4の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0052】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、連結ピンをリベット17やボルト19などに代えて他のピン型構造のものを利用することも可能である。なお、前記リベット17やボルト19の材質は、例えばステンレスなどの耐食性に強い材料を任意に設定することができる。
【0053】
また、縦線材12と横線材13の各横断面形状をさらに変更することも可能であり、これらの材質も、強度をさらに高めるために、高鋼材によって形成することも可能である。
【0054】
また、前記リベット17を、頭部側の一方のピン孔15、16に対して遊嵌し、他方に対して圧入によって挿通することも可能である
また、低摩擦材として金属製のワッシャに代えて硬質ナイロン製などの他の材質によっても形成することも可能であり、あるいは低摩擦材の塗料であってもよい。
【0055】
さらに、支柱14は、角材状ではなく横断面円形状のポール状に形成することも可能である。
【0056】
また、メッシュフェンス11の外形は、前記長方形に限らず正方形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るメッシュフェンスの第1の実施形態の交点部の要部断面図である。
【図2】本実施形態のメッシュフェンスの正面図である。
【図3】本実施形態のメッシュフェンスの側面図である。
【図4】本実施形態に供される縦線材と横線材の回動状態を示す要部斜視図である。
【図5】本実施形態の複数のメッシュフェンスを傾斜面に設置した状態を示す正面図である。
【図6】本実施形態の1つのメッシュフェンスを最小に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図7】第2の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図8】第3の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図9】第4の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図10】第5実施形態における交点部の要部断面図である。
【図11】従来の複数のメッシュフェンスを傾斜面に設置した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0058】
11…メッシュフェンス
12…縦線材
13…横線材
14…支柱
15…ピン孔
16…ピン孔
17…リベット(連結ピン)
18…ワッシャ(低摩擦材)
19…ボルト(連結ピン)
20…ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば高速道路などの自動車専用道路内や空港敷地内への小動物などの侵入を防止するために周囲に設置されるメッシュフェンスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、高速道路などの自動車専用道路には、狐やうさぎなどの小動物や人間などが敷地内へ侵入するのを防止するために、複数のメッシュフェンスが道路などに沿って設置されており、この従来のメッシュフェンスとしては、図11に記載されたものが一般に知られている。
【0003】
図11に基づいて概略を説明すれば、このメッシュフェンス1は、いわゆる固定式であって、所定の隔成面積を有する左右の支柱4、4の間に、複数の縦線材2と該縦線材2にほぼ直交状に配設された複数の横線材3とによって格子状に形成されている。また、前記各縦線材2と横線材3との各交点部(接点部)5は、溶接によって互いに固着されて、全体が固定的に形成されている。
【0004】
そして、各メッシュフェンス1は、前記支柱4、4の下端部を地面に埋設して設置固定されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−186405号公報など
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のメッシュフェンス1にあっては、各縦線材2と横線材2の交点部5が溶接によって固定されて、全体が矩形状の固定的な形状になっている。
【0006】
このため、かかる複数のメッシュフェンス1を連続的に並べて設置するに当たり、設置個所が平坦(水平)である場合は、一つずつそのまま垂直状に設置して、そのまま順次並設することが可能であるが、設置個所の地面が傾斜面6になっている場合には、図11に示すように、各メッシュフェンス1を前記傾斜面6の勾配角度に拘わらず水平面に対して垂直状に設置して階段状にするか、あるいは、各メッシュフェンス1を前記傾斜面6の勾配角度に対して垂直に設置しなければならない。
【0007】
この結果、前者の設置方法では、図11に示すように、各メッシュフェンス1の下端縁と傾斜面6との間に隙間Cがそれぞれ形成されてしまい、これでは、小動物などの侵入を防止することができず、侵入防止機能の低下が余儀なくされてしまう。
【0008】
一方、後者の設置方法では、傾斜状に設置されたメッシュフェンスとこれと隣接する水平状に設置されたメッシュフェンスとの間に、逆三角形状の隙間が形成されてしまう。このため、前者の従来技術と同じく侵入防止効果が薄れてしまう。
【0009】
そこで、前記傾斜面6に設置されるメッシュフェンス1を予めに傾斜状に形成して、水平なメッシュフェンス1との間に前記隙間Cが形成されないようにすることも考えられている。
【0010】
しかし、この場合は、傾斜面6の長さを実測して、これに合わせて傾斜用のメッシュフェンス1を予め工場で製造し、この傾斜状に製造された固定的なメッシュフェンス1を現場に搬送して設置しなければならない。このため、製造作業が煩雑になり、製造作業能率の低下を招くと共に、コストの高騰が余儀なくされる。
【0011】
本発明は、前記従来のメッシュフェンスの技術的課題に鑑みて案出されたもので、製造が容易でかつ傾斜面に合わせて簡単に設置することのできるメッシュフェンスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、複数の縦線材と横線材とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンスにおいて、前記縦線材と横線材の交点部に貫通孔を連続して形成すると共に、該貫通孔に連結ピンを挿通し、該連結ピンを枢支点として前記縦線材と横線材とを互いに回動自在に連結したことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、平坦な地面に対しては、複数の縦線材と横線材を回動変形させることなく全体を例えば長方形状に維持したまま地面に設置することができることは勿論のこと、傾斜状の地面に対しては、現場において傾斜面の勾配角度に応じて各縦線材と横線材を連結ピンを介してほぼ菱形状に自由に回動変形させて設置することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、前記連結ピンをリベットによって形成したことを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、連結ピンをリベットによって形成することによって、該リベットをかしめることによって各縦線材と横線材とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記連結ピンを、先端にナットが螺着されたボルトによって形成したことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記連結ピンが挿通された縦線材と横線材との間に、低摩擦材を介装したことを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記低摩擦材をワッシャによって構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、平坦な地面に対しては、複数の縦線材と横線材を回動変形させることなく、例えば全体を長方形状に維持したまま地面に設置することができることは勿論のこと、傾斜面に対しては、この勾配角度に応じて各縦線材と横線材を連結ピンを介してほぼ菱形状に自由に回動変形させて設置することができる。
【0020】
この結果、平坦な地面に設置されたメッシュフェンスと傾斜面に設置されたメッシュフェンスとの間の隙間の発生を確実に防止することができると共に、特に、現場においてメッシュフェンスの支柱スパンの長さを調整するだけで設置することができるので、その設置作業がきわめて容易になる。
【0021】
しかも、各縦線材と横線材は、その交点部がそれぞれ連結ピンによって連結されていることから、自由な回動変形を確保しつつメッシュフェンス全体の剛性を十分に高めることが可能になる。
【0022】
また、各交点部に連結ピンが設けられていることから、例えば侵入者は侵入口周りの各連結ピンをそれぞれ切断しなければならず、その切断時間に多くの時間を要することから容易に侵入することができず、防犯効果が向上する。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、各リベットをかしめることによって各縦線材と横線材とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、連結ピンをボルトによって形成することにより、ナットとの螺着によって縦線材と横線材とを連結するため、その連結作業が容易であり、例えば、現場で組み付けをすることも可能になる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、縦線材と横線材との交点部に低摩擦材を介装することによって、縦線材と横線材の回動の摩擦抵抗が低減されて該回動変形作業が容易になる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、低摩擦材をワッシャによって形成したことにより、前記両者を連結ピンによって連結する際に、該連結ピンにワッシャを装着するだけでよいため、その取付作業が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るメッシュフェンスの実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0028】
すなわち、このメッシュフェンス11は、図2、図3及び図5に示すように、複数の縦線材12と、該各縦線材12に交差状に配置された複数の横線材13と、両側に固定された左右の支柱14,14とから構成されて、前記各縦線材12と各横線材13とによって格子状に形成されている。
【0029】
また、この実施形態では、各支柱14,14間の幅Wが約2000mmに設定されていると共に、縦線材12の上下長さHが約800〜1000mmに設定されて、全体がほぼ長方形状に形成されている。また、前記各横線材12間の長さhが、約125mmに設定され、各縦線材13間の長さwが約40mmに設定されている。
【0030】
前記縦線材12と横線材13とは、図1にも示すように、横断面ほぼ円形状に形成され、それぞれの外径が例えば約4.5mmに設定されて、比較的高い剛性になっていると共に、各交点部に貫通孔であるピン孔15、16が連続して貫通形成されていると共に、該ピン孔16,17に連結ピンである各リベット17が挿通されて、該各リベット17によって各縦線材12と各横線材13の全体が図4に示すように、回動自在に連結されている。
【0031】
すなわち、前記縦線材12のピン孔15と横線材13のピン孔16は、それぞれの内径が同じ約2.3mmに設定されている。一方、前記各リベット17は、頭部17aの下面に一体に有する軸部17bが、前記各ピン孔15,16を挿通配置されていると共に、その外径が前記各ピン孔15,16の内径よりも僅かに小さく設定されて、ほぼ遊嵌状態になっている。また、軸部17bは、先端部17cがかしめによって潰されることによって、縦線材12と横線材13とを互いに回動自在に連結されている。また、各横線材13の両端部は、前記両支柱14,14に対して例えばボルトなどの所定連結手段によって各支柱14,14に対して回動自在に連結されている。
【0032】
また、前記縦線材12と横線材13の間の軸部17bには、ワッシャ18がそれぞれ介装されている。このワッシャ18は、金属材を円環状に形成されて表面に例えばテフロン(登録商標)などの低摩擦材が形成されている。
【0033】
したがって、この実施形態によれば、メッシュフェンス11を、平坦な地面に設置する際には、図2の実線で示すように、各支柱14,14を互いに同一高さに設定した状態で地面に設置すれば、各縦線材12と各横線材13が回動変形することなくメッシュフェンス11全体を正方形状に維持したまま地面に設置することができる。
【0034】
また、図5に示すような傾斜状の地面Eに対しては、現場において各支柱14,14を図2の一点鎖線で示すように、傾斜面Eの勾配角度θに応じてその高さを変えると、図5に示すように、各縦線材12と横線材13が各リベット17を介してほぼ菱形状に自由に回動変形して任意の傾斜形状に形成することができ、これらを連続的に設置することができる。
【0035】
この結果、平坦な地面に設置されたメッシュフェンス11と傾斜面に設置されたメッシュフェンス11との間の隙間の発生を確実に防止することができると共に、特に、現場においてメッシュフェンス11の長さを調整するだけで設置することができるので、その設置作業がきわめて容易になる。
【0036】
しかも、各縦線材12と横線材13は、その交点部がそれぞれリベット17によって連結されていることから、大きくかつ自由な回動変形を確保しつつメッシュフェンス11全体の剛性を十分に高めることが可能になる。
【0037】
また、各交点部にリベット17が設けられていることから、例えば侵入者は侵入口周りの各リベット17をそれぞれ切断しなければならず、その切断時間に多くの時間を要することから容易に侵入することができず、防犯効果が向上する。つまり、例えば1つや2つの少数のリベット17を切断しただけでは、縦線材12と横線材13の交点部での連結が解除されずに、十分な結合剛性が確保されていることから、防犯効果が大きい。
【0038】
さらに、連結ピンをリベット17によって形成したことによって、該リベット17をかしめることによって各縦線材12と横線材13とを連結できるので、その連結作業が容易である。
【0039】
また、この実施形態では、各メッシュフェンス11を搬送する場合や倉庫などに収納する場合には、図6に示すように、各縦線材12と横線材13とを、各リベット17を介して大きく回動させて、つまりメッシュフェンス11全体を菱形に潰した形にコンパクトに折り畳むことが可能になる。このため、各メッシュフェンス11の嵩張りがなくなって、該各メッシュフェンス11を積み重ねて搬送したり倉庫などに収納することが可能になる。
【0040】
この結果、一度に多くのメッシュフェンス11を搬送することが可能になると共に、倉庫などへの収納スペースが小さくなり、単位面積当たりの収納量を多くすることが可能になる。
【0041】
なお、前記コンパクトに折り畳まれた各メッシュフェンス11を現場で展開する作業も簡単であるから、設置作業効率の大幅な向上が図れる。
【0042】
さらに、前記各縦線材12と横線材13との交点部にワッシャ18を介装したため、縦線材12と横線材13の回動時の摩擦抵抗が低減されて該回動変形作業が容易になる。また、ワッシャ18によって縦線材12と横線材13との間を密着状態に連結できるため、風切り音の発生も防止できる。
【0043】
前記縦線材12と横線材13をリベット17によって連結する際に、該リベット17にワッシャ18を装着するだけでよいため、その取付作業が容易である。
【0044】
図7は本発明の第2の実施形態を示し、連結ピンとして平頭部のリベット17を用いたものである。すなわち、前記各ピン孔15,16の外端側を横断面ほぼ三角形状の凹溝15a、16aに形成し、リベット17の頭部17aを一方の凹溝16aの形状に合った横断面ほぼ三角形状の平頭部17aに形成し、軸部17bの先端部17cを他方の凹溝15aの形状に合うように横断面ほぼ三角形状にかしめたものである。
【0045】
したがって、この実施形態によれば、各リベット17を各ピン孔15,16に挿通した後に、先端部17cをかしめると、平頭部17aと先端部17cが各凹溝15a、16a内に埋め込まれた状態に保持される。このため、各縦線材12や横線材13の外面から突出することがないことから、外観品質の向上が図れると共に、各メッシュフェンス11の設置作業中の手作業がやりやすくなる。
【0046】
図8は第3の実施形態を示し、連結ピンをボルト19とナット20によって構成したものである。すなわち、各縦線材12と横線材13の各ピン孔15,16に、ボルト19の軸部19aを挿通して、該軸部19aの先端部19bに形成された雄ねじにナット20を螺着して、前記縦線材12と横線材13との各交点部を回動自在に連結したものである。なお、前記各交点部には、ワッシャ18が設けられていることは、前記各実施形態と同様である。
【0047】
このように、連結ピンをボルト19とナット20によって構成したことから、連結作業を現場でも比較的容易に行うことができる。また、ボルト19の先端部19bに割ピンを軸直角方向から挿通して先端を折り曲げることによって、ナット20の抜け出しを防止することが可能になる。
【0048】
図9は第4の実施形態を示し、縦線材12と横線材13とを横断面円形状ではなく正方形状に形成してそれぞれ角線状に形成したものである。また、連結ピンとしては、前記第1実施形態と同様のリベット17によって構成した。
【0049】
この実施形態によれば、各縦線材12と横線材13との交点部でのワッシャ18を介しての接触面積が円形状のものよりも大きくなるので、各交点部での結合剛性が高くなり、耐久性の向上が図れると共に、防犯効果が高くなる。
【0050】
図10は第5の実施形態を示し、縦線材12と横線材13の横断面形状を6角面状に形成したものである。また、連結ピンとしてリベット17を用いている。
【0051】
したがって、この実施形態も第4の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0052】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、連結ピンをリベット17やボルト19などに代えて他のピン型構造のものを利用することも可能である。なお、前記リベット17やボルト19の材質は、例えばステンレスなどの耐食性に強い材料を任意に設定することができる。
【0053】
また、縦線材12と横線材13の各横断面形状をさらに変更することも可能であり、これらの材質も、強度をさらに高めるために、高鋼材によって形成することも可能である。
【0054】
また、前記リベット17を、頭部側の一方のピン孔15、16に対して遊嵌し、他方に対して圧入によって挿通することも可能である
また、低摩擦材として金属製のワッシャに代えて硬質ナイロン製などの他の材質によっても形成することも可能であり、あるいは低摩擦材の塗料であってもよい。
【0055】
さらに、支柱14は、角材状ではなく横断面円形状のポール状に形成することも可能である。
【0056】
また、メッシュフェンス11の外形は、前記長方形に限らず正方形であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るメッシュフェンスの第1の実施形態の交点部の要部断面図である。
【図2】本実施形態のメッシュフェンスの正面図である。
【図3】本実施形態のメッシュフェンスの側面図である。
【図4】本実施形態に供される縦線材と横線材の回動状態を示す要部斜視図である。
【図5】本実施形態の複数のメッシュフェンスを傾斜面に設置した状態を示す正面図である。
【図6】本実施形態の1つのメッシュフェンスを最小に折り畳んだ状態を示す正面図である。
【図7】第2の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図8】第3の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図9】第4の実施形態における交点部の要部断面図である。
【図10】第5実施形態における交点部の要部断面図である。
【図11】従来の複数のメッシュフェンスを傾斜面に設置した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0058】
11…メッシュフェンス
12…縦線材
13…横線材
14…支柱
15…ピン孔
16…ピン孔
17…リベット(連結ピン)
18…ワッシャ(低摩擦材)
19…ボルト(連結ピン)
20…ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の縦線材と横線材とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンスにおいて、
前記縦線材と横線材の交点部に貫通孔を連続して形成すると共に、該貫通孔に連結ピンを挿通し、該連結ピンを枢支点として前記縦線材と横線材とを互いに回動自在に連結したことを特徴とするメッシュフェンス。
【請求項2】
前記連結ピンをリベットによって形成したことを特徴とする請求項1に記載のメッシュフェンス。
【請求項3】
前記連結ピンを、先端にナットが螺着されたボルトによって形成したことを特徴とする請求項1に記載のメッシュフェンス。
【請求項4】
前記連結ピンが挿通された縦線材と横線材との間に、低摩擦材を介装したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項5】
前記低摩擦材をワッシャによって構成したことを特徴とする請求項4に記載のメッシュフェンス。
【請求項1】
複数の縦線材と横線材とを重合させて格子状に形成されたメッシュフェンスにおいて、
前記縦線材と横線材の交点部に貫通孔を連続して形成すると共に、該貫通孔に連結ピンを挿通し、該連結ピンを枢支点として前記縦線材と横線材とを互いに回動自在に連結したことを特徴とするメッシュフェンス。
【請求項2】
前記連結ピンをリベットによって形成したことを特徴とする請求項1に記載のメッシュフェンス。
【請求項3】
前記連結ピンを、先端にナットが螺着されたボルトによって形成したことを特徴とする請求項1に記載のメッシュフェンス。
【請求項4】
前記連結ピンが挿通された縦線材と横線材との間に、低摩擦材を介装したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメッシュフェンス。
【請求項5】
前記低摩擦材をワッシャによって構成したことを特徴とする請求項4に記載のメッシュフェンス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−32197(P2007−32197A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220441(P2005−220441)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(505288871)三平産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(505288871)三平産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]