メモリカードソケット並びに電気機器
【課題】一部分のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別する。
【解決手段】識別手段は、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときにカード体100の突部101に当接して変形し、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときには変形しない弾性片11と、変形していない弾性片11と絶縁され、変形した弾性片11と接触導通する接触片12とからなるスイッチ機構を有している。故に、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかをスイッチ機構のオン・オフ状態から識別することができる。
【解決手段】識別手段は、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときにカード体100の突部101に当接して変形し、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときには変形しない弾性片11と、変形していない弾性片11と絶縁され、変形した弾性片11と接触導通する接触片12とからなるスイッチ機構を有している。故に、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかをスイッチ機構のオン・オフ状態から識別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード(登録商標)やマルチメディアカード(MMC)などのメモリカードやSDメモリカードと同様の大きさおよび端子配列を有するSDIOカード(登録商標)を挿抜自在に接続するためのメモリカードソケット、並びにそのようなメモリカードソケットを搭載した電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で大容量のメモリカードとしてSDメモリカードが提供されており、このようなSDメモリカードは、それを使用する電気機器(以下、ホスト機器と言う。)に搭載されたメモリカードソケットに装着されて使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図10(a)〜(c)は従来のSDメモリカードMC1を示し、矩形板状のカード体100の内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子を収納してある。カード体100の一面には長手方向における一側(カード挿入方向の前側部)に9個のコンタクトパッドP1〜P9が短幅方向に並べて配設されている。またカード体100の長手方向に沿う両側縁には突部101が形成されるとともに、前側部の片方の角部に斜めに傾斜する切欠部102を形成してある。またカード体100の挿入方向に沿った片側縁には、後述するメモリカードソケットの係合爪が係合する係合凹所103が形成されると共に、反対側の側縁にはライトプロテクトスイッチの摘み105がスライド移動自在に配置される凹部104を設けてある。尚、コンタクトパッドP1〜P8の間には絶縁のためのリブ106が形成されている。
【0004】
SDメモリカードMC1は、動作モードを切り替えて使用することが可能であり、動作モードに応じて各コンタクトパッドP1〜P9の機能が切り替えられるようになっている。従来のSDメモリカードMC1において、データの高速転送が可能なモードでは、4個のコンタクトパッドを介してデータ転送を行っており、1クロックサイクルで4ビットのデータ転送が可能となっている。
【0005】
このようなSDメモリカードMC1は、例えばデジタルカメラやデジタルビデオカメラのような映像記録機器(電気機器)の記憶媒体として使用されるのであるが、近年の映像記録機器の高精細度化に伴って、記憶媒体に記憶されるコンテンツが大容量化しており、大容量のデータをリアルタイムで記録したり、或いはコンピュータなどの外部機器に転送する場合に従来のSDメモリカードMC1ではデータの転送速度が十分速いとはいえず、比較的長い時間がかかっていた。
【0006】
そこで、データの転送速度を高速化した高速型SDメモリカードMC2が従来提供されている。図11(a)〜(c)は高速型SDメモリカードMC2の三面図であり、この高速型SDメモリカードMC2では、従来型のSDメモリカードMC1と同じ位置にコンタクトパッドP1,P2,P4,P5,P7〜P9を設けてある。またコンタクトパッドP3,P6の前後方向寸法を短くして、前端位置を後側にずらし、コンタクトパッドP3の前方位置に2個のコンタクトパッドP10,P11を左右に並べて配置するとともに、コンタクトパッドP6の前方位置に2個のコンタクトパッドP12,P13を左右に並べて配置してある。
【0007】
このような高速型SDメモリカードMC2の動作モードは、従来のSDメモリカードと同様の動作を行うSDモードと、より高速のデータ転送が可能な高速モードに切り替えが可能となっており、SDモードと高速モードとで各コンタクトパッドP1〜P13の機能が切り替えられるようになっている。
【0008】
そして、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信すると共に、コンタクトパッドP12,P13が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信する。すなわち、上述のSDモードでは、4個のコンタクトパッドを用いて4ビットのデータを送受信していたが、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11の対と、コンタクトパッドP12,P13の対とを用いて2ビットのデータを送受信している。ここで、高速モードの方がSDモードよりも1クロックサイクルで伝送可能なビット数は少ないが、差動データを送受信することで動作クロックの周波数を飛躍的に高く設定できるため、高速モードではSDモードに比べて高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、従来のSDメモリカードMC1に比べて高速のデータ転送が可能になっているが、従来のSDメモリカードMC1をブリッジメディアとして使用するホスト機器が既に数多く生産されている。これらのホスト機器は、従来のSDメモリカードに対応したメモリカードソケット(以下、従来型ソケットと言う。)を採用しているため、高速型SDメモリカードMC2には、従来型ソケットに装着して、データ転送が行えるようにすることが要求されている。
【0010】
そこで、高速型SDメモリカードMC2は、カード体100の前側角部に設けた切欠部107以外は従来のSDメモリカードMC1と同様の外形形状及び寸法に形成されている。切欠部107は、従来のSDメモリカードMC1と同じ位置でカード体100の前面に接する第1切欠部108と、第1切欠部108に連続して設けられ、カード体100の側面に接する第2切欠部109とで構成される。第2切欠部109は、第1切欠部108を距離dだけ後方に平行移動させて設けられ、第1切欠部108と第2切欠部109との間には段差(凹所)が設けてある。
【0011】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、カード体100の前側の角部に深さの異なる第1切欠部108と第2切欠部109を設けてあり、メモリカードソケットにカード体100を挿入した際に、従来型ソケットではカード体100の第1切欠部108がメモリカードソケットのスライダと衝合するのに対して、高速型SDメモリカードMC2に対応したメモリカードソケット(以下、高速対応型ソケットと言う。)では、カード体100の第2切欠部109がスライダと衝合することによって、メモリカードMC2がより深い位置まで差し込まれることになる。すなわち、従来型ソケットにメモリカードを挿入した場合は、高速対応型ソケットにメモリカードを挿入した場合に比べて、SDメモリカードMC2の挿入位置が浅くなっており、両ソケットでソケット内部に配置されたコンタクトがI/O接触面に接触する位置を異ならせることができる。
【0012】
したがって、従来型ソケットでは、コンタクトパッドP3,P6の前側位置に設けたコンタクトパッドP10〜P13にソケット内部に配置したコンタクトが接触することはなく、従来のSDメモリカードMC1と同様に9個のコンタクトパッドP1〜P9のみをソケット側のコンタクトに接触させることができるようになり、従来型ソケットに対して互換性を持たせることができる。
【特許文献1】特開2004−71175号公報
【特許文献2】特開2003−249290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、メモリカードソケットにはスライダを具備しない種類のものも存在し、このようにスライダを具備しない種類のメモリカードソケットでは、従来のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2とで挿入位置を異ならせることができない。したがって、この種のメモリカードソケットでは2種類のメモリカードMC1,MC2の挿入位置が同一となるが、高速型SDメモリカードMC2に設けられている高速モード用のコンタクトパッドP10,P11の対とコンタクトパッドP12,P13の対とに対応する4本のコンタクトが従来のSDメモリカードMC1のコンタクトパッドP3,P6に接触した場合、SDモードの信号伝送特性が変化して規定の転送速度に達しない虞がある。故に、従来のSDメモリカードMC1が挿入された場合は、高速対応型ソケットに設けられている高速モード用のコンタクトと、高速モード用のコンタクトパッドP10,P11の対及びコンタクトパッドP12,P13の対とが電気的あるいは機械的に切り離されるような手段を講じなければならない。そして、そのような手段を講じる前提として、高速対応型ソケットに挿入されたメモリカードが従来のSDメモリカードMC1であるのか、高速型SDメモリカードMC2であるのかを識別する必要がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、一部分のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することができるメモリカードソケット並びに電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、書換可能な不揮発性の記憶素子を収納した矩形板状のカード体並びに当該カード体の先端部一面側に複数のコンタクトパッドが並設されてなるメモリカードが挿抜自在に装着されるメモリカードソケットであって、メモリカードが挿入されるカード挿入口が一面に開口し、カード挿入口より挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの各コンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトと、ソケット本体への挿入向きにおけるカード体の先端側に凹所が設けられたメモリカードとカード体に凹所が設けられていないメモリカードとを識別する識別手段とを備え、識別手段は、凹所の有無によってカード体に対する相対的な位置が変化する機構を有することを特徴とする。
【0016】
請求項1の発明によれば、カード体に凹所を有するメモリカードとカード体に凹所を有しないメモリカードの何れがソケット本体に保持されているかを識別手段で識別することができる。その結果、一部分(凹所の有無)のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケットが提供できる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、コンタクトを保持する保持体がソケット本体に設けられ、識別手段の前記機構が保持体に設けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明によれば、識別手段の機構を保持体に設けることで組立性が向上する。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、識別手段の前記機構は、導電性を有する弾性部材からなり、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときに当該カード体の凹所に対応する位置に設けられている突部に当接して変形し、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明によれば、弾性片と接触片の接触・非接触によってメモリカードの識別結果を表すことができる。その結果、メモリカードの識別結果を電気信号として外部に出力することが容易に実現できる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、ソケット本体内にメモリカードの挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに前方へ移動するスライダと、スライダを後方へ常時付勢する付勢ばねと、スライダの最前部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダが前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備え、識別手段の前記機構は、スライダにおけるカード体の凹所と対応する位置に設けられ、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときはスライダに対して移動せず、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときにはカード体に押されてスライダに対して前方へ移動する移動体と、導電性を有する弾性部材からなり、移動体が移動したときに当該移動体に当接して変形し、移動体が移動しないときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項4の発明によれば、弾性片と接触片の接触・非接触によってメモリカードの識別結果を表すことができる。その結果、メモリカードの識別結果を電気信号として外部に出力することが容易に実現できる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項5の発明によれば、識別手段による識別結果に応じて、ソケット本体に保持されているメモリカードへのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトが切換手段によって使用不可とされるため、メモリカードの種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。
【0025】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、切換手段は、一部のコンタクトの信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする。
【0027】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4のメモリカードソケットを有する電気機器であって、コンタクトを通じてメモリカードとの間で信号伝送を行うことでデータを読み書きするメモリアクセス手段と、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項8の発明によれば、メモリカードソケットの識別手段による識別結果に応じて、メモリカードソケットに装着されているメモリカードへのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトが切換手段によって使用不可とされるため、メモリカードの種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする。
【0030】
請求項10の発明は、請求項8の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリアクセス手段との間の信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、一部分のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケット並びに電気機器が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、従来技術で説明した従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2とを識別し、その識別結果に応じて両方のメモリカードに対応可能としたメモリカードソケットの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
(実施形態1)
本実施形態のメモリカードソケットAは、図4に示すようにベースシェル1及びカバーシェル2からなる扁平な矩形箱状のソケット本体3と、複数本のコンタクトC1〜C13を保持するコンタクトブロック4とを主要な構成として備えている。尚、以下の説明では特に断りが無いかぎり、図4において前後、上下、左右の各方向を規定している。
【0034】
ベースシェル1は、例えば厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、左右両側部を上側に折り曲げて側片1bを形成したものであり(但し、左側の側片は図示せず)、上側及び前後両側が開放されている。
【0035】
ベースシェル1の前部および右側部には下側に突出する複数個の突出片1cが折り曲げ形成されており、これらの突出片1cをコンタクトブロック4の基体(保持体)6下面に開口した圧入溝(図示せず)に圧入することで、ベースシェル1の下面にコンタクトブロック4が圧入固定されるようになっている。尚、ベースシェル1の前端よりやや後方には、コンタクトブロック4に保持されるコンタクトC1〜C13を逃がすための貫通孔7が複数形成されている。
【0036】
またベースシェル1の後側縁の左端には、メモリカードMC1,MC2の通過位置よりも外側位置から下側方向に突出し、さらにその先端側が前方に突出する側面視L字形の支持片8が折り曲げ形成されている。
【0037】
カバーシェル2は、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、カバーシェル2の前縁からは上方に突出する曲げ片(図示せず)が折り曲げ形成されている。またカバーシェル2には、曲げ片よりもやや後端寄りの位置に、上方に突出する複数個の突出片(図示せず)が切り起こしによって形成されている。而して、下面にコンタクトブロック4の基体6が固定されたベースシェル1の下側にカバーシェル2を載置して、カバーシェル2の突出片をコンタクトブロック4の基体6に設けた圧入溝(図示せず)に圧入するとともに、カバーシェル2の周縁部とベースシェル1との当接部位をレーザ溶接などの方法で溶接することにより、カバーシェル2がベースシェル1及びコンタクトブロック4に対して固定され、前面にカード挿入口3aが開口する扁平な箱状のソケット本体3が構成される。
【0038】
図2に示すように、コンタクトブロック4は上下方向における平面視形状が略コ字形に形成された樹脂成型品からなる基体6を備えている。この基体6は、ベースシェル1及びカバーシェル2の前側辺に沿って配置されて、ソケット本体3の前面を閉塞する側部6aと、側部6aの左右両側部から後方に突出しベースシェル1の側片1bに沿って配置される一対の側部6b,6cとで構成されている。
【0039】
さらに基体6の側部6aには、高速型SDメモリカードMC2の前部裏面に並行形成された複数のコンタクトパッドP1〜P13(I/O接触面)にそれぞれ個別に接触導通する13本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により一体に保持されている。各コンタクトC1〜C13は、接触側のばね部を側部6aの後面側(カード挿入口3a側)に突出させるとともに、半田付け端子18を側部6aの前面から上側に突出させている。
【0040】
次に、本発明の要旨である識別手段について説明する。本実施形態における識別手段は、カード体100に凹所が設けられている高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持(装着)されているときはオフとなり、カード体100に凹所が設けられていない従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されているときにオンするスイッチ機構からなる。このスイッチ機構は、図1〜図3に示すように導電性を有する帯板状の弾性部材からなり、コンタクトC1〜C13と同様にコンタクトブロック4の基体6の側部6aに保持された弾性片11と、同じく導電性を有する帯板状の弾性部材からなり、側部6aに保持されて弾性片11と接離自在に接触導通する接触片12とで構成されている。
【0041】
弾性片11は、先端(後端)部分が上向き(図1では下向き)に湾曲する半円弧状に曲げ加工され、コンタクトC1〜C13の半田付け端子18と同じく側部6aの前面から上側(図1では下側)に半田付け端子11bが突出されている。尚、弾性片11の半円弧状の先端部分を係合部11aと呼ぶ。この係合部11aは、高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている状態では、高速型SDメモリカードMC2のカード体100に設けられている凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)の位置に在る(図1(b)参照)。
【0042】
接触片12は、弾性片11に対して外側(図2では左側)に位置しており、その先端(後端)部分には、上下方向において弾性片11と重なる矩形平板状の接点板12aが側方へ突設され、コンタクトC1〜C13の半田付け端子18と同じく側部6aの前面から上側(図1では下側)に半田付け端子12bが突出されている。そして、上下方向において弾性片11と対向する接点板12aの対向面(図1における下面)には弾性片11に近付く向き(図1における下向き)に突出する接点12cが形成されている。
【0043】
次に、識別手段による2種類のメモリカードMC1,MC2の識別動作について説明する。何れの種類のメモリカードMC1,MC2も前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット本体3内に挿入され、カード体100の先端(前端)が側部6aの後端面に当接する位置(正規の挿入位置)でソケット本体3に保持される。高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合、弾性片11の係合部11aはカード体100の凹所の位置に在るためにカード体100と係合しない。したがって、図1(b)に示すように弾性片11と接触片12の接点12cとの間に一定の絶縁距離が保たれて接触しないため、スイッチ機構がオフ状態になる。
【0044】
一方、従来のSDメモリカードMC1のカード本体100には凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間の段部)が存在せず、高速型SDメモリカードMC2における凹所の位置には、カード体100の長手方向に沿って形成された突部101の先端部分が位置している(図10参照)。したがって、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合、図1(a)に示すように係合部11aがカード体100の突部101と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するため、スイッチ機構がオン状態になる。
【0045】
図5は、メモリカードソケットAを搭載した電気機器Mの概略構成を示すブロック図である。この電気機器Mは、メモリカードソケットAに装着されたメモリカードMC1又はMC2へのデータの読み書きを実行するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略す。)200を備えている。このマイコン200は、メモリカードソケットAのコンタクトC1〜C13のうちのコンタクトC1〜C9が図示しないプリント配線板に形成されている導電パターンからなる第1信号線Ls1を介して電気的に接続され、高速モードのみで使用される一部(残り)のコンタクトC10〜C13が同じくプリント配線板に形成されている導電パターンからなる第2信号線Ls2を介して電気的に接続されている。また、マイコン200にはスイッチ機構を構成する弾性片11と接触片12とがプリント配線板に形成されている導電パターンからなる検出信号線Ls3を介して電気的に接続されている。さらに、第2信号線Ls2の途中に挿入されたスイッチ(リレーでもよい)SWをスイッチング制御するための制御線(プリント配線板に形成された導電パターンからなる)Ls4がマイコン200に電気的に接続されている。
【0046】
而して、マイコン200は検出信号線Ls3を介してメモリカードソケットAの識別手段による識別結果(スイッチ機構のオン・オフ)を取り込み、スイッチ機構がオン、つまり、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードが従来のSDメモリカードMC1であれば、制御線Ls4を介してスイッチSWをオフ制御することによってメモリカードソケットAのコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2から電気的に切り離す。したがって、例え従来のSDメモリカードMC1のコンタクトパッドP3,P6にコンタクトC10〜C13が接触していてもSDモードの信号伝送特性が殆ど変化しないので、SDモードにおける規定の転送速度でマイコン200がデータを読み書きすることができる。一方、スイッチ機構がオフ、つまり、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードが高速型SDメモリカードMC2であれば、マイコン200が制御線Ls4を介してスイッチSWをオン制御することによってメモリカードソケットAのコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2に電気的に接続する。したがって、高速型SDメモリカードMC2に対してマイコン200が高速モードでデータを読み書きすることができる。
【0047】
上述のように本実施形態によれば、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。その結果、一部分(凹所の有無)のみ形状が異なる複数種類のメモリカード(従来のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2)を簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケットAが提供できる。また、本実施形態の識別手段は、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときに当該カード体100の凹所に対応する位置に設けられている突部101に当接して変形し、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときには変形しない弾性片11と、変形していない弾性片11と絶縁され、変形した弾性片11と接触導通する接触片12とからなるスイッチ機構を有しているので、弾性片11と接触片12の接触・非接触によってメモリカードMC1,MC2の識別結果を表すことができ、その結果、メモリカードMC1,MC2の識別結果を電気信号として外部(本実施形態では電気機器Mのマイコン200)に出力することが容易に実現できる。さらに、本実施形態ではスイッチ機構の弾性片11及び接触片12がコンタクトC1〜C13を保持する保持体(コンタクトブロック4の基体6)に設けられているので、コンタクトブロック4を同時にスイッチ機構を組み立てることができるために組立性が向上するものである。
【0048】
また本実施形態のメモリカードソケットAを搭載した電気機器Mでは、メモリカードソケットAの識別手段による識別結果に応じて、切換手段たるマイコン200が、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードMC1へのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトC10〜C13とメモリアクセス手段(マイコン200)との間の信号伝送経路(第2信号線Ls2)を開成して使用不可とするので、メモリカードMC1,MC2の種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。但し、本実施形態では切換手段たるマイコン200がメモリカードソケットAの一部のコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2から電気的に切り離すことで使用不可としているが、例えば、識別手段によって従来のSDメモリカードMC1がメモリカードソケットAに装着されていると識別された場合に、メモリカードソケットAの一部のコンタクトC10〜C13をメモリカードMC1のコンタクトパッドP10〜P13から機械的に切り離す構造を電気機器Mに設けても構わない。あるいは、一部のコンタクトC1〜C13を電気的あるいは機械的に切り離す構成を電気機器Mではなく、メモリカードソケットAに備えるようにしても構わない。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態のメモリカードソケットAは、図6,図7に示すようにソケット本体3内にメモリカードMC1,MC2の挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口3aから挿入されたメモリカードMC1,MC2の先端側と衝合し、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてメモリカードMC1,MC2とともに前方へ移動するスライダ5と、スライダ5を後方(カード挿入口3a側)へ常時付勢する付勢ばね(コイルばね)17と、スライダ5の最前部位置への移動後のメモリカードMC1,MC2の押力の解除時にスライダ5を所定位置(図6,図7に図示する位置)でロックし、該ロック後にメモリカードMC1,MC2への押力が加わってスライダ5が前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備えた点が実施形態1と異なる。但し、スライダ5やコイルばね17並びにスライダ5をロックするスライダロック手段については、特許文献1,2にも開示されているように周知技術であるから詳細な構成の図示並びに説明を省略する。
【0050】
スライダ5は合成樹脂成形品からなり、メモリカードMC1,MC2の左側縁に沿って前後方向に移動する短冊形の側部5aと、側部5aの先端部(前端部)から右側方に突出してカード体100の切欠部102及び第1切欠部108に当接する側部5bとが一体に形成されている。而して、メモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1が挿入された場合はSDメモリカードMC1の切欠部102が側部5bの傾斜面と衝合し、高速型SDメモリカードMC2が挿入された場合は高速型SDメモリカードMC2の第1切欠部108が側部5bの傾斜面と衝合することになり、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてスライダ5が前方に移動することになる。尚、コンタクトC1〜C13と対向する側部5bの一面(図6,図7における表面)には、スライダ5の移動時にコンタクトC1,C2並びに弾性片11を逃げるために3つの溝5cが前後方向に凹設されている。
【0051】
本実施形態においても実施形態1と同様に、高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合(スライダ5がスライダロック手段によってロックされている場合)、図6に示すように弾性片11の係合部11aがカード体100と係合しないから、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触しないためにスイッチ機構がオフ状態になる。一方、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合(スライダ5がスライダロック手段によってロックされている場合)、図7に示すように係合部11aがカード体100の突部101と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するためにスイッチ機構がオン状態になる。
【0052】
このようにスライダ5等を備えた本実施形態のメモリカードソケットAにおいても、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。
【0053】
(実施形態3)
本実施形態のメモリカードソケットAの要部平面図を図8,図9に示す。但し、本実施形態のメモリカードソケットAの基本構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0054】
本実施形態のメモリカードソケットAは、スイッチ機構における弾性片11の係合部11aと係合して弾性片11を変形させる構造が実施形態2と異なっている。すなわち、スライダ5におけるカード体100の凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)と対応する位置(側部5bの根元部分)に設けられ、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときはスライダ5に対して移動せず、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときにはカード体100に押されてスライダ5に対して前方へ移動する移動体50を備えており、スライダ5に対して前方へ移動した移動体50に弾性片11の係合部11aが係合するようになっている。
【0055】
移動体50は、前後方向(図8,図9における上下方向。以下同じ。)に沿った左右両側縁がスライダ5の移動方向と平行であり、且つ前端縁及び後端縁がスライダ5の側部5bの前端縁及び後端縁と平行である菱形形状の合成樹脂成形品からなる。スライダ5の側部5bには移動体50が前後方向に移動自在に嵌る溝5dが弾性片11と対向する側の面(以下、「表面」と呼ぶ。)に凹設されている。但し、移動体50の前後方向に沿った長さ寸法は側部5bの前後方向に沿った長さ寸法よりも大きくなっており、溝5dに嵌った状態では側部5bの前後方向における外側に移動体50の一部が突出することになる。
【0056】
また、側部5b表面における溝5dの左右両側には板ばねからなる復帰ばね51の両端が固定されている。そして、復帰ばね51の中央部分が移動体50の表面に固定されており、復帰ばね51が撓んでいない状態では、移動体50の後端部分が側部5bの後方へ突出している(図9参照)。
【0057】
次に、識別手段による2種類のメモリカードMC1,MC2の識別動作について説明する。スライダ5がロックされて高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合、図9に示すようにスライダ5の側部5bから後方へ突出している移動体50がカード体100の凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)に位置し、スライダ5の側部5bに対して移動体50が移動しない。そして、移動体50が移動しなければ、弾性片11の係合部11aが移動体50と係合しないので、弾性片11と接触片12の接点12cとの間に一定の絶縁距離が保たれて接触しないため、スイッチ機構がオフ状態になる。
【0058】
一方、スライダ5がロックされて従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合、図8に示すようにスライダ5の側部5bから後方へ突出している移動体50がカード体100の切欠部102に当接し、復帰ばね51のばね力に抗して移動体50が前方へ移動し、スライダ5の側部5bから移動体50の一部が前方へ突出することになる。そして、移動体50が側部5bの前端から前方へ突出すれば、係合部11aが移動体50と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するためにスイッチ機構がオン状態になる。尚、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3から引き抜かれれば、復帰ばね51のばね力によって移動体50が元の位置(側部5bの後方へ一部が突出する位置)に復帰する。
【0059】
このように本実施形態のメモリカードソケットAにおいても実施形態2と同様に、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。尚、図示並びに説明は省略するが、実施形態2や実施形態3のメモリカードソケットAを実施形態1の電気機器Mに搭載しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態1を示し、(a)は従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した断面図、(b)は高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した断面図である。
【図2】同上の高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図3】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図4】同上の外観斜視図である。
【図5】本発明に係る電気機器の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態2を示し、高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図7】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図8】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態3を示し、高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図9】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図10】本実施形態に用いるSDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図11】本実施形態に用いる高速型SDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は表側から見た平面図、(c)はカード挿入方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0061】
A メモリカードソケット
3 ソケット本体
3a カード挿入口
6 基体(保持体)
6a 側部
11 弾性片
11a 係合部
12 接触片
101 突部
102 切欠部
108 第1切欠部
109 第2切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード(登録商標)やマルチメディアカード(MMC)などのメモリカードやSDメモリカードと同様の大きさおよび端子配列を有するSDIOカード(登録商標)を挿抜自在に接続するためのメモリカードソケット、並びにそのようなメモリカードソケットを搭載した電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型で大容量のメモリカードとしてSDメモリカードが提供されており、このようなSDメモリカードは、それを使用する電気機器(以下、ホスト機器と言う。)に搭載されたメモリカードソケットに装着されて使用される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図10(a)〜(c)は従来のSDメモリカードMC1を示し、矩形板状のカード体100の内部にフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶素子を収納してある。カード体100の一面には長手方向における一側(カード挿入方向の前側部)に9個のコンタクトパッドP1〜P9が短幅方向に並べて配設されている。またカード体100の長手方向に沿う両側縁には突部101が形成されるとともに、前側部の片方の角部に斜めに傾斜する切欠部102を形成してある。またカード体100の挿入方向に沿った片側縁には、後述するメモリカードソケットの係合爪が係合する係合凹所103が形成されると共に、反対側の側縁にはライトプロテクトスイッチの摘み105がスライド移動自在に配置される凹部104を設けてある。尚、コンタクトパッドP1〜P8の間には絶縁のためのリブ106が形成されている。
【0004】
SDメモリカードMC1は、動作モードを切り替えて使用することが可能であり、動作モードに応じて各コンタクトパッドP1〜P9の機能が切り替えられるようになっている。従来のSDメモリカードMC1において、データの高速転送が可能なモードでは、4個のコンタクトパッドを介してデータ転送を行っており、1クロックサイクルで4ビットのデータ転送が可能となっている。
【0005】
このようなSDメモリカードMC1は、例えばデジタルカメラやデジタルビデオカメラのような映像記録機器(電気機器)の記憶媒体として使用されるのであるが、近年の映像記録機器の高精細度化に伴って、記憶媒体に記憶されるコンテンツが大容量化しており、大容量のデータをリアルタイムで記録したり、或いはコンピュータなどの外部機器に転送する場合に従来のSDメモリカードMC1ではデータの転送速度が十分速いとはいえず、比較的長い時間がかかっていた。
【0006】
そこで、データの転送速度を高速化した高速型SDメモリカードMC2が従来提供されている。図11(a)〜(c)は高速型SDメモリカードMC2の三面図であり、この高速型SDメモリカードMC2では、従来型のSDメモリカードMC1と同じ位置にコンタクトパッドP1,P2,P4,P5,P7〜P9を設けてある。またコンタクトパッドP3,P6の前後方向寸法を短くして、前端位置を後側にずらし、コンタクトパッドP3の前方位置に2個のコンタクトパッドP10,P11を左右に並べて配置するとともに、コンタクトパッドP6の前方位置に2個のコンタクトパッドP12,P13を左右に並べて配置してある。
【0007】
このような高速型SDメモリカードMC2の動作モードは、従来のSDメモリカードと同様の動作を行うSDモードと、より高速のデータ転送が可能な高速モードに切り替えが可能となっており、SDモードと高速モードとで各コンタクトパッドP1〜P13の機能が切り替えられるようになっている。
【0008】
そして、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信すると共に、コンタクトパッドP12,P13が対をなして、1ビットの差動データ信号を送受信する。すなわち、上述のSDモードでは、4個のコンタクトパッドを用いて4ビットのデータを送受信していたが、高速モードでは、コンタクトパッドP10,P11の対と、コンタクトパッドP12,P13の対とを用いて2ビットのデータを送受信している。ここで、高速モードの方がSDモードよりも1クロックサイクルで伝送可能なビット数は少ないが、差動データを送受信することで動作クロックの周波数を飛躍的に高く設定できるため、高速モードではSDモードに比べて高速なデータ伝送を実現することができる。
【0009】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、従来のSDメモリカードMC1に比べて高速のデータ転送が可能になっているが、従来のSDメモリカードMC1をブリッジメディアとして使用するホスト機器が既に数多く生産されている。これらのホスト機器は、従来のSDメモリカードに対応したメモリカードソケット(以下、従来型ソケットと言う。)を採用しているため、高速型SDメモリカードMC2には、従来型ソケットに装着して、データ転送が行えるようにすることが要求されている。
【0010】
そこで、高速型SDメモリカードMC2は、カード体100の前側角部に設けた切欠部107以外は従来のSDメモリカードMC1と同様の外形形状及び寸法に形成されている。切欠部107は、従来のSDメモリカードMC1と同じ位置でカード体100の前面に接する第1切欠部108と、第1切欠部108に連続して設けられ、カード体100の側面に接する第2切欠部109とで構成される。第2切欠部109は、第1切欠部108を距離dだけ後方に平行移動させて設けられ、第1切欠部108と第2切欠部109との間には段差(凹所)が設けてある。
【0011】
このように、高速型SDメモリカードMC2では、カード体100の前側の角部に深さの異なる第1切欠部108と第2切欠部109を設けてあり、メモリカードソケットにカード体100を挿入した際に、従来型ソケットではカード体100の第1切欠部108がメモリカードソケットのスライダと衝合するのに対して、高速型SDメモリカードMC2に対応したメモリカードソケット(以下、高速対応型ソケットと言う。)では、カード体100の第2切欠部109がスライダと衝合することによって、メモリカードMC2がより深い位置まで差し込まれることになる。すなわち、従来型ソケットにメモリカードを挿入した場合は、高速対応型ソケットにメモリカードを挿入した場合に比べて、SDメモリカードMC2の挿入位置が浅くなっており、両ソケットでソケット内部に配置されたコンタクトがI/O接触面に接触する位置を異ならせることができる。
【0012】
したがって、従来型ソケットでは、コンタクトパッドP3,P6の前側位置に設けたコンタクトパッドP10〜P13にソケット内部に配置したコンタクトが接触することはなく、従来のSDメモリカードMC1と同様に9個のコンタクトパッドP1〜P9のみをソケット側のコンタクトに接触させることができるようになり、従来型ソケットに対して互換性を持たせることができる。
【特許文献1】特開2004−71175号公報
【特許文献2】特開2003−249290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、メモリカードソケットにはスライダを具備しない種類のものも存在し、このようにスライダを具備しない種類のメモリカードソケットでは、従来のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2とで挿入位置を異ならせることができない。したがって、この種のメモリカードソケットでは2種類のメモリカードMC1,MC2の挿入位置が同一となるが、高速型SDメモリカードMC2に設けられている高速モード用のコンタクトパッドP10,P11の対とコンタクトパッドP12,P13の対とに対応する4本のコンタクトが従来のSDメモリカードMC1のコンタクトパッドP3,P6に接触した場合、SDモードの信号伝送特性が変化して規定の転送速度に達しない虞がある。故に、従来のSDメモリカードMC1が挿入された場合は、高速対応型ソケットに設けられている高速モード用のコンタクトと、高速モード用のコンタクトパッドP10,P11の対及びコンタクトパッドP12,P13の対とが電気的あるいは機械的に切り離されるような手段を講じなければならない。そして、そのような手段を講じる前提として、高速対応型ソケットに挿入されたメモリカードが従来のSDメモリカードMC1であるのか、高速型SDメモリカードMC2であるのかを識別する必要がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、一部分のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することができるメモリカードソケット並びに電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、書換可能な不揮発性の記憶素子を収納した矩形板状のカード体並びに当該カード体の先端部一面側に複数のコンタクトパッドが並設されてなるメモリカードが挿抜自在に装着されるメモリカードソケットであって、メモリカードが挿入されるカード挿入口が一面に開口し、カード挿入口より挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの各コンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトと、ソケット本体への挿入向きにおけるカード体の先端側に凹所が設けられたメモリカードとカード体に凹所が設けられていないメモリカードとを識別する識別手段とを備え、識別手段は、凹所の有無によってカード体に対する相対的な位置が変化する機構を有することを特徴とする。
【0016】
請求項1の発明によれば、カード体に凹所を有するメモリカードとカード体に凹所を有しないメモリカードの何れがソケット本体に保持されているかを識別手段で識別することができる。その結果、一部分(凹所の有無)のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケットが提供できる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、コンタクトを保持する保持体がソケット本体に設けられ、識別手段の前記機構が保持体に設けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明によれば、識別手段の機構を保持体に設けることで組立性が向上する。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、識別手段の前記機構は、導電性を有する弾性部材からなり、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときに当該カード体の凹所に対応する位置に設けられている突部に当接して変形し、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする。
【0020】
請求項3の発明によれば、弾性片と接触片の接触・非接触によってメモリカードの識別結果を表すことができる。その結果、メモリカードの識別結果を電気信号として外部に出力することが容易に実現できる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、ソケット本体内にメモリカードの挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに前方へ移動するスライダと、スライダを後方へ常時付勢する付勢ばねと、スライダの最前部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダが前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備え、識別手段の前記機構は、スライダにおけるカード体の凹所と対応する位置に設けられ、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときはスライダに対して移動せず、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときにはカード体に押されてスライダに対して前方へ移動する移動体と、導電性を有する弾性部材からなり、移動体が移動したときに当該移動体に当接して変形し、移動体が移動しないときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする。
【0022】
請求項4の発明によれば、弾性片と接触片の接触・非接触によってメモリカードの識別結果を表すことができる。その結果、メモリカードの識別結果を電気信号として外部に出力することが容易に実現できる。
【0023】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
請求項5の発明によれば、識別手段による識別結果に応じて、ソケット本体に保持されているメモリカードへのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトが切換手段によって使用不可とされるため、メモリカードの種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。
【0025】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする。
【0026】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、切換手段は、一部のコンタクトの信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする。
【0027】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4のメモリカードソケットを有する電気機器であって、コンタクトを通じてメモリカードとの間で信号伝送を行うことでデータを読み書きするメモリアクセス手段と、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。
【0028】
請求項8の発明によれば、メモリカードソケットの識別手段による識別結果に応じて、メモリカードソケットに装着されているメモリカードへのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトが切換手段によって使用不可とされるため、メモリカードの種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする。
【0030】
請求項10の発明は、請求項8の発明において、切換手段は、一部のコンタクトとメモリアクセス手段との間の信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、一部分のみ形状が異なる複数種類のメモリカードを簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケット並びに電気機器が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、従来技術で説明した従来型のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2とを識別し、その識別結果に応じて両方のメモリカードに対応可能としたメモリカードソケットの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
(実施形態1)
本実施形態のメモリカードソケットAは、図4に示すようにベースシェル1及びカバーシェル2からなる扁平な矩形箱状のソケット本体3と、複数本のコンタクトC1〜C13を保持するコンタクトブロック4とを主要な構成として備えている。尚、以下の説明では特に断りが無いかぎり、図4において前後、上下、左右の各方向を規定している。
【0034】
ベースシェル1は、例えば厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、左右両側部を上側に折り曲げて側片1bを形成したものであり(但し、左側の側片は図示せず)、上側及び前後両側が開放されている。
【0035】
ベースシェル1の前部および右側部には下側に突出する複数個の突出片1cが折り曲げ形成されており、これらの突出片1cをコンタクトブロック4の基体(保持体)6下面に開口した圧入溝(図示せず)に圧入することで、ベースシェル1の下面にコンタクトブロック4が圧入固定されるようになっている。尚、ベースシェル1の前端よりやや後方には、コンタクトブロック4に保持されるコンタクトC1〜C13を逃がすための貫通孔7が複数形成されている。
【0036】
またベースシェル1の後側縁の左端には、メモリカードMC1,MC2の通過位置よりも外側位置から下側方向に突出し、さらにその先端側が前方に突出する側面視L字形の支持片8が折り曲げ形成されている。
【0037】
カバーシェル2は、厚さが極薄い矩形板状のステンレス金属板に打ち抜き加工且つ曲げ加工を施すことにより形成され、カバーシェル2の前縁からは上方に突出する曲げ片(図示せず)が折り曲げ形成されている。またカバーシェル2には、曲げ片よりもやや後端寄りの位置に、上方に突出する複数個の突出片(図示せず)が切り起こしによって形成されている。而して、下面にコンタクトブロック4の基体6が固定されたベースシェル1の下側にカバーシェル2を載置して、カバーシェル2の突出片をコンタクトブロック4の基体6に設けた圧入溝(図示せず)に圧入するとともに、カバーシェル2の周縁部とベースシェル1との当接部位をレーザ溶接などの方法で溶接することにより、カバーシェル2がベースシェル1及びコンタクトブロック4に対して固定され、前面にカード挿入口3aが開口する扁平な箱状のソケット本体3が構成される。
【0038】
図2に示すように、コンタクトブロック4は上下方向における平面視形状が略コ字形に形成された樹脂成型品からなる基体6を備えている。この基体6は、ベースシェル1及びカバーシェル2の前側辺に沿って配置されて、ソケット本体3の前面を閉塞する側部6aと、側部6aの左右両側部から後方に突出しベースシェル1の側片1bに沿って配置される一対の側部6b,6cとで構成されている。
【0039】
さらに基体6の側部6aには、高速型SDメモリカードMC2の前部裏面に並行形成された複数のコンタクトパッドP1〜P13(I/O接触面)にそれぞれ個別に接触導通する13本のコンタクトC1〜C13が圧入或いは同時成形により一体に保持されている。各コンタクトC1〜C13は、接触側のばね部を側部6aの後面側(カード挿入口3a側)に突出させるとともに、半田付け端子18を側部6aの前面から上側に突出させている。
【0040】
次に、本発明の要旨である識別手段について説明する。本実施形態における識別手段は、カード体100に凹所が設けられている高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持(装着)されているときはオフとなり、カード体100に凹所が設けられていない従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されているときにオンするスイッチ機構からなる。このスイッチ機構は、図1〜図3に示すように導電性を有する帯板状の弾性部材からなり、コンタクトC1〜C13と同様にコンタクトブロック4の基体6の側部6aに保持された弾性片11と、同じく導電性を有する帯板状の弾性部材からなり、側部6aに保持されて弾性片11と接離自在に接触導通する接触片12とで構成されている。
【0041】
弾性片11は、先端(後端)部分が上向き(図1では下向き)に湾曲する半円弧状に曲げ加工され、コンタクトC1〜C13の半田付け端子18と同じく側部6aの前面から上側(図1では下側)に半田付け端子11bが突出されている。尚、弾性片11の半円弧状の先端部分を係合部11aと呼ぶ。この係合部11aは、高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている状態では、高速型SDメモリカードMC2のカード体100に設けられている凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)の位置に在る(図1(b)参照)。
【0042】
接触片12は、弾性片11に対して外側(図2では左側)に位置しており、その先端(後端)部分には、上下方向において弾性片11と重なる矩形平板状の接点板12aが側方へ突設され、コンタクトC1〜C13の半田付け端子18と同じく側部6aの前面から上側(図1では下側)に半田付け端子12bが突出されている。そして、上下方向において弾性片11と対向する接点板12aの対向面(図1における下面)には弾性片11に近付く向き(図1における下向き)に突出する接点12cが形成されている。
【0043】
次に、識別手段による2種類のメモリカードMC1,MC2の識別動作について説明する。何れの種類のメモリカードMC1,MC2も前後方向及び表裏方向を正規の方向に向けてカード挿入口3aからソケット本体3内に挿入され、カード体100の先端(前端)が側部6aの後端面に当接する位置(正規の挿入位置)でソケット本体3に保持される。高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合、弾性片11の係合部11aはカード体100の凹所の位置に在るためにカード体100と係合しない。したがって、図1(b)に示すように弾性片11と接触片12の接点12cとの間に一定の絶縁距離が保たれて接触しないため、スイッチ機構がオフ状態になる。
【0044】
一方、従来のSDメモリカードMC1のカード本体100には凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間の段部)が存在せず、高速型SDメモリカードMC2における凹所の位置には、カード体100の長手方向に沿って形成された突部101の先端部分が位置している(図10参照)。したがって、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合、図1(a)に示すように係合部11aがカード体100の突部101と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するため、スイッチ機構がオン状態になる。
【0045】
図5は、メモリカードソケットAを搭載した電気機器Mの概略構成を示すブロック図である。この電気機器Mは、メモリカードソケットAに装着されたメモリカードMC1又はMC2へのデータの読み書きを実行するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略す。)200を備えている。このマイコン200は、メモリカードソケットAのコンタクトC1〜C13のうちのコンタクトC1〜C9が図示しないプリント配線板に形成されている導電パターンからなる第1信号線Ls1を介して電気的に接続され、高速モードのみで使用される一部(残り)のコンタクトC10〜C13が同じくプリント配線板に形成されている導電パターンからなる第2信号線Ls2を介して電気的に接続されている。また、マイコン200にはスイッチ機構を構成する弾性片11と接触片12とがプリント配線板に形成されている導電パターンからなる検出信号線Ls3を介して電気的に接続されている。さらに、第2信号線Ls2の途中に挿入されたスイッチ(リレーでもよい)SWをスイッチング制御するための制御線(プリント配線板に形成された導電パターンからなる)Ls4がマイコン200に電気的に接続されている。
【0046】
而して、マイコン200は検出信号線Ls3を介してメモリカードソケットAの識別手段による識別結果(スイッチ機構のオン・オフ)を取り込み、スイッチ機構がオン、つまり、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードが従来のSDメモリカードMC1であれば、制御線Ls4を介してスイッチSWをオフ制御することによってメモリカードソケットAのコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2から電気的に切り離す。したがって、例え従来のSDメモリカードMC1のコンタクトパッドP3,P6にコンタクトC10〜C13が接触していてもSDモードの信号伝送特性が殆ど変化しないので、SDモードにおける規定の転送速度でマイコン200がデータを読み書きすることができる。一方、スイッチ機構がオフ、つまり、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードが高速型SDメモリカードMC2であれば、マイコン200が制御線Ls4を介してスイッチSWをオン制御することによってメモリカードソケットAのコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2に電気的に接続する。したがって、高速型SDメモリカードMC2に対してマイコン200が高速モードでデータを読み書きすることができる。
【0047】
上述のように本実施形態によれば、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。その結果、一部分(凹所の有無)のみ形状が異なる複数種類のメモリカード(従来のSDメモリカードMC1と高速型SDメモリカードMC2)を簡単な構成で識別することが可能なメモリカードソケットAが提供できる。また、本実施形態の識別手段は、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときに当該カード体100の凹所に対応する位置に設けられている突部101に当接して変形し、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときには変形しない弾性片11と、変形していない弾性片11と絶縁され、変形した弾性片11と接触導通する接触片12とからなるスイッチ機構を有しているので、弾性片11と接触片12の接触・非接触によってメモリカードMC1,MC2の識別結果を表すことができ、その結果、メモリカードMC1,MC2の識別結果を電気信号として外部(本実施形態では電気機器Mのマイコン200)に出力することが容易に実現できる。さらに、本実施形態ではスイッチ機構の弾性片11及び接触片12がコンタクトC1〜C13を保持する保持体(コンタクトブロック4の基体6)に設けられているので、コンタクトブロック4を同時にスイッチ機構を組み立てることができるために組立性が向上するものである。
【0048】
また本実施形態のメモリカードソケットAを搭載した電気機器Mでは、メモリカードソケットAの識別手段による識別結果に応じて、切換手段たるマイコン200が、メモリカードソケットAに装着されているメモリカードMC1へのデータの読み書きに適さない一部のコンタクトC10〜C13とメモリアクセス手段(マイコン200)との間の信号伝送経路(第2信号線Ls2)を開成して使用不可とするので、メモリカードMC1,MC2の種類に応じた適切なデータの読み書きを行うことができる。但し、本実施形態では切換手段たるマイコン200がメモリカードソケットAの一部のコンタクトC10〜C13を第2信号線Ls2から電気的に切り離すことで使用不可としているが、例えば、識別手段によって従来のSDメモリカードMC1がメモリカードソケットAに装着されていると識別された場合に、メモリカードソケットAの一部のコンタクトC10〜C13をメモリカードMC1のコンタクトパッドP10〜P13から機械的に切り離す構造を電気機器Mに設けても構わない。あるいは、一部のコンタクトC1〜C13を電気的あるいは機械的に切り離す構成を電気機器Mではなく、メモリカードソケットAに備えるようにしても構わない。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態のメモリカードソケットAは、図6,図7に示すようにソケット本体3内にメモリカードMC1,MC2の挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口3aから挿入されたメモリカードMC1,MC2の先端側と衝合し、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてメモリカードMC1,MC2とともに前方へ移動するスライダ5と、スライダ5を後方(カード挿入口3a側)へ常時付勢する付勢ばね(コイルばね)17と、スライダ5の最前部位置への移動後のメモリカードMC1,MC2の押力の解除時にスライダ5を所定位置(図6,図7に図示する位置)でロックし、該ロック後にメモリカードMC1,MC2への押力が加わってスライダ5が前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備えた点が実施形態1と異なる。但し、スライダ5やコイルばね17並びにスライダ5をロックするスライダロック手段については、特許文献1,2にも開示されているように周知技術であるから詳細な構成の図示並びに説明を省略する。
【0050】
スライダ5は合成樹脂成形品からなり、メモリカードMC1,MC2の左側縁に沿って前後方向に移動する短冊形の側部5aと、側部5aの先端部(前端部)から右側方に突出してカード体100の切欠部102及び第1切欠部108に当接する側部5bとが一体に形成されている。而して、メモリカードソケットAに従来型のSDメモリカードMC1が挿入された場合はSDメモリカードMC1の切欠部102が側部5bの傾斜面と衝合し、高速型SDメモリカードMC2が挿入された場合は高速型SDメモリカードMC2の第1切欠部108が側部5bの傾斜面と衝合することになり、メモリカードMC1,MC2からの押力を受けてスライダ5が前方に移動することになる。尚、コンタクトC1〜C13と対向する側部5bの一面(図6,図7における表面)には、スライダ5の移動時にコンタクトC1,C2並びに弾性片11を逃げるために3つの溝5cが前後方向に凹設されている。
【0051】
本実施形態においても実施形態1と同様に、高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合(スライダ5がスライダロック手段によってロックされている場合)、図6に示すように弾性片11の係合部11aがカード体100と係合しないから、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触しないためにスイッチ機構がオフ状態になる。一方、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合(スライダ5がスライダロック手段によってロックされている場合)、図7に示すように係合部11aがカード体100の突部101と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するためにスイッチ機構がオン状態になる。
【0052】
このようにスライダ5等を備えた本実施形態のメモリカードソケットAにおいても、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。
【0053】
(実施形態3)
本実施形態のメモリカードソケットAの要部平面図を図8,図9に示す。但し、本実施形態のメモリカードソケットAの基本構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
【0054】
本実施形態のメモリカードソケットAは、スイッチ機構における弾性片11の係合部11aと係合して弾性片11を変形させる構造が実施形態2と異なっている。すなわち、スライダ5におけるカード体100の凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)と対応する位置(側部5bの根元部分)に設けられ、凹所を有するカード体100がソケット本体3に保持されているときはスライダ5に対して移動せず、凹所を有しないカード体100がソケット本体3に保持されているときにはカード体100に押されてスライダ5に対して前方へ移動する移動体50を備えており、スライダ5に対して前方へ移動した移動体50に弾性片11の係合部11aが係合するようになっている。
【0055】
移動体50は、前後方向(図8,図9における上下方向。以下同じ。)に沿った左右両側縁がスライダ5の移動方向と平行であり、且つ前端縁及び後端縁がスライダ5の側部5bの前端縁及び後端縁と平行である菱形形状の合成樹脂成形品からなる。スライダ5の側部5bには移動体50が前後方向に移動自在に嵌る溝5dが弾性片11と対向する側の面(以下、「表面」と呼ぶ。)に凹設されている。但し、移動体50の前後方向に沿った長さ寸法は側部5bの前後方向に沿った長さ寸法よりも大きくなっており、溝5dに嵌った状態では側部5bの前後方向における外側に移動体50の一部が突出することになる。
【0056】
また、側部5b表面における溝5dの左右両側には板ばねからなる復帰ばね51の両端が固定されている。そして、復帰ばね51の中央部分が移動体50の表面に固定されており、復帰ばね51が撓んでいない状態では、移動体50の後端部分が側部5bの後方へ突出している(図9参照)。
【0057】
次に、識別手段による2種類のメモリカードMC1,MC2の識別動作について説明する。スライダ5がロックされて高速型SDメモリカードMC2がソケット本体3に保持されている場合、図9に示すようにスライダ5の側部5bから後方へ突出している移動体50がカード体100の凹所(第1切欠部108と第2切欠部109との間に設けられた段差)に位置し、スライダ5の側部5bに対して移動体50が移動しない。そして、移動体50が移動しなければ、弾性片11の係合部11aが移動体50と係合しないので、弾性片11と接触片12の接点12cとの間に一定の絶縁距離が保たれて接触しないため、スイッチ機構がオフ状態になる。
【0058】
一方、スライダ5がロックされて従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3に保持されている場合、図8に示すようにスライダ5の側部5bから後方へ突出している移動体50がカード体100の切欠部102に当接し、復帰ばね51のばね力に抗して移動体50が前方へ移動し、スライダ5の側部5bから移動体50の一部が前方へ突出することになる。そして、移動体50が側部5bの前端から前方へ突出すれば、係合部11aが移動体50と係合することで弾性片11が弾性変形し、弾性片11と接触片12の接点12cとが接触導通するためにスイッチ機構がオン状態になる。尚、従来のSDメモリカードMC1がソケット本体3から引き抜かれれば、復帰ばね51のばね力によって移動体50が元の位置(側部5bの後方へ一部が突出する位置)に復帰する。
【0059】
このように本実施形態のメモリカードソケットAにおいても実施形態2と同様に、カード体100に凹所を有するメモリカード(高速型SDメモリカードMC2)とカード体100に凹所を有しないメモリカード(従来のSDメモリカードMC1)の何れがソケット本体3に保持されているかを識別手段で識別することができる。尚、図示並びに説明は省略するが、実施形態2や実施形態3のメモリカードソケットAを実施形態1の電気機器Mに搭載しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態1を示し、(a)は従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した断面図、(b)は高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した断面図である。
【図2】同上の高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図3】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図4】同上の外観斜視図である。
【図5】本発明に係る電気機器の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態2を示し、高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図7】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図8】本発明に係るメモリカードソケットの実施形態3を示し、高速型SDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図9】同上の従来のSDメモリカードを保持している状態の一部省略した平面図である。
【図10】本実施形態に用いるSDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
【図11】本実施形態に用いる高速型SDメモリカードを示し、(a)は裏側から見た平面図、(b)は表側から見た平面図、(c)はカード挿入方向から見た側面図である。
【符号の説明】
【0061】
A メモリカードソケット
3 ソケット本体
3a カード挿入口
6 基体(保持体)
6a 側部
11 弾性片
11a 係合部
12 接触片
101 突部
102 切欠部
108 第1切欠部
109 第2切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書換可能な不揮発性の記憶素子を収納した矩形板状のカード体並びに当該カード体の先端部一面側に複数のコンタクトパッドが並設されてなるメモリカードが挿抜自在に装着されるメモリカードソケットであって、
メモリカードが挿入されるカード挿入口が一面に開口し、カード挿入口より挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの各コンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトと、ソケット本体への挿入向きにおけるカード体の先端側に凹所が設けられたメモリカードとカード体に凹所が設けられていないメモリカードとを識別する識別手段とを備え、
識別手段は、凹所の有無によってカード体に対する相対的な位置が変化する機構を有することを特徴とするメモリカードソケット。
【請求項2】
コンタクトを保持する保持体がソケット本体に設けられ、識別手段の前記機構が保持体に設けられたことを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項3】
識別手段の前記機構は、導電性を有する弾性部材からなり、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときに当該カード体の凹所に対応する位置に設けられている突部に当接して変形し、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする請求項2記載のメモリカードソケット。
【請求項4】
ソケット本体内にメモリカードの挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに前方へ移動するスライダと、スライダを後方へ常時付勢する付勢ばねと、スライダの最前部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダが前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備え、
識別手段の前記機構は、スライダにおけるカード体の凹所と対応する位置に設けられ、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときはスライダに対して移動せず、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときにはカード体に押されてスライダに対して前方へ移動する移動体と、導電性を有する弾性部材からなり、移動体が移動したときに当該移動体に当接して変形し、移動体が移動しないときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項5】
識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のメモリカードソケット。
【請求項6】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする請求項5記載のメモリカードソケット。
【請求項7】
切換手段は、一部のコンタクトの信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする請求項5記載のメモリカードソケット。
【請求項8】
請求項1〜4のメモリカードソケットを有する電気機器であって、コンタクトを通じてメモリカードとの間で信号伝送を行うことでデータを読み書きするメモリアクセス手段と、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする請求項8記載の電気機器。
【請求項10】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリアクセス手段との間の信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする請求項8記載の電気機器。
【請求項1】
書換可能な不揮発性の記憶素子を収納した矩形板状のカード体並びに当該カード体の先端部一面側に複数のコンタクトパッドが並設されてなるメモリカードが挿抜自在に装着されるメモリカードソケットであって、
メモリカードが挿入されるカード挿入口が一面に開口し、カード挿入口より挿入されたメモリカードを保持するソケット本体と、ソケット本体に保持されたメモリカードの各コンタクトパッドと接触導通する複数のコンタクトと、ソケット本体への挿入向きにおけるカード体の先端側に凹所が設けられたメモリカードとカード体に凹所が設けられていないメモリカードとを識別する識別手段とを備え、
識別手段は、凹所の有無によってカード体に対する相対的な位置が変化する機構を有することを特徴とするメモリカードソケット。
【請求項2】
コンタクトを保持する保持体がソケット本体に設けられ、識別手段の前記機構が保持体に設けられたことを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項3】
識別手段の前記機構は、導電性を有する弾性部材からなり、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときに当該カード体の凹所に対応する位置に設けられている突部に当接して変形し、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする請求項2記載のメモリカードソケット。
【請求項4】
ソケット本体内にメモリカードの挿入方向に沿った前後方向で移動自在に配置され、カード挿入口から挿入されたメモリカードの先端側と衝合し、メモリカードからの押力を受けてメモリカードとともに前方へ移動するスライダと、スライダを後方へ常時付勢する付勢ばねと、スライダの最前部位置への移動後のメモリカードの押力の解除時にスライダを所定位置でロックし、該ロック後にメモリカードへの押力が加わってスライダが前方移動するときにロックを解除するスライダロック手段とを備え、
識別手段の前記機構は、スライダにおけるカード体の凹所と対応する位置に設けられ、凹所を有するカード体がソケット本体に保持されているときはスライダに対して移動せず、凹所を有しないカード体がソケット本体に保持されているときにはカード体に押されてスライダに対して前方へ移動する移動体と、導電性を有する弾性部材からなり、移動体が移動したときに当該移動体に当接して変形し、移動体が移動しないときには変形しない弾性片と、変形していない弾性片と絶縁され、変形した弾性片と接触導通する接触片とを有することを特徴とする請求項1記載のメモリカードソケット。
【請求項5】
識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のメモリカードソケット。
【請求項6】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする請求項5記載のメモリカードソケット。
【請求項7】
切換手段は、一部のコンタクトの信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする請求項5記載のメモリカードソケット。
【請求項8】
請求項1〜4のメモリカードソケットを有する電気機器であって、コンタクトを通じてメモリカードとの間で信号伝送を行うことでデータを読み書きするメモリアクセス手段と、識別手段による識別結果に応じて一部のコンタクトの使用可否を切り換える切換手段を備えたことを特徴とする電気機器。
【請求項9】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリカードのコンタクトパッドとの接触と開離を識別手段による識別結果に応じて択一的に切り換えることを特徴とする請求項8記載の電気機器。
【請求項10】
切換手段は、一部のコンタクトとメモリアクセス手段との間の信号伝送経路を識別手段による識別結果に応じて開閉することを特徴とする請求項8記載の電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−20482(P2010−20482A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179414(P2008−179414)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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