説明

メモリカード使用ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション用データとユーザデータとを記録するメモリカードをデータベースとして使用する「メモリカード使用ナビゲーション装置」において、CDリッピングのような長時間データの書き込みを行っている時に、データの読み込み遅延によるナビゲーション装置の作動遅延を防止する。
【解決手段】CDリッピング等で現在メモリカードへのデータの書き込みを行っていることを検出し、且つナビゲーション用のデータの読込作動を開始する状態であることを検出した時には、その時から所定時間書き込みを中断してデータ読み込みのみを行う。ナビゲーション用データの書き込み作動を開始する状態とは、ユーザの最初の操作により直接読み込みを行う状態のほか、例えば目的地設定及び誘導経路演算のように、メニュー画面等から順に操作を行って読み込みを行うような場合でも良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図データ等をメモリカードに記録してナビゲーション装置のデータベースとして使用するメモリカード使用ナビゲーション装置に関し、特に同一のメモリカードにナビゲーション用データとユーザ用のオーディオデータ等を記録している時、メモリカードにオーディオデータ等を書き込んでいる際のナビゲーション機能の低下を防止することができるようにしたメモリカード使用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載する一般のナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ及び施設等を検索するための施設情報データを記録したDVD−ROM、ハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体と、この地図・情報データ記憶媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、取り込んだ地図を描画する地図描画装置と、地図等を表示するモニタ等によって地図を表示可能としている。
【0003】
一方、このナビゲーション装置においては、GPS受信機及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自律航法装置を用い、車両の現在位置及び進行方向の方位を検出する車両位置検出装置を有し、検出した車両の現在位置に基づき、或いは利用者の指示した位置に基づき、その位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データによって前記のような地図表示装置によりその位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークや指示位置マークをモニタ画面の中央或いは特定の位置に表示し、車両位置の移動や指示位置の移動に応じて地図画像を移動させたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークや指示位置マークを移動させることができるようにしている。
【0004】
DVD−ROM、或いはハードディスク、更には近年安価で大容量になったメモリカード等の地図・情報データ記憶媒体に記憶されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、その地図データは道路リスト及びノードテーブル等からなる道路レイヤ、地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための主としてポリゴンデータからなる背景レイヤ、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための文字レイヤなどから構成される。
【0005】
前記道路リスト及びノードテーブルは、ある単位領域(パーセルやメッシュ)毎にまとめられている。ノードテーブルに含まれるノードは地点の情報であり、地点の位置および高速ジャンクション・一般交差点などの地点の種別を示した情報で構成される。道路リストに含まれる道路リンクは道路の情報であり、道路の始点・終点の位置、道路の長さや幅等の属性で構成される。一般的に道路リンクの始点および終点はノードとして表現されており、属性には、高速道路、国道、一般道路などの道路の種別や幅員などが含まれる。
【0006】
近年は半導体製造技術の進歩により、一般に使用されるメモリカードが例えば8ギガ、16ギガ、32ギガバイトと大容量化し、且つ価格が年々安価になっている。このメモリカードは極めて小型で軽量であり、且つ取り扱いが容易のため、従来のDVDはもとより、ハードディスクの代わりにデータ記録媒体として用いられるようになっている。そのため、ナビゲーション装置にも従来のハードディスク等に代えてメモリカードが用いられるようになっている。
【0007】
特に、メモリカードは小型である特性を生かして、携帯用ナビゲーション装置のデータベースとしては最適であり、現在広く普及しようとしている。車両ナビゲーション装置においても、車両の燃費向上の観点からもありとあらゆる車載機器の軽量化が求められており、ナビゲーション装置も可能な限りの軽量化を行う必要がある。しかもハードディスクのような回転等の可動部分が存在しないため、携帯用や車両用に適している。したがって、ナビゲーション装置においても従来のハードディスクに代えてメモリカードを使用することが多くなると予測されている。
【0008】
このようなメモリカードを地図データベースとして使用する車両用ナビゲーション装置の例を図4に示している。図5(a)に示す車両用ナビゲーション装置61の例においては、車両のダッシュボードに搭載する車載機器の規格である1DINで展開式のモニタ62を備えたナビゲーション装置61としており、図示の例では前面に設けたメモリカードスロット63にメモリカード64を挿抜可能としている。通常はこのメモリカードをナビゲーション装置61のカードスロット63に挿入したままとしており、このメモリカード64に記録しているナビゲーション用データをナビゲーション装置のデータベースとして使用する。
【0009】
ここで使用するメモリカード64内のデータは、例えば図5(c)に示すように、ナビゲーション用データ領域と、例えばオーディオデータを記録するユーザ自由使用領域とに大別され、ナビゲーション用データ領域については、地図データ及び関連する各種の情報を記録した情報データを記録すると共に、ユーザデータを記録する領域も備えている。このナビゲーション用データ領域におけるユーザデータとしては、例えば以前設定した目的地、或いは特定の施設や場所等、ユーザ固有のデータを記録しておく。
【0010】
また、ユーザ自由使用領域については、前記のようなオーディオデータを記録することができ、そのほか、メモリカードの大容量化により、映像付オーディオ、更には多数の小画面サイズの映画も保存することができる。なお、このメモリカードは、ナビゲーション装置用のデータベースであるので、通常時に間違って抜いてしまわないように、カバーを被せる等の対策を行っても良い。
【0011】
図5(a)に示す車両用のナビゲーション装置61は、同じ1DINの規格であるヘッドユニット65とデータの送受信可能に接続しており、このヘッドユニット65に設けたCD及びDVDを再生するCD−DVDドライブに挿入したCDのオーディオデータを、前記ナビゲーション装置61に設けたメモリカードスロット63に挿入したメモリカード64にデータ圧縮処理等を行って書き込む処理を行う通称「リッピング」し、或いはそのままコピーすることができる。同様に、DVDの映画もコピーすることにより、ヘッドユニットからメモリカードに各種のデータを書き込むことができる。
【0012】
また、逆にヘッドユニット65では、メモリカード64からオーディオデータを初めとする、前記メモリカードに記録した各種データを取り込んで再生を行い、スピーカから出力し、或いはモニタに画像表示出力することができる。したがってこのメモリカード64にはナビゲーション装置における通常のデータ読み込みを行いながら、CDからのリッピングのために書き込みを行う、という事態が多発することが考えらる。
【0013】
このことは前記のような車両用ナビゲーション装置に限らず、例えば図5(b)に示すような携帯型ナビゲーション装置においても同様である。即ち、同図に示す携帯型ナビゲーション装置67においては、メモリカードスロットを2個備えた例を示しており、片側の第1のメモリカードスロット68にはナビゲーション用データを記録し、またユーザ自由使用領域を備えた第1のメモリカード71を挿入可能とし、また他のメモリカードスロットである第2メモリカードスロット69には、パソコン等で取り込んだオーディオデータを記録している第2のメモリカード72を挿入して使用することができるようにしている。
【0014】
それにより、このような携帯型ナビゲーション装置67においても、通常は第1のメモリカード71に記録してあるナビゲーション用データによってナビゲーション機能を行いながら、第2のメモリカード72に記録したオーディオデータを再生して出力し、イヤホンジャック70に差し込んだイヤホンによってオーディオを聴くことができる。また、第2のメモリカード72に記録した、例えば数曲分のオーディオデータを、第1のメモリカード71に存在するユーザ自由使用領域にリッピングし、その後第2のメモリカード72を他で使用するために取り外しても、第1のメモリカードにリッピングしたオーディオデータを再生して聴くことができるようになる。
【0015】
フラッシュメモリの読み出し動作が、書込み及び消去動作が実行されるメモリセルの同じバンクに要求された場合に、書込み及び消去動作は、その読み出し動作が実行されている間に、自動的に拡張されるようにし、また、待機信号がフラッシュメモリによってアサートされ、それにより書込み及び消去動作が拡張されていることをプロセッサに示すことにより、書き込み及び消去動作が拡張された後、その待機信号がネゲートされるようにし、複数の読み出し動作が要求された場合、すべての読み出し動作は、書き込み及び消去動作が再開する前に実行されるようにした技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−175391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
メモリカードを利用したナビゲーション装置においては前記のように、ナビゲーション用データベースとして使用されると共に、その空き領域をユーザが自由に使用できるユーザ自由使用領域とし、そのユーザ使用自由使用領域に他のデータ記録媒体からオーディオデータを多数リッピングして、これを再生して使用することができる。
【0018】
それに対して、メモリカードはNANDメモリで構成されておりHDDと比較してデータを書き込むライト動作が遅く、かつこのライト動作中はデータを読み込むデータリードができないため、例えばCDのデータをメモリカードにリッピングするCDリッピング等の大量の書き込みをするユニットでは、HDDを使用することが多い。
【0019】
またメモリカードを使用した場合にデータを書き込むライト作動が頻繁に発生すると、データを読み込むデータリード待ちの時間が長くなり、結果としてナビゲーション装置の動作が遅くなる懸念がある。特に予め決まった処理ではなく、ユーザー操作のように突発的に発生する処理に対するレスポンスが遅くなるという問題が発生する懸念がある。
【0020】
具体的にはメモリカードへ頻繁にデータ書き込みが行われている前記のようなCDリッピング中に、ルート検索のために目的地設定からの一連の処理の間、また地図データを連続的に読み込む地図スクロール表示、地図縮尺変更、設定画面へ移行 等といったメモリカードへのリードが発生するユーザー操作をされた場合に、その操作に対するレスポンスが遅くなり、利用者にとって使いにくく、またナビゲーション装置の性能に対する懸念を生じる等の問題が生じる恐れがある。
【0021】
即ち、メモリカードへのデータの書き込みと、データの読み込みとが同時に生じる時の、データの読み取り遅れの状態を図6に示している。図6(a)と(b)には読込作動が発生しない時のタイミングチャートを示しており、同図(a)には例えばCDリッピング時において、図示する条件1におけるタイミングチャートである。特に10倍速CDリッピングを行う時の例を示している。ここでは685msec周期でCDからの読み込みとなり、そのデータをメモリカードに対して4msecで書き込みの為の転送(Write Data1)を行い、以降Busy期間1としてメモリカードへの実際の書き込み作動を行う。
【0022】
また、図6(b)には図中の条件2におけるタイミングチャートを示しており、特に6倍速CDリッピングを行う時の例を示している。この場合はCDの読込速度が条件1の10倍速から6倍速に低下することにより、同図のように1142msec周期となってしまう。同図(c)にはCDリッピング時にこの作動を繰り返し、書き込み作動を6回行ったところで書き込み作動が終了したことを示している。
【0023】
図6(d)には上記のようなメモリカードへの書き込み作動を行っている時、例えばナビゲーション装置が地図スクロールのために同じメモリカードに記録している地図データの読み取り作動を連続して行う時のような、ナビゲーション装置での地図データ等の読み込みを行った時のタイミングチャートを示している。
【0024】
この時には同図に示すように、各周期毎に前記書き込み作動が終了した時に1回の読み込みを行い、これを継続することとなる。したがって読み込み作動が継続すると、この周期毎のデータが読み込まれるため、データの読み込み間隔が長くなって読込遅延が生じ、ナビゲーション装置においては反応の遅い作動となってしまう。なお、図6(e)に示す例においては、書込処理が終了した後は通常作動として、周期の短い読み込みが行われ、ナビゲーション装置が正常に作動することを示している。このように、メモリカードへの書き込みを継続して行っている時、その間は読み込みが遅れ、ナビゲーション装置の作動が遅くなってしまう。
【0025】
したがって本発明は、地図データベース等をメモリカードに記録して用いるナビゲーション装置において、同じメモリカードの空き領域にオーディオデータ等を記録して使用する際、外部の機器等からオーディオデータを書き込む時、メモリカードへのデータの書き込み中はナビゲーション用データの読み込みが行われないことによって、ナビゲーション装置に作動遅れが生じることをできる限り減少させるようにしたメモリカード使用ナビゲーション装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係るメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記課題を解決するため、ナビゲーション用データとユーザデータとを記録するメモリカードをデータベースとして使用するメモリカード使用ナビゲーション装置において、前記メモリカードへの書き込みの制御を行うデータ書込制御手段と、前記データ書込制御手段でデータの書き込みを行っていることを検出するデータ書込作動検出手段と、前記ナビゲーション用データの読込作動を開始する状態を検出するナビゲーション用読込作動開始状態検出手段と、前記データ書込作動検出手段で現在書き込みを行っていることを検出し、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段でナビゲーション用データの読込作動を開始する状態であることを検出した時、前記データ書込制御手段では所定時間書き込みを中断することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る他のメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記メモリカード使用ナビゲーション装置において、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ユーザの操作により直接ナビゲーション用データの読込作動を開始するための操作を検出することを特徴とする。
【0028】
本発明に係る他のメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記メモリカード使用ナビゲーション装置において、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ユーザの複数回の操作により読込作動を開始する一連の操作における最初の操作を検出することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る他のメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記メモリカード使用ナビゲーション装置において、前記複数回の操作により読込作動を開始する一連の操作における最初の操作は、メニュー画面表示であることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る他のメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記メモリカード使用ナビゲーション装置において、前記書き込みを中断する所定時間は、読み込みを行う為の操作の種類に応じて変更して設定することを特徴とする。
【0031】
本発明に係る他のメモリカード使用ナビゲーション装置は、前記メモリカード使用ナビゲーション装置において、ナビゲーション装置において予め定めている状態で読み込みを開始する設定を行っている時、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ナビゲーション装置が前記予め定めている状態になったことを検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明は上記のように構成したので、地図データベース等をメモリカードに記録して用いるナビゲーション装置において、同じメモリカードの空き領域にオーディオデータ等を記録して使用する際、外部の機器等からオーディオデータを書き込む時、メモリカードへのデータの書き込み中はナビゲーション用データの読み込みが行われないことによる、ナビゲーション装置の作動遅れをできる限り減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例の作動フロー図である。
【図3】同実施例の作動態様を示すタイミングチャート図である。
【図4】各種実施態様の作動を示すタイミングチャートである。
【図5】(a)は車両に搭載したメモリカード使用ナビゲーション装置の例を示し、(b)は携帯型のメモリカード使用ナビゲーション装置の例を示し、(c)はメモリカード使用ナビゲーション装置におけるメモリカードのデータ構成例を示す図である。
【図6】メモリカードの各種作動態様におけるタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0034】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明を各種の態様で実施することができるようにするために、各種の機能部を備えたナビゲーション装置の例を示しており、本発明はこれらの機能ブロックの内、任意のものを選択して各種の態様で実施することができる。なお、同図において各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0035】
図1に示すナビゲーション装置は車両用ナビゲーション装置の例を示しており、各種の機能部がCPU、ROM、RAM等を備えたシステム制御部10に接続し、ROMに記録されているソフトウエアによって所望の作動を行うことができるようにしている。図1の例では車両位置検出部13において、GPS受信器11の位置データを入力し、更に必要に応じて車速センサや方位センサによる走行距離・方位検出部12からの車両の移動データを入力することによって、車両の現在位置を正確に検出している。
【0036】
また、VICS情報入力部14にはVICS受信機を備え、交通情報を受信し、適宜地図画面に渋滞情報を表示する。指示信号入力部17においては、このナビゲーション装置での利用者によるリモコン15等の指示信号を入力している。更に必要に応じて利用者の音声を認識する処理によって利用者の指示信号を入力する音声認識部16の信号も、この指示信号入力部21に入力している。また、ここにはタッチパネルによる指示信号入力部を備えても良い。
【0037】
音声出力部19にはスピーカー18を接続し、右左折交差点等の経路変更を行う地点での音声案内を中心に、音声で各種案内を行うようにしている。画像出力部25にはモニタ20が接続し、ナビゲーション装置の地図画面、誘導経路、各種施設案内等を行うことができ、特に誘導経路案内中に右左折交差点や道路分岐点近傍では、運転者が適切に経路変更を行うことができるように、画面を2分割にして片側に通常の地図表示を行い、他の画面には経路案内を行う交差点近傍の拡大画面、或いは交差点を模式化した画面を表示して案内を行う等の、経路案内画面を分割表示できるようにしている。
【0038】
図1に示すモニタ20は本発明のナビゲーション装置21と接続しており、このナビゲーション装置には後述するメモリカード26を挿入するメモリカードスロット22を備えている。このナビゲーション装置21のメモリカードスロット22に挿入するメモリカード26は、ナビゲーション装置が機能するために必要な地図データを初めとする各種のデータを記録しており、しかも前記図5(c)に示したように、ユーザが自由に使用することができる領域を備えている。それにより、ユーザが自由に使用できる領域にオーディオデータを記録し、これを再生してオーディオを聴くことができる。
【0039】
図1に示すナビゲーション装置21は前記図5(a)に示すようにヘッドユニット23とデータの送受信可能に接続しており、特にヘッドユニット23に設けたCD−DVDドライブ24に挿入したCDやDVDのデータをナビゲーション装置21のメモリカードスロット22に挿入したメモリカード26にリッピングやコピーをすることができるようにしている。
【0040】
図1に示すナビゲーション装置21においては、前記のように地図データ及び施設データ等の各種情報データをメモリカード26に記録し、これをナビゲーション装置21のメモリカードスロット22に挿入して使用する。データ読み書き部27では、このメモリカード26に記録している地図データ等を読み込んで地図や施設の表示を行う。特に、メモリカード26のユーザが自由に使用可能な領域にオーディオデータを記録する時、このデータ読み書き部27で実際の書き込みを行うこととなる。なお、この書き込み作動中は読み込みを行うことはできない。
【0041】
誘導経路演算部28においては、車両位置検出部13で検出した車両の現在地を取り込み、画面に表示されるカーソルの操作による地図のスクロールにより、或いは住所を入力することにより、更には電話番号を入力する等の種々の手法により設定された目的地を取り込み、最短所要時間、最短距離、一般道路優先等の種々の条件において最適の誘導経路を演算して提示する。
【0042】
誘導経路記憶部29においては、前記のように誘導経路演算部28で演算し、利用者が確認した誘導経路を記憶する。この時の記憶データはナビゲーション装置に別個に備えたメモリに記憶しておくこともできるが、メモリカード26のユーザデータ領域等に書き込んで使用することもでき、その際には特に目的地、更には誘導経路のデータをユーザデータとしてメモリカードに記憶し、その後にこのデータを読み出して使用することもできる。
【0043】
誘導経路案内部30では、前記誘導経路記憶部29に記憶された誘導経路について画像出力部25からモニタ20に表示された地図画面上に重ねて表示し、更に右左折交差点を拡大表示し、また音声出力部19からスピーカー18に出力して音声案内も行う。
【0044】
本発明においては、本発明の各種機能を行うためにメモリカード読込書込制御部31を備えており、図示した各種機能部を適宜選択して種々の作動を行うことができる。図1に示すメモリカード読込書込制御部31においてはデータ書込制御部32を備え、メモリカード26に対してデータの書き込み制御を行い、その制御によってデータ読み書き部27はメモリカード26への実際の書き込み作動を行う。
【0045】
特に図1の例では、後述するようにヘッドユニット23の機能部に相当するオーディオ機能部51で、CD等のオーディオデータ54を出力する時、これをメモリカード26のユーザが自由に使用できる領域に書き込む作動を行う。また、メモリカードのナビゲーション用データ領域においても、予め決められたユーザデータの書き込みも行う。また、データ書込制御部32では後述する書込中断指示部41から書き込み中断の指示が出力された時には、データの書き込み作動を中断し、以降書込再開指示部43から書き込みを再開して良い旨の指示が出力される迄書き込みを中断する。
【0046】
このデータ書込制御部32においては書き込み作動検出部33を備え、このデータ書込制御部32で実際に書き込み作動を行っているか否かを検出する。この時の書き込み作動は、前記図6のメモリカードの読み書き作動のタイミングチャートと同様の図を示す図3のタイミングチャートにおいて、同図(a)に示すような、第1、第2・・・と続く書込周期のうち、実際に書込処理を行っている第1、第2・・・書込処理期間のそれぞれの書き込み処理が終了した時点を検出する。したがって、図示の例では時刻t3、t6、t9において書込処理が終了したことを検出する。また、前記図6(d)における第6書込処理期間の終了時点である一連の書き込み作動終了時点も検出する。
【0047】
書込作動検出部33で1回分の書込処理期間が終了したことを検出した時には、後述する書込中断可能状態検出部42にその信号を出力する。それにより、書き込み中断可能状態検出部42では、1回分の書込処理期間が終了したことによって、以降の書き込みを中断することが可能となったことを検出することができる。
【0048】
データ読込制御部34では、メモリカードに記録している特にナビゲーション装置の各種機能を行うために必要なデータを図5(c)に示すような地図・情報データ記録部分から読み出す。また同様に必要に応じてユーザデータの読み込みも行う。更にこのメモリカードのユーザ自由使用領域にオーディオデータ等を記録している時にはこれを読み込み、オーディオ機能部51に出力してこれを再生し、スピーカ18から出力する。このデータ読込制御部34には読込作動検出部35を備え、メモリカードからナビゲーション用のデータを読み込んでいる時、その読込作動の進行状態を検出する。それにより、読込作動終了検出部47ではその作動検出によって、読込作動が終了したことを検出することができる。
【0049】
ナビゲーション用読込作動開始状態検出部36においては、このナビゲーション装置においてメモリカード26に記録されている地図データベースのデータを読み込む必要がある作動が開始される状態になったか否かを検出する。この中の読込作動開始予測部37においては、例えばナビゲーション装置で目的地検索を行うため、目的地検索表示のタッチパネルを押した時、或いはそのためのハードキーを押した時、更にはメニュー画面から目的地検索を選択した時、のようにユーザがこれから目的地検索を行うことを検出すると、これからユーザがメモリカードの施設データや登録地点データ等を読み込む可能性が極めて高いので、これから読込作動を開始すると予測する。
【0050】
また、このような目的地検索の操作が行われると、それ以降は誘導経路の演算等に進み、一連の作動が継続することも予測される。同様に、例えば「メニュー」画面を表示する操作を行った時には、前記目的地設定の他、施設検索のために「ジャンル」の選択によって「食事」を選択し「ラーメン」を次に選択する、というように、次第に深い階層に順に選択操作を行うことが予測される。更に同様に、「メニュー」画面から「施設検索」「レジャー」「遊園地」「近隣」というように順に選択を行う操作もあり、したがって「メニュー」画面とした時には一連の読込作動を行うものとし、読込作動開始予測部37では「メニュー」画面になった時にも読込作動が開始されることを予測する。
【0051】
上記のように、ナビゲーション用読込作動開始状態検出部36における読込作動開始予測部37では、ユーザの操作で直ちにデータベースからの読み込みを行うものではないが、ある操作を行うことにより、その後データベースの読み込みが行われる可能性が極めて高い操作を、以降では読込作動特定モードと称する。後述するナビゲーション用読込特定モード検出部45は、このモードを検出している。同様に、例えば地図スクロール操作を行ったことを検出した時には、この操作はユーザの所望の地点を探すためにしばらく操作が継続する、と考えられるので、これもナビゲーション用読込特定モードとしておく。
【0052】
ナビゲーション用読込作動開始状態検出部36における読込直接指示検出部38では、例えばモニタ画面上に表示されている「広域」表示部分をタッチした時、同様にナビゲーション装置の押し釦として設けている「広域」操作を行うための押し釦を押した時のように、その指示により直ちにデータベースにアクセスして必要なデータを取り込む作動を行う指示を検出している。
【0053】
読込直接指示検出部38では、そのほか例えばモニタに近接して設けている地図スクロール用ジョイスティックの操作、同様に画面上に表示しているスクロール方向を示す表示部にタッチした時、更には、地図画面を3D表示し、或いは鳥瞰表示等の各種表示手法を変更する操作のための画面表示部へのタッチ操作等も、ユーザの操作により直ちにデータベースのアクセスを生じる指示である、としてこれを検出する。このようなデータベースの読み込みの直接指示は、以降は前記の読込作動特定モードに対して、読込作動非特定モードと称する。この読込直接指示検出部38の検出により、ナビゲーション用読込モード検出44では、読込作動非特定モード検出部46でこのモードを検出している。
【0054】
ナビゲーション用読込モード検出部44における前記の作動により、読込作動特定モード検出部45と、読込作動非特定モード検出部46がそれぞれ前記のようにして現在の読込モードはいずれであるかを検出し、その結果を読込作動終了検出部47に出力している。
【0055】
読込作動終了検出部47では、現在の読込モードがどのモードであるかにより、読込作動が終了したことを検出する態様が異なり、読込作動特定モード作動終了検出部48では、前記読込作動特定モードで例えばメニュー画面からの各種操作によるデータの読込作動を行う時は、ユーザがその後更に操作を継続することにより再び他の操作を行ってデータの読込作動を行う可能性が高いので、このモードの時には単に操作が終了しても完全には操作は終わっていないと判断し、例えばナビゲーション装置において元の地図画面に戻った時、一連の読込作動は終了したものと判別する。
【0056】
それに対して、読込作動終了検出部47における読込作動非特定モード作動終了検出部49では、前記ナビゲーション用読込モード検出部44における読込作動非特定モード検出部46で前記のようにして現在の読込操作はこのモードであることを検出した時は、その読込作動は単発的なものであり、継続する可能性が低いと思われるため、実際の読込作動が終了した時には、ここで読込作動が終了したものと判別する。
【0057】
読込作動終了後所定時間経過検出部39では、前記読込作動終了検出部47でそれぞれ各読込作動モードに応じた読込作動終了時点の検出が終わった後、各モードに応じて、更には各モードの各種読込操作に応じて、その後の読込操作の継続を考慮して書き込みの再開を中断しておく。そのため、所定時間設定部40でそれぞれのモード、それぞれの読込操作に応じて、例えば1秒、3秒、5秒等の所定時間を設定しておく。それにより、読込作動終了後所定時間経過検出部39の所定時間設定部40で設定している時間が経過したことを検出した時に、書込再開指示部43にその信号を出力する。
【0058】
書込中断可能状態検出部42では、データ書込制御部32で例えばCDリッピング等によりメモリカード26にデータの書き込みを継続して行っている時、その書き込みを中断できる状態になっている時において、データの読み込みを円滑に行うことができるように、書き込みを一時的に中断する状態になっているか否かを検出する。中断可能な状態になっていることを検出した時にはその信号を書込中断指示部41に出力し、書込中断指示部41では、データ書込制御部32に対して、現在のデータの書き込みを中断する指示を行う。それにより、以降は書き込みが行われていない状態で、データ読込制御部34により読込作動を行うこととなる。
【0059】
図1に示すオーディオ機能部51は、例えば前記図5(a)に示すように、ナビゲーション装置61がCD−DVDドライブ66を備えたヘッドユニット65とデータ通信可能に接続している時、このヘッドユニット65におけるオーディオ機能部分が、図1のオーディオ機能部51に相当する。図1のオーディオ機能部51にはオーディオデータ54が存在し、例えばCD−DVDドライブに挿入したCDやDVD、或いはこのヘッドユニットに有線または無線で接続した携帯型オーディオプレーヤやオーディオ機能付携帯電話が備えているハードディスク等のオーディオデータ記録媒体、更にはヘッドユニットに設けているメモリカードスロットに挿入したオーディオデータを記録しているメモリカード、ヘッドユニット内に備えているハードディスク等のデータがオーディオデータ53となる。
【0060】
オーディオ機能部51におけるオーディオ出力部52では、このオーディオ機能部51のオーディオデータ54としてCDが用いられている時、このCDのデータをメモリカード26に書き込むための出力を可能としている。データ取込部53では、メモリカード26のユーザ自由使用領域に記録しているオーディオデータを、オーディオ機能部51のオーディオ再生部55で再生するために取り込む。また、このデータ取込部53では、例えばオーディオ機能部51にハードディスク等が存在する時、このハードディスクにオーディオデータを蓄積するために、多数のオーディオデータを備えた他のオーディオ機器と接続し、このデータ取込部53から取り込むこともできる。
【0061】
オーディオ再生部55では、オーディオ機能部51の通常の機能として、前記のようなオーディオデータ54の任意のオーディオデータを選択して再生し、スピーカ12に音声出力部19を介して出力する。
【0062】
図1に示すようなメモリカード読書制御部31を備えたナビゲーション装置においては、例えば図2に示すような作動フローにより順に作動させることによって実施することができる。即ち、図2に示すメモリカード利用ナビゲーション装置の書込中断処理の例においては、最初メモリカードにデータの書込中か否かを判別する(ステップS1)。この作動は図1のデータ書込制御部32における書込作動検出部33で書込作動を定常的に検出することにより行っている。この判別でデータの書込中ではないと判別した時には、この作動を繰り返して待機する。
【0063】
その後メモリカードデータ読込直接指示または読込作動開始予測状態になったか否かを判別する(ステップS2)。この作動は図1のナビゲーション用読込作動開始状態検出部36において、読込作動開始予測部37で例えば目的地検索を行う等の、これからメモリカードのデータを読み込むことになる状態を検出し、或いはタッチキーにユーザが直接触って、所定の地図縮尺にする等の読込直接指示を検出することにより行っている。ここで未だメモリカードデータ読込直接指示、または読込作動開始予測状態になってはいないと判別した時には、ステップS1に戻って前記作動を繰り返す。
【0064】
それに対してメモリカードデータ読込直接指示または読込作動開始予測状態になったと判別した時には、メモリカードへのデータ書き込みは中断可能な状態になったか否かを判別する(ステップS3)。この処理は図1の書込中断可能状態検出部42が、データ書込制御部32における書込作動検出部33の検出処理によって作動を検出し、その検出結果により現在行われている書き込みは中断可能であるか否かを判別することによって行っている。
【0065】
この時の作動は図3(c)に示している。即ち図3には(c)の本発明のタイミングチャートを主として示しており、その説明のため同図(a)にユーザ操作無しの場合のメモリカードデータのタイミングチャートを示し、同図(b)には従来技術として、ユーザ操作有りの場合のメモリカードデータのタイミングチャートを示している。
【0066】
即ち図3(a)に示すように、ユーザがメモリカードに記録しているナビゲーション用データベースの読み込みを行わない時には、前記図6(a)(b)(c)と同様に、CDリッピング時において、CDの読込速度等に応じて転送データ読込時間によってデータ転送の周期が定まり、その周期中にメモリカードへの書き込み作動が行われる。その際、「Write Data1」として示す書込処理のためのデータ転送時間のデータは、その前の転送データ読込時間中に読み込んだデータが転送されてくる。図中の「Busy期間1」は、転送時間中に転送されるデータをメモリカードに書き込む時間であり、メモリカードではハードディスク等と異なり長時間であるので、本発明で解決する特有の課題を生じることとなる。
【0067】
図3(a)に示すように、CDから所定量のデータを読み込む読込時間である第1、第2・・・書込周期の時間は、「Write Data1」と書込処理のための「Busy期間1」とを合わせた時間よりも長いため、次の書込周期が始まる時刻よりも早く終了する。そのため、同図(b)に示すように、この空き時間にユーザが指示した操作のためのデータの読み込みである「Read Data1」の作動を行うことができる。
【0068】
但し、この従来の技術では、同図に示すように「Busy期間1」における時刻t3にユーザ操作1発生タイミングとして示しているようなユーザの操作によりデータの読み込みを行う状態が発生した時、メモリカードでは書込処理中であってここでは停止させることはできないため、その一連の書込作動が終了する時刻t4になってから「Read Data1」として示すメモリカードからの読み込みを行うこととなる。この読込作動は書込作動と比較して速いため、図3(b)における空き時間である時刻t4と時刻t6の間に読込が可能である。
【0069】
このように、ユーザ操作1発生タイミングの時刻t3からユーザ操作1に伴うデータリードを開始することができる時刻t4迄待たないとデータの読み込みを行うことができない。同様に、同図(b)に示すようにユーザ操作2発生タイミングが「Write Data2」のデータ転送期間中の時刻t7でに発生した時には、書き込みが完了する時刻t9迄待って「Read Data2」として示す読込作動を待たなければならない。そのためこの場合は特に遅延時間が長くなり、ユーザはこのナビゲーション装置の性能に疑問をもつことになる。
【0070】
それに対して本発明においては、図2のステップS2でメモリカードデータ読込直接指示または読込作動開始予測時間になったと判別した時は、メモリカードへのデータの書き込みは中断可能な状態になったか否かを判別し、その時には図3(c)の[Busy期間1」が時刻t4で終了することにより、前記判別においてメモリカードへのデータの書き込みが中断可能な状態になったと判別することとなる。
【0071】
図2のステップS3で前記のようにメモリカードのデータ書き込みは中断可能な状態になったと判別した時には、メモリカードへの書き込みを一時中断する(ステップS4)。この作動は図1の書込中断可能状態検出部42で中断が可能な状態になったことを検出した時、書込中断指示部41でデータ書込制御部32に対して、現在行っている書き込み作動を中断する指示を行うことによって実施している。ステップS3において、メモリカードへのデータ書き込みは未だ中断可能な状態になっていないと判別した時には、ステップS1に戻って前記作動を繰り返す。
【0072】
ステップS4においてメモリカードへの書き込みを一時中断した後は、図示の例ではステップS5においてユーザの操作指示は複数段階操作を行う特定モードであるか否かを判別している。即ち、前記図1の説明において、特にナビゲーション用読込作動開始状態検出部36の説明で述べたように、ナビゲーション用読込作動開始状態は、地図画面を特定の縮尺にするタッチパネルの操作を行った時のような読込直接指示のほか、例えば目的地検索時における多層の選択、更にはその検索後の誘導経路演算等の作動が連続して生じるような特定モードであるか否かをステップS5で判別している。
【0073】
ステップS5において、今回のユーザの操作指示は前記のような複数段階の操作を行うような特定モードであると判別した時には、ステップS6進んで操作は終了したか否かを判別し、操作は終了したと判別した時には更に操作終了後所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS7)。この作動は図1の読込作動終了検出部47における読込作動特定モード作動終了検出部48でで読込作動が終了したことを検出し、その後読込作動終了後所定時間経過検出部39で、所定時間設定部39で設定した所定時間が経過したか否かを判別することにより行っている。
【0074】
ステップS7において操作終了後所定時間が経過したと判別した時には、メモリカードへの書込を再開する(ステップS6)。その後書込処理は終了したか否かを判別し(ステップS9)、未だ終了していない時にはステップS1に戻り、再び書込処理中に読込作動が発生しないかをチェックして前記作動を繰り返す。ステップS9において書込処理が終了したと判別した時には、ここでの一連の処理は終了する。
【0075】
前記ステップS5において、現在のユーザの操作指示は複数段階操作を行う特定モードではないと判別した時には、例えば地図縮尺を特定の縮尺にするため、モニタに表示された縮尺をタッチする等の、1回だけの操作によって終了する非特定モードであるときには、直ちに操作終了後所定時間が経過鹿か否かを判別する(ステップS10)。即ち、ステップS5においてユーザの操作指示は複数段階操作を行う特定モードであると判別した時には、その後操作は終了したか否かの判別を行って、一連の操作が終了するまで待つのに対して、ステップS5において非特定モードであると判別した時には、特に一連の操作は存在しないものとして、直ちに今回の操作を行った後は、その操作が行われてから所定時間が経過したか否かを判別している。
【0076】
ステップS10で所定時間が経過したと判別した時には、ステップS8に進んで前記のようにメモリカードへの書込を再開する。それに対して未だ操作終了後所定時間が経過していないと判別した時には、前記ステップS7において操作終了後所定時間が経過していないと判別した時と共にステップS11に進み、メモリカードデータ読込作動状態または読込作動開始予測状態になったか否かを判別する。この判別は前記ステップS3と同様の判別を行うこととなるが、ステップS3での判別はメモリカードへの書き込みを一時中断する前の、書込作動を行っている時の判別とその後の処理であるのに対して、ステップSj1での処理は、メモリカードへの書き込みを一時中断している時の判別であり、両者の作動条件が異なっている。
【0077】
ステップS11においてメモリカードデータ読込作動状態または読込作動開始予測状態になっていないと判別した時には、ステップS10に戻って操作終了後所定時間が経過するまでその作動を繰り返す。それに対してステップS11においてメモリカードデータ読込作動状態または読込作動開始予測状態になったと判別した時には、ステップS5に戻って、ユーザの操作指示は複数段階操作を行う特定モードか否かの判別を行い、以降は前記の作動を継続する。即ち、ステップS10において比較的短時間に設定している操作終了後所定時間が経過するのを待っているとき、再びユーザによる読込作動があった時には、メモリカードへの書き込みを一時中断している状態の中での前記作動を繰り返す。
【0078】
このような作動を行う結果、図3(c)に示すように、「Busy期間1」における時刻t3でメモリカードのデータを読み込むユーザ操作1が発生した時、最初は「Busy期間1」が終了するまで待つものの、それ以降は書込処理が中断され、「Read Data2」・・・と、ユーザ操作発生タイミングと同時に、ユーザ操作に伴うデータリードが行われる。また、最後のデータ読み込みである「Read DataN」が終了した後、それぞれの操作指示に応じた所定時間だけユーザの更なる操作を待ち、その間にユーザ操作がなかった時には図中時刻t10で示す時からデータの書き込みを再開する、という処理が行われる。
【0079】
前記の各種の作動を図4にまとめて示している。図4(a)は本発明との比較のために前記図3(b)に示した従来例を再掲しており、ここでの説明は省略する。それに対して本発明を適用した時の最も単純な作動例を同図(b)に示す。この例においては、例えば地図画面上の「広域」表示部へのタッチ、或いはモニタに隣接して存在する「広域」の押し釦を押す操作のような、第1操作S1のみの操作が行われた時の例を示し、したがってこの例では第1所定時間T1の操作待ち時間内に次の操作がなかった例を示している。ここでは本発明の第1の特徴である、メモリカードへの書込作動待ちを必要とせず読み込みを行うことができる機能は生かしていないが、第2の特徴である読込作動後に所定時間待ちを行い、その所定時間(T1)の間にユーザ操作が行われたときには直ちに次の書き込みを中断するための処理は行っている。
【0080】
図4(c)の例においては、例えば前記「広域」を2回押した時、或いは長押しした時の作動を示し、ユーザによる第1操作S1に続いて第2操作の指示が存在する例を示している。この例では時刻t4において第1書込周期の作動が終了することにより第1読込が行われた後、第1所定時間(T1)内に第2のユーザ操作としての読込指示があることにより、その指示に対応した第2読込「Read Data2」を行う。この読込作動は、書込作動を中止していることにより、第2読込操作S2の後直ちに読み込みを行うことができる。したがって、例えばCDリッピング等により長時間の書込処理が行われている時でもその処理を中断し、ナビゲーション装置のデータの読み込み処理を素早く行うことができるようになる。
【0081】
図4(d)の例においては、例えば地図スクロールを行う時のように、連続してデータの読み込み操作を行う時の例を示している。図示の例では第1の書込作動中の時刻t3において、例えば地図スクロール操作が図中第1操作S1として開始される。ここでは第1書込の作動中であるので終了するまで待機し、終了したt4の時点で第1読込操作を行う。その後地図スクロールのために新たなデータ読み込みを行うため、図示の例では第2〜第5読込を行っている。
【0082】
この読込作動中において、各読み込みが終了した後、第2所定時間T2以内に次の読込作動が行われたか否かを検出する作動を行っており、前記第1〜第4読込作動は第2所定時間内であるので、各読込作動中に書込作動が行われることがない。それに対して第5読込操作S5を行った後、第2所定時間T2内に次の読込操作がなかったため、時刻t4において中断していた書込作動が再開されている。
【0083】
これらの作動例から明らかなように、読込操作としては種々のものが存在し、ユーザの操作によって直ちに読込作動を行う必要がある操作が存在する一方、メニュー画面を表示して次第に深い階層の操作を選択していくときのような複数回操作を行って最終的な読込操作を行うもの、また、複数回の操作を行った後読込作動が行われると共に、更にその後複数回の操作を行って再び読込操作を行うもの、またユーザの1回の指示操作を行った以降は連続的な読込作動を行うもの、等々が存在し、本発明においてはいずれの場合にも対応することが可能である。
【0084】
また、例えば迂回路の演算のように、予め誘導経路内に渋滞が発生したことを検出した時には自動的に迂回路を提示するように設定している時には、最初の操作指示はナビゲーション装置内部のソフトウエアによって行い、適宜の読込作動を行って迂回路を提示し、ユーザの確認作動によって終了する作動も存在するが、本発明においてはソフトウエアによる操作指示の場合も含めて作動可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 システム制御部 11 GPS受信器
12 走行距離・方位検出部 13 車両位置検出部
14 VICS情報入力部 15 リモコン
16 音声認識部 17 指示信号入力部
18 スピーカ 19 音声出力部
20 モニタ 21 ナビゲーション装置
22 メモリカードスロット 23 ヘッドユニット
24 CD−DVDドライブ 25 画像出力部
26 メモリカード 27 データ読み書き部
28 誘導経路演算部 29 誘導経路記憶部
30 誘導経路案内部 31 メモリカード読込書込制御部
32 データ書込制御部 33 書込作動検出部
34 データ読込制御部 35 読込作動検出部
36 ナビゲーション用読込作動開始状態検出部 37 読込作動開始予測部
38 読込直接指示検出部 39 読込作動終了後所定時間経過検出部
40 所定時間設定部 41 書込中断指示部
42 書込中断可能状態検出部 43 書込再開指示部
44 ナビゲーション用読込モード検出部 45 読込作動特定モード
46 読込作動非特定モード 47 読込作動終了検出部
48 読込作動特定モード 49 読込作動非特定モード
51 オーディオ機能部 52 データ出力部
53 データ取込部 54 オーディオデータ
55 オーディオ再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション用データとユーザデータとを記録するメモリカードをデータベースとして使用するメモリカード使用ナビゲーション装置において、
前記メモリカードへの書き込みの制御を行うデータ書込制御手段と、
前記データ書込制御手段でデータの書き込みを行っていることを検出するデータ書込作動検出手段と、
前記ナビゲーション用データの読込作動を開始する状態を検出するナビゲーション用読込作動開始状態検出手段と、
前記データ書込作動検出手段で現在書き込みを行っていることを検出し、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段でナビゲーション用データの読込作動を開始する状態であることを検出した時、前記データ書込制御手段では所定時間書き込みを中断することを特徴とするメモリカード使用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ユーザの操作により直接ナビゲーション用データの読込作動を開始するための操作を検出することを特徴とする請求項1記載のメモリカード使用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ユーザの複数回の操作により読込作動を開始する一連の操作における最初の操作を検出することを特徴とする請求項1記載のメモリカード使用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記複数回の操作により読込作動を開始する一連の操作における最初の操作は、メニュー画面表示であることを特徴とする請求項3記載のメモリカード使用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記書き込みを中断する所定時間は、読み込みを行う為の操作の種類に応じて変更して設定することを特徴とする請求項1記載のメモリカード使用ナビゲーション装置。
【請求項6】
ナビゲーション装置において予め定めている状態で読み込みを開始する設定を行っている時、前記ナビゲーション用読込作動開始状態検出手段では、ナビゲーション装置が前記予め定めている状態になったことを検出することを特徴とする請求項1記載のメモリカード使用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−169673(P2011−169673A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32191(P2010−32191)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】