説明

メモリカード用コネクタ

【課題】メモリカードの飛び出しをより確実に防止できるカード用コネクタを提供すること。
【解決手段】メモリカード50を収容するための収容部を備えたハウジング10と、メモリカード50の挿入排出方向にメモリカード50と共にスライドするスライド部材120、及び、スライド部材120を排出方向に付勢する第一付勢部材122、124を用い、操作者による排出操作に応じてその収容部に挿入されたメモリカード50を排出する排出機構12とを有するカード用コネクタ1は、その収容部に収容されたメモリカード50の排出側端を押さえ付けながらスライド部材120と共にスライドする飛び出し防止部材130を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード用コネクタに関し、特に、メモリカードをハウジングから排出させる際のメモリカードの飛び出しを防止する機構を備えたメモリカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やデジタルカメラ等の小型電子機器は、外部記録媒体として利用されるメモリカードを収容部内に挿抜可能に受け入れるスライド部材と、操作者の所定の操作に応じてそのスライド部材をスプリングによって排出側に押し出すことでその挿入されたメモリカードを容易に排出させるいわゆるプッシュプッシュ式の排出機構とを有するカード用コネクタを備えている。
【0003】
また、その排出機構によるメモリカードの排出の際におけるメモリカードの飛び出しを防止するための種々の機構も提案されており、例えば、メモリカードの側面に設けられた凹部と係合するスライド部材上の係合部をそのメモリカードに向かって横方向から押し付けるスライド付勢部材を備えたカード用コネクタ(例えば、特許文献1参照。)や、そのメモリカードの凹部に向かってその係合部を横方向から押し付けると同時にそのメモリカードの挿入方向へも力が加わるようにするスライド付勢部材を備えたカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、メモリカードが収容部に挿入された状態ではそのメモリカードの排出方向へのスライドを禁止しながらも、そのメモリカードが排出される際にはそのメモリカードを横方向に押さえつける力のみを与える係合部を用いて、排出機構によるメモリカードの正常な排出を妨げることなくメモリカードが収容部に挿入された状態でのメモリカードの飛び出しを防止するカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
更には、スライド部材をカードの挿入方向へ付勢する第一コイルばねと、スライド部材をカードの排出方向へ付勢する第二コイルばねとを備え、排出機構によって排出されるスライド部材のスライド速度を徐々に低減させることで慣性力によるメモリカードの飛び出しを防止する機構を備えたカード用コネクタも知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開2005−209574号公報
【特許文献2】特開2008−47469号公報
【特許文献3】特開2002−319451号公報
【特許文献4】特開2007−200815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4のカード用コネクタは何れも、メモリカードの側面に設けられた凹部と係合するスライド部材上の係合部を用いてメモリカードの飛び出しを防止しているだけであり、その飛び出しを防止する効果にも限界がある。
【0007】
上述の点に鑑み、本発明は、メモリカードの飛び出しをより確実に防止できるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るカード用コネクタは、メモリカードを収容するための収容部を備えたハウジングと、前記メモリカードの挿入排出方向に前記メモリカードと共にスライドするスライド部材、及び、前記スライド部材を排出方向に付勢する第一付勢部材を用い、操作者による排出操作に応じて前記収容部に挿入された前記メモリカードを排出する排出機構とを有するメモリカード用コネクタにおいて、前記収容部に収容された前記メモリカードの排出側端を押さえ付けながら前記スライド部材と共にスライドする飛び出し防止部材を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第二の発明は、第一の発明に係るメモリカード用コネクタであって、前記飛び出し防止部材は、前記メモリカードの排出側にあるコーナーの少なくとも一つを押さえ付けながら前記スライド部材と共にスライドすることを特徴とする。
【0010】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るメモリカード用コネクタであって、前記飛び出し防止部材は、可撓性であり、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように撓み、前記メモリカードが前記収容部に収容されたときに、前記メモリカードの排出側端を押さえることを特徴とする。
【0011】
また、第四の発明は、第一又は第二の発明に係るメモリカード用コネクタであって、前記飛び出し防止部材は、一端が前記スライド部材に旋回可能に取り付けられ、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように旋回し、前記メモリカードが前記収容部に収容されたときに、他端で前記メモリカードの排出側端を押さえることを特徴とする。
【0012】
また、第五の発明は第四の発明に係るメモリカード用コネクタであって、前記飛び出し防止部材は、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように旋回した場合に、第二付勢部材によって前記他端が前記メモリカードの排出側端を押さえる位置に復帰するように付勢されることを特徴とする。
【0013】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係るメモリカード用コネクタであって、前記飛び出し防止部材は、前記ハウジングの側壁、又は、前記ハウジングを覆うカバーの側壁をガイドとして用いながらスライドすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述の手段により、本発明は、メモリカードの飛び出しをより確実に防止できるカード用コネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例であるカード用コネクタ1の構成例を示す斜視図であり、カード用コネクタ1は、メモリカード50を収容するハウジング10、及び、ハウジング10の内部に組み込まれたイジェクト機構12を有する。なお、メモリカード50は、携帯電話等のモバイル電子機器で用いられるメモリカードであって、例えば、メモリースティック(登録商標)、miniSDカード(登録商標)、microSDカード(登録商標)等がある。
【0017】
ハウジング10は、例えば、絶縁性の合成樹脂で形成され、左側壁100、右側壁102、及び、奥壁104を有し、その内部にメモリカード50を収容するための収容空間を形成し、また、メモリカード50がその収容空間に挿入されたときにメモリカード50の底面にある接点パッド(図示せず。)と接触させて情報をやり取りするためのコネクタ端子108(図4(A)参照。)をその内部の底面に備える。
【0018】
イジェクト機構12は、いわゆるプッシュプッシュ方式を採用する機構であり、例えば、メモリカード50と共に収容空間内をメモリカード50の挿入排出方向にスライド可能なスライド部材120と、スライド部材120をメモリカード50の排出方向に付勢する排出スプリング122、124と、一端がハウジング10の右側壁102の排出側端に取り付けられ、かつ、他端がスライド部材120のハート型カム溝126にかみ合わされるロッド128(図2及び図3参照。)とを有する。
【0019】
また、イジェクト機構12は、既に挿入されているメモリカード50が誤ってハウジング10から抜け落ちてしまうのを防止するための脱落防止機構129を有する。
【0020】
脱落防止機構129は、例えば、金属材料の薄板で形成され、係合部129a、ばね部129b及び基部129cを備え、メモリカード50がハウジング10に挿入されメモリカード50の側部が係合部129aに接触すると、基部129cを支点としてばね部129bがハウジング10の右側壁102の方に撓み、更に、メモリカード50がスライド部材120内に完全に挿入されると、ばね部129bが元の状態に復帰してメモリカード50の側部に設けられた凹部52(図4(A)参照。)と係合部129aとをかみ合わせ、このかみ合わせによりメモリカード50の抜け落ちを防止する。
【0021】
更に、イジェクト機構12は、既に挿入されているメモリカード50をイジェクト機構12によって排出する際に、メモリカード50が誤ってハウジング10から飛び出してしまうのを防止するための飛び出し防止機構130を有する。
【0022】
飛び出し防止機構130は、スライド部材120と共にスライドしながらメモリカード50が飛び出そうとするときにメモリカード50の排出側の端面を押さえ付けてその飛び出しを防止する機構であり、例えば、可撓性材料で形成され、メモリカード50の挿入排出方向にメモリカード50に沿って延在する棒体部131と、棒体部131の排出側端にカード保持部130aとを備え、棒体部131の一面をハウジング10の左側壁100に隣接させながらハウジング10の収容空間内をスライド部材120と共にスライドする。
【0023】
なお、飛び出し防止機構130は、メモリカード50の一方の側面全体に亘って棒体部131とメモリカード50とを接触させるが、棒体部131とメモリカード50の側面とを接触させることなく、カード保持部130aのところだけでメモリカード50の排出側端(例えば、コーナー部である。)を保持するようにしてもよい。
【0024】
カード保持部130aは、メモリカード50をその排出側端から挿入方向に向かって押さえることで、スライド部材120と共にスライドするメモリカード50がその慣性力によって排出側に飛び出してしまうのを防止する。
【0025】
排出スプリング122、124の付勢力によってスライド部材120がメモリカード50の排出方向にスライドされ、排出スプリング122、124が延びきってスライド部材120の排出方向へのスライドが停止した場合に、排出方向への慣性力によってメモリカード50が脱落防止機構129による脱落抑止力を超えて飛び出してしまう場合があるからである。
【0026】
なお、カード用コネクタ1は、脱落防止機構129を備えることなく、飛び出し防止機構130のみを備えるようにしてもよい。飛び出し防止機構130は、イジェクト機構12によるメモリカード50の排出の際の飛び出しを防止する機能に加えて、脱落防止機構129による、メモリカード50をハウジング10内に収容している際のメモリカード50の抜け落ちを防止する機能を提供することができるからである。これは、メモリースティック(登録商標)等、その側面に凹部を持たないメモリカードに有効である。
【0027】
図2は、ロッド128の側面図であり、ロッド128は、両端に垂下する脚部を備え、一方の脚部をハウジング10の右側壁102の排出側端に枢動可能に取り付けながら、他方の脚部をハート型カム溝126に沿って摺動させる。
【0028】
また、図3は、ハート型カム溝126とロッド128との係合関係を概略的に示し、図3(A)は、メモリカード50をカード用コネクタ1に収容するために操作者がメモリカード50をハウジング10の最奥部まで押し込んだときのハート型カム溝126とロッド128との間の一時的な係合状態を示し、図3(B)は、メモリカード50をハウジング10の最奥部まで押し込んだ後、操作者がメモリカード50から手を離したときのハート型カム溝126とロッド128との間の安定的な係合状態(メモリカード50の挿入操作が完了した後の状態である。)を示す。
【0029】
また、図3(C)は、メモリカード50をカード用コネクタ1から取り出すために操作者がメモリカード50を再びハウジング10の最奥部まで押し込んだときのハート型カム溝126とロッド128との間の一時的な係合状態を示し、図3(D)は、メモリカード50を再びハウジング10の最奥部まで押し込んだ後、操作者がメモリカード50から手を離したときのハート型カム溝126とロッド128との間の安定的な係合状態(メモリカード50の排出操作が完了した後の状態である。)を示す。
【0030】
次に、図4を参照しながら、カード用コネクタ1へのメモリカード50の挿入について説明する。
【0031】
図4(A)は、メモリカード50をカード用コネクタ1に収容するために操作者がメモリカード50のスライド部材120への挿入を開始したときの状態を示し、飛び出し防止機構130のカード保持部130aがメモリカード50を収容空間内に受け入れるために外側(図の左側)に撓んだ状態を示す。なお、ハート型カム溝126とロッド128との係合関係は、図3(D)の状態となっている。
【0032】
また、図4(B)は、操作者がメモリカード50をスライド部材120内に完全に挿入したときの状態を示し、カード保持部130aが撓んだ状態から元の状態に復帰してメモリカード50の排出側端のコーナーの一つ(図の左下隅のコーナー)を保持した状態を示す。なお、ハート型カム溝126とロッド128との係合関係は、図3(D)の状態のままとなっている。
【0033】
また、図4(C)は、操作者がスライド部材120内に完全に挿入されたメモリカード50をスライド部材120と共にハウジング10の最奥部まで押し込んだときの状態を示し、メモリカード50の側部に設けられた凹部52と係合部129aとが係合された状態を示す。なお、ハート型カム溝126とロッド128との係合関係は、図3(A)の状態となっている。
【0034】
また、図4(D)は、メモリカード50をスライド部材120と共にハウジング10の最奥部まで押し込んだ後、操作者がメモリカード50から手を離したときの状態(メモリカード50の挿入操作が完了した後の状態である。)を示し、排出スプリング122、124によってメモリカード50がスライド部材120と共に僅かに排出方向に押し戻された後、ハート型カム溝126とロッド128との係合によりメモリカード50が所定位置に静止した状態を示す。なお、ハート型カム溝126とロッド128との係合関係は、図3(B)の状態となっている。
【0035】
次に、図5を参照しながら、カード用コネクタ1からのメモリカード50の排出について説明する。
【0036】
図5(A)は、メモリカード50をカード用コネクタ1から排出するために操作者が再びメモリカード50をハウジング10の最奥部まで押し込んだときの状態を示し、図3(B)の状態にあったハート型カム溝126とロッド128との間の安定的な係合関係が解除されて図3(C)の状態に移行したときの状態を示す。
【0037】
また、図5(B)は、その後、操作者がメモリカード50から手を離した後の状態を示し、メモリカード50が排出スプリング122、124によってスライド部材120と共に排出方向にスライドされ、図3(C)の状態にあったハート型カム溝126とロッド128との係合関係が図3(D)に示す別の安定的な係合関係に移行したときの状態(メモリカード50の排出操作が完了した後の状態である。)を示す。
【0038】
このとき、メモリカード50は、排出方向にスライドされたスライド部材120がストッパ(図示せず。)や排出スプリング122、124の収縮力により所定位置で急停止させられた場合であっても、飛び出し防止機構130のカード保持部130aによってその飛び出しが防止される。
【0039】
また、図5(C)は、操作者がメモリカード50をカード用コネクタ1から手動で抜き取るときの状態を示し、操作者の指によってカード保持部130aが外側(図の左側)に押し曲げられた後の状態を示す。
【0040】
次に、図6を参照しながら、飛び出し防止機構の別の実施例130Mについて説明する。なお、図6(A)は、飛び出し防止機構130Mの上面図であり、図6(B)は、飛び出し防止機構130Mの側面図である。
【0041】
飛び出し防止機構130Mは、スライド部材120の一部である基部134に連結ピン132を旋回軸として外側(図中の矢印ARで示す方向)に旋回可能に取り付けられている点で、スライド部材120と一体的に形成された図1の飛び出し防止機構130と相違するが、その他の点で飛び出し防止機構130と共通する。従って、共通の構成要素に対して同じ参照符号が用いられるものとする。
【0042】
飛び出し防止機構130Mは、メモリカード50をスライド部材120内に挿入する場合、或いは、スライド部材120内に挿入されているメモリカード50を抜き取る場合に、操作者の指によって外側に旋回させられる(連結ピン132を旋回軸として時計回りに旋回させられる。旋回されられた後の飛び出し防止機構130Mを点線で示す。なお、飛び出し防止機構130Mは、旋回位置のそれぞれで静止するよう構成されている。)。
【0043】
そのため、飛び出し防止機構130Mは、可撓性を有さない剛体(例えば、金属であり、この場合、外力に対する強度を増大させることができる。)で形成されていてもよい。撓みを生じさせることなく、メモリカード50をスライド部材120内に挿入させたり、メモリカード50をスライド部材120内から抜き取らせたりすることができるからである。
【0044】
一方で、飛び出し防止機構130Mは、図示するような連結部の形状により、図6に示す状態からの更なる内側への旋回(連結ピン132を旋回軸とした反時計回りへの旋回)が禁止される。スライド部材120内にメモリカード50を挿入する際に飛び出し防止機構130Mとメモリカード50とが干渉してしまうのを防止するためである。
【0045】
また、飛び出し防止機構130Mは、操作者の指によって外側に旋回させられた後、操作者が指を離した場合に図6に示す状態に復帰するよう、コイルスプリングやトーションばね等の付勢手段を介してスライド部材120の基部134に連結されていてもよい。
【0046】
また、図7は、メモリカード50をスライド部材120と共にハウジング10内に挿入する場合における飛び出し防止機構130Mの動きを説明するための図であり、時間の経過と共に、図7(A)の状態から図7(D)の状態に至ることを示す。この場合、飛び出し防止機構130Mとスライド部材120との間にはトーションばねが介在しておらず、飛び出し防止機構130Mは、操作者の指によって旋回させられたときのその旋回位置にそのまま留まるものとする。
【0047】
図7(A)〜(D)に示すように、ハウジング10の左側壁100に沿ってスライド部材120(基部134)がメモリカード50の挿入方向にスライドすると、外側に旋回させられた状態にある飛び出し防止機構130Mの背面BFがハウジング10の左側壁100における面取りされた端部RFに接触し、飛び出し防止機構130Mは、そのカード保持部130Maがメモリカード50の左下のコーナーを押さえつける状態となるまで、反時計回りに旋回させられる。
【0048】
このように、カード用コネクタ1は、イジェクト機構12によってメモリカード50が排出方向に押し出される場合に、飛び出し防止機構130、130Mによってメモリカード50の排出側端を押さえることで、慣性力によりメモリカード50がスライド部材120から飛び出してしまうのを防止することができる。
【0049】
また、カード用コネクタ1は、操作者がメモリカード50をスライド部材120に挿入する場合に、飛び出し防止機構130、130Mを外側に撓ませ、或いは、旋回させるので、メモリカード50のハウジング10への挿入を妨げることもない。
【0050】
なお、上述の飛び出し防止機構130、130Mは何れも、メモリカード50の側方に撓み、或いは、旋回し、メモリカード50の側面からメモリカード50の排出側端を掴むように構成されるが、メモリカード50の下方に撓み、或いは、旋回し、メモリカード50の底面からメモリカード50の排出側端を掴むように構成されてもよい。
【実施例2】
【0051】
図8は、本発明の別の実施例であるカード用コネクタ1Sの構成例を示し、図8(A)がその斜視図を示し、図8(B)がその側面図を示す。
【0052】
また、図9は、図8(B)のIX−IX線断面図を示し、図10は、図8(B)のX−X線断面図を示し、図11は、図8(B)のXI−XI線断面図を示す。
【0053】
カード用コネクタ1Sは、上部カバー14Sの側壁140Sが飛び出し防止機構130Sのガイドを構成し、ハウジング10Sが左側壁を持たない点で、第一実施例におけるカード用コネクタ1と相違するが、その他の点でカード用コネクタ1と共通する。
【0054】
上部カバー14Sは、例えば、金属で形成されており、図9に示すように、側壁140Sの一部が内側に曲げられ飛び出し防止機構130Sの側面に設けられた凹部136Sに嵌め込み可能とされる。なお、凹部136Sは、飛び出し防止機構130Sを横方向に貫通していてもよい。
【0055】
また、上部カバー14Sは、図10に示すように、側面の一部において側壁140Sを欠損し、側壁140Sの更に別の一部は、図11に示すように、ハウジング10Sの底面105Sに圧入されている。
【0056】
以上の構成により、カード用コネクタ1Sは、飛び出し防止機構130Sが配置される側におけるハウジング10Sの側壁を省略しながら、飛び出し防止機構130Sをスライドさせる際のガイドとして上部カバー14Sの側壁140Sを用いるので、カード用コネクタ1Sの幅をハウジング10Sの側壁の幅だけ減少させることができる。
【実施例3】
【0057】
図12は、本発明の更に別の実施例であるカード用コネクタ1Tの構成例を示し、図12(A)がカード用コネクタ1Tの斜視図を示し、図12(B)がカード用コネクタ1Tの部分上面図を示し、図12(C)がカード用コネクタ1Tの側面図を示す。
【0058】
また、図13は、図12(C)のXIII−XIII線断面図を示し、図14は、図12(C)のXIV−XIV線断面図を示す。
【0059】
カード用コネクタ1Tは、上部カバー14Tの側壁140Tが飛び出し防止機構130Tのガイドを構成し、ハウジング10Tが左側壁を持たない点で、第一実施例におけるカード用コネクタ1と相違し、また、飛び出し防止機構130Tの上下方向を貫通する貫通部138Tを有する点で、第二実施例におけるカード用コネクタ1Sと相違するが、その他の点でカード用コネクタ1、1Sのそれぞれと共通する。
【0060】
上部カバー14Tは、例えば、金属で形成されており、図13に示すように、側壁140Tの一部が飛び出し防止機構130Tを上下に貫通するように設けられた貫通部138Tに嵌め込まれている。
【0061】
また、上部カバー14Tの側壁140Tは、図13に示すように、一部においてハウジング10Tの底面105Tに圧入されており、また、図14に示すように、別の一部において欠損している。
【0062】
以上の構成により、カード用コネクタ1Tは、カード用コネクタ1Sと同様、飛び出し防止機構130Tが配置される側におけるハウジング10Tの側壁を省略しながら、飛び出し防止機構130Tをスライドさせる際のガイドとして上部カバー14Tの側壁140Tを用いるので、カード用コネクタ1Tの幅をハウジング10Tの側壁の幅だけ減少させることができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0064】
例えば、上述の実施例において、飛び出し防止機構は何れも、脱落防止機構の反対側(例えば、ハウジングの左側壁側である。)に配置されているが、脱落防止機構の側(例えば、ハウジングの右側壁側である。)に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第一実施例であるカード用コネクタの構成例を示す斜視図である。
【図2】ロッドの側面図である。
【図3】ハート型カム溝とロッドとの係合関係を示す図である。
【図4】カード用コネクタへのメモリカードの挿入について説明するための図である。
【図5】カード用コネクタからのメモリカードの排出について説明するための図である。
【図6】飛び出し防止機構の別の実施例を示す図である。
【図7】メモリカードをハウジングに挿入する場合における図6の飛び出し防止機構の動きを説明するための図である。
【図8】本発明の第二実施例であるカード用コネクタの構成例を示す図であり、(A)が斜視図、(B)が側面図を示す。
【図9】図8(B)の線IX−IXにおける断面図である。
【図10】図8(B)の線X−Xにおける断面図である。
【図11】図8(B)の線XI−XIにおける断面図である。
【図12】本発明の第三実施例であるカード用コネクタの構成例を示す図であり、(A)が斜視図、(B)が上面図、(C)が側面図を示す。
【図13】図12(C)の線XIII−XIIIにおける断面図である。
【図14】図12(C)の線XIV−XIVにおける断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1、1S、1T カード用コネクタ
10、10S、10T ハウジング
100 ハウジング左側壁
102 ハウジング右側壁
104 ハウジング奥壁
105S、105T ハウジング底面
12 イジェクト機構
120 スライド部材
122、124 排出スプリング
126 ハート型カム溝
128 ロッド
129 脱落防止機構
129a 係合部
129b ばね部
129c 基部
130、130M、130S、130T 飛び出し防止機構
130a、130Ma カード保持部
132 連結ピン
134 基部
136S 凹部
138T 貫通部
14S、14T 上部カバー
140S、140T 上部カバー側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードを収容するための収容部を備えたハウジングと、前記メモリカードの挿入排出方向に前記メモリカードと共にスライドするスライド部材、及び、前記スライド部材を排出方向に付勢する第一付勢部材を用い、操作者による排出操作に応じて前記収容部に挿入された前記メモリカードを排出する排出機構とを有するメモリカード用コネクタにおいて、
前記収容部に収容された前記メモリカードの排出側端を押さえながら前記スライド部材と共にスライドする飛び出し防止部材を備える、
ことを特徴とするメモリカード用コネクタ。
【請求項2】
前記飛び出し防止部材は、前記メモリカードの排出側にあるコーナーの少なくとも一つを押さえながら前記スライド部材と共にスライドする、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項3】
前記飛び出し防止部材は、可撓性であり、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように撓み、前記メモリカードが前記収容部に収容されたときに、前記メモリカードの排出側端を押さえる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項4】
前記飛び出し防止部材は、一端が前記スライド部材に旋回可能に取り付けられ、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように旋回し、前記メモリカードが前記収容部に収容されたときに、他端で前記メモリカードの排出側端を押さえる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項5】
前記飛び出し防止部材は、前記メモリカードの前記収容部への挿入を許容するように旋回した場合に、第二付勢部材によって前記他端が前記メモリカードの排出側端を押さえる位置に復帰するように付勢される、
ことを特徴とする請求項4に記載のメモリカード用コネクタ。
【請求項6】
前記飛び出し防止部材は、前記ハウジングの側壁、又は、前記ハウジングを覆うカバーの側壁をガイドとして用いながらスライドする、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のメモリカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−21077(P2010−21077A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181891(P2008−181891)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】