説明

メモリカード

【課題】周波数変動の少ないアンテナ付きメモリカードを提供する。
【解決手段】電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの一部または全部は、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記電子機器よりも外側になるように形成されていることを特徴とするメモリカードを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、画像や映像等の撮影にはカメラ等が用いられ、カメラ等により撮影された画像は、カメラ本体に納められた記憶媒体に記憶される。しかしながら、このような記憶媒体は、カメラ本体の内部に納められるものであるため、記憶媒体の記憶容量には上限があり、一定時間以上の画像や映像を記憶することができない。
【0003】
このため撮影した画像や映像等をカメラ本体に内蔵した記憶媒体に記憶するのではなく、カメラ本体より無線でカメラ本体の外部にある容量の大きな記憶媒体に情報を伝送し、容量の大きな記憶媒体に撮影した画像や映像等を記憶する方法が開発されている。これによりカメラ本体に内蔵された記憶媒体の容量に依存することなく、撮影した大量の画像や映像等を記憶することが可能となる。
【0004】
このようにカメラ本体から無線により容量の大きな記憶媒体に情報を伝送するためには、カメラ本体の内部に無線通信用のアンテナを搭載する必要があり、例えば、無線通信用のアンテナが搭載されたメモリカード等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−266098号公報
【特許文献2】特開2006−18624号公報
【特許文献3】特開2007−299338号公報
【特許文献4】特開2008−83868号公報
【特許文献5】特開2011−22640号公報
【特許文献6】国際公開第2007/125948号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2008/038756号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カメラ等においてメモリカードを装着する場合、通常、メモリカードはカメラ等の本体より殆ど突出することなく装着される。カメラ本体は、金属等の筐体により覆われており、また、メモリカードは導体部分が存在する電池や電子回路基板等にも囲まれていることから、アンテナが搭載されたメモリカードをカメラ本体に装着した場合、カメラ本体の内部から外部に無線で情報を伝送することは困難であり、正確に情報を伝送することができない場合や、情報の伝送される領域が極めて限定される場合等がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナが内蔵されているメモリカードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの一部または全部は、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記電子機器よりも外側になるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されており、前記アンテナエレメントは、前記逆L形状の一部となるアンテナエレメント直線部を有しており、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記アンテナエレメント直線部が前記電子機器よりも外側になることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの幅Aは、1mm未満で形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、前記電子機器に接続する際に押される側の前記回路基板の端部から前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントまでの距離Bは、0.5mm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記回路基板はグランド領域を有しており、前記アンテナエレメントと前記グランド領域との間隔Cは、0.05λ以下であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、前記回路基板又は前記基板を介し、略対称となる形状で形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記回路基板又は前記基板はプリント基板であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記プリント基板は多層配線基板であって、前記アンテナエレメントは複数の層に形成されており、前記グランドエレメントは複数の層に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記回路基板には、電子部品が搭載されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、2.4GHzから2.5GHzの周波数帯域に用いられるものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、無線LAN、BT用の通信に用いられるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カメラ等の情報機器装置の筐体内部に装着されるものであって、無線における通信性能が高いアンテナが内蔵されているメモリカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【図2】第1の実施の形態における回路基板の構造図
【図3】第1の実施の形態におけるアンテナ装置の説明図
【図4】第1の実施の形態におけるメモリカードの構造図
【図5】メモリカードが装着される部分を拡大したデジタルカメラの説明図
【図6】メモリカードを装着した場合の内部の筐体部分、電池との位置関係の説明図
【図7】デジタルカメラにおけるメモリカードと電池との位置関係の説明図
【図8】第1の実施の形態におけるアンテナエレメント直線部の説明図
【図9】第1の実施の形態におけるアンテナエレメント直線部の位置の説明図(1)
【図10】アンテナエレメント直線部の幅を変えた場合のVSWR特性
【図11】第1の実施の形態におけるアンテナエレメント直線部の位置の説明図(2)
【図12】第1の実施の形態におけるアンテナ装置とメモリカードのVSWR特性
【図13】第1の実施の形態におけるメモリカードのVSWR特性
【図14】他のメモリカードのVSWR特性
【図15】従来からあるアンテナ付きメモリカードのVSWR特性
【図16】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(1)
【図17】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(2)
【図18】第1の実施の形態における回路基板の製造方法の説明図(3)
【図19】第1の実施の形態における他のアンテナ装置の構造図
【図20】第2の実施の形態におけるアンテナ装置の構造図
【図21】第2の実施の形態におけるアンテナ装置の説明図
【図22】第2の実施の形態における他のアンテナ装置の構造図
【図23】第2の実施の形態における他のアンテナ装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
(アンテナ装置及び回路基板)
第1の実施の形態におけるアンテナ装置及び回路基板について説明する。図1に示すように、本実施の形態におけるアンテナ装置100は、プリント基板110の一方の面にアンテナエレメント120が形成され、他方の面にグランドエレメント130が形成されているものである。
【0024】
アンテナエレメント120とグランドエレメント130は銅等の金属材料により形成されており、プリント基板110を介して略対称な位置に、略対称となる形状により形成されている。本実施の形態におけるアンテナ装置100では、グランドエレメント130は接地されており、アンテナエレメント120には、所定の周波数、例えば、2.4GHz〜2.5GHzの高周波電圧が印加される。
【0025】
本実施の形態におけるアンテナ装置は、2.4GHz〜2.5GHzの周波数帯域の通信、無線LAN、BT用の通信に用いられるものである。また、本実施の形態におけるアンテナ装置では、共振周波数を調整するため、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130に各々所定のインダクタンスを有するインダクタを接続する場合がある。
【0026】
本実施の形態では、プリント基板110は厚さが約0.8mmのガラスエポキシ樹脂により形成されている。例えば、プリント基板110にはFR4基板が用いられており、比誘電率εの値は約4.7である。アンテナエレメント120及びグランドエレメント130は略対称となるように、略同一の逆L形状(逆L型と記載する場合がある)に形成されている。具体的には、プリント基板110に銅等からなる配線パターンを形成する場合と同様に、アンテナエレメント120及びグランドエレメント130のパターンを形成することにより形成されている。尚、本実施の形態では、プリント基板110を用いた場合について説明するが、他の誘電体材料により形成された基板、例えば、AlN、Al等により形成されたセラミックス基板等、またはプラスチック基板等を用いることも可能である。
【0027】
図2に示すように、本実施の形態における回路基板200には、本実施の形態におけるアンテナ装置100が搭載されている。具体的には、回路基板200を形成するプリント基板211の表面には、グランド(GND)領域210が形成されており、このグランド領域210は接地されている。また、グランド領域210はアンテナ装置100のグランドエレメント130と接続されている。尚、本実施の形態では、アンテナ装置100が搭載された回路基板200について回路基板と記載する。
【0028】
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置100におけるアンテナエレメント120とグランドエレメント130との位置関係について説明する。図3は、図1における一点鎖線1A−1Bにおいて切断した断面の一部を示す。図3に示されるものは、アンテナエレメント120とグランドエレメント130とが、プリント基板110の両面において、プリント基板110を介し対称となるように形成されているものである。この場合、アンテナエレメント120に高周波電圧を印加することにより、アンテナエレメント120とグランドエレメント130との間に矢印に示す方向に電界が生じる。即ち、プリント基板110の厚さ方向に電界が生じる。
【0029】
(メモリカード)
次に、本実施の形態におけるメモリカードについて説明する。本実施の形態におけるメモリカードとして、SD(Secure Digital)カードについて説明するが、他の規格や種類のメモリカードにおいても同様に適用することができる。
【0030】
本実施の形態におけるメモリカード250は、図4に示すように、アンテナ装置100が搭載された回路基板200と、プラスチック等の樹脂材料により形成された第1のケース260及び第2のケース270を有しており、回路基板200は、第1のケース260と第2のケース270により覆われた空間内に納められている。回路基板200には、デジタルカメラ等の内部に設けられたメモリカードソケットと接続するための外部接続端子212が設けられており、メモリや電子回路等を有する電子部品214が搭載されている。第1のケース260には、外部接続端子212が露出するように開口部262が設けられており、回路基板200を覆うように、第1のケース260と第2のケース270とを接合等することによりメモリカードが形成される。
【0031】
本実施の形態におけるメモリカード250において、アンテナ装置100は、回路基板200における外部接続端子212が設けられる端部とは反対側の端部に設けられている。外部接続端子212は、メモリカードソケットと接続されるものであるため、デジタルカメラ等の内部まで入り込む。このため、アンテナ装置100は、外部接続端子212が設けられている側と反対側となるメモリカード250の挿入口の近傍となる位置に形成されている。
【0032】
通常、図5に示すように、デジタルカメラ300の内部にメモリカード250を装着した場合、メモリカード250の挿入口は、デジタルカメラ300に設けられた蓋310等が閉じられる。
【0033】
(メモリカードの装着)
ところで、SDカード等のメモリカード250は、デジタルカメラ300の装着する際、メモリカード250をデジタルカメラ300側に押すことにより装着され、再度押すことにより、デジタルカメラ300から取り外すことができるように形成されている。即ち、図6に示すように、メモリカード250を装着したり取り外したりする際に、デジタルカメラ300側に押すことができるよう周囲より少々出っ張って形成されている。例えば、メモリカード250を挿入する部分の周辺には、電池320や内部の筐体部分301があるが、これらの部分より、約1mm前後出っ張っている。本実施の形態では、図7に示すように、メモリカード250が電池320や内部の筐体部分301より出っ張っている部分にアンテナエレメント120を形成した構造のものである。特に、通常のデジタルカメラ等においては、レイアウトの関係上、メモリカード250の近傍に電池320が設けられており、電池320は導電性材料の塊であることから、アンテナエレメント120からの電波等に影響を及ぼしやすい。また、内部の筐体部分301は厚く形成されており、電波を遮りやすい。よって、本実施の形態は、電池320や内部の筐体部分301よりも出っ張っている部分にアンテナエレメント120を形成したものである。尚、デジタルカメラ300にメモリカード250を装着することにより、メモリカード250とデジタルカメラ300とが接続される。
【0034】
(アンテナエレメントの幅及び位置)
次に、図8及び図9に基づき、アンテナエレメント120の幅及び形成される位置についてより詳しく説明する。前述したように、メモリカード250は、内部の筐体部分301や電池320等から約1mm出っ張って形成されている。本実施の形態においては、アンテナ装置100におけるアンテナエレメント120のアンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の外側に形成されている。この際形成されるアンテナエレメント直線部120aの幅Aは、0.05mm以上、1mm未満の範囲で形成されている。モリカード250は、内部の筐体部分301や電池320等から約1mm出っ張っているため、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが1mmを超えると、アンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の内側に入ってしまうため、アンテナエレメント直線部120aが、内部の筐体部分301や電池320等の外側となるようにするためには、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが1mm未満で形成する必要がある。また、アンテナエレメント直線部120aの幅Aがあまりにも狭くなると抵抗値が高くなり、アンテナとして良好な特性が得られなくなる可能性があるが、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが0.05mm以上であれば、このような問題は生じないものと考えられる。
【0035】
図10は、アンテナエレメント直線部120aの幅Aを変化させた場合のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定在波比)特性を示すシミュレーション結果である。図10に示されるように、アンテナエレメント直線部120aの幅Aを1mm未満で形成した場合には、VSWR特性は殆ど変わらない。尚、アンテナエレメント直線部120aの幅Aは0.5mm以下で形成すると、VSWR特性はより一層よくなるためより好ましい。本実施の形態においては、VSWRの値が低いことは反射が少ないことを意味するものである。
【0036】
また、アンテナ装置100の端部からアンテナエレメント直線部120aまでの距離Bは、幅Aと距離Bとの和が1mm以下となるように形成されていることが好ましく、更には、距離Bが0.5mm以下となるように形成されていることが好ましい。尚、アンテナエレメント直線部120aは、厚さが0.035mm〜0.04mmの銅等の金属材料により形成されている。
【0037】
また、図11に示すように、本実施の形態におけるアンテナ装置100は、アンテナエレメント直線部120aとグランド領域210との間隔Cは、0.05λmm以下となるように形成されている。本実施の形態におけるアンテナ装置100では、2.4〜2.5GHzの周波数の電波が用いられるため、間隔Cは、約5mm以下で形成されている。尚、アンテナエレメント直線部120aとグランド領域210との間隔Cが、あまりに近いと特性上好ましくない。また、グランド領域210は、内部の筐体部分301や電池320等内に入っていても特性が低下することはない。よって、アンテナエレメント直線部120a等の特性や製造しやすさ等を考慮した場合、アンテナエレメント直線部120aは、内部の筐体部分301や電池320等よりも外側に形成されており、グランド領域210は、内部の筐体部分301や電池320等よりも内側に形成されていることが好ましい。
【0038】
(アンテナ装置の特性)
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置100及びメモリカード250のVSWR特性について説明する。尚、デジタルカメラにメモリカードを装着した場合や、デジタルカメラの種類によって、VSWRの値が低くなる周波数が変化しないことが好ましい。
【0039】
ところで、図12に示すように、アンテナ装置100のみ(ケースなし)の場合(ケースなし)と、アンテナ装置100を第1のケース260と第2のケース270により覆いメモリカード250(ケース入り)とした場合では、VSWR特性が変化し、VSWRの値が低くなる周波数が低周波側にシフトする。これは、第1のケース260及び第2のケース270を形成する材料の影響によるものと考えられる。このため、メモリカード250を作製する場合には、低周波側への周波数のシフト量を考慮してアンテナ装置100を作製する。
【0040】
次に、メモリカード単体の場合と、デジタルカメラ300にメモリカードを装着した場合におけるVSWR特性について説明する。図13は、アンテナエレメント直線部120aの幅Aが0.5mmである本実施の形態におけるメモリカード250の場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカード250を入れた場合のVSWR特性を示す。図14は、アンテナエレメント直線部の幅Aが1mmであるメモリカードの場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカードを入れた場合のVSWR特性を示す。図15は、従来からあるアンテナ付きのメモリカードの場合であり、デジタルカメラに入れる前(メモリカード単体)と、2種類のデジタルカメラA及びデジタルカメラBにメモリカードを入れた場合のVSWR特性を示す。
【0041】
図14や図15に示されるように、メモリカードをデジタルカメラに入れた場合や、異なる種類のデジタルカメラに入れた場合では、VSWRの値が低くなる周波数が変化してしまうが、図13に示されるように、本実施の形態におけるメモリカードでは、メモリカードをデジタルカメラに入れた場合や、異なる種類のデジタルカメラに入れた場合においても、VSWRの値が低くなる周波数が殆ど変化することはない。
【0042】
(アンテナ装置及び回路基板の製造方法)
次に、本実施の形態におけるアンテナ装置及び回路基板の製造方法について説明する。
【0043】
本実施の形態における回路基板は、図16に示すように、プリント基板110の両面にアンテナエレメント120とグランドエレメント130が形成されたアンテナ装置100をグランド領域210の形成されているプリント基板211の所定の位置に貼り付け、グランドエレメント130とグランド領域210とを接続することにより形成することができる。
【0044】
また、本実施の形態における回路基板は、図17に示すように、プリント基板211のグランド領域210が形成される面に、グランド領域210と接続されるグランドエレメント部230をグランド領域210とともに形成し、一方の面にアンテナエレメント120が形成されているプリント基板110の他方の面をプリント基板211のグランドエレメント部230が形成されている部分に貼り付けることにより形成することができる。
【0045】
また、本実施の形態における回路基板は、図18に示すように、プリント基板211の一方の面にアンテナエレメント部220を形成し、他方の面にグランドエレメント部230及びグランドエレメント部230に接続されるグランド領域210を形成したものであってもよい。これにより、プリント基板を1枚にすることができ、より低コストでアンテナ装置の形成された回路基板を得ることができる。
【0046】
尚、機能的には、形成されるアンテナエレメント部220は、アンテナエレメント120に相当するものであり、グランドエレメント部230は、グランドエレメント130に相当するものである。
【0047】
また、アンテナ装置は、図1等に示すような逆L形状等ではなく、T形状に形成してもよい。具体的には、図19に示すように、プリント基板110の一方の面にT字状のアンテナエレメント121を形成し、他方の面に略同じ形状のT字状のグランドエレメント131を形成した構造のものであってもよい。
【0048】
尚、本実施の形態においては、プリント基板211には電子回路等が形成されている場合があるが、図面においては、この電子回路等は省略されている。具体的には、プリント基板211においてグランド領域210の形成されていない領域に、電子回路等が形成されている場合や、プリント基板211が多層基板であって、この多層基板の内部に電子回路等が形成されている場合がある。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態におけるアンテナ装置は、アンテナエレメント等が形成される面積を広げることなく、インダクタンスを大きくして、周波数帯域を低くすることにより、所定の周波数帯域となるように形成したものである。
【0050】
本実施の形態におけるアンテナ装置の構造を図20に示す。このアンテナ装置では、多層配線のプリント基板116が用いられており、多層に形成されたアンテナエレメント126とグランドエレメント136を有している。アンテナエレメント126は、プリント基板116の内部に形成された第1のアンテナエレメント126aとプリント基板116の一方の面の表面に形成された第2のアンテナエレメント126bを有しており、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたアンテナエレメント接続部126cにより接続されている。
【0051】
また、グランドエレメント136は、プリント基板116の内部に形成された第1のグランドエレメント136aとプリント基板116の他方の面の表面に形成された第2のグランドエレメント136bを有しており、第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bは、これらを接続するためのスルーホール内に形成されたグランドエレメント接続部136cにより接続されている。
【0052】
本実施の形態では、プリント基板116において、アンテナエレメント126等が形成される領域を広げることなく、アンテナエレメント126及びグランドエレメント136におけるインダクタンスをより大きくすることができる。
【0053】
図21は、図20に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面における配置を概念的に示すものである。第1のアンテナエレメント126a、第2のアンテナエレメント126b、第1のグランドエレメント136a及び第2のグランドエレメント136bは、プリント基板116の厚さ方向において、各々の領域が全て重なるように形成されている。これにより、アンテナエレメント126に高周波を印加した場合、より一層プリント基板116の厚さ方向に揃った状態で励振させることができる。
【0054】
また、図22に示すように、第1のアンテナエレメント126aと第2のアンテナエレメント126bとの位置及び第1のグランドエレメント136aと第2のグランドエレメント136bとの位置がずれており、重複しない領域を有するように形成してもよい。この場合、ずれた領域より漏れ電界が生じて電磁波が発生する。尚、図23は、図22に示すアンテナ装置のアンテナエレメント126とグランドエレメント136の断面の配置を概念的に示すものである。
【0055】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0056】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0057】
100 アンテナ装置
110 プリント基板
120 アンテナエレメント
120a アンテナエレメント直線部
130 グランドエレメント
200 回路基板
210 グランド領域
211 プリント基板
212 外部接続端子
214 電子部品
250 メモリカード
260 第1のケース
262 開口部
270 第2のケース
300 デジタルカメラ
301 内部の筐体部分
320 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、
回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、
前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの一部または全部は、前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記電子機器よりも外側になるように形成されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項2】
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されており、前記アンテナエレメントは、前記逆L形状の一部となるアンテナエレメント直線部を有しており、
前記電子機器に前記メモリカードを接続した際、前記アンテナエレメント直線部が前記電子機器よりも外側になることを特徴とする請求項1に記載のメモリカード。
【請求項3】
電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、
回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、
前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントの幅Aは、1mm未満で形成されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項4】
電子機器に接続されるアンテナ内蔵メモリカードであって、
回路基板と前記回路基板を覆うケースとを有し、
前記回路基板または前記回路基板に搭載される基板の一方の面に形成されたアンテナエレメントと、他方の面に形成されたグランドエレメントとを有し、
前記電子機器に接続する際に押される側の前記回路基板の端部から前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントまでの距離Bは、0.5mm以下であることを特徴とするメモリカード。
【請求項5】
前記アンテナエレメント及び前記グランドエレメントは、逆L形状で形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のメモリカード。
【請求項6】
前記回路基板はグランド領域を有しており、
前記アンテナエレメントと前記グランド領域との間隔Cは、0.05λ以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のメモリカード。
【請求項7】
前記アンテナエレメントの形状と前記グランドエレメントの形状とは、前記回路基板又は前記基板を介し、略対称となる形状で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメモリカード。
【請求項8】
前記回路基板又は前記基板はプリント基板であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のメモリカード。
【請求項9】
前記プリント基板は多層配線基板であって、前記アンテナエレメントは複数の層に形成されており、前記グランドエレメントは複数の層に形成されていることを特徴とする請求項8に記載のメモリカード。
【請求項10】
前記回路基板には、電子部品が搭載されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のメモリカード。
【請求項11】
2.4GHzから2.5GHzの周波数帯域に用いられるものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のメモリカード。
【請求項12】
無線LAN、BT用の通信に用いられるものであることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のメモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−3683(P2013−3683A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131666(P2011−131666)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】