説明

メモリコントローラ、メモリカード、アクセス装置、及びメモリカード状態切り替え方法

【課題】大容量領域に対するアクセスをサポートしていない従来のアクセス装置から、大容量メモリカードにアクセスした場合の誤アクセスに起因するデータ破壊を防止する。
【解決手段】メモリカード内にモード切替制御部116、第1の制御部117、第2の制御部118を設け、モード切替コマンドが入力されるまでは第1の制御部117が動作し、データアクセスを禁止する。モード切替コマンドが入力されるとモード切替制御部116は第2の制御部118に制御を切り替え、大容量領域へのデータアクセスを許可する。これにより、従来のアクセス装置の誤アクセスによるデータ破壊を防止することが可能となる。更に大容量領域に対するアクセスをサポートしている本発明のアクセス装置は、モード切替コマンドを発行し、大容量領域に対してアクセスすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス装置からのアクセスを受け付けない状態、受け付ける状態の2状態を制御するメモリコントローラ、メモリカード、前記メモリカードにアクセスするアクセス装置、及び前記状態を切り替える方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽コンテンツや、映像データ等のデジタルデータを記録する記録媒体には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等、様々な種類が存在する。これら記録媒体の1種類であるメモリカードは、記録素子としてFlashROM等の半導体メモリを主に使用しており、記録媒体の小型化が図れることから、デジタルスチルカメラや携帯電話端末等、小型の携帯機器を中心に急速に普及しつつある。
【0003】
メモリカードに格納されたデータはファイルシステムにより管理されており、ユーザは格納されたデータをファイルとして容易に取り扱うことができる。従来使用されているファイルシステムとして、FATファイルシステム(詳細は、非特許文献1参照)や、UDFファイルシステム(Universal Disk Format)(詳細は、非特許文献2参照)、NTFSファイルシステム(New Technology File System)等が存在する。これらファイルシステムによりデータが管理されたメモリカードは、同一のファイルシステムを解釈する機器間でファイルを共有することができるため、機器間でデータを授受することが可能となる。
【0004】
近年、メモリカードが普及するにつれ、当初主流であった音楽コンテンツ、静止画コンテンツの記録媒体としての役割から、大容量高画質動画コンテンツの記録へとその応用用途は広がりつつある。そのため、このようなニーズに応えるべく、年々倍化する勢いでメモリカードの大容量化が進んでいる。しかしながら、メモリカード内部レジスタに格納されているカード容量を表現するフィールドのビット長や、コマンドでアドレスを指定する引数のビット幅等には限界があり、メモリカードの大容量化に対応するためには、従来のレジスタ構成やコマンド等を拡張する必要がある。また、同様にファイルシステムにも管理可能な容量の上限が存在するため、従来のファイルシステムが管理可能な容量の上限を超えた大容量メモリカードの領域を管理するために、新しいファイルシステムを使用する必要がある。
【0005】
従来、このような問題を解決する方法として、メモリカード内の領域を複数に分割し、各領域を切り替えて使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、従来のアクセス装置では従来の上限容量以下の容量を持つメモリカードとして使用することが可能であり、且つ、上限容量を超えた大容量メモリカードのレジスタ構成、コマンド、ファイルシステムに対応した新しいアクセス装置では大容量メモリカードとして使用することが可能となる。
【特許文献1】特開2004−86503号公報
【非特許文献1】ISO/IEC9293,“Information Technology−Volume and file structure of disk cartridges for information”,1994年
【非特許文献2】OSTA Universal Disk Format Specification Revision 1.50,1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法を用いた場合、大容量の領域にアクセス可能な状態にメモリカードを設定した状態のまま、従来のアクセス装置でメモリカードを使用した場合、従来のアクセス装置が正しくメモリカードを認識できず、データを破壊する可能性がある。例えば、従来のアクセス装置が解釈できない新しいファイルシステムでメモリカードがフォーマットされていた場合、従来のアクセス装置はフォーマットが壊れていると認識し、従来のファイルシステムでメモリカードをフォーマットすることをユーザに促す場合がある。このときユーザが誤ってフォーマットを選択すると、メモリカードに記録されたデータが意図せずに全て消失することになる。また、PC等の複数のファイルシステムを解釈可能な機器では、レジスタ構成やコマンド等の物理的なアクセス方法は小容量しか管理できない従来のアクセス方法しか解釈できないが、大容量領域を管理する新しいファイルシステムを解釈できる場合がある。この場合、物理的には小容量しかアクセスできないが、論理的には大容量領域として解釈するため、物理的にアクセス可能な上限容量を超えた領域にアクセスした時点でアクセス装置が予期せぬエラーを検出し、最悪の場合、メモリカード上のファイルシステム管理情報を破壊する可能性がある。このような問題は、従来の方法においてメカニカルスイッチにより大容量の領域にアクセス可能な状態にしたメモリカードを従来のアクセス装置に装着した場合に発生する。また、従来の方法に依らず、大容量の領域のみを有するメモリカードを作成し、従来のアクセス装置に装着した場合にも同様の問題が生じる。
【0007】
本発明では上記問題点に鑑み、従来のアクセス装置に大容量メモリカードを装着した場合におけるデータ破壊を防止するため、アクセス装置からのアクセスを受け付けない状態、受け付ける状態の2状態を制御するメモリコントローラ、メモリカード、前記メモリカードにアクセスするアクセス装置、及び前記状態を切り替える方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のメモリコントローラは、不揮発性メモリとメモリコントローラを含むメモリカードに対して、アクセス装置からデータアクセスコマンドが入力された場合、データアクセスコマンドを受け付ける第1の制御部と、データアクセスコマンドを受け付けない第2の制御部と、アクセス装置から入力されるモード切替コマンドに応じて不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を第1の制御部から第2の制御部へ切り替えることを特徴とする。これにより、モード切替コマンドに対応していない従来のアクセス装置からの誤アクセスによるデータ破壊を防止することができる。
【0009】
本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、パスワードによりアクセスが制限されたロック状態にメモリカードを設定し、アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0010】
また、本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、メモリカードのロック状態を解除するUnlockコマンドがアクセス装置から入力された場合、ロック状態を解除せずアクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置が不用意にロック状態を解除し、メモリカードに誤アクセスすることを防止することができる。
【0011】
本発明のメモリコントローラに係る第2の制御部は、アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付け、不揮発性メモリに対するデータアクセス処理を実施することを特徴とする。これにより、モード切替コマンドに対応している新しいアクセス装置は不揮発性メモリにアクセスすることが可能となる。
【0012】
本発明のメモリコントローラに係るモード切替制御部は、アクセス装置からモード切替コマンドを受信した場合、不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を第1の制御部から第2の制御部に切り替え、アクセス装置からモード切替コマンド以外のコマンドを受信した場合、第2の制御部に切り替える前であれば第1の制御部に、切り替えた後であれば第2の制御部に受信したコマンドを送信することを特徴とする。これにより、アクセス装置はモード切替コマンドをメモリカードに入力することで、不揮発性メモリにアクセス可能な状態にメモリカードの状態を切り替えることができる。
【0013】
また、本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、不揮発性メモリへの書き込み処理が禁止されたライトプロテクト状態にメモリカードを設定し、アクセス装置からのデータ書き込み、消去等のデータ書き込みアクセスコマンドを受け付けないようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0014】
また、本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、ライトプロテクト状態を解除するライトプロテクト解除コマンドがアクセス装置から入力された場合、ライトプロテクト状態を解除せずアクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置が不用意にライトプロテクト状態を解除し、メモリカードに誤アクセスすることを防止することができる。
【0015】
更に本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、アクセス装置からデータ読み出しコマンドを受信した場合、不揮発性メモリからデータを読み出す代わりに特定のダミーデータを生成し、アクセス装置に送信するようにしても良い。これにより、従来のアクセス装置がファイルシステムの管理情報を読み出し、ファイルシステムを誤認識することを防止することができる。
【0016】
また本発明のメモリコントローラに係る第1の制御部は、アクセス装置からデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受信した場合、アクセス装置からのコマンドを受け付けず、アクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0017】
本発明のメモリカードは、アクセス装置からデータアクセスコマンドが入力された場合、データアクセスコマンドを受け付ける第1の制御部と、データアクセスコマンドを受け付けない第2の制御部と、アクセス装置から入力されるモード切替コマンドに応じて不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を第1の制御部から第2の制御部へ切り替えることを特徴とする。これにより、モード切替コマンドに対応していない従来のアクセス装置からの誤アクセスによるデータ破壊を防止することができる。
【0018】
本発明のメモリカードに係る第1の制御部は、パスワードによりアクセスが制限されたロック状態にメモリカードを設定し、アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0019】
本発明のメモリカードに係る前記第1の制御部は、メモリカードのロック状態を解除するUnlockコマンドがアクセス装置から入力された場合、ロック状態を解除せずアクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置が不用意にロック状態を解除し、メモリカードに誤アクセスすることを防止することができる。
【0020】
本発明のメモリカードに係る第2の制御部は、アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付け、不揮発性メモリに対するデータアクセス処理を実施することを特徴とする。これにより、モード切替コマンドに対応している新しいアクセス装置は不揮発性メモリにアクセスすることが可能となる。
【0021】
本発明のメモリカードに係るモード切替制御部は、アクセス装置からモード切替コマンドを受信した場合、不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を第1の制御部から第2の制御部に切り替え、アクセス装置からモード切替コマンド以外のコマンドを受信した場合、第2の制御部に切り替える前であれば第1の制御部に、切り替えた後であれば第2の制御部に受信したコマンドを送信することを特徴とする。これにより、アクセス装置はモード切替コマンドをメモリカードに入力することで、不揮発性メモリにアクセス可能な状態にメモリカードの状態を切り替えることができる。
【0022】
また、本発明のメモリカードに係る第1の制御部は、不揮発性メモリへの書き込み処理が禁止されたライトプロテクト状態にメモリカードを設定し、アクセス装置からのデータ書き込み、消去等のデータ書き込みアクセスコマンドを受け付けないようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0023】
また、本発明のメモリカードに係る第1の制御部は、ライトプロテクト状態を解除するライトプロテクト解除コマンドがアクセス装置から入力された場合、ライトプロテクト状態を解除せずアクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置が不用意にライトプロテクト状態を解除し、メモリカードに誤アクセスすることを防止することができる。
【0024】
更に本発明のメモリカードに係る第1の制御部は、アクセス装置からデータ読み出しコマンドを受信した場合、不揮発性メモリからデータを読み出す代わりに特定のダミーデータを生成し、アクセス装置に送信するようにしても良い。これにより、従来のアクセス装置がファイルシステムの管理情報を読み出し、ファイルシステムを誤認識することを防止することができる。
【0025】
また本発明のメモリカードに係る第1の制御部は、アクセス装置からデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受信した場合、アクセス装置からのコマンドを受け付けず、アクセス装置にエラーを通知するようにすることができる。これにより、従来のアクセス装置からの誤アクセスを防止することができる。
【0026】
本発明のアクセス装置は、メモリカードがアクセス装置から入力されたデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けない状態である場合に、メモリカードにモード切替コマンドを入力し、メモリカードの状態を、データアクセスコマンドを受け付ける状態に切り替えるモード切替部を具備すること特徴とする。これにより、不揮発性メモリにアクセス可能な状態にメモリカードの状態を切り替え、不揮発性メモリに対するデータアクセスを行うことができる。
【0027】
本発明のアクセス装置に係るモード切替部は、データアクセスコマンドの受け付け可否が変化するメモリカードに対してのみモード切替コマンドを入力し、データアクセスコマンドの受け付け可否が変化しないメモリカードに対してはモード切替コマンドを入力しないことを特徴とする。これにより、モード切替コマンドに対応していない従来のメモリカードに対し不要なコマンドを入力することがなく、メモリカードへのコマンド入力処理を効率化することができる。
【0028】
本発明のメモリカード状態切り替え方法は、メモリカードにアクセスするアクセス装置からコマンドを受信するステップと、受信したコマンドがモード切替コマンドである場合、不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を第1の制御部から第2の制御部に切り替えるステップと、受信したコマンドがモード切替コマンド以外である場合、第2の制御部に切り替える前であれば第1の制御部に、切り替えた後であれば第2の制御部に受信したコマンドを送信するステップとを具備することを特徴とする。これにより、アクセス装置から入力されたモード切替コマンドに応じて不揮発性メモリに対するデータアクセスの可否を変更することが可能となり、モード切替コマンドに対応していない従来のアクセス装置からの誤アクセスによるデータ破壊を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、アクセス装置からのアクセスを受け付けない状態、受け付ける状態の2状態を制御することにより、従来のアクセス装置に大容量メモリカードを装着した場合におけるデータ破壊を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明のメモリコントローラ、メモリカード、アクセス装置、及びメモリカード状態切り替え方法について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるメモリカード、及びアクセス装置の構成図である。図1においてメモリカード1は、データを記録する不揮発性メモリ12と、不揮発性メモリ12を制御するメモリコントローラ11を含む。不揮発性メモリ12は、アクセス装置2から入力されたユーザデータを格納し、保持する領域であり、具体的にはFlashROM等の半導体メモリが記録素子として使用される。また、この不揮発性メモリ12の記録領域にはファイルシステムが構築されており、アクセス装置2はユーザデータをファイル単位で管理している。メモリコントローラ11は、不揮発性メモリ12へのデータ書き込み、読み出しを含むメモリカード1の制御全般を行う制御部であり、CPU111、RAM112、ROM113、ホストI/F部114、メモリ制御部115から構成される。ROM113にはメモリカード1を制御するプログラムが格納されており、このプログラムはRAM112を一時記憶領域として使用し、CPU111上で動作する。ホストI/F部114は、アクセス装置2と制御信号及びデータを送受信するインターフェースである。メモリ制御部115は、不揮発性メモリ12への物理的なアクセス制御を行う制御部である。ここまでで記載したメモリカード1の構成は、従来のメモリカードと同様の構成である。本発明のメモリカード1の特徴は、メモリコントローラ11のROM113内に第1の制御部117、第2の制御部118、モード切替制御部116を有する点である。第1の制御部117は、管理容量に上限のある従来のレジスタ構成、コマンドを用いてアクセス装置2と信号の送受信を行い、メモリカード1を制御する制御部である。この状態では、メモリカードに対するアクセス装置からのアクセス要求は拒否され、アクセス装置はメモリカードにアクセスすることができない。また、第2の制御部118は、大容量領域を管理可能な新しいレジスタ構成、コマンドを用いてアクセス装置2と信号の送受信を行い、メモリカード1を制御する制御部である。この状態では、メモリカードに対するアクセス装置からのアクセス要求は許可され、アクセス装置はメモリカードにアクセスすることができる。更に、これら2つの制御部の切り替えをモード切替制御部116において行う。
【0032】
また、図1においてアクセス装置2は、スロット21、CPU22、RAM23、入力I/F24、出力I/F25、ROM26を含む。スロット21は、メモリカード1とアクセス装置2との接続部であり、制御信号及びデータはスロット21を経由してメモリカード1とアクセス装置2の間で送受信される。入力I/F24は、キーボードやマウス、ボタン等のアクセス装置2に対する情報入力手段を示す。出力I/F25は、ディスプレイや液晶パネル、LEDランプ等、アクセス装置がユーザに対して情報を出力する手段を示す。また、メモリカード1と同様に、ROM26にはアクセス装置2を制御するプログラムが格納されており、このプログラムはRAM23を一時記憶領域として使用し、CPU22上で動作する。またROM26は、入力I/F24、出力I/F25の制御や、メモリカード1に格納されたAVデータの再生制御、メモリカード1へのAVデータの記録制御等、アクセス装置2がユーザに提供するサービス全般の制御を行うアプリケーションプログラム261、メモリカード1の不揮発性メモリ12上に構築されたファイルシステムの制御を行うファイルシステム制御部262、メモリカード1に対するコマンド送受信を行うアクセス制御部263を含む。ここまでで記載したアクセス装置2の構成は、従来のアクセス装置と同様の構成である。本発明のアクセス装置2の特徴は、アクセス制御部263内にモード切替部264を有する点である。モード切替部264は、メモリカード1にモード切替コマンドを発行し、メモリカード1内の制御部を第1の制御部117から第2の制御部118に切り替える制御部である。本発明のメモリカード1はアクセス装置2に装着され初期化が完了した時点では第1の制御部117が動作し、メモリカード1へのアクセスが行えない状態になる。この状態でアクセス装置2のモード切替部264がメモリカード1にモード切替コマンドを発行すると、メモリカード1のモード切替制御部116が第1の制御部117から第2の制御部118へ切り替える。このように第2の制御部118に制御部が切り替わると、アクセス装置2からメモリカード1へのアクセスが行えるようになる。
【0033】
このように本発明のメモリカード1、アクセス装置2は、メモリカード1の初期化直後の状態においてメモリカード1に対するアクセスを禁止することで、従来のアクセス装置によるデータ破壊を防止する点、またモード切替コマンド受信後にメモリカード1に対するアクセスを許可することで、大容量領域を解釈可能な新しいアクセス装置2からメモリカード1にアクセスすることが可能となる点を特徴とする。
【0034】
続いて、本実施の形態におけるメモリカード1、アクセス装置2の制御方法について図2から図6を用いて詳細に説明する。
【0035】
図2は本実施の形態におけるメモリカード1の状態遷移を示した図である。図2に示すように、本実施の形態におけるメモリカード1は、4つの状態を有している。
【0036】
第1の状態はIdle Stateである。この状態はメモリカード1の初期状態を意味し、メモリカード1をアクセス装置2のスロット21に装着し、メモリカード1に電源が供給され始めた時点で、メモリカード1は自動的にこの状態に遷移する。Idle Stateの状態では、不揮発性メモリ12やメモリコントローラ11内部の初期化が完了しておらず、アクセス装置2はメモリカード1内に格納されたデータへアクセスすることができない。また、メモリカード1へアクセスするためには初期化処理を完了する必要があることから、Idle Stateでは初期化コマンドしか受け付けないようになっている。
【0037】
第2の状態はStand−by Stateである。この状態ではメモリカード1の初期化が完了しており、アクセス装置2はカード情報取得コマンドによりカード容量や、サポート電圧値/電流値、ロック状態、ライトプロテクト状態等、メモリカード1の特性や現在の状態に関する情報を取得することができる。この状態へは、Idle Stateで初期化コマンドが入力され処理が完了した場合、あるいは後述するTransfer State1でカード選択コマンドが入力され処理が完了した場合に遷移する。Stand−by Stateはメモリカード1から各種情報を取得するための状態であり、この状態ではアクセス装置2はメモリカード1内に格納されたデータへアクセスすることができない。
【0038】
第3の状態はTransfer State1である。この状態へはStand−by Stateでカード選択コマンドが入力された場合に遷移する。Transfer State1は、従来のアクセス装置が従来のメモリカードに対してデータアクセスを行う状態に遷移する際と同様の手順で遷移する。すなわち、従来のアクセス装置はメモリカードに対し、初期化コマンド、カード選択コマンドを入力してTransfer State1に遷移し、Read/Write/Eraseコマンドを用いたデータアクセスを開始する。そのため、従来のアクセス装置に本実施の形態のメモリカード1を装着した場合、従来のメモリカード同様、データアクセスのためにTransfer State1まで遷移する。本実施の形態のメモリカード1が従来のメモリカードと異なる点は、従来のメモリカードがTransfer State1でデータアクセスが行えるのに対し、本実施の形態のメモリカード1はロック状態となっており、データアクセスが行えない点である。これにより、従来のアクセス装置の誤動作によるデータ破壊を防止することが可能となる。更に、従来のメモリカードが有するロック機能を用いて従来のアクセス装置からのデータアクセスを禁止することにより、従来のアクセス装置が誤動作する可能性を低減することが可能となる。
【0039】
第4の状態はTransfer State2である。この状態へはTransfer State1でモード切替コマンドが入力された場合に遷移する。モード切替コマンドは従来のメモリカードには存在しないコマンドであり、従来のアクセス装置も対応していない。そのため、本実施の形態のメモリカード1にモード切替コマンドを入力し、Transfer State2に遷移することができるのは、モード切替コマンドに対応している本実施の形態のアクセス装置2のみである。Transfer State2ではロック状態が解除されており、Read/Write/Eraseコマンドを用いた大容量領域へのデータアクセスが可能である。
【0040】
図3は、Transfer State1、及びTransfer State2の各状態における、コマンドの実行可否の一覧を示した図である。図3に示すように、Transfer State1では初期化コマンド、モード切替コマンド、カード情報取得コマンドのみが実行可能な状態にあり、その他のコマンドはロック状態のため実行することができない。また、Transfer State2では、既にモード切替コマンドが発行された後であるためモード切替コマンドが実行できないが、それ以外のコマンドは全て実行することが可能である。
【0041】
また、Idle State、Stand−by State、Transfer State1は従来のメモリカードも有する状態であり、本実施の形態のメモリカード1では、第1の制御部117を用いてメモリカード1の制御を行う。また、Transfer State2は従来のメモリカードには存在せず、本実施の形態のメモリカード1のみが有する状態であり、第2の制御部118を用いてメモリカード1の制御を行う。また、これら第1の制御部117から第2の制御部118への切り替えは、モード切替制御部116が行う。すなわち、本実施の形態のメモリカード1は、第1の制御部117、第2の制御部118、モード切替制御部116を有することで、従来のアクセス装置からのデータアクセスを禁止し、従来のアクセス装置の誤動作によるデータ破壊を防止することを特徴とする。更に、本実施の形態のアクセス装置2は、モード切替制御部116に対してモード切替コマンドを発行する制御部であるモード切替部264を有することを特徴とする。
【0042】
続いて、図4を用いて本実施の形態におけるモード切替制御部116の処理について説明する。モード切替制御部116の処理において、まず始めにモード切替制御部116は、ホストI/F部114経由でアクセス装置2からコマンドを受信する(S401)。次に、受信したコマンドが不正コマンドであるか判定する(S402)。不正コマンドとは、モード切替制御部116が解釈可能なコマンド以外のコマンドが入力された場合を意味する。モード切替制御部116が不正コマンドであると判定した場合、アクセス装置2にエラーを通知して処理を終了する(S403)。不正コマンドでない場合、受信したコマンドがモード切替コマンドであるか判定する(S404)。モード切替コマンドでない場合、第1の制御部117、第2の制御部118の内、現在選択されている制御部にコマンドを送信して処理を終了する(S405)。具体的には、メモリカード1に電源が投入された後、あるいは前回初期化コマンドが発行された後に、一度もモード切替コマンドが発行されていなければ第1の制御部117にコマンドを送信し、モード切替コマンドが発行されていれば第2の制御部118にコマンドを送信する。次に現在の状態がTransfer State1であるか判定する(S406)。Transfer State1でない場合、モード切替を行えないため、アクセス装置2にエラーを通知して処理を終了する(S407)。Transfer State1であった場合、Transfer State2に状態を遷移し、第1の制御部117から第2の制御部118に切り替えて、処理を終了する(S408)。このようにモード切替制御部116はTransfer State1の状態でモード切替コマンドが入力された場合に、Transfer State2へ遷移し、第1の制御部117から第2の制御部118に切り替える。これにより、本実施の形態のアクセス装置2はメモリカード1の大容量領域へアクセスすることが可能となる。
【0043】
次に、図5を用いて第1の制御部117がTransfer State1の状態にある場合の処理について説明する。第1の制御部117の処理において、まず始めに第1の制御部117はモード切替制御部116からコマンドを受信する(S501)。次に受信したコマンドが初期化コマンドであるか判定する(S502)。初期化コマンドであれば、Stand−by Stateに遷移し、初期化処理を実施して処理を終了する(S503)。初期化コマンド以外の場合、次にカード情報取得コマンドであるか判定する(S504)。カード情報取得コマンドであれば、現在メモリカード1がロックされた状態であることを示す情報を含むカード情報をアクセス装置2に通知し、処理を終了する(S505)。具体的には、メモリカード1内のアクセス装置2から読み出し可能なレジスタに、カード容量やサポート電圧値/電流値等と共にロック状態を示すフラグを格納しておき、カード情報取得コマンドを用いてアクセス装置2がレジスタを読み出すことで、情報の授受を実現することができる。カード情報取得コマンド以外の場合、現在メモリカード1はロックされた状態であるため、Read/Write/Erase等の各コマンドを実行できない旨のエラーをアクセス装置2に通知し、処理を終了する(S506)。このようにTransfer State1の状態にある場合、第1の制御部117は初期化コマンド、及びカード情報取得コマンドのみを実行し、その他のコマンドは実行しない。そのため、従来のアクセス装置の誤アクセスによるデータ破壊を防止することが可能である。
【0044】
次に、図6を用いて第2の制御部118の処理について説明する。第2の制御部118の処理において、まず始めに第2の制御部118はモード切替制御部116からコマンドを受信する(S601)。次に受信したコマンドが初期化コマンドであるか判定する(S602)。初期化コマンドであれば、Stand−by Stateに遷移し、初期化処理を実施して処理を終了する(S603)。初期化コマンド以外の場合、Read/Write/Erase等の各コマンドを実行し、処理を終了する(S604)。図3において第2の制御部118が動作しているTransfer State2の状態では、モード切替コマンドは実行できないと記載されている。しかしながら、モード切替コマンドはモード切替制御部116において実行され、第2の制御部118には入力されないため、S604では初期化コマンドを除く全てのコマンドが実行される。このように第2の制御部118では、Read/Write/Erase等の各コマンドを実行することができ、本実施の形態のアクセス装置2がメモリカード1の大容量領域にアクセスすることが可能となる。
【0045】
以上のように、本実施の形態のメモリカード1は、モード切替制御部116、第1の制御部117、第2の制御部118を有し、モード切替コマンドが入力されるまでは、Read/Write/Erase等のデータアクセスコマンドを禁止する。これにより、従来のアクセス装置の誤動作によるデータ破壊を防止することが可能となる。また、データアクセスを禁止する方法として従来のメモリカードが有するロック機能を利用することで、従来のアクセス装置が誤動作する可能性を低減することが可能となる。更に、本実施の形態のアクセス装置2は、モード切替部264を有し、本実施の形態のメモリカード1に対してモード切替コマンドを発行し、大容量領域へアクセスすることができる。
【0046】
尚、図2を用いて説明した4つの状態は一例であり、Transfer State1、Transfer State2と同様の機能を持つ2つの状態を含んでいれば、4つ以外の状態数を有していても良く、各状態が有する機能を若干変化させて実装しても良い。例えば、Stand−by Stateを削除して、初期化コマンド発行後はTransfer State1に遷移し、かつカード情報取得コマンドはTransfer State1、Transfer State2のいずれの状態でも実行できるようにしても良い。また、Transfer State1の状態では、メモリカード1内の不揮発性メモリ12に対する書き込みを行わないという条件を満たしていれば、図3に示したコマンド群に他のコマンドを追加しても良いし、記載されているコマンドの一部を削除しても良い。また、図1では不揮発性メモリ12以外のメモリカード1内の構成要素は全てメモリコントローラ11に含まれる例について説明したが、必ずしも全ての構成要素を含める必要はなく、例えばRAM112がメモリコントローラ11の外部に存在する等、構成を変更しても良い。
【0047】
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2におけるメモリカード、及びアクセス装置について説明する。実施の形態2におけるメモリカード、及びアクセス装置の構成は、図1に示す構成と同じである。
【0048】
図7は本実施の形態におけるメモリカード1の状態遷移を示した図である。また、図8は、Transfer State1、及びTransfer State2の各状態における、コマンドの実行可否の一覧を示した図である。図7、図8が図2、図3と異なる点は、Transfer State1の状態においてRead/Write/Eraseコマンド、Lock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンド/ライトプロテクト解除コマンドに対する扱いが異なる点である。
【0049】
本実施の形態のメモリカード1は、Transfer State1の状態において、メモリカード1がロックされた状態になるのではなく、ライトプロテクトが設定された状態になる。そのため、Write/Eraseコマンドはライトプロテクト状態であるためエラーとなる。またLock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンドは正常に動作する。ここまでは従来のメモリカードのライトプロテクト状態と同様であるが、本実施の形態のメモリカード1は、更にReadコマンドが入力された場合、0xFF等のダミーデータをアクセス装置に送信する。本来ライトプロテクト状態に設定されているメモリカードであれば、Readコマンドは正常に処理されるが、大容量メモリカードの読み出しを許可した場合、大容量ファイルシステムの管理情報を従来のアクセス装置が読み出し、ファイルシステムを誤認識する可能性があるため、本実施の形態のようにダミーデータを送信することで、従来のアクセス装置の誤動作を防止することが可能となる。また、本実施の形態のメモリカード1は、ライトプロテクト解除コマンドが入力されても実行せず、エラーを返す。これは、Transfer State1で設定しているライトプロテクト状態が解除され、従来のアクセス装置で大容量領域へ誤アクセスされることを防止するためである。このように本実施の形態では、Transfer State1の状態において、メモリカード1を擬似的にライトプロテクトが設定された状態とし、データアクセスを禁止することで、従来のアクセス装置の誤アクセスを防止することが可能となる。
【0050】
本実施の形態におけるモード切替制御部116、及び第2の制御部118の動作は実施の形態1で説明した動作と同様である。そのため、以降では図9を用いて本実施の形態における第1の制御部117における処理を説明する。
【0051】
図9に示す第1の制御部117がTransfer State1の状態にある場合の処理において、まず始めに第1の制御部117はモード切替制御部116からコマンドを受信する(S901)。次に受信したコマンドが初期化コマンドであるか判定する(S902)。初期化コマンドであれば、Stand−by Stateに遷移し、初期化処理を実施して処理を終了する(S903)。初期化コマンド以外の場合、次にカード情報取得コマンドであるか判定する(S904)。カード情報取得コマンドであれば、現在メモリカード1がライトプロテクトされた状態であることを示す情報を含むカード情報をアクセス装置2に通知し、処理を終了する(S905)。具体的には、メモリカード1内のアクセス装置2から読み出し可能なレジスタに、カード容量やサポート電圧値/電流値等と共にライトプロテクト状態を示すフラグを格納しておき、カード情報取得コマンドを用いてアクセス装置2がレジスタを読み出すことで、情報の授受を実現することができる。カード情報取得コマンド以外の場合、次にReadコマンドであるか判定する(S906)。Readコマンドであれば、不揮発性メモリ12からデータを読み出す代わりに0xFF等のダミーデータを作成し、アクセス装置2に読み出しデータとして送信し、処理を終了する(S907)。Readコマンド以外の場合、次にWriteコマンド、あるいはEraseコマンドであるか判定する(S908)。Writeコマンド、あるいはEraseコマンドであれば、現在メモリカード1はライトプロテクトされた状態であるため、処理を実行できない旨のエラーをアクセス装置2に通知し、処理を終了する(S909)。Writeコマンド、Eraseコマンド以外の場合、次にライトプロテクト解除コマンドであるか判定する(S910)。ライトプロテクト解除コマンドであれば、ライトプロテクトを解除せずに、アクセス装置にエラーを通知し処理を終了する(S911)。ライトプロテクト解除コマンド以外であれば、入力されたコマンドの各処理を実施し、処理を終了する(S912)。このようにTransfer State1の状態にある場合、第1の制御部117は擬似的にライトプロテクトされた状態になり、Write/Eraseコマンドを実行せず、Readコマンドに対してはダミーデータを送信する。そのため、従来のアクセス装置がファイルシステムを誤認識する可能性を低減し、更に誤アクセスによるデータ破壊を防止することが可能となる。
【0052】
以上のように、本実施の形態のメモリカード1は、モード切替制御部116、第1の制御部117、第2の制御部118を有し、モード切替コマンドが入力されるまでは、Write/Eraseコマンドを禁止し、Readコマンドに対してはダミーデータをアクセス装置2に送信する。これにより、従来のアクセス装置の誤動作によるデータ破壊を防止することが可能となる。また、データアクセスを禁止する方法として従来のメモリカードが有するライトプロテクト機能を利用することで、従来のアクセス装置が誤動作する可能性を低減することが可能となる。更に、本実施の形態のアクセス装置2は、モード切替部264を有し、本実施の形態のメモリカード1に対してモード切替コマンドを発行し、大容量領域へアクセスすることができる。
【0053】
尚、実施の形態1同様、図2を用いて説明した4つの状態は一例であり、状態数、機能等を変化させて実装しても良い。また、図8に示したコマンド以外のコマンドを追加しても良いし、Lock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンド等、本実施の形態のデータ保護方法に影響しないコマンドを削除しても良い。また、実施の形態1同様、図1の構成を若干変更した構成としても良い。また、本実施の形態では、ライトプロテクト状態がコマンドにより設定/解除できる例について説明したが、コマンドにより解除できないライトプロテクト状態を用いて実現しても良い。例えば、ROMメモリカードを実現する目的としてコマンドにより解除できないライトプロテクト機能を有するメモリカードであれば、この機能を用いて実現しても良い。
【0054】
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3におけるメモリカード、及びアクセス装置について説明する。実施の形態3におけるメモリカード、及びアクセス装置の構成は、図1に示す構成と同じである。
【0055】
図10は本実施の形態におけるメモリカード1の状態遷移を示した図である。また、図11は、Transfer State1、及びTransfer State2の各状態における、コマンドの実行可否の一覧を示した図である。図10、図11が図2、図3と異なる点は、Transfer State1の状態においてRead/Write/Eraseコマンド、Lock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンド/ライトプロテクト解除コマンドに対する扱いが異なる点である。
【0056】
本実施の形態のメモリカード1は、Transfer State1の状態において、メモリカード1がロックされた状態になるのではなく、Read/Write/Eraseコマンドが受け付けられずエラーとなる。またLock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンド/ライトプロテクト解除コマンドは正常に動作する。このように本実施の形態では、Transfer State1の状態において、Read/Write/Eraseコマンドといったデータアクセスコマンドを禁止することで、従来のアクセス装置の誤アクセスを防止することが可能となる。
【0057】
本実施の形態におけるモード切替制御部116、及び第2の制御部118の動作は実施の形態1で説明した動作と同様である。そのため、以降では図12を用いて本実施の形態における第1の制御部117における処理を説明する。
【0058】
図12に示す第1の制御部117がTransfer State1の状態にある場合の処理において、まず始めに第1の制御部117はモード切替制御部116からコマンドを受信する(S1201)。次に受信したコマンドが初期化コマンドであるか判定する(S1202)。初期化コマンドであれば、Stand−by Stateに遷移し、初期化処理を実施して処理を終了する(S1203)。初期化コマンド以外の場合、次にRead/Write/Eraseコマンドのいずれかであるか判定する(S1204)。Read/Write/Eraseコマンドのいずれかである場合、処理を実施せず、アクセス装置にエラーを通知する(S1205)。これにより、従来のアクセス装置が大容量領域に誤アクセスすることを防止する。また、Read/Write/Eraseコマンド以外の場合、入力されたコマンドの各処理を実施し、処理を終了する(S1206)。このようにTransfer State1の状態にある場合、第1の制御部117はRead/Write/Eraseコマンドといったデータアクセスコマンドを禁止し、従来のアクセス装置の誤アクセスによるデータ破壊を防止することが可能となる。
【0059】
以上のように、本実施の形態のメモリカード1は、モード切替制御部116、第1の制御部117、第2の制御部118を有し、モード切替コマンドが入力されるまでは、Read/Write/Eraseコマンドを禁止する。これにより、従来のアクセス装置の誤動作によるデータ破壊を防止することが可能となる。更に、本実施の形態のアクセス装置2は、モード切替部264を有し、本実施の形態のメモリカード1に対してモード切替コマンドを発行し、大容量領域へアクセスすることができる。
【0060】
尚、実施の形態1同様、図2を用いて説明した4つの状態は一例であり、状態数、機能等を変化させて実装しても良い。また、図8に示したコマンド以外のコマンドを追加しても良いし、Lock/Unlock/ライトプロテクト設定コマンド/ライトプロテクト解除コマンド等、本実施の形態のデータ保護方法に影響しないコマンドを削除しても良い。また、実施の形態1同様、図1の構成を若干変更した構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に関わるメモリカード、及びアクセス装置は、モード切替コマンドが発行されるまではメモリカードに対するデータアクセスを禁止する。これにより、モード切替コマンドに対応していない従来のアクセス装置の誤アクセスによるデータ破壊を防止することが可能となる。このようなメモリカードは、音楽コンテンツや動画コンテンツ等のデジタルデータを格納する記録媒体として利用することができ、アクセス装置は、デジタルスチルカメラや携帯電話端末、メモリカードムービー、オーディオプレーヤ、PC、PDA等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1におけるメモリカード、及びアクセス装置の実施方法を示した説明図
【図2】本発明の実施の形態1におけるメモリカードの状態遷移を示した説明図
【図3】本発明の実施の形態1におけるメモリカードがTransfer State1、及びTransfer State2の各状態に設定された場合における、コマンドの実行可否の一覧を示した説明図
【図4】本発明の実施の形態1におけるモード切替制御部の処理を示したフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における第1の制御部の処理を示したフローチャート
【図6】本発明の実施の形態1における第2の制御部の処理を示したフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2におけるメモリカードの状態遷移を示した説明図
【図8】本発明の実施の形態2におけるメモリカードがTransfer State1、及びTransfer State2の各状態に設定された場合における、コマンドの実行可否の一覧を示した説明図
【図9】本発明の実施の形態2における第1の制御部の処理を示したフローチャート
【図10】本発明の実施の形態3におけるメモリカードの状態遷移を示した説明図
【図11】本発明の実施の形態3におけるメモリカードがTransfer State1、及びTransfer State2の各状態に設定された場合における、コマンドの実行可否の一覧を示した説明図
【図12】本発明の実施の形態3における第1の制御部の処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0063】
1 メモリカード
2 アクセス装置
11 メモリコントローラ
12 不揮発性メモリ
21 スロット
22、111 CPU
23、112 RAM
24 入力I/F
25 出力I/F
26,113 ROM
114 ホストI/F部
115 メモリ制御部
116 モード切替制御部
117 第1の制御部
118 第2の制御部
261 アプリケーションプログラム
262 ファイルシステム制御部
263 アクセス制御部
264 モード切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリへのアクセスを制御するメモリコントローラにおいて、
前記不揮発性メモリと前記メモリコントローラとを含むメモリカードに接続されたアクセス装置から、前記不揮発性メモリへのデータアクセスコマンドが入力された場合、前記データアクセスコマンドを受け付けない第1の制御部と、
前記データアクセスコマンドを受け付ける第2の制御部と、
前記アクセス装置から入力されるモード切替コマンドに応じて前記不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を、前記第1の制御部から前記第2の制御部へ切り替えるモード切替制御部と、
を具備することを特徴とするメモリコントローラ。
【請求項2】
前記第1の制御部は、
パスワードによりアクセスが制限されたロック状態に前記メモリカードを設定し、前記アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする請求項1記載のメモリコントローラ。
【請求項3】
前記第1の制御部は、
メモリカードの前記ロック状態を解除するUnlockコマンドが前記アクセス装置から入力された場合、前記ロック状態を解除せず前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項2記載のメモリコントローラ。
【請求項4】
前記第2の制御部は、
前記アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付け、前記不揮発性メモリに対するデータアクセス処理を実施することを特徴とする請求項1記載のメモリコントローラ。
【請求項5】
前記モード切替制御部は、
前記アクセス装置からモード切替コマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を前記第1の制御部から前記第2の制御部に切り替え、
前記アクセス装置からモード切替コマンド以外のコマンドを受信した場合、前記第2の制御部に切り替える前であれば前記第1の制御部に、切り替えた後であれば前記第2の制御部に前記受信したコマンドを送信することを特徴とする請求項1記載のメモリコントローラ。
【請求項6】
前記第1の制御部は、
前記不揮発性メモリへの書き込み処理が禁止されたライトプロテクト状態に前記メモリカードを設定し、前記アクセス装置からのデータ書き込み、消去等のデータ書き込みアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする請求項1記載のメモリコントローラ。
【請求項7】
前記第1の制御部は、
前記ライトプロテクト状態を解除するライトプロテクト解除コマンドが前記アクセス装置から入力された場合、前記ライトプロテクト状態を解除せず前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項6記載のメモリコントローラ。
【請求項8】
前記第1の制御部は、
前記アクセス装置からデータ読み出しコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリからデータを読み出す代わりに特定のダミーデータを生成し、前記アクセス装置に送信することを特徴とする請求項6記載のメモリコントローラ。
【請求項9】
前記第1の制御部は、
前記アクセス装置からデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受信した場合、前記アクセス装置からのコマンドを受け付けず、前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項1記載のメモリコントローラ。
【請求項10】
データを記録する不揮発性メモリを有するメモリカードにおいて、
前記メモリカードに接続されたアクセス装置から入力される前記不揮発性メモリへのデータアクセスコマンドを受け付ける第1の制御部と、
前記データアクセスコマンドを受け付けない第2の制御部と、
前記アクセス装置から入力されるモード切替コマンドに応じて前記不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を、前記第1の制御部から前記第2の制御部へ切り替えるモード切替制御部と、
を具備することを特徴とするメモリカード。
【請求項11】
前記第1の制御部は、
パスワードによりアクセスが制限されたロック状態に前記メモリカードを設定し、前記アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする請求項10記載のメモリカード。
【請求項12】
前記第1の制御部は、
メモリカードの前記ロック状態を解除するUnlockコマンドが前記アクセス装置から入力された場合、前記ロック状態を解除せず前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項11記載のメモリカード。
【請求項13】
前記第2の制御部は、
前記アクセス装置からのデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付け、前記不揮発性メモリに対するデータアクセス処理を実施することを特徴とする請求項10記載のメモリカード。
【請求項14】
前記モード切替制御部は、
前記アクセス装置からモード切替コマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を前記第1の制御部から前記第2の制御部に切り替え、
前記アクセス装置からモード切替コマンド以外のコマンドを受信した場合、前記第2の制御部に切り替える前であれば前記第1の制御部に、切り替えた後であれば前記第2の制御部に前記受信したコマンドを送信することを特徴とする請求項10記載のメモリカード。
【請求項15】
前記第1の制御部は、
前記不揮発性メモリへの書き込み処理が禁止されたライトプロテクト状態に前記メモリカードを設定し、前記アクセス装置からのデータ書き込み、消去等のデータ書き込みアクセスコマンドを受け付けないことを特徴とする請求項10記載のメモリカード。
【請求項16】
前記第1の制御部は、
前記ライトプロテクト状態を解除するライトプロテクト解除コマンドが前記アクセス装置から入力された場合、前記ライトプロテクト状態を解除せず前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項15記載のメモリカード。
【請求項17】
前記第1の制御部は、
前記アクセス装置からデータ読み出しコマンドを受信した場合、前記不揮発性メモリからデータを読み出す代わりに特定のダミーデータを生成し、前記アクセス装置に送信することを特徴とする請求項15記載のメモリカード。
【請求項18】
前記第1の制御部は、
前記アクセス装置からデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受信した場合、前記アクセス装置からのコマンドを受け付けず、前記アクセス装置にエラーを通知することを特徴とする請求項10記載のメモリコントローラ。
【請求項19】
データを記録する不揮発性メモリを有するメモリカードにアクセスするアクセス装置において、
前記メモリカードが前記アクセス装置から入力されたデータ読み出し、書き込み、消去等のデータアクセスコマンドを受け付けない状態である場合に、前記メモリカードにモード切替コマンドを入力し、前記メモリカードの状態を、前記データアクセスコマンドを受け付ける状態に切り替えるモード切替部を具備すること特徴とするアクセス装置。
【請求項20】
前記モード切替部は、
前記データアクセスコマンドの受け付け可否が変化する前記メモリカードに対してのみ前記モード切替コマンドを入力し、前記データアクセスコマンドの受け付け可否が変化しないメモリカードに対しては前記モード切替コマンドを入力しないことを特徴とする請求項19記載のアクセス装置。
【請求項21】
データを記録する不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリに対するデータアクセスコマンドを受け付けない第1の制御部と、前記データアクセスコマンドを受け付ける第2の制御部とを有するメモリカードにおけるメモリカード状態切り替え方法であって、
前記メモリカードにアクセスするアクセス装置からコマンドを受信するステップと、
前記受信したコマンドがモード切替コマンドである場合、前記不揮発性メモリへのアクセス制御を行う制御部を前記第1の制御部から前記第2の制御部に切り替えるステップと、
前記受信したコマンドがモード切替コマンド以外である場合、前記第2の制御部に切り替える前であれば前記第1の制御部に、切り替えた後であれば前記第2の制御部に前記受信したコマンドを送信するステップと、
を具備することを特徴とするメモリカード状態切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−23980(P2006−23980A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201510(P2004−201510)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】