説明

メモリスティックのための収容ユニットならびにメモリスティックのための収容ユニットを備えた電子機器

メモリスティック(2)のコンタクトに適した対抗コンタクトを有する差込装置(6)を備えた、メモリスティック(2)のための収容ユニット(1)が提案される。本発明によれば、差込装置(6)が機械的に調節可能な作動エレメント(7)と連結されているので、差し込まれたメモリスティック(2)の手動による作動によって、作動エレメント(7)における切換運動および/または差込運動を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式のメモリスティックのための収容ユニット、ならびにメモリスティックのための収容ユニットを備えた電子機器に関する。
【0002】
背景技術
メモリスティックは、持ち運び可能で交換可能なデータキャリアであり、データキャリアは、電子素子たとえばトランジスタから成るメモリアレーを備えており、また幾つかの構成ではメモリの読み込みおよび読み取りのためのコントローラを備えている。特に外側構造形式およびコンタクトの配置構造で種々異なる多数のメモリスティックタイプが公知である。たとえばUSBメモリスティック、スマートメディアカード、マルチメディアカードまたはSDメモリカードが挙げられる。
【0003】
そのようなメモリスティックは、たとえばCDのような従来慣用の交換可能なデータキャリアに比べて、とりわけ小さな構成スペースおよび迅速なデータ処理性能に基づいて非常に好ましいものである。
【0004】
原則としてメモリスティックは、離れた計算機のデータ交換のために利用されるか、またはデジタルカメラもしくはたとえばMP3形式で音楽データを聞くための機器に関する個人的な使用形式で利用される。
【0005】
USBメモリスティックは、とりわけ計算機の間のデータ交換で有利である。なぜならば新世代のPCはUSBインタフェイスを備えているからである。USBとはユニバーサル−シリアル−バス(Universal Serial Bus)を表している。
【0006】
発明の課題および利点
本発明の課題は、メモリスティックの用途を拡張することである。
【0007】
この課題は、請求項1および6に記載の特徴を有する装置によって解決される。
【0008】
従属請求項には、本発明の有利な実施形態および改良形が記載されている。
【0009】
本発明は、メモリスティックを物理的に収容するための収容ユニットから出発しており、収容ユニットは差込装置を備えており、差込装置はメモリスティックのコンタクトに適した対抗コンタクトを備えている。本発明の主要点によれば、差込装置が機械的に調節可能で電気的な作動素子と連結されているので、使用されるメモリスティックの手動による作動によって、作動エレメントにおける切換運動および/または調節運動を実施することができる。これについては、特にメモリスティックの差込過程が切換運動または調節運動につながるという認識に基づくものである。このようにしてメモリスティックの使用可能な電子機器の手動による操作は合理化することができる。さらにまた電子機器の操作側に、メモリスティックのための差込スペースに対して追加的に別個の作動素子を設ける必要はない。このことはとりわけ、電子機器のための組付スペースおよび操作可能な可視面で制限されているようなスペース状況で有利である。メモリスティックが気候環境要求および/または形状付与に関して適合されている場合、自動車に使用するのに有利である。特にそのようなメモリスティックは、−40度〜+80度の温度範囲で機能するよう所望されていて、かつ乗員にたとえば衝突時においてメモリスティックでできるだけ怪我しないような形状を有している。形状付与は、たとえば丸み付けられた形状によって実現される。
【0010】
本発明の有利な実施形態によれば、作動エレメントがスイッチまたはキーを備えている。このようにすることによって、メモリスティックを差込装置に挿入することができ、同じ運動経過で、メモリスティックの軸方向の押し込みによって、キーまたはスイッチを作動させることができる。切換位置は、作動エレメントの適当な構成によって調節することができ、触覚的かつ/または聴覚的に使用者によって明確に認識可能である。キーまたはスイッチによって、電子機器に、たとえば電源のスイッチオン−オフ機能を実現することができる。
【0011】
さらにまた特に有利には、作動エレメントが選択的または追加的に増分発信器を備えている。回転発信器として形成された増分発信器によって、たとえば電子機器に、メモリスティックの回動による音量調整を行うことができる。回動運動は、知覚的かつ/または聴覚的に使用者が良好に認識するために、強調することもできる。
【0012】
増分発信器の代わりに電位計を使用することもでき、これによって連続的に所望のパラメータを、メモリスティックの回動または軸方向移動によって調節することができる。
【0013】
さらにまたメモリスティックを簡単かつ確実に差込装置に配置するために、差込装置が挿入補助手段を有するよう提案される。このことは作動エレメントが回動可能である場合に特に有利であるので、このようにしてメモリスティックは、挿入補助手段によって、任意の回動位置でも常に所望の形式で差込可能である。
【0014】
有利には、作動エレメントは、メモリスティックの差込方向でみて、差込装置の後方に位置決めされている。有利には、差込装置は適当な作動エレメントに装着される。
【0015】
本発明による収容装置の利点によれば、特に車載ラジオまたは車載ナビゲーションシステムで使用される。
【0016】
車載ラジオでは、メモリスティックに、とりわけ選局ボタン配置のような使用者の個人データまたは音楽データを格納することができ、個人データまたは音楽データは、車載ラジオに差し込む際に、たとえば車載ラジオをスイッチオンする追加的な短い押し込み運動のあとで、車載ラジオの適当な電子ユニットによって読み取ることができる。たとえば回転増分発信器によって記録される、メモリスティックの回動によって、追加的にたとえば車載ラジオにおける音量は調整することができる。このようにして車載ラジオの操作表面に、ラジオをスイッチオン−オフするため、また音量を調整するための構成要素を省略することができるので、メモリスティックの使用によって追加的なスペースが要求されることはない。
【0017】
さらにメモリスティックは盗難防止装置として使用することができ、メモリスティックに、たとえば車載ラジオにメモリスティックを差し込んだあとで車載ラジオを作動させるために車載ラジオに伝達する必要のあるコードが格納されている。
【0018】
車載ナビゲーションシステムにメモリスティックを使用する場合、特にたとえば外部の計算機に、予め計画されたルートのデータ伝達または走行したルートの逆伝達を行うことができる。このような利点は、本発明による作動エレメントとメモリスティックとの組み合わせとは無関係に提供される。作動エレメントに関して、特に前述のスペース的利点もしくは操作上の利点が得られる。
【0019】
実施例の説明
次に本発明の実施例を図示し、詳しく説明する。
【0020】
図1aには、たとえば図1bに示したUSBメモリスティック2のための収容ユニット1を示した。USBメモリスティックは、公知のUSBインタフェイスに適合するUSB差込ジャックを備えている。
【0021】
図1bに示したメモリスティックは、たとえば32MBの記憶容量を有するメモリを備えており、メモリはフラッシュメモリの原理に基づいて作動する。例示したメモリスティック2は、4ピン型の差込ジャック4を有する基体3を備えており、基体3は64mmの長さ、8mmの高さおよび18mmの幅を有している。
【0022】
収容ユニット1の差込装置6は挿入補助手段5を備えており、挿入補助手段5は、挿入しようとするメモリスティックが確実に差込ジャック6aに到達するように形成されており、差込ジャック6aは、本実施例では、有利にはUSBメモリスティック2のUSB差込ジャック4に対する対抗受け部材として形成されている。差込装置6は作動エレメント7に装着されており、作動エレメント7は、たとえば電気的な切換機能(スイッチ機能またはキー機能)を有していて、かつ有利には追加的に回転増分発信器の機能を有している。メモリスティックが差込装置6に差し込まれると、差し込まれたメモリスティック、たとえば本実施例ではUSBメモリスティック2を介して作動エレメントが作動される。
【0023】
メモリスティックの長手軸線を中心とする回動によって、回転増分発信器は調節することができ、これによってたとえば車載ラジオ8では音量変化が行われる。メモリスティックを押し付けることによって、メモリスティックは長手軸線に沿った直線移動を行うので、たとえば切換機能を行うことができる。このためにスイッチまたはキーを使用することができる。切換機能によって、有利には収容ユニット1を備えた電子機器、たとえば車載ラジオはスイッチオン−オフされる。
【0024】
回転発信器として適した多数の実施例が存在する。
【0025】
図2には、考えられる実施例の摺動接点配置構造を示した。
【0026】
そのような実施例では5つの摺動子が設けられており(図示せず)、摺動子は同軸的に配置された複数の円環接点9a〜9eに沿って回転軸線を中心に回動することによって移動することができる。この場合4つの円環接点9b〜9eは完全な円であり、これによって4ピン型のUSBジャックの信号を、回転発信器を介して案内することができる。これに対して外側に位置する円環接点9aは、幾度か中断されており、これによって摺動接点の通過時に増分発信器機能を実現することができる。円環接点9a〜9eは、適当な基体10(図2において概略的に四角形で示した)に配置されている。
【0027】
図2には、プッシュロッドエレメントを通過案内するための、たとえば中央の円環接点9eを通る開口は図示していない。プッシュロッドエレメントは適当なスイッチエレメントまたはキーエレメントと協働する。
【0028】
図3には、部分的に開放した車載ラジオの平面図で、概略的に示した2つの矩形11,12によって、USBメモリスティック2を備えた収容ユニット1の配置構造を示唆した。メモリスティック2は、車載ラジオの正面13における、通常車載ラジオをスイッチオン−オフするため、もしくは音量を調節するための操作エレメントが占める位置に装着される。そのような操作エレメントは、完全にメモリスティック2を備えた収容ユニット1によって代用することができる。
【0029】
これによって、メモリスティックのために、車載ラジオの操作面13に特別なスペースを提供する必要がない、という利点がもたらされる。
【0030】
メモリスティックに使用者個人のデータを記憶させることができ、個人データは、差込およびラジオのスイッチオンに際して、車載ラジオの適当な電子領域へのメモリスティックの押付運動によって読み取られ、これによってたとえば所望の選局ボタン配置を受け取るか、またはメモリスティックに貯蔵された音楽データを再生することができる。
【0031】
車載ラジオから離れる際に、メモリスティックが引き抜かれると有利であり、これによって車載ラジオはもはや機能しなくなる。メモリスティックに記憶されたコードによって、簡単な形式で盗難防止を実現することができる。
【0032】
図4には、図1bに示したメモリスティック2のための、図1aに示した収容ユニット1を備えた車載ラジオのブロック図を示した。
【0033】
矩形40および矩形41は、たとえばUSBジャック、回転発信器およびキーを備えた収容ユニット1もしくはUSBメモリ2を示唆した。さらに車載ラジオはCDプレーヤ42を備えており、CDプレーヤ42にCD43が挿入可能である。したがって交換可能なデータメモリとしてCD43およびUSBメモリスティック41を使用することができる。
【0034】
MP3フォーマットでUSBメモリまたはCDに格納された音楽データを再生するために、車載ラジオはMP3デコーダ44を備えている。収容ユニット40を介してUSBメモリ41からデータを読み取るために、USBコントローラ45が必要である。データ流れは、電子機器コントローラ46を介して制御され、電子機器コントローラ46は操作ボタン47と接続されている。MP3デコーダ44もしくはCDプレーヤ42から、または直接的にUSBメモリ41から、データは、デジタル信号プロセッサ48に案内することができる。デジタル信号プロセッサ48の出力に低周波増幅器49が設けられており、これによってスピーカ50で再生するためのデジタル信号プロセッサのアナログ出力信号を増幅することができる。
【0035】
車載ラジオを操作するために、収容ユニット40およびボタン47を利用することができ、収容ユニット40およびボタン47は命令処理のために電子機器コントローラ46と接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】差込装置および作動エレメントを備えた収容ユニットの構造を概略的に示す立体図である。
【図1b】図1aに示した収容ユニットに適合した従来慣用のUSBメモリスティックを示す立体図である。
【図2】図1aに示した収容ユニットの作動エレメントにおける摺動接点のための接点配置構造を概略的に示す平面図である。
【図3】図1aに示した収容ユニットの配置構造と共に部分的に開放した車載ラジオを示す平面図である。
【図4】車載ラジオの構造を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1 収容ユニット、 2 USBメモリスティック、 3 基体、 4 差込ジャック、 5 挿入補助手段、 6 差込装置、 6a 差込ジャック、 7 作動エレメント、 8 車載ラジオ、 9a〜9e 円環接点、 10 基体、 11 収容ユニット、 12 メモリスティック、 13 正面、 40 収容ユニット、 41 USBメモリ、 42 CDプレーヤ、 43 CD、 44 MP3デコーダ、 45 USBコントローラ、 46 電子機器コントローラ、 47 操作ボタン、 48 デジタル信号プロセッサ、 49 低周波増幅器、 50 スピーカ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリスティック(2)のための収容ユニットであって、
該収容ユニットが、差込装置(6)を備えており、
該差込装置(6)が、メモリスティック(2)のコンタクトに適した対抗コンタクトを備えている形式のものにおいて、
差込装置(6)が、機械的に調節可能で電気的な作動エレメント(7)と連結されており、挿入されたメモリスティック(2)の手動による作動によって、作動エレメント(7)における切換運動および/または調節運動が行われるようになっていることを特徴とする、メモリスティックのための収容ユニット。
【請求項2】
作動エレメント(7)が、スイッチまたはキーを備えている、請求項1記載の収容ユニット。
【請求項3】
作動エレメント(7)が、増分発信器を備えている、請求項1または2記載の収容ユニット。
【請求項4】
差込装置(6)が、挿入補助手段(5)を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載の収容ユニット。
【請求項5】
作動エレメント(7)が、メモリスティック(2)の差込方向でみて、差込装置(6)の後方に位置する、請求項1から4までのいずれか1項記載の収容ユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の収容ユニット(1)を備えた電子機器(8)。
【請求項7】
車載ラジオまたは車載ナビゲーションシステムを備えている、請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
メモリスティック(2)に格納された使用者個人データを読み取るための電子ユニットが設けられている、請求項6または7記載の電子機器。
【請求項9】
メモリスティック(2)を盗難防止装置として使用するための装置が設けられている、請求項6から8までのいずれか1項記載の電子機器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−514054(P2009−514054A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518234(P2006−518234)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050012
【国際公開番号】WO2005/076145
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】