メモリーカード加工装置
【課題】メモリーカードの挿入側端部の表裏に効率良く面取り加工を施すようにする。
【解決手段】挿入側端部20cを露出させて固定治具100の挿入孔111a、111bにメモリーカードを挿入して起立状態とし、挿入側端部20cに面取り成形ブレードを接触させて切削を行うことにより、挿入側端部を効率良く面取りする。
【解決手段】挿入側端部20cを露出させて固定治具100の挿入孔111a、111bにメモリーカードを挿入して起立状態とし、挿入側端部20cに面取り成形ブレードを接触させて切削を行うことにより、挿入側端部を効率良く面取りする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードを製造する際に用いるメモリーカード加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器のカードスロットに挿入して使用されるSDカード(登録商標)、miniSD(登録商標)等のメモリーカードは、配線基板に複数のメモリー素子が実装され、モールド樹脂によって被覆されて形成されている(例えば特許文献1参照)。かかるメモリーカードは、1枚の配線基板にメモリー素子が格子状に実装され全体がモールド樹脂によって被覆されてパッケージ基板が形成された後に、パッケージ基板のメモリー素子間の領域を切削等して分離させることにより形成される。また、メモリーカードの形状は規格化されており、メモリーカードがカードスロットに挿入された際にカードスロットの側壁と対面する側部には、挿入の際の表裏及び前後方向の認識を可能とするための異形部が形成される。また、異形部が形成されない角部には面取り加工が施される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−44804号公報
【0004】
しかし、パッケージ基板を切削等により分割した段階では、異形部及び面取り部が形成されていないため、個々のメモリーカードごとにレーザー加工、ルーター加工等により異形部及び面取り部を形成しなければならず、生産性が低いという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、パッケージ基板が分割されて矩形に形成された状態のメモリーカードの側部を総型ブレードで研削して効率良く異形部を形成すると共に面取り加工を施す技術を開発し、特許出願した(特願2006−22160)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メモリーカードがカードスロットに挿入される際に最初に挿入される方の辺である挿入側端部の表裏にも面取り加工を施す必要があり、かかる面取り加工を施す際には、メモリーカードを固定し、挿入側端部の表側を円錐台形状の研削砥石によって面取り加工し、その後メモリーカードの表裏を反転させてから挿入側端部の裏側を円錐台形状の研削砥石によって面取り加工しなければならないため、生産性が低いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、メモリーカードの挿入側端部の表裏に効率良く面取り加工を施すようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、メモリーカードの挿入側端部を面取り加工するメモリーカード加工装置に関するもので、メモリーカードの挿入側端部を露出させてメモリーカードを起立状態で支持する固定治具と、固定治具を保持する保持手段と、挿入側端部に作用して面取り加工を施す回転可能な面取り成形ブレードを備えた切削手段と、保持手段と切削手段とを挿入側端部の長手方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、保持手段と切削手段とを挿入側端部の長手方向に直交する方向に割り出し送りして面取り成形ブレードと挿入側端部とを位置合わせする割り出し送り手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0009】
固定治具は、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されているものと、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されているものとがある。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、固定治具において挿入側端部を露出させた状態でメモリーカードを保持し、保持手段によって固定治具を保持した状態で、メモリーカードの挿入側端部に面取り成形ブレードを作用させて面取りを行うことができるため、挿入側端部を効率良く面取りすることができ、生産性が向上する。
【0011】
また、固定治具に、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されていることにより、一度の切削ストロークで複数のメモリーカードの挿入側端部を面取りすることができる。
【0012】
更に、固定治具に、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを固定する固定部が形成されていることにより、メモリーカードの側部を成形することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示す固定治具1は、加工対象のメモリーカードを保持する治具であり、メモリーカードがカードスロットに挿入された際にカードスロットの側壁と対面する側部の成形時に用いるものである。固定治具1は、治具本体2と、ステンレス等の硬質材料によって形成され治具本体2に収容される第一の固定部3及び第二の固定部4と、治具本体2に収容される硬質ウレタン等の弾性材料からなる緩衝部材5と、治具本体2に取り付けられる第一の支持部材6及び第二の支持部材7と、第一の支持部材6及び第二の支持部材7を固定するネジ8と、治具本体1に収容されるバネ9とを有している。
【0014】
治具本体2は、メモリーカード加工装置に着脱自在に保持される表面側の被保持部10a及び裏面側の被保持部10bと、メモリーカードが挿入される個々のメモリーカード挿入孔11が一列に整列して形成された第一の挿入孔列11aと、第一の挿入孔列11aに平行に併設されメモリーカードが挿入されるメモリーカード挿入孔11が一列に整列して形成された第二の挿入孔列11bと、第一の固定部3及び第二の固定部4が収容される第一の固定部収容孔12及び第二の固定部収容孔13と、緩衝部材5が収容される緩衝部材収容孔14と、バネ9を収容するバネ収容部15と、ネジ8を螺合させるネジ穴16とを備えている。また、治具本体2の表面及び裏面には、第一の固定部3及び第二の固定部4をスライドさせるための開閉長孔17と、固定治具1をメモリーカード加工装置に固定する際の位置合わせ用の位置決め穴18とが複数形成されている。更に、第一の支持部材6及び第二の支持部材7には、ネジ8を貫通させるための貫通孔19が複数形成されている。固定治具1は、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bの整列方向(図示の例では長手方向)の中間の対称軸2aを基準として対称に形成されている。
【0015】
第一の固定部3及び第二の固定部4においては、緩衝部材5の方に向く側面に硬質ウレタン等の弾性部材3a、4aがそれぞれ固着されており、表裏を貫通する係合孔3b、4bがそれぞれ形成されている。
【0016】
図2に示すように、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bを構成する個々のメモリーカード挿入孔11には、成形前のメモリーカード20が挿入される。メモリーカード20は、カードスロットに挿入される側の挿入側端部20cと、挿入側端部20cに直交する2つの第一の側部20a及び第二の側部20bとを有している。
【0017】
図示の例では、個々のメモリーカード挿入孔11は、メモリーカード20を2つの向きに挿入できる形状となっており、第一の挿入孔列11aと第二の挿入孔列11bとでは、挿入されるメモリーカード20の向きが異なっている。図示の例では、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20は第一の側部20aが上方に露出するように挿入され、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20は第二の側部20bが上方に露出するように挿入されている。なお、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20を第二の側部20bが上方に露出するようにすると共に、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20を第一の側部20aが上方に露出するようにしてもよい。
【0018】
また、個々のメモリーカード挿入孔11にメモリーカード20が挿入された状態では、側部20aまたは側部20bの長手方向、すなわち挿入側端部20cの長手方向に直交する方向に複数のメモリーカード20が整列した状態となっている。
【0019】
一方、メモリーカード挿入孔11は表裏面を貫通しているため、第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は第二の側部20bが固定治具1の裏面から露出し、第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は第一の側部20bが固定治具1の裏面から露出する。
【0020】
第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材5と第一の固定部3との間に入り込み、第二の挿入孔列11bに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材5と第二の固定部材4との間に入り込む。メモリーカード20は、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図1に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図3に示すように、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材5と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材5と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態となる。こうして、第一の固定部3、第二の固定部4及び緩衝部材500は、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部として機能する。
【0021】
一方、図4に示す固定治具100は、図2に示した挿入側端部20cの面取り時にメモリーカード20を保持する治具であり、図1に示した固定治具1の治具本体2における第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bに代えて、治具本体200に第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bを備えている。この第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bは、図示の例では治具本体200の長手方向に長尺な一連の孔であり、図5に示すように、1つの孔に複数のメモリーカード20を連続して収容することができる。また、図1に示した緩衝部材5に代えて、緩衝部材5よりも幅の広い緩衝部材500を備えている。この幅の相違は、メモリーカード20の挿入方向の違いに起因するものである。また、これに対応して、緩衝部材収容孔140も、図1に示した固定治具1の緩衝部材収容孔14より幅が広く形成されている。なお、第一の挿入孔111a、第二の挿入孔111b及び緩衝部材500以外の部位については、図1に示した固定治具1と同様に構成されるため、同様に構成される部位については同一の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0022】
図5に示すように、メモリーカード20は、挿入側端部20cが露出するように起立状態で第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入される。そして、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20は、緩衝部材500と第一の固定部3との間に入り込み、第二の挿入孔111bに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材500と第二の固定部材4との間に入り込む。
【0023】
メモリーカード20は、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図4に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図6に示すように、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態で支持される。
【0024】
図1〜図6に示したようにして複数のメモリーカード20が挿入された固定治具1、100は、例えば図7に示すメモリーカード加工装置30におけるメモリーカードの成形に用いられる。このメモリーカード加工装置30は、メモリーカード20の側部20a、20b及び挿入側端部20cを成形する切削手段31と、固定治具1、100を保持してX軸方向に移動可能な移動テーブル32とを備えている。
【0025】
移動テーブル32は、X軸方向に移動可能であるとともに回転可能となっており、図8に示すように、固定治具1または固定治具100を保持できる着脱自在な保持手段320を備えている。保持手段320は、X軸方向に移動可能であり、例えば多孔質の吸引部321を有しており、吸引部321は移動テーブル32の下方に設けられた図示しない吸引源と連通している。また、保持手段320の上面には、載置される固定治具1、100に形成された位置決め穴18(図1及び図4参照)に対応する位置決め突起322が形成されており、位置決め突起322に位置決め穴18を嵌合させた状態で、保持手段320に固定治具1、100が載置され、吸引部321によって吸引されて保持される。
【0026】
図7の例では、切削手段31は、メモリーカード20の第一の側部20aを切削して成形する第一の成形ブレード333及び挿入側端部20cを切削して成形する第三の成形ブレード335を備えた第一の切削手段33と、メモリーカード20の第二の側部20bを切削して成形する第二の成形ブレード343を備えた第二の切削手段34とから構成される。
【0027】
図7に示すように、第一の切削手段33では、第一のハウジング330によって第一のスピンドル331が回転可能に支持されている。図9に示すように、第一の成形ブレード333は、円筒上のホイール333aの外周に電着等によって第一の砥石部333bが固着されて構成され、ホイール333aが第一のスピンドル331に挿入され、フランジ332とナット334とで挟持され固定されている。一方、第三の成形ブレード335は、円筒上のホイール335aの外周に電着等によって第三の砥石部335bが固着されて構成され、ホイール335aが第一のスピンドル331に挿入され、フランジ336、337によって挟持され固定されている。第一の砥石部333b及び第三の砥石部335bは、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒をニッケルめっき等で固定して構成される。第一の砥石部333aは、メモリーカード20の第一の側部20aの所望の形状に対応する側面形状を有している。一方、第三の砥石部335bは、メモリーカード20の挿入側端部20cの所望の面取り形状に対応する側面形状を有する面取り成形ブレードである。
【0028】
図7に示すように、第二の切削手段34では、第二のハウジング340によって第二のスピンドル341が回転可能に支持されている。図10に示すように、第二の成形ブレード343は、円筒上のホイール343aの外周に電着等によって第二の砥石部343bが固着されて構成され、ホイール343aが第二のスピンドル341に挿入され、フランジ342とナット344とで挟持され固定されている。第二の砥石部343bは、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒をニッケルめっき等で固定して構成され、メモリーカード20の第二の側部20bの所望の形状に対応する側面形状を有している。
【0029】
保持手段320は、図11に示す加工送り手段36によって駆動されてX軸方向に加工送りされる。加工送り手段36は、X軸方向に配設されたボールネジ360と、ボールネジ360と平行に配設された一対のガイドレール361と、ボールネジ360の一端に連結されボールネジ360を回動させるモータ362とを備えている。移動テーブル32は、その内部のナットがボールネジ360に螺合すると共に下部がガイドレール361に摺接しており、モータ362に駆動されてボールネジ360が回動するのに伴い移動テーブル32がガイドレール361にガイドされてX軸方向に移動し、保持手段320も同方向に移動する構成となっている。保持手段320に固定治具100が保持された際における保持手段320の移動方向は、固定治具100の第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20の挿入側端部20cの長手方向となる。
【0030】
図11に示すように、第一の切削手段33は、割り出し送り手段37によって駆動されてY軸方向に割り出し送りされる。割り出し送り手段37は、Y軸方向に配設されたボールネジ370と、ボールネジ370の一端に連結されボールネジ370を回動させるパルスモータ371と、ボールネジ370と平行に配設された一対のガイドレール372とを備え、ボールネジ370には移動基台373の内部のナットが螺合し、移動基台373の下部はガイドレール372に摺接しており、パルスモータ371に駆動されてボールネジ370が回動するのに伴い、移動基台373がガイドレール372にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。なお、第二の切削手段34も、同様に構成される割り出し送り手段によってY軸方向に移動する構成となっているが、図示及び説明は省略する。
【0031】
移動基台373の側面には、第一の切削手段33をZ軸方向に切り込み送りする切り込み送り手段38が設けられている。切り込み送り手段38は、Z軸方向(切り込み方向)に配設されたボールネジ380と、ボールネジ380の一端に連結されたパルスモータ381と、ボールネジ380と平行に配設された一対のガイドレール382とを備え、ボールネジ380には、第一の切削手段33を支持する支持部383の内部のナットが螺合し、支持部383の側部がガイドレール382に摺接しており、パルスモータ381に駆動されてボールネジ380が回動するのに伴い、支持部383がガイドレール382にガイドされてZ軸方向に移動し、第一の切削手段33も同方向に移動する構成となっている。なお、第二の切削手段34も、同様に構成される切り込み送り手段によってZ軸方向に移動する構成となっているが、図示及び説明は省略する。
【0032】
メモリーカード20は、最終的には第一の側部20aと第二の側部20bの形状が異なる非対称形に成形されるため、図9及び図10に示した第一の砥石部333bと第二の砥石部343bとは、その側面形状が異なる。また、メモリーカード20の挿入側端部20cも、第一の側部20a及び第二の側部20bと異なる形状に形成されるため、第三の砥石部の側面形状も、第一の砥石部333b及び第二の砥石部343bと異なる。
【0033】
図7に示すように、移動テーブル32の移動経路の上方には、アライメント手段35が配設されている。アライメント手段35は、撮像部350を備えており、固定治具1、100を撮像してその特定の領域を検出することにより、移動テーブル32に保持された固定治具1、100の角度調整や、第一の切削手段33及び第二の切削手段34のY軸方向の位置決めを行い、固定治具1、100に固定されたメモリーカード20との関係における位置合わせをする。
【0034】
メモリーカード20の側部を所望の形状に成形する際には、図2及び図3に示したように、第一の挿入孔列11aを構成する各メモリーカード挿入孔11には、第一の側部20aが固定治具1の表面側から露出した状態でメモリーカード20が挿入される。このとき、第二の側部20bは、固定治具1の裏面側から露出する。一方、第二の挿入孔列11bを構成する各メモリーカード挿入孔11には、第二の側部20bが固定治具1の表面側から露出した状態でメモリーカード20が挿入され、第一の側部20aは、固定治具1の裏面側から露出する。
【0035】
そして、固定治具1の被保持部10b側が移動テーブル32の保持手段320に保持され、移動テーブル32を図7に示したX軸方向に移動させて、アライメント手段35の直下に移動させ、保持手段320の角度の微調整や、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20と第一の成形ブレード333とのY軸方向の位置合わせ及び第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20と第二の成形ブレード343とのY軸方向の位置合わせが行われる。すなわち、図12に示すように、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に保持されたメモリーカード20の移動経路の直上に第一の成形ブレード333を位置させると共に、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に保持されたメモリーカード20の移動経路の直上に第二の成形ブレード343を位置させる。
【0036】
その後、移動テーブル32が、図7に示した+X方向に移動すると共に、第一の成形ブレード333及び第二の成形ブレード343が高速回転しながら第一の切削手段33及び第二の切削手段34が下降し、図13に示すように、第一の成形ブレード333は、第一の挿入孔列11aに固定され上方に露出した複数のメモリーカード20の第一の側部20aに接触し、第二の成形ブレード343は、第二の挿入孔列11bに固定され上方に露出した複数のメモリーカード20の第二の側部20bに接触する。そうすると、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20の第一の側部20aには、第一の砥石部333bの形状が転写され、第一の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20の第二の側部20bには、第二の砥石部343bの形状が転写される。
【0037】
次に、図8に示した保持手段320から固定治具1を取り外し、第一の挿入孔列11aと第二の挿入孔列11bの整列方向の中間の対称軸2aを基準として固定治具1の表裏を反転させてから、固定治具1の被保持部10a側を保持手段320に保持させる。このとき、図14に示すように、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20については第二の側部20bが上方に露出し、第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20については第一の側部20aが上方に露出した状態となる。また、固定治具1は、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bの整列方向の中間を基準として対称に形成されているため、裏返すことにより、第一の成形ブレード333の下方に第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20が位置し、第二の成形ブレード343の下方に第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20が位置する。したがって、第一の成形ブレード333及び第二の成形ブレード343のY軸方向の位置を変更する必要がない。
【0038】
そしてその状態で、図14に示すように、第一の挿入孔列11aに保持されたメモリーカード20については第二の側部20bに第二の成形ブレード343を接触させ、第二の挿入孔列11bに保持されたメモリーカード20については第一の側部20aに第一の成形ブレード333を接触させる。そうすると、メモリーカード20の第二の側部20bには第二の砥石部343bの形状が転写され、メモリーカード20の第一の側部20aには第一の砥石部333bの形状が転写される。なお、固定治具1が精密に形成されていれば、保持手段320の向きの微調整は必ずしも必要とされない。
【0039】
このようにして、すべてのメモリーカード20aについて、第一の側部20a及び第二の側部20bに第一の砥石部333b及び第二の砥石部343bの形状が転写され、図15に示す形状のメモリーカード21となる。このメモリーカード21においては、4つの角が面取りされており、そのうちの2つの面取り部210、211は、第一の砥石部333bの形状が転写されて形成されたものである。一方、残りの2つの面取り部212、213は、第二の砥石部343bの形状が転写されて形成されたものである。また、第二の側部20bには異形部214が形成されており、この異形部214は、第二の砥石部343bの形状が転写されて形成されたものである。
【0040】
次に、メモリーカードの挿入側端部20cの面取りを行うために、図15に示したように4つの角が面取りされ異形部214が形成された複数のメモリーカード21を、図4に示した固定治具100の第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入する。第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bには、これらの挿入孔の長手方向とメモリーカード21の挿入側端部20cの長手方向とが同方向となるように、かつ、図16に示すように、挿入側端部20cが上方に露出して起立した状態となるようにメモリーカード21を挿入する。その際、固定治具1の場合と同様に、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図4に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔列111a及び第二の挿入孔列111bにメモリーカード20が挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図6に示したように、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔列111に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態となる。この状態では、第一の固定部3、第二の固定部4及び緩衝部材500は、メモリーカード20の挿入側端部20cの長手方向に複数のメモリーカード20を整列させて固定する固定部として機能する。
【0041】
次に、図16に示すように、その固定治具100を保持手段320において保持し、第三の成形ブレード335を第一の挿入孔111aまたは第二の挿入孔111bのいずれかに挿入されたメモリーカード21の直上に位置付ける。そして、図17に示すように、保持手段320を図7に示したX軸方向に移動させると共に、第一のスピンドル331を高速回転させながら第一の切削手段33を下降させて、高速回転する第三の成形ブレード335をメモリーカード21の挿入側端部20cに接触させて、挿入側端部20cを切削する。そうすると、第三の砥石部335bの形状が挿入側端部20cに転写され、図18に示すように、挿入側端部20cが一様に面取りされ、面取り部220、221が形成されたメモリーカード22が形成される。
【0042】
次に、第一の切削手段33を+Y方向に割り出し送りすることにより、第三の成形ブレード335を第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20の直上に位置させ、その状態で保持手段320をX軸方向に移動させると共に、第一のスピンドル331を高速回転させながら第一の切削手段33を下降させて、図19に示すように、挿入側端部20cを切削する。そうすると、第三の砥石部335bの形状が挿入側端部20cに転写され、図20に示すように、挿入側端部20cの角部が面取りされたメモリーカード22が形成される。
【0043】
挿入側端部20cの面取り成形時には、挿入側端部20cの長手方向と加工送りの方向とが一致しているため、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入されたすべてのメモリーカードの挿入側端部20cを1回のストロークで切削することができ、効率的である。
【0044】
第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカードの挿入側端部20cを切削する際には、第一の切削手段33を割り出し送りする代わりに、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bの長手方向の中間の対称軸200a(図4参照)を基準として反転させて保持手段320において保持し、第三の成形ブレード335の直下に第二の挿入孔111bに挿入された面取り前のメモリーカードを位置させるようにしてもよい。
【0045】
なお、上記の例では、固定治具100を保持した保持手段32をX軸方向(メモリーカードの挿入側端部の長手方向)に移動させると共に、第三の成形ブレード335をY軸方向(当該挿入側端部の長手方向に直交する方向)に移動させて切削することとしたが、保持手段320がX軸方向に移動せずに第三の成形ブレード335がX軸方向に移動するように構成してもよいし、保持手段320がY軸方向に移動し第三の成形ブレード335がY軸方向に移動しないように構成してもよい。すなわち、保持手段320と各切削手段とは、相対的にX軸方向及びY軸方向に位置関係を変化させることができる関係であればよい。
【0046】
また、上記の例では、第一の成形ブレード333と第三の成形ブレード335とを共通のスピンドルに装着することとしたが、第三の成形ブレード335を第二のスピンドル341に装着するように構成することもできるし、第三の成形ブレード335を第一のスピンドル331及び第二のスピンドル341とは別の専用のスピンドルに装着するように構成してもよい。更に、第三の成形ブレード335を複数備えるようにしてもよい。
【0047】
以上のようにして、固定治具100における第一の挿入孔111aと第二の挿入孔111bとでメモリーカード20を保持し、それぞれの挿入側端部20cを第三の成形ブレード335することにより、メモリーカード20の挿入側端部20cを効率良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】固定治具の第一の例を示す分解斜視図である。
【図2】第一の例の固定治具にメモリーカードを挿入する状態を示す斜視図である。
【図3】第一の例の固定治具にメモリーカードが挿入された状態を示す断面図である。
【図4】固定治具の第二の例を示す分解斜視図である。
【図5】第二の例の固定治具にメモリーカードを挿入する状態を示す斜視図である。
【図6】第二の例の固定治具にメモリーカードが挿入された状態を示す断面図である。
【図7】メモリーカード加工装置の一例を示す斜視図である。
【図8】保持手段及び固定治具を示す斜視図である。
【図9】第一の成形ブレード及び第三の成形ブレードを示す断面図である。
【図10】第二の成形ブレードを示す断面図である。
【図11】加工送り手段、割り出し送り手段及び切り込み送り手段を略示的に示す背面図である。
【図12】第一の成形ブレード及び第二の成形ブレードをメモリーカードに位置合わせした状態を示す正面図である。
【図13】メモリーカードの側部に異形部及び面取り部を形成する状態を示す正面図である。
【図14】メモリーカードの側部に異形部及び面取り部を形成する状態を示す正面図である。
【図15】側部に異形部及び面取り部が形成されたメモリーカードを示す正面図である。
【図16】第三の成形ブレードをメモリーカードに位置合わせした状態を示す正面図である。
【図17】メモリーカードの挿入側端部を面取りする状態を示す正面図である。
【図18】挿入側端部が面取りされたメモリーカードを示す側面図である。
【図19】メモリーカードの挿入側端部を面取りする状態を示す正面図である。
【図20】挿入側端部が面取りされたメモリーカードを示す側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1、100:固定治具
2、200:治具本体 2a、200a:対称軸
3:第一の固定部 4:第二の固定部 5、500:緩衝部材
6:第一の支持部材 7:第二の支持部材 8:ネジ 9:バネ
10a、10b:被保持部 11:メモリーカード挿入孔
11a:第一の挿入孔列 11b:第二の挿入孔列
111a:第一の挿入孔 111b:第二の挿入孔
12:第一の固定部収容孔 13:第二の固定部収容孔 14、140:緩衝部材収容孔
15:バネ収容部 16:ネジ穴 17:開閉長孔 18:位置決め穴 19:貫通孔
20、21、22:メモリーカード
20a:第一の側部 20b:第二の側部 20c:挿入側端部
210〜213:面取り部 214:異形部
220、221:面取り部
30:メモリーカード加工装置
31:切削手段 32:移動テーブル
320:保持部 321:吸引部 322:位置決め突起
33:第一の切削手段
330:第一のハウジング 331:第一のスピンドル 332:フランジ
333:第一の成形ブレード 334:ナット
335:第三の成形ブレード 336、337:フランジ
34:第二の切削手段
340:第二のハウジング 341:第二のスピンドル 342:フランジ
343:第二の成形ブレード 344:ナット
35:アライメント手段 350:撮像部
36:加工送り手段
360:ボールネジ 361:ガイドレール 362:モータ
37:割り出し送り手段
370:ボールネジ 371:パルスモータ 372:ガイドレール 373:移動基台
38:切り込み送り手段
380:ボールネジ 381:パルスモータ 382:ガイドレール 383:支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリーカードを製造する際に用いるメモリーカード加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器のカードスロットに挿入して使用されるSDカード(登録商標)、miniSD(登録商標)等のメモリーカードは、配線基板に複数のメモリー素子が実装され、モールド樹脂によって被覆されて形成されている(例えば特許文献1参照)。かかるメモリーカードは、1枚の配線基板にメモリー素子が格子状に実装され全体がモールド樹脂によって被覆されてパッケージ基板が形成された後に、パッケージ基板のメモリー素子間の領域を切削等して分離させることにより形成される。また、メモリーカードの形状は規格化されており、メモリーカードがカードスロットに挿入された際にカードスロットの側壁と対面する側部には、挿入の際の表裏及び前後方向の認識を可能とするための異形部が形成される。また、異形部が形成されない角部には面取り加工が施される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−44804号公報
【0004】
しかし、パッケージ基板を切削等により分割した段階では、異形部及び面取り部が形成されていないため、個々のメモリーカードごとにレーザー加工、ルーター加工等により異形部及び面取り部を形成しなければならず、生産性が低いという問題がある。
【0005】
そこで、本出願人は、パッケージ基板が分割されて矩形に形成された状態のメモリーカードの側部を総型ブレードで研削して効率良く異形部を形成すると共に面取り加工を施す技術を開発し、特許出願した(特願2006−22160)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メモリーカードがカードスロットに挿入される際に最初に挿入される方の辺である挿入側端部の表裏にも面取り加工を施す必要があり、かかる面取り加工を施す際には、メモリーカードを固定し、挿入側端部の表側を円錐台形状の研削砥石によって面取り加工し、その後メモリーカードの表裏を反転させてから挿入側端部の裏側を円錐台形状の研削砥石によって面取り加工しなければならないため、生産性が低いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、メモリーカードの挿入側端部の表裏に効率良く面取り加工を施すようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、メモリーカードの挿入側端部を面取り加工するメモリーカード加工装置に関するもので、メモリーカードの挿入側端部を露出させてメモリーカードを起立状態で支持する固定治具と、固定治具を保持する保持手段と、挿入側端部に作用して面取り加工を施す回転可能な面取り成形ブレードを備えた切削手段と、保持手段と切削手段とを挿入側端部の長手方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、保持手段と切削手段とを挿入側端部の長手方向に直交する方向に割り出し送りして面取り成形ブレードと挿入側端部とを位置合わせする割り出し送り手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
【0009】
固定治具は、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されているものと、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されているものとがある。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、固定治具において挿入側端部を露出させた状態でメモリーカードを保持し、保持手段によって固定治具を保持した状態で、メモリーカードの挿入側端部に面取り成形ブレードを作用させて面取りを行うことができるため、挿入側端部を効率良く面取りすることができ、生産性が向上する。
【0011】
また、固定治具に、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されていることにより、一度の切削ストロークで複数のメモリーカードの挿入側端部を面取りすることができる。
【0012】
更に、固定治具に、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを固定する固定部が形成されていることにより、メモリーカードの側部を成形することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示す固定治具1は、加工対象のメモリーカードを保持する治具であり、メモリーカードがカードスロットに挿入された際にカードスロットの側壁と対面する側部の成形時に用いるものである。固定治具1は、治具本体2と、ステンレス等の硬質材料によって形成され治具本体2に収容される第一の固定部3及び第二の固定部4と、治具本体2に収容される硬質ウレタン等の弾性材料からなる緩衝部材5と、治具本体2に取り付けられる第一の支持部材6及び第二の支持部材7と、第一の支持部材6及び第二の支持部材7を固定するネジ8と、治具本体1に収容されるバネ9とを有している。
【0014】
治具本体2は、メモリーカード加工装置に着脱自在に保持される表面側の被保持部10a及び裏面側の被保持部10bと、メモリーカードが挿入される個々のメモリーカード挿入孔11が一列に整列して形成された第一の挿入孔列11aと、第一の挿入孔列11aに平行に併設されメモリーカードが挿入されるメモリーカード挿入孔11が一列に整列して形成された第二の挿入孔列11bと、第一の固定部3及び第二の固定部4が収容される第一の固定部収容孔12及び第二の固定部収容孔13と、緩衝部材5が収容される緩衝部材収容孔14と、バネ9を収容するバネ収容部15と、ネジ8を螺合させるネジ穴16とを備えている。また、治具本体2の表面及び裏面には、第一の固定部3及び第二の固定部4をスライドさせるための開閉長孔17と、固定治具1をメモリーカード加工装置に固定する際の位置合わせ用の位置決め穴18とが複数形成されている。更に、第一の支持部材6及び第二の支持部材7には、ネジ8を貫通させるための貫通孔19が複数形成されている。固定治具1は、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bの整列方向(図示の例では長手方向)の中間の対称軸2aを基準として対称に形成されている。
【0015】
第一の固定部3及び第二の固定部4においては、緩衝部材5の方に向く側面に硬質ウレタン等の弾性部材3a、4aがそれぞれ固着されており、表裏を貫通する係合孔3b、4bがそれぞれ形成されている。
【0016】
図2に示すように、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bを構成する個々のメモリーカード挿入孔11には、成形前のメモリーカード20が挿入される。メモリーカード20は、カードスロットに挿入される側の挿入側端部20cと、挿入側端部20cに直交する2つの第一の側部20a及び第二の側部20bとを有している。
【0017】
図示の例では、個々のメモリーカード挿入孔11は、メモリーカード20を2つの向きに挿入できる形状となっており、第一の挿入孔列11aと第二の挿入孔列11bとでは、挿入されるメモリーカード20の向きが異なっている。図示の例では、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20は第一の側部20aが上方に露出するように挿入され、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20は第二の側部20bが上方に露出するように挿入されている。なお、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20を第二の側部20bが上方に露出するようにすると共に、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されるメモリーカード20を第一の側部20aが上方に露出するようにしてもよい。
【0018】
また、個々のメモリーカード挿入孔11にメモリーカード20が挿入された状態では、側部20aまたは側部20bの長手方向、すなわち挿入側端部20cの長手方向に直交する方向に複数のメモリーカード20が整列した状態となっている。
【0019】
一方、メモリーカード挿入孔11は表裏面を貫通しているため、第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は第二の側部20bが固定治具1の裏面から露出し、第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は第一の側部20bが固定治具1の裏面から露出する。
【0020】
第一の挿入孔列11aに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材5と第一の固定部3との間に入り込み、第二の挿入孔列11bに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材5と第二の固定部材4との間に入り込む。メモリーカード20は、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図1に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図3に示すように、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材5と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材5と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態となる。こうして、第一の固定部3、第二の固定部4及び緩衝部材500は、メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部として機能する。
【0021】
一方、図4に示す固定治具100は、図2に示した挿入側端部20cの面取り時にメモリーカード20を保持する治具であり、図1に示した固定治具1の治具本体2における第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bに代えて、治具本体200に第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bを備えている。この第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bは、図示の例では治具本体200の長手方向に長尺な一連の孔であり、図5に示すように、1つの孔に複数のメモリーカード20を連続して収容することができる。また、図1に示した緩衝部材5に代えて、緩衝部材5よりも幅の広い緩衝部材500を備えている。この幅の相違は、メモリーカード20の挿入方向の違いに起因するものである。また、これに対応して、緩衝部材収容孔140も、図1に示した固定治具1の緩衝部材収容孔14より幅が広く形成されている。なお、第一の挿入孔111a、第二の挿入孔111b及び緩衝部材500以外の部位については、図1に示した固定治具1と同様に構成されるため、同様に構成される部位については同一の符号を付し、その説明は省略することとする。
【0022】
図5に示すように、メモリーカード20は、挿入側端部20cが露出するように起立状態で第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入される。そして、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20は、緩衝部材500と第一の固定部3との間に入り込み、第二の挿入孔111bに収容されたメモリーカード20は、緩衝部材500と第二の固定部材4との間に入り込む。
【0023】
メモリーカード20は、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図4に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図6に示すように、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態で支持される。
【0024】
図1〜図6に示したようにして複数のメモリーカード20が挿入された固定治具1、100は、例えば図7に示すメモリーカード加工装置30におけるメモリーカードの成形に用いられる。このメモリーカード加工装置30は、メモリーカード20の側部20a、20b及び挿入側端部20cを成形する切削手段31と、固定治具1、100を保持してX軸方向に移動可能な移動テーブル32とを備えている。
【0025】
移動テーブル32は、X軸方向に移動可能であるとともに回転可能となっており、図8に示すように、固定治具1または固定治具100を保持できる着脱自在な保持手段320を備えている。保持手段320は、X軸方向に移動可能であり、例えば多孔質の吸引部321を有しており、吸引部321は移動テーブル32の下方に設けられた図示しない吸引源と連通している。また、保持手段320の上面には、載置される固定治具1、100に形成された位置決め穴18(図1及び図4参照)に対応する位置決め突起322が形成されており、位置決め突起322に位置決め穴18を嵌合させた状態で、保持手段320に固定治具1、100が載置され、吸引部321によって吸引されて保持される。
【0026】
図7の例では、切削手段31は、メモリーカード20の第一の側部20aを切削して成形する第一の成形ブレード333及び挿入側端部20cを切削して成形する第三の成形ブレード335を備えた第一の切削手段33と、メモリーカード20の第二の側部20bを切削して成形する第二の成形ブレード343を備えた第二の切削手段34とから構成される。
【0027】
図7に示すように、第一の切削手段33では、第一のハウジング330によって第一のスピンドル331が回転可能に支持されている。図9に示すように、第一の成形ブレード333は、円筒上のホイール333aの外周に電着等によって第一の砥石部333bが固着されて構成され、ホイール333aが第一のスピンドル331に挿入され、フランジ332とナット334とで挟持され固定されている。一方、第三の成形ブレード335は、円筒上のホイール335aの外周に電着等によって第三の砥石部335bが固着されて構成され、ホイール335aが第一のスピンドル331に挿入され、フランジ336、337によって挟持され固定されている。第一の砥石部333b及び第三の砥石部335bは、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒をニッケルめっき等で固定して構成される。第一の砥石部333aは、メモリーカード20の第一の側部20aの所望の形状に対応する側面形状を有している。一方、第三の砥石部335bは、メモリーカード20の挿入側端部20cの所望の面取り形状に対応する側面形状を有する面取り成形ブレードである。
【0028】
図7に示すように、第二の切削手段34では、第二のハウジング340によって第二のスピンドル341が回転可能に支持されている。図10に示すように、第二の成形ブレード343は、円筒上のホイール343aの外周に電着等によって第二の砥石部343bが固着されて構成され、ホイール343aが第二のスピンドル341に挿入され、フランジ342とナット344とで挟持され固定されている。第二の砥石部343bは、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒をニッケルめっき等で固定して構成され、メモリーカード20の第二の側部20bの所望の形状に対応する側面形状を有している。
【0029】
保持手段320は、図11に示す加工送り手段36によって駆動されてX軸方向に加工送りされる。加工送り手段36は、X軸方向に配設されたボールネジ360と、ボールネジ360と平行に配設された一対のガイドレール361と、ボールネジ360の一端に連結されボールネジ360を回動させるモータ362とを備えている。移動テーブル32は、その内部のナットがボールネジ360に螺合すると共に下部がガイドレール361に摺接しており、モータ362に駆動されてボールネジ360が回動するのに伴い移動テーブル32がガイドレール361にガイドされてX軸方向に移動し、保持手段320も同方向に移動する構成となっている。保持手段320に固定治具100が保持された際における保持手段320の移動方向は、固定治具100の第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20の挿入側端部20cの長手方向となる。
【0030】
図11に示すように、第一の切削手段33は、割り出し送り手段37によって駆動されてY軸方向に割り出し送りされる。割り出し送り手段37は、Y軸方向に配設されたボールネジ370と、ボールネジ370の一端に連結されボールネジ370を回動させるパルスモータ371と、ボールネジ370と平行に配設された一対のガイドレール372とを備え、ボールネジ370には移動基台373の内部のナットが螺合し、移動基台373の下部はガイドレール372に摺接しており、パルスモータ371に駆動されてボールネジ370が回動するのに伴い、移動基台373がガイドレール372にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。なお、第二の切削手段34も、同様に構成される割り出し送り手段によってY軸方向に移動する構成となっているが、図示及び説明は省略する。
【0031】
移動基台373の側面には、第一の切削手段33をZ軸方向に切り込み送りする切り込み送り手段38が設けられている。切り込み送り手段38は、Z軸方向(切り込み方向)に配設されたボールネジ380と、ボールネジ380の一端に連結されたパルスモータ381と、ボールネジ380と平行に配設された一対のガイドレール382とを備え、ボールネジ380には、第一の切削手段33を支持する支持部383の内部のナットが螺合し、支持部383の側部がガイドレール382に摺接しており、パルスモータ381に駆動されてボールネジ380が回動するのに伴い、支持部383がガイドレール382にガイドされてZ軸方向に移動し、第一の切削手段33も同方向に移動する構成となっている。なお、第二の切削手段34も、同様に構成される切り込み送り手段によってZ軸方向に移動する構成となっているが、図示及び説明は省略する。
【0032】
メモリーカード20は、最終的には第一の側部20aと第二の側部20bの形状が異なる非対称形に成形されるため、図9及び図10に示した第一の砥石部333bと第二の砥石部343bとは、その側面形状が異なる。また、メモリーカード20の挿入側端部20cも、第一の側部20a及び第二の側部20bと異なる形状に形成されるため、第三の砥石部の側面形状も、第一の砥石部333b及び第二の砥石部343bと異なる。
【0033】
図7に示すように、移動テーブル32の移動経路の上方には、アライメント手段35が配設されている。アライメント手段35は、撮像部350を備えており、固定治具1、100を撮像してその特定の領域を検出することにより、移動テーブル32に保持された固定治具1、100の角度調整や、第一の切削手段33及び第二の切削手段34のY軸方向の位置決めを行い、固定治具1、100に固定されたメモリーカード20との関係における位置合わせをする。
【0034】
メモリーカード20の側部を所望の形状に成形する際には、図2及び図3に示したように、第一の挿入孔列11aを構成する各メモリーカード挿入孔11には、第一の側部20aが固定治具1の表面側から露出した状態でメモリーカード20が挿入される。このとき、第二の側部20bは、固定治具1の裏面側から露出する。一方、第二の挿入孔列11bを構成する各メモリーカード挿入孔11には、第二の側部20bが固定治具1の表面側から露出した状態でメモリーカード20が挿入され、第一の側部20aは、固定治具1の裏面側から露出する。
【0035】
そして、固定治具1の被保持部10b側が移動テーブル32の保持手段320に保持され、移動テーブル32を図7に示したX軸方向に移動させて、アライメント手段35の直下に移動させ、保持手段320の角度の微調整や、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20と第一の成形ブレード333とのY軸方向の位置合わせ及び第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20と第二の成形ブレード343とのY軸方向の位置合わせが行われる。すなわち、図12に示すように、第一の挿入孔列11aを構成するメモリーカード挿入孔11に保持されたメモリーカード20の移動経路の直上に第一の成形ブレード333を位置させると共に、第二の挿入孔列11bを構成するメモリーカード挿入孔11に保持されたメモリーカード20の移動経路の直上に第二の成形ブレード343を位置させる。
【0036】
その後、移動テーブル32が、図7に示した+X方向に移動すると共に、第一の成形ブレード333及び第二の成形ブレード343が高速回転しながら第一の切削手段33及び第二の切削手段34が下降し、図13に示すように、第一の成形ブレード333は、第一の挿入孔列11aに固定され上方に露出した複数のメモリーカード20の第一の側部20aに接触し、第二の成形ブレード343は、第二の挿入孔列11bに固定され上方に露出した複数のメモリーカード20の第二の側部20bに接触する。そうすると、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20の第一の側部20aには、第一の砥石部333bの形状が転写され、第一の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20の第二の側部20bには、第二の砥石部343bの形状が転写される。
【0037】
次に、図8に示した保持手段320から固定治具1を取り外し、第一の挿入孔列11aと第二の挿入孔列11bの整列方向の中間の対称軸2aを基準として固定治具1の表裏を反転させてから、固定治具1の被保持部10a側を保持手段320に保持させる。このとき、図14に示すように、第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20については第二の側部20bが上方に露出し、第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20については第一の側部20aが上方に露出した状態となる。また、固定治具1は、第一の挿入孔列11a及び第二の挿入孔列11bの整列方向の中間を基準として対称に形成されているため、裏返すことにより、第一の成形ブレード333の下方に第二の挿入孔列11bに固定されたメモリーカード20が位置し、第二の成形ブレード343の下方に第一の挿入孔列11aに固定されたメモリーカード20が位置する。したがって、第一の成形ブレード333及び第二の成形ブレード343のY軸方向の位置を変更する必要がない。
【0038】
そしてその状態で、図14に示すように、第一の挿入孔列11aに保持されたメモリーカード20については第二の側部20bに第二の成形ブレード343を接触させ、第二の挿入孔列11bに保持されたメモリーカード20については第一の側部20aに第一の成形ブレード333を接触させる。そうすると、メモリーカード20の第二の側部20bには第二の砥石部343bの形状が転写され、メモリーカード20の第一の側部20aには第一の砥石部333bの形状が転写される。なお、固定治具1が精密に形成されていれば、保持手段320の向きの微調整は必ずしも必要とされない。
【0039】
このようにして、すべてのメモリーカード20aについて、第一の側部20a及び第二の側部20bに第一の砥石部333b及び第二の砥石部343bの形状が転写され、図15に示す形状のメモリーカード21となる。このメモリーカード21においては、4つの角が面取りされており、そのうちの2つの面取り部210、211は、第一の砥石部333bの形状が転写されて形成されたものである。一方、残りの2つの面取り部212、213は、第二の砥石部343bの形状が転写されて形成されたものである。また、第二の側部20bには異形部214が形成されており、この異形部214は、第二の砥石部343bの形状が転写されて形成されたものである。
【0040】
次に、メモリーカードの挿入側端部20cの面取りを行うために、図15に示したように4つの角が面取りされ異形部214が形成された複数のメモリーカード21を、図4に示した固定治具100の第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入する。第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bには、これらの挿入孔の長手方向とメモリーカード21の挿入側端部20cの長手方向とが同方向となるように、かつ、図16に示すように、挿入側端部20cが上方に露出して起立した状態となるようにメモリーカード21を挿入する。その際、固定治具1の場合と同様に、第一の固定部3及び第二の固定部4の互いの距離を拡張させるためのピンを開閉長孔17に差し込み、そのピンを図4に示した係合孔3b、4bに係合させて第一の固定部3と第二の固定部4とが離れる方向に引っ張り、バネ9の付勢力に抗して第一の固定部3及び第二の固定部4を互いに離れる方向に若干移動させた状態で、第一の挿入孔列111a及び第二の挿入孔列111bにメモリーカード20が挿入される。そして、当該ピンを取り外すと、バネの付勢力によって、図6に示したように、第一の挿入孔111aに挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第一の固定部3とによって挟持され、第二の挿入孔列111に挿入されたメモリーカード20が緩衝部材500と第二の固定部4とによって挟持され、いずれも安定した状態となる。この状態では、第一の固定部3、第二の固定部4及び緩衝部材500は、メモリーカード20の挿入側端部20cの長手方向に複数のメモリーカード20を整列させて固定する固定部として機能する。
【0041】
次に、図16に示すように、その固定治具100を保持手段320において保持し、第三の成形ブレード335を第一の挿入孔111aまたは第二の挿入孔111bのいずれかに挿入されたメモリーカード21の直上に位置付ける。そして、図17に示すように、保持手段320を図7に示したX軸方向に移動させると共に、第一のスピンドル331を高速回転させながら第一の切削手段33を下降させて、高速回転する第三の成形ブレード335をメモリーカード21の挿入側端部20cに接触させて、挿入側端部20cを切削する。そうすると、第三の砥石部335bの形状が挿入側端部20cに転写され、図18に示すように、挿入側端部20cが一様に面取りされ、面取り部220、221が形成されたメモリーカード22が形成される。
【0042】
次に、第一の切削手段33を+Y方向に割り出し送りすることにより、第三の成形ブレード335を第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカード20の直上に位置させ、その状態で保持手段320をX軸方向に移動させると共に、第一のスピンドル331を高速回転させながら第一の切削手段33を下降させて、図19に示すように、挿入側端部20cを切削する。そうすると、第三の砥石部335bの形状が挿入側端部20cに転写され、図20に示すように、挿入側端部20cの角部が面取りされたメモリーカード22が形成される。
【0043】
挿入側端部20cの面取り成形時には、挿入側端部20cの長手方向と加工送りの方向とが一致しているため、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bに挿入されたすべてのメモリーカードの挿入側端部20cを1回のストロークで切削することができ、効率的である。
【0044】
第二の挿入孔111bに挿入されたメモリーカードの挿入側端部20cを切削する際には、第一の切削手段33を割り出し送りする代わりに、第一の挿入孔111a及び第二の挿入孔111bの長手方向の中間の対称軸200a(図4参照)を基準として反転させて保持手段320において保持し、第三の成形ブレード335の直下に第二の挿入孔111bに挿入された面取り前のメモリーカードを位置させるようにしてもよい。
【0045】
なお、上記の例では、固定治具100を保持した保持手段32をX軸方向(メモリーカードの挿入側端部の長手方向)に移動させると共に、第三の成形ブレード335をY軸方向(当該挿入側端部の長手方向に直交する方向)に移動させて切削することとしたが、保持手段320がX軸方向に移動せずに第三の成形ブレード335がX軸方向に移動するように構成してもよいし、保持手段320がY軸方向に移動し第三の成形ブレード335がY軸方向に移動しないように構成してもよい。すなわち、保持手段320と各切削手段とは、相対的にX軸方向及びY軸方向に位置関係を変化させることができる関係であればよい。
【0046】
また、上記の例では、第一の成形ブレード333と第三の成形ブレード335とを共通のスピンドルに装着することとしたが、第三の成形ブレード335を第二のスピンドル341に装着するように構成することもできるし、第三の成形ブレード335を第一のスピンドル331及び第二のスピンドル341とは別の専用のスピンドルに装着するように構成してもよい。更に、第三の成形ブレード335を複数備えるようにしてもよい。
【0047】
以上のようにして、固定治具100における第一の挿入孔111aと第二の挿入孔111bとでメモリーカード20を保持し、それぞれの挿入側端部20cを第三の成形ブレード335することにより、メモリーカード20の挿入側端部20cを効率良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】固定治具の第一の例を示す分解斜視図である。
【図2】第一の例の固定治具にメモリーカードを挿入する状態を示す斜視図である。
【図3】第一の例の固定治具にメモリーカードが挿入された状態を示す断面図である。
【図4】固定治具の第二の例を示す分解斜視図である。
【図5】第二の例の固定治具にメモリーカードを挿入する状態を示す斜視図である。
【図6】第二の例の固定治具にメモリーカードが挿入された状態を示す断面図である。
【図7】メモリーカード加工装置の一例を示す斜視図である。
【図8】保持手段及び固定治具を示す斜視図である。
【図9】第一の成形ブレード及び第三の成形ブレードを示す断面図である。
【図10】第二の成形ブレードを示す断面図である。
【図11】加工送り手段、割り出し送り手段及び切り込み送り手段を略示的に示す背面図である。
【図12】第一の成形ブレード及び第二の成形ブレードをメモリーカードに位置合わせした状態を示す正面図である。
【図13】メモリーカードの側部に異形部及び面取り部を形成する状態を示す正面図である。
【図14】メモリーカードの側部に異形部及び面取り部を形成する状態を示す正面図である。
【図15】側部に異形部及び面取り部が形成されたメモリーカードを示す正面図である。
【図16】第三の成形ブレードをメモリーカードに位置合わせした状態を示す正面図である。
【図17】メモリーカードの挿入側端部を面取りする状態を示す正面図である。
【図18】挿入側端部が面取りされたメモリーカードを示す側面図である。
【図19】メモリーカードの挿入側端部を面取りする状態を示す正面図である。
【図20】挿入側端部が面取りされたメモリーカードを示す側面図である。
【符号の説明】
【0049】
1、100:固定治具
2、200:治具本体 2a、200a:対称軸
3:第一の固定部 4:第二の固定部 5、500:緩衝部材
6:第一の支持部材 7:第二の支持部材 8:ネジ 9:バネ
10a、10b:被保持部 11:メモリーカード挿入孔
11a:第一の挿入孔列 11b:第二の挿入孔列
111a:第一の挿入孔 111b:第二の挿入孔
12:第一の固定部収容孔 13:第二の固定部収容孔 14、140:緩衝部材収容孔
15:バネ収容部 16:ネジ穴 17:開閉長孔 18:位置決め穴 19:貫通孔
20、21、22:メモリーカード
20a:第一の側部 20b:第二の側部 20c:挿入側端部
210〜213:面取り部 214:異形部
220、221:面取り部
30:メモリーカード加工装置
31:切削手段 32:移動テーブル
320:保持部 321:吸引部 322:位置決め突起
33:第一の切削手段
330:第一のハウジング 331:第一のスピンドル 332:フランジ
333:第一の成形ブレード 334:ナット
335:第三の成形ブレード 336、337:フランジ
34:第二の切削手段
340:第二のハウジング 341:第二のスピンドル 342:フランジ
343:第二の成形ブレード 344:ナット
35:アライメント手段 350:撮像部
36:加工送り手段
360:ボールネジ 361:ガイドレール 362:モータ
37:割り出し送り手段
370:ボールネジ 371:パルスモータ 372:ガイドレール 373:移動基台
38:切り込み送り手段
380:ボールネジ 381:パルスモータ 382:ガイドレール 383:支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリーカードの挿入側端部を面取り加工するメモリーカード加工装置であって、
メモリーカードの挿入側端部を露出させて該メモリーカードを起立状態で支持する固定治具と、該固定治具を保持する保持手段と、該挿入側端部に作用して面取り加工を施す回転可能な面取り成形ブレードを備えた切削手段と、該保持手段と該切削手段とを該挿入側端部の長手方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、該保持手段と該切削手段とを該挿入側端部の長手方向に直交する方向に割り出し送りして該面取り成形ブレードと該挿入側端部とを位置合わせする割り出し送り手段と
を少なくとも備えたメモリーカード加工装置。
【請求項2】
前記固定治具は、前記メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されている請求項1に記載のメモリーカード加工装置。
【請求項3】
前記固定治具は、前記メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されている請求項1または2に記載のメモリーカード加工装置。
【請求項1】
メモリーカードの挿入側端部を面取り加工するメモリーカード加工装置であって、
メモリーカードの挿入側端部を露出させて該メモリーカードを起立状態で支持する固定治具と、該固定治具を保持する保持手段と、該挿入側端部に作用して面取り加工を施す回転可能な面取り成形ブレードを備えた切削手段と、該保持手段と該切削手段とを該挿入側端部の長手方向に相対的に加工送りする加工送り手段と、該保持手段と該切削手段とを該挿入側端部の長手方向に直交する方向に割り出し送りして該面取り成形ブレードと該挿入側端部とを位置合わせする割り出し送り手段と
を少なくとも備えたメモリーカード加工装置。
【請求項2】
前記固定治具は、前記メモリーカードの挿入側端部の長手方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されている請求項1に記載のメモリーカード加工装置。
【請求項3】
前記固定治具は、前記メモリーカードの挿入側端部の長手方向に直交する方向に複数のメモリーカードを整列させて固定する固定部が形成されている請求項1または2に記載のメモリーカード加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−112253(P2008−112253A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293803(P2006−293803)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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