説明

メンテナンス装置、メンテナンス方法、液体噴射装置

【課題】メンテナンス精度の向上を図り、ノズルつまりを抑制して良好な噴射特性を維持可能とするメンテナンス装置、メンテナンス方法、液体噴射装置を提供する。
【解決手段】本発明のメンテナンス装置は、液体を噴射する複数のノズル開口がノズル面に形成された記録ヘッドに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置であって、ノズル面を封止可能であるとともにノズル面側に開口しノズル開口から噴射された液体を受容する封止空部が設けられたキャップ部と、封止空部に負圧を供給する吸引手段と、キャップ部をノズル面に密着させた状態で当該ノズル面に対して平行移動させることが可能な移動機構と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス装置、メンテナンス方法、液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置として、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)のノズルより被記録媒体にインク(液体)を噴射するインクジェット式液体噴射装置が知られている。このようなインクジェット式液体噴射装置では、時間の経過に伴ってノズルからのインクの吐出速度や吐出量が変化し、インクの吐出状態(噴射状態)が変化する。記録ヘッドの内部では、時間の経過に伴って気泡が成長したりインクが増粘したりすることでインクの吐出速度や吐出量が所望の値を超えてしまい、吐出不良が生じる。このため、インクの吐出速度や吐出量を所望の範囲に維持するために、定期的に記録ヘッドのメンテナンス動作が実施される。
【0003】
その具体的なメンテナンス動作としては、キャップ部で記録ヘッドのノズル面を覆い、ノズルからインクを強制的に吸引する吸引動作や、インクの噴射によってノズル面に付着してしまったインク等をワイプ部材で払拭することによってノズル面上のインクを除去するワイピング動作などがある。
【0004】
ところが、吸引動作終了後、キャップ部内に吐出されたインクを廃液容器内に排出するために、キャップ部内に空気を導入しながらインクを吸引すると、空気とインクとが混じり合って気泡が発生する。この気泡がノズルのインクメニスカスを破壊する場合がある。
特1許文献では、吸引動作終了後、キャップ部内を大気開放することなくキャップ部をノズル面から引き離して開放し、傾斜したキャップ部から漏れたインクをキャップ部の下方に配置された廃液容器により受ける構成が開示されている。これにより、キャップ部内の気泡を迅速に処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−160713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特1許文献では、キャップ部の傾斜を利用してキャップ部材内に排出されたインクを廃液容器へと零すようになっているため、インクが跳ねて周囲が汚れるおそれがある。また、キャップ部の直下に廃液容器を配置させる必要があり、廃液容器の配置自由度がない。
【0007】
一般に、ワイピング動作では、ワイプ部材が記録ヘッドのノズル面に当接して撓み変形しながらノズル面上を摺動し、ノズル面の端部から離れる際に弾性反発力によって原形復帰させるようにしている。このため、復帰する際の振動によってワイプ部材の先端に付着したインクの一部が飛散し、プリンター内の諸部材を汚してしまうという問題がある。
【0008】
また、インクが付着したワイプ部材でノズル面を払拭すると、ノズル内のメニスカスを破壊してしまい、インクの吐出不良を引き起こす虞もある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、メンテナンス精度の向上を図り、ノズルつまりを抑制して良好な噴射特性を維持可能とするメンテナンス装置、メンテナンス方法、液体噴射装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のメンテナンス装置は、液体を噴射する複数のノズル開口がノズル面に形成された記録ヘッドに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置であって、前記ノズル面を封止可能であるとともに前記ノズル面側に開口し前記ノズル開口から噴射された前記液体を受容する封止空部が設けられたキャップ部と、前記封止空部に負圧を供給する吸引手段と、前記キャップ部を前記ノズル面に密着させた状態で移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
これによれば、キャップ部を記録ヘッドのノズル面に密着させた状態でノズル面に対して平行移動させることで、キャップ部がノズル面上を摺接(払拭)しながらノズル面に付着した液体を除去することができる。また、キャップ部によって除去された液体が周囲に飛散することもなく、除去した液体は、キャップ部の封止空部内へ流入することとなる。また、キャップ部とは別にワイプ部材を設ける必要がないので、部品点数を削減できてコスト削減が図れる。
【0012】
また、前記キャップ部には、前記封止空部の外側に該封止空部から流出した前記液体を受容する液体受容部が設けられている構成としてもよい。
【0013】
これによれば、キャップ部材を移動させた際に封止空部から流出した液体を液体受容部にて受け止めることができ、封止空部内が液体で満たされた状態でキャップ部を移動させることが可能となる。封止空部が液体で満たされた状態でノズル面を封止しているキャップ部を移動させることによって、封止空部が大気開放される際に気泡が発生しにくくなる。本構成であれば、封止空部が液体で満たされた状態であっても、移動の際にキャップ部の外部に液体を漏らすことなく受け止めることができ、諸部材を汚してしまうことが抑制される。
【0014】
また、前記キャップ部は、弾性部材からなり内部に前記封止空部を有するキャップ部材と、前記キャップ部材を保持するとともに前記封止空部の外側に前記液体受容部を有するキャップホルダーと、を有して構成され、前記キャップ部材によって前記ノズル面を封止する構成としてもよい。
【0015】
これによれば、弾性部材からなるキャップ部材によってノズル面を封止することとなり、移動時にはキャップ部材が弾性変形しながらノズル面を払拭するため、ノズル面上に付着した液体等を除去することができる。
【0016】
また、前記封止空部に連通する吸引路と、前記液体受容部に連通する排出路と、前記吸引路および前記排出路を通じて排出された前記液体を回収する廃液容器と、を備え、前記吸引手段が、少なくとも前記吸引路に対して負圧を供給する構成としてもよい。
【0017】
これによれば、封止空部に排出(噴射)された液体をキャップ部から迅速且つ効率よく排出(吸引)させることが可能となる。また、液体受容部に連通する排出路に対しても吸引手段によって負圧を供給する構成とすることにより、液体受容部に溜まった液体を迅速且つ効率よく排出(吸引)させることが可能となる。また、廃液容器の配置位置に制限がなく、設計自由度が高まる。
【0018】
また、前記液体受容部が、前記封止空部の外側であって前記移動機構による前記キャップ部の少なくとも移動方向前方に設けられている構成としてもよい。
【0019】
記録ヘッドと封止状態にあるキャップ部を大気開放せずに移動させる場合、移動開始時点でキャップ部内は液体で満たされた状態にあるため、その状態で水平移動させると、記録ヘッドと最初に離れる箇所、すなわち移動方向前方の部分で記録ヘッドとキャップ部との当接部分のゴムが弾性変形し、インクの飛び散りや、キャップ部内の圧力と大気圧との圧力差によってインクが飛び散る虞があるが、本発明のように少なくとも移動方向前方に液体受容部を設けることにより、液体が装置内に漏出することを抑制できる。
【0020】
また、前記液体受容部が前記封止空部の周囲を取り囲むようにして設けられている構成としてもよい。
【0021】
これによれば、液体受容部が封止空部の周囲を取り囲むようにして設けられているので、封止空部のどの箇所から流出した液体であっても受け止めることが可能である。
【0022】
本発明のメンテナンス方法は、液体を噴射する複数のノズル開口が形成された記録ヘッドのノズル面をキャップ部で封止する封止ステップと、吸引手段の駆動を開始することにより前記キャップ部内の封止空部に対して負圧を供給して前記ノズル開口から前記液体を吸引する第1吸引ステップと、前記吸引手段の駆動を停止させ、前記封止空部に前記液体が溜まった前記キャップ部を前記ノズル面に密着させた状態のまま該ノズル面に沿って移動させる移動ステップと、前記封止空部が大気開放された後に前記封止空部内の前記液体を吸引する第2吸引ステップと、を備えていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、封止空部に記録ヘッドから噴射された液体が存在しているキャップ部をノズル面に接触させた状態のまま該ノズル面に沿って水平移動させることとしたので、キャップ部によってノズル面上を払拭することになり、噴射時にノズル面に付着した液体を除去することができる。
【0024】
また、前記移動ステップにおいて、前記封止空部から流出した前記液体は、前記封止空部の外側であって前記キャップ部の少なくとも移動方向前方に設けられた液体受容部によって受容される方法としてもよい。
【0025】
これによれば、キャップ部の移動時に封止空部から流出した流体を液体受容受部によって受け止めることができる。
【0026】
また、前記第1吸引ステップでは、前記吸引手段の駆動を制御することによって前記封止空部内が前記液体で満たされるまで前記ノズル開口から前記液体を吸引し、前記移動ステップでは、前記封止空部内が前記液体で満たされた状態の前記キャップ部を移動させる方法としてもよい。
【0027】
これによれば、封止空部が液体で満たされた状態でキャップ部を移動させることにより、封止空部内に不要な気泡が発生するのを抑制することができる。これにより記録ヘッドの吐出不良の発生を抑制することができる。
【0028】
また、前記キャップ部は、弾性部材からなり内部に前記封止空部を有するキャップ部材と、前記キャップ部材を保持するとともに前記封止空部の外側に前記液体受容部を有するキャップホルダーと、を有して構成されており、前記移動ステップにおいては、前記キャップ部材を前記ノズル面に密着させた状態で移動させる方法としてもよい。
【0029】
これによれば、弾性部材からなるキャップ部材をノズル面に接触させた状態でキャップ部を移動させることにより、キャップ部材は弾性変形しながらノズル面を払拭するため、ノズル面上に付着した液体等を除去することができる。
【0030】
本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズル開口がノズル面に形成された記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対してメンテナンスを行う上記のメンテナンス装置と、を備え、前記メンテナンス装置は、前記記録ヘッドが非記録状態にあっては前記記録ヘッドの前記ノズル面をキャップ部で覆って前記ノズル開口を封止空部内に臨ませた状態で封止可能なもので、前記キャップ部内の封止空部から溢れ出した前記液体を液体受容部で受容する構成とされていることを特徴とする。
【0031】
これによれば、上記したメンテナンス装置を用いて記録ヘッドのメンテナンスを実施しているので、装置内を汚すことなく、ノズルつまりを抑制して良好な噴射特性を維持可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】インクジェットプリンターの斜視図。
【図2】記録ヘッドの概略構成を示す断面図。
【図3】(a)はメンテナンス装置の概略構成を示す断面図であって、(b)はメンテナンス装置の作用を示す断面図。
【図4】プリンターの電気的構成を示す図。
【図5】メンテナンス装置の吸引動作を示すフローチャート図。
【図6】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【図7】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【図8】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【図9】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【図10】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【図11】吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
ここで、図1は、1の第実施形態において、代表的なインクジェット式液体噴射装置(インクジェット式記録装置)であるインクジェットプリンター1(以下、単にプリンター1という。)の斜視図である。
なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、各図中に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、図面中の上方向、右方向及び前方向を示す矢印において、丸印の中に点が記載されたもの(矢の先端を前から見た図)は紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、丸印の中にバツが記載されたもの(矢の羽根を後ろから見た図)は紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0035】
プリンター(液体噴射装置)1は、ガイド軸3に移動可能に取り付けられたキャリッジ2を有する。このキャリッジ2は、駆動プーリ4と遊転プーリ5との間に掛け渡されたタイミングベルト6に接続されている。そして、駆動プーリ4は、パルスモーター7の回転軸に接合されている。このため、キャリッジ2は、パルスモーター7が駆動すると印刷記録媒体の一種である記録紙8の幅方向(主走査方向)に移動する。
【0036】
このキャリッジ2にはカートリッジホルダ部が設けられており、このカートリッジホルダ部にはインクカートリッジ9が着脱可能に取り付けられている。このインクカートリッジ9は、インク液、即ち、液体状のインクを貯留する部材である。
【0037】
そして、このインクカートリッジ9がカートリッジホルダ部に装着されると、カートリッジホルダ部に設けられたインク供給針(図示せず)がインクカートリッジ9内に挿入される。このインク供給針は、記録ヘッド10のインク供給管25(図2参照)に連通されているため、インク供給針が挿入されることでインクカートリッジ9内のインク液がインク供給管25側に流出可能になる。
【0038】
また、記録紙8と対向するキャリッジ2の下面には、インク液をインク滴として吐出可能な記録ヘッド10が取り付けられている。そして、ガイド軸3の下方には、このガイド軸3と平行に紙送りローラー11が配置されている。この紙送りローラー11は、記録紙8の搬送時において、紙送りモーター12(図4参照)からの駆動力によって回転される。
【0039】
キャリッジ2の移動範囲で記録領域の外側にはホームポジションが設定されており、印刷動作の待機時等において記録ヘッド10は、このホームポジションに位置付けられる。このホームポジションには、記録ヘッド10に対してメンテナンス処理を行うメンテナンス装置13が配置されている。このメンテナンス装置13は、非記録状態において記録ヘッド10のノズル面10aを封止可能なキャッピング機構14により構成されている。
【0040】
次に、記録ヘッド10について簡単に説明する。
図2は、記録ヘッドの概略構成を示す断面図である。
図2に示すように、記録ヘッド10は、ケース20と、ノズル開口29や圧力室31等を有する流路ユニット21と、複数の圧電振動子からなる振動子群24を有する振動子ユニット22とから概略構成されている。そして、流路ユニット21は、弾性板28、流路基板26、ノズルプレート27を積層し、接着剤等で接合一体化された構成になっている。
ノズルプレート27には複数のノズル開口29が形成されており、このノズルプレート27の外表面(ケース20とは反対側の表面)が本発明におけるノズル面10aとして機能する。
流路基板26は、インク供給管25の下端とノズル開口29とを接続するリザーバ30、インク供給口32及び圧力室31などのインク流通室を形成するための凹部を有する。これらの凹部は、流路基板26の基材となるシリコン単結晶基板を異方性エッチングすることで形成されている。
【0041】
ケース20は、先端と後端が共に開放した収容空部23を内部に設けた合成樹脂製のブロック状部材であり、その先端に流路ユニット21が接合されている。また、収容空部23内には、振動子群24の先端を先端側開口に臨ませた状態で振動子ユニット22が収容(接着)されている。さらに、収容空部23の側方には、インク供給針と流路ユニット21の間を連通するインク供給管25を設けている。
【0042】
このような構成の記録ヘッド10では、インク供給管25からリザーバ30及び圧力室31を通ってノズル開口29に至る一連のインク流路が形成されている。上記の圧電振動子を素子長手方向に伸縮させると弾性板28が変形し、圧力室31の容積が変化する。これにより、圧力室31内のインク圧力が変化する。そして、この圧力室31内のインク圧力の変化を利用することで、ノズル開口29からインク滴を吐出させることができる。
【0043】
次に、メンテナンス装置について述べる。
図3(a)はメンテナンス装置の概略構成を示す断面図であって、図3(b)はメンテナンス装置の作用を示す断面図である。
キャッピング機構14には、図3(a)に示すように、枠状のキャップ部材51、キャップ部材51を保持するキャップホルダー57を備えてなるキャップ部55と、キャップホルダー57の底部57Aに形成された貫通孔57aを介してキャップ部材51の内側に形成された封止空部50に連通する吸引路52と、さらに、貫通孔57bを介してキャップ部材51の外側に形成されたインク受容部(液体受容部)59に連通する排出路53と、吸引路52の途中に設けられた吸引手段としての吸引ポンプ(吸引手段)54と、キャップホルダー57を上下左右に移動させるキャップ部移動機構(移動機構)42(図4参照)と、が設けられている。
【0044】
キャップ部材51は、記録ヘッド10のノズル面10aを封止可能であるとともにノズル面10a側に開口し且つノズル開口29から噴射されたインクL(図3(b))を受容する封止空部50を有する。このキャップ部材51は、平面視矩形状を呈し、キャップホルダー57の底部57Aから垂直に起立した状態で該底部57Aに一部埋め込まれるようにして固定されている。このキャップ部材51は、エラストマー等の弾性部材を枠状に成型することにより作製されており、ノズル面10a側の先端に該ノズル面10aとの封止性を高めるために、起立壁部51bの上面に断面略山型の当接部51cが突設されている。
【0045】
上述したように、弾性部材により作製されたキャップ部材51は、記録ヘッド10のノズル面10aを払拭するワイプ部材としても機能するようになっている。つまり、キャップホルダー57がノズル面10aに沿って水平方向に移動する際、キャップ部材51の先端の当接部51cがノズル面10aを摺接することで、ノズル面10aに付着したインクを除去できるようになっている。
【0046】
また、キャップ部材51内の封止空部50には、インク液の吸収効果を高めるために吸収体56が配設されている。この吸収体56は、液体を吸収保持可能なフェルトやスポンジ等の吸収材料によって構成されている。吸収体56はその厚さがキャップ部材51から突出しないように薄く形成されているので、図3(b)に示すように、キャップ部材51によるノズル面10aの封止状態で吸収体56の上面はノズル面10aから離間しており、非接触状態となる。
なお、封止空部50内に吸収体56を配設しない構成としてもよい。
【0047】
キャップホルダー57は、ノズル面10a側に開口する有底箱状を呈するものであって、キャップ部材51を支持する剛体の材料からなる。そして、キャップ部材51(封止空部50)の外側であって、キャップ部移動機構42によって移動されるキャップ部55の少なくとも移動方向前方には、封止空部50から流出したインクを受容するインク受容部59が設けられている。本実施形態においては、キャップホルダー57の中央部分に封止空部50を形成すべくキャップ部材51が保持されており、このキャップ部材51(封止空部50)の周囲を取り囲むようにしてインク受容部59が設けられている。キャップ部材51の周囲にインク受容部59を設けておくことにより、キャップ部材51(封止空部50)から零れたインクをインク受容部59において受けることができるようになっている。
【0048】
具体的に本実施形態では、キャップ部55の周囲全体にインク受容部59が設けられている。
【0049】
吸引路52は、吸引ポンプ54の作動によって空気やインク液が流れる通路であり、樹脂製チューブなどによって形成されている。この吸引路52の途中に配設された吸引ポンプ54よりも下流側には、インク液を捕集するインクトラップとしての廃液容器58が設けられている。なお、この廃液容器58は大気開放されている。
【0050】
また、吸引ポンプ54は、封止空部50側の吸引口からインク液や空気を取り込み、取り込んだインク液等を廃液容器58へと排出する吸引手段である。この吸引ポンプ54としては、例えば、吸引路52を構成する樹脂製チューブをローラーで挟み、このローラーをチューブに沿って移動させることでチューブ内の空気等をチューブの端部から排気する所謂「しごき」タイプのポンプ等が好適に用いられる。この吸引ポンプ54を作動させると、吸引路52を通じて封止空部50内が負圧化され、封止空部50内の空気やインク液が吸引される。
【0051】
排出路53は、一端側がキャップ部材51の外側のインク受容部59に連通しているとともに、他端側が吸引路52に連通している。排出路53は、吸引路52の廃液容器58側の端部であって吸引ポンプ54よりも下流側に接続されている。この排出路53も、吸引路52と同様に、樹脂製チューブによって形成されている。
そして、排出路53および吸引路52の吸引ポンプ54よりも下流側の端部は大気開放されている。
【0052】
なお、排出路53上にも吸引ポンプを配設させた構成としてもよい。あるいは、排出路53が接続される部分よりも下流側の吸引路52上に吸引ポンプ54を配設させてもよい。これにより、一つの吸引ポンプ54によって吸引路52および排出路53の両方に対して負圧を供給することが可能となる。この場合、封止空部50内に溜まったインクのみならず、インク受容部59内に溜まったインクを迅速に吸引(排出)させることができる。
【0053】
キャップ部移動機構42は、上記したようにキャップ部材51を上下左右方向に移動させる機構である。そして、キャリッジ2が記録領域側からメンテナンス領域へと移動してきた際に、キャップ部材51を水平方向に移動させた後、上昇させることによって、図3(b)に示すように、起立壁部51bの上面に設けた当接部51cが記録ヘッド10のノズル面10aに密着して封止する。この封止状態では、ノズル開口29が封止空部50内に臨み、ノズル開口29からのインク溶媒の蒸発が抑制される。また、キャップ部材51によって封止した状態で上記の吸引ポンプ54を作動させると、封止空部50内が負圧化されてノズル開口29から記録ヘッド10内のインク液が排出される。
【0054】
次に、プリンター1の電気的構成について説明する。
図4は、プリンターの電気的構成を示す図である。
図4に示すように、プリンター1は、プリンタコントローラ60と、プリントエンジン61とを備えている。
プリンタコントローラ60は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース62(外部I/F62)と、各種データの記憶等を行うRAM63と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM64と、CPU等からなる制御部65と、印刷動作の駆動信号及びメンテナンス動作の制御信号等をプリントエンジン61側に送信するためのインターフェース66(内部I/F66)等を備えており、これらの各部はI/Oバス67により電気的に接続されている。
【0055】
また、プリントエンジン61は、キャリッジ2を移動させるパルスモーター7と、紙送りローラー11を回転させる紙送りモーター12と、記録ヘッド10の電気駆動系15と、キャップ部移動機構42と、吸引ポンプ54等を備えている。
【0056】
制御部65は、このプリンター1における制御を行う部分であり、プリントエンジン61の各部を制御する。例えば、印刷動作の制御では、図示しないホストコンピュータからの印刷データに基づいてドットパターンデータを生成し、生成したドットパターンデータを記録ヘッド10に転送する。また、パルスモーター7を動作させてキャリッジ2(即ち、記録ヘッド10)を移動させ、紙送りモーター12を動作させて記録紙8を搬送させる。
【0057】
次に、本実施形態のプリンターのメンテナンス方法(動作)について説明する。
図5は、メンテナンス処理時におけるメンテナンス装置の吸引動作を示すフローチャート図である。図6〜図11は、メンテナンス処理における吸引動作時のメンテナンス装置の動作状態を示す図である。
吸引動作が開始されると、まず制御部65は、キャリッジ2を移動させるパルスモーター7を制御して記録ヘッド10をホームポジション(メンテナンス領域)へと移動させる。
【0058】
制御部65は、キャップ部移動機構42を制御して、キャップ部55の位置がホームポジション(メンテナンス領域)からずれていた場合には、図6に示すように、キャップ部55を水平方向に移動させて(移動ステップS10)、ホームポジション(メンテナンス領域)に配置された記録ヘッド10と対向させる。
記録ヘッド10およびキャップ部55を所定の位置に配置させた後、制御部65は、図7に示すように、キャップ部移動機構42を制御して、キャップ部55を記録ヘッド10に向かって上昇させる(封止ステップS11)。このようにして、キャップ部55を構成するキャップ部材51を記録ヘッド10ノズル面10aに当接させて、ノズル面10aを封止する。
【0059】
次に、制御部65は、吸引ポンプ54を動作させることによりキャップ部材51の封止空部50に負圧を印加して、キャップ部材51とキャップホルダー57とノズル面10aとによって囲まれた空間を減圧状態にする。図8に示すように、封止空部50に負圧をかけることにより、記録ヘッド10の全てのノズル開口29内のインクを吸引する(第1吸引ステップS12)。吸引されたインク(各ノズル開口29から排出されたインク)は、キャップ部55の封止空部50内に排出されて吸収体56に吸収される。本吸引ステップS12では、封止空部50内がインクで満たされるまで吸引を行うこととし、吸引ポンプ54の駆動時間を制御することによりインク吸引量の調整を行う。
【0060】
キャップ部55の封止空部50がインクで満たされると、制御部65は、吸引ポンプ54の駆動を停止して、封止空部50の減圧状態が自然に解除されるまで少しの間待機する(待機ステップS13)。封止空部50の減圧状態は、吸引ポンプ54の駆動を停止した後であってもノズル開口29からインクが僅かに排出されることにより徐々に解除されていく。
【0061】
次に、制御部65は、図9に示すように、パルスモーター7を制御してキャリッジ2を移動させ、キャップ部55を記録ヘッド10のノズル面10aに対して平行な方向に水平移動させる(移動ステップS14)。このとき、記録ヘッド10のノズル面10aにキャップ部材51の当接部51cを密着させた状態のまま移動させる。すると、キャリッジ2の移動方向後方となる当接部51cの一部が記録ヘッド10のノズル面10aを払拭するワイプ部材として機能することとなる。キャリッジ2の移動に伴って当接部51cの一部がノズル面10a上を摺接することによって、ノズル面10aに付着したインクが除去される。当接部51cの一部によってノズル面10aから除去されたインクは、起立壁部51bの内壁面を伝わって封止空部50内に流れ込む。
【0062】
ここで、吸引動作終了後における封止空部50はインクで満たされた状態にある。このため、キャップ部55を水平移動させる際に、封止空部50内のインクが外側へ零れる(流出する)ことがあるが、封止空部50から溢れたインクは封止空部50の外側に設けられたインク受容部59により受容される。インク受容部59内に溜まったインクは貫通孔57bから排出路53へと流れ込み、この排出路53を通じて廃液容器58に排出される。
【0063】
なお、インク受容部59は封止空部50の周囲に設けられた構成となっているが、キャップ部55をキャップ部移動機構42によって水平方向へ移動させる際に、封止空部50から零れるインクを受け止めることができる箇所に設けてあれば、必ずしも封止空部50の周囲全体を取り囲むようにして設けなくてもよい。
【0064】
制御部65は、図10に示すように記録ヘッド10からキャップ部55を完全に離間させて封止空部50を開放状態にした後、図11に示すようにキャップ部55を下降させる(下降ステップS15)。
その後、吸引ポンプ54の駆動を再び開始して封止空部50内に溜まったインクを吸引し(第2吸引ステップS16)、吸引路52を通じて廃液容器58へと排出させる。その後、吸引ポンプ54の駆動を停止する。
【0065】
以上述べた本実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
まず、本実施形態では、記録ヘッド10のノズル面10aを封止してノズル開口29に対する吸引動作を実施した後、キャップ部材51の当接部51cをノズル面10aに当接させた状態のまま一方向に水平移動させることとした。これにより、弾性部材からなるキャップ部材51の当接部51cの一部がノズル面10a上を摺接しながらノズル面10aを払拭して、吸引処理時にノズル面10aに付着したインク滴を効率よく除去することが可能となる。ここでは、キャップ部55を記録ヘッド10から離間させて封止空部50を開放させるのと同時に、キャップ部材51によるノズル面10aのワイピング処理を実施することができるので、ワイピング機構を別途設ける必要がない。このため、装置の小型化が可能となる。
【0066】
また、従来においては、吸引動作終了後にキャップ部を記録ヘッドから離間させた後、ノズル面上に付着したインク滴を、弾性部材からなる平板状のワイプ部材によって除去していた。しかしながら、平板状のワイプ部材によってノズル面を払拭する場合、ノズル面に当接することによって湾曲したワイプ部材が弾性復帰する際にインクが弾かれて飛散することがある。この飛散したインクが周囲の諸部材に付着することで装置内が汚れてしまうことを防ぐ必要がある。
【0067】
本実施形態では、枠状を呈するキャップ部材51の一部によってノズル面10aを払拭するようになっている。具体的には、キャップ部材51の先端に設けられた断面略山型とされた当接部51cがノズル面10a上を摺接することでノズル面10aに付着したインクを除去する。キャップ部材51の当接部51cは平面視枠状を呈しており、従来の板状のワイプ部材に比べてノズル面払拭時における弾性変形は小さく、払拭後における周囲へのインクの飛び散りもほとんど生じない。このため、飛散したインクによる諸部材の汚染が抑制されるとともに、記録ヘッド10に対するクリーニング精度が向上する。
【0068】
また、キャップ部材51の当接部51cによって除去されたノズル面10a上のインクは、吸引動作時にノズル開口29から排出されたインクとともに封止空部50内に受容され、吸引ポンプ54の作用によって強制的に吸引されて廃液容器58へと排出されるようになっている。このため、キャップ部材51にインクが付着したまま放置されることがなく、インクの堆積を抑制できる。インクが付着したキャップ部材51でノズル面10aを払拭するとノズル開口29内のメニスカスを破壊するおそれがあるが、本実施形態であればノズル開口29内のメニスカスを破壊することなくノズル面10a上を払拭できるため、ノズル開口29のインクの噴射特性を良好に維持することが可能である。
【0069】
また、キャップ部55には、キャップ部材51(封止空部50)の外側に封止空部50から零れたインクを受容するインク受容部59が設けられている。このインク受容部59はキャップ部材51の周囲を取り囲むようにして設けられていることから、キャップ部移動機構42によってキャップ部55を所定の方向へ水平移動させた際に封止空部50から零れたインクを受け止めることができる。
【0070】
インク受容部59は、封止空部50の外側であってキャップ部移動機構42によるキャップ部55の少なくとも移動方向前方に設けられている。記録ヘッド10と封止状態にあるキャップ部55を大気開放せずに移動させる場合、移動開始時点でキャップ部55内はインクで満たされた状態にあるため、その状態で水平移動させると、記録ヘッド10と最初に離れる箇所、すなわち移動方向前方の部分で記録ヘッド10とキャップ部55との当接部分のゴム(キャップ部材51)が弾性変形し、インクの飛び散りや、キャップ部55内の圧力と大気圧との圧力差によってインクが飛び散る虞があるが、本実施形態のように少なくとも移動方向前方にインク受容部59を設けることにより、インクが装置内に漏出することを抑制できる。
【0071】
本実施形態では、封止空部50がインクで満たされた状態でノズル面10aを封止しているキャップ部55を移動させている。これにより、封止空部50が大気開放された際に不要な気泡が発生しにくくなる。封止空部50内に発生した気泡がノズル開口29内に入り込むと吐出不良が生じてしまうため、気泡の発生を抑制する必要がある。よって、吸引動作時には吸引ポンプ54の駆動時間を制御して、封止空部50内がインクで満たされるまで各ノズル開口29からインクを強制的に噴射させるようにしている。
【0072】
このように、大気開放時の気泡の発生を抑制するために封止空部50内がインクで満たされた状態のままキャップ部55を移動させるため、移動時の振動等によって封止空部50の外部にインクが零れる可能性が十分にあり得るが、たとえ、封止空部50の外側にインクが零れた場合でも、その周囲に設けられたインク受容部59によって受け止めることができる。よって、キャップ部55の外側にインクを漏らすことなく移動させることができ、装置内の諸部材を汚してしまうことが抑制される。
【0073】
また、本実施形態では、キャップ部55に吸引路52と排出路53とが接続されており、これら吸引路52および排出路53を通じて封止空部50およびインク受容部59内のインクを廃液容器58内へと排出させるようになっている。吸引ポンプ54の作用により吸引路52に負圧が供給されて、封止空部50内のインクが廃液容器58内へ強制的に排出されるため、インクの排出動作を迅速に行える。これにより、キャップ部材51や吸引路52内にインクが堆積することが抑制される。
【0074】
また、インク受容部59に連通する排出路53に対しても吸引ポンプ54によって負圧が供給される構成としておくことによって、インク受容部59内に溜まったインクを迅速且つ効率よく排出(吸引)させることが可能となる。また、キャップ部55と廃液容器58とを繋ぐ吸引路52と排出路53はいずれも樹脂チューブによって構成されている。このため、装置内に如何様にも引き回すことが可能であるため、廃液容器58の配置位置に制限がなく、その設計自由度が高まる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、先の実施形態ではインク受容部59が、封止空部50の外側であってキャップ部移動機構42によるキャップ部55の少なくとも移動方向前方に設けられている構成となっているが、キャップ部55の移動時にキャップ部材51から零れたインクを受けることができれば、必ずしも移動方向前方に設けられた構成でなくてもよい。
【0077】
上記実施形態において、ターゲットは、連続紙に限定されず、布やフィルム、樹脂シート、金属シートなどでもよい。
上記実施形態では、液体噴射装置として、インクジェット式プリンターが採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したりする流体噴射装置を採用しても良い。また、微少量の液滴を噴射させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から噴射される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。
また、ここで言う液体とは、液体噴射装置が噴射させることができる材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。
【0078】
また、液体の代表的な例としては上記実施形態で用いたようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的は水性インクおよび油性インクならびにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形で含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造などに用いられる生態有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられる試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。
さらに、時計や精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信装置等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…プリンター(液体噴射装置)、10…記録ヘッド、10A…ノズル面、13…メンテナンス装置、29…ノズル開口、42…キャップ部移動機構(移動機構)、50…封止空部、51…キャップ部材、52…吸引路、53…排出路、54…吸引ポンプ(吸引手段)、55…キャップ部、57…キャップホルダー、58…廃液容器、59…インク受容部(液体受容部)、S10,S14…移動ステップ、S11…封止ステップ、S12…第1吸引ステップ、S16…第2吸引ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する複数のノズル開口がノズル面に形成された記録ヘッドに対してメンテナンスを行うメンテナンス装置であって、
前記ノズル面を封止可能であるとともに前記ノズル面側に開口し前記ノズル開口から噴射された前記液体を受容する封止空部が設けられたキャップ部と、
前記封止空部に負圧を供給する吸引手段と、
前記キャップ部を前記ノズル面に密着させた状態で移動させる移動機構と、を備えた
メンテナンス装置。
【請求項2】
前記キャップ部は、前記封止空部の外側に該封止空部から流出した前記液体を受容する液体受容部を有している
請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記キャップ部は、弾性部材からなり内部に前記封止空部を有するキャップ部材と、前記キャップ部材を保持するとともに前記封止空部の外側に前記液体受容部を有するキャップホルダーと、を有して構成され、
前記キャップ部材によって前記ノズル面を封止する
請求項1または2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記封止空部に連通する吸引路と、
前記液体受容部に連通する排出路と、
前記吸引路および前記排出路を通じて排出された前記液体を回収する廃液容器と、を備え、
前記吸引手段が、少なくとも前記吸引路に対して負圧を供給する
請求項2から3のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記液体受容部が、前記封止空部の外側であって前記移動機構による前記キャップ部の少なくとも移動方向前方に設けられている
請求項2から4のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
前記液体受容部が前記封止空部の周囲を取り囲むようにして設けられている
請求項2から4のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項7】
液体を噴射する複数のノズル開口が形成された記録ヘッドのノズル面をキャップ部で封止する封止ステップと、
吸引手段の駆動を開始することにより前記キャップ部内の封止空部に対して負圧を供給して前記ノズル開口から前記液体を吸引する第1吸引ステップと、
前記吸引手段の駆動を停止させ、前記封止空部に前記液体が溜まった前記キャップ部を前記ノズル面に密着させた状態のまま該ノズル面に沿って移動させる移動ステップと、
前記封止空部が大気開放された後に前記封止空部内の前記液体を吸引する第2吸引ステップと、を備えている
メンテナンス方法。
【請求項8】
前記移動ステップにおいて、
前記封止空部から流出した前記液体は、前記封止空部の外側であって前記キャップ部の少なくとも移動方向前方に設けられた液体受容部によって受容される
請求項7に記載のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記第1吸引ステップでは、前記吸引手段の駆動を制御することによって前記封止空部内が前記液体で満たされるまで前記ノズル開口から前記液体を吸引し、
前記移動ステップでは、前記封止空部内が前記液体で満たされた状態の前記キャップ部を移動させる
請求項7または8に記載のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記キャップ部は、弾性部材からなり内部に前記封止空部を有するキャップ部材と、前記キャップ部材を保持するとともに前記封止空部の外側に前記液体受容部を有するキャップホルダーと、を有して構成されており、
前記移動ステップにおいては、前記キャップ部材を前記ノズル面に密着させた状態で移動させる
請求項8または9に記載のメンテナンス方法。
【請求項11】
液体を噴射する複数のノズル開口がノズル面に形成された記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対してメンテナンスを行う請求項1から6のいずれか一項に記載のメンテナンス装置と、を備え、
前記メンテナンス装置は、前記記録ヘッドが非記録状態にあっては前記記録ヘッドの前記ノズル面をキャップ部で覆って前記ノズル開口を封止空部内に臨ませた状態で封止可能なもので、
前記キャップ部内の封止空部から溢れ出した前記液体を液体受容部で受容する構成とされている
液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−143921(P2012−143921A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2753(P2011−2753)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】