説明

モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、それらの塩およびエステルの製造方法およびそれらの使用

この発明は、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩の製造方法であって;a)ホスフィン酸源(I)をオレフィン(IV)を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)に変換させ、b)生成したアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)を、式(V)のアセチル化合物を用いて、触媒Bの存在下で、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸誘導体(III)に変換させる方法に関し、ここに、R、R、R、R、R、Rは、同一または互いに異なって、また互いに独立して、とりわけH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリールであり、XはH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリール、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、および/またはプロトン化窒素塩基を表し、触媒AおよびBは、遷移金属および/または遷移金属化合物および/または、遷移金属および/または遷移金属化合物および少なくとも1つの配位子から構成される触媒系である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、それらの塩およびエステルの製造方法およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩の製造方法で、経済的かつラージスケールで使用可能であり、とりわけ高い空時収率を可能にできるものが無かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、やっかいなハロゲン化合物を原料に用いずとも十分に有効な方法、加えて最終生成物を容易に得ることができるか、あるいは単離可能であるか、意図的な反応条件下(例えばエステル交換)でも、意図し希望したように製造ができる方法も無かった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸類、同エステルおよび同塩の製造方法によって解決されるが、この方法は、
a)ホスフィン酸源(I)
【化1】

をオレフィン(IV)
【0005】
【化2】

を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)
【0006】
【化3】

に変換させ、
b)生成したアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステルIIを、式(V)のアセチル化合物
【0007】
【化4】

を用いて、触媒Bの存在下で、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸誘導体(III)
【0008】
【化5】

に変換させることを特徴とし、
式中、R、R、R、R、R、Rは、同一または互いに異なって、また互いに独立してH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリール、CN、CHO、OC(O)CHCN、CH(OH)C、CHCH(OH)CH、9−アントラセン、2−ピロリドン、(CHOH、(CHNH、(CHNCS、(CHNC(S)NH、(CHSH、(CHS−2−チアゾリン、(CHSiMe、C(O)R、(CHC(O)R、CH=CHRおよび/またはCH=CH−C(O)Rを意味し、ここにRはC〜CアルキルまたはC〜C18アリールを表し、mは、0〜10の整数を意味し、XはH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリール、(CHOH、CH−CHOH−CHOH、(CHO(CHH、(CH−CH(OH)−(CHH、(CH−CHO)H、(CH−C[CH]HO)H、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)H、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)H、(CH−CHO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)−アルキル、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)O−アルキル、(CH−CH=CH(CHH、(CHNHおよび/または(CHN[(CHH]を表し、ここにkは、0〜10の整数を意味し、および/またはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、Hおよび/またはプロトン化窒素塩基を表し、触媒AおよびBは、遷移金属および/または遷移金属化合物、および/または、遷移金属および/または遷移金属化合物および少なくとも1つの配位子から構成される触媒系である。
【0009】
好ましくは、工程b)で得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、その塩またはエステル(III)を、引き続き工程c)でMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kの金属化合物および/またはプロトン化窒素塩基と反応させて、これらの金属および/または窒素化合物の、対応するモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)に変換する。
【0010】
好ましくは、工程a)で得られたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)、および/または工程b)で得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、その塩またはエステル(III)、および/またはそれらのそれぞれ生成した反応溶液を、酸化アルキレンまたはアルコールM−OHおよび/またはM’−OHでエステル化し、それぞれ生じるアルキル亜ホスホン酸エステル(II)および/またはモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸エステル(III)を、さらなる反応工程b)またはc)に掛ける。
【0011】
好ましくは、前記C〜C18アリール基、C〜C18アラルキル基およびC〜C18アルキルアリール基は、SO、−C(O)CH、OH、CHOH、CHSO、PO、NH、NO、OCH、SHおよび/またはOC(O)CHで置換されている。
【0012】
好ましくは、R、R、R、R、R、Rが、同一または互いに異なり、また、互いに独立してH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチルおよび/またはフェニルを意味する。
【0013】
好ましくは、Xは、Ca、Al、Zn、Ti、Mg、Ce、Fe、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、フェニル、エチレングリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、アリルおよび/またはグリセリンを意味する。
【0014】
好ましくは、m=1〜10、およびk=2〜10である。
【0015】
好ましくは、触媒系AおよびBは、それぞれ、遷移金属および/または遷移金属化合物および少なくとも1つの配位子の反応で形成される。
【0016】
好ましくは、遷移金属および/または遷移金属化合物は、第7および第8亜族に属するものである。
【0017】
好ましくは、遷移金属および/または遷移金属化合物は、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウムである。
【0018】
好ましくは、アセチレン化合物(V)は、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、1−オクチン、4−オクチン、1−ブチン−4−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−1−オール、5−ヘキシン−1−オール、1−オクチン−3−オール、1−ペンチン、フェニルアセチレンおよび/またはトリメチルシリルアセチレンである。
【0019】
好ましくは、一般式M−OHの前記アルコールは、直鎖または分岐、飽和および不飽和の、C〜C18の炭素鎖長を有する一価の有機アルコールであり、一般式M’−OHの前記アルコールは、直鎖または分岐、飽和および不飽和の、C〜C18の炭素鎖長を有する多価の有機アルコールである。
【0020】
本発明はさらに、請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩および同エステルの、さらなる合成のための中間体として、バインダーとして、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂を硬化する際の架橋剤あるいは促進剤として、ポリマー安定剤として、農薬として、ヒトまたは動物用の治療薬または治療薬添加剤として、金属イオン遮蔽剤として、ミネラル油添加剤として、腐食防止剤としての、洗濯・洗浄剤用途および電子用途での使用に関する。
【0021】
本発明は同様に、請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩および同エステル(III)の、防燃剤、特にワニスおよび膨張性被覆のための防燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の防燃剤として、ポリマー用の反応性および/または非反応性防燃剤として、防燃化ポリマー成形組成物を製造するため、防燃化ポリマー成形体を製造するため、および/または含浸によりポリエステルおよびセルロース純粋および混紡織布を難燃化仕上げするための使用にも関する。
【0022】
本発明はまた、請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩あるいは同エステル(III)を0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を0.5〜95重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材あるいは強化材を0〜55重量%、これらの成分の合計が100重量%となるように含有する、防燃化熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形組成物にも関する。
【0023】
最後に、本発明はさらに、請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩あるいは同エステル(III)を0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を0.5〜95重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材あるいは強化材を0〜55重量%、これらの成分の合計が100重量%となるように含有する、防燃化熱可塑性または熱硬化性ポリマーの成形体、フィルム、糸および繊維にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
前述の全ての反応は、段階的に実施することもでき、同様に、異なる工程において、それぞれ生じた反応溶液を使用することもできる。
【0025】
工程b)によるモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸(III)がエステルであるとき、好ましくは酸性または塩基性加水分解を行うことで、遊離のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸またはその塩を得ることができる。
【0026】
好ましくは、製造目標化合物、すなわち、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸は、エチルビニルホスフィン酸、プロピルビニルホスフィン酸、i−プロピルビニルホスフィン酸、ブチルビニルホスフィン酸、i−ブチルビニルホスフィン酸、2−フェニルエチルビニルホスフィン酸、エチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、プロピル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、i−プロピル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、ブチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、sec−ブチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、i−ブチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、2−フェニルエチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、エチル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、プロピル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、i−プロピル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、ブチル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、sec−ブチル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、i−ブチル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸、2−フェニルエチル−(2−フェニル−ビニル)ホスフィン酸であり;エステルは、前述のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸のメチル−、エチル−、i−プロピル−、ブチル−、フェニル−、2−ヒドロキシエチル−、2−ヒドロキシプロピル−、3−ヒドロキシプロピル−、4−ヒドロキシブチル−および/または2,3−ジヒドロキシプロピルエステルであり;塩は、前述のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸のアルミニウム(III)−、カルシウム(II)−、マグネシウム(II)−、セリウム(III)−、Ti(IV)−および/または亜鉛(II)塩である。
【0027】
好ましくは、触媒A用の遷移金属は、第7および8亜族元素(新命名法では、第7,8,9または10族金属)、例えばレニウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金である。
【0028】
好ましくは、遷移金属および遷移金属化合物の供給源としては、それらの金属塩が用いられる。好適な塩は、アニオンとしてフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、亜フッ素酸塩、亜塩素酸塩、亜臭素酸塩、亜ヨウ素酸塩、次亜フッ素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、過フッ素酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、酸化物、水酸化物、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、過硫酸塩、チオ硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、リン化物、炭酸塩およびスルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、クロロスルホン酸塩、フルオロスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、t−ブチルスルホン酸塩、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸塩およびスルホン化イオン交換樹脂、を含む鉱酸の塩;および/または有機塩、例えばアセチルアセトン酸塩、および、C20までのハロゲン化カルボン酸塩、例えばトリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩も含めた、C20までのカルボン酸の塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、ステアリン酸塩およびクエン酸塩である。
【0029】
遷移金属および遷移金属化合物のさらなる供給源として、遷移金属とテトラフェニルホウ酸アニオンおよびハロゲン化テトラフェニルホウ酸アニオンとの塩、例えばペルフルオロフェニルホウ酸塩が挙げられる。
【0030】
好ましい塩には、1つまたは複数の遷移金属イオン、および互いに独立して1つまたは複数のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンおよび有機ホスホニウムイオン、および互いに独立して1つまたは複数の上記のアニオンでなる複塩および錯塩も含まれる。好ましい複塩として、例えばヘキサクロロパラジウム酸アンモニウムおよびテトラクロロパラジウム酸アンモニウムが挙げられる。
【0031】
遷移金属の供給源として、元素としての遷移金属および/またはその0価状態の遷移金属化合物が好ましい。
【0032】
好ましくは、遷移金属は、金属として使用されるか、他の金属、好ましくはホウ素、ジルコニウム、タンタル、タングステン、レニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金および/または金との合金として使用される。ここに、使用される合金中の遷移金属含量は好ましくは45〜99.95重量%である。
【0033】
好ましくは、遷移金属は、微粒分散(粒径0.1mm〜100μm)で使用される。
【0034】
好ましくは、遷移金属は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、ケイソウ土等の金属酸化物上に、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム等の金属炭酸塩上に、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム等の金属硫酸塩上に、リン酸アルミニウム、リン酸バナジウム等の金属リン酸塩上に、炭化ケイ素等の金属炭化物上に、アルミン酸カルシウム等の金属アルミン酸塩上に、ケイ酸アルミニウム、白亜、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト等の金属ケイ酸塩上に、SiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標)等の官能化ケイ酸塩、官能化シリカゲル上に、Deloxan(登録商標)等の官能化ポリシロキサン上に、金属窒化物上に、炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、輝安鉱、灰重石、ペロフスカイト、ヒドロタルサイト、ヘテロポリアニオン上に、官能化および非官能化セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオン上に、Amberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標)等のイオン交換体上に、Chelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標)等の官能化ポリマー上に、ポリマー結合ホスファン、ホスファン酸化物、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミン、アンモニウム塩、アミド、チオアミド、尿素、チオ尿素、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオール、チオールエーテル、チオールエステル、アルコール、アルコキシド、エーテル、エステル、カルボン酸、酢酸塩、アセタール、ペプチド、ヘタレン、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素および/またはデンドリマー上に担持されて使用される。
【0035】
金属塩および/または遷移金属の適切な供給源として、それらの錯化合物も同様に好ましい。金属塩および/または遷移金属の錯化合物は、金属塩あるいは遷移金属および1つまたは複数の錯化剤で構成される。好適な錯化剤は、例えばオレフィン、ジオレフィン、ニトリル、ジニトリル、一酸化炭素、ホスフィン、ジホスフィン、亜リン酸塩、ジ亜リン酸塩、ジベンジリデンアセトン、シクロペンタジエニル、インデニルまたはスチレンである。金属塩および/または遷移金属の好適な錯化合物は、上記の担持材料上に担持できる。
【0036】
好ましくは、上述の担持された遷移金属の含量は、担持材料の総質量に対し、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%である。
【0037】
遷移金属および遷移金属化合物の適した供給源として、例えば、
パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム;アルミナ上の、シリカ上の、炭酸バリウム上の、硫酸バリウム上の、炭酸カルシウム上の、炭酸ストロンチウム上の、炭上の、活性炭上のパラジウム、白金、ニッケルまたはロジウム;白金・パラジウム・金合金、アルミニウム・ニッケル合金、鉄・ニッケル合金、ランタノイド・ニッケル合金、ジルコニウム・ニッケル合金、白金・イリジウム合金、白金・ロジウム合金;Raney(登録商標)ニッケル、ニッケル・亜鉛・鉄酸化物;パラジウム(II)−、ニッケル(II)−、白金(II)−、ロジウム−の、−塩化物、−臭化物、−ヨウ化物、−フッ化物、−水素化物、−酸化物、−過酸化物、−シアン化物、−硫酸塩、−硝酸塩、−リン化物、−ホウ化物、−クロム酸化物、−コバルト酸化物、−炭酸水酸化物、−シクロヘキサン酪酸塩、−水酸化物、−モリブデン酸塩、−オクタン酸塩、−シュウ酸塩、−過塩素酸塩、−フタロシアニン、−5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、−スルファミン酸塩、−過塩素酸塩、−チオシアン酸塩、−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)、−プロピオン酸塩、−酢酸塩、−ステアリン酸塩、−2−エチルヘキサン酸塩、−アセチルアセトン酸塩、−ヘキサフルオロアセチルアセトン酸塩、−テトラフルオロホウ酸塩、−チオ硫酸塩、−トリフルオロ酢酸塩、−フタロシアニンテトラスルホン酸四ナトリウム塩、−メチル、−シクロペンタジエニル、−メチルシクロペンタジエニル、−エチルシクロペンタジエニル、−ペンタメチルシクロペンタジエニル、−2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、−5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、−ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、−2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、−2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、−5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン−、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン−、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル−、アセトニトリル−、ベンゾニトリル−、エチレンジアミン−、クロロホルム−、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン−、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン(3−クロロピリジル)−、2’−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル−、ジノルボルニルホスフィン−、2−(ジメチルアミノ−メチル)フェロセン−、アリル−、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン−、(N−スクシンイミジル)ビス−(トリフェニルホスフィン)−、ジメチルフェニルホスフィン−、メチルジフェニルホスフィン−、1,10−フェナントロリン−、1,5−シクロオクタジエン−、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン−、トリフェニル−ホスフィン−、トリ−o−トリルホスフィン−、トリシクロヘキシルホスフィン−、トリブチルホスフィン−、トリエチルホスフィン−、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル−、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン−、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン−、1,1’−ビス(ジ−フェニルホスフィノ)フェロセン−、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン−、N−メチルイミダゾール−、2,2’−ビピリジン−、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)−、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)−、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)−、2−メトキシエチルエーテル−、エチレングリコールジメチルエーテル−、1,2−ジメトキシエタン−、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)−、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)−、1,2−ジアミノシクロヘキサン−、ピリジン−、2,2’:6’,2’’−ターピリジン−、ジエチルスルフィド−、エチレン−、アミン−錯体;カリウム−、ナトリウム−、アンモニウム−のヘキサクロロパラジウム酸塩(IV)、カリウム−、ナトリウム−、アンモニウム−のテトラクロロパラジウム酸塩(II)、ブロモ(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(I)二量体、(2−メチル−アリル)パラジウム(II)塩化物二量体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]パラジウム(0)、ビス(3,5,3’,5’−ジメトキシジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、meso−テトラフェニルテトラベンゾポルフィンパラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(3,3’,3’’−ホフィニジン−トリス(ベンゼンスルホナト)パラジウム(0)九ナトリウム塩、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、およびそれらのクロロホルム錯体;
アリルニッケル(II)クロリド二量体、硫酸ニッケル(II)アンモニウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィット)ニッケル(0)、ヘキサフルオロニッケル(IV)酸カリウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、パラ過ヨウ素酸カリウムニッケル(IV)、テトラブロモニッケル(II)酸ジリチウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム;
白金(IV)の−塩化物、−酸化物、−硫化物、カリウム−、ナトリウム−、アンモニウム−のヘキサクロロ白金(IV)酸塩、カリウム−、アンモニウム−のテトラクロロ白金(II)酸塩、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)、cis−ジアンミンテトラクロロ白金(IV)、トリクロロ(エチレン)白金(II)酸カリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(II)酸テトラアミン白金(II)、テトラブチルアンモニウムヘキサクロロ白金(IV)酸、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、白金(0)−2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラキス(トリフェニル−ホスフィン)白金(0)、白金オクタエチルポルフィリン、クロロ白金酸、カルボ白金;
クロロビス(エチレン)ロジウム二量体、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム二量体、クロロ(ノルボマジエン)ロジウム二量体、クロロ(1,5−ヘキサジエン)ロジウム二量体がある。
【0038】
配位子は好ましくは式(VI)のホスフィンであり、
PR (VI)
式中、残基Rは互いに独立して、水素、直鎖の、分岐した、または環状のC〜C20アルキル、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20カルボキシアート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリルおよび/またはそれらの誘導体、および/または少なくともRで置換されたフェニル−または少なくともRで置換されたナフチルを表す。Rは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NH、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ホルミル、直鎖の、分岐した、または環状のC〜C20アルキル、C〜C20アルコキシ、HN(C〜C20アルキル)、N(C〜C20アルキル)、−CO−(C〜C20アルキル)、−CON(C〜C20アルキル)、−OCO(C〜C20アルキル)、NHCO(C〜C20アルキル)、C〜C20アシル、−SOM、−SON(R13)M、−COM、−PO、−AsO、−SiOM、−C(CFOM(M=H、Li、NaまたはK)、ここにR10は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、直鎖の、分岐した、または環状のC〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アルキニル、C〜C20カルボキシアート、C〜C20アルコキシ、C〜C20アルケニルオキシ、C〜C20アルキニルオキシ、C〜C20アルコキシカルボニル、C〜C20アルキルチオ、C〜C20アルキルスルホニル、C〜C20アルキルスルフィニル、シリルおよび/またはそれらの誘導体、アリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20アルキルアリール、フェニルおよび/またはビフェニルを意味する。好ましくはR基は全て同一である。
【0039】
好適なホスフィン(VI)は、例えば、トリメチル−、トリエチル−、トリプロピル−、トリイソプロピル−、トリブチル−、トリイソブチル−、トリイソペンチル−、トリヘキシル−、トリシクロヘキシル−、トリオクチル−、トリデシル−、トリフェニル−、ジフェニルメチル−、フェニルジメチル−、トリ(o−トリル)−、トリ(p−トリル)−、エチルジフェニル−、ジシクロヘキシルフェニル−、2−ピリジルジフェニル−、ビス(6−メチル−2ピリジル)−フェニル−、トリ−(p−クロロフェニル)−、トリ−(p−メトキシフェニル)−、ジフェニル(2−スルホナトフェニル)−のホスフィン;
ジフェニル(3−スルホナトフェニル)ホスフィン、ビス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、ビス(3−スルホナトフェニル)フェニルホスフィン、トリス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィン、トリス(2−スルホナトフェニル)ホスフィン、トリス(3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム−、ナトリウム−、およびアンモニウム塩;2−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)トリメチルアンモニウムヨウ化物、2’−ジシクロヘキシルホスフィノ−2,6−ジメトキシ−3−スルホナト−1,1’−ビフェニル−ナトリウム塩、亜リン酸トリメチルおよび/または亜リン酸トリフェニルである。
【0040】
特に好ましくは、配位子は次の一般式の二座配位子である。
M’’−Z−M’’R (VII)
式中、M’’は、互いに独立して、N、P、AsまたはSbを表す。好ましくは、両方のM’’は同じであり、特に好ましくはM’’は、リン原子を示す。
【0041】
それぞれのR基は、互いに独立して、式(VI)に記される残基を表す。好ましくは全てのR基は同一である。
【0042】
Zは、好ましくは、少なくとも1つの架橋原子を含む二価の架橋原子団を表し、ここに好ましくは2〜6の架橋原子を含む。
【0043】
架橋原子は、好ましくはC−、N−、O−、Si−およびS−原子から選ぶことができる。好ましくはZは、少なくとも1個の炭素原子を含む有機架橋原子団である。好ましくはZは、1〜6個の架橋原子を含む有機架橋原子団であり、そのうち少なくとも2個は、置換でも非置換であってもよい炭素原子である。
【0044】
好ましいZ基としては、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH−C(CH−CH−、−CH−C(C)−CH−、−CH−Si(CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−CH−CH(C)−CH−、−CH−CH(n−Pr)−CH、−CH−CH(n−Bu)−CH−、非置換または置換1,2−フェニル−、1,2−シクロヘキシル−、1,1’−または1,2−フェロセニル残基、2,2’−(1,1’−ビフェニル)−、4,5−キサンテン−および/またはオキシジ−2,1−フェニレン残基がある。
【0045】
好適な、二座ホスフィン配位子(VII)としては、例えば1,2−ビス(ジメチル−)、1,2−ビス(ジエチル−)、1,2−ビス(ジプロピル−)、1,2−ビス(ジイソプロピル−)、1,2−ビス(ジブチル−)、1,2−ビス(ジ−tert.−ブチル−)、1,2−ビス(ジシクロヘキシル−)および1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;1,3−ビス(ジシクロヘキシル−)、1,3−ビス(ジイソプロピル−)、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチル−)および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,4−ビス−(ジイソプロピル−)および1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;1,5−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタン;1,2−ビス(ジ−tert.−ブチル−)、1,2−ビス(ジ−フェニル−)、1,2−ビス(ジ−シクロヘキシル−)、1,2−ビス(ジシクロ−ペンチル−)、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチル−)、1,3−ビス(ジフェニル−)、1,3ビス(ジ−シクロヘキシル−)および1,3−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)ベンゼン;9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−ジ−tert.−ブチルキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)キサンテン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)、2,5−(ジ−イソプロピルホスホラノ)ベンゼン、2,3−O−イソプロプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,2’−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2−(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル−アミン、2−[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ピリジン;1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)−ベンゼン、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−4,4’,7,7’−テトラスルホナト−1,1’−ビナフチル、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−5,5’−テトラスルホナト−1,1’−ビフェニル、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−1,1’−ビナフチル、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]−メチル]−1,1’−ビフェニル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテン、1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)−ベンゼン、meso−テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィン、meso−テトラキス(2,6−ジクロロ−3−スルホナトフェニル)ポルフィン、meso−テトラキス(3−スルホナトメシチル)ポルフィン、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィンおよび5,11,17,23−スルホナト−25,26,27,28−テトラヒドロキシカリックス[4]アレーンのカリウム−、ナトリウム−、およびアンモニウム塩が挙げられる。
【0046】
さらに、式(VI)および(VII)の配位子は、残基Rおよび/または架橋原子団により適当なポリマーまたは無機基材と結合できる。
【0047】
前記触媒系の遷移金属と配位子のモル比は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.05〜1:10、とりわけ1:1〜1:4である。
【0048】
好ましくは、工程a)、b)およびc)での反応は、任意選択で、さらなるガス状成分、例えば窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素を含む雰囲気下で行われ、温度は−20〜340℃、とりわけ20〜180℃、全圧は1〜100barである。
【0049】
工程a)、b)およびc)後の生成物および/または遷移金属および/または遷移金属化合物および/または触媒系および/または配位子および/または原料の単離は、任意選択により蒸留または精留で、結晶化または沈殿で、ろ過または遠心分離で、吸着またはクロマトグラフィーで、または他の既知の方法で行う。
【0050】
本発明において、溶媒、助剤、あるいは他の揮発性成分は、例えば蒸留、ろ過、および/または抽出で分離される。
【0051】
好ましくは、工程a)、b)およびc)での反応は、任意選択で吸収塔、噴霧塔、気泡塔、撹拌槽、細流固定床反応器、栓流反応器、ループ反応器および/または混練機で行われる。
【0052】
適当な混合装置は、例えば、アンカ型、パドル型、多段向流インペラ(MIG)型、プロペラ型、インペラ型、タービン型、十字型の撹拌機、分散板、中空(ガス吹込み)撹拌機、回転子・固定子ミキサ、静止型ミキサ、ベンチュリ・ノズルおよび/またはマンモスポンプである。
【0053】
好ましくは、反応溶液・混合物には、回転レイノルズ数で1〜1.000.000、好ましくは100〜100.000に相当する混合強度をかける。
【0054】
好ましくは、各反応成分等の激しい混合を、0.080〜10kW/m、好ましくは0.30〜1.65kW/mのエネルギー入力下で行う。
【0055】
好ましくは、各触媒AまたはBは、反応中には、均一系でおよび/または不均一系で働く。このため、不均一系で働く触媒は、反応中に懸濁液としてまたは固定相に結合して働く。
【0056】
好ましくは、各触媒AまたはBは、反応前および/または反応の始めにおよび/または反応中にin situで生成される。
【0057】
好ましくは、各反応は、均一または不均一混合物中の1相系として溶媒中で、および/または気相中で行われる。
【0058】
多相系が用いられるときは、さらに相間移動触媒が使用できる。
【0059】
本発明による反応は、液相中で、気相中で、あるいはさらに超臨界相中で実施できる。このとき、各触媒AまたはBは、液体の場合には、好ましくは均一系または懸濁液として使用され、気相または超臨界運転法では、固定床機構が有利である。
【0060】
好適な溶媒は、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、i−オクタノール、n−トリデカノール、ベンジルアルコール等である。加えて好ましくは、グリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール等;脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、および石油エーテル、石油ベンジン、ケロシン、石油、パラフィン油等;芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等;ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、四塩化炭素、テトラブロモエチレン等;脂環式炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン等;エーテル、例えばアニソール(メチルフェニルエーテル)、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジフェニルエーテル、メチルビニルエーテル、テトラヒドロフラン、トリイソプロピルエーテル等;グリコールエーテル、例えばジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME、モノグリム)、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等;ケトン、例えばアセトン、ジイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン等;エステル、例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、および酢酸n−ブチル等;カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等であり、単独また相互に組み合わせられる。
【0061】
使用されるオレフィンおよびホスフィン酸源もまた好適な溶媒である。これらは、より高い空時収率という形で利点をもたらす。
【0062】
好ましくは反応は、オレフィンおよび/または溶媒の固有の蒸気圧下で実施される。
【0063】
好ましくは、オレフィン(IV)のR、R、R、Rは、同一または互いに異なっており、互いに独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチルおよび/またはフェニルを意味している。
【0064】
好ましくは、また官能性オレフィン、例えばイソチオシアン酸アリル、メタクリル酸アリル、2−アリルフェノール、N−アリルチオ尿素、2−(アリルチオ)−2−チアゾリン、アリルトリメチルシラン、酢酸アリル、アセト酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、アリルベンゼン、アリルシアニド、アリルシアノ酢酸、アリルアニソール、trans−2−ペンテナール、cis−2−ペンテンニトリル、1−ペンテン−3−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、trans−2−ヘキセナール、trans−2−ヘキセン−1−オール、cis−3−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、スチレン、−メチルスチレン、4−メチルスチレン、酢酸ビニル、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンおよび1−ビニル−2−ピロリドンも使用される。
【0065】
好ましくは、前記反応はオレフィン分圧0.01〜100bar、特に好ましくはオレフィン分圧0.1〜10barで行う。
【0066】
好ましくは、前記反応は、ホスフィン酸とオレフィンのモル比1:10.000〜1:0.001、特に好ましくは1:30〜1:0.01の比で行う。
【0067】
好ましくは、前記反応は、ホスフィン酸と触媒のモル比1:1〜1:0.00000001、特に好ましくはホスフィン酸と触媒のモル比1:0.01〜1:0.000001で行う。
【0068】
好ましくは、前記反応は、ホスフィン酸と溶媒のモル比1:10.000〜1:0、特に好ましくはホスフィン酸と溶媒のモル比1:50〜1:1で行う。
【0069】
式(II)の化合物の、本発明による製造方法は、ホスフィン酸源をオレフィンを用いて、触媒の存在下で反応させ、生成物(II)(アルキル亜ホスホン酸あるいは同塩、同エステル)を、触媒、遷移金属あるいは遷移金属化合物、配位子、錯化剤、塩、および副生成物から分離することを特徴とする。
【0070】
本発明によれば、触媒、触媒系、遷移金属および/または遷移金属化合物は、助剤1を加えて、触媒、触媒系、遷移金属および/または遷移金属化合物を抽出および/またはろ過して除去することで、分離される。
【0071】
本発明によれば、配位子および/または錯化剤は、助剤2と共に抽出することで、および/または助剤2と共に蒸留することで分離される。
【0072】
助剤1は、好ましくは、水および/または金属捕捉剤(Metal Scavenger)の群の少なくとも1種である。好ましい金属捕捉剤には、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、ケイ藻土;金属炭酸塩、例えば、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム;金属硫酸塩、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム;金属リン酸塩、例えばリン酸アルミニウム、リン酸バナジウムM;金属炭化物、例えば炭化ケイ素;金属アルミン酸塩、例えばアルミン酸カルシウム;金属ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、白亜、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト;官能化ケイ酸塩、官能化シリカゲル、例えばSiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標);官能化ポリシロキサン、例えばDeloxan(登録商標);金属窒化物、炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、輝安鉱、灰重石、ペロフスカイト、ヒドロタルサイト、官能化および非官能化セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオン、イオン交換体、例えばAmberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標);官能化ポリマー、例えばChelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標);ポリマー結合ホスファン、ホスファン酸化物、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミン、アンモニウム塩、アミド、チオアミド、尿素、チオ尿素、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオール、チオールエーテル、チオールエステル、アルコール、アルコキシド、エーテル、エステル、カルボン酸、酢酸塩、アセタール、ペプチド、ヘタレン、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素および/またはデンドリマーがある。
【0073】
好ましくは、助剤1を、金属の助剤1に対する負荷が0.1〜40重量%に相当する量で添加する。
【0074】
好ましくは、助剤1は、20〜90℃の温度で使用する。
【0075】
好ましくは、助剤1の滞留時間は0.5〜360分である。
【0076】
助剤2は、好ましくは、工程a)で好ましく使用されたaと同様に、前述の本発明による溶媒である。
【0077】
モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸(III)あるいはアルキル亜ホスホン酸誘導体(II)ならびにホスフィン酸源(I)の、対応するエステルへのエステル化は、例えば、高沸点性アルコールと、生成する水を共沸蒸留で除去しながら反応させ、またはエポキシド(酸化アルキレン)と反応させて行うことができる。
【0078】
ここに、好ましくは、工程a)の後に、アルキル亜ホスホン酸(II)は、一般式M−OHおよび/またはM’−OHのアルコールと、または酸化アルキレンとの反応により、以下に示されるように、直接エステル化される。
【0079】
好ましくは、M−OHは、炭化水素鎖長C〜C18の、第一級、第二級、または第三級アルコールである。特に好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert.−ブタノール、アミルアルコールおよび/またはヘキサノールである。
【0080】
好ましくは、M’−OHは、エチレングリコール、1,2−プロピレン−グリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチル−グリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリスヒドロキシメチルエタン、トリスヒドロキシメチルプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、α−ナフトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよび/またはEO−PO−ブロックポリマーである。
【0081】
M−OHおよびM’−OHとしては、1価または多価の炭素鎖長C〜C18の不飽和アルコール、例えばn−ブテン−2−オール−1、1,4−ブテンジオールおよびアリルアルコールも好適である。
【0082】
M−OHおよびM’−OHとしては、1価のアルコールと、酸化アルキレンの1または複数分子、好ましくは酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物も適当である。好ましくは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシ−エタノール、2−(2’−エチル−ヘキシルオキシ)−エタノール、2−n−ドデコキシ−エタノール、メチルジグリコール、エチルジグリコール、イソプロピルジグリコール、脂肪族アルコールポリグリコールエーテルおよびアリールポリグリコールエーテルである。
【0083】
好ましくは、M−OHおよびM’−OHは、多価のアルコールと、酸化アルキレンの1または複数分子との反応生成物でもあり、特にジグリコールおよびトリグリコール、ならびに1〜6分子の酸化エチレンまたは酸化プロピレンの、グリセリン、トリスヒドロキシメチルプロパンまたはペンタエリトリトールへの付加生成物である。
【0084】
M−OHおよびM’−OHとしては、水と、酸化アルキレン1または複数分子との反応生成物も使用できる。100〜1000g/mol、特に好ましくは150〜350g/molの平均分子量を有する様々な分子サイズのポリエチレングリコールおよびポリ−1,2−プロピレングリコールが好ましい。
【0085】
M−OHおよびM’−OHとしては、酸化エチレンとポリ−1,2−プロピレングリコールまたは脂肪族アルコールプロピレングリコールとの反応生成物;同様に、1,2−酸化プロピレンとポリエチレングリコールまたは脂肪族アルコールエトキシラートとの反応生成物もまた好ましい。平均分子量が100〜1000g/mol、特に好ましくは150〜450g/molであるような反応生成物が好ましい。
【0086】
M−OHおよびM’−OHとして、酸化アルキレンと、アンモニア、第一級または第二級アミン、硫化水素、メルカプタン、リンの酸素酸およびC〜Cジカルボン酸との反応生成物も使用できる。酸化エチレンと窒素化合物の好適な反応生成物には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、n−ブチル−ジエタノールアミン、n−ドデシル−ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、n−ブチル−メチル−エタノールアミン、ジ−n−ブチル−エタノールアミン、n−ドデシルメチル−エタノールアミン、テトラヒドロキシエチル−エチレンジアミンまたはペンタヒドロキシエチルジエチレントリアミンがある。
【0087】
好ましい酸化アルキレンには、酸化エチレン、1,2−酸化プロピレン、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシエチルベンゼン、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、2,3−エポキシ−1−プロパノールおよび3,4−エポキシ−1−ブテンがある。
【0088】
好適な溶媒には、工程a)で挙げられた溶媒、また使用されるアルコールM−OH、M’−OHおよび酸化アルキレンがある。これらは、空時収率がより高いという点で有利である。
【0089】
好ましくは前記反応は、使用されるアルコールM−OH、M’−OHおよび酸化アルキレン、および/または溶媒の固有の蒸気圧下で実施される。
【0090】
好ましくは前記反応は、使用されるアルコールM−OH、M’−OHおよび酸化アルキレンの分圧0.01〜100bar、特に好ましくはアルコールの分圧0.1〜10barで行われる。
【0091】
好ましくは前記反応は、−20〜340℃の温度で、特に好ましくは20〜180℃の温度で行われる。
【0092】
好ましくは前記反応は、1〜100barの全圧で行われる。
【0093】
好ましくは前記反応は、アルコールあるいは酸化アルキレン成分の、ホスフィン酸源(I)あるいはアルキル亜ホスホン酸(II)あるいはモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸(III)に対するモル比が、10,000:1〜0.001:1、特に好ましくは1000:1〜0.01:1の比で行われる。
【0094】
好ましくは前記反応は、ホスフィン酸源(I)あるいはアルキル亜ホスホン酸(II)あるいはモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸(III)の、溶媒に対するモル比が、1:10.000〜1:0、特に好ましくは1:50〜1:1のホスフィン酸/溶媒モル比で行われる。
【0095】
例えば、アルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)を、アセチル化合物(V)を用いて、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、その塩およびエステル(III)に変換する工程b)のために用いられる触媒Bは、好ましくは触媒Aでよい。
【0096】
好ましくは、式(V)のアセチレン化合物において、RおよびRは、互いに独立して、Hおよび/または(場合により置換された)C〜Cアルキル、C〜C18アリールおよび/またはC〜C20アルキルアリールを意味する。
【0097】
好ましくは、RおよびRは、H、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、フェニル、ナフチル、トリル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニル−プロピルおよび/または2−フェニルプロピルを意味する。
【0098】
好ましくは、アセチレン化合物として、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、1−オクチン、4−オクチン、1−ブチン−4−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−1−オール、5−ヘキシン−1−オール、1−オクチン−3−オール、1−ペンチン、フェニルアセチレンおよび/またはトリメチルシリルアセチレンが使用される。
【0099】
好ましくは、前記反応は、式(X)のホスフィン酸の存在下で実施され、
【0100】
【化6】

式中、R11およびR12は、互いに独立して、(場合により置換された)、C〜C20アルキル、C〜C20アリールまたはC〜C20アルカリールを意味する。
【0101】
好ましくは、R11およびR12は、互いに独立して、(場合により置換された)、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、フェニル、ナフチル、トリルまたはキシリルを意味する。
【0102】
好ましくは、ホスフィン酸(X)の割合は、使用されるアルキル亜ホスホン酸(II)を基準にして、0.01〜100モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。
【0103】
好ましくは、前記反応は30〜120℃の温度、特に好ましくは50〜90℃で行われ、反応時間は0.1〜20時間である。
【0104】
好ましくは、前記反応は、アセチル化合物(V)および/または溶媒自身の蒸気圧下で実施される。
【0105】
工程b)用に適当な溶媒は、先に工程a)で使用されたものと同様である。
【0106】
好ましくは、前記反応は、アセチル化合物の分圧0.01〜100bar、特に好ましくは0.1〜10barで行われる。
【0107】
好ましくは、アセチル化合物(V)のアルキル亜ホスホン酸(II)に対する比は、10.000:1〜0.001:1、特に好ましくは30:1〜0.01:1である。
【0108】
好ましくは、前記反応は、アルキル亜ホスホン酸対触媒のモル比1:1〜1:0.00000001、特に好ましくはアルキル亜ホスホン酸対触媒のモル比1:0.25〜1:0.000001で行われる。
【0109】
好ましくは、前記反応は、アルキル亜ホスホン酸対溶媒のモル比1:10.000〜1:0、特に好ましくはアルキル亜ホスホン酸対溶媒のモル比1:50〜1:1で行われる。
【0110】
前記モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸またはその塩(III)は、続いて別の金属塩に変換できる。
【0111】
好ましくは、工程c)で使用される金属化合物は、金属Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kの、特に好ましくは、Mg、Ca、Al、Ti、Zn、Sn、Ce、Feの化合物である。
【0112】
工程c)用に適当な溶媒は、先に工程a)で使用されたものと同様である。
【0113】
好ましくは、工程c)での前記反応は、水性媒体中で行われる。
【0114】
好ましくは、工程c)においては、工程b)により得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、そのエステルおよび/またはアルカリ塩(III)を、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物と反応させ、これらの金属のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)とする。
【0115】
前記反応は、このとき、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステル、同塩(III)の金属に対するモル比が、(4価金属イオンまたは安定な4価酸化状態を有する金属に対し)8:1〜1:3、(3価金属イオンまたは安定な3価酸化状態を有する金属に対し)6:1〜1:3、(2価金属イオンまたは安定な2価酸化状態を有する金属に対し)4:1〜1:3、また(1価金属イオンまたは安定な1価酸化状態を有する金属に対し)3:1〜1:4で行われる。
【0116】
好ましくは、工程b)で得られるモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸エステル、同塩(III)をジアルキルホスフィン酸に転換し、工程c)で、これをMg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物と反応させ、これらの金属のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)とする。
【0117】
好ましくは、工程b)で得られるモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステル(III)をジアルキルホスフィン酸のアルカリ金属塩に転換し、工程c)で、これをMg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物と反応させ、これらの金属のモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)とする。
【0118】
好ましくは、工程c)用のMg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化水酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、金属水酸化炭酸塩、金属水酸化炭酸塩水和物、混合金属水酸化炭酸塩、混合金属水酸化炭酸塩水和物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硫酸塩水和物、金属水酸化硫酸塩水和物、混合金属水酸化硫酸塩水和物、金属オキシ硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩、フッ化物、金属フッ化物水和物、金属塩化物、金属塩化物水和物、金属オキシ塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属ヨウ化物水和物、金属カルボン酸誘導体および/または金属アルコキシドである。
【0119】
好ましくは、前記金属化合物は、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタニル、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および/または硫酸亜鉛である。
【0120】
金属アルミニウム、フッ化アルミニウム、金属アルミニウムの水酸化塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫化物、セレン化物;リン化物、次亜リン酸塩、アンチモン化物、窒化物;炭化物、ヘキサフルオロケイ酸塩;水素化物、カルシウム水素化物、ホウ素水素化物;塩素酸塩;硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、金属アルミニウムの硝酸塩、メタリン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、マグネシウムケイ酸塩、炭酸塩、ヒドロタルサイト、ナトリウム炭酸塩、ホウ酸塩;チオシアン酸塩;酸化物、酸化水酸化物、それらの対応する水和物、および/または、好ましくはアルミニウム含量が9〜40重量%であるポリアルミニウムヒドロキシ化合物もまた適当である。
【0121】
モノ−、ジ−、オリゴ−、ポリカルボン酸のアルミニウム塩、例えば、アルミニウムの二酢酸塩、アセト酒石酸塩、ギ酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、−8−オキシキノラートもまた適当である。
【0122】
同様に、元素状金属亜鉛、ならびに亜鉛塩、例えばハロゲン化亜鉛(フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛)も適当である。
【0123】
また、亜鉛のホウ酸塩、炭酸塩、水酸化炭酸塩、ケイ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、スズ酸塩、水酸化スズ酸塩、マグネシウムアルミニウム水酸化炭酸塩;硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩;硫酸塩、リン化物、セレン化物、テルル化物および第7主族のオキソ酸の亜鉛塩(次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、例えばヨウ素酸亜鉛、過ハロゲン酸塩、例えば過塩素酸亜鉛);擬ハロゲン化物の亜鉛塩(亜鉛のチオシアン酸塩、シアン酸塩、シアン化物);亜鉛の酸化物、過酸化物、水酸化物、または混合亜鉛酸化水酸化物も適当である。
【0124】
好ましくは、遷移金属のオキソ酸の亜鉛塩(例えば、亜鉛のヒドロキシクロム(VI)酸塩、亜クロム酸塩、モリブデン酸塩、過マンガン酸塩、モリブデン酸塩)である。
【0125】
モノ−、ジ−、オリゴ−、ポリカルボン酸の亜鉛塩、例えば、亜鉛のギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、カプリル酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、乳酸塩、アクリル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、アミノ酸(グリシン)の塩、酸性ヒドロキシ官能基の塩(亜鉛フェノラート等)、亜鉛のp−フェノールスルホン酸塩、アセチルアセトン酸塩、スズ酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩も適当である。
【0126】
チタン化合物では、チタン(III)および/または(IV)の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、臭化物、フッ化物、オキシ塩化物、オキシ硫酸塩、酸化物、n−プロポキシド、n−ブトキシド、イソプロポキシド、エトキシド、2−エチルヘキシルオキシドと同様に金属チタンである。
【0127】
また、金属スズならびにスズ塩(スズ(II)および/または(IV)の塩化物);スズ酸化物およびスズアルコキシド、例えばスズ(IV)−tert−ブトキシドも適当である。
【0128】
セリウム(III)のフッ化物、塩化物、硝酸塩もまた適当である。
【0129】
ジルコニウム化合物としては、金属ジルコニウム、ならびに、ジルコニウム塩、例えばジルコニウムの塩化物、硫酸塩、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニルが好ましい。さらに、酸化ジルコニウム、ならびに、ジルコニウム(IV)−tert−ブトキシドが好ましい。
【0130】
好ましくは、工程c)での前記反応は、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)の固体含量が、0.1〜70重量%、好ましくは5〜40重量%で行われる。
【0131】
好ましくは、工程c)での前記反応は、20〜250℃の温度で、好ましくは80〜120℃の温度で行われる。
【0132】
好ましくは、工程d)での前記反応は、0.01〜1000barの圧力で、好ましくは0.1〜100barで行われる。
【0133】
好ましくは、工程d)での前記反応は、反応時間1×10−7〜1×10時間の間行われる。
【0134】
好ましくは、工程d)後にろ過および/または遠心分離で反応混合物から分離されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)は、乾燥される。
【0135】
好ましくは、工程b)により得られた生成物混合物を、追加的に精製することなく、金属化合物と反応させる。
【0136】
好ましい溶媒は、工程a)で、挙げられた溶媒である。
【0137】
好ましくは、工程b)および/またはc)での前記反応は、工程a)および/またはb)により与えられた溶媒系中において行われる。
【0138】
好ましくは、工程c)での前記反応は、改変された所定溶媒系中において行われる。好ましくは、前記溶媒系は、酸性成分、可溶化剤、発泡防止剤等の添加により改変される。
【0139】
本方法の別の一実施形態においては、工程a)および/またはb)により得られた生成物混合物は、追加処理される。
【0140】
本方法の別の一実施形態においては、工程b)により得られた生成物混合物を追加処理し、その後、工程b)により得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩またはエステル(III)を工程c)で金属化合物と反応させる。
【0141】
好ましくは、工程b)による生成物混合物は、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩またはエステル(III)が単離されるというやり方で追加処理される。このとき単離工程は、溶媒系の除去、例えば蒸発濃縮により行う。
【0142】
好ましくは、金属Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeのモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)は、任意選択により、
残留水分が0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%、
平均粒径が0.1〜2000μm、好ましくは10〜500μm、
嵩比重が、80〜800g/l、好ましくは200〜700g/l、
フレングル(Pfrengle)の流動性が0.5〜10、好ましくは1〜5である。
【0143】
特に好ましくは、成形体、同フィルム、同糸、同繊維は、請求項1〜10のいずれか一つに従い製造したモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸/同エステル/同塩を5〜30重量%、ポリマーまたはその混合物を5〜90重量%、添加物を5〜40重量%、充填材を5〜40重量%含有するが、このとき各成分の合計は常に100重量%である。
【0144】
モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩(III)を0.1〜90重量%と、別の添加剤を0.1〜50重量%含む防燃剤が好ましい。
【0145】
好ましくは、前記添加剤は、酸化防止剤、静電防止剤、発泡剤、さらなる防燃剤、耐熱安定剤、耐衝撃性改質剤、加工助剤、滑剤、光安定剤、滴下防止剤、相溶化剤、強化材、充填材、核生成剤、核形成剤、レーザー標識用添加剤、耐加水分解安定剤、鎖長延長剤、着色顔料、軟化剤および/または可塑剤である。
【0146】
好ましい添加剤には、さらに、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、臭素化芳香族または脂環式炭化水素、フェノール、エーテル、クロロパラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエン付加物、赤リン、メラミン誘導体、メラミンシアヌラート、ポリリン酸アンモニウムおよび水酸化マグネシウムもある。好ましい添加剤には、さらに、別の防燃剤、特にジアルキルホスフィン酸の塩もある。
【0147】
とりわけ本発明は、本発明によるモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩(III)の、防燃剤あるいは、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレンまたはポリアミドといった熱可塑性ポリマー用の、および、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンあるいはアクリラートといった熱硬化性ポリマー用の防燃剤を製造するための中間段階としての使用に関する。
【0148】
好ましくは、ポリマーの製造において、慣用の触媒の他に、通常の添加剤(架橋剤、艶消し剤および安定剤、核形成剤、染料および充填材等)も加えることができる。
【0149】
本発明により製造された防燃化ポリマー成形組成物は、好ましくはポリマー成形体中に使用される。
【0150】
好ましいポリマー成形体は、糸、繊維および成形体である。
【0151】
好ましくは、防燃化ポリマーから製造された糸および繊維に結果的に含まれるリン含量は0.1〜18重量%、好ましくは0.5〜15重量%、またフィルムでは0.2〜15重量%、好ましくは0.9〜12重量%である。
【0152】
適当なポリエステルが、ジカルボン酸およびそのエステルとジオールから、および/またはヒドロキシカルボン酸または対応のラクトンから誘導される。特に好ましくは、テレフタル酸とエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール、およびブタン−1,3−ジオールが使用される。
【0153】
適当なポリエステルは、とりわけポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社;Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタラート、ポリヒドロキシ安息香酸エステル、ならびにヒドロキシル末端基を持つポリエーテルから誘導されるブロック・ポリエーテルエステル;さらにポリ炭酸塩またはMBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチロール)で変性されたポリエステルである。
【0154】
好ましいポリオレフィンは、例えば、モノおよびジオレフィン(例えば、エチレン,プロピレン、イソブチレン、ブテン、4−メチルペンテン、イソプレン、ブタジエン、スチレン)からのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)および/またはポリ−(α−メチルスチレン)、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、およびポリエチレン(場合により架橋した)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(HMDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、分岐状低密度ポリエチレン(BLDPE)、さらにシクロオレフィン、例えばシクロペンテンあるいはノルボルネンのポリマーである。
【0155】
前述したポリオレフィン、とりわけポリエチレンおよびポリプロピレンは、好ましくは従来技術、例えばラジカル重合(通常高圧・高温下で)または遷移金属触媒での触媒重合によって製造される。
【0156】
好ましいポリマーとしては、さらに、上に挙げたポリオレフィンの混合物(ブレンド)、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリエチレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE/LDPE)、および異なる種類のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)がある。
【0157】
好ましいポリマーとしては、さらに、モノおよびジオレフィン同士の、またモノおよびジオレフィンと他のビニル・モノマーとのコポリマー、例えば、エチレン・プロピレン・コポリマー;LLDPE、VLDPEおよびこれらとLDPEとの混合物;プロピレン・ブテン−1・コポリマー、プロピレン・イソブチレン・コポリマー、エチレン・ブテン−1・コポリマー、エチレン・ヘキセン・コポリマー、エチレン・メチルペンテン・コポリマー、エチレン・ヘプテン・コポリマー、エチレン・オクテン・コポリマー、プロピレン・ブタジエン・コポリマー、イソブチレン・イソプレン・コポリマー、エチレン・アルキルアクリラート・コポリマー、エチレン・アルキルメタクリラート・コポリマー、エチレン・酢酸ビニル・コポリマー、スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン・ブタジエン、スチレン・アクリロニトリル、スチレン・アルキルメタクリラート、スチレン・ブタジエン・アルキルアクリラートおよび同メタクリラート、スチレン・無水マレイン酸、スチレン・アクリロニトリル・メチルアクリラート;スチレン・コポリマーと他のポリマー、例えば、ポリアクリラート、ジエン・ポリマーまたはエチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマーとからなる高耐衝撃性の混合物;ならびにスチレンのブロック・コポリマー、例えばスチレン・ブタジエン・スチレン、スチレン・イソプレン・スチレン、スチレン・エチレン/ブチレン・スチレン、またはスチレン・エチレン/プロピレン・スチレン、さらにスチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンへのスチレン、ポリブタジエン・スチレン・コポリマーまたはポリブタジエン・アクリロニトリル・コポリマーへのスチレン、ポリブタジエンへのスチレンおよびアクリロニトリル(あるいはメタクリロニトリル);ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリラート;ポリブタジエンへのスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンへのスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレイン酸イミド;ポリブタジエンへのスチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエンへのスチレンおよびアルキルアクリラートまたはアルキルメタクリラート、エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリラートまたはポリアルキルメタクリラートへのスチレンおよびアクリロニトリル、アクリラート・ブタジエン・コポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル、ならびに、例えば、いわゆるABS−、MBS−、ASA−またはAES−ポリマーとして知られるような、それらの混合物;またそれらの一酸化炭素とのコポリマー、またはエチレン・アクリル酸・コポリマーおよびそれらの塩(アイオノマー)および、さらにエチレンとプロピレンおよびジエン、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネンとのターポリマー;およびそうしたコポリマー同士および/または1.で述べたポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレン・エチレン・プロピレン・コポリマー、LDPE・エチレン・酢酸ビニル・コポリマー、LDPE・エチレン・アクリル酸・コポリマー、LLDPE・エチレン・酢酸ビニル・コポリマー、LLDPE・エチレン・アクリル酸・コポリマー、および交互またはランダムのポリアルキレン・一酸化炭素・コポリマーおよびこれと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物である。
【0158】
好ましくは、前記ポリマーには、ジアミンとジカルボン酸から、および/またはアミノカルボン酸または対応のラクタムから誘導されるポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド2,12、ポリアミド4、ポリアミド4,6、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,66、ポリアミド7,7、ポリアミド8,8、ポリアミド9,9、ポリアミド10,9、ポリアミド10,10、ポリアミド11、ポリアミド12等がある。そうしたポリアミドは、例えば商品名Nylon(登録商標):DuPon社、Ultramid(登録商標):BASF社、Akulon(登録商標)K122:DSM社、Zytel(登録商標)7301:DuPont社;Durethan(登録商標)B 29:Bayer社、およびGrillamid(登録商標):Ems Chemie社で知られている。
【0159】
また、m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソ−および/またはテレフタル酸、および場合により改質剤としてのエラストマーから製造するポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレン・テレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、前述したポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィン・コポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合もしくはグラフトされたエラストマーとの、またはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロック・コポリマーもまた適当である。さらに、EPDMまたはABSで改質したポリアミドまたはコポリアミド;ならびに加工中に縮合したポリアミド(「RIMポリアミド系」)も適している。
【0160】
請求項1〜10のいずれか一つにより製造された前記モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸/同エステル/同塩は、好ましくは成形組成物に用いられ、その成形組成物は、さらにポリマー成形体を生産するのに使用される。
【0161】
特に好ましくは、防燃化成形組成物は、5〜30重量%の、請求項1〜10のいずれか一つにより製造された前記モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩または同エステル、5〜90重量%のポリマーまたはその混合物、5〜40重量%の添加剤および5〜40重量%の充填材を含むが、このときこれら成分の総和は常に100重量%となる。
【0162】
本発明は、また、請求項1〜10のいずれか一つにより製造された前記モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩または同エステルを含む防燃剤にも関する。
【0163】
加えて、本発明は、金属(Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFe)の、本発明により製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩を含むポリマー成形組成物ならびにポリマーの成形体、フィルム、糸、および繊維に関する。
【0164】
特に、本発明は、本発明により製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩の、熱可塑性ポリマー、例えばポリエステル、ポリスチレン、またはポリアミド用、および熱硬化性ポリマー、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンまたはアクリラート用の防燃剤としての使用に関する。
【0165】
特に、本発明は、本発明により製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩の、熱可塑性ポリマー、例えばポリエステル、ポリスチレン、またはポリアミド用、および熱硬化性ポリマー、例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンまたはアクリラート用の防燃剤を製造するための中間段階としての使用に関する。
【0166】
本発明を下記の例によって説明する。
【0167】
防燃化ポリマー成形組成物および防燃化ポリマー成形体の製造、加工および試験
防燃成分を、ポリマー顆粒、および場合によって添加剤と混ぜ、二軸押出し機(Leistritz LSM(登録商標)30/34型)で温度230〜260℃(PBT−GV)あるいは260〜280℃(PA 66−GV)において練り込む。均一化されたポリマー・ストランドを剥がし、水浴中で冷却し、続いて顆粒化した。
【0168】
十分に乾燥させた後で、成形組成物を、射出成形機(Aarburg Allrounder型)で融解温度240〜270℃(PBT−GV)または260〜290℃(PA 66−GV)で、試験体に加工した。試験体は、UL94試験(Underwriter Laboratories)により耐燃焼性(防燃)を試験し等級分けする。
【0169】
各混合物からの試験体につき、厚さ1.5mmの試験体につきUL94(Underwriter Laboratories)の燃焼性等級を測定した。
【0170】
UL94により、次の燃焼等級が与えられる:
V−0:残炎時間が10秒以内、10回の接炎での残炎時間の合計が50秒以内、燃焼する滴下物が無い、試料が完全に焼尽しない、試料の残光時間が接炎終了後30秒を超えない
V−1:残炎時間が接炎終了後30秒以内、10回の接炎での残炎時間の合計が250秒以内、試料の残光時間が接炎終了後60秒を超えない、他の規準はV−0と同様
V−2:燃焼する滴下物により綿に着火、他の規準はV−1と同様
等級外(nkl):燃焼等級V−2を満たさず。
【0171】
調べた幾つかの試料においては、さらにLOI値を測定した。このLOI値(Limiting Oxygen Index)は、ISO 4589に従って求められる。ISO 4589によれば、LOIは、酸素と窒素の混合物中でプラスチックの燃焼をかろうじて維持する最小酸素濃度(体積パーセント)に対応する。LOI値が高いほど、被験材料は燃えにくい。
LOI 23 可燃性
LOI 24〜28 条件付可燃性
LOI 29〜35 難燃性
LOI >36 特に難燃性
【0172】
使用化学品と略称
脱イオン水 完全脱塩水
AIBN アゾ−ビス−(イソブチロニトリル):(WAKO Chemicals GmbH社)
THF テトラヒドロフラン
WakoV65 2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル):(WAKO Chemicals GmbH社)
Deloxan(登録商標)THP II 金属捕捉剤:(Evonik Industries AG社)
Palatal(登録商標)A 400−01 不飽和ポリエステル樹脂:(BASF社)
Butanox M 50 メチルエチルケトンペルオキシド:(Akzo Chemie GmbH社)
NL−49 P コバルト促進剤:(Akzo Chemie GmbH社)
例1
【0173】
撹拌機と強力冷却器を備え付けた三口フラスコ中に室温で水188gを仕込み、撹拌しながら窒素を送入して脱気する。次に、窒素下で硫酸パラジウム(II)0.2mgと、トリス(3−スルホ−フェニル)ホスフィン=三ナトリウム塩2.3mgを加えて撹拌し、水66g中のホスフィン酸66gを加える。反応溶液は、2lのBuechi社製反応器中に移され、撹拌しながら圧力下でエチレンを送入し、反応混合物を80℃に加熱する。エチレン28gが取り込まれたら冷却し、遊離のエチレンを排出する。反応混合物から、回転蒸発器で溶媒を除去する。残留物に脱イオン水100gを混ぜて、室温、窒素雰囲気下で撹拌してから、ろ過し、ろ液をトルエンで抽出し、その後回転蒸発器で溶媒を除去し、得られるエチル亜ホスホン酸を捕集する。こうしてエチル亜ホスホン酸92gを得る(理論値の98%)。
例2
【0174】
例1におけるように、ホスフィン酸99g、ブタノール396g、エチレン42g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム6.9mg、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン9.5mgを反応させ、精製のために、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、その後再度n−ブタノールを加える。反応温度80〜110℃で、生成した水は共沸蒸留により除去される。生成物は減圧下で蒸留により精製される。収量:エチル亜ホスホン酸ブチルエステル189g(理論値の84%)。
例3
【0175】
例1におけるように、ホスフィン酸198g、水198g、エチレン84g、硫酸パラジウム(II)6.1mg、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテン=二ナトリウム塩25.8mgを反応させ、精製のために、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、その後n−ブタノールを加える。反応温度80〜110℃で、生成した水は共沸蒸留により除去される。生成物は減圧下で蒸留により精製される。こうして、エチル亜ホスホン酸ブチルエステル374g(理論値の83%)を得る。
例4
【0176】
ガス送入管、温度計、強力撹拌機、およびガス燃焼器付き還流凝縮器を装着した500mlの五口フラスコ中に、エチル亜ホスホン酸(例1のように製造)94g(1mol)を仕込む。室温で酸化エチレンが導入される。冷却により反応温度を70℃に調節し、さらに1時間80℃で、後反応させる。酸化エチレンの取込み量は65.7gである。生成物の酸価は1mgKOH/g未満である。エチル亜ホスホン酸−2−ヒドロキシエチルエステル129g(理論値の94%)が無色透明の生成物として得られる。
例5
【0177】
撹拌機と強力冷却器を備え付けた三口フラスコ中に室温でTHF400gを仕込み、撹拌しながら窒素を送入して脱気する。次に、窒素下で酢酸パラジウム1.35g(6mmol)とトリフェニルホスフィン4.72g(18mmol)を加えて撹拌後、エチル亜ホスホン酸ブチルエステル(例2と同様に製造)30g(0.2mol)とジフェニルホスフィン酸1.96g(9mmol)を加え、反応混合物を80℃に加熱し、アセチレンを体積流量5l/時間で反応溶液中に導入する。反応時間5時間後、アセチレンは窒素で装置中よりパージされる。反応溶液は、精製のために、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、THFを真空下で除去する。生成物(エチルビニルホスフィン酸ブチルエステル)を、減圧下で蒸留により精製する。エチルビニルホスフィン酸ブチルエステル32.7g(理論値の93%)が、無色の油として得られる。
例6
【0178】
撹拌機と強力冷却器を備え付けた三口フラスコ中に室温で酢酸400gを仕込み、撹拌しながら窒素を送入して脱気する。次に、窒素下で酢酸パラジウム1.35g(6mmol)とキサントホス3.47g(6mmol)を加えて撹拌後、エチル亜ホスホン酸(例1と同様に製造)19g(0.2mol)を加え、反応混合物を80℃に加熱し、アセチレンを体積流量5l/時間で反応溶液中に導入する。反応時間5時間後、アセチレンは窒素で装置中よりパージされる。反応溶液は、精製のために、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、酢酸を真空下で除去する。生成物(エチルビニルホスフィン酸)を、クロマトグラフィーで精製する。エチルビニルホスフィン酸20.9g(理論値の87%)が、無色の油として得られる。
例7
【0179】
撹拌機と強力冷却器を備え付けた三口フラスコ中に室温でトルエン400gを仕込み、撹拌しながら窒素を送入して脱気する。窒素下で5.55g(6mmol)のRhCI(PPhを加えて撹拌後、エチル亜ホスホン酸ブチルエステル(例3と同様に製造)30g(0.2mol)とフェニルアセチレン20.4g(0.2mol)を加え、反応混合物を80℃に加熱する。反応時間5時間後、反応溶液は、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、トルエンを真空下で除去する。エチル−(1−フェニル−ビニル)ホスフィン酸ブチルエステル37.6g(理論値の96%)が、無色の油として得られる。
例8
【0180】
撹拌機と強力冷却器を備え付けた三口フラスコ中に室温でTHF400gを仕込み、撹拌しながら窒素を送入して脱気する。次に、窒素下でビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)2.75g(10mmol)とメチルジフェニルホスフィン8g(40mmol)を加えて撹拌後、エチル亜ホスホン酸ブチルエステル(例2と同様に製造)30g(0.2mol)を加え、アセチレンを体積流量5l/時間で反応溶液中に導入する。反応時間5時間後、アセチレンは窒素で装置中よりパージされる。反応溶液は、精製のために、Deloxan(登録商標)THP IIを装入したカラムに通し、ブタノールを真空下で除去する。エチルビニルホスフィン酸ブチルエステル33.4g(理論値の95%)が、無色の油として得られる。
例9
【0181】
得られたエチルビニルホスフィン酸360g(3mol)(例6と同様に製造)を85℃でトルエン400ml中に溶かし、ブタノール888g(12mol)と混ぜる。反応温度約100℃において、生成する水は共沸蒸留で除去する。生成物エチルビニルホスフィン酸ブチルエステルは、減圧下での蒸留で精製する。
例10
【0182】
エチルビニルホスフィン酸360g(3mol)(例6と同様に製造)を80℃でトルエン400ml中に溶かし、1,4−ブタンジオール315g(3.5mol)と混ぜ、水分離器を有する蒸留装置中において、約100℃で4時間エステル化を行う。エステル化の終了後、トルエンを真空下で分離する。エチルビニルホスフィン酸−4−ヒドロキシブチルエステル518g(理論値の90%)が、無色の油として得られる。
例11
【0183】
エチルビニルホスフィン酸360g(3mol)(例6と同様に製造)を85℃でトルエン400ml中に溶かし、エチレングリコール248g(4mol)と混ぜ、水分離器を有する蒸留装置中において、約100℃で4時間エステル化を行う。エステル化の終了後、トルエンおよび過剰のエチルグリコールを真空下で分離する。エチルビニルホスフィン酸−2−ヒドロキシエチルエステル462g(理論値の94%)が、無色の油として得られる。
例12
【0184】
撹拌装置中に、ブタノール150g、水65g、水酸化ナトリウム150g(3.75mol)およびエチルビニルホスフィン酸ブチルエステル220g(1.25mol)(例5と同様に製造)を仕込む。混合物を、十分に撹拌しながら約120℃に昇温させ、その温度で約8時間反応させた。続いて水250mlを加え、前記ブタノールを蒸留で反応混合物から除去した。さらに水500mlを加えた後、濃硫酸約184g(1.88mol)を加えて混合物を中和した。続いて、水を真空下で留去する。残留物を、テトラヒドロフラン中に入れ抽出する。溶媒は真空下で分離される。エチルビニルホスフィン酸149g(理論値の99%)が、油として得られる。
例13
【0185】
エチルビニルホスフィン酸720g(6mol)(例12と同様に製造)を水860g中に溶かし、温度計、還流凝縮器、強力撹拌機、および滴下漏斗を備え付けた5lの五口フラスコ中に仕込み、50%水酸化ナトリウム溶液約480g(6mol)で中和する。85℃で、46%Al(SO・14HO水溶液1291gの混合物を加える。続いて、得られる固形物をろ別し、熱水で洗浄し、130℃において真空下で乾燥する。収量:エチルビニルホスフィン酸アルミニウム(III)塩707g(理論値の92%)、無色の塩。
例14
【0186】
エチルビニルホスフィン酸120g(1mol)(例6と同様に製造)と、チタンテトラブチラート85gをトルエン500ml中で、還流をかけながら40時間加熱する。このとき生成するブタノールを、ときどきトルエンと共に留去する。生成した溶液から、続いて溶媒を除去する。エチルビニルホスフィン酸チタン塩118g(理論値の90%)が得られる。
例15
【0187】
0.5部のNL−49 Pと、55部のエチルビニルホスフィン酸ブチルエステル(例7と同様に製造)を混合し、均一化後、2部のButanox M−50の添加により硬化を開始する。リン含量が15.6重量%のポリマーが得られる。
例16
【0188】
35部のスチレンを0.5部のNL−49 Pと混合し、55部のエチルビニルホスフィン酸ブチルエステル(例7と同様に製造)を加え、均一化後、2部のButanox M−50の添加により硬化を開始する。リン含量が10.5重量%のコポリマーが得られる。これのLOIは35であり、未処理のスチレンでの値は19である。
例17
【0189】
100部の不飽和ポリエステル樹脂Palatal(登録商標)A 400−01を0.5部のNL−49 Pと混合し、55部のエチルビニルホスフィン酸ブチルエステル(例7と同様に製造)を加え均一化した後、2部のButanox M−50の添加により硬化を開始する。
【0190】
加熱したプレス内のHostaphan(登録商標)剥離フィルムと鋼製枠の上に、2層の目付け量450g/mのガラス繊維連続マットを載せる。続いて、約半量の前記樹脂を均一に分配する。さらに1枚のガラスマットを加えた後、残りの樹脂を分配し、このラミネートを剥離フィルムで覆い、50℃の温度で1時間、10barのプレス圧をかけて、4mm厚のプレス板を製造する。リン含量6.1重量%のラミネートが得られる。UL−94の等級分けでV−0とされた。LOIは、34であり、未処理のラミネートでは21である。
例18
【0191】
ポリブチレンテレフタラート50重量%、エチルビニルホスフィン酸アルミニウム(III)塩(例13と同様に製造)20重量%、およびガラス繊維30重量%の混合物を、二軸押出し機(Leistritz LSM 30/34型)により温度230〜260℃で配合してポリマー成形組成物とする。均質化されたポリマー・ストランドが剥がされ水浴中で冷却され、続いて顆粒化された。乾燥後、前記成形組成物は、射出成形機(Aarburg Allrounder型)で、240〜270℃においてポリマー成形体に加工され、UL−94の等級分けでV−0とされる。
例19
【0192】
53重量%のポリアミド6.6、30重量%のガラス繊維、17重量%のエチルビニルホスフィン酸チタン塩(例14と同様に製造)の混合物を、二軸押出し機(Leistritz LSM 30/34型)で配合してポリマー成形組成物とする。均質化されたポリマー・ストランドが剥がされ水浴中で冷却され続いて顆粒化された。乾燥後、前記成形組成物は、射出成形機(Aarburg Allrounder型)で、260〜290℃においてポリマー成形体に加工され、UL−94の等級分けでV−0を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩の製造方法であって、
a)ホスフィン酸源(I)
【化1】

をオレフィン(IV)
【化2】

を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)
【化3】

に変換させ、
b)生成したアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)を、式(V)のアセチル化合物
【化4】

を用いて、触媒Bの存在下で、モノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸誘導体(III)
【化5】

に変換させることを特徴とする方法
[式中、R、R、R、R、R、Rは、同一または互いに異なって、また互いに独立してH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリール、CN、CHO、OC(O)CHCN、CH(OH)C、CHCH(OH)CH、9−アントラセン、2−ピロリドン、(CHOH、(CHNH、(CHNCS、(CHNC(S)NH、(CHSH、(CHS−2−チアゾリン、(CHSiMe、C(O)R、(CHC(O)R、CH=CHRおよび/またはCH=CH−C(O)Rを意味し、ここにRはC〜CアルキルまたはC〜C18アリールを表し、mは、0〜10の整数を意味し、XはH、C〜C18アルキル、C〜C18アリール、C〜C18アラルキル、C〜C18アルキルアリール、(CHOH、CH−CHOH−CHOH、(CHO(CHH、(CH−CH(OH)−(CHH、(CH−CHO)H、(CH−C[CH]HO)H、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)H、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)H、(CH−CHO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)−アルキル、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)O−アルキル、(CH−CH=CH(CHH、(CHNHおよび/または(CHN[(CHH]を表し、ここにkは、0〜10の整数を意味し、および/またはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、Hおよび/またはプロトン化窒素塩基を表し、触媒AおよびBは、遷移金属および/または遷移金属化合物、および/または、遷移金属および/または遷移金属化合物および少なくとも1つの配位子から構成される触媒系である]。
【請求項2】
工程b)で得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、その塩またはエステル(III)を、引き続き工程c)でMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kの金属化合物および/またはプロトン化窒素塩基と反応させて、これらの金属および/または窒素化合物の、対応するモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸塩(III)に変換することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)で得られたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)、および/または工程b)で得られたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、その塩またはエステル(III)、および/またはそれらのそれぞれの生成した反応溶液を、酸化アルキレンまたはアルコールM−OHおよび/またはM’−OHでエステル化し、それぞれ生じるアルキル亜ホスホン酸エステル(II)および/またはモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸エステル(III)を、さらなる反応工程b)またはc)に掛けることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記C〜C18アリール基、C〜C18アラルキル基およびC〜C18アルキルアリール基が、SO、−C(O)CH、OH、CHOH、CHSO、PO、NH、NO、OCH、SHおよび/またはOC(O)CHで置換されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
、R、R、R、R、Rが、同一または互いに異なり、また、互いに独立してH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチルおよび/またはフェニルを意味することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
Xが、H、Ca、Mg、Al、Zn、Ti、Fe、Ce、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、フェニル、エチレングリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、アリルおよび/またはグリセリンを意味することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記遷移金属および/または遷移金属化合物が第7および第8亜族に属するものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記遷移金属および/または遷移金属化合物が、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウムであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記アセチレン化合物が、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、1−オクチン、4−オクチン、1−ブチン−4−オール、2−ブチン−1−オール、3−ブチン−1−オール、5−ヘキシン−1−オール、1−オクチン−3−オール、1−ペンチン、フェニルアセチレン、トリメチルシリルアセチレンであるのを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
一般式M−OHの前記アルコールが、C〜C18の炭素鎖長を有する一価の有機アルコールで、一般式M’−OHの前記アルコールが、C〜C18の炭素鎖長を有する多価の有機アルコールであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同エステルおよび同塩の、さらなる合成のための中間体として、バインダーとして、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂を硬化する際の架橋剤あるいは促進剤として、ポリマー安定剤として、農薬として、ヒトまたは動物用の治療薬または治療薬添加剤として、金属イオン遮蔽剤として、ミネラル油添加剤として、腐食防止剤としての、洗濯・洗浄剤用途および電子用途への使用。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩および同エステルの、防燃剤、特にワニスおよび膨張性被覆のための防燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の防燃剤として、ポリマー用の反応性および/または非反応性防燃剤として、防燃化ポリマー成形組成物を製造するため、防燃化ポリマー成形体を製造するため、および/または含浸によりポリエステルおよびセルロース純粋および混紡織布を難燃化仕上げするための使用。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩あるいは同エステルを0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を0.5〜95重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材あるいは強化材を0〜55重量%、これらの成分の合計が100重量%となるように含有する、防燃化熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形組成物。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一つに従い製造されたモノビニル官能性ジアルキルホスフィン酸、同塩あるいは同エステルを0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれらの混合物を0.5〜95重量%、添加剤を0〜55重量%、および充填材あるいは強化材を0〜55重量%、これらの成分の合計が100重量%となるように含有する、防燃化熱可塑性または熱硬化性ポリマーの成形体、フィルム、糸および繊維。

【公表番号】特表2012−507481(P2012−507481A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533573(P2011−533573)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007130
【国際公開番号】WO2010/051890
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】