説明

モノリシック・アンテナ励起音響変換装置

【課題】モノリシック・アンテナ励起音響変換(MAEAT)装置を用いて基板内に音波を励起する圧電基板を有する検査装置。
【解決手段】音響装置は金属製の励起アンテナを圧電基板上にフォトリソグラフィーで堆積することにより製造する。検査装置は、音響装置と、励起アンテナと接続された可変周波数発信器と、検出回路と、音響装置のパラメータを監視しながら固有振動数を含む周波数範囲にたいし発信器を掃引させるコントローラから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、音響装置に関し、特に、モノリシック・アンテナ(monolithic antenna)を用いて基板内に音波を励起する圧電基板(piezoelectric substrate)を有する音波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶のような圧電材料は、機械的応力を受けると電場または電圧を生じ、反対に、電場または電圧を受けると機械的応力を生じる。したがって、圧電材料は、多くの多様な技術において有用であることが証明された。典型的には、電極が結晶の表面上に堆積され、交流電圧が電極に印加されて結晶内に電場を生成する。そして、この電場は、結晶内に機械的応力を生成する。印加される交流電圧が、結晶の共振周波数または共振周波数の倍音調波またはそれらの近くであると、共振音波が結晶内で励起される。共振周波数は、結晶の切断角度、厚さ、長さ、幅、および質量によって決定され、共振音波は、非常に少ない損失で結晶内において伝播および共振する。
【0003】
ある特定の圧電結晶内を結晶の共振周波数に関して最も少ない減衰で通されることが可能な周波数帯域がどれほど狭いかの指標は、結晶のQ値と呼ばれる。結晶のQ値は、結晶の結晶配向の関数であり、結晶についての具体的な用途を決定する。例えば、Q値が非常に低い結晶は、機械的エネルギーの広い周波数帯域を電気的エネルギーへと変換することができ、反対に、電気的エネルギーの広い周波数帯域を機械的エネルギーへと変換することができる。よって、低Q値材料は、Q値が低いと多くの音色が生成されることが可能となるので、しばしば、マイクロフォンまたはスピーカ内の音波変換器として用いられる。Q値が非常に高い材料では、非常に狭い周波数帯域だけが結晶内を通されることが可能である。したがって、高Q値材料は、典型的には、発振器のような高精度の周波数制御を要する装置内で用いられる。
【0004】
高Q値圧電材料は、センサにおいても用いられる。最新の製造方法を用いて、水晶の精密結晶または他の同様の非常にQ値の高い材料は、100万分の2、3以下の範囲の精度の周波数で発振させられ得る。このような水晶共振器の製造の間、導電性電極材料の層が、数原子層の精度で堆積され得る。結果得られる共振器の共振周波数は、電極の質量の極めて小さな変化に対しても敏感である。高Q値圧電材料の質量変化に対するこの特性感度は、多くの多様なセンサの適用形態につながった。例えば、水晶共振器は、特定の化合物に対して選択的な吸着剤によって覆われ得る。そして、化合物が吸収されるに連れて、吸着剤の質量ひいては振動構造物の全質量が増加するので、化合物が吸着剤によって吸収されるに連れた水晶の共振周波数の変化を監視することによって、化合物の量または濃度が決定されることが可能である。圧電材料への質量の増加または圧電材料からの質量の減少により、水晶の共振周波数が変化するので、このような装置は、一般に、水晶振動子マイクロバランス(QCM)と呼ばれ、検出用途のような、質量、密度、または粘度の変化が監視される用途において広く用いられる。
【0005】
ここで、図面を参照すると、典型的な既知のQCMセンサが、図1および図2において10で全体的に描かれている。センサ10は、約25mmの直径を有する水晶の円盤形状の基板12を含む。ATカットは、厚みすべりモード(TSM)の音波のみが励起されることが可能な温度安定性配向であるため、用いられている標準的な結晶配向はATカットである。TSM音波のみが励起されることが可能な水晶の別の配向が用いられてもよい。図1は基板の基準面14を示しており、他方、図2は基準面14と反対側の基板12の検出面16を示している。導電性材料から形成され、約6mmの直径を有する円盤形状の基準電極18は、基準面14の中心上に堆積される。電極18は、導電性の金属から形成される。基準電極18は、導電性材料の第1ストリップ20によって、弓状の基準電極タップ22と接続される。基準電極タップ22によって、外部検出回路(図示せず)への電気的な接続が可能となっている。この電気的接続は、ワイヤ・リード24によって描かれているが、リード24は例示的であることが意図されており、通常の電気的接続の他のタイプが用いられてよい。
【0006】
図2に示されるように、導電性の金属から形成され、約13mmの直径を有する円盤形状の検出電極26は、検出面16の中心上に堆積される。図1に示されるように、導電性材料の第2ストリップ28は、検出電極26から検出面16の端まで延びて、基板12の側面を横切り、基準面14上にまで延びて、そこで弓状の検出電極タップ30において終わる。基準電極タップ22と同様に、検出電極タップ30によって、ワイヤ・リード32によって描かれるように、外部検出回路(図示せず)への電気的接続が可能となっている。また、接着層33、34は、典型的には、電極18、26と、対応する基板表面14、16との間にそれぞれ堆積されて、電極の基板表面への接着を強化する。最後に、適用例に応じて吸着選択性膜(図示せず)が、検出面16を覆ってもよい。
【0007】
センサ10の動作の間、可変周波数発振器(図示せず)が基準電極タップおよび検出電極タップ22、30に電気的に接続され、検出面16は、気体または液体であり得る環境内に挿入され、他方、基準面14は空気に晒されたままである。環境は測定量を含み、測定量は、センサによって検出されている環境の特定の特性であり、例えば気体または液体内のある物質の濃度などである。よって、検出面16が環境内へと挿入されると、検出面は環境内に含まれるある特定の測定量に晒される。検出面が吸着膜によって覆われている場合、吸着膜も環境内へと浸される。発振器は、電極18、26に変動電圧を印加し、次いで電極18、26は、基板12内に音波を生成する。このような動作モードは、厚さ電界励起(TFE)[Thickness Field Excitation]と呼ばれる。検出面16を測定量に晒す前に、センサ10は発振器の周波数を変化させることによって較正されてセンサ10を共振させる。共振周波数は、通常の装置または回路(図示せず)において検出および格納される。較正の後、検出面は、監視されている環境内へと挿入される。質量、密度、および粘弾性度のような測定量の機械的負荷特性の検出面16に対する影響によって、センサの共振周波数はシフトする。共振周波数のシフトは、測定量の特定の機械的負荷特性の大きさを示すように較正されることが可能である。
【0008】
別の検出電極を有するQCMセンサ10の代替的な実施形態が図3〜図5に示されている。図3は、微小円形検出電極35を有する小さな電極形状を示している。検出電極35の典型的な直径は、約0.8mmである。図4において、電極円盤の中心を貫いて形成される開口を有する閉リング形状の検出電極36が示され、他方、図5は、開リング検出電極38を示している。開リング電極38は、開リング電極38が基準電極のタップ領域に対応するリングを貫いて延びるスロット40を有することを除いて、閉リング電極36に非常に類似している。閉および開リング電極36、38の両方とも、約13mmの外径と約11mmの内径を有する。図4〜図5に示される全てのセンサは、図1に示されるセンサ10と同様の基準面構成を有する。
【0009】
図1および図2に示されるもののような従来のQCMセンサの使用法は、上に挙げた機械的特性のみが測定される適用例に限定される。加えて、装置の共振周波数は、装置の基本周波数に限定される。このことは、装置の感度を制限する。多くの適用例において、電気的特性の変化を測定することが重要である。しかしながら、図1および図2に示されるもののような従来のQCMセンサでは、測定量に接触する検出電極26は、空気に触れる基準電極18と同じ大きさかそれよりも大きい。このサイズ故に、検出電極26は、TSM電場のほとんどを遮断し、この電場が測定量へと侵入することを阻止する。よって、従来のQCMセンサは、測定量の電気的特性の変化に対してわずかな感度しか持たない。図3〜図5に示される改良された検出電極の形状によって、検出電極は小さくなる。この結果、改良されたQCMセンサの共振周波数の小さなシフトは、測定量の変化の電気的特性として検出され得る。
【0010】
厚みすべりモード(TSM)電場が侵入することを可能とするために、液体または気体に晒されるATカット水晶製基板の検出面は、むき出しになっているべきである。このようなむき出しの検出面は、基準面上に、すなわち検出面と反対側に両方の電極を配置することによって達成されて、横電界励起(LFE)センサ[Lateral Field Excited sensor]を提供することが可能である。このようなLFEセンサおよびホスメットならびに大腸菌を検知するためのこのセンサの適用法についての詳細は、特許第7,075,216号に記載されており、この特許は参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【0011】
QCMおよびLFEセンサとは対照的に、螺旋コイルを励起源として用いて2つの他の音波センサ、すなわち、図6に示されるような磁気音響共振センサ(MARS)[Magnetic Acoustic Resonant Sensor]41と図7に示されるような電磁圧電音響変換センサ(EMPAS)[Electromagnetic Piezoelectric Acoustic Transduction Sensor]42を形成することも知られている。
【0012】
MARS41は、電磁超音波探触子(EMAT)と同じ基本構成および動作原理を利用する。EMATは、シート・メタルのような金属物体の構造的完全性や材料特性をマクロ・スケールで検査するために50年以上に亘って用いられてきたのだが、マイクロ・スケールで適用すると音波を励起する技術である。図7に示されるMARS41の構成において、電気的に励起された手巻き螺旋コイル43は、非電圧基板44、基板44のコイル43と隣り合う面上に配置された金属化された非伝導性被覆すなわち金属層45と、近くに、しかし空間的に離されて配置される。よって、空隙によって、コイル43は金属層45の表面から離される。基板44は、隣接する永久磁石46によって生成される永久磁場に晒される。巻き螺旋コイル43は基板44に取り付けられた薄い金属層45上に渦電流を誘起する電磁場を生成する。永久磁石46は、時間変動する渦電流と結合して時間変化するローレンツ力を金属層45内に生成する静磁場を生成する。これらの時間変動するローレンツ力は、時間とともに変動する応力、ひいては音波を、基板44内に生成する。他の音波センサと同様に、MARS41の共振周波数は、その検出面上の変化に伴ってシフトする。しかしながら、他の音波センサとは違って、MARSの構成は、アルミニウム、石英ガラス、サファイア、および高Q値シリコン膜のような、非圧電基板を用いるという利点を有する。
【0013】
図11に示されるEMPAS42は、圧電水晶を基板47として用い、約30mmの小さな空隙によって基板から離された手巻き螺旋コイル43を用いる。薄いプラスチック製Oリング(図示せず)は、コイル43と基板47との間に配置され、結果、コイルと水晶との間に小さな空隙が形成される。螺旋コイル43は、圧電材料に侵入して基板47内で音波を励起する電場を生成する。EMPAS42は、700MHzまでの周波数で動作することが示されている。
【0014】
MARS41およびEMPAS42の両方において、センサの構成は、モノリシックではなく、センサごとのセンサ特性の再現性が悪いという結果をもたらし得る複数の構成要素を含んでいる。さらに、MARSおよびEMPASセンサの両方において、螺旋コイルは、手巻きであり、基板から空気の絶縁層によって離されている。これらのセンサは、約700MHzの周波数で動作することが示されているが、装置ごとのセンサ特性の再現性が問題となっている。センサの精度が高められることが望まれるので、改善された形状を有する装置を考え出すことが望ましい。
【特許文献1】特許第7,075,216号
【0015】
この発明は、モノリシック・アンテナ励起音響変換(MAEAT)[Monolithic Antenna Excited Acoustic Transduction]装置に関する。
【0016】
本発明は、MAEAT装置の一例であり水晶振動子マイクロバランス(QCM)および他の音響センサのようなバルク超音波(BAW)センサの長所を組み合わせるとともに改善するモノリシック螺旋コイル音響変換(MSCAT)センサを検討する。MSCATセンサは、圧電材料から形成される基板およびこの基板の表面上に形成される励起アンテナを含む。MSCAT装置は、センサとしての多くの利点を有する。MSCATセンサの励起電極構成は、ほとんどの音波センサの場合と同様に、検出膜または環境に晒されない。
【0017】
本発明は、また、圧電水晶を用意する工程と、次いで水晶を切断して平行な基準面および検出面を有する基板を形成する工程とを含む、MSCATセンサを形成する方法を検討する。次いで、アンテナが、基板の基準面上に堆積される。
【0018】
本発明は、さらに、圧電材料から形成される基板の表面上に形成された励起アンテナを有する音波装置を含み、アンテナが励起アンテナと接続された可変周波数発振器に接続された検査装置を検討する。この装置は、また、前出の発振器と接続された検出回路と、発振器および検出回路と接続されたコントローラとを含む。コントローラは、音響装置のパラメータを監視しながら、音響装置の固有振動数を含む周波数範囲を通して発振器を掃引するように動作する。
【0019】
本発明の様々な目的および利点は、以下の好適な実施形態の詳細な記載から、添付の図面に照らして読むことにより、当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、これまでに開発された他の音波センサの長所を組み合わせかつ改善するモノリシック・アンテナ励起音響変換(MAEAT)装置の一種であるモノリシック螺旋コイル音響変換(MSCAT)センサに関する。再び図面を参照すると、図8および図9に、本発明に従ったMSCATセンサ50が示されている。センサ50は、円盤形状のウェハまたは基板52を含む。好適な実施形態では、ATカットの水晶が基板52のために用いられる。好適な実施形態において記述される具体的な圧電水晶はAT水晶であるが、例えばBT、SC、CT、およびDTのような水晶の他の結晶配向、または別の圧電水晶での配向が、特定の適用形態に応じて用いられてよい。別の圧電水晶は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム、および水晶のランガサイト系の要素および関連する配向を含む。図8にも示されるように、基板52は厚さが約0.5mmで、直径が25mmであるが、本発明は、別の厚さおよび/または直径を有する基板によって実施されてよい。例えば、本発明は、基板の厚さが約0.3mm〜1.0mmの範囲内にあることを想定している。また、基板52は、図9Aにおいて破線によって示されるように例えば正方形、長方形、多角形、または楕円などの図8および図9に示されるものと異なる形状を有してもよい。基板52の1つの円形の面は、センサ50の基準面54であり、他方、反対の円形の面は検出面56である。基準面および検出面54、56は、平坦および平行である。本発明者は、本発明は、表面が研磨され、4つの光帯域の許容範囲で平行であると、より良く機能することを発見した。
【0021】
アンテナ60は、基板52の基準面54上に、通常のフォトリソグラフィー工程によって堆積される。アンテナ60は、金属のような導電性の材料から形成される。発明者は、貴金属は酸化せず、よって導電性を維持することから、金、パラジウム、プラチナのような貴金属をアンテナ60に用いている。しかしながら、プラチナ、銀、銅、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、鉛、パラジウム、クロム等の他の金属が、アンテナ60を形成するために用いられることが可能である。用いられる金属の具体的なタイプは、適用形態に依存する。また、コイルの具体的な形状は、寸法および構造において様々であり得る。具体的には、コイルは、様々な巻き数を有し得るし、厚さおよび幅が異なり得る。また、コイルは、アンテナとしての役割を果たして圧電水晶内で音波を励起するので、螺旋コイル以外の構成が用いられてよい。図8に示されるように、アンテナ60は、円形螺旋コイルとして成形されるが、アンテナは、例えば図9Aに示されるように長円形状や、図9Bに示されるように楕円形状や、図9Cに示されるように多角形形状や、図9Dに示されるように三角形形状螺旋や、または図9Eに示されるように四角形形状螺旋のような、非円形の螺旋形状を有していてもよい。上記のように、上記の各非円形アンテナ用の基板は、図9A〜図9Eで破線によって示されるように、同じ一般的形状に成形されてよい。または、基板形状は、同じ一般的形状を有していなくともよい(図示せず)。すなわち、長円形状螺旋を有するアンテナが、円形形状基板上に配置され得る(図示せず)。図6に示されるセンサ用アンテナの厚さは大抵、1500〜2500オングストロームであるが、アンテナの厚さは1500オングストローム未満であってよく、または2500オングストロームを超えていてもよい。
【0022】
接着層66は、アンテナ60と基板の基準面54との間に配置される。接着層66は、好適な実施形態では、厚さが約100オングストロームのクロムの層であり、アンテナ60の基板52の表面への接着を強化する。または、例えばジルコニウムまたはチタン、またはアルミニウム、ジルコニウムまたはチタンの合金のような、アンテナ材料およびセンサの使用形態によって決定される他の材料が用いられて接着層66を形成してよい。接着層66は、基板52に、アンテナ60がその上に配置される前に、通常の方法によって付される。図6に示される接着層66は約100オングストロームの厚さを有するが、本発明は、厚さが50〜150オングストロームの範囲内の厚さの接着層によって実施されてよい。
【0023】
アンテナ60の端に電気的に接続された導電性のワイヤ24、32の対が図8に示されている。電気的接続は、ワイヤ24、32の対によって示されているが、電気的接続は例示的であることが意図されており、例えばワイヤ・ボンドのような通常の電気的接続の他のタイプが用いられてよい。ワイヤ24、32は、後に説明されるように、外部検出回路への電気的接続を表す。
【0024】
ここで、センサ50の動作が説明される。図7に示されるように、検出面56上には電極は堆積されていない。螺旋コイル60が発振器によってエネルギーを与えられると、螺旋コイル60は、ATカット水晶製ウェハ/基板52へと侵入する時間変動電場を放射するアンテナとして機能する。圧電効果の結果、時間変動電場は、厚みすべりモード(TSM)音波を基板52内に生成する時間変動応力をウェハ/基板52内に作り出す。励起周波数は、基板52内にTSM基本周波数およびより高次の周波数において共振音波を励起するように選択される。基板52についての共振周波数は、ウェハの厚さおよび特定の基板内の音波の速度の関数である。音波は、基板の検出面56上に現れる機械的変位および電場の両方を含んでいる。検出面56上に電極が無いことによって、TSM音波によって生成される機械場および電場が、検出面56と隣り合う重要な測定量(measurand of interest)を含んだ環境へと侵入することが可能となる。機械場および電場が環境に侵入することは、機械的および電気的特性の変化の両方に対する感度が上昇する結果となる。
【0025】
MSCATセンサ50は、高周波数の無線周波数(RF)信号を螺旋コイル60に印加しながら高調波を効率的に励起することによって、高周波数で動作することが可能である。MSCATセンサは、高周波数の無線周波数(RF)信号を螺旋コイルに印加しながら高調波を効率的に励起することによって、(1GHzを超える)非常に高い周波数で動作することが潜在的に可能である。発明者は、第63次調波までの共振音波が効率的に励起されることが可能であることを発見した。後述されるように、MSCATセンサ50が用いられて、脱イオン化された水の中の異性化液糖溶液の粘度を測定した。標準的な従来技術の水晶振動子モニタ(QCM)の性能と比べて、MSCATセンサ50は、粘度変化に対して3倍を超える感度と、大腸菌検出において5倍を超える感度を有することが見出された。MSCATセンサ50は、また、液体の導電性の変化を検出できることが示された。
【0026】
上記のように、アンテナが機能ブロック76において円形螺旋として形成されると、MSCATセンサになる。一般に、アンテナによって励起されるあらゆるセンサは、アンテナの形状によらずに、モノリシック・アンテナ励起音響変換(MAEAT)センサと呼ばれる。よって、上記のMSCATセンサは、実際には、MAEATセンサの一例である。本発明は、MSCATセンサに関して説明および記述されたが、本発明はMAEATセンサを用いて実行されてもよいことが理解されるであろう。センサ用途を有することに加えて、本発明は、例えばフィルタのような高周波数信号プロセッサの独立型構成要素または基本構成要素としての用途を有するMAEAT装置として用いられてもよい。
【0027】
図8、図9、および図12に示されるモノリシック螺旋コイル音響変換(MSCAT)は、従来技術のMARSおよびEMPASセンサについて上記したような、空隙によって基板から離されたコイルを有さない。また、上記したように、MSCATセンサは、基準面上にフォトリソグラフィーによって堆積された螺旋コイルのみを用いており、これによりセンサ全体を一体型またはモノリシックとしている。MSCATセンサは、QCMセンサ上で用いられる複数の励起電極と違って、MSCATセンサ上の1つのコイルがAT水晶製ウェハに侵入する時間変動電場を放射するアンテナである故に、新規である。
【0028】
水晶は圧電材料であるので、時間変動電場は、ウェハ内に時間変動応力を作り出す。ウェハの厚さおよび励起周波数に応じて、厚みすべりモード(TSM)基本周波数およびより高次の周波数での共振音波が、図13および図14に示されるように、励起される。これらの共振モードの周波数は、対象アナライトがセンサの検出面に付加されたり、または検出面から取り除かれたりしたときに変化する。よって、センサの共振周波数の変化またはシフトは、アナライト濃度の直接的な指標である。バルク超音波(BAW)装置の感度は、動作周波数の増加に連れて増加するので、MSCATセンサは、共振周波数の高次調波で動作されると、基本周波数のみでの動作が可能な標準的なQCMセンサよりも、大幅に感度が高い。
【0029】
また、MSCATセンサは、MARSおよびEMPASセンサの性能を上回る。その理由は、以下の通りである。
(1)MSCATセンサ・コイルは、AT水晶製基板またはAT水晶製基板上に堆積された接着層と直接接しており、コイルおよびセンサ基板間の間隔に起因する伝達損失がなくなる。
(2)MSCATセンサ・コイルは、コイルがフォトリソグラフィーによって堆積されるため、再現可能である。
(3)コイルをフォトリソグラフィーによって堆積することによって、従来技術のMARSおよびEMPASセンサで生じる音波が生じない。
(4)MSCATセンサは、単一部品のモノリシック・センサであり、他方、MARSおよびEMPASセンサは複数部品のセンサであって、より破損しやすい。
まとめると、MSCATセンサは、検出環境から分離される、フォトリソグラフィーで堆積されたコイル・アンテナという長所を有し、また対象アナライトに起因する機械的および電気的特性の変化の両方を検出できる能力を有する。この新規な装置は、製造が容易なパッケージで、信頼できるとともに再現可能なセンサを実現する。
【0030】
本発明は、また、センサ50の製造方法を検討する。この方法は、図10によって示されるフローチャートによって示されている。機能ブロック70において、結晶性の圧電材料が、基板用に選択される。上記のように、この材料は、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウムおよび水晶のランガサイト系の要素のような圧電結晶から選択される。機能ブロック72において、選択された結晶は、使用目的および共振周波数に対応する、結晶軸に関連する角度で切断される。使用目的に応じて、1つの結晶軸、2つの結晶軸、または3つ全ての結晶軸に相対して切断されてよい。次いで、基板は、所望の共振センサ周波数に関してやはり選択される最終的な大きさおよび形状へと成形される。
【0031】
機能ブロック74において、結晶性基板の基準面が、この表面が充分に平行かつ平坦となるように任意で研磨されるとともに、接着層が、通常の方法で、基準面上に堆積される。次に、機能ブロック76において、アンテナが従来のフォトリソグラフィー技術によって接着層上に堆積される。上記のように、機能ブロック76においてアンテナが円形螺旋として成形されると、MSCATセンサとなり、アンテナが非円形形状で形成されると、MAEATセンサとなる。
【0032】
図10に示されるように、機能ブロック78において、電気的リード線がアンテナに取り付けられる。しかしながら、この工程は任意であり、それを含むことは、センサを他の構成要素に電気的に接続する方法に依存する。例えば、ワイヤ・ボンディングが用いられ得、この場合、電気的リード線は必要ない。
【0033】
本発明は、また、基板82上に配置されたアンテナを有するMAEATセンサ81を含んだ、環境の電気的特性の計測用装置80を検討する。装置80のブロック図が図11に示される。図11において、センサ基板82の検出面は、関心測定量を含んでいる環境83内に置かれている。測定量は環境内に含まれているものとして記述されているが、測定量は、例えば液体の導電性のような環境の特性でもあり得ることが理解されるであろう。環境83は、図11において液体として示されているが、環境は気体でもあり得る(図示せず)ことが理解されるであろう。装置80は、MAEATセンサ81を、共振および反共振周波数の全てに及ぶ周波数範囲に亘って駆動する市販の発振器85を含む。
【0034】
検出回路86もMAEATセンサ81に接続される。検出回路86は、発振器85がMAEATセンサ81についての直列共振周波数fの近傍の狭い周波数帯域を掃引している間、動作する。例えば電気的周波数カウンタ等の、様々な既知のアナログまたはデジタル回路が、検出回路86として用いられることが可能である。
【0035】
検出回路86は、環境83内に含まれている測定量に対してセンサの検出面が晒されたことに応答して、共振周波数fのシフトを決定するように動作するコンピュータ87と接続される。コンピュータ86は、パーソナル・コンピュータ、マイクロプロセッサ、または特定用途向け集積回路(ASIC)とすることができる。コンピュータ87は、また、図11において破線によって示されるように、発振器85と接続されてもよい。そのように構成される場合、コンピュータ87は、その装置のためのコントローラとして機能し、発振器85の周波数掃引を開始するための制御信号を供給する。コンピュータ87は、また、検出された臨界周波数を、格納された基準周波数と比較して、測定量の変化を決定する。
【0036】
装置80は、さらに、コンピュータ87に接続された表示器90を含む。表示器80は、コンピュータ87によって生成される検査結果を表示する。図11に示される装置80は例示的であることが意図されており、他の装置が用いられてよい。
【0037】
ここで、動作中の装置80が、MSCATとして構成されるMAEATセンサ83を用いて説明される。上記のように、発振器82は、センサ共振周波数f、またはセンサ共振周波数の関心のある調波を含んだ狭い周波数帯域を掃引する。例えば、掃引される周波数は、上記のセンサ50に関して、約5.00MHzの直列共振基本周波数fを有するMSCATセンサについては4.95MHzと5.05MHzの間とされることが可能である。発振器82が周波数帯域を掃引している間、検出回路86は、共振周波数の値ならびに周波数範囲に亘るセンサのインピーダンスの大きさおよび/または位相を監視、すなわち測定する。検出回路86は、また、特定の回路、センサ、または測定法に応じて、周波数範囲に亘るセンサのアドミッタンスの大きさおよび/または位相を測定して、このアドミッタンスに関連する反共振周波数を決定する。コンピュータ86は、共振周波数のシフトを格納されたデータと関連付けする。また、コンピュータは、検出されたインピーダンスの大きさおよび/または位相を用いてこの関連付けを精密化してよい。検出されたデータと格納されているデータとの相違点または類似点は、測定量の電気的特性を示している。次に、関連付けの結果は、表示器90上で表示される。
【0038】
励起された音波は、厚みすべりモードで動作しているものとして記述されたが、音波の他のタイプが、励起されたり、MSCATセンサ内で用いられたりしてもよい。音波のこのような他のタイプの例は、縦モード、他のすべりモード、プレート・モード、膜モードを含む。さらに、上記した特定の装置は、図7に示されるように、むき出しの検出面56を有するが、金属のような導電層(図示せず)が検出面56上に配置されてよい。この導電層は、アンテナ60によって生成された電場が検出環境内に侵入することを防ぎ、機械的特性の変化のみが測定されることを可能とする。また、本発明は、ここまでセンサの観点から記述されたが、本発明は、フィルタのような高周波数信号処理装置の独立型構成要素または基本構成要素に関連する適用形態において用いられてもよいことが理解されるであろう。
【0039】
実験結果
MSCATセンサは、図12に示されるように、AT水晶製ウェハの一面上に金属製の螺旋コイルをフォトリソグラフィーによって堆積することによって実現された。この金属製の螺旋コイルは、クロム製の接着層を伴った巻き数が10の金製の膜から構成された。TSMがMSCATセンサ内で効率良く励起されることが可能となることを保証するために、RF信号が、検出面が脱イオン化された水の中に配置されたモノリシック・アンテナ・コイルに印加された。MSCATセンサの、基本周波数応答は、図13に示されるように、また第3次調波周波数応答は、図14に示されるように、RITEC Advanced Measurement(RAM)5000システムによって検出された。RAMシステムが用いられて、センサ内で音波の生成および受信の両方を行った。RAMシステムは、生成器動作モードを用いてセンサに印加される狭い帯域のRFバーストを生成し、次いで受信器動作モードへと切り替わって戻ってきた信号を測定する。出力が装置の共振周波数に設定されると、定常波が材料のバルク内で作り出される。これによって、受信電圧内に大きな変化が生じる。RAM5000システムは、25MHzまでの周波数での動作しかできないので、HP8571A Network Analyzerが用いられて、より高い周波数でのMSCATの共振周波数を監視した。
【0040】
MSCATセンサの適用可能性を明らかにするために、発明者は、このセンサを用いて液体の粘度の変化を検出した。次いで、MSCATセンサの性能が、標準的なQCMセンサおよび本文献において記述されるように製造された巻き数が16の手巻きコイルを伴ったEMPASセンサの性能と比較された。MSCAT、QCM、およびEMPASセンサは、全て、Maxtek社から入手した同一の、直径が1インチのATカット水晶製ウェハから製造された。様々な粘度の15の溶液が、Karoブランドの異化製液糖を脱イオン化された水と様々な比率で混合することによって生成された。各溶液の粘度は、まず、Cannon Fenske Routine Viscometerによって測定された。溶液の粘度は、1〜27cPの範囲で様々であることが分かった。各溶液は、本発明に従って製造されたMSCATセンサ、標準的なQCMセンサ、EMPASセンサに付された。脱イオン化された水のみが存在するときの共振周波数からの共振周波数の変化が各センサについて測定された。QCMセンサの応答は、Maxtek PLO−10i位相ロック発振器およびEZ FC−705U 100MHz Universal Counterを用いて測定され、他方、RAM5000システムが用いられて、MSCATおよびEMPASセンサが第3次高調波で駆動された。
【0041】
センサの検査の結果が、図15に示される。ここで、MSCATセンサは、標準的なQCMセンサまたはEMPASセンサのいずれよりも、粘度変化に対して大幅に大きな応答を有することが見て取れる。具体的には、MSCATセンサは、標準的なQCMセンサと比較して約3倍の大きさの周波数シフト、EMPASセンサと比較して約1.5倍の大きさの周波数シフトを示した。MSCATセンサは、また、小さな粘度変化に対しても、高感度であった。測定システムは、1ヘルツのシフトを測定することが可能であるので、MSCATセンサは、約6×10−4cPの精度で粘度変化を測定できるはずである。
【0042】
MSCATセンサの再現可能性の結果も、センサを、1〜7cPの粘度の溶液に5回、晒すことによって測定された。ある所与の溶液についての測定された周波数変化は、相互に区別できなかった。
【0043】
初期の検査は粘度の測定に焦点を当てたが、MSCATセンサは、QCMセンサでは金属性電極がAT水晶製基板の上面上に配置されているのに対してセンサの検出面上に金属層が存在しないので、電気的変化を検出することもできる。MSCATセンサの場合、MSCATセンサの螺旋アンテナによって生成される電場は液体に侵入することができ、他方、QCM上の金属製電極は、TSM電場のほとんどが液体に侵入することを阻む。このことは、QCMセンサが検査されたセンサの粘度変化に対して最も感度が低かったことの理由であり得る。
【0044】
MSCATセンサの0〜0.08wt%の範囲でのNaCl水溶液の導電性に対する応答が、QCMセンサの応答と比較された。MSCATセンサは、第11次調波(55MHz)で動作され、共振周波数の変化が、このセンサをNaCl水溶液の様々な濃度に晒しながら、HP 8571A Networkアナライザで監視された。QCMセンサの、同じ液体に対する共振周波数応答が、上記のようにセットされたMaxtek PLOによって監視された。両方のセンサの、脱インオン化された水の中でのそれぞれの共振周波数に対する共振周波数の変化が、NaCl濃度の関数として、図16に示される。
【0045】
MSCATセンサの共振周波数の変化は、液体の機械的および電気的特性の変化の両方に起因するので、この実験のために選択されたNaCl濃度(0〜0.08%wt)は、密度および粘度のような機械的特性の変化のばらつきが非常に小さい。0.5%wtのNaCl溶液についての摂動論によって予測される周波数シフトは、たったの5Hzであることが見出された。よって、液体の機械的特性は、2つのセンサの周波数応答に対して無視できる影響しか有さないとみなされることが可能である。
【0046】
図16から見て取れるように、MSCATセンサは、液体の導電性の変化を測定でき、他方、QCMセンサはできなかった。全ての液体についてのQCMセンサの周波数変動は、センサの雑音レベルの範囲内であった。MSCATセンサの周波数変化は、0.08wt%溶液について1600MHzを上回っていて、MSCATセンサは標準的なQCMセンサが測定できない小さな電気的特性の変化を測定できるという結論につながる。
【0047】
MSCATセンサについて得られた有望なデータの結果、発明者は、MSCATセンサが生物学的感知、特に大腸菌の検出に対して用いられることが可能であるかどうかを決定するための予備的作業を実行した。大腸菌を選択的に吸収する生化学的膜(biochemical film)が、MSCATの検査面に導入された。第3次調波での動作についての基本TSMセンサ周波数応答が、図14に示される。MSCATセンサは、MSCAT検出面へのPBS+グリセリン・リンスを伴ったブロッカーの注入、ニュートラアビジン(商標)の添加、BSA+PBSリンスを伴った抗大腸菌の注入、抗大腸菌サスペンションの導入からの表面上での変化に対して、図17に示されるように、感度が良いことが証明された。大腸菌サスペンションの導入を受けて、周波数は715Hz増加した。全ての可能性あるサイトが占有されたことを確認するために、センサの周波数応答が、大腸菌溶液を複数回、注入する間、監視された。大腸菌のさらなる注入に対する注目すべきセンサ応答は測定されず、これは全ての結合サイトが占有されたことを示す。標準的なQCMセンサに対する幾つかの同様の試験は、MSCATセンサについて観察されたシフトの約5分の1未満の平均周波数シフトという結果であった。MSCATセンサで感度がより高いということは、大腸菌が付されたことによって起こった機械的および電気的特性の変化の両方をMSCATセンサが検出できるという事実に、ほぼ起因するのであろう。これは、機械的特性の変化のみを検出可能な標準的なQCMセンサとは対照的である。
【0048】
上記のように、MSCATセンサの上で報告したデータは、粘度測定および大腸菌検出の場合は第3次調波において、また、導電性測定の場合は第11次調波において、取得された。図18において示されるように、MSCATセンサは第63次調波を超える非常に高い周波数、つまり試験センサで用いられる水晶については314MHzの周波数での動作が可能である。HP 8571Aが用いられて、これらの測定についての電圧反射係数S11を測定した。水晶の平行度および表面仕上がりは、MSCATセンサが高周波数で動作されるときは、重要であることが留意されるべきである。結晶の表面の間で作り出される定常波の波長は、周波数の増加とともに減少する。結晶の表面が平行でない場合、または表面が平坦でない場合、有害な干渉によって定常波は高調波で形成されない。実際、発明者は、Sawyer Technical Materials LLC(オハイオ州イーストレイク)によって製造された標準的な水晶素を用いてQCM適用のために第9次調波より高次調波でMSCATセンサを励起することができなかった。これは、発明者が、光学研磨され、高調波を励起可能な4つの光帯域内で平行な面を有する、Lap−Tech(オンタリオ州ボーマンビル)製の結晶に対してMSCATセンサを製造した後に、初めて可能となった。
【0049】
本発明者によって得られた実験結果は、モノリシック螺旋コイルが用いられて圧電基板内でバルク超音波を励起したことを最初に示したことから、有意義である。この結果は、また、MSCATセンサが液体の粘度を測定する際に他のバルク超音波(BAW)センサより優れていることを明確に示している。MSCATセンサを、本土防衛や、環境保護、農業、医薬のような分野で重要な化学アナライトを検出するために適用することは、MSCATセンサの最終的な潜在力を決定するであろう。
【0050】
本発明は、モノリシック装置として多くの利点を有する。第1に、励起アンテナの構造は、隣り合う環境に晒されない。第2に、そして最も重要なことに、本発明に従った装置を、高周波RF信号を励起アンテナに印加しながら高調波を励起することによって、1GHzを超える非常に高い周波数において動作させることができる。加えて、本発明は、1つまたは複数の層や、圧電基板の外部で励起の仕組みを必要とせず、より簡便に装置を製造する。
【0051】
特許法の条項に従って、この発明の原理および動作モードが、好適な実施形態において説明され、示された。しかしながら、この発明は、その思想および範疇から逸脱することなく、具体的に説明および示されたのとは違うやり方で実行されてよいことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】既知の水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサの基準面の斜視図である。
【図2】図1に示される既知のQCMセンサ検出面の斜視図である。
【図3】図2に示される既知のQCMセンサの検出面の代替的な実施形態の斜視図である。
【図4】図1に示される既知のQCMセンサの検出面の別の代替的な実施形態の斜視図である。
【図5】図1に示される既知のQCMセンサの検出面の別の代替的な実施形態の斜視図である。
【図6】既知の磁気音響共振センサ(MARS)を示す図である。
【図7】既知の電磁圧電音響センサ(EMPAS)を示す図である。
【図8】本発明に従ったモノリシック螺旋コイル音響変換(MSCAT)センサの基準面の斜視図である。
【図9】図8に示されるMSCATセンサの検出面の斜視図である。
【図9A】図8および図9に示されるセンサの他の実施形態を示す図である。
【図9B】図8および図9に示されるセンサの他の実施形態を示す図である。
【図9C】図8および図9に示されるセンサの他の実施形態を示す図である。
【図9D】図8および図9に示されるセンサの他の実施形態を示す図である。
【図9E】図8および図9に示されるセンサの他の実施形態を示す図である。
【図10】図6および図7に示されるMSCATセンサの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】図8および図9に示されるMSCATセンサを含む検出装置のブロック図である。
【図12】モノリシック螺旋コイル音響変換(MSCAT)センサの形状を示す図である。
【図13】表面上に脱イオン化された水を有するMSCATセンサの厚みすべりモード(TSM)基本周波数での応答を示す図である。
【図14】表面上に脱イオン化された水を有するMSCATセンサのTSM第3次調波周波数での応答を示す図である。
【図15】EMPAS、MSCAST、およびQCMセンサの異性化液糖の粘度の変化に対する応答を示す図である。
【図16】QCMセンサ(基本周波数)およびMSCAT(第11次調波)センサについてのNaCl濃度の変化に対するセンサ応答を示す図である。
【図17】ビオチン、ブロッカー、ニュートラアビジン、抗大腸菌、および飽和濃度の大腸菌を順次添加した際のMSCAT周波数応答を示す図である。
【図18】第63次調波で動作されるMSCATセンサの応答を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
24 ワイヤ・リード
32 ワイヤ・リード
50 MSCATセンサ
52 基板
54 基準面
56 検出面
60 アンテナ
66 接着層
80 装置
81 MAEATセンサ
82 基板
83 MAEATセンサ
84 環境
85 発振器
86 検出回路
87 コンピュータ
90 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電材料から形成された基板と、
前記基板の表面上に形成された励起アンテナと
を具備する音波装置。
【請求項2】
前記アンテナは、螺旋コイル、長円形状コイル、楕円形状コイル、三角形形状コイル、多角形形状コイル、および四角形形状コイルからなる群の1つとして形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板は、AT水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム、および水晶のランアサイト結晶系の要素の1つからなる群の1つから形成された円盤である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記螺旋アンテナは、前記基板の前記表面上にフォトリソグラフィーで堆積される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アンテナは、金、クロム、プラチナ、銀、銅、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、鉛、およびパラジウムからなる群の1つから形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記基板は、検出される環境に晒される検出面および前記検出面と反対の励起面を有し、さらに前記励起アンテナは前記基板の前記励起面上に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記検出面上に堆積された吸着材料の層をさらに含み、前記吸着材料は、前記検出される環境内に含まれる測定量を吸着するように選択され、前記吸着される測定量は、センサの動作特性の変化が前記測定量と関連付けされることができるように前記センサの動作特性を変化させる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記検出面上に堆積された金属層をさらに含む、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記基板と前記アンテナとの間に堆積された接着層をさらに含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記接着層はクロムを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は高周波信号フィルタの独立型部品である、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、フィルタとして機能する高周波信号プロセッサの基本構成要素である、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記検出面と励起面は平行である、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記検出面と励起面は4つの光帯域の許容範囲で平行である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記検出面および励起面は平坦である、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記検出面および励起面は研磨されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
圧電材料から形成される基板の表面上に形成される励起アンテナを有する音波装置と、
前記励起アンテナと接続された可変周波数発振器と、
前記発振器と接続された検出回路と、
前記発振器および前記検出回路と接続され、前記音響装置のパラメータを監視しながら前記音響装置の固有振動数を含む周波数範囲を通して前記発振器を掃引するように動作する、コントローラと
を具備する検査装置。
【請求項18】
前記音響装置の前記固有振動数は、前記音響装置の共振周波数である、請求項17に記載の検査装置。
【請求項19】
前記音響装置の前記監視されるパラメータは、前記共振周波数のシフトを含む、請求項18に記載の検査装置。
【請求項20】
前記音響装置の前記固有振動数は、前記音響装置の共振周波数の調波である、請求項19に記載の検査装置。
【請求項21】
前記音響装置の前記監視されるパラメータは、前記共振周波数の前記調波のシフトを含む、請求項20に記載の検査装置。
【請求項22】
(a)圧電結晶を用意する工程と、
(b)前記結晶を切断して平行な基準面および検出面を有する基板を形成する工程と、
(c)前記基板の前記基準面上にアンテナを堆積する工程と
を具備する音波装置の製造方法。
【請求項23】
前記工程(c)の後に、(d)前記アンテナに少なくとも1つの電極リードを取り付ける工程をさらに具備する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程(c)は、前記アンテナを堆積する前に、前記基板の前記基準面に接着層を付することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)は、前記水晶の切断の後に、前記基準面および検出面を研磨することも含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−102119(P2008−102119A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−169497(P2007−169497)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(507215529)
【Fターム(参考)】