モータ制御装置および車両用操舵装置
【課題】1つの駆動回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】テレスコピックモータ8は、U相配線15とV相配線16との間に、第2の給電回路21,22およびテレスコピック用リレーR1を介して接続されている。チルトモータ9は、V相配線16とW相配線17との間に、第3の給電回路22,23およびチルトリレーR2介して接続されている。第6モードでは、第1および第6のFET1、FET6がオン状態とされ、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
【解決手段】テレスコピックモータ8は、U相配線15とV相配線16との間に、第2の給電回路21,22およびテレスコピック用リレーR1を介して接続されている。チルトモータ9は、V相配線16とW相配線17との間に、第3の給電回路22,23およびチルトリレーR2介して接続されている。第6モードでは、第1および第6のFET1、FET6がオン状態とされ、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ制御装置および車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用操舵装置として、電動パワーステアリング装置と、ステアリングホイール等の操作部材の位置を調整する位置調整装置とを備えたものがある。位置調整装置には、たとえば、操作部材の前後位置を調整するためのテレスコピック調整装置や操作部材の上下位置を調整するためのチルト調整装置がある。
電動パワーステアリング装置は、電動パワーステアリング用モータ(EPS(Electric Power Steering)用モータ)を含む。テレスコピック調整装置は、テレスコピック調整用モータを含む。チルト調整装置は、チルト調整用モータを含む。EPS用モータは、たとえば、三相ブラシレスモータである。テレスコピック調整用モータおよびチルト調整用モータは、たとえば、ブラシ付直流モータである。
【0003】
EPS用モータは、EPS用モータの駆動回路を含むEPS用コントローラ(EPS用ECU)によって制御されている。一方、チルト調整用モータおよびテレスコピック調整用モータは、各モータの駆動回路を含む位置調整用コントローラ(位置調整用ECU)によって制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-164888号公報
【特許文献2】特許第3839142号公報
【特許文献3】特開平5-137380号公報
【特許文献4】特許第3854190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、EPS用モータ、チルト調整用モータおよびテレスコピック調整用モータを駆動するためには、EPS用モータの駆動回路と、チルト調整用モータの駆動回路と、テレスコピック調整用モータの駆動回路とが必要である。これらの駆動回路は複数の
FET(電界効果トランジスタ:field Effect Transistor)等のスイッチング素子を含んでいるため、多数のスイッチング素子が必要となる。
【0006】
たとえば、EPS用モータの駆動回路を、6つのFETを含む三相ブリッジインバータ回路で構成し、チルト調整用モータの駆動回路およびテレスコピック調整用モータの駆動回路を、4つのFETを含むHブリッジ回路で構成した場合には、14個のFETが必要となる。
この発明の目的は、1つの駆動回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となるモータ制御装置を提供することである。
【0007】
この発明の目的は、1つの駆動回路によって、電動パワーステアリング用モータとチルト調整用モータとテレスコピック調整用モータとを駆動することが可能となる車両用操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、三相モータ(6)と、前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET1,FET2)と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET3,FET4)と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET5,FET6)とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線(15)、第2相配線(16)および第3相配線(17)からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路(11)と、前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段(18A,18B)と、前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路(21,22)を介して接続された第1の直流モータ(8)と、前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路(22,23)を介して接続された第2の直流モータ(9)と、前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチ(R1)と、前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチ(R2)と、前記第1の直流モータ側から前記第2の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段(12)とを含み、前記制御手段は、前記第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子と前記第3相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御回路である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0009】
経路開閉手段によって第1の給電経路を閉鎖し、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオフにすると、三相モータが三相ブリッジインバータ回路に接続されるので、三相モータを駆動させることが可能となる。一方、経路開閉手段によって第1の給電経路を開放し、第1のスイッチおよび第2のスイッチを制御するとともに、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子を制御することにより、第1の直流モータおよび第2の直流モータのいずれか一方または両方を駆動させることが可能となる。つまり、1つの三相ブリッジインバータ回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となる。これにより、三相モータと第1の直流モータと第2の直流モータとを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
【0010】
ところで、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンとし、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とをオンにすることにより、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転することが可能である。この場合には、第1の直流モータ側から第2の直流モータ側に電流が流れるように、両直流モータが直列運転される。しかしながら、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転すると、各直流モータに印加される電圧が低下するため、各直流モータのトルクが低下する。
【0011】
そこで、各直流モータのトルクが低下するのを防止するために、第1の直流モータと第2の直流モータとを時分割駆動することが考えられる。具体的には、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)とをオンとすることにより第1の直流モータを駆動させる動作モードと、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とをオンとすることにより第2の直流モータを駆動させる動作モードとを所定時間毎に切り換えるようにする。しかしながら、このような時分割駆動を行なうためには、所定時間毎に4つのスイッチング素子のオンオフを切り換える必要がある。このため、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が複雑となる。
【0012】
この発明では、前記のような直列運転可能な動作モードにおいては、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とがオン状態とされる。そして、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)およびハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)が交互にオンオフされるとともに、これと同期して、第1のスイッチ(R1)および第2のスイッチ(R2)が交互にオンオフされる。これにより、第1の直流モータと第2の直流モータとが時分割駆動される。この場合、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子のうち、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子が交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置である。
この構成では、前記時分割駆動時には、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)のオンオフに同期して、第1のスイッチ(R1)がオンオフされ、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)のオンオフに同期して、第2のスイッチ(R2)がオンオフされる。
【0014】
請求項3記載の発明は、三相モータ(6)と、前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET1,FET2)と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET3,FET4)と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET5,FET6)とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線(15)、第2相配線(16)および第3相配線(17)からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路(11)と、前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段(18A,18B)と、前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路(21,22)を介して接続された第1の直流モータ(8)と、前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路(22,23)を介して接続された第2の直流モータ(9)と、前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチ(R1)と、前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチ(R2)と、前記第2の直流モータ側から前記第1の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段(12)とを含み、前記制御手段は、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子およびローサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御回路である。
【0015】
経路開閉手段によって第1の給電経路を閉鎖し、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオフにすると、三相モータが三相ブリッジインバータ回路に接続されるので、三相モータを駆動させることが可能となる。一方、経路開閉手段によって第1の給電経路を開放し、第1のスイッチおよび第2のスイッチを制御するとともに、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子を制御することにより、第1の直流モータおよび第2の直流モータのいずれか一方または両方を駆動させることが可能となる。つまり、1つの三相ブリッジインバータ回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となる。これにより、三相モータと第1の直流モータと第2の直流モータとを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
【0016】
ところで、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンとし、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とをオンにすることにより、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転することが可能である。この場合には、第2の直流モータ側から第1の直流モータ側に電流が流れるように、両直流モータが直列運転される。しかしながら、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転すると、各直流モータに印加される電圧が低下するため、各直流モータのトルクが低下する。
【0017】
そこで、各直流モータのトルクが低下するのを防止するために、第1の直流モータと第2の直流モータとを時分割駆動することが考えられる。具体的には、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とをオンとすることにより第1の直流モータを駆動させる動作モードと、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)とをオンとすることにより第2の直流モータを駆動させる動作モードとを所定時間毎に切り換えるようにする。しかしながら、このような時分割駆動を行なうためには、所定時間毎に4つのスイッチング素子のオンオフを切り換える必要がある。このため、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が複雑となる。
【0018】
この発明では、前記のような直列運転可能な動作モードにおいては、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とがオン状態とされる。そして、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)およびローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)が交互にオンオフされるとともに、これと同期して、第1のスイッチ(R1)および第2のスイッチ(R2)が交互にオンオフされる。これにより、第1の直流モータと第2の直流モータとが時分割駆動される。この場合、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子のうち、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子が交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記制御手段は、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項3に記載のモータ制御装置である。
この構成では、前記時分割駆動時には、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)のオンオフに同期して、第1のスイッチ(R1)がオンオフされ、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)のオンオフに同期して、第2のスイッチ(R2)がオンオフされる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置(10)を含み、前記三相モータが電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータであり、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータのうちのいずれか一方が操舵部材の所定の第1方向位置を調整するためのテレスコピック調整用モータであり、他方が前記操舵部材の所定の第2方向位置を調整するためのチルト調整用モータである、車両用操舵装置である。
【0021】
この発明では、電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータ、テレスコピック調整用モータおよびチルト調整用モータを有する車両用操舵装置において、請求項1〜4記載の発明と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る車両用操舵装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図2】ECUの電気的構成を示す概略図である。
【図3】第1モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図4】第2モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である
【図5】第3モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図6】第4モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図7】第5モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図8】第8モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図9】第6モードにおけるECUの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】図10Aおよび図10Bは、第6モードにおけるECUの動作の動作を示す電気回路図である。
【図11】第7モードにおけるECUの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図12】図12Aおよび図12Bは、第7モードにおけるECUの動作の動作を示す電気回路図である。
【図13】制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、この発明を車両用操舵装置に適用した場合の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を含む車両用操舵装置の概略的な構成を示す模式図である。
車両用操舵装置は、ステアリングホイール(操舵部材)1と、ステアリングコラム2と、電動パワーステアリング装置3と、電動テレスコピック調整装置(図示略)と、電動チルト調整装置(図示略)と、モータ制御装置としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10とを備えている。
【0024】
ステアリングコラム2は、ステアリングホイール1を回転自在に支持するものである。ステアリングホイール1は、ステアリングコラム2に回転自在に支持されたステアリングシャフト4と、中間軸5とを介して図示しない転舵機構に連結されている。
電動パワーステアリング装置3は、運転者の操舵を補助するための装置である。電動テレスコピック調整装置は、ステアリングホイール1の前後位置(コラム軸方向位置)を調整するための装置である。電動チルト調整装置は、ステアリングホイール1の上下位置(コラム軸方向に対する傾動位置)を調整するための装置である。ECU10は、電動パワーステアリング装置3と、電動テレスコピック調整装置と、電動チルト調整装置とを制御するための装置である。電動テレスコピック調整装置と電動チルト調整装置とを総称して位置調整装置という場合がある。
【0025】
電動パワーステアリング装置3は、操舵補助力(アシスト力)を発生するEPS用モータ6と、EPS用モータ6の出力トルクを転舵機構に伝達するための減速機構7とを含む。EPS用モータ6は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。
電動テレスコピック調整装置は、ステアリングホイール1をコラム軸方向に移動させるための機構と、この機構を駆動するためのテレスコピック調整用モータ(以下、「テレスコピックモータ8」という)を含んでいる。テレスコピックモータ8は、この実施形態では、ブラシ付直流モータからなる。
【0026】
電動チルト調整装置は、ステアリングホイール1をコラム軸方向に対して傾動させるための機構と、この機構を駆動するためのチルト調整用モータ(以下、「チルトモータ9」という)を含んでいる。チルトモータ9は、この実施形態では、ブラシ付直流モータからなる。EPS用モータ6、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9は、ECU10によって制御される。テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを総称して、「位置調整用モータ」という場合がある。
【0027】
図2は、ECU10の電気的構成を示す概略図である。
ECU10は、各モータ6,8,9の駆動電力を生成する駆動回路11と、駆動回路11を制御するための制御部12とを備えている。制御部12は、CPU(中央処理装置)とこのCPUの動作プログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM、書き換え可能な不揮発性メモリ等)とを含むマイクロコンピュータで構成されている。
【0028】
駆動回路11は、EPS用モータ6(三相ブラシレスモータ)を駆動するために使用される三相ブリッジインバータ回路である。この実施形態では、EPS用モータ6を駆動するための駆動回路11が、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を駆動するための駆動回路としても使用される。
この駆動回路11では、EPS用モータ6のU相に対応した一対の電界効果トランジスタFET1,FET2の直列回路と、V相に対応した一対の電界効果トランジスタFET3,FET4の直列回路と、W相に対応した一対の電界効果トランジスタFET5,FET6の直列回路とが、直流電源13と接地との間に並列に接続されている。以下において、各相の一対のFETのうち、電源13側のものを「ハイサイドFET」といい、接地側のものを「ローサイドFET」という場合がある。
【0029】
EPS用モータ6は、第1の給電回路15,16,17を介して駆動回路11に接続されている。具体的には、EPS用モータ6のU相界磁コイル6Uは、U相に対応した一対のFET1,FET2の間の接続点にU相配線15を介して接続されている。EPS用モータ6のV相界磁コイル6Vは、V相配線16およびEPS用リレー18Aを介して、V相に対応した一対のFET3,FET4の間の接続点に接続されている。EPS用モータ6のW相界磁コイル6Wは、W相配線17およびEPS用リレー18Bを介して、W相に対応した一対のFET5,FET6の間の接続点に接続されている。
【0030】
EPSモータ6の周囲には、EPSモータ6のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ19が設けられている。EPS用リレー18A,18Bによって、第1の給電回路15,16,17を開閉するための経路開閉手段が構成されている。
テレスコピックモータ8は、U相配線15とV相配線16との間に、第2の給電回路21,22を介して接続されている。具体的には、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)は、第1接続線21およびテレスコピックリレーR1を介してU相配線15に接続されている。一方、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)は、第2接続線22を介してV相配線16に接続されている。テレスコピックモータ8の周囲には、テレスコピックモータ8のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ24が設けられている。この実施形態では、テレスコピックモータ8が正転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が車両の後方に移動し、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が車両の前方に移動する。
【0031】
チルトモータ9は、V相配線16とW相配線17との間に、第3の給電回路22,23を介して接続されている。具体的には、チルトモータ9の負極側端子(−)は、前記第2接続線22を介してV相配線16に接続されている。一方、チルトモータ9の正極側端子(+)は、第3接続線23およびチルトリレーR2を介して、W相配線17に接続されている。チルトモータ9の周囲には、チルトモータ9のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ25が設けられている。この実施形態では、チルトモータ9が正転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が上方に移動し、チルトモータ9が逆転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が下方に移動する。テレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とを総称して、「位置調整用リレー」という場合がある。
【0032】
この実施形態では、テレスコピックモータ8をV相配線16に接続するための接続線22と、チルトモータ9をV相配線16に接続するための接続線22とが共用されているが、これらの接続線を別々に設けてもよい。
ローサイドFET2,FET4およびFET6と接地とを接続するための各接続線には、EPS用モータ6のV相、W相およびU相の相電流IV,IW,IUを検出するための電流センサ27V,27W,27Uがそれぞれ設けられている。これらの電流センサ27V,27W,27Uは、テレスコピックモータ8、チルトモータ9等に流れる電流を検出するために用いることが可能である。これらの電流センサ27V,27W,27Uは、制御部12に接続されている。
【0033】
制御部12には、車内LAN(CAN:Controller Area Network)30が接続されている。車内LAN30には、前述した回転位置センサ19,24,25、車速センサ31、操舵トルクセンサ32等のセンサ類、位置調整用操作部33等が接続されている。車速センサ31は、車両の速度を検出するものである。操舵トルクセンサ32は、ステアリングホイール1に与えられた操舵トルクを検出するものである。
【0034】
位置調整用操作部33は、たとえば、車両内の運転席の横に配置され、車両の側面に平行な操作面を有している。この操作面には、仮想の正方形の各コーナと各辺の中央とにそれぞれ配置された8つの位置調整キー34と、位置調整キー群の前方に配置されたメモリ制御キー35とを備えている。8つの位置調整キー34のうち、前記仮想の正方形の各辺の中央に配置されたキーが、チルト調整またはテレスコピック調整を単独で行うための単独調整キー34U,34D,34F,34Rである。
【0035】
単独調整キー34U,34D,34F,34Rのうち、前記仮想正方形の上下の各辺の中央に配置された上下一対のキーがチルト調整を単独で行うためのチルト調整キー34U,34Dである。上側のチルト調整キー34Uは、ステアリングホイール1の位置を上方向に移動させるためのキーであり、下側のチルト調整キー34Dは、ステアリングホイール1の位置を下方向に移動させるためのキーである。
【0036】
単独調整キー34U,34D,34F,34Rのうち、前記仮想の正方形の前側および後側の各辺の中央に配置された前後一対のキーがテレスコピック調整を単独で行うためのテレスコピック調整キー34F,34Rである。前側のテレスコピック調整キー34Fは、ステアリングホイール1の位置を前方向に移動させるためのキーであり、後側のテレスコピック調整キー34Rは、ステアリングホイール1の位置を後方向に移動させるためのキーである。なお、この実施形態では、テレスコピック調整キー34R,34Fのいずれか一方と、チルト調整キー34U,34Dのいずれか一方とが同時に押下されている場合には、押下されている2つのキーのうち一方のキー入力のみが有効なものとして受け付けられるものとする。
【0037】
前記仮想の正方形の各コーナに配置されたキーが、チルト調整とテレスコピック調整とを同時に行うための同時調整キー34FU,34FD,34RU,34RDである。各同時調整キー34FU,34FD,34RU,34RDは、それが配置されたコーナ位置に対応した方向にステアリングホイール1の位置を移動させるためのキーである。
メモリ制御キー35は、ステアリングホイール1の現在位置(テレスコピックモータ8の回転位置およびチルトモータ9の回転位置)を不揮発性メモリに記憶させたり、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたりするために使用されるキーである。運転手は、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶させたい場合にはメモリ制御キー35を長押し、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたい場合には、メモリ制御キー35を短押しする。「長押し」とは、メモリ制御キー35を所定時間以上にわたって押下し続ける操作をいい、「短押し」とは、前記所定時間より短い期間だけメモリ制御キー35を押下する操作をいう。
【0038】
制御部12は、電流センサ27U,27V,27W、回転位置センサ19,24,25、車速センサ31、操舵トルクセンサ32、位置調整用操作部33等からの入力信号に基づいて、リレー18A,18B,R1,R2および駆動回路11内のFET1〜FET6を制御する。
制御部12は、常時は、EPS用リレー18A,18Bをオン状態とし、操舵トルクセンサ32によって検出される操舵トルク、車速センサ31によって検出される車速、電流センサ27U,27V,27Wによって検出される相電流および回転位置センサ19によって検出されるEPS用モータ6の回転位置(ロータ回転角)に基づいて、EPS用モータ6を制御する。具体的には、制御部12は、操舵トルクと車速とに基づいて目標電流値を決定し、実際のモータ電流が目標電流値に近づくようにFET1〜FET6を制御する。
【0039】
制御部12は、位置調整用操作部33内のキーが操作された場合において、所定の条件を満たしているときには、EPS用モータ6の制御を中断し、操作されたキーに対応したテレスコピックモータ8および/またはチルトモータ9を制御する。
位置調整用モータ(テレスコピックモータ8またはチルトモータ9)を駆動する場合の制御モードには、単独制御モードと、同時制御モードと、メモリ制御モードとがある。単独制御モードは、テレスコピックモータ8またはチルトモータ9を単独で駆動するための制御モードである。同時制御モードは、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とをほぼ同時に駆動するための制御モードである。メモリ制御モードは、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶させたり、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたりするための制御モードである。
【0040】
単独制御モードには第1モード〜第4モードの4種類の動作モードがある。同時制御モードには、第5モード〜第8モードの4種類の動作モードがある。表1は、第1モード〜第8モードの内容と、6つのFET1〜FET1のオンオフ状態を示している。表1において、○はオンを、−はオフを示している。
【0041】
【表1】
各動作モードの内容は、次の通りである。
第1モード:位置調整用モータ8,9のうち、テレスコピックモータ8のみが正転方向に回転するモードであり、キー34Rの操作に基づいて設定されるモードである。
【0042】
第2モード:位置調整用モータ8,9のうち、テレスコピックモータ8のみが逆転方向に回転するモードであり、キー34Fの操作に基づいて設定されるモードである。
第3モード:位置調整用モータ8,9のうち、チルトモータ9のみが正転方向に回転するモードであり、キー34Uの操作に基づいて設定されるモードである。
第4モード:位置調整用モータ8,9のうち、チルトモータ9のみが逆転方向に回転するモードであり、キー34Dの操作に基づいて設定されるモードである。
【0043】
第5モード:テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともにチルトモータ9が正転方向に回転するモードであり、キー34RUの操作に基づいて設定されるモードである。
第6モード:テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともにチルトモータ9が逆転方向に回転するモードであり、キー34RDの操作に基づいて設定されるモードである。
【0044】
第7モード:テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともにチルトモータ9が正転方向に回転するモードであり、キー34FUの操作に基づいて設定されるモードである。
第8モード:テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともにチルトモータ9が逆転方向に回転するモードであり、キー34FDの操作に基づいて設定されるモードである。
【0045】
図3は、第1モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第1モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第1のFET1および第4のFET4がオンとされる。したがって、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0046】
図4は、第2モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第2モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第2のFET2および第3のFET3がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0047】
図5は、第3モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第3モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第4のFET4および第5のFFET5がオンとされる。したがって、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0048】
図6は、第4モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第4モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第3のFET3および第6のFET6がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0049】
図7は、第5モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第5モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第1のFET1、第4のFET4および第5のFET5がオンとされる。したがって、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れるとともに、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともに、チルトモータ9が正転方向に回転する。この場合には、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが並列運転される。
【0050】
図8は、第8モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第8モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第2のFET2、第3のFET3および第6のFET6がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れるとともに、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともに、チルトモータ9が逆転方向に回転する。この場合には、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが並列運転される。
【0051】
次に、第6モードにおけるECU10の動作を説明する。第6モードは、この実施形態では、テレスコピックモータ8が正転方向に回転され、チルトモータ9が逆転方向に回転される動作モードである。この場合、位置調整用リレーR1,R2をオンにするとともに、第1のFET1および第6のFET6をオンすることによって、テレスコピックモータ8側からチルトモータ9側に電流が流れるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転することが考えられる。しかしながら、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転すると、各モータ8,9に印加される電圧が低下するため、各モータ8,9のトルクが低下する。
【0052】
そこで、この実施形態では、第6モードにおいて、各モータ8,9のトルクが低下しないように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが時分割駆動される。テレスコピックモータ8を正転方向に回転し、チルトモータ9を逆転方向に回転させるように、これらのモータ8,9を時分割駆動する場合、第1のFET1および第4のFET4がオンとなる前記第1モードと、第3のFET3および第6のFET6がオンとなる前記第4モードとを交互に切り換えることが考えられる。しかしながら、このようにすると、所定時間毎に4つのFETのオンオフを切り替える必要があるため、駆動回路11内のFETの制御が複雑になる。
【0053】
この実施形態では、制御部12は、第6モードにおいて、オンオフを切り替える対象となるFETの数を低減できるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを時分割駆動させる。
図9は、第6モードにおけるECU10の動作を説明するためのタイムチャートである。図10Aおよび図10Bは、第6モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
【0054】
第6モードでは、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされ、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
具体的には、図9に示すように、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされると同時に、第4のFET4およびテレスコピックリレーR1がオンされる。そうすると、図10Aに示されるように、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0055】
図9に示すように、第4のFET4がオンされてから一定時間が経過すると、第4のFET4がオフにされるとともに、テレスコピックリレーR1がオフにされる。ただし、第1のFET1および第6のFET6は、オン状態を維持する。第4のFET4がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第3のFET3およびチルトリレーR2がオンにされる。デッドタイムTDは、同じ相(この例ではV相)のハイサイドFETとローサイドFETとが同時にオンするのを防止するとともに、モータの切替が確実に行われるようにするために設けられている。第3のFET3およびチルトリレーR2がオンすると、図10Bに示されるように、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0056】
第3のFET3がオンされてから一定時間が経過すると、第3のFET3がオフにされるとともに、チルトリレーR2がオフにされる。ただし、第1のFET1および第6のFET6は、オン状態を維持する。第3のFET3がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第4のFET4およびテレスコピックリレーR1がオンにされる。以下、同様な動作が繰り返される。
【0057】
このように第6モードにおいては、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされ、駆動回路11内のFETのうち、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるだけなので、駆動回路11内のFETの制御が簡単となる。
次に、第7モードにおけるECU10の動作を説明する。第7モードは、この実施形態では、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転され、チルトモータ9が正転方向に回転される動作モードである。この場合、位置調整用リレーR1,R2をオンにするとともに、第2のFET2および第5のFET5をオンすることによって、チルトモータ9側からテレスコピックモータ8側に電流が流れるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転することが考えられる。しかしながら、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転すると、各モータ8,9に印加される電圧が低下するため、各モータ8,9のトルクが低下する。
【0058】
そこで、この実施形態では、第7モードにおいて、各モータ8,9のトルクが低下しないように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが時分割駆動される。テレスコピックモータ8を逆転方向に回転し、チルトモータ9を正転方向に回転させるように、これらのモータ8,9を時分割駆動する場合、第2のFET2および第3のFET3がオンとなる前記第2モードと、第4のFET4および第5のFET5がオンとなる前記第3モードとを交互に切り換えることが考えられる。しかしながら、このようにすると、所定時間毎に4つのFETのオンオフを交互に切り替える必要があるため、駆動回路11内のFETの制御が複雑になる。
【0059】
この実施形態では、制御部12は、第7モードにおいて、オンオフを切り替える対象となるFETの数を低減できるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを時分割駆動させる。
図11は、第7モードにおけるECU10の動作を説明するためのタイムチャートである。図12Aおよび図12Bは、第7モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
【0060】
第7モードでは、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされ、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
具体的には、図11に示すように、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされると同時に、第3のFET3およびテレスコピックリレーR1がオンされる。そうすると、図12Aに示されるように、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0061】
図11に示すように、第3のFET3がオンされてから一定時間が経過すると、第3のFET3がオフにされるとともに、テレスコピックリレーR1がオフにされる。ただし、第2のFET2および第5のFET5は、オン状態を維持する。第3のFET3がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第4のFET4およびチルトリレーR2がオンにされる。デッドタイムTDは、同じ相(この例ではV相)のハイサイドFETとローサイドFETとが同時にオンするのを防止するとともに、モータの切替が確実に行われるようにするために設けられている。第4のFET4およびチルトリレーR2がオンすると、図12Bに示されるように、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0062】
第4のFET4がオンされてから一定時間が経過すると、第4のFET4がオフにされるとともに、チルトリレーR2がオフにされる。ただし、第2および第5のFET2、FET5は、オン状態を維持する。第4のFET4がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第3のFET3およびテレスコピックリレーR1がオンにされる。以下、同様な動作が繰り返される。
【0063】
このように第7モードにおいては、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされ、駆動回路11内のFETのうち、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるだけなので、駆動回路11内のFETの制御が簡単となる。
図13は、制御部12の動作を説明するためのフローチャートである。
イグニッションキーがオンされると、制御部12は、入出力ポート(I/Oポート)を初期化する(ステップS1)。そして、制御部12は、位置調整装置の初期設定を行う(ステップS2)。具体的には、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が所定の初期位置となるように、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を制御する(ステップS2)。
【0064】
次に、制御部12は、入力ポートの読み込みを行う(ステップS3)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、制御部12は、8つの位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態を調べ、これらの全てのキー34,35がオフであれば、位置調整操作が行なわれていないと判別する。一方、これらのキー34,35のうちの1つでもオンである場合には、制御部12は、位置調整操作が行なわれていると判別する。
【0065】
位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS4:NO)、EPS用リレー18A,18Bがオフであればそれらをオンさせた後(ステップS5)、EPS制御を一定時間行なう(ステップS6)。具体的には、制御部12は、操舵トルクと車速とに基づいて目標電流値を決定し、実際のモータ電流が目標電流値に近づくようにFET1〜FET6を制御する。この後、制御部12は、イグニッションキーのオフ操作が行なわれたか否かを判別する(ステップS7)。イグニッションキーのオフ操作が行なわれていなければ(ステップS7:NO)、ステップS3に戻る。
【0066】
前記ステップS4において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS4:YES)、制御部12は、EPS用モータ6のモータ電流(EPS電流)の絶対値が所定のしきい値A(A>0)未満であるか否かを判別する(ステップS8)。具体的には、制御部12は、電流センサ27U,27V,27Wによって検出される各相の相電流IU,IV,IWの絶対値が所定のしきい値A(A>0)未満であるか否か(全ての相電流の絶対値がしきい値A未満であるか否か)を判別する。このしきい値Aは、零に近い所定の値に設定される。
【0067】
EPS電流の絶対値が所定のしきい値A以上である場合には(ステップS8:NO)、制御部12は、操舵角が中立位置付近の不感帯ではないと判断し、ステップS7に移行する。つまり、操舵角が中立位置付近の不感帯でない場合には、運転者によって位置調整装置が行われたとしても、位置調整は行われない。
前記ステップS8において、EPS電流の絶対値が所定のしきい値A未満であると判別された場合には(ステップS8:YES)、制御部12は、操舵角が中立位置付近の不感帯であると判断し、EPS用リレー18A,18Bをオフする(ステップS9)。この後、制御部12は、位置調整用リレー(テレスコピック用リレーR1およびチルト用リレーR2)をオンさせる(ステップS10)。そして、制御部12は、位置調整モータ8,9の制御処理(位置調整制御処理)を行なう(ステップS11)。位置調整制御処理の詳細については後述する。
【0068】
位置調整制御処理が終了すると、ステップS7に移行する。ステップS7において、イグニッションキーのオフ操作が行なわれたと判別された場合には(ステップS7:YES)、制御部12は、EPS用リレー18A,18Bをオフする(ステップS12)。この後、制御部12は、位置調整装置の終了設定を行う(ステップS13)。具体的には、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が所定の終了位置となるように、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を制御する。そして、処理を終了する。
【0069】
図14〜図18は、図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部12は、制御モードが単独制御モード(第1モード〜第4モード)であるか否かを判別する(ステップS21)。この判別は、前記ステップS3で読み込まれた8つの位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて行われる。具体的には、制御部12は、単独調整キー(チルト調整キー34U,34Dおよびテレスコピック調整キー34F,34R)のうちの1つがオンとなっているときには、制御モードが単独制御モードであると判別する。また、同時調整キー34RU,34RD,34FU,34FDのうちの1つがオンとなっているときには、制御部12は制御モードが同時制御モードであると判別する。また、メモリ制御キー35がオンとなっている場合には、制御部12は、制御モードがメモリ制御モードであると判別する。
【0070】
制御モードが単独制御モードであると判別された場合には(ステップS21:YES)、制御部12は、オンとなっている単独調整キーに対応する2つのFET(動作対象モータ駆動用FET)をオンさせる(ステップS22)。これにより、オンとなっている単独調整キーに対応するモータ(動作対象用モータ;テレスコピックモータ8またはチルトモータ9)が当該単独調整キーに応じた回転方向に駆動される。
【0071】
具体的には、テレスコピック調整キー34Rがオン状態となっている場合には、第1のFET1および第4のFET4がオンされる(第1モード)。これにより、テレスコピックモータ8が正転方向に回転駆動される。テレスコピック調整キー34Fがオン状態となっている場合には、第2のFET2および第3のFET3がオンされる(第2モード)。これにより、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転駆動される。チルト調整キー34Uがオン状態となっている場合には、第4のFET4および第5のFET5がオンされる(第3モード)。これにより、チルトモータ9が正転方向に回転駆動される。チルト調整キー34Dがオン状態となっている場合には、第3のFET3および第6のFET6がオンされる(第4モード)。これにより、チルトモータ9が逆転方向に回転駆動される。
【0072】
この後、制御部12は、位置調整用操作部33上の各キー34,35の操作信号が入力される位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS23)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS24)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS24:NO)、つまり、オンされていた位置調整キー34がオフされかつ他の位置調整キー34およびメモリ制御キー35のいずれもがオンされていない場合には、制御部12はステップS25に移行する。
【0073】
ステップS25では、制御部12は、全てのFET1〜FET6をオフ状態にする。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオフにする(ステップS26)。また、制御部12は、EPS用リレー18A,18Bをオンにする(ステップS27)。そして、今回の位置調整制御処理を終了する。そして、図13のステップS7に戻る。
前記ステップS24において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS24:YES)、制御部12は、前記ステップS23で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS28)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS28:YES)、ステップS23に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0074】
前記ステップS28において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS28:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS29)、ステップS21に戻る。
前記ステップS21において、制御モードが単独制御モードではないと判別された場合には(ステップS21:NO)、図15のステップS30に移行する。ステップS30では、制御部12は、制御モードが同時制御モードであるか否かを判別する。具体的には、4つの同時調整キー34RU,34RD,34FU,34FDのうちの1つがオンとなっているときには、制御部12は制御モードが同時制御モードであると判別する。制御モードが同時制御モードである場合には(ステップS30:YES)、制御部12は、動作モードが第5モードであるか否かを判別する(ステップS31)。具体的には、同時調整キー34RUがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第5モードである場合には(ステップS31:YES)、制御部12は、第1のFET1、第4のFET4および第5のFET5をオンさせる(ステップS32)。これにより、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9が第5モード(図7参照)で駆動される。
【0075】
この後、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS33)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS34)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS34:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に移行する。
前記ステップS34において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS34:YES)、制御部12は、前記ステップS33で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS35)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS35:YES)、ステップS33に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0076】
前記ステップS35において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS35:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS36)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS31において、動作モードが第5モードではないと判別された場合には(ステップS31:NO)、制御部12は、動作モードが第8モードであるか否かを判別する(ステップS37)。具体的には、同時調整キー34FDがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第8モードである場合には(ステップS37:YES)、制御部12は、第2のFET2、第3のFET3および第6のFET6をオンさせる(ステップS38)。これにより、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9が第8モード(図8参照)で駆動される。
【0077】
この後、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS39)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS40)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS40:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に移行する。
前記ステップS40において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS40:YES)、制御部12は、前記ステップS39で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS41)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS41:YES)、ステップS39に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0078】
前記ステップS41において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS41:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS36)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS37において、動作モードが第8モードではないと判別された場合には(ステップS37:NO)、制御部12は、図16のステップS42に移行する。ステップS42では、制御部12は、位置制御用リレーR1,R2をオフにさせる。そして、制御部12は、動作モードが第6モードであるか否かを判別する(ステップS43)。具体的には、同時調整キー34RDがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第6モードである場合には(ステップS43:YES)、図9に示すように、制御部12は、第1のFET1および第6のFET6をオンさせた後に(ステップS44)、第4のFET4をオンさせる(ステップS45)。また、制御部12は、テレスコピックリレーR1をオンさせる(ステップS46)。これにより、図10Aに示すように、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。この結果、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0079】
そして、所定時間が経過すると(ステップS47:YES)、制御部12は、第4のFET4をオフさせるとともに(ステップS48)、テレスコピックリレーR1をオフさせる(ステップS49)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS50:YES)、制御部12は、第3のFET3をオンさせるとともに(ステップS51)、チルトリレーR2をオンさせる(ステップS52)。これにより、図10Bに示すように、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。この結果、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0080】
そして、所定時間が経過すると(ステップS53:YES)、制御部12は、第3のFET3をオフさせるとともに(ステップS54)、チルトリレーR2をオフさせる(ステップS55)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS56:YES)、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS57)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS58)。
【0081】
位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS58:YES)、制御部12は、前記ステップS57で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS59)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS59:YES)、ステップS45に戻る。したがって、ステップS45〜ステップS58の処理が再度実行される。
【0082】
前記ステップS59において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS59:NO)、制御部12は、現在オンされているFETをオフさせる(ステップS60)。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオンさせた後(ステップS61)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS58において、位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS58:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に戻る。
【0083】
前記ステップS43において、動作モードが第6モードでないと判別された場合には(ステップS43:NO)、制御部12は、動作モードが第7モードであると判別し、図17のステップS62に移行する。
ステップS62では、図11に示すように、制御部12は、第2のFET2および第5のFET5をオンさせる。また、制御部12は、第3のFET3をオンさせるとともに(ステップS63)、テレスコピックリレーR1をオンさせる(ステップS64)。これにより、図12Aに示すように、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。この結果、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0084】
そして、所定時間が経過すると(ステップS65:YES)、制御部12は、第3のFET3をオフさせるとともに(ステップS66)、テレスコピックリレーR1をオフさせる(ステップS67)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS68:YES)、制御部12は、第4のFET4をオンさせるとともに(ステップS69)、チルトリレーR2をオンさせる(ステップS70)。これにより、図12Bに示すように、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。この結果、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0085】
そして、所定時間が経過すると(ステップS71:YES)、制御部12は、第4のFET4をオフさせるとともに(ステップS72)、チルトリレーR2をオフさせる(ステップS73)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS74:YES)、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS75)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS76)。
【0086】
位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS76:YES)、制御部12は、前記ステップS75で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS77)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS77:YES)、ステップS63に戻る。したがって、ステップS63〜ステップS76の処理が再度実行される。
【0087】
前記ステップS77において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS77:NO)、制御部12は、現在オンされているFETをオフさせる(ステップS78)。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオンさせた後(ステップS79)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS76において、位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS76:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に戻る。
【0088】
図15のステップS30において、制御モードが同時制御モードではないと判別された場合には(ステップS30:NO)、制御部12は、制御モードがメモリ制御モードであると判別し、図18のステップS80に移行する。
ステップS80では、制御部12は、メモリ制御キー25の操作が短押であるか長押しであるかを判別するために、位置調整用入力ポートのうち、メモリ制御キー35の操作信号が入力される入力ポート(メモリ入力ポート)の読み込みを、所定時間にわたって繰り返し行う(ステップS80,S81)。そして、制御部12は、メモリ制御キー35が長押しされたか短押しされたかを判別する(ステップS82)。メモリ制御キー35が長押しされたと判別された場合には(ステップS82:YES)、制御部12は、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶する(ステップS83)。具体的には、制御部12は、現在のチルトモータ9の回転位置と、現在のテレスコピックモータ8の回転位置とを不揮発性メモリに記憶する。そして、ステップS25(図14参照)に移行する。なお、ステップS83の処理によって、不揮発性メモリに最新に記憶されたチルトモータ9の回転位置を「チルト用記憶値」といい、不揮発性メモリに最新に記憶されたテレスコピックモータ8の回転位置を「テレスコピック用記憶値」ということにする。
【0089】
前記ステップS82において、メモリ制御キー25が短押しされたと判別された場合には(ステップS82:NO)、制御部12は、チルトモータ9を、現在の回転位置からチルト用記憶値に向かって回転させるための回転方向(以下、「チルト用回転方向」という)と、テレスコピックモータ8を、現在の回転位置からテレスコピック用記憶値に向かって回転させるための回転方向(以下、「テレスコピック用回転方向」という)とを決定する(ステップS84)。チルト用回転方向は、チルトモータ9の現在の回転位置とチルト用記憶値とに基づいて決定される。テレスコピック用回転方向は、テレスコピックモータ8の現在の回転位置とテレスコピック用記憶値とに基づいて決定される。
【0090】
次に、制御部12は、ステップS84で決定されたチルト用回転方向に基づいて、チルトモータ9を当該チルト用回転方向に回転駆動させるための2つのFET(チルトモータ駆動用FET)をオン状態にさせる(ステップS85)。そして、制御部12は、チルトモータ9に対応する回転位置検出信号を読み込み(ステップS86)、チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達したか否かを判別する(ステップS87)。チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達していない場合には(ステップS87:NO)、前記ステップS85でチルトモータ駆動用FETがオンされてから、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS88)。所定時間が経過していなければ(ステップS88:NO)、ステップS86に戻る。つまり、ステップS86,S87およびS88の処理が繰り返し行なわれる。そして、所定時間が経過する前にチルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達した場合には(ステップS87:YES)、ステップS89に移行する。チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達することなく、所定時間が経過した場合にも(ステップS88:YES)、ステップS89に移行する。
【0091】
ステップS89においては、制御部12は、前記ステップS85でオンされたチルトモータ駆動用FETをオフする。次に、制御部12は、ステップS84で決定されたテレスコピック用回転方向に基づいて、テレスコピックモータ8を当該テレスコピック用回転方向に回転駆動させるための2つのFET(テレスコピックモータ駆動用FET)をオン状態にさせる(ステップS90)。そして、制御部12は、テレスコピックモータ8に対応する回転位置検出信号を読み込み(ステップS91)、テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達したか否かを判別する(ステップS92)。テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達していない場合には(ステップS92:NO)、前記ステップS90でテレスコピック駆動用FETがオンされてから、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS93)。
【0092】
所定時間が経過していなければ(ステップS93:NO)、ステップS91に戻る。つまり、ステップS91,S92およびS93の処理が繰り返し行なわれる。そして、所定時間が経過する前にテレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達した場合には(ステップS92:YES)、ステップS94に移行する。テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達することなく、所定時間が経過した場合にも(ステップS93:YES)、ステップS94に移行する。
【0093】
ステップS94においては、制御部12は、前記ステップS90でオンされたテレスコピックモータ駆動用FETをオフする。そして、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動したか否かを判別する(ステップS95)。具体的には、制御部12は、チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達しており、かつステレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達しているという条件を満たしているか否かを判別する。この条件を満たしていない場合には(ステップS95:NO)、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動していないと判別し、ステップS85に戻る。この場合には、再度、ステップS85以降の処理が行われる。一方、前記条件を満たしている場合には(ステップS95:YES)、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動したと判別し、ステップS25(図14参照)に移行する。
【0094】
上記実施形態によれば、EPS用モータ6を駆動するための駆動回路(三相ブリッジインバータ回路)11によって、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を駆動することができる。このため、EPS用モータ6と、位置調整用モータ8,9とを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
また、前述したように、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を直列運転可能な動作モードである第6モードまたは第7モードにおいては、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を時分割駆動させることができる。このため、第6モードまたは第7モードにおいて、これらのモータ8,9のトルクが低下するのを防止できる。この際、駆動回路11内のFETのうち、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0095】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述した実施形態では、テレスコピック調整キー34R,34Fのいずれか一方と、チルト調整キー34U,34Dのいずれか一方とが同時に押下されている場合には、押下されている2つのキーのうち一方のキー入力のみが有効なものとして受け付けられているが、両方のキー入力をともに有効なものとして受け付けてもよい。この場合には、動作モードが同時制御モードに設定され、前記2つのキー入力に応じて、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9の両方が駆動されることになる。
【0096】
また、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)をテレスコピックリレーR1を介してU相配線15に接続し、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)をV相配線16に接続するようにしてもよい。また、チルトモータ9の負極側端子(−)をチルトリレーR2を介してW相配線17に接続し、チルトモータ9の正極側端子(+)をV相配線16に接続するようにしてもよい。いずれの場合にも、テレスコピックモータ8側からチルトモータ9側に電流が流れるように、これらのモータ8,9を直列運転可能な動作モードにおいては、前記第6モードと同様な制御を行うことが可能である。また、チルトモータ9側からテレスコピックモータ8側に電流が流れるように、これらのモータ8,9を直列運転可能な動作モードにおいては、前記第7モードと同様な制御を行うことが可能である。
【0097】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
6…EPS用モータ、8…テレスコピックモータ、9…チルトモータ、10…ECU、11…駆動回路、12…制御部、15…U相配線、16…V相配線、17…W相配線、18A,18B…EPS用リレー、21…第1接続線、22…第2接続線、23…第3接続線、27U,27V,27W…電流センサ、34U,34D,34F,34R…単独調整キー、34RU,34RD,34FU,34FD…同時調整キー、R1…テレスコピックリレー、R2…チルトリレー
【技術分野】
【0001】
この発明は、モータ制御装置および車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用操舵装置として、電動パワーステアリング装置と、ステアリングホイール等の操作部材の位置を調整する位置調整装置とを備えたものがある。位置調整装置には、たとえば、操作部材の前後位置を調整するためのテレスコピック調整装置や操作部材の上下位置を調整するためのチルト調整装置がある。
電動パワーステアリング装置は、電動パワーステアリング用モータ(EPS(Electric Power Steering)用モータ)を含む。テレスコピック調整装置は、テレスコピック調整用モータを含む。チルト調整装置は、チルト調整用モータを含む。EPS用モータは、たとえば、三相ブラシレスモータである。テレスコピック調整用モータおよびチルト調整用モータは、たとえば、ブラシ付直流モータである。
【0003】
EPS用モータは、EPS用モータの駆動回路を含むEPS用コントローラ(EPS用ECU)によって制御されている。一方、チルト調整用モータおよびテレスコピック調整用モータは、各モータの駆動回路を含む位置調整用コントローラ(位置調整用ECU)によって制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-164888号公報
【特許文献2】特許第3839142号公報
【特許文献3】特開平5-137380号公報
【特許文献4】特許第3854190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、EPS用モータ、チルト調整用モータおよびテレスコピック調整用モータを駆動するためには、EPS用モータの駆動回路と、チルト調整用モータの駆動回路と、テレスコピック調整用モータの駆動回路とが必要である。これらの駆動回路は複数の
FET(電界効果トランジスタ:field Effect Transistor)等のスイッチング素子を含んでいるため、多数のスイッチング素子が必要となる。
【0006】
たとえば、EPS用モータの駆動回路を、6つのFETを含む三相ブリッジインバータ回路で構成し、チルト調整用モータの駆動回路およびテレスコピック調整用モータの駆動回路を、4つのFETを含むHブリッジ回路で構成した場合には、14個のFETが必要となる。
この発明の目的は、1つの駆動回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となるモータ制御装置を提供することである。
【0007】
この発明の目的は、1つの駆動回路によって、電動パワーステアリング用モータとチルト調整用モータとテレスコピック調整用モータとを駆動することが可能となる車両用操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、三相モータ(6)と、前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET1,FET2)と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET3,FET4)と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET5,FET6)とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線(15)、第2相配線(16)および第3相配線(17)からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路(11)と、前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段(18A,18B)と、前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路(21,22)を介して接続された第1の直流モータ(8)と、前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路(22,23)を介して接続された第2の直流モータ(9)と、前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチ(R1)と、前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチ(R2)と、前記第1の直流モータ側から前記第2の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段(12)とを含み、前記制御手段は、前記第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子と前記第3相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御回路である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0009】
経路開閉手段によって第1の給電経路を閉鎖し、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオフにすると、三相モータが三相ブリッジインバータ回路に接続されるので、三相モータを駆動させることが可能となる。一方、経路開閉手段によって第1の給電経路を開放し、第1のスイッチおよび第2のスイッチを制御するとともに、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子を制御することにより、第1の直流モータおよび第2の直流モータのいずれか一方または両方を駆動させることが可能となる。つまり、1つの三相ブリッジインバータ回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となる。これにより、三相モータと第1の直流モータと第2の直流モータとを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
【0010】
ところで、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンとし、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とをオンにすることにより、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転することが可能である。この場合には、第1の直流モータ側から第2の直流モータ側に電流が流れるように、両直流モータが直列運転される。しかしながら、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転すると、各直流モータに印加される電圧が低下するため、各直流モータのトルクが低下する。
【0011】
そこで、各直流モータのトルクが低下するのを防止するために、第1の直流モータと第2の直流モータとを時分割駆動することが考えられる。具体的には、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)とをオンとすることにより第1の直流モータを駆動させる動作モードと、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とをオンとすることにより第2の直流モータを駆動させる動作モードとを所定時間毎に切り換えるようにする。しかしながら、このような時分割駆動を行なうためには、所定時間毎に4つのスイッチング素子のオンオフを切り換える必要がある。このため、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が複雑となる。
【0012】
この発明では、前記のような直列運転可能な動作モードにおいては、第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET1)と第3相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET6)とがオン状態とされる。そして、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)およびハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)が交互にオンオフされるとともに、これと同期して、第1のスイッチ(R1)および第2のスイッチ(R2)が交互にオンオフされる。これにより、第1の直流モータと第2の直流モータとが時分割駆動される。この場合、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子のうち、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子が交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0013】
請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置である。
この構成では、前記時分割駆動時には、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)のオンオフに同期して、第1のスイッチ(R1)がオンオフされ、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)のオンオフに同期して、第2のスイッチ(R2)がオンオフされる。
【0014】
請求項3記載の発明は、三相モータ(6)と、前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET1,FET2)と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET3,FET4)と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子(FET5,FET6)とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線(15)、第2相配線(16)および第3相配線(17)からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路(11)と、前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段(18A,18B)と、前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路(21,22)を介して接続された第1の直流モータ(8)と、前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路(22,23)を介して接続された第2の直流モータ(9)と、前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチ(R1)と、前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチ(R2)と、前記第2の直流モータ側から前記第1の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段(12)とを含み、前記制御手段は、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子およびローサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御回路である。
【0015】
経路開閉手段によって第1の給電経路を閉鎖し、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオフにすると、三相モータが三相ブリッジインバータ回路に接続されるので、三相モータを駆動させることが可能となる。一方、経路開閉手段によって第1の給電経路を開放し、第1のスイッチおよび第2のスイッチを制御するとともに、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子を制御することにより、第1の直流モータおよび第2の直流モータのいずれか一方または両方を駆動させることが可能となる。つまり、1つの三相ブリッジインバータ回路によって、三相モータと2つの直流モータとを駆動することが可能となる。これにより、三相モータと第1の直流モータと第2の直流モータとを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
【0016】
ところで、第1のスイッチおよび第2のスイッチをオンとし、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とをオンにすることにより、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転することが可能である。この場合には、第2の直流モータ側から第1の直流モータ側に電流が流れるように、両直流モータが直列運転される。しかしながら、第1の直流モータと第2の直流モータとを直列運転すると、各直流モータに印加される電圧が低下するため、各直流モータのトルクが低下する。
【0017】
そこで、各直流モータのトルクが低下するのを防止するために、第1の直流モータと第2の直流モータとを時分割駆動することが考えられる。具体的には、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とをオンとすることにより第1の直流モータを駆動させる動作モードと、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)とをオンとすることにより第2の直流モータを駆動させる動作モードとを所定時間毎に切り換えるようにする。しかしながら、このような時分割駆動を行なうためには、所定時間毎に4つのスイッチング素子のオンオフを切り換える必要がある。このため、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が複雑となる。
【0018】
この発明では、前記のような直列運転可能な動作モードにおいては、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET5)と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET2)とがオン状態とされる。そして、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)およびローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)が交互にオンオフされるとともに、これと同期して、第1のスイッチ(R1)および第2のスイッチ(R2)が交互にオンオフされる。これにより、第1の直流モータと第2の直流モータとが時分割駆動される。この場合、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子のうち、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子が交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0019】
請求項4記載の発明は、前記制御手段は、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項3に記載のモータ制御装置である。
この構成では、前記時分割駆動時には、第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET3)のオンオフに同期して、第1のスイッチ(R1)がオンオフされ、第2相に対応するローサイドのスイッチング素子(図2の例ではFET4)のオンオフに同期して、第2のスイッチ(R2)がオンオフされる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置(10)を含み、前記三相モータが電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータであり、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータのうちのいずれか一方が操舵部材の所定の第1方向位置を調整するためのテレスコピック調整用モータであり、他方が前記操舵部材の所定の第2方向位置を調整するためのチルト調整用モータである、車両用操舵装置である。
【0021】
この発明では、電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータ、テレスコピック調整用モータおよびチルト調整用モータを有する車両用操舵装置において、請求項1〜4記載の発明と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る車両用操舵装置の概略的な構成を示す模式図である。
【図2】ECUの電気的構成を示す概略図である。
【図3】第1モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図4】第2モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である
【図5】第3モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図6】第4モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図7】第5モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図8】第8モードにおけるECUの動作を示す電気回路図である。
【図9】第6モードにおけるECUの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】図10Aおよび図10Bは、第6モードにおけるECUの動作の動作を示す電気回路図である。
【図11】第7モードにおけるECUの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図12】図12Aおよび図12Bは、第7モードにおけるECUの動作の動作を示す電気回路図である。
【図13】制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図15】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、この発明を車両用操舵装置に適用した場合の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を含む車両用操舵装置の概略的な構成を示す模式図である。
車両用操舵装置は、ステアリングホイール(操舵部材)1と、ステアリングコラム2と、電動パワーステアリング装置3と、電動テレスコピック調整装置(図示略)と、電動チルト調整装置(図示略)と、モータ制御装置としての電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10とを備えている。
【0024】
ステアリングコラム2は、ステアリングホイール1を回転自在に支持するものである。ステアリングホイール1は、ステアリングコラム2に回転自在に支持されたステアリングシャフト4と、中間軸5とを介して図示しない転舵機構に連結されている。
電動パワーステアリング装置3は、運転者の操舵を補助するための装置である。電動テレスコピック調整装置は、ステアリングホイール1の前後位置(コラム軸方向位置)を調整するための装置である。電動チルト調整装置は、ステアリングホイール1の上下位置(コラム軸方向に対する傾動位置)を調整するための装置である。ECU10は、電動パワーステアリング装置3と、電動テレスコピック調整装置と、電動チルト調整装置とを制御するための装置である。電動テレスコピック調整装置と電動チルト調整装置とを総称して位置調整装置という場合がある。
【0025】
電動パワーステアリング装置3は、操舵補助力(アシスト力)を発生するEPS用モータ6と、EPS用モータ6の出力トルクを転舵機構に伝達するための減速機構7とを含む。EPS用モータ6は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。
電動テレスコピック調整装置は、ステアリングホイール1をコラム軸方向に移動させるための機構と、この機構を駆動するためのテレスコピック調整用モータ(以下、「テレスコピックモータ8」という)を含んでいる。テレスコピックモータ8は、この実施形態では、ブラシ付直流モータからなる。
【0026】
電動チルト調整装置は、ステアリングホイール1をコラム軸方向に対して傾動させるための機構と、この機構を駆動するためのチルト調整用モータ(以下、「チルトモータ9」という)を含んでいる。チルトモータ9は、この実施形態では、ブラシ付直流モータからなる。EPS用モータ6、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9は、ECU10によって制御される。テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを総称して、「位置調整用モータ」という場合がある。
【0027】
図2は、ECU10の電気的構成を示す概略図である。
ECU10は、各モータ6,8,9の駆動電力を生成する駆動回路11と、駆動回路11を制御するための制御部12とを備えている。制御部12は、CPU(中央処理装置)とこのCPUの動作プログラム等を記憶したメモリ(ROM,RAM、書き換え可能な不揮発性メモリ等)とを含むマイクロコンピュータで構成されている。
【0028】
駆動回路11は、EPS用モータ6(三相ブラシレスモータ)を駆動するために使用される三相ブリッジインバータ回路である。この実施形態では、EPS用モータ6を駆動するための駆動回路11が、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を駆動するための駆動回路としても使用される。
この駆動回路11では、EPS用モータ6のU相に対応した一対の電界効果トランジスタFET1,FET2の直列回路と、V相に対応した一対の電界効果トランジスタFET3,FET4の直列回路と、W相に対応した一対の電界効果トランジスタFET5,FET6の直列回路とが、直流電源13と接地との間に並列に接続されている。以下において、各相の一対のFETのうち、電源13側のものを「ハイサイドFET」といい、接地側のものを「ローサイドFET」という場合がある。
【0029】
EPS用モータ6は、第1の給電回路15,16,17を介して駆動回路11に接続されている。具体的には、EPS用モータ6のU相界磁コイル6Uは、U相に対応した一対のFET1,FET2の間の接続点にU相配線15を介して接続されている。EPS用モータ6のV相界磁コイル6Vは、V相配線16およびEPS用リレー18Aを介して、V相に対応した一対のFET3,FET4の間の接続点に接続されている。EPS用モータ6のW相界磁コイル6Wは、W相配線17およびEPS用リレー18Bを介して、W相に対応した一対のFET5,FET6の間の接続点に接続されている。
【0030】
EPSモータ6の周囲には、EPSモータ6のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ19が設けられている。EPS用リレー18A,18Bによって、第1の給電回路15,16,17を開閉するための経路開閉手段が構成されている。
テレスコピックモータ8は、U相配線15とV相配線16との間に、第2の給電回路21,22を介して接続されている。具体的には、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)は、第1接続線21およびテレスコピックリレーR1を介してU相配線15に接続されている。一方、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)は、第2接続線22を介してV相配線16に接続されている。テレスコピックモータ8の周囲には、テレスコピックモータ8のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ24が設けられている。この実施形態では、テレスコピックモータ8が正転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が車両の後方に移動し、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が車両の前方に移動する。
【0031】
チルトモータ9は、V相配線16とW相配線17との間に、第3の給電回路22,23を介して接続されている。具体的には、チルトモータ9の負極側端子(−)は、前記第2接続線22を介してV相配線16に接続されている。一方、チルトモータ9の正極側端子(+)は、第3接続線23およびチルトリレーR2を介して、W相配線17に接続されている。チルトモータ9の周囲には、チルトモータ9のロータの回転位置(ロータ回転角)を検出するための回転位置センサ25が設けられている。この実施形態では、チルトモータ9が正転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が上方に移動し、チルトモータ9が逆転方向に回転されるとステアリングホイール1の位置が下方に移動する。テレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とを総称して、「位置調整用リレー」という場合がある。
【0032】
この実施形態では、テレスコピックモータ8をV相配線16に接続するための接続線22と、チルトモータ9をV相配線16に接続するための接続線22とが共用されているが、これらの接続線を別々に設けてもよい。
ローサイドFET2,FET4およびFET6と接地とを接続するための各接続線には、EPS用モータ6のV相、W相およびU相の相電流IV,IW,IUを検出するための電流センサ27V,27W,27Uがそれぞれ設けられている。これらの電流センサ27V,27W,27Uは、テレスコピックモータ8、チルトモータ9等に流れる電流を検出するために用いることが可能である。これらの電流センサ27V,27W,27Uは、制御部12に接続されている。
【0033】
制御部12には、車内LAN(CAN:Controller Area Network)30が接続されている。車内LAN30には、前述した回転位置センサ19,24,25、車速センサ31、操舵トルクセンサ32等のセンサ類、位置調整用操作部33等が接続されている。車速センサ31は、車両の速度を検出するものである。操舵トルクセンサ32は、ステアリングホイール1に与えられた操舵トルクを検出するものである。
【0034】
位置調整用操作部33は、たとえば、車両内の運転席の横に配置され、車両の側面に平行な操作面を有している。この操作面には、仮想の正方形の各コーナと各辺の中央とにそれぞれ配置された8つの位置調整キー34と、位置調整キー群の前方に配置されたメモリ制御キー35とを備えている。8つの位置調整キー34のうち、前記仮想の正方形の各辺の中央に配置されたキーが、チルト調整またはテレスコピック調整を単独で行うための単独調整キー34U,34D,34F,34Rである。
【0035】
単独調整キー34U,34D,34F,34Rのうち、前記仮想正方形の上下の各辺の中央に配置された上下一対のキーがチルト調整を単独で行うためのチルト調整キー34U,34Dである。上側のチルト調整キー34Uは、ステアリングホイール1の位置を上方向に移動させるためのキーであり、下側のチルト調整キー34Dは、ステアリングホイール1の位置を下方向に移動させるためのキーである。
【0036】
単独調整キー34U,34D,34F,34Rのうち、前記仮想の正方形の前側および後側の各辺の中央に配置された前後一対のキーがテレスコピック調整を単独で行うためのテレスコピック調整キー34F,34Rである。前側のテレスコピック調整キー34Fは、ステアリングホイール1の位置を前方向に移動させるためのキーであり、後側のテレスコピック調整キー34Rは、ステアリングホイール1の位置を後方向に移動させるためのキーである。なお、この実施形態では、テレスコピック調整キー34R,34Fのいずれか一方と、チルト調整キー34U,34Dのいずれか一方とが同時に押下されている場合には、押下されている2つのキーのうち一方のキー入力のみが有効なものとして受け付けられるものとする。
【0037】
前記仮想の正方形の各コーナに配置されたキーが、チルト調整とテレスコピック調整とを同時に行うための同時調整キー34FU,34FD,34RU,34RDである。各同時調整キー34FU,34FD,34RU,34RDは、それが配置されたコーナ位置に対応した方向にステアリングホイール1の位置を移動させるためのキーである。
メモリ制御キー35は、ステアリングホイール1の現在位置(テレスコピックモータ8の回転位置およびチルトモータ9の回転位置)を不揮発性メモリに記憶させたり、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたりするために使用されるキーである。運転手は、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶させたい場合にはメモリ制御キー35を長押し、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたい場合には、メモリ制御キー35を短押しする。「長押し」とは、メモリ制御キー35を所定時間以上にわたって押下し続ける操作をいい、「短押し」とは、前記所定時間より短い期間だけメモリ制御キー35を押下する操作をいう。
【0038】
制御部12は、電流センサ27U,27V,27W、回転位置センサ19,24,25、車速センサ31、操舵トルクセンサ32、位置調整用操作部33等からの入力信号に基づいて、リレー18A,18B,R1,R2および駆動回路11内のFET1〜FET6を制御する。
制御部12は、常時は、EPS用リレー18A,18Bをオン状態とし、操舵トルクセンサ32によって検出される操舵トルク、車速センサ31によって検出される車速、電流センサ27U,27V,27Wによって検出される相電流および回転位置センサ19によって検出されるEPS用モータ6の回転位置(ロータ回転角)に基づいて、EPS用モータ6を制御する。具体的には、制御部12は、操舵トルクと車速とに基づいて目標電流値を決定し、実際のモータ電流が目標電流値に近づくようにFET1〜FET6を制御する。
【0039】
制御部12は、位置調整用操作部33内のキーが操作された場合において、所定の条件を満たしているときには、EPS用モータ6の制御を中断し、操作されたキーに対応したテレスコピックモータ8および/またはチルトモータ9を制御する。
位置調整用モータ(テレスコピックモータ8またはチルトモータ9)を駆動する場合の制御モードには、単独制御モードと、同時制御モードと、メモリ制御モードとがある。単独制御モードは、テレスコピックモータ8またはチルトモータ9を単独で駆動するための制御モードである。同時制御モードは、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とをほぼ同時に駆動するための制御モードである。メモリ制御モードは、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶させたり、不揮発性メモリに記憶されている位置までステアリングホイール1の位置を自動的に移動させたりするための制御モードである。
【0040】
単独制御モードには第1モード〜第4モードの4種類の動作モードがある。同時制御モードには、第5モード〜第8モードの4種類の動作モードがある。表1は、第1モード〜第8モードの内容と、6つのFET1〜FET1のオンオフ状態を示している。表1において、○はオンを、−はオフを示している。
【0041】
【表1】
各動作モードの内容は、次の通りである。
第1モード:位置調整用モータ8,9のうち、テレスコピックモータ8のみが正転方向に回転するモードであり、キー34Rの操作に基づいて設定されるモードである。
【0042】
第2モード:位置調整用モータ8,9のうち、テレスコピックモータ8のみが逆転方向に回転するモードであり、キー34Fの操作に基づいて設定されるモードである。
第3モード:位置調整用モータ8,9のうち、チルトモータ9のみが正転方向に回転するモードであり、キー34Uの操作に基づいて設定されるモードである。
第4モード:位置調整用モータ8,9のうち、チルトモータ9のみが逆転方向に回転するモードであり、キー34Dの操作に基づいて設定されるモードである。
【0043】
第5モード:テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともにチルトモータ9が正転方向に回転するモードであり、キー34RUの操作に基づいて設定されるモードである。
第6モード:テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともにチルトモータ9が逆転方向に回転するモードであり、キー34RDの操作に基づいて設定されるモードである。
【0044】
第7モード:テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともにチルトモータ9が正転方向に回転するモードであり、キー34FUの操作に基づいて設定されるモードである。
第8モード:テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともにチルトモータ9が逆転方向に回転するモードであり、キー34FDの操作に基づいて設定されるモードである。
【0045】
図3は、第1モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第1モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第1のFET1および第4のFET4がオンとされる。したがって、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0046】
図4は、第2モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第2モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第2のFET2および第3のFET3がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0047】
図5は、第3モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第3モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第4のFET4および第5のFFET5がオンとされる。したがって、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0048】
図6は、第4モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第4モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第3のFET3および第6のFET6がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0049】
図7は、第5モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第5モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第1のFET1、第4のFET4および第5のFET5がオンとされる。したがって、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れるとともに、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8が正転方向に回転するとともに、チルトモータ9が正転方向に回転する。この場合には、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが並列運転される。
【0050】
図8は、第8モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
第8モードでは、位置調整用リレーR1,R2がオンされるとともに、第2のFET2、第3のFET3および第6のFET6がオンとされる。したがって、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れるとともに、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転するとともに、チルトモータ9が逆転方向に回転する。この場合には、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが並列運転される。
【0051】
次に、第6モードにおけるECU10の動作を説明する。第6モードは、この実施形態では、テレスコピックモータ8が正転方向に回転され、チルトモータ9が逆転方向に回転される動作モードである。この場合、位置調整用リレーR1,R2をオンにするとともに、第1のFET1および第6のFET6をオンすることによって、テレスコピックモータ8側からチルトモータ9側に電流が流れるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転することが考えられる。しかしながら、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転すると、各モータ8,9に印加される電圧が低下するため、各モータ8,9のトルクが低下する。
【0052】
そこで、この実施形態では、第6モードにおいて、各モータ8,9のトルクが低下しないように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが時分割駆動される。テレスコピックモータ8を正転方向に回転し、チルトモータ9を逆転方向に回転させるように、これらのモータ8,9を時分割駆動する場合、第1のFET1および第4のFET4がオンとなる前記第1モードと、第3のFET3および第6のFET6がオンとなる前記第4モードとを交互に切り換えることが考えられる。しかしながら、このようにすると、所定時間毎に4つのFETのオンオフを切り替える必要があるため、駆動回路11内のFETの制御が複雑になる。
【0053】
この実施形態では、制御部12は、第6モードにおいて、オンオフを切り替える対象となるFETの数を低減できるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを時分割駆動させる。
図9は、第6モードにおけるECU10の動作を説明するためのタイムチャートである。図10Aおよび図10Bは、第6モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
【0054】
第6モードでは、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされ、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
具体的には、図9に示すように、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされると同時に、第4のFET4およびテレスコピックリレーR1がオンされる。そうすると、図10Aに示されるように、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0055】
図9に示すように、第4のFET4がオンされてから一定時間が経過すると、第4のFET4がオフにされるとともに、テレスコピックリレーR1がオフにされる。ただし、第1のFET1および第6のFET6は、オン状態を維持する。第4のFET4がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第3のFET3およびチルトリレーR2がオンにされる。デッドタイムTDは、同じ相(この例ではV相)のハイサイドFETとローサイドFETとが同時にオンするのを防止するとともに、モータの切替が確実に行われるようにするために設けられている。第3のFET3およびチルトリレーR2がオンすると、図10Bに示されるように、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0056】
第3のFET3がオンされてから一定時間が経過すると、第3のFET3がオフにされるとともに、チルトリレーR2がオフにされる。ただし、第1のFET1および第6のFET6は、オン状態を維持する。第3のFET3がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第4のFET4およびテレスコピックリレーR1がオンにされる。以下、同様な動作が繰り返される。
【0057】
このように第6モードにおいては、第1のFET1および第6のFET6がオン状態とされ、駆動回路11内のFETのうち、第4のFET4と第3のFET3とが交互にオンオフされるだけなので、駆動回路11内のFETの制御が簡単となる。
次に、第7モードにおけるECU10の動作を説明する。第7モードは、この実施形態では、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転され、チルトモータ9が正転方向に回転される動作モードである。この場合、位置調整用リレーR1,R2をオンにするとともに、第2のFET2および第5のFET5をオンすることによって、チルトモータ9側からテレスコピックモータ8側に電流が流れるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転することが考えられる。しかしながら、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを直列運転すると、各モータ8,9に印加される電圧が低下するため、各モータ8,9のトルクが低下する。
【0058】
そこで、この実施形態では、第7モードにおいて、各モータ8,9のトルクが低下しないように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とが時分割駆動される。テレスコピックモータ8を逆転方向に回転し、チルトモータ9を正転方向に回転させるように、これらのモータ8,9を時分割駆動する場合、第2のFET2および第3のFET3がオンとなる前記第2モードと、第4のFET4および第5のFET5がオンとなる前記第3モードとを交互に切り換えることが考えられる。しかしながら、このようにすると、所定時間毎に4つのFETのオンオフを交互に切り替える必要があるため、駆動回路11内のFETの制御が複雑になる。
【0059】
この実施形態では、制御部12は、第7モードにおいて、オンオフを切り替える対象となるFETの数を低減できるように、テレスコピックモータ8とチルトモータ9とを時分割駆動させる。
図11は、第7モードにおけるECU10の動作を説明するためのタイムチャートである。図12Aおよび図12Bは、第7モードにおけるECU10の動作を説明するための電気回路図である。
【0060】
第7モードでは、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされ、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるとともに、これと同期してテレスコピックリレーR1とチルトリレーR2とが交互にオンオフされる。
具体的には、図11に示すように、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされると同時に、第3のFET3およびテレスコピックリレーR1がオンされる。そうすると、図12Aに示されるように、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。これにより、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)に正電圧が印加されるので、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0061】
図11に示すように、第3のFET3がオンされてから一定時間が経過すると、第3のFET3がオフにされるとともに、テレスコピックリレーR1がオフにされる。ただし、第2のFET2および第5のFET5は、オン状態を維持する。第3のFET3がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第4のFET4およびチルトリレーR2がオンにされる。デッドタイムTDは、同じ相(この例ではV相)のハイサイドFETとローサイドFETとが同時にオンするのを防止するとともに、モータの切替が確実に行われるようにするために設けられている。第4のFET4およびチルトリレーR2がオンすると、図12Bに示されるように、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。これにより、チルトモータ9の正極側端子(+)に正電圧が印加されるので、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0062】
第4のFET4がオンされてから一定時間が経過すると、第4のFET4がオフにされるとともに、チルトリレーR2がオフにされる。ただし、第2および第5のFET2、FET5は、オン状態を維持する。第4のFET4がオフになると、所定のデッドタイムTDが経過した後に、第3のFET3およびテレスコピックリレーR1がオンにされる。以下、同様な動作が繰り返される。
【0063】
このように第7モードにおいては、第2のFET2および第5のFET5がオン状態とされ、駆動回路11内のFETのうち、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるだけなので、駆動回路11内のFETの制御が簡単となる。
図13は、制御部12の動作を説明するためのフローチャートである。
イグニッションキーがオンされると、制御部12は、入出力ポート(I/Oポート)を初期化する(ステップS1)。そして、制御部12は、位置調整装置の初期設定を行う(ステップS2)。具体的には、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が所定の初期位置となるように、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を制御する(ステップS2)。
【0064】
次に、制御部12は、入力ポートの読み込みを行う(ステップS3)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、制御部12は、8つの位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態を調べ、これらの全てのキー34,35がオフであれば、位置調整操作が行なわれていないと判別する。一方、これらのキー34,35のうちの1つでもオンである場合には、制御部12は、位置調整操作が行なわれていると判別する。
【0065】
位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS4:NO)、EPS用リレー18A,18Bがオフであればそれらをオンさせた後(ステップS5)、EPS制御を一定時間行なう(ステップS6)。具体的には、制御部12は、操舵トルクと車速とに基づいて目標電流値を決定し、実際のモータ電流が目標電流値に近づくようにFET1〜FET6を制御する。この後、制御部12は、イグニッションキーのオフ操作が行なわれたか否かを判別する(ステップS7)。イグニッションキーのオフ操作が行なわれていなければ(ステップS7:NO)、ステップS3に戻る。
【0066】
前記ステップS4において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS4:YES)、制御部12は、EPS用モータ6のモータ電流(EPS電流)の絶対値が所定のしきい値A(A>0)未満であるか否かを判別する(ステップS8)。具体的には、制御部12は、電流センサ27U,27V,27Wによって検出される各相の相電流IU,IV,IWの絶対値が所定のしきい値A(A>0)未満であるか否か(全ての相電流の絶対値がしきい値A未満であるか否か)を判別する。このしきい値Aは、零に近い所定の値に設定される。
【0067】
EPS電流の絶対値が所定のしきい値A以上である場合には(ステップS8:NO)、制御部12は、操舵角が中立位置付近の不感帯ではないと判断し、ステップS7に移行する。つまり、操舵角が中立位置付近の不感帯でない場合には、運転者によって位置調整装置が行われたとしても、位置調整は行われない。
前記ステップS8において、EPS電流の絶対値が所定のしきい値A未満であると判別された場合には(ステップS8:YES)、制御部12は、操舵角が中立位置付近の不感帯であると判断し、EPS用リレー18A,18Bをオフする(ステップS9)。この後、制御部12は、位置調整用リレー(テレスコピック用リレーR1およびチルト用リレーR2)をオンさせる(ステップS10)。そして、制御部12は、位置調整モータ8,9の制御処理(位置調整制御処理)を行なう(ステップS11)。位置調整制御処理の詳細については後述する。
【0068】
位置調整制御処理が終了すると、ステップS7に移行する。ステップS7において、イグニッションキーのオフ操作が行なわれたと判別された場合には(ステップS7:YES)、制御部12は、EPS用リレー18A,18Bをオフする(ステップS12)。この後、制御部12は、位置調整装置の終了設定を行う(ステップS13)。具体的には、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が所定の終了位置となるように、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9を制御する。そして、処理を終了する。
【0069】
図14〜図18は、図13のステップS11の位置調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
まず、制御部12は、制御モードが単独制御モード(第1モード〜第4モード)であるか否かを判別する(ステップS21)。この判別は、前記ステップS3で読み込まれた8つの位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて行われる。具体的には、制御部12は、単独調整キー(チルト調整キー34U,34Dおよびテレスコピック調整キー34F,34R)のうちの1つがオンとなっているときには、制御モードが単独制御モードであると判別する。また、同時調整キー34RU,34RD,34FU,34FDのうちの1つがオンとなっているときには、制御部12は制御モードが同時制御モードであると判別する。また、メモリ制御キー35がオンとなっている場合には、制御部12は、制御モードがメモリ制御モードであると判別する。
【0070】
制御モードが単独制御モードであると判別された場合には(ステップS21:YES)、制御部12は、オンとなっている単独調整キーに対応する2つのFET(動作対象モータ駆動用FET)をオンさせる(ステップS22)。これにより、オンとなっている単独調整キーに対応するモータ(動作対象用モータ;テレスコピックモータ8またはチルトモータ9)が当該単独調整キーに応じた回転方向に駆動される。
【0071】
具体的には、テレスコピック調整キー34Rがオン状態となっている場合には、第1のFET1および第4のFET4がオンされる(第1モード)。これにより、テレスコピックモータ8が正転方向に回転駆動される。テレスコピック調整キー34Fがオン状態となっている場合には、第2のFET2および第3のFET3がオンされる(第2モード)。これにより、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転駆動される。チルト調整キー34Uがオン状態となっている場合には、第4のFET4および第5のFET5がオンされる(第3モード)。これにより、チルトモータ9が正転方向に回転駆動される。チルト調整キー34Dがオン状態となっている場合には、第3のFET3および第6のFET6がオンされる(第4モード)。これにより、チルトモータ9が逆転方向に回転駆動される。
【0072】
この後、制御部12は、位置調整用操作部33上の各キー34,35の操作信号が入力される位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS23)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS24)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS24:NO)、つまり、オンされていた位置調整キー34がオフされかつ他の位置調整キー34およびメモリ制御キー35のいずれもがオンされていない場合には、制御部12はステップS25に移行する。
【0073】
ステップS25では、制御部12は、全てのFET1〜FET6をオフ状態にする。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオフにする(ステップS26)。また、制御部12は、EPS用リレー18A,18Bをオンにする(ステップS27)。そして、今回の位置調整制御処理を終了する。そして、図13のステップS7に戻る。
前記ステップS24において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS24:YES)、制御部12は、前記ステップS23で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS28)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS28:YES)、ステップS23に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0074】
前記ステップS28において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS28:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS29)、ステップS21に戻る。
前記ステップS21において、制御モードが単独制御モードではないと判別された場合には(ステップS21:NO)、図15のステップS30に移行する。ステップS30では、制御部12は、制御モードが同時制御モードであるか否かを判別する。具体的には、4つの同時調整キー34RU,34RD,34FU,34FDのうちの1つがオンとなっているときには、制御部12は制御モードが同時制御モードであると判別する。制御モードが同時制御モードである場合には(ステップS30:YES)、制御部12は、動作モードが第5モードであるか否かを判別する(ステップS31)。具体的には、同時調整キー34RUがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第5モードである場合には(ステップS31:YES)、制御部12は、第1のFET1、第4のFET4および第5のFET5をオンさせる(ステップS32)。これにより、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9が第5モード(図7参照)で駆動される。
【0075】
この後、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS33)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS34)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS34:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に移行する。
前記ステップS34において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS34:YES)、制御部12は、前記ステップS33で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS35)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS35:YES)、ステップS33に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0076】
前記ステップS35において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS35:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS36)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS31において、動作モードが第5モードではないと判別された場合には(ステップS31:NO)、制御部12は、動作モードが第8モードであるか否かを判別する(ステップS37)。具体的には、同時調整キー34FDがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第8モードである場合には(ステップS37:YES)、制御部12は、第2のFET2、第3のFET3および第6のFET6をオンさせる(ステップS38)。これにより、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9が第8モード(図8参照)で駆動される。
【0077】
この後、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS39)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS40)。位置調整操作が行なわれていない場合には(ステップS40:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に移行する。
前記ステップS40において、位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS40:YES)、制御部12は、前記ステップS39で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS41)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS41:YES)、ステップS39に戻る。この場合には、FET1〜FET6のオンオフ状態は、そのまま維持される。
【0078】
前記ステップS41において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS41:NO)、制御部12は現在オンされているFETをオフした後(ステップS36)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS37において、動作モードが第8モードではないと判別された場合には(ステップS37:NO)、制御部12は、図16のステップS42に移行する。ステップS42では、制御部12は、位置制御用リレーR1,R2をオフにさせる。そして、制御部12は、動作モードが第6モードであるか否かを判別する(ステップS43)。具体的には、同時調整キー34RDがオンとなっているか否かを判別する。動作モードが第6モードである場合には(ステップS43:YES)、図9に示すように、制御部12は、第1のFET1および第6のFET6をオンさせた後に(ステップS44)、第4のFET4をオンさせる(ステップS45)。また、制御部12は、テレスコピックリレーR1をオンさせる(ステップS46)。これにより、図10Aに示すように、電源14から、第1のFET1、テレスコピックリレーR1、テレスコピックモータ8および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。この結果、テレスコピックモータ8が正転方向に回転する。
【0079】
そして、所定時間が経過すると(ステップS47:YES)、制御部12は、第4のFET4をオフさせるとともに(ステップS48)、テレスコピックリレーR1をオフさせる(ステップS49)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS50:YES)、制御部12は、第3のFET3をオンさせるとともに(ステップS51)、チルトリレーR2をオンさせる(ステップS52)。これにより、図10Bに示すように、電源14から、第3のFET3、チルトモータ9、チルトリレーR2および第6のFET6を通って、接地へと電流が流れる。この結果、チルトモータ9が逆転方向に回転する。
【0080】
そして、所定時間が経過すると(ステップS53:YES)、制御部12は、第3のFET3をオフさせるとともに(ステップS54)、チルトリレーR2をオフさせる(ステップS55)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS56:YES)、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS57)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS58)。
【0081】
位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS58:YES)、制御部12は、前記ステップS57で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS59)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS59:YES)、ステップS45に戻る。したがって、ステップS45〜ステップS58の処理が再度実行される。
【0082】
前記ステップS59において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS59:NO)、制御部12は、現在オンされているFETをオフさせる(ステップS60)。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオンさせた後(ステップS61)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS58において、位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS58:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に戻る。
【0083】
前記ステップS43において、動作モードが第6モードでないと判別された場合には(ステップS43:NO)、制御部12は、動作モードが第7モードであると判別し、図17のステップS62に移行する。
ステップS62では、図11に示すように、制御部12は、第2のFET2および第5のFET5をオンさせる。また、制御部12は、第3のFET3をオンさせるとともに(ステップS63)、テレスコピックリレーR1をオンさせる(ステップS64)。これにより、図12Aに示すように、電源14から、第3のFET3、テレスコピックモータ8、テレスコピックリレーR1および第2のFET2を通って、接地へと電流が流れる。この結果、テレスコピックモータ8が逆転方向に回転する。
【0084】
そして、所定時間が経過すると(ステップS65:YES)、制御部12は、第3のFET3をオフさせるとともに(ステップS66)、テレスコピックリレーR1をオフさせる(ステップS67)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS68:YES)、制御部12は、第4のFET4をオンさせるとともに(ステップS69)、チルトリレーR2をオンさせる(ステップS70)。これにより、図12Bに示すように、電源14から、第5のFET5、チルトリレーR2、チルトモータ9および第4のFET4を通って、接地へと電流が流れる。この結果、チルトモータ9が正転方向に回転する。
【0085】
そして、所定時間が経過すると(ステップS71:YES)、制御部12は、第4のFET4をオフさせるとともに(ステップS72)、チルトリレーR2をオフさせる(ステップS73)。この後、デッドタイムTDに相当する時間が経過すると(ステップS74:YES)、制御部12は、位置調整用入力ポートの読み込みを行う(ステップS75)。そして、制御部12は、位置調整操作が行なわれているか否かを判別する(ステップS76)。
【0086】
位置調整操作が行なわれていると判別された場合には(ステップS76:YES)、制御部12は、前記ステップS75で読み込まれた位置調整キー34およびメモリ制御キー35のオンオフ状態に基づいて、オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じであるか否かを判別する(ステップS77)。つまり、同じキーが押下され続けているか否かが判別される。オンとなっているキーが前回にオンであったキーと同じである場合には(ステップS77:YES)、ステップS63に戻る。したがって、ステップS63〜ステップS76の処理が再度実行される。
【0087】
前記ステップS77において、オンとなっているキーが前回にオンであったキーとは異なると判別された場合には(ステップS77:NO)、制御部12は、現在オンされているFETをオフさせる(ステップS78)。そして、制御部12は、位置調整用リレーR1,R2をオンさせた後(ステップS79)、ステップS21(図14参照)に戻る。
前記ステップS76において、位置調整操作が行なわれていないと判別された場合には(ステップS76:NO)、制御部12はステップS25(図14参照)に戻る。
【0088】
図15のステップS30において、制御モードが同時制御モードではないと判別された場合には(ステップS30:NO)、制御部12は、制御モードがメモリ制御モードであると判別し、図18のステップS80に移行する。
ステップS80では、制御部12は、メモリ制御キー25の操作が短押であるか長押しであるかを判別するために、位置調整用入力ポートのうち、メモリ制御キー35の操作信号が入力される入力ポート(メモリ入力ポート)の読み込みを、所定時間にわたって繰り返し行う(ステップS80,S81)。そして、制御部12は、メモリ制御キー35が長押しされたか短押しされたかを判別する(ステップS82)。メモリ制御キー35が長押しされたと判別された場合には(ステップS82:YES)、制御部12は、ステアリングホイール1の現在位置を不揮発性メモリに記憶する(ステップS83)。具体的には、制御部12は、現在のチルトモータ9の回転位置と、現在のテレスコピックモータ8の回転位置とを不揮発性メモリに記憶する。そして、ステップS25(図14参照)に移行する。なお、ステップS83の処理によって、不揮発性メモリに最新に記憶されたチルトモータ9の回転位置を「チルト用記憶値」といい、不揮発性メモリに最新に記憶されたテレスコピックモータ8の回転位置を「テレスコピック用記憶値」ということにする。
【0089】
前記ステップS82において、メモリ制御キー25が短押しされたと判別された場合には(ステップS82:NO)、制御部12は、チルトモータ9を、現在の回転位置からチルト用記憶値に向かって回転させるための回転方向(以下、「チルト用回転方向」という)と、テレスコピックモータ8を、現在の回転位置からテレスコピック用記憶値に向かって回転させるための回転方向(以下、「テレスコピック用回転方向」という)とを決定する(ステップS84)。チルト用回転方向は、チルトモータ9の現在の回転位置とチルト用記憶値とに基づいて決定される。テレスコピック用回転方向は、テレスコピックモータ8の現在の回転位置とテレスコピック用記憶値とに基づいて決定される。
【0090】
次に、制御部12は、ステップS84で決定されたチルト用回転方向に基づいて、チルトモータ9を当該チルト用回転方向に回転駆動させるための2つのFET(チルトモータ駆動用FET)をオン状態にさせる(ステップS85)。そして、制御部12は、チルトモータ9に対応する回転位置検出信号を読み込み(ステップS86)、チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達したか否かを判別する(ステップS87)。チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達していない場合には(ステップS87:NO)、前記ステップS85でチルトモータ駆動用FETがオンされてから、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS88)。所定時間が経過していなければ(ステップS88:NO)、ステップS86に戻る。つまり、ステップS86,S87およびS88の処理が繰り返し行なわれる。そして、所定時間が経過する前にチルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達した場合には(ステップS87:YES)、ステップS89に移行する。チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達することなく、所定時間が経過した場合にも(ステップS88:YES)、ステップS89に移行する。
【0091】
ステップS89においては、制御部12は、前記ステップS85でオンされたチルトモータ駆動用FETをオフする。次に、制御部12は、ステップS84で決定されたテレスコピック用回転方向に基づいて、テレスコピックモータ8を当該テレスコピック用回転方向に回転駆動させるための2つのFET(テレスコピックモータ駆動用FET)をオン状態にさせる(ステップS90)。そして、制御部12は、テレスコピックモータ8に対応する回転位置検出信号を読み込み(ステップS91)、テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達したか否かを判別する(ステップS92)。テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達していない場合には(ステップS92:NO)、前記ステップS90でテレスコピック駆動用FETがオンされてから、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS93)。
【0092】
所定時間が経過していなければ(ステップS93:NO)、ステップS91に戻る。つまり、ステップS91,S92およびS93の処理が繰り返し行なわれる。そして、所定時間が経過する前にテレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達した場合には(ステップS92:YES)、ステップS94に移行する。テレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達することなく、所定時間が経過した場合にも(ステップS93:YES)、ステップS94に移行する。
【0093】
ステップS94においては、制御部12は、前記ステップS90でオンされたテレスコピックモータ駆動用FETをオフする。そして、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動したか否かを判別する(ステップS95)。具体的には、制御部12は、チルトモータ9の回転位置がチルト用記憶値に達しており、かつステレスコピックモータ8の回転位置がテレスコピック用記憶値に達しているという条件を満たしているか否かを判別する。この条件を満たしていない場合には(ステップS95:NO)、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動していないと判別し、ステップS85に戻る。この場合には、再度、ステップS85以降の処理が行われる。一方、前記条件を満たしている場合には(ステップS95:YES)、制御部12は、ステアリングホイール1の位置が記憶位置まで移動したと判別し、ステップS25(図14参照)に移行する。
【0094】
上記実施形態によれば、EPS用モータ6を駆動するための駆動回路(三相ブリッジインバータ回路)11によって、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を駆動することができる。このため、EPS用モータ6と、位置調整用モータ8,9とを駆動するために必要なFET等のスイッチング素子の数を低減させることができる。
また、前述したように、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を直列運転可能な動作モードである第6モードまたは第7モードにおいては、チルトモータ9およびテレスコピックモータ8を時分割駆動させることができる。このため、第6モードまたは第7モードにおいて、これらのモータ8,9のトルクが低下するのを防止できる。この際、駆動回路11内のFETのうち、第3のFET3と第4のFET4とが交互にオンオフされるだけなので、三相ブリッジインバータ回路内のスイッチング素子の制御が簡単となる。
【0095】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述した実施形態では、テレスコピック調整キー34R,34Fのいずれか一方と、チルト調整キー34U,34Dのいずれか一方とが同時に押下されている場合には、押下されている2つのキーのうち一方のキー入力のみが有効なものとして受け付けられているが、両方のキー入力をともに有効なものとして受け付けてもよい。この場合には、動作モードが同時制御モードに設定され、前記2つのキー入力に応じて、テレスコピックモータ8およびチルトモータ9の両方が駆動されることになる。
【0096】
また、テレスコピックモータ8の負極側端子(−)をテレスコピックリレーR1を介してU相配線15に接続し、テレスコピックモータ8の正極側端子(+)をV相配線16に接続するようにしてもよい。また、チルトモータ9の負極側端子(−)をチルトリレーR2を介してW相配線17に接続し、チルトモータ9の正極側端子(+)をV相配線16に接続するようにしてもよい。いずれの場合にも、テレスコピックモータ8側からチルトモータ9側に電流が流れるように、これらのモータ8,9を直列運転可能な動作モードにおいては、前記第6モードと同様な制御を行うことが可能である。また、チルトモータ9側からテレスコピックモータ8側に電流が流れるように、これらのモータ8,9を直列運転可能な動作モードにおいては、前記第7モードと同様な制御を行うことが可能である。
【0097】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0098】
6…EPS用モータ、8…テレスコピックモータ、9…チルトモータ、10…ECU、11…駆動回路、12…制御部、15…U相配線、16…V相配線、17…W相配線、18A,18B…EPS用リレー、21…第1接続線、22…第2接続線、23…第3接続線、27U,27V,27W…電流センサ、34U,34D,34F,34R…単独調整キー、34RU,34RD,34FU,34FD…同時調整キー、R1…テレスコピックリレー、R2…チルトリレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相モータと、
前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線、第2相配線および第3相配線からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路と、
前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段と、
前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路を介して接続された第1の直流モータと、
前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路を介して接続された第2の直流モータと、
前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチと、
前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチと、
前記第1の直流モータ側から前記第2の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子と前記第3相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
三相モータと、
前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線、第2相配線および第3相配線からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路と、
前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段と、
前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路を介して接続された第1の直流モータと、
前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路を介して接続された第2の直流モータと、
前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチと、
前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチと、
前記第2の直流モータ側から前記第1の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子およびローサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置を含み、
前記三相モータが電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータであり、
前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータのうちのいずれか一方が操舵部材の所定の第1方向位置を調整するためのチルト調整用モータであり、他方が前記操舵部材の所定の第2方向位置を調整するためのテレスコピック調整用モータである、車両用操舵装置。
【請求項1】
三相モータと、
前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線、第2相配線および第3相配線からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路と、
前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段と、
前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路を介して接続された第1の直流モータと、
前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路を介して接続された第2の直流モータと、
前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチと、
前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチと、
前記第1の直流モータ側から前記第2の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記第1相に対応するハイサイドのスイッチング素子と前記第3相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子およびハイサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
三相モータと、
前記三相モータの第1相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第2相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子と、前記三相モータの第3相に対応したハイサイドおよびローサイドのスイッチング素子とを有し、前記第1相、第2相および前記第3相にそれぞれ対応する第1相配線、第2相配線および第3相配線からなる第1の給電回路を介して前記三相モータに接続された三相ブリッジインバータ回路と、
前記第1の給電経路を開閉するための経路開閉手段と、
前記第1相配線と前記第2相配線との間に第2の給電回路を介して接続された第1の直流モータと、
前記第2相配線と前記第3相配線との間に第3の給電回路を介して接続された第2の直流モータと、
前記第2の給電回路のうち、前記第1相配線と前記第1の直流モータとを接続する部分を開閉する第1のスイッチと、
前記第3の給電回路のうち、前記第3相配線と前記第2の直流モータとを接続する部分を開閉する第2のスイッチと、
前記第2の直流モータ側から前記第1の直流モータ側に電流が流れるように、前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータを直列運転することが可能な動作モードにおいて、前記第1の直流モータと前記第2の直流モータとを時分割駆動させる制御手段とを含み、
前記制御手段は、第3相に対応するハイサイドのスイッチング素子と第1相に対応するローサイドのスイッチング素子とをオン状態とし、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子およびローサイドのスイッチング素子を交互にオンオフさせるとともに、これと同期して、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを交互にオンオフさせるように構成されている、モータ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2相に対応するハイサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第1のスイッチをオンオフさせ、前記第2相に対応するローサイドのスイッチング素子のオンオフに同期して、前記第2のスイッチをオンオフさせるように構成されている、請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のモータ制御装置を含み、
前記三相モータが電動パワーステアリング用の三相ブラシレスモータであり、
前記第1の直流モータおよび前記第2の直流モータのうちのいずれか一方が操舵部材の所定の第1方向位置を調整するためのチルト調整用モータであり、他方が前記操舵部材の所定の第2方向位置を調整するためのテレスコピック調整用モータである、車両用操舵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−170275(P2012−170275A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30585(P2011−30585)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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