説明

モータ用の絶縁シートとステータコアにコイルを固定する方法

【課題】ステータコアとコイルの接着性に優れ、ティース周りにコイルを配設する際に絶縁シートやコイルの絶縁被膜が破損するといった課題も解消でき、ワニスを滴下する際の大掛かりな設備も不要とすることのできる絶縁シートと、この絶縁シートを使用してなるステータコアにコイルを固定する方法を提供する。
【解決手段】絶縁シート10は、液状の接着剤3を内包したマイクロカプセル2が絶縁紙1の表面に分散固着されてなるものである。ステータコアにコイルを固定する方法は、絶縁シート10を用意し、モータを構成するステータコア4のスロット42内に絶縁シート10を配し、コイル5をティース41に配する際にコイル5でマイクロカプセル2を壊して内包されている液状の接着剤3で絶縁シート10をステータコア4とコイル5の双方に接着するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの特にステータに適用される絶縁シートと、この絶縁シートを介してステータコアにコイルを固定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータ(電動機)を構成するステータは、円環状のヨークと、該ヨークから径方向内側に突出する複数のティースと、隣接するティース間に形成されるスロットを備えた鋼板が積層されてなるステータコアから形成されており、たとえば予め導線が巻装されてなるコイルがこのティース周りに嵌め込まれ、固定されることによってステータが製造される。
【0003】
このステータコアへのコイルの設置に際しては、コア−コイル間の絶縁性を保証するべく、ステータコアのスロット内に絶縁紙が配設された後にコイルをティース周りに嵌め込んで設置するのが一般的である(いわゆるスロット絶縁)。なお、コイルを構成する導線の巻装形式には集中巻き方式と分布巻き方式があるが、分布巻き方式の場合にはさらに、コイルエンドにおける異相コイル間の絶縁のための絶縁紙が介装されることになる(いわゆる相間絶縁)。
【0004】
スロット絶縁に関してさらに記載するに、スロット内に絶縁紙が配されてコイルがティース周りに配設された後に、たとえばコイルエンドからワニス(接着剤)をコイル内に含浸させ、ワニスの硬化によってステータコアと絶縁紙、絶縁紙とコイル双方の固定を図り、コア−コイル間の絶縁性をより一層保証するようにしている。ここで、ワニスを含浸させることは、コイルとコアの固定やコイルとコアの間の絶縁性の向上、コイルの封止のみならず、コイル間の隙間をワニスで満たすことでコイルからの放熱を促進するといった効果を期待することもできる。
【0005】
ここで、特許文献1には、ステータコアと絶縁紙の間にワニスを供給して絶縁処理とコイルの固定をおこなう技術が開示されており、より詳細には、ワニス供給の促進を図るべく、絶縁紙にワニス供給用の開口を設けるようにしている。
【0006】
ところで、昨今のモータはその小型化や高出力化といった相反する性能が要求されており、そのいずれも満足するべく、コイルの占積率を高めることが必要条件となってきている。そのため、ステータコアのスロット内における隙間を極力無くすようにコイルが配設されることになり、コイル用の導線にも平角線が使用されるようになっているが、このようにスロット内におけるコイルの占積率が向上した結果、コイルを構成する導線間やコア−コイル間へのワニスの含浸が困難となり、コア−コイル間の接着が不十分な箇所が生じる可能性が高くなっている。
【0007】
このワニスの含浸においては、ティース周りにコイルが位置決めされたステータコアを把持固定し、コイルの上方から特殊なノズルを利用して狭い隙間にワニスを滴下し、ステータコアを回転させながらワニスの滴下を継続するといった方法でおこなわれるのが一般的であるため、そのための設備も大掛かりなものとなり易い。
【0008】
さらに、ティース周りにコイルを配設するに当たり、狭いスロット内にコイルの一部が挿入される過程で、コイルと絶縁紙の間の摩擦が大きくなってコイルが挿入し難い上に、この摩擦に抗してコイルを挿入する際に絶縁シートが破損したり、コイルを構成する導線周りの絶縁被膜が擦れて破損する可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−166731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、従来一般の絶縁紙を使用してこれをステータコアのスロットに配し、ティース周りにコイルを挿入した後にワニスを滴下等してステータコアとコイルを固定する方法を廃し、改良された絶縁シートを使用することによってステータコアとコイルの接着性に優れ、ティース周りにコイルを配設する際に絶縁シートやコイルの絶縁被膜が破損するといった課題も解消でき、ワニスを滴下する際の大掛かりな設備も不要とすることのできる絶縁シートと、この絶縁シートを使用してなるステータコアにコイルを固定する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明による絶縁シートは、液状の接着剤を内包したマイクロカプセルが絶縁紙の表面に分散固着されてなるものである。
【0012】
本発明の絶縁シートは、幅広の絶縁紙の2つの表面、もしくはいずれか一方の表面に多数の液状の接着剤を内包したマイクロカプセルが分散固着されたものである。
【0013】
ここで、マイクロカプセルとは、球体直径が1μm〜1000μmの極めて微小なカプセルのことであり、通常のハンドリングの際には容易に壊れず、ティース周りにコイルを挿入する際の該コイルによる押圧力(圧縮力)やせん断力、突き刺し力で壊れる程度の強度を備えたものが望ましい。
【0014】
また、「液状の接着剤」とは、常温で液状を呈する接着剤であり、従来のワニスを使用することができ、より詳細には、たとえば熱硬化性樹脂やエラストマーからなる合成接着剤を挙げることができる。
【0015】
絶縁紙の表面には、同一径の多数のマイクロカプセルが分散する形態であってもよいし、複数の径の異なる多数のマイクロカプセルが分散する形態であってもよい。
【0016】
また、絶縁紙の表面にマイクロカプセルを分散固着させる分散形態は、絶縁紙の表面上でマイクロカプセルを密に分散させた形態、マイクロカプセル間に隙間が存在するようにしてマイクロカプセルを分散して配設する形態のいずれであってもよい。
【0017】
さらには、スロット内に絶縁シートを折り曲げて配設する際に、この折り曲げ箇所にマイクロカプセルを配設しないようにして分散させる形態などであってもよい(折り曲げ箇所に固着したマイクロカプセルが絶縁シートを折り曲げた際に作用する力で固着解除して脱落するのを防止するため)。
【0018】
マイクロカプセルと絶縁紙の固定方法は、絶縁紙の表面に両面接着テープを配しておき、もしくは接着剤を塗工しておき、この表面に多数のマイクロカプセルを散布する等の方法で絶縁シートが製作できる。なお、この絶縁紙とマイクロカプセルの固着力は、マイクロカプセルがコイルから圧縮力やせん断力を受けて破壊される際の力よりも大きな固着力となるように予め調整されているのが望ましい。
【0019】
本発明の絶縁シートを使用することにより、たとえばティース周りにコイルを挿入する過程でマイクロカプセルが破壊されて内部の液状の接着剤が流出することから、後工程でワニスをコイルの外側から滴下等して含浸させる場合に比して、コイルとコアの間の高い接着性能を保証することができる(接着不良箇所の発生抑止)。
【0020】
また、本発明はステータコアにコイルを固定する方法にも及ぶものであり、この方法は、液状の接着剤を内包したマイクロカプセルを絶縁紙の表面に分散固着させてなるモータ用の絶縁シートを用意し、モータを構成するステータコアのスロット内に前記絶縁シートを配し、コイルをティースに配する際に該コイルで前記マイクロカプセルを壊して内包されている液状の接着剤で絶縁シートをステータコアとコイルの双方に接着するものである。
【0021】
本発明の固定方法によれば、上記する本発明の絶縁シートを使用することにより、ステータコアのスロットにたとえば折り曲げ加工された絶縁シートを配し、次いで平角線等の導線が巻装されてなるコイルをティース周りに挿入した際に、たとえばコイルが絶縁シートをティース側に押し込むことでマイクロカプセルが破壊され、内部にある液状の接着剤が流れ出してコアと絶縁紙の間を満たし、かつ絶縁紙とコイルの間を満たし、さらにコイルを構成する導線間の隙間をも満たしてコアに対するコイルの固定やコイルの封止が図られる。
【0022】
なお、コイルによってマイクロカプセルが破壊される形態としては、ティース周りにコイルを挿入する際にコイルが絶縁紙表面のマイクロカプセルと接触し、マイクロカプセルを突き刺して破壊したり、あるいはマイクロカプセルと摩擦接触する過程でマイクロカプセルが引き伸ばされて破壊するといった形態などもある。
【0023】
いずれの破壊形態であれ、ティースにコイルを挿入する過程で液状の接着剤が破壊されたマイクロカプセルから流出することから、後工程でコイルの外側からワニス(接着剤)を滴下する場合のように、大掛かりな設備も不要であり、狭いコア−コイル間やコイルを構成する導線間にワニスが含浸し難いといった課題は生じ得ない。
【0024】
また、マイクロカプセルが破壊されて流出した接着剤によって絶縁シートとコイルの間に潤滑性が齎され、接着剤が存在しない場合に比してスムーズにコイルを挿入することが可能となる。このことによって、コイル挿入時の摩擦力による導線表面の絶縁被膜の破損や絶縁シートを構成する絶縁紙の破損といった課題も解消され、さらには、コイルを挿入する際の挿入荷重も格段に低減される。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明の絶縁シートとこの絶縁シートを使用してなるステータコアにコイルを固定する方法によれば、ティース周りにコイルを挿入する過程で絶縁シート表面のマイクロカプセルが破壊されて内部の液状の接着剤が流出し、流出した接着剤がコアと絶縁シートの間、絶縁シートとコイルの間、コイルを構成する導線間に効果的に含浸されてこれらの接着や封止をおこなうことから、スムーズなコイルの挿入によって当該固定の際のコイルや絶縁シートの破損の問題が解消され、コア−コイルの接着不良箇所が無い、もしくは極めて少ない接着固定を実現でき、さらには、後工程でワニスをコイル外部から含浸させる際に要する大掛かりな設備を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の絶縁シートを説明した図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は(a)のb−b矢視図であり、(c)はマイクロカプセルの断面図である。
【図2】本発明のステータコアにコイルを固定する方法を説明した図であって、絶縁シートをスロットに配設している状態を説明した図である。
【図3】図2に続いて、スロットに絶縁シートが配設された後にティースにコイルを挿入している状態を説明した図である。
【図4】ティースにコイルが挿入される過程でコイルが絶縁シートを押し潰し、マイクロカプセルが壊れて内部の接着剤が流出している状態を説明した図である。
【図5】ティースにコイルが完全に挿入され、接着剤が硬化してステータコアにコイルが固定された状態を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例は、スロット内に絶縁シートを配してコイルを挿入し、スロット絶縁構造を介してステータコアとコイルが固定されることを説明したものであるが、たとえば3相交流モータ等において、ティースエンドから突出するV相、U相、W相などの異相コイル間の絶縁においても本発明の絶縁シートを適用できることは勿論のことである。
【0028】
(絶縁シート)
図1は本発明の絶縁シートの一実施の形態を説明した図であり、図1aはその縦断面図であり、図1bは図1aのb−b矢視図(平面図)であり、図1cはマイクロカプセルの断面図である。
【0029】
図示する絶縁シート10は、絶縁紙1の広幅な上下の表面の双方に常温で液状の接着剤3が内包されたマイクロカプセル2が分散固着されてその全体が構成されている。
【0030】
ここで、絶縁紙1としては、ポリエステルフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムやクラフト紙などの絶縁性能を有する素材フィルムを挙げることができる。
【0031】
また、常温で液状を呈する接着剤としては従来のワニスを使用することができ、より詳細には、たとえば熱硬化性樹脂やエラストマーからなる合成接着剤を挙げることができる。この熱硬化性樹脂系接着剤としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂を含む)、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などからなる接着剤を挙げることができ、エラストマー系接着剤としては、シリコーン(変性シリコーンを含む)、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどからなる接着剤を挙げることができる。
【0032】
この接着剤は一液性のもの、二液性のもの(主剤と硬化剤が別であって、主剤を内包するマイクロカプセルと硬化剤を内包するマイクロカプセルが混在した形態)のいずれであってもよく、湿気や加熱によって硬化するものなどであってもよい。
【0033】
また、マイクロカプセル2の素材としては、6ナイロン、6,6ナイロンといったポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリオレフィン(PO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを挙げることができる。
【0034】
絶縁紙1の表面には、同一径の多数のマイクロカプセル2が分散する形態であってもよいし、複数の径の異なる多数のマイクロカプセル2(径が50μm程度のも、100μm程度のもの、200μm程度のものなどが混在する形態)が分散する形態であってもよい。さらに、絶縁紙1の表面にマイクロカプセル2を分散固着させる分散形態は、絶縁紙1の表面上でマイクロカプセル2を密に分散させた形態、マイクロカプセル2,2間に隙間が存在するようにしてマイクロカプセル2を分散して配設する形態のいずれであってもよい。
【0035】
次に、マイクロカプセル2の製作方法とマイクロカプセル2を絶縁紙1に分散固着して絶縁シート10を製作する方法の一例を概説する。
【0036】
まず、マイクロカプセル2となる6,6ナイロンのモノマーであるアジピン酸で液状の接着剤であるエポキシを包んだエマルジョンを適宜の分散液中に分散させ、6,6ナイロンの他のモノマーであるヘキサメチレンジアミンを投入し、重合反応させてエポキシを包んだ6,6ナイロンのマイクロカプセル2が製作できる。
【0037】
絶縁紙1上に接着剤を薄く塗工し、製作されたマイクロカプセル2を所望量吹き付けることによって絶縁シート10が製作される。なお、マイクロカプセル2を静電気等で平らな板上の面に吸着させ、これを接着剤に当ててマイクロカプセル2のある面にだけ接着剤を塗工してこれを絶縁紙1に押し当て、板を外して絶縁シート10を製作するといった方法もある。
【0038】
このような方法で絶縁紙1の表面にマイクロカプセル2が分散固着されることになるが、この絶縁紙1とマイクロカプセル2の固着力は、後述する固定方法の際にマイクロカプセル2がコイル5から圧縮力やせん断力を受けて破壊される際の力よりも大きな固着力となるように予め調整されていることにより、絶縁紙1の表面にマイクロカプセル2が分散固着された姿勢が維持された状態で、マイクロカプセル2に圧縮力等が作用して壊され、内部の液状の接着剤3が流れ出すことができる。
【0039】
(ステータコアにコイルを固定する方法)
次に図2〜5を参照してステータコアにコイルを固定する方法の一実施の形態を概説する。なお、図示例はステータコアの周方向に磁極数だけ存在するティースの一部のみを取り上げ、一部のティースに対してコイルを固定することを示したものであり、これが全てのティースで実施されることは勿論のことである。
【0040】
まず、図1で示す絶縁シート10を用意し、これを図2で示すように、電磁鋼板Sが積層してなるステータコア4のティース41,41で挟まれたスロット42内に収容される形状に折り曲げ加工して該スロット42に挿入する(X1方向)。
【0041】
図3は、スロット42に絶縁シート10が配設された状態を示している。図示するように絶縁シート10が配設されたら、ティース41にコイル5を挿入していく(X2方向)。
【0042】
ここで、コイル5は、銅素材の平角導線周りにエナメル被膜等の絶縁被膜が形成されたものが予め巻装されたものである。導線には従来一般の丸線(断面円形の導線)も適用できるが、占積率向上の観点から平角線コイルを適用するのが好ましい。
【0043】
図4は、ティース41にコイル5が挿入される過程を説明したものである。
【0044】
同図で示すように、スロット42に絶縁シート10が配設された状態におけるスロット42内の幅t1(絶縁シート10を構成する対向する内側のマイクロカプセル2,2間の離間長さ)は、コイル5の幅t2よりも短くなるように調整されている。
【0045】
図示するようにティース41にコイル5を挿入する過程で、すなわち、スロット42内にコイル5が挿入される過程で(X2方向)絶縁シート10はコイル5から圧縮力Qを受け、この圧縮力Qによって絶縁紙1の両表面のマイクロカプセル2,2が壊され、それらの内部に存在する液状の接着剤3が流れ出すことになる。
【0046】
なお、コイル5によってマイクロカプセル2が壊される力は、図示する圧縮力以外にも、コイル5がマイクロカプセル2を突き刺して壊す形態、コイル5とマイクロカプセル2の間の動摩擦によって壊す形態や、これらの力の複合形態でマイクロカプセル2を壊す形態などがある。
【0047】
そして、図示するスロット42内でのコイル5の挿入がスロット端面まで実行されることにより、絶縁シート10を構成する全てのマイクロカプセル2が壊されて内部の液状の接着剤3が完全に流れ出し、接着剤3が湿気を吸収したり熱処理されることによって硬化する。このことにより、図5で示すようにステータコア4を構成するスロット42の壁面と絶縁紙1が接着され、絶縁紙1とコイル5が接着されることでステータコア4とコイル5が絶縁紙1を介して接着固定されることになる。
【0048】
また、ステータコア4とコイル5の固定のほかにも、流れ出した接着剤が平角導線間に浸透し、コイル5の封止もおこなうことになる。
【0049】
図示する固定方法によれば、たとえばティース41周りにコイル5を挿入する過程でマイクロカプセル2が破壊されて内部の液状の接着剤3が流出することから、後工程でワニスをコイルの外側から滴下等して含浸させる従来の方法に比べて、コイル5とコア4の間の高い接着性能を保証することができ、接着不良箇所の発生を効果的に抑止することができる。
【0050】
また、マイクロカプセル2が破壊されて流出した接着剤3によって絶縁シート10とコイル5の間に潤滑性が付与され、接着剤3が存在しない場合に比してスムーズにコイル5を挿入することが可能となる。このことによって、コイル挿入時の摩擦力による導線表面の絶縁被膜の破損や絶縁シート10を構成する絶縁紙1の破損といった課題も解消され、さらには、コイル5を挿入する際の挿入荷重も格段に低減される。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1…絶縁紙、2…マイクロカプセル、3…接着剤、4…ステータコア、41…ティース、42…スロット、5…コイル(平角線コイル)、10…絶縁シート、S…電磁鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の接着剤を内包したマイクロカプセルが絶縁紙の表面に分散固着されてなるモータ用の絶縁シート。
【請求項2】
液状の接着剤を内包したマイクロカプセルが絶縁紙の表面に分散固着されてなるモータ用の絶縁シートを用意し、
モータを構成するステータコアのスロット内に前記絶縁シートを配し、コイルをティースに配する際に該コイルで前記マイクロカプセルを壊して内包されている液状の接着剤で絶縁シートをステータコアとコイルの双方に接着する、ステータコアにコイルを固定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−62911(P2013−62911A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198459(P2011−198459)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】