説明

ユーザ認証装置及び方法

【課題】音声による質問に対してユーザから音声により応答されるパスワードを認識してユーザ認証を行うとき、周囲の人に質問及びパスワードを聞かれてもセキュリティ上問題のない認証を可能にする。
【解決手段】合言葉生成手段13は、ユーザが登録した複数のキーワードカテゴリの所属単語をランダムに組み合わせて合言葉を生成する。合言葉は対話型音声入出力手段14からスピーカ2へ送出される。合言葉を聞いたユーザは、キーワードの組み合わせからなるパスワードを発声する。このパスワードは、対話型音声入出力手段14からパスワード判定手段16へ送られる。パスワード判定手段16は、ユーザが発声したパスワードと、パスワード作成手段16で作成された、合言葉に対応するパスワードとを比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声による質問に対してユーザから音声により応答されるパスワードを認識してユーザの認証を行うユーザ認証装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なユーザ認証装置は、画面を見ながらパスワードの入力操作を行うように構成されているため、弱視や盲目の人にとっては作業が非常に困難である。弱視や盲目の人の操作を容易にしたものとしては、声紋認証を用いたものがあるが、高価な装置(ハードウェア/ソフトウェア)が必要となってしまう。また、高価な装置を用いずに、ユーザにパスワードを発声させて認証を行う構成では、パスワードを周囲の人に聞かれてしまうという問題がある。
【0003】
この問題を解決できる方法として、ユーザが、ヘッドフォンなどを装着し、認証装置から出力された質問や合言葉の音声をヘッドフォンなどから聞き、マイクに向かって応答のパスワードを発声するようにした個人認証方法がある(特許文献2参照)。この方法では、周囲の人にパスワードを聞かれても、質問との対応関係までは推測できないため、セキュリティ上問題のない認証を行うことができる。しかし、ヘッドフォンの着脱が必要となるため、使い勝手が良いとは言えない。
【特許文献1】特開2006−195646号公報
【特許文献2】特表2008−501992号公報(段落0014)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、音声による質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードを認識してユーザの認証を行うときに、周囲の人に質問及びパスワードを聞かれてもセキュリティ上問題のない認証を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のユーザ認証装置は、音声による質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードを認識して前記ユーザの認証を行うユーザ認証装置であって、複数のキーワードカテゴリの各々に対して複数の所属単語が登録される単語テーブルと、前記単語テーブルに登録されている複数のキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて前記質問を生成する質問生成手段と、パスワードを構成する複数のキーワード及びそのキーワードカテゴリがユーザ毎に登録されるユーザ登録テーブルと、前記生成された質問を構成する複数の単語が所属するキーワードカテゴリに対応する複数のキーワードからパスワードを作成するパスワード作成手段と、そのパスワード作成手段により作成されたパスワードと、前記生成された質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードとが一致するか否かを判定するパスワード判定手段と、その判定の結果が一致の場合のみ、ログインを可とする認証結果出力手段とを有し、前記質問生成手段は、質問を生成するときに、各キーワードカテゴリから選択する所属単語、又は所属単語の組み合わせの順序を動的に決定することを特徴とするユーザ認証装置である。
本発明のユーザ認証方法は、音声による質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードを認識して前記ユーザの認証を行うユーザ認証方法であって、ユーザからログイン要求を受けたとき、複数のキーワードカテゴリの各々に対して複数の所属単語が登録された単語テーブルと、パスワードを構成する複数のキーワード及びそのキーワードカテゴリがユーザ毎に登録されたユーザ登録テーブルとを参照し、前記単語テーブルに登録されている複数のキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて質問を生成する質問生成工程と、その生成された質問を構成する複数の単語が所属するキーワードカテゴリに対応する複数のキーワードからパスワードを作成するパスワード作成工程と、そのパスワード作成工程で作成されたパスワードと、前記生成された質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードとが一致するか否かを判定するパスワード判定工程と、その判定の結果が一致の場合のみ、ログインを可とする認証結果出力工程とを有し、前記質問生成工程は、質問を生成するとき、各キーワードカテゴリから選択する所属単語、又は所属単語の組み合わせの順序を動的に決定することを特徴とするユーザ認証方法である。
【0006】
[作用]
本発明によれば、音声による質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードを認識してユーザの認証を行うときに、複数のキーワードカテゴリの各々に対して複数の所属単語が登録された単語テーブルと、パスワードを構成する複数のキーワード及びそのキーワードカテゴリがユーザ毎に登録されたユーザ登録テーブルとを参照し、単語テーブルに登録されている複数のキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて、質問を生成する際、各キーワードカテゴリから選択する所属単語、又は所属単語の組み合わせの順序を動的に決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、音声による質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードを認識してユーザの認証を行うときに、周囲の人に質問及びパスワードを聞かれても、セキュリティ上問題のない認証を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置のハードウェアブロック図である。
【0009】
このユーザ認証装置は、マイク1、スピーカ2、操作表示部3、入出力インタフェース4、制御装置5、及び記憶装置6を備えている。
【0010】
マイク1は、図示しないユーザの音声を電気信号(音声信号)に変換する。スピーカ2は、制御装置5で生成された電気信号(音声信号)を音声に変換して出力する。操作表示部3は、ユーザがこのユーザ認証装置を操作するときに用いる各種キー、及びユーザが各種キーから入力した情報や装置の動作状態などを表示する液晶パネルなどからなる。入出力インタフェース4は、マイク1、スピーカ2、及び操作表示部3と、制御装置5との間に接続されており、入出力インタフェース4は、マイク1、スピーカ2、及び操作表示部3と、制御装置5との間の信号伝送のためのインタフェースである。
【0011】
制御装置5は、このユーザ認証装置全体の制御を行うものであり、各種演算や処理を実行するCPU51と、CPU51の動作時に使用されるプログラムや固定データが格納されたROM52と、CPU51の動作時にワークエリアとなるRAM53とを備えている。
【0012】
記憶装置6はハードディスクなどからなり、単語テーブル61と、ユーザ登録テーブル62が記憶されている。これらのテーブルは、ユーザが操作表示部3を用いて作成することもできるし、ユーザがマイク1、スピーカ2を用い、後述する対話型音声入出力手段(図4)の機能により作成することもできる。
【0013】
図2に単語テーブル61の一例を示す。単語テーブル61には、キーワードカテゴリと各カテゴリに属する単語とが対応付けられて登録されている。ここでは、キーワードカテゴリ及び所属単語として、動物(所属単語は、さる、ぞう、きりん、いぬ、ねこ、くま、ねずみ)、果物(所属単語は、りんご、いちご、バナナ、なし、かき、メロン)、乗り物(所属単語は、くるま、バス、でんしゃ、ひこうき、じてんしゃ)、自然(所属単語は、やま、かわ、うみ、そら、みずうみ、そうげん)がある。
【0014】
図3にユーザ登録テーブル62の一例を示す。ユーザ登録テーブル62には、ユーザ名(ここではa、b、c)と、各ユーザの認証に使用するキーワード数、動物、果物、乗り物、自然の各カテゴリに対するキーワードが記述されている。
【0015】
例えばユーザaについては、使用キーワード数が3、動物、果物、乗り物に関するキーワードは、それぞれ、あい、うえ、おか、であり、自然に対するキーワードは登録されていない。
【0016】
図4は、本実施形態のユーザ認証装置の機能ブロック図である。この機能ブロックは、制御装置5内のCPU51が、RAM53をワークエリアとして用い、ROM52に格納されている認証プログラムを実行することにより実現される。
【0017】
単語記憶手段11は、単語テーブル61にアクセスして、データの書き込み、読み出しなどを行う。ユーザ登録手段12は、ユーザ登録テーブル62にアクセスして、データの書き込み、読み出しなどを行う。
【0018】
合言葉生成手段13は、ユーザ登録手段12によりユーザ登録テーブル62から読み出されたユーザ情報テーブル61を参照し、単語記憶手段11により単語テーブル61から読み出された単語テーブルを用いて、各ユーザに対する合言葉を生成する。例えば、ユーザaに対する合言葉を生成するとき、ユーザ情報テーブル61を参照し、使用キーワード数が3であり、カテゴリが動物、果物、乗り物であることを知ると、単語テーブルのキーワードカテゴリの動物、果物、乗り物の所属単語を1個ずつ選択し、例えば“バナナ、さる、バス”と言う合言葉を生成する。
【0019】
生成された合言葉は、対話型音声入出力手段14及びパスワード作成手段15へ送出される。対話型音声入出力手段14は、合言葉生成手段13で生成された合言葉に対応する音声信号を合成し、入出力インタフェース4を介してスピーカ2へ送出し、音声に変換させる。従って、合言葉生成手段13が“バナナ、さる、バス”からなる合言葉を生成したとき、スピーカ2から“バナナ、さる、バス”を表す音声が出力される。
【0020】
また、対話型音声入出力手段14は、マイク1から入出力インタフェース4を経て入力される音声信号を認識し、その内容に応じて、単語記憶手段11、ユーザ登録手段12又はパスワード判定手段16へ送出する。
【0021】
パスワード作成手段15は、合言葉生成手段13で生成された合言葉のキーワードカテゴリの組み合わせ順に、対応するキーワードカテゴリの所属単語を単語記憶手段11から受け取ってパスワードを作成し、パスワード判定手段16へ送出する。ここでは、パスワードとして“うえ、あい、おか”が作成される。
【0022】
ユーザaが、スピーカ2から“バナナ、さる、バス”からなる合言葉を質問として聞いたとき、その応答として、“うえ、あい、おか”を発声すると、マイク1により音声信号に変換され、入出力インタフェース4を介して対話型音声入出力手段14へ送られて音声認識され、認識結果がパスワード判定手段16へ送られる。
【0023】
パスワード判定手段16は、対話型音声入出力手段14から送られてくるパスワードと、パスワード作成手段15から送出されてくるパスワードを比較し、比較結果(一致又は不一致)を認証結果出力手段16へ通知する
【0024】
認証結果出力手段17は、比較結果が“一致”の場合は、パスワードが正しいのでユーザaの認証結果を“OK”とし、“不一致”の場合は、パスワードが誤りであるため認証結果を“NG”とする。
【0025】
認証結果(OK/NG)は、対話型音声入出力手段14へ送られて、音声合成され、入出力インタフェース4を介してスピーカ4に送られ、音声として出力される。
【0026】
以上の構成を有する画像処理装置の動作について説明する。
図5は、ユーザがログイン要求を行うときの手順の一例のフローチャートである。
【0027】
まずステップS1で、ユーザが、画像処理装置のマイク1に向かって自分の名前を発声し、ログインを要求する。この音声は、マイク1により音声信号に変換され、入出力インタフェース4を通って対話型音声入出力手段14へ送られ、ここで音声認識され、認識結果が合言葉生成手段13へ送られる。
【0028】
ステップS2で、合言葉生成手段13は、ユーザ登録手段12を介してユーザ登録テーブル62にアクセスし、該当するユーザが設定したキーワードカテゴリを参照する。ここでは、該当するユーザが図3のユーザbであったものとする。
【0029】
ステップS3で、合言葉生成手段13は、単語記憶手段11を介して単語テーブル61を参照し、キーワードカテゴリに属する単語をランダムに組み合わせて合言葉を生成し、対話型音声入出力手段14及びパスワード作成手段15へ送出する。ここでは、ユーザbのキーワードカテゴリである動物、果物、乗り物、及び自然の所属単語を1個ずつランダムニ選択し、それらをランダムな順序に組み合わせる。ここでは、動物、果物、乗り物、自然の所属単語として、それぞれ、いぬ、りんご、ひこうき、かわを選択し、乗り物、自然、果物、動物の順に組み合わせて、合言葉として“ひこうき、かわ、りんご、いぬ”を生成したものとする。
【0030】
またステップS3で、対話型音声出力手段14は、合言葉の音声信号を合成し、入出力インタフェース4を通してスピーカ2へ送り、音声として出力させる。ここでは、“ひこうき、かわ、りんご、いぬ”の音声が合言葉として出力される。
【0031】
ステップS4で、合言葉を聞いたユーザは、対応するパスワードを発声する(ステップS4)。ここでは、“けけ、ここ、くく、きき”をパスワードとして発声したものとする。このパスワードの音声は、マイク1、入出力インタフェース4から対話型音声入出力手段14へ送られて音声認識され、認識結果がパスワード判定手段16へ送られる。
【0032】
ステップS5で、パスワード作成手段15は、合言葉生成手段14から受け取った合言葉のキーワードカテゴリの組み合わせ順に、単語テーブル61上の対応するキーワードを用いてパスワードを作成し、パスワード判定手段16へ送出する。ここでは、パスワードとして“けけ、ここ、くく、きき”が作成される。
【0033】
ステップS6で、パスワード判定手段16は、対話型音声入出力手段14から送られてきたパスワードと、パスワード判定手段15から送られてきたパスワードとを比較し、比較結果を認証結果出力手段17に通知する。
【0034】
認証結果出力手段17は、比較結果が“一致”の場合はログインOKとし(ステップS7)、“不一致”の場合はログインNGとする(ステップS8)。
【0035】
ログインOK、ログインNGの結果は、対話型音声入出力手段14へ通知される。対話型音声入出力手段14は、受け取った通知に対応する音声信号を合成し、入出力インタフェース4を通してスピーカ2へ送り、音声を出力させる。ユーザは、スピーカ2から出力される音声を聞くことで、ログイン要求の結果を知ることができる。
【0036】
図6は、ユーザがログイン要求を行うときの手順の別の一例を示すフローチャートである。図5に示す手順では、合言葉−パスワード(質問−応答)のマッチング(一致/不一致の確認)を1回しか行わないため、他人によるなりすましで偶然ログインを突破されてしまうおそれがある。そこで、図6の手順では、所定の複数回の異なる合言葉に対する応答のパスワードが全て正しかった場合に初めてログインをOKにすることにより、セキュリティ性能を向上させた。この図において、図5と対応するステップには図5と同じ参照符号を付した。
【0037】
図6の手順は、図5のステップS6とS7との間にステップS9を追加したものである。ステップS9では、ステップS6で“一致”と判定した結果の回数が、予め設定されている規定回数に達しているかどうかを確認し、達していない場合はステップS2へ進み、達している場合はステップS7へ進む。規定回数はユーザにより予め設定され、RAM53に記憶されている。
【0038】
ここで、ステップS9で規定回数に達したことが確認されるまでステップS2〜S6を繰り返すとき、合言葉生成手段13は、ステップS3でキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて合言葉を生成する際、繰り返し毎に、所属単語をランダムに選択し、かつそれらの単語をランダムな順序に並べる。
【0039】
この図に示すフローによれば、規定回数の全ての「合言葉−パスワード」の対応関係を把握していないと連続してマッチングに成功しないため、仮に他人のなりすましで偶然1回のマッチングが成功したとしても、全ての「合言葉−パスワード」を連続して成功する可能性は低いため、他人によるなりすましでログインされることを防止でき、セキュリティ強度を高めることができる。
【0040】
図7は、ユーザ登録作業のフローチャートである。
まずステップS11で、ユーザが、画像処理装置のマイク1に向かって自分の名前を発声し、ログインを要求する。この音声は、マイク1により音声信号に変換され、入出力インタフェース4を通って対話型音声入出力手段14へ送られ、ここで音声認識され、認識結果が合言葉生成手段13へ送られる。
【0041】
ステップS12で、合言葉生成手段13は、ユーザ登録手段12を介してユーザ登録テーブル62に該当するユーザが存在するかどうか確認する。確認の結果、存在する場合は図5又は図6のステップS2へ進む(ステップS13)。存在しない場合はステップS14へ進み、ユーザ登録作業を始める。
【0042】
ユーザ登録作業では、まずステップS15で、ユーザが、使用する1つ以上のキーワードカテゴリを指定し、次にステップS16で、各キーワードカテゴリに対応するキーワードを指定する。この指定処理は、ユーザがマイク1に向かってキーワードカテゴリ、及びそれに対応するキーワードを、スピーカ2から出力される音声に応答して発声することにより実行される。即ちユーザが発声したキーワードカテゴリ、及びそれに対応するキーワードを対話型音声入出力手段14が音声認識して、その結果をユーザ登録手段12を介してユーザ登録テーブル62に登録する。
【0043】
ユーザ登録作業が終了したら(ステップS17)、図5又は図6のステップS2へ進む(ステップS13)。これにより、ログインを行うことができるようになる。
【0044】
以上のように、本実施形態のユーザ認識装置は、下記(1)〜(3)の特徴を有する。
(1)合言葉を動的に生成することで、次回のログインでは、異なる合言葉で質問するとともに、合言葉に対するパスワードも毎回変わるので、周囲の人に合言葉やパスワードが聞かれてしまってもセキュリティを確保することができ、使い勝手の良い音声認証を実現することができる。また、高価な装置が不要であるため、低コストでの音声認証を実現することができる。
(2)所定の複数回の異なる合言葉に対する応答のパスワードが全て正しかった場合に初めてログインをOKにすることにより、他人によるなりすましでログインされるのを防ぐことができ、セキュリティ強度を高めることができる。
(3)音声によるユーザ登録作業が可能なので、弱視、盲目の人が画面表示やボタン操作をする必要がなくなり、使い勝手が向上する。
【0045】
なお、図1では、マイク1、スピーカ2、及び操作表示部3が入出力インタフェース4を介して制御装置5に接続されているが、携帯電話機を通信インタフェースにより制御装置5に接続し、そのマイク及びスピーカを利用してユーザ認証を行うように構成してもよい。
【0046】
[第2の実施形態]
本実施形態のユーザ認証装置では、ユーザ毎に単語テーブルを登録可能にし、かつ単語テーブル内のキーワードカテゴリ数及びその所属単語数が可変であり、かつそれらの追加及び削除を可能にした。本実施形態のユーザ認証装置において、単語テーブルの構成以外は第1の実施形態と同じである。
【0047】
図8に、二人のユーザの単語テーブルの一例を示す。ここで図8Aはユーザaの単語テーブルであり、図8Bはユーザbの単語テーブルである。ユーザaの単語テーブルは、例えば装置にデフォルトで設定されているテーブルであってもよいし、ユーザaが前回作成したテーブルであってもよい。ユーザbの単語テーブルにおいて、太線で記述されている単語(くま、ねずみ、じてんしゃ)は、新規に追加された単語である。
【0048】
図9に、二人のユーザの単語テーブルの別の一例を示す。ここで図9Aはユーザaの単語テーブルであり、図9Bはユーザbの単語テーブルである。ユーザaの単語テーブルにおいて、太線で記述されている単語(くま、ねずみ、じてんしゃ)は新規に追加されたものである。また、ユーザbの単語テーブルでは、新規にカテゴリとして“自然”を追加したものである。新たなに追加されたカテゴリの所属単語は、予めデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが指定するように構成してもよい。
【0049】
以上のように、本実施形態のユーザ認証装置は、下記(1)〜(4)の特徴を有する。
(1)ユーザ毎に登録できるキーワード数が可変であるため、ユーザによって、合言葉やパスワードの長さを変えることができる。このため、他人によるパスワードの推測がより困難になることで、セキュリティ強度が向上する。
(2)合言葉を構成する単語を新規に登録することができるので、合言葉生成部が生成する合言葉のパターン数が増える。このため、セキュリティ強度が向上する。
(3)キーワードカテゴリ及びそれに属する単語をユーザごとに記憶/変更できるので、同じ装置の利用者であっても合言葉とパスワードの関係を推測することが困難になり、セキュリティ強度が向上する。
(4)キーワードカテゴリを新規に登録できるようにしたので、合言葉生成部が生成する合言葉のパターン数が増えるとともに、それに対応するパスワードのパターン数も増える。このため、セキュリティ強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置のハートウェアブロック図である。
【図2】図1の単語テーブルの一例を示す図である。
【図3】図1のユーザ登録テーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置において、ユーザがログイン要求を行うときの手順の一例のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置において、ユーザがログイン要求を行うときの手順の別の一例のフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態のユーザ認証装置におけるユーザ登録作業のフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態のユーザ認証装置における単語テーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のユーザ認証装置における単語テーブルの別の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・マイク、2・・・スピーカ、5・・・認証装置、11・・・単語記憶手段、12・・・ユーザ登録手段、13・・・合言葉生成手段、14・・・対話型音声入出力手段、15・・・パスワード作成手段、16・・・パスワード判定手段、17・・・認証結果出力手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声による質問に対してユーザから音声により応答されるパスワードを認識して前記ユーザの認証を行うユーザ認証装置であって、
複数のキーワードカテゴリの各々に対して複数の所属単語が登録される単語テーブルと、
前記単語テーブルに登録されている複数のキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて前記質問を生成する質問生成手段と、
パスワードを構成する複数のキーワード及びそのキーワードカテゴリがユーザ毎に登録されるユーザ登録テーブルと、
前記生成された質問を構成する複数の単語が所属するキーワードカテゴリに対応する複数のキーワードからパスワードを作成するパスワード作成手段と、
そのパスワード作成手段により作成されたパスワードと、前記生成された質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードとが一致するか否かを判定するパスワード判定手段と、
その判定の結果が一致の場合のみ、ログインを可とする認証結果出力手段と
を有し、
前記質問生成手段は、質問を生成するときに、各キーワードカテゴリから選択する所属単語、又は所属単語の組み合わせの順序を動的に決定する
ことを特徴とするユーザ認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたユーザ認証装置において、
ユーザからの指示に応じて、前記単語テーブルにキーワードカテゴリ又は所属単語の少なくとも一方を追加登録する手段を有することを特徴とするユーザ認証装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたユーザ認証装置において、
前記質問生成手段、パスワード作成手段、及びパスワード判定手段が動作を繰り返し、前記認証結果出力手段は、前記動作の繰り返し時の判定結果が連続して所定回一致した場合のみ認証を許可することを特徴とするユーザ認証装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載されたユーザ認証装置において、
前記ユーザ登録テーブル及び単語テーブルに対する登録を対話形式で実行させる手段を有することを特徴とするユーザ認証装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載されたユーザ認証装置において、
前記単語テーブルに登録されるキーワードカテゴリの数、又は所属単語数の少なくとも一方がユーザ毎に可変であることを特徴とするユーザ認証装置。
【請求項6】
音声による質問に対してユーザから音声により応答されるパスワードを認識して前記ユーザの認証を行うユーザ認証方法であって、
ユーザからログイン要求を受けたとき、複数のキーワードカテゴリの各々に対して複数の所属単語が登録された単語テーブルと、パスワードを構成する複数のキーワード及びそのキーワードカテゴリがユーザ毎に登録されたユーザ登録テーブルとを参照し、前記単語テーブルに登録されている複数のキーワードカテゴリの所属単語を組み合わせて質問を生成する質問生成工程と、
その生成された質問を構成する複数の単語が所属するキーワードカテゴリに対応する複数のキーワードからパスワードを作成するパスワード作成工程と、
そのパスワード作成工程で作成されたパスワードと、前記生成された質問に対してユーザから音声により応答されたパスワードとが一致するか否かを判定するパスワード判定工程と、
その判定の結果が一致の場合のみ、ログインを可とする認証結果出力工程と
を有し、
前記質問生成工程は、質問を生成するとき、各キーワードカテゴリから選択する所属単語、又は所属単語の組み合わせの順序を動的に決定する
ことを特徴とするユーザ認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−102383(P2010−102383A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270890(P2008−270890)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】