説明

ラジエータ冷却構造

【課題】 ラジエータの冷却効果を上げることができるラジエータ冷却構造を簡単な機構で実現する。
【解決手段】 車両のエンジン100の後部においてボンネット10に外気導入部1を設けるとともに、外気導入部1の内部においてボンネット10の下面に垂設され、エンジン100からの熱を遮断するための耐熱樹脂製の遮熱板2を設け、遮熱板2の整流作用により、外気導入部1から導入された外気をエンジン100後方のラジエータ101に導くようにした。外気導入部1は、ボンネット10の上面に形成された開口10aと、ボンネット10の上部に設けられ、開口10aに連通する外気導入口11aを有するフード11とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータ冷却構造に関し、詳細には、ラジエータの冷却効果を上げるための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フォークリフト等の産業車両や自動車のエンジンには、エンジンを冷却するための冷却水を貯留するラジエータが設けられており、車両外部から導入された外気は冷却ファンによってラジエータに導風されることにより、ラジエータ内の冷却水を冷却している。
【0003】
従来構造のフォークリフトの場合、特開2004−196529号公報の図4に示すように、外気はエンジン下方からエンジンルーム内に導入され、エンジン周りを通過した後、冷却ファンによりファンシュラウド内を流れてラジエータに導風されるようになっている。
【0004】
しかしながら、前記従来の構造では、ラジエータに導風される外気は、エンジン周りを通過する際に、エンジンの熱により加熱されるため、ラジエータの冷却効果を上げるにも限界があるという問題があった。
【特許文献1】特開2004−196529号公報(図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ラジエータの冷却効果を上げることができるラジエータ冷却構造を簡単な機構で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るラジエータ冷却構造は、車両のエンジン後部においてボンネットに外気導入部を設けるとともに、外気導入部の内部においてエンジンからの熱を遮断するための遮熱板を設け、遮熱板の整流作用により、外気導入部から導入された外気をエンジン後方のラジエータに導くようにしている。
【0007】
請求項1の発明によれば、外気は、ボンネットの外気導入部から車両のエンジン後部に導入され、外気導入部内部の遮熱板の整流作用により、エンジン後方のラジエータに導かれる。
【0008】
この場合には、外気導入部がボンネットのエンジン後部位置に配置されていることにより、外気導入部から導入された外気は、エンジンの周囲を流れることなく、エンジン後部に導入される。これにより、導入された外気がエンジン周りを通過することでエンジンの熱により加熱されるのを防止できる。しかも、この場合には、外気導入部の内部に、エンジンからの熱を遮断するための遮熱板が設けられているので、導入された外気がエンジンの輻射熱で加熱されるのを防止できる。さらに、遮熱板を外気導入部の内部に設けたことで、導入された外気を遮熱板の作用で整流させてエンジン後方のラジエータに導くことができるので、外気を効率よくラジエータに導風できる。
【0009】
請求項2の発明では、請求項1において、外気導入部が、ボンネットの上面に形成された開口と、ボンネットの上部に設けられ、開口に連通する外気導入口を有するフードとから構成されている。
【0010】
請求項2の発明においては、外気は、フードの外気導入口を介して、ボンネット上面の開口に導入する。この場合には、フードを設けることで、車両前方からの外気を効率よくボンネット内部に導入することができる。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1において、遮熱板がボンネットの下面に垂設されている。
【0012】
この場合には、遮熱板をエンジンから離して配置することができ、遮熱板がエンジンブロックで直接加熱されるのを防止できる。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1において、遮熱板が耐熱樹脂製である。
【0014】
この場合には、樹脂製にすることにより、任意の形状のものを容易に成形でき、外気に対する整流作用を向上できるとともに、ボンネット内部への取付けが容易になる。また、耐熱性のものを用いることで、寿命を向上できる。
【0015】
請求項5の発明では、請求項1において、遮熱板が、熱伝導性の低い材料から構成されている。
【0016】
この場合には、熱伝導性の低い材料を用いることで、遮熱板の断熱作用が大きくなって、導入された外気がエンジンの輻射熱で加熱されるのを確実に防止できるようになる。
【0017】
請求項6の発明では、請求項1において、当該車両が産業車両である。
【0018】
一般に、フォークリフト等の産業車両は、低速で走行する場合が多いため、外気を効率よくラジエータまで導風する必要があるが、本願の請求項1の発明によれば、ボンネットに外気導入部が設けられ、走行中の外気を当該外気導入部により効率よくボンネット内部に導入することができるので、産業車両用のラジエータ冷却構造に好適である。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、車両のエンジン後部においてボンネットに外気導入部を設けるとともに、外気導入部の内部においてエンジンからの熱を遮断する遮熱板を設けたので、外気はボンネットの外気導入部から車両のエンジン後部に導入され、外気導入部内部の遮熱板の整流作用により、エンジン後方のラジエータに導かれる。この場合には、外気導入部をボンネットのエンジン後部位置に設けたことにより、外気導入部から導入された外気が、エンジンの周囲を流れることなくエンジン後部に導入されるので、導入された外気がエンジン周りを通過することでエンジンの熱により加熱されるのを防止できる。また、エンジンからの熱を遮断するための遮熱板を外気導入部の内部に設けたので、導入された外気がエンジンの輻射熱で加熱されるのを防止できる。さらに、遮熱板を外気導入部の内部に設けたことで、導入された外気を遮熱板の作用で整流させてエンジン後方のラジエータに導くことができ、これにより、外気を効率よくラジエータに導風できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図3は、本発明の一実施例によるラジエータ冷却構造を説明するための図であって、図1は本実施例によるラジエータ冷却構造を採用するフォークリフトのエンジンルームの側面図、図2はラジエータ冷却構造を構成するフードおよび外気導入口の斜視図、図3はラジエータ冷却構造を構成する遮熱板の斜視図である。なお、各図において、左方が車両の前方を示し、右方が車両の後方を示している。
【0021】
図1ないし図3に示すように、フォークリフトのボンネット10には、外気導入部1が設けられている。外気導入部1は、エンジン100の後部に配置されている。外気導入部1は、ボンネット10の上面に形成された開口10aと、ボンネット10の上部に設けられ、開口10aに連通する外気導入口11aを有するフード11とから構成されている。外気導入口11aは、車両の前方に開口している。
【0022】
外気導入部1の内部には、エンジン100からの熱を遮断するための遮熱板2が設けられている。遮熱板2は、開口10aの前側開口縁部またはその近傍に配置されている。遮熱板2は、取付部材20を介してボンネット10の下面に垂設されている。上述した外気導入部1および遮熱板2により、本実施例によるラジエータ冷却構造が構成されている。
【0023】
遮熱板2は、耐熱樹脂から構成されているのが好ましく、より好ましくは、熱伝導性の低い材料から構成されている。
【0024】
また、図1に示すように、エンジン100の後方には、ラジエータ101が設けられている。ラジエータ101の前面には、インタークーラ102およびオイルクーラ103が設けられており、これらの前方にさらにファンシュラウド104が設けられている。
【0025】
上述のように構成されたラジエータ冷却構造においては、外気は、ボンネット10上に設けられた外気導入部1のフード11の外気導入口11aからフード11内に導入されるとともに、ボンネット10の開口10aを通って、ボンネット10内部のエンジンルーム内に導入される(図1中の外気の流れを示す矢印参照)。
【0026】
エンジンルーム内に導入された外気は、遮熱板2によって整流されて、エンジン100の後方のファンシュラウド104に導かれ、ファンシュラウド104からラジエータ101に導風される(図1中の外気の流れを示す矢印参照)。なお、図1の下部に示すように、外気は、車両の底部からも導入されており、この外気もファンシュラウド104に導入されている。
【0027】
この場合には、外気導入部1がボンネット10のエンジン後部位置に配置されていることにより、外気導入部1から導入された外気は、エンジン100の周囲を流れることなく、エンジン100後部に導入される。これにより、導入された外気がエンジン周りを通過することでエンジン100の熱により加熱されるのを防止できる。しかも、この場合には、外気導入部100の内部に、エンジン100からの熱を遮断するための遮熱板2が設けられているので、導入された外気がエンジン100の輻射熱で加熱されるのを防止できる。さらに、遮熱板2を外気導入部1の内部に設けたことで、導入された外気を遮熱板2の作用で整流させてエンジン後方のラジエータ101に導くことができるので、外気を効率よくラジエータに導風できる。
【0028】
また、この場合、外気導入部1として、ボンネット10上面の開口10aに連通する外気導入口11aを有するフード11が設けられているので、車両前方からの外気を効率よくボンネット内部に導入することができる。
【0029】
さらに、遮熱板2がボンネット10の下面に垂設されているので、遮熱板を2エンジン100から離して配置することができ、遮熱板2がエンジンブロックで直接加熱されるのを防止できる。
【0030】
なお、遮熱板2を耐熱樹脂製にしたことにより、寿命を向上できるとともに、任意の形状のものを容易に成形でき、外気に対する整流作用を向上できる。また、遮熱板2が、熱伝導性の低い材料から構成されているので、遮熱板2の断熱作用が大きくなって、導入された外気がエンジン100の輻射熱で加熱されるのを確実に防止できるようになる。
【0031】
前記実施例では、本発明によるラジエータ冷却構造が適用される車両として、フォークリフトを例にとって説明したが、本発明は、フォークリフト以外の産業車両にも適用できる。一般に、フォークリフト等の産業車両は、低速で走行する場合が多いため、外気を効率よくラジエータまで導風する必要があるが、本発明によれば、ボンネットに外気導入部が設けられており、走行中の外気を当該外気導入部により効率よくボンネット内部に導入することができるので、産業車両用のラジエータ冷却構造に好適である。さらに、本発明は、産業車両のみならず、自動車にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例によるラジエータ冷却構造を有するフォークリフトのエンジンルームの側面図である。
【図2】ラジエータ冷却構造(図1)を構成するフードおよび外気導入口の斜視図である。
【図3】ラジエータ冷却構造(図1)を構成する遮熱板の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1: 外気導入部

2: 遮熱板

10: ボンネット
10a: 開口
11: フード
11a: 外気導入口

100: エンジン
101: ラジエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータ冷却構造であって、
車両のエンジン後部においてボンネットに外気導入部を設けるとともに、前記外気導入部の内部においてエンジンからの熱を遮断するための遮熱板を設け、前記遮熱板の整流作用により、前記外気導入部から導入された外気をエンジン後方のラジエータに導くようにした、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記外気導入部が、前記ボンネットの上面に形成された開口と、前記ボンネットの上部に設けられ、前記開口に連通する外気導入口を有するフードとから構成されている、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。
【請求項3】
請求項1において、
前記遮熱板が前記ボンネットの下面に垂設されている、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。
【請求項4】
請求項1において、
前記遮熱板が耐熱樹脂製である、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。
【請求項5】
請求項1において、
前記遮熱板が、熱伝導性の低い材料から構成されている、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。
【請求項6】
請求項1において、
当該車両が産業車両である、
ことを特徴とするラジエータ冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−934(P2010−934A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161915(P2008−161915)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000003241)TCM株式会社 (319)
【Fターム(参考)】