説明

ラフニングおよびエッチング工程を光沢度測定手段によりコントロールする、絶縁性基体をメタライゼーションするための方法

本発明は、光沢度測定による絶縁性基体のエッチング工程のコントロールに関する。本方法により、引き続いて行われるメタライゼーション工程において堆積金属層の良好な接着を結果する表面粗度を得ることができる。本方法は特にプリント基板の製造に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性基体をエッチング溶液により、該絶縁性基体の表面をラフニングするのに十分な濃度、温度および時間においてエッチングし、次いでメタライゼーションを行う絶縁性基体をメタライゼーションするための方法であって、ラフニングおよびエッチング工程を光沢度測定手段によりコントロールする、前記方法に関する。この方法によると、引き続いて行われるメタライゼーション工程によって堆積する金属層の良好な接着性を結果する表面粗度が得られる。本方法は、特にプリント基板の製造に適する。
【背景技術】
【0002】
非導電性基体のメタライゼーションに先立ち、金属被膜の良好な接着を得るために表面の前処理が必要である。接着性はピール強度として測定することができる。一般にピール強度は、好ましくは2〜20N/cm、より好ましくは6〜10N/cmであることが要求される。
使用されるプラスチックの種類は特に限定されず、これまでに種々のプラスチックが知られている。その例としては、これまで化学めっきに広く使用されてきたABS樹脂の如き汎用プラスチック、ポリアミド(ナイロンPA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、修飾されたポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)などの如き150℃以下の耐熱性を有する汎用のエンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)などの如き200℃以上の耐熱性を有するスーパーエンジニアリングプラスチック、ポリカーボネート/ABS樹脂などの如きポリマーアロイなどである。
【0003】
プリント基板(PCB’s)の製造に使用される素材としては、例えばグラスファイバー、紙などの如き繊維質の材料をエポキシ樹脂の如きポリマーと組み合わせた硬質の非導電性または誘電性の素材が包含される。多層基板(MLB’s)は、接着手段により互いに積層された数枚のPCB’sからなる。(上述したような)硬質の基板に加え、フッ化炭素ポリマー、ナイロンポリマー、ポリイミド、ケブラー補強ポリマー、ポリパラバン酸およびポリエステルの如き熱可塑性の誘電性層を採用することにより、可撓性の基板も製造することができる。可撓性の基板は、繊維補強しないで製造される。これら双方のタイプのプリント基板の製造は、Printed Circuits Handbook, Second Edition, edited by C. F. Coombs, Jr., McGraw−Hill, 1979に記載されている。この文献はここに加入され参照される。MLB’sの適用のうちに、可撓性および硬質の基板を積層した組み合わせの実用品も見られる。
更に、基体は硬質のベース層と例えばエポキシ樹脂からできた非補強の層を有することができる。
第一工程において、基体は膨潤液で処理される。通常は有機膨潤剤および水酸化ナトリウムの如き塩基からなる旧来の膨潤剤を使用することができる。
【0004】
次いで、処理される基体の表面はエッチングされる。エッチング処理により樹脂基板の表面を選択的に溶解し、アンカー効果が得られる。この処理により電気めっきの接着性および被膜表面の外観を向上することができる。エッチング工程は、種々の方法により行うことができる。例えば処理される基体を予め加熱したクロム酸および硫酸の混合溶液に浸漬する。ABS樹脂の基体を処理する場合、エッチング処理により構成成分であるブタジエンゴムがクロム酸の酸化効果により溶出し、樹脂基体上に孔径約1〜約2μmのアンカー孔が形成される。一方ブタジエンは、酸化分解してカルボニル基の如き極性基を生成する。
前処理後、金属被膜を形成する前に、非導電性の表面への金属の堆積を促進するべく、非導電性表面を処理する−例えばBergstromらの特許US2,702,253の工程に従い、塩化第一スズ増感剤溶液に次いで二価パラジウムの塩化物の増感剤溶液からなる二段階活性化処理である。
しかる後に第一のおよび多くの場合は第二のならびに最終の金属層が堆積される。無電解の金属被膜は多くの場合は銅である。この場合、使用される溶液は第二銅イオンおよびホルムアルデヒドの如き還元剤を含有している。ホルムアルデヒドは、還元触媒として作用するパラジウムの存在下において溶液中で第二銅イオンを金属銅に還元する。無電解銅は、次いで電気的手段により金属被覆されてもよい。
【0005】
多層回路を製造する際には、孔の形成により生ずる樹脂スミア(smear)を除去するための予備工程を行う必要がある。このスミアの除去によって化学的に形成された銅被膜による多層−銅内層の信頼性のある導通が保証される。同時に行われる基板の外表面のラフニングに伴ってエポキシドが除去されて孔がきれいになることによって、引き続いて行われる堆積金属の被覆においてより良好な接着性が付与されることが保証される。
基板表面のラフニングおよびスミア除去は同時に行われるので、処理の際には双方のパラメータのうちのひとつのみをコントロールすればよい。下記において「エッチング」という語は、該当する場合には表面のラフニングとスミア除去の双方を示すものとして使用される。
金属層の良好な接着は、回路基板が後のハンダ付け工程の間に曝される熱負荷のためにとりわけ重要である。かなりの処理時間を要するものの、概して酸化、有機溶媒および/または界面活性剤による膨潤工程の前にアルカリ含有の過マンガン酸カリウムもしくはナトリウム溶液による上述の予備工程を行うことが知られている。ほとんどの場合、バックエッチングの速度は小さいものであるから、例えば超音波の使用、温度の上昇、過マンガン酸ナトリウムを使用することによる過マンガン酸塩の濃度の上昇またはOHイオン濃度の上昇によりエッチング速度を上げることが既に提案されている。
【0006】
樹脂スミアの除去および絶縁体表面の表面ラフニングをするには、数々の方法が知られている。ひとつの方法としてドライなまたはウェットな研磨材粒子をかかる孔を通して流す方法などの機械的方法がある。類似の方法として、研磨材料の濃厚なスラリーを水圧で押して孔を通す方法がある。しかしながら、これら機械的方法は一般に遅く、コントロールが困難である。さらに、一定の回路基板の有するすべての孔中のスミアや完全除去を達成することは困難である。
孔のスミア除去には化学的方法も使用されている。一般に、付着した樹脂被膜を攻撃するには化学薬品が使用される。化学薬品としては、例えば濃硫酸(約90%の濃度に希釈されている)を挙げることができる。付着したエポキシ樹脂は、通常は厚さ0.001インチ未満であり、約1分間の濃硫酸処理により除去することができる。残念なことに、要求される高濃度の硫酸は極めて危険であり、オペレータによる尋常ならざる予防措置が必要である。また、望ましくない荒れた孔が形成される。更に、濃硫酸はすぐに水を吸収し、その有効寿命を制限し、孔のスミア除去に要する浸漬時間が変化する原因になることがある。
スミア除去に使用される他の化学薬品としてクロム酸が挙げられる。クロム酸は濃硫酸と比べて弱いエッチャントであるためエッチング速度をコントロールすることはより容易であるが、依然としてオペレータの注意を要し、特殊な装置を要する。過マンガン酸塩も、スミア除去および種々の材料のエッチングに使用される。例えば、
US3,506,397は、リン酸および過マンガン酸カリウムを含有する組成物によるABS樹脂の処理に関する。
US3,598,630およびUS3,647,699も、ABSポリマーの処理のためのリン酸/過マンガン酸カリウム溶液に関する。
多くの状況下において、エッチング組成物には、小領域樹脂のスミア除去能力のみならず樹脂の「エッチバック」能力も必要とされていることから、エッチング効率の向上も要請されている。「エッチバック」という語は、当業者間で、例えばプリント基板の孔の筒(barrel)部分から樹脂を除去することをいう。これにより当該部分において銅などの層の一部が露出する。本質的に、銅層は基板の孔の中で若干突出している。実際上の目的からエッチバックは単なるスミア除去に比べてどのような樹脂でも除去するけれども、ある場合には相当特殊なエッチバックの要件が必要とされることもある。
【0007】
US5,019,229には、安定な強い過マンガン酸アルカリ系エッチング溶液を使用する、特にプリント基板の孔において高いバックエッチング速度を有するエポキシ樹脂のエッチング方法およびそのための装置が記載されている。上記エッチング溶液は、電気化学的アノード酸化により安定化されており、過マンガン酸塩およびOHイオンの濃度は、電気化学的および/または光学的測定方法を用いてこれらを測定し、次いで測定値と所定値とのズレに従って溶液を計量することによりコントロールされている。
ラフニングおよびスミア除去のコントロール性を改善する方法は、これまではほとんどエッチング溶液の組成の最適化に集中して行われてきた。これらのすべては、工程の最中に化学組成および化合物の濃度が変化し、スミア除去およびラフニングの結果が信頼できないとの欠点を有する。
光学装置を使用した銅金属表面のエッチングのコントロールは、すでに文献により知られている。特開平01−298790では、プリント基板製造におけるエッチングの完了時間を、基板からの反射光をモニターし、その強度の変化を観察することにより決定している。銅のエッチング溶液はアンモニウム塩を含有し、好適な波長は390〜496nmであると記載されている。終点の決定に使われる反射光強度の変化は、積層体の移送速度、エッチング溶液の濃度、エッチングの温度、エッチング溶液の供給速度およびエッチャントの除去条件の如き条件をコントロールするためにも使用することができる。
【0008】
Muenzelらは"New dielectric materilas for microvia technolgy”, Technical paper S01−1, IPC, 1998, p.14において、光沢度および銅のピール強度がメタライゼーションされた素材の硬化温度に依存することを見出した。0.7μmの銅の化学めっきの後に、150℃の温度における一時間の焼成が行われた。測定されたピール強度のデータは、高い硬化温度で得られた増大された表面粗度と相関があった。しかしながら、Muenzelらは、ピール強度と表面光沢度/粗度との相関およびスミア除去/エッチング工程における最適比の利用については言及していない。さらにMuenzelらは、高い硬化温度によりピール強度が高くなると示唆しているのみである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、非導電性表面のラフニングおよびスミア除去工程の容易かつ信頼性のあるコントロール方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、絶縁性基体をエッチング溶液により該絶縁性基体の表面をラフニングおよび/またはスミア除去するのに十分な濃度、温度および時間においてエッチングし、そして該基体のメタライゼーションを行う、絶縁性基体をメタライゼーションするための方法であって、下記の工程を含む前記方法によって達成される。
(i)エッチング温度、エッチング時間およびエッチャント濃度から選択されるエッチングパラメータを変量して基体のエッチングを行い、
(ii)上記工程(i)で得られたエッチングされた基体の表面の光沢度値を光学光沢度測定装置を用いて測定し、
(iii)上記工程(i)で得られたエッチングされた基体のメタライゼーションを行い、
(iv)上記工程(iii)で得られたメタライゼーションされた基体のピール強度を測定し、
(v)上記工程(ii)および(iv)で得られたピール強度と光沢度との相関関係を調べ、
(vi)上記の相関関係を用いてピール強度の最大値に対応する光沢度値を決定し、そして
(vii)光沢度の実測値と工程(vi)で得られた光沢度値との差が最小となるようにエッチングパラメータをコントロールする。
【発明の効果】
【0011】
従って、本発明によると、メタライゼーション工程において所望の表面外観および良好な接着性を得るべくエッチング工程をモニターするために、適用の容易な光学コントロール機器が用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
驚くべきことに、本願出願人は、処理された基体表面の光沢度とこれに続いて堆積被覆された金属のピール強度との間に明確な相関関係があることを見出した。この相関関係は、種々の基体材料について使用されるエッチング組成物にかかわりなく最適の処理パラメータを決定するために用いることができる。従って、本発明はすべての種類の表面処理工程において一般的に適用できる方法を提供するものである。
エッチング工程のコントロールに使用される代表的なパラメータは、処理時間、温度およびエッチング溶液中に添加された化合物の濃度である。
【0013】
本目的のために、Hach Lange社製のREFO 3−Dの如き標準的な光沢度計が使用される。光沢度計は、試験表面を所定の入射角で照射し、所定の反射角における光量を測定する装置である。反射光沢度は、試験片から反射した光量を測定し、これを同じ条件下で測定した研磨黒色ガラス校正標準から反射した光量と比較することにより定量される。ガラス標準は、光沢度ユニット100の値とされ、非金属塗装の場合に実際に達成できる最高の光沢度は95光沢度ユニットに至る。
本発明においては、絶対光沢度値に加えて相対光沢度値を設定することもできる。膨潤およびスミア除去工程を行う前の対応する基板からの反射光量を100%と定義し:
【0014】
【数1】

【0015】
本発明において、エッチング浴で処理後の光沢度値の減少(初期値と実測値との比)は表面のラフニングの程度(初期の平滑な外表面が減少した面積)とよく相関する。このことにより−はじめて−ピール強度の増大に至ることとなる。
【0016】
図1に示したとおり、更にエッチングするとピール強度の値は低くなる(オーバーエッチング)。この傾向はその後も見られ、光沢度の更なる減少から判定できるが、粗度データ(例えば干渉計により得られる)は増加しない場合も多い。
光沢度とピール強度との関係に関する知見により、エッチング工程を最適の範囲に安定してコントロールすることができる。
(例えば生産浴の時間経過に伴う)エッチング攻撃強度の考えられる変化は、容易に回復でき、修正できる。
光沢度測定に適当な装置の一つとして、20°、60°および85°の測定角度を有するHach Lange社製のREFO 3−Dが挙げられる。本目的における好ましい測定角度は85°である。
【0017】
本発明の利点は:
−ラフニング工程につき以下を考慮した最適の範囲でコントロールしうること:
最小の可能な粗度および被覆金属層の最大の可能なピール強度
−容易、迅速および安価な分析(オンライン分析が可能)
−非破壊分析(非接触、自動測定が可能)
−めっき(無電解および電気的)、次いでテンパー処理(tempering)およびピール強度測定を含む通常必要とされる分析方法に比べてコストが削減されること
−樹脂硬化工程(積層)およびスミア除去工程の均一性について、例えば各パネル内(異なる領域)またはバスケット毎もしくはロット毎の統計的な評価が可能であること
エッチング組成物中の基体の処理パラメータの決定は、処理時間の調整について以下のように説明される。他の好適なパラメータの最適化についても同様に適用することができる。
【0018】
膨潤剤で処理した後、絶縁性基体をエッチング組成物により異なったエッチング時間で処理する。実際上有用であると明らかになった時間間隔は、t/分=0、2、6,8,10、12、15、20、25、30である。ほとんどの場合には、15分の最大処理時間が有用である。
非導電性基体のエッチングには適当なエッチング溶液のどれをも使用することができる。
過マンガン酸塩およびクロム酸系溶液は、それぞれ最も広く使用されている。「エッチャント濃度」という語は、下記においてこれら二溶液を選択して記載したが、他のエッチング溶液にも適用することができる。
過マンガン酸塩系エッチング溶液は、過マンガン酸カリウムまたはナトリウムのどちらか一方を含有しており、任意的にマンガン酸ナトリウムおよびカリウムならびにpH値を約13〜14に調整するために一種またはそれ以上の塩基を含有している。
過マンガン酸カリウムの好ましい濃度は10〜150g/Lであり、より好ましくは40〜100g/Lであり、過マンガン酸ナトリウムの好ましい濃度は20〜200g/Lであり、より好ましくは60〜100g/Lである。マンガン酸ナトリウムおよびカリウムは5〜50g/Lの好ましい濃度で使用することができる。使用できる塩基としては、濃度20〜200g/Lの水酸化ナトリウムもしくはカリウムまたは炭酸ナトリウムもしくはカリウム(20〜200g/L)などである。
この場合のエッチャント濃度は過マンガン酸ナトリウムまたはカリウム、マンガン酸ナトリウムまたはカリウムおよび塩基、例えば水酸化ナトリウムもしくはカリウムまたは炭酸ナトリウムもしくはカリウムの濃度に関する。
【0019】
硫酸および無水クロム酸系エッチング溶液は一般に、濃度約50〜1,500g/L、より好ましくは200〜800g/Lの硫酸および濃度約30〜800g/L、より好ましくは50〜300g/Lの無水クロム酸を含有する。エッチャント濃度は硫酸および無水クロム酸の濃度に関する。
【0020】
図2は、過マンガン酸塩エッチング系における処理時間(エッチング時間)に対する相対光沢度(%)の減少を示す。
エッチング工程の後、上記の如く処理された基体は、好ましくは銅によりメタライゼーションされる。メタライゼーションの後、被膜のピール強度が測定される。ピール強度は金属被膜の接着性の指標となる。
ピール強度は一般に、好ましくは2〜20N/cm、より好ましくは6〜10N/cmが要求される。
ピール強度は、Chatillon社製の自動引っ張り装置LCTM−6およびErichsen社製のStrength Measuring Instrument 708を用いて、堆積した金属層の10mm幅の試験片を40mm/分の速度で引っ張ることにより測定される。
【0021】
図3から理解されるように、ピール強度はエッチング組成物の処理時間に依存する。はじめに処理時間とともに増加し、最大値に達し、そしてその後再び減少する。本発明の方法によると、最適処理時間は図3に準じたグラフから最小処理時間における最大ピール強度を選択することにより簡単に決定することができる。例えば図3によると、記載された過マンガン酸塩エッチング組成物について双方の基体とも約8〜12分の処理時間が選択されるであろう。
図4は、相対光沢度値に対する金属被膜のピール強度の依存性を示している。光沢度値約55%のときに最大ピール強度に達している。
【0022】
ある基体素材につき一度最適の光沢度値が決定されれば、相対的および絶対的光沢度値の双方をエッチング工程の連続的モニターに用いることができる。換言すれば、上述の如くして光沢度値とピール強度の相関関係が一度決定されれば、エッチング工程中に実測された現実の光沢度値の、最大ピール強度と相関する所定の光沢度値からのズレを最小とするようにエッチングパラメータをコントロールすることだけが必要となる。
【実施例】
【0023】
以下の実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。
素材としては、日本国、味の素ファインテクノ(株)製のABF−SHまたはGX(ハロゲンなし)の双方を用いた。すべての試験は同一の条件下で行った。
適用した工程および条件の概要を第1表に示した。
工程1に従って通常の基体の予備処理を行った後、基体を工程2に従った組成を有するエッチング組成物に接触させた。
光沢度は、膨潤およびエッチング工程の前および後に測定した。結果の概要は第2表に示した。基体はその後、Atotech Deutschland GmbH製のNeganth標準工程を適用し、第1表の工程4〜12に記載した如くにして銅でメタライゼーションした。得られた銅被膜のピール強度を第2表に示した。
実験条件
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】SAP素材における種々のエッチング段階を示す図である。
【図2】過マンガン酸塩エッチング系における処理時間(エッチング時間)に対する相対光沢度(%)の減少を示す図である。
【図3】ピール強度対過マンガン酸塩処理時間を示す図である。
【図4】相対光沢度値に対する金属被膜のピール強度の依存性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基体をエッチング溶液により該絶縁性基体の表面をラフニングおよび/またはスミア除去するのに十分な濃度、温度および時間においてエッチングし、そして該基体のメタライゼーションを行う、絶縁性基体をメタライゼーションするための方法であって、下記の工程を含む前記方法。
(i)エッチング温度、エッチング時間およびエッチャント濃度から選択されるエッチングパラメータを変量して基体のエッチングを行い、
(ii)上記工程(i)で得られたエッチングされた基体の表面の光沢度値を光学光沢度測定装置を用いて測定し、
(iii)上記工程(i)で得られたエッチングされた基体のメタライゼーションを行い、
(iv)上記工程(iii)で得られたメタライゼーションされた基体のピール強度を測定し、
(v)上記工程(ii)および(iv)で得られたピール強度と光沢度値との相関関係を調べ、
(vi)上記の相関関係を用いてピール強度の最大値に対応する光沢度値を決定し、そして
(vii)光沢度の実測値と工程(vi)で得られた光沢度値との差が最小となるようにエッチングパラメータをコントロールする。
【請求項2】
エッチング前に上記基体の光沢度値を測定してエッチングされていない表面の光沢度値を得、工程(i)で得られたエッチングされた基体の相対光沢度値を下記数式
【数1】

により計算し、そして工程(v)、(vi)および(vii)において上記相対光沢度値を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基体が、ドリル孔を有するまたは有さないプリント基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表面の光沢度値が20〜90°の間の角度において測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
表面の光沢度値が40〜88°の範囲の角度において測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
表面の光沢度値が約85゜の角度において測定される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
エッチング溶液が過マンガン酸ナトリウムまたはカリウム、マンガン酸ナトリウムまたはカリウムおよび水酸化ナトリウムまたはカリウムを含有する溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
均一なエッチング工程を確実にするため、光沢度値を基体の異なる領域で測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
所望の光沢度値を達成するため、エッチングパラメータを独立にまたは組み合わせて変量する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−520085(P2008−520085A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539488(P2007−539488)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011231
【国際公開番号】WO2006/050792
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(503037583)アトテック・ドイチュラント・ゲーエムベーハー (55)
【氏名又は名称原語表記】ATOTECH DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】