説明

ラミネータ、プラズマディスプレイパネルの製造方法、プラズマ表示装置の製造方法

【課題】 基板にラミネートフィルムを貼り付ける際の、ラミネート線圧を一定にする。
【解決手段】 開示されるラミネータは、基板5を搬送する下ラミネートロール1と、下ラミネートロールとの間で基板にラミネートフィルム6を圧着する上ラミネートロール2とを備えたラミネータにおいて、空圧に応じて上ラミネートロールの回転軸を下ラミネートロール側に駆動する上ラミネートロール回転軸駆動部4A,4Bを備えるとともに、空圧源から上ラミネートロール回転軸駆動部に対して所定の空圧を付与する第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bと第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bとを備え、基板幅に応じてラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8を介して第1又は第2のラミネートロール用空圧制御部を空圧源に接続することによって、基板幅が変わっても上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板にラミネートフィルムを貼り付けるためのラミネータ、並びにラミネータを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法及びプラズマ表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板にラミネートフィルムを貼り付けるためには、ラミネート装置(ラミネータ)が用いられる。
この種のラミネート装置は、基本的には、基板の搬送を行うとともに上ラミネートロールによる加圧力を支持する下ラミネートロールと、空圧で駆動されて、基板に対するラミネートフィルムの圧着を行う上ラミネートロールとから構成されている。
ラミネート装置は、上ラミネートロールの両端に配置されているラミネートロール用空圧駆動機器に加圧することによって上ラミネートロールを下方に駆動して、上下ラミネートロールの間で基板とラミネートフィルムとを圧着するとともに、ラミネートロールを回転させることによって基板上にラミネートフィルムを貼り付ける作用を行うものである。
【0003】
このようにして基板にラミネートフィルムを貼り付ける際に、ラミネートフィルムにしわがよったり、又は空気の泡をかみこんだりする等の問題を生じないようにするためには、ラミネートロールが基板やラミネートフィルムに与える加圧力が適当な状態になるように制御することが重要な要素の一つとなる。
この場合、基板とラミネートロールとが接触する部分の単位長さ当たりの加圧力(以下、ラミネート線圧ともいう)は、ラミネートしようとする基板の幅寸法にかかわらず一定になるように、常に統一されていることが望ましい。
【0004】
ラミネート時の圧力分布を均一化させるための先行技術として、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1においては、ラミネートロールにバックアップロールを設けて、少なくともいずれか一方のロールをクラウンロールとすることによって、基板幅の全体にわたって均一な加圧力が得られるようにすることが開示されている。
これによって、基板幅が変わっても、ラミネートしようとする基板に対して、基板幅の全体にわたって均一な加圧力を印加できるようにすることが可能である。
【特許文献1】特開2000−334836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された先行技術においては、ラミネートロールにバックアップロールを設けて、少なくともいずれか一方のロールをクラウンロールにすることによって、ラミネートする基板幅の全体にわたって均一な加圧力を印加することが可能であるが、圧力分布が均一になるように設定された加圧力状態のもとでは、ラミネートする基板幅が広くなるとラミネート線圧が小さくなるとともに、ラミネートする基板幅が狭くなるとラミネート線圧が大きくなるので、このようなラミネート線圧の違いによって、ラミネートフィルムにしわや泡かみが発生することがある。
また、空圧によってラミネートロールを駆動してラミネート圧着を行うラミネート装置では、加工対象品種の切り替えごとに空圧制御機器によってラミネート圧着圧力を調整しなければならないので段取りロスが発生し、ラミネート圧着圧力等の調整期間中は、ラミネート加工による基板の生産に寄与することができないことになる。
【0006】
この発明は上述の事情に鑑みてなされたものであって、ラミネートする基板幅寸法が変わっても同一のラミネート線圧が得られ、基板に対してラミネートフィルムを、しわや泡かみの問題を生じることなく貼り付けることが可能であるとともに、加工対象品種の切り替え時にラミネート圧着圧力調整のための段取りロスが発生しない、ラミネート装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ラミネータに係り、基板を搬送する下ラミネートロールと、該下ラミネートロールとの間で上記基板にラミネートフィルムを圧着する上ラミネートロールとを備えたラミネータにおいて、与えられた空圧に応じて上記上ラミネートロールの回転軸を上記下ラミネートロール側に駆動する回転軸空圧駆動手段と、空圧源から上記回転軸空圧駆動手段に対して空圧を付与する空圧制御手段とを備え、基板幅に応じて上記空圧制御手段の出力空圧を制御することによって、上記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のラミネータに係り、上記回転軸空圧駆動手段に対して上記空圧制御手段を複数備え、基板幅に応じて切り替えて上記複数の空圧制御手段のいずれかを空圧源に接続することによって、基板幅が変わっても上記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のラミネータに係り、上記上ラミネートロールに対してバックアップロールを設けるとともに、与えられた空圧に応じて上記バックアップロールの回転軸を上記下ラミネートロール側に駆動するバックアップロール回転軸空圧駆動手段と、空圧源から上記バックアップロール回転軸空圧駆動手段に対して空圧を付与するバックアップ空圧制御手段とを備え、基板幅に応じて上記バックアップロール空圧制御手段の出力空圧を制御することによって、基板幅の全体にわたるラミネート線圧の分布を前記上ラミネートロールのみの場合から変化させるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載のラミネータに係り、制御信号に応じて上記空圧制御手段の空圧を制御する電空比例弁と、基板幅に応じて上記回転軸空圧駆動手段に設定すべき複数の空圧値データを保持して基板幅の指定に応じていずれかの空圧値を出力する制御手段と、上記回転軸空圧駆動手段における空圧を計測する圧力計測手段と、上記制御手段から出力された空圧値と上記圧力計測手段で計測された空圧値とから上記電空比例弁に対する制御信号を発生する比例弁制御手段とを備え、基板幅に応じて帰還制御を行うことによって、基板幅が変わっても上記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に係り、行電極を備えた前面基板と、上記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、上記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、上記いずれかの電極パターンの形成時、基板上に塗布された電極形成材上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴としている。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に係り、行電極を備えた前面基板と、上記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、上記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、上記隔壁の形成時、基板上に塗布された隔壁材上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴としている。
【0013】
また、請求項7記載の発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に係り、行電極を備えた前面基板と、上記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、上記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、上記蛍光体層の形成時、上記隔壁の上端面上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴としている。
【0014】
また、請求項8記載の発明は、プラズマ表示装置の製造方法に係り、プラズマディスプレイパネルを製造する第1の過程と、上記プラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを駆動する回路とを一つのモジュールとして製造する第2の過程と、画像信号のフォーマット変換を行って上記モジュールに送信するインタフェースを、上記モジュールに対して電気的に接続する第3の過程とを備えるプラズマ表示装置の製造方法であって、上記第1の過程において、請求項5乃至7のいずれか一記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法が実行されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラミネータによれば、基板幅寸法が変わっても、同一のラミネート線圧を得ることができるので、異なる基板幅寸法を有する複数種類の基板のラミネート加工を行う場合でも、基板上にラミネートされるラミネートフィルムに、しわや泡かみを発生することがない。
また、基板品種に応じてラミネート装置の各ロールに対する空圧制御機器の切り替えを行い、又は空圧制御機器の空圧設定の切り替えを行うので、基板品種切り替えごとに各ロールの空圧調節を行う必要がなく、従って、品種切り替え時の段取りロスを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
基板を搬送する下ラミネートロールと、下ラミネートロールとの間で基板にラミネートフィルムを圧着する上ラミネートロールとを備えたラミネータにおいて、与えられた空圧に応じて上ラミネートロールの回転軸を下ラミネートロール側に駆動する上ラミネートロール回転軸空圧駆動部を備えるとともに、空圧源から上ラミネートロール回転軸空圧駆動部に対して一定の空圧を付与するラミネートロール用空圧制御部を複数備え、基板幅に応じて切り替えて複数のラミネートロール用空圧制御部のいずれかを空圧源に接続することによって、基板幅が変わっても上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つようにする。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の第1実施例であるラミネータの構成を示す斜視図、図2は、本実施例のラミネータにおけるラミネート圧力制御のための配管系統を示す図、図3は、本実施例のラミネータにおける基板幅と加圧力との関係の例を示す図である。
【0018】
この例のラミネータは、図1に示すように、下ラミネートロール1と、上ラミネートロール2と、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bと、上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bとから概略構成されている。
下ラミネートロール1は、通常、各部の径が同一なフラットロールからなり、図示されない回転駆動部によって固定回転軸位置で回転駆動されて、基板5を図示の矢印方向に右から左へ搬送するとともに、基板5に上方から印加されている加圧力を支持する。上ラミネートロール2は、通常、フラットロールからなり、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bによってその回転軸の両端を保持されながら回転駆動されていて、ラミネートフィルム6を上方から基板5上に搬送するとともに、これを基板5の上面に圧着して貼り付ける。上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bは、上ラミネートロール2の回転軸の両端を支持するとともに、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bによって上下方向に移動可能に保持されている。上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bは、図示されない配管を介して与えられる空圧によって、それぞれ上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bを下方に押圧することによって、上ラミネートロール2を下ラミネートロール1に対して加圧する。
【0019】
この例のラミネータにおける配管系統は、図2に示すように、実線によって示された配管を介して接続された、空圧駆動機器駆動用電磁弁(V)7と、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁(SVL)8と、第1のラミネートロール用空圧制御部(R)9A,9Bと、第2のラミネートロール用空圧制御部(R)10A,10Bと、ラミネートロール用圧力表示器11A,11Bとを、上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに対して備えた概略構成を有している。
【0020】
空圧駆動機器駆動用電磁弁7は、配管を介して接続されたラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8に供給する空圧源を接/断する。ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8は、第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bと、第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bとに対して、空圧駆動機器駆動用電磁弁7からの空圧源を切り替えて供給する。第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bは、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bを、第1の基板幅に対応して駆動するための空圧を供給する。第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bは、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bを、第2のの基板幅に対応して駆動するための空圧を供給する。ラミネートロール用空圧制御部9A,9B,10A,10Bが供給する空圧の設定は、例えば手動によって行うことができる。ラミネートロール用圧力表示器11A,11Bは、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bにおける空圧を表示する。
【0021】
以下、図3を参照して、2種類の基板幅の場合の、この例のラミネータの動作を説明する。
この例のラミネータを動作させる場合には、下ラミネートロール1,上ラミネートロール2を回転駆動するとともに、空圧駆動機器駆動用電磁弁7を開いて図示されない空圧源から配管に空圧を供給する。そして、ラミネートすべき基板幅に応じて、第1の基板幅のときは、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8を第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bの側に切り替えると、第1の基板幅に応じて設定された空圧が、第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bを介して、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに与えられるので、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bが与えられた空圧に応じて下方に押し下げられるので、この状態で、上ラミネートロール2によってラミネートフィルム6が基板5の上面に圧着して貼り付けられる。
このときの上ラミネートロール2の加圧力は、第1の基板幅のとき、所定のラミネート線圧となるように予め調整されているので、ラミネートフィルム6は、しわや泡かみを生じることなく、基板5上にラミネートされる。
【0022】
ラミネートすべき基板幅が第2の基板幅のときは、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8を第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bの側に切り替えると、第2の基板幅に応じて設定された空圧が、第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bを介して、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに与えられるので、上ラミネートロール2の加圧力は、第2の基板幅に対応する予め調整された所定のラミネート線圧に対応するものとなり、従って、ラミネートフィルム6は、しわや泡かみを生じることなく、基板5にラミネートされる。
【0023】
図3においては、基板幅と加圧力との関係の実験結果を、2種類のラミネート線圧αmpa/cm,βmpa/cm(α>β)の場合について、グラフによって示している。
図中、■はラミネート線圧αmpa/cmの場合の基板幅と加圧力の関係を示し、□はラミネート線圧βmpa/cmの場合の基板幅と加圧力の関係を示したものであって、ラミネート線圧が変わっても、基板幅と加圧力との関係はほぼ直線的になることが示されている。
ラミネート時には、基板とラミネートロールが接触する部分の単位長さあたりの線圧(ラミネート線圧)は、基板幅が変わっても同一線圧であることが望ましいと考えられるが、図3の実験結果からも、基板幅と加圧力がほぼ直線関係にあることが実証され、従って、基板幅が複数種類である場合でも、基板幅に応じて所要の加圧力を選定することが可能なことがわかる。
【0024】
このようにこの例のラミネータによれば、基板幅寸法が変わっても、同一のラミネート線圧を得ることができるので、しわや泡かみを発生することなく、基板にラミネートフィルムを貼り付けることができる。
また、基板品種切り替えごとに、各ロールでの空圧調整を行う必要がなく、ラミネートロール用空圧制御部における空圧の調整のみによって、基板幅が異なる複数種類の基板品種の切り替えを行うことができるので、品種切り替え時の段取りロスを低減することができる。
【実施例2】
【0025】
図4は、本発明の第2実施例であるラミネータの構成を示す斜視図、図5は、本実施例のラミネータにおけるラミネート圧力制御のための配管系統を示す図、図6は、本実施例のラミネータにおける基板幅と加圧力との関係の例を示す図である。
この例は、ラミネートロールに対してバックアップロールを備えることによって、基板幅の全体にわたる加圧力の分布状態を、ラミネートロールのみの場合と比べて変化させることが望ましい場合に好適なラミネータの構成例を示している。
【0026】
この例のラミネータは、図4に示すように、下ラミネートロール1と、上ラミネートロール2と、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bと、上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bと、下バックアップロール12と、上バックアップロール13と、上バックアップ回転軸支持部14A,14Bと、上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bとから概略構成されている。
これらのうち、下ラミネートロール1,上ラミネートロール2,上ラミネートロール回転軸支持部3A,3B,上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bは、図1に示された第1実施例の場合と同様なので、これらについての詳細な説明を省略する。
【0027】
下バックアップロール12は、その回転軸位置で下ラミネートロール1と平行に回転自由に保持されていて、下ラミネートロール1に接触してこれを支持する。上バックアップロール13は、上バックアップロール回転軸支持部14A,14Bによってその回転軸を上ラミネートロール2と平行に回転自由に保持されていて、上ラミネートロール2に接触してこれを支持する。上バックアップロール回転軸支持部14A,14Bは、上バックアップロール13の回転軸の両端を支持するとともに、それぞれ上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bによって上下方向に移動可能に保持されている。上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bは、図示されない配管を介して与えられる空圧によって、それぞれ上バックアップロール回転軸支持部14A,14Bを下方に押圧することによって、上バックアップロール13を上ラミネートロール2に対して加圧する。
【0028】
この例のラミネータにおける配管系統は、図5に示すように、実線によって示された配管を介して接続された、空圧駆動機器駆動用電磁弁(VL)7と、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁(SVL)8と、第1のラミネートロール用空圧制御部(R)9A,9Bと、第2のラミネートロール用空圧制御部(R)10A,10Bと、ラミネートロール用圧力表示器11A,11Bとを上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに対して備えるとともに、実線によって示された配管を介して接続された、空圧駆動機器駆動用電磁弁(VB)17と、バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁(SVB)18と、第1のバックアップロール用空圧制御部(R)19A,19Bと、第2のバックアップロール用空圧制御部(R)20A,20Bと、バックアップロール用圧力表示器21A,21Bとを上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bに対して備えた概略構成を有している。
これらのうち、空圧駆動機器駆動用電磁弁7,ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8,第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9B,第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10B,ラミネートロール用圧力表示器11A,11Bは、図2に示された第1実施例の場合と同様なので、これらについての詳細な説明を省略する。
【0029】
空圧駆動機器駆動用電磁弁17は、配管を介して接続されたバックアップロール用設定圧力切替用電磁弁18に供給する空圧源を接/断する。バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁18は、第1のバックアップロール用空圧制御部19A,19Bと、第2のバックアップロール用空圧制御部20A,20Bとに対して、バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁18からの空圧源を切り替えて供給する。第1のバックアップロール用空圧制御部19A,19Bは、それぞれ上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bを、第1の基板幅に対応して駆動するための空圧を供給する。第2のバックアップロール用空圧制御部20A,20Bは、それぞれ上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bを、第2のの基板幅に対応して駆動するための空圧を供給する。バックアップロール用空圧制御部19A,19B,20A,20Bが供給する空圧の設定は、例えば手動によって行うことができる。バックアップロール用圧力表示器21A,21Bは、上バックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bにおける空圧を表示する。
【0030】
以下、図6を参照して、2種類の基板幅の場合の、この例のラミネータの動作を説明する。
この例のラミネータを動作させる場合には、下ラミネートロール1,上ラミネートロール2を回転駆動するとともに、空圧駆動機器駆動用電磁弁7,17を開いて図示されない空圧源から配管に空圧を供給する。そして、ラミネートすべき基板幅に応じて、第1の基板幅のときは、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8を第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bの側に切り替え、バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁18を第1のバックアップロール用空圧制御部19A,19Bの側に切り替えると、第1の基板幅に応じて設定された空圧が、第1のラミネートロール用空圧制御部9A,9Bを介して、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに与えられ、第1のバックアップロール空圧制御部19A,19Bを介して、それぞれバックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bに与えられるので、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bと上バックアップロール回転軸支持部14A,14Bが下方に押し下げられるので、この状態で、上ラミネートロール2が上バックアップロール13によって押圧されながら、ラミネートフィルム6を基板5の上面に圧着して貼り付ける。
このときの上ラミネートロール2の加圧力は、第1の基板幅のとき、所定のラミネート線圧となるように予め調整されているので、ラミネートフィルム6は、しわや泡かみを生じることなく、基板5にラミネートされる。
【0031】
ラミネートすべき基板幅が第2の基板幅のときは、ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁8を第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bの側に切り替え、バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁18を第2のバックアップロール用空圧制御部20A,20Bの側に切り替えると、第2の基板幅に応じて設定された空圧が、第2のラミネートロール用空圧制御部10A,10Bを介して、それぞれ上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに与えられ、第2のバックアップロール用空圧制御部20A,20Bを介して、それぞれバックアップロール回転軸空圧駆動部15A,15Bに与えられるので、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bと上バックアップロール回転軸支持部14A,14Bが下方に押し下げられて、上バックアップロール13に押圧された上ラミネートロール2は、第2の基板幅に対応して予め調整された所定のラミネート線圧を発生するので、ラミネートフィルム6は、しわや泡かみを生じることなく、基板5にラミネートされる。
この場合は、上バックアップロール13によって押圧されるため、上ラミネートロール2によるラミネート線圧の分布状態は、上ラミネートロール2のみであった第1実施例の場合と比べて、上バックアップロール13の形状に応じて変化したものとなる。
【0032】
図6においては、上ラミネートロール2及び上バックアップロール13の加圧力と基板幅との関係の例をグラフによって示している。
図中、□はラミネートロールの加圧力と基板幅の関係を示し、○はバックアップロールの加圧力と基板幅との関係を示したものであって、基板幅と加圧力との関係はいずれもほぼ直線的な関係となることが示されている。
従って、基板幅が複数種類の場合でも、同一のラミネート線圧を実現するために必要な、ラミネートロールの加圧力とバックアップロールの加圧力とを選定することが可能である。
【0033】
このようにこの例のラミネータによれば、基板幅寸法が変わっても、同一のラミネート線圧を得ることができるとともに、基板幅の全体にわたっての加圧力の分布状態を、バックアップロールの形状の選択に応じて、ラミネートロールのみの場合から変化させることができるので、しわや泡かみを発生することなく、基板にラミネートフィルムを貼り付けることができる。なおこの場合に、図4に示すように、下ラミネートロール1に対して下バックアップロール12を設けて、下ラミネートロール1を押し上げるようにすることによって、下ラミネートロール1の支持力の分布を、下バックアップロール12の形状に応じて下ラミネートロール1のみの場合から変化させるようにしてもよい。
この例のラミネータによれば、基板品種切り替えごとに、各ロールでの空圧調整を行う必要がなく、ラミネートロール用空圧制御部及びバックアップロール用空圧制御部における空圧の調整のみによって、基板幅が異なる複数種類の基板品種の切り替えを行うことができるので、品種切り替え時の段取りロスを低減することができる。
【実施例3】
【0034】
図7は、本発明の第3実施例であるラミネータにおけるラミネート圧力制御のための配管系統を示す図である。
この例は、ラミネート線圧を無段階に制御することが可能な圧力制御機器を用いた場合の実施例を示している。
【0035】
この例のラミネータにおける配管系統は、図7に示すように、実線によって示された配管を介して接続された、空圧駆動機器駆動用電磁弁(V)7と、圧力表示器11A,11Bと、ラミネートロール用空圧制御部(R)23A,23Bと、電空比例弁(VP)24A,24Bと、圧力センサ25A,25Bとを上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに対して備えるとともに、電気的に接続された比例弁制御機器26A,26Bと、本体制御機器27とを、電空比例弁24A,24Bと、圧力センサ25A,25Bに対応して備えた概略構成を有している。
これらのうち、上ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4B,空圧駆動機器駆動用電磁弁7,圧力表示器11A,11Bは、図2に示された第1実施例の場合と同様なので、これらについての詳細な説明を省略する。
【0036】
ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bは、それぞれラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bに空圧を供給して、ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bが上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bを介して上ラミネートロール2の両端の回転軸を駆動する際の空圧を制御する。電空比例弁24A,24Bは、それぞれ比例弁制御機器26A,26Bからの制御信号に応じて、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが空圧駆動機器駆動用電磁弁7から供給される空圧源によって発生すべき空圧を制御する。圧力センサ25A,25Bは、それぞれラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生する空圧の大きさを計測する。比例弁制御機器26A,26Bは、本体制御回路27からの基板サイズに応じた圧力と、圧力センサ25A,25Bで計測された圧力とを比較して誤差に応じた制御信号を発生する。本体制御回路27は、複数の基板サイズに対応する圧力データを有し、外部からの指示に応じて、指定された基板サイズに相当する圧力値の信号を出力する。
【0037】
以下、図7を参照して、この例のラミネータの動作を説明する。
ラミネータ動作時、ラミネートロール回転軸空圧駆動部4A,4Bが、それぞれラミネートロール用空圧制御部23A,23Bから与えられる空圧によって、上ラミネートロール回転軸支持部3A,3Bを介して上ラミネートロール2を下方に押し下げるように駆動することによって、図示されない下ラミネートロールとの間で所要のラミネート動作が行われる。圧力センサ25A,25Bは、この際、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生する空圧の大きさを計測する。
一方、本体制御回路27は、任意の複数種類の基板幅に応じた、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生すべき空圧値のデータを予め有していて、外部からの基板幅の指定に応じて対応する空圧値の信号を出力する。
【0038】
比例弁制御機器26A,26Bは、それぞれ圧力センサ25A,25Bからの圧力計測値の信号と、本体制御回路27からの空圧値の信号との大きさを比較して、誤差に応じた大きさの制御信号を出力する。電空比例弁24A,24Bは、それぞれ比例弁制御機器26A,26Bからの電気信号からなる制御信号に比例した空圧を発生するように、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bを制御するので、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bは、空圧駆動機器駆動用電磁弁7から供給される空圧源から、比例弁制御機器26A,26Bからの制御信号に応じて変化する空圧を発生する。
この場合、電空比例弁24A,24Bの空圧出力によって、それぞれラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生する空圧が、それぞれ比例弁制御機器26A,26Bにおける誤差を減少させる方向に変化するフィードバック制御が行われるので、最終的にラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生する空圧は、本体制御回路27からから与えられる空圧値に収斂する。
【0039】
このように、この例のラミネータでは、基板幅寸法が変わっても、ラミネートロール用空圧制御部23A,23Bが発生する空圧値として、本体制御回路27に予め設定されている圧力値が得られるので、本体制御回路27に設定する圧力値データを任意に設定することによって、基板幅に応じて無段階で所望のラミネート線圧を発生することができ、従って、しわや泡かみを発生することなく、基板にラミネートフィルムを貼り付けることができる。
この例のラミネータによれば、基板品種切り替えごとに、各ロールでの空圧調整を行う必要がなく、本体制御回路27における基板幅の設定のみによって、基板幅が異なる複数種類の基板品種の切り替えを行うことができるので、品種切り替え時の段取りロスを低減することができる。
【実施例4】
【0040】
図8は、本発明の第4実施例であるプラズマディスプレイパネルの製造方法によって製造されたプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図、図9は、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法における電極パターンの形成方法を説明するための工程図、図10は、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法における隔壁の形成方法を説明するための工程図、図11は、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法における蛍光体層の形成方法を説明するための工程図である。
この発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、実施例1〜3のいずれかに示されたラミネータを用いて、電極パターンの形成と、隔壁の形成と、蛍光体層の形成とを行う点に特徴を有している。
【0041】
この例のプラズマディスプレイパネル100は、図8に示すように、前面基板101と、背面基板102とから概略構成されている。
前面基板101には、図8上部に示すように、透明ガラス基板103と、透明ガラス基板103上に相互に平行に配置された、バス電極111,121と、バス電極111に直交して設けられた透明電極からなる走査電極112と、バス電極121に直交して設けられた透明電極からなる維持電極122とが設けられている。透明ガラス基板103上には、バス電極111および121と、走査電極112及び維持電極122とを覆って透明誘電体層131が設けられているとともに、透明誘電体層131を覆って表面保護層132が設けられている。
【0042】
背面基板102には、図8下部に示すように、透明ガラス基板104と、透明ガラス基板104上に形成された、走査電極112及び維持電極122と直交する方向に延在するデータ電極105と、データ電極105を覆って透明ガラス基板104上に形成された白色誘電体層106と、白色誘電体層106上に形成された、表示セルを区画するための隔壁107と、誘電体層106の表面と隔壁107の側面とに形成された蛍光体層108とが設けられている。
蛍光体層108は、前面基板101と背面基板102との間に封入された放電ガスの放電によって発生する紫外線を可視光に変換するものであって、表示セルごとに、例えば光の3原色である赤(R),緑(G)及び青(B)の3色に塗り分けられている。
【0043】
前面基板101と背面基板102とは、100μm程度のギャップを隔てて、対向した状態で固定されており、その周辺部は封着材で気密封止されている。
前面基板101と背面基板102との間に形成される空間は、放電ガス空間となるものであり、この放電ガス空間内には、ヘリウム,ネオン,キセノンまたはこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
【0044】
次に、図8に示されたプラズマディスプレイパネルの製造方法を概略的に説明する。
まず、前面基板101を構成する透明ガラス基板103を通常知られた方法で製作する。そして透明ガラス基板103上に、走査電極112および維持電極122を形成したのち、周知のスクリーン印刷技法を使用して、走査電極112上にバス電極111を形成し、維持電極122上にバス電極121を形成する。
同様に、背面基板102を構成する透明ガラス基板104を通常知られた方法で製作する。この際、データ電極105を、周知のスクリーン印刷技法を使用して形成する。
前面基板101,背面基板102のいずれか一方、または両方の周辺部に融着用部材を塗布したのち、クリップを用いて前面基板101と背面基板102を相互に対向した状態で固定する。
【0045】
次いで、背面基板102の透明ガラス基板104に形成された通気孔の周囲に接着用部材を塗布して通気管を固定し、前面基板101と背面基板102相互間の封止と、通気管の背面基板102への固着とを同時に行う。
次いで、通気管及び通気孔を経て、プラズマディスプレイパネルの内部を排気したのち、放電ガスを充填する。
このようにして、プラズマディスプレイパネルが完成する。
【0046】
図8に示されたパネルディスプレイパネルを製造する際におけるガラス基板(透明ガラス基板103,透明ガラス基板104)上の電極パターンの形成は、図9に示す工程に従って行われる。
最初、基板140上に電極形成材141を所定の膜厚で塗布して乾燥する(図9a)。次に、実施例1〜3のいずれかに記載のラミネータを使用して、電極形成材141の上にドライフィルム142をラミネートしたのち(図9b)、露光マスク143を使用して露光144を行い(図9c)、現像して未露光部分を除去することによって、電極形成材141上に所望の形状のサンドブラストマスク145を形成する(図9d)。
次に、上方からサンドブラスト146を行って(図9e)、サンドブラストマスク145が形成されていない、電極形成材141の不要部分を切削して除去したのち、薬品処理等によってサンドブラストマスク145を取り去ることによって、基板140上に電極パターン147が形成される(図9f)。
【0047】
図8に示されたパネルディスプレイパネルを製造する際におけるガラス基板(透明ガラス基板104)上の隔壁の形成は、図10に示す工程に従って行われる。
最初、基板150上に前段で示された方法でデータ電極151を形成したのち、この部分を誘電体層152で覆い、さらにその上に隔壁材153を所定の膜厚で塗布して乾燥する(図10a)。次に、実施例1〜3のいずれかに記載のラミネータを使用して、隔壁材153上にドライフィルム154をラミネートしたのち(図10b)、露光マスク155を使用して露光156を行い(図10c)、現像して未露光部分を除去することによって、隔壁材153上に所望の形状のサンドブラストマスク157を形成する(図10d)。
次に、上方からサンドブラスト158を行って(図10e)、サンドブラストマスク157が形成されていない、隔壁材153の不要部分を切削して除去したのち、薬品処理等によってサンドブラストマスク157を取り去ることによって、誘電体層152上に隔壁159が形成される(図10f)。
【0048】
図8に示されたパネルディスプレイパネルを製造する際における隔壁内面の誘電体層の形成は、図11に示す工程に従って行われる。
前段で示された方法で、基板150上に隔壁159を形成したのち(図11a)、実施例1〜3のいずれかに記載のラミネータを使用して、隔壁159の上端面上にドライフィルム160をラミネートし(図11b)、露光マスク161を使用して露光162を行ったのち(図11c)、現像して未露光部分を除去することによって、隔壁159上に隔壁間の所定のリブの部分だけ開口した充填マスク163を形成する(図11d)。
次に、充填マスク163の開口部を介して隔壁間のリブに所定の色の蛍光体ペースト164を充填し(図11e)、乾燥させることによって、隔壁内の誘電体層152上と隔壁の内面とに蛍光体層165を形成する(図11f)。
【0049】
その後、図11b〜図11fの工程を繰り返して行って、順次、前回形成されり蛍光体層と異なる色の蛍光体層を隔壁間の別のリブの部分に形成し、最後に焼成を行うことによって、赤(R),緑(G)及び青(B)の3色に塗り分けられた背面基板が完成する。
【0050】
なお、以上のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、ストライプ状隔壁を有する場合について説明したが、格子状隔壁を有するプラズマディスプレイパネルの場合も同様である。
【0051】
このようにこの例のプラズマディスプレイパネルの製造方法では、実施例1〜3に記載されたラミネータを使用することによって、ガラス基板上に電極パターンを形成する際のドライフィルムのラミネートと、ガラス基板上に隔壁を形成する際のドライフィルムのラミネートと、隔壁内に誘電体層を形成する際のドライフィルムのラミネートとを、確実に行うことができる。
【実施例5】
【0052】
図12は、本発明の第5実施例であるプラズマ表示装置の製造方法によって製造されたプラズマ表示装置の構成を示すブロック図である。
この例のプラズマ表示装置の製造方法は、実施例4によって製造されたプラズマディスプレイパネルを用いてプラズマ表示装置を構成した点に特徴を有している。
この例のプラズマ表示装置200は、モジュール構造を有するものとして構成されており、具体的には、図12に示すように、アナログインタフェース220とプラズマディスプレイパネルモジュール230とから概略構成されている。プラズマディスプレイパネルモジュール230は、プラズマディスプレイパネル250を含んでいる。
【0053】
アナログインタフェース220は、クロマ・デコーダを備えたY/C分離回路221と、A/D変換回路222と、PLL回路を備えた同期信号制御回路223と、画像フォーマット変換回路224と、逆γ(ガンマ)変換回路225と、システム・コントロール回路226と、PLE制御回路227とから構成されている。
アナログインタフェース220は、概略的には、受信したアナログ映像信号をディジタル信号に変換したのち、これをプラズマディスプレイパネルモジュール230に供給する機能を有している。
【0054】
例えば、テレビチューナから送出されたアナログ映像信号は、Y/C分離回路221において、RGBの各色の輝度信号に分解されたのち、A/D変換回路222においてディジタル信号に変換される。
その後、プラズマディスプレイパネルモジュール230の画素構成と映像信号の画素構成とが異なる場合には、画像フォーマット変換回路224において、必要な画像フォーマットの変換の処理が行われる。
【0055】
プラズマディスプレイパネルにおける、入力信号に対する表示輝度の特性は線型的なものであるが、通常の映像信号はCRT(陰極線管)の特性に合わせて、予め補正(γ補正)が施されている。
そこで、A/D変換回路222において、映像信号のA/D変換を行ったのち、逆γ変換回路225において、映像信号に対して逆γ変換を施して、線形特性に復元されたディジタル映像信号を生成する。このようにして生成されたディジタル映像信号は、RGB映像信号として、プラズマディスプレイパネルモジュール230に出力される。
【0056】
アナログ映像信号には、A/D変換用のサンプリングクロック信号およびデータクロック信号が含まれていないため、同期信号制御回路223に内蔵されているPLL(位相同期ループ)回路が、アナログ映像信号と同時に供給される水平同期信号を基準として、サンプリングクロック信号およびデータクロック信号を生成して、プラズマディスプレイパネルモジュール230に供給する。
アナログインタフェース220のPLE制御回路227は、プラズマディスプレイパネルの輝度制御を行う。具体的には、平均輝度レベルが所定値以下である場合には表示輝度を上昇させ、平均輝度レベルが所定値を超える場合には、表示輝度を低下させるように制御する。
システム・コントロール回路226は、プラズマディスプレイパネルモジュール230に対して、各種制御信号を出力する。
【0057】
プラズマディスプレイパネルモジュール230は、さらに、ディジタル信号処理・制御回路231と、パネル部232と、DC/DCコンバータを内蔵するモジュール内電源回路233とから構成されている。
ディジタル信号処理・制御回路231は、入力インタフェース信号処理回路234と、フレームメモリ235と、メモリ制御回路236と、ドライバ制御回路237とを含んでいる。
【0058】
例えば、入力インタフェース信号処理回路234に入力された映像信号の平均輝度レベルは、入力インタフェース信号処理回路234内の入力信号平均輝度レベル演算回路(不図示)によって計算されて、例えば5ビットデータとして出力される。
また、PLE制御回路227は、平均輝度レベルに応じてPLE制御データを設定して、入力インタフェース信号処理回路234内の輝度レベル制御回路(不図示)に供給する。
【0059】
ディジタル信号処理・制御回路231では、入力インタフェース信号処理回路234において、上記の各種入力信号の処理を行ったのち、制御信号をパネル部232に送信する。これと同時に、メモリ制御回路236はメモリ制御信号を、ドライバ制御回路237はドライバ制御信号を、それぞれパネル部232に送信する。
【0060】
パネル部232は、前述したプラズマディスプレイパネルの製造方法によって製作されたプラズマディスプレイパネル250と、プラズマディスプレイパネル250の走査電極を駆動する走査ドライバ238と、プラズマディスプレイパネル250のデータ電極を駆動するデータドライバ239と、プラズマディスプレイパネル250および走査ドライバ238にパルス電圧を供給する高圧パルス回路240と、高圧パルス回路240からの余剰電力を回収する電力回収回路241とから構成されている。
【0061】
プラズマディスプレイパネル250は、例えば1365個×768個に配列された画素を有するものとして構成されている。プラズマディスプレイパネル250においては、走査ドライバ238が走査電極を制御し、データドライバ239がデータ電極を制御することによって、これらの画素のうちの所定の画素の点灯または非点灯が制御されて、所望の画像表示が行われる。
なお、ロジック用電源(不図示)が、ディジタル信号処理・制御回路231およびパネル部232にロジック用電力を供給する。さらに、モジュール内電源回路233は、表示用電源から直流電力を供給されて、この直流電力の電圧を所定の電圧に変換したのち、パネル部232に供給する。
【0062】
次に、図12に示されたプラズマ表示装置の製造方法を概略的に説明する。
まず、実施例4に記載されたプラズマディスプレイパネルの製造方法によって製作したプラズマディスプレイパネル250と、走査ドライバ238と、データドライバ239と、高圧パルス回路240と、電力回収回路241とを基板上に配置して、パネル部232を形成する。さらに、パネル部232とは別個に、ディジタル信号処理・制御回路231を形成する。
【0063】
このようにして形成されたパネル部232およびディジタル信号処理・制御回路231とモジュール内電源回路233とを、一つのモジュールとして組み立てて、プラズマディスプレイパネルモジュール230を形成する。
さらに、プラズマディスプレイパネルモジュール230とは別個に、アナログインタフェース220を形成する。
【0064】
このように、アナログインタフェース220と、プラズマディスプレイパネルモジュール230とをそれぞれ別個に形成したのち、双方を電気的に接続することによって、図12に示されたようなプラズマ表示装置200が完成する。
この場合、プラズマディスプレイパネル250をモジュール化することによって、プラズマディスプレイパネル250を、プラズマ表示装置200を形成する他の構成部品とは別個独立に製作することが可能になる。さらにこの例のプラズマ表示装置を形成するプラズマディスプレイパネルを、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法によって製造することによって、その各部を形成する際のドライフィルムのラミネートを確実に行うことができる。
【0065】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られたものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、基板の表面状態(例えば、突起物の存在等)によって、基板に対するラミネートフィルムの貼り付けられ方が変化することがあるが、このような場合には、実施例2に示されたようにして、ラミネートロール又はバックアップロールのいずれかの加圧力を切り替えることによって、対応することが可能となる。また、実施例3においては、ラミネートロールのみを持つ場合について説明したが、バックアップロールを具備する場合においても、バックアップロールを駆動する構成に、実施例3で説明したような、ラミネートロールの加圧力制御及び駆動力制御と同等な機構を持たせることによって、基板幅が変わっても基板幅の全体にわたってのラミネート線圧の分布特性をラミネートロールのみの場合とは変化させることができるので、しわや泡かみを発生することなく、基板にラミネートフィルムを貼り付けることができる。また、ラミネートロールがフラットロールの場合でも、ラミネート線圧が基板幅の全体にわたって均一でないこともあるが、このような場合は、基板幅の全体にわたるラミネート線圧の平均値を求めて、これが同一になるように制御を行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明のラミネータ,プラズマディスプレイパネルの製造方法及びプラズマ表示装置の製造方法は、テレビ用プラズマディスプレイパネル及びテレビ用プラズマ表示装置に限らず、あらゆる種類のコンピュータ装置,制御装置,計測装置,娯楽用装置及びその他の各種装置の表示器として使用されるプラズマディスプレイパネル及びプラズマ表示装置の製造時、利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施例であるラミネータの構成を示す斜視図である。
【図2】同実施例のラミネータにおけるラミネータ圧力制御のための配管系統を示す図である。
【図3】同実施例のラミネータにおける基板幅と加圧力との関係を例示する図である。
【図4】本発明の第2実施例であるラミネータの構成を示す斜視図である。
【図5】同実施例のラミネータにおけるラミネータ圧力制御のための配管系統を示す図である。
【図6】同実施例のラミネータにおける基板幅と加圧力との関係を例示する図である。
【図7】本発明の第3実施例であるラミネータにおけるラミネート圧力制御のための配管系統を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例であるプラズマディスプレイパネルの製造方法によって製造されたプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す斜視図である。
【図9】同実施例における電極パターンの形成方法を説明するための工程図である。
【図10】同実施例における隔壁の形成方法を説明するための工程図である。
【図11】同実施例における蛍光体層の形成方法を説明するための工程図である。
【図12】本発明の第5実施例であるプラズマ表示装置の製造方法によって製造されたプラズマ表示装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0068】
1 下ラミネートロール
2 上ラミネートロール
3A,3B 上ラミネートロール回転軸支持部
4A,4B 上ラミネートロール回転軸空圧駆動部(回転軸空圧駆動手段)
5 基板
6 ラミネートフィルム
7 空圧駆動機器駆動用電磁弁
8 ラミネートロール用設定圧力切替用電磁弁
9A,9B 第1のラミネートロール用空圧制御部(空圧制御手段)
10A,10B 第2のラミネートロール用空圧制御部(空圧制御手段)
12 下バックアップロール
13 上バックアップロール
14A,14B 上バックアップロール回転軸支持部
15A,15B 上バックアップロール回転軸空圧駆動部(バックアップロール回転軸空圧駆動手段)
17 空圧駆動機器駆動用電磁弁
18 バックアップロール用設定圧力切替用電磁弁
19A,19B 第1のバックアップロール用空圧制御部(バックアップロール空圧制御手段)
20A,20B 第2のバックアップロール用空圧制御部(バックアップロール空圧制御手段
23A,23B ラミネートロール用空圧制御部(空圧制御手段)
24A,24B 電空比例弁
25A,25B 圧力センサ(圧力計測手段)
26A,26B 比例弁制御機器(比例弁制御手段)
27 本体制御回路(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する下ラミネートロールと、該下ラミネートロールとの間で前記基板にラミネートフィルムを圧着する上ラミネートロールとを備えたラミネータにおいて、
与えられた空圧に応じて前記上ラミネートロールの回転軸を前記下ラミネートロール側に駆動する回転軸空圧駆動手段と、空圧源から前記回転軸空圧駆動手段に対して空圧を付与する空圧制御手段とを備え、基板幅に応じて前記空圧制御手段の出力空圧を制御することによって、前記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴とするラミネータ。
【請求項2】
前記回転軸空圧駆動手段に対して前記空圧制御手段を複数備え、基板幅に応じて切り替えて前記複数の空圧制御手段のいずれかを空圧源に接続することによって、基板幅が変わっても前記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴とする請求項1記載のラミネータ。
【請求項3】
前記上ラミネートロールに対してバックアップロールを設けるとともに、与えられた空圧に応じて前記バックアップロールの回転軸を前記下ラミネートロール側に駆動するバックアップロール回転軸空圧駆動手段と、空圧源から前記バックアップロール回転軸空圧駆動手段に対して空圧を付与するバックアップ空圧制御手段とを備え、基板幅に応じて前記バックアップロール空圧制御手段の出力空圧を制御することによって、基板幅の全体にわたるラミネート線圧の分布を前記上ラミネートロールのみの場合から変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のラミネータ。
【請求項4】
制御信号に応じて前記空圧制御手段の空圧を制御する電空比例弁と、基板幅に応じて前記回転軸空圧駆動手段に設定すべき複数の空圧値データを保持して基板幅の指定に応じていずれかの空圧値を出力する制御手段と、前記回転軸空圧駆動手段における空圧を計測する圧力計測手段と、前記制御手段から出力された空圧値と前記圧力計測手段で計測された空圧値とから前記電空比例弁に対する制御信号を発生する比例弁制御手段とを備え、基板幅に応じて帰還制御を行うことによって、基板幅が変わっても前記上ラミネートロールのラミネート線圧を一定に保つように構成されていることを特徴とする請求項1記載のラミネータ。
【請求項5】
行電極を備えた前面基板と、前記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、前記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記いずれかの電極パターンの形成時、基板上に塗布された電極形成材上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項6】
行電極を備えた前面基板と、前記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、前記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記隔壁の形成時、基板上に塗布された隔壁材上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項7】
行電極を備えた前面基板と、前記行電極と交わる方向に延在する列電極とその上に形成された内面に蛍光体層を形成した隔壁とを備えた背面基板とを、前記隔壁を介して対向して配置してなるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記蛍光体層の形成時、前記隔壁の上端面上に請求項1乃至4のいずれか一記載のラミネータを使用してドライフィルムをラミネートする工程を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項8】
プラズマディスプレイパネルを製造する第1の過程と、
前記プラズマディスプレイパネルと、該プラズマディスプレイパネルを駆動する回路とを一つのモジュールとして製造する第2の過程と、
画像信号のフォーマット変換を行って前記モジュールに送信するインタフェースを、前記モジュールに対して電気的に接続する第3の過程とを備えるプラズマ表示装置の製造方法であって、
前記第1の過程において、請求項5乃至7のいずれか一記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法が実行されることを特徴とするプラズマ表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−1202(P2006−1202A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181583(P2004−181583)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】