説明

ラミネータの重送処理システム

【課題】連続ラミネータの作業中に発生する重送時の処理を簡便にするシステムを提供する。
【解決手段】印刷紙の表面及び/又は裏面へ樹脂フィルムシートを被覆するヒートローラの上流側及び下流側に配置されたセンサとから構成されており、前記ヒートローラの上流側に配置され等間隔で一枚ずつ繰り出される印刷紙の前及び/又は後の端を読み取る第一のセンサと、前記ヒートローラの下流側に配置されて通過する印刷紙の厚さを測定する第二のセンサからなり、前記第二のセンサで通過する複数枚重なり合った印刷紙の厚みを検知した場合にシステムの速度を減速すると共に、前記第一のセンサにより後続の印刷紙の前及び/又は後ろの端を読み取り先行する複数枚重なり合った印刷紙の減速した搬送速度に同調してヒートローラへ後続の印刷紙を送り込むように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枚葉印刷紙の表面に連続的に樹脂フィルムシートを被覆するラミネータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラミネータは、枚葉印刷紙を一枚ずつ端部を重ねるようにして給紙し、連続的に樹脂フィルムシートを被覆した後に前記重なる端部の樹脂フィルムシートを切り離して、枚葉の状態に戻した後に断裁や折り等の下流工程へ引き継ぐものであった。
然るに最近は特開2010−12761号公報の「情報通信体の製造方法」等に見られるように、枚葉印刷紙を間隔をおいて給紙すると共に、ロールから繰り出される樹脂フィルムシートを連続的に被覆することにより、長尺状態になった枚葉印刷紙を切り離さずに下流の工程へ引き継ぐものが見られるようになった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献】
【特許文献】特開2010−12761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記情報通信体の製造方法によれば、印刷紙をセットすれば一連の流れにより情報通信体を最終形態まで仕上げるものである。即ち、枚葉状印刷紙を樹脂フィルムシートで連続的に被覆するため全体の流れが連続状態となり、そのため連続的な加工が可能であり極めて至便である。然るに誤って印刷紙が2枚以上給紙された場合(重送)にその部分を確認、除去する手立てがないため、仮にそのようなことが発生すると製造中にジャミング等の支障が起こり、作業を中断して時間を掛け復帰させる必要がある。
本発明は、既述のように、枚葉状印刷紙を連続状態に被覆して下流の工程へ引き継ぐラミネータ等において、誤って複数の印刷紙が給紙された場合に支障が起こることがないような処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明のラミネータの重送処理システムは、印刷紙の表面及び/又は裏面へ樹脂フィルムシートを被覆するヒートローラの上流側及び下流側に配置されたセンサとから構成されており、前記ヒートローラの上流側に配置され等間隔で一枚ずつ繰り出される印刷紙の前及び/又は後の端を読み取る第一のセンサと、前記ヒートローラの下流側に配置されて通過する印刷紙の厚さを測定する第二のセンサからなり、前記第二のセンサで通過する複数枚重なり合った印刷紙の厚みを検知した場合にシステムの速度を減速すると共に、前記第一のセンサにより後続の印刷紙の前及び/又は後ろの端を読み取り先行する複数枚重なり合った印刷紙の減速した搬送速度に同調してヒートローラへ後続の印刷紙を送り込むように制御したことを特徴としている。
【0006】
前記各センサについては、ヒートローラ上流側においては透過型の光電センサが好適に使用でき、またヒートローラ下流側においては、バックアップローラに検知ローラを押し当てて通過する印刷紙の厚さギャップを感知する接触式のセンサ等が好適に使用できるが、他の方式を採用しても構わない。
【0007】
印刷紙としては上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙等公知の種類の用紙を使用することができる。また厚みに関しても任意の斤量のものを目的に合わせて適宜選択すればよい。
【0008】
給紙手段としてはフィードロールによる手段や、吸着パッドで吸着して繰り出す方式等公知の方式を採用することができる。
【0009】
印刷紙の表裏面に被覆される樹脂フィルムシートとしては、例えばOPPに公知の感熱接着剤を予め形成したサーマルラミネートタイプのフィルムが好適に使用することができるが、ドライラミネートタイプでも構わない。
【0010】
印刷紙の表裏面に樹脂フィルムシートを被覆するヒートローラは少なくとも一対の構成であり、例えば上側ローラを加熱手段を組み込んだ金属ローラとし下側を上側ローラの押圧を受け止めるために表面をゴムで形成したバックアップローラで構成しても構わない。また前記構成以外にも、例えば上下とも表面をゴムで形成したローラとして、内部に加熱手段を組み込んだヒートローラとしても構わない。
【0011】
ヒートローラの下流側に配置される第二のセンサは、ヒートローラとヒートローラにより被覆を完了した印刷紙を牽引して下流へ排出するニップローラとの間に配置される。なおこの位置には他にスリッタや筋入れ装置等が配置されるが、それら他の装置と前後して配置しても或いは同列に配置しても構わない。
【0012】
既述のニップローラから排出された連続的に樹脂フィルムシートを被覆された毎葉状印刷紙はそのまま下流の加工工程へ送られても、或いはワインダ等に巻き取られて異なる加工システムへ供給されても構わない。
【発明の効果】
【0013】
複数枚の印刷紙が重なり合って繰り出される重送を第二のセンサが感知すると例えば警告音を発し駆動系のモーターに低速回転の指示がなされる。作業オペレータは前記警告音とシステムの動作変化から重送を認識し、前記重送部分の不良品を除外して後続の正常製品と先行する正常製品を接続して通常の作業に復帰する。前記復帰作業を低速で流れている間に行うので、時間的、精神的に余裕が生まれて、作業を中断することなく正確に一人で復帰作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるシステムの動作を分かりやすく説明する要部概略図である。
【図2】印刷紙の被覆に使用する樹脂フィルムシートの部分拡大断面図である。
【図3】(A)及び(B)は厚さ検知装置Xの原理を説明する要部概略図である。
【図4】(A)及び(B)は本発明のラミネータの2枚差し処理システムの原理を説明する要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず本発明が適用されるシステムの動作について説明する。
図1に示すように、樹脂フィルムシートFを被覆される毎葉状の印刷紙Sは図中左端の工程最上流に積載される。そして例えば吸着パッド1からなる繰り出しシステムにより、最上面から一枚ずつ等間隔をおいて吸着され右方向の下流へ繰り出される。そして前記繰り出された印刷紙Sはニップローラ2a、2bに保持されると、後述する光電センサ3を通過してさらに下流の少なくとも一対からなるヒートローラ4a、4bへと送られる。前記ヒートローラ4a、4bでは上方に待機しているロールから繰り出される樹脂フィルムシートFと印刷紙Sの被覆予定面とが整合されて、加熱・加圧処理を施すことにより両者を強固に接着する。
【0015】
なお前記樹脂フィルムシートFは、図2に示すように、基材10の一方の面に公知の感熱接着剤層11が形成されたサーマルラミネート方に対応したもので、残るもう一方の面には使用目的に合わせてコロナ放電やプラズマ処理等の酸化処理等の表面処理が施されていても構わない。また、既述のサーマルラミネート方以外にドライラミネート方に対応した樹脂フィルムシートを使用することもできる。その場合、ヒートローラ4a、4bに至る通過ラインの任意の箇所に乾燥装置を追加すればよい。
【0016】
樹脂フィルムシートFを被覆された印刷紙Sはヒートローラ4a、4bから排出された後に、右側に配置されている接触式センサ5aとバックアップローラ5bとの組合せからなる厚さ検知装置Xを通過して、さらにニップローラ6a、6bにより牽引されて、右側の加工工程へと送り出される。前記厚さ検知装置Xは図3(A)に示すように、センサ本体の5aとバックアップローラ5bとからなり、同図(B)に示すように、両者間を通過する印刷紙Sの厚さをバックアップローラ5bと厚さセンサ本体5aから突き出したローラの押し戻し量から読み取り、通常の設定範囲(印刷紙1枚分の厚み)よりも押し戻し量が増えた場合に重送を確認し警告してくれるものである。
【0017】
次に本発明のラミネータの2枚差し処理システムの具体的な内容を説明する。
図4(A)に示すように、当初図中左側から印刷紙S3が吸着パッド1によりニップローラ2a、2bに送り込まれて待機している。そして先行する印刷紙S2の後端の通過をセンサ3が読み取ると同時にタイマーが働き、丁度印刷紙S2の後端がヒートローラ4a、4bの接点に差し掛かる頃合を見計り、ニップローラ2a、2bに後続の印刷紙S3を送り出す指令を駆動系に発信する。このような電気的な制御により先行する印刷紙S1と後続の印刷紙S2の間隔が均等に保たれる。
【0018】
前記のように搬送される各印刷紙S1、S2及びS3は上方に待機しているロールから繰り出される樹脂フィルムシートFとヒートローラ4a、4bにより被覆予定面で整合されて剥離不能に連続的にラミネートされる。そのためヒートローラ4a、4b以後の各印刷紙Sは樹脂フィルムシートFにより連続状態になり下流の工程に送り出される。
【0019】
このような流れの中で、例えば図4(B)に示すように、2枚誤って送り出された印刷紙S4がヒートローラ4a、4bを通過すると、下流の厚さ検知装置Xにより重送が検知され、それと同時に一対のヒートローラ4a、4b及びニップローラ6a、6bの速度を遅くする指令が駆動系に伝達されると共にニップローラ6a、6bより下流の工程を停止させるのである。従って作業オペレータは時間的に余裕が生まれ、落ち着いて正確に2枚重なっている印刷紙S4を適当な位置でカット除去しておいて、その後低速で送り出されてくる後続の印刷紙S5を先行の印刷紙S3と適当な場所で接続することができるのである。
【0020】
前記復帰作業の間でも印刷紙Sがヒートローラ4a、4bを通過するタイミングに合わせて、光電センサ3のタイマーカウントにより後続の印刷紙Sが自動的に送り出されるため、オペレータは手を煩わされることなく一人で余裕を持って復帰作業に取り掛かることができるのである。そして復帰完了後通常の作業速度にもどせばよいのである。
【0021】
なお、本発明は、前記実施例に限られるものではない。
例えば、樹脂フィルムシートロールは図1中に点線で示すように下方にも配置しておいて、印刷紙Sの表裏面を同時に被覆するようにしても構わない。
また、第一のセンサ3を通過した印刷紙Sの後端のみならず前端を読み取っても構わない。
さらに、第一のセンサ3を通過後タイマーやクロックパルスジェネレーション等により任意の時間経過後に後続の用紙を繰り出せばよいのだが、その他の手段として任意の駆動系の軸にロータリエンコーダ等のパルス発信器等を取り付けてパルスをカウントして送り出すようにしても構わない。
さらにまた、厚さ検知装置に関しても公知の他の手段を使用しても構わない。
【符号の説明】
【0022】
S、S1、S2、S3、S4、S5 印刷紙
F 樹脂フィルムシート
X 厚さ検知装置
1 吸着パッド
2a、2b、6a、6b ニップローラ
3 光電センサ
4a、4b ヒートローラ
5a 接触式センサ
5b バックアップローラ
10 基材
11 感熱接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷紙表面及び/又は裏面へ樹脂フィルムシートを被覆するヒートローラの上流側及び下流側に配置されたセンサとから構成されており、前記ヒートローラの上流側に配置され等間隔で一枚ずつ繰り出される印刷紙の前及び/又は後の端を読み取る第一のセンサと、前記ヒートローラの下流側に配置されて通過する印刷紙の厚さを測定する第二のセンサからなり、前記第二のセンサで通過する複数枚重なり合った印刷紙の厚みを検知した場合にシステムの速度を減速すると共に、前記第一のセンサにより後続の印刷紙の前及び/又は後ろの端を読み取り先行する複数枚重なり合った印刷紙の減速した搬送速度に同調してヒートローラへ後続の印刷紙を送り込むように制御したことを特徴とした連続ラミネータの重送処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−254882(P2012−254882A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139918(P2011−139918)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】