説明

ランキンサイクルシステム

【課題】 内燃機関の温度状態に応じて、全体の熱エネルギーを効率的に再利用することが可能なランキンサイクルシステムの提供。
【解決手段】 蒸発器12の第1熱源としてエンジン1の冷却水が用いられ、該エンジン1のランキンサイクル用冷却水回路における蒸発器12より上流側において排気ガス熱を蒸発器12の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器15と、ランキンサイクル用冷却水回路16における排気ガス熱回収器15をバイパスする第1バイパス回路4と、蒸発器12をパイパスする第2バイパス回路5と、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れと第1バイパス回路4を経由する流れと第2バイパス回路5を経由する流れとのいずれか一方に切り換える制御バルブV1、V2、V3と、該制御バルブV1、V2、V3の切換を制御する制御手段6と、が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低沸点冷媒を用いたランキンサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン廃熱や排気ガス熱の再利用の為、蒸気などを媒体としたランキンサイクルを使用した排熱回生サイクルは、主にエアコン冷媒をそのまま使用する低沸点冷媒を媒体とし、エンジン冷却水からの排熱を熱源とするシステムや、水を媒体とし排気ガスを熱源とするシステムの大きく2つが既に公知として存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開2006−017108号公報
【特許文献2】特開2002−222018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のランキンサイクルでは、上述のように、排気ガス熱又はエンジン冷却水のどちらかを熱源としたシステム開発については、一般的に開発報告が発表されているが、両者を効率良く熱源として使用し、全体の熱エネルギーを効率的に再利用する、というサイクルは未だ開発されていない。
【0004】
又、このサイクルを実際に自動車へ搭載した際に自動車の様々な使用環境に応じるサイクル制御方法についても確立されておらず、今後実用化に向けた一つの課題となっている。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、内燃機関の温度状態に応じて、全体の熱エネルギーを効率的に再利用することが可能なランキンサイクルシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載のランキンサイクルシステムは、液媒体の圧力を上げる圧縮機と、圧力が上がった液に熱を加えて気体にする蒸発器と、熱が加えられた気体のエネルギーを運動エネルギーに変換する膨張器と、変換し終わった気体のエネルギーを液体に戻す凝縮器とを備えたランキンサイクルシステムにおいて、前記蒸発器の第1熱源として内燃機関の冷却水が用いられ、該内燃機関のランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器より上流側において排気ガス熱を前記蒸発器の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器と、前記ランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器をバイパスする第1バイパス回路と、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れと前記第1バイパス回路を経由する流れのいずれか一方に切り換える制御バルブと、該制御バルブの切換を制御する制御手段と、が備えられていることを特徴とする手段とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明のランキンサイクルシステムでは、上述のように、蒸発器の第1熱源として内燃機関の冷却水が用いられ、該内燃機関のランキンサイクル用冷却水回路における蒸発器より上流側において排気ガス熱を前記蒸発器の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器と、ランキンサイクル用冷却水回路における蒸発器をバイパスする第1バイパス回路と、排気ガス熱回収器及び蒸発器を経由する流れと前記第1バイパス回路を経由する流れのいずれか一方に切り換える制御バルブと、該制御バルブの切換を制御する制御手段と、が備えられている構成とすることで、内燃機関の温度状態に応じて、制御バルブを切換制御することにより、全体の熱エネルギーを効率的に再利用することが可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
この実施例のランキンサイクルシステムは、請求項1〜7に記載の発明に対応する。
【0010】
まず、この実施例のランキンサイクルシステムを図面に基づいて説明する。
【0011】
図1はこの実施例のランキンサイクルシステムが車両におけるエンジン廃熱を利用するランキンサイクルシステムに適用された例を示すサイクル回路図、図2〜4はこの実施例の制御内容を示す作用説明図、図5はこの実施例の制御内容を示す制御フローチャートである。
【0012】
このランキンサイクルシステムが適用される車両の廃熱を利用するランキンサイクルシステムは、図1に示すように、液媒体の圧力を上げる圧縮機11と、圧力が上がった液冷媒にさらに熱を加えて気体にする蒸発器12と、熱が加えられた気体のエネルギーを運動エネルギーに変換する膨張器13と、変換し終わった気体のエネルギーを液冷媒に戻す凝縮器14と、排ガス熱回収器15と、を備えている。
【0013】
また、このランキンサイクルシステムが適用される車両は、エンジン(内燃機関)1と、ラジエータ2と、該ラジエータ2とエンジンとの間に冷却水を循環させるラジエータ回路21と、ヒータ3と、該ヒータ3とエンジン1との間に冷却水を循環させるヒータ回路31と、エンジン1と排気ガス熱回収器15と蒸発器13との間に冷却水を循環させるランキンサイクル用回路(内燃機関のランキンサイクル用冷却水回路)16と、エンジン1に冷却水を循環させるメインポンプ17と、
ランキンサイクル用冷却水回路16に冷却水を循環させるサブポンプ18と、ランキンサイクル用冷却水回路16における蒸発器12をパイパスする第1バイパス回路4と、ランキンサイクル用冷却水回路16における排気ガス熱回収器15をバイパスする第2バイパス回路5と、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れと第1バイパス回路4を経由する流れと第2バイパス回路5を経由する流れとのいずれか一方に切り換える3つの制御バルブV1、V2、V3と、該制御バルブV1、V2、V3の切換を制御する制御手段6と、が備えられている
【0014】
さらに詳述すると、この実施例では、第2バイパス回路5の上流側が第1バイパス回路4の中途部に接続されることにより、第1バイパス回路4の下流側の一部を第2パイパス回路5の上流側の一部とする共通回路7としている。
【0015】
上記制御バルブV1は、ランキンサイクル用冷却水回路16に対する第2バイパス回路5の上流側端部接続部に備えられていて、第2バイパス回路5と排ガス熱回収器15のいずれか一方に切り換える制御バルブで構成されている。
【0016】
また、制御バルブV2は、第2バイパス回路5の下流側端部の接続部と蒸発器12との間のランキンサイクル用冷却水回路16の途中に備えられた開閉バルブで構成されている。
【0017】
また、制御バルブV3は、第1バイパス回路4の途中に介装された開閉バルブで構成されている。
【0018】
また、ラジエータ回路21には冷却水の水温が所定の温度(80℃)以上になると回路を開くサーモスタットT/Sが介装されている。
【0019】
また、冷却水の温度を検出する温度センサ19と、ヒータ3のON・OFFを検出するヒータ作動状態検出手段32とが備えられている。
【0020】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0021】
この実施例のランキンサイクルシステムでは上述のように構成されるため、圧縮機11から吐出された高圧の液冷媒は、蒸発器12においてエンジン1で発生した廃熱エネルギー(ラジエータ2の冷却水及びまたは排気ガスの熱エネルギー)によって熱が加えられ、この熱エネルギーは、膨張器13において運動エネルギーに変換され、この運動エネルギーで図示を省略した発電機を回転させることで電気エネルギーに変換され、バッテリに蓄電される。
【0022】
そして、変換し終わった気体のエネルギーは凝縮器14で液冷媒に戻された後、圧縮機11に戻され、再び圧縮して送り出される。
【0023】
次に、上記制御手段6の制御作動を図2〜4(作用説明図)、図5(制御フローチャート)に基づいて説明する。
【0024】
図5のフローチャートのステップS1では、冷却水の水温がサーモスタットT/Sの開弁温度(80℃)以下であるか否かを判定し、YESである時は、ステップS2に進み、図3に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を閉じ、V3を開く。これにより、蒸発器12をバイパスする第1バイパス回路4側に冷却水を循環させ、排気ガス熱回収器15で回収された熱エネルギーをもっぱらエンジン1の暖気に使用する。なお、この時、サーモスタットT/Sは閉弁状態で、ラジエータ2への冷却水の循環が停止された状態になっている。
【0025】
また、ステップS1の判定がNOであれば、ステップS3に進む。なお、この時、サーモスタットT/Sは開弁状態で、ラジエータ2への冷却水の循環が開始された状態になっている。
【0026】
このステップS3では、冷却水の水温がサーモスタットT/Sの開弁温度である80℃+10℃以下(適温範囲80〜95℃のうちの低め温度範囲80〜90℃)であるか否かを判定し、YESである時は、ステップS4に進む。
【0027】
このステップS4では、ヒータ3がON状態であるか否かを判定し、YESである時は、ステップS5に進み、図3に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を閉じ、V3を開く。これにより、蒸発器12をバイパスする第1バイパス回路4側に冷却水を循環させ、排気ガス熱回収器15で回収された熱エネルギーをもっぱらエンジン1の暖気及びヒータ3の熱源として使用する。
【0028】
また、ステップS4の判定がNOであれば、ステップS6に進む。
このステップS6では、冷却水の水温が第1閾値(85℃)以下であるか否かを判定し、YESである時は、ステップS7に進み、図3に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を閉じ、V3を開く。これにより、蒸発器12をバイパスする第1バイパス回路4側に冷却水を循環させ、排気ガス熱回収器15で回収された熱エネルギーをもっぱらエンジン1の暖気に使用する。
【0029】
また、ステップS6の判定がNOであれば、ステップS8に進み、図4に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15の熱エネルギー(第2熱源)を回収した冷却水の熱エネルギー(第1熱源)が蒸発器12の熱源として作用する。
【0030】
また、ステップS3の判定がNO(90℃より高い)であれば、ステップS9に進む。
ステップS9では、冷却水の水温がサーモスタットT/Sの開弁温度である80℃+15℃以下(適温範囲90〜95℃)であるか否かを判定し、YESである時は、ステップS10に進む。
【0031】
このステップS10では、ヒータ3がON状態であるか否かを判定し、NOであれば、ステップS11に進み、図4に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15の熱エネルギー(第2熱源)を回収した冷却水の熱エネルギー(第1熱源)が蒸発器12の熱源として作用する。
【0032】
また、ステップS10の判定がYESであれば、ステップS12に進む。
このステップ12では、冷却水の水温が第2閾値(93℃)以下であるか否かを判定し、NOである時は、ステップS13に進み、図4に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15の熱エネルギー(第2熱源)を回収した冷却水の熱エネルギー(第1熱源)が蒸発器12及びヒータ3の熱源として作用する。
【0033】
また、ステップS10の判定がYESである時は、ステップS14に進み、図3に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を閉じ、V3を開く。これにより、蒸発器12をバイパスする第1バイパス回路4側に冷却水を循環させ、排気ガス熱回収器15で回収された熱エネルギーをもっぱらエンジン1の暖気及びヒータ3の熱源として作用する。
【0034】
また、ステップS9の判定がNO(95℃より高い)であれば、ステップS15に進む。
ステップS15では、ヒータ3がON状態であるか否かを判定し、NOであれば、ステップ16に進み、図2に示すように、制御バルブV1を第2バイパス回路5側(b側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15による排気ガス熱の回収を停止させる。なお、この時だけサブポンプ18の稼動は停止される。
【0035】
また、ステップ15の判定がYESである時は、ステップS17に進む。
このステップ17では、冷却水の水温が第3閾値(100℃)以下であるか否かを判定し、NOである時は、ステップS18に進み、図2に示すように、制御バルブV1を第2バイパス回路5側(b側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15による排気ガス熱の回収を停止させる。なお、この時だけサブポンプ18の稼動は停止される。
【0036】
また、ステップS17の判定がYESである時は、ステップS19に進み、図4に示すように、制御バルブV1を排気ガス熱回収器15側(a側)に切り換え、V2を開き、V3を閉じる。これにより、排気ガス熱回収器15の熱エネルギー(第2熱源)を回収した冷却水の熱エネルギー(第1熱源)が蒸発器12及びヒータ3の熱源として作用される。
【0037】
次に、この実施例の効果を説明する。
【0038】
この実施例のランキンサイクルシステムでは、上述のように、蒸発器12の第1熱源としてエンジン1の冷却水が用いられ、該エンジン1のランキンサイクル用冷却水回路における蒸発器12より上流側において排気ガス熱を蒸発器12の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器15と、ランキンサイクル用冷却水回路における蒸発器12をバイパスする第1バイパス回路4と、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れと第1バイパス回路4を経由する流れのいずれか一方に切り換える制御バルブV1、V2、V3と、該制御バルブV1、V2、V3の切換を制御する制御手段6と、が備えられている構成とすることで、エンジン1の温度状態に応じて、制御バルブV1、V2、V3を切換制御することにより、全体の熱エネルギーを効率的に再利用することが可能になるという効果が得られる。
【0039】
また、制御手段6は、エンジン1のランキンサイクル用冷却水の水温が所定の適温範囲(80〜95℃)内である時は排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、所定の適温範囲より低い時は第1バイパス回路4を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換えるようにすることで、適温時は、一般的に排熱は過剰となる為、排気ガス熱も取り込みつつ、ランキンサイクルを稼動させて全体の排熱を有効に再利用でき、また、温度が適温範囲(80〜95℃)より低い間は、排気ガス熱回収器15で回収された熱エネルギーをもっぱらエンジン1の暖気に有効利用することができる。
【0040】
また、さらに排気ガス熱回収器15をパイパスする第2バイパス回路5を備え、制御手段6は、ランキンサイクル用冷却水の水温が所定の適温範囲(80〜95℃)より高くなると第2バイパス回路5を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換えるようにすることで、排気ガス熱回収器15による熱エネルギの回収を停止させて、蒸発器12で冷却水の熱エネルギーを消費させることにより、温度を下げる方向に働かせることができる。
【0041】
また、制御手段6は、エンジン1の冷却水の水温が所定の適温範囲(80〜95℃)のうち所定温度未満の低め温度範囲(80〜90℃)内であってヒータ3がONである時またはヒータ3がOFFで低め温度範囲のうち所定の第1閾値(93℃)以下である時は、第1バイパス回路4を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、ヒータ3がOFFで低め温度範囲のうち所定の第1閾値(93℃)より高い時は、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、エンジン1の冷却水の水温が所定の適温範囲のうち所定温度以上の最適温度範囲(90〜95℃)内であってヒータ3がOFFである時またはヒータ3がONで最適温度範囲のうち所定の第2閾値(93℃)より高い時は、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、ヒータ3がONで最適温度範囲のうち所定の第2閾値(93℃)以下である時は、第1バイパス回路4を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、エンジン1の冷却水の水温が所定の適温範囲(80〜95℃)より高くヒータ3がOFFである時またはヒータ3がONでも冷却水の水温が所定の第3閾値(100℃)より高い時は、第2バイパス回路5を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換え、エンジン1の冷却水の水温が所定の適温範囲(80〜95℃)より高くヒータ3がONであって水温が所定の第3閾値(100℃)以下である時は、排気ガス熱回収器15及び蒸発器12を経由する流れ側に制御バルブV1、V2、V3を切り換えるように構成されたことで、ヒータ3の使用状況に応じ、全体の熱エネルギーを効率的に再利用することができると共に、冷却水の温度状況に応じてヒータ3の即暖性を高めることができるようになる。
【0042】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例のランキンサイクルシステムが車両におけるエンジン廃熱を利用するランキンサイクルシステムに適用された例を示すサイクル回路図である。
【図2】実施例の制御内容を示す作用説明図である。
【図3】実施例の制御内容を示す作用説明図である。
【図4】実施例の制御内容を示す作用説明図である。
【図5】実施例の制御内容を示す制御フローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン(内燃機関)
2 ラジエータ
21 ラジエータ回路
3 ヒータ
31 ヒータ回路
32 ヒータ作動状態検出手段
4 第1バイパス回路
5 第2バイパス回路
6 制御手段
7 共通回路
11 圧縮機
12 蒸発器
13 膨張器
14 凝縮器
15 排気ガス熱回収器
16 ランキンサイクル用冷却水回路
17 メインポンプ
18 サブポンプ
19 温度センサ
V1 制御バルブ
V2 制御バルブ
V3 制御バルブ
T/S サーモスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液媒体の圧力を上げる圧縮機と、圧力が上がった液に熱を加えて気体にする蒸発器と、熱が加えられた気体のエネルギーを運動エネルギーに変換する膨張器と、変換し終わった気体のエネルギーを液体に戻す凝縮器とを備えたランキンサイクルシステムにおいて、
前記蒸発器の第1熱源として内燃機関の冷却水が用いられ、
該内燃機関のランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器より上流側において排気ガス熱を前記蒸発器の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器と、前記ランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器をバイパスする第1バイパス回路と、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れと前記第1バイパス回路を経由する流れのいずれか一方に切り換える制御バルブと、該制御バルブの切換を制御する制御手段と、が備えられていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のランキンサイクルシステムにおいて、前記制御手段は、前記内燃機関のランキンサイクル用冷却水の水温が所定の適温範囲内である時は排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、所定の適温範囲より低い時は前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換えるように構成されていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項3】
液媒体の圧力を上げる圧縮機と、圧力が上がった液に熱を加えて気体にする蒸発器と、熱が加えられた気体のエネルギーを運動エネルギーに変換する膨張器と、変換し終わった気体のエネルギーを液体に戻す凝縮器とを備えたランキンサイクルシステムにおいて、
前記蒸発器の第1熱源として内燃機関の冷却水が用いられ、
該内燃機関のランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器より上流側において排気ガス熱を前記蒸発器の第2熱源として冷却水に回収する排気ガス熱回収器と、前記ランキンサイクル用冷却水回路における前記蒸発器をバイパスする第1バイパス回路と、前記排気ガス熱回収器をパイパスする第2バイパス回路と、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れと前記第1バイパス回路を経由する流れと第2バイパス回路を経由する流れとのいずれか一方に切り換える制御バルブと、該制御バルブの切換を制御する制御手段と、が備えられていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のランキンサイクルシステムにおいて、前記制御手段は、前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲内である時は排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、所定の適温範囲より低い時は前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、所定の適温範囲より高くなると前記第2バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換えるように構成されていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のランキンサイクルシステムにおいて、冷却水の熱を利用するヒータと、該ヒータのON・OFFを検出するヒータ作動状態検出手段と、が備えられ、
前記制御手段は、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲内である時は、前記ヒータがOFFであれば前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、前記ヒータがONであれば前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲より高くなると、前記ヒータがOFFであれば前記第2バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、前記ヒータがONであれば前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲より低い時は、前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換えるように構成されていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のランキンサイクルシステムにおいて、
前記制御手段は、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲のうち所定温度未満の低め温度範囲内であってヒータがONである時または前記ヒータがOFFで前記低め温度範囲のうち所定の第1閾値以下である時は、前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、前記ヒータがOFFで前記低め温度範囲のうち所定の第1閾値より高い時は、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲のうち所定温度以上の最適温度範囲内であって前記ヒータがOFFである時または前記ヒータがONで前記最適温度範囲のうち所定の第2閾値より高い時は、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、前記ヒータがONで前記最適温度範囲のうち所定の第2閾値以下である時は、前記第1バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲より高く前記ヒータがOFFである時または前記ヒータがONでも冷却水の水温が所定の第3閾値より高い時は、前記第2バイパス回路を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換え、
前記内燃機関の冷却水の水温が所定の適温範囲より高く前記ヒータがONであって水温が所定の第3閾値以下である時は、前記排気ガス熱回収器及び前記蒸発器を経由する流れ側に前記制御バルブを切り換えるように構成されていることを特徴とするランキンサイクルシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のランキンサイクルシステムにおいて、前記液冷媒として低沸点冷媒が用いられていることを特徴とするランキンサイクルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−138697(P2010−138697A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99679(P2007−99679)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】