説明

ランキンサイクル装置

【課題】レシーバの機能を確保しつつ、車両搭載性を良好なものにすることができるランキンサイクル装置を提供すること。
【解決手段】ランキンサイクル装置は、車両に搭載されるとともに、ランキン用凝縮器22の上側に、エアコン用凝縮器32が並設されている。車両の車幅方向における2つの凝縮器22,32の両側端のうち、右側端より外方にはランキン用レシーバ23が配置されるとともに、左側端より外方にはエアコン用レシーバ33が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるとともに、ランキンサイクル用の凝縮器と、冷凍サイクル用の凝縮器とが上下に並設されているランキンサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルを併せ持つランキンサイクル装置としては、例えば、特許文献1の廃熱回収システム搭載車両が挙げられる。この廃熱回収システム搭載車両において、ランキンサイクルは、ポンプ、加熱器、膨張機、ランキン用凝縮器、及びランキン用気液分離器(レシーバ)を備える。また、冷凍サイクル(エアコンサイクル)は、圧縮機、エアコン用凝縮器、エアコン用気液分離器(レシーバ)、膨張弁、及び蒸発器を備える。
【0003】
ランキン用凝縮器と、エアコン用凝縮器は車両の前後方向に沿って前後に並設されるとともに、ランキン用凝縮器及びエアコン用凝縮器の近傍には、第1のモータファンが配設されている。そして、この第1のモータファンから各凝縮器に向けた送風により、各凝縮器における作動流体(冷媒)からの放熱が促進され、液化されるようになっている。各凝縮器で液化された作動流体は、それぞれ各気液分離器に供給される。気液分離器に供給された作動流体は、気液分離器内のストレーナや乾燥剤等により異物や水分等が除去されつつ気液分離され、さらに、気液分離器に一時的に貯留される。
【0004】
特許文献1において、ランキン用気液分離器は、車幅方向に沿ったランキン用凝縮器の一側方に配置されるとともに、エアコン用気液分離器も、車幅方向に沿ったエアコン用凝縮器の一側方に配置されており、2つの気液分離器は、両凝縮器の同じ側方に配置されている。なお、一般的に、作動流体は、気液分離器の下部から導入されるため、気液分離器は、その下端が凝縮器の下端と同じ位置に位置するように凝縮器の側方に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−188949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、冷凍サイクルを併せ持つランキンサイクル装置の車両搭載性を考慮して、ランキン用凝縮器と、エアコン用凝縮器を上下に並設する場合がある。この場合は、特許文献1においては、各凝縮器の一側方に配置された気液分離器同士も上下に重せて並設されることとなる。気液分離器は、その下端が凝縮器の下端と同じ位置に位置するように凝縮器の側方に配置されるため、下側に配置された凝縮器の気液分離器は、その上側に配置された別の気液分離器によって高さを確保することができなくなる。
【0007】
気液分離器の機能のうち異物除去機能及び気液分離機能については、気液分離器内を作動流体が流れる距離を長くすることで確保され、貯留機能については気液分離器の容積を大きくすることで、貯留機能が確保される。したがって、気液分離器としては、その高さを確保することが重要になる。しかし、上下に並設された気液分離器のうち、下側の気液分離器については、高さが確保できず、気液分離器としての機能が低下してしまう。
【0008】
そこで、下側の気液分離器の高さを確保するために、下側の気液分離器を両凝縮器の前方に配置することが考えられる。しかし、両凝縮器の前方は、車両構成上、ほとんどスペースがなく、気液分離器を配置するためにスペースを確保しなければならず、気液分離器を凝縮器の前方に配置することは、車両搭載上、不都合である。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、レシーバの機能を確保しつつ、車両搭載性を良好なものにすることができるランキンサイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ランキンサイクル用作動流体を冷却するランキンサイクル用の凝縮器と、前記ランキンサイクル用の凝縮器と接続されたランキンサイクル用のレシーバと、冷凍サイクル用作動流体を冷却する冷凍サイクル用の凝縮器と、前記冷凍サイクル用の凝縮器と接続された冷凍サイクル用のレシーバと、を有し、車両に搭載されるとともに、前記2つの凝縮器が上下に並設されているランキンサイクル装置に関する。このランキンサイクル装置おいて、前記2つの凝縮器における車幅方向の両側端のうち、一方の側端より前記車幅方向に沿った外方に前記2つのレシーバのうちの一方を配置するとともに、他方の側端より前記車幅方向に沿った外方に他方のレシーバを配置した。
【0011】
これによれば、ランキンサイクル用のレシーバと、冷凍サイクル用のレシーバが上下に重ねて並設されることがない。したがって、各レシーバは、下端が各凝縮器の下端に位置合わせされて設けられても、その高さは、上下に重ねた2つの凝縮器のうち、上側の凝縮器の上端を越えない範囲で設定することができる。下側に位置するレシーバにおいては、その上側に別のレシーバが配置されていないことから、その高さを十分に確保することが可能になる。したがって、2つのレシーバを上下に重ねる場合と異なり、レシーバの高さが確保できなくなることが回避でき、両レシーバの高さ及び容積を十分に確保することができる。その結果、レシーバ内では、各作動流体を流す距離を長く確保することができ、異物除去機能及び気液分離機能を向上させることができるとともに、作動流体を貯留するための容積も確保することができ、貯留機能も向上させることができる。すなわち、両レシーバの機能を確保することができる。また、2つのレシーバを、車幅方向における凝縮器の両側端より外方に配置したため、高さの確保を必要とするレシーバを、凝縮器の前方に配置する必要がなく、車両搭載性を良好なものにすることができる。加えて、2つのレシーバが、凝縮器の両側端より外方に分散配置されることで、車両前部が衝突しても、レシーバが損傷を受けにくくなる。
【0012】
また、前記車幅方向に沿って前記2つの凝縮器を通過する基準面を想定した場合、前記基準面は前記2つのレシーバを通過していてもよい。
これによれば、2つのレシーバを、2つの凝縮器の車幅方向における真横に配置することができ、両凝縮器と2つのレシーバとの車両前後方向への搭載スペースをコンパクトにすることができる。
【0013】
また、前記凝縮器は、熱交換部と、前記車幅方向における前記熱交換部の両側に設けられたヘッダタンクと、からなり、前記レシーバは前記ヘッダタンクより前記車幅方向の外方に配置されていてもよい。
【0014】
これによれば、ヘッダタンクの作動流体を、レシーバに速やかに供給することができる。加えて、ヘッダタンクとレシーバとを接続する連通流路を短くすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レシーバの機能を確保しつつ、車両搭載性を良好なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態のランキンサイクル装置の回路図。
【図2】(a)は第1の実施形態のランキンサイクル装置を模式的に示す正面図、(b)は第1の実施形態のランキンサイクル装置を模式的に示す平面図。
【図3】第2の実施形態のランキンサイクル装置を模式的に示す正面図。
【図4】別例のランキンサイクル装置を模式的に示す平面図。
【図5】別例のランキンサイクル装置を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。なお、以下の説明において、車両の進行方向に沿って前後方向を設定し、この前後方向に直交する方向を車幅方向とする。
【0018】
図1に示すように、ランキンサイクル装置11は、車両に搭載されるとともに、別々のサイクルで構成された冷凍サイクル30と、ランキンサイクル20とを併せ持つ。冷凍サイクル30内は、車両空調用のために冷凍サイクル用作動流体(以下、エアコン用作動流体と記載する)が循環し、ランキンサイクル20内は、ランキンサイクル用作動流体(以下、ランキン用作動流体と記載する)が循環する。
【0019】
なお、車両のエンジン12には、冷却水循環経路13が接続されるとともに、この冷却水循環経路13にはラジエータ13aが配設されている。ラジエータ13aは、その長さ方向が車幅方向に延びるように車両に搭載されるとともに、ラジエータ13aの後方には送風ファン13bが配設されている。そして、エンジン12を冷却した冷却水は、主に車両走行時は、その走行に伴う車速風によってラジエータ13aで冷却され、車両停止時は、送風ファン13bからの送風によってラジエータ13aで冷却されるようになっている。
【0020】
次に、ランキンサイクル20について説明する。ランキンサイクル20は、膨張機21、ランキンサイクル用の凝縮器22(以下、ランキン用凝縮器22と記載する)、ランキンサイクル用のレシーバ23(以下、ランキン用レシーバ23と記載する)、ポンプ25、及び熱交換器26が環状に接続されて形成されている。
【0021】
ランキンサイクル20を詳細に説明すると、ポンプ25の吐出側にはランキン用第1流路20aを介して熱交換器26の導入側が接続されるとともに、この熱交換器26は、エンジン12に接続された排気通路12aに設けられている。そして、ポンプ25から吐出されたランキン用作動流体は、熱交換器26においてエンジン12からの排気との熱交換により加熱される。
【0022】
熱交換器26の導出側には、ランキン用第2流路20bを介して膨張機21の吸入側が接続されるとともに、この膨張機21で、熱交換器26で加熱されたランキン用作動流体が膨張するようになっている。膨張機21の吐出側には、ランキン用第3流路20cを介してランキン用凝縮器22の導入側が接続されている。このランキン用凝縮器22は、ラジエータ13aよりも前方に配置されている。膨張機21で膨張したランキン用作動流体は、車両走行時は、主にその走行に伴う車速風によってランキン用凝縮器22で冷却され、車両停止時は、送風ファン13bからの送風によってランキン用凝縮器22で冷却されるようになっている。そして、ランキン用作動流体は、ランキン用凝縮器22での冷却により、凝縮されて液化されるようになっている。
【0023】
ランキン用凝縮器22の導出側にはランキン用第4流路20dを介してランキン用レシーバ23の導入側が接続されている。このランキン用レシーバ23では、ランキン用凝縮器22で冷却(液化)されたランキン用作動流体が導入されるようになっている。また、ランキン用レシーバ23では、ランキンサイクル20での機械的エネルギーの出力状態に応じてランキン用作動流体をポンプ25に供給できるよう一時的に貯えられるようになっている(貯留機能)。
【0024】
また、ランキン用レシーバ23内には、ランキン用作動流体の異物や水分を取り除くためにストレーナ及び乾燥剤(図示せず)が封入されている(異物除去機能)。また、ランキン用レシーバ23には、ランキン用凝縮器22で液化されなかったランキン用作動流体が、気体として導入される場合がある。このため、ランキン用レシーバ23では、液体状のランキン用作動流体を底側(下側)に貯え、気体状のランキン用作動流体を天井側(上側)に貯えることで、ランキン用作動流体を気液分離するようになっている(気液分離機能)。そして、ランキン用レシーバ23の底側には、液体状のランキン用作動流体を導出するためのランキン用第5流路20eが接続されるとともに、このランキン用第5流路20eはポンプ25の吸入側に接続されている。
【0025】
なお、本実施形態では、膨張機21とポンプ25は、複合流体機械Fのハウジング内に設けられるとともに、そのハウジング内には、発電機又は電動機として機能するモータ・ジェネレータ28が設けられている。モータ・ジェネレータ28にはバッテリ29が接続されるとともに、モータ・ジェネレータ28で生じた電力はバッテリ29に蓄電されるようになっている。
【0026】
そして、ランキンサイクル20においては、バッテリ29からの電力がモータ・ジェネレータ28に供給されるとモータ・ジェネレータ28が電動機として駆動され、ポンプ25が駆動される。このポンプ25から吐出されたランキン用作動流体は、熱交換器26において、エンジン12からの排気との熱交換により加熱されるとともに、熱エネルギーを受け取る。加熱後のランキン用作動流体は、膨張機21で膨張し、この膨張により膨張機21が機械的エネルギー(駆動力)を出力する。そして、この駆動力によって膨張機21が駆動され、モータ・ジェネレータ28が駆動されるとともにポンプ25が駆動される。このとき、エンジン12からの廃熱量に応じてモータ・ジェネレータ28の回転数を制御し、ポンプ25の駆動分を差し引いた膨張機21の発生動力が電力に変換され、バッテリ29に充電される。
【0027】
膨張を終えて圧力が低下したランキン用作動流体は、ランキン用凝縮器22で冷却されて液化し、ランキン用レシーバ23に一時的に貯留される。そして、ランキン用レシーバ23に貯留されたランキン用作動流体は、膨張機21の出力に応じてポンプ25に吸入される。以後、上述したように、ランキン用作動流体は、膨張機21、ランキン用凝縮器22、ランキン用レシーバ23、ポンプ25、及び熱交換器26を流れて、ランキンサイクル20の回路を循環する。
【0028】
次に、冷凍サイクル30について説明する。
冷凍サイクル30は、圧縮機31、冷凍サイクル用の凝縮器32(以下、エアコン用凝縮器32と記載する)、エアコン用レシーバ33、膨張弁35、及び、蒸発器34が環状に接続されて形成されている。冷凍サイクル30を詳細に説明すると、圧縮機31の吐出側にはエアコン用第1流路30aを介してエアコン用凝縮器32の導入側が接続されている。このエアコン用凝縮器32は、ラジエータ13aよりも前方に配置されている。そして、圧縮機31で圧縮されたエアコン用作動流体は、車両走行時は、主にその走行に伴う車速風によってエアコン用凝縮器32で冷却され、車両停止時は、送風ファン13bからの送風によってエアコン用凝縮器32で冷却されるようになっている。そして、エアコン用作動流体は、エアコン用凝縮器32での冷却により、凝縮されて液化されるようになっている。
【0029】
エアコン用凝縮器32の導出側にはエアコン用第2流路30bを介してエアコン用レシーバ33が接続されている。このエアコン用レシーバ33では、エアコン用凝縮器32で冷却(液化)されたエアコン用作動流体が、冷房負荷に応じて蒸発器34に供給できるよう一時的に貯えられるようになっている(貯留機能)。
【0030】
また、エアコン用レシーバ33内には、冷凍サイクル30内の異物や水分を取り除くためにストレーナ及び乾燥剤(図示せず)が封入されている(異物除去機能)。また、エアコン用レシーバ33には、エアコン用凝縮器32で液化されなかったエアコン用作動流体が、気体として供給される場合がある。このため、エアコン用レシーバ33では、液体状のエアコン用作動流体を底側(下側)に貯え、気体状のエアコン用作動流体を天井側(上側)に貯えることで、エアコン用作動流体を気液分離するようになっている(気液分離機能)。そして、エアコン用レシーバ33の底側には、液体状のエアコン用作動流体を導出するためのエアコン用第3流路30cが接続されるとともに、このエアコン用第3流路30cは膨張弁35の導入側に接続されている。
【0031】
膨張弁35は、エアコン用凝縮器32で冷却されたエアコン用作動流体を減圧膨張させるようになっている。膨張弁35の導出側には、エアコン用第4流路30dが接続されるとともに、このエアコン用第4流路30dは、蒸発器34の導入側に接続されている。そして、蒸発器34は膨張弁35によって減圧されたエアコン用作動流体を蒸発させるようになっている。また、蒸発器34の導出側には、エアコン用第5流路30eが接続されるとともに、このエアコン用第5流路30eは圧縮機31の吸入側に接続されている。
【0032】
次に、ランキン用凝縮器22、エアコン用凝縮器32、ランキン用レシーバ23、及びエアコン用レシーバ33の配置について説明する。
図2(a)に示すように、ランキン用凝縮器22は、長さ方向が車幅方向に延びるランキン用熱交換部22aと、ランキン用熱交換部22aの車幅方向両側に連結されたヘッダタンク22bとが一体化されて形成されている。ランキン用熱交換部22aは、フィン(図示せず)と、フィンに刺し通されたチューブ(図示せず)とを備えるとともに、チューブは両ヘッダタンク22b内に連通している。一方のヘッダタンク22b内のランキン用作動流体は、チューブを通ってランキン用熱交換部22a内を通った後、他方のヘッダタンク22b内へ流れるようになっている。そして、ランキン用熱交換部22aでは、チューブ内のランキン用作動流体と、フィン周囲の気体との間で熱交換が行われ、冷却されるようになっている。
【0033】
また、エアコン用凝縮器32は、長さ方向が車幅方向に延びるエアコン用熱交換部32aと、エアコン用熱交換部32aの車幅方向両側に連結されたヘッダタンク32bとが一体化されて形成されている。エアコン用熱交換部32aは、フィン(図示せず)と、フィンに刺し通されたチューブ(図示せず)とを備えるとともに、チューブは両ヘッダタンク32b内に連通している。一方のヘッダタンク32b内のエアコン用作動流体は、チューブを通ってエアコン用熱交換部32a内を通った後、他方のヘッダタンク32b内へ流れるようになっている。そして、エアコン用熱交換部32aでは、チューブ内のエアコン用作動流体と、フィン周囲の気体との間で熱交換が行われ、冷却されるようになっている。
【0034】
ランキン用凝縮器22とエアコン用凝縮器32は、上下に重なり合わせて並設されている。本実施形態では、車両の載置面G上にランキン用凝縮器22が固定されるとともに、このランキン用凝縮器22の上側にエアコン用凝縮器32が配置されている。なお、ランキン用凝縮器22とエアコン用凝縮器32は、車両前後方向への厚みが同じになっており、図2(b)に示すように、平面視では、エアコン用凝縮器32のみが視認できるようになっている。
【0035】
図2(a)に示すように、車幅方向における2つの凝縮器22,32の両側端のうち、その車幅方向に沿った右側端(一方の側端)より外方には、ランキン用レシーバ23が配置されている。このランキン用レシーバ23は、上端部が上側固定部材24aによって、エアコン用凝縮器32のヘッダタンク32bに固定されるとともに、下端部が下側固定部材24bによってランキン用凝縮器22のヘッダタンク22bに固定されている。ランキン用凝縮器22において、車幅方向の右方(一方)のヘッダタンク22bの下部には、上述のランキン用第4流路20dが接続されるとともに、このランキン用第4流路20dはランキン用レシーバ23の下部に接続されている。
【0036】
ランキン用レシーバ23の高さH1は、2つの凝縮器22,32を合わせた全体高さHの範囲内に収まるように設定されている。そして、ランキン用レシーバ23は、下端が、ランキン用凝縮器22の下端と同じ位置に位置するとともに、上端がエアコン用凝縮器32の上端より低い位置にあり、エアコン用凝縮器32の高さの途中に位置するように配置されている。
【0037】
また、車幅方向に沿った2つの凝縮器22,32の両側端のうち、車幅方向に沿った左側端(他方の側端)より外方には、エアコン用レシーバ33が配置されている。このエアコン用レシーバ33は、上端部が上側固定部材19aによって、エアコン用凝縮器32のヘッダタンク32bに固定されるとともに、下端部が下側固定部材19bによってエアコン用凝縮器32のヘッダタンク32bに固定されている。エアコン用凝縮器32において、車幅方向の左方(他方)のヘッダタンク32bの下部には、上述のエアコン用第2流路30bが接続されるとともに、このエアコン用第2流路30bはエアコン用レシーバ33の下部に接続されている。
【0038】
エアコン用レシーバ33の高さH2は、2つの凝縮器22,32を合わせた全体高さHの範囲内に収まるように設定されている。そして、エアコン用レシーバ33は、下端がエアコン用凝縮器32の下端と同じ位置に位置するとともに、上端がエアコン用凝縮器32の上端に位置するように配置されている。
【0039】
図2(b)に示すように、車幅方向に沿って延びるとともに、エアコン用凝縮器32及びランキン用凝縮器22を長さ方向に沿って通過する面を基準面Nとする。ランキン用レシーバ23は、その中心が基準面N上に位置するとともに、エアコン用レシーバ33は、その中心が基準面N上に位置するように配置されている。そして、ランキン用レシーバ23及びエアコン用レシーバ33は、それぞれ両凝縮器22,32の真横に配置されている。
【0040】
次に、ランキンサイクル装置11の作用について説明する。
さて、ランキンサイクル装置11において、ランキンサイクル20を循環するランキン用作動流体は、ランキン用凝縮器22で冷却され、液化し、さらに、ランキン用レシーバ23に導入される。ここで、ランキン用レシーバ23は、ランキン用凝縮器22とエアコン用凝縮器32の右側端より外方に配置されている。そして、ランキン用レシーバ23は、上側のエアコン用凝縮器32の上端を越えない範囲で高さが十分に確保されるとともに、容量も確保されている。このため、ランキン用レシーバ23内では、ランキン用作動流体は、十分な距離を流れることで異物等が除去されつつ気液分離され、さらに、十分な容量が一時的に貯留される。
【0041】
また、ランキンサイクル装置11において、冷凍サイクル30を循環するエアコン用作動流体は、エアコン用凝縮器32で冷却され、液化し、さらに、エアコン用レシーバ33に導入される。ここで、エアコン用レシーバ33は、ランキン用凝縮器22とエアコン用凝縮器32の左側端より外方に配置されている。そして、エアコン用レシーバ33は、上側のエアコン用凝縮器32の上端を越えない範囲で高さが十分に確保されている。このため、エアコン用レシーバ33内では、エアコン用作動流体は、十分な距離を流れることで異物等が除去されつつ気液分離され、さらに、十分な容量が一時的に貯留される。
【0042】
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)冷凍サイクル30を併せ持つランキンサイクル装置11において、ランキン用凝縮器22上に、エアコン用凝縮器32を並設した。そして、車幅方向において、ランキン用凝縮器22及びエアコン用凝縮器32の右側端より外方にランキン用レシーバ23を配置するとともに、左側端より外方にエアコン用レシーバ33を配置した。このため、ランキン用レシーバ23とエアコン用レシーバ33が上下に並設されることがない。したがって、各レシーバ23,33の下端が各凝縮器22,32の下端に位置するように設けられても、各レシーバ23,33の高さを、上側のエアコン用凝縮器32の上端を越えないように設定することができる。そして、下側に配置されたランキン用レシーバ23においては、その上側にエアコン用レシーバ33が配置されず、エアコン用レシーバ33によって高さの制約を受けない。その結果として、各レシーバ23,33の高さ及び容積を十分に確保することができ、異物除去機能、気液分離機能、及び貯留機能を確保することができる。
【0043】
(2)上下に2つのレシーバ23,33を並設した場合は、下側のランキン用レシーバ23の高さを確保すべく、高さを確保したランキン用レシーバ23を両凝縮器22,32の前方に配置することが考えられる。しかし、両凝縮器22,32の前方は、車両構成上、ほとんどスペースがなく、ランキン用レシーバ23を配置するためにスペースを確保しなければならない。本実施形態では、ランキン用レシーバ23とエアコン用レシーバ33を車幅方向の両側端の外方に1つずつに配置することで、凝縮器22,32の前方にランキン用レシーバ23を配置するためのスペースを確保する必要がなく、車両搭載性を良好なものにすることができる。
【0044】
(3)さらに、両凝縮器22,32の前方は、車両前方が衝突した際には、その衝撃を直接受けやすい場所である。本実施形態では、高さを確保したランキン用レシーバ23とエアコン用レシーバ33を、両凝縮器22,32の前方に配置せず、車幅方向の両側に分散配置したため、車両衝突時に両レシーバ23,33が損傷を受けにくくなる。
【0045】
(4)ランキン用レシーバ23は、上側固定部材24a及び下側固定部材24bによって両凝縮器22,32の右側端に固定され、エアコン用レシーバ33は、上側固定部材19a及び下側固定部材19bによってエアコン用凝縮器32の左側端に固定されている。このため、両レシーバ23,33は、車両の載置面Gではなく、両凝縮器22,32に固定されている。このため、両レシーバ23,33には、車両の振動が伝播しにくくなり、両レシーバ23,33の振動を抑えることができる。
【0046】
(5)ランキン用凝縮器22及びエアコン用凝縮器32を通過し、車幅方向に延びる基準面Nを設定した場合、両レシーバ23,33は基準面Nが通過するように配置されている。このため、2つのレシーバ23,33と、2つの凝縮器22,32との車両前後方向への搭載スペースをコンパクトにすることができる。
【0047】
(6)ランキン用凝縮器22は、ランキン用熱交換部22aと、その車幅方向両側に設けられたヘッダタンク22bとから構成され、エアコン用凝縮器32は、エアコン用熱交換部32aと、その車幅方向両側に設けられたヘッダタンク32bとから構成されている。そして、ランキン用レシーバ23は、ランキン用凝縮器22における右側のヘッダタンク22bの外方に配置され、エアコン用レシーバ33は、エアコン用凝縮器32における左側のヘッダタンク32bの外方に配置されている。したがって、各ヘッダタンク22b,32bの作動流体を、各レシーバ23,33に速やかに供給することができる。
【0048】
(7)下側に配置されたランキン用レシーバ23においては、その上側にエアコン用レシーバ33が配置されず、エアコン用レシーバ33によって高さの制約を受けないことから、十分に高さを確保することができる。このため、ランキン用レシーバ23でランキン用作動流体を十分に気液分離することができ、ポンプ25に気体のランキン用作動流体が供給されることを回避して、ポンプ25の体積効率の低下を抑えることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図3にしたがって説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどし、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0050】
図3に示すように、ランキン用凝縮器22は、その下部にランキン用サブクーラ22cを備えるとともに、ランキン用サブクーラ22cとランキン用レシーバ23とは、連通流路22dを介して接続されている。そして、ランキン用凝縮器22においては、ランキン用熱交換部22aで熱交換され、ヘッダタンク22bに流入したランキン用作動流体は、ランキン用レシーバ23を介してランキン用サブクーラ22cに供給されるようになっている。ランキン用サブクーラ22cでは、ランキン用熱交換部22aで液化しきれなかったランキン用作動流体を液化させる。そして、ランキン用サブクーラ22cのランキン用作動流体は、ポンプ25に流入する。
【0051】
また、エアコン用凝縮器32は、その下部にエアコン用サブクーラ32cを備えるとともに、エアコン用サブクーラ32cとエアコン用レシーバ33とは、連通流路32dを介して接続されている。そして、エアコン用凝縮器32おいては、エアコン用熱交換部32aで熱交換され、ヘッダタンク32bに流入したエアコン用作動流体は、エアコン用レシーバ33を介してエアコン用サブクーラ32cに供給されるようになっている。エアコン用サブクーラ32cでは、冷凍サイクル30での冷凍能力を大きくするようにエアコン用作動流体を冷却する。そして、エアコン用サブクーラ32cのエアコン用作動流体は、膨張弁35に流入する。
【0052】
したがって、上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(7)と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(8)ランキン用サブクーラ22cは、ポンプ25に吸入される前のランキン用作動流体を冷却する。これにより、ポンプ25の吸入部でのランキン用作動流体の再加熱や吸入圧損によって発生する気体の供給を回避することができ、ポンプ25の体積効率の低下を抑えることができる。
【0053】
なお、各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図4に示すように、ランキン用レシーバ23を、両凝縮器22,32の車幅方向右側端より外方で、両凝縮器22,32より前方に配置してもよく、エアコン用レシーバ33を、両凝縮器22,32の車幅方向左側端より外方で、両凝縮器22,32より前方に配置してもよい。
【0054】
○ 図5に示すように、ランキン用レシーバ23を、両凝縮器22,32の車幅方向右側端より外方で、両凝縮器22,32より後方に配置してもよく、エアコン用レシーバ33を、両凝縮器22,32の車幅方向左側端より外方で、両凝縮器22,32より後方に配置してもよい。
【0055】
○ ランキン用レシーバ23を、両凝縮器22,32の車幅方向右側端より外方で、両凝縮器22,32より前方及び後方のいずれか一方に配置してもよく、エアコン用レシーバ33を、両凝縮器22,32の車幅方向左側端より外方で、両凝縮器22,32より前方及び後方の他方に配置してもよい。
【0056】
○ 各実施形態では、ランキン用レシーバ23を、両凝縮器22,32の車幅方向右側端より外方に配置するとともに、エアコン用レシーバ33を、両凝縮器22,32の車幅方向左側端より外方に配置したが、ランキン用レシーバ23とエアコン用レシーバ33の配置を左右逆にしてもよい。
【0057】
○ 第2の実施形態において、ランキン用凝縮器22のみがランキン用サブクーラ22cを備え、エアコン用凝縮器32は、エアコン用サブクーラ32cを備えていなくてもよい。
【0058】
○ 各実施形態では、ランキン用凝縮器22の上側にエアコン用凝縮器32を並設したが、この配置は逆にしてもよく、エアコン用凝縮器32の上側にランキン用凝縮器22を並設してもよい。
【0059】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記ランキンサイクル用の凝縮器は、サブクーラを一体に備える請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【0060】
(ロ)前記冷凍サイクル用の凝縮器は、サブクーラを一体に備える請求項1〜請求項3、及び技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【符号の説明】
【0061】
N…基準面、11…ランキンサイクル装置、20…ランキンサイクル、22…ランキンサイクル用の凝縮器としてのランキン用凝縮器、22a…ランキン用熱交換部、22b,32b…ヘッダタンク、23…ランキンサイクル用のレシーバとしてのランキン用レシーバ、32…冷凍サイクル用の凝縮器としてのエアコン用凝縮器、32a…エアコン用熱交換部、33…冷凍サイクル用のレシーバとしてのエアコン用レシーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランキンサイクル用作動流体を冷却するランキンサイクル用の凝縮器と、
前記ランキンサイクル用の凝縮器と接続されたランキンサイクル用のレシーバと、
冷凍サイクル用作動流体を冷却する冷凍サイクル用の凝縮器と、
前記冷凍サイクル用の凝縮器と接続された冷凍サイクル用のレシーバと、を有し、
車両に搭載されるとともに、前記2つの凝縮器が上下に並設されているランキンサイクル装置において、
前記2つの凝縮器における車幅方向の両側端のうち、一方の側端より前記車幅方向に沿った外方に前記2つのレシーバのうちの一方を配置するとともに、他方の側端より前記車幅方向に沿った外方に他方のレシーバを配置したことを特徴とするランキンサイクル装置。
【請求項2】
前記車幅方向に沿って前記2つの凝縮器を通過する基準面を想定した場合、前記基準面は前記2つのレシーバを通過する請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記凝縮器は、熱交換部と、前記車幅方向における前記熱交換部の両側に設けられたヘッダタンクと、からなり、前記レシーバは前記ヘッダタンクより前記車幅方向の外方に配置されている請求項1又は請求項2に記載のランキンサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233461(P2012−233461A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104373(P2011−104373)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】