説明

リチウムイオン電池の保管方法

【課題】宇宙探査機搭載の如く長期間の開路状態での保管の後に使用されるリチウムイオン電池に求められる、電池特性を維持しつつ長期保管する技術を提供する。
【解決手段】リチウムイオン電池12を、電極体と電解液との反応により形成される不動態被膜形成を抑制する保管用温度域に保持し、さらに保管時の電池の充電状態を、電池容量の永久損失が抑制される充電状態に保持されるように、電池の自己放電量に相当する電流で充電を行うことを特徴とする保管方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の保管方法に係り、特にリチウムイオン電池が人工衛星や惑星探査機などに搭載された場合に、目的地に到達するまでの間、リチウムイオン電池を宇宙空間で長期間にわたって保管する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野の急速な進展により、電子機器の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これらに使用される再充電可能な高エネルギー密度の二次電池が望まれている。このような用途に用いられる二次電池としては、ニカド電池、ニッケル水素電池などが挙げられるが、さらに高いエネルギー密度を有する二次電池が要求されている。
上記要求に伴い、金属リチウムやリチウム合金、あるいは電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出できる炭素材料、リチウム合金などを負極活物質として用いた負極と、リチウム含有複合酸化物、カルコゲン化合物などを正極活物質として用いた正極とを組合せたリチウムイオン電池が研究・開発され、実用化されている。
【0003】
このリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度を有し、かつ、セル電圧が高いことからバッテリの軽量化を計ることができるだけでなく、より少ないセル数によりバッテリシステムの信頼性を高めることができる。
このため、宇宙用の小惑星探査用の実験探査機などに搭載された場合、目的地(例えば、小惑星)へ到達するまでの間のクルージング運用フェーズでは使用されず、目的地に到達した後に様々な用途(例えば、探査機用電源、惑星上での探査車用電源など)に使用したいという要求がある。このとき、電池は、常時充放電を繰り返すサイクルユーズで運用される。
一方、従来より電池の保管方法が、様々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−081078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般にリチウムイオン電池は長期間、開回路で保管すると電池特性の劣化が生じ、保管後に完全充電しても必要な電池容量を取り出すことができないという不具合があった。
特に電池電圧が高い充電状態で保管を続けると、電池特性の劣化が早く進行するため、従来においては、電池電圧を低くした状態で保存することが推奨されていた。
【0006】
しかしながら、電池電圧を低くした状態で、リチウムイオン電池を長期間、開回路で放置した場合、自己放電の進行により電池電圧が低下し、最終的には過放電に至って負極集電体に用いている金属箔(例えば、銅箔)の溶解など、構成材料の非回復な劣化、破壊が引き起こされ、惑星間移動時等の長期保管後の使用時に要求されるで電池特性を得ることができないという虞があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、目的地へ到達するまでの間のクルージング中などのように、長期間にわたりリチウムイオン電池を保管した場合でも、電池特性の劣化を抑制することが可能な保管技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、電極体と電解液とを有するリチウムイオン電池の電池特性を維持しつつ、長期保管するリチウムイオン電池の保管方法において、前記リチウムイオン電池を、前記電極体と前記電解液との反応を抑制する保管用温度に保持する温度保持工程と、前記リチウムイオン電池の保管時の充電状態を、電池容量の永久損失を抑制する充電状態に保持するように充電を行う充電工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、温度保持工程は、前記リチウムイオン電池を、前記電極体と前記電解液との反応を抑制する保管用温度に保持する。
これと並行して、温度保持工程は、前記リチウムイオン電池の保管時の充電状態を、電池容量の永久損失を抑制する充電状態に保持するように充電を行う。
これらの結果、電極体と電解液との反応によるリチウムイオン電池の電池特性の劣化および充電状態に起因する電池容量の永久損失によるリチウムイオン電池の電池特性の劣化を抑制することができ、長期にわたって電池特性の劣化を抑制することができる。
【0010】
この場合において、前記電極体と前記電解液との反応は、前記電極体表面への不動態被膜の形成であり、前記温度保持工程は、前記電極体表面への不動態被膜の形成を抑制する温度を前記保管用温度とするようにしてもよい。
上記構成によれば、電極体表面への不動態被膜の形成による不可逆的な電池特性の劣化を抑制でき、より確実にリチウムイオン電池の電池特性を保持できる。
【0011】
また、前記保管用温度を、0℃〜−40℃とすることを特徴としている。
上記構成によれば、常温(20℃)と比較して、電極体と電解液との反応、すなわち、電極体表面への不動態被膜の形成速度を1/4〜1/64程度とすることができ、より長期にわたってリチウムイオン電池の電池特性を保持できる。
【0012】
また、前記充電工程において、保持する充電状態は、電池の定格容量に相当する充電状態を100%とした場合に、40%〜0%の充電状態であるようにしてもよい。
上記構成によれば、リチウムイオン電池の電池容量の永久損失を抑制できるとともに、自己放電により過放電となる可能性も低減でき、確実にリチウムイオン電池の電池特性を保持できる。
【0013】
また、前記充電工程は、前記リチウムイオン電池の自己放電量に相当する電流で充電を行うので、常に一定の充電状態とすることができ、過放電状態となることを確実に抑制してリチウムイオン電池の電池特性を保持できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期間にわたりリチウムイオン電池を保管した場合でも、電池特性の劣化を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】リチウムイオン電池の一実形態に係る保管装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明の原理について説明する。
本発明においては、リチウムイオン電池を、電極体と電解液との反応を抑制する保管用温度に保持している。
ここで、電極体と電解液との反応とは、電極体表面への不動態被膜の形成であり、不動態被膜の形成は、氷点下の温度であれば、ある程度抑制できる。
したがって、保管用温度を、0℃〜−40℃として、不動態被膜の形成を抑制して、電池特性の維持を図っている。
これにより、常温(20℃)と比較して、電極体と電解液との反応、すなわち、電極体表面への不動態被膜の形成速度を1/4〜1/64程度とすることができ、より長期にわたってリチウムイオン電池の電池特性を保持できるのである。
【0017】
次にリチウムイオン電池の充電状態について説明する。
以下の説明においては、充電状態0%の状態とは、定格の電池容量を使い切った(電池残容量0%)状態であり、過放電状態となる電圧よりも高い電池電圧の状態である。また、充電状態100%の状態とは、定格の電池容量(電池残容量100%)の状態であり、過充電状態となる電圧よりは低い電池電圧の状態である。
【0018】
さて、リチウムイオン電池の充電状態(SOC:State of charge)が80〜100%の状態を保持し続けた場合、負極表面に電気化学的に不活性な不動態被膜が形成され、経年劣化が進行しやすくなる。
そこで、本発明においては、不動態被膜の形成を確実に抑制する充電状態として、充電状態0%〜40%としている。
【0019】
この場合において、充電方法としては、常時、自己放電電流に相当する微少電流を流して、充電状態を一定に保つ、いわゆるトリクル充電が行われ、常にほぼ一定の充電状態を維持して、長期にわたってリチウムイオン電池の電池特性を保持するのである。
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
実施形態のリチウムイオン電池において、正極電極は、主にLiCoO、LiNiO、LiMn等を活物質として用い、この活物質にバインダ(結着剤)、増粘剤などを混練した正極合剤を、集電体としての帯状の金属薄膜に、公知の塗布方法および対応する塗布装置により塗布して作製した。なお、正極活物質は、リチウムイオン電池に使用できればよく、特にこれらの材料に限定されない。
ここで、正極用集電体にはアルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの金属箔が用いられ、中でも正極用集電体にはアルミニウムを用いることが好ましい。アルミニウムを用いる理由は、電気伝導性に優れ、加工性もよく、かつ、電解液中での耐食性に優れるからである。
【0021】
また、公知の塗布方法および対応する塗布装置としては、グラビアリバースコート、ロールコート、マイヤーバーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアーナイフコート、コンマートコート、コンマリバースコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート等から選択した塗布方法および対応する塗布装置が考えられる。
一方、負極電極は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵、放出できる炭素材料等を活物質として用い、この活物質にバインダ(結着剤)、増粘剤などを混練した負極合剤を、負極用集電体としての帯状の金属薄膜に塗布して作成した。
【0022】
ここで、負極活物質として用いられる材料としては、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスなどのコークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合異物焼結体(フェノール樹脂、フラン樹脂などを適当な温度で焼結して炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭などの炭素繊維、或いは金属リチウム、リチウム合金やSn系化合物などの合金系材料、チタン酸リチウムの他、ポリアセチレン、ポリビニール等のポリマーも使用することができる。
負極用集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔などが挙げられ、これらのうちでは、銅箔が好ましいが、チタン酸リチウムを用いる場合集電体としては、アルミニウム箔も用いることができる。なお、負極活物質は、リチウムイオン電池に使用できればよく、特にこれら材料に限定されない。
【0023】
上述のように作製した正極電極及び負極電極におけるそれぞれの合剤層の一部を剥離した状態で集電端子を溶接し、帯状の正極電極および負極電極を同じく帯状のセパレータを介して積層し、渦巻き状に捲回して電極体を作製した。
ここで、セパレータは、上述した電解液成分に不溶であれば特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系の微多孔性フイルムの単層体、あるいは多層体が挙げられるが、特にポリオレフィン系の微多孔性フイルムの多層体が好ましい。
次に電極体を金属製の電槽内に収容し、金属製の蓋体を溶接し、その後、電解液を注入して、リチウムイオン電池として構成した。
【0024】
ここで、電解液は、特に制限されないが、非水電解質液が好ましい。非水電解質液は、従来から一般的にリチウムニ次電池に使用されているものが制限なく使用される。例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、LiBoB、LiB(C、LiN(SOCF、LiC(SOCF、LiOSOCF等の有機リチウム塩の少なくとも一種を、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソラン等の環状工一テル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングルコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マーロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等の鎖状エステル類から選択した少なくとも一種の溶媒に溶解したものが挙げられる。特に、LiBF、LiPFまたはLiBOB、あるいは、これらの混合物を上記の少なくとも一種以上の有機溶媒に溶解した非水電解質液が好ましい。
このようにして得られるリチウムイオン電池を複数作製し、全て同一条件で活性化処理を施した。
【0025】
図1は、リチウムイオン電池の一実形態に係る保管装置の概要構成図である。
リチウムイオン電池の保管装置10は、冷凍装置を備え槽内を一定温度に保つ恒温槽11と、恒温槽11内に収納された複数のリチウムイオン電池12と、リチウムイオン電池12に対してそれぞれの自己放電量に相当する微小な電流を供給して、リチウムイオン電池12の電圧(充電状態)を一定に保つトリクル充電を行う複数の充電装置13と、この充電装置13に充電用電力を供給する外部電源装置14と、を備えている。
ここで、恒温槽11は、恒温槽11内の温度を一定に保持するための制御を行うコントローラ11Aと、恒温槽11内の温度を検出する温度センサ11Bと、恒温槽11内を冷却する冷却装置11Cと、を備えている。
【0026】
また、外部電源装置14としては、地上においては、商用電力を充電用電力に変換する変換器として構成され、実際に宇宙などにおいてリチウムイオン電池12を保管する場合には、太陽電池に接続された蓄電池などが用いられる。
保管装置10の恒温槽11は、コントローラ11Aが温度センサ11Bにより恒温槽11内の温度を検出し、冷却装置11Cにより冷却を行って、恒温槽11内の温度を一定温度(0℃〜−50℃)に保つ。この場合において、恒温槽11内の温度を0℃〜−50℃としたのは、0℃以下であれば、リチウムイオン電池12の自己放電量が長期保管時のトリクル充電における供給電力量で充分にまかなえる範囲の自己放電量となるからである。また、保管の加減の温度を−50℃以上としているのは、リチウムイオン電池12を冷却する冷却装置11Cを備える恒温槽11の消費電力を必要以上に増大させないためである。
これと並行して充電装置13は、恒温槽11内に収納されたリチウムイオン電池12に対して各リチウムイオン電池12の自己放電量に相当する微小な電流を供給するトリクル充電を行って、リチウムイオン電池12の電圧(充電状態)をほぼ一定に保つ。
これにより、各リチウムイオン電池12は、その電圧(充電状態)がほぼ一定に保たれる。
【0027】
以上の説明のように、本実施形態によれば、過放電状態に陥ることなく、長期間にわたり充電状態を電池特性を維持可能な状態に保持することが可能となり、保管後に所定の電池特性を発揮して、リチウムイオン電池を使用することが可能となる。
【実施例】
【0028】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例のリチウムイオン電池は、正極電極としてLiCoOを活物質として用い、この活物質にバインダ(アクリル系重合体)、増粘剤(カルボキシメチルセルロース水溶液)を混練した正極合剤を、集電体としての帯状のアルミニウム薄膜に、公知の塗布方法および対応する塗布装置により塗布して作製した。
【0029】
また、負極電極として、炭素材料を活物質として用い、この活物質にバインダ(アクリル系重合体)、増粘剤(カルボキシメチルセルロース水溶液)を混練した正極合剤を、集電体としての帯状の銅薄膜に、公知の塗布方法および対応する塗布装置により塗布して作製した。
そして、作製した正極電極及び負極電極の合剤槽の一部を剥離させた無地部に集電端子を溶接し、これらの電極をセパレータを介して積層し、渦巻き状に巻回させて電極体を作製した。
【0030】
さらにこの電極体を金属製の電槽内に収容した後、金属製の蓋体を溶接し、その後、電解液(1.0M LiPF/EC+EMC)を注入して、リチウムイオン電池として構成した。
そして、各リチウムイオン電池を次の温度と充電状態を組み合わせて保管を行った。保管温度として、−50℃、−40℃、0℃、10℃、20℃、また、充電状態を0%、40%、50%及び100%とした。
【0031】
また、充電については、各リチウムイオン電池の自己放電量に相当する微小な電流で常時充電を行うトリクル充電方式で行って、その電圧(充電状態)をほぼ一定に保って保管を行い、4年保管後の容量維持率及び電力量維持率について計測した。
計測結果について表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
本実施例においては、実用的なレベルという観点から、惑星探査などにおいて、惑星に到達するまでのクルージング期間や、トランスファ軌道での滞在期間として3年以上を想定しつつ、安全率を見込んで、4年保管後の容量維持率及び電力量維持率がいずれも94%以上となる条件をリチウムイオン電池を長期保管する場合の保管条件として選択した。
【0034】
この結果、表1に示すように、温度範囲0℃〜−50℃で充電状態40%〜0%であれば、4年保管後の容量維持率及び電力量維持率がいずれも94%以上となって、十分に保管条件を満たすことがわかった。
【0035】
なお、保管温度−40℃と保管温度−50℃においては、確かに温度−50℃の方が、4年保管後の容量維持率及び電力量維持率は良くなっているが、その差は大きくなく、リチウムイオン電池の保管時の恒温槽11の温度を維持するための電力などを考慮すれば、実用的には、−40℃程度で十分であると考えられた。
また、電解液が凍結した場合には、この凍結に伴って、セパレータ中の空隙も収縮する可能性があり、この場合には、セパレータの透気度が低下する。よって、これを避けるためには、電解液が凍結しない程度の温度に保管温度を設定するのが好ましい。
【0036】
以上の説明のように、満充電の充電状態を100%とした場合の充電状態40%〜0%の範囲で、温度範囲0℃〜−50℃の温度範囲であれば、リチウムイオン電池を自己放電により過放電状態に陥ることなく、長期間にわたって安全に保管することができた。特に保管温度範囲0℃〜−40℃であれば、実用的な範囲で電池特性を良好に維持することができた。
【符号の説明】
【0037】
10 保管装置
11 恒温槽
11A コントローラ
11B 温度センサ
11C 冷却装置
12 リチウムイオン電池
13 充電装置
14 外部電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と電解液とを有するリチウムイオン電池の電池特性を維持しつつ長期保管するリチウムイオン電池の保管方法において、
前記リチウムイオン電池を、前記電極体と前記電解液との反応を抑制する保管用温度に保持する温度保持工程と、
前記リチウムイオン電池の保管時の充電状態を、電池容量の永久損失を抑制する充電状態に保持するように充電を行う充電工程と、
を備えたことを特徴とするリチウムイオン電池の保管方法。
【請求項2】
前記電極体と前記電解液との反応は、前記電極体表面への不動態被膜の形成であり、
前記温度保持工程は、前記電極体表面への不動態被膜の形成を抑制する温度を前記保管用温度とする、
ことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン電池の保管方法。
【請求項3】
前記保管用温度を、0℃〜−40℃とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載のリチウムイオン電池の保管方法。
【請求項4】
前記充電工程において、保持する充電状態は、電池の定格容量に相当する充電状態を100%とした場合に、40%〜0%の充電状態であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のリチウムイオン電池の保管方法。
【請求項5】
前記充電工程は、前記リチウムイオン電池の自己放電量に相当する電流で充電を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池の保管方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−210612(P2011−210612A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78538(P2010−78538)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】