説明

リチウム集合電池

【課題】6LR61と同等の外形寸法を有するとともに、容量が大きくて信頼性が高いリチウム集合電池を提供すること。
【解決手段】本発明のリチウム集合電池11は、組電池31、コネクタ部材41、第1導電部材51、第2導電部材52、収容体21を備え、全体として6LR61と同等の外形寸法を有し、起電力が9V以上である。組電池31は、金属製の外装ケースを有する3個の円筒状リチウム電池32〜34を横並びに配置してなる。各円筒状リチウム電池32〜34同士は互いに電気的に直列接続されている。コネクタ部材41は、 板状本体42の主面に正極用スナップ端子43及び負極用スナップ端子44を突設した構造を有する。収容体21は、正極用スナップ端子43及び負極用スナップ端子44を露出させた状態で、組電池31、第1導電部材51及び第2導電部材52を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の円筒状リチウム電池を用いて構成されたリチウム集合電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ部材における同一面上に正極用スナップ端子及び負極用スナップ端子を並べて突設してなる角型9Vタイプのマンガン電池あるいはアルカリ電池(例えば、6R61、6F22、6LR61、6LF22など)がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の電池は、一般的には扁平状単電池を積層するか、細い円筒状の電池を直列に接続し、これを角型の電池缶内に収容した構造を有している。
【0003】
しかしながら、このような構造の角型電池に使用される扁平状単電池は電圧が1.5Vであることから、9Vを得るためには扁平状単電池を6個用いて直列に接続する必要がある。それゆえ、個々の単電池を小型化せざるを得なく、電池容量を大きくすることが困難となり(600mAh程度)、長寿命化の要求に十分に応えることができなかった。従って、仮にこの構造で電池容量の増大を実現しようとすれば、個々の単電池を大型にする必要性が生じ、6LR61と同等の外形寸法を保つことができなくなる。
【0004】
このような事情の下、近年においては、単電池としてリチウム電池を使用することで電池容量を大きくした角型電池が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この電池は6LR61と同等の外形寸法を有する金属製外装ケース内に樹脂ケースを収容した構造を有しており、その樹脂ケースは3つの室を備えている。各室には電池活物質や電解液が収納され、その結果、電圧3Vのリチウム単電池が構成されている。そして、これら3つのリチウム単電池を直列に接続することにより、9Vの電圧が得られるようになっている。
【特許文献1】特開2005−108583号公報
【非特許文献1】ウルトラライフ社ホームページ、[平成20年4月1日検索]、インターネット〈URL:http://www.ultralifebatteries.com/datasheet.php?ID=U9VL-FP〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、リチウム単電池を使用した上記従来の角型電池の場合、電圧が高くて電池容量も大きいというメリットがある反面、樹脂ケースを用いている性質上、電池活物質や電解液を確実に封入しておくことが難しいというデメリットがある。よって、電池の内圧上昇時に電解液が電池外部に漏れる可能性があった。また、電解液の漏れが起きないにしても、使用中に樹脂ケース内部に水分が浸入するおそれがあり、いずれにしても信頼性が低かった。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、6LR61と同等の外形寸法を有するとともに、容量が大きくて信頼性が高いリチウム集合電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段[1]〜[7]を以下に列挙する。
【0008】
[1]金属製の外装ケースを有する3個の円筒状リチウム電池を横並びに配置してなり、各円筒状リチウム電池同士が互いに電気的に直列接続された組電池と、板状本体の主面に正極用スナップ端子及び負極用スナップ端子を突設した構造を有し、正面視で矩形状をなす前記組電池の短辺側に配置されたコネクタ部材と、前記組電池の正極側と前記正極用スナップ端子との間を電気的に接続する第1導電部材と、前記組電池の負極側と前記負極用スナップ端子との間を電気的に接続する第2導電部材と、前記正極用スナップ端子及び前記負極用スナップ端子を露出させた状態で前記組電池、前記第1導電部材及び前記第2導電部材を収容する収容体とを備え、全体として6LR61と同等の外形寸法を有し、電圧が9V以上であることを特徴とするリチウム集合電池。
【0009】
従って、手段1によると、マンガン電池やアルカリ電池に比べて大きな電圧が得られる円筒状リチウム電池を単電池として使用して組電池を構成しているため、3個という比較的少ない個数の直列接続により9Vの電圧を得ることができる。また、電池の直列数を減らせる分だけ、電池容量を大きくすることができる。さらに、単電池として使用した各円筒状リチウム電池は金属製の外装ケースを有するものであるため、電解液の漏れや外部からの水分浸入が起こりにくく、信頼性の高いものとすることができる。しかも、板状本体の主面に正極用スナップ端子及び負極用スナップ端子を突設した構造を有するコネクタ部材を採用し、これを正面視で矩形状をなす組電池の短辺側に配置したことにより、6LR61と同等の使用感を実現することができる。
【0010】
ここで、「6LR61と同等の外形寸法」とは、具体的には最大寸法で幅、奥行、高さ、総高が26.5mm、17.5mm、44.9mm、48.5mmである9V角型電池とほぼ等しい外形寸法、のことを意味している。なお、単電池として使用される円筒状リチウム電池は特に限定されないが、例えばCR1/2・6L等が好適である。その理由は、このタイプの電池は長さ25mm、外径14.5mmφであるため、3個横並びに配置することで、6LR61と同等(幅、奥行、高さ、総高が26.5mm、17.5mm、44.9mm、48.5mm)の組電池とすることができるからである。
【0011】
[2]前記収容体は、箱状をなす樹脂ケースであることを特徴とする手段1に記載のリチウム集合電池。
【0012】
従って、手段2によると、箱状をなす樹脂ケースを用いたことにより、ケース内に円筒状リチウム電池が確実に収容されることから、電解液の漏れや外部からの水分浸入を防止しやすい構造とすることができる。よって、より高い信頼性を付与することが可能となる。
【0013】
[3]前記収容体は、熱収縮性を有する樹脂チューブであることを特徴とする手段1に記載のリチウム集合電池。
【0014】
従って、手段3によると、熱収縮性を有する樹脂チューブを用いたことにより、収容体用の樹脂材料を少なくすることができ、低コスト化を達成しやすくなる。
【0015】
[4]前記組電池は、前記コネクタ部材から最も遠い位置にある第1の円筒状リチウム電池、前記コネクタ部材から最も近い位置にある第2の円筒状リチウム電池、及び前記第1の円筒状リチウム電池と前記第2の円筒状リチウム電池との間に介在され、これらと極性を逆向きにして配置された第3の円筒状リチウム電池によって構成され、前記第2の円筒状リチウム電池の正極端子を前記組電池の正極側とし、前記第1の円筒状リチウム電池の負極端子を前記組電池の負極側としたことを特徴とする手段1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム集合電池。
【0016】
従って、手段4によると、隣接する円筒状リチウム電池の異極端子同士が近接して配置された状態となるため、最小限の導電材料を用いて電池間の電気的接続を図ることができる。よって、構造の簡略化を図りやすくなり、ひいては低コスト化を達成しやすくなる。しかも、この構成によれば、コネクタ部材から最も近い位置にある第2の円筒状リチウム電池の正極端子を組電池の正極側とした結果、組電池の正極側から正極用スナップ端子までの距離が、組電池の負極側から負極用スナップ端子までの距離よりも短くなる。ゆえに、第1導電部材を第2導電部材よりも短くすることができる。
【0017】
[5]前記第1導電部材は、導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の正極側リード板であり、前記正極側リード板の一端が前記第2の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端がハトメによって前記板状本体の裏面側から前記正極用スナップ端子に接続され、前記第2導電部材は、導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の負極側リード板であり、前記負極側リード板の一端が前記第1の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接され、かつ他端がハトメによって前記板状本体の裏面側から前記負極用スナップ端子に接続されていることを特徴とする手段4に記載のリチウム集合電池。
【0018】
従って、手段5によると、第1導電部材及び第2導電部材がいずれも薄肉のリード板であるため、例えばリード線を用いた場合とは異なり、組電池の両端面に凹凸が形成されにくく、組電池全体をコンパクトかつ所定形状に形成しやすくなる。また、リード板一端側の接続構造として抵抗溶接を採用し、他端側の接続構造としてハトメを採用したことにより、組電池正極−正極用スナップ端子間、組電池負極−負極用スナップ端子間をいずれも低抵抗で確実に通電することができる。このことは信頼性の向上にも寄与している。
【0019】
[6]導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の第1中間接続用リード板及び第2中間接続用リード板をさらに備えるとともに、前記第1中間接続用リード板の一端が前記第1の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端が前記第3の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接され、前記第2中間接続用リード板の一端が前記第3の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端が前記第2の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接されていることを特徴とする手段5に記載のリチウム集合電池。
【0020】
従って、手段6によると、隣接する円筒状リチウム電池同士を接続する部材がいずれも薄肉のリード板であるため、例えばリード線を用いた場合とは異なり、組電池の両端面に凹凸が形成されにくく、組電池全体をコンパクトかつ所定形状に形成しやすくなる。また、リード板両端側の接続構造として抵抗溶接を採用したことにより、円筒状リチウム電池同士をいずれも低抵抗で確実に通電することができる。このことは信頼性の向上にも寄与している。
【0021】
[7]前記正極側リード板及び前記負極側リード板のうちの少なくともいずれかと、前記板状本体の裏面との間には、絶縁シートが配置されていることを特徴とする手段5または6に記載のリチウム集合電池。
【0022】
従って、手段7によると、絶縁シートの介在によって外部から収容体内に水分が浸入しにくくなる結果、信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上詳述したように、請求項1〜7に記載の発明によると、6LR61と同等の外形寸法を有するとともに、容量が大きくて信頼性が高いリチウム集合電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施の形態のリチウム集合電池11を図1〜図5に基づき詳細に説明する。図1(a)はリチウム集合電池11を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその平面図である。図2(a)はリチウム集合電池11における樹脂ケース21以外の部材(被収容物)を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図である。図3はリチウム集合電池11における樹脂ケース21以外の部材(被収容物)を示す分解正面図である。図4(a)はコネクタ部材41、正極側リード板51、負極側リード板52等を組み付けたものの正面図、(b)はその側面図である。図5は組電池31の回路図である。
【0026】
図1等に示されるように、このリチウム集合電池11を構成する樹脂ケース21(収容体)は、全体として、底部22を有する箱状を呈しており、その外形寸法は6LR61用のケースとほぼ同じになっている。樹脂ケース21はその上部に開口部23を有しており、その開口部23を介して内部空間に組電池31等の部材が収容されている。樹脂ケース21に用いられる樹脂材料は特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABSなどの汎用の樹脂を使用することが可能である。
【0027】
図2等に示されるように、樹脂ケース21内に収容される被収容物の一部をなす組電池31は、基本的に複数個の単電池を使用して構成されている。本実施形態において具体的には、電圧が3Vである「CR1/2・6L」タイプの円筒状リチウム電池32,33,34を3個使用して、1つの組電池31が構成されている。このタイプの円筒状リチウム電池32,33,34は、金属製の外装ケース35を有しており、その外装ケース35の胴部表面には絶縁樹脂製の外装ラベル(図示略)が貼着されている。3個の円筒状リチウム電池32,33,34は横並びに、言い換えると隣接するもの同士の胴部を接触させた状態で配置されている。その結果、図2(a)等に示されるように、正面視で矩形状をなす組電池31が構成される。この場合、組電池31の上部が短辺側となり、側部が長辺側となり、その短辺側にはコネクタ部材41が配置されている。なお、この組電池31は、6LR61用のケースと同じ形状の樹脂ケース21内に収容可能な大きさとなる。
【0028】
図2(a),図3等においては、組電池31における下段に位置するもの、即ちコネクタ部材41から最も遠い位置にある第1の円筒状リチウム電池32は、正極端子32aを左側に向け、負極端子32bを右側に向けて配置されている。組電池31における上段に位置するもの、即ちコネクタ部材41から最も近い位置にある第2の円筒状リチウム電池34は、正極端子34aを左側に向け、負極端子34bを右側に向けて配置されている。これに対し、組電池31における中段に位置するもの、即ち第1の円筒状リチウム電池32と第2の円筒状リチウム電池34との間に介在された第3の円筒状リチウム電池33は、正極端子34aを右側に向け、負極端子34bを左側に向けて配置されている。つまり、第3の円筒状リチウム電池33は、第1の円筒状リチウム電池32及び第2の円筒状リチウム電池34と極性を逆向きにして配置されている。よって、隣接する円筒状リチウム電池32,33,34の異極端子同士が近接した状態となっている。また、本実施形態においては、第2の円筒状リチウム電池34の正極端子34aを組電池31の正極側とし、第1の円筒状リチウム電池32の負極端子32bを組電池31の負極側として機能させている(図5参照)。
【0029】
図1〜図4に示されるように、このリチウム集合電池11を構成するコネクタ部材41は、平面視で略長方形をなす絶縁樹脂製の板状本体42を備えている。板状本体42の上面(主面)には、導電金属材料からなる正極用スナップ端子43及び負極用スナップ端子44がそれぞれ突設されている。
【0030】
ここで、本実施形態の樹脂ケース21は、組電池31を全体的に収容する一方で、板状本体42の上面にて突設された正極用スナップ端子43及び負極用スナップ端子44を露出させている。
【0031】
コネクタ部材41を構成する板状本体42の裏面側及び組電池31の左側面には、第1導電部材としての正極側リード板51が組電池31の外面に沿うようにして配置されている。正極側リード板51の一端は第2の円筒状リチウム電池34の正極端子34a(即ち組電池31の正極側)に抵抗溶接されている。正極側リード板51の他端は、ハトメ45によって板状本体42の裏面側から正極用スナップ端子43の底面に対して強固に接続されている。その結果、組電池31の正極側と正極用スナップ端子43との間が電気的に接続されている。
【0032】
一方、板状本体42の裏面側及び組電池31の右側面には、第2導電部材としての負極側リード板52が組電池31の外面に沿うようにして配置されている。負極側リード板52の一端は第1の円筒状リチウム電池32の負極端子32b(即ち組電池31の負極側)に抵抗溶接されている。負極側リード板52の他端は、ハトメ45によって板状本体42の裏面側から負極用スナップ端子44の底面に対して強固に接続されている。その結果、組電池31の負極側と負極用スナップ端子44との間が電気的に接続されている。なお、本実施形態の場合、正極側リード板51のほうが負極側リード板52に比べていくぶん短くなるように形成されている。
【0033】
また、組電池31の左側面には第1中間接続用リード板61が配置されるとともに、その一端が第1の円筒状リチウム電池32の正極端子32aに抵抗溶接され、かつ他端が第3の円筒状リチウム電池33の負極端子33bに抵抗溶接されている。一方、組電池31の右側面には第2中間接続用リード板62が配置されるとともに、その一端が第3の円筒状リチウム電池33の正極端子33aに抵抗溶接され、かつ他端が第2の円筒状リチウム電池34の負極端子34bに抵抗溶接されている。そして、以上のような電気的接続態様としたことにより、各円筒状リチウム電池32,33,34同士が互いに電気的に直列接続された、電圧9Vの組電池31が構成されている。
【0034】
正極側リード板51、負極側リード板52、第1中間接続用リード板61及び第2中間接続用リード板62は、いずれも導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の薄い板材を用いて形成されている。この厚さが0.15mm超となると、組電池31等の被収容物の外面に凸部が生じて大型化してしまい、所定サイズの樹脂ケース21に収容困難になるおそれがあるからである。逆に、この厚さが0.03mm未満であると、上記の大型化が回避される反面、組電池31の強度が低下してしまうおそれがあるからである。このような事情を考慮して、本実施形態では導電性金属板材として両面にニッケルめっきを施したステンレス板を用い、その厚さを0.1mmに設定している。かかるステンレス板は好適な剛性、導電性、耐錆性等を有している。また、ステンレス板の幅は円筒状リチウム電池32,33,34の直径の1/3〜1/4程度の大きさに設定されている。
【0035】
負極側リード板52の片面側には、負極側リード板52よりも幅広の絶縁シート55が配置されている。そして、この絶縁シート55が介在することにより、負極側リード板52と第2中間接続用リード板62とが非接触状態となり、両者間の絶縁が保たれるようになっている。なお、幅広の絶縁シート55の一端は、板状本体42の裏面側にまで及んでおり、その結果、第2の円筒状リチウム電池34の正極側との非接触状態も保たれている。一方、本実施形態において正極側リード板51の片面側には、このような絶縁シート55は配置されておらず、その分だけ部品点数が少なくなっている。
【0036】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のリチウム集合電池11の場合、マンガン電池やアルカリ電池に比べて大きな電圧(3V)が得られるCR1/2・6Lタイプのリチウム電池を単電池として使用して組電池31を構成している。そのため、3個という比較的少ない個数の直列接続により9Vの電圧を得ることができる。また、電池の直列数を減らせる分だけ、電池容量を大きくすることができる。具体的には1000mAh以上の電池容量を実現することが可能である。さらに、単電池として使用したCR1/2・6Lタイプの円筒状リチウム電池32〜34は金属製の外装ケース35を有するものであるため、電解液の漏れや外部からの水分浸入が起こりにくく、信頼性の高いものとすることができる。しかも、板状本体42の主面に正極用スナップ端子43及び負極用スナップ端子44を突設した構造を有するコネクタ部材41を採用し、これを正面視で矩形状をなす組電池31の短辺側に配置している。よって、6LR61と同等の使用感を実現することができる。
【0037】
以上述べたように、本実施形態によれば、6LR61と同等の外形寸法を有するとともに、容量が大きくて信頼性が高いリチウム集合電池11を提供することができる。
【0038】
(2)このリチウム集合電池11の場合、箱状をなす樹脂ケース21を収容体としているため、ケース内に円筒状リチウム電池32〜34が確実に収容され、電解液の漏れや外部からの水分浸入を防止しやすい構造とすることができる。よって、組電池31自体により高い信頼性を付与することができ、ひいてはリチウム集合電池11の信頼性を向上することが可能となる。
【0039】
(3)このリチウム集合電池11の場合、隣接する円筒状リチウム電池32〜34の異極端子同士を近接して配置した状態としている。このため、最小限の導電材料を用いて電池間の電気的接続を図ることができる。よって、構造の簡略化を図りやすくなり、ひいては低コスト化を達成しやすくなる。しかも、コネクタ部材41から最も近い位置にある第2の円筒状リチウム電池34の正極端子34aを組電池31の正極側としているため、組電池31の正極側から正極用スナップ端子43までの距離が、組電池31の負極側から負極用スナップ端子44までの距離よりも短くなる。ゆえに、正極側リード板51を負極側リード板52よりも短くすることができるとともに、正極側リード板51側の絶縁シートを省略して部品点数減を図ることが可能となる。
〔第2の実施形態〕
【0040】
次に、第2実施形態のリチウム集合電池81を図6,図7に基づいて説明する。
【0041】
本実施形態のリチウム集合電池81は、収容体として樹脂チューブ82を用いている点で、第1実施形態と相違している。なお、共通する構成については第1実施形態と同じ部材番号を付すのみとし、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図6(a)はリチウム集合電池81を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその平面図である。図7(a)はリチウム集合電池81における樹脂チューブ82以外の部材(被収容物)を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図である。
【0043】
図7等に示されるように、このリチウム集合電池81を構成する樹脂チューブ82(収容体)は、熱収縮性を有する薄い樹脂シートを用いて形成されたものであり、組電池31等からなる被収容物を収容している。本実施形態においては、組電池31の上部側が開口しているばかりでなく、下部側も開口している。その結果、収容体に用いる樹脂材料を第1実施形態のときよりも少なくすることができ、低コスト化を達成しやすくなる。また、図8に示されるように、本実施形態の場合、負極側リード板52と板状本体42の裏面との間にも、水分の浸入を阻害するために絶縁シート55が配置されている。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0045】
・上記実施形態ではCR1/2・6Lを3個使用して組電池31を構成したが、これ以外のもの、例えばBR1/2・6LやER1/2・6Lなど使用して組電池31を構成してもよい。
【0046】
・3個の円筒状リチウム電池32,33,34が位置ずれしないように、セロハンテープ等の粘着テープを用いてそれら同士を固定してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、正極側リード板51、負極側リード板52、第1中間接続用リード板61及び第2中間接続用リード板62が、ニッケルめっきを施したステンレス板であったが、これとは異なる導電金属製の板状材料を用いてもよい。また、導電金属製の板状材料に代えて、板状ではない導体を用いることとしてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、第3の円筒状リチウム電池33について、第1の円筒状リチウム電池32及び第2の円筒状リチウム電池34と極性を逆向きにして配置したが、3個とも極性を同じ向きにして配置してもよい。
【0049】
・上記実施形態では、正極側リード板51、負極側リード板52、第1中間接続用リード板61及び第2中間接続用リード板62の接合方法として抵抗溶接を採用したが、これに代えて例えばレーザー溶接を採用してもよい。
【0050】
・第1実施形態において、正極側リード板51と板状本体42の裏面との間、負極側リード板52と板状本体42の裏面との間、あるいは正極側リード板51及び負極側リード板52の両方と板状本体42の裏面との間に、絶縁シート55を配置した構造としてもよい。また、第2実施形態において、正極側リード板51と板状本体42の裏面との間、あるいは正極側リード板51及び負極側リード板52の両方と板状本体42の裏面との間に、絶縁シート55を配置した構造としてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、第1導電部材である正極側リード板51を第2導電部材である負極側リード板52よりも短くしたが、この関係を逆にしてもよい。
【0052】
・第1実施形態では収容体として樹脂ケース21を用いたが、このような樹脂ケース21に代えて例えば金属ケースを使用してもよい。ただし、低コスト化の観点からは樹脂製のほうが好ましいといえる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)は第1実施形態のリチウム集合電池を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその平面図。
【図2】(a)は上記リチウム集合電池における樹脂ケース以外の部材(被収容物)を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図。
【図3】上記リチウム集合電池における樹脂ケース以外の部材(被収容物)を示す分解正面図。
【図4】(a)はコネクタ部材、正極側リード板、負極側リード板等を組み付けたものの正面図、(b)はその側面図。
【図5】組電池の回路図。
【図6】(a)は第2実施形態のリチウム集合電池を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその平面図。
【図7】(a)は上記リチウム集合電池における樹脂ケース以外の部材(被収容物)を示す正面図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図。
【符号の説明】
【0054】
11,81…リチウム集合電池
21…収容体としての樹脂ケース
31…組電池
32…第1の円筒状リチウム電池
33…第2の円筒状リチウム電池
34…第3の円筒状リチウム電池
35…外装ケース
41…コネクタ部材
42…板状本体
43…正極用スナップ端子
44…負極用スナップ端子
45…ハトメ
51…第1導電部材としての正極側リード板
52…第2導電部材としての負極側リード板
55…絶縁シート
61…第1中間接続用リード板
62…第2中間接続用リード板
82…収容体としての樹脂チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の外装ケースを有する3個の円筒状リチウム電池を横並びに配置してなり、各円筒状リチウム電池同士が互いに電気的に直列接続された組電池と、
板状本体の主面に正極用スナップ端子及び負極用スナップ端子を突設した構造を有し、正面視で矩形状をなす前記組電池の短辺側に配置されたコネクタ部材と、
前記組電池の正極側と前記正極用スナップ端子との間を電気的に接続する第1導電部材と、
前記組電池の負極側と前記負極用スナップ端子との間を電気的に接続する第2導電部材と、
前記正極用スナップ端子及び前記負極用スナップ端子を露出させた状態で前記組電池、前記第1導電部材及び前記第2導電部材を収容する収容体と
を備え、全体として6LR61と同等の外形寸法を有し、電圧が9V以上であることを特徴とするリチウム集合電池。
【請求項2】
前記収容体は、箱状をなす樹脂ケースであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム集合電池。
【請求項3】
前記収容体は、熱収縮性を有する樹脂チューブであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム集合電池。
【請求項4】
前記組電池は、前記コネクタ部材から最も遠い位置にある第1の円筒状リチウム電池、前記コネクタ部材から最も近い位置にある第2の円筒状リチウム電池、及び前記第1の円筒状リチウム電池と前記第2の円筒状リチウム電池との間に介在され、これらと極性を逆向きにして配置された第3の円筒状リチウム電池によって構成され、
前記第2の円筒状リチウム電池の正極端子を前記組電池の正極側とし、前記第1の円筒状リチウム電池の負極端子を前記組電池の負極側とした
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウム集合電池。
【請求項5】
前記第1導電部材は、導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の正極側リード板であり、前記正極側リード板の一端が前記第2の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端がハトメによって前記板状本体の裏面側から前記正極用スナップ端子に接続され、
前記第2導電部材は、導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の負極側リード板であり、前記負極側リード板の一端が前記第1の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接され、かつ他端がハトメによって前記板状本体の裏面側から前記負極用スナップ端子に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載のリチウム集合電池。
【請求項6】
導電性金属からなる厚さ0.03mm以上0.15mm以下の第1中間接続用リード板及び第2中間接続用リード板をさらに備えるとともに、
前記第1中間接続用リード板の一端が前記第1の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端が前記第3の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接され、
前記第2中間接続用リード板の一端が前記第3の円筒状リチウム電池の正極端子に抵抗溶接され、かつ他端が前記第2の円筒状リチウム電池の負極端子に抵抗溶接されている
ことを特徴とする請求項5に記載のリチウム集合電池。
【請求項7】
前記正極側リード板及び前記負極側リード板のうちの少なくともいずれかと、前記板状本体の裏面との間には、絶縁シートが配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載のリチウム集合電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−252607(P2009−252607A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100948(P2008−100948)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(503025395)FDKエナジー株式会社 (142)
【Fターム(参考)】