説明

リフォーム用屋根パネル、該屋根パネルを用いた屋根構造、および屋根リフォーム方法

【課題】リフォーム用屋根パネル、該屋根パネルを用いた屋根構造、および屋根リフォーム方法を提供する。
【解決手段】屋根パネル用野地面材(2)上にプラスチック発泡体からなる断熱板(3)を配置し、さらに断熱板(3)上面に、両端が開口した通気路(15A)が形成されているプラスチック製の遮熱板(5A)を貼着してリフォーム用屋根パネル(1A)を構成した。該リフォーム用屋根パネル(1A)を野地面材(105)上に配置した場合には、該遮熱板(5A)の通気路(15A)の上下両端が外気に開放され、該遮熱板(5A)の上側に金属製の屋根材(9A)が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等の屋根構造に関するものであり、特にリフォーム用屋根パネル、該屋根パネルを用いた屋根構造、および屋根リフォーム方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根パネル等を用いた家屋等の屋根構造は、いくつか提案されている(特許文献1,2参照)。
例えば特許文献1には、胴縁や野地面材をさらにもう一枚必要とすることなく、少ない部材で効率良く屋根の換気を図ることができる屋根パネルを用いた通気性屋根下地構造が開示されている。
また特許文献2には、積層材を用いた断熱欠損部のない屋根構造が開示されている。
【0003】
また、一般的な従来の屋根構造(100)は、図4に示すように、従来の母屋(101)上に複数の垂木(102)が架け渡され、さらに該複数の垂木(102)の上に野地面材(105)が差し渡されており、該野地面材(105)は釘(104)によって垂木(102)に固定されている。そして、該野地面材(105)上に防水シート(106)が配置され、該防水シート(106)上に例えば瓦からなる屋根材(107)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−116191号公報
【特許文献2】特開2004−19105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2の構成は新築時に構築する屋根構造しか開示されておらず、近年特に注目されているリフォームには対応できないという問題がある。
また、古くなった瓦を新たに葺き替えるリフォーム方法は既に提供されているものの、リフォーム後の屋根構造は、遮熱性、通気性、および吸音性に劣るという問題がある。
そこで本発明は、遮熱性、通気性、および吸音性に優れたリフォーム用屋根パネル、該屋根パネルを用いた屋根構造、および屋根リフォーム方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく、垂木上に差し渡された野地面材上に配置するリフォーム用屋根パネルであって、該野地面材上に被着する屋根パネル用野地面材と、該屋根パネル用野地面材の上面に貼着されたプラスチック発泡体からなる断熱板と、該断熱板上面に貼着された、通気路を多数備えるプラスチック製の遮熱板と、からなり、該リフォーム用屋根パネルが野地面材上に配置された際には、該遮熱板の通気路の一端が棟方向に、他端が軒先方向に向けられて該通気路の両端が外気に開放され、かつ該遮熱板の上面側に金属製の屋根材が配置されることを特徴とするリフォーム用屋根パネル(以下、適宜、屋根パネルという)である。
【0007】
上記発明において、太陽光は屋根材の表面で反射し、該屋根材の輻射熱は該屋根材の下側に配置された遮熱板の表面から放熱される。したがって、該屋根パネルにおいては該反射と該放熱によって太陽光熱を遮熱するため、太陽光熱による室内の温度上昇を防ぐことができる。
該遮熱板に伝わった一部の熱は、該遮熱板の下側に配置された断熱板によって遮断されるため、上記屋根材の輻射熱は室内まで伝わらない。
また、上記遮熱板の通気路により、屋根の厚さを厚くすることなく屋根の通気性を確保することができる。
さらに、上記遮熱板は、多数の通気路によって空気層を具備するため、吸音材として機能して屋根面で鳴る雨音を吸音し、該雨音を室内に伝達させない。かくして、該屋根パネルは吸音性も優れている。
【0008】
該遮熱板には、ストロー状の通気孔が多数設けられており、該通気孔によって該通気路を構成してもよい。
また、該遮熱板は、波形に成形されており、該波形によって遮熱板の上下両面に形成された溝によって該通気路を構成してもよい。
さらに、一対の遮熱板を備えた構成であって、該遮熱板の表面には多数の突起が設けられており、一方の遮熱板の突起先端を他方の遮熱板の突起が設けられた板面に当接させるように積層し、該一対の遮熱板間に形成される隙間によって通気路を構成してもよい。
上記遮熱板はいずれも多数の通気路が形成されるため、放熱性能に優れている。
【0009】
また、本発明は、上記のリフォーム用屋根パネルに配置される該屋根材の上面側に太陽電池を配置したことを特徴とする屋根構造である。このように太陽電池と屋根の断熱通気構造とを組み合わせることで家屋の温熱環境を効率的に制御可能となる。
【0010】
さらに、上記の屋根パネルを用いた屋根リフォーム方法が提案される。すなわち、垂木上に差し渡された野地面材上に配されている屋根材(瓦)を撤去した後、該野地面材の上面に前記リフォーム用屋根パネルを配置し、かつ、該遮熱板の該通気路の一端を棟方向に、他端を軒先方向に向けて該通気路の両端を外気に開放し、該遮熱板の上面側に金属製の屋根材を配置することを特徴とする屋根リフォーム方法である。
【0011】
上記方法は、あらかじめ工場等で製造したリフォーム用屋根パネルをプレカット製作し、リフォーム現場において野地面材上に配置し、新たな屋根を葺くことで屋根の断熱リフォームが完了するから、作業性が極めて良く、リフォームにかかる時間とコストを低く抑えることができる。
また、該方法によって提供される屋根構造は、上述のように、遮熱性、通気性、および吸音性を兼ね備えており、快適な室内空間を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、近年特に注目されているリフォームに対応可能であり、しかも、遮熱性、通気性、および吸音性に優れた屋根構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】屋根パネルの部分斜視図
【図2】図1に示す屋根パネルを用いた屋根構造の部分縦断面図
【図3】他の形態の屋根構造の部分縦断面図
【図4】リフォーム前の屋根構造を示す縦断面図
【図5】他の形態の遮熱板の外観斜視図
【図6】図5に示す遮熱板を備える屋根パネルを用いた屋根構造の部分縦断面図
【図7】他の形態の遮熱板の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈第一実施例〉
本発明を図1等に示す実施例に従って説明する。
図1に示すように、リフォーム用屋根パネル(1A)(適宜、屋根パネル(1A)という。)は、屋根パネル用野地面材(2)と、該屋根パネル用野地面材(2)の上面に貼着されている断熱板(3)と、該断熱板(3)の上面に貼着されているプラスチック製の遮熱板(5A)とからなる。各断熱板(3)は間隔をおいて配置されている。また、各遮熱板(5A)は、該断熱板(3)と巾及び奥行きの寸法が同じに設定されており、該断熱板(3)の上面に重ねられている。
なお、該断熱板(3)、あるいは遮熱板(5A)を貼着するには、例えば接着剤を使用することができる。
【0015】
また、該遮熱板(5A)の内部には、両端が開口したストロー状の通気孔が多数設けられており、該通気孔によって通気路(15A)が多数形成されている。
【0016】
前記断熱板(3)は、プラスチック発泡体で構成されている。該プラスチック発泡体としては、例えばポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、上下両面にプラスチックフィルムが貼着されている半硬質ポリウレタン発泡体あるいはフェノール樹脂発泡体等が好ましい。
また、前記遮熱板(5A)は、発泡スチレンシート(PSP)で構成されている。例えば、上記遮熱板(5A)は、ポリスチレンと発泡剤とを押出発泡させる際に通気路(15A)となる通気孔を多数形成する金型を用いて製造することができる。
【0017】
次に、上記従来家屋の屋根構造をリフォームする手順を説明する。
図4に示す上記従来家屋の屋根構造(100)をリフォームする場合には、まず、屋根構造(100)における古い屋根材(107)(例えば瓦)や防水シート(106)を撤去する。そして、腐食又は老朽した垂木(102)や野地面材(105)を修繕する。
【0018】
次に、図2に示すように、修繕後の該野地面材(105)上に、図1に示す屋根パネル(1A)を配置する。具体的には、屋根パネル用野地面材(2)を該野地面材(105)上に被着すると共に、該遮熱板(5A)の通気路(15A)の上端(一端)を棟換気部材(図示省略)に接続して外気に連通し、かつ該通気路(15A)の下端(他端)を軒先換気部材(図示省略)に接続して外気に連通する。
【0019】
更に、断熱板(3)間の間隙(4)に新規の垂木(7A)を介挿し、釘(6)などの固定手段で既設の垂木(102)に固定する。
【0020】
そして、該遮熱板(5A)と垂木(7A)の上面に防水シート(8)を敷いてから、例えばアルミニウム製の屋根材(9A)を新しく葺くことにより、屋根のリフォームが完了する。
【0021】
上記リフォーム後の屋根構造(10A)は、工場でプレカットした屋根パネル(1A)を現場で野地面材(105)上に設置し、その上から新規の垂木(7A)を既設の垂木(102)に固定し、新たに屋根材(9A)を葺くだけで構築できるため、簡便で低コストである。
【0022】
また、反射性の高い金属製の該屋根材(9A)は、太陽光を反射して室内の温度上昇を抑制するが、該屋根材(9A)には輻射熱が蓄えられる。このとき本実施例の屋根構造(10A)においては、該屋根材(9A)の下に配された遮熱板(5A)の通気路(15A)を空気が流動して該輻射熱を放熱するため、該遮熱板(5A)が放熱層を構成して屋根構造(10A)の遮熱効果を向上せしめ、室内の温度上昇を抑制する。ここで仮に該屋根材(9A)の下に放熱層がないと、該屋根材(9A)の輻射熱が下側の断熱材(3)に伝導してしまって該断熱板(3)が熱せられ、室内の温度上昇を招いてしまうことになる。
【0023】
さらに、本実施例の屋根構造(10A)においては、上記遮熱板(5A)の下に断熱板(3)を配置しているため、上記屋根材(9A)から該遮熱板(5A)に伝わった熱は、該断熱板(3)によって遮られて室内まで伝わらない。
したがって、該屋根パネル(1A)は、太陽光熱を好適に遮熱して室内の温度上昇を確実に防止する。
【0024】
さらに、該遮熱板(5A)の通気路(15A)は外気に開放されて通気自在であるため、屋根の通気性が確保され、例えば断熱板(3)に結露が生じない。さらに加えて、該遮熱板(5A)は、多数の通気路(15A)によって空気層を具備するため、吸音材として機能し、屋根面で鳴る雨音を吸音して室内に伝達させない。したがって、該屋根パネル(1A)は、遮熱性、通気性、および吸音性に優れている。
また、上記材料からなる遮熱板(5A)は、剛性が高く、リフォーム作業時に作業員等が乗っても潰れずに形体が保持されるため、該通気路(15A)が閉塞してしまうことがない。
【0025】
〈第二実施例〉
図3に従って、第二実施例の屋根構造(10B)を説明する。
本実施例では、屋根パネル(1A)を配置する場合に、断熱板(3)間の間隙(4)に垂木(7B)を介挿して固定する。該垂木(7B)の上端高さは、前記遮熱板(5A)の上面高さよりも高位に設定される。
【0026】
そして、該垂木(7B)と該遮熱板(5A)の各上面に、例えばアルミニウム製の屋根材(9B)を瓦棒(19)が垂木(7B)上に位置するように瓦棒式に葺く。さらに上記屋根材(9B)上には、太陽電池(20)を配置することができる。
【0027】
〈変形例〉
図5に示すように、これまでに述べた遮熱板(5A)に代えて、波形に成形された遮熱板(5B)を採用してもよい。
該遮熱板(5B)は、その凹凸によって表面に多数の溝が形成されている。
具体的に該屋根構造(10C)は、図6に示すように、屋根パネル(1B)を野地面材(105)上に配置した状態で、該遮熱板(5B)の上側の防水シート(8)と下側の断熱板(3)とで通気路(15B)が構成され、該通気路(15B)の上端を棟換気部材(図示省略)に接続し、下端を軒先換気部材(図示省略)に接続して通気を確保する。
【0028】
また、図7に示すような、表面に複数の突起(5D)が形成された遮熱板(5C)を採用してもよい。さらに詳しく述べれば、屋根パネル(1A,1B)に使用する場合には、一対の該遮熱板(5C,5C)を準備し、一方の遮熱板(5C)の突起(5D)の先端を他方の遮熱板(5C)の板面に当接させるように積層し、該一対の該遮熱板(5C,5C)を断熱板(3)上面に配置する。このような構成では、複数の突起(5D)間の隙間が通気路(15C)となる。
【0029】
本発明は、これまでに述べた実施例に限定されない。例えば、屋根材(9A,9B)としては、ステンレスやガルバリウムなどの他の金属製の屋根材であってもよい。また、上記屋根パネル(1A,1B)は、寄棟、分岐屋根の頂上、隅部、谷部においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、屋根の遮熱性、通気性、および吸音性を兼ね備えた屋根構造、および屋根のリフォーム方法であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B リフォーム用屋根パネル
2 屋根パネル用野地面材
3 断熱板
5A,5B,5C 遮熱板
5D 突起
9A,9B 屋根材
10A,10B,10C 屋根構造
15A,15B,15C 通気路
20 太陽電池
102 垂木
105 野地面材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂木上に差し渡された野地面材上に配置するリフォーム用屋根パネルであって、
該野地面材上に被着する屋根パネル用野地面材と、
該屋根パネル用野地面材の上面に貼着されたプラスチック発泡体からなる断熱板と、
該断熱板上面に貼着された、通気路を多数備えるプラスチック製の遮熱板と、
からなり、
該リフォーム用屋根パネルが野地面材上に配置された際には、該遮熱板の通気路の一端が棟方向に、他端が軒先方向に向けられて該通気路の両端が外気に開放され、かつ該遮熱板の上面側に金属製の屋根材が配置されることを特徴とするリフォーム用屋根パネル。
【請求項2】
該遮熱板には、ストロー状の通気孔が多数設けられており、該通気孔によって該通気路を構成した請求項1記載のリフォーム用屋根パネル。
【請求項3】
該遮熱板は、波形に成形されており、該波形によって遮熱板の上下両面に形成された溝によって該通気路を構成した請求項1記載のリフォーム用屋根パネル。
【請求項4】
一対の遮熱板を備えた構成であって、該遮熱板の表面には多数の突起が設けられており、一方の遮熱板の突起先端を他方の遮熱板の突起が設けられた板面に当接させるように積層し、該一対の遮熱板間に形成される隙間によって通気路を構成した請求項1記載のリフォーム用屋根パネル。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリフォーム用屋根パネルに配置される該屋根材の上面側に太陽電池を配置したことを特徴とする屋根構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリフォーム用屋根パネルを用いた屋根リフォーム方法であって、
垂木上に差し渡された野地面材上に配されている屋根材を撤去した後、該野地面材の上面に前記リフォーム用屋根パネルを配置し、かつ、該遮熱板の該通気路の一端を棟方向に、他端を軒先方向に向けて該通気路の両端を外気に開放し、該遮熱板の上面側に金属製の屋根材を配置することを特徴とする屋根リフォーム方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−122376(P2011−122376A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281690(P2009−281690)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(510114055)エコホームパネル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】