説明

リフト特性検出装置

【課題】金属部材の影響によるセンサ出力電圧のノイズの発生を抑制することで、バルブのリフト特性を精度良く検出可能なリフト特性検出装置を提供する。
【解決手段】渦電流センサ30の先端部32に斜め断面32aが形成されている。この斜め断面32aとバルブ10に設けられたリテーナ14の上面14aとが平行になるように、かつ、リテーナ上面14aに対して斜めになるように、渦電流センサ30が固定部材50に固定されている。渦電流センサ30は、センサコントローラ46に接続されている。センサコントローラ46は、渦電流センサ30の出力電圧に基づいて、バルブ10のリフト特性を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブのリフト特性を検出するリフト特性検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブのリフト量、作用角及びタイミング等を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置によれば、バルブリテーナ上面に近接して設けられた渦電流センサを用いて、バルブ動作に応じた変位量が検出されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−251144号公報
【特許文献2】特開平7−285426号公報
【特許文献3】特開2004−141763号公報
【特許文献4】特開平6−273105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バルブリテーナの上方に設けられた金属部材の影響により、過電流センサの出力にノイズが発生する場合がある。この場合、バルブのリフト特性を精度良く検出することができない可能性がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、金属部材の影響によるセンサ出力電圧のノイズの発生を抑制することで、バルブのリフト特性を精度良く検出可能なリフト特性検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、バルブのリフト特性を検出するリフト特性検出装置であって、
前記バルブに設けられたリテーナと、
前記バルブの上端部に接続されたロッカーアームと、
先端部に斜め断面を有する渦電流センサであって、該斜め断面と前記リテーナの上面とが平行になるように、かつ、該上面に対して斜めに配置された渦電流センサと、
前記渦電流センサの出力電圧に基づいて、前記バルブのリフト特性を検出する検出部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、第2の発明は、バルブのリフト特性を検出するリフト特性検出装置であって、
カム軸の外周に設けられたカムと、
前記カムの力を前記バルブに伝達するタペットと、
先端部に斜め断面を有する渦電流センサであって、該斜め断面と前記タペットの上面とが平行になるように、かつ、該上面に対して斜めに配置された渦電流センサと、
前記渦電流センサの出力電圧に基づいて、前記バルブのリフト特性を検出する検出部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、
前記渦電流センサの短手方向に対する前記斜め断面の角度は、10度以上50度以下の範囲内であることを特徴とする。
【0009】
また、第4の発明は、第1から第3の何れかの発明において、
前記渦電流センサは、
前記先端部に配置されたコイルと、該コイルを覆う樹脂部と、該樹脂部を覆う筒状の金属部材とを有することを特徴とする。
【0010】
また、第5の発明は、第4の発明において、
前記金属部材は、ステンレス又は非晶質ステンレスからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、渦電流センサ先端部の斜め断面とリテーナ上面とが平行になるように渦電流センサを配置することで、渦電流センサの面積比を十分に確保することができ、渦電流センサの出力電圧の低下を抑制することができる。さらに、渦電流センサをリテーナ上面に対して斜めに配置することで、ロッカーアームの影響による出力電圧のノイズの発生を抑制することができる。従って、バルブのリフト特性を精度良く検出することができる。
【0012】
第2の発明によれば、渦電流センサ先端部の斜め断面とタペット上面とが平行になるように渦電流センサを配置することで、渦電流センサの面積比を十分に確保することができ、渦電流センサの出力電圧の低下を抑制することができる。さらに、渦電流センサをタペット上面に対して斜めに配置することで、カム軸の影響による出力電圧のノイズの発生を抑制することができる。従って、バルブのリフト特性を精度良く検出することができる。
【0013】
第3の発明によれば、斜め断面の角度を10度以上50度以下の範囲内にすることで、渦電流センサの良好な出力特性を得ることができる。
【0014】
第4及び第5の発明によれば、渦電流センサの先端部に筒状の金属部材を設けることで、ロッカーアーム又はカム軸の影響による出力電圧のノイズを更に抑制することができる。さらに、出力電圧の初期の立ち上がりの遅れを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるリフト特性検出装置を示す図である。図2は、図1に示した渦電流センサ30の外観図である。図3は、図2に示した先端部32の近傍を示す拡大断面図である。
図1に示すように、バルブ10の周りには、該バルブ10を上方に付勢するためのバルブスプリング12が設けられている。バルブスプリング12上には、リテーナ14が設けられている。リテーナ14は、バルブ10に固定されている。これにより、リテーナ14は、バルブ10と共に上下移動する。また、バルブ10の上端部は、ロッカーアーム20と接続されている。
【0017】
本実施の形態1によるリフト特性検出装置は、非接触式のギャップセンサである渦電流センサ30を備えている。渦電流センサ30は、斜め断面32aを有する先端部(センサヘッド部)32を備えている。先端部32の直径は、例えば、5mmである。渦電流センサ30は、斜め断面32aとリテーナ14の外周付近の上面14aとが平行になるように配置されている。これにより、渦電流センサ30の面積比(後述)を十分に確保することができ、十分な出力電圧を得ることができる(図9参照)。さらに、渦電流センサ30は、バルブ10が閉弁状態のときに、斜め断面32aとリテーナ上面14aとの間隔が所定の間隔dとなるように、固定部材50に固定されている。所定の間隔dは、例えば、1mmである。これにより、渦電流センサ30は、リテーナ上面14aに対して斜めに配置される。また、渦電流センサ30は、ロッカーアーム20から離れる方向に傾いて配置されている。
【0018】
図2に示すように、先端部32の斜め断面32aは、渦電流センサ30の短手方向に対して角度αだけ傾斜している。図4は、斜め断面32aの角度αに応じた渦電流センサ30の出力特性を示す図である。図4における横軸は、渦電流センサ30の斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離を示している。また、縦軸は、渦電流センサ30の出力電圧を示している。図4に示すように、角度αが30±20度(すなわち、10度から50度)の範囲である場合に、距離と出力電圧との間に比例関係がある。また、角度αが10度よりも小さいか又は50度よりも大きい場合には、距離と出力電圧との間に比例関係がない。よって、角度αは、30±20度(すなわち、10度から50度)の範囲であることが望ましい。さらにマージンを考慮すると、角度αは、20度から40度の範囲であることがより望ましい。
【0019】
図3に示すように、先端部32は、プラスチック製の円筒部33を有している。この円筒部33の外周面には、保護用のテフロン(登録商標、以下同じ)膜34が形成されている。すなわち、円筒部33の外周面には、テフロンコーティングが施されている。円筒部33内には、ボビンコイル36が配置されている。ボビンコイル36は、ボビン36aにニクロム線36bが所定回数巻かれたものである。円筒部33内において、ボビンコイル36は、斜め断面32aの傾斜に沿って位置決めされている。よって、ボビンコイル36は、渦電流センサ30の短手方向に対して角度αだけ傾いて配置されている。また、円筒部33内にはエポキシ樹脂37が充填されている。
【0020】
先端部32は、円筒状の金属部38に固定されている。金属部は、例えば、ステンレスからなる。金属部38の外周には、ネジ山38aが形成されている。このネジ山38aと噛み合うネジ溝(図示せず)が、図1に示した固定部材50に形成されている。よって、金属部38のネジ山38aが固定部材50のネジ溝と噛み合うことにより、渦電流センサ30が固定部材50に固定される。そして、固定部材50への渦電流センサ30のねじ込み量を調整することで、斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離を所望の距離に調整することができる。金属部38内には、円筒部33内と同様に、エポキシ樹脂37が充填されている。
【0021】
また、金属部38は、テフロン製のケーブル40を介してコネクタ部44に接続されている。金属部38及びコネクタ部44との接続部近傍のケーブル40は、テフロン製の保護チューブ41,42によりそれぞれ覆われている。ニクロム線36bは、ケーブル40の中を通り、コネクタ部44に接続されている。図1に示すように、コネクタ部44は、センサコントローラ46に接続されている。センサコントローラ46は、渦電流センサ30に高周波電流を供給するとともに、渦電流センサ30から出力される電圧値(出力電圧)を取得することにより、斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離をリアルタイムで計測することができる。さらに、センサコントローラ46は、該計測した距離に基づいて、バルブのリフト特性(リフト量、作用角、タイミング)を検出することができる。尚、作用角及びタイミングについては、計測時の機関回転数又はクランク角信号と上記の検出した距離とに基づいて、検出することができる。
【0022】
上記渦電流センサ30の製造方法について簡単に説明する。
先ず、外周面にテフロン膜34のコーティングがされた円筒部33内に、ボビンコイル36を位置決めする。このとき、ボビンコイル36は、斜め断面32aに沿って配置される。次に、円筒部33を金属部38のツメ部に嵌め込むことで、円筒部33と金属部38とを接続する。その後、ボビンコイル36が位置決めされた状態で、円筒部33及び金属部38の内部にエポキシ樹脂37を充填する。その後、ニクロム線36bをケーブル40内に通し、金属部38とケーブル40とを接続する。さらに、ケーブル40とコネクタ部44とを接続する。
【0023】
次に、上記リフト特性検出装置を用いたリフト特性検出方法を説明する。
先ず、センサコントローラ46から渦電流センサ30に高周波電流を供給する。これにより、渦電流センサ30の先端部32のボビンコイル36から高周波磁束が発振される。そうすると、リテーナ14の表面に渦電流が発生する。この渦電流は、渦電流センサ30とリテーナ14との距離(すなわち、斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離)が近いほど大きくなり、ボビンコイル36のインダクタンスを大きく変化させる。その結果、渦電流センサ30とリテーナ14との距離が近いほど渦電流センサ30の出力電圧は低くなり、該距離が遠いほど該出力電圧は高くなる(図4参照)。
【0024】
図5は、バルブリフト動作時の渦電流センサ30の出力波形を示す図である。図5において、上記過電流センサ30の出力波形を実線Aで示している。これと併せて、後述する第3比較例の出力波形を実線Bで示し、後述する第1変形例の出力波形を実線Cで示している。バルブ10がリフトされると、つまり、バルブ10が下方向に押し下げられると、バルブ10と共にリテーナ14が下方向に移動する。これにより、渦電流センサ30の斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離が徐々に長くなり、図5において実線Aで示すように出力電圧が徐々に増大する。その後、バルブ10が最大リフト位置を過ぎると、バルブ10と共にリテーナ14が上方向に移動する。これにより、斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離が徐々に短くなり、実線Aで示すように出力電圧が徐々に低下する。従って、センサコントローラ46により渦電流センサ30の出力電圧をモニタすることで、バルブ10のリフト特性(リフト量、作用角、タイミング)を検出することができる。尚、作用角及びタイミングについては、計測時の機関回転数又はクランク角信号と上記の検出した距離とに基づいて、検出することができる。
なお、本実施の形態1では、図1に示すように斜め断面32aとリテーナ上面14aとの距離がdであるときに出力電圧が0Vになるように予め校正が行われている。
【0025】
次に、本実施の形態1に対する比較例を、本実施の形態1と比較しつつ説明する。
図6から図8は、本発明の実施の形態1に対する比較例を示す図である。
図6に示すように、本変形例によるリフト特性検出装置は、渦電流センサ30Aを備えている。この渦電流センサ30Aは、上記実施の形態1で示した斜め断面32aではなく、センサ長手方向に対して垂直な垂直断面31aを有している。この垂直断面31aに沿ってボビンコイル36が配置されている。渦電流センサ30Aは、バルブ10が閉弁状態のときに、垂直断面31aとリテーナ14の周縁部(側面の上端部分)14bとの間隔が所定間隔dとなるように固定されている。以下、図7に示すように渦電流センサ30Aがバルブ10に向けて固定されている場合を第1比較例とし、図8に示すように渦電流センサ30Aがバルブ10に向けられていない場合を第2比較例とする。
【0026】
図9は、第1及び第2比較例において、渦電流センサ30Aの出力特性を示す図である。また、図9には、実施の形態1の渦電流センサ30の出力特性を併せて示している。図9に示すように、第1及び第2比較例では、実施の形態1に比して出力電圧が低く、十分な出力電圧を得ることができない。これは、渦電流センサ30Aの面積比が不十分であるためである。ここで、面積比とは、センサ先端部の断面積に対する被測定物に対向する面積の比率をいう。また、第1比較例に比して、第2比較例における渦電流センサ30Aの面積比は小さい。このため、第2比較例では、距離が長い場合の出力電圧の低下が第1比較例に比して大きくなってしまう。
【0027】
かかる渦電流センサ30Aの面積比を大きく確保すべく、図10に示すように、リテーナ上面14aに対して渦電流センサ30Aを垂直に配置する方法が考えられる。図10は、実施の形態1に対する第3比較例を示す図である。第3比較例では、渦電流センサ30Aの面積比を十分確保することができるものの、出力電圧がバルブ上方に配置された金属部品(以下「上部部品」という。)の影響を受けてしまう。つまり、図5に示すように、第3比較例の出力電圧(実線B)が、実施の形態1の出力電圧(実線A)よりも大きくなってしまう。さらに、図5において実線Bで示されるように、出力波形にノイズが発生してしまう。なお、上部部品の具体例としては、上述したロッカーアーム20のほか、後述するカム軸22等がある。
【0028】
図11は、渦電流センサの出力電圧に対する上部部品の影響を説明するための図である。図11において、第3比較例で上部部品がない場合の渦電流センサ30Aの出力電圧を破線Dで示し、上部部品がある場合の出力電圧を実線Eで示している。これと併せて、実施の形態1で上部部品がない場合の渦電流センサ30の出力電圧を破線Fで示し、上部部品がある場合の出力電圧を実線Gで示している。図11に示すように、第3変形例では渦電流センサ30Aをリテーナ上面14aに対して垂直に配置するため、上部部品の影響により出力電圧が高くなってしまう。これに対して、実施の形態1では渦電流センサ31をリテーナ上面14aに対して斜めに配置することで、上部部品の影響による出力電圧の上昇が抑制されている。
【0029】
また、図11は、渦電流センサの位置を基準位置からX方向に移動させた場合の出力電圧の変化も示している。渦電流センサ30Aの位置を、基準位置からX方向(ロッカーアーム20と反対側の水平方向)に移動させるほど、出力電圧の上昇量は若干少なくなるものの、依然として存在する。これに対して、実施の形態1では、上部部品の影響による渦電流センサ30の出力電圧の上昇が大幅に抑制されている。さらに、実施の形態1では、渦電流センサをX方向に移動させた場合の出力電圧の上昇量が第3比較例に比して著しく少ない。よって、実施の形態1では、渦電流センサのX方向の位置ずれに対するマージンが、第3比較例に比して十分大きく確保される。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態1では、渦電流センサ30の先端部32の断面を斜め断面32aとした。さらに、渦電流センサ30を、この斜め断面32aとリテーナ上面14aが一定距離を空けて平行となるように、かつ、リテーナ上面14aに対して斜めに配置した。これにより、渦電流センサ30の面積比を十分確保するとともに、ロッカーアーム20等の金属部品の影響によるノイズの発生を抑制することができる。従って、バルブ10のリフト特性を精度良く検出することができる。
【0031】
[第1変形例]
ところで、実施の形態1では先端部32の最外周はテフロン膜34が形成されているが、図12に示すように、テフロン膜34の外周に筒状の金属部材35を設けてもよい。図12は、本実施の形態1の第1変形例を示す断面図である。この金属部材35は、例えば、ステンレス又は非晶質のステンレスからなるものである。金属部材35の厚さは、例えば、0.1mmである。ステンレスは、クロム系とクロム・ニッケル系の何れであってもよい。また、図12に示すように、金属部材35は、センサ先端から距離d2だけオフセットさせている。距離d2は、例えば、0.5mmである。これは、金属部材35に対するボビンコイル36から発振される磁束の影響を抑制するためである。このような構成にすることにより、図5において実線Cで示すように、ロッカーアーム20等の上部部品の影響による出力電圧の上昇及びノイズの発生を、上記実施の形態1よりも更に抑制することができる。さらに、図5において丸印Pで囲んで示すように、実施の形態1では上部部品の影響により出力電圧の初期の立ち上がりが遅れているが、第1変形例ではこの初期の立ち上がりの遅れが解消されている。従って、本第1変形例によれば、バルブ10のリフト特性を実施の形態1よりも精度良く検出することができる。特に、バルブ10の作用角及びタイミングを高精度に検出することができる。
【0032】
[第2変形例]
また、実施の形態1ではボビンコイル36を渦電流センサ30の先端部32に配置したが、コイルの詳細についてはこれに限られない。例えば、図13に示すように、鉄等からなる金属芯36cにニクロム線36bを斜めに巻き付けたコイルを配置してもよい。図13は、本実施の形態1の第2変形例を示す断面図である。ニクロム線36bを斜めに巻くには、金属芯36c表面におけるニクロム線36bの滑り対策が必要である。よって、生産性を考慮すると、上記実施の形態1のようにボビンコイル36を用いることが好適である。
【0033】
なお、本実施の形態1及びその変形例においては、リテーナ14が第1の発明における「リテーナ」に、ロッカーアーム20が第1の発明における「ロッカーアーム」に、渦電流センサ30が第1の発明における「渦電流センサ」に、センサコントローラ46が第1の発明における「検出部」に、それぞれ相当している。また、本実施の形態1及びその変形例においては、コイル36が第4の発明における「コイル」に、エポキシ樹脂37及び円筒部33が第4の発明における「樹脂部」に、金属部材35が第4及び第5の発明における「金属部材」に、それぞれ相当している。
【0034】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、リテーナ上面14aとの距離を渦電流センサにより検出することで、リフト特性の検出が行われている。
本発明の実施の形態2では、タペット上面との距離を渦電流センサにより検出することで、リフト特性を検出する。
図14は、本実施の形態2によるリフト特性検出装置を示す図である。図14に示すように、バルブ10の周りにはバルブスプリング12が設けられ、該バルブスプリング12上にはリテーナ14が設けられている。さらに、バルブ10の上端部はタペット16に接続されている。タペット16は、リテーナ14を囲むように設けられている。タペット16は、カム軸22の外周に設けられたカム24により押圧され、バルブ10をリフト動作させるものである。カム軸22及びカム24は、タペット16の上方に配置されている。
【0035】
本実施の形態2によるリフト特性検出装置は、上記実施の形態1と同様に、渦電流センサ30を備えている。渦電流センサ30は、斜め断面32aとタペット上面16aとが平行になるように配置されている。これにより、渦電流センサ30の面積比を十分に確保することができ、十分な出力電圧を得ることができる。さらに、渦電流センサ30は、バルブ10が閉弁状態のときに、斜め断面32aとタペット上面16aとの間隔が所定の間隔dとなるように、固定部材50に固定されている。間隔dは、例えば、1mmである。これにより、渦電流センサ30は、タペット上面16aに対して斜めに配置される。また、渦電流センサ30は、カム軸22からとは離れる方向に傾いて配置されている。渦電流センサ30の詳細については、上記実施の形態1で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0036】
本実施の形態2では、上記実施の形態1と同様に、渦電流センサ30の先端部32の断面を斜め断面32aとした。さらに、渦電流センサ30を、この斜め断面32aとタペット上面16aが一定距離を空けて平行となるように、かつ、タペット上面16aに対して斜めに配置した。これにより、渦電流センサ30の面積比を十分確保するとともに、カム軸22等の金属部品の影響によるノイズの発生を抑制することができる。従って、バルブ10のリフト特性を精度良く検出することができる。
【0037】
ところで、上記実施の形態1の第1及び第2変形例は、本実施の形態2に対しても適用することができる。
【0038】
なお、本実施の形態2及びその変形例においては、カム軸22が第2の発明における「カム軸」に、カム24が第2の発明における「カム」に、タペット16が第2の発明における「タペット」に、渦電流センサ30が第2の発明における「渦電流センサ」に、センサコントローラ46が第2の発明における「検出部」に、それぞれ相当している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1によるリフト特性検出装置を示す図である。
【図2】図1に示した渦電流センサ30の外観図である。
【図3】図2に示した先端部32の近傍を示す拡大断面図である。
【図4】斜め断面32aの角度αに応じた渦電流センサ30の出力特性を示す図である。
【図5】バルブリフト動作時の渦電流センサ30の出力波形を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に対する比較例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に対する第1比較例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1に対する第2比較例を示す図である。
【図9】第1及び第2比較例において、渦電流センサ30Aの出力特性を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1に対する第3比較例を示す図である。
【図11】渦電流センサの出力電圧に対する上部部品の影響を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態1の第1変形例を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態1の第2変形例を示す断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2によるリフト特性検出装置を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 バルブ
12 バルブスプリング
14 リテーナ
16 タペット
20 ロッカーアーム
22 カム軸
24 カム
30 渦電流センサ
32 先端部
32a 斜め断面
33 円筒部
34 テフロン膜
35 金属部材
36 ボビンコイル
37 エポキシ樹脂
38 金属部
46 センサコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブのリフト特性を検出するリフト特性検出装置であって、
前記バルブに設けられたリテーナと、
前記バルブの上端部に接続されたロッカーアームと、
先端部に斜め断面を有する渦電流センサであって、該斜め断面と前記リテーナの上面とが平行になるように、かつ、該上面に対して斜めに配置された渦電流センサと、
前記渦電流センサの出力電圧に基づいて、前記バルブのリフト特性を検出する検出部とを備えたことを特徴とするリフト特性検出装置。
【請求項2】
バルブのリフト特性を検出するリフト特性検出装置であって、
カム軸の外周に設けられたカムと、
前記カムの力を前記バルブに伝達するタペットと、
先端部に斜め断面を有する渦電流センサであって、該斜め断面と前記タペットの上面とが平行になるように、かつ、該上面に対して斜めに配置された渦電流センサと、
前記渦電流センサの出力電圧に基づいて、前記バルブのリフト特性を検出する検出部とを備えたことを特徴とするリフト特性検出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリフト特性検出装置において、
前記渦電流センサの短手方向に対する前記斜め断面の角度は、10度以上50度以下の範囲内であることを特徴とするリフト特性検出装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のリフト特性検出装置において、
前記渦電流センサは、
前記先端部に配置されたコイルと、該コイルを覆う樹脂部と、該樹脂部を覆う筒状の金属部材とを有することを特徴とするリフト特性検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリフト特性検出装置において、
前記金属部材は、ステンレス又は非晶質ステンレスからなることを特徴とするリフト特性検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−303849(P2007−303849A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129818(P2006−129818)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】