説明

リフロー半田付け装置

【課題】小型化することができるリフロー半田付け装置を提供する。
【解決手段】リフロー半田付け装置30は、(a)その内部においてワーク10が搬送される筺体と、(b)筺体の内部において、ワーク10が搬送されるワーク搬送経路よりも下側に配置され、ワーク搬送経路に向けて熱線を照射するヒータ36と、(b)筺体の内部において、ワーク搬送経路よりも上側を遮蔽して、ワーク搬送経路よりも上側に、ワーク搬送経路に連通する閉空間58を形成する遮蔽部材40,50,52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー半田付け装置に関し、例えば電子部品に金属キャップをリフロー半田付けするために用いるリフロー半田付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に電子部品を実装したり、基板に金属キャップを接合したりするため、ワークが筺体の内部を搬送されるときに加熱されるリフロー半田付け装置が用いられている。
【0003】
例えば図6(a)の断面図に示すように、コンベア102によって、半田付けを行う基板106が搬送され、コンベア102の上下に配置された上側ヒータ132と下側ヒータ131によって、加熱される。上側ヒータ132の上部には、装置内の温度を均一にするためのファン133が配置されている。そして、それらを覆うように、筺体101が配置されている。基板106と電子部品、あるいは基板106と基板106を覆う金属キャップなどは、上側ヒータ132と下側ヒータ131の間を移動する際に加熱されて半田が溶融し、半田付けされる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−318530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、コンベアの上下両側にヒータを配置する構成では、リフロー半田付け装置が大きくなるという問題がある。また、基板や電子部品を半田付けに必要な温度にしたり、温度バラツキを小さくしたりするために装置内にファンを配置すると、装置がさらに大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、小型化することができるリフロー半田付け装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したリフロー半田付け装置を提供する。
【0008】
リフロー半田付け装置は、(a)その内部においてワークが搬送される筺体と、(b)前記筺体の内部において、ワークが搬送されるワーク搬送経路よりも下側に配置され、前記ワーク搬送経路に向けて熱線を照射するヒータと、(c)前記筺体の内部において、前記ワーク搬送経路よりも上側を遮蔽して、前記ワーク搬送経路よりも上側に、前記ワーク搬送経路に連通する閉空間を形成する遮蔽部材とを備える。
【0009】
上記構成において、ヒータは、遮蔽部材により形成される閉空間内においてワークの半田付けに必要な所定温度に加熱できればよい。ヒータは、筺体の内部のうち限られた部分、すなわち閉空間と、ワーク自体とを加熱すればよいため、効率よくワークを加熱することができ、小型化することができる。ヒータは、ワーク搬送経路よりも下側に配置されるため、筺体は、遮蔽部材よりも上の部分を小さくすることができる。したがって、リフロー半田付け装置を小型化することができる。
【0010】
好ましくは、前記遮蔽部材は、前記ワーク搬送経路の上方に延在する部分がガラス板により形成されている。
【0011】
ヒータから照射された熱線が遮蔽板に吸収されると輻射熱によって閉空間の温度が上昇するが、ガラス板はヒータから照射される熱線を透過しやすいため、輻射熱による閉空間の過度の温度上昇を抑制し、半田付けが必要な部分以外の部分での温度上昇によるワークの変形や特性変化を抑えることができる。
【0012】
好ましくは、前記ワーク搬送経路と前記ヒータとの間に配置され、前記ヒータが前記ワーク搬送経路に向けて照射する熱線を透過する開口が形成され、前記ヒータが前記ワーク搬送経路以外に向けて照射する熱線を遮蔽するヒータ用遮蔽部材をさらに備える。
【0013】
この場合、ヒータからの熱線を、ワークの所定箇所に照射して、半田付けする必要がある箇所を効率よく加熱できるとともに、加熱の不要な箇所の温度上昇による変形や特性変化を防ぐことができる。
【0014】
好ましくは、前記筺体の内部においてワークが搬送される方向から見たとき、(i)前記ヒータは、前記ワーク搬送経路の右斜め下方に配置された右側ヒータと、前記ワーク搬送経路の左斜め下方に配置された左側ヒータとを含み、(ii)前記右側ヒータからの熱線が照射される前記ワーク搬送経路上の領域の中心位置と、前記左側ヒータからの熱線が照射される前記ワーク搬送経路上の領域の中心位置とが離れている。
【0015】
この場合、ワーク搬送経路に沿って搬送されるワークの複数個所を別々のヒータから加熱することができ、加熱時間を短縮することができる。
【0016】
好ましくは、前記ワークは、(a)帯状の金属部材からなり、上方に折り曲げられて互いに対向する折曲片が形成された外装部材と、(b)前記外装部材の互いに対向する前記折曲片の間に挟まれた基板と、(c)前記外装部材の互いに対向する前記折曲片と前記基板との接点及びその近傍に配置された半田ペーストとを備える。前記ヒータは、前記筺体の内部において搬送されるワークに対して、前記外装部材の互いに対向する前記折曲片の基端に熱線を照射する。
【0017】
この場合、ヒータからの熱線によって外装部材の折曲片を直接加熱して半田ペーストを溶融し、基板に外装部材を接合することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リフロー半田付け装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】リフロー半田付け装置の要部断面図である。(実施例1)
【図2】ワークの断面図である。(実施例1)
【図3】リフロー半田付け装置の要部平面図である。(実施例1)
【図4】リフロー半田付け装置の要部断面図である。(実施例2)
【図5】リフロー半田付け装置の要部断面図である。(比較例)
【図6】(a)リフロー半田付け装置の構成を示す断面図、(b)その温度プロフィールを示す線図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照しながら説明する。
【0021】
<実施例1> 実施例1のリフロー半田付け装置30について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、リフロー半田付け装置30の要部断面図である。図2は、ワーク10の断面図である。図3は、図1の線A−Aに沿って見たリフロー半田付け装置30の要部平面図である。
【0023】
リフロー半田付け装置30は、筺体の内部において、図1に示すように、ワーク10を搬送するワーク搬送部40よりも下側に、熱線(赤外線)を照射するヒータ36が配置されている。リフロー半田付け装置30は、基板20に金属キャップを半田付けするために用いられる。
【0024】
ワーク10は、図2に示すように、金属キャップを形成するための外装部材12と、基板20と、半田ペースト28とを備える。
【0025】
外装部材12は、図2及び図3に示すように、帯状の金属材料(フープ材)を打ち抜き加工したものである。外装部材12の両側部には、スプロケットで搬送するための等ピッチの貫通孔13が形成され、両側部の間には、上方に折り曲げられて互いに対向する折曲片14,16が一定間隔で形成されている。
【0026】
基板20は、例えば多層セラミック基板であり、図2に示すように、一方主面20aに電子部品22,24が実装されている。基板20は、他方主面20bを上にした状態で、外装部材12の互いに対向する折曲片14の間にかしめられ、挟まれている。
【0027】
半田ペースト28は、ディスペンサーを用いて塗布するなどの方法によって、図2に示すように、外装部材12の互いに対向する折曲片14と基板20との接点及びその近傍部分に配置されている。
【0028】
外装部材12の折曲片14が基板20に半田付けされた後、外装部材12は互いに対向する折曲片14の両側部分が切断され、外装部材12の中央部分18と折曲片14,16とによって金属キャップが形成される。
【0029】
図1に示すように、ワーク搬送部40は、その上面40aに、ワーク10を収納する溝42が形成されている。溝42の底面44の中央には、貫通穴46が形成されている。ワーク10は、両側部が溝42の底面44に摺接し、支持された状態で搬送される。このとき、ワーク10は、中央部分18とその近傍部分が、ワーク搬送部40の貫通穴46に対向し、空間に浮いた状態となる。ワーク搬送部40は金属で形成され、内部を循環する冷媒によって冷却される。
【0030】
ワーク搬送部40の上面40aにはスペーサ部材50が配置され、スペーサ部材50の上に、ワーク搬送部40の溝42の上方を覆う遮蔽板52が配置されている。ワーク搬送部40と、スペーサ部材50と、遮蔽板52とは遮蔽部材であり、ワーク搬送経路よりも上側を遮蔽し、ワーク搬送経路に連通する閉空間58を形成する。遮蔽板52は、金属板で形成されている。
【0031】
図1に示すように、ヒータ36は、ワーク搬送経路の斜め下方の左右両側にそれぞれ配置される。ヒータ36は、開口34が形成されたヒータブロック32の内部に配置される。ヒータブロック32は、ヒータ36がワーク搬送経路以外に照射する熱線を遮蔽するヒータ用遮蔽部材である。
【0032】
左右のヒータ36からの熱線は、図1及び図2において鎖線37で示すように、開口34を通り、それぞれ、外装部材12の左右の折曲片14の基端15付近に集中するように照射される。左右のヒータ36がそれぞれワーク搬送経路上に熱線を照射する領域の中心位置は、互いに離れている。ワーク10の複数個所を別々のヒータ36から加熱することにより、加熱時間を短縮することができる。
【0033】
左右のヒータブロック32の上には、ヒータ36からの熱線を透過するガラス板38が配置されている。ガラス板38は、ワーク10の下側において空気が対流する空間を狭くして、効率を高めている。
【0034】
リフロー半田付け装置30は、ワーク10がワーク搬送部40の溝42の底面44に沿って搬送されるときに、ワーク搬送経路の斜め下方に配置されたヒータ36でワーク10を加熱し、ワーク10の半田ペースト28を溶融させ、基板20に外装部材12の折曲片14を半田付けする。
【0035】
このとき、ワーク10は、ヒータ36からの熱線の集中によって、外装部材12の折曲片14の基端15が直接加熱され、その熱が折曲片14を介して半田ペースト28に効率よく伝達される。
【0036】
また、ワーク搬送部40の溝42を覆うように設置された遮蔽板52は、ヒータ36から照射された熱線を吸収し、閉空間58に輻射する。これによって、半田ペースト28が塗布されているワーク10の上面を加熱することができ、半田ペースト28の溶融が容易となる。遮蔽板52からの輻射によってワーク10の上面が加熱されることにより、ワーク10の上面と下面との温度差が小さくなり、比較的小さな出力のヒータ36を用いて、半田ペースト28の溶融が可能になる。
【0037】
リフロー半田付け装置30は、炉のカバー(筺体)で囲まれた空間とは別に、ワーク搬送経路に沿って比較的狭い閉空間58を形成することにより、炉内の空気の対流によるワーク10への冷却作用が抑えられる。閉空間58を形成することにより、半田付け対象であるワーク10の周囲を取り囲む空間を狭くできるため、半田付け時の温度のバラツキを低減できる。
【0038】
リフロー半田付け装置30は、加熱装置として、ワーク搬送経路の下側に配置されたヒータ36を備えている。ヒータ36とワーク搬送経路との間には、開口34が形成されたヒータブロック32が設けられており、ヒータ36から照射される熱線は、ワーク10の所定箇所のみに照射される。このような構成により、ワーク10を加熱するための熱線を所定箇所に集中して照射することができる。
【0039】
したがって、加熱装置(ヒータ)を小型化でき、ひいては、リフロー半田付け装置を小型化することができる。
【0040】
<実施例2> 実施例2のリフロー半田付け装置30aについて、図4を参照しながら説明する。
【0041】
実施例2のリフロー半田付け装置30aは、実施例1のリフロー半田付け装置30と略同様に構成されている。以下では、実施例1と同じ構成部分には同じ符号を用い、実施例1との相違点を中心に説明する。
【0042】
実施例2のリフロー半田付け装置30aは、ワーク搬送部40の溝42の上方を覆う遮蔽板54が、熱線を透過するガラス板である点のみ、実施例1と異なる。これにより、電子部品22,24が実装された基板20の一方主面20aの温度上昇を抑えることができ、閉空間58内の過度の温度上昇を抑制し、半田付けが必要な部分以外の部分での温度上昇によるワーク10の変形や特性変化を抑えることができる。
【0043】
すなわち、ガラス板の遮蔽板54は、矢印39で示すように、ヒータ36から照射された熱線が透過するため、閉空間58内への輻射熱が発生せず、遮蔽板54からの輻射熱によるワーク10の上面の加熱がない。そのため、ワーク10全体の温度上昇を抑えることができる。半田ペースト28は、ヒータ36からの熱線で外装部材12の折曲片14の基端15を直接加熱することにより、その熱が折曲片14を介して半田ペースト28に伝達されるので、溶融することができる。
【0044】
なお、ガラス板の遮蔽板54であっても、炉のカバー(筺体)で囲まれた空間とは別に、ワーク搬送経路に沿って比較的狭い閉空間58を形成することできるので、炉内の空気の対流によるワーク10への冷却作用が抑えられる。
【0045】
<比較例> 図5は、比較例のリフロー半田付け装置30xの要部断面図である。
【0046】
図5に示すように、比較例のリフロー半田付け装置30xは、ワーク搬送部40の溝42の上方が開放されており、ワーク搬送経路の上側に閉空間が形成されていない。
【0047】
ヒータ36によりワーク10の下面側が加熱されたとき、ワーク搬送経路の上側では空気が対流するため、ワーク10は冷却される。ワーク10の周囲の温度を所定温度まで上昇させるには、ヒータ36の出力を大きくしたり、ワーク搬送経路より上側に別にヒータを設けたりする必要がある。
【0048】
これに対し、実施例1及び実施例2では、そのような必要がないため、比較例1よりもリフロー半田付け装置を小型化することができる。
【0049】
<まとめ> 以上に説明したように、ワーク搬送経路より上側を遮蔽板52,54で遮蔽して、ワーク搬送経路に連通する閉空間58を形成することにより、リフロー半田付け装置30,30aを小型化することができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【0051】
例えば、本発明のリフロー半田付け装置は、基板に金属キャップをリフロー半田付けする場合に限らず、基板上に電子部品を半田付けする場合などにも用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ワーク
12 外装部材
13 貫通孔
14 折曲片
15 基端
16 折曲片
18 中央部分
20 基板
20a 一方主面
20b 他方主面
22,24 電子部品
28 半田ペースト
30,30a,30x リフロー半田付け装置
32 ヒータブロック
34 開口
36 ヒータ
38 ガラス板
40 ワーク搬送部(遮蔽部材)
40a 上面
42 溝
44 底面
46 貫通穴
50 スペーサ部材(遮蔽部材)
52,54 遮蔽板(遮蔽部材)
58 閉空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部においてワークが搬送される筺体と、
前記筺体の内部において、ワークが搬送されるワーク搬送経路よりも下側に配置され、前記ワーク搬送経路に向けて熱線を照射するヒータと、
前記筺体の内部において、前記ワーク搬送経路よりも上側を遮蔽して、前記ワーク搬送経路よりも上側に、前記ワーク搬送経路に連通する閉空間を形成する遮蔽部材と、
を備えたことを特徴とする、リフロー半田付け装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記ワーク搬送経路の上方に延在する部分がガラス板により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項3】
前記ワーク搬送経路と前記ヒータとの間に配置され、前記ヒータが前記ワーク搬送経路に向けて照射する熱線を透過する開口が形成され、前記ヒータが前記ワーク搬送経路以外に向けて照射する熱線を遮蔽するヒータ用遮蔽部材をさらに備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項4】
前記筺体の内部においてワークが搬送される方向から見たとき、
前記ヒータは、前記ワーク搬送経路の右斜め下方に配置された右側ヒータと、前記ワーク搬送経路の左斜め下方に配置された左側ヒータとを含み、
前記右側ヒータからの熱線が照射される前記ワーク搬送経路上の領域の中心位置と、前記左側ヒータからの熱線が照射される前記ワーク搬送経路上の領域の中心位置とが離れていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリフロー半田付け装置。
【請求項5】
前記ワークは、
帯状の金属部材からなり、上方に折り曲げられて互いに対向する折曲片が形成された外装部材と、
前記外装部材の互いに対向する前記折曲片の間に挟まれた基板と、
前記外装部材の互いに対向する前記折曲片と前記基板との接点及びその近傍に配置された半田ペーストと、
を備え、
前記ヒータは、前記筺体の内部において搬送されるワークに対して、前記外装部材の互いに対向する前記折曲片の基端に熱線を照射することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のリフロー半田付け装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−86133(P2013−86133A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229294(P2011−229294)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】