説明

リモートアクセスシステムおよび保守用端末および医用機器

【課題】 医用機器に、通常の検査業務を妨げることなく遠隔アクセスを行うことが出来
る遠隔アクセスシステムを提供すること。
【解決手段】 保守用端末上で、医用機器に対してリモートアクセスの許可を申請し、医
用機器へのリモートアクセスの許可証を受信して表示し、医用機器上で、保守用端末から
送信されたリモートアクセス許可申請を受信し、受信したリモートアクセス許可申請を管
理して、装置の処理状態がアクセス可能かを判断し、受信したリモートアクセス申請を表
示し、申請に対する承認・却下を行うリモートアクセス申請審査をする。さらに、リモー
トアクセス申請に対する承認を表す許可証を作成し、作成した許可証を保守用端末へ送信
し、リモートアクセスの許可を与えることを特徴とする遠隔アクセスシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用機器のネットワークセキュリティに係り、特に、保守用端末が医用機器
に対してネットワークを介してリモートアクセスする際のリモートアクセスシステム及び
リモートアクセスを行う保守用端末及びリモートアクセスが行われる医用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医用機器とは、X線診断装置やX線CT装置やMRI装置など生体の診断等に用いる装
置であり、その装置の故障は患者の救命に重大な影響を及ぼす可能性がある。また、医用
機器は緊急に用いられる場合もあり、常に使用可能な状態にあることが求められている。
このため、医用機器の故障を防止するため定期的なメンテナンスや必要に応じた修理が欠
かせない。
【0003】
そこで、メンテナンスをリモートで行うために、従来のリモートアクセスシステムでは
、複数の医用機器を相互に接続し、データを転送するネットワークと、医用機器と同一サ
イトに置かれるリモートメンテナンス用コンピュータと、医用機器とは異なる遠隔サイト
であるサポートセンタに置かれるサポートセンタ用コンピュータからなり、医用機器とリ
モートメンテナンス用コンピュータとをLANで接続し、リモートメンテナンス用コンピ
ュータを介して、公衆回線もしくは専用回線を通じて遠隔サイトのサポートセンタにある
サポート用コンピュータに接続するという構成がとられている。
【0004】
このような従来のリモートメンテナンスシステムでは、サポートセンタにいるオペレー
タが随時あるいは定期的にメンテナンス用コンピュータにメンテナンスを開始させる。す
ると、メンテナンス用コンピュータは、メンテナンス用ネットワークを通じて医用機器に
自己診断要求を行う。その自己診断によって生成されたログファイルはメンテナンス用ネ
ットワークを介してメンテナンス用コンピュータに返送される。この後、メンテナンス用
コンピュータは、ログファイルをメールの添付として、サポートセンタ用サーバへ外部回
線を介して送信する(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
なお、リモートアクセス時には、ユーザIDやパスワードを使用した認証、着信した電
話番号からの着信認証、LAN側のセキュリティを確保するためのIPパケットフィルタ
リング、発信者番号通知昨日で相手を認識しコールバックを行う自動コールバックなど一
般的に知られているセキュリティ対策が実施されている。
【特許文献1】特開2003−50718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたリモートアクセスシステムでは、リモートメン
テナンス用コンピュータへサポートセンタ用コンピュータからの要求が発生すると、リモ
ートメンテナンス用コンピュータはすぐに応答して診断を行う。このため、医用機器で突
発的な処理が発生したり、通常検査業務を阻害するようなウィンドウが表示されたりする
という問題があった。
【0007】
そこで本発明は、医用機器に、通常の検査業務を妨げることなくリモートアクセスを行
うことが出来るリモートアクセスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のリモートアクセスシステムは、保守用端末上に医
用機器に対するリモートアクセスの許可を申請するリモートアクセス手段と、医用機器へ
のリモートアクセスの許可証を受信するリモートアクセス許可証受信手段と、受信したリ
モートアクセスの許可証を表示するリモートアクセス許可証表示手段と、医用機器上に、
保守用端末から送信されたリモートアクセス許可申請を受信するリモートアクセス申請受
付手段と、受信したリモートアクセス許可申請を管理するリモートアクセス申請管理手段
と、装置の処理状態を管理する装置状態管理手段と、受信したリモートアクセス申請を表
示し、申請に対する承認・却下を行うリモートアクセス申請審査手段と、リモートアクセ
ス申請に対する承認を表す許可証を作成し、作成した許可証を送信するリモートアクセス
許可証送信手段と、リモートアクセス許可証送信手段にリモートアクセスの許可を指示す
るリモートアクセス申請処理手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
医用機器に、通常の検査業務を妨げることなくリモートアクセスを行うことが出来るリモ
ートアクセスシステムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明によるリモートアクセスシステムの実施例を図1乃至図13を参照して説
明する。
【実施例1】
【0011】
図1乃至図7を参照して、実施例1を説明する。
【0012】
図1は医用機器が設置される医療機関側のネットワーク構成と、リモートアクセスを行
う保守サービス会社のネットワーク構成を示す図である。図1では、医療機関のネットワ
ークは複数のネットワークセグメントから構成されており、パブリックネットワーク6(
インターネット)に接続している。また、医用機器4は、その医用機器4を保有する部門
のネットワークセグメント5に接続しており、フィルムを印刷するイメージャ1、撮影し
た画像を保管管理する画像管理システムPACS2、撮影した画像の読影を行う読影端末
3がそれぞれネットワークでつながり、同じネットワークセグメント5を形成している。
また、このネットワークセグメン5トには、公衆電話回線網やISDN回線網を介してリ
モートアクセスを行うために、ダイヤルアップルータやTA/DSUが設置されている。
【0013】
図1の保守サービス会社も複数のネットワークセグメントから構成されており、パブリ
ックネットワーク6(インターネット)に接続している。また、リモートアクセスを行う
保守端末のある部門のネットワークセグメント8に接続しており、そのネットワークセグ
メント8には、公衆電話回線網やISDN回線網を介してリモートアクセスを行うために
、ダイヤルアップルータTA/DSUが設置されている。なお、リモートアクセスは、パ
ブリックネットワーク6上に仮想的な専用ネットワーク回線を実現するVPNを構築して
、そのVPNを経由して行うことも出来る。
【0014】
図2は、図1の医用機関のネットワークセグメント5を形成している医用機器4と、保
守サービス会社のネットワークセグメント8に接続されている保守端末7のうちいずれか
が、パブリックネットワーク6(インターネット)で接続されている状態を示した図であ
り、実施例1に係るリモートアクセスシステムの全体構成を示す図である。
【0015】
まず、保守端末7側には、医用機器4に対するリモートアクセスの許可を申請するリモー
トアクセス申請手段11と、医用機器4へのリモートアクセスの許可証を医用機器4側か
ら受信するリモートアクセス許可証受信手段12と、医用機器4側から受信したリモート
アクセスの許可証を表示して、医用機器4側へリモートアクセスの開始を促すリモートア
クセス許可証表示手段13を備えている。
【0016】
また、医用機器4側には、保守端末7側から送信されたリモートアクセス許可申請を受
信するリモートアクセス申請受付手段14と、その受信したリモートアクセス許可申請を
保持しておくリモートアクセス申請管理手段15とを有している。さらに、医用機器4が
現在どのような状態にあるのか等の医用機器4の処理状態を管理する装置状態管理手段1
6と、受信したリモートアクセス申請を表示し、申請に対する承認・却下を行うリモート
アクセス申請審査手段17と、リモートアクセス申請に対する承認を表す許可証を作成し
、作成した許可証を送信するリモートアクセス許可証送信手段18とを有している。
【0017】
また、リモートアクセス申請管理手段15に照会して新しいリモートアクセス申請を検
知した場合には、装置状態管理手段16に医用機器4の処理状態を照会しつつ、予め決め
られた状態(例えば、検査の行われていない状態)であるときに、リモートアクセス申請
管理手段15を介して審査依頼を行い、リモートアクセス申請審査手段17からの審査結
果とともに、リモートアクセス許可証送信手段18にリモートアクセスの許可を指示する
リモートアクセス申請処理手段19とを配置する。
【0018】
次に、図1乃至図7を用いて実施例1の動作を説明する。図3は、実施例1のリモート
アクセス申請の流れを示すフロー図である。
【0019】
リモートアクセス申請手段11は、(ステップS1)で保守端末7側で、保守サービスを
行う者が、医用機器4に対してリモートアクセスの許可を申請する。このときのリモート
アクセス申請画面の例を図4に示す。図4において、リモートアクセスする対象機器を接
続先60のフォームへ入力または選択ボタン62によって選択し、リモートアクセスする
ユーザのユーザIDをユーザID61のフォームに入力する。さらに、ユーザID61の
フォームに、リモートアクセス要求コマンド(例えば、「REQUEST」)とユーザI
Dをフィールド区切り文字(例えば、「:」)で接続し、さらに終端文字(例えば、改行
文字)からなる送信メッセージを作成し、入力が完了したら申請ボタン63を押して、そ
のIPアドレスとあらかじめ決められたポート番号に対して送信する。リモートアクセス
の申請を止める場合は、閉じるボタン64を押してリモートアクセス申請画面を閉じるよ
うにする。このとき、リモートアクセス希望日時や作業開始予定時間を一緒に送信するよ
うにしても構わない。
【0020】
なお、接続先60への対象機器の入力は、医用機器4のネットワーク上の識別名(以下
、ホスト名)でも構わないし、IPアドレスでも構わない。ここでホスト名が入力された
場合には、予め登録されているホスト名とIPアドレスの対応表からIPアドレスを取得
するやり方と、DNSを利用してホスト名からIPアドレスを取得するやり方によってI
Pアドレスを取得することが出来る。また、ユーザID61のフォームには過去に入力し
たユーザのIDから、選択するようにしてもよい。
【0021】
なお、図2のリモートアクセス申請手段11からリモートアクセス申請受付手段14へ
のメッセージの送信は、TCP/IP上のソケット通信による単独プロトコルで行う。そ
の場合、RPC(Remote Procedure Call)や、SOAP(Sim
ple Object Access Protocol)、IIOP(Interne
t Inter−ORB Protocol)、RMI(Remote Method
Invocation)などの標準化された通信プロトコルを使用しても構わない。また
、ネットワーク上を流れるデータの安全性を確保するための、SSL/TLSによる暗号
化通信でやり取りしても構わない。
【0022】
次に、(ステップS2)において、リモートアクセス申請受付手段14は、医用機器4
上であらかじめ決められたポート番号で保守端末7からのリモートアクセス許可申請メッ
セージの受信を待ち、リモートアクセス許可申請メッセージを受信したら、その受信した
メッセージをリモートアクセス申請管理手段15に渡す。リモートアクセス申請受付手段
14は、基本的にはリモートアクセス申請手段11と対になるものであり、同じ通信プロ
トコルを使用しなければならない。
【0023】
次に、(ステップS3)において、リモートアクセス申請管理手段15は、リモートア
クセス申請受付手段14から渡されるリモートアクセス許可申請メッセージを保存し、リ
モートアクセス申請処理手段19からの要求に応じて、リモートアクセス許可申請メッセ
ージを管理する。リモートアクセス申請管理手段15は、市販のメッセージ管理システム
を用いて実現しても構わないし、各メッセージをファイルとして保存して管理してもよい

【0024】
さらに、リモートアクセス申請管理手段15は、リモートアクセス許可申請メッセージ
の登録、更新、検索・取得、削除を行い、登録日時、ステータス、メッセージサイズ、送
信元IPアドレスなどの管理情報をリモートアクセス許可申請メッセージに付与して管理
を行う。また、FIFO(First−In First−Out)方式でメッセージを
管理する。つまり、最初に登録されたリモートアクセス許可申請メッセージが基本的には
最初に取り出される。
【0025】
さらに、リモートアクセス申請処理手段19は、リモートアクセス申請管理手段15を
介して、例えば10分毎に一定間隔でリモートアクセス許可申請メッセージの有無を確認
する。または、新しいリモートアクセス許可メッセージが申請されてきたときに、リモー
トアクセス申請処理手段19は、リモートアクセス申請管理手段15を介して、リモート
アクセス許可申請メッセージを確認してもよい。
【0026】
次に、(ステップS4)にてリモートアクセス許可申請メッセージが検知された場合に
は、(ステップS5)にて装置状態管理手段16を介して装置の検査実施状態を確認する
。図5に医用機器の検査常態の一例を示す。図5を参照して説明すると、例えば、検査実
施状態が「待機中21」の状態である場合には、リモートアクセス申請審査手段17を介
して医用機器側のユーザにリモートアクセスの許可申請が来ていることを通知する。なお
、途中で検査実施状態が「待機中21」状態から他の状態に遷移した場合には、自動的に
リモートアクセス申請審査手段17に対して医用機器4側に表示された審査画面を非表示
に切替えるとともに、再度検査実施状態が「待機中21」状態に戻ってきた場合に、リモ
ートアクセス申請審査手段17に対して審査画面を表示に切替えるように構成しても構わ
ない。つまり、リモートアクセス申請処理手段19から、審査画面の表示/非表示を切替
える要求があった場合には、その要求に基づき審査画面の表示/非表示が医用機器4側の
モニタ等で行われる。
【0027】
なお、装置状態管理手段16は、医用機器4が現在どの状態にあるのかを把握し、リモ
ートアクセス申請処理手段19からの照会に応じて、現在の医用機器4の検査実施状態を
回答する。例えば、図5において、電源投入をトリガーとして、起動処理を行い、起動の
間は「起動中20」状態となり、全ての起動が完了した時点で、「待機中21」状態に遷
移する。「待機中21」状態からは、検査を行う「患者検査中22」状態に遷移したり、
撮影した画像の観察を行う「画像観察中23」状態に遷移したり、ユーザからの指示に基
づいて「終了中24」状態に遷移したりする。
【0028】
また、検査が終了すれば、「患者検査中22」状態から「待機中21」状態に戻ったり
、「画像観察中23」状態から「待機中21」状態に戻ったりする。「患者検査中22」
状態では、患者への検査内容の説明や、検査に必要な前処置、寝台への患者のセッティン
グ、撮影、検査後の患者状態の観察などが行われる。「画像観察中23」状態では、撮影
した画像の観察や、それらの画像に対する解析処理や画像処理、それらの画像の保管や他
システムへの転送、フィルム作成などの処理が行われる。なお、「患者検査中22」状態
の時に、医用機器4に不具合が生じた場合に、緊急の対応として患者の安全のためにもリ
モートアクセスによって医用機器4をリモートコントロールすることが必要になる場合が
ある。その場合は、「患者検査中22」状態のときでもリモートアクセス許可申請が来て
いることを表示させることが求められる。そこで、装置の状態がいかなる状態の時でもリ
モートアクセス許可申請が来ていることを表示させるようにし、許可を出すことが出来る
ようにすることも可能である。また、特定の装置状態の時を選択してリモートアクセス許
可申請を表示させるようにし、医用機器側で許可を出せるようにしてもよい。
【0029】
次に、(ステップS6)にてリモートアクセス申請審査手段17において医用機器4側
のユーザからの審査結果(承認/却下)を入力または選択してもらう。例えば、図6にあ
るような審査画面が医用機器4側のモニタ等に表示される。そこで、医用機器4側のユー
ザは、リモートアクセスを要求してきている保守端末7側の接続先70、ユーザID71
、受付日時72などを確認する。その上で、リモートアクセスを承認する場合には、承認
ボタン73を押してリモートアクセスを承認し、却下する場合には、却下ボタン74を押
してリモートアクセスを却下する。また、承認/却下をすぐに決められない場合には、保
留ボタン75を押すことによって申請審査を保留することが出来る。なお、保留された申
請審査はある一定時間操作がない場合は、却下として扱われる。また、ユーザの審査結果
が「却下」の場合には、リモートアクセス許可証送信手段18から、審査結果を返さない
ようにしてもよい。このとき、保守端末7側は「許可」の時のみ審査結果が返ってくるの
で、「却下」と間違えることがなく、「許可」の審査結果をリモートアクセスの開始の合
図と考えることが出来る。
【0030】
さらに、リモートアクセス希望日時や作業予定時刻を図6の審査画面上に表示し、さら
にリモートアクセス許可日時をユーザが入力・選択できるようにしても構わない。
【0031】
次に、(ステップS7)にて、リモートアクセス許可証送信手段18は、図6において
、了承ボタン73または却下ボタン74に対してユーザからの選択が行われた場合には、
その操作をもとにリモートアクセス申請処理手段19に対して審査結果を応答し、リモー
トアクセス申請処理手段19からの要求をもとに、申請審査結果を保守端末7に送信する
。具体的には、申請審査結果をもとに、遠隔アクセス応答コマンド(例えば、「RESP
ONSE」)とユーザIDと返信元IPアドレスと審査結果(例えば、「TRUE」/「
FALSE」)をフィールド区切り文字(例えば、「:」)で接続し、さらに終端文字(
例えば、改行文字)からなる送信メッセージを作成し、リモートアクセス許可申請メッセ
ージ管理情報の中に格納している送信元IPアドレスを取り出して、その送信元IPアド
レスとあらかじめ決められたポート番号に対して、その作成した許可証メッセージを送信
する。その後、リモートアクセス申請管理手段15に対して、処理が完了したメッセージ
の削除要求を行う。これにより、1つのリモートアクセス許可申請メッセージの処理が完
了する。
【0032】
なお、リモートアクセス許可日時を入力できるようにした場合には、その日時情報を含
めてメッセージを作成する。
【0033】
ここでの許可証メッセージの送信は、TOP/IP上のソケット通信による独自プロト
コルで行う。なお、RPCやSOAP、IIOP、RMIなどの標準化された通信プロト
コルを使用しても構わない。また、ネットワーク上を流れるデータの安全性を確保するた
めの、SSL/TLSによる暗号化通信でやり取りしても構わない。
【0034】
次に、(ステップS8)にて、保守端末7側のリモートアクセス許可証受信手段12は
、医用機器4側からのリモートアクセス許可証メッセージを受信して、リモートアクセス
許可証表示手段13に渡す。基本的には、医用機器4側のリモートアクセス許可証送信手
段18と対になるものであり、同じ通信プロトコルを使用しなければならない。リモート
アクセス許可証受信手段12は、保守端末7側であらかじめ決められたポート番号で医用
機器4からのリモートアクセス許可証メッセージの受信を待つ。リモートアクセス許可証
メッセージを受信したら、その受信したメッセージを解析し、ユーザIDと審査結果を取
り出して、リモートアクセス許可証表示手段3に渡す。
【0035】
次に、(ステップS9)にて、保守端末7側のリモートアクセス許可証表示手段13は
、リモートアクセス許可証受信手段12が受信した情報をモニタ等に表示する。図7は、
リモートアクセス許可証表示手段13の画面の例を示す。このように、リモートアクセス
許可申請画面のウィンドウ上に、「申請が許可されました」等のダイアログボックス80
が表示される。なお、リモートアクセス許可証メッセージの中に、リモートアクセス許可
日時情報が含まれていた場合には、図7のダイアログボックス80の画面上にその情報を
表示する。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施例1においては、医用機器側で、あらかじめリモー
トアクセスを行うことを事前に知ることが出来るため、リモートアクセスツールが動作す
ることによる、処理の遅延や予期しないウィンドウ画面の表示による操作の妨害などが発
生することを回避することが出来る。具体的には、医用機器4側の装置の状態が「待機中
21」の状態の時のみ、リモートアクセスの申請が来ていることを通知するため、リモー
トアクセス許可申請の画面が作業中に突然表示されるようなことがなく、操作が妨害され
ることを回避することができる。
【0037】
また、医用機器4側へのリモートアクセス許可申請の表示/非表示は、医用機器4の装
置の状態に左右されるが、「待機中21」以外の状態でも、表示するように変更すること
が可能であるため、緊急を要するリモートアクセスの場合などは、装置が動いている時に
リモートアクセス許可申請が出来る。そのため、診療中に起こった問題に対する対処に対
してリモートアクセスの許可をすかさず出すことも出来る。
【0038】
また、リモートアクセスが許可された時点で初めて医用機器4に対するリモート操作を
開始するため、誤ってリモートアクセスが開始されることがなく、医用機器4側は安心し
て診療を行うことが出来る。
【0039】
また、ユーザのリモートアクセス許可申請の審査結果が「却下」の場合には、リモート
アクセス許可証送信手段18から、審査結果を返さないようにすることによって、「許可
」の時だけ結果が返ってくるので、「却下」「許可」の審査結果をリモートアクセス側の
ユーザが誤って認識することを防ぐことができる。
【実施例2】
【0040】
図8乃至図10を参照して実施例2を説明する。
【0041】
図8は実施例2のリモートアクセスシステムの構成を示す図である。なお、実施例2に
係る医療機関側のネットワーク構成と、リモートアクセスを行う保守サービス会社側のネ
ットワーク構成は実施例1にて説明したので、ここでは省略する。
【0042】
実施例2において、実施例1と異なる点は、医用機器4側でリモートアクセスを検知し、
そのリモートアクセスのセキュリティ監査を行うという点である。実施例2では、図8に
あるように、医用機器4側には、セキュリティログ38をもとに監査用のリモートアクセ
ス記録を作成するリモートアクセス記録作成手段34を備えている。さらに、作成したリ
モートアクセス記録を医用機器4側のモニタ等に表示し、その記録に対する承認・却下を
行うリモートアクセス監査手段35と、監査結果を保守端末7側へ送信するリモートアク
セス監査結果送信手段36とを備えている。そして、リモートアクセス監査処理手段37
が、リモートアクセス申請管理手段15に照会して、医用機器4が新しいリモートアクセ
スを検知した場合に、装置状態管理手段16に装置処理状態を照会する。それと同時もし
くは直後に、医用機器4側があらかじめ決められた装置状態であるときに、監査依頼を行
い、リモートアクセス監査手段35からの監査結果をもとに、リモートアクセス監査結果
送信手段36に監査結果の送信を指示するリモートアクセス監査処理手段37とを配置す
る。
【0043】
また、保守端末7側または保守サービス会社内に、医用機器4側からのリモートアクセ
スの監査結果を受信するリモートアクセス監査結果受信手段30と、受信したリモートア
クセス監査結果を登録するリモートアクセス監査結果登録手段31とを備えている。さら
に、登録された監査結果を管理するリモートアクセス監査結果管理手段32と、管理され
ている監査結果を検索して表示するリモートアクセス監査結果表示手段33とを配置して
いる。
【0044】
次に、図8乃至図10を参照して実施例2の動作を説明する。
【0045】
まず、リモートアクセスをするために保守端末7側が医用機器4側に接続するときには、
ユーザ認証が行われ、そのユーザ認証の記録がリモートアクセス記録作成手段34にて、
医用機器4側のセキュリティログ38に記録される。具体的には、以下のような情報であ
る。リモートアクセスの種類(例えば、「成功の監査」)、日付(例えば、「2003/
09/25」)、時刻(例えば、「13:11:08」)、ソース(例えば、「SECU
RITY」)、分類(例えば、「システムイベント」)、イベント(例えば、「528」
)、ユーザ(例えば、「TOSHIBA」)、コンピュータ(例えば、「TOSHIBA
CT1」)となる。
【0046】
例えば、イベントが「528」であれば、「保守端末7側のユーザがコンピュータへロ
グオンした」ことを表し、さらにログオンの種類として「2:対話型」であるのか「3:
ネットワーク型」であるのかを記録する。さらに、「ネットワーク型」であれば、アクセ
ス元のIPアドレスを記録する。イベントが「538」であれば、「保守端末7側のユー
ザのログオフ処理が完了した」ことを表す。また、ログオン時にログオンIDを発番し、
そのログオンIDをセキュリティログ38に記憶し、ログオフ時にログオンIDを見るこ
とで、いつログオンしたのか、どんな作業が行われたのかなど、ログオンとログオフの対
応関係がすぐに呼び出せる。
【0047】
さらに、リモートアクセス記録作成手段34が、セキュリティログ38を定期的に(例
えば、1日に1回)チェックし、セキュリティログ38の中に「528:ユーザがコンピュ
ータへログオンした」もので、かつログオンの種類が「3:ネットワーク型」であるレコ
ードを探し、もし見つかった場合には、そのイベントの中のログオンIDを抽出して、ロ
グインIDが同じで、イベントが「538:ユーザのログオフ処理が完了した」レコード
を探して、リモートアクセス記録を作成する。
【0048】
なお、セキュリティログ38の中には、過去の記録も含まれているので、過去にチェッ
クしたものが重複してリストアップされる可能性があるので、前回最後にチェックしたレ
コードの日付と時刻を記録しておき、その日付と時刻以降のレコードからチェックする。
【0049】
さらに、リモートアクセス申請管理手段15から現在リモートアクセス申請が来ている
かどうかを照会して、申請元のIPアドレス、申請受付時刻、申請ステータス(申請中、
承認済み、却下済み)を取得し、リモートアクセス記録に追加するようにしても構わない

【0050】
次に、リモートアクセス監査処理手段37は、リモートアクセス記録作成手段34を介
して、定期的にセキュリティログ38の中に新しいリモートアクセス記録の有無を確認し
て、新しいリモートアクセスが検知された場合には、装置状態管理手段16を介して医用
機器4の検査実施状態を確認する。装置状態管理手段16は、図5にあるように、医用機
器4が現在どの状態にあるのかを把握するものであり、リモートアクセス監査処理手段3
7からの照会に応じて、現在の医用機器4の検査実施状態を回答する。なお、医用機器4
の装置状態については、実施例1で説明したので省略する。
【0051】
ここで、検査実施状態が「待機中21」状態である場合には、リモートアクセス監査手段
35は、医用機器4側のユーザにリモートアクセスが行われていること、またはリモート
アクセスが行われたことをリモートアクセス監査処理手段36からの要求をもとに、医用
機器4側のユーザへ通知する。
【0052】
例えば、図9はリモートアクセス監査結果の入力画面の一例であり、このような画面に
そのリモーアクセスが適切なものであるかどうかの監査結果を入力または選択してもらう
。このとき、医用機器4側のユーザは、リモートアクセスを行っている保守端末7側の要
求元90とユーザID91を確認する。さらに、リモートアクセスの申請をしてきた日時
等(申請有無92、申請日時93、審査日時94)を確認し、実際にリモートアクセスが
行われたのかどうか(作業ステータス95、開始日時96、終了日時97)を確認する。
ここで、内容に誤り等の問題がなかった場合承認ボタン98を押して、監査内容を承認す
る。問題があった場合は、却下ボタン99を押して、リモートアクセス監査処理手段36
へ最初から監査をやり直すように指示が送られる。また、一度保留にする場合は保留ボタ
ン100を押して、画面を非表示にすることもできる。さらに、保留の期間がある一定時
間続いた場合は、却下ボタン99を押した場合と同じように、リモートアクセス監査処理
手段36へ最初から監査をやり直すように指示が送られるようにしてもよい。図9におい
て、ユーザからの入力または選択が行われた場合には、その操作をもとにリモートアクセ
ス監査処理手段37に対して監査結果を応答する。
【0053】
さらに、途中で検査実施状態が「待機中21」状態から他の状態に遷移した場合には、
自動的にリモートアクセス監査手段35に対してリモートアクセス監査結果の入力画面を
非表示に切替えるとともに、再度検査実施状態が「待機中21」状態に戻ってきた場合に
、リモートアクセス監査手段35に対してリモートアクセス監査結果の入力画面を表示に
切替えるように構成しても構わない。
【0054】
次に、リモートアクセス監査結果送信手段36は、リモートアクセス監査処理手段37
からの要求をもとに、監査結果を保守端末7側へ送信する。具体的には、監査結果をもと
に、監査結果コマンド(例えば、「AUDIT」)と、リモートアクセスを行ったユーザ
IDとリモートアクセス開始時刻(ログオン日時)/リモートアクセス終了時刻(ログオ
フ日時)と事前申請有無と送信元IPアドレスと監査結果(例えば、「TRUE」/「F
ALSE」)をフィールド区切り文字(例えば、「:」)で接続し、さらに終端文字(例
えば、改行文字)からなる送信メッセージを作成し、あらかじめ決められた送信先IPア
ドレスとポート番号に対して、その作成した監査結果メッセージを送信する。
【0055】
なお、監査結果メッセージの送信は、TCP/IP上のソケット通信による独自プロト
コルで行う。なお、RPCや、SOAP、IIOP、RMIなどの標準化された通信プロ
トコルを使用しても構わない。また、ネットワーク上を流れるデータの安全性を確保する
ための、(SSL/TLS)による暗号化通信でやりとりしても構わない。
【0056】
次に、保守端末7のリモートアクセス監査結果受信手段30は、監査結果メッセージを受
信して、リモートアクセス監査結果登録手段31に渡す。
【0057】
リモートアクセス監査結果受信手段30は、基本的には医用機器4側のリモートアクセ
ス監査結果送信手段36と対になるものであり、同じ通信プロトコルを使用しなければな
らない。また、リモートアクセス監査結果受信手段30は、任意の保守端末7であらかじ
め決められたポート番号で医用機器4からの監査結果メッセージの受信を待つプログラム
として構成する。監査結果メッセージを受信したら、その受信した監査結果メッセージを
解析し、リモートアクセスを行ったユーザID、リモートアクセス開始時刻(ログオン日
時)、リモートアクセス終了時刻(ログオフ日時)、事前申請有無、送信元IPアドレス
、監査結果を取り出して、リモートアクセス監査結果登録手段31に渡す。
【0058】
次に、リモートアクセス監査結果登録手段31は、リモートアクセス監査結果受信手段
30で取得した監査結果情報をリモートアクセス監査結果管理手段32に登録する。リモ
ートアクセス監査結果管理手段32は、異なるコンピュータシステム上で動作させること
もできるので、ネットワーク経由で監査結果情報を登録する。なお、リモートアクセス監
査結果管理手段32がデータベース管理システムで構築されている場合には、SQLなど
のデータベース操作言語に基づくデータ登録ステートメントを作成し、ネットワーク経由
でその作成したデータ登録ステートメントを送信することで監査結果を登録する。
【0059】
なお、リモートアクセス監査結果管理手段32とリモートアクセス監査結果登録手段3
1を同じコンピュータシステム上に配置しても構わない。また、独自の通信プロトコルで
監査結果情報を登録しても構わない。また、リモートアクセス監査結果管理手段32は、
リモートアクセス監査結果を管理するため。データベース管理システムで管理してもよい
し、ファイルとして管理してもよい。
【0060】
図10に監査結果表示画面の例を示すように、監査結果の表示画面は最初に接続先10
1とユーザID102が表示され、誰がどこにアクセスしたものかを表示する。続いて、
リモートアクセス許可申請が許可/却下のどちらになったのかが申請有無103に表示さ
れ、リモートアクセスの申請日時104とリモートアクセスの許可/却下の審査日時10
5が表示される。また、監査結果106につづいて、作業開始日時107及び作業終了日
時108が表示される。なお、リモートアクセス監査結果表示手段33は、監査結果を調
べたい装置などの検索条件を入力して、当該監査結果の一覧を表示させて、その一覧の中
で、選択した監査結果を表示する。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施例2においては、医用機器側にリモートアクセスを
する際にセキュリティログ38を残し、セキュリティログからリモートアクセス監査記録
を残すことによって、そのリモートアクセスが正当なものであるかどうかを、医用機器上
でユーザ操作を阻害することなく、確認することが出来る。
【0062】
また、リモートアクセス監査記録を保守端末側で管理することによって、保守端末4側
でリモートアクセス監査記録を確認し、医用機器4に対するリモートアクセスの状況を好
きなときに確認できるので、保守端末7側から医用機器4側への不正なアクセスなどが合
った場合にもすぐに見つけることができる。
【0063】
また、リモートアクセス監査記録を保守端末7側で監査結果を調べたい装置などの検索
条件を入力して、リモートアクセス監査結果を表示することが出来るので、調べたい特定
の医用機器4のリモートアクセス監査結果をすぐに見つけることができる。
【0064】
また、セキュリティログのチェックを、前回最後にチェックしたレコードの日付と時刻
を記録しておき、その日付と時刻以降のレコードからチェックすることにより、セキュリ
ティログの中の過去にチェックしたものが重複してリストアップされるのを防ぐことが出
来る。
【実施例3】
【0065】
図11乃至図13を参照して実施例3を説明する。
【0066】
図11は実施例3のリモートアクセスシステムの構成を示す図である。なお、実施例3
に係る医療機関側のネットワーク構成と、リモートアクセスを行う保守サービス会社のネ
ットワーク構成は実施例1にて説明したので、ここでは省略する。
【0067】
実施例3において、実施例1、2と異なる点は、医用機器4側のセキュリティ監査結果と
保守端末7側のセキュリティ監査結果を結合して、セキュリティ監査レポートを作成する
という点である。実施例3では、図11にあるように、保守端末7側または保守サービス
会社内に、ユーザのログオン/ログオフを記録するユーザ認証手段40と、ユーザの認証
結果を中央管理するユーザ認証記録管理手段41を備えている。さらに、装置識別情報を
もとにリモートアクセス監査結果管理手段32に照会して、リモートアクセス監査結果を
取得し、そのリモートアクセス監査結果をもとに、ユーザ認証記録管理手段41に照会し
てその当該リモートアクセスが存在するかどうかを確認し、そのリモートアクセス監査結
果とユーザ認証結果を監査レポートとして作成する監査レポート作成手段42を備えてい
る。さらに、その監査レポートを表示する監査レポート表示手段43と、その監査レポー
トを送信する監査レポート送信手段44とを配置する。
【0068】
図11乃至図13を参照して、実施例3の動作を説明する。
【0069】
まず、ユーザ認証手段40は、保守端末7側で、ログインするユーザを認証する。この
とき、ID/パスワードによるベーシック認証方式でもよいし、指紋などのバイオメトリ
ック情報を使った認証方式でも良いし、ICカードなどの物理媒体を使った認証方式でも
よい。ユーザ認証手段40は、基本的には、ユーザ認証記録管理手段41に対して、認証
要求を行う。
【0070】
次に、ユーザ認証記録管理手段41は、各保守端末7で行われるユーザ認証を行い、そ
の認証記録を保持する。また、保守端末7が参加するネットワークドメインを設け、その
ネットワークドメインに保守端末7を使用する全てのユーザを登録し、保守端末7にログ
オンする際には、そのネットワークドメインにログオンするようにする。これにより、各
保守端末7でユーザがネットワークドメインを指定し、ユーザ認証情報を入力すると、そ
のユーザ認証情報がユーザ認証記録管理手段41(ドメインコントローラ)に送信され、
そこでそのユーザの本人性が確認される。本人性が確認された場合には、その保守端末7
にログオンすることができる。
【0071】
次に、監査レポート作成手段42は、リモートアクセス監査記録管理手段32に管理さ
れている監査結果情報と、ユーザ認証記録管理手段41に管理されている保守端末7の利
用情報をもとに、監査結果情報に記載されているリモートアクセスが確かに行われたかど
うかを確認し、その結果をもとにレポートを作成する。図12に監査レポートの例を示す

【0072】
図12にあるように、作業対象機器110には、装置の種類と製品シリアル番号、そし
て装置IPアドレスが表示される。さらに、作業記録111には、作業日、作業時間、ユ
ーザIDと社内の記録の有無が表示される。なお、監査レポートは、図12にあるように
月ごとに出されるものでも良いし、週ごとに出されるものでも良い。
【0073】
次に、監査レポート表示手段43は、監査レポート作成手段42で作成した監査レポート
を表示する。レポートは、XML形式で作成されるので、Webブラウザ形式で、そのX
MLファイルを表示させると、そのスタイルシートにしたがって、監査レポートを表示す
る。また、保守端末7とユーザIDごとに監査レポートのタイムチャートを作成し、重複
したリモートアクセスがないことをチェックするようにしてもよい。
【0074】
次に、監査レポート送信手段44は、監査レポート作成手段42で作成した監査レポー
トを、メッセージ中に記載されている送付先アドレスとレポート種別をもとに、レポート
種別が電子メールの場合には、XMLファイルを電子メールの添付ファイル形式として、
その指定された送付先アドレスに当て先とした電子メールを作成し、電子メールサーバに
SMTPプロトコルで送信する。なお、添付ファイルは、圧縮して送付しても構わない。
レポート種別がFAXの場合には、XMLファイルからイメージデータを作成し、FAX
サーバに送信する。FAXサーバは、電話回線に接続されており、指定された電話番号に
そのイメージデータを送信することができる。FAXサーバには、FAX印刷デバイスを
指定し、送信先とFAX番号をセットして印刷を指示することで実現する。
【0075】
ここで、監査レポート作成・送信の処理の流れを、図13に示す。
【0076】
まず、監査レポートは、基本的に医用機器4ごとに定期的に作成される。図13にある
ような、リモートアクセス監査結果受信手段30からの監査結果と、保守機器契約管理シ
ステム50において管理されている、保守契約を締結している機器情報(装置種別、装置
型式、製品シリアル番号)と、顧客情報(医療機関名、住所、代表者氏名、レポート種別
、レポート送付先)、保守情報(据付日時、装置IPアドレス、保守契約有無、保守契約
内容、保守契約満了期限)等が関連付けられてリモートアクセス監査結果登録手段31へ
送られる。
【0077】
そして、リモートアクセス監査結果登録手段31は、レポート作成指示を行うGUI画
面を持ち、そのGUI画面から、装置種別(例えば、X線CT装置)とレポート作成月を
入力・選択し、指定された装置種別に一致して、保守契約を締結している機器の一覧と、
各機器について装置種別、装置型式、製品シリアル番号、レポート種別(電子メール/F
AX)と送付先アドレス(複数可)と装置IPアドレスを取得して、医用機器4ごとにレ
ポート作成指示書を作成し、リモートアクセス監査結果管理手段32にて管理する。リモ
ートアクセス監査結果管理手段32は、メッセージ管理システムで管理されているものと
して、FIFO方式でメッセージを順番に取り出せるものとする。監査レポート作成手段
42は、メッセージ管理システムで管理されているメッセージのうち、最初のものをまず
取り出して、そのメッセージ内に記載されている装置種別、装置型式、製品シリアル番号
、IPアドレス、レポート種別、送付先アドレスを取り出し、レポートを作成して、その
作成したレポートを送信する。監査レポート作成手段42は、全てのメッセージを処理す
るまで、レポートの作成を繰り返し、全てのレポート作成が完了した時点で、新しいメッ
セージ待ち状態で待機する。
【0078】
レポートの作成は、IPアドレスを検索条件として、同じIPアドレスを含む監査結果
レコードをリモートアクセス監査結果管理手段32から取得し、次のそのリモートアクセ
ス監査記録レコードにあるアクセス元のIPアドレスをもとに、ユーザ認証記録管理手段
41から当該レコードを取得する。そして、監査結果レコードにあるリモートアクセス時
間と、ユーザ認証記録レコードにある作業時間(ログオン時間とログオフ時間)を比較し
て、時間が重複しているかどうかで社内記録の有無を判断して、そのユーザIDを付加し
て監査レポートを作成する。
【0079】
そして、一つの保守用端末では、複数の医用機器に同時にアクセスすることはできない
ので、保守用端末とユーザIDごとにタイムチャートを作成し、重複したリモートアクセ
スがないことをチェックすることで、さらにリモートアクセスが適切に行われているかど
うかを確認することもできる。レポートは、XML形式で作成し、スタイルシートを付加
するものとする。
【0080】
次に、監査レポート送信手段44が、レポート種別が電子メールの場合には、XMLフ
ァイルを電子メールの添付ファイル形式として、その指定された送付先アドレスに当て先
とした電子メールを作成し、電子メールサーバにSMTPプロトコルで送信する。また、
レポート種別がFAXの場合には、XMLファイルからイメージデータを作成し、FAX
サーバに送信する。FAXサーバは、電話回線に接続されており、指定された電話番号に
そのイメージデータを送信することができる。
【0081】
以上説明したように、本発明の実施例3では、リモートアクセスが、保守サービス会社か
ら確かに行われたことを確認することが出来る。
【0082】
つまり、不正アクセスや誤ったアクセスを特定することが可能になり、リモートアクセ
ス側のログと医用機器側のログをつき合わせることにより、いつ、だれが、どこからアク
セスしのか、どのくらいの時間をアクセスしたのかを特定できるため、より安全にリモー
トアクセスを行うことができる。
【0083】
また、リモートアクセスに異常があった場合にも、すぐにログをつき合わせて原因を突
き止めることが出来るので、その後の対処が迅速に行うことが可能になる。
【0084】
また、監査レポートを一覧にして医用機器4のユーザ側に定期的に提出することも可能
であり、定期的に監査ログをチェックすることによって、リモートアクセスの管理ミスを
定期的にチェックすることが出来る。
【0085】
また、保守端末7とユーザIDごとにタイムチャートを作成し、重複したリモートアク
セスがないことをチェックすることで、リモートアクセスが適切に行われているかどうか
を確認することもできる。
【0086】
なお、本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明による医用機器が設置される医療機関側のネットワーク構成と、遠隔アクセスを行う保守サービス会社のネットワーク構成を示す図。
【図2】本発明の実施例1に係る遠隔アクセスシステムの全体構成を示す図。
【図3】本発明の実施例1のリモートアクセス申請の流れを示すフロー図。
【図4】本発明の遠隔アクセス申請画面の例を示す図。
【図5】本発明の医用機器の検査状態を示す図。
【図6】本発明のリモートアクセス申請審査画面の例を示す図。
【図7】本発明のリモートアクセス許可証表示画面の例を示す図。
【図8】本発明の実施例2の遠隔アクセスシステムの構成を示す図。
【図9】本発明のリモートアクセス監査画面の例を示す図。
【図10】本発明のリモートアクセス監査結果表示画面の例を示す図。
【図11】本発明の実施例3の遠隔アクセスシステムの構成を示す図。
【図12】本発明のリモートアクセス監査レポートの例を示す図。
【図13】本発明の監査レポート作成・送信の処理の流れを示す図。
【符号の説明】
【0088】
11 リモートアクセス申請手段
12 リモートアクセス許可証受信手段
13 リモートアクセス許可証表示手段
14 リモートアクセス申請受付手段
15 リモートアクセス申請管理手段
16 装置状態管理手段
17 リモートアクセス申請審査手段
18 リモートアクセス許可証送信手段
19 リモートアクセス申請処理手段
30 リモートアクセス監査結果受信手段
31 リモートアクセス監査結果登録手段
32 リモートアクセス監査結果管理手段
33 リモートアクセス監査結果表示手段
34 リモートアクセス記録作成手段
35 リモートアクセス監査手段
36 リモートアクセス監査結果送信手段
37 リモートアクセス監査処理手段
40 ユーザ認証手段
41 ユーザ認証記録管理手段
42 監査レポート作成手段
43 監査レポート表示手段
44 監査レポート送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守用端末側に医用機器に対するリモートアクセスの許可を申請するリモートアクセス
手段と、
医用機器へのリモートアクセスの許可証を受信するリモートアクセス許可証受信手段と、
受信したリモートアクセスの許可証を表示するリモートアクセス許可証表示手段と、
医用機器上に、保守用端末から送信されたリモートアクセス許可申請を受信するリモート
アクセス申請受付手段と、
受信したリモートアクセス許可申請を管理するリモートアクセス申請管理手段と、
装置の処理状態を管理する装置状態管理手段と、
受信したリモートアクセス申請を表示し、申請に対する承認・却下を行うリモートアクセ
ス申請審査手段と、
リモートアクセス申請に対する承認または却下を表す許可証を作成し、作成した許可証を
保守用端末へ送信するリモートアクセス許可証送信手段と、
リモートアクセス許可証送信手段にリモートアクセスの許可を指示するリモートアクセス
申請処理手段と、を備えることを特徴とするリモートアクセスシステム。
【請求項2】
保守用端末側または保守サービス会社内に、リモートアクセスの監査結果を受信するリモ
ートアクセス監査結果受信手段と、
受信したリモートアクセス監査結果を登録するリモートアクセス監査結果登録手段と、
登録された監査結果を管理するリモートアクセ監査結果管理手段と、
管理されている監査結果を検索して表示するリモートアクセス監査結果表示手段と、
医用機器上に、セキュリティログをもとに監査用のリモートアクセスの記録を作成するリ
モートアクセス記録作成手段と、
作成したリモートアクセス記録を表示し、その記録に対する承認・却下を行うリモートア
クセス監査手段と、
監査結果を保守用端末へ送信するリモートアクセス監査結果送信手段と、
リモートアクセス監査結果送信手段に監査結果の送信を指示するリモートアクセス監査処
理手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載のリモートアクセスシステム。
【請求項3】
保守用端末側または保守サービス会社内に、ユーザのログオン/ログオフを記録するユー
ザ認証手段と、
ユーザの認証結果を中央管理するユーザ認証記録管理手段と、
リモートアクセス監査結果とユーザ認証結果を監査レポートとして作成する監査レポート
作成手段と、
前記監査レポートを表示する監査レポート表示手段と、
前記監査レポートを送信する監査レポート送信手段と、を備えることを特徴とする請求項
1または2記載のリモートアクセスシステム。
【請求項4】
リモートアクセス許可証送信手段は、リモートアクセス申請に対して作成した許可証が
承認の場合のみ保守用端末へ送信することを特徴とする請求項1記載のリモートアクセス
システム。
【請求項5】
リモートアクセス記録作成手段は、過去にチェックしたレコードの日付と時刻を記録し
、その日付と時刻以降のレコードからチェックすることを特徴とする請求項2記載のリモ
ートアクセスシステム。
【請求項6】
監査レポート作成手段は、監査レポートをXML形式で作成することを特徴とする請求
項3記載のリモートアクセスシステム。
【請求項7】
医用機器に対するリモートアクセスの許可を申請するリモートアクセス手段と、
医用機器へのリモートアクセスの許可証を医用機器側から受信するリモートアクセス許可
証受信手段と、
受信した前記リモートアクセスの許可証を表示するリモートアクセス許可証表示手段と、
を備えたことを特徴とする保守用端末。
【請求項8】
保守用端末から送信されたリモートアクセス許可申請を受信するリモートアクセス申請
受付手段と、
受信したリモートアクセス許可申請を管理するリモートアクセス申請管理手段と、
装置の処理状態を管理する装置状態管理手段と、
受信したリモートアクセス申請を表示し、申請に対する承認・却下を行うリモートアクセ
ス申請審査手段と、
リモートアクセス申請に対する承認または却下を表す許可証を作成し、作成した許可証を
保守用端末へ送信するリモートアクセス許可証送信手段と、
リモートアクセス許可証送信手段にリモートアクセスの許可を指示するリモートアクセス
申請処理手段と、を備えたことを特徴とする医用機器。
【請求項9】
医用機器側からリモートアクセスの監査結果を受信するリモートアクセス監査結果受信
手段と、
受信したリモートアクセス監査結果を登録するリモートアクセス監査結果登録手段と、
登録された監査結果を管理するリモートアクセ監査結果管理手段と、
管理されている監査結果を検索して表示するリモートアクセス監査結果表示手段と、を備
えたことを特徴とする保守端末。
【請求項10】
セキュリティログをもとに監査用のリモートアクセスの記録を作成するリモートアクセス
記録作成手段と、
作成したリモートアクセス記録を表示し、その記録に対する承認・却下を行うリモートア
クセス監査手段と、
監査結果を保守用端末へ送信するリモートアクセス監査結果送信手段と、
リモートアクセス監査結果送信手段に監査結果の送信を指示するリモートアクセス監査処
理手段と、を備えることを特徴とする医用機器。
【請求項11】
ユーザのログオン/ログオフを記録するユーザ認証手段と、
ユーザの認証結果を中央管理するユーザ認証記録管理手段と、
医用機器から受信したリモートアクセス監査結果と、前記ユーザ認証結果を監査レポート
として作成する監査レポート作成手段と、
前記監査レポートを表示する監査レポート表示手段と、
前記監査レポートを送信する監査レポート送信手段と、を備えることを特徴とする保守用
端末。
【請求項12】
リモートアクセス許可証送信手段は、リモートアクセス申請に対して作成した許可証が
承認の場合のみ保守用端末へ送信することを特徴とする請求項8記載の医用機器。
【請求項13】
リモートアクセス記録作成手段は、過去にチェックしたレコードの日付と時刻を記録し
、その日付と時刻以降のレコードからチェックすることを特徴とする請求項10記載の医
用機器。
【請求項14】
監査レポート作成手段は、監査レポートをXML形式で作成することを特徴とする請求
項11記載の保守用端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−97187(P2008−97187A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276343(P2006−276343)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】