説明

リリーフバルブ

【課題】第1ボディと第2ボディとを超音波溶着によって溶着してなるケーシングを備えながらも、第1ボディと弁体とが超音波溶着によって溶着してしまうことを防ぐことができるリリーフバルブを提供する。
【解決手段】第1ボディ32と第2ボディ33とは同じ材質の熱可塑性樹脂(ポリエーテルイミド樹脂)からなるとともに、弁体40は、第1ボディ32及び第2ボディ33を形成する熱可塑性樹脂とは異なる材質の熱可塑性樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の流入口が形成された樹脂材料製の第1ボディと、気体の放出口が形成された樹脂材料製の第2ボディとが超音波溶着によって溶着されてなるケーシングを備えたリリーフバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両空調装置の冷媒回路に用いられる冷媒圧縮機の運転時には、冷媒圧縮機内に設けられている吐出室が高圧状態となるが、吐出室の圧力が所定値を越えて異常に高くなった場合には、吐出室の圧力を低減させ、冷媒圧縮機の破壊を防ぐ必要がある。このため、冷媒圧縮機には、吐出室の冷媒ガスを外部に放出するためのリリーフバルブが装備されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のリリーフバルブは、カップ状のボディ(第1ボディ)を備え、このボディの中央底部には圧力導入口(流入口)が形成され、この圧力導入口の内周縁には弁座が形成されている。ボディ内には弁体が収納され、この弁体の弁体ガイド部の内側には圧縮コイルばねが収納されている。ボディの上部開口には、中央に通口(放出口)を備えたプレート(第2ボディ)が固定されている。
【特許文献1】特開2001−12628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のリリーフバルブは、ボディの内部に、このボディと同じ材質の合成樹脂製の弁体を収納するとともに、圧縮コイルばねを収納した後、ボディの上部に、ボディと同じ材質の合成樹脂製のプレートを超音波溶着によって溶着して製造されている。しかしながら、ボディとプレートとを超音波溶着によって溶着させる際に、超音波振動によってボディとプレートとが振動するとともに、それに伴ってボディ内の弁体が振動し、ボディと弁体とが接触してしまう。特許文献1のようにボディと弁体とが同じ材質の合成樹脂であると、ボディと弁体との接触面において、超音波振動による摩擦熱が発生するとともに、ボディと弁体との接触面が溶融し、互いに溶着してしまい、弁体がボディ内において動かなくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、第1ボディと第2ボディとを超音波溶着によって溶着してなるケーシングを備えながらも、第1ボディと弁体とが超音波溶着によって溶着してしまうことを防ぐことができるリリーフバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、気体の流入口が形成された樹脂材料製の第1ボディと、気体の放出口が形成された樹脂材料製の第2ボディとが超音波溶着によって溶着されてなるケーシングを備え、前記流入口を開閉する弁体を前記ケーシングの内部に収容したリリーフバルブであって、前記第1ボディと前記第2ボディとは同じ材質の樹脂材料からなるとともに、前記弁体は、前記第1ボディ及び前記第2ボディを形成する樹脂材料と異なる材質の材料からなることを要旨とする。
【0007】
超音波溶着は、同じ材質の材料同士を溶融し接合させる性質を有しており、各材料に伝達された超音波振動によって、同じ材質の材料同士の接触面に集中的な伸縮運動が起こると、接触面に摩擦熱が発生する。すると、接触面同士が溶融するとともに、接触面同士が接合し、同じ材質の材料同士が超音波溶着によって溶着する。よって、第1ボディ及び第2ボディを形成する樹脂材料と異なる材質から弁体が形成されていると、超音波溶着の際に、第1ボディと弁体との接触面に集中的な伸縮運動が起きて摩擦熱が発生しても、第1ボディと弁体とが溶融することがなく、第1ボディと弁体とが互いに溶着してしまうことがない。よって、ケーシングを超音波溶着によって形成しても、第1ボディと弁体とが超音波溶着によって溶着してしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、第1ボディと第2ボディとを超音波溶着によって溶着してなるケーシングを備えながらも、第1ボディと弁体とが超音波溶着によって溶着してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を車両空調装置の冷媒回路に用いられるリリーフバルブに具体化した一実施形態について図1にしたがって説明する。
まず、車両空調装置の冷媒回路について説明する。
【0010】
図1(a)に示すように、冷媒回路10は、気体としての冷媒ガスを圧縮する冷媒圧縮機11、冷媒圧縮機11からの高圧の冷媒ガスを冷却する凝縮器C、凝縮器Cからの冷媒を絞る膨張弁V、及び膨張弁Vからの冷媒が蒸発される蒸発器Eを備えている。
【0011】
冷媒圧縮機11のハウジングは、シリンダブロック12と、シリンダブロック12のフロント側に接合されたフロントハウジング13と、シリンダブロック12のリヤ側に接合されたリヤハウジング14とから構成されている。リヤハウジング14には、吐出室Daと吸入室Saとが形成されている。なお、図1(a)において、冷媒圧縮機11の右側をリヤ側、左側をフロント側と定義している。
【0012】
リヤハウジング14には吸入通路16が形成され、吸入通路16は一端が吸入室Saに連通し、他端に冷媒回路10における蒸発器Eが接続されている。また、リヤハウジング14には吐出通路17が形成され、吐出通路17は一端が吐出室Daに連通し、他端に冷媒回路10における凝縮器Cが接続されている。そして、冷媒圧縮機11は、吸入室Saから吸入された冷媒ガスを圧縮室(図示せず)で圧縮し、圧縮した高圧の冷媒ガスを吐出室Daに吐出する。吐出室Daに吐出された冷媒ガスは、吐出通路17から凝縮器Cへ流入するようになっている。さらに、膨張弁V及び蒸発器Eを経由した冷媒は、吸入通路16から吸入室Saへ流入するようになっている。
【0013】
リヤハウジング14には装着孔15が形成され、装着孔15は一端が吐出室Daに連通し、他端が冷媒圧縮機11の外部たる大気に開放されている。図1(b)に示すように、装着孔15の吐出室Da側は大径部15aとなっており、大径部15aより大気側は大径部15aより小径の小径部15bとなっている。さらに、小径部15bにおける大気側の端部には、当接部15eが小径部15bの内側に向かって延設されている。また、装着孔15の周面には、大径部15aと小径部15bとの間に係止段差15cが装着孔15の全周に亘って形成されるとともに、大径部15aより吐出室Da側には係合凹部15dが装着孔15の全周に亘って凹設されている。そして、この装着孔15にはリリーフバルブ30が装着されている。このリリーフバルブ30は吐出室Daが異常な高圧となった時に、吐出室Daの圧力を低減させる目的で吐出室Daの冷媒ガスを大気へと逃がすものである。
【0014】
次に、リリーフバルブ30の構成について説明する。
リリーフバルブ30の外郭は略円筒状をなすケーシング31によって形成されている。このケーシング31は、略円筒状をなす第1ボディ32と、略円筒状をなす第2ボディ33とを超音波溶着によって溶着して一体化することにより形成されている。
【0015】
第1ボディ32及び第2ボディ33は、それぞれ同じ材質の樹脂材料たる熱可塑性樹脂(例えば、ポリエーテルイミド樹脂)よりなるとともに射出成形によって製造されている。第1ボディ32における第2ボディ33側の端部には、円筒状をなす第1筒部321が設けられている。また、第1ボディ32の中央部には、外径が第1筒部321よりも大径をなすとともに内径が第1筒部321と同径をなす円筒状の第2筒部322が第1筒部321に連続して設けられている。さらに、第1ボディ32において、第1筒部321と反対側の端部には、外径が第2筒部322より大径をなすとともに内径が第2筒部322と同径をなす円筒状の第3筒部323が第2筒部322に連続して設けられている。
【0016】
上記構成の第1ボディ32には、第2筒部322における第1筒部321側の端面によって第1ボディ側段部322aが形成されている。また、第1ボディ32における第3筒部323の第2筒部322側とは反対側の端縁には、係合鍔部34がケーシング31の外周面の全周に亘って形成され、係合鍔部34は装着孔15の係合凹部15dに係合可能になっている。
【0017】
一方、第2ボディ33における第1ボディ32側の端部には、円筒状をなす第1筒部331が設けられるとともに、この第1筒部331は、内径が第1ボディ32の第2筒部322の外径よりも大きくなっている。また、第2ボディ33の中央部には、内径が第1筒部331より小径をなす円筒状の第2筒部332が第1筒部331に連続して設けられている。さらに、第2筒部332における第1ボディ32側の端面には、嵌合凹部332bが第2筒部332の全周に亘って形成されている。第2ボディ33において、第1筒部331と嵌合凹部332bとの間に位置する第2筒部332の端面には、第2ボディ側段部332aが形成されている。さらに、第2ボディ33の外周面には、係止段部36が形成されている。
【0018】
そして、第1ボディ32の第1ボディ側段部322aと第2ボディ33の第2ボディ側段部332aとが超音波溶着によって溶着されて溶着部50が形成されるとともに、第1ボディ32と第2ボディ33とが溶着されてケーシング31が形成されている。ケーシング31において、第1ボディ32の第1筒部321は第2ボディ33の嵌合凹部332bと嵌合されている。また、第1ボディ32における第2筒部322の外周側には第2ボディ33の第1筒部331が位置するようになっている。さらに、第1ボディ32における第1筒部321の内周側には、第2ボディ33における第2筒部332の端面332cが位置するようになっている。さらに、ケーシング31において、第1ボディ32における第1筒部321の外周面と、この外周面と対向する嵌合凹部332bの内周面との間には、ケーシング31の全周に亘って隙間が形成されている。そして、この隙間は、超音波溶着の際に発生した溶融樹脂が収容される収容部51となっている。
【0019】
上記ケーシング31を備えたリリーフバルブ30は、第2ボディ33側が、大径部15a側から装着孔15内に挿入されている。そして、係止段部36が係止段差15cに係止するまでリリーフバルブ30が装着孔15に挿入されるとともに、係合鍔部34が係合凹部15dに係合している。係合鍔部34と係合凹部15dとの係合により、リリーフバルブ30は装着孔15の軸方向への移動が阻止された状態で装着されている。よって、リリーフバルブ30は、第1ボディ32側が吐出室Da側に位置し、第2ボディ33側が大気側に位置するように装着孔15に装着されている。
【0020】
リリーフバルブ30において、ケーシング31内には弁室37が形成されている。ケーシング31の軸方向一端であって、第1ボディ32の吐出室Da側の端面(一端面)には冷媒ガスの流入口38が形成され、流入口38は吐出室Daと弁室37とを連通している。また、ケーシング31において、流入口38の周囲には円筒状をなす弁座39が弁室37の内部に向けて立設されている。なお、第1ボディ32の射出成形の際に、弁座39を精度良く成形するためには、第1ボディ32の内側を成形する金型の第1ボディ32内からの抜き長さが可能な限り短くなるのが好ましい。この抜き長さを短くするということは、弁座39と第1ボディ側段部322aとの距離を短くすることであるため、本実施形態では、第1ボディ32と第2ボディ33との分割位置である溶着部50がケーシング31の軸方向の略中央になっている。
【0021】
ケーシング31の軸方向他端であって、第2ボディ33の大気側の端面(他端面)には冷媒ガスの放出口45が形成され、放出口45は弁室37と大気とを連通している。また、ケーシング31において、放出口45の周囲はストッパ部33aとなっている。
【0022】
弁室37内には弁体40及びコイルスプリングよりなる圧縮ばね44が収容されている。弁体40は略円柱状をなすとともに、第1ボディ32及び第2ボディ33を形成する熱可塑性樹脂とは異なる材質の熱可塑性樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)よりなる。弁体40における弁座39側の端面にはシールゴム41が装着されている。また、弁体40の周面と、この周面に対向する第1ボディ32の内周面との間にはガス通路37aが形成され、弁体40は弁座39に対して接離する方向へ移動可能となっている。そして、弁体40は弁座39に対して接離することにより、流入口38を開閉するようになっている。なお、この弁体40における弁室37内での移動をスムーズにするためには、弁体40の可動範囲内において、弁体40の外周面が摺動する可能性のある弁室37の内面に、第1ボディ32と第2ボディ33との溶着部50(接合面)が露出していないことが好ましい。よって、本実施形態では、弁体40を、溶着部50の露出していない弁室37内で移動させるために、弁体40を第1ボディ32の内側のみで移動させるようにした。このため、弁体40における不必要な大気側への移動を規制する端面332cを第1ボディ32内に配設するとともに、第1ボディ32と第2ボディ33との分割位置である溶着部50をケーシング31の軸方向の略中央であり、かつ、端面332cよりも外周側に配置した。
【0023】
また、弁体40において、シールゴム41が装着された端面と背向する端面の中央部には、圧縮ばね44をガイドするためのガイド溝40cが凹設されている。また、弁体40のシールゴム41が装着された端面と背向する端面には、複数の切欠40dが形成されている。弁室37内において、圧縮ばね44の一端側は弁体40のガイド溝40c内に収容されるとともに、圧縮ばね44の一端はガイド溝40cの底面に当接し、圧縮ばね44の他端は、ケーシング31におけるストッパ部33aに当接している。そして、圧縮ばね44は、弁体40を弁座39に向けて流入口38を閉鎖する方向に付勢する。
【0024】
装着孔15の当接部15eには、ケーシング31の他端が当接されている。また、第1ボディ32における第3筒部323の第2筒部322側の端面と、第2ボディ33における第1筒部331の係止段部36が形成された側とは反対側の端面との間には、シール部材42が介装されている。なお、シール部材42は、吐出室Daの冷媒ガスが溶着部50まで到達しないようにしている。
【0025】
したがって、本実施形態における第1ボディ32と第2ボディ33との分割位置である溶着部50は、弁座39を精度良く成形すること、弁体40の移動をスムーズにすること、及び溶着部50がシール部材42よりも大気側に位置していること全てを満足させるために、ケーシング31の軸方向の略中央になっている。
【0026】
次に、上記構成のリリーフバルブ30の機能について説明する。さて、冷媒圧縮機11の吐出室Da内が異常な高圧でなければ、吐出室Da内の圧力に基づき弁体40に作用する弁開方向への力は小さくなっている。したがって、弁体40の位置決めには圧縮ばね44のばね力が支配的となり、弁体40は弁座39に当接した状態となっている。よって、流入口38と弁室37との連通が弁体40によって遮断されて、吐出室Da内の冷媒ガスがリリーフバルブ30から大気へと放出されることはない。
【0027】
この状態から、何らかの理由によって吐出室Da内が異常な高圧に上昇しようとすると、吐出室Da内の圧力に基づき弁体40に作用する弁開方向への力が過大となる。したがって、弁体40は、圧縮ばね44のばね力に抗して移動して弁座39から離間する。弁座39から離間した弁体40は、第2ボディ33における第2筒部332の端面332cに当接することによって弁体40の移動が規制されている。よって、流入口38と弁室37との連通が弁体40によって開放され、吐出室Da内の冷媒ガスが流入口38、弁室37、ガス通路37a、切欠40d及び放出口45を経由して大気へと放出されて、吐出室Da内の異常な圧力上昇が防止される。端面332cの位置は、弁体40が弁座39から離間して、吐出室Da内の冷媒ガスが弁室37へ吐出室Da内の異常な圧力上昇が防止されるだけの流量分流れるために必要な開度を満たす位置となっている。
【0028】
上記リリーフバルブ30は以下のように製造される。弁体40及び圧縮ばね44を第1ボディ32に収容した状態で、第1ボディ32と第2ボディ33とを組付けるとともに、図示しない超音波振動源(例えば、ホーン)を第2ボディ33における軸方向側の端面に当てることで、第1ボディ32及び第2ボディ33に対して超音波振動を伝達させる。すると、この超音波振動によって、第1ボディ32と第2ボディ33との接触面である第1ボディ側段部322aと第2ボディ側段部332aとの接触面に集中的な伸縮運動が起こるとともに、第1ボディ側段部322aと第2ボディ側段部332aとの接触面において、超音波振動による摩擦熱が発生する。そして、第1ボディ側段部322aと第2ボディ側段部332aとの接触面が溶融するとともに、第1ボディ側段部322aと第2ボディ側段部332aとの接触面同士が接合する。よって、第1ボディ32と第2ボディ33とが超音波溶着によって溶着されることで溶着部50が形成され、リリーフバルブ30が製造される。溶融した溶融樹脂は収容部51へと流れ出し、収容部51に貯留される。
【0029】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)第1ボディ32と第2ボディ33とは同じ材質の熱可塑性樹脂(ポリエーテルイミド樹脂)からなるとともに、弁体40は、第1ボディ32及び第2ボディ33を形成する熱可塑性樹脂とは異なる材質の熱可塑性樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)からなる。そして、第1ボディ32と第2ボディ33とを超音波溶着によって溶着する際に、超音波振動によって第1ボディ32と第2ボディ33とが振動するとともに、ケーシング31内の弁体40も振動し、第1ボディ32と弁体40とが接触してしまう。ここで、超音波溶着は、同じ材質の材料同士を溶融し接合させる性質を有している。しかしながら、第1ボディ32と弁体40とは異なる材質の熱可塑性樹脂(ポリエーテルイミド樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂)からなる。よって、第1ボディ32と第2ボディ33とを超音波溶着によって溶着する際に、第1ボディ32と弁体40とが超音波振動によって接触したとしても、第1ボディ32と弁体40とが溶融することなく、第1ボディ32と弁体40とが互いに溶着してしまうことがない。その結果、弁体40がケーシング31内において動かなくなってしまうことを防止することができる。
【0030】
(2)弁体40は、第1ボディ32及び第2ボディ33を形成する熱可塑性樹脂とは異なる材質の熱可塑性樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)からなる。よって、弁体40を、例えば、金属又はセラミック等の材質とした場合と比較して、弁体40の加工が容易となるとともに、弁体40を軽量化することができる。
【0031】
(3)弁座39から離間した弁体40は、第2ボディ33における第2筒部332の端面332cに当接するようになっている。よって、弁体40における不必要な大気側への移動が規制され、圧縮ばね44における流入口38側へ作用する付勢力によって、開弁した弁体40が弁座39の位置へ戻るときに、弁体40が傾きながら弁座39の位置へ戻ってしまうことを抑制することができる。
【0032】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、弁体40の材質を、例えば、金属又はセラミック等の材質としてもよい。
【0033】
○ 実施形態において、弁体40の材質を、ポリブチレンテレフタレート樹脂とは異なる合成樹脂としてもよい。
〇 実施形態において、第1ボディ32及び第2ボディ33の材質を、ポリエーテルイミド樹脂とは異なる樹脂としてもよい。
【0034】
○ 本発明を車両空調装置の冷媒回路10における冷媒圧縮機11に装備されるものに具体化したが、これに限らず、例えば、リリーフバルブ30を、車両空調装置以外の空調装置の冷媒回路に用いられる圧縮機や、空調装置以外の冷媒回路に用いられる圧縮機に装備してもよいし、圧縮機以外の機器(例えば油圧ポンプ)に装備してもよい。
【0035】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記弁体は、前記第1ボディ及び前記第2ボディを形成する樹脂材料とは異なる材質の樹脂材料からなる請求項1に記載のリリーフバルブ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は冷媒回路を示す概略図、(b)は装着孔内のリリーフバルブを示す断面図。
【符号の説明】
【0037】
30…リリーフバルブ、31…ケーシング、32…第1ボディ、33…第2ボディ、38…流入口、40…弁体、45…放出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流入口が形成された樹脂材料製の第1ボディと、気体の放出口が形成された樹脂材料製の第2ボディとが超音波溶着によって溶着されてなるケーシングを備え、前記流入口を開閉する弁体を前記ケーシングの内部に収容したリリーフバルブであって、
前記第1ボディと前記第2ボディとは同じ材質の樹脂材料からなるとともに、前記弁体は、前記第1ボディ及び前記第2ボディを形成する樹脂材料と異なる材質の材料からなることを特徴とするリリーフバルブ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−144921(P2010−144921A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326334(P2008−326334)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000219864)東久株式会社 (8)
【Fターム(参考)】