説明

リン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層を有するアルミニウム含有支持体、該支持体の製造方法および該支持体の使用

表面に被着された、少なくとも1のリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層とその他の被膜層とを有するアルミニウム含有支持体が開示される。このアルミニウム含有支持体は、リン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層が一次被膜層を表し、一次被膜層上に当該一次被膜層の材料とは異なる微孔性またはメソ多孔性二次材料が被着されていることを特徴としている。このアルミニウム含有支持体は、1.アルミニウム含有支持体が網目構造形成元素として少なくともリンを含んだ水性懸濁液中で熱水処理され、次いで、インサイチュー晶出によってリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性一次被膜層が形成され、その際、とくに、水性懸濁液中に化学量論的不足下で存在する網目構造形成アルミニウムと水性懸濁液中に存在するすべての網目構造形成元素の総和との間のモル比は0.5以下であるため、化学量論的不足を補償するために必要なアルミニウムはアルミニウム含有支持体から奪われ、さらに、2.微孔性一次被膜層上に微孔性またはメソ多孔性二次材料が形成され、その際、微孔性一次被膜層を有するアルミニウム含有支持体は多孔性二次材料の形成に必要な網目構造形成元素を含んだ水性懸濁液中でさらなる処理に付されるように構成した方法によってとくに有利に製造される。上記のアルミニウム含有支持体は、熱交換器、触媒反応器または防食機能ないし防汚機能を有する熱変態技法構成要素としてとくに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に被着された、少なくとも1のリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層と、場合によりその他の被膜層とを有するアルミニウム含有支持体、該被膜コーティングされたアルミニウム含有支持体の製造方法ならびに該支持体の有利な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのアルミニウム支持体はたとえば米国特許公報第2003/0091872号[US 2003/0091872 A1]明細書ならびに国際公開第2006/048211号[WO 2006/048211 A2]パンフレットから知られている。米国特許公報第2003/091872号明細書は、金属含有支持体上にアルミノケイ酸塩ゼオライトの被膜層を形成する方法に関するものであり、これは代表的なアルミノケイ酸塩ゼオライトの水性合成懸濁液を使用することによって行われる。アルミニウム含有支持体を該懸濁液中に浸漬した後、支持体のアルミニウム原子の一部はゼオライト網目構造内に取り込まれ、これによって支持体上へのゼオライト被膜層の付着が改善される。溶液中のSi源とAl源とは形成さるべきゼオライト被膜層の構造材料を供給し、その際、これらのソースは互いに化学量論比をなしている。この公知の提案は満足すべきものではない。この提案によれば、確かに、晶出に際してアルミニウム含有支持体上に代表的なアルミニウムケイ酸塩ゼオライトからなる被膜層が形成されるが、支持体への該被膜層の定着は不十分である。これに対して、国際公開第2006/048211号パンフレットに開示された思想は改善をもたらす。該文献に開示された思想も同じく、とくに、アルミニウム含有支持体上にゼオライト被膜層を形成する方法に関するものである。ゼオライト網目構造を形成する少なくとも1元素を含んだ水性懸濁液が作製されるが、この場合、アルミニウム含有支持体は網目構造形成元素の少なくとも1つを有している。この場合にも、アルミニウム含有支持体は水性懸濁液中に浸漬され、その際、支持体上にインサイチュー晶出によってゼオライト被膜層が形成される。国際公開第2006/048211号パンフレット開示の発明の核心は、水性懸濁液中に存在する、ゼオライト形成プロセスならびにゼオライト最終構造のための網目構造形成元素の少なくともいずれか1つが化学量論的不足下にあることである。水性懸濁液中に存在する化学量論的不足下にある網目構造形成元素(単数/複数)と水性懸濁液中に存在するすべての網目構造形成元素の総和との間のモル比は0.5以下である。上記のアルミニウム含有支持体から化学量論的不足下にある網目構造形成元素が奪われて、ゼオライト被膜層中に取り込まれる。好ましくは、網目構造形成元素は水性懸濁液中に存在するリンである。この種のケースにおいて、支持体上にはリン酸アルミニウムゼオライトが形成される。この場合、網目構造形成元素はたとえばリン酸またはさまざまなリン酸アンモニウムに由来していてよい。
【0003】
したがって、国際公開第2006/048211号パンフレットから公知の技術的提案にとって重要な点は、上記の水性懸濁液中にある網目構造形成元素の少なくともいずれか1つが化学量論的不足下にあることである。これから多様な利点が生ずる。たとえば、アルミニウム含有支持体上に形成されたゼオライト被膜層は確実な定着と非常に良好な付着とを示す。結晶はアルミニウム含有支持体の表面に対して基本的に垂直に配向している。こうした特別な配向は結晶のほぼ一様な配列を意味し、製造されたゼオライト被膜層結晶の微孔系への反応物の均等なアクセシビリティーを保証する。
【0004】
それゆえ、上述した従来の技術はゼオライト被膜層とりわけリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の“晶出”を背景として考察されなければならない。ここで“リン酸アルミニウム”および“ALPO”に言及が行われる場合には、同時に置換誘導体“SAPO”、“MeAPO”および“MeSAPO”も含まれていることとする。
【0005】
上述した従来の技術において、結合剤は使用されない。これは有利であるが、ただし、必ずしもすべてのゼオライトがこのようにしてアルミニウム含有支持体の表面上に成長するとは限らない。多くの場合、とりわけ、強アルカリ溶媒中で晶出するアルミノケイ酸塩にあっては、金属含有支持体の破壊をもたらす制御不能な溶解反応が生ずることがある。その他のゼオライトも金属表面上またはセラミック表面上に直接成長させることは非常に困難である。というのも、これらの表面の組成、構造または表面電位はゼオライトの構成素子分子(building units)に対して反撥効果を有しているからである。触媒中での分子の吸着、浄化および吸着プロセスならびに物質分離にとって、ゼオライト被膜層内部での物質輸送は速度制限要因であることが多い。したがって、比較的厚い被膜層が必要とされる場合には、限界被膜層厚さを超えると常に、ゼオライト被膜層内/ゼオライト被膜層外への物質輸送にとって不適な影響が生ずることになる。
【0006】
本発明の分野におけるさらに別の従来の技術は国際公開第96/01686号[WO 96/01686]パンフレットから判明する。この国際公開文献は先ず、改善された選択的分子透過性を有するシステムを開示している。該システムは、支持体と、ゼオライトまたはゼオライト類似被膜層と、ゼオライトまたはゼオライト類似被膜層に接触している選択性改善コーティング被膜層と、オプショナルに設けられる、支持体と接触している透過性中間被膜層とをベースとしている。ゼオライト被膜層またはゼオライト類似被膜層は支持体および/またはオプショナルに設けられた中間被膜層に接触している。コーティング被膜層は透過性であっても非透過性であってもよい。透過性材料は分子を輸送する多孔性構造を有することができるために、分子はゼオライトを通過することができる。こうした材料はまた、分子を通過させ、こうして、ゼオライトを通して分子を移動させるのに十分な自由体積を有する簡素な材料であってもよい。好ましいコーティング被膜層はポリイミドからなる。ポリイミドコーティング被膜層ないしポリイミド被膜はこの国際公開文献の開示によれば低級炭化水素分子にとって非常に低い透過性を有している。それにもかかわらずそれは十分な透過性を有すると共に選択性を改善するものでなければならない。ただし、ポリイミドは、場合により考慮される焼成に際して燃焼するという短所を有している。この種のコーティング被膜層のもう1つの例は二酸化ケイ素である。このコーティング被膜層も透過性であっても非透過性であってもよい。ゼオライト被膜層の特定の区域に被着された被膜層による選択性の改善は、ゼオライト被膜層の不適な孔の純物理的な封鎖に基づいている。特別な材料特性による、単純な局所的輸送ブロック以上の、化学的特性の固有な機能性は達成されない。
【0007】
この従来の技術による材料にとって、当該支持体がいかなる種類のものでなければならないかは重要でないことは明らかである。それは多孔性であっても多孔性でなくてもよい。それは、好ましくは、無機酸化物またはステンレス鋼をベースとしている。それは、また、セラミック材料、金属、炭化物、ポリマーおよびそれらの混合物であってもよい。さらにまた、光屈折性酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、炭化ケイ素、炭素、黒鉛、窒化ケイ素またはそれらの混合物も思料可能である。かくて、こうした支持体上に、とくに、任意のゼオライトからなる被膜層を形成することができる。具体的に好ましくは、ケイ酸アルミニウムMFIがとくに例中に挙示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明の目的は、冒頭に述べた、表面に被着された、少なくとも1のリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層と、その他の被膜層とを有するアルミニウム含有支持体を発展改良し、上述した物質輸送制限の短所(圧力損失)が除去ないし少なくとも著しく減少させられるようにすることである。加えてさらに、意図された特別な技術的効果を促進するための多重被膜層の形成を可能にすることも本発明の目的である。同じく、こうした所定の被膜コーティングの施されたこの種のアルミニウム含有支持体の製造に適した方法を提案することも本発明の目的である。また、その他の有利な使用可能性を開拓することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決方法として本発明は、リン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層が一次被膜層を表し、該被膜層上に一次被膜層の材料とは異なる微孔性またはメソ微孔性二次材料が連続的または断続的に被着されることを提案する。
【0010】
それゆえ、本発明は、上記アルミニウム含有支持体上にゼオライト被膜層が形成されるだけでなく、上記一次被膜層に続いて異なった微孔性またはメソ多孔性二次材料が連続的または断続的に設けられる点で、上述した従来の技術とはとりわけ相違している。したがって、直接の晶出プロセスによってキャリア層上に成長させることが従来不可能であったかもしくは極めて困難であったかするゼオライトタイプを今や著しく良好にかつキャリアの溶解を生ずることもなく被膜層として晶出させることが可能である。上記概略的に示した本発明による思想は上述した従来の技術に比較して顕著な改善ないし利点をもたらす。一次被膜層の形のリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層は、連続的であれ断続的であれ、異なった微孔性またはメソ多孔性二次材料との間にとくに有利な堅固な結合を示す。これは、それぞれのアルミニウム含有支持体上にゼオライト被膜層がより厚くかつ著しく安定的に定着される場合にも、優れたアクセシビリティーをもたらすことになる。最後に、本発明は、結合剤なしのゼオライト被膜層の製造に際し、ゼオライト選択幅の拡大を可能にする。これにより、直接の晶出に際してキャリア材料を溶解させるかあるいはキャリア材料表面に晶出させることが非常に困難であったかする材料も被膜層として思料可能になる。さらに、一次被膜層としてのリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層を一方とし、上記二次材料を他方とした、両者のコンビネーションによって、微孔性材料からなる被膜層の特性制御におけるフレキシビリティーが向上させられる。アルミニウム含有支持体上への多くのタイプのゼオライトの晶出は一次被膜層の形成によって促進されると共に、よりマイルドな条件下で実施可能である。とくに、孔径の相異するゼオライトのコンビネーションによって、とくに好適な物質輸送を可能にする階層的構造を有する多孔系−つまり、孔径が段階化された階層的多孔系−をつくり出すことができる(sh.Martin Hartmann、Angew Chem Int.Ed Engl.2004 Nov 12;43(44):5800−2)。
【0011】
上記記述は、微孔性一次被膜層にも、たとえば被膜層の形で連続的にもしくは断続的に設けられた微孔性またはメソ多孔性二次材料にもそれ自体として物質流とくにガス流が求められる適用ケースにおいて、それを可能にする機能が帰せられることを示している。重要な適用に当たり、二次材料の種類が基本的に所望の機能を決定する。それゆえ、これは“機能多孔性二次材料”ないし“機能微孔性またはメソ多孔性二次材料”と称することができよう。それゆえ、以下、ケースバイケースで、技術的趣旨の制限を含むことなく、“機能二次材料”も論じられることとする。
【0012】
以下、本発明によるアルミニウム含有支持体のとくに有利な実施態様を詳細に説明する:
【0013】
本発明によるアルミニウム含有支持体は、表面に被着された、少なくとも1のリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層を有する。これらの材料は本発明の趣旨により、インサイチュー晶出に際してアルミニウム含有支持体に由来するアルミニウムによってその化学的組成が変化させられることがなく、さらに、後続する微孔性またはメソ多孔性二次材料の形成プロセスにおいてたとえば固有の対イオンによって二次材料に望まざる影響を与えることもないという利点を有する。このアルミニウム含有支持体は好ましくは、アルミニウム、アルミニウム含有合金とくにアルミニウム合金鋼、またはアルミニウム含有セラミックたとえばケースバイケースで酸化アルミニウムである。
【0014】
本発明上重要な機能二次材料は微孔性またはメソ多孔性である。好ましくは、この微孔性またはメソ多孔性二次材料はALPOとして、とくにSAPO、MeAPOまたはMeSAPOとして存在するかまたは一般にゼオライトケイ酸アルミニウムまたはケイ酸塩の形で、とくにFAU、MFI、LTA、BEA、CHAとして存在する。特別な機能性を有する連続的な非多孔性二次材料も同じく被着することが可能であるが、ただしその場合には物質輸送が妨げられる。
【0015】
微孔性一次被膜層は約2.0nm以下とくに1.0nm以下の平均孔径を有しているのが有利である。この場合、平均孔径は約0.2〜1.0nmとくに約0.3〜0.7nmであるのがとくに有利である。微孔性一次被膜層の平均孔径は微孔性二次材料の平均孔径よりも小さいのが好ましい。ただし、ケースバイケースで、二次被膜層に小さな多孔が存在し、一次被膜層に大きな多孔が存在するのが好適な場合もある。さらに、微孔性二次材料の平均孔径は約0.4〜1.5nmとくに約0.5〜1.3nmであれば有利である。メソ多孔性二次材料の平均孔径は約2〜5nmとくに約2.5〜4nmであれば好適である。
【0016】
本発明によって意図される有利な技術的成果にとって、一次被膜層の厚さならびに連続的または断続的な微孔性またはメソ多孔性二次材料被膜層の厚さは決定的に限定されているわけではない。微孔性一次被膜層は少なくとも約1μmの厚さを有しかつ/または微孔性またはメソ多孔性二次材料は少なくとも約1μmとくに少なくとも約5μmの厚さを有していれば有利であることが判明した。被膜層厚さが約1μm以下であれば、多くの場合、断続的な一次被膜層が生ずる。したがって、既述したように、一次被膜層の表面が多孔性二次材料によって完全に覆われていることは必須というわけではない。ケースバイケースで、多少の差はあれ、断続的な被着が行われてもまったく十分である。一般に、断続的な被膜形成が行なわれる場合でも、表面被覆が約60%以上とくに約90%以上であれば十分である。
【0017】
本発明の具体的な実現に当たり、加えてさらに、微孔性一次被膜層と微孔性またはメソ多孔性二次材料とは、多孔性物質の化学的種類、多孔度または多孔系の種類と配向の点で相違を有し、とくに、漸次的に段階化された多孔度の形の相違を有しているのが有利であることが判明した。漸次的に段階化された多孔度が論じられる場合、それはとくに以下のように−すなわち、物質輸送を促進する“階層的”多孔度として−理解されることとする。さらに、段階化された多孔度は、孔径差の適合化によって、一方の多孔系から他方の多孔系への物質移動を促進する“漏斗効果”を生ずることを特徴としている。多孔度の段階化によって、物質輸送は、同じ被膜層厚さのリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性被膜層ととくにゼオライトの形の微孔性またはメソ多孔性二次材料層とにおけるよりも良好に行われることができる。化学的種類の相違の例として、格子組成、含まれている対イオンまたは包有物ならびに材料の親水性および酸性度を挙げておくこととする。またこれには常に、化学的性質の機能特性あるいは、化学作用を示す、純物理的な局所的輸送ブロック以上の特性が結びついている。異なった多孔度は有利には、上述した多孔度範囲の枠内で調整することが可能である。多孔系の種類と配向については、二次元多孔流路系と三次元多孔網目構造とのコンビネーションないし三次元多孔系(3−D)を有する一次被膜層上に被着された二次材料中の好ましくはキャリア表面に対して垂直に配向された多孔系によって有利な拡散特性の実現が可能になるということができる。
【0018】
ケースバイケースで、微孔性またはメソ多孔性二次材料上に、上述したような機能性を帰することのできるさらに別の少なくとも1材料が形成されているのが有利であることがある。とくに、それは機能多孔性材料であってよい。
【0019】
この場合、微孔性一次被膜層と、微孔性またはメソ多孔性二次材料と、被着されたさらに別の多孔性材料とは、適用時の物質輸送を促進すべく、漸次的に段階化された多孔度を有しているのが大幅に好ましい。被膜コーティングされたアルミニウム含有支持体が、防汚被膜層の機能を果たす外側皮膜層を有しているのが好適である適用ケースも存在する。本発明によるアルミニウム含有支持体のフレキシビリティーは、有利には、微孔性一次被膜層および/または多孔性二次材料が機能作用物質および/または金属イオンとくに触媒作用金属イオンを含んでいることができる点に認められる。この場合、とりわけ、金属イオンたとえば白金イオン、パラジウムイオン、ルテニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、コバルトイオン、亜鉛イオンまたはニッケルイオンが好ましい。
【0020】
したがって、結果として、種々の機能コーティング被膜層によって、たとえば汚染防止、不均一触媒反応、物質分離、また、触媒作用と結びついた、吸着ならびに物質浄化およびエネルギー変換等のための種々相違した有利な適用可能性の開拓が可能である。
【0021】
本発明による上述したような被膜コーティングされたアルミニウム支持体は、熱交換器、触媒反応器または熱変態技法構成要素としてまたは防汚作用を有する構成要素として使用するに当たってとくに有利な効率を示す。
【0022】
本発明によるアルミニウム含有支持体が示す利点は、とりわけ、本発明の提案になるアルミニウム含有支持体の製造方法が用いられる場合に達成される。
【0023】
それは上述したタイプのアルミニウム含有支持体の製造方法であり、この製造方法において、1.アルミニウム含有支持体は網目構造形成元素として少なくともリンを含んだ水性懸濁液中で熱水処理され、次いで、インサイチュー晶出によってリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性一次被膜層が形成され、その際、とくに、上記水性懸濁液中に化学量論的不足下で存在する網目構造形成アルミニウムと上記水性懸濁液中に存在するすべての網目構造形成元素の総和との間のモル比は0.5以下であるため、化学量論的不足を補償するために必要なアルミニウムは上記アルミニウム含有支持体から奪われ、さらに、2.上記微孔性一次被膜層上に微孔性またはメソ多孔性二次材料が形成され、その際、上記微孔性一次被膜層を有する上記アルミニウム含有支持体は上記微孔性またはメソ多孔性二次材料の形成に必要な網目構造形成元素を含んだ水性懸濁液中でさらなる処理に付されることになる。
【0024】
対策1として上述した“化学量論的不足技法”は基本的に、すでに冒頭に論じた国際公開第2006/048211号パンフレットに由来しており、つまり同文献中で好ましいと判明した方法理論に由来している。この場合、リン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層を形成させるため、アルミニウム含有支持体に微孔性一次被膜層を被着させるべく使用される水性懸濁液中には、網目構造形成元素としてリンが含まれていることが看取される。該液中においてリンは、たとえばリン酸またはリン酸塩として、とくに水溶性リン酸塩の形で含まれていてよい。加えてさらに、とくに水溶性リン酸塩として、リン酸アンモニウムが思料可能である。
【0025】
リン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)が、たとえばSAPOのように、ケイ素を含んだゼオライトであるケースについては、水性懸濁液は網目構造形成元素としてケイ素も含んでいる。この場合、ケイ素は、ケイ酸またはシリカゾルまたは高分散酸化ケイ素たとえばエーロゾルの形あるいはケイ酸エステルの形で反応液に供給される。加えてさらに、溶解性ケイ酸塩たとえばケイ酸ナトリウムも添加可能である。
【0026】
ケースバイケースで、さらにテンプレート化合物を使用することが有利であることもある。これは構造調整剤(SPA)たとえばアルキルまたはアリールアンモニウム塩、この場合、好ましくはリン酸塩であり、あるいはまた表面活性物質である。
【0027】
所与の対策1の理論によれば、アルミニウムが完全にアルミニウム含有支持体に由来するように構成するかあるいはまた部分的に網目構造形成元素としての懸濁液に由来するように構成するかは当業者の任意である。したがって、多孔性二次材料を形成するために“必要な網目構造形成元素”なる指標は当業者にとって十分な情報である。これは本発明の説明に関連しても、たとえばとくに以下の実施例からしてもそうである。
【0028】
この方法は、化学量論的不足下にある網目構造形成アルミニウムと懸濁液中に含まれているすべての網目構造形成元素の総和とのモル比が0.2以下とくに0.1以下であることによってとくに有利に発展させることができる。加えてさらに、それぞれの被膜層ないし被着さるべき材料を形成させるために用いられる水性懸濁液が約50〜250℃とくに約80〜200℃の温度に調整されるのが有利である。
【0029】
本発明による方法には、微孔性またはメソ多孔性二次材料上ないし該材料の被膜層上に、すでに上記に一例として触れたさらに別の機能多孔性材料が被着されることによって、とくに有利な発展態様が付与される。
【0030】
この機能多孔性材料については以下のように述べることができる。
【0031】
すなわち、この材料は既存の孔径の階梯化を引き継がなければならず、それによって、好ましくは、二次材料の保護機能を果たすと共に汚染を防止し、一次被膜層と二次材料との異なった化学的特性を有利に補完することができるということである。
【0032】
本発明のさらにその他の利点について述べることとする:
【0033】
本発明の利点は、とくに、金属アルミニウムまたはその他のアルミニウム含有キャリア上に非常に良好に付着するリン酸アルミニウム(リン酸塩一次ゼオライト)をベースとして、アルミニウム含有量の高い被膜層の形のゼオライトコンビネーションが本発明になる方法によって初めて実現される点に認められる。一次被膜層への二次材料(たとえば第2のゼオライト被膜層)の付着は、一次被膜層の大きな粗度と化学的類似性(OH末端基、アルミニウム正四面体、場合により、ケイ酸塩正四面体)とによって非常に強固である。本発明により、有利には、リン酸アルミニウム一次被膜層上に異なったゼオライトタイプ(たとえば、ケイ酸アルミニウムゼオライトおよびリン酸アルミニウムゼオライト)からなる二重および多重被膜層をつくり出すことが可能である。
【0034】
本発明による所産は、従来の技術に比較したとくに以下の改善に帰せられる多様な使用可能性を示す:種々異なったゼオライト構造:リン酸アルミニウムおよびリン酸アルミニウム上に被着されるケイ酸アルミニウム、それから導出されたその他の格子イオンを有する系;種々異なった孔半径(大小の孔口)、種々異なった孔隙率、結晶または多孔系の種々異なった配向、線状多孔系および3D多孔系;種々異なった親水性、酸性度、種々異なった合成後改質、種々異なった量および/またはタイプのカチオン(金属)のイオン交換;種々異なった形態(大形結晶ないし通路)、開放マクロ構造を有した個々の結晶の連続被膜層またはナノ粒子/微結晶および、従来実現不可能であった二次被膜層としてのゼオライト被膜層。
【0035】
本発明を上記の説明とも関連させてなお技術的に詳しく述べることが有用であると思われる:先ず、アルミニウム含有支持体上にALPO、SAPO、MeAPOまたはMeSAPOの一次被膜層(リン酸塩一次ゼオライト)を形成させることが可能である。この場合、本発明は好ましくは消費性結晶化を用いる。これは上記アルミニウム含有支持体上に結合剤なしでリン酸塩ゼオライトを堅固に固着させるための方法である。この支持体は次いで、リン酸塩一次被膜層の表面に第2のゼオライト(二次ゼオライト)の形の機能多孔性二次材料の晶出をもたらすさらに別の合成液中に浸漬される。有利な懸濁液は不均一核形成の高い傾向を有しており、これによって、大きなゼオライト表面積を有する既存の一次被膜層上に二次材料とくに二次ゼオライトの成長が生ずる。かくて、とくに好適な均一な核形成となる。第2の合成液の反応技術的パラメータならびに材料パラメータを調整して、一次被膜層の溶解およびアルミニウム含有支持体の溶解が生ずることがなく、かつゼオライトの遊離ゼオライト粉末が形成されることなく、一次被膜層上に晶出が行われるようにするのが有利である。二次ゼオライトの晶出は、たとえば250℃までの温度での熱水合成によって実施される。本発明によるアルミニウム含有支持体製造時の具体的な条件はリン酸塩一次ゼオライト/二次ゼオライトの組み合わせに応じて変化し、したがって、それぞれの場合に適合化されなければならず、これは当業者により技術的に実施可能である。一次ゼオライトと二次ゼオライトとが著しく相違する場合には、一次被膜層上に前以て二次ゼオライトの結晶核を付着しておくのも好適である。
【0036】
上記に詳細に述べられた本発明は、連続した図7、8に基づいて、さらに詳しく説明することができる:図7は、アルミニウム含有支持体と、ALPOベースの一次被膜層と、二次材料とからなる複合系を概略的に示したものである。図8は、一次被膜層と二次材料との特性を変化させることによって実現可能な本発明による複合系を概略的に示したものであり、この場合、各々の被膜層ないしそれらの意味については図7を参照されたい。第2の二次材料を被着することにより、相応して以下の変種を拡大実現することができる:1)微孔性ALPO一次被膜層+多孔性ALPO二次材料および2)微孔性ALPO一次被膜層+ケイ酸アルミニウム二次材料またはケイ酸塩二次材料;3)小形結晶からなる一次被膜層と大形結晶からなる二次材料またはその逆:4)個々の結晶はそれぞれ互いに癒合していてもよい。5)および6):結晶または多孔系の配向は相違している(たとえば、線状配向多孔系および三次元配向多孔系)。孔径の階梯化:7)では一次被膜層の孔径は小さく、二次材料の孔径は大きい。8)では一次被膜層の方が大きな孔径を有している。9)および10)は一次被膜層と二次材料との化学的特性(たとえば、親水性、酸性度、対イオン:タイプおよび量)の相違をシンボリックに示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】被膜コーティング工程の前および後のAlキャリアのX線回折記録を示している。
【図2】一次被膜層および二次被膜層形成後のキャリアの電子顕微鏡撮影像を示している。
【図3】二次被膜層形成後の撮影像を示している。
【図4】一次被膜層形成後と二次被膜層形成後との合成体のX線回折記録を示している。
【図5】ALPO−5二次被膜層の電子顕微鏡撮影像を示している。
【図6】一次被膜層形成後と二次被膜層形成後とのAlキャリアのX線回折記録を示している。
【図7】アルミニウム含有支持体と、ALPOベースの一次被膜層と、二次材料とからなる複合系を概略的に示したものである。
【図8】一次被膜層と二次材料との特性を変化させることによって実現可能な本発明による複合系を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を、さまざまな製造実施例に基づいて、詳細に説明する。下記説明中において、略称、MFI(ZSM−5)、AFI(ALPO−5)、AEI(SAPO−18)およびCHA(SAPO−34)は国際ゼオライト協会IZAの命名法に準拠したゼオライト化合物を表している(“Atlas of Zeolite Frameworks”、Ch.Baerlocher、L.B.McCusker、D.H.Olson、Elsevier、2007)。
【0039】
実施例1 (SAPO−34上のMFI)
【0040】
一次被膜層の合成:SAPO−34(CHA)一次被膜層の製造は熱水処理によるAlキャリアの部分的変態を経て行われた。AlキャリアとしてはAlシート(厚さ160μm、寸法6×8cm、〜99%Al)が使用された。該シートは、通例の網目構造形成体(リンおよびケイ素)と構造調整テンプレート(モルホリン)とを含んだ水性合成液と共にオートクレーブ(40ml)中に入れられた。酸化物比による合成液の組成は、1.0 P:0.4 SiO:3.0 モルホリン:70 HOであった。リン源としてはHPO(85%)が使用され、ケイ素源としてはシリカゾル(35%)がそれぞれ使用された。熱水結晶化は200℃にて48hにわたって行われた。48hに及ぶ晶出時間の経過後、オートクレーブは室温にまで冷やされた。続いて、被膜コーティングされたキャリアが取り出され、脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられた。
【0041】
二次被膜層の合成:MFI二次被膜層の晶出は2段階で行われた。先ず、被膜コーティングされたキャリアがシリカライト−1結晶で擦られた。これによって、SAPO−34一次被膜層の表面は、二次被膜層形成のための結晶核として機能し得るMFI結晶で覆われた。シリカライト−1種晶の製造は、以下の組成−1.0 SiO:0.16 TPAO:29 HO−を有する反応混合物から出発して、160℃にて48hの晶出時間にわたって行われた。ケイ素源としてはテトラエチルオルトシリケートが使用され、テンプレートとしてはテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが使用された。
【0042】
前処理されたキャリアは続いて、ZSM−5(MFI)の晶出のための反応混合物と共にオートクレーブ(40ml)中に入れられた。反応混合物のモル組成は、1.0 SiO:0.0088 Al:0.036 KO:0.056 TPAOH:111 HOであった。ケイ素源としてはテトラエチルオルトシリケートが使用され、Al源としては硝酸アルミニウム、テンプレートとしてはテトラプロピルアンモニウムブロミドがそれぞれ使用された。熱水結晶化は175℃にて24hにわたって実施された。24hに及ぶ結晶化時間の経過後、オートクレーブは室温にまで冷やされ、被膜コーティングされたキャリアが取り出されて脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられる。
【0043】
図1は被膜コーティング工程の前および後のAlキャリアのX線回折記録を示している。加えてさらに、ZSM−5種晶の回折記録も表されている。図2は一次被膜層および二次被膜層形成後のキャリアの電子顕微鏡撮影像を示している。次いで、図3には、二次被膜層形成後の撮影像が認められる。これらの回折記録ならびに電子顕微鏡撮影像から、SAPO−34一次被膜層とZSM−5二次被膜層との形成を明確に検出することができる。
【0044】
実施例2 (SAPO−34(CHA)上のALPO−5(AFI))
【0045】
一次被膜層の合成:SAPO−34一次被膜層の製造は熱水処理によるAlキャリアの部分的変態を経て行われた。AlキャリアとしてはAlシート(厚さ160μm、寸法6×8cm、〜99%Al)が使用された。このシートは、通例の網目構造形成体(リンおよびケイ素)と構造調整テンプレート(モルホリン)とを含んだ水性合成液と共にオートクレーブ(40ml)中に入れられた。合成液の組成は、1.0 P:0.4 SiO:3.0 モルホリン:70 HOであった。リン源としてはHPO(85%)が使用され、ケイ素源としてはシリカゾル(35%)が使用された。熱水結晶化は200℃にて48hにわたって行われた。48hに及ぶ晶出時間の経過後、オートクレーブは室温にまで冷やされた。続いて、被膜コーティングされたキャリアが取り出され、脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられた。
【0046】
二次被膜層の合成:ALPO−5二次被膜層の晶出は、被膜コーティングされたAlキャリアの第2の熱水処理によって行われた。そのため、以下のモル組成−0.9 Al:1.0 P:1.0 TEA:50 HO−を有する反応材料が作製された。Al源としてはプソイドベーマイトが、リン源としてはHPOが、テンプレートとしてはトリエチルアミンがそれぞれ使用された。二次被膜層の結晶化は175℃にて24hにわたって、40mlオートクレーブ中で行われた。晶出はオートクレーブが室温にまで冷やされることによって終了させられた。続いて、被膜コーティングされたキャリアがオートクレーブから取り出され、脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられた。
【0047】
図4は一次被膜層形成後と二次被膜層形成後との合成体のX線回折記録を示しており、図5はALPO−5二次被膜層の電子顕微鏡撮影像を示している。これらの回折記録ならびに電子顕微鏡撮影像から、SAPO−34一次被膜層とAlPO−5二次被膜層との形成を明確に検出することができる。
【0048】
実施例3 (SAPO−18(AEI)上のAFI)
【0049】
一次被膜層の合成:SAPO−18一次被膜層の製造は熱水処理によるAlキャリアの部分的変態を経て行われた。AlキャリアとしてはAlシート(厚さ160μm、寸法6×8cm、〜99%Al)が使用された。このシートは、通例の網目構造形成体(リンおよびケイ素)と構造調整テンプレート(ジイソプロピルエチルアミン)とを含んだ水性合成液と共にオートクレーブ(40ml)中に入れられた。合成液の組成は、1.0 P:0.4 SiO:3.0 ジイソプロピルエチルアミン:70 HOであった。リン源としてはHPO(85%)が使用され、ケイ素源としてはシリカゾル(35%)が使用された。熱水結晶化は175℃にて48hにわたって行われた。48hに及ぶ晶出時間の経過後、オートクレーブは室温にまで冷やされた。続いて、被膜コーティングされたキャリアが取り出され、脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられた。
【0050】
二次被膜層の合成:SAPO−34二次被膜層の晶出は、被膜コーティングされたAlキャリアの第2の熱水処理によって行われた。そのため、以下のモル組成−0.8 Al:1.0 P:0.4 SiO:3.0 モルホリン:70 HO−を有する反応材料が作製された。Al源としてはプソイドベーマイトが、リン源としてはHPOが、ケイ素源としてはシリカゾルが、テンプレートとしてはモルホリンがそれぞれ使用された。二次被膜層の結晶化は200℃にて48hにわたって、40mlオートクレーブ中で行われた。オートクレーブが室温にまで冷やされた後、被膜コーティングされたキャリアがオートクレーブから取り出され、脱イオン水で洗浄され、12hにわたって室温にて乾燥させられた。
【0051】
図6は一次被膜層形成後と二次被膜層形成後とのAlキャリアのX線回折記録を示している。これらの回折記録から、SAPO−18一次被膜層とSAPO−34二次被膜層との形成を認めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に被着された、少なくとも1のリン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)の微孔性被膜層と、その他の被膜層とを有するアルミニウム含有支持体であって、
リン酸アルミニウムゼオライトの前記微孔性被膜層は一次被膜層を表し、前記一次被膜層上に前記一次被膜層の材料とは異なる微孔性またはメソ多孔性二次材料が被着されていることを特徴とするアルミニウム含有支持体。
【請求項2】
前記アルミニウム含有支持体は、アルミニウム、アルミニウム含有合金とくにアルミニウム合金鋼またはアルミニウム含有セラミックをベースとしていることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項3】
前記微孔性一次被膜層と前記微孔性またはメソ多孔性二次材料とは、多孔性物質の化学的種類または特性、多孔度または多孔系の種類と配向の点で相違しており、とくに、漸次的に段階化された多孔度の形の相違を有していることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項4】
前記リン酸アルミニウムゼオライト(ALPO)はSAPOまたはMeALPOとして存在していることを特徴とする請求項1〜3の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項5】
前記微孔性一次被膜層は約2.0nm以下とくに約1.0nm以下の平均孔径を有することを特徴とする請求項1〜4の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項6】
前記微孔性一次被膜層は約0.2〜1.0nmとくに約0.3〜0.7nmの平均孔径を有することを特徴とする請求項5記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項7】
前記微孔性一次被膜層の平均孔径は前記微孔性またはメソ多孔性二次材料の平均孔径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜6の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項8】
前記微孔性二次材料の平均孔径は約2.0nm以下とくに約0.35〜1.3nmであることを特徴とする請求項1〜7の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項9】
前記メソ多孔性二次材料の平均孔径は約2〜8nmとくに約3〜5nmであることを特徴とする請求項1〜7の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項10】
前記微孔性一次被膜層は少なくとも約1μmの厚さを有しかつ/または前記微孔性またはメソ多孔性二次材料は少なくとも約1μmとくに少なくとも約5μmの厚さを有することを特徴とする請求項1〜9の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項11】
前記微孔性またはメソ多孔性二次材料はALPOとくにSAPOまたはMeALPOとして存在していることを特徴とする請求項1〜10の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項12】
前記微孔性またはメソ多孔性二次材料はケイ酸アルミニウムまたはケイ酸塩の形で存在し、とくにFAU、MFI、LTA、BEA、CHAとして存在していることを特徴とする請求項1〜11の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項13】
前記微孔性またはメソ多孔性二次材料上に、とくに多孔性材料をベースとするさらに別の少なくとも1材料が連続的または断続的に形成されていることを特徴とする請求項1〜12の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項14】
前記微孔性一次被膜層と、前記微孔性またはメソ多孔性二次材料と、前記のさらに別の材料とは、適用時の物質輸送を促進すべく、漸次的に段階化された多孔度を有することを特徴とする請求項13記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項15】
防汚被膜層の機能を果たす外側被膜層を有することを特徴とする請求項1〜14の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項16】
前記微孔性一次被膜層および/または前記微孔性またはメソ多孔性二次材料は機能作用物質および/または金属イオンとくに触媒作用金属イオンおよびプロトンを含むことを特徴とする請求項1〜15の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項17】
前記金属イオンは、白金イオン、パラジウムイオン、ルテニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、コバルトイオン、亜鉛イオンまたはニッケルイオンを表していることを特徴とする請求項16記載のアルミニウム含有支持体。
【請求項18】
先行する請求項の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体の製造方法であって、
1.アルミニウム含有支持体は網目構造形成元素として少なくともリンを含んだ水性懸濁液中で熱水処理され、次いで、インサイチュー晶出によってリン酸アルミニウムゼオライトの微孔性一次被膜層が形成され、その際、とくに、前記水性懸濁液中に化学量論的不足下で存在する網目構造形成アルミニウムと前記水性懸濁液中に存在するすべての網目構造形成元素の総和との間のモル比は0.5以下であるため、化学量論的不足を補償するために必要なアルミニウムは前記アルミニウム含有支持体から奪われ、さらに、
2.前記微孔性一次被膜層上に微孔性またはメソ多孔性二次材料が形成され、その際、前記微孔性一次被膜層を有する前記アルミニウム含有支持体は前記微孔性またはメソ多孔性二次材料の形成に必要な網目構造形成元素を含んだ水性懸濁液中でさらなる処理に付されることを特徴とする方法。
【請求項19】
化学量論的不足下で存在する前記網目構造形成アルミニウムと前記懸濁液中に含まれているすべての網目構造形成元素の総和とのモル比は0.2以下とくに0.1以下であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記それぞれの被膜層ないし前記被着さるべき材料の形成に用いられる前記水性懸濁液は約50〜250℃とくに約80〜200℃の温度に調整されることを特徴とする請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
前記微孔性またはメソ多孔性二次材料上にさらに別の多孔性材料が被着されることを特徴とする請求項18〜20の少なくともいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜17の少なくともいずれか1項記載のアルミニウム含有支持体を熱交換器、触媒反応器または防汚機能を有する熱変態技法構成要素として使用すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−523678(P2011−523678A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508836(P2011−508836)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003408
【国際公開番号】WO2009/138223
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(507141011)ゾルテッヒ アーゲー (7)
【Fターム(参考)】